JP2022148459A - 床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブース - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブースに係り、特に、ヘルムホルツ共鳴器を有する床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブースに関する。
住宅などの建物を建設する際に用いられる防音構造として二重床構造がある。二重床構造は、鉄筋コンクリートなどで形成された床スラブに、支持脚を設置し床仕上げ材で覆うといった流れで施工される。これにより、床スラブと床仕上げ材の間に中空構造が形成され、居住空間から発する声及び足音などの音を外部に伝播することを抑制して遮音している。
また、防音性能を向上させる構造として吸音材を用いることが行われている。吸音材としては、ヘルムホルツ共鳴器の原理を応用した吸音材が知られている。ヘルムホルツ共鳴器の原理は、密閉空間に貫通孔を設けることで、開口方向に強い吸音効果を発揮するものである。ヘルムホルツ共鳴器の原理は、空洞容積、開口断面積、及び、そのネック長で共鳴周波数が決定されるため、設定条件を変更することで、あらゆる周波数に対応することができる。ヘルムホルツ共鳴器の原理を応用した吸音材の代表的な構成として、例えば、同一径の孔が等間隔に複数設けられた剛性のあるボードの背面に空気層を設けた吸音材がある。
二重床構造と吸音材を組み合わせた床構造として、例えば、特許文献1には、集合住宅などに用いられる中空構造を有するボイドスラブ工法を応用した二重床の構造が記載されている。中空構造の上部を開口することで、ヘルムホルツ共鳴器を構成している。また、躯体の吸音面側に浮き床を設置することで、床衝撃伝播音を吸音し、遮音性の向上を図っている。
また、特許文献2には、床スラブの上にヘルムホルツ共鳴器を有した浮き床を設置した吸音床構造が記載されている。浮き床には貫通孔が設けられており、下面側に任意のカバーが穴を覆うように設けられている。カバーの大きさを変えることで、吸音できる周波数を変えることができる。
特許文献1及び特許文献2に記載の床構造は、二重床構造と吸音材を用いることで、床材との安定性を確保するとともに、足音等の衝撃音を減衰する構造が用いられている。しかしながら、特許文献1に記載された二重床構造は、二重床構造とヘルムホルツ共鳴器型の吸音材が別々の構造体で形成されているため、それらを住宅に施工する場合、床スラブが形成される前に、吸音材を配置し、施工するという工程となっている。そのため、住宅建設と同時に施工しなければならず、後付けする場合は、大掛かりな工事が必要となる。また、特許文献2に記載された吸音床構造は、ヘルムホルツ共鳴器型の吸音材が多くの部材から構成され、かつ、特殊な形状であるため、汎用性が少なく、コストアップを招く要因となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遮音性と吸音特性を両立させ、且つ、床材としての平滑性、安定性を確保し、簡易な施工を可能とした床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブースを提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る床材パネルは、平面的に複数並べて床を形成する床材パネルであって、箱体状のパネル本体を備え、パネル本体は、四方の側面部と上面部と底面部とにより囲まれた中空の空洞部と、上面部に設けられ且つ空洞部と外部とを連通させるネック部と、を有し、空洞部及びネック部は、ヘルムホルツ共鳴器を構成する。
本発明の一形態によれば、パネル本体は、空洞部を複数の空間に区画する仕切り部を有し、仕切り部には、複数の空間を連通する連通路が設けられることが好ましい。
本発明の一形態によれば、仕切り部は、空洞部を平面視で二次元的に複数の空間に区画する仕切り枠体を有することが好ましい。
本発明の一形態によれば、仕切り枠体は、第1方向に延設された第1仕切り板と、第1方向に直交する第2方向に延設された第2仕切り板と、を井桁状に組み合わせて構成されることが好ましい。
本発明の一形態によれば、仕切り枠体は、パネル本体に交換可能に取り付けられることが好ましい。
本発明の一形態によれば、仕切り枠体は、パネル本体の補強部材を兼ねることが好ましい。
本発明の一形態によれば、仕切り枠体が、複数の空間のうち連通路を介して互い連通し且つネック部に連通する連通空間部の容積を異にする複数種の中から選択使用されるものであることが好ましい。
本発明の一形態によれば、上面部に着脱自在に取付可能であり且つネック部が形成されたネック部形成部材を有し、ネック部形成部材は、ネック部の孔径、ネック長、及び、ネック形状の少なくともいずれか1つが異なる複数種の中から選択使用されるものであることが好ましい。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る床材パネル群は、上記記載の床材パネルを複数備えて構成される。
本発明の一形態によれば、隣接するパネル本体を相互に連結する連結部材を備えることが好ましい。
本発明の一形態によれば、隣接するパネル本体の互いに隣接する側の側面部に嵌合溝が設けられ、嵌合溝に連結部材が嵌め込まれることにより隣接するパネル本体が相互に連結されることが好ましい。
本発明の一形態によれば、嵌合溝は、隣接するパネル本体の互いに隣接する隣接方向に直交する方向から連結部材が嵌合可能であり、嵌合溝は、隣接方向に対して連結部材が抜け出るのを阻止する抜け止め面を有することが好ましい。
本発明の一形態によれば、連結部材は、一方向と一方向に直交する方向である他方向とにそれぞれ2つずつ並べられた4つのパネル本体を連結する共通連結部材であることが好ましい。
本発明の一形態によれば、4つのパネル本体のうち、一方向に隣接するパネル本体を第1パネル本体、第2パネル本体とし、第1パネル本体の他方向に隣接するパネル本体を第3パネル本体とし、第3パネル本体の一方向に隣接するパネル本体を第4パネル本体とした場合、共通連結部材は、第1パネル本体と第2パネル本体とを相互に連結する第1連結部と、第1パネル本体と第3パネル本体とを相互に連結する第2連結部と、第3パネル本体と第4パネル本体とを相互に連結する第3連結部と、第2パネル本体と第4パネル本体とを相互に連結する第4連結部と、を有することが好ましい。
本発明の一形態によれば、第1パネル本体は、第1連結部と第2連結部とが嵌合可能な第1嵌合溝を有し、第2パネル本体は、第1連結部と第4連結部とが嵌合可能な第2嵌合溝を有し、第3パネル本体は、第2連結部と第3連結部とが嵌合可能な第3嵌合溝を有し、第4パネル本体は、第3連結部と第4連結部とが嵌合可能な第4嵌合溝を有することが好ましい。
本発明の一形態によれば、第1連結部、第2連結部、第3連結部、及び、第4連結部は、隣接するパネル本体の互いに隣接する隣接方向に直交する方向に設けられた、第1嵌合溝、第2嵌合溝、第3嵌合溝、及び、第4嵌合溝の両壁部から押圧される押圧面を有することが好ましい。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る床材ユニットは、上記記載の床材パネル群と、床材パネル群の上に配置された、通気性を有する絨毯、又は、通気性を有する不織布と、を備える。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る防音ブースは、上記記載の床材パネル群と、床材パネル群の周囲に設けられた吸音パネルと、吸音パネルが載置される載置部を有し、床材パネル群に固定されるガイドレールと、備える。
本発明によれば、遮音性と吸音特性を両立させ、且つ、床材としての平滑性、安定性を確保し、簡易な施工を可能とする。
以下、添付図面にしたがって本発明に係る床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブースについて説明する。
[床材パネル]
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の床材パネルの外観を示す斜視図である、図2は、床材パネルの分解図である。図3は、図1におけるIII-III線に沿う断面図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の床材パネルの外観を示す斜視図である、図2は、床材パネルの分解図である。図3は、図1におけるIII-III線に沿う断面図である。
第1実施形態の床材パネル10は、平面的に複数並べて床を形成するものである(図4参照)。以下の説明では、床材パネル10の配列方向をXY方向とし、床材パネル10に垂直な方向をZ方向とする三次元直交座標系を用いる。
この床材パネル10は、箱体状のパネル本体12を備えている。パネル本体12は、四方の側面部14と上面部16と底面部18とに囲まれた中空の空洞部20と、上面部16に設けられたネック部22とを有する。ネック部22は、上面部16に形成された貫通孔により構成され、この貫通孔を介して空洞部20と外部とを連通させる。
上面部16及び底面部18は、平面視で方形状を有し、板材26にて構成されている。側面部14は、角材24で構成されており、床材パネル10を床材として使用する際に、上面部16からの重さに耐えられるようにしている。
ネック部22は、本実施形態においては、上面部16の中心部に設けられている。ネック部22は、断面円形に形成されており、外部から空洞部20への入口(ネック)となる。
床材パネル10の上面部16、底面部18及び側面部14を構成する材料としては、ベニヤ等の木質材料、発泡ポリスチレン及びFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等の樹脂材料、又は、アルミ及びステンレス等の金属材料等の剛性を有する素材を用いることができる。また、使用する材料としては、加工性を有することが好ましい。床材パネル10を床に敷き詰める際に、部屋(床)の形状に合わせて床材パネル10を切断する場合がある。加工性を有する材料を用いることで、部屋の形状に合わせて切断が可能であり、隙間なく敷き詰めることができる。なお、床材パネル10を構成する材料は、すべての部材を同一材料で構成する必要はなく、異なる材料の部材を組み合わせて構成することもできる。例えば、側面部14の材料を弾性材料とすることで、上面部16の振動を底面部18に伝わりにくくすることができる。また、上面部16を構成する材料として、例えば、川上産業株式会社製の「吸音プラパール」(商品名)を好ましく採用することができる(特許第6478471号公報を参照)。この「吸音プラパール」を用いる態様によれば、床材パネル10の上面部16自体が吸音し、尚且つ、床パネル10の吸音構造体(後述するヘルムホルツ共鳴器)でも吸音する、という二重の効果を奏することができる。なお、「プラパール」は登録商標である。
床材パネル10のXY方向に沿うサイズとしては、例えば50cm×50cmのサイズとすることができる。上面部16を構成する材質にも依存するが、このサイズとすることで、上面部16に荷重がかかっても、平滑性及び安定性を維持することができる。なお、建築基準法では、床の耐荷重は1m2あたり180kgと規定されており、本実施形態における床材パネル10は、この基準を満たすように構成される。
床材パネル10は、例えば、次のように組み立てることができる。図2に示すように、最初に4本の角材24を枠状に組み、側面部14を構成する。次に、枠状に形成された側面部14を、ネック部22が設けられた上面部16を構成する板材26と、上面部16と同サイズで底面部18を構成する板材26を両側から挟み込むようにして固定する。上面部16及び底面部18は、枠形状の側面部14の枠の外寸と同寸法であることが好ましい。
上面部16、底面部18、及び側面部14の固定は、使用する材料に適した方法で固定することができる。例えば、床材パネル10の上面部16、底面部18及び側面部14を構成する材料を木質材料とした場合は、木工用ボンド等を用いて接合することで固定、又は、木工ネジ等を用いて固定することができる。なお、床材パネル10の組み立て方法は、上記の方法に限定されない。底面部18に側面部14を一面ずつ固定し、最後に上面部16を固定することで組み立てることもできる。
本実施形態において、パネル本体12に備えられる空洞部20とネック部22は、ヘルムホルツ共鳴器を構成する。このように構成されるヘルムホルツ共鳴器は、ネック部22の開口方向に強い吸音効果を発揮している。ヘルムホルツ共鳴器は、以下の式(1)から共鳴周波数が決定され、この共鳴周波数付近の領域において、共振振動が生じ、高い吸音率を得ることができる。
ここで、fは共鳴周波数(Hz)、Cは音速(m/s)、Sはネック部22(貫通孔)の開口断面積(m2)、Vはパネル本体12の内部の空洞部20の空洞容積(m3)、lはネック部22のネック長(m)および、δは補正値である。
ヘルムホルツ共鳴器は、式(1)で示すように、S:ネック部22の開口断面積、l:ネック部22のネック長、及び、V:パネル本体12の内部の空洞部20の空洞容積によって吸音できる周波数が決定される。すなわち、上記パラメータを変更することで、所望の周波数に調整することができ、所望の周波数の音を吸音することができる。
パラメータを変更して空洞容積(V)を変更する方法としては、側面部14の高さH(図2参照)を変更する、又は、側面部14の長さL(図2参照)、及び、上面部16及び底面部18において空洞部20の上面部および底面部を構成する部分の面積(すなわち、上面部16及び底面部18において側面部14が取り付けられる部分を除く部分の面積を変更することで行うことができる。ネック長(l)の変更は、上面部16の板材の厚みを変更することで行うことができる。ネック部22の開口断面積(S)は、ネック部22の直径、または、ネック部22の個数を変更することで行うことができる。
本実施形態の床材パネル10によれば、パネル本体12の内部を空洞部20とし、上面部16にネック部22を設けてヘルムホルツ共鳴器を構成することで、吸音特性を有する。また、ヘルムホルツ共鳴器の密閉空間(パネル本体12の空洞部20)を二重床の中空構造としているため遮音性を有する。さらに、ヘルムホルツ共鳴器の密閉空間を二重床の中空構造として利用しているため、空間を効率良く利用することができ、省スペースで、吸音特性及び遮音性を付与することができる。
また、本実施形態の床材パネル10は、箱体という単純な構成であるため、少ない部材で構成することができ、コストを低減することができる。また、本実施形態の床材パネル10は、既存の部屋の床面に設置することで、吸音特性及び遮音性を付与することができるので、既設の住宅の後付施工に用いることもできる。
(床材パネル群)
図4は、本実施形態の床材パネルにより構成された床材パネル群の構成を示す図である。床材パネル群250は、上記の床材パネル10を複数備えて構成される。床材パネル10は、図4に示すように、二次元状に複数配列されている。既存の部屋の床面に床材パネル10を複数配列させて、床に床材パネル10を敷き詰めることで、容易に防音性能を向上させることができる。床材パネル10は、それぞれが二重床構造となっており、中空構造が形成されているため、室内の音を外部に伝播することを防止することができる。また、床材パネル10は、ヘルムホルツ共鳴器を構成するため、吸音特性を有する。
図4は、本実施形態の床材パネルにより構成された床材パネル群の構成を示す図である。床材パネル群250は、上記の床材パネル10を複数備えて構成される。床材パネル10は、図4に示すように、二次元状に複数配列されている。既存の部屋の床面に床材パネル10を複数配列させて、床に床材パネル10を敷き詰めることで、容易に防音性能を向上させることができる。床材パネル10は、それぞれが二重床構造となっており、中空構造が形成されているため、室内の音を外部に伝播することを防止することができる。また、床材パネル10は、ヘルムホルツ共鳴器を構成するため、吸音特性を有する。
部屋の形状が単純な矩形でない場合(例えば、部屋の一部が鋭角状に形成されている部分があったり、多角形状の部屋など)と、部屋の形状が矩形の場合であってもパネルがちょうど敷き詰められないような場合(具体的には、部屋のXY方向のサイズが床材パネル10のXY方向のサイズの整数倍でない場合)は、部屋の形状に合わせて床材パネル10を切断して隙間なく配置する。床材パネル10を切断することで、空洞部20が露出する場合は、パテ又は粘土等の隙間埋め材を用いて切断部を埋めたり、角材24を切断部に嵌め込んで接着することで、パネル本体12の内部(空洞部20)を閉じた空間とすることができ、吸音材及び床材として機能させることができる。
また、複数の床材パネル10を並べることで、吸音効果を向上させることができる。単位面積あたりのヘルムホルツ共鳴器の数を、ネック部22の開口方向を同一として多く並べるほど、吸音率が向上する。したがって、1つの床材パネル10で床を形成するのではなく、複数の床材パネル10を敷き詰めた床材パネル群250とすることで、吸音特性を向上させることができる。
なお、図4に示す例では、床材パネル群250を構成する床材パネル10としてネック部22の貫通孔の孔径、ネック長l及び空洞部20のサイズを同一のものを用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、床材パネル群250を構成する床材パネル10の中に、ネック部22の貫通孔の孔径、ネック長l及び空洞部20のサイズのうちの少なくとも1つのパラメータが異なる種類のものが含まれていてもよい。すなわち、複数の床材パネル10が吸音する共鳴周波数を床材パネル10の種類毎に異なる周波数としてもよい。異なる共鳴周波数の床材パネル10を並べることで、幅広い周波数帯域の音を吸音することができる。また、特定の共鳴周波数に対応した床材パネル10の数を調整することで、所望の吸音率の調整を行うことができる。吸音する周波数を調整することで、発電機及びコンプレッサー等の特定の周波数を発生する機械に対して、その周波数にあわせることで、騒音の低減が可能となる。
(床材ユニット)
図5は、本実施形態の床材パネルにより構成された床材ユニットの構成を示す図である。床材ユニット500は、上記床材パネル群250の上に、通気性を有する絨毯502を備える。
図5は、本実施形態の床材パネルにより構成された床材ユニットの構成を示す図である。床材ユニット500は、上記床材パネル群250の上に、通気性を有する絨毯502を備える。
床材パネル群250の上に、絨毯502を敷くことで、床への衝撃音を吸収することができる。また、通気性を有するため、絨毯502を敷いたとしても、ネック部20の貫通孔が塞がれて床材パネル10の吸音効果が低下することを防止することができる。さらに、床材パネル10の表面を保護することができ、吸音特性と表面保護の相乗効果を得ることができる。
なお、床材パネル群250の上に敷く材料は、絨毯502に限定されず、例えば、通気性を有する不織布を敷いても同様の効果を得ることができる。
(床材パネル群の連結構造)
図6は、床材パネル群の床材パネルを連結する連結部の構成を説明する図である。図6(a)は、床材パネルの断面図、図6(b)は、床材パネル群の床材パネル同士の連結部の断面図、図6(c)は、連結部材の挿入方法を説明する図である。
図6は、床材パネル群の床材パネルを連結する連結部の構成を説明する図である。図6(a)は、床材パネルの断面図、図6(b)は、床材パネル群の床材パネル同士の連結部の断面図、図6(c)は、連結部材の挿入方法を説明する図である。
図6に示すように、床材パネル310のパネル本体312は、側面部314の、パネル本体312同士が隣接する側に嵌合溝315を有する。嵌合溝315は、側面部314の長手方向に沿って設けられ、断面形状が矩形形状に設けられている。この嵌合溝315に、連結部材313が嵌め込まれることにより、隣接するパネル本体312同士が相互に連結される。
連結部材313としては、板状部材を用いることができる。連結部材313を嵌合溝315に嵌め込む際は、図6(c)に示すように、隣接させた床材パネル10の向かい合うそれぞれの嵌合溝315に連結部材313を挿入することで行う。嵌合溝315のZ方向の幅を、連結部材313の厚みと同じ、又は、連結部材313の厚みより若干狭くすることで、嵌合溝315に連結部材313を嵌め込んだ際に、嵌合溝315の幅方向の両側から連結部材313を挟み込み、押圧することができるので、パネル本体312同士を連結することができる。また、嵌合溝315と連結部材313との固定は、接着剤等を用いて接合することで固定してもよい。
連結部材313を用いて、隣接するパネル本体312同士を連結することで、パネル本体312に、設置面に対して平行に力が働いた場合においても、パネル本体312が移動し、パネル本体312同士の間に隙間が発生することを防止することができる。
(連結部の他の構成)
図7は、床材パネル群の床材パネルを連結する連結部の他の構成を説明する図である。
図7は、床材パネル群の床材パネルを連結する連結部の他の構成を説明する図である。
図7に示す床材パネル群400は、床材パネル360の側面部364に形成された嵌合溝365の形状が、嵌合溝365の深さ方向(床材パネル360の隣接方向)に向かうに従い、幅(上下方向の幅)が広がる形状を有している。また、連結部材363も、床材パネル360の隣接方向において、中央部から端部に向かうに従い、連結部材363の厚みが厚くなる逆テーパー形状を有している。
図7に示す連結部材363も、図6(c)に示す方法と同様に、床材パネル360が隣接する隣接方向に直交する方向から嵌合溝365に挿入されて嵌合する。図7に示す嵌合溝365及び連結部材363によれば、床材パネル360が、隣接方向でそれぞれの床材パネル360が離れる方向に移動しようとすると、嵌合溝365の斜めに形成された壁部365aが、連結部材363の逆テーパー形状の上面及び下面に接触する。これにより、嵌合溝365の壁部365aは、連結部材363が嵌合溝365から抜け出るのを阻止する抜け止め面として機能する。これにより、隣り合う床材パネル360同士が互いに離れる方向に移動することを防止することができる。また、図7に示す嵌合溝365及び連結部材363とすることで、連結部材363を引き抜くことで、床材パネル360の連結の解除も容易に行うことができる。
図8は、床材パネル群の床材パネルを連結する連結部のさらに他の構成を説明する図であり、4つの床材パネルを連結する方法を説明する図である。
4つの床材パネル410は、XY方向(一方向及び他方向)にそれぞれ2つずつ並べられる。XY方向にそれぞれ並べられた4つの床材パネル410を構成するパネル本体の側面部には、その厚み方向(Z方向)に直交する水平方向(X方向又はY方向)に沿って嵌合溝(第1嵌合溝415a~第4嵌合溝415d)が形成されている。床材パネル410の連結は、図8に示すように、連結部材として、4つの床材パネル410を連結する共通連結部材413を、4つの床材パネル410の中央部に配置して、各嵌合溝に嵌合させることにより行う。
以下、共通連結部材413を用いた連結部について詳述する。共通連結部材413は、中心から4方向に延びる第1連結部413a、第2連結部413b、第3連結部413c、及び、第4連結部413dを備えた十字型の形状を有する。
そして、4つの床材パネル410のうち、Y方向に隣接する床材パネル410を構成するパネル本体を第1パネル本体412a、第2パネル本体412bとし、第1パネル本体412aのX方向に隣接するパネル本体を第3パネル本体412cとし、第3パネル本体412cのY方向に隣接するパネル本体を第4パネル本体412dとした場合、共通連結部材413の各連結部413a、413b、413c、413dが、次のように、各パネル本体412a、412b、412c、412dを連結することで、共通連結部材413が、4つの床材パネル410を連結する。
共通連結部材413の第1連結部413aは、第1パネル本体412aと第2パネル本体412bを相互に連結する。第2連結部413bは、第1パネル本体412aと第3パネル本体412cとを相互に連結する。第3連結部413cは、第3パネル本体412cと第4パネル本体412dとを相互に連結する。第4連結部413dは、第2パネル本体412bと第4パネル本体412dとを相互に連結する。
また、各パネル本体412a、412b、412c、412dと共通連結部材413の各連結部413a、413b、413c、413dとの連結は、各パネル本体412a、412b、412c、412dに設けられた各嵌合溝に、各連結部413a、413b、413c、413dを嵌合させることで行う。具体的には、第1パネル本体412aは、第1連結部413aと第2連結部413bとが嵌合可能な第1嵌合溝415aを有する。嵌合溝415aの形状は、図6に示すパネル本体312の嵌合溝315と同様の形状とすることができる。以下の各嵌合溝についても同様である。第2パネル本体412bは、第1連結部413aと第4連結部413dとが嵌合可能な第2嵌合溝415bを有する。第3パネル本体412cは、第2連結部413bと第3連結部413cとが嵌合可能な第3嵌合溝415cを有する。第4パネル本体412dは、第3連結部413cと第4連結部413dとが嵌合可能な第4嵌合溝415dを有する。
そして、第1嵌合溝415aと第2嵌合溝415bを向かい合わせに配置し、第1連結部413aを第1嵌合溝415a及び第2嵌合溝415b嵌合させることで、第1パネル本体412aと第2パネル本体412bとを連結させる。同様に、第2連結部413bを第1嵌合溝415a及び第3嵌合溝415cに嵌合させることで、第1パネル本体412aと第3パネル本体412cとを連結させる。第3連結部413cを第3嵌合溝415c及び第4嵌合溝415dに嵌合させることで、第3パネル本体412cと第4パネル本体412dとを連結させる。第4連結部413dを第2嵌合溝415bと第4嵌合溝415dに嵌合させることで、第2パネル本体412bと第4パネル本体412dとを連結させる。
以上のように、共通連結部材413の各連結部413a、413b、413c、413dを各パネル本体412a、412b、412c、412dの各嵌合溝415a、415b、415c、415dに嵌合させることで、4つの床材パネル410を連結させることができる。
また、図8に示す共通連結部材413において、X方向及びY方向の中心線(図中の一点鎖線)で厚みが最大となり、中心線から離れるほど、各連結部413a、413b、413c、413dの厚みが薄くなるように形成してもよい。ここで、共通連結部材413のX方向及びY方向の中心線の位置における厚みは、中心線に沿って一定であってもよいし、中心線の交差点に向かって更に厚みが増すようにしてもよい。そして、X方向及びY方向の中心線付近の厚みを、各嵌合溝415a、415b、415c、415dの幅よりもやや厚くする。これにより、各連結部413a、413b、413c、413dを各嵌合溝415a、415b、415c、415dに深く嵌合させることができ、嵌合溝415a、415b、415c、415dの両壁部から各連結部413a、413b、413c、413dが押圧され、強く固定することができる。各連結部413a、413b、413c、413dの上面及び下面は、嵌合溝415a、415b、415c、415dの両壁部から押圧される押圧面として機能する。なお、共通連結部材413において、X方向及びY方向の中心線に向かって厚みを薄くするようにしてもよい。この場合にも、図7の例と同様に、共通連結部材413を嵌合溝415a、415b、415c、415dに嵌め込むことにより、床材パネル410を強く固定することができる。
なお、図8に示す例では、共通連結部材413は、XY方向に対してそれぞれ線対称の略十字形状としたが、非対称の形状であってもよい。例えば、上記のように、床材パネル10のネック部22の貫通孔の孔径、ネック長l及び空洞部20のサイズのうちの少なくとも1つのパラメータが異なる場合等、異なる種類の床材パネル10を用いて床材パネル群400を構成する場合には、連結する床材パネル10のサイズ等(より具体的には、嵌合溝の深さ等)に応じて、共通連結部材413の形状が非対称となっていてもよい。
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態の床材パネルの内部構造を示す分解図である。
図9は、第2実施形態の床材パネルの内部構造を示す分解図である。
第2実施形態の床材パネル60は、パネル本体62の内部の空洞部70を複数の空間に区画する仕切り部78を備える点が、第1実施形態の床材パネル10と異なっている。
仕切り部78は、図9に示すように、空洞部70内に備えられ、空洞部70をXY平面視で二次元状に複数の空間92に区画する仕切り枠体84を有する。仕切り枠体84は、X方向(第1方向)に延設された第1仕切り板80と、Y方向(第2方向)に延設された第2仕切り板82とから構成される。仕切り枠体84は、この第1仕切り板80と第2仕切り板82とを井桁状に組み合わせて構成される。
仕切り枠体84は、第1仕切り板80の第1切り欠き部86と第2仕切り板82の第2切り欠き部88とを組み合わせ交差させることで、井桁状に組み付けられる。第1仕切り板80と第2仕切り板82とによって区画されたそれぞれの空間92は、第1仕切り板80に設けられた第1切り欠き部86によりY方向に隣接する空間92同士が連通され、第1切り欠き部86が連通路94となる。また、第2仕切り板82に設けられた第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90によりX方向に隣接する空間92同士が連通され、第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90が連通路94となる。
なお、仕切り枠体84は、2枚の仕切り板(第1仕切り板80と第2仕切り板82と)を井桁状に組んだものに限らず、これらが一体に形成されていてもよいし、底面部18又は側面部14等にその一部が固定されていてもよい。
第1仕切り板80は、上面部16側から底面部18側に向かって延びる第1切り欠き部86を有する。また、第2仕切り板82は、底面部18側から、第2仕切り板82の上下方向の中央部に向かって延びる第2切り欠き部88を有する。また、第2仕切り板82は、第2切り欠き部88の上下方向に中央部を挟んで反対の位置に設けられ、上面部16側から中央部に向かって延びる第3切り欠き部90を有する。
図9に示すように、パネル本体62の空洞部70を仕切り部78で複数の空間92に区画したとしても、連通路94により、空間92同士が連通しているため、空洞容積(V)は、仕切り部78を設ける前と変化がなく、同様の吸音特性を有することができる。また、内部に空間を有する二重構造であるため、遮音性を有する。
底面部18と側面部14は、第1実施形態の床材パネル10の組み立て方法で説明したように、別々の部材を固定することで構成してもよいが、底面部18と側面部14が一体となって成型した受け体93としてもよい。受け体93の成型方法は、例えば、樹脂材料であれば、射出成型又はブロー成型により成型することができる。底面部18と側面部14を一体で成型することで、大量生産する場合に、製造コストを下げることができる。
受け体93と仕切り部78は、接着剤又はネジ等を用いて固定してもよく、着脱可能としてもよい。着脱可能とする場合は、受け体93の側面部14の内壁に溝を設けて仕切り枠体84を差し込める構成とすることで、容易に着脱することができる。また、仕切り枠体84の交換も容易に行うことができる。上面部16についても同様に、受け体93及び仕切り枠体84に固定する必要はなく、着脱可能とすることができる。上面部16を着脱可能とすることで、仕切り枠体84の交換を容易に行うことができる。
また、受け体93、仕切り枠体84、及び、上面部16の材質は、同一の素材でもよく、別々の素材を用いてもよい。別々の素材を用いる場合として、例えば、受け体93及び仕切り枠体84は、安価な合板などを用い、上面部16は美粧性の高い化粧板とすることで、床としてのデザイン性を向上させ、かつ、コストを抑えた構成とすることができる。また、上面部16の一部が欠損又は破損した時は、上面部16のみを交換することで修理を行うことができるので、維持費を抑えることができる。
図9に示す仕切り枠体84は、第1仕切り板80と第2仕切り板82とを含んでいる。図9に示す例では、第1仕切り板80及び第2仕切り板82の高さと、側面部14の高さは等しくなっている。第1仕切り板80には、第1切り欠き部86が形成されており、第2仕切り板82には、第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90が形成されている。第1切り欠き部86、第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90は、それぞれ第1仕切り板80と第2仕切り板82とをパネル本体62の空洞部70に取り付けたときに交点となる位置に設けられている。第1仕切り板80と第2仕切り板82とをパネル本体62の空洞部70に取り付けると、第1切り欠き部86に第2切り欠き部88が嵌め込まれる。第1切り欠き部86の幅は、第2仕切り板82の厚みよりも厚く、かつ、第2切り欠き部88の幅は、第1仕切り板80よりも厚くなっている。第1切り欠き部86、第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90は連通路94を構成し、区画された複数の空間92の全てが繋がっている。したがって、ネック部22に連通する複数の空間92を連通空間部としたとき、図9においては、区画された複数の空間92の全てが連通路94を介して互いに連通し、連通空間部を形成している。この仕切り枠体84の連通路94の位置を調整して、ネック部22に連通する連通空間部の容積を変更することができる。これにより、ヘルムホルツ共鳴器が吸音する周波数を変更することができる。
具体的には、第2切り欠き部88の厚みを第1仕切り板80と等しくし、かつ、第3切り欠き部90を設けず、X方向の連通路94を塞ぐことで、ネック部22と連通する空間92はY方向に隣接する空間92とのみ連通される。また、第1切り欠き部86の幅を第2仕切り板82の厚みと同じ厚みとし、第2切り欠き部88及び第3切り欠き部90の幅を第1仕切り板80の厚みより大きくすることで、ネック部22と連通する空間92はX方向に隣接する空間92とのみ連通される。このように、区画された空間92同士を連通する連通路94を設ける位置を変更することで、ネック部22に連通する連通空間部の容積を変更することができる。連通空間部の容積が異なる複数種類の仕切り枠体84を用意し、これらの中から選択使用することで、吸音する周波数を変更することができる。また、仕切り枠体84をパネル本体62に交換可能に取り付ける構成とすることで、連通空間部の変更を容易に行うことができ、吸音する周波数の変更を容易に行うことができる。
また、仕切り枠体84は、パネル本体62を補強する補強部材としての機能を兼ねている。上記のように、第1仕切り板80及び第2仕切り板82をパネル本体62の内部の空洞部70の高さ、すなわち、側面部14と同じ高さで構成されている。したがって、第1仕切り板80及び第2仕切り板82を剛性の高い部材で形成したり、肉厚に形成したりすることにより、仕切り枠体84に上面部16を支える支柱としての機能を持たせることができる。また、仕切り枠体84は、上面部16にかかる圧力を仕切り枠体84で支持することができ、上面部16にかかる圧力を分散させることができる。これにより、上面部16がたわむことを防止し、たわみ防止の効果を有する。また、パネル本体62自体が大きくなっても、第1仕切り板80及び第2仕切り板82の数、長さを調整することで、上面部16を支える仕切り枠体84の間隔を短くすることができる。これにより、上面部16のたわみを防止することができる。したがって、上面部16、底面部18、及び、側面部14の厚みを厚くする、密度を増やす等、各部材の剛性を上げることなく、上面部16の平滑性を維持することができる。
[変形例]
図10は第2実施形態の変形例の床材パネルの内部構造を示す分解図である。なお、上面部については、省略している。
図10は第2実施形態の変形例の床材パネルの内部構造を示す分解図である。なお、上面部については、省略している。
図10に示す変形例の床材パネル110は、仕切り部128に連通路として連通孔145を有する点が図9に示す床材パネル60と異なっている。
変形例の床材パネル110においても、仕切り部128は、空洞部120内に備えられ、空洞部120をXY平面視で二次元状に複数の空間142に区画する仕切り枠体134を有する。仕切り枠体134は、X方向(第1方向)に延設された第1仕切り板130と、Y方向(第2方向)に延設された第2仕切り板132とから構成される。仕切り枠体134は、この第1仕切り板130と第2仕切り板132とを井桁状に組み合わせて構成される。
仕切り枠体134は、第1仕切り板130の切り欠き部136と第2仕切り板132の切り欠き部136を組み合わせて交差させることで井桁状に組み付けられる。第1仕切り板130と第2仕切り板132とによって区画されたそれぞれの空間142は、第1仕切り板130及び第2仕切り板132に設けられた連通孔145により連通される。
なお、仕切り枠体134は、2枚の仕切り板(第1仕切り板130と第2仕切り板132と)を井桁状に組んだものに限らず、これらが一体に形成されていてもよいし、底面部18又は側面部14等にその一部が固定されていてもよい。
第1仕切り板130は、底面部18側から第1仕切り板130の上下方向の中央部に向かって延びる切り欠き部136を有する。また、第2仕切り板132は、第1仕切り板130を上下反転させた部材であり、同様に切り欠き部136を有する。第1仕切り板130と第2仕切り板132を共通の部材とすることで、床材パネル110を構成する部材の種類を少なくすることができ、製造コストを下げることができる。
変形例の床材パネル110においても、連通孔145の位置及び数を調整することで、空洞部120内で、連通する空間142同士を変更することができる。これにより、ネック部22に連通する連通空間部の容積を変更することができ、ヘルムホルツ共鳴器により吸音される周波数を変更することができる。また、仕切り枠体134を構成する第1仕切り板130及び第2仕切り板132を側面部14と同じ高さとし、かつ、剛性の高い部材で形成したり、肉厚に形成したりすることにより、仕切り枠体84に上面部16を支える支柱としての機能を持たせることができ、パネル本体を補強する補強部材として機能させることができる。
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態の床材パネルの上面部の構成を示す図であり、図11(a)は、ネック部形成部材を上面部に取り付ける状態を説明する図であり、図11(b)は上面部の断面図である。図12は、上面部の他の構成を示す図であり、図12(a)は、ネック部形成部材を上面部に取り付ける状態を説明する図であり、図12(b)は上面部の断面図である。図13は上面部に交換可能に取り付けられるネック部形成部材を示す図である。
図11は、第3実施形態の床材パネルの上面部の構成を示す図であり、図11(a)は、ネック部形成部材を上面部に取り付ける状態を説明する図であり、図11(b)は上面部の断面図である。図12は、上面部の他の構成を示す図であり、図12(a)は、ネック部形成部材を上面部に取り付ける状態を説明する図であり、図12(b)は上面部の断面図である。図13は上面部に交換可能に取り付けられるネック部形成部材を示す図である。
第3実施形態の床材パネルは、上面部166にネック部172が形成されたネック部形成部材173が着脱自在に取付可能に設けられている点が他の実施形態と異なっている。
上述したように、ヘルムホルツ共鳴器においては、ネック部の開口断面積を変更することで、吸音する共鳴周波数を変更することができる。ネック部の貫通孔の孔径を変更する方法としては、上面部を加工性の高い材料、例えば、ベニヤ等とし、電気工具等で、孔径を大きくすることで行うことができる。しかしながら、電気工具等でネック部の孔径を大きくすることは、既に存在するネック部の孔径を大きくすることはできるが小さくすることはできない。
第3実施形態の床材パネルは、上面部166に、ネック部172が設けられたネック部形成部材173が交換可能に係合する取付孔167を有する。取付孔167は、形状が外側(図中上側)から内側(図中下側)に向けて孔径が細くなる円錐台形状に形成されている。
図11に示す例では、ネック部形成部材173は、取付孔167に係合可能となるように、円錐台形状に形成されている。ネック部形成部材173は、取付孔167に対して隙間なく埋めこまれるようになっている。ネック部形成部材173は、ネック部形成部材173に設けられたネック部172の孔径、ネック長、及び、ネック形状の少なくともいずれか1つが異なる複数種の中から、選択使用することで、ヘルムホルツ共鳴器により吸音される共鳴周波数を変更することが可能となり、吸音したい任意の共鳴周波数とすることができる。
一方、図12に示す例では、ネック部形成部材223は、取付孔217に係合可能となるように、上面部216の厚みより長い円柱形状に形成されている。ネック部形成部材223は、取付孔217に対して隙間なく埋めこまれるようになっている。ネック部形成部材223は、ネック部形成部材223に設けられたネック部222の孔径、ネック長、及び、ネック形状の少なくともいずれか1つが異なる複数種の中から、選択使用することで、ヘルムホルツ共鳴器により吸音される共鳴周波数を変更することが可能となり、吸音したい任意の共鳴周波数とすることができる。
吸音特性の変更を、使用するネック部形成部材173を変更することにより行うことで、空洞容積(V)を変更することなく、すなわち、パネル本体の大きさを変更することなく、吸音特性を変更することができる。したがって、ネック部形成部材173の変更のみで吸音特性を変更することができ、吸音特性の変更を容易に行うことができる。また、ネック部形成部材173は、比較的小さな部材であるため、低コストで吸音特性の変更が可能である。
図13(a)は、図11に示す上面部166に取付可能なネック部形成部材173aである。ネック部形成部材173aは、図11に示すネック部形成部材173のネック部172より孔径の大きいネック部172aを有する。ネック部形成部材173からネック部形成部材173aに交換することで、ネック部の孔径を大きくすることができ、吸音特性を変更することができる。
また、取付孔167及びネック部形成部材173の形状は係合可能に形成されていれば、円錐台形状に限定されず、さまざまな形状とすることができる。図12に示すように、上面部216に設けられた取付孔217を円柱形状に形成し、ネック部形成部材223を円柱形状とすることができる。図12に示す構成とすることで、ネック部222の孔径のみではなく、ネック長の変更も可能である。ネック部形成部材223は上面部216の厚さより長く形成されており、そのネック部222のネック長も、上面部216の厚みより長く形成されている。ネック部222の孔径、及び、ネック部222のネック長の両方を変更可能とすることで、変更できる共鳴周波数の範囲を広げることができる。
図13(b)及び図13(c)は、図12に示す上面部216の取付孔217に交換可能なネック部形成部材を示す図である。図13(b)では、ネック部形成部材223aの長さが、上面部216の厚みより短くなっている。取付孔217に交換可能なネック部形成部材223aとして、ネック長が上面部216の厚みよりも短い部材も取り付けることが可能である。
また、図13(c)は、ネック部222bがストレートではなく、L字状に折れ曲がった形状を有するネック部形成部材223bの例を示す図である。図13(c)に示すネック部形成部材223bによれば、パネル本体12の空洞部20内でネック部222bが折れ曲がることになるが、このような構成としても、吸音効果を得ることができる。また、ネック部222bをL字状に折れ曲がる形状とすることで、ネック部222bの長さをパネル本体12の高さより長くすることができるので、変更できる共鳴周波数の範囲を広げることができる。
なお、図13においては、ネック部を有するネック部形成部材の例を示したが、ネック部を有さない閉塞部材を上面部の取付孔に取り付けることもできる。床材パネル10の設置個所によっては、パネル本体12の内部に埃又は水分等の異物が入ることを避けたい場合もある。この場合、ネック部を有さない閉塞部材を取付孔に取り付けることで、パネル本体の空洞部内に異物が入ることを防止することができる。
なお、第2実施形態の床材パネル60、110、第3実施形態の床材パネルについても、第1の実施形態と同様に、複数敷き詰めることにより、床材パネル群及び床材ユニットを構成することができる(図4及び図5参照)。
<防音ブースへの適用例>
図14及び図15は、上記の実施形態にかかる床材パネルを適用した防音ブースを説明する図である。図14は、防音ブースのベースとなる床材パネル群の周囲にガイドレールを備えたベース部の斜視図(a)及び断面図(b)である。図15は、床材パネル群の周囲のガイドレール上に吸音パネルを設置した防音ブースの一部分解図である。
図14及び図15は、上記の実施形態にかかる床材パネルを適用した防音ブースを説明する図である。図14は、防音ブースのベースとなる床材パネル群の周囲にガイドレールを備えたベース部の斜視図(a)及び断面図(b)である。図15は、床材パネル群の周囲のガイドレール上に吸音パネルを設置した防音ブースの一部分解図である。
図15に示すように、防音ブース600は、上記床材パネル群250(図4及び図5参照)の周囲にガイドレール605を備え、このガイドレール605に吸音パネル607を載置することで組み立てられる組立式の防音ブースである。なお、床材パネル群250においては、上記の通り、床材パネル群250を構成する床材パネル10の中に、ネック部22の貫通孔の孔径、ネック長l及び空洞部20のうちの少なくとも1つのパラメータが異なる種類のものを用いることで、防音ブース内の吸音する周波数を調整することができる。
床材パネル群250の周囲にガイドレール605を取り付けることでベース部604(図14参照)を構成する。ガイドレール605は、床材パネル群250の側面に取り付けられる取付部605aと、取付部605aから垂直方向に折れ曲がって形成され、吸音パネル607が載置される載置部605bと、を有し、断面視でL字状に形成されている。また、載置部605bの先端側には、載置部605bから垂直方向に突出したガイド部605cを有する。
床材パネル群250の側面と、ガイドレール605の取付部605aとを固定する方法は特に限定されない。床材パネル群250とガイドレール605が使用している材料に適した方法で固定することができる。例えば、ネジを用いて固定してもよいし、接着剤により固定してもよい。
ガイドレール605の材料としては、アルミ等の金属材料、又は、エラストマーからなる樹脂材料を用いることができる。また、載置部605bは、吸音パネル607を載置した際に、吸音パネル607と載置部605bの間に隙間が生じることを防止するため、載置部605bの表面にウレタンスポンジ、又は、発泡ゴム等の隙間埋め材が貼り合わされている。これにより、吸音パネル607と載置部605bの隙間から音漏れが生じることを防止することができる。
載置部605bの幅は、吸音パネル607の厚さと同じ長さで設けられている。載置部605bの先端側には、載置部605bから突出したガイド部605cを有し、吸音パネル607は、ガイドレール605の取付部605aとガイド部605cの間に挟まれ、吸音パネル607が載置部605bからずれることを防止している。また、吸音パネル607をガイドレール605の載置部605bに置く時も、吸音パネル607をガイドレール605の取付部605aとガイド部605cの間に差し込みながら載置部605cに這わせるように組み立てることで、組立性を向上させることができる。
吸音パネル607としては、特許第6478471号に記載されている、凹凸構造を有するキャップシートの両面にシートを設け、キャップシートの凹部の開放側のシートに小孔を有する吸音材を使用することができる。小孔と凹部内の空間とで、ヘルムホルツ共鳴器を構成し、吸音効果を得ることができる。このような吸音パネルとして、例えば、吸音プラパール(製品名)(川上産業(株)製)を用いることができる。
防音ブース600によれば、組立式の防音ブースとすることで、防音ブースの施工を簡単な方法で行うことができる。また、上記の床材パネル群250を使用することで、吸音する周波数を所望の周波数とすることができ、防音ブース600内の調音が可能となる。
10、60、110、310、360、410…床材パネル、12、62、312…パネル本体、14、314、364…側面部、16、166、216…上面部、18…底面部、20、70、120…空洞部、22、172、172a、222、222a、222b…ネック部、24…角材、26…板材、78、128…仕切り部、80、130…第1仕切り板、82、132…第2仕切り板、84…仕切り枠体、86…第1切り欠き部、88…第2切り欠き部、90…第3切り欠き部、92、142…空間、93…受け体、94…連通路、145…連通孔、136…切り欠き部、167、217…取付孔、173、173a、223a、223b…ネック部形成部材、250、350、400、450…床材パネル群、313、363…連結部材、315、365…嵌合溝、365a…壁部、412a…第1パネル本体、412b…第2パネル本体、412c…第3パネル本体、412d…第4パネル本体、413…共通連結部材、413a…第1連結部、413b…第2連結部、413c…第3連結部、413d…第4連結部、415a…第1嵌合溝、415b…第2嵌合溝、415c…第3嵌合溝、415d…第4嵌合溝、500…床材ユニット、502…絨毯、600…防音ブース、604…ベース部、605…ガイドレール、605a…取付部、605b…載置部、605c…ガイド部、607…吸音パネル
Claims (18)
- 平面的に複数並べて床を形成する床材パネルであって、
箱体状のパネル本体を備え、
前記パネル本体は、四方の側面部と上面部と底面部とにより囲まれた中空の空洞部と、前記上面部に設けられ且つ前記空洞部と外部とを連通させるネック部と、を有し、
前記空洞部及び前記ネック部は、ヘルムホルツ共鳴器を構成する、
床材パネル。 - 前記パネル本体は、前記空洞部を複数の空間に区画する仕切り部を有し、
前記仕切り部には、前記複数の空間を連通する連通路が設けられる、
請求項1に記載の床材パネル。 - 前記仕切り部は、前記空洞部を平面視で二次元的に前記複数の空間に区画する仕切り枠体を有する、
請求項2に記載の床材パネル。 - 前記仕切り枠体は、第1方向に延設された第1仕切り板と、前記第1方向に直交する第2方向に延設された第2仕切り板と、を井桁状に組み合わせて構成される、
請求項3に記載の床材パネル。 - 前記仕切り枠体は、前記パネル本体に交換可能に取り付けられる、
請求項3又は4に記載の床材パネル。 - 前記仕切り枠体は、前記パネル本体の補強部材を兼ねる、
請求項3から5のいずれか1項に記載の床材パネル。 - 前記仕切り枠体が、前記複数の空間のうち前記連通路を介して互い連通し且つ前記ネック部に連通する連通空間部の容積を異にする複数種の中から選択使用されるものである、
請求項3から6のいずれか1項に記載の床材パネル。 - 前記上面部に着脱自在に取付可能であり且つ前記ネック部が形成されたネック部形成部材を有し、
前記ネック部形成部材は、前記ネック部の孔径、ネック長、及び、ネック形状の少なくともいずれか1つが異なる複数種の中から選択使用されるものである、
請求項1から7のいずれか1項に記載の床材パネル。 - 請求項1から8に記載のいずれか1項に記載の床材パネルを複数備えて構成される、床材パネル群。
- 隣接する前記パネル本体を相互に連結する連結部材を備える、
請求項9に記載の床材パネル群。 - 隣接する前記パネル本体の互いに隣接する側の前記側面部に嵌合溝が設けられ、
前記嵌合溝に前記連結部材が嵌め込まれることにより隣接する前記パネル本体が相互に連結される、
請求項10に記載の床材パネル群。 - 前記嵌合溝は、隣接する前記パネル本体の互いに隣接する隣接方向に直交する方向から前記連結部材が嵌合可能であり、
前記嵌合溝は、前記隣接方向に対して前記連結部材が抜け出るのを阻止する抜け止め面を有する、
請求項11に記載の床材パネル群。 - 前記連結部材は、一方向と前記一方向に直交する方向である他方向とにそれぞれ2つずつ並べられた4つの前記パネル本体を連結する共通連結部材である、
請求項10に記載の床材パネル群。 - 4つの前記パネル本体のうち、前記一方向に隣接するパネル本体を第1パネル本体、第2パネル本体とし、前記第1パネル本体の前記他方向に隣接するパネル本体を第3パネル本体とし、前記第3パネル本体の前記一方向に隣接するパネル本体を第4パネル本体とした場合、
前記共通連結部材は、前記第1パネル本体と前記第2パネル本体とを相互に連結する第1連結部と、前記第1パネル本体と前記第3パネル本体とを相互に連結する第2連結部と、前記第3パネル本体と前記第4パネル本体とを相互に連結する第3連結部と、前記第2パネル本体と前記第4パネル本体とを相互に連結する第4連結部と、を有する、
請求項13に記載の床材パネル群。 - 前記第1パネル本体は、前記第1連結部と前記第2連結部とが嵌合可能な第1嵌合溝を有し、
前記第2パネル本体は、前記第1連結部と前記第4連結部とが嵌合可能な第2嵌合溝を有し、
前記第3パネル本体は、前記第2連結部と前記第3連結部とが嵌合可能な第3嵌合溝を有し、
前記第4パネル本体は、前記第3連結部と前記第4連結部とが嵌合可能な第4嵌合溝を有する、
請求項14に記載の床材パネル群。 - 前記第1連結部、前記第2連結部、前記第3連結部、及び、前記第4連結部は、隣接する前記パネル本体の互いに隣接する隣接方向に直交する方向に設けられた、前記第1嵌合溝、前記第2嵌合溝、前記第3嵌合溝、及び、前記第4嵌合溝の両壁部から押圧される押圧面を有する、
請求項15に記載の床材パネル群。 - 請求項9から16のいずれか1項に記載の床材パネル群と、
前記床材パネル群の上に配置された、通気性を有する絨毯、又は、通気性を有する不織布と、を備える、
床材ユニット。 - 請求項9から16のいずれか1項に記載の床材パネル群と、
前記床材パネル群の周囲に設けられた吸音パネルと、
前記吸音パネルが載置される載置部を有し、前記床材パネル群に固定されるガイドレールと、備える、
防音ブース。
Priority Applications (1)
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JP2021050150A JP2022148459A (ja) | 2021-03-24 | 2021-03-24 | 床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブース |
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JP2021050150A Pending JP2022148459A (ja) | 2021-03-24 | 2021-03-24 | 床材パネル、床材パネル群、床材ユニット及び防音ブース |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022148459A (ja) |
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2021
- 2021-03-24 JP JP2021050150A patent/JP2022148459A/ja active Pending
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