JP2022147104A - cBN焼結体およびそれを用いた切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れたcBN焼結体およびcBN工具の提供【解決手段】立方晶窒化ほう素と結合相を有するcBN焼結体であって、前記結合相中には、Tiほう化物が分散しており、前記Tiほう化物は、その内部にV、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上を含有する、ことを特徴とするcBN焼結体、および、該cBN焼結体を工具基体とするcBN切削工具。【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗性に優れた立方晶窒化ほう素(以下、「cBN」ということがある)基超高圧焼結体(以下、「cBN焼結体」ということがある)、および、これを工具基体とする切削工具(以下、「cBN工具」ということがある)に関する。
従来から、cBN焼結体は、硬さや靭性に優れることが知られており、さらに、鉄系材料との親和性が低いことから、これらの特性を活かし、焼入鋼、鋳鉄等の鉄系被削材の切削工具材料として広く用いられている。
例えば、特許文献1には、cBN:30~80体積%、残部が周期表4~6族元素の炭化物、窒化物、ほう化物、酸化物、Alの窒化物、酸化物、Siの炭化物、窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種または2種以上からなる結合相と不可避不純物からなり、前記結合相は、(1)V、Nb、Taの中の少なくとも1種または2種以上とTiとからなる複合窒化物および複合炭窒化物の中の1種または2種以上の複合化合物:結合相全体に対して30~80体積%と、(2)V、Nb、Taの中の1種または2種以上の斜方晶ほう化物:結合相全体に対して5~40体積%と、(3)AlN:結合相全体に対して5~30体積%と、(4)Al:結合相全体に対して2~20体積%とを含有するcBN焼結体が記載され、該焼結体は高硬度鋼の断続切削の切削工具として用いたとき、耐久性が向上しているとされている。
また、例えば、特許文献2には、結合相が、Zr、Hf、Nb、Cr、MoおよびWからなる群の1種または2種以上とTiとのNaCl構造の複合固溶体炭窒化物を含み、該炭窒化物の200回折線の半価幅が0.60~0.90°であり、結合相全体に含まれるTiおよびM(Mは、Zr、Hf、Nb、Cr、MoおよびWの1種または2種以上)の原子比は、Ti:M=(0.5~0.9):(0.5~0.1)(Tiの原子比とMの原子比との合計は1になる)であるcBN焼結体が記載され、該焼結体を用いると、切削工具や耐摩耗工具の工具寿命を長くすることができるとされている。
さらに、例えば、特許文献3には、マトリックス中に被覆粒子を含み、該被覆粒子が、例えば、cBN、VB、VC、VN、V(C,N)、NbB、NbC、NbN、Nb(C,N)、TaB、TaC、TaN、Ta(C,N)およびそれらの混合物ならびに合金のうちの少なくとも1つからなるコア材料と、該コア材料上に1または2以上の中間層を含み、該中間層が該コア材料と異なる材料を含み、かつ前記中間層が前記コア材料よりも高い破壊靭性を有し、前記マトリックスがWもしくはWCを含む第1の粒子と、Coを含む第2の粒子との混合物を含み、および/または前記マトリックスが、Wおよび/もしくはWCと、0を超えて約20重量%に及ぶ量で前記マトリック中に存在するCoとの合金を含む、焼結体が記載され、該焼結体は破壊靭性が改善されているとされている。
特許第4830571号公報 特許第6082650号公報 特許第6257896号公報
本発明者の検討によれば、特許文献1~3に記載された焼結体について、以下の事項を認識した。
特許文献1に記載のcBN焼結体は、Tiのほう化物であるTiBの含有量を抑制しているが、Tiほう化物の含有量が少なくなることによりcBN焼結体の硬度が低下し、切削工具の刃先として使用した際の耐摩耗性が低下するという問題があること。
特許文献2に記載のcBN焼結体は、結合相にTi(C,N)等の従来のTi化合物よりも硬質であるTiの複合固溶体化合物を含有することで、耐摩耗性に優れるとされているが、この結合相においても耐摩耗性は十分ではなく、また複合固溶体化合物を結合相に含有させることで靭性が低下するという問題があること。
特許文献3は、マトリックスと被覆粒子の結合部分の強度が十分ではなく、結果として切削工具の刃先として使用するときに十分な耐摩耗性を得ることができないこと。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであって、耐摩耗性に優れたcBN焼結体およびcBN工具を提供することを目的とする。
本発明者は、cBN焼結体およびcBN工具において、前記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、cBN焼結体のセラミックス結合相中に、V、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上を含有したTiほう化物を分散させることにより、cBN焼結体の耐クラック伝播性が従来のcBN焼結体と同等以上となり、加えて耐摩耗性を従来のcBN焼結体よりも向上させることが可能となること、そして、このcBN焼結体を切削工具の刃先として使用するときに、耐欠損性、耐チッピング性を損なわずに耐摩耗性を改善して切削工具の長寿命化が可能となる、という新規な知見を得た。
本発明は、この知見に基づくものであって、次のとおりのものである。
「(1)立方晶窒化ほう素と結合相を有するcBN焼結体であって、
前記結合相中には、Tiほう化物が分散しており、
前記Tiほう化物は、その内部にV、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上を含有する、
ことを特徴とするcBN焼結体。
(2)前記化合物は、Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、Wの1または2以上を固溶していることを特徴とする前記(1)に記載のcBN焼結体。
(3)前記Tiほう化物は、前記結合相中に0.5~15.0面積%の割合で分散していることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のcBN焼結体。
(4)前記Tiほう化物の平均粒径が、0.04~0.80μmであることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載のcBN焼結体。
(5)前記(1)~(4)のいずれかに記載のcBN焼結体を工具基体とする切削工具。」
本発明のcBN焼結体は、V、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上をその内部に含有するTiほう化物が、セラミックス結合相中に分散していることにより、cBN工具として使用した際に、耐摩耗性、耐欠損性、耐チッピング性が向上する。
本発明の実施形態に係るV、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上をその内部に含有するTiほう化物が分散するcBN焼結体の焼結組織を示す模式図である。
以下、本発明のcBN焼結体およびcBN工具の実施形態について説明する。
なお、特許請求の範囲、本明細書の記載において、数値範囲を「X~Y」(X、Yは共に数値)と表現する場合、「X以上Y以下」と同義であって、その範囲は上限値(Y)と下限値(X)を含むものである。また、上限値と下限値の単位は同じである。
さらに、数値には公差を含む。
本発明の実施形態に係るcBN焼結体は、図1に模式的に示すように、cBN粒子(1)とセラミックス結合相(結合相ということもある)(2)を有し、この結合相(2)の中に、Tiほう化物が分散している。そして、このTiほう化物にはV、Nb、Taの単独または複合化合物(4)の1種または2種以上をその内部に含有するもの(3)が存在する。
1.立方晶窒化ほう素(cBN)粒子
(1)cBN粒子の平均粒径
本実施形態で用いるcBN粒子の平均粒径は、特に限定されるものではないが、0.2~8.0μmの範囲であることが好ましい。
これは、硬質なcBN粒子を焼結体内に含むことにより耐欠損性を高める効果に加えて、平均粒径が0.2~8.0μmであれば、切削工具としての使用中に工具表面のcBN粒子が脱落して生じる刃先の凹凸形状を起点とする欠損、チッピングを抑制するだけでなく、切削工具としての使用中に刃先に加わる応力により生じるcBN粒子と結合相との界面から進展するクラック、あるいはcBN粒子が割れて進展するクラックの伝播を抑制することにより、優れた耐欠損性を有することができるためである。
(2)cBN粒子の平均粒径の測定
ここで、cBN粒子の平均粒径は、以下のとおりにして求めることができる。
cBN焼結体の任意の断面を鏡面加工し、前記鏡面加工面に対して走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、「SEM」という)による組織観察を実施し、二次電子像を得る。次に、得られた画像内のcBN粒子の部分を画像処理にて抜き出し、画像解析より求めた各粒子の最大長を基に平均粒径を算出する。
画像内のcBN粒子の部分を画像処理にて抜き出すにあたり、cBN粒子と結合相とを明確に判断するため、画像は0を黒、255を白の256階調のモノクロで表示し、cBN粒子部分の画素値と結合相部分の画素値の比が2以上となる画素値の像を用いてcBN粒が黒となるように2値化処理を行う。
また、cBN粒子部分や結合相部分の画素値を求めるための領域として、例えば、平均粒径が3μm程度と推定されるcBN粒子の場合、0.5μm×0.5μm程度の領域を選択し、少なくとも同一画像領域内から異なる3箇所より求めた平均の値を各々のコントラストとすることが好ましい。
なお、2値化処理後はcBN粒同士が接触していると考えられる部分を切り離すような処理、例えば、ウォーターシェッドを用いて接触していると思われるcBN粒同士を分離する。
2値化処理後に得られた画像内のcBN粒子にあたる部分(黒の部分)を粒子解析し、求めた最大長を各粒子の最大長とし、それを各粒子の直径とする。最大長を求める粒子解析としては、例えば、1つのcBN粒子に対してフェレ径を算出することより得られる2つの長さから大きい長さの値を最大長とし、その値を各粒子の直径とする。
各粒子をこの直径を有する理想球体と仮定して、計算より求めた体積を各粒子の体積として累積体積を求め、この累積体積を基に縦軸を体積百分率[%]、横軸を直径[μm]としてグラフを描画させ、体積百分率が50%のときの直径を測定に用いた1画像内のcBN粒子の平均粒径とし、これを3観察領域(3画像)に対して行い、その平均値をcBN粒子の平均粒径[μm]とする。
粒子解析を行う際には、あらかじめSEMにより分かっているスケールの値を用いて、1ピクセル当たりの長さ[μm]を設定しておく。画像処理に用いる観察領域として、cBN粒子の平均粒径が3μm程度の場合、15.0μm×15.0μm程度の視野領域が好ましい。
2.結合相
(1)Tiほう化物の構成
結合相には、Tiほう化物が分散し、このTiほう化物の内部に、V、Nb、Taの単独または複合化合物(すなわち、V、Nb、Taの1または2以上を含む化合物)の1種または2種以上を含有するものが存在する。Tiほう化物の内部にV、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上を含有するとは、次のI)とII)を満足することをいう。なお、含有する、含むは同義で称している。
I)cBN焼結体の任意の断面を観察した際に、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分(例えば、Tiほう化物、Tiほう化物以外のTi化合物、Al化合物)に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、Tiほう化物が接している部分の長さの割合(接触割合)が、前記外周部の長さの65%以上であり、必ずしも、Tiほう化物にV、Nb、Taの単独または複合化合物の全体が包含されていなくてよいこと。
II)cBN焼結体の任意の断面を観察した際に、Tiほう化物の面積と、V、Nb、Taの単独または複合化合物の面積との間には、
(Tiほう化物の面積)/(V、Nb、Taの単独または複合化合物の面積)=0.33~49.00
という関係式が成り立つこと。
なお、(Tiほう化物の面積)/(V、Nb、Taの単独または複合化合物の面積)は、1.50~19.00が好ましい。
Tiほう化物は硬度に優れ、cBN焼結体の結合相中に分散することで結合相の耐摩耗性を向上させ、cBN工具として使用した際に結合相の摩耗に起因するcBN粒子の脱落を遅延させることができ、その結果、工具の寿命を延長することが可能となる。
また、Tiほう化物は優れた熱伝導率、耐酸化性を有するため、結合相中に分散することでcBN焼結体の高温特性を向上させ、cBN工具として使用したときに発生する高温環境下における耐摩耗性向上に寄与するものである。
さらに、V、Nb、Taの単独または複合化合物は、靭性に優れ、結合相中に生じたクラックが進展しやすいTiほう化物の中に含まれることでTiほう化物中を伝播するクラックの進展を停止または遅滞させることが可能となり、その結果、結合相中のクラックの伝播を抑制してcBN焼結体の靱性を高めることができる。
本実施形態では、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物が結合相中に分散したcBN焼結体を切削工具の刃先として使用することで、耐欠損性、耐チッピング性を損なわずに、耐摩耗性を従来のcBN工具よりも向上させることができる。
(2)Tiほう化物の面積割合
結合相に分散する前記Tiほう化物の量は、特段の制約はないが、結合相中に0.5~15.0面積%で存在することがより好ましい。
すなわち、0.5面積%未満であるとクラックがTiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物に到達する頻度が減り、その伝播を抑制することが十分にできず、cBN焼結体の靭性を向上させることができないことがあり、また、0.5面積%未満であると結合相の耐摩耗性を十分に向上させることができないことがあり、その結果、切削工具基体として用いたときのcBN焼結体の寿命を延長させることができない場合がある。
一方、15.0面積%を超えると結合相の耐摩耗性は向上するものの靭性が低下し、cBN焼結体の耐欠損性、耐チッピング性が低下することがある。前記Tiほう化物の結合相中の含有割合は4.0~12.0面積%がより一層好ましい。
(3)Tiほう化物の平均粒径
前記Tiほう化物の平均粒径は、特段の制約はないが、0.04~0.80μmであることがより好ましい。この範囲の平均粒径であれば、cBN工具として使用したときの工具寿命をより確実に延長することができる。
この平均粒径の範囲がより好ましい理由は、次のとおりである。すなわち、平均粒径0.04μm未満であると、クラックが前記Tiほう化物を迂回し易くなり、その結果、クラックの進展をTiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物に誘導することができずその伝播を抑制することが十分にできないことがあり、また、平均粒径0.04μm未満であると、結合相の摩耗の進行に従ってTiほう化物が焼結体から脱落し易くなり、結合相の耐摩耗性を十分に向上させることができないことがあり、cBN工具として用いたときの工具寿命を延長させることができない場合がある。
一方、平均粒径が0.80μmを超えると、Tiほう化物中を進展するクラックがTiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物を迂回して進展し易くなり、その結果、クラックの伝播を抑制することが十分にできず、耐欠損性、耐チッピング性が低下することがあり、cBN工具として用いたときの工具寿命が低下する場合がある。Tiほう化物の平均粒径は、0.10~0.50μmがより一層好ましい。
(4)Tiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物の例
Tiほう化物の中に含まれる、V、Nb、Taの単独または複合化合物の例として、VN、NbB、TaC、V(B,C)、(Nb,Ta)(B,C)、Ta(B,C,O)、(V,Nb)(B,C,N,Si)、(V,Nb,Ta)(C,N)、等を挙げることができる。なお、V、Nb、Taの単独または複合化合物中には、Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、W等の周期表の4、6族の遷移金属元素が固溶してもよい。
ここで、V、Nb、Taの単独または複合化合物として、特段の制約はないが、化合物中に含まれる金属元素のうち、NbとTaの含有量の和が70原子%以上、かつ、化合物中に含まれる非金属元素のうち、BとCの含有量の和が50原子%以上である、V、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上がより好ましい。これらの化合物は、クラック伝播の抑制をより一層確実に行い、cBN工具として用いたときのcBN焼結体の耐欠損性、耐チッピング性をより確実に改善することができる。
(5)接触割合の測定
V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、Tiほう化物が接している部分の長さの割合(接触割合)は、以下のα)~ι)のようにして測定する。
α)まず、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部の長さを求めるべく、後述する(6)の、1)のオージェ電子分光法を用いて認識したV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の各粒子を抽出し、粒子解析しやすいように、0を黒、255を白の256階調のモノクロとなるように変換する。
この際、256階調のモノクロに変換する元画像は、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分が濃いグレー(黒ではない)、Tiほう化物に該当する部分が薄いグレー、それ以外の部分がTiほう化物に該当する部分よりもさらに薄いグレー、または、限りなく白に近い色に変換されるような画像を用いることが好ましい。
β)前記α)で256階調のモノクロに変換した画像から、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分が一様に黒くなるように2値化処理を行う。
γ)2値化処理によって黒色に変換された領域に対し、粒子の外周長を求めるような画像解析を行う。このようにして、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部の長さを測定する。
δ)次に、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、Tiほう化物と接している部分の長さを求めるべく、前記β)で作成した2値化処理済みの画像に対し、黒色の領域が2値化処理前と同程度の色調となるように、輝度、コントラストを調整する。この際、事前に、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分の2値化処理前の画素値を確認しておくことが好ましく、また、輝度、コントラストの調整は、黒色の領域が2値化処理前の色調よりも少し濃くなるように調整することが好ましい。
ε)前記δ)で色調を調整した画像と、前記α)で256階調のモノクロに変換した画像を、画像演算処理により重ね合わせ、1つの画像にする。この際、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分については、前記δ)で作成した画像の画素値が維持されるように、また、それ以外の部分については、前記α)で作成した画像の画素値が維持されるように、演算処理を行う。
ζ)前記ε)で作成した画像の、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分の輪郭を黒い線で縁取る。
η)前記ζ)で描画した、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分の輪郭の黒い線のうち、Tiほう化物に該当する部分と接している部分以外の線を削除する。
θ)画像解析により、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分の輪郭の、残った線の長さを測定する。このようにして、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、Tiほう化物と接している部分の長さを測定する。
ι)上記のように求めた、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部の長さと、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、Tiほう化物と接している部分の長さから、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、Tiほう化物が接している部分の長さの割合を算出する。
以上の手段を用いて、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の各粒子における、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、Tiほう化物が接している部分の長さの割合(接触割合)を測定し、確認する。
なお、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、cBN粒子に接している部分の長さについては、V、Nb、Taの単独または複合化合物の外周部の長さから除外し、cBN粒子と接していない部分の長さを測定するような方法、例えば、前記α)、前記β)、前記δ)、前記ε)、前記ζ)の処理を行ったあと、V、Nb、Taの単独または複合化合物に該当する部分の輪郭の黒い線のうち、cBN粒子に該当する部分と接している部分の線を削除し、残った線の長さを測定する方法で、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部の長さを求めることが好ましい。
(6)Tiほう化物の面積割合の測定
V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の面積割合は、以下の1)~4)のようにして測定する。
すなわち、
1)cBN焼結体の任意の断面を鏡面加工し、前記鏡面加工面に対してオージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy:以下、「AES」という)を用いて組織観察を実施し、1観察領域(1画像)において、Al原子、Ti原子、V原子、Nb原子、Ta原子、B原子、C原子、O原子等の、焼結体中に含まれる元素のマッピング像を得る。得られたマッピング像を基に各元素が重なる部分を確認し、例えば、Ti原子とB原子が重なる部分をTiほう化物、V原子、Nb原子、Ta原子のいずれか1種または2種以上と、B原子、C原子、O原子等の非金属原子が重なる部分をV、Nb、Taの単独または複合化合物と認識する。
2)そして、認識したV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の各粒子が占める面積を算出する。
一方、1観察領域(1画像)において、B元素とN元素が重なり、かつ、セラミックス結合相に由来する金属元素、例えば、Ti元素、および/または、Al元素が重ならない部分をcBN粒子として、cBN粒子が占める面積を算出し、残りの部分を結合相の面積とする。
3)こうして算出したV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の面積の合計値と、結合相の面積から、1観察領域におけるセラミックス結合相に占めるV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の含有割合を算出する。
4)これを少なくとも3観察領域(3画像)に対して行い、画像毎に算出したV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の各粒子の総含有割合の平均値をセラミックス結合相に占める含有割合[面積%]として求める。画像解析に用いる観察領域として、5.0μm×5.0μm程度の視野領域が好ましい。
なお、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の、各粒子におけるV、Nb、Taの単独または複合化合物とTiほう化物の存在割合は、前記1)、前記2)から、それぞれの面積を算出し、その値を比較することで求めることができる。
(7)Tiほう化物の平均粒径の測定
Tiほう化物の平均粒径は、以下のa)~c)のようにして測定する
a)前記(6)の1)で認識したV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の各粒子を粒子解析し、求めた最大長を各粒子の最大長とし、それを各粒子の直径とする。最大長を求める粒子解析としては、例えば、1つの粒子に対してフェレ径を算出することより得られる2つの長さから大きい長さの値を最大長とし、その値を各粒子の直径とする。
b)各粒子をこの直径(フェレ径の最大長)を有する理想球体と仮定して、計算し求めた各粒子の体積を基に累積体積を求め、この累積体積より縦軸を体積百分率[%]、横軸を直径[μm]としてグラフを描画させ、体積百分率が50%のときの直径を測定に用いた1画像内のV、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の平均粒径とする。
c)これを少なくとも3観察領域(3画像)に対して行い、その平均値を、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の平均粒径[μm]とする。粒子解析を行う際には、あらかじめAESにより分かっているスケールの値を用いて、1ピクセル当たりの長さ[μm]を設定しておく。画像解析に用いる観察領域としては、面積割合を求めたときと同様に5.0μm×5.0μm程度の視野領域が好ましい。
(8)V、Nb、Taの単独または複合化合物の組成の測定
Tiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物の組成については、AESの微小部分析の結果から測定することができる。微小部分析を行う際の倍率としては、30000~50000倍程度が好ましい。
3.製造方法
本実施形態のcBN焼結体を作製するための手順の一例を次の(1)~(3)に示す。
(1)結合相を構成する成分の原料粉末の用意
Tiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物の原料粉末を用意する。これらの粉末の例として、V、Nb、Taの各ほう化物粉末(例えば、VB粉末、NbB粉末、TaB粉末)を挙げることができる。
また、結合相の主要原料である従来公知の結合相形成材料粉末として、Ti化合物粉末(例えば、TiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末)、Al化合物粉末(例えば、TiAl粉末、Al粉末、AlN粉末)、その他化合物粉末(例えば、ZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末)を用意する。
(2)粉砕・混合
前記(1)で用意したこれらの原料粉末のうち、V、Nb、Taの各ほう化物粉末、Ti化合物粉末、また、必要に応じてその他化合物粉末を、例えば、超硬合金で内張りされたボールミル容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をし、ボールミルによる混合および粉砕を行う。
混合および粉砕後、得られたスラリーを乾燥させて超硬合金製ボールと混合粉末を分離し、得られた混合粉末を、ジルコニア製のるつぼに軽く充填し、真空雰囲気中、1400~1800℃の範囲内の所定の温度で熱処理した後、熱処理した粉末を解砕し、目開き45μmの篩で篩分し、篩を通過したもの(以下、「混合熱処理済粉末」ということがある)を準備する。
また、前記(1)で用意したこれらの原料粉末のうち、Al化合物粉末に対し、例えば、前記ボールミルによる混合および粉砕を行う。混合および粉砕により得られたスラリーに、前記混合熱処理済粉末と、硬質相として機能させる平均粒径0.2~8.0μmのcBN粉末を添加して、各種粉末とスラリーが混和するまで撹拌し、さらに、超音波ホモジナイザーによる混合を行い、混合したスラリーを乾燥させて超硬合金製ボールと混合後の粉末を分離することで、焼結体原料混合粉末を得る。
(3)成形、焼結
次いで、前記(2)で得られた焼結体原料混合粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、この成形体を、真空雰囲気中、800~1000℃の範囲内の所定の温度で仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、例えば、圧力:5.5GPa、温度:1200~1600℃の範囲内の所定の温度で焼結することにより、本発明のcBN焼結体を作製する。
なお、前記超高圧装置での焼結に至るまでの各工程では、原料粉末の酸化を防止することが好ましく、具体的には非酸化性の保護雰囲気中での取り扱いを実施してもよい。
以下に、本発明の実施例について記載する。
本実施例のcBN焼結体の製造では、結合相を構成する成分の原料粉末として以下のものを用意した。
原料粉末1(Tiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物の原料)
所定平均粒径のVB粉末、NbB粉末、TaB粉末
原料粉末2として、
原料粉末2-1(Ti化合物原料)
所定平均粒径のTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末
原料粉末2-2(Al化合物原料)
所定平均粒径のTiAl粉末、Al粉末
原料粉末3(その他化合物原料)
所定平均粒径のZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末
次に、前記原料粉末1のTiほう化物に含まれるV、Nb、Taの単独または複合化合物の原料、前記原料粉末2-1のTi化合物原料、前記原料粉末3のその他化合物原料を所定の割合で配合し、ボールミルにより混合、粉砕し、スラリーを乾燥させて、得られた混合粉末を、ジルコニア製のるつぼに軽く充填し、真空雰囲気中で熱処理し、解砕、篩分して混合熱処理済粉末を準備した。
また、前記原料粉末2-2のAl化合物原料を所定の割合で配合し、ボールミルにより混合、粉砕して、スラリーを作製した。
次に、得られたスラリーに、前記混合熱処理済粉末と、cBN粉末を添加して、混和するまで撹拌し、その後、超音波ホモジナイザーによる混合を行い、スラリーを乾燥させて、焼結体原料混合粉末を得た。
すなわち、次のようにした。
前記原料粉末1として、各々平均粒径が1.0~3.0μmであるVB粉末、NbB粉末、TaB粉末と、
前記原料粉末2のうち、
前記原料粉末2-1として、各々平均粒径が0.2~4.0μmであるTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末と、
前記原料粉末2-2として、各々平均粒径が0.3~3.0μmであるTiAl粉末、Al粉末と、
前記原料粉末3として、各々平均粒径が0.5~4.0μmであるZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末を用意した。
これら原料粉末のうち、前記原料粉末1、前記原料粉末2-1、前記原料粉末3を、超硬合金で内張りされたボールミル容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルによる混合および粉砕を実施後、得られたスラリーを乾燥させて超硬合金製ボールと粉砕後の混合粉末を分離し、次いでこの混合粉末をジルコニア製のるつぼに軽く充填し、圧力:1Pa以下の真空雰囲気中、1600℃に保持して熱処理し、その後、熱処理した混合粉末の解砕を行い、目開き45μmの篩で篩分し、篩を通過した混合熱処理済粉末を準備した。
また、別途、前記原料粉末2-2を、超硬合金で内張りされたボールミル容器内に超硬合金製ボールとアセトンと共に充填し、蓋をした後にボールミルによる混合および粉砕を実施し、Al化合物スラリーを準備した。
次に、準備したAl化合物スラリーに、前記のように事前に準備した混合熱処理済粉末と、焼結後のcBN粒子の含有割合が40~80体積%となるようにcBN粉末を添加して、各種粉末とスラリーが混和するまで撹拌し、さらに、超音波ホモジナイザーによる混合を行い、混合したスラリーを乾燥させて超硬合金製ボールと混合後の粉末を分離することで、焼結体原料混合粉末を得た。
次に、得られた焼結体原料混合粉末を、成形圧1MPaで直径:50mm×厚さ:1.5mmの寸法にプレス成形し、次いでこの成形体を、圧力:1Pa以下の真空雰囲気中、900℃に保持して仮焼結し、その後、超高圧焼結装置に装入して、圧力:5.5GPa、温度:1400℃で焼結することにより、表1~2に示す本発明のcBN焼結体1~24(本発明焼結体1~24という)を作製した。
なお、成形体に施す仮焼結は、湿式混合時の溶媒を除去することが主な目的である。
また、表1~2に示す本発明焼結体1~24の、結合相中に分散する粒子の平均粒径(フェレ径を用いて求めた)、結合相中含有割合、分散する粒子が含有する化合物の平均組成については、V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、Tiほう化物が接している部分の長さの割合が、前記外周部の長さの65%以上であるものを選択して測定することで得られた値である。
また、前記平均粒径、前記含有割合、前記平均組成については、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物の、各粒子におけるV、Nb、Taの単独または複合化合物とTiほう化物の存在割合について、Tiほう化物の面積をATB、V、Nb、Taの単独または複合化合物の面積をAVNTと表す場合、ATB/AVNT=0.33~49.00を満たすものを選択して測定することで得られた値である。
比較のため、V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTiほう化物粒子を含まない場合について検討すべく、
(イ)その内部に他の化合物を含有しないTiほう化物粒子が分散している場合
(ロ)V、Nb、Taの単独または複合化合物ではないものを含有したTiほう化物粒子が分散している場合
(ハ)Tiほう化物に含有されていない状態のV、Nb、Taの単独または複合化合物粒子が分散している場合
(ニ)V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有した、Tiほう化物ではない粒子が分散している場合
の4種の比較例を作製した。
(イ)その内部に他の化合物を含有しないTiほう化物粒子が分散している(Tiほう化物の中になにも含まない)場合(比較例焼結体1~3)
前記原料粉末1を用意せず、
前記原料粉末2のうち、
前記原料粉末2-1として、各々平均粒径が0.2~4.0μmであるTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末と、
前記原料粉末2-2として、各々平均粒径が0.3~3.0μmであるTiAl粉末、Al粉末と、
前記原料粉末3として、各々平均粒径が0.5~4.0μmであるZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末を用意した。
(ロ)V、Nb、Taの単独または複合化合物ではないものを含有したTiほう化物粒子が分散している場合(比較例焼結体4~6)
前記原料粉末1の代わりとして、各々平均粒径が3.0~6.0μmであるCrB粉末、MoB粉末、WB粉末と、
前記原料粉末2のうち、
前記原料粉末2-1として、各々平均粒径が0.2~4.0μmであるTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末と、
前記原料粉末2-2として、各々平均粒径が0.3~3.0μmであるTiAl粉末、Al粉末と、
前記原料粉末3として、各々平均粒径が0.5~4.0μmであるZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末を用意した。
(ハ)Tiほう化物に含有されていない状態のV、Nb、Taの単独または複合化合物粒子(V、Nb、Taの単独または複合化合物が、それ以外の結合相成分に接している外周部のうち、V、Nb、Taの単独または複合化合物と、結合相の主要な構成成分、具体的には、前記原料粉末2-1、前記原料粉末2-2、または、前記原料粉末3に由来する化合物が接している部分の長さの割合が、前記外周部の長さの35%より大きいもの)が分散している場合(比較例焼結体7~10)
前記原料粉末1の代わりとして、各々平均粒径が3.0~6.0μmであるVN粉末、NbN粉末、TaN粉末と、
前記原料粉末2のうち、
前記原料粉末2-1として、各々平均粒径が0.2~4.0μmであるTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末と、
前記原料粉末2-2として、各々平均粒径が0.3~3.0μmであるTiAl粉末、Al粉末と、
前記原料粉末3として、各々平均粒径が0.5~4.0μmであるZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末を用意した。
(ニ)V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有した、Tiほう化物ではない粒子(V、Nb、Taの単独または複合化合物を含有したTi珪化物粒子)が分散している場合(比較例焼結体11~12)
前記原料粉末1の代わりとして、各々平均粒径が2.0~5.0μmであるNbSi粉末、TaSi粉末と、
前記原料粉末2のうち、
前記原料粉末2-1として、各々平均粒径が0.2~4.0μmであるTiN粉末、TiC粉末、Ti(C,N)粉末、TiO粉末、TiSi粉末と、
前記原料粉末2-2として、各々平均粒径が0.3~3.0μmであるTiAl粉末、Al粉末と、
前記原料粉末3として、各々平均粒径が0.5~4.0μmであるZrC粉末、HfC粉末、Cr粉末、MoC粉末、WC粉末を用意した。
前記(イ)~(ニ)で用意した原料粉末を、各々所定の割合で配合し、本発明焼結体1~24と同様な条件でボールミルによる混合および粉砕を実施し、真空雰囲気中で熱処理し、解砕、篩分し、混合熱処理済粉末を準備した。
また、別途、前記原料粉末2-2を、本発明焼結体1~24と同様な条件でボールミルによる混合および粉砕を実施し、Al化合物スラリーを準備した。
次に、準備したAl化合物スラリーに、前記のように事前に準備した混合熱処理済粉末と、焼結後のcBN粒子の含有割合が40~80体積%となるようにcBN粉末を添加して、本発明焼結体1~24と同様な条件で撹拌し、超音波ホモジナイザーによる混合を行い、焼結体原料混合粉末を得た。
その後、本発明焼結体1~24と同様な条件で成形体を作製し、仮焼結し、この成形体を、本発明焼結体1~24と同様な条件で超高圧高温焼結することにより、表3~4に示す比較例のcBN焼結体(以下、比較例焼結体という)1~12を作製した。
なお、比較例のATB/AVNTの値については、比較例焼結体4~6の場合、AVNTの値はV、Nb、Taの単独または複合化合物の面積の代わりにTiほう化物に含有されるV、Nb、Taの単独または複合化合物ではないものの面積を用いて、また、比較例焼結体11~12の場合、ATBの値はTiほう化物の面積の代わりにTi珪化物の面積を用いて、それぞれ求められたものである。
Figure 2022147104000002
Figure 2022147104000003
Figure 2022147104000004
Figure 2022147104000005
次に、前記で作製した本発明焼結体1~24、比較例焼結体1~12を、ワイヤー放電加工機で所定寸法に切断して、Co:5質量%、TaC:5質量%、WC:残りの組成を有し、ISO規格CNGA120408のインサート形状をもったWC基超硬合金製インサート本体のろう付け部(コーナー部)に、Cu:26質量%、Ti:5質量%、Ag:残りからなる組成を有するAg合金のろう材を用いてろう付けし、上下面および外周研磨、ホーニング処理を施すことにより、ISO規格CNGA120408のインサート形状をもつ本発明のcBN工具(本発明工具という)1~24、および、比較例のcBN工具(比較例工具という)1~12を製造した。
次いで、本発明工具1~24と比較例工具1~12に対して、以下の切削条件で高硬度鋼の乾式切削加工試験を実施し、工具寿命に至るまでの加工時間を測定した。
<切削条件>
被削材:浸炭焼入鋼(JIS・SCM415、硬さ:HRC58~62)の丸棒、
切削速度:200m/min
切り込み:0.1mm
送り:0.1mm/rev
各工具の刃先がチッピングあるいは欠損に至るまで、または刃先逃げ面部分の最大摩耗量が150μmに至るまでの加工時間を工具寿命とし、加工時間30秒毎に刃先を観察し、刃先の欠損やチッピングの有無と摩耗量を確認した。
表5に、上記切削加工試験の結果を示す。
Figure 2022147104000006
表5に示される結果から、本発明工具は、比較例工具に比して、突発的な刃先の欠損や早期のチッピングが発生することなく、工具寿命が延命化されており、cBN焼結体の耐摩耗性、耐チッピング性が向上したことが分かり、焼入鋼の切削加工においても、切削工具の長寿命化に優れた効果を奏するものである。
本発明の耐摩耗性に優れたcBN焼結体は、切削工具の工具基体として用いると、長期の使用にわたって、優れた耐摩耗性を発揮し、工具寿命の延命化が図られるものであることから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。
1 cBN粒子
2 セラミックス結合相(結合相)
3 Tiほう化物
4 V、Nb、Taの単独または複合化合物

Claims (5)

  1. 立方晶窒化ほう素と結合相を有するcBN焼結体であって、
    前記結合相中には、Tiほう化物が分散しており、
    前記Tiほう化物は、その内部にV、Nb、Taの単独または複合化合物の1種または2種以上を含有する、
    ことを特徴とするcBN焼結体。
  2. 前記化合物は、Ti、Zr、Hf、Cr、Mo、Wの1または2以上を固溶していることを特徴とする請求項1に記載のcBN焼結体。
  3. 前記Tiほう化物は、前記結合相中に0.5~15.0面積%の割合で分散していることを特徴とする請求項1または2に記載のcBN焼結体。
  4. 前記Tiほう化物の平均粒径が、0.04~0.80μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のcBN焼結体。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のcBN焼結体を工具基体とする切削工具。
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