JP2022147009A - 耐熱性アルミニウム合金及び耐熱性アルミニウム合金部材 - Google Patents

耐熱性アルミニウム合金及び耐熱性アルミニウム合金部材 Download PDF

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鉄矢 望月
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Abstract

【課題】150℃と250℃のそれぞれの温度域で機械的性質に優れたアルミニウム合金部材を得るための耐熱性アルミニウム合金、及び当該耐熱性アルミニウム合金からなる耐熱性アルミニウム合金部材を提供する。【解決手段】Si:12.0~15.0wt%、Cu:4.0~5.0wt%、Ni:1.5~2.5wt%、Mg:1.5~2.5wt%、Fe:0.2~0.8wt%、Ti:0.1~0.2wt%、Zr:0.05~0.15wt%、V:0.05~0.15wt%、P:0.005~0.015wt%、を含有し、残余がAlと不可避不純物からなること、を特徴とする耐熱性アルミニウム合金。【選択図】なし

Description

本発明は、内燃機関用ピストン等の高温強度の必要とされる部材に適用されるアルミニウム合金及びアルミニウム合金部材に関する。
Al-Si合金は鋳造用のアルミニウム合金として幅広く使用されている。その中でもSiの含有量が12wt%を超える過共晶Al-Si合金は、高温強度や耐摩耗性等が高く、内燃機関のピストンやコンプレッサー部品等の耐熱性や耐摩耗性が要求されるものに用いられている。
例えば、特許文献1(特開平8-134577号公報)においては、Cu:1~7重量%,Si:10~16重量%,Mg:0.3~2重量%,Fe:0.5~2重量%,Mn:0.1~4重量%,Ti:0.01~0.3重量%,P:0.001~0.02重量%及びCa:0.0001~0.02重量%を含み、P/Caが重量比で0.5~50の範囲に調整されている高温強度、耐摩耗性及び防振性に優れたダイカスト用アルミニウム合金、が提案されている。
上記特許文献1のダイカスト用アルミニウム合金においては、Al-Si合金にMnを添加し、急冷鋳造することにより、アルミニウム母相より融点の高いAl-Mn-Si系化合物やAl-Mn-Fe-Si系化合物を微細に晶出させ、200℃付近の温度域での高温強度を改善することができる、とされている。
また、特許文献2(特開平10-226840号公報)においては、AlをベースとしてSi,Cu,Mg,Ni,P,Ti,Fe,Mnの組成物を含有するピストン用アルミニウム合金であって、前記組成物の配合割合をSi:10~14重量%,Cu:3~5重量%,Mg:0.5~2重量%,Ni:1~3重量%,P:0.002~0.02重量%,Ti:0.1~0.3重量%,Fe:0.8重量%以下及びMn:0.1~1.0重量%に設定すると共に、前記初晶Si粒の平均粒径を20~60μmに設定したことを特徴とするピストン用アルミニウム合金、が提案されている。
上記特許文献2のピストン用アルミニウム合金においては、Al-Si合金にCu、Ni、Mnを添加することにより、アルミニウムより融点の高いAl-Ni-CuMn―Fe系化合物が微細に晶出し、350℃の高温でも強度が維持できる、とされている。
特開平8-134577号公報 特開平10-226840号公報
ここで、内燃機関用のピストンは、使用中に200℃以上の高温になる部分もあるが、200℃未満の温度にしかならない部分もあり、200℃以上の温度での機械的強度の他に、200℃未満での機械的強度も要求される。
しかしながら、Al-Mn-Si系、Al-Fe-Si系及びAl-Ni-Cu系等の晶出物は、200℃以上の高温強度の向上には寄与するものの、150℃付近の温度での強度向上にはあまり寄与しない。反対に、晶出物の量が多い場合、150℃近傍の強度の向上に寄与する析出物の量が減少することになる。また、Mnの含有量が多いと熱伝導性が低下するため、Mnを多く含有するアルミニウム合金を用いて製造されたピストン等の部品は、温度が上がりやすくなってしまう問題があった。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、150℃と250℃のそれぞれの温度域で機械的性質に優れたアルミニウム合金部材を得るための耐熱性アルミニウム合金、及び当該耐熱性アルミニウム合金からなる耐熱性アルミニウム合金部材を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、アルミニウム合金の組成及びアルミニウム合金部材の組織について鋭意研究を重ねた結果、析出物の量に及ぼす影響が小さい晶出物形成元素を高温強度の向上に活用すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
Si:12.0~15.0wt%、
Cu:4.0~5.0wt%、
Ni:1.5~2.5wt%、
Mg:1.5~2.5wt%、
Fe:0.2~0.8wt%、
Ti:0.1~0.2wt%、
Zr:0.05~0.15wt%、
V:0.05~0.15wt%、
P:0.005~0.015wt%、を含有し、
残余がAlと不可避不純物からなること、
を特徴とする耐熱性アルミニウム合金、を提供する。
本発明の耐熱性アルミニウム合金においては、150℃近傍での耐力の向上に寄与する析出物と、250℃近傍での耐力及び強度の向上に寄与する晶出物を、共に増加させることのできる組成となっている。
より具体的には、Vを積極的に添加することにより、V-Si系晶出物を形成して250℃近傍で優れた高温強度を発現する組成となっている。V-Si系晶出物は他の析出物形成元素を殆ど含まないため、Vを添加しても析出物の量を減少させる作用が極めて小さく、十分な量の析出物によって150℃近傍でも高い耐力を維持することができる。
また、Zrを積極的に添加することにより、鋳造組織を微細化することができる。加えて、Zr-Si系析出物を形成し、150℃近傍での耐力を向上させることができる。
本発明の耐熱性アルミニウム合金においては、更に、Mn:0.01~0.10wt%を含有すること、が好ましい。より好ましいMnの含有量は0.01~0.05wt%である。Mnの添加により、Al-Mn-Si系やAl-Mn-Fe-Si系の晶出物を形成し、250℃近傍での耐力及び強度をより向上させることができる。ここで、Mnの添加量の上限を0.10wt%とすることで、熱伝導率の低下を抑制することができる。
また、本発明は、
本発明の耐熱性アルミニウム合金からなり、
任意の断面において、析出物の面積率が5%以上であり、長径が100μm以下の晶出物の面積率が20%以上であること、
を特徴とする耐熱性アルミニウム合金部材、も提供する。
本発明の耐熱性アルミニウム合金部材は、析出物の面積率が5%以上となっていることで、150℃近傍で優れた耐力を有している。また、長径が100μm以下の晶出物の面積率が20%以上となっていることで、250℃近傍で優れた耐力及び強度を有している。
本発明の耐熱性アルミニウム合金部材は、150℃における0.2%耐力が260MPa以上であり、250℃における0.2%耐力が120MPa以上であること、が好ましい。耐熱性アルミニウム合金がこれらの0.2%耐力を有していることで、部位によって異なる温度履歴(室温~高温)が付与されると共に高い耐力が要求される耐熱性部材に好適に用いることができる。
また、本発明の耐熱性アルミニウム合金部材は、150℃における引張強度が280MPa以上であり、250℃における引張強度が140MPa以上であること、が好ましい。これらの引張強度を有していることで、部位によって異なる温度履歴(室温~高温)が付与されると共に高い強度が要求される耐熱性部材に好適に用いることができる。
また、本発明の耐熱性アルミニウム合金は、熱伝導率が120W/mK以上であること、が好ましい。熱伝導率が120W/mK以上となっていることで、耐熱性アルミニウム合金部材の温度上昇を抑制することができ、耐熱性アルミニウム合金の適用範囲を拡大することができる。
更に、本発明は、本発明の耐熱性アルミニウム合金部材からなること、を特徴とする内燃機関用ピストン、も提供する。
本発明の内燃機関用ピストンは本発明の耐熱性アルミニウム合金からなっており、150℃近傍における優れた耐力と、250℃近傍における優れた耐力及び強度を兼ね備えている。その結果、使用中に200℃以上の高温になる部分もあるが、200℃未満の温度にしかならない部分もある使用状況において、内燃機関用ピストンに高い強度及び耐力と信頼性が付与されている。
また、本発明の内燃機関用ピストンは本発明の耐熱性アルミニウム合金部材からなっており、熱伝導率が高い値となっている。その結果、内燃機関用ピストンの温度上昇が抑制され、広範囲の環境温度で使用することができる。
本発明によれば、150℃と250℃のそれぞれの温度域で機械的性質に優れたアルミニウム合金部材を得るための耐熱性アルミニウム合金、及び当該耐熱性アルミニウム合金からなる耐熱性アルミニウム合金部材を提供することができる。
実施例における鋳物の外観写真である。 実施例1の鋳物の断面の光学顕微鏡写真である。 実施例2の鋳物の断面の光学顕微鏡写真である。 比較例1の鋳物の断面の光学顕微鏡写真である。 比較例2の鋳物の断面の光学顕微鏡写真である。
以下、本発明の耐熱性アルミニウム合金、耐熱性アルミニウム合金部材及び内燃機関用ピストンについての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
1.耐熱性アルミニウム合金
本発明の耐熱性アルミニウム合金は、150℃近傍での耐力の向上に寄与する析出物と、250℃近傍での耐力及び強度の向上に寄与する晶出物を、共に増加させることのできる組成となっている。以下、各成分について詳細に説明する。
(1)必須の添加元素
Si:12.0~15.0wt%(好ましくは12.5~13.5wt%)
Siは鋳造性を向上させる作用を有するだけでなく、初晶Siや共晶Si等の晶出物を形成し、耐摩耗性や低線膨張性および高温強度を向上させる作用を有し、さらに時効処理を行うとMg-Si系析出物を形成し、引張強度を向上せる。この効果は、12.0wt%以上で顕著となる。逆に15.0wt%を越えると破壊の起点となる粗大な初晶Siが形成されやすくなり、引張強度や伸びが低下する。
Cu:4.0~5.0wt%(好ましくは、4.2~4.6wt%)
Cuは、固溶強化により、常温の機械的性質を向上させるだけでなく、Al―Cu系化合物として晶出し、高温でも機械的特性の向上に寄与する効果がある。この効果は、4.0wt%以上で顕著となる。逆に5.0wt%を越えると晶出物として消費され、時効処理を行った際に析出するAl-Cu系化合物が少なくなり、200℃未満での機械的性質が低下する。
Ni:1.5~2.5wt%(好ましくは、1.5~2.2wt%)
Niは、Al-Ni系の晶出物を形成し、高温強度の向上に寄与し、特に250℃以上の高温強度の向上に有効である。この効果は、1.5wt%以上で顕著となる。逆に2.5wt%を越えると破壊の起点となる粗大なAl-Ni-Cu系晶出物を形成しやすくなる。また200℃未満の温度域での機械的性質の向上に寄与するAl-Cu系の時効析出相を減少させる。
Mg:1.5~2.5wt%(好ましくは、1.5~2.1wt%)
Mgは、固溶強化による強度向上に寄与するとともに時効処理を行うとMg-Si系析出物を形成し、さらに強度の向上に寄与する。この効果は、1.5wt%以上で顕著となる。逆に2.5wt%を越えると母相を硬くしすぎて延性を低下させる。
Fe:0.2~0.8wt%(好ましくは、0.2~0.6wt%)
Feは、Al-Fe-Si系晶出物を形成し、高温強度の向上に寄与する。またダイカスト時における金型の焼き付き防止にも寄与する。この効果は、0.2wt%以上で顕著となる。逆に0.8wt%を越えるとAl-Fe-Si系晶出物が粗大化しやすくなる。
Ti:0.1~0.2wt%
Tiは、鋳造組織の微細化に寄与すると同時に、それぞれTi系晶出物を形成し、高温強度の向上に寄与する。この効果は、0.1wt%以上で顕著となる。逆に0.2wt%を超えると晶出物が粗大化しやすくなり、伸びが低下し、強度が低下しやすくなる。
Zr:0.05~0.15wt%
Zrは、鋳造組織の微細化に寄与すると同時に、Zr―Si系析出物を形成し、200℃未満での機械的特性向上に寄与する。この効果は、0.05wt%以上で顕著となる。逆に0.15wt%を超えると晶出物が粗大化しやすくなり、伸びが低下し強度が低下しやすくなる。
V:0.05~0.15wt%
Vは、鋳造組織の微細化に寄与すると同時に、それぞれV―Si系晶出物を形成し、高温強度の向上に寄与する。この効果は、0.05wt%以上で顕著となる。逆に0.15wt%を超えると晶出物が粗大化しやすくなり、伸びが低下し、機械的強度が低下しやすくなる。更に、V-Si系晶出物は、Ni,Cu及びMgが殆ど含まれないため、Vを添加することによる、200℃未満の機械的性質の向上に寄与する析出物の量の低下に結びつかない。
P:0.005~0.015wt%
Pは、初晶Siを微細化する効果がある。この効果は0.005wt%以上で顕著となる。逆に0.015wt%を越えると鋳造時の湯流れ性が悪化し、鋳造欠陥が発生しやすくなる。
(2)任意の添加元素
Mn:0.01~0.10wt%(好ましくは、0.01~0.05wt%)
Mnは、Al-Mn-Si系、Al-Fe-Mn-Si系晶出物を形成し、高温強度の向上に寄与する。この効果は、0.01wt%以上で顕著となる。0.10wt%を越えると熱伝導性が低下し、耐熱性アルミニウム合金部材が高温になりやすくなる。
上記の組成を有する本発明の耐熱性アルミニウム合金の製造方法は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の方法で、所望の組成を有するアルミニウム合金を製造すればよい。
2.耐熱性アルミニウム合金部材
本発明の耐熱性アルミニウム合金部材は、本発明の耐熱性アルミニウム合金からなり、任意の断面において、析出物の面積率が5%以上であり、長径が100μm以下の晶出物の面積率が20%以上となっている。析出物の面積率が5%以上となっていることで、150℃近傍で優れた耐力を有している。また、長径が100μm以下の晶出物の面積率が20%以上となっていることで、250℃近傍で優れた耐力及び強度を有している。ここで、長径が100μmを超える粗大な晶出物は破壊の起点となるため、好ましくない。
析出物及び長径が100μm以下の晶出物の面積率を求める方法は特に限定されず、従来公知の種々の方法で測定すればよい。例えば、耐熱性アルミニウム合金部材を任意の断面で切断し、得られた断面試料を光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で観察し、析出物及び晶出物が全体に占める割合を求めればよい。また、観察手法に応じて、断面試料には機械研磨、バフ研磨、電解研磨及びエッチング等を施せばよい。
また、熱力学計算ソフトウェア等を用いて析出物及び晶出物の量を計算し、得られた値を用いることもできる。この場合、計算値が妥当であることを直接観察との比較において確認しておくことが好ましい。
耐熱性アルミニウム合金部材は、150℃における0.2%耐力が260MPa以上であり、250℃における0.2%耐力が120MPa以上であることが好ましい。耐熱性アルミニウム合金がこれらの0.2%耐力を有していることで、部位によって異なる温度履歴(室温~高温)が付与されると共に高い耐力が要求される耐熱性部材に好適に用いることができる。150℃におけるより好ましい0.2%耐力は270MPa以上であり、250℃におけるより好ましい0.2%耐力は130MPa以上である。
また、耐熱性アルミニウム合金部材は、150℃における引張強度が280MPa以上であり、250℃における引張強度が140MPa以上であること、が好ましい。これらの引張強度を有していることで、部位によって異なる温度履歴(室温~高温)が付与されると共に高い強度が要求される耐熱性部材に好適に用いることができる。150℃におけるより好ましい引張強度は285MPa以上であり、250℃におけるより好ましい引張強度は150MPa以上である。
また、耐熱性アルミニウム合金は、熱伝導率が120W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が120W/mK以上となっていることで、耐熱性アルミニウム合金部材の温度上昇を抑制することができ、耐熱性アルミニウム合金の適用範囲を拡大することができる。耐熱性アルミニウム合金のより好ましい熱伝導率は130W/mK以上である。
なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、耐熱性アルミニウム合金部材の形状及びサイズは特に限定されず、従来公知の種々の部材とすることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、耐熱性アルミニウム合金部材の製造方法も特に限定されず、従来公知の種々の方法で、本発明の耐熱性アルミニウム合金を用いて製造すればよい。
3.内燃機関用ピストン
本発明の内燃機関用ピストンは、本発明の耐熱性アルミニウム合金部材からなっており、熱伝導率が高い値となっている。その結果、内燃機関用ピストンの温度上昇が抑制され、広範囲の環境温度で使用することができる。
なお、本発明の効果を損なわない限りにおいて、内燃機関用ピストンの形状及びサイズは特に限定されず、従来公知の種々の部材とすることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、内燃機関用ピストンの製造方法も特に限定されず、従来公知の種々の方法で、本発明の耐熱性アルミニウム合金部材を用いて製造すればよい。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例≫
表1に実施例として示す組成(wt%)を有するアルミニウム合金の溶湯を、フラックスによる脱滓処理、静置処理、脱ガス処理等の溶湯処理を行った後、重力金型鋳造法を用いて、鋳込み温度740±10℃、冷却速度30℃/minで、図1の形状に鋳造した。
Figure 2022147009000001
得られた各鋳物に対して220℃で6時間の時効処理を施した後、丸棒形状試験片(平行部長さ25mm、平行部直径6mm)に切り出した。得られた試験片を150℃、250℃の各温度において、引張試験を行った。引張試験の条件として試験温度で100時間の予備加熱を行った。得られた引張特性を表2に示す。
Figure 2022147009000002
表2の結果より、本発明の耐熱性アルミニウム合金部材は、150℃における0.2%耐力が260MPa以上であり、250℃における0.2%耐力が120MPa以上であることが分かる。また、150℃における引張強度は80MPa以上であり、250℃における引張強度は140MPa以上となっている。
また、実施例1及び実施例2の組成を有する鋳物の断面を鏡面研磨し、光学顕微鏡観察によって、長径が100μm以下の晶出物の面積率を測定した(視野数:6)。実施例1及び実施例2の晶出物の面積率は、それぞれ21.4%及び21.9%であった。実施例1及び実施例2の代表的な光学顕微鏡写真を図2及び図3にそれぞれ示す。
また、CALPHAD法に基づく熱力学平衡計算及び状態図計算を行うことができる、市販の統合型熱力学計算ソフトウェアであるThermo-Calcを用い、実施例1及び実施例2の組成を有する鋳物の晶出物の割合(面積率)を算出したところ、それぞれ21.4%及び21.9%であった。これらの値は上記の実測値とよい一致を示しており、Thermo-Calcを用いた計算値が妥当であることが確認された。当該結果より、実施例3~6の組成を有する鋳物については、晶出物の面積率として、Thermo-Calcによる計算値を採用した。各鋳物の晶出物の面積率を表2に示す。
また、母相(Al)の正確な晶出量(面積率)は、縮退及び膨張などの影響により、画像解析で求めることが困難であることから、Thermo-Calcによって計算した。更に、晶出物の面積率と母相(Al)の面積率から、析出物の面積率を求めた。析出物の面積率(%)は、「100-(晶出物の面積率+母相(Al)の面積率)」となる。得られた各値を表2に示す。実施例として得られた全ての鋳物について、析出物の面積率は5%以上であり、晶出物の面積率は20%以上となっていることが分かる。
更に、各鋳物について、レーザーフラッシュ法によって熱伝導率を測定した。得られた値を表2に示す。実施例として得られた全ての鋳物について、120W/mK以上の高い熱伝導率を有していることが分かる。
≪比較例≫
表1に比較例として示す組成を用いたこと以外は実施例と同様にして鋳物を得た。また、実施例と同様にして、引張特性及び熱伝導率を評価した。得られた引張特性を表2に示す。
比較例3及び比較例4は、250℃でそれぞれ142MPa及び125MPaの0.2%耐力を有しているが、150℃ではそれぞれ249MPa及び246MPaに留まっている。また、比較例5は150℃及び250℃で高い0.2%耐力を有しているが、熱伝導率が低い値(117W/mK)となっている。
また、実施例と同様にして、析出物の面積率及び晶出物の面積率を求めた。得られた値を表2に示す。ここで、比較例においては、比較例1及び比較例2の組成を有する鋳物について、晶出物の面積率を直接観察したところ、それぞれ15.7%及び19.5%であった。Thermo-Calcで計算された晶出物の面積率は、比較例1及び比較例2でそれぞれ21.4%及び21.9%であり、直接観察で得られた値とよく一致することが確認された。比較例1及び比較例2の代表的な光学顕微鏡写真を図4及び図5にそれぞれ示す。
表2より、比較例1及び比較例2については、晶出物と析出物の両方の量が実施例と比較して少ないことが分かる。また、250℃において高い強度を示した比較例3及び比較例4は、晶出物の量は十分であるが、析出物の量が少なくなっている。また、比較例5はMnの添加量を増やすことで高温強度を向上させているため、熱伝導率が低くなっている。

Claims (7)

  1. Si:12.0~15.0wt%、
    Cu:4.0~5.0wt%、
    Ni:1.5~2.5wt%、
    Mg:1.5~2.5wt%、
    Fe:0.2~0.8wt%、
    Ti:0.1~0.2wt%、
    Zr:0.05~0.15wt%、
    V:0.05~0.15wt%、
    P:0.005~0.015wt%、を含有し、
    残余がAlと不可避不純物からなること、
    を特徴とする耐熱性アルミニウム合金。
  2. 更に、Mn:0.01~0.10wt%を含有すること、
    を特徴とする請求項1に記載の耐熱性アルミニウム合金。
  3. 請求項1又は2に記載の耐熱性アルミニウム合金からなり、
    任意の断面において、析出物の面積率が5%以上であり、長径が100μm以下の晶出物の面積率が20%以上であること、
    を特徴とする耐熱性アルミニウム合金部材。
  4. 150℃における0.2%耐力が260MPa以上であり、
    250℃における0.2%耐力が120MPa以上であること、
    を特徴とする請求項3に記載の耐熱性アルミニウム合金部材。
  5. 150℃における引張強度が280MPa以上であり、
    250℃における引張強度が140MPa以上であること、
    を特徴とする請求項3又は4に記載の耐熱性アルミニウム合金部材。
  6. 熱伝導率が120W/mK以上であること、
    を特徴とする請求項3~5のうちのいずれかに記載の耐熱性アルミニウム合金部材。
  7. 請求項3~6のうちのいずれかに記載の耐熱性アルミニウム合金部材からなること、
    を特徴とする内燃機関用ピストン。
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