JP2022145490A - 基板処理方法、基板処理装置、および、ポリマー含有液 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の主面に付着している金属異物に作用する成分を含有するポリマー含有液の使用量を低減できる基板処理方法、基板処理装置、および、ポリマー含有液を提供する。【解決手段】酸性ポリマー、および、前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒とを含有するポリマー含有液が基板の主面に供給される(ポリマー含有液供給工程:ステップS2)。ポリマー含有液が主面に付着している基板を回転させることで、酸化剤および酸性ポリマーを含有するポリマー膜が基板の主面に形成される(ポリマー膜形成工程:ステップS3)。ポリマー膜が主面に形成されている状態の基板の主面を洗浄するリンス液を基板の主面に供給する(リンス工程:ステップS5)。【選択図】図4
Description
この発明は、基板を処理する基板処理方法と、基板を処理する基板処理装置と、基板を処理するポリマー含有液とに関する。
処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
基板の主面には、基板処理に用いられる各部材に用いられている金属が異物として付着してしまう。基板の主面に付着している金属異物は、DIW(Deionized Water)等を用いて除去することは困難であり、半導体製品の歩留りが低下するという問題がある。
下記特許文献1には、過酸化水素水と塩酸との混合液であるHPM液(Hydrochloric hydrogen Peroxide Mixture)に基板を浸漬して、基板に付着している金属異物を除去する基板処理が開示されている。HPM液は、SC2(Standard Clean 2)液ともいう。
特許文献1の基板処理では、基板をHPM液に浸漬するためにHPM液で満たされた槽が用いられる。したがって、基板に付着している金属異物を除去するために多量のHPM液が使用され、環境負荷が問題となる。
そこで、この発明の1つの目的は、基板に付着している金属異物を良好に除去しつつ環境負荷を低減できる基板処理方法、基板処理装置、および、ポリマー含有液を提供することである。
この発明の一実施形態は、酸性ポリマー、および、前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒を含有するポリマー含有液を基板の主面に供給するポリマー含有液供給工程と、前記ポリマー含有液が主面に付着している基板を回転させることで前記ポリマー含有液を塗り広げて、前記酸性ポリマーを含有するポリマー膜を前記基板の主面に形成するポリマー膜形成工程と、前記ポリマー膜が主面に形成されている状態の前記基板の主面を洗浄するリンス液を前記基板の主面に供給するリンス工程とを含む、基板処理方法を提供する。
この基板処理方法によれば、ポリマー含有液が付着している基板を回転させることでポリマー膜が形成される。ポリマー膜中の酸性ポリマーの作用によって、金属異物が基板の主面から引き離されてポリマー膜に吸着される。そのため、基板の主面の全体を覆うために必要な量のポリマー含有液によってポリマー膜を形成した後、リンス液によって基板の主面を洗浄してポリマー膜を除去すれば、基板の主面へのポリマー含有液の供給を継続することなく基板の主面から金属異物を良好に除去できる。
したがって、ポリマー含有液に基板を浸漬させることなく金属異物を充分に除去できるため、ポリマー含有液の使用量を低減できる。これにより、環境負荷を低減できる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー含有液が、前記溶媒に溶解される酸化剤をさらに含有する。そして、前記ポリマー膜形成工程において形成される前記ポリマー膜が、前記酸化剤をさらに含有する。そのため、ポリマー膜中の酸化剤の作用によって、酸性ポリマーによる金属異物の吸着を促進できる。したがって、基板の主面から金属異物を一層良好に除去できる。
この発明の一実施形態では、ポリマー含有液が、10wt%で前記酸性ポリマーを含有する酸性ポリマー液と、30wt%で前記酸化剤を含有する液状酸化剤とを、1:6の体積比率で混合した混合液である。この比率であれば、ポリマー膜は、基板の主面の金属異物を一層効率良く吸着できる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー膜形成工程が、前記ポリマー含有液中の前記溶媒の一部を蒸発させることによって、前記ポリマー膜を形成する工程を含む。ポリマー膜中には溶媒が残留しているため、溶媒は、ポリマー膜中において酸性ポリマーがプロトン(水素イオン)を授受するための媒体として機能する。ポリマー膜は、ポリマー含有液から溶媒の一部を蒸発させて形成されるため、ポリマー膜中の酸性ポリマーは、ポリマー含有液中よりも高濃度である。高濃度の酸性ポリマーを金属異物に作用させることができるので、ポリマー膜に金属異物を効果的に吸着させることができる。したがって、リンス液によって金属異物が吸着されたポリマー膜を除去することで、基板の主面から金属異物を効果的に除去できる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記ポリマー膜形成工程の後、前記ポリマー膜を加熱するポリマー膜加熱工程をさらに含む。
この基板処理方法によれば、ポリマー膜を加熱することでポリマー膜から溶媒が蒸発する。これにより、ポリマー膜中の溶媒に溶解されている酸性ポリマーの濃度が高くなる。そのため、高濃度の酸性ポリマーを金属異物に作用させることができる。したがって、金属異物が吸着されたポリマー膜をリンス液によって除去することで、基板の主面から金属異物を効果的に除去できる。すなわち、基板の主面から金属異物を良好に除去できる。
また、溶媒の沸点未満の温度でポリマー膜を加熱すれば、基板上のポリマー膜から溶媒を適度に蒸発させることができる。そのため、ポリマー膜中の溶媒に溶解されている酸性ポリマーの濃度を高めつつ、溶媒が蒸発し尽くしてポリマー膜中から完全に除去されることを抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー膜加熱工程が、前記基板を回転させながら、前記基板の主面とは反対側の反対面に対して加熱流体を供給して前記基板を加熱することで、前記基板を介して前記ポリマー膜を加熱する流体加熱工程を含む。
この基板処理方法によれば、反対面への加熱流体の供給という簡易な手法で基板を加熱できる。回転状態の基板の反対面に供給された加熱流体は、遠心力の作用によって、基板の下面において周縁部に向けて均等に広がる。そのため、基板の全体を均等に加熱することができるので、基板の主面の全域から均等に溶媒を蒸発させることができる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記ポリマー膜形成工程の後、所定時間の間、前記基板の回転を停止させる基板回転停止工程をさらに含む。この方法によれば、基板の回転を停止させることによって、基板の主面上のポリマー膜からの溶媒の過剰な蒸発を抑制できる。これによって、ポリマー膜が完全に固化することを抑制しながら、ポリマー膜中の酸性ポリマーの作用によってポリマー膜に金属異物を吸着させることができる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、ポリマー含有液タンクに前記ポリマー含有液を貯留する準備工程をさらに含む。そして、前記ポリマー含有液供給工程が、前記ポリマー含有液タンクからポリマー含有液ノズルに前記ポリマー含有液を供給し、前記ポリマー含有液ノズルから前記基板の主面に向けて吐出するポリマー含有液吐出工程を含む。
この基板処理方法によれば、ポリマー含有液タンクにポリマー含有液が貯留されている。そのため、酸性ポリマーおよび酸化剤がポリマー含有液ノズルに供給される以前に、酸性ポリマーおよび酸化剤を混合することができる。そのため、ポリマー含有液中の酸性ポリマーおよび酸化剤の比率を、精度良く調整できる。
この発明の一実施形態では、前記ポリマー含有液が、前記溶媒に溶解される導電性ポリマーをさらに含有する。そして、前記ポリマー膜形成工程において形成される前記ポリマー膜が、前記導電性ポリマーをさらに含有する。そのため、導電性ポリマーの作用によって、ポリマー膜中の酸性ポリマーのイオン化および金属異物のイオン化を促進することができる。そのため、酸性ポリマーを金属異物に効果的に作用させることができる。
さらに、導電性ポリマーは、溶媒と同様に、酸性ポリマーがプロトン(水素イオン)を放出するための媒体として機能する。そのため、ポリマー膜中に導電性ポリマー含有されていれば、ポリマー膜から溶媒が完全に消失してポリマー膜が固体状になっている場合であっても、酸性ポリマーをイオン化し、イオン化した酸性ポリマーを金属異物に作用させることができる。
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法が、前記ポリマー含有液供給工程の前に、前記基板の主面に固体状または半固体状の固化洗浄膜を形成する固化洗浄膜形成工程と、前記ポリマー含有液供給工程の前に、前記固化洗浄膜を前記基板の主面から剥離して前記基板の主面から除去する固化洗浄膜除去液を前記基板の主面に供給する固化洗浄膜除去液供給工程とをさらに含む。
この方法によれば、ポリマー含有液供給工程の前に、基板の主面に形成された固化洗浄膜が固化洗浄膜除去液によって、基板の主面から剥離され、基板の主面から除去される。固化洗浄膜は、固体状または半固体状であるため、基板の主面に付着しているパーティクル等の粒状異物を保持することができる。固化洗浄膜は、粒状異物を保持している状態で基板の主面から剥離されるため、固化洗浄膜とともに粒状異物を除去できる。粒状異物が固化洗浄膜に保持されることによって、基板の主面を流れる固化洗浄膜除去液から受ける運動エネルギーが、固化洗浄膜に保持されていない粒状異物が固化洗浄膜除去液から受ける運動エネルギーよりも増大する。そのため、基板の主面から粒状異物を効果的に除去できる。固化洗浄膜によって粒状異物が充分に除去された後に、ポリマー含有液が基板の主面に供給することができる。
この発明の他の実施形態は、基板を保持し、前記基板を所定の回転軸線まわりに回転させるスピンチャックと、前記スピンチャックに保持されている基板の主面に、酸性ポリマー、および、前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒を含有するポリマー含有液であって、前記酸性ポリマーを含有するポリマー膜を前記基板の主面上に形成するポリマー含有液を供給するポリマー含有液ノズルと、前記スピンチャックに保持されている基板の主面に、リンス液を供給するリンス液ノズルとを含む、基板処理装置を提供する。
この基板処理装置によれば、スピンチャックに保持されている基板の主面にポリマー含有液を供給することで、基板の主面上にポリマー膜を形成できる。具体的には、ポリマー含有液が付着している基板を回転させることで溶媒を蒸発させることで、ポリマー膜を形成できる。ポリマー膜中の酸性ポリマーの作用によって、金属異物が基板の主面から引き離されてポリマー膜に吸着される。そのため、基板の主面の全体を覆うために必要な量のポリマー含有液だけを供給し、そのポリマー含有液によってポリマー膜を形成した後、リンス液によって基板の主面を洗浄してポリマー膜を除去すれば、基板の主面へのポリマー含有液の供給を継続することなく金属異物を除去できる。
したがって、ポリマー含有液に基板を浸漬させることなく金属異物を充分に除去できるため、ポリマー含有液の使用量を低減できる。これにより、環境負荷を低減できる。
この発明のさらに他の実施形態は、基板の主面に付着している金属異物を前記基板の主面から除去する酸性ポリマーと、前記酸性ポリマーによる前記金属異物の除去を促進する酸化剤と、前記酸化剤および前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒とを含有する、ポリマー含有液を提供する。
この発明のさらに他の実施形態は、基板の主面に付着している金属異物を前記基板の主面から除去する酸性ポリマーと、前記酸性ポリマーによる前記金属異物の除去を促進する酸化剤と、前記酸化剤および前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒とを含有する、ポリマー含有液を提供する。
この構成によれば、酸化剤および酸性ポリマーが溶媒に溶解している。そのため、基板の主面にポリマー含有液を付着させて、ポリマー含有液中から溶媒を蒸発させることで、酸性ポリマーおよび酸化剤によって主に構成される膜、すなわち、ポリマー膜を基板の主面に形成することができる。ポリマー膜中の酸性ポリマーおよび酸化剤の作用によって、ポリマー膜に金属異物を吸着させることができる。そのため、基板の主面の全体を覆うために必要な量のポリマー含有液によってポリマー膜を形成し、ポリマー膜を除去すれば、基板の主面へのポリマー含有液の供給を継続することなく基板の主面から金属異物から除去できる。
したがって、ポリマー含有液に基板を浸漬させることなく金属異物を充分に除去できるため、ポリマー含有液の使用量を低減できる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態に係る基板処理装置の構成>
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図である。
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を説明するための平面図である。
基板処理装置1は、シリコンウエハ等の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板Wは、一対の主面を有し、いずれかの主面を上方に向けた姿勢で処理される。一対の主面のうち少なくとも一方が、回路パターンが形成されたデバイス面である。一対の主面のうちの一方は、回路パターンが形成されていない非デバイス面であってもよい。
基板処理装置1は、基板Wを流体で処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御するコントローラ3とを含む。
搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。詳しくは後述するが、処理ユニット2内で基板Wに向けて供給される流体としては、ポリマー含有液、液状酸化剤、リンス液、加熱流体等が挙げられる。
各処理ユニット2は、チャンバ4と、チャンバ4内に配置された処理カップ7とを備えており、処理カップ7内で基板Wに対する処理を実行する。チャンバ4には、搬送ロボットCRによって、基板Wを搬入したり基板Wを搬出したりするための出入口(図示せず)が形成されている。チャンバ4には、この出入口を開閉するシャッタユニット(図示せず)が備えられている。
図2は、処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。
処理ユニット2は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線A1(鉛直軸線)まわりに基板Wを回転させるスピンチャック5をさらに備える。回転軸線A1は、基板Wの中央部を通る鉛直な直線である。
スピンチャック5は、所定の保持位置に基板Wを保持する基板保持ユニット20と、基板保持ユニット20を回転軸線A1まわりに回転させる基板回転ユニット21とを含む。保持位置は、図2に示す基板Wの位置であり、基板Wが水平な姿勢で保持される位置である。
基板保持ユニット20は、水平方向に沿う円板形状を有するスピンベース22と、スピンベース22の上方で基板Wを把持し保持位置に基板Wを保持する複数のチャックピン23とを含む。複数のチャックピン23は、スピンベース22の周方向に間隔を空けてスピンベース22の上面に配置されている。基板保持ユニット20は、基板ホルダともいう。
基板回転ユニット21は、スピンベース22に上端が連結され鉛直方向に延びる回転軸24と、回転軸24をその中心軸線(回転軸線A1)まわりに回転させるスピンモータ25とを含む。スピンモータ25が回転軸24を回転させることでスピンベース22および複数のチャックピン23が回転軸線A1まわりに回転する。これにより、スピンベース22および複数のチャックピン23とともに、基板Wが回転軸線A1まわりに回転される。
複数のチャックピン23は、基板Wの周端に接触して基板Wを把持する閉状態と、基板Wの周端から退避した開状態との間で開閉可能である。複数のチャックピン23は、開閉ユニット26によって開閉される。複数のチャックピン23は、閉状態において、基板Wを水平に保持(挟持)する。複数のチャックピン23は、開状態において、基板Wの周縁部の把持を解放する一方で、基板Wの下面(下側の主面)の周縁部に接触して基板Wを下方から支持する。
開閉ユニット26は、たとえば、スピンベース22の内部に収容されたリンク機構と、スピンベース22の外に配置された駆動源とを含む。駆動源は、電動モータを含む。
スピンチャック5としては、把持式のものに限らず、たとえば、真空吸着式のバキュームチャックであってもよい。バキュームチャックは、基板Wの下面を真空吸着することにより基板Wを水平な姿勢で保持位置に保持し、さらにその状態で鉛直な回転軸線のまわりに基板Wを回転させる。
処理カップ7は、スピンチャック5に保持されている基板Wから飛散する液体を受ける。処理カップ7は、スピンチャック5に保持された基板Wから外方に飛散する液体を受け止める複数のガード30と、複数のガード30によって下方に案内された液体を受け止める複数のカップ31と、複数のガード30および複数のカップ31を取り囲む円筒状の外壁部材32とを含む。この実施形態では、2つのガード30と、2つのカップ31とが設けられている例を示している。
各ガード30は、それぞれ、ほぼ円筒形状を有している。各ガード30の上端部は、スピンベース22に向かうように内方に傾斜している。複数のカップ31は、それぞれ、複数のガード30の下方に配置されている。カップ31は、ガード30によって下方に案内された液体を受け止める環状の受液溝を形成している。
処理ユニット2は、複数のガード30を個別に昇降させるガード昇降ユニット33を含む。ガード昇降ユニット33は、上位置から下位置までの任意の位置にガード30を位置させる。図2は、2つのガード30がともに上位置に配置されている状態を示している。上位置は、ガード30の上端がスピンチャック5に保持されている基板Wが配置される保持位置よりも上方に配置される位置である。下位置は、ガード30の上端が保持位置よりも下方に配置される位置である。
ガード昇降ユニット33は、たとえば、複数のガード30にそれぞれ結合された複数のボールねじ機構(図示せず)と、各ボールねじ機構に駆動力を与える複数のモータ(図示せず)とを含む。ガード昇降ユニット33は、ガードリフタともいう。
回転している基板Wに液体を供給するときは、少なくとも一つのガード30が上位置に配置される。この状態で、液体が基板Wに供給されると、液体は、基板Wから外方に振り切られる。振り切られた液体は、基板Wに水平に対向するガード30の内面に衝突し、このガード30に対応するカップ31に案内される。基板Wの搬入および搬出において搬送ロボットCR(図1を参照)がスピンチャック5にアクセスする際には、全てのガード30が下位置に位置している。
処理ユニット2は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面(上側の主面)に向けてポリマー含有液を吐出するポリマー含有液ノズル8と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて、DIW等のリンス液を吐出するリンス液ノズル9とをさらに備える。
ポリマー含有液は、固体状または半固体状の膜(ポリマー膜)を形成する成分(後述する酸性ポリマー)を含有する。半固体状とは、固体成分と液体成分とが混合している状態である。固体状とは、液体成分が含有されておらず固体成分のみによって構成されている状態である。溶媒が残存しているポリマー膜は、半固体状であり、溶媒が完全に消失しているポリマー膜は、固体状である。
ポリマー含有液は、溶質と、溶質を溶解させるDIW等の溶媒を含有している。溶質は、過酸化水素等の酸化剤と、ポリアクリル酸等の酸性ポリマーとを含有する。
酸性ポリマーの分子量は、たとえば、1000以上で、かつ、100000以下である。酸性ポリマーは、基板Wの主面に付着している金属異物を吸着する機能を有する。酸性ポリマーは、DIW等の水系の溶媒中においてプロトン(水素イオン)を放出して、負電荷を帯びる。そのため、酸性ポリマーは、金属異物と基板の主面との結合を切断して金属異物をイオン化し、イオン化した金属異物(陽イオン)を吸着して基板Wの主面から引き離す。
基板Wの主面に付着し得る金属異物としては、たとえば、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等が挙げられる。
酸性ポリマーは、ポリアクリル酸に限られない。ポリマー含有液のpHは、7未満であればよく、5以下であることが好ましい。酸性ポリマーは、たとえば、カルボキシ基含有ポリマー、スルホ基含有ポリマーまたはこれらの混合物である。カルボン酸ポリマーは、たとえば、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、カルボキシメチルセルロール、またはこれらの混合物である。スルホ基含有ポリマーは、たとえば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、または、これらの混合物である。
酸化剤は、酸性ポリマーによる金属異物の吸着を促進する機能を有する。酸化剤は、金属異物よりも酸化還元電位が高い物質である。そのため、酸化剤は、基板Wの主面に付着している金属異物から電子を奪い、金属異物のイオン化を促進する。酸化剤は、たとえば、過酸化水素およびオゾンのうちの少なくとも1つを含有する。
以下で説明する酸化還元電位は、標準水素電極(NHE:Normal Hydrogen Electrode)を基準として測定された酸化還元電位のことである。過酸化水素の酸化還元電位は、1.776Vであり、オゾンの酸化還元電位は、2.067Vである。これに対して、銅、ニッケル、鉄、および、アルミニウムの酸化還元電位は、それぞれ、0.337V、-0.250V、-0.440V、および-1.663Vである。そのため、酸化剤として、過酸化水素およびオゾンの少なくとも1つを含有する酸化剤を用いた場合、金属異物から電子を奪い、金属異物のイオン化を促進できる。
溶媒は、常温(たとえば、5℃以上25℃以下の温度であり、室温ともいう。)で液体であり、酸性ポリマーおよび酸化剤を溶解させることができ、基板Wの回転または加熱によって蒸発(揮発)する物質であればよい。溶媒は、DIWに限られない。溶媒は、DIW、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)のアンモニア水、還元水(水素水)のうちの少なくとも1つを含有する成分である。
ポリマー含有液は、液状酸化剤および酸性ポリマー液を、1:6の体積比率で混合した液体であることが好ましい。液状酸化剤は、上述した溶媒と酸化剤とを含有する液体であり、液状酸化剤中の酸化剤の質量パーセント濃度は、たとえば、30質量パーセント(wt%)である。酸性ポリマー液は、上述した溶媒と酸性ポリマーとを含有する液体であり、酸性ポリマー液中の酸性ポリマーの質量パーセント濃度は、たとえば、10質量パーセント(wt%)である。
リンス液は、基板Wの主面に形成されたポリマー膜を除去することによって基板Wの上面を洗浄する液体である。リンス液は、ポリマー膜を溶解させてポリマー膜を基板Wの主面から除去する。そのため、リンス液は、ポリマー膜除去液ともいう。
リンス液は、DIWに限られない。リンス液は、DIW、炭酸水、電解イオン水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)の塩酸水、希釈濃度(たとえば、1ppm以上で、かつ、100ppm以下)のアンモニア水、還元水(水素水)のうちの少なくとも1つを含有する成分である。すなわち、リンス液としては、ポリマー含有液の溶媒と同様の液体を用いることができる。リンス液、および、ポリマー含有液の溶媒として、ともに、同種の液体(たとえば、DIW)を用いれば、使用する液体(物質)の種類を少なくすることができる。
ポリマー含有液ノズル8は、この実施形態では、水平方向に移動可能なスキャンノズルである。ポリマー含有液ノズル8は、第1ノズル移動ユニット35によって、水平方向に移動される。ポリマー含有液ノズル8は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。ポリマー含有液ノズル8は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の中央領域に対向する。基板Wの上面の中央領域とは、基板Wの上面において基板Wの回転中心を含む領域のことである。ポリマー含有液ノズル8は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。
第1ノズル移動ユニット35は、ポリマー含有液ノズル8に結合され水平に延びるアーム(図示せず)と、アームを水平方向に移動させるアーム移動ユニット(図示せず)とを含む。アーム移動ユニットは、たとえば、アームに結合され鉛直方向に沿って延びる回動軸(図示せず)と、回動軸を回動させるモータ等の回動アクチュエータ(図示せず)とを含んでいてもよい。ポリマー含有液ノズル8は、鉛直方向に移動可能であってもよい。ポリマー含有液ノズル8は、鉛直方向への移動によって、基板Wの上面に接近したり、基板Wの上面から上方に退避したりできる。
ポリマー含有液ノズル8は、ポリマー含有液ノズル8にポリマー含有液を案内するポリマー含有液配管40の一端に接続されている。ポリマー含有液配管40の他端は、ポリマー含有液を貯留するポリマー含有液タンク80に接続されている。ポリマー含有液配管40には、ポリマー含有液配管40内の流路を開閉するポリマー含有液バルブ50と、当該流路内のポリマー含有液の流量を調整するポリマー含有液流量調整バルブ51とが介装されている。
ポリマー含有液タンク80にポリマー含有液が補充されてポリマー含有液タンク80にポリマー含有液が貯留される(準備工程)。ポリマー含有液タンク80には、たとえば、液状酸化剤と酸性ポリマー液とが別々の補充管84,85を介して補充される。図2に示す例とは異なり、ポリマー含有液補充管(図示せず)を介してポリマー含有液がポリマー含有液タンク80に補充されてもよい。
ポリマー含有液配管40には、ポンプ70が介装されている。そのため、ポリマー含有液バルブ50が開かれると、ポリマー含有液タンク80内のポリマー含有液が、ポンプ70によってポリマー含有液配管40に送り出される。ポリマー含有液配管40に送り出されたポリマー含有液は、ポリマー含有液流量調整バルブ51の開度に応じた流量で、ポリマー含有液ノズル8の吐出口から下方に連続流で吐出される。ポリマー含有液ノズル8が中央位置に位置するときにポリマー含有液バルブ50が開かれると、ポリマー含有液が基板Wの上面の中央領域に供給される。
このように、ポリマー含有液ノズル8、ポリマー含有液配管40、ポリマー含有液バルブ50、ポリマー含有液流量調整バルブ51およびポンプ70は、基板Wの主面(上面)にポリマー含有液を供給するポリマー含有液供給ユニット11を構成している。
リンス液ノズル9は、この実施形態では、水平方向に移動可能なスキャンノズルである。リンス液ノズル9は、第2ノズル移動ユニット36によって、水平方向に移動される。リンス液ノズル9は、水平方向において、中心位置と、ホーム位置(退避位置)との間で移動することができる。リンス液ノズル9は、中心位置に位置するとき、基板Wの上面の中央領域に対向する。リンス液ノズル9は、ホーム位置に位置するとき、基板Wの上面には対向せず、平面視において、処理カップ7の外方に位置する。
リンス液ノズル9は、リンス液ノズル9にリンス液を案内するリンス液配管41に接続されている。リンス液配管41には、リンス液配管41内の流路を開閉するリンス液バルブ52と、当該流路内のリンス液の流量を調整するリンス液流量調整バルブ53とが介装されている。リンス液バルブ52が開かれると、リンス液が、リンス液流量調整バルブ53の開度に応じた流量で、リンス液ノズル9の吐出口から下方に連続流で吐出される。リンス液ノズル9が中央位置に位置するときにリンス液バルブ52が開かれると、リンス液が基板Wの上面の中央領域に供給される。
このように、リンス液ノズル9、リンス液配管41、リンス液バルブ52およびリンス液流量調整バルブ53は、基板Wの上面にリンス液を供給するリンス液供給ユニット12を構成している。
ポリマー含有液ノズル8およびリンス液ノズル9は、この実施形態とは異なり、水平位置および鉛直位置が固定された固定ノズルであってもよい。
処理ユニット2は、スピンチャック5に保持された基板Wの下面(下側の主面、反対面)に向けて加熱流体を吐出する加熱流体ノズル10をさらに含む。
加熱流体ノズル10は、スピンベース22の上面中央部で開口する貫通孔22aに挿入されている。加熱流体ノズル10の吐出口10aは、スピンベース22の上面から露出されている。加熱流体ノズル10の吐出口10aは、基板Wの下面の中央領域に下方から対向する。基板Wの下面の中央領域とは、基板Wの下面において基板Wの回転中心を含む領域のことである。
加熱流体ノズル10には、加熱流体を加熱流体ノズル10に案内する加熱流体配管42が接続されている。加熱流体配管42には、加熱流体配管42内の流路を開閉する加熱流体バルブ54と、当該加熱流体配管42内の加熱流体の流量を調整する加熱流体流量調整バルブ55とが介装されている。
加熱流体バルブ54が開かれると、加熱流体が、加熱流体ノズル10の吐出口10aから上方に連続流で吐出され、基板Wの下面の中央領域に供給される。基板Wの下面に加熱流体が供給されることによって、基板Wを介して、基板Wの上面上のポリマー含有液が加熱される。
このように、加熱流体ノズル10、加熱流体配管42、加熱流体バルブ54および加熱流体流量調整バルブ55は、基板Wの上面に加熱流体を供給する加熱流体供給ユニット13を構成している。
加熱流体ノズル10から吐出される加熱流体は、たとえば、室温よりも高く、ポリマー含有液に含まれる溶媒の沸点よりも低い温度の高温DIWである。ポリマー含有液に含有される溶媒がDIWである場合、加熱流体としては、たとえば、60℃以上100℃未満のDIWが用いられる。加熱流体ノズル10から吐出される加熱流体は、高温DIWには限られず、室温よりも高く、ポリマー含有液に含有される溶媒の沸点よりも低い温度の高温不活性ガス(高温窒素ガス等)や高温空気等の高温気体であってもよい。また、加熱流体は、ポリマー含有液に含まれる溶媒の沸点以上の温度であってもよい。
図3は、基板処理装置1の制御に関する構成例を説明するためのブロック図である。コントローラ3は、マイクロコンピュータを備え、所定の制御プログラムに従って基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。
具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3Aと、制御プログラムが格納されたメモリ3Bとを含む。コントローラ3は、プロセッサ3Aが制御プログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御を実行するように構成されている。
とくに、コントローラ3は、搬送ロボットIR,CR、スピンモータ25、開閉ユニット26、第1ノズル移動ユニット35、第2ノズル移動ユニット36、ガード昇降ユニット33、ポリマー含有液バルブ50、ポリマー含有液流量調整バルブ51、リンス液バルブ52、リンス液流量調整バルブ53、加熱流体バルブ54、加熱流体流量調整バルブ55およびポンプ70を制御するようにプログラムされている。コントローラ3によってバルブが制御されることによって、対応するノズルからの流体の吐出の有無や、対応するノズルからの流体の吐出流量が制御される。
また、図3には、代表的な部材が図示されているが、図示されていない部材についてコントローラ3によって制御されないことを意味するものではなく、コントローラ3は、基板処理装置1に備えられる各部材を適切に制御することができる。図3には、後述する変形例および実施形態で説明する部材についても併記しており、これらの部材もコントローラ3によって制御される。
以下の各工程は、コントローラ3がこれらの構成を制御することにより実行される。言い換えると、コントローラ3は、以下の各工程を実行するようにプログラムされている。
<第1実施形態に係る基板処理の一例>
図4は、基板処理装置1よって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。図4には、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図5A~図5Eは、基板処理装置1によって実行される基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
図4は、基板処理装置1よって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。図4には、主として、コントローラ3がプログラムを実行することによって実現される処理が示されている。図5A~図5Eは、基板処理装置1によって実行される基板処理の各工程の様子を説明するための模式図である。
基板処理装置1による基板処理では、たとえば、図4に示すように、基板搬入工程(ステップS1)、ポリマー含有液供給工程(ステップS2)、ポリマー膜形成工程(ステップS3)、ポリマー膜加熱工程(ステップS4)、リンス工程(ステップS5)、スピンドライ工程(ステップS6)、および、基板搬出工程(ステップS7)がこの順番で実行される。
以下では、基板処理装置1によって実行される第1基板処理について、主に図2および図4を参照して説明する。図5A~図5Eについては適宜参照する。
まず、未処理の基板Wは、搬送ロボットIR,CR(図1参照)によってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、スピンチャック5の基板保持ユニット20に渡される(基板搬入工程:ステップS1)。これにより、基板Wは、基板保持ユニット20によって水平に保持される(基板保持工程)。
基板保持ユニット20による基板Wの保持は、スピンドライ工程(ステップS6)が終了するまで継続される。基板保持工程が開始されてからスピンドライ工程(ステップS6)が終了するまでの間、ガード昇降ユニット33は、少なくとも1つのガード30が上位置に位置するように、複数のガード30の高さ位置を調整する。
次に、搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、基板Wの上面にポリマー含有液を供給するポリマー含有液供給工程(ステップS2)が実行される。具体的には、第1ノズル移動ユニット35が、ポリマー含有液ノズル8を処理位置に移動させる。ポリマー含有液ノズル8の処理位置は、たとえば、中央位置である。
ポリマー含有液ノズル8が処理位置に位置する状態で、ポリマー含有液バルブ50が開かれる。これにより、図5Aに示すように、基板Wの上面の中央領域に向けて、ポリマー含有液ノズル8からポリマー含有液が供給(吐出)される(ポリマー含有液供給工程、ポリマー含有液吐出工程)。ポリマー含有液ノズル8から吐出されたポリマー含有液は、基板Wの上面の中央領域に着液する。
基板Wの上面にポリマー含有液を供給する際、基板Wは低速度(たとえば、10rpm)で回転される(基板回転工程、低速回転工程)。あるいは、基板Wの上面にポリマー含有液を供給する際、基板Wの回転は停止されている。そのため、基板Wに供給されたポリマー含有液は、基板Wの上面の中央領域に留まり、ポリマー含有液コア100を形成する。ポリマー含有液ノズル8からのポリマー含有液の供給は、所定時間、たとえば、2秒~4秒の間継続される。基板Wの上面に供給されるポリマー含有液の量は2cc程度である。
次に、図5Bおよび図5Cに示すように、ポリマー含有液が上面に付着している基板Wを回転させることで、基板Wの上面にポリマー膜101(図5Cを参照)を形成するポリマー膜形成工程(ステップS3)が実行される。
具体的には、ポリマー含有液バルブ50が閉じられ、その後、図5Bに示すように、基板Wの回転速度が所定のスピンオフ速度になるように基板Wの回転が加速される(回転加速工程)。スピンオフ速度は、たとえば、1500rpmである。ポリマー含有液バルブ50が閉じられた後、第1ノズル移動ユニット35によってポリマー含有液ノズル8がホーム位置に移動される。
基板Wの回転に起因する遠心力によって、ポリマー含有液コア100を構成するポリマー含有液が基板Wの上面の周縁部に向けて広がり、基板Wの上面の全体に塗り広げられる(塗布工程)。基板W上のポリマー含有液の一部は、基板Wの周縁部から基板W外に飛散し、基板W上のポリマー含有液の液膜(ポリマー含有液コア100)が薄膜化される(スピンオフ工程)。塗布工程において、ポリマー含有液が基板W外に飛散する必要はなく基板Wの上面の全体がポリマー含有液に覆われればよい。
基板Wの回転に起因する遠心力は、基板W上のポリマー含有液だけでなく、基板W上のポリマー含有液に接する気体にも作用する。そのため、遠心力の作用により、当該気体が基板Wの中心側から周縁側に向かう気流が形成される。この気流により、基板W上のポリマー含有液に接する気体状態の溶媒が基板Wに接する雰囲気から排除される。そのため、基板W上のポリマー含有液からの溶媒の蒸発(揮発)が促進される。ポリマー含有液中の溶媒の一部が蒸発されることによって、ポリマー膜101が形成される(ポリマー膜形成工程)。基板回転ユニット21は、基板保持ユニット20に保持されている基板Wを回転させて、基板Wの上面(主面)に付着しているポリマー含有液からポリマー膜101を形成するポリマー膜形成ユニットの一例である。ポリマー膜101は、ポリマー含有液よりも溶媒の含有量が少ないため、ポリマー含有液と比較して粘度が高い。そのため、ポリマー膜101は、基板Wが回転しているにもかかわらず、基板W上から完全に排除されずに基板W上に留まる。スピンオフ速度での基板Wの回転は、たとえば、30秒間継続される。
基板W上に形成されたポリマー膜101中の酸性ポリマーの作用によって、金属異物が基板Wの上面から引き離されポリマー膜101に吸着される(金属異物吸着工程)。半固体状のポリマー膜101中の酸化剤の作用によって、酸性ポリマーによる金属異物の吸着が促進される(吸着促進工程)。
次に、基板W上のポリマー膜101を加熱するポリマー膜加熱工程(ステップS4)が実行される。具体的には、加熱流体バルブ54が開かれる。これにより、図5Cに示すように、基板Wの下面(反対面)に加熱流体が供給されて、加熱流体によって基板Wが加熱される(基板加熱工程、流体加熱工程)。基板Wの下面に供給された加熱流体は、基板Wを介して、ポリマー膜101を加熱する(ポリマー膜加熱工程)。基板Wの下面に加熱流体を供給している間、基板Wは、所定の流体加熱速度で回転される。流体加熱速度は、たとえば、800rpmである。
加熱によってポリマー膜101中の溶媒が蒸発し、ポリマー膜101中の酸性ポリマーの濃度が高くなる(ポリマー濃縮工程)。これにより、酸性ポリマーの作用によるポリマー膜101への金属異物の吸着が促進される。そのため、高濃度の酸性ポリマーを金属異物に作用させることができる。したがって、基板Wの主面から金属異物を効果的に吸着できる。
第1実施形態とは異なり、揮発性物質を酸性成分として含有する液体、たとえば、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPM液等)を基板Wの上面に連続流で供給し続けることで基板Wから金属異物を除去する手法では、液体中の溶媒の蒸発とともに揮発性物質である塩化水素(酸性成分)が揮発する。そのため、溶媒の蒸発によって、半固体状または固体状の膜を形成することも酸性成分の濃度を上昇させることもできないおそれがある。
基板Wの加熱に用いられる加熱流体の温度は、溶媒の沸点未満の温度である。そのため、基板W上のポリマー膜101から溶媒を適度に蒸発させることができる。そのため、ポリマー膜101中の溶媒に溶解されている酸性ポリマーの濃度を高めつつ、溶媒が蒸発し尽くしてポリマー膜101中から完全に除去されることを抑制できる。
この実施形態では、基板Wの下面(反対面)への加熱流体の供給という簡易な手法で基板Wが加熱される。回転状態の基板Wの下面に供給された加熱流体は、遠心力の作用によって、基板Wの下面において周縁部に向けて均等に広がる。そのため、基板Wの全体を均等に加熱することができるので、基板Wの上面の全域から均等に溶媒を蒸発させることができる。
次に、基板Wの上面をリンス液で洗浄して基板W上のポリマー膜101を除去するリンス工程(ステップS5)が実行される。具体的には、第2ノズル移動ユニット36が、リンス液ノズル9を処理位置に移動させる。リンス液ノズル9の処理位置は、たとえば、中央位置である。リンス液ノズル9が処理位置に位置する状態で、リンス液バルブ52が開かれる。これにより、図5Dに示すように、ポリマー膜101が形成されている基板Wの上面の中央領域に向けて、リンス液ノズル9からリンス液が供給(吐出)される(リンス液供給工程、リンス液吐出工程)。基板Wへのリンス液の供給が開始される前に、加熱流体バルブ54が閉じられ、加熱流体ノズル10からの加熱流体の吐出が停止される。
基板Wに供給されたリンス液によって、基板W上のポリマー膜101が溶解される(ポリマー膜溶解工程)。基板Wへのリンス液の供給を継続することによって、図5Eに示すように、基板Wの上面からポリマー膜101が除去される(ポリマー膜除去工程)。リンス液の溶解作用と、リンス液の連続的供給および基板Wの回転によって形成されるリンス液の流れとによって、基板Wの上面からポリマー膜101が除去される。そのため、リンス液供給ユニット12および基板回転ユニット21は、基板Wの上面(主面)にリンス液を供給して基板Wの上面からポリマー膜101を除去するポリマー膜除去ユニットとして機能する。
次に、基板Wを高速回転させて基板Wの上面を乾燥させるスピンドライ工程(ステップS6)が実行される。具体的には、リンス液バルブ52が閉じられる。これにより、基板Wの上面へのリンス液の供給が停止される。
そして、スピンモータ25が基板Wの回転を加速し、基板Wを高速回転させる。基板Wは、乾燥速度、たとえば、1500rpmで回転される。それによって、大きな遠心力が基板W上のリンス液に作用し、基板W上のリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。
そして、スピンモータ25が基板Wの回転を停止させる。ガード昇降ユニット33が複数のガード30を下位置に移動させる。
搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、基板保持ユニット20のチャックピン23から処理済みの基板Wをすくい取って、処理ユニット2外へと搬出する(基板搬出工程:ステップS7)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
<金属異物の除去の様子>
次に、基板Wの主面(上述した基板処理では基板Wの上面)から金属異物が除去される様子について説明する。図6A~図6Cは、基板Wの主面に付着している金属異物102が除去される様子を説明するための模式図である。
次に、基板Wの主面(上述した基板処理では基板Wの上面)から金属異物が除去される様子について説明する。図6A~図6Cは、基板Wの主面に付着している金属異物102が除去される様子を説明するための模式図である。
図6Aは、ポリマー含有液が供給される前の状態の基板Wの主面の様子を示す模式図である。ポリマー含有液が供給される前、基板Wの主面には、金属異物102が付着している。詳しくは、金属異物102が、基板Wの主面と結合されている。より詳しくは、金属異物102が基板Wの主面の表層部を構成する物質と結合されている。基板Wの主面の表層部は、たとえば、酸化シリコン層(SiO2層)、窒化シリコン層(SiN層)等の絶縁体層やシリコン層等の半導体層によって構成されている。
図6Bは、基板Wの主面にポリマー膜101が形成されている状態を示している。
図6Bに示すように、ポリマー膜101が形成されている状態において、ポリマー膜101中の酸性ポリマー105によって、基板Wの主面から露出するヒドロキシ基(OH)の酸素原子と金属異物102との結合が切断される。これにより、金属異物102がイオン化される。イオン化された金属異物102は、酸性ポリマー105に吸着される。図6Bには、酸性ポリマー105がポリアクリル酸である例を示している。
詳しくは、酸性ポリマー105は、溶媒にプロトンを放出し、負電荷を帯びている。そのため、酸性ポリマー105は、イオン化された金属異物102(金属イオン)をクーロン力によって吸着して(引き寄せて)、金属異物102を基板Wから引き離す(イオン吸着工程、金属異物吸着工程)。これにより、金属異物102がポリマー膜101に吸着される(金属異物吸着工程)。ポリマー膜中には溶媒が残留しているため、溶媒は、ポリマー膜中において酸性ポリマーがイオン(プロトン)を授受するための媒体として機能する。
金属異物102のイオン化は、酸化剤によって促進される(イオン化促進工程)。具体的には、酸化剤の作用によって、金属異物102は、電子(e-)を奪われて金属イオン(陽イオン)となる。酸化剤によって金属異物102のイオン化が促進されているため、イオン化された金属異物102の酸性ポリマー105による吸着が、促進される(吸着促進工程)。
このように、ポリマー膜101中の酸性ポリマー105によって、金属異物102がイオン化され、ポリマー膜101に吸着される。さらに、ポリマー膜101中の酸化剤によって、金属異物102のイオン化が促進される。そのため、酸化剤と酸性ポリマー105との相乗効果によって、ポリマー膜101に金属異物102を効果的に吸着させることができる。
ポリマー膜101の作用によって、金属異物102が基板Wの主面から引き離されているため、図6Cに示すように、リンス液を基板Wの主面に供給することによって、ポリマー膜101がリンス液に溶解され、リンス液とともに基板W外へ排出される。金属異物102は、ポリマー膜101とともに基板Wの主面に沿ってリンス液に流され、やがて基板W外へ排出される。これにより、基板Wの主面から金属異物102が除去される(金属異物除去工程)。これにより、基板Wの主面が洗浄される(リンス工程)。
第1実施形態によれば、ポリマー含有液が供給された基板Wを回転させることで半固体状のポリマー膜101が形成される。半固体状のポリマー膜101中の酸性ポリマーの作用によって、金属異物102が基板Wの主面から引き離されてポリマー膜101に吸着される(金属異物吸着工程)。そして、半固体状のポリマー膜101中の酸化剤の作用によって、酸性ポリマーによる金属異物102の吸着が促進される(吸着促進工程)。そのため、基板Wの主面の全体を覆うために必要な量のポリマー含有液によってポリマー膜101を形成し、リンス液によってポリマー膜101を除去すれば、基板Wの主面へのポリマー含有液の供給を継続することなく基板Wの主面から金属異物102を良好に除去できる。
したがって、ポリマー含有液に基板Wを浸漬させることなく金属異物102を充分に除去できるため、ポリマー含有液の使用量を低減できる。これにより、環境負荷を低減できる。
第1実施形態によれば、ポリマー含有液が、10wt%で酸性ポリマーを含有する酸性ポリマー液と、30wt%で酸化剤を含有する液状酸化剤とを、1:6の体積比率で混合した混合液である。このモル比率であれば、基板Wの主面から一層効率良く金属異物102を除去できる。
第1実施形態によれば、ポリマー含有液タンク80にポリマー含有液が貯留されている。そのため、酸性ポリマーと酸化剤とがポリマー含有液タンク80からポリマー含有液ノズル8に供給される前に混合されている。そのため、ポリマー含有液タンク80からポリマー含有液ノズル8に向かう経路中や基板Wの主面上で酸性ポリマーおよび酸化剤が混合される構成と比較して、ポリマー含有液中の酸性ポリマーおよび酸化剤の比率を、精度良く調整できる。
上述の実施形態では、ポリマー膜101中の酸化剤および酸性ポリマーの作用によって、金属異物102が基板Wの主面から引き離されることを説明している。しかしながら、ポリマー膜101が形成される前のポリマー含有液中に存在する酸化剤および酸性ポリマーの作用によっても、金属異物102を基板Wの主面から引き離すことができる。ただし、上述したように、ポリマー膜101中の溶媒に溶解されている酸化剤および酸性ポリマーは、それぞれ、ポリマー含有液中の酸化剤および酸性ポリマーよりも濃度が高い。高濃度の酸性ポリマーを金属異物102に作用させることができるので、ポリマー膜101に金属異物102を効果的に吸着させることができる。したがって、基板Wの主面にポリマー膜101を形成することによって、基板Wの主面から金属異物102を効果的に引き離すことができる。さらに、リンス液によるポリマー膜除去の際に、基板Wの主面から金属異物102を一層除去できる。
ポリマー膜101には、溶媒が含有されており半固体状であるため、酸性ポリマーは、ポリマー膜101が固体状であるときよりも、金属異物102に作用しやすい。第1実施形態とは異なり、ポリマー膜101が形成された直後に溶媒が完全に蒸発した固体状膜となってしまった場合、酸性ポリマーが酸として機能しにくい。そのため、ポリマー膜101が半固体状である場合と比較して、ポリマー膜101に金属異物102が吸着されにくい。第1実施形態では、ポリマー膜101は、形成されてから除去されるまでの間、半固体状に維持される。そのため、ポリマー膜101によって金属異物102が効果的に吸着される。
<第1実施形態に係る基板処理の別の例>
図7は、基板処理装置1によって実行される基板処理の別の例を説明するための流れ図である。図8は、基板処理装置1によって実行される基板処理の別の例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
図7は、基板処理装置1によって実行される基板処理の別の例を説明するための流れ図である。図8は、基板処理装置1によって実行される基板処理の別の例が行われているときの基板の様子を説明するための模式図である。
この基板処理が、図4および図5A~図5Eに示す基板処理と主に異なる点は、図7に示すように、ポリマー膜加熱工程(ステップS4)の代わりに、ポリマー膜101を加熱することなく、所定時間の間、基板Wの回転を停止させた状態を維持する基板回転停止工程(ステップS10、回転停止維持工程)が実行される点である。
詳しくは、基板Wの上面にポリマー膜101が形成された後(ステップS3の後)、図8に示すように、スピンモータ25が基板Wの回転を停止させる(基板回転停止工程)。その後、所定の静置時間の間、基板Wを回転させることなくポリマー膜101を静置する(ポリマー膜静置工程)。「ポリマー膜101を静置する」とは、基板Wの回転を停止した状態で基板W上にポリマー膜101を放置することをいう。
この基板処理を採用すれば、基板Wの回転を停止させることによって、基板Wの主面上のポリマー膜101からの溶媒の過剰な蒸発を抑制できる。これによって、ポリマー膜101が完全に固化することを抑制しながら、ポリマー膜101中の酸化剤および酸性ポリマーの作用によって、ポリマー膜101に金属異物102を効果的に吸着させることができる。
ポリマー膜101を静置している間も、ポリマー膜101中の溶媒は蒸発する。そのため、ポリマー膜101中の酸性ポリマーの濃度(密度)が高くなる(ポリマー濃縮工程)。
<第1実施形態に係る基板処理装置の変形例>
図9は、基板処理装置1の第1変形例について説明するための模式図である。図10は、基板処理装置1の第2変形例について説明するための模式図である。基板処理装置1の第1変形例および第2変形例では、基板Wの上面へのポリマー含有液の供給方法が図2に示す例とは異なる。
図9は、基板処理装置1の第1変形例について説明するための模式図である。図10は、基板処理装置1の第2変形例について説明するための模式図である。基板処理装置1の第1変形例および第2変形例では、基板Wの上面へのポリマー含有液の供給方法が図2に示す例とは異なる。
図9に示す第1変形例では、酸化剤および溶媒を含有する液状酸化剤と、酸性ポリマーおよび溶媒を含有する酸性ポリマー液とが、配管内で混合されてポリマー含有液が形成され、配管内で形成されたポリマー含有液がポリマー含有液ノズル8から吐出されて基板Wの上面に供給される(ポリマー含有液供給工程)。液状酸化剤は、たとえば、過酸化水素水およびオゾン水のうちの少なくとも1つを含む。
詳しくは、第1変形例に係るポリマー含有液供給ユニット11は、ポリマー含有液を吐出するポリマー含有液ノズル8と、ポリマー含有液をポリマー含有液ノズル8に案内するポリマー含有液配管40と、液状酸化剤を貯留する液状酸化剤タンク81から液状酸化剤が供給される液状酸化剤配管43と、酸性ポリマー液を貯留する酸性ポリマー液タンク82から酸性ポリマー液が供給される酸性ポリマー液配管44と、液状酸化剤配管43および酸性ポリマー液配管44に接続され液状酸化剤および酸性ポリマー液を混合してポリマー含有液を形成しポリマー含有液配管40にポリマー含有液を送る混合配管45とを含む。
ポリマー含有液供給ユニット11は、液状酸化剤配管43に介装され液状酸化剤配管43内の流路を開閉する液状酸化剤バルブ56と、液状酸化剤配管43に介装され液状酸化剤配管43内の液状酸化剤の流量を調整する液状酸化剤流量調整バルブ57と、酸性ポリマー液配管44に介装され酸性ポリマー液配管44内の流路を開閉する酸性ポリマー液バルブ58と、酸性ポリマー液配管44に介装され酸性ポリマー液配管44内の液状酸化剤の流量を調整する酸性ポリマー液流量調整バルブ59と、ポリマー含有液配管40に介装されポリマー含有液配管40内の流路を開閉するポリマー含有液バルブ50とを含む。
液状酸化剤配管43および酸性ポリマー液配管44には、それぞれ、液状酸化剤ポンプ71および酸性ポリマー液ポンプ72が介装されている。そのため、液状酸化剤バルブ56が開かれると、液状酸化剤タンク81内の液状酸化剤が、液状酸化剤ポンプ71によって液状酸化剤配管43に送り出される。酸性ポリマー液バルブ58が開かれると、酸性ポリマー液タンク82内の酸性ポリマー液が、酸性ポリマー液ポンプ72によって酸性ポリマー液配管44に送り出される。ポリマー含有液バルブ50が開かれると、混合配管45内で形成されたポリマー含有液が、ポリマー含有液ノズル8の吐出口から下方に連続流で吐出され、基板Wの上面上に供給される(ポリマー含有液供給工程)。液状酸化剤流量調整バルブ57および酸性ポリマー液流量調整バルブ59の開度を調整することで、ポリマー含有液中の酸性ポリマーおよび酸化剤の比率が調整される。
図10を参照して、第2変形例では、液状酸化剤と酸性ポリマー液とが、別々のノズルから基板Wの上面に供給され、基板Wの上面上で酸性ポリマー液および液状酸化剤が混合されてポリマー含有液が形成される。基板Wの上面上でポリマー含有液が形成されることによって、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される(ポリマー含有液供給工程)。
詳しくは、第2変形例に係るポリマー含有液供給ユニット11は、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて、液状酸化剤を吐出する液状酸化剤ノズル14と、スピンチャック5に保持された基板Wの上面に向けて、酸性ポリマー液を吐出する酸性ポリマー液ノズル15とを含む。液状酸化剤ノズル14には、第1変形例の液状酸化剤配管43が接続されており、酸性ポリマー液ノズル15には、第1変形例の酸性ポリマー液配管44が接続されている。
第2変形例に係るポリマー含有液供給ユニット11は、液状酸化剤配管43と、液状酸化剤バルブ56と、液状酸化剤流量調整バルブ57と、酸性ポリマー液配管44と、酸性ポリマー液バルブ58と、酸性ポリマー液流量調整バルブ59とをさらに含む。
液状酸化剤ノズル14および酸性ポリマー液ノズル15は、この実施形態では、水平方向に移動可能なスキャンノズルである。液状酸化剤ノズル14および酸性ポリマー液ノズル15は、それぞれ、第3ノズル移動ユニット37および第4ノズル移動ユニット38によって、水平方向に移動される。第3ノズル移動ユニット37および第4ノズル移動ユニット38は、第1ノズル移動ユニット35と同様の構成を有している。
液状酸化剤バルブ56が開かれると、液状酸化剤タンク81内の液状酸化剤が、液状酸化剤ポンプ71によって液状酸化剤配管43に送り出され、液状酸化剤ノズル14の吐出口から下方に連続流で吐出される。酸性ポリマー液バルブ58が開かれると、酸性ポリマー液タンク82内の酸性ポリマー液が、酸性ポリマー液ポンプ72によって酸性ポリマー液配管44に送り出され、酸性ポリマー液ノズル15の吐出口から下方に連続流で吐出される。液状酸化剤バルブ56および酸性ポリマー液バルブ58がともに開かれているとき、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される(ポリマー含有液供給工程)。
また、図9に示す第1変形例および図10に示す第2変形例の基板処理装置1であれば、上述した基板処理とは異なり、基板Wの上面に液状酸化剤を供給した後、液状酸化剤の供給を継続しながら酸性ポリマー液を供給することによって、基板W上でポリマー含有液を形成することも可能である。
<第2実施形態に係る基板処理装置の構成>
図11は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。図11において、前述の図1~図10に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図12についても同様である。
図11は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。図11において、前述の図1~図10に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図12についても同様である。
第2実施形態に係る基板処理装置1Pが第1実施形態に係る基板処理装置1(図2を参照)と主に異なる点は、加熱流体供給ユニット13の代わりにヒータユニット6が設けられている点である。
ヒータユニット6は、基板Wの全体を加熱する基板加熱ユニットの一例である。ヒータユニット6は、円板状のホットプレートの形態を有している。ヒータユニット6は、スピンベース22の上面と基板Wの下面との間に配置されている。ヒータユニット6は、基板Wの下面に下方から対向する対向面6aを有する。
ヒータユニット6は、プレート本体61およびヒータ62を含む。プレート本体61は、平面視において、基板Wよりも僅かに小さい。プレート本体61の上面が対向面6aを構成している。ヒータ62は、プレート本体61に内蔵されている抵抗体であってもよい。ヒータ62に通電することによって、対向面6aが加熱される。対向面6aは、たとえば、195℃に加熱される。対向面6aの温度は、60℃以上100℃未満の温度であってもよい。
ヒータユニット6の下面には、回転軸線A1に沿って鉛直方向に延びる昇降軸66が結合されている。昇降軸66は、スピンベース22の中央部に形成された貫通孔22aと、中空の回転軸24とを挿通している。昇降軸66内には、給電線63が通されている。
ヒータ62には、給電線63を介してヒータ通電ユニット64から電力が供給される。ヒータ通電ユニット64は、たとえば、電源である。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって昇降される。
ヒータ昇降ユニット65は、たとえば、昇降軸66を昇降駆動する電動モータまたはエアシリンダ等のアクチュエータ(図示せず)を含む。ヒータ昇降ユニット65は、ヒータリフタともいう。ヒータ昇降ユニット65は、昇降軸66を介してヒータユニット6を昇降させる。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって昇降されて、下位置および上位置に位置することができる。ヒータ昇降ユニット65は、下位置および上位置だけでなく、下位置および上位置の間の任意の位置にヒータユニット6を配置することが可能である。
ヒータユニット6は、上昇する際に、開状態の複数のチャックピン23から基板Wを受け取ることが可能である。ヒータユニット6は、ヒータ昇降ユニット65によって、基板Wの下面に接触する接触位置、または、基板Wの下面に近接する近接位置に配置されることによって、基板Wを加熱することができる。
<第2実施形態に係る基板処理の一例>
図12は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pによって一例が行われているときの基板Wの様子を説明するための模式図である。第2実施形態に係る基板処理装置1Pは、ポリマー膜加熱工程(ステップS4)における加熱手法が異なることを除いて、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の基板処理(図4~図5E)を実行することができる。
図12は、第2実施形態に係る基板処理装置1Pによって一例が行われているときの基板Wの様子を説明するための模式図である。第2実施形態に係る基板処理装置1Pは、ポリマー膜加熱工程(ステップS4)における加熱手法が異なることを除いて、第1実施形態に係る基板処理装置1と同様の基板処理(図4~図5E)を実行することができる。
図12に示すように、第2実施形態に係る基板処理のポリマー膜加熱工程(ステップS4)では、ヒータユニット6を近接位置に配置することによって、輻射熱で基板Wが加熱される(基板加熱工程、ヒータ加熱工程)。ヒータユニット6は、基板Wを介して、ポリマー膜101を加熱する(ポリマー膜加熱工程)。基板Wにヒータユニット6を近接させている間、基板Wは、所定のヒータ加熱速度で回転される。ヒータ加熱速度は、たとえば、800rpmである。その後のリンス工程(ステップS5)では、ヒータユニット6を下位置に移動させてもよいし、スピンドライ(ステップS6)が終了するまでヒータユニット6を近接位置に配置してもよい。
ヒータユニット6を近接位置に配置して基板Wおよびポリマー膜101を加熱する場合、対向面6aの温度は、基板Wの温度がポリマー膜101中の溶媒の沸点を超えないように加熱できる温度であることが好ましく、対向面6aの温度は、ポリマー膜101中の溶媒の沸点よりも高い温度(たとえば、100℃以上)に調整される。
図12に示す例とは異なり、ヒータユニット6を接触位置に配置することで、ポリマー膜加熱工程が実行されてよい。ヒータユニット6が接触位置に位置するとき、基板Wの回転が制限されるため、基板W上のポリマー膜101は静置される。ヒータユニット6が接触位置に位置するとき、対向面6aの温度は、ポリマー膜101中の溶媒の沸点よりも低い温度であることが好ましい。溶媒がDIWである場合、対向面6aの温度は、60℃以上100℃未満であることが好ましい。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形例を適用することができる。すなわち、液状酸化剤と酸性ポリマー液とが、配管内で混合されてポリマー含有液が形成され、配管内で形成されたポリマー含有液がポリマー含有液ノズル8から吐出されてもよい。あるいは、液状酸化剤と酸性ポリマー液とが、別々のノズルから基板Wの上面に供給され、基板Wの上面上で酸性ポリマー液および液状酸化剤が混合されてポリマー含有液が形成されてもよい。
<第3実施形態に係る基板処理装置の構成>
図13は、第3実施形態に係る基板処理装置1Qに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。図13において、前述の図1~図12に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図14~図16についても同様である。
図13は、第3実施形態に係る基板処理装置1Qに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式的な断面図である。図13において、前述の図1~図12に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図14~図16についても同様である。
第3実施形態に係る基板処理装置1Qが第1実施形態に係る基板処理装置1(図2を参照)と主に異なる点は、ポリマー含有液が、溶媒、酸性ポリマーおよび酸化剤に加えて、ポリアセチレン等の導電性ポリマーを含有する点である。
導電性ポリマーは、溶媒と同様に、酸性ポリマーがプロトンを放出するための媒体として機能する。導電性ポリマーは、ポリアセチレンに限られない。導電性ポリマーは、共役二重結合を有する共役系ポリマーである。共役系ポリマーは、たとえば、ポリアセチレン等の脂肪族共役系ポリマー、ポリ(p-フェニレン)等の芳香族共役系ポリマー、ポリ(p-フェニレンビニレン)等の混合型共役系ポリマー、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等の複素環共役系ポリマー、ポリアニリン等の含ヘテロ原子共役系ポリマー、ポリアセン等の複鎖型共役系ポリマー、グラフェン等の二次元共役系ポリマー、または、これらの混合物である。
ポリマー含有液タンク80には、たとえば、液状酸化剤および酸性ポリマー液とは別に、導電性ポリマー液が補充管86を介して補充される。複数の補充管84~86には、対応する補充管84~86内の流路を開閉する複数の補充バルブ87がそれぞれ介装されている。
図13に示す例とは異なり、ポリマー含有液補充管(図示せず)を介してポリマー含有液が補充されてもよい。導電性ポリマー液は、上述した溶媒と導電性ポリマーとを含有する液体である。
<第3実施形態に係る基板処理の一例>
第3実施形態に係る基板処理装置1Qを用いることで第1実施形態に係る基板処理(図4~図5Eを参照)と同様の基板処理が可能である。すなわち、ポリマー含有液タンク80に、酸性ポリマー、液状酸化剤および導電性ポリマーを含有するポリマー含有液が貯留される(準備工程)。そのため、ポリマー膜形成工程(ステップS3)において形成されるポリマー膜101が、酸性ポリマーおよび酸化剤に加えて、導電性ポリマーを含有する。
第3実施形態に係る基板処理装置1Qを用いることで第1実施形態に係る基板処理(図4~図5Eを参照)と同様の基板処理が可能である。すなわち、ポリマー含有液タンク80に、酸性ポリマー、液状酸化剤および導電性ポリマーを含有するポリマー含有液が貯留される(準備工程)。そのため、ポリマー膜形成工程(ステップS3)において形成されるポリマー膜101が、酸性ポリマーおよび酸化剤に加えて、導電性ポリマーを含有する。
酸性ポリマーがプロトンを放出するための媒体として導電性ポリマーが機能するため、ポリマー膜101が基板W上に形成されている状態で、導電性ポリマーの作用によって、酸性ポリマーをイオン化できる。そのため、ポリマー膜101から溶媒が完全に消失してポリマー膜が固体状になっている場合であっても、酸性ポリマーをイオン化し、イオン化した酸性ポリマーを金属異物102に効果的に作用させることができる。
<第3実施形態に係る基板処理装置の変形例>
図14は、基板処理装置1Qの第1変形例について説明するための模式図である。図15は、基板処理装置1Qの第2変形例について説明するための模式図である。図16は、基板処理装置1Qの第3変形例について説明するための模式図である。図17は、基板処理装置1Qの第4変形例について説明するための模式図である。
図14は、基板処理装置1Qの第1変形例について説明するための模式図である。図15は、基板処理装置1Qの第2変形例について説明するための模式図である。図16は、基板処理装置1Qの第3変形例について説明するための模式図である。図17は、基板処理装置1Qの第4変形例について説明するための模式図である。
基板処理装置1Qの第1変形例~第4変形例では、基板Wの上面へのポリマー含有液の供給方法が図13に示す例とは異なる。図14~図17に示す変形例では、説明の便宜上、処理カップ7、および、リンス液ノズル9の図示を省略している。ポンプ、バルブ、ノズル移動ユニット等についての記載を省略して説明するが、これらの部材が存在しないことを意味するものではなく、実際にはこれらの部材は適切な位置に設けられている。
図14に示す第1変形例では、液状酸化剤と、酸性ポリマー液と、導電性ポリマー液とが、混合配管45内で混合されてポリマー含有液が形成され、混合配管45内で形成されたポリマー含有液がポリマー含有液ノズル8から吐出されて基板Wの上面に供給される(ポリマー含有液供給工程)。
詳しくは、混合配管45には、導電性ポリマー液タンク83内の導電性ポリマー液を混合配管45に案内する導電性ポリマー液配管46が、液状酸化剤配管43および酸性ポリマー液配管44とともに接続されており、混合配管45内で、導電性ポリマー液、酸性ポリマー液および液状酸化剤が混合される。この変形例では、混合配管45および導電性ポリマー液配管46もポリマー含有液供給ユニット11に含まれる。
図15に示す第2変形例では、酸性ポリマー液および導電性ポリマー液が混合タンク90内で混合されて混合ポリマー液が形成される。混合タンク90には、2つの補充管84,86からそれぞれ酸性ポリマー液および導電性ポリマー液が供給される。混合タンク90内で形成された混合ポリマー液は、混合ポリマー液配管47を介して混合ポリマー液ノズル16に供給される。混合ポリマー液は、混合ポリマー液ノズル16から基板Wの上面に向けて吐出されて基板Wの上面に供給される(混合ポリマー液供給工程)。
基板Wの上面への混合ポリマー液の供給と並行して、混合ポリマー液ノズル16とは異なるノズル(液状酸化剤ノズル14)から基板Wの上面へ向けて液状酸化剤が供給されることによって、基板Wの上面上で混合ポリマー液と液状酸化剤とが混合されてポリマー含有液が形成される。基板Wの上面上でポリマー含有液が形成されることによって、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される(ポリマー含有液供給工程)。
図16に示す第3変形例では、酸性ポリマー液配管44から供給される酸性ポリマー液と、導電性ポリマー液配管46から供給される導電性ポリマー液とが、混合配管45内で混合されて混合ポリマー液が形成される。混合配管45内で混合された混合ポリマー液は、混合ポリマー液配管47を介して混合ポリマー液ノズル16に供給される。混合ポリマー液は、混合ポリマー液ノズル16から吐出されて基板Wの上面に供給される(混合ポリマー液供給工程)。
基板Wの上面への混合ポリマー液の供給と並行して、混合ポリマー液ノズル16とは異なるノズル(液状酸化剤ノズル14)から基板Wの上面へ向けて液状酸化剤が供給されることによって、基板Wの上面上で混合ポリマー液と液状酸化剤とが混合されてポリマー含有液が形成される。基板Wの上面上でポリマー含有液が形成されることによって、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される(ポリマー含有液供給工程)。
図17に示す第4変形例では、酸性ポリマー液、液状酸化剤、および、導電性ポリマー液が、別々のノズルから基板Wの上面に供給され、基板Wの上面上でこれらの液体が混合されることによって、基板Wの上面にポリマー含有液が形成される。基板Wの上面上でポリマー含有液が形成されることによって、基板Wの上面にポリマー含有液が供給される(ポリマー含有液供給工程)。
詳しくは、酸性ポリマー液は、酸性ポリマー液ノズル15から吐出され、液状酸化剤は、液状酸化剤ノズル14から吐出される。導電性ポリマー液は導電性ポリマー液タンク83に接続された導電性ポリマー液配管46介して、導電性ポリマー液ノズル17に供給される。導電性ポリマー液は、導電性ポリマー液ノズル17から吐出されて、基板Wの上面に供給される。
<第4実施形態に係る基板処理装置の構成>
図18は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。図18において、前述の図1~図17に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図19および図21についても同様である。
図18は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rに備えられる処理ユニット2の構成例を説明するための模式図である。図18において、前述の図1~図17に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。後述する図19および図21についても同様である。
第4実施形態に係る基板処理装置1Rが第1実施形態に係る基板処理装置1(図2を参照)と主に異なる点は、ポリマー含有液ノズル8から吐出されるポリマー含有液に酸化剤が含有されていない点、および、固化洗浄液を基板Wに供給可能である点である。第4実施形態においてポリマー含有液として酸性ポリマー液が用いられる。
第4実施形態に係る酸性ポリマーは、酸化剤を含有するポリマー含有液よりも酸性度が高いことが好ましく、ポリマー含有液のpHは、1以下である。そうであれば、酸性ポリマーに酸化剤が含有されていなくても、基板Wの上面から金属異物を充分に除去することができる。酸性ポリマーは、たとえば、カルボキシ基含有ポリマー、スルホ基含有ポリマーまたはこれらの混合物である。カルボキシ基含有ポリマーおよびスルホ基含有ポリマーの詳細は上述の通りである。
基板処理装置1Rは、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて酸化膜除去液を吐出する酸化膜除去液ノズル150と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて固化洗浄液を吐出する固化洗浄液ノズル151と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて固化洗浄膜除去液を吐出する固化洗浄膜除去液ノズル152と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に向けて有機溶剤を吐出する有機溶剤ノズル153とをさらに備えている。
酸化膜除去液ノズル150から吐出される酸化膜除去液は、基板Wの上面から露出する酸化シリコン等の酸化膜(たとえば、自然酸化膜)を除去する液体である。酸化膜除去液は、たとえば、フッ酸である。
酸化膜除去液ノズル150は、酸化膜除去液ノズル150に酸化膜除去液を案内する酸化膜除去液配管160の一端に接続されている。酸化膜除去液配管160には、酸化膜除去液配管160内の流路を開閉する酸化膜除去液バルブ170Aと、当該流路内の酸化膜除去液の流量を調整する酸化膜除去液流量調整バルブ170Bとが介装されている。酸化膜除去液バルブ170Aが開かれると、酸化膜除去液流量調整バルブ170Bの開度に応じた流量で、酸化膜除去液ノズル150から基板Wの上面に向けて酸化膜除去液が吐出される。
固化洗浄液ノズル151から吐出される固化洗浄液は、半固体状または固体状の固化洗浄膜を形成する成分を含有する。固化洗浄液は、たとえば、低溶解性成分と、低溶解性成分よりも除去液に対する溶解性が高い高溶解性成分と、低溶解性成分および高溶解性成分を溶解させる溶媒とを含有する。溶媒は、たとえば、IPA(イソプロパノール)等の有機溶剤である。
低溶解性成分は、たとえば、ポリマーである。詳しくは、低溶解性成分は、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリマレイン酸誘導体、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、およびこれらの組合せの共重合体、の少なくとも1つを含んでいてもよい。
高溶解性成分は、クラック促進成分であり、その分子内に、炭化水素と、ヒドロキシ基および/またはカルボニル基とを含有していてもよい。高溶解性成分は、下記(B-1)、(B-2)および(B-3)の少なくともいずれか1つで表される物質であってもよい。
(B-1)は、化学式1を構成単位として1~6つ含み、各前記構成単位が連結基L1で結合される化合物である。
ここで、L1は単結合、およびC1~6アルキレンの少なくとも1つから選ばれ、Cy1はC5~30の炭化水素環であり、R1はそれぞれ独立にC1~5のアルキルであり、nb1は1、2または3であり、nb1’は0、1、2、3または4である。
(B-2)は、化学式2で表される化合物である。
ここで、R21、R22、R23、およびR24は、それぞれ独立に水素またはC1~5のアルキルであり、L21およびL22は、それぞれ独立に、C1~20のアルキレン、C1~20のシクロアルキレン、C2~4のアルケニレン、C2~4のアルキニレン、またはC6~20のアリーレンであり、これらの基はC1~5アルキルまたはヒドロキシで置換されていてもよく、nb2は0、1または2である。
(B-3)は、化学式3で表される構成単位を含んでなり、重量平均分子量(Mw)が500~10,000であるポリマーである。
R25は-H、-CH3、または-COOHである。
固化洗浄液に含有されている低溶解性成分、高溶解性成分、および、溶媒の詳細は、たとえば、特開2019-212889号公報に開示されている。低溶解性成分、高溶解性成分、および、溶媒としては、特開2019-212889号公報に開示されている「第2成分」、「第1成分」および「溶媒」をそれぞれ用いることができる。
固化洗浄液ノズル151は、固化洗浄液ノズル151に固化洗浄液を案内する固化洗浄液配管161の一端に接続されている。固化洗浄液配管161には、固化洗浄液配管161内の流路を開閉する固化洗浄液バルブ171Aと、当該流路内の固化洗浄液の流量を調整する固化洗浄液流量調整バルブ171Bとが介装されている。固化洗浄液バルブ171Aが開かれると、固化洗浄液流量調整バルブ171Bの開度に応じた流量で、固化洗浄液ノズル151から基板Wの上面に向けて固化洗浄液が吐出される。
基板Wの上面に供給された固化洗浄液から溶媒の少なくとも一部が蒸発(揮発)することによって、低溶解性成分および高溶解性成分を含有する固体状または半固体状の固化洗浄膜が形成される。
固化洗浄膜除去液ノズル152から吐出される固化洗浄膜除去液は、固化洗浄膜を基板Wの主面から剥離して除去する液体である。固化洗浄膜除去液は、たとえば、アンモニア水等のアルカリ性液体である。
固化洗浄膜除去液が基板W上の固化洗浄膜に供給されることによって、固化洗浄膜中の高溶解性成分が溶解され、高溶解性成分の溶解をきっかけとして固化洗浄膜にクラックが生じる。その後も固化洗浄膜除去液の供給を継続することで、固化洗浄膜が、分裂して膜片となり、かつ、基板Wの上面から剥離される。膜片は、固化洗浄膜除去液とともに基板Wの上面から排除される。膜片は、基板Wの上面に付着していたパーティクル等の粒状異物を保持した状態で基板Wの上面から剥離されるので、基板Wの上面から粒状異物が除去される。粒状異物は、たとえば、有機物および無機物の少なくとも一方で構成されている。
このように、基板Wの主面に付着した液体(固化洗浄液)を固化して固体状または半固体状の膜(固化洗浄膜)を形成した後、当該膜を剥離によって除去することで、基板Wの主面を洗浄する手法を固化洗浄という。
固化洗浄膜除去液ノズル152は、固化洗浄膜除去液ノズル152に固化洗浄膜除去液を案内する固化洗浄膜除去液配管162の一端に接続されている。固化洗浄膜除去液配管162には、固化洗浄膜除去液配管162内の流路を開閉する固化洗浄膜除去液バルブ172Aと、当該流路内の固化洗浄膜除去液の流量を調整する固化洗浄膜除去液流量調整バルブ172Bとが介装されている。固化洗浄膜除去液バルブ172Aが開かれると、固化洗浄膜除去液流量調整バルブ172Bの開度に応じた流量で、固化洗浄膜除去液ノズル152から基板Wの上面に向けて固化洗浄膜除去液が吐出される。
有機溶剤ノズル153から吐出される有機溶剤は、固化洗浄膜が除去された後に、基板Wの主面に残る残渣を基板Wの主面から除去する残渣除去液として機能する。また、有機溶剤は、リンス液および固化洗浄液の両方と混和可能である。有機溶剤は、たとえば、IPAであるが、IPAに限られない。
有機溶剤ノズル153は、有機溶剤ノズル153に有機溶剤を案内する有機溶剤配管163の一端に接続されている。有機溶剤配管163には、有機溶剤配管163内の流路を開閉する有機溶剤バルブ173Aと、当該流路内の有機溶剤の流量を調整する有機溶剤流量調整バルブ173Bとが介装されている。有機溶剤ノズル153は、有機溶剤とともに不活性ガスを吐出することができるように構成されていてもよい。
この実施形態では、処理ユニット2は、ポリマー含有液ノズル8、リンス液ノズル9および酸化膜除去液ノズル150を同時に水平移動させる第1スキャンユニット180と、固化洗浄液ノズル151および固化洗浄膜除去液ノズル152を同時に水平移動させる第2スキャンユニット181と、有機溶剤ノズル153を水平移動させる第3スキャンユニット182とを備えている。
第1スキャンユニット180は、ポリマー含有液ノズル8、リンス液ノズル9および酸化膜除去液ノズル150を共通に支持する第1支持部材180Aと、第1支持部材180Aを駆動する第1駆動機構180Bとを含む。第2スキャンユニット181は、固化洗浄液ノズル151および固化洗浄膜除去液ノズル152を共通に支持する第2支持部材181Aと、第2支持部材181Aを駆動する第2駆動機構181Bとを含む。第3スキャンユニット182は、有機溶剤ノズル153を支持する第3支持部材182Aと、第3支持部材182Aを駆動する第3駆動機構182Bとを含む。後述する基板処理では、各工程において流体を吐出するノズルが配置される処理位置は、たとえば、中央位置である。
<第4実施形態に係る基板処理の一例>
図19は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rによって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。
図19は、第4実施形態に係る基板処理装置1Rによって実行される基板処理の一例を説明するための流れ図である。
第4実施形態に係る基板処理は、第1実施形態に係る基板処理(図4を参照)とは異なり、基板搬入工程(ステップS1)およびポリマー含有液供給工程(ステップS2)の間に、酸化膜除去液供給工程(ステップS20)、除去液排除工程(ステップS21)、第1置換工程(ステップS22)、固化洗浄液供給工程(ステップS23)、固化洗浄膜形成工程(ステップS24)、固化洗浄膜除去工程(ステップS25)、残渣除去工程(ステップS26)、および、第2置換工程(ステップS27)がこの順番で実行される。
以下では、第4実施形態に係る基板処理について簡潔に説明する。第4実施形態に係る基板処理では、搬送ロボットCRが処理ユニット2外に退避した後、酸化膜除去液ノズル150から基板Wの上面に酸化膜除去液が供給されて、基板Wの上面から露出する酸化膜が除去される(酸化膜除去液供給工程:ステップS20)。その後、リンス液ノズル9から基板Wの上面にリンス液を供給することで、基板Wの上面から酸化膜除去液が排除される(除去液排除工程:ステップS21)。
その後、有機溶剤ノズル153から基板Wの上面に有機溶剤を供給することで、基板W上のリンス液が有機溶剤で置換される(第1置換工程:ステップS22)。さらにその後、固化洗浄液ノズル151から基板Wの上面に固化洗浄液が供給される(固化洗浄液供給工程:ステップS23)。その後、基板Wの上面への固化洗浄液の供給を停止し、かつ、回転状態の基板Wを加熱流体で加熱することで、基板W上の固化洗浄液が固化されて、固化洗浄膜が形成される(固化洗浄膜形成工程:ステップS24)。固化洗浄膜形成工程において、必ずしも基板Wを加熱する必要はないが、基板Wを加熱すれば固化洗浄膜の形成が促進される。
固化洗浄膜が形成された後、固化洗浄膜除去液ノズル152から固化洗浄膜除去液を基板Wの上面に供給することで(固化洗浄膜除去液供給工程)、固化洗浄膜が基板Wの上面から剥離されて除去される(固化洗浄膜除去工程:ステップS25)。固化洗浄膜が基板Wの上面から除去された後、有機溶剤ノズル153から基板Wの上面に有機溶剤を供給することで、固化洗浄膜の残渣が基板Wの上面から除去される(残渣除去工程:ステップS26)。その後、リンス液ノズル9からリンス液を基板Wの上面に供給して、基板Wの上面上の有機溶剤がリンス液で置換される(第2置換工程:ステップS27)。
その後、ポリマー含有液供給工程(ステップS2)~基板搬出工程(ステップS7)が実行される。第4実施形態に係る基板処理装置1Rによれば、基板Wの上面から酸化膜および粒状異物を充分に除去した後、さらに、酸性ポリマーの作用によって金属異物を除去することができる。したがって、基板Wの上面を一層良好に洗浄することができる。
第4実施形態によれば、図6A~図6Cを参照して、ポリマー含有液が供給された基板Wを回転させることで半固体状のポリマー膜101が形成される。半固体状のポリマー膜101中の酸性ポリマーの作用によって、金属異物102が基板Wの主面から引き離されてポリマー膜101に吸着される(金属異物吸着工程)。そのため、基板Wの主面の全体を覆うために必要な量のポリマー含有液によってポリマー膜101を形成し、リンス液によってポリマー膜101を除去すれば、基板Wの主面へのポリマー含有液の供給を継続することなく基板Wの主面から金属異物102を良好に除去できる。
したがって、ポリマー含有液に基板Wを浸漬させることなく金属異物102を充分に除去できるため、ポリマー含有液の使用量を低減できる。これにより、環境負荷を低減できる。
第4実施形態によれば、ポリマー含有液のpHが1以下であるため、ポリマー含有液に酸化剤が含有されていなくても、金属異物102を基板Wから充分に除去することができる。
また、第4実施形態では、固化洗浄膜を用いて粒状異物を除去することができる。そのため、粒状異物を除去するための液体を連続流で供給し続けることなく、基板Wの上面を覆う液量の固化洗浄液を用いれば、粒状異物を除去できる。したがって、液体の使用量を削減することができる。
また、基板Wの上面に形成された固化洗浄膜が固化洗浄膜除去液によって、基板の主面から剥離され、基板Wの上面から除去される。固化洗浄膜は、固体状または半固体状であるため、基板Wの上面に付着している粒状異物を保持することができる。固化洗浄膜は、異物を保持している状態で基板Wの上面から剥離されるため、固化洗浄膜とともに粒状異物を除去できる。粒状異物が固化洗浄膜に保持されることによって、基板Wの上面を流れる固化洗浄膜除去液から受ける運動エネルギーが、固化洗浄膜に保持されていない粒状異物が固化洗浄膜除去液から受ける運動エネルギーよりも増大する。そのため、基板Wの上面から粒状異物を効果的に除去できる。
固化洗浄を実行することによって、ポリマー膜中の酸性ポリマーの作用では基板Wから除去することが困難な金属異物とは異なる性質を有する粒状異物を効果的に除去できる。
第4実施形態に係る基板処理装置1Rを用いれば、図19に示す基板処理とは異なり、ポリマー膜加熱工程(ステップS4)の代わりに、基板回転停止工程(ステップS10)(図7を参照)を実行することも可能である。
<除去効率測定実験>
図20は、ポリマー膜による金属異物の除去効率(Metal removal efficiency [%])を測定した実験(第1除去効率測定実験)の結果を示すグラフである。
図20は、ポリマー膜による金属異物の除去効率(Metal removal efficiency [%])を測定した実験(第1除去効率測定実験)の結果を示すグラフである。
第1除去効率測定実験では、13種類の金属異物がそれぞれ付着した13種類の基板を用意し、基板の各種に対して、HPM液、酸性ポリマー液、および、ポリマー含有液(酸性ポリマー液と過酸化水素水の混合液)の3種類の液体を用いた場合の金属異物の除去効率を測定した。
詳しくは、第1除去効率測定実験では、除去効率の測定は、基板の主面に、HPM液、酸性ポリマー液、またはポリマー含有液を供給し、その後、DIWによる基板の主面のリンス、基板の主面の乾燥を行った後に行われた。除去効率の測定は、全反射蛍光X線分析(TXRF)を用いて金属異物の除去度合(除去効率)を確認した。酸性ポリマー液またはポリマー含有液を用いた場合には、DIWによるリンスの前に、基板の主面にポリマー膜を形成する工程を行った。
この実験に用いられた液体の酸性ポリマー液の濃度は、10質量パーセント(wt%)である。この実験に用いられた過酸化水素水の濃度は、30質量パーセント(wt%)である。ポリマー含有液中における過酸化水素水と酸性ポリマー液との混合比率は、体積比で1:6である。
この実験結果によると、金属異物がアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)のいずれかである場合には、HPM液を用いた場合と比較して、ポリマー含有液を用いた場合の金属異物の除去効率が高いという結果が得られた。金属異物がそれ以外の金属種である場合であっても、ポリマー含有液による金属異物の除去効率は、HPM液の除去効率と同等であるという結果が得られた。
第1除去効率測定実験に基づけば、HPM液と比較して、酸性ポリマー液と過酸化水素水の混合液、すなわち、ポリマー含有液から形成されるポリマー膜は、金属異物を除去する除去力が高いことが推察される。より詳しくは、当該ポリマー含有液による除去効率の高さは、ポリマー膜を形成することによって、ポリマー含有液中よりも高濃度となった酸性ポリマーが金属異物に作用したことに起因すると考えられる。
一方、金属異物がアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)のいずれかである場合において、酸性ポリマー液を用いた場合の金属異物の除去効率は、HPM液を用いた場合と比較して低いという結果が得られた。この結果により、酸性ポリマーを金属異物に作用させる場合であっても、過酸化水素水等の酸化剤との相乗効果が重要であることが示唆された。
図21は、図20に示す第1除去効率測定実験で用いられた酸性ポリマーよりも酸性度の高い酸性ポリマーを用いた場合の金属異物の除去効率を測定した実験(第2除去効率測定実験)の結果を示すグラフである。
詳しくは、第2除去効率測定実験では、12種類の金属異物がそれぞれ付着した12種類の基板を用意し、基板の各種に対して、HPM液、酸性ポリマー液の2種類の液体を用いた場合の金属異物の除去効率を測定した。12種類の金属異物とは、第1除去効率測定実験で用いた13種類の金属異物のうち、タンタルを除いた12種類の金属異物である。
除去効率の測定は、基板の主面に、HPM液または酸性ポリマー液を供給し、その後、DIWによる基板の主面のリンス、基板の主面の乾燥を行った後に行われた。除去効率の測定は、TXRFを用いて除去効率を確認した。酸性ポリマー液を用いた場合には、DIWによるリンスの前に、基板の主面にポリマー膜を形成する工程を行った。第2除去効率測定実験において用いられた酸性ポリマー液のpHは、1であり、第1除去効率測定実験において用いられた酸性ポリマー液のpHは、3である。この実験に用いられた液体の酸性ポリマー液の濃度は、10質量パーセント(wt%)である。
この実験結果によると、酸性ポリマー液を用いた場合には、金属異物がチタン(Ti)である場合を除いて、HPM液を用いた場合と同程度の金属除去効率、または、HPM液を用いた場合よりも高い金属除去効率であるという結果が得られた。第2除去効率測定実験の結果に基づけば、酸性ポリマーの酸性度が充分に高い場合には、酸性ポリマー液から形成されるポリマー膜によって充分に金属異物を除去できることが推察される。
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、第1実施形態において、基板W上にポリマー膜101が形成された後、基板Wの回転を停止させて基板W上のポリマー膜101を静置しながら、基板Wを加熱してもよい。
また、基板W上のポリマー膜101の加熱は、加熱流体供給ユニット13による加熱、および、ヒータユニット6による加熱に限られない。具体的には、基板Wの上面に対向する赤外線ランプや、基板Wの上面に対向するヒータによって、基板W上のポリマー膜101が加熱されてもよい。
また、上述の各実施形態とは異なり、基板Wの下面にポリマー膜101が形成されるように構成されていてもよい。
また、上述の各実施形態とは異なり、ポリマー含有液には、アンモニア等のアルカリ成分が含有されていてもよい。アルカリ成分の存在によって、ポリマー含有液のpHが上昇し、金属異物に対する酸性ポリマーの吸着力が抑制される。酸性ポリマーの吸着力の抑制は、ポリマー膜101の形成後も継続される。しかしながら、ポリマー膜加熱工程において、ポリマー膜101を加熱することで、ポリマー膜101中のアルカリ成分が溶媒とともに蒸発(揮発)し、ポリマー膜101中の酸性ポリマーによる金属異物の吸着作用が発現される。
アルカリ成分は、アンモニアに限られず、ポリマー膜加熱工程における加熱温度(60℃以上150℃未満の温度)において蒸発し、溶媒中でアルカリ性を示す成分であればよい。具体的には、アルカリ成分は、たとえば、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、ジメチルアミン、またはこれらの混合物を含む。
上述の実施形態では、各構成を模式的にブロックで示している場合があるが、各ブロックの形状、大きさおよび位置関係は、各構成の形状、大きさおよび位置関係を示すものではない。
また、上述の実施形態では、基板処理装置1,1P,1Qが、搬送ロボットIR,CRと、複数の処理ユニット2と、コントローラ3とを備えている。しかしながら、基板処理装置1,1P,1Qは、単一の処理ユニット2とコントローラ3とによって構成されており、搬送ロボットIR,CRを含んでいなくてもよい。あるいは、基板処理装置1,1P,1Qは、単一の処理ユニット2のみによって構成されていてもよい。言い換えると、処理ユニット2が基板処理装置の一例であってもよい。
また、図2、図9~図11、図13~図18では、全ての配管、ポンプ、バルブ、ノズル移動ユニット等について図示しているわけではなく、これらの部材が適切な位置に設けられることを妨げるものではない。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
2 :処理ユニット(基板処理装置)
5 :スピンチャック
8 :ポリマー含有液ノズル
9 :リンス液ノズル
80 :ポリマー含有液タンク
101 :ポリマー膜
102 :金属異物
105 :酸性ポリマー
W :基板
1P :基板処理装置
2 :処理ユニット(基板処理装置)
5 :スピンチャック
8 :ポリマー含有液ノズル
9 :リンス液ノズル
80 :ポリマー含有液タンク
101 :ポリマー膜
102 :金属異物
105 :酸性ポリマー
W :基板
Claims (17)
- 酸性ポリマー、および、前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒を含有するポリマー含有液を基板の主面に供給するポリマー含有液供給工程と、
前記ポリマー含有液が主面に付着している前記基板を回転させることで前記ポリマー含有液を塗り広げて、前記酸性ポリマーを含有するポリマー膜を前記基板の主面に形成するポリマー膜形成工程と、
前記ポリマー膜が主面に形成されている状態の前記基板の主面を洗浄するリンス液を前記基板の主面に供給するリンス工程とを含む、基板処理方法。 - 前記ポリマー含有液が、前記溶媒に溶解される酸化剤をさらに含有し、
前記ポリマー膜形成工程において形成される前記ポリマー膜が、前記酸化剤をさらに含有する、請求項1に記載の基板処理方法。 - 前記ポリマー含有液が、10wt%で前記酸性ポリマーを含有する酸性ポリマー液と、30wt%で前記酸化剤を含有する液状酸化剤とを、1:6の体積比率で混合した混合液である、請求項2に記載の基板処理方法。
- 前記基板の主面に付着している金属異物を、前記ポリマー膜中の前記酸性ポリマーの作用によって前記基板の主面から引き離して前記ポリマー膜に吸着させる金属異物吸着工程と、
前記ポリマー膜中の前記酸化剤の作用によって、前記酸性ポリマーによる前記金属異物の吸着を促進する吸着促進工程とをさらに含む、請求項2または3に記載の基板処理方法。 - 前記ポリマー膜形成工程が、前記ポリマー含有液中の前記溶媒の一部を蒸発させることによって、前記ポリマー膜を形成する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 前記リンス工程が、前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去するポリマー膜除去工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜形成工程の後、前記ポリマー膜を加熱するポリマー膜加熱工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜加熱工程が、前記基板を回転させながら、前記基板の主面とは反対側の反対面に対して加熱流体を供給して前記基板を加熱することで、前記基板を介して前記ポリマー膜を加熱する流体加熱工程を含む、請求項7に記載の基板処理方法。
- 前記ポリマー膜形成工程の後、所定時間の間、前記基板の回転を停止させる基板回転停止工程をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
- ポリマー含有液タンクに前記ポリマー含有液を貯留する準備工程をさらに含み、
前記ポリマー含有液供給工程が、前記ポリマー含有液タンクからポリマー含有液ノズルに前記ポリマー含有液を供給し、前記ポリマー含有液ノズルから前記基板の主面に向けて吐出するポリマー含有液吐出工程を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の基板処理方法。 - 前記ポリマー含有液が、前記溶媒に溶解される導電性ポリマーをさらに含有し、
前記ポリマー膜形成工程において形成される前記ポリマー膜が、前記導電性ポリマーをさらに含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の基板処理方法。 - 前記ポリマー含有液供給工程の前に、前記基板の主面に固体状または半固体状の固化洗浄膜を形成する固化洗浄膜形成工程と、
前記ポリマー含有液供給工程の前に、前記固化洗浄膜を前記基板の主面から剥離して前記基板の主面から除去する固化洗浄膜除去液を前記基板の主面に供給する固化洗浄膜除去液供給工程とをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理方法。 - 基板を保持し、前記基板を所定の回転軸線まわりに回転させるスピンチャックと、
前記スピンチャックに保持されている基板の主面に、酸性ポリマー、および、前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒を含有するポリマー含有液であって、前記酸性ポリマーを含有するポリマー膜を前記基板の主面上に形成するポリマー含有液を供給するポリマー含有液ノズルと、
前記スピンチャックに保持されている基板の主面に、リンス液を供給するリンス液ノズルとを含む、基板処理装置。 - 前記ポリマー含有液が、前記溶媒に溶解される酸化剤をさらに含有する、請求項13に記載の基板処理装置。
- 前記スピンチャックが、前記ポリマー含有液ノズルにより供給されたポリマー含有液が基板の主面に付着している状態で、前記基板を回転させることによって、前記基板の主面上に前記ポリマー膜を形成し、
前記リンス液ノズルが、前記ポリマー膜が形成されている状態の前記基板にリンス液を供給することによって、前記基板の主面から前記ポリマー膜を除去する、請求項13または14に記載の基板処理装置。 - 前記ポリマー膜中の前記酸性ポリマーの作用によって、前記基板の主面に付着している金属異物が前記基板の主面から引き離されて前記ポリマー膜に吸着される、請求項15に記載の基板処理装置。
- 基板の主面に付着している金属異物を吸着する酸性ポリマーと、
前記酸性ポリマーによる前記金属異物の吸着を促進する酸化剤と、
前記酸化剤および前記酸性ポリマーを溶解させる溶媒とを含有する、ポリマー含有液。
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