JP2022145082A - プロピレン重合体組成物および発泡体 - Google Patents

プロピレン重合体組成物および発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】発泡倍率が高く、外観美麗なプロピレン系発泡体を提供することである。【解決手段】2種以上のプロピレン重合体成分を含有し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、下記式(1)で算出されるメルトテンション比が1.7以上である、プロピレン重合体組成物。MTR=MT1/MT2(1)(式中、MTRは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。MT1は、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。MT2は、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)【選択図】なし

Description

本発明はプロピレン重合体組成物および発泡体に関する。
プロピレン発泡体はその機械物性、軽量性、耐熱性、耐油性等を活かして、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用されている。
引用文献1には、Tダイを用いて共押出し法により得られた、プロピレン系樹脂発泡層の表面に樹脂層および樹脂層を有するプロピレン系樹脂製多層発泡シートにおいて、発泡層、樹脂層および樹脂層が、190℃におけるメルトテンション(MT(190))と230℃におけるメルトフローレート(MFR(230))とが、MT(190)≧7.52×MFR(230)(-0.576)を満足する直鎖状プロピレン系重合体を10質量%以上含んでいるプロピレン系樹脂製多層発泡シートが開示されている。
特開2004-291626号公報
上記のような多層発泡シートにおいて、発泡倍率のさらなる高倍率化は軽量化やコスト低減につながるため、高いニーズがある。しかしながら、発泡のさらなる高倍率化は、発泡体を製造時の引取りと、そのとき生じる気泡壁破れとに起因して、コルゲートマークのような外観不良が発生するという点において改善の余地があった。
本発明の目的は、発泡倍率が高く、外観美麗なプロピレン系発泡体が得られるプロピレン重合体組成物、およびその発泡体を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るプロピレン重合体組成物は、2種以上のプロピレン重合体成分を含有し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、下記式(1)で算出されるメルトテンション比が1.7以上である、プロピレン重合体組成物である。
MT=MT/MT (1)
(式中、MTは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。MTは、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。MTは、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)
本発明の一態様によれば、発泡倍率が高く、外観美麗なプロピレン系発泡体が得られるプロピレン重合体組成物、およびその発泡体を提供することができる。
〔プロピレン重合体組成物〕
以下、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物について、詳細に説明する。本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、2種以上のプロピレン重合体成分を含有し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、下記式に示すメルトテンション比が1.7以上である。
MT=MT/MT (1)
(式中、MTは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。MTは、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。MTは、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)。
上記構成によれば、発泡性が良好で、外観美麗なプロピレン発泡体が得られるプロピレン重合体組成物を提供することができる。なお、プロピレン重合体組成物は、押出機の内部にて溶融され、発泡ガスが混合された後、ダイから溶融押出され、引取りロールで引き取ることで発泡体に成形され得る。ここで、ダイから押出されたプロピレン重合体組成物は、冷却されつつ引取りロールによって引き取られ得る。以下、プロピレン発泡体のことを単に「発泡体」と称する場合がある。
発泡倍率」は、水中置換法を用いた測定方法で、発泡体の密度を求め、発泡体の密度を未発泡のプロピレン重合体組成物の密度で除することで算出される発泡倍率のことを指す。発泡倍率が高いほど発泡性は良好である。
メルトテンションは、シリンダから押出された溶融樹脂を引き取るときに、当該溶融樹脂に加わる張力として評価される。メルトテンションは、溶融張力測定機を用いて測定できる。具体的には、溶融したプロピレン重合体組成物を、ロードセルを備えた滑車を通して、引き取りローラによって所定の速度で引き取り、このとき滑車に加わる荷重(g)をロードセルで測定することで求めることができる。メルトテンションはシリンダによる溶融温度190℃の条件で評価する。
メルトテンションは、プロピレン重合体組成物が溶融変形したときにおける硬さの程度を張力として求めるパラメータであり、プロピレン重合体組成物から発泡体を製造する際の気泡成長に影響する。
例えば、メルトテンションの値が、高速(28.3m/分)引取時および低速(3.2m/分)引取時の両方で低く、このためメルトテンション比が1.7よりも小さいプロピレン重合体組成物を用いて発泡体を成形すると次のような問題が生じる。すなわち、プロピレン重合体組成物に加わる張力が低い気泡成長初期では、プロピレン重合体組成物内において気泡は成長しやすい。一方、気泡成長末期でもプロピレン重合体組成物に加わる張力が高くならないため、気泡の成長が抑制されない。このため、プロピレン重合体組成物内部において気泡破れが生じ、これにより、想定される倍率以上に体積が膨張する。その結果、プロピレン重合体組成物から得られる発泡体に余剰体積が生じ、製造工程においてガス抜けによる発泡倍率低下が発生、または、皺状外観不良(コルゲート)が発生するという問題があった。
また、例えば、メルトテンションの値が、高速(28.3m/分)引取時および低速(3.2m/分)引取時の両方で高く、このためメルトテンション比が1.7よりも小さいプロピレン重合体組成物を用いて発泡体を成形すると次のような問題が生じる。すなわち、気泡成長初期と気泡成長末期でプロピレン重合体に働く張力が高くなりにくいため、気泡の成長が抑制され難い。このため、プロピレン重合体組成物内部において気泡破れが生じ、製造工程においてガス抜けによる発泡倍率低下、または皺状外観不良(コルゲート)が発生するという問題があった。
本願発明者らは上記の問題を鑑み、上述の式(1)により求められるメルトテンション比が、1.7以上であるプロピレン重合体組成物を用いることで次のことを見出した。すなわち、発泡体成形時において、プロピレン重合体組成物に加わる張力が比較的低い気泡成長初期では、メルトテンションが低いためプロピレン重合体組成物内において気泡を成長し易くすることができ、一方、気泡が成長した後は高いメルトテンションによって気泡成長を抑制できるため、気泡成長による気泡壁破れが抑制できることを見出した。これにより、本願発明者らは、発泡体における高発泡倍率化と外観の美麗化というトレードオフの関係を、プロピレン重合体組成物によって両立させることができることを見出し、本願発明を完成させた。
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物はメルトテンション比が1.7以上であることが好ましく、メルトテンション比が1.9以上であることがより好ましい。メルトテンション比が1.7という下限値以上であることで、発泡体の製造時において、プロピレン重合体組成物へのガス注入後の気泡成長末期において発泡を好適に制御できる。このため、高倍率な発泡体を製造する際に、十分な気泡成長が可能となるため、気泡壁破れの発生を防ぐことができる。
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、限定されるものではないが、メルトテンション比が3.0以下であり、2.5以下であることがより好ましい。
また、限定されるものではないが、上記MTは、1.4~8.0gであることが好ましく、1.8~5.9gであることがより好ましい。また、限定されるものではないが、上記MTは、0.8~2.8gであることが好ましく、1.0~2.4gであることがより好ましい。
また、一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、16~29g/10分であることがより好ましい。一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分の範囲内であり、上述の式(1)で求められるメルトテンション比が1.7以上であることにより、発泡性が良好で、外観美麗なプロピレン発泡体が得られるプロピレン重合体組成物とすることができる。
〔プロピレン重合体組成物に含まれる成分〕
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、2種類以上のプロピレン重合体成分を含有している。ここで、2種類以上のプロピレン重合体成分は、プロピレン重合体成分(11)および(12)であり得る。これらプロピレン重合体成分(11)および(12)は、プロピレン重合材料(1)の成分として、当該プロピレン重合体組成物に含まれているとよい。また、プロピレン重合体組成物は、プロピレン重合材料(2)を含んでいることがより好ましく、エチレン重合体(3)を含んでいてもよい。
(プロピレン重合材料(1))
プロピレン重合材料(1)は、プロピレン重合体成分(11)および(12)を含んでいるとよい。
プロピレン重合材料(1)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2~11g/10分であることが好ましく、5~10g/10分であることがより好ましい。プロピレン重合材料(1)のメルトフローレートが当該範囲内であることで、プロピレン重合体組成物から発泡体の製造する過程において、十分に伸長変形するプロピレン樹脂組成物とすることができる。
プロピレン重合体成分(11)は、極限粘度が6~15dL/gであることが好ましく、6.5~8dL/gであることがより好ましい。また、プロピレン重合体成分(12)は、極限粘度が0.5~1.3dL/gであることが好ましく、0.5~1.0dL/gであることがより好ましい。プロピレン重合体成分(11)および(12)の極限粘度が当該範囲内であることで、プロピレン重合体成分(1)のメルトフローレートが好適な範囲内となる。また、プロピレン重合材料(1)に含まれる、プロピレン重合体成分(11)および(12)の極限粘度の範囲を参考として、プロピレン重合体成分(11)の極限粘度をより大きくすることと、プロピレン重合体成分(12)の極限粘度をより小さくすることとのいずれか一方または両方により、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比をより高くすることができる。
プロピレン重合材料(1)はプロピレン重合体成分(11)とプロピレン重合体成分(12)とを連続的に重合して得ることが好ましく、その場合、プロピレン重合材料(1)およびプロピレン重合体成分(11)の極限粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)中で測定できる。
そして、プロピレン重合体成分(12)の極限粘度は、プロピレン重合体成分(11)およびプロピレン重合材料(1)の極限粘度ならびにプロピレン重合体成分(11)および(12)の質量より、下記式(2)を用いて算出できる。
[η]12=([η]×100-[η]11×W11)/W12 (2)
(式中、 [η]12は、プロピレン重合体成分(12)の極限粘度(dL/g)を示す。[η]は、プロピレン重合材料(1)の極限粘度(dL/g)を示す。[η]11は、プロピレン重合体成分(11)の極限粘度(dL/g)を示す。W11は、プロピレン重合体成分(11)の含有量(質量%)を示す。W12は、プロピレン重合体成分(12)の含有量(質量%)を示す。)
プロピレン重合体材料(1)に含まれる、プロピレン重合体成分(11)および(12)は、それぞれポリプロピレン結晶構造を有する結晶性プロピレン重合体成分であり得、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度の量のエチレンおよび/またはα-オレフィン等のコモノマーとの共重合体が好ましく、直鎖状であることが好ましい。α-オレフィンの例は、炭素数4~10のα-オレフィンであり、炭素数4~10のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン等が挙げられ、好ましくは、炭素数4~10のα-オレフィンであり、より好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンである。結晶性を失わない程度の量とはコモノマーの種類により異なるが、例えばエチレンの場合、共重合体中のエチレン単位の量は通常10質量%以下、1-ブテン等の他のα-オレフィンの場合、共重合体中のα-オレフィン単位の量は通常30質量%以下であるとよい。プロピレン重合体成分(11)および(12)は同一組成であっても異なっていてもよい。またプロピレン重合体成分(11)および(12)はブロック結合しているものがあってもよい。さらにはプロピレン重合体材料(1)中に、プロピレン重合体成分(11)および(12)がブロック結合したものと、それ以外のプロピレン重合体成分(11)および(12)が共存していてもよい。
プロピレン重合体部成分(12)は、プロピレン重合体材料(1)中に非晶性のエチレン・α-オレフィン共重合体が分散している重合体成分であってもよい。プロピレン系重合体材料(1)は、チーグラー・ナッタ触媒を使用して製造することができ、具体的な製造方法としては特開平11-228629号公報に記載の方法が挙げられる。
プロピレン重合体材料(1)は、プロピレン重合体成分(11)の含有量と、プロピレン重合体成分(12)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分成分(11)の含有量が6~25質量%であることが好ましく、12~22質量%であることがより好ましく、プロピレン重合体成分成分(12)の含有量が75~94質量%であることが好ましく、78~88質量%であることがより好ましい。プロピレン重合体成分(11)および(12)の含有量が当該範囲内であることで、プロピレン重合体成分(1)のメルトフローレートが好適な範囲内となる。そのため、メルトテンション比をより高くでき、外観美麗な発泡体を得ることができる。
(プロピレン重合材料(2))
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、1種以上のプロピレン重合体成分を含み、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが50g/10分以上であるプロピレン重合材料(2)を含有することが好ましい。
プロピレン重合体組成物は、メルトフローレートが異なる、プロピレン重合材料(1)および(2)を含むことで、当該プロピレン重合体組成物に十分に高いメルトテンション比を付与することができる。これは、低いメルトフローレートを有するプロピレン重合体材料(1)の伸長変形を、高いメルトフローレートを有するプロピレン重合体材料(2)が妨げないことによると推定される。ここで、プロピレン重合材料(2)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが50g/10分以上であり、さらに高いものであることにより、プロピレン重合体組成物に高いメルトテンション比を付与しつつ、プロピレン重合体組成物の低速(3.2m/分)引取時におけるメルトテンションを低くすることに寄与し得る。
プロピレン重合体材料(2)は、メルトフローレートが上述した範囲内であればよい。プロピレン重合材料(2)の例としては、プロピレン重合体材料(1)の例と同様に、例えば、プロピレン単独重合体、ならびにプロピレンとエチレンおよび/またはα-オレフィンなどのコモノマーとの共重合体が挙げられる。α-オレフィンの例としては、プロピレン重合材料(1)と同様のものが挙げられる。
プロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体成分(11)の含有量と、プロピレン重合体成分(12)の含有量と、プロピレン重合材料(2)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であることが好ましく、7~13質量%であることがより好ましく、プロピレン重合体成分(12)の含有量が20~80質量%であることが好ましく、25~55質量%であることがより好ましく、プロピレン重合材料(2)の含有量が15~60質量%であることが好ましく、35~60質量%であることがより好ましい。プロピレン重合体成分(11)、プロピレン重合体成分(12)およびプロピレン重合材料(2)の含有量を当該範囲内とすることで、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を高くでき、外観美麗な発泡体を得ることができる。
(エチレン重合体(3))
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、エチレン単量体単位を99質量%以上含むエチレン重合体(3)を含有することが好ましい。エチレン重合体(3)の例としては、エチレン単独重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。
エチレン単独重合体の例は、ラジカル開始剤を用いて高圧ラジカル重合により繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐構造をもって結合した、密度が910~935kg/mの高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)である。
α-オレフィンの例は、プロピレン重合材料に含まれ得るものと同様のものが挙げられる。
エチレンとα-オレフィンとの共重合体の具体例は、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体であり、これらは、1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。また、エチレン重合体(3)は、エチレン単独重合体と、エチレンとα-オレフィンとの共重合体との混合物であってもよい。
エチレン重合体(3)の、測定温度190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレートは、0.5~50g/10分であることができ、1~30g/10分であることが好ましく、1~20g/10分であることがより好ましい。一実施形態に係るプロピレン重合体組成物が、エチレン重合体(3)を含有することで、発泡体に高い延展性を付与し、その結果、折曲げ加工をしやすくできるという効果を奏する。
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物において、プロピレンプロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量と、前記エチレン重合体(3)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であることが好ましく、11~18質量%であることがより好ましく、プロピレン重合体成分(12)の含有量が55~88質量%であることが好ましく、58~70質量%であることがより好ましく、エチレン重合体(3)の含有量が7~25質量%であることが好ましく、13~25質量%であることがより好ましい。プロピレンプロピレン重合体成分(11)、(12)、およびエチレン重合体(3)の含有量が当該範囲内であることで、本発明の効果を損なうことなく、エチレン重合体(3)により発泡体に高い延展性を付与し、その結果、折曲げ加工をしやすくできる。
エチレン重合体(3)は、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造することができる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒系、チーグラー型触媒系、チーグラー・ナッタ型触媒系等が挙げられる。均一系触媒系としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系、シリカ、粘土鉱物等の無機粒子にシクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属化合物、イオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物等の触媒成分を担持し変性させた触媒系等が挙げられる。また、上記の触媒系の存在下でエチレンやα-オレフィンを予備重合させて調製される予備重合触媒系が挙げられる。
また、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)は、重合触媒としてラジカル開始剤を用いて製造することができる。
(発泡剤)
一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は発泡剤を含んでもよい。発泡剤は特に限定されるものではなく、公知の発泡剤を用いることができる。例えば物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンを挙げることができ、窒素ガス、炭酸ガス、空気等の安全で環境にやさしい無機ガスを用いることが好ましく、プロピレン系樹脂への溶解性が高いことから、炭酸ガスを用いることがより好ましい。炭酸ガスを用いる場合は、7.4MPa以上、31℃以上の超臨界状態でプロピレン系樹脂に混合することが、樹脂への拡散、溶解性の観点から好ましい。
化学発泡剤の例としては、重曹、重曹とクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸などの有機酸との混合物、アゾジカルボンアミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジンなどのアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’-オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、N,N’-ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソ・テレフタルアミドなどのニトロソ化合物、P-トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物の他アジ化合物やトリアゾール化合物を挙げることができる。特に、重曹、クエン酸、アゾジカルボンアミドが好ましい。
上記の物理発泡剤や化学発泡剤は単体で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、化学発泡剤を用いる場合には、その分解温度や分解速度を調整するために発泡助剤を併用してもよい。例えば、アゾジカルボンアミド単体では分解温度が約200℃と高いため、低温で加工したい場合には発泡助剤として酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素などを少量添加してもよい。
物理発泡剤を用いる場合には、気泡核剤を添加することできる。気泡核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMA等のポリマービーズ、合成アルミノシリケートや上記の化学発泡剤が例示される。
(その他成分)
一実施形態のプロピレン重合体組成物は、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよい。たとえば、プロピレン重合体組成物の表面に、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等の用途に応じた機能を発現させるための添加剤や改質樹脂を含むことが好ましい。このような添加剤や改質樹脂としては、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、銅害防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、発泡剤等が挙げられる。
〔発泡体〕
本発明の一実施形態に係る発泡体は、上述に説明した本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物を含有する。一実施形態に係る発泡体は、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物を有していればよく、特に限定されないが、たとえばプロピレン重合体組成物の表面に任意の樹脂層を備える多層発泡体であってもよい。
一実施形態に係るプロピレン発泡体の発泡倍率および厚みは特に限定されるものではないが、発泡倍率は4倍以上であってもよい。一実施形態に係るプロピレン発泡体を、発泡シートとして使用する場合、シート全体の厚みが1~7mmであってもよい。発泡体の発泡倍率およびシートの厚みが当該範囲であることで、一実施形態に係るプロピレン発泡体は薄肉の発泡シートに好適に使用できる。
(発泡体の製法)
一実施形態のプロピレン重合体組成物は、Tダイを用いた共押出し法により得られる。プロピレン重合体組成物および発泡剤を押出機を用いて溶融混練を行い、該押出機に接続したフィードブロックまたはTダイ内で積層一体化し、大気中に共押出し、平板状の溶融シートを得る。該平板状の溶融シートを、多層Tダイ直後に設置され冷却温調された多数のロールに接触させる、または、冷却温調された2枚のプレート状の平板の間を接触させながら通過させる等の公知の方法で冷却した後、ニップロールを設けた引取機で引き取り、切断機で所定寸法に切断してプロピレン重合体組成物発泡シートを製造することができる。
押出機としては、単軸や多軸押出機を用いることができ、複数の押出機を組み合わせたタンデム押出機も使用可能である。プロピレン重合体組成物および発泡剤の混練に用いる押出機としては、2軸押出機が好ましく、スクリュー1回転あたりの押出量が多くて所定の押出量を低回転で得ることができ、スクリュー回転によるせん断発熱の少ない構造の押出機を用いることがより好ましい。スクリュー本体に冷却媒体を循環させ、温調してもよい。
各押出機と、フィードブロックまたは多層Tダイとの間にギアポンプを設け、原料供給用に定量フィーダーを設けて、スクリューまたはギアポンプの回転数または原料供給量へフィードバックしてギアポンプ入口圧力を一定に制御するシステムも押出発泡状態の安定化に有効である。
各押出機と、フィードブロックまたは多層Tダイとをつなぐアダプタには、スタティックミキサーなどを挿入して樹脂温度均一化をはかるのも発泡状態の安定化に有効である。
物理発泡剤を用いる場合、プロピレン重合体組成物用押出機は溶融した樹脂中に発泡剤を圧入できる構造であるが、圧入位置以前には樹脂原料を十分に溶融可塑化させ、圧入以降は樹脂と発泡剤を十分に混合均一化させ、発泡に適切な樹脂温に制御できることが必要である。
一実施形態に係るプロピレン発泡体の表面に、必要に応じてコロナ処理、オゾン処理や帯電防止剤塗布などの表面処理を行うこともできる。また、実施形態に係るプロピレン発泡体の片面もしくは両面に、用途に応じてシートやフィルム等の表皮材を積層して表皮材積層プロピレン発泡体としてもよい。一実施形態のプロピレン発泡体および表皮材積層プロピレン発泡体に、真空成形等の熱成形を施すことも可能である。
一実施形態に係る発泡体に任意の層を積層させる場合、積層用のシートまたはフィルム等の表皮材としては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属、熱可塑性樹脂、紙、合成紙等から構成される薄板が挙げられる。熱可塑性樹脂もしくは麻等の植物素材やガラス等の無機材料からなる不織布や織布を積層してもよい。また、用いる薄板表面にエンボスや印刷などの加飾が施されていてもよい。発泡体を表皮材として積層貼合してもよい。
例えば一実施形態の発泡体を食品包装用に使用する場合には、10~100μm厚みのプロピレン系樹脂製フィルムやガスバリア樹脂製フィルムを積層して用いることが好ましい。ガスバリア樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアミドなどを使用することができる。なお、これらガスバリア樹脂は単独または混合して使用してもよいし、ガスバリア樹脂からなるフィルムを2種類以上積層して使用してもよい。
一実施形態の発泡体を自動車内装材用に用いる場合には、不織布、織布、およびカーペット等を積層することが好ましい。他に包装用途、例えば、箱の仕切り板として使用する場合には、内容物保護のために緩衝シートを積層してもよい。
一実施形態に係る発泡体への表皮材の積層方法は特に限定されることはなく、例えば、接着剤をプロピレン発泡体表面に塗布して積層する方法、接着樹脂製フィルムがラミネートされた表皮材を用い、接着樹脂製フィルム面を加熱溶融させてプロピレン発泡体と積層する方法、ヒーターや熱風などを用いて表皮材と発泡体との積層面を溶融させて積層する方法、溶融樹脂を表皮材と発泡シートとの間に押出しラミネートして積層する方法等が挙げられる。
一実施形態に係る発泡体は、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、2種以上のプロピレン重合体成分を含有し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、下記式(1)で算出されるメルトテンション比が1.7以上である。
MT=MT/MT (1)
(式中、MTは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。MTは、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。MTは、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)
この構成により、一実施形態のプロピレン重合体を用いて発泡体を製造した場合に、発泡性が良好で、外観美麗な発泡体とすることが可能である。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、前記メルトテンション比が3.0以下であることが好ましい。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物はプロピレン重合材料(1)を含み、プロピレン重合材料(1)は、極限粘度が6~15dL/gであるプロピレン重合体成分(11)と、極限粘度が0.5~1.3dL/gであるプロピレン重合体成分(12)とを含み、前記プロピレン重合材料(1)の温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2~11g/10分であることがより好ましい。この構成により、プロピレン発泡体の製造過程において、十分に伸長変形するプロピレン樹脂とすることができる。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分成分(11)の含有量が6~25質量%であり、プロピレン重合体成分成分(12)の含有量が75~94質量%であることがより好ましい。この構成により、プロピレン重合体成分(1)のメルトフローレートが好適な範囲内となる。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、1種以上のプロピレン重合体成分を含み、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが50g/10分以上であるプロピレン重合材料(2)を含有することがより好ましい。この構成により、プロピレン重合体組成物に十分に高いメルトテンション比を付与することができる。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量と、前記プロピレン重合材料(2)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であり、プロピレン重合体成分(12)の含有量が20~80質量%であり、プロピレン重合材料(2)の含有量が15~60質量%であることがより好ましい。この構成により、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を好適な範囲内とすることができる。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、さらに、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.5~10g/10分であり、密度が910~930kg/mであり、エチレン単量体単位を99質量%以上含むエチレン重合体(3)を含有することがより好ましい。この構成により、発泡体に延展性を付与できるという効果を奏する。
また、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物は、前記プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量と、前記エチレン重合体(3)の含有量との合計100質量%に対して、プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であり、プロピレン重合体成分(12)の含有量が55~88質量%であり、エチレン重合体(3)の含有量が7~25質量%であることがより好ましい。この構成により、エチレン(3)による効果を好適に得ることができる。
また、本発明の一実施形態に係る発泡体は、本発明の一実施形態に係るプロピレン重合体組成物を含有する。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K-7210:1999に規定された方法に従い、温度230℃または190℃、荷重2.16kgの条件で、プロピレン重合体組成物またはプロピレン重合材料のメルトフローレートを測定した。
以下、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートを「MFR(230℃)」と記載し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトフローレートを「MFR(190℃)」と記載する。
(2)メルトテンション比(MT比)
溶融張力測定機メルトテンションテスター2型(東洋精機社製)を用いて、プロピレン重合体組成物のメルトテンションを下記の条件で測定し、メルトテンション比を算出した。
内径9.55mmのシリンダに、長さ8.00mm、内径2.10mmのオリフィスを取り付けた。その後、シリンダにプロピレン重合体組成物を充填し、ピストンを挿入して190℃で5分間予熱して、プロピレン重合体組成物を十分に融解させた。その後、5.7mm/分の速度でピストンを降下させ、オリフィスから溶融し押出されるプロピレン重合体組成物を、滑車を通して速度3.2m/分または28.3m/分で引き取り、滑車に加わる荷重(g)をロードセルで測定し、メルトテンションとした。
メルトテンション比は、下記式(1)を用いて算出した。
MT=MT/MT (1)
(式中、MTは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。MTは、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。MTは、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)
(3)極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)中で、プロピレン重合体成分(11)およびプロピレン重合材料(1)の極限粘度をそれぞれ測定した。
プロピレン重合体成分(12)の極限粘度は、プロピレン重合体成分(11)およびプロピレン重合材料(1)の極限粘度ならびにプロピレン重合体成分(11)および(12)の質量より、下記式(2)を用いて算出した。
[η]12=([η]×100-[η]11×W11)/W12 (2)
(式中、[η]12は、プロピレン重合体成分(12)の極限粘度(dl/g)を示す。[η]は、プロピレン重合材料(1)の極限粘度(dl/g)を示す。[η]11は、プロピレン重合体成分(11)の極限粘度(dl/g)を示す。W11は、プロピレン重合体成分(11)の含有量(質量%)を示す。W12は、プロピレン重合体成分(12)の含有量(質量%)を示す。)
(4)発泡倍率
水中置換法を用いた測定方法で、発泡体の密度を求めた。発泡倍率は、発泡体の密度を未発泡のプロピレン重合体組成物の密度で除することで算出した。発泡倍率が高いほど発泡性は良好である。ガス抜けが少なく、発泡倍率が4倍以上の発泡体を、発泡性良好と判断した。
(5)外観評価
発泡体の引取り方向に沿って発生する皺状外観不良であるコルゲートマークを観察した。発泡体幅方向でコルゲートマークの本数を観察し、4本以下であれば「〇」、5本以上であれば「×」と判断した。
(6)プロピレン重合材料(1-1)の製造
特開平11-228629号公報に開示された方法によりプロピレンを単独重合し、プロピレン重合体粉末を製造した。プロピレン重合体粉末は、極限粘度が7.0dl/gであるプロピレン重合体成分(11-1)と、極限粘度が0.8dl/gであるプロピレン重合体成分(12-1)とを含むものであった。プロピレン重合体成分(11-1)とプロピレン重合体成分(12-1)との質量比は、19質量%:81質量%であり、プロピレン重合体粉末は、極限粘度が1.9dl/gであった。
プロピレン重合体粉末100質量と、ステアリン酸カルシウム0.05質量部と、商品名イルガノックス(登録商標)1010(BASFジャパン株式会社製)0.10質量と、商品名イルガフォス(登録商標)168(BASFジャパン株式会社製)0.15質量とを混合し、230℃で溶融混練して、MFR(230℃)が7.7g/10分であるプロピレン重合材料(1-1)のペレットを得た。
(7)プロピレン重合材料(2)
(7-1)プロピレン重合材料(2-1)
プロピレン重合材料(2-1)として、プロピレンを単独重合し、次いで、エチレンとプロピレンを共重合して得られた、プロピレン単独重合体成分とエチレン-プロピレン共重合体成分との混合物(住友化学株式会社製ノーブレン(登録商標)、グレード:AU161C、MFR(230℃)=90g/10分、エチレン-プロピレン共重合体の含有量=11質量%)を用いた。「ノーブレン」は住友化学株式会社の登録商標である。
(7-2)プロピレン重合材料(2-2)
プロピレン重合材料(2-2)として、プロピレンを単独重合し、次いで、エチレンとプロピレンを共重合して得られた、プロピレン単独重合体成分とエチレン-プロピレン共重合体成分との混合物(住友化学株式会社製ノーブレン、グレード:AW161C、MFR(230℃)=9g/10分、エチレン-プロピレン共重合体の含有量=14質量%)を用いた。
(7-3)プロピレン重合材料(2-3)
プロピレン重合材料(2-3)として、プロピレンを単独重合し、次いで、エチレンとプロピレンを共重合して得られた、プロピレン単独重合体成分とエチレン-プロピレン共重合体成分との混合物(住友化学株式会社製ノーブレン、グレード:AZ564、MFR(230℃)=30g/10分、エチレン-プロピレン共重合体の含有量=13質量%)を用いた。
(7-4)プロピレン重合材料(2-4)
プロピレン重合材料(2-4)として、プロピレン単独重合体(住友化学株式会社製ノーブレン、グレード:W101、MFR(230℃)=9g/10分)を用いた。
(8)エチレン重合体(3)
(8-1)エチレン重合体(3-1)
エチレン重合体(3-1)として、エチレン単独重合体(住友化学株式会社製スミカセン(登録商標)、グレード:G201-F、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、MFR(190℃)=2g/10分、密度=919kg/m)を用いた。「スミカセン」は住友化学株式会社の登録商標である。
(8-2)エチレン重合体(3-2)
エチレン重合体(3-2)として、エチレン―α-オレフィン系重合体(住友化学(株)製スミカセンE、グレード:FV401、エチレン―1―ヘキセン共重合体、MFR(190℃)=4g/10分、密度=903kg/m)を用いた。
[実施例1]
プロピレン重合材料(1-1)60質量%と、プロピレン重合材料(2-1)40質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た。得られたプロピレン重合体組成物100質量%と、気泡核剤(アゾジカルボンアミド含有マスターバッチ、セルマイクMB1023、三協化成製)0.3質量%とを混合した。得られた混合物を、下記に示す押出機のホッパーに投入した。
先端にギアポンプを設けた50mmΦ単軸押出機(L/D=42、Lはスクリュー有効長さ、Dはスクリュー径)と、リップ部の樹脂流路幅が100mmかつ厚み1.3mmであるTダイとを接続した押出機。
炭酸ガス物理発泡成形により発泡体を得るため、混合物の溶融が進んだ位置で、液化炭酸ガスをダイヤフラム式定量ポンプで105g/hの条件で高圧注入し、混合物をさらに溶融混錬して溶融発泡性混合物を得た。得られた溶融混合物を、ギアポンプを調整して吐出量が12.6kg/hを示すようにしながら、Tダイ内へ導入した後、Tダイより吐出された溶融混合物を、速度2.2m/minで引き取ることで、プロピレン重合体組成物を含有する発泡体を得た。
押出機各部温度を170℃~190℃の範囲で調整して、押出機先端部に取り付けられた樹脂温度計が180℃を示すようにした。ギアポンプ部およびTダイ部の温度を180℃に調整した。押出機回転数を調整して、ギアポンプ入口樹脂圧力が7MPaを示すようにした。
[実施例2]
プロピレン重合材料(1-1)54質量%と、プロピレン重合材料(2-1)36質量%と、エチレン重合体(3-1)10質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。結果を表1に示す。
[実施例3]
プロピレン重合材料(1-1)36質量%と、プロピレン重合材料(2-1)54質量%と、エチレン重合体(3-1)10質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。結果を表1に示す。
[比較例1]
プロピレン重合材料(1-1)50質量%と、プロピレン重合材料(2-2)40質量%と、エチレン重合体(3-2)10質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。
[比較例2]
プロピレン重合材料(1-1)80質量%と、プロピレン重合材料(2-3)20質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。
[比較例3]
プロピレン重合材料(1-1)80質量%と、プロピレン重合材料(2-4)20質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。
[比較例4]
プロピレン重合材料(1-1)20質量%と、プロピレン重合材料(2-3)80質量%とを溶融混練して、プロピレン重合体組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、発泡体を得た。
実施例1~3および比較例1~4のプロピレン重合体組成物の成分を表1に示す。また、実施例1~3および比較例1~4のプロピレン重合体組成物のMFR、メルトテンション比、発泡倍率、および外観評価の測定結果または評価結果を表2に示す。
Figure 2022145082000001
Figure 2022145082000002
本発明は、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用することができる、プロピレン発泡体に利用することができる。

Claims (9)

  1. 2種以上のプロピレン重合体成分を含有し、
    温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが14.0~30.0g/10分であり、
    下記式(1)で算出されるメルトテンション比が1.7以上である、プロピレン重合体組成物。
    MT=MT/MT (1)
    (式中、
    MTは、プロピレン重合体組成物のメルトテンション比を示す。
    MTは、引き取り速度28.3m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。
    MTは、引き取り速度3.2m/分で測定したプロピレン重合体組成物のメルトテンション(g)を示す。)
  2. 前記メルトテンション比が3.0以下である、請求項1に記載のプロピレン重合体組成物。
  3. プロピレン重合材料(1)を含み、
    当該プロピレン重合材料(1)は、前記2種以上のプロピレン重合体成分として、プロピレン重合体成分(11)とプロピレン重合体成分(12)とを含み、
    前記プロピレン重合体成分(11)は、極限粘度が6~15dL/gであり、
    前記プロピレン重合体成分(12)は、極限粘度が0.5~1.3dL/gであり、
    前記プロピレン重合材料(1)の温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2~11g/10分である、請求項1または2に記載のプロピレン重合体組成物。
  4. 前記プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量との合計100質量%に対して、
    プロピレン重合体成分成分(11)の含有量が6~25質量%であり、
    プロピレン重合体成分成分(12)の含有量が75~94質量%である、請求項3に記載のプロピレン重合体組成物。
  5. プロピレン重合材料(2)を含み、
    前記プロピレン重合材料(2)は、
    1種以上のプロピレン重合体成分を含み、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが50g/10分以上である、請求項3または4に記載のプロピレン重合体組成物。
  6. 前記プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量と、前記プロピレン重合材料(2)の含有量との合計100質量%に対して、
    プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であり、
    プロピレン重合体成分(12)の含有量が20~80質量%であり、
    プロピレン重合材料(2)の含有量が15~60質量%である、請求項5に記載のプロピレン重合体組成物。
  7. さらに、エチレン重合体(3)を含み、
    エチレン重合体(3)は、温度190℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが0.5~10g/10分であり、密度が910~930kg/mであり、エチレン単量体単位を99質量%以上含む、請求項3~6のいずれか一項に記載のプロピレン重合体組成物。
  8. 前記プロピレン重合体成分(11)の含有量と、前記プロピレン重合体成分(12)の含有量と、前記エチレン重合体(3)の含有量との合計100質量%に対して、
    プロピレン重合体成分(11)の含有量が5~20質量%であり、
    プロピレン重合体成分(12)の含有量が55~88質量%であり、
    エチレン重合体(3)の含有量が7~25質量%である、請求項7に記載のプロピレン重合体組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のプロピレン重合体組成物を含有する発泡体。
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