JP2022143335A - 作業機械の故障診断システムおよび故障診断方法 - Google Patents

作業機械の故障診断システムおよび故障診断方法 Download PDF

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Toshimasa Kanda
正祥 塩飽
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康弘 小引
Yasuhiro Kobiki
亮佑 脇谷
Ryosuke Wakitani
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Abstract

【課題】作業機械に搭載されたコンポーネントの故障を容易に特定する。【解決手段】コントローラは、第1の期間に検出された時系列データを第1のスナップショットデータとして取得し、第1の期間よりも後の第2の期間に検出された時系列データを第2のスナップショットデータとして取得する。記憶部には、コンポーネントの動作状況を監視するための物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因であるコンポーネントの故障とが関連付けられた情報が記憶されている。コントローラは、第1のスナップショットデータと、第2のスナップショットデータと、記憶部に記憶されている情報とに基づいて、コンポーネントの故障を特定する。【選択図】図12

Description

本開示は、作業機械の故障診断システムおよび故障診断方法に関する。
特開2016-151086号公報(特許文献1)には、診断対象ショベルの稼働状態を示す時系列データと、データベースから取得された典型的時系列データと、が対比されて表示装置に表示される、ショベル支援装置が開示されている。上記文献には、診断対象ショベルの時系列データと典型的時系列データとを対比させることで、診断対象ショベルに異常が生じている場合に異常を直感的に確認できると記載されている。
特開2016-151086号公報
1つの時系列データを取得して分析したとしても、真の故障原因を特定することが困難な場合がある。
本開示では、コンポーネントの故障を容易に特定できる、作業機械の故障診断システムおよび故障診断方法が提案される。
本開示のある局面に従うと、作業機械の故障診断システムが提案される。故障診断システムは、作業機械に搭載されたコンポーネントと、コンポーネントの動作状況を監視するために所定の物理量を検出する検出部と、コントローラと、記憶部とを備えている。コントローラは、所定期間に検出された物理量の時系列データを、スナップショットデータとして取得する。コントローラは、検出部が検出した物理量が正常な範囲にあるか否かを判定する。記憶部は、物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因であるコンポーネントの故障と、が関連付けられた情報を記憶する。コントローラは、第1の期間に検出された時系列データを、第1のスナップショットデータとして取得する。コントローラは、第1の期間よりも後の第2の期間に検出された時系列データを、第2のスナップショットデータとして取得する。コントローラは、第1のスナップショットデータと、第2のスナップショットデータと、記憶部に記憶されている情報とに基づいて、コンポーネントの故障を特定する。
本開示のある局面に従うと、作業機械の故障診断方法が提案される。作業機械は、コンポーネントと、コンポーネントの動作状況を監視するために所定の物理量を検出する検出部とを備えている。検出部が検出した物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因であるコンポーネントの故障とが関連付けられた情報が、記憶部に記憶されている。故障診断方法は、以下のステップを備えている。第1のステップは、第1の期間に検出された物理量の時系列データを、第1のスナップショットデータとして取得することである。第2のステップは、第1の期間よりも後の第2の期間に検出された物理量の時系列データを、第2のスナップショットデータとして取得することである。第3のステップは、第1のスナップショットデータと、第2のスナップショットデータと、記憶部に記憶されている情報とに基づいて、コンポーネントの故障を特定することである。
本開示に係る故障診断システムおよび故障診断方法によれば、作業機械に搭載されたコンポーネントの故障を容易に特定することができる。
本開示の実施形態に基づく作業機械の構成を概略的に示す図である。 エンジンの冷却システムの系統図である。 実施形態に基づくシステムの構成を示すブロック図である。 故障原因データベースの第1の例を示す模式図である。 故障原因データベースの第2の例を示す模式図である。 各物理量が正常な範囲にあるときのスナップショットデータの図である。 物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第1の例の図である。 物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第2の例の図である。 物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第3の例の図である。 物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第4の例の図である。 物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第5の例の図である。 実施形態に基づくコンポーネントの故障を特定する処理の流れを示すフロー図である。 故障の発生から時間が経過した時点でのスナップショットデータの図である。 第二実施形態に基づくシステム構成を示すブロック図である。 第三実施形態に基づくシステム構成を示すブロック図である。
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第一実施形態]
<作業機械の全体構成>
図1は、本開示の実施形態に基づく作業機械の一例としての油圧ショベル1の構成を概略的に示す側面図である。図1に示されるように、油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4とを主に備えている。走行体2と旋回体3とにより、油圧ショベル1の車体が構成されている。
走行体2は、左右一対の履帯を有している。左右一対の履帯が回転駆動されることにより、油圧ショベル1が自走する。
旋回体3は、走行体2に対して旋回自在に設置されている。旋回体3は、キャブ7と、エンジンルーム5と、カウンタウェイト6とを主に有している。キャブ7は、旋回体3のたとえば前方左側に配置されている。油圧ショベル1を操作するオペレータは、キャブ7に搭乗する。キャブ7の内部には、オペレータが着座するための運転席が配置されている。エンジンルーム5は、キャブ7に対して旋回体3の後方側に配置されている。エンジンルーム5は、エンジンユニット(後述するエンジン10、排気処理構造体など)を収納している。カウンタウェイト6は、エンジンルーム5の後方に配置されている。
作業機4は、旋回体3の前方側に装着されている。作業機4は、キャブ7のたとえば右側に配置されている。作業機4は、油圧シリンダにより駆動可能である。この駆動により、作業機4は、旋回体3に対して上下に回動可能である。
<冷却システムの構成>
図2は、エンジン10の冷却システムの系統図である。エンジン10は、図1に示される旋回体3に搭載される。エンジン10は、エンジンルーム5内に収納される。エンジン10の冷却システムは、冷却水が循環する冷却水循環路20を備えている。冷却水ポンプ22、ウオータジャケット21A、サーモスタット24、およびラジエータ26が、この順に冷却水配管21を介して連結されている。冷却水ポンプ22で加圧された冷却水は、ウオータジャケット21A、サーモスタット24、およびラジエータ26の順に流れる。図2中の、冷却水循環路20に沿う矢印は、冷却水の流れ方向を示す。
冷却水ポンプ22は、エンジン10の発生する駆動力によって駆動されて、冷却水を圧送する。ウオータジャケット21Aは、エンジン10の内部、たとえば、シリンダブロックおよびシリンダヘッドの内部に設けられた、冷却水の流路である。エンジン10の内部で発生した熱が、ウオータジャケット21Aを流れる冷却水に伝達されて、エンジン10が冷却される。エンジン10から熱を受けた冷却水は、ラジエータ26で空気との熱交換により冷却される。ラジエータ26で冷却された冷却水が、冷却水ポンプ22へ戻る。
サーモスタット24は、エンジン10内の冷却水の温度を制御する。エンジン10内の冷却水の温度が低いと、サーモスタット24は閉状態とされ、冷却水がラジエータ26に流れなくなる。エンジン10内だけで循環する冷却水の流路が形成されることにより、エンジン10の温度上昇が促進される。エンジン10内の冷却水の温度が高くなると、サーモスタット24が開状態になり、冷却水がラジエータ26に流れる。ラジエータ26で冷却された冷却水がエンジン10に循環することにより、冷却水への放熱によってエンジン10が冷却されるようになる。
ラジエータ26に、リザーバタンク28が接続されている。リザーバタンク28内に、冷却水の一部が貯留される。ラジエータ26からリザーバタンク28へ、またはその逆方向へ、冷却水が適宜に流れることにより、適切な量の冷却水が冷却水循環路20を循環できるようになっている。
図2にはまた、作動油が循環する作動油循環路30が図示されている。本例において作動油とは、油圧アクチュエータ40を作動するために、それらの油圧アクチュエータ40に供給される油をいう。油圧アクチュエータ40は、たとえば、作業機4を駆動するための油圧シリンダ、旋回体3を走行体2に対して旋回させる旋回モータ、および、走行体2を走行させるための走行モータを含む。
作動油ポンプ32、メインバルブ34、オイルクーラ36、および作動油タンク38が、この順に作動油配管31を介して連結されている。作動油ポンプ32で加圧された作動油は、メインバルブ34、オイルクーラ36、および作動油タンク38の順に流れる。図2中の、作動油循環路30に沿う矢印は、作動油の流れ方向を示す。
作動油タンク38には、作動油が貯留されている。作動油ポンプ32は、エンジン10の出力軸12に連結されており、出力軸12を介してエンジン10の発生する駆動力を受ける。作動油ポンプ32は、エンジン10の駆動力によって駆動されて、作動油タンク38内の作動油をメインバルブ34へ圧送する。
メインバルブ34には、図示しないスプールが内蔵されている。メインバルブ34は、スプールがその軸方向に移動することによって、各油圧アクチュエータ40に供給される作動油の流量および方向を制御する。油圧アクチュエータ40からメインバルブ34へ戻った作動油は、オイルクーラ36で空気との熱交換により冷却される。オイルクーラ36で冷却された作動油が、作動油タンク38へ戻る。
メインバルブ34とオイルクーラ36との間の作動油配管31に、バイパス弁37が設けられている。バイパス弁37は、一部の作動油をオイルクーラ36へ供給して冷却するとともに、残りの作動油をオイルクーラ36へ供給せずに直接作動油タンク38へ戻す。作動油の温度が低いと、作動油が流れるときの抵抗が大きくなり、燃費が低下する。オイルクーラ36で冷却される作動油の量がバイパス弁37によって調整されることにより、作動油の温度が適切に制御されている。
エンジン10の出力軸11に、冷却ファン16が連結されている。冷却ファン16は、出力軸11を介してエンジン10の駆動力を受けて回転駆動されることにより、ラジエータ26とオイルクーラ36とを通る空気の流れを生成する。ラジエータ26は、冷却ファン16によって生成された空気流れに放熱させることにより、冷却水を冷却する。オイルクーラ36は、冷却ファン16によって生成された空気流れに放熱させることにより、作動油を冷却する。ラジエータ26とオイルクーラ36とは、隣り合って配置されている。ラジエータ26とオイルクーラ36とは、冷却ファン16の発生する空気の流れ方向に並べられてもよい。
エンジン10の出力軸11に、ファンクラッチ18が設けられている。冷却ファン16は、ファンクラッチ18を介して、エンジン10に連結されている。ファンクラッチ18は、冷却ファン16の回転数を調節可能である。エンジン10の回転数、冷却水温、および作動油温が比較的低く、冷却水および作動油の冷却の必要性が小さいとき、たとえばエンジン10の起動直後に、エンジン10から冷却ファン16への駆動力の伝達を低減することにより、騒音を低減でき、冷却ファン16を駆動するための損失を低減できる。エンジン10の回転数が上昇して冷却水温および作動油温が上昇すると、ファンクラッチ18が完全に繋がった状態になり、冷却ファン16に駆動力を伝達して冷却ファン16の回転数を増大することにより、冷却水および作動油の冷却を促進する。
<検出部60>
図2に示される冷却システムには、所定の物理量を検出する検出部60が設けられている。検出部60は、水温センサ61、油温センサ62、ファン回転数センサ63、水位センサ64、燃料噴射量センサ65、およびエンジン回転数センサ66を含む。
水温センサ61は、冷却水の温度を検出する。冷却水の温度は、冷却ファン16、冷却水ポンプ22、サーモスタット24、およびラジエータ26の動作状況を監視するために使用される。油温センサ62は、作動油の温度を検出する。作動油の温度は、冷却ファン16、作動油ポンプ32、オイルクーラ36、およびバイパス弁37の動作状況を監視するために使用される。ファン回転数センサ63は、冷却ファン16の回転数を検出する。冷却ファン16の回転数は、冷却ファン16の動作状況を監視するために使用される。また、冷却ファン16の回転数は、水温センサ61および油温センサ62が検出する各温度に応じて、コントローラ50によって制御される。
水位センサ64は、リザーバタンク28内の冷却水の水位を検出する。リザーバタンク28内の冷却水の水位は、リザーバタンク28および冷却水循環路20を構成する各機器の動作状況を監視するために使用される。燃料噴射量センサ65は、エンジン10への燃料の供給量を検出する。エンジン10への燃料の供給量は、エンジン10の動作状況を監視するために使用される。エンジン回転数センサ66は、エンジン10の回転数を検出する。エンジン10の回転数は、エンジン10の動作状況を監視するために使用される。
検出部60はまた、外気温センサ67を含む。外気温センサ67は、冷却システムの近傍における外気温を検出する。外気温センサ67によって、ラジエータ26およびオイルクーラ36に供給される空気の温度が検出される。
上述したエンジン10、冷却ファン16、冷却水循環路20、冷却水ポンプ22、サーモスタット24、ラジエータ26、リザーバタンク28、作動油ポンプ32、オイルクーラ36、およびバイパス弁37は、作業機械の一例としての油圧ショベル1に搭載されたコンポーネントに含まれるものである。検出部60は、コンポーネントの動作状況を確認するために、所定の物理量を検出する。各検出部60によって検出された物理量を示す検出信号は、コントローラ50に入力される。
図2に示される水温センサ61は、エンジン10の内部に設けられているが、水温センサ61は冷却水循環路20の任意の位置に配置されてもよい。図2に示される油温センサ62は、作動油タンク38に設けられているが、油温センサ62は作動油循環路30の任意の位置に配置されてもよい。
<コントローラ50の構成>
図3は、実施形態に基づくシステムの構成を示すブロック図である。図3に示されるように、コントローラ50は、作動制御部50Aと、物理量取得部50Bと、状態判定部50Cと、スナップショットデータ取得部50Dと、演算処理部50Eと、記憶部50Fとを含む。
図3に示される操作装置52は、油圧ショベル1を起動させるためのオペレータの操作を受け付ける。操作装置52は、たとえばキャブ7の内部に配置されている。操作装置52はたとえば、エンジンキースイッチである。作動制御部50Aは、操作装置52から、オペレータにより操作装置52が操作されたことを示す検出信号の入力を受けて、油圧ショベル1を作動させるための指示信号を生成する。コントローラ50から、各コンポーネントに制御信号が出力されることにより、各コンポーネントが動作する。たとえば、作動制御部50Aからエンジン10に指示信号が出力されることにより、エンジン10が始動する。
物理量取得部50Bは、図2を参照して説明した各々の検出部60から、検出部60が検出した物理量を示す信号の入力を受ける。
スナップショットデータ取得部50Dは、検出部60によって検出され物理量取得部50Bに入力された物理量に基づいて、各物理量の時系列データを生成する。スナップショットデータ取得部50Dは、所定期間に検出された複数の物理量の時系列データを纏めたデータを、スナップショットデータとして取得する。なお、取得したスナップショットデータは、記憶部50Fに保存されるが、所定の時間が経過した際に消去、または新たに取得されたスナップショットデータに更新されるようにする。スナップショットデータの詳細は後述する。
状態判定部50Cは、検出部60によって検出され物理量取得部50Bに入力された各物理量が、正常な範囲にあるか、または正常な範囲から逸脱しているかを判定する。状態判定部50Cは、スナップショットデータに基づいて、各物理量が正常な範囲にあるか否かを判定してもよい。
スナップショットデータ取得部50Dは、作動制御部50Aが指示信号を生成した後の、いずれかの物理量が正常な範囲から逸脱していると状態判定部50Cが最初に判定した時点からさかのぼった所定期間に検出された物理量の時系列データを、初出スナップショットデータとして取得する。初出スナップショットデータは、記憶部50Fに保存される。
演算処理部50Eは、いずれかの物理量が正常な範囲から逸脱していると状態判定部50Cが判定した場合に、スナップショットデータ取得部50Dが取得したスナップショットデータに基づいて、その物理量の正常な範囲からの逸脱の原因であるコンポーネントの故障を特定する。記憶部50Fには、故障原因データベース50FDBが格納されている。故障原因データベース50FDBは、物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因であるコンポーネントの故障とが関連付けられた情報を含んでいる。演算処理部50Eは、故障原因データベース50FDBを記憶部50Fから読み出し、特定の物理量が正常な範囲から逸脱したときにその逸脱の原因となるコンポーネントの故障を、1つまたは複数特定する。
故障原因データベース50FDBは、コンポーネントの故障と、その故障に対する対策とが関連付けられた情報をさらに含んでいる。演算処理部50Eは、物理量の正常な範囲からの逸脱の原因として特定したコンポーネントの故障に対する対策を出力する。演算処理部50Eはたとえば、コンポーネントの故障に対する対策をモニタ54に表示する。モニタ54は、たとえばキャブ7の内部に配置されている。モニタ54は、たとえば運転席の前方に配置されている。キャブ7に搭乗して油圧ショベル1を操作するオペレータは、モニタ54の表示を見ることにより、コンポーネントの故障とその故障に対する対策とを認識することができる。
図3に示されるコントローラ50の各機能ブロックが、必ずしも1台のコントローラによって実現されなくてもよい。機能ブロックの一部を含むコントローラの複数台の組み合わせによって、図3に示されるコントローラ50が実現されてもよい。たとえば、物理量取得部50Bと、演算処理部50Eとが、別々のハードウェアで構成されてもよい。
<故障原因データベース50FDB>
図4は、故障原因データベース50FDBの第1の例を示す模式図である。図4には、フォルトツリーが示されている。図4では、フォルトツリーが対象とする事象は、エンジン10の冷却水のオーバーヒートとされている。エンジン10の冷却水のオーバーヒートが、上述した、物理量の正常な範囲からの逸脱の一例に相当する。
エンジン10の冷却水のオーバーヒートが発生したことは、水温センサ61によって検出される冷却水の温度が、正常な範囲から逸脱していることで、判別される。エンジン回転数センサ66によって検出されるエンジン10の回転数が正常な範囲から逸脱しておりエンジン10の出力が低下していることを、補助的にオーバーヒートの発生の判別に使用してもよい。
冷却水のオーバーヒートは、冷却水の放熱不足、またはエンジン10の発熱が過大であることにより発生する。
冷却水の放熱不足は、冷却水量の不足、冷却水の循環不良、冷却水から熱を放散させるためにラジエータ26に当てられる風量の不足、または、冷却水から熱を放散させるためにラジエータ26に当てられる風の温度が高いことにより発生する。
冷却水量の不足が発生したことは、水位センサ64によって検出されるリザーバタンク28内の冷却水の水位が、正常な範囲から逸脱していることで、判別される。
冷却水量の不足は、冷却水の漏れ、または、冷却水の蒸発により発生する。冷却水の漏れは、冷却水配管21、リザーバタンク28、またはラジエータ26において発生し得る。冷却水の蒸発は、ラジエータ26において発生し得る。したがってこの場合、故障が発生したコンポーネントは、冷却水配管21、リザーバタンク28、またはラジエータ26のいずれかであると特定される。冷却水配管21、リザーバタンク28、またはラジエータ26における冷却水の漏れまたは蒸発という故障の事象と、その故障に対する対策としての目視点検とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
冷却水の循環不良は、冷却水ポンプ22の不良、または、サーモスタット24の不良により発生する。
冷却水ポンプ22の不良は、冷却水ポンプ22において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントは冷却水ポンプ22であると特定される。冷却水ポンプ22の不良という故障の事象と、その故障に対する対策としての冷却水ポンプ22の交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
サーモスタット24の不良は、サーモスタット24において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントはサーモスタット24であると特定される。サーモスタット24の不良という故障の事象と、その故障に対する対策としてのサーモスタット24の交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
冷却水から熱を放散させるための風量不足は、冷却ファン16の回転数不足、または、ラジエータ26の放熱面が目詰まりしていることにより発生する。以下、ラジエータ26の目詰まりとは、ラジエータ26の放熱面に目詰まりが発生していることを示す。
冷却ファン16を原因として風量不足が発生したことは、ファン回転数センサ63によって検出される冷却ファン16の回転数が、正常な範囲から逸脱していることで、判別される。油温センサ62によって検出される作動油の温度が正常な範囲から逸脱しており、冷却水のオーバーヒートと作動油のオーバーヒートが同時に発生していることを、補助的に風量の不足の発生の判別に使用してもよい。
冷却ファン16の回転数不足は、冷却ファン16の動作不良、または、ファンクラッチ18の動作不良により発生する。この場合、故障が発生したコンポーネントは、冷却ファン16またはファンクラッチ18であると特定される。冷却ファン16の動作不良という故障の事象と、その故障に対する対策としての冷却ファン16の点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。ファンクラッチ18の動作不良という故障の事象と、その故障に対する対策としてのファンクラッチ18の点検、交換および補修後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
ラジエータ26の目詰まりは、ラジエータ26において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントはラジエータ26であると特定される。ラジエータ26の目詰まりという故障の事象と、その故障に対する対策としてのラジエータ26の目視点検および清掃とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
冷却水から熱を放散させるためにラジエータ26に当たる風の温度が高いことは、外気温が高いことに関係する。外気温が高いことは、外気温センサ67によって検出される外気温が正常な範囲から逸脱していることで、判別される。オペレータは、モニタ54に表示される外気温を目視することにより、外気温が高いという不具合の原因を確認できる。
エンジン10の発熱が過大であることは、エンジン10への燃料噴射量が過大であること、または、エンジン10で発生する抵抗もしくは負荷が大きいことにより発生する。
エンジン10への燃料噴射量が過大であることは、燃料噴射量センサ65によって検出されるエンジン10への燃料の供給量が正常な範囲から逸脱していることで、判別される。
エンジン10への燃料噴射量が過大であることは、エンジン10への燃料供給系統に設けられた噴射ポンプ14の動作不良により発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントは、噴射ポンプ14であると特定される。噴射ポンプ14の動作不良という故障の事象と、その故障に対する対策としての噴射ポンプ14の点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
エンジン10で発生する抵抗が大きいことは、ピストンまたはピストンリングなどのエンジン10の構成部品に、たとえば摩耗または破損などの不良が発生することにより、抵抗または負荷が発生することであり、この場合、故障が発生したコンポーネントは、ピストンまたはピストンリングであると特定される。ピストンまたはピストンリングの不良という故障の事象と、その故障の対策としてのピストンおよびピストンリングの点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
このように、コンポーネントの故障に関連した検出部60の検出結果を解析することによって、エンジン10の冷却水のオーバーヒートの原因であるコンポーネントの故障を容易に特定でき、加えて、故障に対する対策を容易に把握することができる。
図5は、故障原因データベース50FDBの第2の例を示す模式図である。図4と同様に図5にはフォルトツリーが示されている。図5では、フォルトツリーが対象とする事象は、作動油のオーバーヒートとされている。作動油のオーバーヒートが、上述した、物理量の正常な範囲からの逸脱の一例に相当する。作動油のオーバーヒートが発生したことは、油温センサ62によって検出される作動油の温度が、正常な範囲から逸脱していることで、判別される。
作動油のオーバーヒートは、作動油から熱を放散させるためにオイルクーラ36に当てられる風量の不足、作動油から熱を放散させるためにオイルクーラ36に当てられる風の温度が高いこと、または、作動油の循環不良により、発生する。
作動油から熱を放散させるための風量不足は、冷却ファン16の回転数不足、または、オイルクーラ36の放熱面が目詰まりしていることにより発生する。以下、オイルクーラ36の目詰まりとは、オイルクーラ36の放熱面に目詰まりが発生していることを示す。
冷却ファン16を原因として風量不足が発生したことは、ファン回転数センサ63によって検出される冷却ファン16の回転数が、正常な範囲から逸脱していることで、判別される。冷却ファン16の回転数不足は、冷却ファン16の動作不良、または、ファンクラッチ18の動作不良により発生する。この場合、故障が発生したコンポーネントは、冷却ファン16またはファンクラッチ18であると特定される。冷却ファン16の動作不良という故障の事象と、その故障に対する対策としての冷却ファン16の点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。ファンクラッチ18の動作不良という故障の事象と、その故障に対する対策としてのファンクラッチ18の点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
オイルクーラ36の目詰まりは、オイルクーラ36において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントはオイルクーラ36であると特定される。オイルクーラ36の目詰まりという故障の事象と、その故障に対する対策としてのオイルクーラ36の目視点検および清掃とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
作動油から熱を放散させるためにオイルクーラ36に当たる風の温度が高いことは、外気温が高いことに関係する。外気温が高いことは、外気温センサ67によって検出される外気温が正常な範囲から逸脱していることで、判別される。オペレータは、モニタ54に表示される外気温を目視することにより、外気温が高いという不具合の原因を確認できる。
作動油の循環不良は、作動油ポンプ32の不良、または、バイパス弁37の不良により発生する。
作動油ポンプ32の不良は、作動油ポンプ32において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントは作動油ポンプ32であると特定される。作動油ポンプ32の不良という故障の事象と、その故障に対する対策としての作動油ポンプ32の点検、交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
バイパス弁37の不良は、バイパス弁37において発生し、この場合、故障が発生したコンポーネントはバイパス弁37であると特定される。バイパス弁37の不良という故障の事象と、その故障に対する対策としてのバイパス弁37の交換および交換後の効果確認とが、関連付けられて、記憶部50Fに記憶されている。
このように、コンポーネントの故障に関連した検出部60の検出結果を解析することによって、作動油のオーバーヒートの原因であるコンポーネントの故障を容易に特定でき、加えて、故障に対する対策を容易に把握することができる。
<スナップショットデータ>
次に、所定期間に検出された複数の物理量の時系列データを纏めたデータ、すなわちスナップショットデータについて説明する。図6は、各物理量が正常な範囲にあるときのスナップショットデータの図である。
図6および後述のスナップショットデータを示す図面には、横軸を時間とし縦軸を温度とする冷却水温の時系列データのグラフ、横軸を時間とし縦軸を温度とする作動油温の時系列データのグラフ、横軸を時間とし縦軸を温度とする外気温度の時系列データのグラフ、横軸を時間とし縦軸を回転数とする冷却ファン16の回転数の時系列データのグラフ、横軸を時間とし縦軸を回転数とするエンジン10の回転数の時系列データのグラフ、横軸を時間とし縦軸を水位レベルとするリザーバタンク28内の冷却水の水位の時系列データのグラフ、および、横軸を時間とし縦軸を燃料噴射量とするエンジン10への燃料の供給量の時系列データのグラフが示されている。1つの図中に示される、すなわち、1つのスナップショットデータに含まれるこれらの時系列データは、同一の期間における各物理量の時間推移を示す。
図6には、各物理量が正常な範囲にあるときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間において、サーモスタット24を開弁する閾値よりも高く冷却水がオーバーヒートとなる閾値よりも低い範囲に保たれている。作動油温は、所定期間において、作動油がオーバーヒートとなる閾値よりも低い範囲、より特定的には、冷却ファン16の回転数を最大にする閾値よりも低い範囲に保たれている。外気温度は、所定期間において、使用環境限界温度、たとえば45℃、よりも低い範囲に保たれている。
冷却ファン16の回転数は、所定期間において、ほぼ最大の回転数に保たれている。エンジン10の回転数は、所定期間において、エンジン10の発生する駆動力が最大となる定格の回転数にほぼ保たれている。リザーバタンク28内の冷却水の水位は、所定期間において、水位レベル高となる閾値よりも低く水位レベル低となる閾値よりも高い水位、より特定的には、水位レベル高となる閾値よりも少し低い水位にほぼ保たれている。エンジン10への燃料の噴射量は、エンジン10の発生する駆動力が最大となる定格回転に対応する噴射量にほぼ保たれている。
図7は、物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第1の例の図である。図7には、冷却水温と作動油温とが正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却ファン16の回転数を最大にする閾値を越えて、作動油がオーバーヒートとなる閾値に達している。
外気温度は、所定期間における時間の経過とともに緩やかに上昇している。冷却水温および作動油温がオーバーヒートとなる閾値に到達したことに伴って、ラジエータ26およびオイルクーラ36を通過して排出される空気の温度が上昇しており、これにより、冷却システムの近傍における外気温が上昇したことを外気温センサ67が検出したものと考えられる。
エンジン10の回転数の時間推移、リザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移、およびエンジン10への燃料の噴射量の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。
図7に示される第1の例では、冷却水温と作動油温との両方がオーバーヒートとなる閾値に達している。図4に示される冷却水のオーバーヒートの原因と、図5に示される作動油のオーバーヒートの原因とにおける、共通する原因が、冷却水温と作動油温との両方がオーバーヒートとなった原因と推定される。つまり、冷却水および作動油から放熱させるための風量の不足が、オーバーヒートの原因であると推定される。
そこで、冷却ファン16の回転数の時間推移を参照すると、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで回転数が急増して、所定期間の後半ではほぼ最大の回転数に保たれていると認識される。図4,5に示される、風量の不足を引き起こす原因のうち、冷却ファン16の回転数不足は、原因ではないと推定される。したがって、ラジエータ26およびオイルクーラ36の目詰まりが発生していると、故障の事象が特定される。
このようにして、演算処理部50E(図3)が、コンポーネントの故障を特定する。演算処理部50Eはさらに、コンポーネントの故障に対する対策を出力する。この場合演算処理部50Eは、ラジエータ26およびオイルクーラ36の目詰まりを解消するための清掃をオペレータに通知するような出力をする。たとえば演算処理部50Eは、モニタ54に、ラジエータ26およびオイルクーラ36の目詰まりを解消するための清掃を促す表示をする。
図8は、物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第2の例の図である。図8にもまた、冷却水温と作動油温とが正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、作動油がオーバーヒートとなる閾値に達している。
外気温度は、所定期間に亘って均衡しているが、図6に示される正常な範囲にあるときよりも高くなっている。エンジン10の回転数の時間推移、リザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移、およびエンジン10への燃料の噴射量の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。
図8に示される第2の例においても、図7に示される第1の例と同様に、冷却水および作動油から放熱させるための風量の不足が、冷却水温と作動油温との両方がオーバーヒートとなった原因であると推定される。
そこで、冷却ファン16の回転数の時間推移を参照すると、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで回転数が増加しているが、最大の回転数にまで増加していない。所定期間の後半に亘って、冷却ファン16の回転数は、中程度の回転数と最大の回転数との間の値をとっている。図4,5に示される、風量の不足を引き起こす原因のうち、冷却ファン16の回転数不足が原因であると推定される。したがって、冷却ファン16またはファンクラッチ18の動作不良が発生していると、故障の事象が特定される。
このようにして、演算処理部50Eが、コンポーネントの故障を特定する。演算処理部50Eはさらに、コンポーネントの故障に対する対策を出力する。この場合演算処理部50Eは、冷却ファン16およびファンクラッチ18の点検、交換および交換後の効果確認を、オペレータに通知するような出力をする。たとえば演算処理部50Eは、モニタ54に、冷却ファン16およびファンクラッチ18の点検、補修および交換ならびにその後の効果確認を促す表示をする。
図9は、物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第3の例の図である。図9には、冷却水温が正常な範囲から逸脱しているが、作動油温は均衡しているときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間において、冷却ファン16の回転数を最大にする閾値よりも低い範囲に保たれている。
外気温度は、所定期間に亘って均衡している。冷却ファン16の回転数は、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで急増して、所定期間の後半ではほぼ最大の回転数に保たれている。エンジン10の回転数の時間推移、リザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移、およびエンジン10への燃料の噴射量の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。
図9に示される第3の例では、作動油温は均衡したまま冷却水温のみを上昇させた原因は、図4に示される冷却水のオーバーヒートの原因に含まれ、図5に示される作動油のオーバーヒートの原因に含まれない、冷却水のオーバーヒートを引き起こす特有の原因であると推定される。つまり、風量の不足および風の温度が高いことは、冷却水のオーバーヒートの原因でないと推定される。リザーバタンク28内の冷却水の水位レベルが下がっていないことから、冷却水量の不足も原因でないと推定される。燃料噴射量が均衡していることから、燃料噴射量が過大であることも原因ではないと推定される。これらより、冷却水の循環不良が発生していると、故障の事象が特定される。
このようにして、演算処理部50Eが、コンポーネントの故障を特定する。演算処理部50Eはさらに、コンポーネントの故障に対する対策を出力する。この場合演算処理部50Eは、冷却水ポンプ22およびサーモスタット24の交換および交換後の効果確認を、オペレータに通知するような出力をする。たとえば演算処理部50Eは、モニタ54に、冷却水ポンプ22およびサーモスタット24の交換および交換後の効果確認を促す表示をする。
図10は、物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第4の例の図である。図10にもまた、冷却水温が正常な範囲から逸脱しているが、作動油温は均衡しているときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間において、冷却ファン16の回転数を最大にする閾値よりも低い範囲に保たれている。
外気温度は、所定期間に亘って均衡している。冷却ファン16の回転数は、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで急増して、所定期間の後半ではほぼ最大の回転数に保たれている。エンジン10の回転数の時間推移、およびエンジン10への燃料の噴射量の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。
リザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移を参照すると、冷却水の水位は、所定期間における時間の経過とともに減少し、水位レベル低となる閾値よりもさらに低くなっている。
図10に示される第4の例では、リザーバタンク28内の冷却水の水位レベルが低下していることから、冷却水量の不足が冷却水のオーバーヒートの原因であると推定される。したがって、冷却水配管21、リザーバタンク28、またはラジエータ26における冷却水の漏れ、またはラジエータ26における冷却水の蒸発が発生していると、故障の事象が特定される。
このようにして、演算処理部50Eが、コンポーネントの故障を特定する。演算処理部50Eはさらに、コンポーネントの故障に対する対策を出力する。この場合演算処理部50Eは、冷却水配管21、リザーバタンク28、およびラジエータ26の目視点検を、オペレータに通知するような出力をする。たとえば演算処理部50Eは、モニタ54に、冷却水配管21、リザーバタンク28、およびラジエータ26の目視点検を促す表示をする。
図11は、物理量が正常な範囲から逸脱したときのスナップショットデータの第5の例の図である。図11にもまた、冷却水温が正常な範囲から逸脱しているが、作動油温は均衡しているときのスナップショットデータが示されている。具体的に、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間において、冷却ファン16の回転数を最大にする閾値よりも低い範囲に保たれている。
外気温度は、所定期間に亘って均衡している。冷却ファン16の回転数は、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで急増して、所定期間の後半ではほぼ最大の回転数に保たれている。エンジン10の回転数の時間推移、およびリザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。
エンジン10への燃料の噴射量の時間推移を参照すると、燃料噴射量は、エンジン10の発生する駆動力が最大となる定格の噴射量を超過している。狙いの値よりも実際の燃料噴射量が大きくなっており、そのため燃費が低下していることになる。
図11に示される第5の例では、エンジン10への燃料噴射量が定格回転に対応する噴射量よりも大きいことから、燃料噴射量が過大であることが冷却水のオーバーヒートの原因であると推定される。したがって、噴射ポンプ14の動作不良が発生していると、故障の事象が特定される。
このようにして、演算処理部50Eが、コンポーネントの故障を特定する。演算処理部50Eはさらに、コンポーネントの故障に対する対策を出力する。この場合演算処理部50Eは、噴射ポンプ14の点検、補修および交換ならびにその後の効果確認を、オペレータに通知するような出力をする。たとえば演算処理部50Eは、モニタ54に、噴射ポンプ14の点検、交換および交換後の効果確認の目視点検を促す表示をする。
以上のように、複数の物理量の時系列データを並べたスナップショットデータをコントローラ50(演算処理部50E)が解析することによって、油圧ショベル1の各コンポーネントのうちのどのコンポーネントが故障状態にあるのかを、早期に特定することができる。
演算処理部50Eは、平滑化処理などの数学的処理を用いて、スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障を特定してもよい。または演算処理部50Eは、スナップショットデータからコンポーネントの故障を特定するための人工知能モデルを有してもよい。この人工知能モデルは、あるコンポーネントの故障と、その故障が発生したときに取得されたスナップショットデータとを含む学習用データによって学習済みの人工知能モデルであってもよい。
記憶部50F(図3)は、ある特定のコンポーネントの故障が発生したときの典型的なスナップショットデータを、基準スナップショットデータとして予め記憶してもよい。記憶部50Fは、種々の故障に対応する複数の基準スナップショットデータを記憶してもよい。油圧ショベル1の動作中にスナップショットデータを取得した演算処理部50Eは、その取得したスナップショットデータに類似する基準スナップショットデータを識別して、その識別した基準スナップショットデータに対応する故障を読み出すことで、迅速にコンポーネントの故障を特定することができる。
コンポーネントの故障状態と、その故障の原因に対する対策とが関連付けられた情報を記憶部50Fに記憶することで、コンポーネントの故障が特定されるとその情報を記憶部50Fから読み出すことが可能になる。当該情報に基づいて、故障に対する対策を早期に実行することができ、故障からの復帰を早めることができる。
<コンポーネントの故障の特定>
次に、本開示の実施形態に基づく、コンポーネントの故障を特定する特徴的な処理について説明する。図12は、実施形態に基づくコンポーネントの故障を特定する処理の流れを示すフロー図である。
図12に示されるように、まず、基準スナップショットデータを予め記憶部50Fに記憶させる準備を行う(ステップS1)。基準スナップショットデータは、図6に示される各物理量が正常な範囲にあるときのスナップショットデータを含み、また、図7~図11に示されるような、特定のコンポーネントの故障が発生したときの典型的なスナップショットデータを含む。
オペレータが、油圧ショベル1を起動させるための操作を、操作装置52(図3)を用いて行う。コントローラ50(作動制御部50A)は、操作装置52から、オペレータにより操作装置52が操作されたことを示す検出信号の入力を受けて、油圧ショベル1を作動させるための指示信号を生成する(ステップS2)。
検出部60は、油圧ショベル1に搭載されたコンポーネントの動作状況を確認するために、所定の物理量を検出する。コントローラ50(物理量取得部50B)は、各々の検出部60から、検出部60によって検出された物理量を取得する(ステップS3)。
コントローラ50(状態判定部50C)は、検出部60によって検出され物理量取得部50Bに入力された各物理量が正常な範囲にあるのか、または物理量が正常な範囲から逸脱しておりその物理量が検出されたコンポーネントが故障状態にあるのか、を判断する(ステップS4)。故障状態にないと判断されれば(ステップS4においてNO)、以降の故障を特定する処理は実行されずに、ステップS3の物理量を取得する処理に戻る。
いずれかのコンポーネントが故障状態にあると判断されれば(ステップS4においてYES)、コントローラ50(スナップショットデータ取得部50D)は、物理量取得部50Bに入力された各物理量の時系列データを生成し、所定期間に検出された複数の物理量の時系列データを纏めたデータを、スナップショットデータとして取得する。このとき取得されるスナップショットデータは、物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定した時点からさかのぼった所定期間に検出された物理量の時系列データであり、これを初出スナップショットデータと称する(ステップS5)。この場合、初出スナップショットデータは、物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定された時点から所定期間分の時間をさかのぼった時点から、物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定された時点まで、の期間に検出された、物理量の時系列データである。
代替的には、物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定された時点から所定期間分の時間を経過するまでに検出された物理量の時系列データを、初出スナップショットデータとしてもよい。物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定された時点を含む所定期間に検出された物理量の時系列データを、初出スナップショットデータとしてもよい。初出スナップショットデータは、実施形態の第1のスナップショットデータに相当する。初出スナップショットデータに含まれる物理量の時系列データが検出される期間は、実施形態の第1の期間に相当する。
コントローラ50は、ステップS5で取得した初出スナップショットデータを、記憶部50Fに保存する(ステップS6)。
初出スナップショットデータを取得した期間よりも後の期間における物理量の時系列データを纏めたデータを、稼働中スナップショットデータとして取得する(ステップS7)。たとえば、コンポーネントが故障状態にあることを知ったオペレータまたは修理員が、操作装置52を操作するなどしてスナップショットデータを取得するように指令する信号をコントローラ50に入力したときに、コントローラ50(スナップショットデータ取得部50D)は、その入力を受けた時点からさかのぼった所定期間のスナップショットデータを、稼働中スナップショットデータとして取得してもよい。この場合、稼働中スナップショットデータは、コントローラ50が入力を受けた時点から所定期間分の時間をさかのぼった時点から、コントローラ50が入力を受けた時点まで、の期間に検出された、物理量の時系列データである。
代替的には、コントローラ50が入力を受けた時点から所定期間分の時間を経過するまでに検出された物理量の時系列データを、稼働中スナップショットデータとしてもよい。コントローラ50が入力を受けた時点を含む所定期間に検出された物理量の時系列データを、稼働中スナップショットデータとしてもよい。稼働中スナップショットデータは、実施形態の第2のスナップショットデータに相当する。稼働中スナップショットデータに含まれる物理量の時系列データが検出された期間は、実施形態の第2の期間に相当する。
なお、ステップS6の後に、各物理量がいずれも正常な範囲から逸脱しない場合、および、オペレータまたは修理員が操作装置52を操作するなどしてスナップショットデータを取得するように指令する信号をコントローラ50に入力する動作を何ら行わなかった場合には、ステップS7の処理をスキップしてもよい。
ステップS4で故障状態にあると判断されたコンポーネントの故障が解消されずコンポーネントが継続して故障状態にある間、コントローラ50は、連続的にまたは断続的にスナップショットデータを取得してもよい。コントローラ50は、最新に取得したスナップショットデータを稼働中スナップショットデータとして記憶部50Fに保存し、稼働中スナップショットデータの更新を続けてもよい。オペレータまたは修理員の指令を受けたコントローラ50は、記憶部50Fに記憶されている最新の稼働中スナップショットデータを読み出して出力してもよい。
稼働中スナップショットデータに基づいて、コンポーネントの故障が特定できるか否かが判断される(ステップS8)。
図13は、故障の発生から時間が経過した時点でのスナップショットデータの図である。図13においては、冷却水温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、冷却水がオーバーヒートとなる閾値を越えている。作動油温は、所定期間における時間の経過とともに上昇して、作動油がオーバーヒートとなる閾値に達している。
外気温度は、所定期間における時間の経過とともに緩やかに上昇している。冷却ファン16の回転数は、冷却水温がサーモスタット24を開弁する閾値に到達した時刻Tで急増して、所定期間の後半ではほぼ最大の回転数に保たれている。エンジン10の回転数の時間推移、およびエンジン10への燃料の噴射量の時間推移は、図6に示される正常な範囲にあるときと同様となっている。リザーバタンク28内の冷却水の水位の時間推移を参照すると、冷却水の水位は、所定期間に亘って、水位レベル低となる閾値よりも低くなっている。
図13に示される稼働中スナップショットデータは、基準スナップショットデータに含まれる典型的な故障発生のスナップショットデータとは異なる波形を有しており、その稼働中スナップショットデータのみに基づいてコンポーネントの故障を特定することが難しい。
稼働中スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障が特定できないと判断されると(ステップS8においてNO)、ステップS9に進み、コントローラ50(演算処理部50E)は、記憶部50Fから初出スナップショットデータを読み出す(ステップS9)。コントローラ50(演算処理部50E)は、初出スナップショットデータに基づいて、コンポーネントの故障を特定する(ステップS10)。
たとえば、記憶部50Fに保存されている初出スナップショットデータが、図9に示されるスナップショットデータと同じであれば、図9を参照して説明した通り、冷却水の循環不良が発生していると故障の事象が特定される。この場合、故障が発生した時点では、リザーバタンク28内の冷却水の水位は、水位レベル高となる閾値よりも少し低い水位にあり、十分な冷却水量があったことになる(図9)。冷却水のオーバーヒートが続いたことで冷却水が蒸発して冷却水量が減少し、その結果リザーバタンク28内の冷却水の水位が低下したと推定される(図13)。その後、外気温度が上昇したことで、作動油のオーバーヒートに至ったと推定される。
またたとえば、記憶部50Fに保存されている初出スナップショットデータが、図10に示されるスナップショットデータと同じであれば、図10を参照して説明した通り、冷却水量の不足が冷却水のオーバーヒートの原因であると推定され、冷却水の漏れまたは蒸発が発生していると故障の事象が特定される。その後、外気温度が上昇したことで、作動油のオーバーヒートに至ったと推定される。
稼働中スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障が特定できる場合(ステップS8においてYES)には、ステップS9、S10の処理は行われない。
続いて、故障に対する対策が複数あるか否かが判断される(ステップS11)。たとえば、図9に示されるスナップショットデータに基づいて冷却水の循環不良が発生していると故障の事象が特定された場合、冷却水ポンプ22の不良と、サーモスタット24の不良との二通りの故障の原因が推定される。故障に対する対策として、冷却水ポンプ22の交換および交換後の効果確認と、サーモスタット24の交換および交換後の効果確認とが推定される。このような場合、故障に対する対策が複数あると判断される。
故障に対する対策が複数あると判断されると(ステップS11においてYES)、対策に優先度が付けられる(ステップS12)。たとえば上述した冷却水の循環不良の場合、冷却水ポンプ22の故障および修理の履歴とサーモスタット24の故障および修理の履歴とがメンテナンス履歴情報として記憶部50Fに予め保存されており、メンテナンス履歴情報を読み取ることで、冷却水ポンプ22とサーモスタット24とのどちらのコンポーネントの故障の可能性が高いかを判断できる。その判断の結果、故障の可能性が高いコンポーネントに対応する故障に対する対策が出力される(ステップS13)。この出力は、たとえば、コントローラ50(演算処理部50E)が、コンポーネントの故障に対する対策をモニタ54に表示することにより、行われる。
故障に対する対策が1つのみと判断されると(ステップS11においてNO)、ステップS12の処理は行われず、ステップS13においては特定された故障に対する対策が出力される。そして、処理を終了する(図12のエンド)。
<作用および効果>
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
実施形態に基づく故障診断システムでは、図12に示されるように、初出スナップショットデータと、初出スナップショットデータよりも後に取得された稼働中スナップショットデータとに基づいて、コンポーネントの故障が特定される。故障の発生から時間が経過した時点での稼働中スナップショットデータのみに基づいてコンポーネントの故障を特定することが難しい場合に、初出スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障を特定できる。このようにすれば、油圧ショベル1に搭載されたコンポーネントの故障を容易に特定することができる。コンポーネントの故障の原因とその故障の原因に対する対策とを正確に把握し、その対策を速やかに実行することで、迅速に故障からの復帰が可能になる。したがって、油圧ショベル1の停止時間を短縮でき、作業効率を向上することができる。
図12に示されるように、時系列的に離れた二つのスナップショットデータのうち、先のスナップショットデータを、故障が発生した直後の初出スナップショットデータとすることで、コンポーネントの故障をより精度よく特定することができる。コントローラ50が油圧ショベル1を作動させるための指示信号を生成することで、油圧ショベル1の始動後に最初に故障が発生したときの初出スナップショットデータを、確実に取得することができる。
図12に示されるように、初出スナップショットデータを記憶部50Fに保存することで、稼働中スナップショットデータのみに基づいてコンポーネントの故障を特定することが難しい場合に、保存されている初出スナップショットデータを読み出し、初出スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障を特定することが可能になる。
図12に示されるように、特定された故障に対する対策が出力されるので、オペレータまたは修理員などは、その出力を参照して、故障に対する対策を速やかに実行することができる。
図12に示されるように、故障に対する対策が複数ある場合に、優先度を付けて対策が出力されるので、オペレータまたは修理員などは、その出力を参照して、故障に対する対策を効率的に実行することができる。
[第二実施形態]
第一実施形態では、作業機械に搭載されたコントローラ50が、スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障を特定する例について説明した。この例に限られず、作業機械の外部にあるコントローラが、コンポーネントの故障を特定してもよい。図14は、第二実施形態に基づくシステム構成を示すブロック図である。
図14に示されるように、油圧ショベル1には、第一実施形態で説明した検出部60が搭載されている。コントローラ50は、検出部60が検出した物理量を取得する。油圧ショベル1は、通信部56を備えている。通信部56は、たとえば、無線通信などの通信機能を有している。
油圧ショベル1の外部に、遠隔操作装置70が設置されている。遠隔操作装置70は、油圧ショベル1を動作させるためにオペレータが操作する図示しない操作装置を有している。油圧ショベル1が作業する現場から離れた遠隔地において、オペレータが遠隔操作装置70を操作することにより、油圧ショベル1を用いた作業が行われる。
油圧ショベル1の通信部56は、遠隔操作装置70に、検出部60が検出した物理量を送信する。油圧ショベル1に搭載されたコントローラ50が、物理量の時系列データ、すなわちスナップショットデータを生成してもよく、この場合通信部56は、スナップショットデータを遠隔操作装置70に送信する。
遠隔操作装置70は、故障診断用コントローラ71と、故障原因データベース72と、モニタ74と、通信部76とを備えている。通信部76は、油圧ショベル1の通信部56が送信した情報を受信する。通信部76は、受信した物理量に関する情報を、故障診断用コントローラ71に入力する。
第一実施形態で説明した故障原因データベース50FDBと同様に、図14に示される故障原因データベース72は、物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因であるコンポーネントの故障とが関連付けられた情報を含んでいる。
故障診断用コントローラ71は、通信部76で受信した物理量の入力を受けて、物理量のスナップショットデータを生成する。油圧ショベル1のコントローラ50で生成されたスナップショットデータが通信部76に送信された場合には、故障診断用コントローラ71はそのスナップショットデータの入力を受ける。故障診断用コントローラ71は、故障原因データベース72を読み出し、第一実施形態と同様に、スナップショットデータと、故障原因データベース72とに基づいて、特定の物理量が正常な範囲から逸脱したときにその逸脱の原因となるコンポーネントの故障を、1つまたは複数特定する。
故障診断用コントローラ71は、特定したコンポーネントの故障とその故障に対する対策とを表示させる信号を、モニタ74に送信する。遠隔操作装置70を操作するオペレータは、モニタ74の表示を見ることにより、コンポーネントの故障とその故障に対する対策とを認識することができる。油圧ショベル1が作業する現場から離れた遠隔地でコンポーネントの故障とその故障に対する対策とを正確に把握できるので、その対策を速やかに実行することで迅速に故障からの復帰が可能になる。
[第三実施形態]
図15は、第三実施形態に基づくシステム構成を示すブロック図である。第三実施形態に基づく油圧ショベル1は、第一実施形態と同様に、キャブ7に搭乗したオペレータが操作する仕様であり、操作装置52と、コントローラ50と、検出部60とを備えている。コントローラ50は、スナップショットデータを生成し、スナップショットデータに基づいてコンポーネントの故障を特定する。油圧ショベル1はまた、第二実施形態で説明した通信部56を備えている。
油圧ショベル1は、ネットワーク80を介して、遠隔監視装置90と、携帯端末100とに接続されている。
遠隔監視装置90は、油圧ショベル1の外部に設置されており、油圧ショベル1の動作状況、油圧ショベル1による作業状況、などを遠隔地から監視する。遠隔監視装置90は、サーバ91と、モニタ94と、通信部96とを備えている。油圧ショベル1の点検員または修理員が、携帯端末100を所持する。携帯端末100はたとえば、スマートフォン、タブレットPCなどであってもよい。
油圧ショベル1の通信部56は、ネットワーク80を介して、遠隔監視装置90と携帯端末100とに、特定したコンポーネントの故障と、故障に対する対策とを送信する。遠隔監視装置90は、通信部96で受信したコンポーネントの故障およびその対策を,サーバ91で処理して、モニタ94に表示する。携帯端末100は、受信したコンポーネントの故障およびその対策を、画面に表示する。
遠隔地において遠隔監視装置90を参照して油圧ショベル1の動作状況を監視するオペレータは、モニタ74の表示を見ることにより、コンポーネントの故障とその故障に対する対策とを認識することができる。携帯端末100を所持する点検員および修理員は、携帯端末100の画面の表示を見ることにより、コンポーネントの故障とその故障に対する対策とを認識することができる。コンポーネントの故障とその故障に対する対策とを正確に把握し、その対策を速やかに実行することで、迅速に故障からの復帰が可能になる。
これまでの実施形態の説明においては、作業機械の一例として油圧ショベル1について説明したが、他の種類の作業機械、たとえばブルドーザ、ホイールローダ、ダンプトラックなどに本開示の思想を適用してもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 油圧ショベル、2 走行体、3 旋回体、4 作業機、5 エンジンルーム、7 キャブ、10 エンジン、11,12 出力軸、14 噴射ポンプ、16 冷却ファン、18 ファンクラッチ、20 冷却水循環路、21 冷却水配管、21A ウオータジャケット、22 冷却水ポンプ、24 サーモスタット、26 ラジエータ、28 リザーバタンク、30 作動油循環路、31 作動油配管、32 作動油ポンプ、34 メインバルブ、36 オイルクーラ、37 バイパス弁、38 作動油タンク、40 油圧アクチュエータ、50 コントローラ、50A 作動制御部、50B 物理量取得部、50C 状態判定部、50D スナップショットデータ取得部、50E 演算処理部、50F 記憶部、50FDB,72 故障原因データベース、52 操作装置、54,74,94 モニタ、56,76,96 通信部、60 検出部、61 水温センサ、62 油温センサ、63 ファン回転数センサ、64 水位センサ、65 燃料噴射量センサ、66 エンジン回転数センサ、67 外気温センサ、70 遠隔操作装置、71 故障診断用コントローラ、80 ネットワーク、90 遠隔監視装置、91 サーバ、100 携帯端末。

Claims (6)

  1. 作業機械に搭載されたコンポーネントと、
    前記コンポーネントの動作状況を監視するために所定の物理量を検出する検出部と、
    所定期間に検出された前記物理量の時系列データをスナップショットデータとして取得するとともに、前記検出部が検出した前記物理量が正常な範囲にあるか否かを判定する、コントローラと、
    前記物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因である前記コンポーネントの故障とが関連付けられた情報を記憶する記憶部とを備え、
    前記コントローラは、
    第1の期間に検出された前記時系列データを第1のスナップショットデータとして取得し、
    前記第1の期間よりも後の第2の期間に検出された前記時系列データを第2のスナップショットデータとして取得し、
    前記第1のスナップショットデータと、前記第2のスナップショットデータと、前記記憶部に記憶されている情報とに基づいて、前記コンポーネントの故障を特定する、作業機械の故障診断システム。
  2. 前記コントローラは、
    前記作業機械を作動させるための指示信号を生成し、
    前記指示信号が生成された後、前記物理量が正常な範囲から逸脱していると最初に判定した時点からさかのぼった前記所定期間に検出された前記物理量の時系列データを、前記第1のスナップショットデータとして取得する、請求項1に記載の作業機械の故障診断システム。
  3. 前記コントローラは、前記第1のスナップショットデータを前記記憶部に保存する、請求項1または請求項2に記載の作業機械の故障診断システム。
  4. 前記記憶部に記憶されている情報は、前記コンポーネントの故障と、その故障に対する対策とが関連付けられた情報を含み、
    前記コントローラは、前記記憶部に記憶されている情報に基づいて、特定した故障に対する対策を出力する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の作業機械の故障診断システム。
  5. 故障に対する対策が複数ある場合に、前記コントローラは、前記対策に優先度を付けて出力する、請求項4に記載の作業機械の故障診断システム。
  6. コンポーネントと、前記コンポーネントの動作状況を監視するために所定の物理量を検出する検出部とを備える作業機械の故障診断方法であって、
    前記検出部が検出した前記物理量の正常な範囲からの逸脱と、その逸脱の原因である前記コンポーネントの故障とが関連付けられた情報が、記憶部に記憶されており、
    第1の期間に検出された前記物理量の時系列データを第1のスナップショットデータとして取得することと、
    前記第1の期間よりも後の第2の期間に検出された前記物理量の時系列データを第2のスナップショットデータとして取得することと、
    前記第1のスナップショットデータと、前記第2のスナップショットデータと、前記記憶部に記憶されている情報とに基づいて、前記コンポーネントの故障を特定することと、を備える、作業機械の故障診断方法。
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