JP2022142804A - コンデンサ付き整流子を有する直流モータ及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ体格を大きくすること無く、電機子の高速回転及び発熱に対しても信頼性が高くかつ、小型で低コストの、リングコンデンサ付き整流子モータを提供する。【解決手段】回転軸に固定される整流子19を備えた小型の直流モータであって、整流子の整流子セグメント190には、整流子の外側端面の外周側に対応する位置において、外側端面から軸線方向外側に伸び、かつ整流子セグメントの円周方向の長さよりも短い幅で、延長細片部191が一体に設けられている。複数の整流子セグメントの延長細片部と、絶縁性筒体部24と整流子の外側端面241により、凹部状の素子収容空間28を構成している。この素子収容空間に、表面に複数のコンデンサ262が実装された環状プリント基板260が収容され、複数のコンデンサのいずれか1つと、対応する延長細片部とが半田により、各々一体に結合されている。【選択図】図3

Description

本発明は、コンデンサ付き整流子を有する直流モータ及びその製法に関するものである。本発明は、特に、自動車等の電動アクチュエータに使用され、通常小型直流モータと称されている小型の直流モータにおける、整流子に対する複数のコンデンサの実装構造とその製法に関する。
整流子を備える小型直流モータは、大きなトルク、印加電圧の変化に対するリニアな回転特性、入力電流に対する出力トルクの直線性など、制御用モータとして優れた回転特性を有している。しかし、モータの給電回路に、機械的接点としてのカーボンブラシと整流子があるため、整流時にカーボンブラシと整流子の間で火花放電が発生する。この火花放電を除去する目的で、従来、様々な対策がなされている。例えば、整流子に、例えばバリスタ、抵抗、および厚膜集積回路等の、リング状に形成した電気雑音防止素子を接続し、火花放電を吸収することが行われている。
例えば、特許文献1には、プリント回路版上に、複数のコンデンサをリング状に配置し、各ンデンサの各接続電極を、対応する整流子セグメントと電気子巻線との接続部分に、半田で接続した発明が開示されている。
また、特許文献2には、多数の導電性整流子セグメントを具備する電気モータの整流子において、各整流子セグメントを、短絡導電体を介して、リング状に配置されたコンデンサ等の電気雑音防止素子に接続する構成が開示されている。
さらに、特許文献3には、各整流子のセグメントの内側と支持リングの外側との間にコンデンサを直接、リング状に配置し、複数のコンデンサの各々は、2つの隣接するセグメントに半田付けされた電気端子を担持している構成が開示されている。
特開2019-17240号公報 特開2001-157415号公報 特開2005-261190号公報
電動アクチュエータ等に使用されるモータには、所定の耐熱性や耐振性が求められる。特に、整流子を備える直流モータにおいては、モータ駆動時の電流の転流による火花放電、換言すると、整流時にカーボンブラシと整流子の間で発生するサージによって生成されたジュール熱により、整流子付近の温度が一時的に高温になることがある。また、出力の大きなモータでは、高速回転時等に流れる大きな電流により、ブラシと整流子との摺動部における摩擦により発熱し、整流子付近の温度が上昇する。
特に、定格電圧がDC100Vを超える直流モータでは、火花放電の対策が重要となる。
特許文献1に開示されて発明は、リング状の複数のコンデンサ(以下、リングコンデンサ)を、スペースに余裕のある整流子の電機子コイル側に取り付けているため、耐熱性に関する配慮の必要性は低くなる。他方、リングコンデンサの半径が大きくなるため、耐振性を考慮する必要がある。例えば、20000RPMを超える高速回転で、ラジアル方向に大きな力が働くので、モータの回転に伴う振動への耐性の高いことが要求され、リングコンデンサが割れる可能性もある。また、半径が大きくなると必然的に接続のための半田の量も多くなる。そのため、高速回転を伴うモータに、リングコンデンサは殆ど採用されていない。
リングコンデンサの電極は、一般的に半田の濡れ性が銅電極よりも良い銀電極が用いられる。その反面、サージによってジュール熱が発生した場合、整流子のセグメント銅片との熱膨張差により、リングコンデンサに対する熱応力が加わり、割れやすくなる。
特許文献2に開示された発明は、リングコンデンサを整流子の外端側、すなわち、電機子コイルとは反対側のスペースに余裕の無い側に配置し、リングコンデンサの各電極と各整流子セグメントを、短絡導電体を介して個々に短絡している。この発明は、短絡導電体の弾性を利用してリングコンデンサの各電極と各整流子セグメントとを電気的に接続しているが、機械的な結合力が弱いため、長期的に安定した接続状態を確保するのが難しく、実用化には至っていない。
特許文献3に開示された発明では、電機子コイルとは反対側、すなわち、整流子本体部のリング状凹部の内部空間に配置される複数のコンデンサの各電気端子が、それぞれ2つの隣接するセグメントに半田付けされる。各コンデンサは、隣接する2つのセグメントに半田付けする前に、リテーナ部品等で位置決めしなければ、各整流子片とコンデンサ電気端子を精度よく当接することができない。しかし、各コンデンサの電気端子部と整流子のセグメント部の半田付け部分は、プラスチック・リブの幅(セグメント間のギャップ)が狭く、半田付け部分が見づらいため、半田付けの良否判定が困難である。場合によって、溶融した半田は、隣接するコンデンサの電気端子と電気的に接触(短絡)する不具合が生じる恐れがある。
また、電気雑音防止素子としてリング状に形成したバリスタを用いる場合、リングバリスタは、モータの定格電圧に応じて所要の制御効果が得られるように電圧を選定されるのが好ましい。モータの定格電圧が高くなるとリングバリスタの動作電圧を高くする必要がある。しかし、リングバリスタの動作電圧を高くすると、コンデンサ容量の減少とともに、コンデンサ成分による電気ノイズ抑制効果も減少する傾向にある。
本発明の1つの目的は、直流モータの定格電圧が高くても整流機構で発生する火花放電を低減でき、かつ、高速回転にも耐え得る、コンデンサ付き整流子を有する直流モータを提供することにある。
本発明の他の目的は、コンデンサと整流子のセグメント部の半田付けが容易で作業性の高い、コンデンサ付き整流子を有する直流モータの製法を提供することにある。
本発明の一態様を示すと、本発明の直流モータは、
回転軸に固定される整流子と、前記整流子に接続されたリングコンデンサとを備えた直流モータであって、
前記整流子は、
絶縁材料からなり、内側端面及び外側端面を有する円筒状の絶縁性筒体部と、
導電性材料からなり、前記絶縁性筒体部の外周に離間して固定された複数の整流子セグメントとを有し、
前記各整流子セグメントは、前記絶縁性筒体部の前記内側端面の外周側に対応する位置に、電機子巻き線との接続部を有しているものにおいて、
前記各整流子セグメントには、前記外側端面の外周側に対応する位置において、前記外側端面から前記軸線方向外側に伸び、かつ前記整流子セグメントの円周方向の長さよりも短い幅で、延長細片部が一体に設けられており、
前記複数の整流子セグメントの前記延長細片部と、前記絶縁性筒体部と前記整流子の前記外側端面により、凹部状の素子収容空間を構成しており、
前記リングコンデンサは、環状プリント基板の表面上に等間隔にかつ前記各整流子セグメントに対応して実装された複数のコンデンサを有しており、
前記凹部状の素子収容空間に、前記環状プリント基板が収容され、前記複数のコンデンサのいずれか1つと、対応する前記延長細片部とが半田により、各々一体に結合されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、複数のコンデンサが実装された環状プリント基板を整流子の外側端面に固定する構成であるため、サージによってジュール熱が発生した場合でもリングコンデンサの放熱特性を損なわず、リングコンデンサの破壊を防止できる。そのため、直流モータの定格電圧が高い、例えば240V程度ものであっても、整流機構で発生する火花放電を低減し得る直流モータを提供することが可能である。また、整流子の半径方向の寸法を増大することが無く、モータ本体の大型化を防き、モータの回転に伴う振動への耐性は高く、コンパクトで、高速回転に耐える直流モータを提供することが可能である。
本発明の他の態様によれば、前記環状プリント基板の外周面上で、前記各整流子セグメントの前記延長細片部に対応する位置に、各々、前記外周面を半径方向の内側に凹設した凹設外周部が設けられ、前記各凹設外周部に、前記各コンデンサの第1の電極が露出しており、前記凹設外周部の前記第1の電極と前記対応する整流子セグメントの延長細片部とが、半田により一体に結合されている。
本発明によれば、整流子本体部のリング状凹部の内部空間に、複数のコンデンサが実装された環状プリント基板を挿入し、環状プリント基板の面凹設外周部に整流子セグメントの記延長細片部を半田付けするので、位置決めが容易であり、作業性に優れた、直流モータの製造提供することができる。
本発明の一実施例になる、リングコンデンサ付き整流子を備えた直流モータの縦断面図である。 図1の直流モータにおける、リングコンデンサ付き整流子とその周辺部分を拡大して示した縦断面図である。 一実施例における、整流子とリングコンデンサの関係を示す、斜視図である。 一実施例における、リングコンデンサ付き整流子の縦断面図である。 図4の右側面図である。 一実施例における、電機子巻線とリングコンデンサ付き整流子との電気的接続の関係を示す回路図である。 一実施例における環状プリント基板の表面の、複数のコンデンサの実装パターンを示す図である。 一実施例における環状プリント基板の裏面の、複数の銅箔パターンを示す図である。 一実施例における、直流モータの製造方法の例を示す図である。 一実施例における、直流モータの製造方法の例を示す図である。 一実施例における、直流モータの製造方法の例を示す図である。 一実施例における、直流モータの製造方法の例を示す図である。 本発明の一実施例になる直流モータと比較例の直流モータの、伝導エミッションの関係を示す図である。 一実施例になる直流モータと比較例の直流モータの、放射エミッションの関係を示す図である。 本発明の他の実施例における、整流子とリングコンデンサの関係を示す、斜視図である。 図11Aに示した実施例の直流モータにおける、リングコンデンサ付き整流子の右側面図である。 図11Aに示した実施例の、製造方法の例を示す図である。
以下、本発明に係る、リングコンデンサ付き整流子を備える直流モータの実施例について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の一実施例になる、リングコンデンサ付き整流子を備える直流モータの実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる直流モータの一例を示す、縦断面図である。直流モータ10のモータケース11は、その一端が開口したカップ状をした鉄等の金属製のケースである。このモータケース11の開口側に固定されたエンドプレート13の内側には、絶縁性樹脂製のエンドキャップ25が固定されている。
モータケース11には、直流モータのステータを構成するマグネット12が固定されている。直流モータのロータを構成する電機子巻線17及び積層鉄心18が回転軸16と一体に形成され、この回転軸は軸受14,15を介して、モータケース11及びエンドプレート13に回転自在に支持されている。積層鉄心18は円周方向に多極に分極され、各鉄心に夫々電機子巻線17が巻回され、それらの端部は整流子19に接続されている。
直流モータ10はさらに、回転軸16に固定された整流子19に摺接する一対のカーボンブラシ20と、エンドキャップ25に保持されたブラシホルダー21とを備えている。エンドキャップ25の半径方向外縁付近には、ピグテール23を介して各々カーボンブラシ20に接続された給電用のターミナルが設けられており、このターミナルは、エンドプレート13の外側に伸びるターミナル端子22を有している。整流子19にはリングコンデンサ26が一体に固定され、リングコンデンサ付き整流子を構成している。
次に、図2~図5を参照しながら、本発明の一実施例になるリングコンデンサ付き整流子の詳細について、説明する。
図2は、図1の直流モータにおける、リングコンデンサ付きの整流子とその周辺部分を拡大して示した縦断面図である。図3は、整流子とリングコンデンサとの関係を示す、斜視図である。さらに、図4は、リングコンデンサ付き整流子の縦断面図であり、図5は図4の右側面図である。
整流子19は複数の、本実施例では6個の銅製の整流子セグメント190を有している。各整流子セグメント190の一端には、軸方向に伸びる延長細片部191が設けられ、これら延長細片部191の内側に、リングコンデンサ26を収容する凹部状の素子収容空間28が形成されている。各整流子セグメント190の他端には電機子巻線接続片192が設けられている。各整流子セグメント間にはセグメント間ギャップ193がある。
軸受15とリングコンデンサ26との間には、回転軸16に保持された油遮蔽板27が配置されている。この油遮蔽板27は、軸受15内の潤滑油が、リングコンデンサ26や素子収容空間28の側へ飛散、進入するのを、阻止する機能がある。その一方で、カーボンブラシから発生するカーボンの消耗粉末が、軸受15内に混入することを防止する役目も果たす。
リングコンデンサ26は、環状の基板、例えば環状プリント基板260と、この基板の一方の面上、ここでは表面(内側)に、等間隔に実装された複数個、本実施例では6個のコンデンサ262とを有する。環状プリント基板260は、例えば、樹脂プラスチックにガラスなどの繊維を混合させ、強度をアップさせた複合材料、すなわち、FRP(Fiber Reinforced Plastics)製である。この環状プリント基板の裏面(外側)には、後述するように銅箔パターンが形成され、さらに、この環状プリント基板260の外周面263上で、各整流子セグメント190の延長細片部191に対応する位置には、外周面263を半径方向の内側に凹設した凹設外周部があり、ここに各コンデンサ262の第1の電極264が露出している。
絶縁性筒体部24は、各整流子セグメント190が固定される筒体の本体部240と、この本体部240を回転軸16に固定するための中空穴243を有している。
この各コンデンサの第1の電極264は、半田溶接による溶融部300を介して、対応する整流子セグメント190の延長細片部191に接続されている。この第1の電極264は、環状プリント基板260の外周面263の凹設外周部に露出して設けられているため、延長細片部191と第1の電極264との接続位置が安定した位置に保持され、かつ、延長細片部191の外径を整流子セグメント190の外径と同じにできる。また、外周面263の凹設外周部は、半田溶接の際の、位置決めの機能を有する。
本発明では、絶縁性筒体部24の反電機子巻線側端面を外側端面241、電機子巻線側端面を内側端面242と定義する。整流子19の外側端面241の側には、この外側端面241と各整流子セグメント190の延長細片部191とによって囲まれた環状の凹部、すなわち素子収容空間28がある。この素子収容空間28内に、1つのリングコンデンサ26が固定される。
次に、図6A~図6Cを参照しながら、本発明の一実施例になる、リングコンデンサ付き整流子の詳細について、さらに説明する。
図6Aは、本発明の一実施例における、電機子巻線17とリングコンデンサ付き整流子19との電気的接続関係を示す回路図である。図6Bは、環状プリント基板260の表面の、複数のコンデンサ262の実装パターンを示す図である。また、図6Cは、環状プリント基板260の裏面の、複数の銅箔パターン29を示す図である。各銅箔パターン29は、1つのリングが6個に分割された扇型に近いパターンであり、各コンデンサに対応して設けられている。
複数のコンデンサ262の各第1の電極264は、半田溶接により、整流子19の各整流子セグメント190に接続されている。また、各コンデンサ262の第2の電極265は、各々対応する銅箔パターン29に、各々接続されている。
直流モータ10の回転時に、一対のカーボンブラシ20が整流子セグメント190に摺接して整流を行う。このとき、各コンデンサ262は、整流時に発生する高周波の火花放電を吸収し、火花放電がカーボンブラシや整流子セグメントを損傷させるのを防ぐ。特に、モータの出力が大きくなると通電電流が増えるために、転流時のノイズが大きくなる。放電しようとする電荷は、リングコンデンサ26の各コンデンサに蓄積されるので、火花放電や電気ノイズが低減される。
本発明のように、整流子の隣接するセグメント同士をチップコンデンサで接続した場合、整流機構、すなわちカーボンブラシ20と整流子19のセグメント間(スリット部)で放電しようとする電荷は、チップコンデンサに蓄積されるので、火花放電や電気ノイズが低減される。すなわち、リングコンデンサは、整流時にカーボンブラシと整流子の間で発生するサージによって生成されてジュール熱量をコンデンサで消費することによりコンデンサが有する周波数特性に応じた周波数帯域において電気ノイズを抑制する働きがある。
特に、環状プリント基板260の表面にコンデンサ262を実装し、この環状プリント基板の裏面に、コンデンサに接続される銅箔パターン29を作成することにより、コンデンサからの発熱を効率よく放熱することができる。すなわち、銅箔パターン29が環状プリント基板260の外側、換言すると素子収容空間28の外側になり、銅箔パターン29が、整流子19とカーボンブラシ20が接触することにより加熱される整流子から離れ、外気に触れやすい位置にあるので、放熱特性に優れている。
なお、モータの定格電圧が大きくなると、放電しようとする電荷が大きくなるが、整流子のサイズも大きくなる。そのため、本発明では、定格電圧に応じたコンデンサのサイズと静電容量を選択し、基板の裏面側に設ける銅箔パターンの厚みを、例えば70μmと、通常使用されている厚み、例えば35μmよりも厚くし、かつ銅箔パターン29の面積を広げている。これにより、コンデンサのチップサイズを大きくしても、放熱特性は損なわれない。
また、環状プリント基板260の表面側を、内側、すなわち、整流子19の外側端面241の側として整流子19に固定しているため、環状プリント基板260が軸受15からの潤滑油がコンデンサ262へ進入するのを、より確実に阻止し、リングコンデンサ26の電気雑音防止素子としての機能の低下を防止する効果がある。
次に、図7~図8Cを参照しながら、本発明の一実施例における、直流モータの製造方法の一例の詳細を説明する。17
まず、図7の(A)に示したように、回転軸16、電機子巻線17、及び積層鉄心18を備えたモータのロータと、整流子19と、リングコンデンサ26を用意する。次に、整流子19の絶縁性筒体部24の外側端面に設けられた素子収容空間28内において、リングコンデンサ26の位置決めをする。なお、環状プリント基板260は、コンデンサ262が実装された表面側が、整流子19の外側端面に面するように、配置される。
そして、例えば、双頭自動錫溶接機を利用して、1つの整流子セグメント190の延長細片部191とコンデンサ262とを、半田により溶接する。すなわち、図8A~図8Cのように、整流子19の延長細片部191の軸方向の中心C-Cと、環状プリント基板260の外周に露出したコンデンサ262の第1の電極264、及び、環状プリント基板260の裏面側の銅箔パターン29の位置を一致させて、重ね合わせる。コンデンサのコンデンサ262の位置はカメラ等で確認する。なお、以下も含めて、一例の作業は、ロボットにより行う。次に、コンデンサ262の第1の電極264及び銅箔パターン29を、半田溶接によって整流子19の延長細片部191に、電気的に接続し、固定する。すなわち、1つの延長細片部191と、対応するコンデンサ262の第1の電極264及び銅箔パターン29を、錫合金の半田による溶接部300で一体化する。その後、整流子19を60度(360度/6)だけ回転させ、順次、次の地点の延長細片部191と対応するコンデンサ262の第1の電極及び銅箔パターンとの溶接を行う。このようにして、各延長細片部191の銅の細片とリングコンデンサ26の各コンデンサ262とを、半田で溶接し、一体化する。
次に、図7の(B)に示したように、コンデンサ付き整流子19を、電機子巻線を備えたモータの回転軸16に所定の位置まで圧入し、図7の(C)に示した状態とする。その後、円周方向に多極に分極された各積層鉄心18に夫々電機子巻線17が巻回され、この電機子巻線と整流子とを電気的に接続することにより、リングコンデンサ26を備えた、モータのロータが完成する。
なお、図7の(B)に示したように整流子19をモータの回転軸16に圧入した後に、リングコンデンサ26と整流子19を、半田で溶接し一体化してもよい。
複数のコンデンサを実装した環状プリント基板が前記整流子に内蔵されているため、部品点数を少なくすることができ、電機子を製作する上で作業工数が大幅に少なくすることができる。かつ、コンデンサを環状プリント基板に実装することにより、基板内部に形成された銅箔の回路パターンを工夫することにより、コンデンサからの発熱を効率よく放熱する役割を果たす。
また、環状の凹部をカーボンブラシ摺動部の背面側空間に設けるため、整流子の外側に環状のリングコンデンサが露出せず、整流子の寸法を増大させることが無く、モータ本体の大型化を防ぐことができる。
素子収容空間28は、隙間が大きく、外部に対して大きく開いた空間となっているため、半田溶接の作業は容易である。すなわち、本発明では、整流子セグメント190の円周方向の幅に対して、延長細片部191の幅を狭くすることで、素子収容空間28の隙間を大きくし、外部に対して大きく開いた空間としている。
また、延長細片部の軸方向長さは、リングコンデンサ26の軸方向の厚みと同等である。
本発明によれば、環状の凹部、すなわち素子収容空間28を、カーボンブラシ摺動部の外側端面241の側に設けるため、整流子19の半径方向の外側に環状の基板が露出せず、整流子19の寸法、特に半径方向の寸法を増大することが無く、モータ本体の大型化を防ぐことができる。すなわち外側端面241の側の凹部分に、リング状にチップコンデンサを実装した環状プリント基板を収納し内蔵することができるため、モータ本体を半径方向に大型化させることなく、複数のコンデンサの収納空間を構成することができ、モータの電機子の質量バランスが均質となる。
本発明のリングコンデンサ26は、素子収容空間28内に配置されるが、これを、絶縁性筒体部24の内側端面242の側、すなわち、整流子19の電機子コイル側にリングコンデンサが配置されるのに比べると、半径のサイズが1/2程度と小型になるので、モータの回転に伴う振動への耐性は高くなる。一例として、本実施例における、整流子19の直径が8.25mmの場合、環状プリント基板の外周面263の直径は7.00mmと、コンパクトなサイズである。
延長細片部191とリングコンデンサの各コンデンサの第1の電極264を溶接する際、(1)接触面積を大きくとることにより接触抵抗を下げる、(2)隣接する整流子セグメントに半田溶接部が接触しないよう、スペースを設ける、(3)整流子セグメントの延長部を「細片部」にし、かつ軸方向の長さを短くすることによって、熱応力を緩和すると共に、溶接の時間を短縮することが可能となる。
また、リングコンデンサは、整流子セグメントの複数の延長細片部(本実施例の場合は6か所)で支えられているので、ラジアル方向(遠心方向)に作用する力にも強い。
また、凹部状の素子収容空間28は、その外側と内側の間に段差を有する2段の軸方向の凹設部となっている。これは、絶縁性筒体部24の樹脂とリングコンデンサ26の熱膨張係数とが異なるため、絶縁性筒体部24とリングコンデンサ26との接触面積を減らすためである。
図9は、本発明の一実施例になる直流モータと比較例の直流モータの、伝導エミッションの関係を示す図である。
なお、105KHz~30MHz~までの分解能帯域幅(RBW)は、9KHzで測定し、30MHz~108MHzは、120KHzの分解能帯域幅に設定されている。この設定は、国際規格に準拠した電気ノイズを測定する機器(スペクトルアナライザ)のパラメータ設定である。
実線は、本発明の一実施例、すなわち、絶縁性筒体部24の外側端面241にリングコンデンサを取り付けた場合の測定結果である。破線は比較例、すなわち、電機子巻線側端面である内側端面242にリングコンデンサを取り付けた場合の測定結果である。リングコンデンサの設置位置以外の条件は同じである。
本発明は、比較例に比べて、低域300KHzから高域108MHzまでの広い周波数範囲において、伝導エミッションの値が低くなっており、ノイズ抑制効果が認められる。
図10は、本発明の一実施例になる直流モータと比較例の直流モータの、放射エミッションの関係を示す図である。
図10は、図9と同様の2組の整流子に関して、放射エミッションの関係を求めたものである。
本発明の場合、低周波帯域では、比較例よりも放射エミッション、すなわち電界強度の値が高くなっているが、高周波帯域において、ノイズ抑制効果が認められる。
以上のように、本発明によれば、整流子付きの直流モータで、特に高速回転かつ大電流が流れ、整流子周辺が高温になるような用途に適用すると効果が高く有用な直流モータを提供することができる。
次に、本発明の他の実施例に係る、コンデンサ付き整流子を有する直流モータについて、図11A、図11B、図12を参照しながら説明する。
図11Aは、本発明の実施例2における直流モータの、整流子とリングコンデンサの関係を示す、斜視図であり、図11Bは、図11Aの右側面図である。
この実施例では、環状プリント基板260の整流子19に対する固定面が、実施例1とは逆の関係にある。すなわち、環状プリント基板260の表面(外側)に等間隔に複数個、本実施例では6個のコンデンサ262が実装されており、この環状プリント基板の裏面(内側)には銅箔パターンが形成され、さらに、この環状プリント基板260の外周面263上で、各整流子セグメント190の延長細片部191に対応する位置には、凹設外周部が設けられ、この凹設外周部に、各コンデンサ262の第1の電極264が露出している。この各コンデンサの第1の電極264や銅箔パターンは、錫合金の半田溶接による溶融部300を介して、対応する整流子セグメント190の延長細片部191に接続されている。
図12は、実施例2の、コンデンサ付き整流子を有する直流モータ製造方法の例を示す図である。
この例では、回転軸16、電機子巻線17、及び積層鉄心18を備えたモータのロータと、整流子19と、リングコンデンサ26を用意する。そして、整流子19を回転軸16に圧入する。次に、環状プリント基板260の裏面側が、整流子19の外側端面に面するようにして、環状プリント基板260を素子収容空間28内に配置し、リングコンデンサ26の各コンデンサ262の第1の電極264及び銅箔パターン29を、各々、半田溶接によって整流子19の延長細片部191に、電気的に接続し、固定する。実施例2は、環状プリント基板260に対するコンデンサ262の実装面が、凹部状の素子収容空間28に対して外側になっている点で、実施例1と異なる。その他の点は、実施例1と同じである。
本実施例も、実施例1と同様に、直流モータの定格電圧が高くても整流機構で発生する火花放電を低減でき、かつ、高速回転にも耐え得る、コンデンサ付き整流子を有する直流モータを提供することができる。また、コンデンサと整流子のセグメント部の半田付けが容易で作業性の高い、コンデンサ付き整流子を有する直流モータの製法を提供することができる。
10 直流モータ
11 モータケース11
12 マグネット
13 エンドプレート
14 軸受
15 軸受
16 回転軸
17 電機子巻線
18 積層鉄心
19 整流子
190 整流子セグメント
191 延長細片部
192 電機子巻線接続片
193 セグメント間ギャップ
20 カーボンブラシ
21 ブラシホルダー
22 ターミナル端子
23 ピグテール
24 絶縁性筒体部
240 筒体の本体部
241 外側端面(反電機子巻線側端面)
242 内側端面(電機子巻線側端面)
243 中空穴
25 エンドキャップ
26 リングコンデンサ
260 環状プリント基板
262 コンデンサ(素子)
263 環状プリント基板の外周面
264 コンデンサの第1の電極
265 コンデンサの第2の電極
27 油遮蔽板
28 素子収容空間
29 銅箔パターン
300 半田による溶接部

Claims (5)

  1. 回転軸に固定される整流子と、前記整流子に接続されたリングコンデンサとを備えた直流モータであって、
    前記整流子は、
    絶縁材料からなり、内側端面及び外側端面を有する円筒状の絶縁性筒体部と、
    導電性材料からなり、前記絶縁性筒体部の外周に離間して固定された複数の整流子セグメントとを有し、
    前記各整流子セグメントは、前記絶縁性筒体部の前記内側端面の外周側に対応する位置に、電機子巻き線との接続部を有しているものにおいて、
    前記各整流子セグメントには、前記外側端面の外周側に対応する位置において、前記外側端面から前記軸線方向外側に伸び、かつ前記整流子セグメントの円周方向の長さよりも短い幅で、延長細片部が一体に設けられており、
    前記複数の整流子セグメントの前記延長細片部と、前記絶縁性筒体部と前記整流子の前記外側端面により、凹部状の素子収容空間を構成しており、
    前記リングコンデンサは、環状プリント基板の表面上に等間隔にかつ前記各整流子セグメントに対応して実装された複数のコンデンサを有しており、
    前記凹部状の素子収容空間に、前記環状プリント基板が収容され、前記複数のコンデンサのいずれか1つと、対応する前記延長細片部とが半田により、各々一体に結合されている、ことを特徴とする直流モータ。
  2. 請求項1に記載の直流モータにおいて、
    前記環状プリント基板の外周面上で、前記各整流子セグメントの前記延長細片部に対応する位置に、各々、前記外周面を半径方向の内側に凹設した凹設外周部が設けられ、
    前記各凹設外周部に、前記各コンデンサの第1の電極が露出しており、
    前記凹設外周部の前記第1の電極と前記対応する整流子セグメントの前記延長細片部とが、半田により一体に結合されている、ことを特徴とする直流モータ。
  3. 請求項2に記載の直流モータにおいて、
    前記環状プリント基板の裏面に設けられた、前記各コンデンサに対応する銅箔パターンを有しており、
    前記各コンデンサの第2の電極は、前記環状プリント基板の裏面に設けられた対応する前記銅箔パターンに各々接続されている、ことを特徴とする直流モータ。
  4. 請求項2に記載の直流モータにおいて、
    前記延長細片部の軸方向長さは、前記リングコンデンサの軸方向の厚みと同等であり、
    前記素子収容空間は、前記整流子の外側に開いた空間であり、
    前記整流子セグメントの材料及び前記リングコンデンサの前記各電極の材料は銅であり、
    前記各延長細片部と、前記各コンデンサの前記第1の電極とが、錫合金の半田溶接により、溶融により一体化されていることを特徴とする直流モータ。
  5. 請求項2に記載の直流モータの製法であって、
    前記各コンデンサの第2の電極を、前記環状プリント基板の裏面に設けられた銅箔パターンに接続し、
    前記凹部状の素子収容空間に、前記リングコンデンサを近接配置し、
    前記各延長細片部と、前記リングコンデンサの対応する前記コンデンサの第1の電極とを半田により一体に結合することを特徴とする直流モータの製法。
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