JP5479764B2 - ブラシ付直流モータ - Google Patents

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Description

本発明は、直流モータに関し、特に整流子とブラシとの間の切換時の電磁ノイズの発生を抑制できるようにしたブラシ付直流モータに関する。
従来から、直流モータは、各種機器に広く使用されている。自動車には、電動ミラー、ドアロック等の電装品としてブラシ付直流モータが広く用いられている。
このような用途のブラシ付直流モータは、ブラシと整流子とを介して各電機子巻線に電流を供給するようにしているため、回転に伴ってブラシと整流子片の接触状態が断状態に切り替わる。このときブラシと整流子片間の強制遮断に伴って両者間に高電圧が発生し火花放電が生じる。このとき高電圧としてパルス状のサージ電圧が発生する。このサージ電圧は、ブラシと整流子片に損傷を与えると共に、周囲に強い電磁界を発生し、周囲の機器に電磁ノイズを発生させる。このため、通常、整流子にバリスタを取り付けてサージ電圧を吸収するようにして整流子を保護している。(例えば、特許文献1参照)。
図10は特許文献1に示す従来の直流モータの構成図である。
図10に示すように、小型モータ100は、ブラシ付直流モータで、螺旋状の駆動マグネット101が内周面に取付けられたフレーム102と、そのフレーム102の内部に配設された回転子103とを備えている。前記回転子103にはシャフト104と、電機子105が取り付けられている。回転子103は、フレーム102に設けられた焼結軸受106と、ブラケット107に設けられた焼結軸受108によって両端を回転自在に支持される。フレーム102は、有底中空筒状に形成されている。その中空筒状部の内周部に駆動マグネット101が配設されたフレーム102の開口部には、その開口部に嵌合したブラケット107を備えている。
図11は図10に示した整流子組立体を示した斜視図である。
図12は図11に示した整流子組立体を示した断面図である。
図11及び図12に示すように、整流子組立体113は、耐熱性のある樹脂で射出成形されるホルダー115と複数個の整流子片111と絶縁リング116から構成される。個々の整流子片111は円弧部111aと突起状の端子部となる整流子ライザ112からなる。整流子片111の整流子ライザ112をホルダー115のフランジ部115aに当接させ、円弧部111aをシャフト104の側面に複数個略円筒状に配列させ、整流子片111を電気的に独立させるようにスリット117を設けて組み立てられている。これら整流子片111が配列された円弧部111aの先端から電気的絶縁性がある絶縁リング116を圧入し、ホルダー115のフランジ部115aに整流子片111の整流子ライザ112が当接するまで差し込んで複数個の整流子片111を固定している。
電機子105はシャフ104に圧入固定された積層鉄心105aのティース部にコイル120が巻回されている。積層鉄心105aとコイル120との絶縁のために、鉄心105aの表面には絶縁処理膜119が施されている。シャフト104には整流子ライザ112を有する3個の整流子片111が絶縁処理膜119を介して取付けられて整流子組立体113を形成し、各整流子ライザ112にはコイル120が半田付けにて電気的に接続されている。また、電磁ノイズなどを吸収するためにバリスタ118を用いている。バリスタ118は整流子片111の端子部の外周側に半田付けにて接続される。なお、図11はバリスタ118が省略されている。
特開2005−204459号公報
上記従来のブラシ付直流モータでは、回転に伴う整流時のブラシ114と整流子片111との断続によって高圧の逆起電圧が発生し、ブラシ114と整流子片111との間に火花放電が生じる。この高圧の逆起電圧は一般にバリスタにより吸収し、火花放電を抑制している。
しかし、バリスタのみではブラシ付直流モータから発生する広域の周波数帯域の電磁ノイズを十分には吸収できない。このため、ブラシ付直流モータから発生する電磁ノイズにより、周囲の電子機器、例えば自動車のラジオ等に雑音が入る問題や電子機器に誤動作が生じる問題が報告されている。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、回転に伴ってブラシと整流子片の断続状態によって発生する電磁ノイズを抑制するようにしたブラシ付直流モータを提供することにある。
本発明のブラシ付直流モータは、回転に伴うブラシと整流子片の接触状態が遮断状態に切り替わるときの遮断電圧の発生を抑制するために、整流子片間にバリスタの他に抵抗による電流路を形成する。この抵抗による電流路をラバーレジスタで構成する。
ラバーレジスタ(樹脂中に導電性フィラを混入した電気的抵抗値を有するゴム、例えば、電気的抵抗値を有する導電ゴム)は、リング(形)状に構成され、電気的抵抗値を有する。ラバーレジスタは、絶縁リングと整流子ライザ部に挟持されて整流子ライザ部と密着して接触するため、流れる電流を抑制するように電気的な抵抗値を有する導通状態を形成する。
ラバーレジスタは、弾性を有するゴム、例えばシリコンゴムに、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の充填物(導電フィラ)が添加されている構成を備える。充填剤としては、銀、ステンレス等の金属材料を用いることができる。
ラバーレジスタの抵抗値は、ブラシと整流子片との間の接触抵抗値よりも高くなるように設定している。このため、回転に伴い、ブラシと整流子片との接触が断続することによって誘導される逆起電力に基づく電流が、整流子片から抵抗値を有するラバーレジスタへ流れ、ラバーレジスタによって電流が消費される。その結果、ブラシと整流子片との間に発生する火花放電が抑制される。このように、高電圧の発生を抑制するリングバリスタのみならず、低電圧発生時の電流を抑制する抵抗値を有するラバーレジスタを付け加えることにより、火花放電時の電磁ノイズをより効果的に防止できる。
さらに、副次的に、整流子片の整流子部の外周にリング(形)状のラバーレジスタを圧接配設する構成とすることにより、リングバリスタと各整流子ライザ部を半田にて接続する際、半田が流れて整流子部の表面や整流子部間のスリットへ流入付着する事故を阻止し、結果的に半田による整流子部表面の荒れや整流子部間の短絡を防止する。
整流子組立体へのラバーレジスタの組み込みは以下のような形態で行う。
整流子基体の段部に整流子片の折れ曲げ部を位置決めした状態で、整流子基体の小径円筒部に整流子片の整流子部を当接配置し、リング形状のラバーレジスタを整流子部の表面に圧接しながら折り曲げ位置まで押し込み整流子部に嵌合するか、又は、このラバーレジスタの上に、さらに絶縁リングを同様に整流子部の表面に圧接しながら折り曲げ位置(実質的には、折り曲げ位置の近傍の突き当たって止まる位置)まで押し込み、嵌合する。これにより、整流子部を整流子基体とラバーレジスタで、又は、整流子部を整流子基体とラバーレジスタおよび絶縁リングで、狭持状態に嵌合固定する。
換言すると、ラバーレジスタは、絶縁リングと整流子ライザ部に挟持されて整流子部及び整流子ライザ部と密着して接触する。
ラバーレジスタは、整流子ライザ部のリングバリスタ半田付け領域と整流子部の間であって、整流子ライザ部の半田付け面に連なる面に、溶融半田の流れを阻止するように設ける。
さらには、ラバーレジスタにより、モータに発生する振動を減衰させるようにできる。
ラバーレジスタの形状は、平板リング(形)状、円筒(形)状、大径断面6角形リング(形)状、小径断面6角形リング(形)状、平板リング状部の外周側の等中心角度位置に起立片を3箇所設けた(形)状、平板リング状部の外周側に円筒状部を起立状態に設けた(形)状、平板リング状部の外周側に円筒状部を起立状態に設け、その内周側に円筒状部を起立状態に設けた(形)状等を採り得る。その他に、図示省略したが断面円筒リング形状、断面円形リング形状等も採り得る。
ラバーレジスタの形状は、絶縁リングを有しない場合には、任意の断面形状を有するリング形状を採り得る。
絶縁リングを有し、ラバーレジスタが絶縁リングと整流子部により狭持される構造では、内側に円筒状部を備える円筒(形)状や平板リング状部の外周側に円筒状部を起立状態に設け、その内周側に円筒状部を起立状態に設けた(形)状等を採る。
絶縁リングを有し、ラバーレジスタが絶縁リングと整流子ライザ部により狭持される構造では、平板リング(形)状、大径断面6角形リング(形)状、小径断面6角形リング(形)状、平板リング状部の外周側の等中心角度位置に起立片を3箇所設けた(形)状、平板リング状部の外周側に円筒状部を起立状態に設けた(形)状、断面円形リング形状、断面円筒リング形状、等を採り得る。
本発明のブラシ付直流モータによれば、整流子組立体に設けるリングバリスタと抵抗値を有するラバーレジスタによって、回転に伴ってブラシと整流子片の接触状態が断状態に切り替わるときの電磁ノイズの発生を抑制できるので、例えば、自動車のラジオに雑音が入る問題や電子機器に誤動作を生じさせる等の異常ノイズの発生を抑えることができる。また、同時に、ブラシと整流子片の断状態での異常電圧による損傷を抑制することができる。
また、鉛成分を調整した半田を使うようになったことから、半田の溶融温度が高くなりフラックス等が流れやすくなった。このため、整流子周りの半田付け作業時には、整流子を覆うようにしていた。
さらに、整流子ライザ部にバリスタを半田付けする際、半田の表面張力やぬれ性の為に整流子部やその間のスリットに予定しない半田の付着する不良が報告されていた。
しかし、本発明では、整流子組立体に設けた抵抗値を有するラバーレジスタによってリングバリスタと整流子ライザ部との半田接着時の半田が整流子片やその整流子片間のスリットへ流入することを防止することができる。
また、シャフトに対する整流子片やバリスタ等の部品の取り付け誤差に基づくシャフトの振動を、各部品とシャフトの間に設けられたラバーレジスタの弾性力により抑制することができる。
さらに、ラバーレジスタの材料に応じて程度の差はあるが、半田付け箇所から流れ出た半田を、ラバーレジスタ中の導電フィラ等の金属体と半田結合させることにより半田の流動を停止できる。
本発明のブラシ付直流モータの構成図である。 本発明の実施例1の整流子組立体を示した斜視図である。 図2に示した整流子組立体の組立説明図である。 図2に示す整流子組立体の断面図である。 本発明の実施例2における整流子組立体を示した断面図である。 本発明の実施例3における整流子組立体を示した断面図である。 本発明の実施例4における整流子組立体を示した断面図である。 本発明の実施例5における整流子組立体を示した断面図である。 本発明の実施例6における整流子組立体を示した断面図である。 従来の直流モータの構成図である。 図10に示した整流子組立体を示した斜視図である。 図11に示した整流子組立体を示した断面図である。
本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
本発明のブラシ付直流モータの実施例1を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のブラシ付直流モータの構成図である。
図2は図1に示した実施例1の整流子組立体を示した斜視図である。
図3は図2に示した整流子組立体の組立説明図である。
図4は図2に示す整流子組立体の断面図およびラバーレジスタの斜視図である。
図4(a)は図2に示す整流子組立体の断面図、図4(b)は図4(a)のラバーレジスタの斜視図である。
本発明のブラシ付直流モータ1は、フレーム2、回転子3、固定子4(マグネット)からなる。
フレーム2は、大きく分けて金属材料よりなる有底中空筒状フレーム5とブラケット6からなる。
有底中空筒状フレーム5は、中空筒状部に固定子4を固定するための係止部5aを有し、底部中央の貫通孔にシャフト7の軸受け8を嵌合配置している。
ブラケット6は、有底中空筒状フレーム5の筒状部の開口に嵌合する蓋の構造を備え、その内側凹部にシャフト7の一端を軸支する軸受け9を収容し、過電流保護素子10およびブラシ11を所定の位置に固定している。
過電流保護素子10は例えば正特性サーミスタを用いる。ブラシ11は整流子片16の整流子部16bと接触するようにブラケット6内に取り付けられる。
回転子3は、アマチュアコア12とシャフト7と整流子組立体13を備える。アマチュアコア12はシャフト7に固着されている。アマチュアコア12は、インシュレータ14を介してコイル23が巻回されている。
整流子組立体13はシャフト7に装着される。整流子組立体13は、整流子基体15と、整流子ライザ部16aと整流子部16bを連接した整流子片16と、絶縁リング20と、リングバリスタ22と、ラバーレジスタ19を備える。
以下、本発明の特徴を構成するラバーレジスタ19の組み込み構成に関し以下の実施例を用いて詳述する。
整流子組立体13における整流子基体15は、耐熱性のある樹脂で射出成形される。整流子片16は、複数個、この実施例の場合3個形成される。整流子基体15は、小径円筒部15aと大径受け部15bとが連結して一体成形されている。整流子基体15の中央部にはシャフト挿通用の貫通孔15c(図4(a)参照)が形成されている。
小径円筒部15aの径方向の外側面には、その外側面と密着するように周囲に3個の整流子片16の整流子部16bが相互に等間隔に配置される。
小径円筒部15aと大径受け部15bの連結部は段部15dを形成する。この段部15dは、整流子片16の整流子ライザ部16aや、絶縁リング20や、ラバーレジスタ19を裁置した状態に支持する。
図3に示すように、整流子片16は、整流子ライザ部16aと整流子部16bの連結部を折り曲げ部16cとして直角に折り曲げ、全体でL字状に形成される。
整流子ライザ部16aは、整流子片16の折り曲げ部16cからリングバリスタ22を半田付け固着したりアマチュアコアのコイル端子を絡げたりする端子部分を含み、折り曲げ部16cから半径方向外方に延びている。
整流子ライザ部16aは、図3に示すように、整流子部16bとで直角を形成する面側を部品搭載面16dとする。部品搭載面16dには、ラバーレジスタ19、絶縁リング20、リングバリスタ22が搭載される。部品搭載面16dの半田付け面部16fにリングバリスタ22を半田付けする。この半田付け面部16fと整流子部16bやスリット21の間にラバーレジスタ19が配置されるので、半田付け面部16fで余った半田は、部品搭載面16d上を流れるが、リング(形)状のラバーレジスタ19で止められて、整流子部16bやスリット21へ流れることを阻止される。
ラバーレジスタ19の搭載箇所は、整流子ライザ部16aの部品搭載面16dで、その部品搭載面16dと反対側の面を予定していない。換言すると、整流子片16の位置決めがラバーレジスタの弾性により不安定になることが無いように、また、半田付けが容易になるように、整流子ライザ部16aにおける整流子基体15の段部15d側の面とその段部15dとの間にラバーレジスタ19を配置することは予定していない。
整流子片16の整流子部16bは、ブラシ11と断続接触し、その小径円筒部15a側が、小径円筒部15aの径方向の外側面に密着して接するように円弧状に形成されている。
各整流子部16bは、電気的に独立するようにそれらの間にスリット21が形成されるように配置される。絶縁リング20は、電気的絶縁特性を有する合成樹脂で形成され締め付け固定できる程度の弾性を有し、4角形を含めた任意の断面形状を有する。
ラバーレジスタ19と電気的絶縁性を有する絶縁リング20とリングバリスタ22はリング(環状)構造、例えば、平板のリング状(平板リング形状)体、として形成されていることが好ましい。
ラバーレジスタ19と絶縁リング20の貫通孔の径は、整流子基体15に配置状態の整流子片16が嵌合する寸法とする。換言すると、絶縁リング20により、又は、ラバーレジスタ19と絶縁リング20により、整流子片16が整流子基体15に弾圧保持される。
また、ラバーレジスタ19の径方向の幅は、絶縁リング20の径方向の幅と同じかそれより少し短く形成されている。絶縁リング20とリングバリスタ22は、径方向において、互いに重ならない径に形成されている。
組立時、整流子基体15の段部15dの隅にL字状の整流子片16の折り曲げ部16cを合わせた状態で、整流子部16bを小径円筒部15aに密接させて仮組立する。
次に、ラバーレジスタ19の貫通孔に仮組立体を遊嵌状態に合わせながら、ラバーレジスタ19を押し下げて、ラバーレジスタ19を整流子ライザ部16aの部品搭載面16d上に配置する。
次に、同じく絶縁リング20の貫通孔に仮組立体を遊嵌状態に合わせながら、絶縁リング20を押し下げて、絶縁リング20をラバーレジスタ19上に押圧状態に当接する。
この結果、ラバーレジスタ19は絶縁リング20と整流子ライザ部16aにより挟持されて整流子部及び前記整流子ライザ部と密着して接触し抵抗値を有する電流路を形成する。
換言すると、円周上に配置された3個の整流子部16bの外周面に絶縁リング20を遊嵌状態に合わせながら、この絶縁リング20を整流子ライザ部16aに突き当たるまで押し込み、大径受け部15bとラバーレジスタ19および絶縁リング20で整流子片16の折り曲げ部16cを含みその近傍領域を固定する。これによって、整流子片16を絶縁リング20で又はラバーレジスタ19と絶縁リング20で整流子基体15に圧接保持する。
この状態から、図4(a)に示すように、絶縁リング20の径方向外側の整流子ライザ部16aの部品搭載面16d上にその電極が当接するようにリングバリスタ22を裁置し、整流子ライザ部16aとリングバリスタ22の電極を半田付けして固着する。
各整流子ライザ部16aには、図1のアマチュアコア12のコイル23の端末が絡げられ、半田で電気的に接続される。
ラバーレジスタ19は、図4(b)に示すように平板のリング形状、即ち、平板リング形状を呈し、抵抗値を有するラバー(例えば、抵抗値を有する導電ゴム)からなる。ラバーレジスタ19は、絶縁リング20と整流子ライザ部16aに挟持されて整流子ライザ部16aの部品搭載面16d上に密着して接触しているため、電気的に抵抗値を有する導通状態となる。
ラバーレジスタ19は、ゴムの弾性を有し、例えばシリコンゴムにアルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の充填剤が添加された構成を備える。充填剤としては、銀、ステンレス等を用いることができる。ラバーレジスタ19の抵抗値は、ブラシ11と整流子部16bとの間の接触抵抗値よりも高くなるように設定しているため、ラバーレジスタ19に流れる電流を火花放電の発生を抑えることができる程度の適切な値に抑制している。また、整流時においては、ブラシ11と整流子部16bとの接触が断続することによって誘導される電流が整流子部16bから抵抗値を有するラバーレジスタ19へ流れ、ラバーレジスタ19によって電流が消費される結果、ブラシ11と整流子部16bとの間に発生する火花放電が防止される。
ラバーレジスタの構成材料およびその特性は、例えば、以下のケースのようになる。
(ケース1)
材料:
導電性フィラ・・銀アルミニウム
ポリマー・・・・シリコーン
特性:
体積抵抗(Volume Res.)・・・・・・0.008(Ω-cm)
作業温度(Operating Temp.)・・・・ −55(℃)〜160(℃)
硬さ(Hardness)・・・・・・・・・・・65(Shore A)
比重(Specific Gravity)・・・・・・・2(g/ccm(coupled-cluster method(結合クラスター法)))
圧縮偏差(Compression Deflection)・・3.5%(min)
伸び(Elongation)・・・・・・・・・・100% (min)
(ケース2)
材料:
導電性フィラ・・銀アルミニウム
ポリマー・・・・フルオロシリコーン
特性:
体積抵抗(Volume Res.)・・・・・・0.012Ω-cm
作業温度(Operating Temp.)・・・・ −55℃〜160℃
硬さ(Hardness)・・・・・・・・・・・70(Shore A)
比重(Specific Gravity)・・・・・・・2(g/ccm(coupled-cluster method(結合クラスター法)))
圧縮偏差(Compression Deflection)・・3.5%(min)
伸び(Elongation)・・・・・・・・・・60% (min)
このとき、ブラシ11と整流子部16bとの間に発生する電圧が、高電圧域ではリングバリスタ22の電圧−電流特性が有効になり、低電圧域ではラバーレジスタ19の電圧−電流特性が優先機能することになる。
このように、リングバリスタ22のみならず、抵抗値を有するラバーレジスタ19を付け加えることにより、火花放電時の電磁ノイズをより効果的に防止できる。
さらに、整流子片16の整流子部16bの外周に平板リング形状のラバーレジスタ19を配設した構成としているため、リングバリスタ22と各整流子ライザ部16aを半田にて接続する際、図4の状態で半田付けするため、半田がリングバリスタ22と各整流子ライザ部16aとの間から流れ出ても整流子部16b間のスリット21への流入をラバーレジスタ19によって阻止でき、半田による整流子部16bの間の短絡を防止できる。
さらに、ラバーレジスタ19の材料に応じて程度の差はあるが、半田付け箇所から流れ出た半田を、ラバーレジスタ19中の導電フィラ等の金属体と半田結合させることにより半田の流動を停止できる。
このラバーレジスタ19は、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
図5は実施例2における整流子組立体13aの構造を示した図である。図5(a)は整流子組立体13aの断面図、図5(b)はラバーレジスタの斜視図である。
図5(a)において図4(a)で説明した同じ構成は説明を省略する。
図5(b)に示す円筒形状のラバーレジスタ19aを、図5(a)に示すように整流子部16bの径方向の外周に嵌合し、ラバーレジスタ19aの径方向の外周を円環状の絶縁リング20aで圧接保持した構成となっている。ラバーレジスタ19aは絶縁リング20aの側面で押圧され、整流子ライザ部16a間を抵抗で接続した構成となっている。換言すると、ラバーレジスタ19aは、絶縁リング20aと整流子ライザ部16aに挟持されて整流子部16b及び整流子ライザ部16aと密着して接触する。
また、絶縁リング20aの外周にはリングバリスタ22を配設する。
これにより、実施例1と同様に、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19aによって電磁ノイズを抑制できると共に、リングバリスタ22を整流子ライザ部16aに半田付けした際、半田が部品搭載面(図示省略)上を流れて整流子部16bやスリット21(図示省略)へ流入することを円筒形状のラバーレジスタ19aによって防止できる。
さらに、ラバーレジスタ19aを介して絶縁リング20aにより整流子部16bを保持するため、整流子部16bへの締め付け圧力をゴムの弾性により緩和して整流子部16bの変形を防止できる。
また、回転時の振動をラバーレジスタ19aのゴムの弾性により緩和して整流子部16b等へ加わる歪みを抑制できる。
これにより、リングバリスタ22のみならず、抵抗値を有するラバーレジスタ19aを付け加えることにより、火花放電時の電磁ノイズをより効果的に防止できる。
さらに、整流子部16bの外周に円筒形状のラバーレジスタ19aを配設した構成としているため、リングバリスタ22と各整流子ライザ部16aを半田にて接続する際、図5の状態で半田付けするため、半田がリングバリスタ22と各整流子ライザ部16aとの間から流れ出ても整流子部16bやスリット21への流入をラバーレジスタ19aによって阻止でき、半田による整流子部16bの間の短絡を防止できる。
また、ラバーレジスタ19aの材料に応じて程度の差はあるが、半田付け箇所から流れ出た半田を、ラバーレジスタ19a中の導電フィラ等の金属体と半田結合させることにより半田の流動を停止できる。
このラバーレジスタ19aは、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
図6は実施例3における整流子組立体13bおよび整流子片の構造を示した図である。
図6(a)は整流子組立体13bの断面図、図6(b)は整流子片の斜視図である。
図6(a)において図4(a)で説明した同じ構成は説明を省略する。
図6(b)に示すように、整流子ライザ部16aの部品搭載面16dの整流子部16bに近い部分にプレス等の押出成形手段によりリングの一部を成す凹部16eを形成する。
この凹部16eを有する整流子片16を実施例1と同様に整流子基体15に取り付け、この凹部16eに平板リング形状のラバーレジスタ19bを載置する。リング形状の絶縁リング20bは整流子部16bの外周に圧接して整流子片16を圧接保持し、ラバーレジスタ19bは絶縁リング20bの下面で押圧され、整流子ライザ部16a間を抵抗で接続した構成となる。換言すると、ラバーレジスタ19bは、絶縁リング20bと整流子ライザ部16aに挟持されて整流子部及び整流子ライザ部と密着して接触し、整流子部間を抵抗接続する。
また、絶縁リング20bの外周にはリングバリスタ22を配設している。
このため、実施例3は、実施例1と同様の作用効果である、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19bによって電磁ノイズを抑制できると共に、部品搭載面16dの端子に半田付けした際、流れた半田の整流子部16bやスリット21(図示省略)への流入をラバーレジスタ19bによって防止できる。さらに、ラバーレジスタ19bの位置決めが容易にできるため、作業性が向上できる。
半田が偶然にも流れたとしても、半田は凹部16eに溜まると共にリング(形)状のラバーレジスタにより流れないように阻止されるため、整流子部の表面やスリットまで流れ込むことが無くなる。
さらに、ラバーレジスタ19bの材料に応じて程度の差はあるが、半田付け箇所から流れ出た半田を、ラバーレジスタ19b中の導電フィラ等の金属体と半田結合させることにより半田の流動を停止できる。
このラバーレジスタ19bは、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
図7は第4の実施例における整流子組立体13cの構造を示した図である。図7(a)は整流子組立体13cの断面図、図7(b)はラバーレジスタの斜視図である。
図7(a)において図4(a)で説明した同じ構成は説明を省略する。
図7(b)に示す大径断面6角形リング形状のラバーレジスタ19cは、図7(a)に示すように折り曲げ部(図示省略)近傍の整流子部16bおよび整流子ライザ部16aの外周に自身の弾性力により圧接嵌合し保持した構成となっている。また、リング形状のラバーレジスタ19cの外周にはリングバリスタ22を配設している。
リング形状のラバーレジスタ19cは整流子片16の折り曲げ部16c近傍の外周に自身の弾性力により圧接して整流子片16を整流子基体15に圧接保持し、整流子部16b間をラバーレジスタ19cにより抵抗接続した構成となっている。また、ラバーレジスタ19cの外周にはリングバリスタ22を配設している。
このため、実施例4は、実施例1と同様に、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19cによって電磁ノイズを抑制できると共に、整流子ライザ部16aの半田付け面にリングバリスタ22を半田付けした際、半田が整流子ライザ部16aの部品搭載面上を流れても、整流子部16bやスリット(図示省略)へ流入することをリング(形)状のラバーレジスタ19cによって阻止できる。さらに、ラバーレジスタ19cの弾性力により整流子片16を整流子基体15に圧接保持しているため、絶縁リングを省略することができる。
このラバーレジスタ19cは、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
この絶縁リングを省略する構成の整流子組立体に用いるラバーレジスタの構成は、他の実施例に開示する形状のもの全てが適用できる。その適用例の説明は、この実施例4においてラバーレジスタを他の実施例のものに単に置き換えただけであるから、説明は省略する。
図8は実施例5における整流子組立体13dの構造を示した図である。小径断面6角形リング形状のラバーレジスタ19dは、実施例4のラバーレジスタ19cと径が小径である点以外は基本的に異ならない。図8では、このラバーレジスタ19dを整流子部16bの外周に圧接保持又は嵌合すると共に、平板リング形状の絶縁リング20cも整流子部16bの外周に圧接保持又は嵌合して整流子部16bを圧接保持した構成となっている。これにより、整流子ライザ部16a間をラバーレジスタ19dの抵抗で接続した構成となっている。絶縁リング20cの外周にはリングバリスタ22を配設している。
これにより、実施例1と同じ作用効果である、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19dによって電磁ノイズを抑制できると共に、整流子ライザ部16aの端子に半田付けした際、半田が流れて整流子部16bやスリット(図示省略)へ流入することをラバーレジスタ19dによって阻止できる。さらに、ラバーレジスタ19dと絶縁リング20cにて整流子部16bを保持しているため、実施例4より安定して整流子部16bを保持できる。このラバーレジスタ19cは、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
図9は実施例6における整流子組立体の構造を示した図である。
図9(a)は実施例6における整流子組立体の断面図、図9(b)は起立片部を有するラバーレジスタの斜視図、図9(c)は円筒状部を有するラバーレジスタの斜視図、図9(d)は内側および外側に円筒状部を有するラバーレジスタの斜視図である。
(起立片部を有するラバーレジスタ
図9(b)に示すように、ラバーレジスタ19hは、貫通孔19h−3を設けた平板リング状部19h−1の外周側の等中心角度位置に起立片19h−2を3箇所設けた構成を有する。起立片の位置は極数に応じて異なる。
整流子片16の折り曲げ部16cを整流子基体15の段部15dに位置合わせした状態で、貫通孔19h−3に整流子部16bを嵌合させながらラバーレジスタ19hを押し込み、整流子ライザ部16aの部品搭載面にラバーレジスタ19hを当接配置する。このとき、ラバーレジスタ19hの起立片19h−2を整流子ライザ部16aに位置合わせする。
このラバーレジスタ19hの上に同様に押し込んで絶縁リング20dを圧接配置する。このとき、絶縁リング20dは整流子部16bに圧接嵌合され保持される。
次に、絶縁リング20dの外周側で、ラバーレジスタ19hの起立片19h−2に当接してリングバリスタ22を整流子ライザ部16aの部品搭載面に半田付け固着する。
これにより、実施例1と同じ作用効果である、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19hによって電磁ノイズを抑制できると共に、整流子ライザ部16aの端子に半田付けした際、半田が流れて整流子部16bやスリット(図示省略)へ流入することをラバーレジスタ19hによって阻止できる。このラバーレジスタ19hは、リングバリスタ22や整流子片16に加わる振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
(円筒状部を有するラバーレジスタ)
図9(c)に示すように、ラバーレジスタ19fは、貫通孔19f−3を設けた平板リング状部19f−1の外周側に円筒状部19f−2を起立状態に設けた構成を有する。
このラバーレジスタ19fは、(起立片部を有するラバーレジスタ)の場合にならって同様に図9(a)に示す整流子組立体に組み込み配置される。この円筒状部を有するラバーレジスタを用いた実施例は、(起立片部を有するラバーレジスタ)の場合と同様の効果を奏する。
(内側および外側に円筒状部を有するラバーレジスタ)
図9(d)に示すように、ラバーレジスタ19gは、貫通孔19g−4を設けた平板リング状部19g−1の外周側に円筒状部19g−2を起立状態に設け、その内周側に円筒状部19g−3を起立状態に設けた構成を有する。
このラバーレジスタ19gは、(起立片部を有するラバーレジスタ)の場合にならって同様に図9(a)に示す整流子組立体に組み込み配置される。この両円筒状部を有するラバーレジスタ19gを用いた実施例は、(起立片部を有するラバーレジスタ)の場合と同様の効果を奏する。
これにより上記各構成のラバーレジスタは、第1の実施例と同様の作用効果である、リングバリスタ22及びラバーレジスタ19f〜19hによって電磁ノイズを防止できると共に、整流子ライザ部16aの半田付け面にリングバリスタ22を半田付けした際、半田が部品搭載面上を流れて整流子部16b表面やその整流子部間のスリット(図示省略)への流入をラバーレジスタ19f〜19hによって阻止できる。
(その他の例)
以上の説明では、ラバーレジスタは、例えば、抵抗値を有する導電ゴムとして説明したが、広範囲の絶縁抵抗が高い樹脂に導電性フィラを添加した抵抗性樹脂とすることもできる。この抵抗性樹脂はバリスタや整流子片の振動を抑制できる程度の適度の弾性を有するものが好ましい。
また、リングバリスタの他の接着手段として、ラバーレジスタによってリングバリスタと整流子ライザ部を加硫接着する構成とすることもできる。この場合には半田が不要となる。
1 ブラシ付きDCモータ
2 フレーム
3 回転子
4 固定子(マグネット)
5 有底中空筒状フレーム
6 ブラケット
7 シャフト
8、9 軸受け
10 過電流保護素子
11 ブラシ
12 アマチュアコア
13 整流子組み立体
14 インシュレータ
15 整流子基体
15a 小径円筒部
15b 大径受け部
15c 貫通孔
15d 段部
16 整流子片
16a 整流子ライザ部
16b 整流子部
16c 折り曲げ部
16d 部品搭載面
16e 凹部
16f 半田付け面
19 ラバーレジスタ
20 絶縁リング
21 スリット
22 リングバリスタ
23 コイル

Claims (6)

  1. フレームにブラシを有し、回転子に整流子組立体を備えるブラシ付き直流モータであって
    、前記整流子組立体は、整流子基体と、整流子片と、ラバーレジスタと、リングバリスタと絶縁リングを有し、前記整流子片は折り曲げ部を介して整流子部と整流子ライザ部を有し、前記整流子ライザ部は部品搭載面に前記リングバリスタを半田付けする半田付け面を有し、前記ラバーレジスタは、前記整流子部と前記半田付け面の間の前記部品搭載面上に、前記整流子部にリング状に圧接するように嵌合配置されると共に前記絶縁リングと前記整流子片に挟持されて前記整流子部と密着状態に接触し、前記整流子片間に流れる電流を抑制するように電気的な抵抗値を有する導通状態を形成していることを特徴とするブラシ付直流モータ。
  2. 前記ラバーレジスタは、円筒形状又は平板リング状部の外周側に円筒状部を起立状態に設
    けた構成に形成されていることを特徴とする請求項1記載のブラシ付直流モータ。
  3. 前記ラバーレジスタは、前記平板リング状部の内周側に円筒状部を起立状態に設けた構成に形成されていることを特徴とする請求項2記載のブラシ付直流モータ。
  4. 前記ラバーレジスタは、平板リング形状、断面円筒リング形状、断面円形リング形状、断
    面6角形リング形状、及び、平板リング状部の外周側の等中心角度位置に起立片を3箇所設けた構成の内のいずれか1つとしたことを特徴とする請求項1記載のブラシ付直流モータ。
  5. フレームにブラシを有し、回転子に整流子組立体を備えるブラシ付き直流モータであって
    、前記整流子組立体は、整流子基体と、整流子片と、ラバーレジスタと、リングバリスタと絶縁リングを有し、前記整流子片は折り曲げ部を介して整流子部と整流子ライザ部を有し、前記整流子ライザ部は部品搭載面に前記リングバリスタを半田付けする半田付け面を有し、前記ラバーレジスタは、前記整流子部と前記半田付け面の間の前記部品搭載面上に配置され、前記絶縁リングと前記整流子ライザ部に挟持されて前記整流子ライザ部と密着状態に接触し、前記整流子片間に流れる電流を抑制するように電気的な抵抗値を有する導通状態を形成することを特徴とするブラシ付直流モータ。
  6. 前記整流子ライザ部は凹部を有し、前記ラバーレジスタが前記凹部内に配置され、前記ラ
    バーレジスタが前記絶縁リングと前記整流子ライザ部により挟持されていることを特徴と
    する請求項5に記載のブラシ付直流モータ。
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