JP2022142308A - 速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウト - Google Patents

速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウト Download PDF

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Abstract

【課題】低温下においても、グラウト材としての良好な流動性を有し、作業性に必要な充分な可使時間を確保し、且つ、速硬性及び強度発現性に優れる速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトを提供すること。【解決手段】セメント、カルシウムアルミネート類、及び石膏類からなる結合材と、少なくとも2種類のアルカリ金属炭酸塩と、を含み、カルシウムアルミネート類は水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を含み、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類における水和物の被覆量は、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の質量に対し、0.1~4.8質量%であり、アルカリ金属炭酸塩の合計の含有量は、結合材100質量部に対し、0.15~1.05質量部である、速硬性グラウト組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトに関する。
従来、土木構造物や建築構造物の構築又は補修、或いは機械の設置等において、流動性の高いセメント系グラウト材が用いられている。特に、道路や鉄道等の構造物の補修工事等のように工事できる時間が限られている場合、グラウト材の充填後速やかに強度発現するグラウト材の使用が望まれている。このようなグラウト材としては、材齢3時間で所要の強度を発現する速硬性のグラウト材が提案されている(例えば、特許文献1~2)。
グラウト材の要求性能としては、強度のみならず、可使時間も重要な性能であり、充分な作業性を確保できる可使時間を有していることが望ましい。そこで、可使時間を確保するため、表面が水処理されたカルシウムアルミネートが使用された混和材が提案されている(特許文献3)。
特開平11-021160号公報 特開2005-289656号公報 特開2020-050557号公報
しかしながら、速硬性を有したグラウト材は温度依存性が大きく、低温下では強度発現性が劣るという課題があった。そのため、低温下でも温度依存性が少なく、十分な強度発現性を有するというグラウト材が望まれている。
したがって、本発明は、低温下においても、グラウト材としての良好な流動性を有し、作業性に必要な充分な可使時間を確保し、且つ、速硬性及び強度発現性に優れる速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトを提供することを目的とする。
上記課題について、本発明者が鋭意検討した結果、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を用い、複数のアルカリ金属炭酸塩の合計の含有量を調整することで、低温環境下でも流動性、可使時間、強度発現性を両立した速硬性グラウト組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]セメント、カルシウムアルミネート類、及び石膏類からなる結合材と、少なくとも2種類のアルカリ金属炭酸塩と、を含み、カルシウムアルミネート類は水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を含み、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類における水和物の被覆量は、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の質量に対し、0.1~4.8質量%であり、アルカリ金属炭酸塩の合計の含有量は、結合材100質量部に対し、0.15~1.05質量部である、速硬性グラウト組成物。
[2]アルカリ金属炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムからなる群から選択される少なくとも2種である、[1]に記載の速硬性グラウト組成物。
[3]発泡剤を更に含む、[1]又は[2]に記載の速硬性グラウト組成物。
[4]低温環境用である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の速硬性グラウト組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の速硬性グラウト組成物と、水とを含み、水の含有量が、結合材100質量部に対し、35~45質量部である、速硬性グラウト。
本発明によれば、低温下においても、グラウト材としての良好な流動性を有し、作業性に必要な充分な可使時間を確保し、且つ、速硬性及び強度発現性に優れる速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の速硬は、セメント、カルシウムアルミネート類、及び石膏類からなる結合材と、少なくとも2種類のアルカリ金属炭酸塩と、を含み、カルシウムアルミネート類は水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を含む。
本明細書において、結合材とは、セメント、カルシウムアルミネート類及び石膏類の三成分からなる。
セメントは、種々のものを使用することができ、例えば、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント;高炉スラグ、フライアッシュ又はシリカフュームを含む混合セメント;エコセメント;速硬性セメント等が挙げられる。セメントとしては、初期の強度発現性及び流動性の向上を両立しやすいという観点から、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントが好ましい。セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
セメントの含有量は、結合材100質量部に対し、30~80質量部であることが好ましく、35~70質量部であることがより好ましく、40~55質量部であることが更に好ましい。セメントの含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性が得られ易く且つ初期の強度発現性に優れやすい。
カルシウムアルミネート類は、CaOをC、AlをA、NaOをN、及びFeをFとして表したとき、CA、CA、C1、CA、又はCA等と表示される鉱物組成を有するカルシウムアルミネート、CAF等と表示されるカルシウムアルミノフェライト、カルシウムアルミネートにハロゲンが固溶又は置換したC・CaFやC11・CaF等と表示されるカルシウムフルオロアルミネートを含むカルシウムハロアルミネート、CNAやC等と表示されるカルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、アルミナセメント、並びにC・CaSO等と表示されるカルシウムサルホアルミネートを総称するものである。このカルシウムアルミネート類は、結晶質のもの、非結晶質のもの、非晶質及び結晶質が混在したもののいずれも使用可能である。カルシウムアルミネート類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。カルシウムアルミネート類の粉末度は、初期強度発現性をより向上させるという観点から、ブレーン比表面積で3000cm/g以上であることが好ましく、5000cm/g以上であることがより好ましい。また、カルシウムアルミネート類の粉末度は、ブレーン比表面積で8000cm/g以下であることが好ましい。
本実施形態に係るカルシウムアルミネート類は、その表面がカルシウムアルミネート類の水和物で被覆されているカルシウムアルミネート類を含む。水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の水和物の被覆量は、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の質量に対し、0.1~4.8質量%である。水和物の被覆量が上記範囲外であると、可使時間が十分に確保できず、保存管理性も低下する。カルシウムアルミネート類の水和物の被覆量は、可使時間を十分に確保し、且つ、低温環境下での流動性を更に良好にするという観点から、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の質量に対し、0.2~4質量%であることが好ましく、0.4~2.5質量%であることがより好ましい。カルシウムアルミネート類としては、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を単独で使用してもよく、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類と水和物で被覆されていないカルシウムアルミネート類とを併用してもよい。水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類と水和物で被覆されていないカルシウムアルミネート類とを併用する場合、水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の含有量は、カルシウムアルミネート類の合計100質量部に対し、10~90質量部であることが好ましく、15~75質量部であることがより好ましく、25~60質量部であることが更に好ましい。水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の含有量が上記範囲内であれば、速硬性と可使時間の両立を確保しやすい。
カルシウムアルミネート類の表面を水和物とする方法は特に限定されない。調製方法としては、例えば、カルシウムアルミネート類の粉末を混合機に投入し、調製したい水和物の被覆量に相当する量の水を噴霧しながら攪拌混合すればよい。
カルシウムアルミネート類の含有量は、結合材100質量部に対し、10~50質量部であることが好ましく、15~45質量部であることがより好ましく、25~40質量部であることが更に好ましい。カルシウムアルミネート類の含有量が上記範囲内であれば、速硬性と可使時間の両立及び初期の強度発現性に優れやすい。
石膏類としては、例えば、無水石膏、半水石膏、二水石膏が挙げられる。石膏類としては、強度発現性を更に向上させるという観点から、無水石膏が好ましい。石膏類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
石膏類のブレーン比表面積は3000~10000cm/gであることが好ましく、3000~9000cm/gであることがより好ましく、5000~8000cm/gであることが更に好ましい。石膏類のブレーン比表面積が上記範囲内であれば、初期の強度発現性がより一層向上する。
石膏類の含有量は、結合材100質量部に対し、5~30質量部であることが好ましく、10~25質量部であることがより好ましく、14~20質量部であることが更に好ましい。石膏類の含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性や可使時間を確保し易く且つ速硬性及び初期の強度発現性に優れやすい。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、少なくとも2種類のアルカリ金属炭酸塩を含む。アルカリ金属炭酸塩は、アルカリ金属(水素原子を除く周期表第一族元素)の炭酸塩であれば特に限定されるものではない。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。アルカリ金属炭酸塩としては、強度発現性を更に促進させるという観点から、炭酸ナトリウムを含むことが好ましく、炭酸リチウム及び炭酸ナトリウムであることがより好ましい。アルカリ金属炭酸塩は、三種以上を併せて用いてもよい。
アルカリ金属炭酸塩の合計の含有量は、結合材100質量部に対し、0.15~1.05質量部である。アルカリ金属炭酸塩の含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性と強度発現性が得られる。流動性と強度発現性がより一層向上しやすいという観点から、アルカリ金属炭酸塩の合計の含有量は、0.18~1.00質量部であることが好ましく、0.2~0.9質量部であることがより好ましい。
アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムを含む場合、炭酸ナトリウムの含有量は、アルカリ金属炭酸塩100質量部に対し、20~70質量部であることが好ましく、30~65質量部であることがより好ましく、35~60質量部であることが更に好ましい。炭酸ナトリウムの含有量が上記範囲内であれば、良好な流動性を確保し易く、且つ強度発現性がより一層向上する。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、減水剤を含んでもよい。減水剤は、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤及び流動化剤を含む。このような減水剤としては、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に規定される減水剤が挙げられる。減水剤としては、例えば、ポリカルボン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、メラミン系減水剤が挙げられる。これらの中では、リグニンスルホン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤が好ましい。減水剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
減水剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.05~1.0質量部であることが好ましく、0.1~0.7質量部であることがより好ましく、0.1~0.5質量部であることが更に好ましい。減水剤の含有量が上記範囲内であれば、流動性に優れたものとなりやすい。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、更に、発泡剤を含有してもよい。発泡剤は特に限定されず、例えば、水と混練後に気体を発生する物質であればよい。発泡剤としては、アルミニウムや亜鉛等の両性金属の粉末、過炭酸ナトリウム等の過酸化物質等が挙げられる。発泡剤としては、効果的に発泡し、膨張作用をより一層発揮することができるという観点から、過酸化物質が好ましく、中でも過炭酸ナトリウムが好ましい。発泡剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
発泡剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.01~0.2質量部であることが好ましく、0.03~0.18質量部であることがより好ましく、0.05~0.15質量部であることが更に好ましい。発泡剤の含有量が上記範囲内であれば、速硬性グラウト材充填後の沈下減少を防止しやすく、過度な膨張による強度低下を起こしにくい。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、消泡剤を含有してもよい。消泡剤は、一般のセメント用消泡剤、セメントモルタル用消泡剤又はコンクリートに使用される消泡剤であれば特に限定されず、例えば、鉱油系消泡剤、エステル系消泡剤、アミン系消泡剤、アミド系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられる。消泡剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。消泡剤は、液体のものでも粉体のものでもよく、プレミックスモルタルのようにプレミックス、つまり、セメント及び混和材料を乾式混合したときに材料が均質化し易いという観点から、粉体のものを使用することが好ましい。
消泡剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.003~0.2質量部であることが好ましく、0.005~0.15質量部であることがより好ましく、0.008~0.1質量部であることが更に好ましい。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、更に、細骨材を含有してもよい。細骨材としては、例えば、川砂、珪砂、砕砂、寒水石、石灰石砂、スラグ骨材等が挙げられる。細骨材は、これらの中から、微細な粉や粗い骨材を含まない粒度に調整した珪砂、石灰石砂等を用いることが好ましい。細骨材は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。細骨材は、通常用いられる粒径5mm以下のもの(5mmふるい通過分)を使用するのが好ましい。
細骨材の粒度は特に限定されるものではなく、必要とする細骨材の粒度の範囲内で調整することができる。細骨材は、JIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」により規定される粗粒率からその粒度を考慮することができる。グラウトとした時により良好な流動性が得られやすく、ブリーディングを抑制しやすいという観点から、細骨材の粗粒率は、1~4であることが好ましく、1.5~3.8であることがより好ましく、2~3.5であることが最も好ましい。
細骨材の含有量は、結合材100質量部に対し、50~250質量部であることが好ましく、60~180質量部であることがより好ましく、80~150質量部であることが更により好ましい。細骨材の含有量が上記範囲内であれば、より良好な流動性を確保しつつ、短時間での強度発現性がより一層優れたものとなる。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、凝結遅延剤を含有してもよい。凝結遅延剤としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸又はその塩;ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、リン酸塩、アルカリ金属重炭酸塩等の無機塩;糖類が挙げられる。これらの中でも、クエン酸、クエン酸塩、酒石酸及び酒石酸塩が好ましい。凝結遅延剤は、粉体であってもよく、液状体(例えば、水溶液、エマルジョン、懸濁液の形態)であってもよい。凝結遅延剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
凝結遅延剤の含有量は、結合材100質量部に対し、0.01~1質量部であることが好ましく、0.1~0.8質量部であることがより好ましく、0.12~0.5質量部であることが更に好ましい。凝結遅延剤の含有量が上記範囲内であれば、可使時間を更に確保しやすく、初期強度発現性が低下しにくい。
本実施形態の速硬性グラウト組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種混和剤(材)を配合してもよい。混和剤(材)としては、例えば、膨張材、セメント用ポリマー、防水剤、防錆剤、収縮低減剤、保水剤、顔料、撥水剤、白華防止剤、繊維、高炉スラグ微粉末、石粉、土鉱物粉末、スラグ粉末、フライアッシュ、シリカフューム、無機質フィラー、火山灰等が挙げられる。
本実施形態の速硬性グラウト組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、V型混合機や可傾式コンクリートミキサー等の重力式ミキサー、ヘンシェル式ミキサー、噴射型ミキサー、リボンミキサー、パドルミキサー等のミキサーにより混合することで製造することができる。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、低温環境用の速硬性グラウト組成物として使用することもできる。本明細書において、「低温環境用」とは、15℃未満の環境下においても、土木学会基準JSCE-F 541-2013「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠したJ14漏斗流下時間が6~10秒であり、土木学会基準JSCE-G 505-2018「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案)」に準じた材齢3時間におけるモルタル硬化体の圧縮強度が10N/mm以上であり、後述する可使時間試験による可使時間が10分以上である性質を示すものである。
本実施形態の速硬性グラウト組成物は、水と混合して速硬性グラウトとして調製することができ、その水の含有量は用途に応じて適宜調整すればよい。水の含有量は、結合材100質量部に対し、35~45質量部であることが好ましく、37~43質量部であることがより好ましく、38~42質量部であることが更に好ましい。水の含有量が上記範囲内であれば、より流動性を確保しやすく、材料分離の発生、及び初期強度発現性の低下を抑制しやすい。
本実施形態の速硬性グラウトの調製は、通常の速硬性グラウト組成物と同様の混練器具を使用することができ、特に限定されるものではない。混練器具としては、例えば、モルタルミキサー、グラウトミキサー、ハンドミキサー、傾胴ミキサー、二軸ミキサー等が挙げられる。
本実施形態の速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトによれば、可使時間を十分に確保でき、且つ低温環境下であっても良好な流動性と強度発現性を有する。したがって、本実施形態の速硬性グラウト組成物及び速硬性グラウトは、冬季等の低温環境下での補修作業に好適に使用でき、また素早い施工が求められている道路や鉄道等の構造物の補修工事等にも好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[材料]
セメント:普通ポルトランドセメント
セメント:早強ポルトランドセメント
カルシウムアルミネート1(AC1):アルミナセメント(水和物の被覆量0質量%、ブレーン比表面積5200cm/g)
カルシウムアルミネート1(AC2):アルミナセメント(水和物の被覆量0.5質量%、ブレーン比表面積5200cm/g)
カルシウムアルミネート1(AC3):アルミナセメント(水和物の被覆量1.0質量%、ブレーン比表面積5200cm/g)
カルシウムアルミネート1(AC4):アルミナセメント(水和物の被覆量2.0質量%、ブレーン比表面積5200cm/g)
カルシウムアルミネート1(AC5):アルミナセメント(水和物の被覆量5.0質量%、ブレーン比表面積5200cm/g)
石膏類:無水石膏(ブレーン比表面積7000cm/g)
アルカリ金属炭酸塩:炭酸ナトリウム
アルカリ金属炭酸塩:炭酸リチウム
消泡剤:ポリエーテル系消泡剤
発泡剤:過炭酸ナトリウム
凝結遅延剤:クエン酸
減水剤:ナフタレンスルホン系減水剤
細骨材:珪砂(粗粒率2.37)
[カルシウムアルミネートの調製]
アルミナセメントをレディゲミキサーに入れ、ミキサーを回転させながら、調製したい水和物量に相当する量(0.5~5質量%)の水を約2分間かけて噴霧器によって添加し、更に10分間回転混合した。これを約20℃の大気中に3時間放置することで、カルシウムアルミネート粒子表面を水和物化して、水和物で被覆されたカルシウムアルミネートを調製した。
[速硬性グラウト組成物の配合設計]
セメント、カルシウムアルミネート類及び石膏類からなる結合材100質量部に対して、各種材料を表1に示す量とし、発泡剤を0.12質量部、消泡剤を0.04質量部、凝結遅延剤を0.16質量部、減水剤を0.20質量部、細骨材を100質量部とし、配合設計した。
[速硬性グラウトの作製]
5℃環境下において、10Lの円筒容器に配合設計した速硬性グラウト組成物6000gと水を添加し、ハンドミキサーで90秒混練して速硬性グラウトを作製した。水は、結合材100質量部に対して41質量部を添加した。
[評価方法]
下記の評価方法にて、各種速硬性グラウトの評価を行った。各試験は5℃で行った。
・J漏斗流下値の測定
土木学会基準JSCE-F 541-2013「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠し、J14漏斗流下時間を測定した。
・可使時間
練上がり後の速硬性グラウトを、500mLの容器に入れ、練上がり直後から一定時間毎に別の500mLの容器に移し替える作業を実施した。この際、速硬性グラウトの流動性がなくなるまで(別の500mL容器に速硬性グラウト材が落ちなくなるまで)の時間を可使時間とした。
・圧縮強度
土木学会基準JSCE-G 505-2018「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法(案)」に準じて、材齢3時間におけるグラウト硬化体の圧縮強度を測定した。供試体の寸法は、直径50mm、高さ100mmとした。養生は5℃にて型枠のまま湿潤養生とした。
Figure 2022142308000001
実施例の速硬性グラウトは、十分な可使時間を有し、且つ低温環境下でも良好な流動性と強度発現性を示した。一方、比較例の速硬性グラウトは、可使時間や流動性にすぐれなかった。また、水和物の被覆量が5.0質量%のカルシウムアルミネートは水和反応が進行して一部軟結してしまい、グラウト材料として使用することはできなかった。

Claims (5)

  1. セメント、カルシウムアルミネート類、及び石膏類からなる結合材と、少なくとも2種類のアルカリ金属炭酸塩と、を含み、
    前記カルシウムアルミネート類は水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類を含み、
    前記水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類における水和物の被覆量は、前記水和物で被覆されたカルシウムアルミネート類の質量に対し、0.1~4.8質量%であり、
    前記アルカリ金属炭酸塩の合計の含有量は、前記結合材100質量部に対し、0.15~1.05質量部である、速硬性グラウト組成物。
  2. 前記アルカリ金属炭酸塩が、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムからなる群から選択される少なくとも2種である、請求項1に記載の速硬性グラウト組成物。
  3. 発泡剤を更に含む、請求項1又は2に記載の速硬性グラウト組成物。
  4. 低温環境用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の速硬性グラウト組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の速硬性グラウト組成物と、水とを含み、
    前記水の含有量が、結合材100質量部に対し、35~45質量部である、速硬性グラウト。
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