JP2022141618A - 炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、炭化ジルコニウム粉末、抵抗器、発熱部材および炭化ジルコニウム膜の製造方法 - Google Patents

炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、炭化ジルコニウム粉末、抵抗器、発熱部材および炭化ジルコニウム膜の製造方法 Download PDF

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哲男 土屋
Tetsuo Tsuchiya
裕子 鵜澤
Yuko Uzawa
卓二 鍋田
Takuji Nabeta
元希 高瀬
Motoki Takase
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Abstract

【課題】安価で、低温から高温までの幅広い温度域で抵抗値の変化が少なく、耐候性に優れ、かつ、光熱変換性能に優れた炭化ジルコニウム膜を提供する。【解決手段】本開示の炭化ジルコニウム膜は、炭化ジルコニウムを主成分とし、金属酸化物、金属および炭素を少なくとも1種以上含む。【選択図】図1

Description

本発明は、高温環境で使用される半導体素子や光熱変換に適した炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、本発明の炭化ジルコニウム膜形成に適した炭化ジルコニウム粉末、抵抗器、発熱部材、および炭化ジルコニウム膜の製造方法に関する。
ジルコニウムは、安価であるため、抵抗体の材料や光熱変換の材料として用いられている。
ジルコニウムを用いた抵抗体として、特許文献1には、SiCと、TiCまたはZrCの混合ターゲットを用い、スパッタリング法にて形成した薄膜抵抗体が開示されている。特許文献2には、基板と、該基板上に形成された発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に電力を供給する電気導体とを有するサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体にHf、Nb、Taのうちいずれかと、BC、BN、BeO、CeO、HfO、La、Ti、VC、VN、Y、ZrCのうちいずれかとの混合物を用いたことを特徴とするサーマルヘッドが開示されている。また、特許文献3には、化学蒸着法または物理蒸着法により炭化チタンと炭化ケイ素、もしくは炭化ジルコニウムと炭化ケイ素の薄膜を形成した後、レーザによる加熱処理を行うことを特徴とする抵抗体の製造方法で製造された発熱抵抗体が開示されている。
ジルコニウムを光熱変換材料に用いた光熱変換材料としては、特許文献4に繊維製品の特定部位に接着する微発熱フィルム体であって、少なくとも1種の蓄熱機能を有するセラミックス系微粉末を均一に分散させた可撓性の樹脂基材を用い、この可撓性の樹脂基材とホットメルト層または粘着層とを積層し、該ホットメルト層または粘着層によって繊維製品またはその繊維素材に貼り付ける微発熱フィルム体が開示されている。
特開昭62-95801号公報 特開平02-050847号公報 特開平2-234402号公報 実用新案登録第3190772号公報
近年使用が増えてきた車載用パワートランジスタなどに抵抗体を使用する場合、使用環境によっては250℃以上の高温になる場合がある。そのため、抵抗体には、250℃以上の高温環境下においても抵抗値の変化を一定範囲内に抑制することが求められている。特許文献1および2に開示された抵抗体は、200℃~700℃の温度範囲で製膜されているので、アモルファス構造となっている。そのため、250℃以上の高温で抵抗値の変動を抑制できないという問題がある。
車載用パワートランジスタに用いる場合、低温から高温における温度変化が大きいため、材料の線熱膨張係数の差に起因する応力が課題となってきている。そのため、フレキシブル基板上に形成されたフレキシブルな抵抗体が必要である。しかし、特許文献1および2の製造方法は、高温プロセスを用いるため、耐熱性のない基材、金属、樹脂やガラス上への作製が困難であり、線熱膨張係数の差に起因する応力に対応することができないという問題がある。また、文献3の製造方法では、炭酸ガスレーザーにより100Wの出力で0.05wmφのビーム径で8.5cm/secの速度で発熱体パターン上を走査し結晶化処理を行っているため、実質、高温加熱工程による反応であるため、特許文献1および2と同様に、耐熱性のない基材、金属、樹脂やガラス上への作製が困難である。
特許文献4に開示された微熱発熱フィルムは、ポリウレタン樹脂と混錬しているので、耐候性が低いという問題があった。また、特許文献4に開示された微熱発熱フィルムは、光照射による温度上昇が低いという問題があった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされた発明であり、安価で、低温から高温までの幅広い温度域で抵抗値の変化が少なく、耐候性に優れ、かつ、光熱変換性能に優れた炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、炭化ジルコニウム粉末、抵抗器、発熱部材、およびその製造方法を提供する。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1> 本発明の一態様に係る炭化ジルコニウム膜は、炭化ジルコニウムを主成分とし、金属酸化物、金属および炭素を少なくとも1種以上含む。
<2> 上記<1>に記載の炭化ジルコニウム膜は、前記炭化ジルコニウム膜の表面または内部に酸化ジルコニウムが存在してもよい。
<3> 上記<1>または<2>に記載の炭化ジルコニウム膜は、前記金属酸化物が前記炭化ジルコニウム膜の表面および内部に存在してもよい。
<4> 上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム膜は、前記金属酸化物が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ペロブスカイト酸化物からなる群から選択される1種以上であってもよい。
<5> 上記<4>に記載の炭化ジルコニウム膜は、前記ペロブスカイト酸化物が、A1-xEOで表され、前記Aは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか1種であり、前記Dは、Sr、Ca、およびBaのいずれか1種であり、Eは、Mn、Fe、Niのいずれか1種であり、前記xは下記(1)式を満足し、前記yは下記(2)式を満足してもよい。
0≦x≦1・・・(1)
2.65<y<3.05・・・(2)
<6> 上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム膜は、前記金属が、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crからなる群から選択される1種以上であってもよい。
<7> 上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム膜は、室温におけるシート抵抗が1000Ω/□以下で、25℃から250℃の温度範囲における平均抵抗温度係数が500ppm/K以下であってもよい。
<8> 上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム膜は、室温におけるシート抵抗が1000Ω/□超で、25℃から250℃の温度範囲における平均抵抗温度係数が500ppm/K以下であってもよい。
<9> 本発明の一態様に係る炭化ジルコニウム基板は、基板と、前記基板上に形成される、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム膜と、を備える。
<10> 上記<9>に記載の炭化ジルコニウム基板は、前記基板が、アルミナ、ジルコニア、低温焼成積層セラミックス基板、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレートのいずれか1種であってもよい。
<11> 上記<9>または<10>に記載の炭化ジルコニウム基板は、前記基板の耐熱温度が150℃以下であってもよい。
<12> 本発明の一態様に係る抵抗器は、上記<9>~<11>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム基板を備える。
<13> 本発明の一態様に係る発熱部材は、上記<9>~<11>のいずれか1つに記載の炭化ジルコニウム基板を備える。
<14> 上記<13>に記載の発熱部材は、1800W/m以上の光照射により前記基板と比して前記炭化ジルコニウム膜の温度が20℃以上発熱してもよい。
<15> 本発明の一態様に係る炭化ジルコニウム膜の製造方法は、炭化ジルコニウムと、カーボン材および金属有機化合物を少なくとも1種以上と、溶媒とを少なくとも混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリー作製工程で得られた前記スラリーを基板に塗布し、乾燥することで、塗膜を製膜する塗膜製膜工程と、前記塗膜製膜工程で得られた前記塗膜に対し、光反応又は熱反応を行うことで、炭化ジルコニウム膜を形成する、炭化ジルコニウム膜形成工程と、を備える。
<16> 上記<15>に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法は、前記光反応に、フラッシュランプまたは紫外レーザを用いてもよい。
<17> 上記<15>または<16>に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法は、前記炭化ジルコニウムが、一般式ZrCx1(式中のx1が0.5以上2.0以下)で表される炭化ジルコニウムからなる炭化ジルコニウム粉末であり、前記炭化ジルコニウム粉末の平均粒径が0.2μm~15μmであり、前記炭化ジルコニウム粉末の比表面積が0.5m/g~20m/gであってもよい。
<18> 上記<17>に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法は、前記x1が0.6以上1.8以下であり、前記平均粒径が1μm~10μmであり、前記比表面積が2m/g~15m/gであってもよい。
<19> 本発明の一態様に係る炭化ジルコニウム粉末は、一般式ZrCx1(式中のx1が0.5以上2.0以下)で表される炭化ジルコニウムからなる炭化ジルコニウム粉末であって、前記炭化ジルコニウム粉末の平均粒径が0.2μm~15μmであり、前記炭化ジルコニウム粉末の比表面積が0.5m/g~20m/gであってもよい。
<20> 上記<19>に記載の炭化ジルコニウム粉末は、前記x1が0.6以上1.8以下であり、前記平均粒径が1μm~10μmであり、前記比表面積が2m/g~15m/gであってもよい。
本開示の上記態様によれば、安価で、低温から高温までの幅広い温度域で抵抗値の変化が少なく、耐候性に優れ、かつ、光熱変換性能に優れた炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、炭化ジルコニウム粉末、抵抗器、発熱部材、およびその製造方法を提供することができる。
実施例1の炭化ジルコニウム膜のXRD測定の結果を示す図である。 実施例3の炭化ジルコニウム膜のXRD測定の結果を示す図である。 実施例1の炭化ジルコニウム膜の表面SEM写真を示す図である。 実施例3の炭化ジルコニウム膜の表面SEM写真を示す図である。 実施例1の炭化ジルコニウム膜の抵抗値を室温で規格化した図である。
<炭化ジルコニウム基板>
本実施形態に係る炭化ジルコニウム基板は、基板と、当該基板上に形成される、炭化ジルコニウム膜とを備える。「当該基板上に形成される」とは、基板上に、直接基板と接するように炭化ジルコニウム膜が形成される場合だけでなく、基板上にめっき層などの中間層を設け、その中間層上に炭化ジルコニウム膜が形成される場合も含まれる。なお、本明細書中において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。「未満」、「超」と示す数値には、その値が数値範囲に含まれない。
(基板)
基板は、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜が形成できれば特に限定されない。基板の材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、石英ガラス、低温焼成積層セラミックス基板、ホウケイ酸塩ガラス、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。また、コストや用途の観点から低温成膜が可能なポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、PVA樹脂、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6(ポリアミド)、エンジニアリングプラスチック、アセタール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体などが好ましい。特に基板としては、低温から高温への温度変化による応力を緩和するため、樹脂基板が好ましい。樹脂基板としては、特にポリイミドが好ましい。基板としては、アルミナ、ジルコニア、低温焼成積層セラミックス基板、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレートのいずれか1種であることが好ましい。基板表面には、目的に応じてめっき、電極や絶縁層を設けてもよい。基板の耐熱温度は150℃以下であることが好ましい。耐熱温度とは、融点、ガラス転移点、分解温度などの樹脂基材が変質、状態変化などが起こる温度であって、これらの中で最も低い温度のことを意味する。更に、金属基板上に直接、或いは絶縁性の保護膜を形成した基板を用いることも好ましい。金属基板としては、特に限定されないが、Ti,Al,Cu,Fe,Cr,Ni,W,Zrを含む金属が好ましい。
基板の厚みは特に限定されない。基板の厚みとしては、例えば50μm~100mmである。応力緩和のためには、より好ましくは、50μm~500μmである。基板の厚みは、用途に応じて適宜調整することができる。
(炭化ジルコニウム膜)
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、炭化ジルコニウムを主成分とし、金属酸化物、金属および炭素を少なくとも1種以上含む。ここで、「炭化ジルコニウムを主成分とし」とは、炭化ジルコニウム膜中の炭化ジルコニウムの含有量が60質量%以上であることを意味する。温度の上昇に応じて抵抗値が増大する、金属的伝導特性を備えた炭化物である炭化ジルコニウムと、温度の上昇に応じて抵抗値が減少する半導体的伝導特性を備えた金属酸化物または炭素と、を含有させることで、幅広い温度範囲で、抵抗値の温度変化を小さくすることができる。また、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、通常抵抗温度係数を調整するために添加される多量のガラス材料および調整剤を添加していないので、低抵抗の抵抗体を作製することができる。また、多量のガラス材料および調整剤を添加していないので、炭化ジルコニウム膜中の金属酸化物または炭素との反応などが起こらず、高温での抵抗値の変動を抑制することができる。抵抗変動や抵抗値の許容範囲内であれば、少量のガラス材料が膜に含まれてもよい。
また、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、炭化ジルコニウムを主成分とし、金属酸化物、金属および炭素を少なくとも1種以上含むので、耐候性が高い。加えて基板の上に炭化ジルコニウム膜が形成されている場合、主成分が炭化ジルコニウムであるので、1800W/m以上の光照射をすることで、基板と比して炭化ジルコニウム膜の温度が20℃以上発熱することが可能である。このため、通電による発熱が障害となるデバイスおよび部材の光発熱制御をしたり、屋外、屋内での太陽光による発熱制御をしたりすることが可能となる。
「炭化ジルコニウム」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の主成分はZrCx0で表される炭化ジルコニウムである。ここで、一般式ZrCx0のx0は0.5≦x0≦2.0を満たす。主成分がZrCx0であることで、金属酸化物または炭素における温度上昇による抵抗値の低下と炭化ジルコニウムにおける温度上昇による抵抗値の上昇とのバランスが上手く調整され、抵抗値の変動を抑制することができる。また、酸化物と比して、表面への吸着や酸化反応が抑えられる特徴を有する。なお、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中には酸化ジルコニウム(ZrO)が含有されていてもよい。酸化ジルコニウムは、炭化ジルコニウム膜の表面または内部に存在してもよい。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中の炭化ジルコニウムの含有量は、60質量%~98質量%であることが好ましい。より好ましい含有量は、75質量%~90質量%である。
「金属酸化物」
金属酸化物は、金属的電気伝導性から半導体的伝導性を示す導電性酸化物を用いることができる。金属的電気伝導性から半導体的伝導性を示す導電性酸化物を用いることで、抵抗値の変動を抑制することができる。金属酸化物は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ペロブスカイト酸化物からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。酸化スズ、酸化インジウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、およびペロブスカイト酸化物は、広い温度範囲で酸化に安定であることから、長期安定性の観点から好ましい。
金属酸化物がペロブスカイト酸化物である場合、A1-xEOで示される酸化物であることが好ましい。ここで、Aは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか1種であり、Dは、Sr、Ca、およびBaのいずれか1種であり、Eは、Mn、Fe、Niのいずれか1種であり、xは下記(3)式を満足し、yは下記(4)式を満足する。Aは定比組成より欠損があってもよい。金属酸化物が、A1-xEOで表される場合、高温安定性に優れるので好ましい。
0≦x≦1・・・(3)
2.65<y<3.05・・・(4)
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜を光熱変換材料として用いる場合は、Ti,B,などをドープした炭化ジルコニウムも用いることができる。とくに熱伝導率が低い材料、具体的には、3(W/mK)以下の熱伝導率を有する材料との混合、若しくは、積層が好ましい。より好ましくは、1(W/mK)以下の熱伝導率を有する材料を用いることである。具体的には、熱伝導度が低く、光吸収性の高い金属酸化物を用いることができる。このような酸化物としては、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
また、熱伝導率の低い樹脂上に炭化ジルコニウム膜を製膜することが好ましい。屋外での応用の観点からは、フッ素を含む樹脂上への成膜が好ましく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、フッ素化樹脂共重合体などが挙げられる。金属材料にコーティングする場合には、ガラスや樹脂をコーティング後に、本実施形態の炭化ジルコニウム膜を形成することで、光熱変換効率を高めることが可能となる。また、熱伝導率が低い木材にもコーティングすることができる。木材としては、例えば、ヒノキ、杉、エゾ松が挙げられる。これらの低い熱伝導率を有する材料は積層することが有効であるが、少量であれば炭化ジルコニウム膜に含んでもよい。
金属酸化物は、炭化ジルコニウム膜の表面および内部に存在することが好ましい。より好ましくは、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の内部に金属酸化物が存在することに加え、表面に金属酸化物からなる金属酸化物層が形成されていることが好ましい。金属酸化物が、炭化ジルコニウム膜の表面および内部に存在することによって、抵抗値の変動を抑制することができ、加えて、炭化ジルコニウム膜の酸化を防止することができる。
金属酸化物層の厚みは、1nm~100μmであることが好ましい。より好ましい金属酸化物膜の厚みは、1nm~1μmである。さらに好ましい金属酸化物層の厚みは10nm~500nmである。
炭化ジルコニウム膜の内部に存在する金属酸化物は、膜の導電率を精密制御するためには、微粒子の形状で炭化ジルコニウム膜の内部に存在することが好ましい。金属酸化物が微粒子である場合、金属酸化物の平均粒径は、5nm~1μmであることが好ましい。より好ましい金属酸化物の平均粒径は、5nm~0.2μmである。さらに好ましい金属酸化物の平均粒径は、5nm~50nmの粒子である。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中の金属酸化物の含有量は、1質量%~35質量%であることが好ましい。より好ましい含有量は、8質量%~25質量%である。
「炭素」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中に含まれる炭素は、導電性の炭素である。導電性の炭素を用いることで、温度上昇に伴う抵抗値の変化を抑制することができる。導電性の炭素としては、特に限定されないが、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラッグ、グラファイト、カーボンナノチュウーブなど異なった導電性の炭素で抵抗値の制御が可能となる。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中の炭素の含有量は、1質量%~10質量%であることが好ましい。より好ましい含有量は、2質量%~5質量%である。
「金属」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、さらにNi、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crなどの金属を含んでもよい。本実施形態に係る炭化ジルコニウムに含まれる金属としては、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crなどの金属を含有することで抵抗値を調整することができる。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中の金属は、膜の導電経路として金属粒子同士が接触して金属導電性を示すのを防ぐため、微粒子の形態であることが好ましい。これらの微粒子の粒径は、5nm~1μmである。より好ましい金属微粒子の平均粒径は、5nm~0.2μmである。より好ましい平均粒径は、5nm~50nmである。またフレキシビリティの観点からは、ナノワイヤが好ましい。炭化ジルコニウム膜中の平均粒径の確認は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で行うことができる。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜中の炭化ジルコニウム、金属酸化物、および炭素は、例えば、炭化ジルコニウム膜の断面において、透過型電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定することができる。本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、膜の表面から基材方向に向かって結晶粒が大きな組織から小さな組織となる傾斜組織を示す膜である特徴を有する。
「炭化ジルコニウム膜の厚み」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の厚みは、0.05μm~10μmが好ましい。より好ましい厚みは、0.5μm~5μmである。
「シート抵抗」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜のシート抵抗は、特に限定されない。高抵抗用途では、室温(20℃~30℃)で、炭化ジルコニウム膜のシート抵抗は1000Ω/□超であってもよい。低抵抗用途では、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜のシート抵抗は、室温(20℃~30℃)で、1000Ω/□以下であってもよい。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜のシート抵抗は例えば、以下の方法で測定することができる。炭化ジルコニウム膜に銀ペーストを塗布し、100℃20分で乾燥し、4端子電極を作製する。電極作製後、直流4端子法により各温度のシート抵抗を測定する(例えば、直流電流3mA)。測定温度範囲は例えば、25℃~250℃の範囲を含む範囲とする。測定温度間隔は、25℃~250℃の温度範囲において、シート抵抗が所定の範囲であることを確認できる範囲で調整することができる。
「平均抵抗温度係数」
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の平均抵抗温度係数は、25℃から250℃の温度範囲で、平均抵抗温度係数が500ppm/K以下であることが好ましい。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の平均抵抗温度係数は、以下の方法で測定できる。例えば、炭化ジルコニウム膜に銀ペーストを塗布し、100℃20分で乾燥し、4端子電極を作製する。電極作製後、直流4端子法により各温度におけるシート抵抗を測定する(例えば、直流電流3mA)。得られたシート抵抗から平均抵抗温度係数を算出することができる。測定温度範囲は例えば、25℃~250℃の範囲を含む範囲とする。測定温度間隔は、25℃~250℃の温度範囲において、平均抵抗温度係数が500ppm/K以下であることを確認できる範囲で調整することができる。
<炭化ジルコニウム膜の製造方法>
本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜の製造方法の一例であり、本製造方法に限定されない。本実施形態に係る製造方法は、炭化ジルコニウムと、カーボン材および金属有機化合物を少なくとも1種以上と、溶媒と、を少なくとも混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、前記スラリー作製工程で得られた前記スラリーを基板に塗布し、乾燥することで、塗膜を製膜する塗膜製膜工程と、前記塗膜製膜工程で得られた前記塗膜に対し、光反応又は熱反応を行うことで、炭化ジルコニウム膜を形成する、炭化ジルコニウム膜形成工程と、を備える。塗膜中の金属有機化合物は光反応または熱反応により炭素、及び酸化物となり、粉末ZrC、金属酸化物および炭素と共有結合などを形成することで、炭化ジルコニウム膜を形成することができる。
(スラリー作製工程)
スラリー作製工程において、炭化ジルコニウムと、カーボン材および金属有機化合物を少なくとも1種以上と、溶媒と、を少なくとも混合し、スラリーを作製する。
「炭化ジルコニウム」
炭化ジルコニウムは、一般式ZrCx1で表される炭化ジルコニウムからなることが好ましい。ここで、ZrCx1中のx1は0.5≦x1≦2.0を満たす。すなわち、式中のx1が0.5以上2.0以下である。x1は、0.6以上が好ましい。x1はより好ましくは、0.7以上である。また、さらに好ましくは、0.8以上である。特に好ましくは、x1は0.9以上である。また、特別に好ましくは1.0以上である。x1は、1.8以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.4以下であることが特に好ましく、1.3以下が特別に好ましく、1.2以下が格別に好ましい。
炭化ジルコニウム表面の酸化物を還元するために、還元処理を行うことが好ましい。還元処理は、例えば、1000℃でH1%、Ar99%雰囲気下で、1時間行うことが好ましい。還元処理を行うことで、炭化ジルコニウム膜中の酸化ジルコニウムの量を低減できる。
炭化ジルコニウムには不可避不純物としてハフニウムが含有されていてもよい。ハフニウムのジルコニウムに対するモル比(Hf/Zr)は、例えば、0.01~0.05である。
炭化ジルコニウムの形状は粉末状であることが好ましい。炭化ジルコニウムが粉末状である場合(以下、炭化ジルコニウム粉末と称する場合がある)、炭化ジルコニウム粉末の平均粒径は、0.2μm以上15μm以下であることが好ましい。炭化ジルコニウム粉末の平均粒径の下限値は、0.2μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましく、2μm以上が特に好ましい。炭化ジルコニウム粉末の平均粒径の上限値は、12μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましく、6μm以下が特に好ましい。前記炭化ジルコニウム粉末の平均粒径が0.2μm以上15μm以下であると、所望の特性を有する炭化ジルコニウム膜を形成しやすい。炭化ジルコニウム粉末の平均粒径はレーザ回折法で体積基準で測定することができる。平均粒径は、最少粒径値より累積値50%にあたる粒子径D50である。
炭化ジルコニウム粉末の比表面積は、0.5m/g以上20m/g以下であることが好ましい。炭化ジルコニウム粉末の比表面積は、1m/g以上であることが好ましく、1.5m/g以上であることがより好ましく、2m/g以上であることがさらに好ましく、2.3m/g以上であることが特に好ましい。炭化ジルコニウム粉末の比表面積は、18m/g以下であることが好ましく、15m/g以下であることがより好ましく、13m/g以下であることがさらに好ましく、12m/g以下であることが特に好ましい。比表面積が0.5m/g以上20m/g以下であると、前記炭化ジルコニウム粉末は、所望の特性を有する炭化ジルコニウム膜を形成しやすい。炭化ジルコニウム粉末の比表面積は比表面積計を用いてBET法で測定することができる。
本発明の炭化ジルコニウム膜を形成するためには、炭化ジルコニウム粉末の平均粒径及び比表面積の両方を満たすものが好ましい。
スラリー中の炭化ジルコニウムの含有量は50質量%~95質量%が好ましい。より好ましい炭化ジルコニウムの含有量は75質量%~90質量%である。
本実施形態に係る炭化ジルコニウム粉末は、溶融法(電融法)でインゴットを得て、インゴットを微粉砕することにより得ることができるものが好ましい。炭化ジルコニウムのインゴット及び粉末は、具体的には、特許第5896968号公報に開示されている炭化ジルコニウムのインゴット及び粉末の製造方法により製造することができるものが好ましい。微粉砕のより詳細な方法としては、純水等の分散媒に分散させてスラリー化して湿式粉砕することが好ましい。湿式粉砕の後、乾燥し、ふるい等を通して粗粒を除去することで炭化ジルコニウム粉末を得ることができる。
「有機金属化合物」
金属有機化合物としては、例えば、金属有機酸塩、β-ジケトナート、金属アルコキシド、金属酢酸塩、金属2-エチルヘキサン酸塩、金属アセチルアセトナート、金属ナフテン酸塩、シランカップリング剤などが挙げられるが、溶媒に溶解する金属有機化合物であれば、特に制限なく用いることができる。
金属有機化合物の金属は、特に光反応または熱反応により導電性を付与する物質が生成するものが好ましい。金属有機化合物の金属は、例えば、Cu、Ni、Fe、Ag、Pd、Ru、Sn、In、Ti、Cr、V、Mn、Sn、Znなどが好ましい。膜の密着性や電気抵抗や抵抗温度係数及び光熱変換性能の観点からは、金属有機化合物の金属は、Ti、Cr、V、Mn、Sn、Znなどが好ましい。
スラリー中の金属酸化物の含有量は4質量%~44質量%が好ましい。より好ましい金属酸化物の含有量は10質量%~25質量%である。
「カーボン材」
スラリー中のカーボン材は、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。カーボン材をスラリー中に添加することで、炭化ジルコニウム膜中に炭素を導入することができる。
カーボン材の平均粒径は、0.2μm~5μmであることが好ましい。好ましい金属微粒子の平均粒径は、0.2μm~2μmである。カーボン材の平均粒径はレーザ回折法で測定される。
スラリー中のカーボン材の含有量は1質量%~5質量%が好ましい。より好ましいカーボン材の含有量は2質量%~5質量%である。
「溶媒」
スラリー中の溶媒は、金属有機化合物を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、アセチルアセトナート、エチレングリコール、水などが好ましい。
「その他成分」
スラリー中にその他の成分として、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crなどの金属を含有してもよい。その他の成分は、例えば、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。スラリー中に、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crなどの金属を含有させることで、炭化ジルコニウム膜の抵抗値を調整することができる。金属の形状は特に限定されないが粒状が好ましい。溶媒等に解けない金属を含む化合物、例えば、金属オレイン酸塩、金属ステアリン酸塩などの固体材料も、用いることができる。
金属の形状が粒状である場合、金属微粒子の平均粒径は、0.2μm~5μmであることが好ましい。好ましい金属微粒子の平均粒径は、0.2μm~2μmである。金属微粒子の平均粒径はレーザ回折法で測定される。
スラリー中の金属の含有量は0質量%~50質量%が好ましい。より好ましい金属の含有量は0質量%~30質量%である。
これらの原料を混合する方法は特に限定されない。混合する方法としては、乳鉢で混合する方法、遊星ボールミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル、ローラーミルなどの方法が挙げられる。高結晶化させる観点からは、スラリーの作製において、原料を均一に微細化(ナノサイズ化)することが好ましい。
(塗膜製膜工程)
塗膜製膜工程では、スラリー作製工程で得られたスラリーを基板に塗布し、乾燥することで、塗膜を製膜する。
(基板)
基板は、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜が形成できれば特に限定されない。基板の材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、石英ガラス、低温焼成積層セラミックス基板、ホウケイ酸塩ガラス、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。また、コストや用途の観点から低温成膜が可能なポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、PVA樹脂、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6(ポリアミド)、エンジニアリングプラスチック、アセタール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ウレタン樹脂などが好ましい。特に基板としては、低温から高温への温度変化による応力を緩和するため、樹脂基板が好ましい。樹脂基板としては、特にポリイミドが好ましい。放熱が必要な用途であれば、基板は、放熱性の高いセラミックスや金属が好ましい。基板としては、アルミナ、ジルコニア、低温焼成積層セラミックス基板、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレートのいずれか1種であることが好ましい。基板表面には、目的に応じてめっき、印刷、インクジェットなどにより形成した電極や絶縁層を設けてもよい。更に、金属基板上に直接、或いは絶縁性の保護膜を形成した基板を用いることも好ましい。金属基板としては、特に限定されないが、Ti,Al,Cu,Fe,Cr,Ni,W,Zrを含む金属が好ましい。
スラリーの塗布方法は、特に限定されない。スラリーの塗布方法としては、例えば、アプリケーター方式、ブレードコート方式、グラビアコート方式、スプレーコート方式、スピンコート方式、刷毛塗りなどが挙げられる。
スラリーの塗布厚は、0.2μm~5μmが好ましい。スラリーの塗布厚が5μm超の場合、乾燥時にひび割れが生じる可能性がある。スラリーの塗布厚が0.2μm未満では、塗布膜が基板全体に均一に形成できない場合がある。
乾燥条件は、スラリー中の溶媒を蒸発できるのであれば、特に限定されない。例えば、100℃10分で乾燥してもよい。
塗膜製膜工程において、スラリー塗布および乾燥を複数回繰り返して、塗膜を積層してもよい。
(炭化ジルコニウム膜形成工程)
炭化ジルコニウム膜形成工程では、塗膜製膜工程で得られた塗膜に対し、光反応又は熱反応を行うことで、炭化ジルコニウム膜を形成する。光反応で、炭化ジルコニウム膜を形成する場合は、フラッシュランプまたは紫外レーザを用いることが好ましい。熱反応で炭化ジルコニウム膜を形成する場合は、300℃~1100℃の温度範囲で焼成することが好ましい。炭化ジルコニウム膜の抵抗値を制御するためには、不活性ガス雰囲気での焼成工程が有効である。樹脂基板上に炭化ジルコニウム膜を形成する場合は、特に光反応を用いることが好ましい。なお、製法の特性上、微量であるが溶融固化物の中には半溶融固化物も含み得る。
光反応で炭化ジルコニウム膜を形成する場合、塗膜に光を照射(紫外光など)することで行う。光反応で用いる光源は、レーザ光源またはランプ光源を用いることができる。光反応により形成された炭化ジルコニウム膜は、膜の表面から基材方向に結晶粒が大きな組織から小さな組織となる傾斜組織を示す膜である特徴を有する。光照射により、基材側から膜表面に向かって、結晶粒が大きな組織から小さな組織となる傾斜組織膜を形成できる。レーザ光源としては、ArF、KrF、XeCl、XeF、Fから選ばれるエキシマレーザまたは半導体レーザの高調波を用いることができる。ランプ光源としては、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプが有効である。また、光照射は、大気中にて、室温(20℃~30℃)でレーザ照射を行うことが好ましい。レーザ照射によって、炭化ジルコニウム膜の緻密、結晶化が可能であり、また、ガラスやフィルム等の幅広い基板を使用することができる。フラッシュランプ照射を用いた場合、光反応により、原料に含まれる酸化ジルコニウムから炭化ジルコニウムへの生成ができるため、膜の抵抗値や緻密性の制御に有効である。基板の熱変形等が起こらない温度で基板を焼成した後、または焼成しながら紫外線を照射することもできる。必要に応じて真空チャンバー内で紫外線を照射することも、抵抗値制御の観点から有効である。
以上、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板、および炭化ジルコニウム膜の製造方法を詳説した。その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板は、抵抗器に用いることができる。また、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜、炭化ジルコニウム基板は、発熱部材に用いることができる。本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜を用いた発熱部材は、太陽光による加熱と電流発熱とを併用することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)を1000℃で還元処理(H:1%、Ar:99%)した。還元処理した炭化ジルコニウム粉末0.3gとRu有機化合物溶液(Ru6%,イソブタノール、大研化学)1ml、およびトルエン(和光純薬製 特級)1mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをポリイミド基板(厚み125μm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させ、再度スラリーを塗布し、100℃10分で乾燥し、2層積層(厚み1.8μm)させた。積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:1000μ秒、照射エネルギー:6.34J/cmで照射し、実施例1の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例2)
照射エネルギーを、8.29J/cmに変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例3)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)を1000℃で還元処理(H:1%、Ar:99%)した。還元処理した炭化ジルコニウム粉末0.3gとRu有機化合物溶液(Ru6%,イソブタノール、大研化学)1ml、およびトルエン(和光純薬製 特級)1mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをポリイミド基板(厚み125μm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させ、再度スラリーを塗布し、100℃10分で乾燥し、2層積層(厚み1.8μm)させた。積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:1000μ秒、照射エネルギー:2.31J/cmで照射し、実施例3の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例4)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)を1000℃で還元処理(H:1%、Ar:99%)した。還元処理した炭化ジルコニウム粉末0.3gとカーボンブラック(Alfa Alsar製)0.015g、Ru有機化合物溶液(Ru6%,イソブタノール)(大研化学)溶液1ml、およびトルエン(和光純薬製 特級)1mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをポリイミド基板(厚み125μm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させ、再度スラリーを塗布し、100℃10分で乾燥し、2層積層(厚み1.8μm)させた。積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:1000μ秒、照射エネルギー:2.31J/cmで照射し、実施例4の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例5)
照射エネルギーを、8.29J/cmに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、実施例5の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例6)
照射エネルギーを、10.93J/cmに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、実施例6の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例7)
照射エネルギーを、4.71J/cmに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、実施例7の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例8)
照射エネルギーを、6.34J/cmに変えた以外は実施例4と同様の操作を行い、実施例8の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例9)
照射エネルギーを、4.71J/cmに変えた以外は実施例3と同様の操作を行い、実施例9の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例10)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)を1000℃で還元処理(H:1%、Ar:99%)した。還元処理した炭化ジルコニウム粉末0.3g、カーボンブラック(Alfa Alsar製)0.015g、Ru有機化合物溶液(Ru6%,イソブタノール、大研化学)1ml、Ag 0.093g、およびトルエン(和光純薬製 特級)1mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをポリイミド基板(厚み75μm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させた。1層の膜の厚み0.9μmとした。その後、有機成分を分解させるために膜にKrFレーザ光(COHERENT社製 COMPEX110)を室温、50Hz、50mJ/cmで照射した。レーザ光照射後の積層膜にスラリーを同条件で塗布し、100℃、10分で乾燥させた。乾燥後の積層膜に、KrFレーザ光(COHERENT社製 COMPEX110)を室温、50Hz、50mJ/cmで照射し、次いで、50Hz、70mJ/cmで照射し、実施例10の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例11)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)0.3g、カーボンブラック(Alfa Alsar製)0.03g、およびイソプロピルアルコール(和光純薬製 特級)2mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをSi基板(厚み0.32mm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させ、同じ条件でスラリー塗布および乾燥を繰り返し、合計で2層積層(厚み1.8μm)させた。得られた積層膜を300℃で10分焼成し、実施例11の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例12)
焼成温度を400℃とした以外、実施例11と同様の処理を行い、実施例12の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例13)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)(x=1.1、粒径2.5μm、比表面積11.2m/g 第一稀元素化学工業株式会社製)を1000℃で還元処理(H:1%、Ar:99%)した。還元処理した炭化ジルコニウム粉末0.3g、カーボンブラック(Alfa Alsar製)0.015g、Ru有機化合物溶液(Ru6%,イソブタノール、大研化学) 1ml、およびトルエン(和光純薬製 特級)1mlを、遊星ミル容器に入れ、遊星ミル(ナガオシステム製 Planet)を用い、600rpm、15分でスラリーを作製した。作製したスラリーをポリイミド基板(厚み75μm)に塗布し、100℃、10分で乾燥させ、同じ条件でスラリー塗布および乾燥を繰り返し、合計で2層積層(厚み1.8μm)させた。積層膜にKrFレーザ光(COHERENT社製 COMPEX110)を室温、50Hz、70mJ/cmで照射し、実施例13の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例14)
基板をポリイミドからSiに変更し、レーザ照射の代わりに300℃で10分焼成した以外、実施例10と同様の処理を行い、実施例14の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例15)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)をx=1.2、粒径5.0μm、比表面積2.3m/g (第一稀元素化学工業株式会社製)に変更し、実施例1と同様の処理を行った。積層膜形成時において、積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:1000μ秒、照射エネルギー:7.11J/cmで照射し、実施例15の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例16)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)をx=1.3、粒径4.4μm、比表面積5.1m/g (第一稀元素化学工業株式会社製)に変更し、実施例1と同様の処理を行った。積層膜形成時において、積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:1000μ秒、照射エネルギー:7.11J/cmで照射し、実施例16の炭化ジルコニウム膜を得た。
(実施例17)
炭化ジルコニウム粉末(ZrC)をx=1.0、粒径4.4μm、比表面積5.1m/g (第一稀元素化学工業株式会社製)に変更し、実施例1と同様の処理を行った。積層膜形成時において、積層膜にフラッシュランプ (NovaCentrix社製)で、パルス幅:2000μ秒、照射エネルギー:12.7J/cmで照射し、実施例17の炭化ジルコニウム膜を得た。
(炭化ジルコニウム粉末の平均粒径の測定)
実施例1、3、4、10、11および13に記載の炭化ジルコニウム粉末の粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」((株)堀場製作所製)を用いて測定した。より詳細には、サンプル0.15gと40mlの0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液とを50mlビーカーに投入し、装置(レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」)に投入して測定した。
測定条件は下記の通りとした。
分散条件:100Wで2分超音波分散
屈折率:1.70-0.0i
(炭化ジルコニウム粉末の比表面積の測定)
実施例1、3、4、10、11および13に記載の炭化ジルコニウム粉末の比表面積は、比表面積計(「マックソーブ」マウンテック製)を用いてBET法にて測定した。
(X線回折)
炭化ジルコニウム膜の相の同定を、X線回折XRD(Rigaku社製、SmartLab)を用いて行った。測定条件は、電圧40kV、電流30mA、スキャン速度4°/min、回折角10~70°とした。図1に実施例1のXRDの測定結果を示す。図1に示すように、33、38、55、66、69°にZrCに由来するピークが確認できた。また、27°付近にRuOのピークも確認できた。更に、原料の炭化ジルコニウム粉末には30°に、ZrOに起因するピークが観測されたが(図1)、ポリイミド基板上に形成した実施例1の炭化ジルコニウム膜のXRD回折パターンには、ZrO相がなかった。これは、大気中の光反応により、ZrOと金属有機化合物の炭素とが反応することで、ZrC相が生成したことによる。同様に、実施例2、5、6、7、15,16,17の炭化ジルコニウム膜には、ZrO相がなかった。一方、図2に示すように、実施例3の炭化ジルコニウム膜にはZrO相が確認された。同様に、実施例4、8、9の炭化ジルコニウム膜にもZrO相が確認された。なお、実施例2~10、13、14、15,16,17において、RuOのピークが確認できた。実施例11、12、16,17はカーボンブラックのピークを確認できた。
(走査型電子顕微鏡観察)
次に、炭化ジルコニウム膜の走査型電子顕微鏡観察(SEM観察)を行った。走査電子顕微鏡には、日本電子製JCM-6000を用いた。実施例1の炭化ジルコニウム膜のSEM像を図3に示す。図3に示すように、実施例1の炭化ジルコニウム膜は緻密膜が形成されていることが確認された。一方、照射エネルギーの低い実施例3の炭化ジルコニウム膜にはポアが確認された(図4)。
(抵抗測定)
実施例1~17の炭化ジルコニウム膜に銀ペーストで4端子電極を作製し(100℃、20分)、直流4端子法によりシート抵抗および抵抗の温度依存性を測定した(直流電流3mA)。測定温度範囲は25℃~250℃とした。室温(20℃~30℃)におけるシート抵抗を表1に示す。実施例1、2、10、11、12および14の25℃~250℃の範囲における平均抵抗温度係数(TCR)を表2に示す。また、図5に実施例1の炭化ジルコニウム膜の測定結果を示す。
Figure 2022141618000002
Figure 2022141618000003
表2に示す通り、本願発明の要件を満たす実施例1、2、10、11、12、および14の炭化ジルコニウム膜の平均抵抗温度係数TCRは低い傾向にあった。特に実施例1、2、10、11、および12の炭化ジルコニウム膜の平均抵抗温度係数TCRは低い傾向にあった。また、図5に示すように、実施例1の炭化ジルコニウム膜は、高温領域で抵抗値の変動がほとんどなかった。
(光熱変換性能)
ソーラーシミュレーター(三永電機製作所:XES-40S3)を用いて疑似太陽光を1000W/m又は1800W/m照射し、熱電対で膜の温度を計測した。
実施例13の炭化ジルコニウム膜の場合、1000W/mで25℃から62℃に上昇し、1800W/mで75℃上昇した。
ポリイミド基板の場合、1000W/mで25℃から53℃に上昇し、1800W/mで55℃上昇した。
実施例13の炭化ジルコニウム膜は、特許文献4の発明よりも高い光熱変換性能を示した。また、実施例13の炭化ジルコニウム膜は、1800W/mの光照射によりポリイミド基板よりも20℃以上温度が上昇した(発熱した)。
以上説明したように、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜は、高耐熱抵抗体材料の使用が想定される250℃において十分に小さな平均抵抗温度係数を有することを示し、同様に高い光熱変換性能を示した。なお、炭化ジルコニウムのみの焼結体は、金属的伝導性を示し、本実施形態に係る炭化ジルコニウム膜のような小さい抵抗温度係数とはならない。
本開示の炭化ジルコニウム膜によれば、半導体の稼働温度範囲における比抵抗変化の許容値に適合した抵抗素子を、低コストで、しかも、鉛フリー、ガラスフリー、或いはこれらの成分を低減することが可能となる。加えて、樹脂上にも炭化ジルコニウム膜を作製できるため、半導体用抵抗体材料として、広く採用されることが期待できる。また、本開示の炭化ジルコニウム膜によれば、太陽光を有効に熱に変えることできるので、農業、植物工場、養殖、温水蓄熱、インフラ機器(太陽光、電柱、道路等)、構造物、電線などの融雪など多様な分野での産業応用が可能となる。よって、本開示の炭化ジルコニウム膜は、産業上の利用可能性が高い。

Claims (20)

  1. 炭化ジルコニウムを主成分とし、
    金属酸化物、金属および炭素を少なくとも1種以上含む、炭化ジルコニウム膜。
  2. 前記炭化ジルコニウム膜の表面または内部に酸化ジルコニウムが存在する、請求項1に記載の炭化ジルコニウム膜。
  3. 前記金属酸化物が前記炭化ジルコニウム膜の表面および内部に存在する、請求項1または2に記載の炭化ジルコニウム膜。
  4. 前記金属酸化物が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ペロブスカイト酸化物からなる群から選択される1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム膜。
  5. 前記ペロブスカイト酸化物が、A1-xEOで表され、前記Aは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか1種であり、前記Dは、Sr、Ca、およびBaのいずれか1種であり、Eは、Mn、Fe、Niのいずれか1種であり、前記xは下記(1)式を満足し、前記yは下記(2)式を満足する、請求項4に記載の炭化ジルコニウム膜。
    0≦x≦1・・・(1)
    2.65<y<3.05・・・(2)
  6. 前記金属が、Ni、Ag、Cu、Pd、Sn、In、Ru、Ti、Crからなる群から選択される1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム膜。
  7. 室温におけるシート抵抗が1000Ω/□以下で、25℃から250℃の温度範囲における平均抵抗温度係数が500ppm/K以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム膜。
  8. 室温におけるシート抵抗が1000Ω/□超で、25℃から250℃の温度範囲における平均抵抗温度係数が500ppm/K以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム膜。
  9. 基板と、
    前記基板上に形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム膜と、
    を備える、炭化ジルコニウム基板。
  10. 前記基板が、アルミナ、ジルコニア、低温焼成積層セラミックス基板、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレートのいずれか1種である、請求項9に記載の炭化ジルコニウム基板。
  11. 前記基板の耐熱温度が150℃以下である、請求項9または10に記載の炭化ジルコニウム基板。
  12. 請求項9~11のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム基板を備える、抵抗器。
  13. 請求項9~11のいずれか1項に記載の炭化ジルコニウム基板を備える、発熱部材。
  14. 1800W/m以上の光照射により前記基板と比して前記炭化ジルコニウム膜の温度が20℃以上発熱する、請求項13に記載の発熱部材。
  15. 炭化ジルコニウムと、
    カーボン材および金属有機化合物を少なくとも1種以上と、
    溶媒とを少なくとも混合し、スラリーを作製するスラリー作製工程と、
    前記スラリー作製工程で得られた前記スラリーを基板に塗布し、乾燥することで、塗膜を製膜する塗膜製膜工程と、
    前記塗膜製膜工程で得られた前記塗膜に対し、光反応又は熱反応を行うことで、炭化ジルコニウム膜を形成する、炭化ジルコニウム膜形成工程と、
    を備える、炭化ジルコニウム膜の製造方法。
  16. 前記光反応に、フラッシュランプまたは紫外レーザを用いる、請求項15に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法。
  17. 前記炭化ジルコニウムが、一般式ZrCx1(式中のx1が0.5以上2.0以下)で表される炭化ジルコニウムからなる炭化ジルコニウム粉末であり、前記炭化ジルコニウム粉末の平均粒径が0.2μm~15μmであり、前記炭化ジルコニウム粉末の比表面積が0.5m/g~20m/gである、請求項15または16に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法。
  18. 前記x1が0.6以上1.8以下であり、
    前記平均粒径が1μm~10μmであり、
    前記比表面積が2m/g~15m/gである、請求項17に記載の炭化ジルコニウム膜の製造方法。
  19. 一般式ZrCx1(式中のx1が0.5以上2.0以下)で表される炭化ジルコニウムからなる炭化ジルコニウム粉末であって、
    前記炭化ジルコニウム粉末の平均粒径が0.2μm~15μmであり、
    前記炭化ジルコニウム粉末の比表面積が0.5m/g~20m/gである、炭化ジルコニウム粉末。
  20. 前記x1が0.6以上1.8以下であり、
    前記平均粒径が1μm~10μmであり、
    前記比表面積が2m/g~15m/gである、請求項19に記載の炭化ジルコニウム粉末。
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