JP2022140330A - 現像装置、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性体を含む現像剤を用いて、高温高湿度環境下、長期に亘って多数枚の電子写真画像の形成に供した場合においても、カブリの少ない高品位な電子写真画像を安定して形成し得る現像装置の提供。【解決手段】現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材(現像ローラ)とを備えた現像装置であって、該現像ローラは、導電性の基体2と、該基体上の表面層1としての単層の弾性層とを有し、該表面層1は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含み、該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂とが相互侵入高分子網目構造を構成し、該現像剤は、少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、電子写真方式を採用した装置に組み込まれる、現像装置に関する。また、本発明は、該現像装置を有する電子写真プロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置(「電子写真装置」ともいう)において、現像装置は現像剤を表面に担持する現像ローラを有し、電子写真感光体の静電潜像に対して該現像ローラ上の現像剤を供給して現像剤像を形成する役割を担っている。
特許文献1は、電子写真装置に用いられる電子写真用部材の表面を含む部位の材料として、ゴム弾性を有するゴム弾性体と、該ゴム弾性体の表面より含浸させた光硬化性組成物の硬化物より構成される表面処理層とを有する電子写真用部材を開示している。この光硬化性組成物として、(メタ)アクリルモノマーと、シリコーン基および/またはフッ素含有基と(メタ)アクリロイル基とを分子内に有する光重合性ポリマーと、光重合開始剤とを含む、改質ゴム弾性体を用いている。そして、特許文献1は、このような電子写真用部材によれば、現像剤離型性と低摩擦性の両立が図られることが記載されている。
特開2014-197064号公報
特許文献1に記載の電子写真用部材を、磁性体を含む現像剤と共に高温高湿環境下での画像出力に供したところ、電子写真画像の、本来はトナーが転写されない領域にトナーが転写される、所謂、カブリが生じることがあった。
本開示の一態様は、磁性体を含む現像剤を使用して、高温高湿度環境下で電子写真画像を形成した場合においても、電子写真画像へのカブリの発生を抑えることができる現像装置の提供に向けたものである。
本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資する電子写真プロセスカートリッジの提供に向けたものである。本開示のさらの他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えた現像装置であって、該現像部材は、導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含み、該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂とが相互侵入高分子網目構造を構成し、該現像剤は、少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含む現像装置が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えた現像装置であって、該現像部材は、導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含み、該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂を含み、該第1の領域からサンプリングされる第1の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA1(℃)とし、該試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA2(℃)としたとき、A1およびA2が下記式(1)で示される関係を満たし、
式(1) A1>A2
該現像剤は、少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含む。
また、本開示の他の態様によれば、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、上記の現像装置を有しているプロセスカートリッジが提供される。
さらに、本開示の他の態様によれば、静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を一次帯電するための帯電装置と、一次帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像を現像剤により現像して現像剤画像を形成するための現像部材と、該現像剤画像を転写材に転写するための転写装置とを有し、該現像部材を具備する現像装置が上記の現像装置である電子写真画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、磁性体を含む現像剤を用いて、高温高湿度環境下、長期に亘って多数枚の電子写真画像の形成に供した場合においても、カブリの少ない高品位な電子写真画像を安定して形成し得る現像装置が提供できる。
また本開示の他の態様によれば、磁性体を含む現像剤を用いて、高温高湿環境下、長期に亘って、カブリの少ない高品位な電子写真画像を形成することができる電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置が提供できる。
本開示の一態様に係る現像ローラを示す概略図である。 本開示の一態様に係る現像装置の概略図である。 本開示の一態様に係る電子写真画像形成装置の概略図である。 本開示の一態様に係る現像ローラの表面層の断面図である。 本開示に係る現像部材の推定される作用機序の説明図である。
検討の結果、結着樹脂と磁性体とを含む現像剤(以降、「磁性現像剤」ともいう)を用いた電子写真画像の形成では、特定の構造を有する現像部材を用いると、高温高湿環境下においてもカブリの少ない高品位な電子写真画像を形成し得ることを見出した。
即ち、本開示の一態様に係る現像装置は、現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えている。該現像部材は、導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含む。該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂とが相互侵入高分子網目構造を構成している。また、該現像剤は、少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含む。
本開示の他の態様に係る現像装置は、現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えている。該現像部材は、導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含む。該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂を含む。該第1の領域からサンプリングされる第1の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA1(℃)とする。また、該第1の試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA2(℃)とする。そして、A1およびA2が下記式(1)で示される関係を満たす。
式(1) A1>A2
また、該現像剤は、少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含む。
上記したような構成の現像装置によって、高温高湿環境下においても高品位な電子写真画像を形成し得る理由について、本発明者らは以下のように推察している。なお、以下で説明する本開示の一態様に係る現像装置の作用機序はあくまで考え得る一つの推測であり、これに限定されるものではない。また、以下の説明においては、現像部材として、ローラ形状を有する現像部材(以降、「現像ローラ」ともいう)を例に説明するが、本開示に係る現像部材は現像ローラに限定されるものではない。
本開示の一態様に係る現像ローラは、そのトナー担持面(以降、「外表面」ともいう)から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、相互侵入高分子網目構造(Interpenetrating Polymer Network)を構成している。以降、相互侵入高分子網目構造を、「IPN構造」ともいう。IPN構造は、二種以上の高分子化合物の網目構造が共有結合で結ばれることなくお互いに入り組み、絡み合った構造と定義される。IPN構造は、網目を形成する高分子化合物の分子鎖を切断しない限りほどけることは無い。本開示に係る表面層中のIPN構造においては、図5に模式的に示すように、架橋ウレタン樹脂501の3次元架橋構造の網目に、架橋アクリル樹脂503が相互に入り込んでいる。
かかるIPN構造において、現像剤粒子505に対して、電荷を付与する役割を担うのは、架橋ウレタン樹脂のウレタン結合中の、窒素原子上に存在する最高被占軌道(HOMOともいう)の電子雲(不図示)である。
一方、当該ウレタン結合中の窒素原子(以降、「ウレタン窒素」ともいう)は、水素原子(以降、「ウレタン水素」ともいう)と結合している。電気陰性度の高い窒素原子に結合している水素原子は、その結合電子が、窒素原子側に引き寄せられている。このような場合、結合電子を引き寄せている窒素原子はややマイナスの電荷(δ-)を帯び、結合電子が引き寄せられている水素原子はややプラスの電荷(δ+)を帯びる。このような水素原子は、活性水素とも呼ばれる。
ここで、本開示に係るIPN構造中では、架橋ウレタン樹脂501中のウレタン結合と、架橋アクリル樹脂503中のカルボニル結合とが極めて近接した位置に存在していると考えられる。
そして、ややプラスの電荷を帯びたウレタン水素は、近くにカルボニル結合を有する分子が存在する場合、カルボニル結合中の酸素原子(カルボニル酸素ともいう)と、分子間水素結合(507)を形成する。この場合、上記ウレタン水素は、カルボニル酸素に引き寄せられるため、ウレタン水素が結合しているウレタン窒素は、さらに結合電子を自らの側に引き寄せることができる。その結果、窒素原子上の電子雲の電子密度が増加し、現像剤への電荷付与能が大きく向上すると考えられる。
さらに、本開示に係る磁性現像剤は、磁性体を含有している。磁性体には、金属原子が含有される。現像剤に好適に用いられる磁性材料としては、以下のものが挙げられる;マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き鉄系金属酸化物;Fe、Co、Niの如き磁性金属。
これら磁性材料は、ルイス酸としても機能し、最低空軌道(LUMOともいう)に、電子を受け入れる余地を持つ。ここに、電子の供与能を持つルイス塩基が近づくと、ルイス酸-塩基相互作用により、円滑に電荷の授受が行われると考えられる。
本開示においては、ルイス塩基として機能するウレタン窒素の電子密度が、上記した理由により増しているため、現像剤中の上記磁性金属原子には、より効率的に電荷が付与されると考えられる(図5の509参照)。このことにより、摩擦帯電し難い高温高湿環境下においても現像剤には十分な電荷が付与される。その結果、高温高湿環境下における電子写真画像へのカブリの発生を有効に防止し得るものと考えられる。
ところで、カブリの改善には、表面層の体積抵抗率を高めることで、現像剤が得た電荷が現像部材に漏洩することを防止することが有効である。すなわち、現像部材の外表面に接している現像剤からの電荷漏洩は、現像ローラの表面層から、弾性層、基体へと電荷が抜けていくことにより起こる。このような電荷漏洩を抑制するためには、現像部材の表面層中のバインダー樹脂の体積抵抗率は、次の絶縁性を示す範囲が好ましい。好ましくは1.0×1010Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下、より好ましくは、1.0×1013Ω・cm以上、1.0×1016Ω・cm以下である。このことにより、前記したIPN構造を有する表面層により現像剤に効率的に付与された電荷をより確実に現像剤に保持させ得る。このような体積抵抗率を与える架橋ウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル変性ウレタン樹脂、ポリエステル変性ウレタン樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂は、より高い体積抵抗率を有し得るため、好適に用いることができる。ポリカーボネートウレタン樹脂の一例としては、二つの隣接するウレタン結合の間に、下記構造式(1)の化学構造を含むウレタン樹脂を挙げることができる。
Figure 2022140330000002
また、ソフトセグメントに、メチル基の如きアルキル基を側鎖有するウレタン樹脂を用いることが好ましい。すなわち、当該側鎖は、ソフトセグメント部分の結晶化を阻害するため、結晶構造の発達による導電性の向上を抑制し得る。そのため、より高い体積抵抗率を有する表面層の形成に資するバインダー樹脂となり得る。一例として、二つの隣接するウレタン結合間に、下記構造式(2)で示されるような、側鎖メチル基を有する構造をソフトセグメント部分に有するウレタン樹脂を挙げることができる。
Figure 2022140330000003
<<現像ローラ>>
以下、本開示の一態様に係る現像ローラについて図面を用いて詳述する。
本開示の一態様に係る現像ローラは図1(a)及び図1(b)に示すように、導電性の基体2と、該基体上の表面層1としての単層の弾性層とを有する。表面層1は図1(a)に示すように導電性の基体上に直接設けられてもよいし、あるいは図1(b)に示すように、基体2と表面層1との間に必要に応じてさらに一層、あるいは複数層の中間層3を設けたものを用いてもよい。
<表面層>
本開示の課題を解決するためには、現像ローラの最表面に、架橋ウレタン樹脂と、架橋アクリル樹脂を配し、さらに、それらが相互に影響しあうような空間的環境とすることが必要になる。このためには、表面層の該表面から深さ0.1μmまでの第1の領域において、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂との相互侵入高分子網目(IPN)構造を構成させることが有効である。
[IPN構造の確認方法]
表面層(弾性層)中におけるIPN構造の存在は、例えば、IPN構造を構成しているポリマーのガラス転移点(Tg)のシフトによって確認することができる。
すなわち、架橋アクリル樹脂の熱分解温度に相当する熱クロマトグラムにおけるピークトップ温度は、IPN構造中では単独で存在している場合よりも高温側にシフトしていると考えられる。
従って、表面層中の架橋ウレタン樹脂の分解前後における架橋アクリル樹脂の熱クロマトグラムのピークトップ温度を対比し、ピークトップ温度が、分解後が分解前よりも低いことをもって、両者がIPN構造を形成していることを確認することができる。ここで、熱クロマトグラムとは、マイクロサンプリング熱分解質量分析法により得ることができ質量スペクトルである。
マイクロサンプリング熱分解質量分析法の概要を以下に示す。
まず、電子写真用部材の測定する領域をミクロトームで薄片に切削して切り出し、試料を準備する。本態様では、図4に示すように、第1の領域41、第2の領域42、第3の領域43と称する3つの領域から試料を準備する。第1の領域41は表面層44の外表面から深さ0.1μmまで領域、第2の領域42は表面層44の裏面(導電性の基体45と対向する面)から外表面に向けて厚さ0.1μmの領域、第3の領域43は外表面から深さ1.0μm以上、1.1μm以下の領域である。
表面層の各々の領域から、100μm角、厚さ0.1μmの剥片を作製する。測定には、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(「Polaris Q」(商品名、Thermo Electron社製)に搭載されている、イオントラップ型質量分析装置を使用する。プローブの先端に位置するフィラメントに試料を固定し、イオン化チャンバーの中に直接挿入する。その後、一定の加熱速度で室温から温度1000℃まで急速に加熱する。加熱により分解し、蒸発した試料を電子ビームの照射によりイオン化し、質量分析計により検出する。このとき、加熱速度が一定の条件では、トータル・イオン・クロマトグラム(TIC)と呼ばれる質量スペクトルを持つ、TG-MS(熱重量-質量同時分析)法に類似した熱クロマトグラムが得られる。また、所定の質量のフラグメントに対する熱クロマトグラムも得ることができるため、所望の分子構造の分解温度に相当する、熱クロマトグラムのピーク温度を得ることができる。熱クロマトグラムのピーク温度は、樹脂の構造体における、架橋構造に相関があり、架橋が密になるほど、ピーク温度としては高温側にシフトすることとなる。
架橋アクリル樹脂が架橋ウレタン樹脂に対してIPN構造を形成していることは次のようにして確認することができる。すなわち、その組成物中の架橋ウレタン樹脂を分解除去する前後における、架橋アクリル樹脂由来のフラグメントの熱クロマトグラムのピーク温度の差を確認すればよい。
ここでは、前述の第1の領域からサンプリングされる第1の試料から測定される架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA1(℃)とする。また、第1の試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA2(℃)とする。IPN構造を形成している場合、A1およびA2が下記式(1)で示される関係を満たすこととなる。
式(1) A1>A2。
IPN構造の形成方法としては、例えば、下記i)の方法、及びii)の方法が挙げられる。
i)第一の成分のポリマーの網目構造を先に形成させておき、次に、第一の成分のポリマーを第二の成分のモノマーと重合開始剤で膨潤させた後で第二成分のポリマーの網目構造を形成させる方法(この方法を、「逐次網目形成法」とも称する)。
ii)それぞれ反応機構の異なる第一の成分のモノマーと、第二の成分のモノマー、さらに、各々の重合開始剤を混合し、同時に網目構造を形成させる方法(この方法を、「同時網目形成法」とも称する)。
本態様に係る、IPN構造を第1の領域に有する表面層(弾性層)の製造方法については後述する。
[架橋ウレタン樹脂]
架橋ウレタン樹脂は、水酸基を有するポリオールとイソシアネート化合物を反応させることによりウレタン基を形成することで得られる。ここでいう架橋の意味は、ウレタン樹脂の原料であるポリオール、及び、イソシアネート化合物からなる群から選択される一方または両方が、3個以上の反応性官能基を有していることにより、3次元網目構造を有していることを意味する。このような架橋ウレタン樹脂は、優れた柔軟性と高い強度とを有する。
ウレタン樹脂は、ポリオールとイソシアネート化合物、必要に応じて鎖延長剤から得ることができる。ウレタン樹脂の原料たるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、およびこれらの混合物が挙げられる。中でも、上記構造式(1)又は(2)を提供できるポリオールを使用することが好ましい。例えば、側鎖メチル基を有するポリエーテルポリオールや側鎖メチル基を有するポリカーボネートポリオールが好適に使用できる。
ウレタン樹脂の原料たるイソシアネート化合物としては、例えば以下が挙げられる。
トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、およびこれらの混合物。
任意成分の鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メチルペンタンジオールの如き2官能性低分子ジオール、トリメチロールプロパンの如き3官能性低分子トリオール、およびこれらの混合物が挙げられる。また、上記の各種イソシアネート化合物と、各種ポリオールを、水酸基に対してイソシアネート基が過剰な状態で予め反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するプレポリマータイプのイソシアネート化合物を用いてもよい。また、これらのイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を、メチルエチルケトン(MEK)オキシムなどの各種ブロック剤でブロック化した材料を用いてもよい。
いずれの材料を用いた場合においても、ポリオールとイソシアネート化合物を加熱により反応させることでウレタン樹脂を得ることができる。好ましくは、ポリオールかイソシアネート化合物のいずれか一方、あるいは両方が、分岐構造を有し、官能基数が3個以上であることにより、得られるウレタン樹脂は架橋ウレタン樹脂となる。
[架橋アクリル樹脂]
架橋アクリル樹脂は、架橋ウレタン樹脂と共にIPN構造を形成することにより、前述した作用機序により、現像部材の表面層に、磁性現像剤に対する電荷付与能を大幅な向上効果を招来する。
架橋アクリル樹脂は、アクリルモノマーの重合により形成される。ここでいうアクリルモノマーとは、単にアクリルモノマーだけでなく、メタクリルモノマーも意味する。即ち、架橋アクリル樹脂は、アクリルモノマーとメタクリルモノマーのいずれか一方、あるいは両方の重合により形成されるものである。
架橋アクリル樹脂と架橋ウレタン樹脂とのIPN構造を形成させるためには、前述のように、架橋ウレタン樹脂を含有する樹脂層に、液状のアクリルモノマーを含浸させ、これを硬化させることにより形成される。ここで用いられるアクリルモノマーの種類としては、架橋構造を形成させるために、官能基としてアクリロイル基、またはメタクリロイル基を複数個有する多官能モノマーを含む。一方で、官能基が4個以上になる場合、アクリルモノマーの粘度が著しく高くなるため、架橋ウレタン樹脂からなる樹脂層表面へ染みこみにくく、結果として、IPN構造を形成しにくくなる。従って、アクリルモノマーとしては、一分子中に含まれる、アクリロイル基とメタクリロイル基の存在数の合計が2個あるいは3個であるモノマーが好ましく、より好ましくは、2個である2官能アクリルモノマーが挙げられる。
上記アクリルモノマーの分子量としては、200以上750以下の範囲であることが好ましい。この範囲の分子量のアクリルモノマーを用いることで、架橋ウレタン樹脂の網目構造に対して、IPN構造を形成しやすく、効果的に表面層の強度を向上させることができる。
前述のように、アクリルモノマーは架橋ウレタン樹脂を含有する樹脂層に含浸される。
そのためには、適当な粘度を有する必要がある。即ち、高粘度では含浸しにくく、低粘度では含浸状態の制御が困難である。従って、アクリルモノマーの粘度は、25℃において5.0mPa・s以上、140mPa・s以下であることが好ましい。
すなわち、上述の分子量範囲と粘度範囲を満たすアクリルモノマーを、1種類または2種以上選択し、樹脂層に含浸して、重合させることで、架橋ウレタン樹脂と架橋アクリル樹脂とのIPN構造を形成することができる。
アクリルモノマーの重合方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、加熱による熱重合や紫外線照射など光重合が挙げられる。
各重合方法に対しては、公知のラジカル重合開始剤やイオン重合開始剤を用いることができる。
熱重合する場合の熱重合開始剤としては、例えば、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレートの如き過酸化物;
2,2-アゾビスブチロニトリル、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メトキシプロピオンアミド)、ジメチル-2,2-アゾビス(イソブチレート)の如きアゾ化合物が挙げられる。
紫外線を照射して光重合する場合の光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
なお、これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、重合開始剤の配合量は、特定の樹脂を形成するための化合物(例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物)全量を100質量部としたときに、効率的に反応を進行させる観点から、0.5質量部以上10質量部以下で使用することが好ましい。加熱のための装置や紫外線照射のための装置は、公知のものを適宜用いることができる。紫外線を照射する光源としては、例えば、LEDランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及び、低圧水銀ランプ等を用いることができる。重合の際に必要な積算光量については、使用する化合物や重合開始剤の種類や添加量に応じて、適宜、調整することができる。
[表面層の機能]
表面層は、その外表面に担持する現像剤への機械的なストレスを緩和するために柔軟であることが好ましい。一方、IPN構造は、表面層の硬度上昇を招来する。そのため、表面層の基体に対向する側は、IPN構造を有さないか、IPN構造を有するとしても第1の領域が有するIPN構造と比較して相対的に架橋ウレタン樹脂への架橋アクリル樹脂の侵入の程度が弱いIPN構造とすることが好ましい。これにより、外表面側が発達したIPN構造を有していても表面層としての硬度上昇を抑制し得る。
具体的には、表面層の基体に対向する側の表面から外表面に向かって厚さ0.1μmの領域を第2の領域としたとき、第1の領域及び第2の領域は、下記式(2)で示される関係を満たすことが好ましく、特に、式(3)で示される関係を満たすことが好ましい。ここで、T1(℃)は、第1の領域からサンプリングされる試料から測定される該架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度を示す。T2(℃)は、第2の領域からサンプリングされる試料から測定される該架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度を示す。
式(2) T1>T2。
式(3) (T1-T2)>1.0(℃)。
また、表面層の現像剤に対する機械的なストレスの緩和機能をより良く発揮させるために、表面層の厚さとしては、2.0μm以上、150.0μm以下であることが好ましい。そして、かかる厚さの表面層においては、表面層の外表面から深さ1.0μmから深さ1.1μmでの厚さ0.1μmの領域を第3の領域としたとき、第1の領域に隣接する当該第3の領域においては、IPN構造が存在しないことが好ましい。あるいは、IPN構造が存在するとしても、第1の領域におけるIPN構造と比較して架橋アクリル樹脂の侵入の程度が弱いIPN構造であることが好ましい。
したがって、第3の領域からサンプリングされる試料から測定される、架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT3(℃)としたとき、T1、T2およびT3は、式(4)および式(5)の関係を満たすことが好ましい。
式(4) T1>T3
式(5) |T1-T3|>|T3-T2|
[表面層のバインダー樹脂の体積抵抗率および測定方法]
表面層中のバインダー樹脂の体積抵抗率は、前記した通り、1.0×1010Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下、特には、1.0×1013Ω・cm以上、1.0×1016Ω・cm以下とすることが好ましい。これにより、現像剤が有する電荷(現像剤電荷という)の現像部材への漏洩による電荷減衰をより確実に防止できる。また、現像剤の過度な帯電も抑制できる。
バインダー樹脂の体積抵抗率の測定は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、導電性モードによって測定した測定値を採用することができる。現像ローラの、表面層の樹脂バインダー部から、マニュピレーターを用いてサンプル片を切り出し、当該サンプル片のある一方の面に金属蒸着を施す。金属蒸着を施した面に直流電源を接続し、電圧を印加し、該金属蒸着を施した面に対向する面にカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得る。このように得られた電流値と、上記サンプル片の膜厚とカンチレバーの接触面積から、体積抵抗率を算出できる。
[その他の成分]
表面層は、上記したもののほか、表面層の機能を阻害しない範囲で、架橋剤、可塑剤、充填剤、増量剤、加硫剤、加硫助剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤、レベリング剤の如き成分を含有させることができる。また、表面層に表面粗度が必要な場合は、表面層に粗さを付与するための微粒子を含有させることができる。具体的には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の微粒子を用いることができる。該微粒子の体積平均粒子径は1.0μm以上30μm以下が好ましく、該微粒子によって形成される表面粗さ(十点平均粗さ)Rzjisは、0.1μm以上20μm以下が好ましい。尚、RzjisはJIS B0601(1994)に基づき測定される値である。
[添加剤]
前述の表面層中に、変性シリコーン化合物、変性フッ素化合物、のいずれか一種または複数種の添加剤を含有するとき、アクリルモノマーが外表面付近に留まり、IPN構造を極めて外表面近傍に局所的に形成できるため好ましい。該添加剤を含有することでアクリルモノマーが表面層の深くまで浸透することを抑制できるため、表面層の現像剤への好適な電荷付与性を保持できる。このため、カブリ現象をより高い次元で抑制することができる。
[表面層の製造方法]
本形態の表面層を、逐次網目形成法によって製造する場合、以下の工程を有する。導電性の基体上に、バインダー樹脂としての架橋ウレタン樹脂と、該樹脂層の外表面に、液状のアクリルモノマーを含浸させる工程と、含浸されたアクリルモノマーを硬化させる工程と、を有している。上記各工程を経ることにより、本態様に係る表面層を形成することができる。
樹脂層の形成方法については、特に限定されないが、液状塗料の塗工成形法が好ましい。例えば、樹脂層用の各材料を溶剤中にて分散混合して塗料化し、導電性の基体上に塗工し、乾燥固化あるいは加熱硬化することにより形成することが可能である。
溶剤としては、架橋ウレタンの原材料である、ポリオールやイソシアネート化合物に対する相溶性の観点から、極性溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、といったアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルといったエステル類等から、その他の材料との相溶性の良い溶剤を、1種あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、塗料化する際の固形分は、溶剤の混合量により自由に調整可能であるが、カーボンブラックを均一に分散するという観点で、20質量%以上40質量%以下に調整することが好ましい。分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを利用した公知の分散装置が利用できる。また、塗工方法としては、浸漬塗工、リング塗工、スプレー塗工又はロールコートが利用できる。
乾燥固化あるいは加熱硬化は、ウレタン樹脂の架橋が進行するのであれば特に制限はされないが、50℃以上の温度が好ましく、70℃以上の温度がより好ましい。
次に、上記の如く形成された樹脂層に対し、液状のアクリルモノマーを含浸させる。
液状のアクリルモノマーを各種溶媒で適宜希釈した含浸処理液として含浸させることで、より表面組成の均一な表面層を形成することができる。
溶媒としては、樹脂層との親和性と、アクリルモノマーの溶解性の双方を満たす溶媒であれば自由に選択できる。例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、といったアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルといったエステル類等が挙げられる。また、含浸処理液には、適宜重合開始剤を混合させることができる。重合開始剤の詳細については後述する。
含浸処理液の含浸方法は特に限定されないが、浸漬塗工、リング塗工、スプレー塗工又はロールコートが利用できる。
こうして含浸処理液で含浸処理を行った後、アクリルモノマーを重合、硬化させることにより、表面層を形成することができる。重合、硬化方法としては、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。具体的には、熱硬化や紫外線照射などの方法が挙げられる。
このような工程により、樹脂層の架橋ウレタン樹脂の網目構造に対して、相互に絡み合う形で架橋アクリル樹脂が導入され、IPN構造を形成することができる。こうして得られる表面層の膜厚は、膜強度と柔軟性の観点から、2.0μm以上、150.0μm以下が好ましい。
<基体>
導電性の基体2は、円柱状または円筒状の導電性の基体を用いることができる。基体の表面は、その外周上に設けられる中間層や表面層との接着性を向上させる目的で、公知の表面処理を施してもよく、また、接着層を設けてもよい。材質としては、以下の如き導電性の材料で構成することができる。
アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;
クロム、又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;
導電性を有する合成樹脂。
<中間層>
中間層3は、ゴム材料の成形体により形成されていることが好ましい。ゴム材料としては以下のものが挙げられる。エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、長期に亘って他の部材(現像剤規制部材等)が当接した場合にも圧縮永久歪みを導電性の中間層に生じさせにくいシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、具体的には、付加硬化型液状シリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
中間層は、上記ゴム材料に電子導電性物質やイオン導電性物質のような導電性付与剤を配合して導電性の中間層とすることができる。該導電性の中間層の体積抵抗率は、好ましくは10Ωcm以上1011Ωcm以下、より好ましくは10Ωcm以上1010Ωcm以下に調整される。
電子導電性物質としては、例えば以下の物質が挙げられる。導電性カーボン、ゴム用カーボン、カラー(インク)用カーボンの如き導電性カーボンブラック、金属およびその金属酸化物が挙げられる。例えば、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラックの如き高導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MTの如きゴム用カーボン;カーボンブラック粉末に酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン;銅、銀、ゲルマニウムの如き金属およびその金属酸化物。この中でも、少量で導電性を制御しやすいことから導電性カーボンブラック〔導電性カーボン、ゴム用カーボン、カラー(インク)用カーボン〕が好ましい。
イオン導電性物質としては、例えば以下の物質が挙げられる。過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウムの如き無機イオン導電性物質;変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテートの如き有機イオン導電性物質。
これら導電性付与剤は、中間層を前記のような適切な体積抵抗率に調整するのに必要な量が用いられるが、中間層を構成するゴム材料100質量部に対して、0.5質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。
また、中間層には、必要に応じて更に可塑剤、充填剤、増量剤、加硫剤、加硫助剤、架橋助剤、硬化抑制剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤、の如き各種添加剤を含有させることができる。充填剤としては、シリカ、石英粉末、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。これら任意成分は、中間層の機能を阻害しない範囲の量で配合される。
中間層は、現像部材に要求される弾性を有し、アスカーC硬度で20度以上100度以下が好ましく、厚みは0.3mm以上6.0mm以下が好ましい。
中間層用の各材料の混合は、一軸連続混練機、二軸連続混練機、二本ロール、ニーダーミキサー、トリミックス等の動的混合装置や、スタティックミキサー等の静的混合装置を用いて行うことができる。
基体上に中間層を形成する方法としては、特に限定されず、型成形法、押出成形法、射出成形法、塗工成形法を挙げることができる。型成形法では、例えば、先ず、円筒状の金型の両端に、金型内に軸芯体を保持するための駒を固定し、駒に注入口を形成する。次いで、金型内に軸芯体を配置し、中間層用の材料を注入口より注入した後、該材料が硬化する温度で金型を加熱し、脱型する方法を挙げることができる。
押出成形法では、例えば、クロスヘッド型押出機を用いて軸芯体と中間層の材料を共に押し出して、該材料を硬化して、軸芯体の周囲に中間層を形成する方法を挙げることができる。
中間層の表面は、表面層との密着性向上の為、表面研磨や、コロナ処理、フレーム処理、エキシマ処理の表面改質方法によって改質することもできる。
<<現像剤>>
本発明に関わる現像剤は、少なくとも、結着樹脂と磁性体を含有する現像剤粒子を含む。現像剤の製造法としては、粉砕法、或いは重合法を使用することができる。粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられる。本開示に係る現像剤としては、結着樹脂、磁性体の如き現像剤として必要な成分と、必要に応じて離型剤、荷電制御剤添加剤等及びその他の成分をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化、粉砕後、分級し、必要に応じて表面処理を行って現像剤を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率向上の為、多分割分級機を用いることが好ましい。粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式の如き公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。
また、球状の現像剤を直接作る方法としては、現像剤の結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を水中に懸濁させ、重合して現像剤化する方法がある。本態様に係る現像剤としては、磁性体を必須とし、その他一般的に使用される重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、離型剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とする。その後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続相、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒径に分散し、さらに重合反応を行わせ、所望の粒径を有する現像剤を得ることができる。
球状の現像剤は、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下の現像剤における平均円形度が0.970以上である球形化度が高い現像剤であることが好ましい。このように平均円形度を高くすることによって、個々の現像剤の表面を均一に摩擦帯電させることが容易になり、帯電均一性に優れるようになるからである。
また、さらに高画質に対応して、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、現像剤の重量平均粒径は3μm以上10μm以下であることが好ましい。重量平均粒径が3μm以上である場合、転写効率の低下の抑制、感光体上の転写残現像剤の増加の抑制、接触帯電工程での感光体削れの抑制、現像剤の融着の抑制が可能である。さらに、現像剤全体の表面積の増加の抑制、粉体としての流動性及び攪拌性の低下の抑制、個々の現像剤の均一帯電の確保が容易である。従って、カブリや転写性の悪化の抑制、画像の均一性の確保が容易である。また、現像剤の重量平均粒径が10μm以下である場合、文字やライン画像の飛び散りが抑制でき、高解像度が得られる。
現像剤には摩擦帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤を現像剤に包含させる(内添)こと、又は現像剤と混合して用いる(外添)ことができる。これは、荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となるためである。正の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、トリアミノトリフェニルメタン系染料及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩。これらは1種単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、負の荷電制御剤としては、有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としては、アルミニウムアセチルアセトナト、鉄(II)アセチルアセトナト、3,5-ジターシャリーブチルサリチル酸クロムがある。特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体又は塩が好ましい。
現像剤に含まれる磁性体の磁性材料としては、以下のものが挙げられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き鉄系金属酸化物;Fe、Co、Niの如き磁性金属;並びに、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vの如き金属との合金;これらの混合物等。
現像剤には離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタンワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。その中でも、定着性の観点から、融点の低いワックスを用いることが好ましい。
さらに、現像剤には、環境安定性、摩擦帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナの如き無機微粉体を外添すること、すなわち現像剤の表面近傍に存在させていることが好ましい。無機微粉体の添加量は、現像剤中に0.1質量%乃至5.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。無機微粉体以外の外添剤をさらに加えて用いても良い。無機微粉体以外の外添剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤;酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウムの如き研磨剤がある。滑剤の中では、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
<<現像装置>>
本開示に係る現像装置は、本開示に係る現像ローラと現像剤とを組み合わせたものであれば、従来公知のいずれの現像装置にも適用できる。
例えば、現像装置は、図2に示すように、現像剤105が収容される現像剤容器109と、現像剤を現像剤容器の外部に搬送するために現像剤容器の開口部に配置された現像ローラ10とを含む。また、現像剤規制部材である現像ブレード107と、現像ローラ10の回転の上流側に、回転可能な状態で現像ローラ10に当接される現像剤供給ローラ108とを含む。また、現像剤容器109の開口部の端部に配置された、現像ローラ10と当接する端部シール部材(不図示)が設けられている。端部シール部材は、現像ローラの両端周面の形状に対応して形成された現像剤容器開口部の形状に合わせて、スポンジやフェルト等の部材で構成され、現像ローラの両端周面に押し当てて外部への現像剤の漏れを阻止する役割を担う。当該現像剤105と現像ローラ10に本開示に係る現像剤と現像部材が適用される。二成分系現像剤を用いる場合、現像剤容器109内には必要に応じて現像剤とキャリアとの攪拌を行う攪拌部材を有していてもよい。
<<電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置>>
本開示の一態様に係る電子写真プロセスカートリッジは、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されており、上記の現像装置を有することを特徴とする。
本開示の一態様に係る電子写真画像形成装置は、静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を一次帯電するための帯電装置と、一次帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光手段と、該静電潜像を現像剤により現像して現像剤画像を形成するための現像部材と、該現像剤画像を転写するための転写装置とを有する。そしてこの電子写真画像形成装置において、該現像部材を具備する現像装置が上記の現像装置であることを特徴とする。
本開示の一態様に係るプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置について、説明する。本開示のプロセスカートリッジの一例としては、上述の現像装置を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されたものを挙げることができる。また、図3は、上記現像装置を備えた、またはプロセスカートリッジが着脱可能に組み込まれた電子写真画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
静電潜像を担持するための像担持体118の周囲には、帯電可能に配置された帯電部材としての帯電ローラ106、転写部材(転写ローラ)110、クリーナー容器111、クリーニングブレード112、定着器113、ピックアップローラ114等が設けられている。像担持体118は帯電ローラ106によって帯電される。そして、レーザー発生装置116によりレーザー光を像担持体118に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。像担持体118上の静電潜像は現像器としてのプロセスカートリッジが有する現像剤容器109内の現像剤で現像されて画像を得る。現像は露光部に現像剤が現像される、いわゆる反転現像を行っている。転写材(紙)Pは、給紙部115からピックアップローラ114等により装置内に搬送され、画像は転写材(紙)Pを介して像担持体118に当接された転写部材(転写ローラ)110により転写材(紙)P上へ転写される。画像を載せた転写材(紙)Pは定着器113へ運ばれ、現像剤が転写材(紙)P上に定着される。また、像担持体118上に残された現像剤はクリーニングブレード112によりかき落とされ、クリーナー容器111に収納される。
以下に具体的な実施例を挙げて本開示の実施形態を詳細に説明するが、本開示の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
<現像ローラD-1の作製>
[弾性ローラ1の作製]
導電性の基体として、外径6mm、長さ264mmのSUS304製の芯金にプライマー(商品名:DY35-051、東レ・ダウコーニング株式会社製)を塗布し、温度150℃で20分間加熱したものを準備した。この導電性の基体を内径11.5mmの円筒状金型内に同心となるように設置した。
中間層の材料として、下記表1に示す材料をトリミックス(商品名:TX-15 井上製作所製)で混合した付加型シリコーンゴム組成物を用い、該組成物を温度115℃に加熱した金型内に注入した。材料注入後、温度120℃にて10分間加熱成型し、室温まで冷却後、金型から脱型し、導電性の基体の外周に厚み2.71mmの中間層が形成された弾性ローラ1を得た。
Figure 2022140330000004
[表面層1の形成]
まず、樹脂層1の形成用塗料を調製した。即ち、下記表2における粗さ形成粒子以外の材料を撹拌混合した。次いで、固形分濃度30質量%になるようにメチルエチルケトン(キシダ化学株式会社製)を添加し、混合した後、サンドミルにて均一に分散した。この混合液にメチルエチルケトンをさらに加え固形分濃度25質量%に調整した。その後、表2中の粗さ形成粒子を加え、ボールミルで攪拌分散して、樹脂層形成用塗料1を得た。上記の弾性ローラ1を、樹脂層形成用塗料1中に浸漬して、塗膜の乾燥膜厚が15μmとなるように塗布した。その後、温度130℃にて60分間加熱して、塗膜を乾燥、硬化して樹脂層1を中間層上に形成した。
Figure 2022140330000005
続いて、樹脂層1にアクリルモノマーを含む含浸処理液1を含浸させ、硬化させて表面層1を形成した。
まず、下記表3に示す材料を溶解混合して含浸処理液1を調製した。次いで、樹脂層の形成された弾性ローラを、この含浸処理液1中に2秒間浸漬し処理を行い、アクリルモノマー成分を含浸させた。その後、温度25℃で30分間風乾を行い、温度90℃で1時間乾燥して、溶剤を揮発させた。乾燥後の弾性ローラを回転させながら、積算光量が15000mJ/cmとなるように紫外線を外周面に照射して、樹脂層中に含浸させたアクリルモノマーを硬化させて、表面層1を形成した。なお、紫外線照射装置として、高圧水銀ランプ(商品名:ハンディータイプUV硬化装置、マリオネットワーク社製)を用いた。
こうして現像ローラD-1を得た。
Figure 2022140330000006
[現像ローラD-2~D-32の作製]
表4-1~表4-2に示す処方とした以外は樹脂層1の形成用塗料と同様にして樹脂層形成用塗料2~21を調製した。また、表5に示す処方とした以外は含浸処理液1と同様にして含浸処理液2~3を調製した。
そして、表6に示す樹脂層形成用塗料と含浸処理液の組み合わせとした以外は表面層1の形成方法と同様にして現像ローラ2~32を作製した。
Figure 2022140330000007
Figure 2022140330000008
Figure 2022140330000009
※表4及び表5中の数字は各材料の配合量を質量部で表すものである。
※表4及び表5中に記載される材料はそれぞれ以下のものである。
・「C2090」:商品名;クラレ社製、側鎖メチル基を有するポリカーボネートポリオール
・「T5652」:商品名;旭化成社製、ポリカーボネートポリオール
・「NP400」:商品名;三洋化成工業社製、窒素含有ポリオール
・「P2050」:商品名;クラレ社製、ポリエステルポリオール
・「PTGL2000」:商品名;保土谷化学工業社製、側鎖メチル基を有するポリエーテルポリオール
・「PTMG2000」:商品名;三菱ケミカル社製、ポリエーテルポリオール
・「MR-400」(「ミリオネートMR-400」;商品名;東ソー社製 イソシアネート化合物(ポリメリックMDI)
・「SUNBLACK X15」:商品名;旭カーボン製 カーボンブラック
・「TSF4445」:商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、変性シリコーンオイル
・「メガファックF430」:商品名;DIC社製、フッ素基含有・親水基含有・親油基不含有オリゴマー
・「UCN-5090」(「ダイミックビーズUCN-5090」):商品名;大日精化工業社製 架橋ウレタン樹脂粒子
・「LCB-19」:商品名;三菱ケミカル社製 鎖状アクリル樹脂
・「EBECRYL145」:商品名;ダイセル・オルネクス社製、2官能アクリルモノマー;PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート
・「NKエステル9G」:商品名;新中村化学工業社製、2官能アクリルモノマー
・「NKエステル14G」:商品名;新中村化学工業社製、2官能アクリルモノマー
・「IRGACURE184」:商品名;BASF社製、光重合開始剤
Figure 2022140330000010
[現像ローラDH-1~2の作製]
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:タフデン2003、旭化成社製)100質量部に対し、表7の成分(1)の欄に示す他の材料を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。これに、表7の成分(2)の欄に示す材料を添加した。
次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物No.1を得た。
Figure 2022140330000011
外径6mm、長さ270mmのステンレス鋼(SUS304)製の円柱体を用意した。
円柱体の周面に導電性加硫接着剤(商品名:メタロックU-20、東洋化学研究所社製)を塗布し、焼付けて導電性の基体を調製した。
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、上記基体を中心軸として、その周面を円筒状に、作製した導電性ゴム組成物No.1で被覆した。被覆した導電性ゴム組成物の厚みは、2.75mmに調整した。
押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加硫した後、ゴム層の端部を除去して、長さを235mmとし、予備被覆層を有するローラを作製した。
上記で得た、予備被覆層を有するローラの外周面を、プランジカットの研削方式の研磨機でクラウン形状に研磨して、ローラNo.1を作製した。得られたローラNo.1の外径を、レーザー測長器(商品名:コントローラLS-7000、センサーヘッドLS-7030R、KEYENCE社製)を用いて、1mmピッチで測定した。ローラNo.1の端部から10mmの位置の外径の平均と、当該ローラNo.1の中央の位置の外径の平均の差をクラウン量とした。その結果、当該端部から10mmの位置における外径の平均値が10.018mm、中央の位置の外径の平均値が10.068mmであった。従って、クラウン量は50μmであった。次いで、ローラNo.1を、熱風炉中で、大気雰囲気下にて温度195℃で1時間加熱して弾性ローラH1を得た。
得られた弾性ローラH1に対し、樹脂層用塗料および含浸処理液を表8に示すものに変更したこと以外は現像ローラ1と同様にして、現像ローラDH-1及びDH-2を得た。
Figure 2022140330000012
<現像剤>
[磁性体1の製造]
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00~1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiOを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90~1.20当量の硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、磁性酸化鉄を含む含水スラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計った。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて磁性酸化鉄を再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。そして、撹拌しながら磁性酸化鉄100質量部に対しn-ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を1.6質量部添加し、加水分解を行った。
尚、磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にしてシランカップリング剤による表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性体1を得た。
[ポリエステル樹脂1の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記表9に示す材料を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5~20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸10質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後、反応生成物を取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。ポリエステル樹脂1は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されたメインピーク分子量(Mp)が10500であった。
Figure 2022140330000013
[現像剤粒子1の製造]
容器内に、イオン交換水720質量部に0.1M-NaPO水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M-CaCl水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。一方、下記表10の成分1の欄に示す材料を、アトライター(商品名、三井三池化工機社製)を用いて均一に分散混合して、重合性単量体組成物を得た。この重合性単量体組成物を60℃に加温し、下記表10の成分2の欄に示す材料を添加混合し、溶解した後に、重合開始剤として成分3の欄に示す材料を添加、混合、溶解し、現像剤組成物を得た。
Figure 2022140330000014
上記水系媒体中に上記現像剤組成物を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業社製)にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ74℃で6時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥して現像剤粒子1を得た。得られた磁性現像剤である現像剤粒子1は重量平均粒径8.0μm、平均円形度0.938であった。
[現像剤T-1の製造]
下記表11に示す材料をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機社製)内に投入し、回転数4000rpmで一定とし、5分間混合処理した。混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、現像剤T-1を得た。
Figure 2022140330000015
[現像剤T-2の製造]
磁性体1の量を、90部から60部とすること以外は、現像剤T-1の製造と同様にして、現像剤T-2を得た。
[現像剤TH-1の製造]
磁性体1の量を、90部から0部とすること以外は、現像剤T-1の製造と同様にして、現像剤TH-1を得た。
現像剤粒子原料成分1中の磁性体1質量部数を、以下の表12に示す。
Figure 2022140330000016
得られた現像ローラおよび現像剤について、以下の評価を行った。
[T1,T2,T3,A1,A2の測定]
上述のマイクロサンプリング質量分析法により、現像ローラの外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域、表面層の裏面から表面に向けて厚さ0.1μmの第2の領域、表面から深さ1.0μm以上、1.1μm以下の第3の領域の熱クロマトグラムを得た。得られた熱クロマトグラムから、第1の領域、第2の領域、第3の領域のそれぞれの領域における架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度、T1、T2,T3を求めた。また、第1の領域における架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度A1を得た。さらに、第1の領域からサンプリングされる試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度A2を得た。
なお、各領域のサンプルは、FIB-SEM(商品名:NVision40、SIIナノテクノロジー社製)によるマイクロサンプリング法を用いて採取した。
具体的には、まず、カミソリを用いて、現像ローラの表面から基体に向けた切り込みを入れ、表面層及び中間層の断面が露出した状態のゴム片を切り出した。当該ゴム片をローラ断面部が上面になるようにSEMの試料台に設置し、当該ゴム片のローラ表面に該当する位置にサンプリングプローブを固定した。さらに、ローラ表面に該当する面から0.1μm内側に該当する位置にFIBによる切断処理を行うことにより、第1の領域のサンプルを採取した。
第2の領域については、表面層の裏面と中間層との界面から、表面側へ1.0μmの位置にFIBによる切断処理を行った。得られた切断面に、サンプリングプローブを固定し、当該切断面から0.1μm内側に該当する位置にFIBによる切断処理を行うことにより、第2の領域のサンプルを採取した。
また、第3の領域については、上記と同様のゴム片においてローラ表面に該当する面から1.0μm内側に該当する位置にFIBによる切断処理を行うことで、第3の領域を露出させた。露出した面に、サンプリングプローブを固定し、露出面から、0.1μm内側に該当する位置にFIBによる切断処理を行うことにより、第3の領域のサンプルを採取した。
いずれの切断処理においても、FIBの加速電圧は、30kV、ビーム電流は、27mAとした。
[ピリジン分解法]
ピリジン分解法はウレタン結合を選択的に分解する方法である。架橋アクリル樹脂と架橋ウレタン樹脂とのIPN構造を有するサンプルにおいて、ピリジン分解法を行うことで、架橋ウレタンに由来する構造を除去した後の、架橋アクリル樹脂を得ることができる。
得られた架橋アクリル樹脂から、IPN構造の有無による熱クロマトグラムのピーク温度の変化をとらえることができる。ピリジン分解法は具体的には以下の方法で行った。
ミクロトームを用いて、現像ローラの表面から0.1μmの厚さで、サンプルを切り出し、500mg分を収集した。得られたサンプルに対して、ピリジン(和光純薬社製)と水を3:1で混合した混合液を、0.5mL加え、ステンレスジャケット付きフッ素樹脂(「テフロン」(登録商標))製密閉容器中で、130℃で15時間加熱することにより分解を行った。得られた分解物を減圧処理することにより、ピリジンを除去した。こうして得られたサンプルを用いて、上述のマイクロサンプリング質量分析法を行い、A2の値を得た。
[膜厚測定]
表面層の膜厚は、表面層の軸方向3箇所、円周方向3箇所、計9箇所における断面を、光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定し、その平均値を表面層の「膜厚」とした。
[体積抵抗率測定]
表面層の体積抵抗率は、原子間力顕微鏡(AFM)(Q-scope250:Quesant社)を用いて、導電性モードによって測定した。先ず、導電性ローラの表面層から、マニュピレーターを用いて、幅2mm、長さ2mmのシートを切り出した。なお、表面層からのシートの切り出しは、該シートの一方の表面が、表面層の表面を含むように行った。次いで、該シートの表面層の表面側に白金を厚さ80nmに蒸着した。次に白金蒸着を施した面に直流電源(6614C:Agilent社)を接続して10Vを印加し、表面層のもう一方の面にはカンチレバーの自由端を接触させ、AFM本体を通して電流像を得た。無作為に選ばれた100箇所の表面において測定し、低電流値の上位10箇所の平均電流値と、前記膜厚測定結果とから体積抵抗率を算出した。測定の条件を以下に示す。
測定モード:contact
カンチレバー:CSC17
測定範囲:10nm×10nm
スキャンレイト:4Hz
印加電圧:10V
<実施例1>
電子写真画像形成装置としての、レーザープリンタ(商品名:レーザジェット・プロ(LaserJet Pro) P1606、HP社製)に下記の仕様変更を施した。まず、現像バイアスをAC(交流)からDC(直流)に変更した。次いで、現像バイアスを-500V、感光ドラム上の明部の電位を-300V、暗部の電位を-800Vに設定した。従ってこの画像形成装置において、Vcontrastは、200V、Vbackは300Vである。
このような仕様変更を施したプロセスカートリッジに、上記にて作製した現像ローラD-1を格納すると共に、上記にて作製の現像剤T-1を充填し、現像装置を作製した。なお、このプロセスカートリッジの現像装置は、本来は磁性非接触型現像装置であるが、外径が11.4mmの現像ローラを装着することによって磁性接触方式の現像装置とした。
[Q/M測定]
作製したプロセスカートリッジを上記レーザープリンタに装填し、H/H環境下、7日間エージングした。そして、環境を変えずに、このレーザープリンタを用いて白ベタ画像の出力動作を行い、現像ローラの表面が現像剤でコートされた状態とした。次に、同環境下、現像ローラに担持された現像剤を、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際、金属円筒管を通じてコンデンサに蓄えられた電荷量Q(μC)、吸引された現像剤の質量M(g)を測定した。これらの値から、単位質量当たりの電荷量Q/M(μC/g)を算出した。なお、負帯電性の現像剤を用いる場合、Q/Mの符号が負であり、Q/Mの絶対値が大きいほど、現像ローラの現像剤に対する電荷付与能が高いといえる。
[カブリ測定]
上記Q/M測定の直後、次のような手順にて、カブリ測定を実施した。まず、H/H環境下、白ベタ画像の出力中にプリンターを停止した。このとき、感光体上に付着した現像剤をテープで剥がし取り、反射濃度計(商品名「TC-6DS/A」;東京電色社製)にて、基準に対する反射率の低下量(%)を測定し、これをカブリ値とした。反射率の低下は、本来、印刷されずに白抜きとなるべき用紙の白地部に現像剤が転写されていることに起因する。したがって、カブリ値は小さいほど好ましい。
[ゴースト評価]
上記Q/M測定およびカブリ測定に用いたプリンターとカートリッジを、温度15℃、相対湿度10%の環境下で、1日エージングした。その後、ゴースト検討用画像として、画像端の現像ローラ1周分に相当する領域に、白地にベタ黒のマーク(正方形および円形)を等間隔で配置した画像を出力し、それ以外の領域に、ハーフトーン画像を出力した。
出力したハーフトーン画像上への当該マークのゴーストの出現程度を下記の基準にて評価した。
ランクAA:濃淡差が全く見られない。
ランクA:観察する角度によってわずかな濃淡差が確認できる。
ランクB:現像ローラ1周分のゴーストが確認できる。
ランクC:現像ローラ1周分のゴーストが明確に確認できる。
ランクD:現像ローラ2周分以上に亘って確認できる。
<実施例2~実施例33>
現像ローラ、現像剤をそれぞれ表13に示すものに変更した以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表13-1~表13-2に示す。
Figure 2022140330000017
Figure 2022140330000018
<比較例1~3>
現像ローラ、現像剤をそれぞれ表14に示すものに変更した以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表14に示す。
Figure 2022140330000019
<評価結果の考察>
実施例1~33では、磁性体を含有する現像剤を用いて、現像装置の評価を行っている。該現像装置に格納される現像ローラは、いずれも、表面層としての単層の弾性層を有しており、弾性層には、バインダー樹脂として、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含んでいる。さらに、実施例1~33の現像ローラはいずれもA1>A2であることから、弾性層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域において、架橋ウレタン樹脂と架橋アクリル樹脂とが相互侵入高分子網目構造を構成していることが確認できる。これにより、高温環境においても、現像剤が良好に帯電し、カブリ性能が良好であることが確認される。
現像ローラ表面層のバインダー樹脂として、架橋ウレタンにポリカーボネート構造を含んでいる実施例1、2、7、8、13、14、19、20、25~30、32、33はQ/Mが比較的高く、カブリ性能も良好である。これらの中でも、側鎖にメチル基を含有する実施例1、7、13、19、30は、特に体積抵抗率が高く、耐カブリ性に優れる結果である。
一方で、比較例1は予備被覆層にアクリル含浸処理を行っているが、現像剤へ電荷を付与する化学構造(架橋ウレタン樹脂)が含まれていないため、Q/Mが低く、カブリも劣る結果となっている。比較例2は、架橋ウレタン樹脂と鎖状アクリル樹脂が含有されているが、架橋アクリル樹脂と架橋ウレタン樹脂との相互侵入高分子網目構造を含んでいない。また比較例3は、現像剤に磁性体が含有されていない。このため、これらの比較例は、効果的な電荷付与がなされず、カブリ性能も不足する結果となっている。
1:現像ローラ
105:現像剤
109:現像装置
41:第1領域
42:第2領域
43:第3領域
44:表面層
45:導電性の基体

Claims (14)

  1. 現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えた現像装置であって、
    該現像部材は、
    導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、
    該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含み、
    該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂とが相互侵入高分子網目構造を構成し、
    該現像剤は、
    少なくとも、結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含むことを特徴とする現像装置。
  2. 前記第1の領域からサンプリングされる第1の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA1(℃)とし、
    該第1の試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA2(℃)としたとき、A1およびA2が下記式(1)で示される関係を満たす、請求項1に記載の現像装置:
    式(1) A1>A2 。
  3. 前記第1の領域における、該架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT1(℃)とし、
    前記表面層の前記基体に対向する側の裏面から、前記外表面に向けて厚さ0.1μmの第2の領域に含まれる前記架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT2(℃)としたとき、T1およびT2が下記式(2)で示される関係を満たす請求項1または2に記載の現像装置:
    式(2) T1>T2。
  4. 前記T1およびT2が、下記式(3)で示される関係を満たす請求項3に記載の現像装置:
    式(3) (T1-T2)>1.0(℃)。
  5. 前記現像部材の表面層の厚みが、2.0μm以上、150.0μm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の現像装置。
  6. 前記第1の領域における、該架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT1(℃)とし、
    前記表面層の前記基体に対向する側の裏面から、前記外表面に向けて厚さ0.1μmの第2の領域に含まれる前記架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT2(℃)とし、
    前記表面層の外表面から深さ1.0μm以上、1.1μmまでの第3の領域における、
    前記架橋ウレタン樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をT3(℃)としたときに、T1、T2およびT3が下記式(4)および式(5)で示される関係を満たす請求項5に記載の現像装置:
    式(4) T1>T3;
    式(5) |T1-T3|>|T3-T2|。
  7. 前記現像部材の表面層が、さらに、変性シリコーン化合物、変性フッ素化合物、のいずれか一種または複数種を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の現像装置。
  8. 前記架橋ウレタン樹脂が、ポリカーボネート構造を有する請求項1~7のいずれか一項に記載の現像装置。
  9. 前記架橋ウレタン樹脂が、側鎖メチル基を有する構造を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の現像装置。
  10. 前記現像部材の表面層に含有されるバインダー樹脂の体積抵抗率が、1.0×1010Ω・cm以上、1.0×1018Ω・cm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の現像装置。
  11. 電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジであって、請求項1~10のいずれか一項に記載の現像装置を含むことを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
  12. 静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を一次帯電するための帯電装置と、
    一次帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成するための現像装置と、該現像剤像を転写材に転写するための転写装置とを有する電子写真画像形成装置において、該現像装置が請求項1~10のいずれか一項に記載の現像装置である、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
  13. 前記現像装置が磁性接触方式の現像装置である請求項12に記載の電子写真画像形成装置。
  14. 現像剤と、該現像剤を表面に担持する現像部材とを備えた現像装置であって、
    該現像部材は、
    導電性の基体と、該基体上の表面層としての単層の弾性層とを有し、
    該表面層は、バインダー樹脂を有し、該バインダー樹脂は、架橋ウレタン樹脂および架橋アクリル樹脂を含み、
    該表面層の外表面から深さ0.1μmまでの第1の領域においては、該架橋ウレタン樹脂と該架橋アクリル樹脂の両方を含み、
    該第1の領域からサンプリングされる第1の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA1(℃)とし、
    該試料が含む架橋ウレタン樹脂を分解して得られる第2の試料から測定される該架橋アクリル樹脂に由来する熱クロマトグラムのピークトップ温度をA2(℃)としたとき、A1およびA2が下記式(1)で示される関係を満たし、
    式(1) A1>A2
    該現像剤は、少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有する現像剤粒子を含むことを特徴とする現像装置。
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