JP2022140301A - インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置 - Google Patents

インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022140301A
JP2022140301A JP2022016548A JP2022016548A JP2022140301A JP 2022140301 A JP2022140301 A JP 2022140301A JP 2022016548 A JP2022016548 A JP 2022016548A JP 2022016548 A JP2022016548 A JP 2022016548A JP 2022140301 A JP2022140301 A JP 2022140301A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
tablet
printing
pigment
alkaline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022016548A
Other languages
English (en)
Inventor
達美 小林
Tatsumi Kobayashi
夏希 浅見
Natsuki Asami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shibaura Mechatronics Corp
Original Assignee
Shibaura Mechatronics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shibaura Mechatronics Corp filed Critical Shibaura Mechatronics Corp
Priority to CN202210181471.1A priority Critical patent/CN115073971A/zh
Priority to TW111107698A priority patent/TW202235545A/zh
Priority to KR1020220028810A priority patent/KR20220127756A/ko
Publication of JP2022140301A publication Critical patent/JP2022140301A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】アルカリ性錠剤への印刷に好適なインク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置を提供する。【解決手段】実施形態に係るインクは、アルカリ性錠剤に所定の色の識別情報を印刷するためのインクジェット用のインクであって、水と、エタノールと、水溶性高沸点有機溶剤と、アルカリ性錠剤に印刷する前は所定の色と異なる色を呈し、アルカリ性錠剤に印刷された後に所定の色に変化する色素と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置に関する。
錠剤において、文字や記号などの識別情報を印刷することで、錠剤の識別性を高め、調剤者による調剤のミス防止や、使用者の誤飲防止などが図られている。
錠剤への印刷方法としては、インクジェット方式の印刷が挙げられる。インクジェット方式の印刷によれば、錠剤に対して非接触で印刷を行うことができるので、例えばOD錠(口腔内崩壊錠)のような崩壊の恐れの高い錠剤に対しても好適に印刷を行うことができる。
このようなインクジェット方式の印刷において、染料を含むインク(染料インク)を用いることがある。染料インクによれば、顔料を含むインクと比較して、印刷された文字などが濃く発色しやすく、識別情報の視認性が良くなる。また、顔料を含むインクは、顔料が溶媒に分散した状態であるために、インクジェットヘッドのノズルからの吐出性が悪く、吐出不良を起こして、印刷不良となることがある。一方、染料インクにおいては、染料が溶媒に溶解しているので、インクジェットヘッドのノズルからの吐出性が確保しやすく、印刷不良を抑えることができる。
特開2011-236279号公報
本発明は、アルカリ性錠剤への印刷に好適なインク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置の提供を目的とする。
本発明の実施形態に係るインクは、アルカリ性錠剤に所定の色の識別情報を印刷するためのインクジェット用のインクであって、水と、エタノールと、水溶性高沸点有機溶剤と、前記アルカリ性錠剤に印刷する前は前記所定の色と異なる色を呈し、前記アルカリ性錠剤に印刷された後に前記所定の色に変化する色素と、を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態に係る錠剤の製造方法は、ノズルからインクを吐出する印刷ヘッドに、上記実施形態に係るインクを供給し、前記印刷ヘッドを用いて、アルカリ性錠剤に対して前記インクで識別情報を印刷することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、アルカリ性錠剤を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される前記アルカリ性錠剤に対して、ノズルからインクを吐出することで印刷を行う印刷ヘッドと、を有し、前記印刷ヘッドは、上記実施形態に係るインクを吐出することで、識別情報を印刷することを特徴とする。
インクジェット方式の印刷では、インクジェットヘッド内に充填されたインクをインクジェットヘッド先端のノズルにある開口から吐出する。このノズルの開口内あるいは開口周辺でインクが乾燥して付着し、開口の形状が変形したり、詰まったりすると、吐出不良となる。また、インクの粘性が高いと、ノズルから正常に吐出することができず、吐出不良となる。印刷対象である錠剤の表面には、インクジェットヘッドのノズルから吐出されたインクの液滴が着弾し、この着弾した液滴によって形成される印刷ドット(点)を組み合わせて、点描で文字や記号などが印刷される。このとき、吐出不良があると、文字や記号となるパターンで印刷ドットが形成されず、印刷がかすれて見えたり、所望する文字や記号に見えなかったりして、印刷不良となる。
さらに、錠剤の表面に着弾したインクがなかなか乾燥しないと、印刷後の搬送などでインクが剥がれたり、他の錠剤や搬送装置などに付着して汚してしまうことがある。したがって、錠剤の印刷に使用するインクジェット用のインクの特性として、ノズルからの吐出性と、印刷後の乾燥性を併せ持つ必要がある。
錠剤には、アルカリ性の原料を含有していたり、あるいはアルカリ性の成分でコーティングされていたりして、その表面(少なくとも印刷対象部位)がアルカリ性を示す錠剤(以下、単に「アルカリ性錠剤」という)がある。アルカリ性錠剤に対して、染料インクを用いて印刷を行うと、染料によっては、経時的に、印刷した文字等が変色や滲みを起こすことが分かった。
とくに、青色のインクにおいては、例えば青色の染料として一般に広く使用される食用青色1号(ブリリアントブルーFCF)を含むインクでアルカリ性錠剤に印刷し、温度40度、湿度75%RHの環境下に保管すると、印刷された識別情報が、1~2日で薄紫色に変色し、滲みが発生する。すなわち、印刷直後の色あるいは所望の色(所定の色)と、異なる色に変化してしまうので、例えば青色を含む企業のロゴマークや、イラストなどを印刷した場合には、その印象が変わってしまう。また、文字を印刷したときには、生じた滲みによって、文字が不鮮明になり、錠剤の識別性が低下する。
また、紫色のインクにおいては、例えば赤色の染料として一般的に広く使用される食用赤色3号と青色の染料として一般的に広く使用される食用青色1号を混ぜ合わせて紫色を作り出し、これをアルカリ性錠剤に印刷していた。しかしながら、青色のインクと同様、温度40度、湿度75%RHの環境下に保管すると、印刷された識別情報が、1~2日で赤色に変色したり、混ぜ合わせた二つの色素が分離して斑状になったり、滲みが発生したりする。
橙色のインクにおいては、例えば赤色の染料として一般的に広く使用される食用赤色3号と黄色の染料として一般的に広く使用される食用黄色4号とを混ぜ合わせて橙色を作り出し、これをアルカリ性錠剤に印刷していた。しかしながら、上記した他の色と同様、温度40度、湿度75%RHの環境下に保管すると、印刷された識別情報が、1~2日で黄色に変色したり、混ぜ合わせた二つの色素が分離して斑状になったり、滲みが発生したりする。
そこで、本願発明者は、所定の色(予め決定した印刷後の識別情報の色)とは異なる色を呈する色素をインクに配合することで、アルカリ性錠剤に対して当該インクを用いて印刷したときに、所定の色の印刷が可能になるインクを発明した。例えば所定の色が青色(または青みを含む色)のインクの色素として、食用緑色3号を適用した。食用緑色3号は、一般的には、例えば食品に、緑色の着色料として使用される色素である。しかし、本願発明者は、食用緑色3号がアルカリ条件下では青色を呈することに着目し、食用緑色3号を配合することで、アルカリ性錠剤上で青色に発色するインクを発明した。
さらに、アルカリ性錠剤に対して、所定の色が紫色のインク色素として、コチニール色素を適用した。コチニール色素は、一般的には、例えば食品に赤色(えんじ色)の着色料として使用される色素である。しかし、本願発明者は、コチニール色素がアルカリ条件下では紫色を呈することに着目し、コチニール色素を配合することで、アルカリ性錠剤上で紫色に発色するインクを発明した。
また、所定の色が橙色のインクの色素として、食用赤色102号を適用した。食用赤色102号は、一般的には、例えば食品に、赤色の着色料として使用される色素である。しかし、本願発明者は、食用赤色102号がアルカリ条件下では橙色を呈することに着目し、食用赤色102号を配合することで、アルカリ性錠剤上で橙色に発色するインクを発明した。
なお、「所定の色とは異なる色を呈する色素」とは、色素が粉体のときの色に限らず、当該色素が水に溶解した後、その後他の添加物を添加しインクとして完成した時点での色が所定の色とは異なることを含む。
[インク]
本実施形態にかかるインクについて説明する。本実施形態のインクは、インクジェット用のインクであり、例えば食用緑色3号とコチニール色素、食用赤色102号のいずれかの色素の他に、少なくとも水と、エタノールと、水溶性高沸点有機溶剤とを含む。その他、必要に応じて、乳化剤、着香料や防腐剤などを配合しても良い。これらのインクの組成物は、いずれも食用のものが好ましい。
(色素)
本実施形態のインクは、所定の色が青の場合には、色素として少なくとも食用緑色3号(ファストグリーンFCF)を含み、所定の色が紫の場合には、色素として少なくともコチニール色素を含み、所定の色が橙の場合には、色素として少なくとも食用赤色102号(ニューコクシン)を含む。
色素の含有量は、インクの組成物全体に対して0.1~10重量パーセントであることが好ましく、より好ましくは0.5~8重量パーセントである。色素の含有量が0.1重量パーセントより少ないと印刷色が薄く視認性が悪くなる。また、10重量パーセントより多いとインク粘度の上昇により、インクが正常に吐出されないため印刷不良となる。なお、上記含有量の色素は、印刷対象物であるアルカリ性錠剤のpH値によらず、常に所定の色が得られることが確認できた。
(エタノール)
エタノールは、天然醸造の発酵エチルアルコールやサトウキビアルコールなどが好ましい。エタノールの含有量は、インクの組成物全体に対して5~60重量パーセントが好ましく、より好ましくは10~40重量パーセントである。エタノールの含有量が5重量パーセントより少ないとインクの乾燥性が悪く、例えば、乾燥に印刷後3秒以上の時間がかかるために、印刷後の搬送などでインクが剥がれたり、他の錠剤や搬送装置などに付着して汚してしまう。また、インクの表面張力が高くなり印刷されたインクが錠剤の表面に弾かれやすくなる。つまり、錠剤の表面に濡れ広がらないためになかなか乾燥せず、錠剤表面との接触面積が少ないので付着力が小さくなって、例えば24時間後でも擦ると剥がれてしまう。また、60重量パーセントより多いとインクジェットノズルの開口内あるいは開口部周辺で、インクが乾燥して付着し、開口部を塞ぐことで、吐出不良や、吐出されたインクの飛翔方向のずれが発生し、印刷不良となる。
(水溶性高沸点有機溶剤)
水溶性高沸点有機溶剤は、インクジェットヘッドのノズルの乾燥を防ぐ目的で使用する。水溶性高沸点有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリンから1種以上を選ぶことができる。水溶性高沸点有機溶剤の含有量は、インク組成物全体に対して1~60重量パーセントが好ましく、より好ましくは2~55重量パーセントである。水溶性高沸点有機溶剤が1重量パーセントより少ないと、インクジェットノズルでのインクの乾燥による印刷不良となる。また、60重量パーセントより多いと、インク粘度の上昇により、インクが正常に吐出されないため印刷不良となる。
(乳化剤)
乳化剤は、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルより水溶性のものを、一種または二種以上を選択することができる。乳化剤は必ずしも配合しなくてよいが、配合する場合の乳化剤の含有量は、インクの組成物全体に対して0.01~5重量パーセントが好ましく、より好ましくは0.1~2重量パーセントである。含有量が、0.01重量パーセントより少ないと、インクの表面張力が大きくなり、ノズル開口部で適切なメニスカス状態とならないことが起きるために、ノズルからインクが吐出されなかったり、吐出されても所定の位置に着弾しなかったりすることで印刷不良が生じる。また5重量パーセントより多いと、インクの増粘や、時間の経過とともに析出物が生じることで、ノズルが詰まったりして、やはり印刷不良が生じる。
(インクの製造)
つぎに、表1に示す実施例及び比較例をもって、本実施形態を具体的に説明する。しかし、これらの実施例は一例であって、これらの実施例に限られるものではない。
実施例1~5及び比較例1~5は、表1に示す各組成物を、表1に示す配合割合で調製した。なお、表1に示す配合割合は、すべて重量パーセントによる表示である。実施例1~3は、所定の色が青(青みを含む色であり、たとえば濃青色、青緑色を含む)である場合であり、食用緑色3号を配合したインクである。比較例1~3は、それぞれ、青色の染料として広く使用される色素を染料として配合したインクである。実施例4は、所定の色が紫色である場合であり、コチニール色素を配合したインクである。比較例4は食用青色1号および食用赤色3号を配合したインクである。実施例5は、所定の色が橙色である場合であり、食用赤色102号を配合したインクである。比較例5は、食用赤色3号および食用黄色4号を配合したインクである。
調製の操作は次のとおりである。まず表1に示す色素を除く全てを、50℃に加温しながら攪拌して溶解させた。各成分が溶解した後、表1に示す色素を混合し、さらに50℃で1時間攪拌した。その後1時間静置し、室温になるまで冷却してから濾過することによりインクを調製した。
なお、混合する色素は、粉体のままでもよく、水等の液体に、溶解させた溶液や、分散させたペースト状としてもよい。最終的に、色素が均等に溶解あるいは混合すればよい。
Figure 2022140301000001
(インクの評価)
調製した、実施例1~5及び比較例1~5のインクについて、インクジェットヘッドを用いて、ノズルからの吐出性を評価した。さらに、印刷対象の錠剤に文字を印刷し、印字の耐光性、印字の経時安定性を評価した(各評価方法は後述する)。各評価においては、アルカリ性錠剤の一種である、酸化マグネシウムを主要成分とするOD錠を印刷対象とした。結果は表1に示すとおりである。
なお、比較例3については、濾過することができなかったため、各測定及び評価の対象からは除外した。
<ノズルからの吐出性評価>
ノズルからの吐出性は、インクジェットヘッドにインクを充填し、15分放置した後に、印刷テストを行い、印刷不良の有無を目視で確認した。
〇:各印刷ドットが所定の位置に形成できている。
×:印刷ドットの欠損がある、または(/及び)各印刷ドットが所定位置に着弾していない。
<印字の耐光性評価>
印字の耐光性は、錠剤に印刷後、無包装の状態で1000ルクスにて、50日間曝光させ、印字の褪色の有無を目視で確認した。
〇:印字に褪色はみられなかった。
×:印字が褪色した。
<印字の経時安定性評価>
印字の経時安定性は、印刷した錠剤を40℃、75%RHの環境下に、2週間保管し、印刷直後と比較して、文字の滲みの有無と、色の変化の有無を目視で確認した。
〇:滲みはなく、変色もなかった。
×:所望の色と異なる色に変色した。または(/及び)印字が滲み、読むことが困難になった。
(結果)
表1に示す実施例1~5の実験結果から分かる通り、色素として食用緑色3号、コチニール色素、食用赤色102号のいずれかを配合したインクは、ノズルの吐出性が良好であった。さらに、アルカリ性錠剤への印刷に使用した場合に、耐光性、経時安定性に優れたインクであった。以下、結果をより具体的に説明する。
<実施例1~3>
アルカリ性錠剤への印刷において、実施例1は青色、実施例2は青緑色、実施例3は濃青色に呈色するインクである。実施例1、実施例3は、食用緑色3号の量を変えたものであり、実施例2は、食用緑色3号に加えて、食用赤色102号、食用黄色4号を含むものである。実施例1~3の各インクを用いて、印刷を行ったところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。印刷された錠剤の印字は、耐光性評価において、印刷直後の色と変化がなかった。経時安定性評価においては、印字の滲みがなく良好に読むことができた。さらに、経時的な変色も無く、青みが維持された。
<比較例1>
比較例1は、アルカリ性錠剤への印刷において、印刷直後には青色を呈するインクである。色素としてはクチナシ青色素を含む。クチナシ青色素をはじめとする天然色素では、印字に十分な濃さを得るために、多量に配合する必要がある。比較例1のインクでは、印字の視認に十分な量のクチナシ青色素を配合した結果、インクの粘度が高くなり、ノズルからの吐出性が悪くなった。また、耐光性評価においては、印字に褪色が生じ、印字がほぼ消失した。経時安定性評価では、印字の滲みや、変色はみられなかった。
<比較例2>
比較例2は、アルカリ性錠剤への印刷において、印刷直後には青色を呈するインクである。色素としては食用青色1号を含む。比較例2のインクを用いて、錠剤に印刷したところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。耐光性評価では、褪色は生じなかった。しかし、経時安定性評価において、1~2日程度で、印字が薄紫色に変色した。さらに、印字の滲みも生じ、印字を読むことが困難な状態になった。
<比較例3>
比較例3は、色素としては食用青色2号を含む。食用青色2号は、青色の色素として一般に使用される染料のひとつである。しかし、比較例3において、食用青色2号の溶解性が悪く、インク化しても濾過することができなかった。
<実施例4>
アルカリ性錠剤への印刷において、実施例4は紫色に呈色するインクである。実施例4のインクを用いて、印刷を行ったところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。印刷された錠剤の印字は、耐光性評価において、印刷直後の色と変化がなかった。経時安定性評価においては、印字の滲みがなく良好に読むことができた。さらに、経時的な変色も無く、紫色が維持された。
<比較例4>
比較例4は、アルカリ性錠剤への印刷において、印刷直後には紫色を呈するインクである。色素としては食用青色1号と食用赤色3号を含む。色素としてこれら2つの色素を混合して配合したインクで錠剤に印刷したところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。耐光性評価では、褪色は生じなかった。しかし、経時安定性評価において、徐々に印字が2色に分離し始め、1~2日で印字が赤色となるものや斑状となるものがあった。
<実施例5>
アルカリ性錠剤への印刷において、実施例5は橙色に呈色するインクである。実施例5のインクを用いて、印刷を行ったところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。印刷された錠剤の印字は、耐光性評価において、印刷直後の色と変化がなかった。経時安定性評価においては、印字の滲みがなく良好に読むことができた。さらに、経時的な変色も無く、橙色が維持された。
<比較例5>
比較例5は、アルカリ性錠剤への印刷において、印刷直後には橙色を呈するインクである。色素としては、食用赤色3号と食用黄色4号を含む。色素としてこれら2つの色素を混合して配合したインクで錠剤に印刷したところ、錠剤の表面に、各印刷ドットが所定の位置に形成された。耐光性評価においては、印字に褪色が生じた。さらに、経時安定性評価において、徐々に印字が2色に分離し始め、1~2日で印字が黄色となるものや斑状となるものがあった。
(まとめ)
以上、述べた結果より、インクジェット方式で印刷を行う場合に、食用緑色3号、コチニール色素、食用赤色102号のいずれかを配合したインクによれば、ノズルからの吐出性が安定し、印刷不良の発生を抑制できる。また、アルカリ性錠剤に対して、食用緑色3号、コチニール色素、食用赤色102号のいずれかを配合したインクを用いて印刷することで、アルカリ性錠剤上で所定の色(食用緑色3号の場合には青色または青みを含む色、コチニール色素の場合には紫色、食用赤色102号の場合には橙色)に呈色させることができる。つまり、食用緑色3号、コチニール色素、食用赤色102号のいずれかを配合したインクによれば、アルカリ性錠剤に、所定の色の識別情報を印刷することができる。さらに、このインクは、耐光性及び経時安定性が高く、印刷された識別情報の変色を抑えることができる。また、印刷の滲みも抑えることができる。したがって、印刷後に、錠剤を保管した後でも識別情報を容易に認識することができ、調剤ミスや、誤飲を防止することができる。
[錠剤印刷装置]
錠剤への識別情報の印刷には、錠剤印刷装置を使用することができる。錠剤印刷装置は、搬送装置と、インクジェット方式の印刷ヘッドと、を有する。搬送装置は、例えば錠剤を吸引保持しながら搬送する吸引搬送装置である。印刷ヘッドは、搬送装置の搬送面に対向するように配置され、印刷ヘッドの下方を通過する錠剤に向けて、ノズルからインクを吐出し、錠剤に識別情報を印刷する。この錠剤印刷装置の印刷ヘッドに、上述した色素を配合したインクを供給し、搬送されるアルカリ性錠剤に対して印刷を行うことで、アルカリ性錠剤に対して、所定の色で識別情報を印刷することができる。
[その他の実施形態]
上述した実施形態においては、所定の色が青、紫、橙である例を示したが、これに限らず、他の色であっても良い。例えば、所定の色が紫色の場合には、コチニール色素の他にラック色素を用いることができる。所定の色が薄橙色の場合にはベニバナ黄色素を用いることができる。また、所定の色が赤褐色の場合には、ウコン色素を用いることができる。それぞれ、ラック色素は、例えば食品に赤色の着色料として使用される色素であり、ベニバナ黄色素およびウコン色素は黄色の着色料として使用される色素である。
上述した実施形態のインクはさらに、他の色素を併用することで、所定の色に調色することができる。その他の色素としては、従来公知の合成食用色素、天然食用色素から一種または二種以上を選ぶことができる。
合成食用色素として、例えば、タール系色素、天然色素誘導体、天然系合成色素、二酸化チタン等が挙げられる。タール系色素としては、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ等が挙げられる。なお、食用青色2号については、比較例3で説明したように溶解性が悪いが、微量であれば使用することができる。また、食用赤色3号は、比較例4で説明したように、食用青色1号と併用して、紫色のインクを調製すると、色の分離が見られるが、その他の色素との併用であれば、使用することができる。天然色素誘導体としては、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム等、天然系合成色素としては、β-カロテン、リボフラビン等が挙げられる。
天然食用色素としては、例えば、植物炭末色素、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素、その他の天然物を起源とする色素が挙げられる。アントシアニン系色素としては、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、赤米色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、スィムブルーベリー色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、プラム色素、ホワートルベリー色素、ボイセンベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、その他のアントシアニン系色素が挙げられる。カロチノイド系色素としては、アナトー色素、クチナシ黄色素、その他のカロチノイド系色素が挙げられる。キノン系色素としては、コチニール色素、シコン色素、ラック色素、その他のキノン系色素が挙げられる。フラボノイド系色素としてはベニバナ黄色素、コウリャン色素、タマネギ色素、その他のフラボノイド系色素が挙げられる。ベタイン系色素としては、ビートレッド色素があげられる。モナスカス色素としては、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色素が挙げられる。その他の天然物を起源とする色素としてはウコン色素、クサギ色素、クチナシ赤色素、スピルリナ青色素などが挙げられる。
インクには、必要に応じて、着香料、防腐剤(静菌剤)、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を配合してもよい。もちろん、印刷対象が薬剤や食品等の場合は、これらも可食のものを選択すればよい。また、インクの各組成物を混合する際に、加熱などの前処理や後処理を行なうこともできる。
インクの調製における攪拌には、マグネチックスターラー、プロペラ撹拌機など、一般的に使用される攪拌機を使用することができる。
また、インクには、植物炭末色素、二酸化チタン、アルミニウムレーキなど、いわゆる顔料も配合してもよい。顔料を配合したインクの調製には、顔料の分散処理を行なう必要がある。この分散処理は、一般に使用される分散機であれば特に限定されない。具体的には、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル等が挙げられる。
インクの濾過方法としては、特に限定されず、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
前述の錠剤としては、少なくとも印刷対象部位がアルカリ性であれば、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤としては、前述の裸錠(素錠)やフィルムコーティング錠(フィルムコート錠)の他にも、例えば、糖衣錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤に含めることができる。さらに、錠剤の形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤が薬剤用や飲食用である場合には、使用するインクの組成として可食なものが好適であるが、当然そうでない場合には、可食でない組成であってもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。


Claims (11)

  1. アルカリ性錠剤に所定の色の識別情報を印刷するためのインクジェット用のインクであって、
    水と、
    エタノールと、
    水溶性高沸点有機溶剤と、
    前記アルカリ性錠剤に印刷する前は前記所定の色と異なる色を呈し、前記アルカリ性錠剤に印刷された後に前記所定の色に変化する色素と、
    を含むことを特徴とするインク。
  2. 前記色素は、前記所定の色が青であるとき、食用緑色3号であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記色素は、前記所定の色が紫色であるとき、コチニール色素であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  4. 前記色素は、前記所定の色が橙色であるとき、食用赤色102号であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  5. 前記色素の含有量が0.1~10重量パーセントであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインク。
  6. 前記エタノールの含有量が、5~60重量パーセントであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインク。
  7. 前記水溶性高沸点有機溶剤が、プロピレングリコール、グリセリンのいずれか、または両方である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のインク。
  8. 前記水溶性高沸点有機溶剤の含有量が、1~60重量パーセントであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のインク。
  9. 前記アルカリ性錠剤は、酸化マグネシウムを主要成分とする錠剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のインク。
  10. ノズルからインクを吐出する印刷ヘッドに、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインクを供給し、
    前記印刷ヘッドを用いて、前記アルカリ性錠剤に対して前記インクで識別情報を印刷することを特徴とする印刷錠剤の製造方法。
  11. アルカリ性錠剤を搬送する搬送装置と、
    前記搬送装置によって搬送される前記アルカリ性錠剤に対して、ノズルからインクを吐出することで印刷を行う印刷ヘッドと、
    を有し、
    前記印刷ヘッドは、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のインクを吐出することで、識別情報を印刷することを特徴とする錠剤印刷装置。


JP2022016548A 2021-03-11 2022-02-04 インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置 Pending JP2022140301A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202210181471.1A CN115073971A (zh) 2021-03-11 2022-02-25 油墨、使用其的印刷片剂的制造方法及片剂印刷装置
TW111107698A TW202235545A (zh) 2021-03-11 2022-03-03 油墨、使用其的印刷錠劑的製造方法及錠劑印刷裝置
KR1020220028810A KR20220127756A (ko) 2021-03-11 2022-03-07 잉크, 이 잉크를 이용한 인쇄 정제의 제조 방법 및 정제 인쇄 장치

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021039471 2021-03-11
JP2021039471 2021-03-11
JP2021104862 2021-06-24
JP2021104862 2021-06-24

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022140301A true JP2022140301A (ja) 2022-09-26

Family

ID=83399945

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022016548A Pending JP2022140301A (ja) 2021-03-11 2022-02-04 インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022140301A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6747072B1 (en) White ink for marking candy substrates
CN102529353B (zh) 喷墨记录方法及记录物
CN110088212B (zh) 喷墨用水性油墨组合物、固体制剂的印刷图像褪色抑制方法和固体制剂
JP6264190B2 (ja) インクジェット印刷用インクおよび錠剤
JP7084145B2 (ja) インクジェット用水性インク組成物及び固体製剤
US20230203329A1 (en) Inkjet ink and tablet
JP7244491B2 (ja) インクジェットインク及び錠剤
US20100166934A1 (en) Edible inks
JP2010047625A (ja) 可食性インクジェットインク組成物
EP4209556A1 (en) Inkjet ink and tablet
TW201631066A (zh) 噴墨用水性顏料油墨組合物、圖像形成方法、圖像形成物、油墨組及噴墨印表機
US20230024428A1 (en) Edible aqueous inkjet ink and tablet
JP7243887B2 (ja) 青色インクジェットインク及び錠剤
US20230203328A1 (en) Inkjet ink and tablet
JP2015000968A (ja) インクジェットインキ、その製造方法及びその使用方法
JP2010047626A (ja) 可食性インクジェットインク組成物
JP2022140301A (ja) インク、これを用いた印刷錠剤の製造方法及び錠剤印刷装置
JP7246207B2 (ja) インクジェットインク
JP2023061947A (ja) 錠剤用インクジェットインク、これを用いた印刷方法及び錠剤印刷装置。
JP6916094B2 (ja) インクジェットインク
TW202235545A (zh) 油墨、使用其的印刷錠劑的製造方法及錠劑印刷裝置
TW202409217A (zh) 鹼性片劑
JP4844048B2 (ja) インキ
JP2001031897A (ja) 卵殻用インクジェットインキ
JP6574065B2 (ja) インクジェット用水性インク組成物及び固体製剤

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230405

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231219