本発明に係る空間浄化装置は、浄化成分を含む水を供給する浄化成分供給部と、浄化成分供給部から供給される浄化成分を含む水を用いて、内部に流通する空気に浄化成分を含ませて放出する加湿浄化部と、浄化成分を含む水のpH値を調整させるpH調整部と、pH調整部を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、加湿浄化部に要求される加湿要求量に基づいて、加湿浄化部が用いる浄化成分を含む水のpH値を調整する制御を行う。
こうした構成によれば、加湿要求量が低く、浄化成分を含む水が気化しにくい状況においても、浄化成分を含む水のpH値を調節することで、浄化成分の気化分圧を上昇させることができる。このため、空間浄化装置では、加湿浄化部の内部に流通する空気に浄化成分を安定して付与することができる。つまり、微細化した水に浄化成分を含ませて放出する微細化動作を行う場合に、浄化成分を安定して付与可能な空間浄化装置とすることができる。
また、本発明に係る空間浄化装置では、浄化成分を含む水は、次亜塩素酸水であることが好ましい。このようにすることで、浄化成分を含む水に含まれる浄化成分は、浄化成分を含む水の内部に安定して維持されるものの、次亜塩素酸水のpH値の調整によって容易に浄化成分の気化分圧を上昇させることができる。このため、空間浄化装置では、次亜塩素酸水のpH値の調整によって加湿浄化部から放出される空気に設定濃度の次亜塩素酸を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化装置では、pH調整部は、浄化成分を含む水に対して、pH調整剤の供給量によってpH値の調整を行うことが好ましい。このようにすることで、空間浄化装置では、pH調整剤の供給量によって定量的に浄化成分を含む水のpH値を調整することができるので、浄化成分の気化分圧を精度よく上昇させることができる。このため、空間浄化装置では、加湿浄化部から放出される空気に、浄化成分を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化装置では、加湿浄化部は、浄化成分を含む水を遠心破砕することによって、内部に導入される空気に対して、浄化成分を付加することが好ましい。このようにすることで、空間浄化装置では、遠心破砕時の回転数を変化させることで、破砕する水の粒子径あるいは量をコントロールすることができるので、加湿浄化部から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化装置では、制御部は、加湿要求量が第一基準値以上である場合、加湿浄化部が用いる浄化成分を含む水のpH値を第一pH値となるようにpH調整部を制御し、加湿要求量が第一基準値未満である場合、加湿浄化部が用いる浄化成分を含む水のpH値を第一pH値より小さい第二pH値となるようにpH調整部を制御することが好ましい。このようにすることで、空間浄化装置では、加湿要求量に応じたpH値(第一pH値あるいは第二pH値)に調整されるので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化部から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化装置では、加湿浄化部に導入される空気の温湿度を検出する温湿度検出部をさらに備える。そして、制御部は、温湿度検出部で検出された温湿度に関する情報に基づいて加湿要求量を特定し、浄化成分を含む水のpH値を調整することが好ましい。このようにすることで、空間浄化装置では、導入される空気の温湿度に基づいた加湿要求量によってpH値が調整されるので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化部から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化システムは、上述した空間浄化装置と、加湿浄化部に導入される空気を温調する空調機と、を備える。制御部は、空調機が暖房運転である場合、加湿浄化部が用いる浄化成分を含む水のpH値を第一pH値となるようにpH調整部を制御し、空調機が冷房運転であるである場合、加湿浄化部が用いる浄化成分を含む水のpH値を第一pH値より小さい第二pH値となるようにpH調整部を制御することが好ましい。このようにすることで、空間浄化システムでは、空調機の運転状態(冷房運転又は暖房運転)に応じてpH値を調整するので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化部から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化システムでは、上述した空間浄化装置を備え、浄化成分供給部と加湿浄化部とは、互いに配管によって連通接続されており、加湿浄化部は、配管から供給される次亜塩素酸水を上方から下方に流して気化させるフィルタである。配管は、水供給部から供給される水と、次亜塩素酸水供給部から供給される次亜塩素酸水と、pH調整部から供給されるpH調整剤水溶液とを、配管内において混合希釈してフィルタに供給するように構成されている。このようにすることで、空間浄化システムでは、配管内において混合希釈される次亜塩素酸水は、加湿浄化部のフィルタに到達するまで外部の空気と触れることが抑制される。このため、次亜塩素酸の空気接触による減衰を抑制することができ、加湿浄化部から放出される空気に設定濃度の次亜塩素酸を安定して付与することができる。
また、本発明に係る空間浄化システムでは、配管は、次亜塩素酸水供給部から供給される次亜塩素酸水に、pH調整部から供給されるpH調整剤水溶液を混合した後に、水供給部から供給される水によって希釈するように構成されている。このようにすることで、次亜塩素酸水供給部から供給される次亜塩素酸水とpH調整剤供給部から供給されるpH調整剤水溶液とが混合された混合液を希釈する際に、水供給部から供給される水によってかき混ぜられる。つまり、配管内で希釈する際には、pH調整剤水溶液と次亜塩素酸水という形で分離した状態にある混合液は、水供給部から供給される水の圧力(水圧)によって攪拌される。これにより、配管内において混合希釈される次亜塩素酸水は、次亜塩素酸水中においてpH調整剤が一様にいきわたり、加湿浄化部のフィルタに供給する際の次亜塩素酸水のpH値を安定化させることができる。このため、加湿浄化部から放出される空気に設定濃度の次亜塩素酸を安定して付与することができる。
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1の模式図である。
本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1は、塩化物水溶液を電気分解することで次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置2と、次亜塩素酸水生成装置2からの次亜塩素酸水を遠心破砕方式により微細化して、装置内を流通する空気に含ませて放出する加湿浄化装置3とを備える。そして、空間浄化装置1では、加湿浄化装置3から放出される空気(水及び次亜塩素酸を含む空気)を対象空間S(例えば、屋内空間)に供給することで、対象空間Sの殺菌及び消臭を行う。この際、空間浄化装置1では、加湿浄化装置3の内部に流通する空気の温湿度に基づいて加湿要求量を特定し、特定した加湿要求量に基づいて、空間浄化装置1の内部に貯水されている浄化成分を含む水のpH値を、pH調整剤を用いて調整する。これにより、空間浄化装置1は、対象空間Sに対して浄化成分を含んだ空気を安定して付与している。詳細は後述する。
空間浄化装置1は、図1に示すように、主として、次亜塩素酸水生成装置2と、加湿浄化装置3とを有して構成される。
<次亜塩素酸水生成装置>
まず、次亜塩素酸水生成装置2の構成について説明する。なお、次亜塩素酸水生成装置2は、請求項の「浄化成分供給部」に相当する。
次亜塩素酸水生成装置2は、電解質となる塩化物水溶液を電気分解することで次亜塩素酸水を生成するための装置である。具体的には、次亜塩素酸水生成装置2は、図1に示すように、電解槽12aと、希釈槽22aと、pH調整剤槽23aと、次亜塩素酸水制御部4とを備える。また、次亜塩素酸水生成装置2は、第一送水管12gと、第一止水弁12hと、第一ポンプ12iと、第二送水管22gと、第二止水弁22fと、第二ポンプ22hと、第三送水管23bと、第三止水弁23cと、第三ポンプ23dとを備える。
電解槽12aは、電解質となる塩化物水溶液の電気分解によって次亜塩素酸水を生成するための槽である。具体的には、電解槽12aは、図1に示すように、電極12bと、第一水道管12cと、塩化物イオンタンク12dと、電解槽水位センサ12eと、第一水道弁12fとを有して構成される。そして、電解槽12aは、第一水道管12cから導入される水道水と、塩化物イオンタンク12dから供給される塩化物イオンを含む物質(塩化物薬剤)とを混合して塩化物イオンを含む水溶液(塩化物水溶液)を調製し、電極12bの作用により塩化物水溶液を電気分解し、次亜塩素酸水を生成する。
以下、電解槽12aの各構成部材について説明する。
電極12bは、食塩水など塩化物イオンを含む水溶液を電気分解するための部材である。電極12bは、陽極と陰極との一対の電極からなり、導電性基体の表面に触媒被膜を有して構成される。導電性基体には、例えば、チタン、タンタル、ニッケル、ステンレス等が使用できるが、次亜塩素酸に対する耐食性が大きいチタンが好ましい。また、触媒被膜に含まれる触媒には、例えば、イリジウム、白金族金属等が使用される。これにより、電極12bでの電気分解反応を活性化させることができる。電極12bは、電解槽12aのサイズあるいは生成したい次亜塩素酸水の量に応じて複数備えていてもよい。
第一水道管12cは、装置外から電解槽12aへ水道水を導入するための配管である。第一水道管12cは、一端が電解槽12aに接続され、他端が給水設備と接続される。
塩化物イオンタンク12dは、電解槽12aへ供給する塩化物イオンを含む物質(塩化物薬剤)を保持するための容器である。塩化物イオンを含む物質は、次亜塩素酸水を生成可能な電解質であり、少量でも塩化物イオンを含んで入れば特に制限はなく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の粉末あるいはタブレット状の固体が挙げられる。また、例えば、塩化ナトリウム等を溶解させた水溶液あるいは塩酸等の液体であってもよい。なお、液体で保持する場合は、電解槽12aで電気分解するときの塩化物イオン濃度よりも、より高濃度の水溶液として保持しておくことで、塩化物イオンタンク12dを小型化することができる。また、ユーザが塩化物イオンを含む物質を塩化物イオンタンク12dに補充する頻度をさげることができる。
また、塩化物イオンタンク12dは、塩化物イオンを含む物質を電解槽12aへ供給する機構を備えていてもよい。例えば、塩化ナトリウムのタブレットを供給する機構としては、塩化物イオンタンク12dの下方に、一部に穴の開いた回転体と、回転体の下に、一部に穴が開いた板とを備えるように構成し、回転体の穴に落ちたタブレットが、回転体が回転することで板に開いた穴から落下する、といった機構が挙げられる。また、例えば、塩酸を供給する機構としては、電磁弁を開閉することで通水する機構あるいはポンプなどが挙げられる。
電解槽水位センサ12eは、電解槽12a内の所定の位置に設置され、電解槽12a内の水道水あるいは次亜塩素酸水の水位を検知するための部材である。電解槽水位センサ12eは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、電解槽12aに規定量の水道水が導入されたかどうかを検知して、検知した情報を次亜塩素酸水制御部4に出力する。なお、電解槽水位センサ12eは、電解槽12a内の水量を検知する手段として用いており、電解槽12a内の水量を検知する手段を備えれば、水位を検知するものでなくてもよい。
第一水道弁12fは、第一水道管12cに備えられている。第一水道弁12fは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により開閉される。これにより、電解槽12a内に水道水を導入したり停止したりすることができる。第一水道弁12fは、電磁弁を用いることができる。
以上の構成部材によって電解槽12aは構成される。
そして、電解槽12aを構成する筐体の底面には、槽内の次亜塩素酸水を希釈槽22aへ送水するための第一送水管12gが設けられている。ここで、電解槽12aの底面は、平らな面(床面に対して略平行な面)でもよいが、電解槽12a内の次亜塩素酸水を効率よく、且つ、無駄なく希釈槽22aへ送水するために、第一送水管12gに向かって傾斜していることが好ましい。また、電解槽12aには、第一止水弁12hの故障などの要因により、希釈槽22aへ次亜塩素酸水を送水することができない場合あるいは電解槽12a内の水洗浄を行う場合を想定して、排水口及び排水ポンプなどの配水手段を備えておいてもよい。さらに、電解槽12aには、槽内の塩化物イオン濃度あるいは次亜塩素酸濃度の均一化のために、循環ポンプあるいは撹拌翼などの撹拌手段を備えておいてもよい。
第一送水管12gは、電解槽12aと希釈槽22aとを連通接続し、電解槽12aで生成した次亜塩素酸水を希釈槽22aへと送水するための配管である。第一送水管12gは、第一止水弁12hを備えており、電解槽12aから希釈槽22aへ次亜塩素酸水を送水するのを遮断したり、希釈槽22aから電解槽12aへ次亜塩素酸水が逆流するのを防いだり、希釈槽22aで発生したガスが電解槽12aへ侵入するのを防ぐことができる。
第一止水弁12hは、第一送水管12gに備えられている。第一止水弁12hは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により開閉される。第一止水弁12hは、電磁弁を用いることができる。
第一ポンプ12iは、第一送水管12gに備えられている。第一ポンプ12iは、電解槽12aから希釈槽22aに次亜塩素酸水を送水する際に、第一止水弁12hが「開」の状態で、第一送水管12gに次亜塩素酸水を流通させる機器である。第一ポンプ12iは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により動作する。第一止水弁12hと第一ポンプ12iとが連動して動作することにより、希釈槽22a内に電解槽12aからの次亜塩素酸水を導入したり停止したりすることができる。
次に、希釈槽22aについて説明する。
希釈槽22aは、電解槽12aの下方(鉛直方向下方)に設置され、電解槽12aで生成した次亜塩素酸水を水道水で希釈しつつ水素イオン濃度指数(pH)を調整して、装置外の加湿浄化装置3へ送水するための槽である。具体的には、希釈槽22aは、図1に示すように、第二水道管22bと、希釈槽水位センサ22cと、第二水道弁22eとを有して構成される。そして、希釈槽22aは、電解槽12aから導入された一定量の次亜塩素酸水と、第二水道管22bから導入された水道水とを混合して次亜塩素酸水を希釈するとともに、pH調整剤槽23aから供給されるpH調整剤を溶解混合して次亜塩素酸水のpH調整を行い、第二ポンプ22gによって加湿浄化装置3に送水する。pH調整剤槽23aについては後述する。そして、希釈槽22aは、加湿浄化装置3への送水後に、新たに次亜塩素酸水を希釈生成して待機する。なお、次亜塩素酸水は、請求項の「浄化成分を含む水」に相当する。
以下、希釈槽22aの各構成部材について説明する。
第二水道管22bは、装置外から希釈槽22aへ水道水を導入するための配管である。第二水道管22bは、一端が希釈槽22aに接続され、他端が第一水道管12cを介して給水設備と接続される。第二水道管22bは、第一水道管12cから分岐された配管とも言える。
希釈槽水位センサ22cは、希釈槽22a内の所定の位置に設置され、希釈槽22a内の水道水あるいは次亜塩素酸水の水位を検知するための部材である。希釈槽水位センサ22cは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、希釈槽22aに規定量の水道水が導入されたかどうかを検知して、検知した情報を次亜塩素酸水制御部4に出力する。また、希釈槽水位センサ22cは、希釈槽22aの次亜塩素酸水が装置外へ送水されたかどうかを検知して、検知した情報を次亜塩素酸水制御部4に出力する。なお、希釈槽水位センサ22cは、希釈槽22a内の水量を検知する手段として用いており、希釈槽22a内の水量を検知する手段を備えれば、水位を検知するものでなくてもよい。
第二水道弁22eは、第二水道管22bに備えられている。第二水道弁22eは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により開閉される。これにより、希釈槽22a内に水道水を導入したり停止したりすることができる。第二水道弁22eは、電磁弁を用いることができる。なお、第二ポンプ22gが止水性を有するものであるならば、第二止水弁22fは、必ずしも必要ではない。
以上の構成部材によって希釈槽22aは構成される。
そして、希釈槽22aを構成する筐体の底面には、槽内の次亜塩素酸水を加湿浄化装置3へ送水するための第二送水管22gが設けられている。ここで、希釈槽22aの底面は、平らな面(床面に対して略平行な面)でもよいが、希釈槽22a内の次亜塩素酸水を効率よく、且つ、無駄なく加湿浄化装置3へ送水するために、第二送水管22gに向かって傾斜していることが好ましい。また、希釈槽22aには、第二止水弁22fの故障などの要因により、加湿浄化装置3へ次亜塩素酸水を送水することができない場合あるいは希釈槽22a内の水洗浄を行う場合を想定して、排水口及び排水ポンプなどの配水手段を備えておいてもよい。さらに、希釈槽22a内の次亜塩素酸水濃度あるいはpH調整剤濃度の均一化のために、循環ポンプあるいは撹拌翼などの撹拌手段を備えておいてもよい。
第二送水管22gは、希釈槽22aと加湿浄化装置3とを連通接続し、希釈槽22aで希釈してpH調整した次亜塩素酸水を加湿浄化装置3へと送水するための配管である。第二送水管22gは、第二止水弁22fを備えており、電解槽12aから希釈槽22aへ次亜塩素酸水を送水するのを遮断することができる。
第二止水弁22fは、第二送水管22gに備えられている。第二止水弁22fは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により開閉される。第二止水弁22fは、電磁弁を用いることができる。
第二ポンプ22hは、第二送水管22gに備えられている。第二ポンプ22hは、電解槽12aから希釈槽22aに次亜塩素酸水を送水する際に、第二止水弁22fが「開」の状態で、第二送水管22gに次亜塩素酸水を流通させる機器である。第二ポンプ22hは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により動作する。第二送水管22gと第二ポンプ22hとが連動して動作することにより、加湿浄化装置3内に希釈槽22aからの次亜塩素酸水を導入したり停止したりすることができる。
次に、pH調整剤槽23aについて説明する。
pH調整剤槽23aは、希釈槽22aの上方(鉛直方向上方)に設置され、希釈槽22aで希釈した次亜塩素酸水の水素イオン濃度指数(pH)を調整するためのpH調整剤を貯留しておくための容器である。ここで、pH調整剤は、塩酸あるいはリン酸塩水等の浄化成分を含む水のpH値を調整することが可能な液体である。浄化成分を含む水として次亜塩素酸水を用いる場合、pH調整剤を投入する際の投入部付近の次亜塩素酸水が急激なpH値の低下すること(例えばpH値3.0以下)を避けるために、リン酸及びリン酸塩を溶解させた水(水溶液)を用いることが好ましい。なお、pH調整剤槽23aは、請求項の「pH調整部」に相当するが、第三止水弁23c及び第三ポンプ23dを含めたpH調整剤槽23aを請求項の「pH調整部」と見なしてもよい。
そして、pH調整剤槽23aを構成する筐体には、槽内のpH調整剤を希釈槽22aへ供給するための第三送水管23bが設けられている。
第三送水管23bは、pH調整剤槽23aと希釈槽22aとを連通接続し、pH調整剤を希釈槽22aへと供給するための配管である。第三送水管23bは、第三止水弁23cを備えており、pH調整剤槽23aから希釈槽22aへpH調整剤を供給するのを遮断することができる。
第三止水弁23cは、第三送水管23bに備えられている。第三止水弁23cは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により開閉される。第三止水弁23cは、電磁弁を用いることができる。
第三ポンプ23dは、第三止水弁23cに備えられている。第三ポンプ23dは、pH調整剤槽23aから希釈槽22aにpH調整剤を供給する際に、第三止水弁23cが「開」の状態で、第三送水管23bにpH調整剤を流通させる機器である。第三ポンプ23dは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部4と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部4からの信号により動作する。第三止水弁23cと第三ポンプ23dとが連動して動作することにより、希釈槽22a内にpH調整剤槽23aからのpH調整剤を導入したり停止したりすることができる。
以上の構成部材によって次亜塩素酸水生成装置2は構成される。
<加湿浄化装置>
次に、加湿浄化装置3の構成について説明する。
加湿浄化装置3は、遠心破砕によって次亜塩素酸水を微細化して、装置内を流通する空気に含ませて放出し、対象空間Sを浄化するための装置である。具体的には、加湿浄化装置3は、図1に示すように、加湿器タンク3aと、加湿器タンク水位センサ3bと、遠心破砕ユニット3cと、空気導入口3dと、空気送出口3eと、ブロア3fと、次亜塩素酸水濃度センサ3gと、排水管3hと、排水弁3iとを有して構成される。
以下、加湿浄化装置3の各構成部材について説明する。なお、加湿浄化装置3は、請求項の「加湿浄化部」に相当するが、遠心破砕ユニット3cを請求項の「加湿浄化部」と見なしてもよい。
加湿器タンク3aは、次亜塩素酸水生成装置2(希釈槽22a)から供給された次亜塩素酸水を溜めておくための貯水容器である。
加湿器タンク水位センサ3bは、加湿器タンク3a内の所定の位置に設置され、次亜塩素酸水生成装置2から供給された次亜塩素酸水の水位を検知するための部材である。加湿器タンク水位センサ3bは、無線または有線により加湿制御部5と通信可能に接続され、加湿器タンク3aの水位を検知して、検知した情報を加湿制御部5に出力する。なお、加湿器タンク水位センサ3bは、加湿器タンク3a内の水量を検知する手段として用いており、加湿器タンク3a内の水量を検知する手段を備えれば、水位を検知するものでなくてもよい。
遠心破砕ユニット3cは、装置内に導入した空気に水分を含ませるための部材である。遠心破砕ユニット3cは、高速回転することで加湿器タンク3a内の水(次亜塩素酸水)を遠心力で吸い上げて、周囲(遠心方向)に水を遠心盤から放出して破砕壁に衝突させ、水粒子を微細化させる。この際、遠心破砕ユニット3cを通過する空気には、微細化された水とともに次亜塩素酸が付加される。また、遠心破砕ユニット3cは、無線または有線により加湿制御部5と通信可能に接続され、加湿制御部5からの信号により動作する。
空気導入口3dは、対象空間S(例えば、室内空間)の空気を装置内へ導入するための開口である。空気導入口3dは、ダクト(図示せず)を介して対象空間Sに設けられた吸込口(図示せず)と連通接続されている。つまり、空気導入口3dには、ブロア3fが動作することで、対象空間Sの空気が導入される。
空気送出口3eは、遠心破砕ユニット3cの作用により加湿された空気を装置外の対象空間Sへ排出するための開口である。空気送出口3eは、ダクト9を介して対象空間Sに設けられた吹出口9aと連通接続されている。つまり、空気送出口3eからは、ブロア3fが動作することで、加湿された空気(次亜塩素酸が付与された空気)が導出される。
ブロア3fは、空気導入口3dから装置内に空気を導入し、遠心破砕ユニット3cの作用により加湿された空気を空気送出口3eから装置外に排出する流れを生じさせる部材である。
次亜塩素酸水濃度センサ3gは、加湿器タンク3a内の所定の位置に設置され、加湿器タンク3aに貯水された次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸の濃度(含有量)を検出する部材である。次亜塩素酸水濃度センサ3gは、無線または有線により加湿制御部5と通信可能に接続され、加湿器タンク3aに貯水された次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸の濃度(含有量)を検知して、検知した情報を加湿制御部5に出力する。
排水管3hは、加湿器タンク3aの底面に設けられ、加湿器タンク3a内の次亜塩素酸水を装置外へ排水するための配管である。排水管3hは、排水弁3iを備えており、加湿浄化装置3から装置外へ次亜塩素酸水を排水するのを遮断することができる。
排水弁3iは、排水管3hに備えられている。排水弁3iは、無線または有線により加湿制御部5と通信可能に接続され、加湿制御部5からの信号により開閉される。排水弁3iは、電磁弁を用いることができる。
以上のような構成部材によって加湿浄化装置3は構成される。
次に、図2及び図3を参照して、空間浄化装置1における処理動作を行う制御部(次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4、加湿浄化装置3の加湿制御部5)について説明する。図2は、空間浄化装置1を構成する次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4の構成を示すブロック図である。図3は、空間浄化装置1を構成する加湿浄化装置3の加湿制御部5の構成を示すブロック図である。
ここで、次亜塩素酸水制御部4及び加湿制御部5は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。なお、次亜塩素酸水制御部4及び/又は加湿制御部5は、請求項の「制御部」に相当すると言える。
<次亜塩素酸水生成装置の次亜塩素酸水制御部>
まず、次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4について説明する。
次亜塩素酸水制御部4は、次亜塩素酸水生成装置2における処理動作を制御する。ここで、処理動作には、電解槽12aにおける電気分解処理に関する動作、希釈槽22aにおける希釈処理及びpH調整処理に関する動作、及び加湿浄化装置3への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作が含まれる。
具体的には、次亜塩素酸水制御部4は、図2に示すように、入力部4aと、記憶部4bと、計時部4cと、処理部4dと、出力部4eと、pH調整量特定部4fと、pH調整記憶部4gとを備える。
<電解槽における電気分解処理に関する動作>
次亜塩素酸水制御部4は、電解槽12aにおける電気分解処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
入力部4aは、電解槽12aの電気分解処理のトリガーとして、計時部4cからの時間に関する情報を受け付け、処理部4dへ出力する。
処理部4dは、計時部4cからの時間に関する情報と、記憶部4bからの設定情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部4eに出力する。ここで、設定情報には、次亜塩素酸水生成の開始時刻または終了時刻に関する情報、電解槽12aに導入する水道水の供給量に関する情報、塩化物イオンタンク12dにおける塩化物イオンを含む物質の投入量に関する情報、電極12bにおける電気分解条件(時間、電流値、電圧など)に関する情報、第一水道弁12fの開閉タイミングに関する情報、第一水道弁12fと第一止水弁12hの開閉タイミングに関する情報、及び第一ポンプ12iのオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
ここで、電極12bにおける電気分解条件は、電解槽12a内の水道水の水量、塩化物イオン濃度、電気分解時間、電極12bの劣化度合いから決定でき、アルゴリズムを作成して設定され、記憶部4bに記憶される。
そして、出力部4eは、受け付けた制御情報に基づいて、各機器(電極12b、塩化物イオンタンク12d、第一水道弁12f、第一止水弁12h)に信号(制御信号)を出力する。
より詳細には、まず、第一止水弁12hは、出力部4eからの信号に基づいて閉止した状態を維持し、第一ポンプ12iは、出力部4eからの信号に基づいて停止した状態を維持する。
そして、第一水道弁12fは、出力部4eからの信号に基づいて開放される。これにより、電解槽12aには、第一水道管12cからの水道水の供給が開始される。その後、第一水道弁12fは、電解槽水位センサ12eからの水位情報(満水)を受けた出力部4eからの信号に基づいて閉止される。これにより、電解槽12aは、水道水が設定された供給量にて給水された状態となる。
次に、塩化物イオンタンク12dは、出力部4eからの信号に基づいて動作を開始し、所定量の塩化物イオンを含む物質が電解槽12aへ投入して停止する。これにより、水道水に塩化物イオンを含む物質が溶解し、電解槽12aは、塩化物イオンを含む水溶液(塩化物水溶液)が生成された状態となる。
そして、電極12bは、出力部4eからの信号に基づいて、塩化物水溶液の電解を開始し、設定された条件の次亜塩素酸水を生成して停止する。電極12bにより生成される次亜塩素酸水は、例えば、次亜塩素酸濃度が100ppm~150ppm(例えば、120ppm)であり、pH値が7~8.5(例えば、8.0)の状態となる。
以上のようにして、次亜塩素酸水制御部4は、電解槽12aにおいて電気分解処理を実行させる。
<希釈槽における希釈処理>
次亜塩素酸水制御部4は、希釈槽22aにおける希釈処理及びpH調整処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
入力部4aは、希釈槽22aの希釈処理のトリガーとして、希釈槽水位センサ22cからの水位情報及び後述する加湿制御部5からの加湿要求量に関する情報を受け付け、処理部4dへ出力する。
処理部4dは、加湿制御部5からの加湿要求量に関する情報をpH調整量特定部4fへ出力する。
pH調整量特定部4fは、pH調整剤の供給量(投入量)に関する情報を特定する。具体的には、pH調整量特定部4fは、処理部4dから受け付けた加湿制御部5からの加湿要求量に関する情報及びpH調整記憶部4gに記憶された設定情報に基づいてpH調整剤の供給量(pH調整量)に関する情報を特定し、処理部4dに出力する。ここで、設定情報には、加湿要求量に対応するpH調整剤の供給量に関する情報が含まれる。
より詳細には、pH調整量特定部4fは、加湿制御部5からの加湿要求量が第一基準値以上である場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値を第一pH値(例えば8.0)となるようpH調整量に関する情報を特定する。また、pH調整量特定部4fは、加湿要求量が第一基準値未満である場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値を第一pH値より小さい第二pH値(例えば6.5)となるようにpH調整量に関する情報を特定する。ここで、第一基準値は、例えば、日本の冬場(冬季など)において空気の湿度が低く乾燥している状況と、夏場(日本の夏季など)において空気の湿度が高く湿っている状況とを区分するために設定される値である。そして、pH調整量特定部4fは、特定したpH調整量に関する情報を処理部4dに出力する。
処理部4dは、計時部4cから時間に関する情報と、記憶部4bから設定情報と、pH調整量特定部4fからのpH調整量に関する情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部4eに出力する。ここで、設定情報には、電解槽12aからの次亜塩素酸水の供給量に関する情報、pH調整量に関する情報、希釈槽22aに導入する水道水の供給量に関する情報、各弁(第一止水弁12h、第二水道弁22e、第二止水弁22f、第三止水弁23c)の開閉タイミングに関する情報、及び各ポンプ(第一ポンプ12i、第二ポンプ22h、第三ポンプ23d)のオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
そして、出力部4eは、受け付けた制御情報に基づいて、各機器(第一止水弁12h、第一ポンプ12i、第二水道弁22e、第二止水弁22f、第二ポンプ22h、第三止水弁23c、第三ポンプ23d)に信号(制御信号)を出力する。
より詳細には、まず、第一止水弁12h、第二止水弁22f、及び第三止水弁23cは、出力部4eからの信号に基づいて閉止した状態を維持し、第一ポンプ12i、第二ポンプ22h、及び第三ポンプ23dは、出力部4eからの信号に基づいて停止した状態を維持する。
そして、第二水道弁22eは、出力部4eからの信号に基づいて開放される。これにより、希釈槽22aには、第二水道管22bからの水道水の供給が開始される。その後、第二水道弁22eは、希釈槽水位センサ22cからの水位情報(規定量となる水位)を受けた出力部4eからの信号に基づいて閉止される。これにより、希釈槽22aは、水道水が設定された供給量にて給水された状態となる。
そして、第一止水弁12hは、出力部4eからの信号に基づいて開放される。そして、第一ポンプ12iは、出力部4eからの信号に基づいて、第一止水弁12hの動作に合わせて作動する。これにより、希釈槽22aでは、電解槽12aからの次亜塩素酸水の供給が開始される。その後、第一水道弁12fは、計時部4cからの時間に関する情報(規定量を供給する所要時間)を受けた出力部4eからの信号に基づいて閉止される。第一ポンプ12iもまた停止する。これにより、希釈槽22aでは、槽内の水道水に電解槽12aからの次亜塩素酸水が設定された供給量にて供給され、次亜塩素酸水は希釈される。
続いて、pH調整剤槽23a(第三止水弁23c、第三ポンプ23d)は、出力部4eからの信号に基づいて動作を開始し、所定量のpH調整剤を希釈槽22aに供給して停止する。
具体的には、第三止水弁23cは、出力部4eからの信号に基づいて開放される。そして、第三ポンプ23dは、出力部4eからの信号に基づいて、第三止水弁23cの動作に合わせて作動する。これにより、希釈槽22aでは、pH調整剤槽23aからのpH調整剤の供給が開始される。
その後、第三止水弁23cは、計時部4cからの時間に関する情報(規定量を供給する所要時間)を受けた出力部4eからの信号に基づいて閉止される。そして、第三止水弁23cもまた停止する。これにより、希釈槽22aでは、希釈された次亜塩素酸水にpH調整剤が供給され、pH値が調整された次亜塩素酸水が生成される。つまり、希釈槽22aでは、電解槽12aからの次亜塩素酸水と、第二水道管22bからの水道水と、pH調整剤槽23aからのpH調整剤とが混合され、加湿要求量にしたがって設定された条件(濃度、pH値)の次亜塩素酸水が生成される。混合希釈された次亜塩素酸水は、例えば、日本の夏場においては、次亜塩素酸水にpH調整剤を規定量供給して、次亜塩素酸濃度を30ppm、pH値(第二pH値)を6.5の状態とし、日本の冬場においては、次亜塩素酸水にpH調整剤を供給せずに、次亜塩素酸濃度を30ppm、pH値(第一pH値)を8.0の状態としている。なお、第二pH値は、6.5よりも小さいpH値であってもよい。
以上のようにして、次亜塩素酸水制御部4は、希釈槽22aにおいて希釈処理及びpH調整処理を実行させる。
<加湿浄化装置への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作>
次亜塩素酸水制御部4は、加湿浄化装置3への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
入力部4aは、加湿浄化装置3への次亜塩素酸水の供給処理のトリガーとして、加湿浄化装置3の加湿制御部5からの信号(後述する給水要求信号)を受け付け、処理部4dへ出力する。
処理部4dは、計時部4cから時間に関する情報と、記憶部4bから設定情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部4eに出力する。ここで、設定情報には、希釈槽22aからの次亜塩素酸水の供給量に関する情報、第二止水弁22fの開閉タイミングに関する情報、及び第二ポンプ22hのオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
そして、出力部4eは、受け付けた制御情報に基づいて、各機器(第二止水弁22f、第二ポンプ22h)に信号(制御信号)を出力する。
次に、第二止水弁22fは、出力部4eからの信号に基づいて開放される。そして、第二ポンプ22hは、出力部4eからの信号に基づいて、第二止水弁22fの動作に合わせて作動する。これにより、希釈槽22aでは、加湿浄化装置3(加湿器タンク3a)への次亜塩素酸水の供給が開始される。
その後、第二止水弁22fは、計時部4cからの時間に関する情報(規定量を供給する所要時間)を受けた出力部4eからの信号に基づいて閉止される。そして、第二ポンプ22hもまた停止する。これにより、希釈槽22aは、加湿浄化装置3(加湿器タンク3a)に対して次亜塩素酸水が設定された供給量にて供給する。
以上のようにして、次亜塩素酸水制御部4は、加湿浄化装置3への次亜塩素酸水の供給処理を実行させる。
<加湿浄化部の加湿制御部>
次に、加湿浄化装置3の加湿制御部5について説明する。
加湿制御部5は、加湿浄化装置3における処理動作を制御する。具体的には、加湿制御部5は、図3に示すように、入力部5aと、記憶部5bと、計時部5cと、処理部5dと、出力部5eとを備える。
入力部5aは、操作パネル10からのユーザ入力情報と、温湿度センサ11からの対象空間Sの空気の温湿度情報と、加湿器タンク水位センサ3bからの加湿器タンク3a内の次亜塩素酸水の水位情報と、次亜塩素酸水濃度センサ3gからの加湿器タンク3a内の次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸の濃度情報(含有量情報)とを受け付ける。入力部5aは、受け付けた各情報を処理部5dに出力する。
ここで、操作パネル10は、加湿浄化装置3に関するユーザ入力情報(例えば、風量、目標温度、目標湿度、次亜塩素酸の添加の有無、次亜塩素酸の目標供給量レベル、等)を入力する端末であり、無線または有線により加湿制御部5と通信可能に接続されている。
また、温湿度センサ11は、対象空間S内に設置され、対象空間Sの空気の温湿度を感知するセンサである。なお、温湿度センサ11で検出される温湿度は、加湿浄化装置3に導入される空気の温湿度と見なしてもよい。
記憶部5bは、入力部5aが受け付けたユーザ入力情報と、装置内を流通する空気に対する次亜塩素酸の供給動作における供給設定情報とを記憶する。記憶部5bは、記憶した供給設定情報を処理部5dに出力する。なお、次亜塩素酸の供給動作における供給設定情報は、遠心破砕ユニット3cの加湿動作における加湿設定情報とも言える。
計時部5cは、現在時刻に関する時刻情報を処理部5dに出力する。
処理部5dは、入力部5aからの各種情報(ユーザ入力情報、温湿度情報、水位情報、濃度情報)と、記憶部5bからの供給設定情報とを受け付ける。処理部5dは、受け付けたユーザ入力情報及び供給設定情報を用いて、加湿浄化運転動作に関する制御情報を特定する。
また、処理部5dは、加湿器タンク水位センサ3bからの水位情報に、加湿器タンク3a内の次亜塩素酸水の渇水を示す水位に関する情報が含まれる場合には、次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4に対する給水要求に関する情報(給水要求情報)を特定する。
さらに、処理部5dは、次亜塩素酸水濃度センサ3gからの濃度情報に含まれる次亜塩素酸の濃度(加湿器タンク3a内の次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸の濃度)が基準濃度以下である場合には、加湿器タンク3a内に貯水されている次亜塩素酸水を排水し、新たな次亜塩素酸水を給水する処理に関する制御情報を特定する。そして、処理部5dは、次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4に対する給水要求に関する情報(給水要求情報)を特定する。なお、基準濃度は、対象空間S内で除菌・脱臭効果を得るために最低限必要な濃度に設定される。
そして、処理部5dは、特定した制御情報及び給水要求情報を出力部5eに出力する。
出力部5eは、処理部5dからの制御情報を受け付ける。出力部5eは、加湿浄化装置3の遠心破砕ユニット3c及び排水弁3iと電気的に接続される。そして、出力部5eは、受け付けた制御情報に基づいて、加湿浄化装置3の加湿浄化運転動作を制御する信号(制御信号)を出力する。
また、出力部5eは、処理部5dからの給水要求情報を受け付ける。出力部5eは、次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4と電気的に接続される。そして、出力部5eは、受け付けた給水要求情報に基づいて、次亜塩素酸水制御部4に対して信号(給水要求信号)を出力する。
そして、遠心破砕ユニット3cと排水弁3iとは、出力部5eからの信号をそれぞれ受け付け、受け付けた信号に基づいてそれぞれの運転動作の制御を実行する。また、次亜塩素酸水生成装置2の次亜塩素酸水制御部4は、出力部5eからの信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて加湿浄化装置3への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作を実行する。
以上のようにして、加湿制御部5は、加湿浄化装置3を流通する空気への次亜塩素酸の付与処理を実行させる。
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置1によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)空間浄化装置1は、浄化成分を含む水を供給する次亜塩素酸水生成装置2と、次亜塩素酸水生成装置2から供給される浄化成分を含む水を用いて、内部に流通する空気に浄化成分を含ませて放出する加湿浄化装置3(遠心破砕ユニット3c)と、浄化成分を含む水のpH値を調整させるpH調整剤槽23aと、pH調整剤槽23aを制御する次亜塩素酸水制御部4と、を備える。そして、次亜塩素酸水制御部4は、加湿浄化装置3から要求される加湿要求量に基づいて、加湿浄化装置3が用いる浄化成分を含む水のpH値を調整する制御を行うようにした。これにより、加湿要求量が低く、浄化成分を含む水が気化しにくい状況においても、浄化成分を含む水のpH値を調節することで、浄化成分の気化分圧を上昇させることができる。このため、空間浄化装置1では、加湿浄化装置3(遠心破砕ユニット3c)の内部に流通する空気に浄化成分を安定して付与することができる。つまり、空間浄化装置1では、微細化した水に浄化成分を含ませて放出する微細化動作を行う場合に、浄化成分を安定して付与することができる。
(2)空間浄化装置1は、上述した加湿浄化装置3と、塩化物水溶液を電気分解することで次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成装置2とを備える。そして、浄化成分を含む水として次亜塩素酸水生成装置2で生成した次亜塩素酸水を用いるようにした。これにより、次亜塩素酸水に含まれる浄化成分(次亜塩素酸)は、次亜塩素酸水の内部に安定して維持されるものの、次亜塩素酸水のpH値の調整によって容易に浄化成分の気化分圧を上昇させることができる。このため、空間浄化装置1では、次亜塩素酸水のpH値の調整によって加湿浄化装置3から放出される空気に次亜塩素酸水制御部4で設定した濃度の浄化成分を安定して付与することができる。
(3)空間浄化装置1では、pH調整剤槽23aは、次亜塩素酸水に対して、pH調整剤の供給量(投入量)によってpH値の調整を行うようにした。これにより、空間浄化装置1では、pH調整剤の供給量によって定量的に次亜塩素酸水のpH値を調整することができるので、浄化成分(次亜塩素酸)の気化分圧を精度よく上昇させることができる。このため、空間浄化装置1では、加湿浄化装置3から放出される空気に、浄化成分を安定して付与することができる。
(4)空間浄化装置1では、加湿浄化装置3を、次亜塩素酸水を遠心破砕することによって、内部に導入される空気に対して、浄化成分(次亜塩素酸)を付加するようにした。これにより、空間浄化装置1では、遠心破砕ユニット3cの遠心破砕時の回転数を変化させることで、破砕する水の粒子径あるいは量をコントロールすることができるので、加湿浄化装置3から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
(5)空間浄化装置1は、次亜塩素酸水制御部4は、加湿要求量(温湿度センサ11からの温湿度に関する情報をもとに設定された加湿要求量)が第一基準値以上である場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値(加湿浄化装置3が用いる次亜塩素酸水のpH値)を第一pH値(例えば8.0)となるようにpH調整剤槽23a(第三止水弁23c、第三ポンプ23d)を制御し、加湿要求量が第一基準値未満である場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値を第一pH値より小さい第二pH値(例えば6.5)となるようにpH調整剤槽23a(第三止水弁23c、第三ポンプ23d)を制御するようにした。これにより、空間浄化装置1では、加湿要求量に応じたpH値(第一pH値あるいは第二pH値)に調整されるので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化装置3から放出される空気に浄化成分(次亜塩素酸)を安定して付与することができる。
ここで、次亜塩素酸水のpH値が6.5の場合、次亜塩素酸水に含まれる浄化成分(次亜塩素酸)は、比較的気化しやすい状態となり、次亜塩素酸水のpH値が8.0の場合、次亜塩素酸水に含まれる浄化成分は、気化しにくい状態となることが実験的に明らかになっている。つまり、日本の夏場(特に梅雨時期)のように、加湿浄化装置3からの要求加湿量が小さい場合であっても、次亜塩素酸水のpH値を6.5に調整することで、次亜塩素酸水から浄化成分が気化するようになるので、加湿量を減らした状態で浄化成分を多量に対象空間Sに送り込むことができる。言い換えれば、過剰加湿とならないように必要な浄化成分を対象空間Sに供給することができる。一方、日本の冬場のように、加湿浄化装置3からの要求加湿量が大きい場合であっても、次亜塩素酸水のpH値を8.0に調整することで、次亜塩素酸水から浄化成分が気化しにくくなるので、浄化成分を減らした状態で多量の加湿量にて対象空間Sに送り込むことができる。言い換えれば、浄化成分が過剰供給とならないように必要な加湿量を対象空間Sに供給することができる。
(6)空間浄化装置1は、加湿浄化装置3に導入される空気の温湿度を検出する温湿度センサ11を備える。そして、次亜塩素酸水制御部4は、温湿度センサ11で検出された温湿度に関する情報に基づいて加湿要求量を特定し、次亜塩素酸水のpH値を調整するようにした。これにより、空間浄化装置1では、導入される空気の温湿度に基づいた加湿要求量によって次亜塩素酸水のpH値が調整されるので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化装置3から放出される空気に浄化成分(次亜塩素酸)を安定して付与することができる。
(変形例)
実施の形態1に係る空間浄化装置1では、加湿浄化装置3の空気導入口3dに導入される空気として、対象空間Sの空気をそのまま導入するようにしたが、これに限られない。変形例として、例えば、対象空間Sの空気を空調機によって温調(冷房または暖房)した上で加湿浄化装置3に導入するようにしてもよい。
具体的には、変形例では、空間浄化装置1と空調機とによって空間浄化システムを構成する。
空調機は、エアーコンディショナ(空気調和機)に該当するものであり、対象空間S(図1参照)に設置され、対象空間Sの空気の空調を制御する。空調機は、対象空間Sの空気の温度が設定温度となるように、対象空間Sの空気を冷却又は加熱する。つまり、空調機は、対象空間Sに対して冷房運転又は暖房運転を行う。また、空調機は、空間浄化装置1の次亜塩素酸水制御部4と無線または有線によって通信可能に構成され、次亜塩素酸水制御部4に対して、空調機の運転状態(冷房運転、暖房運転)に関する情報を出力する。なお、ここでは、冷房運転には、除湿運転も含まれるものとする。
空間浄化装置1は、加湿浄化装置3の空気導入口3dから対象空間Sの空気(空調機によって温調された空気)を導入して、導入した空気に対して浄化成分を含む水(次亜塩素酸水)を含ませて放出する。この際、空間浄化装置1の次亜塩素酸水制御部4は、空調機の運転状態に応じて空間浄化装置1の内部に貯水されている浄化成分を含む水のpH値を、実施の形態1と同様、pH調整剤の供給量(投入量)によって調整する。
より詳細には、次亜塩素酸水制御部4(入力部4a)は、空調機から運転状態に関する情報を受け付ける。そして、次亜塩素酸水制御部4(処理部4d)は、空調機が冷房運転である場合、加湿浄化装置3が用いる浄化成分を含む水(次亜塩素酸水)のpH値を第一pH値(例えば8.0)となるようにpH調整剤槽23aを制御し、空調機が暖房運転であるである場合、加湿浄化装置3が用いる浄化成分を含む水(次亜塩素酸水)のpH値を第二pH値(例えば6.5)となるようにpH調整剤槽23aを制御する。
以上、変形例に係る空間浄化システムによれば、以下の効果を享受することができる。
(7)空間浄化システムは、実施の形態1に係る空間浄化装置1と、加湿浄化装置3に導入される空気を温調する空調機とを備える。そして、次亜塩素酸水制御部4は、空調機が暖房運転である場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値(加湿浄化装置3が用いる次亜塩素酸水のpH値)を第一pH値(例えば8.0)となるようにpH調整剤槽23a(第三止水弁23c、第三ポンプ23d)を制御し、空調機が冷房運転であるである場合、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値を第一pH値より小さい第二pH値(例えば6.5)となるようにpH調整剤槽23a(第三止水弁23c、第三ポンプ23d)を制御するようにした。これにより、空間浄化システムでは、空調機の運転状態(冷房運転又は暖房運転)に応じてpH値を調整するので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化装置3から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。
(実施の形態2)
図4を参照して、本発明の実施の形態2に係る空間浄化システム100について説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る空間浄化システム100の模式図である。
<全体構成>
空間浄化システム100は、外部から得られる市水である原水により高濃度の次亜塩素酸水を希釈し、次亜塩素酸を含む除菌水を生成した後、気液接触により空気中に次亜塩素酸を放出し、対象空間Sの除菌を行うシステムである。この際、空間浄化システム100では、ユーザにより設定された加湿能力量に基づいて、気液接触させる次亜塩素酸水のpH値を、pH調整剤を用いて調整する。具体的には、空間浄化システム100は、図4に示すように、次亜塩素酸水供給装置30と、空気調和装置40とを備えて構成される。次亜塩素酸水供給装置30は、水供給部31と、次亜塩素酸水供給部32と、pH調整剤供給部33と、次亜塩素酸水制御部30aとを備えて構成される。また、空気調和装置40は、還気ダクト41と、フィルタ42と、空気冷却器43と、空気加熱器44と、気液接触部45と、送風機46と、給気ダクト47と、ドレンパン48と、排水流路49と、熱源装置50と、複数の流路(流路51~流路54)と、加湿制御部40aとを備えて構成される。
<次亜塩素酸水供給装置>
次亜塩素酸水供給装置30は、次亜塩素酸水供給部32から供給される次亜塩素酸水に、pH調整剤供給部33から供給されるpH調整剤水溶液を混合し、pH調整剤水溶液が混合された次亜塩素酸水に、水供給部31から供給される水を混合して希釈し、希釈された次亜塩素酸水を気液接触部45に供給する装置である。以下では、次亜塩素酸水供給部32から供給される次亜塩素酸水にpH調整剤水溶液を混合した次亜塩素酸水を「混合液」ということもある。なお、次亜塩素酸水供給装置30は、請求項の「浄化成分供給部」及び「pH調整部」に相当する。
水供給部31は、外部の設備給水管(図示せず)から流入する市水を、空気調和装置40の気液接触部45に供給する部材である。水供給部31は、水道管31aと、水道弁31bとを有して構成される。水道管31aは、外部の設備給水管と空気調和装置40の気液接触部45との間を連通接続する配管である。水道弁31bは、水道管31aに備えられている。水道弁31bは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部30aからの信号により開閉される。これにより、気液接触部45に水道水を導入したり停止したりすることができる。水道弁31bは、電磁弁を用いることができる。
次亜塩素酸水供給部32は、内部に貯留する高濃度の次亜塩素酸水を、水供給部31の水道管31a内に送出する部材である。次亜塩素酸水供給部32は、送水管32aと、止水弁32bと、送水ポンプ32cと、次亜塩素酸水タンク32dとを有して構成される。
送水管32aは、水供給部31の水道管31aの所定の位置において、水道管31aと次亜塩素酸水タンク32dとを連通接続し、次亜塩素酸水タンク32dに貯留される次亜塩素酸水を水道管31a内に送水するための配管である。
止水弁32bは、送水管32aに備えられている。止水弁32bは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部30aからの信号により開閉される。止水弁32bは、電磁弁を用いることができる。
送水ポンプ32cは、送水管32aに備えられている。送水ポンプ32cは、次亜塩素酸水タンク32dから送水管32aに次亜塩素酸水を送水する際に、止水弁32bが「開」の状態で、送水管32aに次亜塩素酸水を流通させる機器である。送水ポンプ32cは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部30aからの信号により動作する。止水弁32bと送水ポンプ32cとが連動して動作することにより、送水管32a内に次亜塩素酸水タンク32dからの次亜塩素酸水を導入したり停止したりすることができる。
pH調整剤供給部33は、内部に貯留するpH調整剤水溶液を、次亜塩素酸水供給部32の送水管32a内に送出する部材である。pH調整剤供給部33は、送水管33aと、止水弁33bと、送水ポンプ33cと、pH調整剤水溶液タンク33dとを有して構成される。なお、pH調整剤供給部33は、請求項の「pH調整部」に相当する。
送水管33aは、次亜塩素酸水供給部32の送水管32aの所定の位置において、送水管32aとpH調整剤水溶液タンク33dとを連通接続し、pH調整剤水溶液タンク33dに貯留されるpH調整剤水溶液を送水管32a内に送水するための配管である。
止水弁33bは、送水管33aに備えられている。止水弁33bは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部30aからの信号により開閉される。止水弁33bは、電磁弁を用いることができる。
送水ポンプ33cは、送水管33aに備えられている。送水ポンプ33cは、pH調整剤水溶液タンク33dから送水管33aにpH調整剤水溶液を送水する際に、止水弁33bが「開」の状態で、送水管33aにpH調整剤水溶液を流通させる機器である。送水ポンプ33cは、無線または有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部30aからの信号により動作する。止水弁33bと送水ポンプ33cとが連動して動作することにより、送水管33a内にpH調整剤水溶液タンク33dからのpH調整剤水溶液を導入したり停止したりすることができる。
次亜塩素酸水制御部30aは、後述する加湿制御部40aからの信号に基づいて、空気調和装置40への送水を行うように次亜塩素酸水供給装置30を制御する。次亜塩素酸水制御部30aは、無線又は有線により加湿制御部40aと通信可能に接続される。
次亜塩素酸水供給装置30は、次亜塩素酸水制御部30aからの信号に基づいて、次亜塩素酸水供給部32からの次亜塩素酸水の供給と、pH調整剤供給部33からのpH調整剤水溶液の供給と、水供給部31からの水とを実行し、それぞれを配管内で順次混合して希釈し、加湿能力量に基づいて設定された条件(濃度、pH値)の希釈された次亜塩素酸水を気液接触部45に供給する。ここで、加湿能力量は、例えば、ユーザが入力する加湿要求量を「多」、「標準」、及び「少」で表すパラメータであり、請求項の「加湿要求量」に相当する。
この際、配管内で混合希釈された次亜塩素酸水は、例えば、日本の夏場においては、加湿能力量「少」が入力され、次亜塩素酸水にpH調整剤水溶液を規定量混合して、次亜塩素酸濃度を30ppm、pH値(第二pH値)を6.5の状態としている。また、日本の冬場においては、加湿能力量「多い」が入力され、次亜塩素酸水にpH調整剤水溶液を混合せずに、次亜塩素酸濃度を30ppm、pH値(第一pH値)を8.0の状態としている。
<空気調和装置>
空気調和装置40は、外部(対象空間S)から取り込んだ空気の温度及び湿度の調節を行い、次亜塩素酸水供給装置30から送出される次亜塩素酸水を気化させ、対象空間Sに放出することにより、対象空間Sの除菌または殺菌を行う。空気調和装置40は、上述した通り、還気ダクト41と、フィルタ42と、空気冷却器43と、空気加熱器44と、気液接触部45と、送風機46と、給気ダクト47と、ドレンパン48と、排水流路49と、熱源装置50と、複数の流路(流路51~流路54)と、加湿制御部40aとを備える。空気調和装置40に導入された空気は、還気ダクト41、フィルタ42、空気冷却器43、空気加熱器44、気液接触部45、及び送風機46の順に通風され、給気ダクト47により、装置外の対象空間Sに排出される。
還気ダクト41は、空気調和装置40内に空気を導入するための開口である。還気ダクト41により導入された空気から、フィルタ42により、塵及び埃等の不純物が除去される。
フィルタ42は、導入された空気から塵及び埃等の不純物を除去する。フィルタ42を通過した空気は、空気冷却器43へと通風される。
空気冷却器43は、通過する空気の冷却を行うユニットである。空気冷却器43は、流路51及び流路52により熱源装置50と連通接続されている。空気冷却器43には、熱源装置50から流路51を流通して冷水が流入し、冷水は、空気冷却器43内を通水する。流入した冷水と、空気冷却器43を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の冷却が行われる。熱交換が行われた冷水は、流路52を流通し、熱源装置50へと送水される。この時、結露により発生する水は、ドレンパン48により回収される。空気冷却器43を通過した空気は、空気加熱器44へと通風される。空気冷却器43は、無線又は有線により加湿制御部40aと通信可能に接続され、加湿制御部40aにより制御される。
空気加熱器44は、通過する空気の加熱を行うユニットである。空気加熱器44は、流路53及び流路54により熱源装置50と連通接続されている。空気加熱器44には、熱源装置50から流路53を流通して温水が流入し、温水は、空気加熱器44内を通水する。流入した温水と、空気加熱器44を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の加熱が行われる。熱交換が行われた温水は、流路54を流通し、熱源装置50へと送水される。空気加熱器44を通過した空気は、気液接触部45へと通風される。空気加熱器44は、無線又は有線により加湿制御部40aと通信可能に接続され、加湿制御部40aにより制御される。
気液接触部45は、内部に取り入れた空気を加湿するユニットであり、加湿の際に、空気中に次亜塩素酸水(次亜塩素酸水供給装置30から送出される次亜塩素酸水)を含ませる。気液接触部45は、水供給部31の水道管31aを介して次亜塩素酸水供給装置30(次亜塩素酸水供給部32の送水管32a及びpH調整剤供給部33の送水管33a)と連通接続されている。気液接触部45は、次亜塩素酸水供給装置30から送出される次亜塩素酸水を含有することが可能な構造(例えば、気化フィルタ)を有する。より詳細には、気液接触部45は、例えば、平板形状であり、多くの繊維を備え、繊維と繊維との間に水を保水することができる。気液接触部45は、還気ダクト41と気液接触部45の平面部が対向するように設けられている。そして、次亜塩素酸水供給装置30から送出される次亜塩素酸水は、気液接触部45の平面部の上方から供給される。そのため、気液接触部45を通過する空気に、次亜塩素酸水を含有させることが可能となる。つまり、気液接触部45は、次亜塩素酸水を平面部の上方から下方に流して気化させる。そして、次亜塩素酸水を含んだ空気が気化することにより、対象空間S内に次亜塩素酸が放出され、対象空間Sの除菌または殺菌が行われる。なお、次亜塩素酸水供給装置30の動作中には、気液接触部45に次亜塩素酸水が常時供給されるため、気液接触部45が含有しきれなかった次亜塩素酸水は、下方に流れ落ちてドレンパン48によって回収される。なお、気液接触部45は、請求項の「加湿浄化部」に相当する。
送風機46は、気液接触部45の後段、且つ、給気ダクト47の前段に設けられる。送風機46は、空気調和装置40内の空気を外部に排出することにより、還気ダクト41から給気ダクト47へ向かう空気の流れを生成する。これにより、除菌脱臭対象となる空気を空気調和装置40内に流入させることができる。送風機46により、次亜塩素酸を含む空気が対象空間Sに放出され、空間の除菌または殺菌を行うことが可能となる。また、送風機46は、加湿制御部40aと無線又は有線により通信可能に接続され、加湿制御部40aにより制御される。
給気ダクト47は、空気調和装置40内の空気を対象空間Sに放出するための開口である。給気ダクト47から、次亜塩素酸を含む空気が対象空間Sに放出され、空間の除菌または殺菌を行うことが可能となる。
ドレンパン48は、空気調和装置40内の水を集めるための受け皿である。ドレンパン48は、空気冷却器43、空気加熱器44、及び気液接触部45の下部に設けられ、少なくとも空気冷却器43及び気液接触部45から流出する水を回収する。
排水流路49は、空気調和装置40内に溜まった水を排水するための流路である。排水流路49は、ドレンパン48と接続され、ドレンパン48により集められた水を装置外に排出する。
熱源装置50は、市水の冷却及び加熱を行い、空気冷却器43に供給するための冷水及び空気加熱器44に供給する温水とする装置である。熱源装置50は、無線又は有線により加湿制御部40aと通信可能に接続され、加湿制御部40aにより制御される。
流路51は、熱源装置50により冷却された市水を、熱源装置50から空気冷却器43へ送水する流路である。
流路52は、空気冷却器43を通水した市水を熱源装置50へ送水する流路である。
流路53は、熱源装置50により加熱された市水を、熱源装置50から空気加熱器44へ送水する流路である。
流路54は、空気加熱器44を通水した市水を熱源装置50へ送水する流路である。
加湿制御部40aは、空気冷却器43、空気加熱器44、送風機46、及び熱源装置50の各動作を制御する。加湿制御部40aは、無線又は有線により次亜塩素酸水制御部30aと通信可能に接続される。
<空間浄化処理>
次に、空間浄化システム100による空間浄化処理について説明する。
空間浄化処理は、次亜塩素酸水供給装置30から送出された次亜塩素酸水を、空気調和装置40によって気化させ、対象空間Sに放出する処理である。
まず、加湿制御部40aは、空間浄化処理の開始に伴い、送風機46を起動する。これにより、空気調和装置40内の空気が対象空間Sに排出され、還気ダクト41から空気が導入される。導入された空気は、フィルタ42により不純物の除去が行われる。その後、空気冷却器43及び空気加熱器44によって熱交換され、調温された空気となる。そして、気液接触部45を通過することにより、空気の加湿が行われる。加湿の際に、気液接触部45を通過した空気は、次亜塩素酸水を含有する。次亜塩素酸水を含む空気は、送風機46により給気ダクト47から対象空間Sに放出され、気化することにより、対象空間S内に次亜塩素酸が放出され、対象空間Sの除菌または殺菌が行われる。
最後に、加湿制御部40aは、加湿動作中であれば、送風機46を停止する。これにより、次亜塩素酸水供給装置30による次亜塩素酸水(pH調整された次亜塩素酸水)の供給及び空気調和装置40による対象空間Sへの次亜塩素酸を含む空気の放出が停止される。
以上のようにして、空間浄化システム100では、加湿制御部40aによって、次亜塩素酸水供給装置30での次亜塩素酸水の供給処理の制御及び空気調和装置40での加湿処理の制御が行われ、空間浄化処理が実行される。
以上、本実施の形態2に係る空間浄化システム100によれば、以下の効果を享受することができる。
(8)空間浄化システム100では、空気調和装置40を備え、次亜塩素酸水供給装置30と気液接触部45とは、互いに配管(水道管31a、送水管32a、及び送水管33a)によって連通接続されており、気液接触部45は、配管から供給される次亜塩素酸水を上方から下方に流して気化させるフィルタである。配管は、水供給部31から供給される水と、次亜塩素酸水供給部32から供給される次亜塩素酸水と、pH調整剤供給部33から供給されるpH調整剤水溶液とを、配管内において混合希釈してフィルタに供給するように構成した。これにより、空間浄化システム100では、配管(水道管31a、送水管32a、及び送水管33a)の内部において混合希釈された次亜塩素酸水は、空気調和装置40の気液接触部45に到達するまで空気と触れることが抑制される。このため、次亜塩素酸の空気による減衰を抑制することができ、空気調和装置40から放出される空気に設定濃度の次亜塩素酸を安定して付与することができる。
(9)空間浄化システム100では、配管(水道管31a、送水管32a、及び送水管33a)は、次亜塩素酸水供給部32から供給される次亜塩素酸水に、pH調整剤供給部33から供給されるpH調整剤水溶液を混合した後に、水供給部31から供給される水によって希釈するように構成した。これにより、次亜塩素酸水供給部32から供給される次亜塩素酸水とpH調整剤供給部33から供給されるpH調整剤水溶液とが混合された混合液を希釈する際に、水供給部31から供給される水によってかき混ぜられる。つまり、配管内で希釈する際には、pH調整剤水溶液と次亜塩素酸水という形で分離した状態にある混合液は、水供給部31から供給される水の圧力(水圧)によって攪拌される。これにより、配管内において混合希釈される次亜塩素酸水は、次亜塩素酸水中においてpH調整剤が一様にいきわたり、空気調和装置40の気液接触部45に供給する際の次亜塩素酸水のpH値を安定化させることができる。このため、空気調和装置40から放出される空気に設定濃度の次亜塩素酸を安定して付与することができる。
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されているところである。
本実施の形態1に係る空間浄化装置1では、次亜塩素酸水生成装置2を構成するpH調整剤槽23aによって希釈槽22aに供給するpH調整剤を、塩酸あるいはリン酸塩水等の浄化成分を含む水のpH値を調整することが可能な液体としたが、これに限られない。例えば、pH調整剤として、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸、酒石酸、水酸化物、又はアンモニウム塩、等の粉末あるいはタブレット状の固体を用いてもよい。この場合、pH調整剤槽23a(第三送水管23b、第三止水弁23c、第三ポンプ23d)という構成ではなく、例えば、pH調整剤タンクと、pH調整剤タンクの下方の一部に穴の開いた回転体と、回転体の下方の一部に穴が開いた板と、を備えるように構成し、回転体の穴に落ちたタブレットが、回転体が回転することで板に開いた穴から落下する機構とする。このようにしても、希釈槽22aでは、次亜塩素酸水のpH値の調整が可能であり、こうしたpH調整剤タンクを用いた空間浄化装置においても、上述した効果を享受することができる。
また、本実施の形態1に係る空間浄化装置1では、次亜塩素酸水制御部4のpH調整量特定部4fは、加湿要求量が第一基準値以上であるか否かに基づいて、pH調整剤槽23aの制御情報を特定するようにしたが、これに限られない。例えば、次亜塩素酸水制御部4のpH調整量特定部4fは、加湿要求量の基準値を順番にn個もち、1~nの中の任意の数kに対して、加湿要求量が第k基準値以上第k+1基準値未満の際に、希釈槽22aの次亜塩素酸水の希釈後のpH値を対応する第kpH値となるようpH調整剤槽23aの制御情報を特定するようにしてもよい。これにより、空間浄化装置1では、pH値をより高精度に調整することが可能になるので、屋内の環境に好適な条件で、加湿浄化装置3から放出される空気に浄化成分を安定して付与することができる。