以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
<一実施形態>
図1は、一実施形態に係る通信装置が取り付けられたポンプ装置を管理する管理システムを例示するブロック図であり、図2は、当該通信装置及びポンプ装置などを例示するブロック図である。この管理システムは、管理されるポンプ装置10-1、10-2、10-3、・・・と、後付け可能な通信装置30-1、30-2、・・・と、ユーザ端末50-1、50-2、・・・と、社内サーバとしての管理サーバ60と、クラウドサーバとしての管理サーバ70と、を備えている。
なお、図1における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、管理サーバ60は、複数台のサーバとして冗長化されてもよい。ポンプ装置10の台数は任意であるので、3台より多くても少なくてもよい。通信装置40及びユーザ端末50の台数も任意である。
一方、ポンプ装置10は、例えば建物に給水し、故障状況や運転状況といった、ポンプのイベントごとに信号を出力可能な複数の出力端子を有する装置である。係るポンプ装置10は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド、あるいは高架水槽や受水槽等といった供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。なお、本実施形態のポンプ装置10は、例えば、管理サーバ70やユーザ端末50といった外部装置との通信機能を持たない装置である。
このポンプ装置10は、図2に例示するように、ポンプ部20と、制御装置30と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。ポンプ装置10は、ポンプ部20により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部20を接続する。吐出配管は、ポンプ部20とその二次側の給水先とを接続する。
制御装置30は、ポンプ部20(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ部20を制御する。具体的には、制御装置30は、各種のセンサ21からのセンシング信号に基づいて、インバータ31を介してポンプ部20のモータの駆動を制御する。
例えば、制御装置30は、ポンプ装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御等の目標圧力一定制御を行い得る。また、制御装置30は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
さらに、制御装置30は、ポンプ部20に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御装置30は、圧力センサからのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。制御装置30は、制御盤と呼んでもよい。
制御装置30は、図2に示すように、インバータ31、電源部32、操作表示部33及び制御入出力基板34を備えている。
ここで、インバータ31は、制御入出力基板34の制御部346により制御され、ポンプ部20を駆動する。具体的には、インバータ31は、制御部346からインバータ制御信号を受け取る。インバータ31は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ31は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じてポンプ部20の運転を停止または開始し得る。また、インバータ31は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じて、ポンプ部20のモータの回転数を制御し得る。係るインバータ31は、制御装置30を構成する制御盤とは別体であってもよいし、制御盤に組み込まれていてもよい。インバータ31が制御盤とは別体の場合、インバータ31は、例えばポンプ部20に搭載される。インバータ31が制御盤に組み込まれた場合、制御装置30は、制御盤と呼んでもよい。
電源部32は、ノイズフィルタ321を介してインバータ31及び制御入出力基板34に電源を供給する。また、電源部32は、ノイズフィルタ321及び制御入出力基板34を介して操作表示部33に電源を供給する。
操作表示部33は、例えば、操作パネル、タッチパネルなどのユーザ入力を受け付ける装置と、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスとを含み得る。また、操作表示部33は、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。
制御入出力基板34は、制御電源部341、スイッチ342、端子台343、入力部344、メモリ345、制御部346及び出力部347を備えている。
制御電源部341は、電源部32からノイズフィルタ321を介して供給された電源の電圧を調整して制御入出力基板34内のメモリ345及び制御部346と、制御入出力基板34の外部の操作表示部33とに供給する。
スイッチ342は、操作者の操作に応じて、電源部32からノイズフィルタ321を介して供給された電源と、電源端子を有する端子台343との間の電気的な接続をオン状態又はオフ状態に切り替える。
端子台343は、電源部32からノイズフィルタ321及びスイッチ342を介して供給される電源を外部出力するための1つ以上の電源端子を有している。端子台343の電源端子は、例えば、受水槽に水を流入させるための流入弁や、後付け可能な通信装置40といった外部装置に配線ケーブル等を介して電気的に接続可能な端子であり、当該外部装置に電源を供給するために用いられる。
入力部344は、各種のセンサ21から入力される信号を制御部346に入力する。入力部344としては、例えば、コネクタやA/D変換器が適宜、使用可能となっている。入力部344がA/D変換器を含む場合、入力部344は、制御電源部341からの電源供給を受けて動作する。
メモリ345は、制御部346が各処理を実現するために当該制御部346によって実行されるプログラムおよび当該制御部346によって使用されるデータなどを記憶する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、表示制御プログラム、ポンプ制御プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、ポンプ制御のパラメータやしきい値、テーブルなどが適宜記憶される。メモリ345は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。メモリ345は、記憶部の一例である。
制御部346は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。制御部346は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
制御部346は、メモリ345に保存されたプログラムを実行することで、インバータ31の制御、操作表示部33の制御、出力部347の制御、などを実行する。例えば、制御部346は、メモリ345内のプログラムによって決まる制御ポリシーに従い、各種のセンサ21からのセンシング信号に応じてインバータ制御信号を生成し、これをインバータ31へ送る。また例えば、制御部346は、各種のセンサ21からのセンシング信号に基づいて、ポンプ装置10の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データを操作表示部33及びメモリ345に出力する。また、制御部346は、積算運転時間、および/または積算運転回数を、ポンプ装置10の運転実態に応じて算出し、メモリ345に書き込んでもよい。また、制御部346は、ポンプ装置10のイベントごとに信号を出力部347に出力する。イベント毎の信号としては、例えば、ポンプ装置10の運転に関するイベントに応じた信号、ポンプ装置10の故障に関するイベントに応じた信号、ポンプ装置10が接続する受水槽の水位に関するイベントに応じた信号、などが適宜、使用可能となっている。運転に関するイベントに応じた信号は、例えば、操作表示部33の切り替えスイッチにおける1号機運転/停止、2号機運転/停止、1・2号機運転/停止、の操作内容を示す信号である。故障に関するイベントに応じた信号は、例えば、各種のセンサ21のセンシング信号に基づく故障内容を示す信号である。受水槽の水位に関するイベントに応じた信号は、各種のセンサ21のうちの受水槽水位を検出するセンサのセンシング信号における満水、減水を示す信号である。なお、受水槽の水位に関するイベントに応じた信号は、これに限らず、流入弁のオン状態(開)、オフ状態(閉)を示す信号を含んでもよい。
出力部347は、図2及び図3に示すように、制御部346からの信号を受けて接点が開閉する複数のリレーRy2,Ry3,Ry5~Ry10と、いずれかのリレーRy2、3、・・・の接点に電気的に接続された複数の出力端子を有する端子台34Aとを備えている。図3の例では、出力端子A1は、リレーRy2を介して出力端子A2に接続されると共に、リレーRy3を介して出力端子A3に接続されている。すなわち、出力端子A2,A3は、それぞれリレーRy2,Ry3がオン状態のとき、出力端子A1に導通する。同様に、出力端子A4は、リレーRy5を介して出力端子A5に接続されると共に、リレーRy6を介して出力端子A6に接続されている。また、出力端子A4は、リレーRy7を介して出力端子A7に接続されると共に、リレーRy8を介して出力端子A8に接続されている。また、出力端子A4は、リレーRy9を介して出力端子A9に接続されると共に、リレーRy10を介して出力端子A10に接続されている。すなわち、出力端子A5,・・・,A10は、それぞれリレーRy5,・・・,Ry10がオン状態のとき、出力端子A4に導通する。言い換えると、端子台34Aが有する出力端子A2,A3,A5~A10は、リレーRy2,Ry3,Ry5~Ry10の接点の開閉に応じた無電圧信号を出力する。なお、これに限らず、出力部347は、リレーRy2,Ry3,Ry5~Ry10の接点の開閉に応じた有電圧信号を端子台34Aの出力端子から出力するように変形してもよい。この場合、出力部347は、制御電源部341から供給される電源を用い、有電圧信号を生成すればよい。
一方、通信装置40は、ポンプ装置10に取り付け可能(後付け可能)な装置である。通信装置40は、図2及び図3に示すように、入力部411が実装された入力基板41と、電源部421、信号検出部422及び通信部423が実装された通信基板42とを備えている。なお、通信装置40は、図4に示すように、入力基板41に対向配置された通信基板42を、コネクタ43を介して入力基板41に着脱自在に接続してもよい。この場合、通信基板42の四隅が支柱44により固定されることが好ましい。支柱44は、例えば、入力基板41と通信基板42との間に筒状部材を配置した構造をボルト・ナットで固定する構成としてもよい。
また、通信基板42は、シリアル通信に対応する新機種のポンプ装置に連携可能とする場合、当該新機種のポンプ装置との間でシリアル通信可能なコネクタ(図示せず)を更に備えてもよい。言い換えると、通信基板42は、シリアル通信に対応していない旧機種のポンプ装置10に接続するための入力基板41に接続可能なコネクタ43と、前述したシリアル通信可能なコネクタ(図示せず)とを備えた構成としてもよい。この構成によれば、通信基板42は、ポンプ装置の機種の新旧に応じて、コネクタ43及びコネクタ(図示せず)のうち、いずれか一方のコネクタを用いる反面、他方のコネクタを用いない。
例えばコネクタ43を用いる場合、通信基板42は、通信部423がコネクタ43及び入力基板41を介して旧機種のポンプ装置10に接続する反面、前述したシリアル通信可能なコネクタ(図示せず)を備えているが使用しない。また例えばシリアル通信可能なコネクタ(図示せず)を用いる場合、通信基板42は、通信部423がコネクタ(図示せず)及びシリアル通信ケーブルを介して新機種のポンプ装置に接続する反面、コネクタ43を備えているが使用しない。なお、コネクタ43を使用しない場合、通信装置40は、入力基板41を備えず、通信基板42のみを備えている。
なお、旧機種のポンプ装置10は、シリアル通信機能を持たないため、オン/オフ信号しか通知できない。例えば、ポンプ1号機及びポンプ2号機を有するポンプ部20のうちのポンプ1号機が故障した場合、旧機種のポンプ装置10は、故障した事実(1号機故障)のみを伝えるオン/オフ信号を出力端子から通信装置40に出力する。通信装置40は、出力されたオン/オフ信号が入力端子から入力されると、例えば、当該入力端子の端子番号と、当該オン/オフ信号のオン/オフ状態とを含む出力情報をシリアル通信で管理サーバ70に送信する。但し、出力情報は、端子番号を含めばよいので、必ずしもオン/オフ状態を含まなくてもよい。管理サーバ70は、予め複数の入力端子の各々の端子番号と、当該入力端子に入力される信号が示すイベントとを関連付けて設定し、送信された出力情報に基づいてイベントを管理する。
一方、新機種のポンプ装置は、シリアル通信機能を持つため、故障の内容(1号機過電流)を伝える情報をシリアル通信で通信装置40に出力する。通信装置40は、当該故障の内容(「1号機過電流」などの項目)を伝える出力情報をシリアル通信で管理サーバ70に送信する。管理サーバ70は、送信された出力情報に基づいてイベントを管理する。なお、新機種のポンプ装置の場合、出力情報に故障の内容が含まれるので、旧機種とは異なり、管理サーバ70では、端子番号とイベントとを関連付けた設定を行わずに、イベントを管理できる。
図2及び図3に戻り、入力部411は、複数の入力端子B1~B10を有する端子台41Bを備えている。端子台41Bは、制御装置30の端子台34Aの各々の出力端子A1~A10に配線ケーブル等を介して接続可能な複数の入力端子B1~B10を備えている。但し、出力端子の数と、入力端子の数とは、一例であり、これに限定されない。複数の入力端子B1~B10は、複数の出力端子A1~A10の各々に電気的に個別に接続されることにより、複数の出力端子A1~A10の各々から信号が個別に入力される。なお、複数の入力端子B1~B10に個別に入力される複数の信号は、ポンプの運転に関するイベントに応じた信号、ポンプの故障に関するイベントに応じた信号、ポンプが接続する受水槽の水位に関するイベントに応じた信号、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。係る入力端子B1~B10は、信号検出部422に電気的に接続されている。
通信基板42は、電源部421と、信号検出部422と、通信部423とを備えている。電源部421は、制御装置30の端子台343から供給された電源の電圧を調整して信号検出部422及び通信部423に供給する。例えば、電源部421は、図5に示すように、信号検出部422に第1電圧を供給する第1の共通電源E1と、信号検出部422に第2電圧を供給する第2の共通電源E2と、通信部423に通信用の電圧を供給する通信用電源E3とを備えている。
信号検出部422は、複数の入力端子B1~B10の各々から入力された信号を個別に検出する検出部である。入力された信号は、ポンプの運転に関するイベントに応じた信号と、ポンプの制御に関するイベントに応じたセンサ信号と、ポンプの故障に関するイベントに応じた信号との少なくとも1つを含んでもよい。ここでいうポンプの制御は、目標圧力一定制御を意味する。すなわち、ポンプの制御に関するセンサ信号は、圧力センサ信号や流量センサ信号といった目標圧力制御に関するセンサ信号を意味する。また、故障に関するセンサ信号は、目標圧力制御に関するセンサ信号以外の、漏水センサ信号や振動センサ信号といった異常検出に関するセンサ信号を意味する。また、入力された信号は、ポンプ装置10に接続される受水槽の水位に関する信号を更に含んでもよい。いずれにしても、信号検出部422は、信号を検出した検出結果を通信部423に送出する。また、信号検出部422は、信号の立ち上がりを検出した第1の検出結果と、信号の立ち下がりを検出した第2の検出結果との各々を通信部423に送出してもよい。また、信号検出部422は、例えば、接続線/検出回路422aと、計測部422bとを備えている。この場合、信号検出部422は、接続線/検出回路422aによる検出結果に基づく計測部422bによる計測結果を通信部423に送出してもよい。なお、計測部422bは、必須ではなく、省略してもよい。計測部422bを省略した場合、信号検出部422は、接続線/検出回路422aによる検出結果を通信部423に送出する。
例えば、複数のポンプを備えたポンプ装置10の場合、1号機ポンプに異常があると、その異常に割り当てられたリレーRy2がオン状態となる。そのオン状態を示す出力信号を信号検出部422が検出し、検出結果を通信部423に送出する。通信部423は、検出結果に基づく出力信号を管理サーバ70に送信する。これにより、既設のポンプ装置10であっても、後付けした通信装置40により、現場でポンプ異常が発生したことを通知可能となる。
他の例として、受水槽を備えたポンプ装置10の場合、受水槽が満水状態になると制御盤の満水に割り当てられたリレーRy9がオン状態となる。オン状態の検出結果は、前述同様に、後付けした通信装置40により出力情報として管理サーバ70に送信される。満水時に受水槽はオーバーフロー管から貯水が流出するが、ポンプが断水しない為、状況を遠隔監視する場合がある。時間経過とともに満水が解除された場合、リレーRy9がオフ状態となり、オフ状態の検出結果が出力情報として管理サーバ70に送信されることで、遠隔地からポンプ装置10の状況が問題ないことを確認できる。
接続線/検出回路422aは、複数の入力端子B1~B10の各々と電源部421とを個別に電気的に接続する接続線及び検出回路dc2,・・・を備えている。
なお、図5の例では、接続線/検出回路422aは、入力端子B1~B3の各々と第1の共通電源E1とを電気的に接続している。詳しくは、接続線/検出回路422a内の接続線が、入力端子B1と、第1の共通電源E1の正側電源ラインとを電気的に接続している。また、接続線/検出回路422a内の検出回路dc2,dc3の各々が、入力端子B2,B3の各々と、第1の共通電源E1の負側電源ラインとを電気的に接続している。この場合、図6に示すように、リレーRy2,Ry3のオン/オフ状態を個別に検出可能な検出回路dc2,dc3を備えた電気回路が形成される。
同様に、接続線/検出回路422aは、入力端子B1~B10の各々と第2の共通電源E2とを電気的に接続している。詳しくは、接続線/検出回路422a内の接続線が、入力端子B4と、第2の共通電源E2の正側電源ラインとを電気的に接続している。また、接続線/検出回路422a内の検出回路dc5~dc10の各々が、入力端子B5~B10の各々と、第2の共通電源E2の負側電源ラインとを電気的に接続している。この場合、図7に示すように、リレーRy5,・・・,Ry10のオン/オフ状態を個別に検出可能な検出回路dc5,・・・,dc10を備えた電気回路が形成される。なお、図6及び図7に示す電気回路は、一例であり、出力部347や信号検出部422の設計に応じて、別々の電気回路が形成され得る。
検出回路dc2,・・・は、例えば、抵抗及びフォトカプラを有する回路が簡便である。リレーRyのオン/オフ状態に対応するフォトカプラの検出結果は、例えば、計測部422bに送出される。なお、検出結果としては、例えば、信号のオン状態、信号のオフ状態、信号の立ち上がり、信号の立ち下がり、の少なくとも1つを検出した結果が、適宜、使用可能となっている。また、検出回路dc2,・・・は、当該検出結果に入力端子B2,B3,B5~B10の端子番号を付して計測部422bに出力してもよい。なお、計測部422bが省略された場合には、検出回路dc2,・・・は、検出結果などを通信部423に出力する。計測部422bが省略される変形例としては、当該計測部422bの機能を管理サーバ70に持たせる構成と、当該計測部422bの機能をポンプ管理システム上から省略した構成とのいずれを実施してもよい。
計測部422bは、入力された信号のうちの少なくともポンプの運転に関するイベントに応じた信号がオン状態を示す時間を計測する。具体的には例えば、計測部422bは、検出回路dc2,・・・の検出結果に基づいて、リレーRyのオン状態の時間を計測し、計測結果を通信部423に出力する。例えば、計測部422bは、入力端子B2,B3,B5~B10に接続された検出回路dc2,dc3,dc5~dc10の各々について、検出結果がオン状態を示す時間を計測して通信部423に出力する。なお、オン状態としては、例えば、信号がしきい値以上の状態又はリレーRyの導通状態が使用可能であるが、これに限らず、信号がしきい値未満の状態又はリレーRyの遮断状態を用いてもよい。
また、計測部422bは、信号の立ち上がりを検出した第1の検出結果と、信号の立ち下がりを検出した第2の検出結果との各々を受ける場合、第1の検出結果から第2の検出結果までの時間をカウンタ等で計測し、カウント値又はその時間換算値などの計測結果を検出結果に含めて出力してもよい。計測結果は、例えば、イベントがポンプの運転に関する場合、運転時間に対応する。このような運転時間は、例えば、部品のメンテナンス時期に関する目安となり、管理サーバ70側で管理される。また、計測結果は、例えば、イベントがポンプの故障に関する場合、故障時間に対応する。このような故障時間は、例えば、作業者を派遣する緊急度合いの目安となり、管理サーバ70側で管理される。
また、計測部422bは、信号の立ち上がりを検出した第1の検出結果の検出回数と、信号の立ち下がりを検出した第2の検出結果の検出回数との少なくとも一方を通信部423に送出してもよい。補足すると、ポンプ装置10から入力される信号においては、当該信号の立ち上がりが検出された際にメンテナンス通知の必要がある場合と、当該信号の立ち下がりが検出された際にメンテナンス通知の必要がある場合と、当該信号の立ち上がりから立ち下がりまでの間にメンテナンス通知の必要がある場合と、当該信号の立ち下がりから立ち上がりまでの間にメンテナンス通知の必要がある場合と、の4通りがあり得る。このため、計測部422bは、予め計測動作が設定されることにより、当該4通りのいずれにも対応して動作可能となっている。
また、計測部422bは、オン状態の時間の計測に代えて、オン状態となった回数を計測してもよい。この場合、計測部422bは、計測した回数を計測結果として通信部423に出力する。計測結果は、例えば、イベントがポンプの運転に関する場合、運転回数に対応する。このような運転回数は、例えば、部品のメンテナンス時期に関する目安となり、管理サーバ70側で管理される。また、計測結果は、例えば、イベントがセンサ信号の異常に関する場合、異常回数に対応する。このような異常回数は、例えば、作業者を派遣する目安となり、管理サーバ70側で管理される。
また、計測部422bは、オン状態の時間の計測に加え、オン状態となった回数を計測してもよい。この場合、計測部422bは、計測した時間及び回数に基づいて、運転時間/回数を計測(計算)し、計測結果を通信部423に出力する。運転時間/回数は、起動1回当たりの平均運転時間であり、例えば、標準的な時間範囲より長いと、ポンプが日常的に長時間駆動されている状況に対応し、標準的な時間範囲より短いと、ポンプの切り替えが頻繁にある状況に対応する。いずれにしても、運転時間/回数の値は、標準的な時間範囲から外れていると、ポンプの点検が推奨される状況に対応するので、管理サーバ70側でしきい値と比較してメンテナンス通知を作成する目安となる。
また、計測部422bは、当該計測結果に入力端子B2,B3,B5~B10の端子番号を付して通信部423に出力してもよい。
また、計測部422bは、運転に関するイベントに応じた信号がオン状態を示す時間の計測に代えて、ポンプ装置10から電源の供給を受けた通電時間を計測し、当該計測結果を通信部423に出力してもよい。この場合、通信部423は、当該計測結果を含む出力情報を管理サーバ70に送信する。なお、当該計測結果は、通電時間に加え、計測結果が通電時間である旨を識別する識別情報を含んでもよい。また、管理サーバ70は、例えば、通電時間÷ポンプ台数=ポンプの運転時間、といった関係により、通電時間からポンプの運転時間を推測可能となっている。
通信部423は、信号検出部422の検出結果に基づいて、イベントに応じた出力情報であって、信号が入力された入力端子B2,B3,B5~B10の端子番号を含む当該出力情報を管理サーバ70に送信する。係る通信部423は、例えば、有線又は無線でのシリアル通信を行う通信回路であり、信号検出部422から出力された検出結果及び端子番号を含む出力情報をシリアル通信によって管理サーバ70に送信する。なお、シリアル通信の規格としては、例えば、RS-232C、RS-422、RS-485等が適宜、使用可能となっている。また、通信部423は、シリアル通信を無線で行うための規格として、例えば、Bluetooth(登録商標)のSPP(Serial Port Profile)を用いてもよい。なお、これらに限らず、通信部423は、適宜、所定の標準通信規格に従って、基地局及びネットワーク経由で管理サーバ70に有線又は無線でのシリアル通信を行う。なお、無線の場合、管理サーバ70が無線の届く範囲にあれば通信部423と管理サーバ70との間を無線でシリアル通信可能である。但し、通常は無線の届く範囲にないので、通信部423と基地局との間が無線でのシリアル通信となり、基地局と管理サーバ70との間のネットワークが有線でのシリアル通信となる。また、通信部423は、管理サーバ70からメンテナンス通知を受信すると、受信したメンテナンス通知に基づいて、図示しない表示部を表示させてもよい。この場合、例えば、通信部423は、入力端子B2,B3,B5~B10の各々に対応して設けられた複数のLED(表示部)のうち、メンテナンス通知に対応するLEDを点灯表示させてもよい。あるいは、例えば、通信部423は、入力端子B2,B3,B5~B10の全てに対応して設けられた1つのLED(表示部)をメンテナンス通知に対応して点灯表示させてもよい。いずれにしても、作業者は、LEDが点灯していれば、ユーザ端末50から通信部423又は管理サーバ70にアクセスして、当該LEDの点灯表示に対応するメンテナンス通知を確認すればよい。この場合、例えば、通信部423は、管理サーバ70から受信したメンテナンス通知をメモリ(図示せず)に保存しておき、ユーザ端末50からのBluetooth(登録商標)などの無線通信に応じて当該メモリ内のメンテナンス通知をユーザ端末50に送信してもよい。
また一方、ユーザ端末50は、建物に給水するポンプ装置10と、ポンプ装置10を管理する管理サーバ70とに通信可能な情報処理装置である。ユーザ端末50は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
このようなユーザ端末50は、図8に例示するように、通信部51、入力部52、表示部53、メモリ54及びプロセッサ55を備えている。プロセッサ55は、後述するように、通信制御部55a、処理部55b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ55内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。通信制御部55aと通信部51との機能分担も便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
通信部51は、プロセッサ55により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、管理サーバ70などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部51は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、基地局及びネットワーク経由で管理サーバ70等の外部装置に接続可能となっている。
入力部52は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、ユーザ端末50に内蔵されてもよいし、ユーザ端末50に外付けされてもよい。入力部52は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどを含んでもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。
表示部53は、プロセッサ55の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
メモリ54は、プロセッサ55が各処理を実現するために当該プロセッサ55によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ55によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ54は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、運転データ、テーブルなどが適宜、記憶される。
プロセッサ55は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ55は、メモリ54に保存されたプログラムを実行することで、図8の通信制御部55a、処理部55bとして機能し得る。
通信制御部55aは、通信部51を介して、管理サーバ70との遠距離通信を行う。
処理部55bは、ポンプ装置10の点検、メンテナンス及び管理など、作業者の作業に応じた情報処理を実行する。例えば、処理部55bは、作業者によるポンプ装置10からの運転データの収集を支援する。また例えば、処理部55bは、操作者の操作に応じて、管理サーバ70にアクセスし、ポンプ装置10の製造番号と、通信装置40の入力端子B1~B10の端子番号と、信号名とを管理サーバ70に送信する。なお、「信号名」は、イベントを識別する情報であればよく、例えば、「信号種類」、「信号項目」、「信号内容」、「イベント名」、「イベント種類」、「イベント項目」又は「イベント内容」等といった任意の名称に変更してもよい。このことは、後述する管理サーバ70等でも同様である。また、処理部55bは、管理サーバ70からの受信内容を表示部53に表示させる。
管理サーバ60は、例えばポンプ装置10を生産、販売および/または保守する業者によって運用されるオンプレミスサーバである。管理サーバ60は、管理サーバ70と連携して、運転データを集中管理および利活用し得る。管理サーバ60は、例えば、新たに製造されたポンプ装置10の製造番号の登録を管理サーバ70に要求してもよい。
管理サーバ70は、ポンプ装置10を管理するための社内サーバ又はクラウドサーバであり、通信装置40及びユーザ端末50と通信可能となっている。なお、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバを併用することはオプションであり、管理サーバ60及び管理サーバ70はそのどちらかに統合させることもできる。また、クラウドサーバ及びオンプレミスサーバとしては、例えば、Amazon(登録商標)のAWS(登録商標)を用いてもよい。AWSは、Amazon Web Services(登録商標)の略語である。本明細書中では、理解を容易にする観点から、管理サーバ60を統合させた管理サーバ70により、ポンプ装置10を管理する場合を例に挙げて述べる。
管理サーバ70は、通信部71と、インタフェース72と、メモリ73と、プロセッサ74とを備えている。プロセッサ74は、管理部74a及び処理部74b等の機能を実現可能となっている。
ここで、通信部71は、プロセッサ74により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、ユーザ端末50と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部71は、例えば、移動通信(3G、4G、5G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、図示しない基地局及びネットワーク経由でユーザ端末50に接続可能となっている。
インタフェース72は、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で、図示しない他の装置(通信装置40、他の管理サーバ等)と通信をする通信インタフェースである。
メモリ73は、プロセッサ74が各処理を実現するために当該プロセッサ74によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ74によって使用されるデータなどを記憶する。データとしては、例えば、コード、運転状況データ、メンテナンス情報、図10及び図11に示す如き、記憶テーブル73a及び設定テーブル73bなどがある。
記憶テーブル73aは、ポンプ装置10の機種毎に、ポンプの推奨メンテナンスに関する情報、ポンプの部品交換に関する情報、イベントの累積時間に関する情報、のうちの少なくとも1つと、信号を識別する識別情報(信号名)とが関連付けて記憶されている。但し、記憶テーブル73aは、これらの情報に限らず、ユーザの操作に応じてメンテナンスに関する情報を信号名に関連付けて記憶することが可能である。また、信号名は、信号を識別する識別情報の一例である。
ポンプの推奨メンテナンスに関する情報としては、例えば、メンテナンス作業者の点検を受けることを促すメッセージなどが、適宜、使用可能となっている。例えば、ポンプの運転時間がしきい値以上の場合、メンテナンス作業者による点検を促す旨の推奨メンテナンスに関する情報に基づくメンテナンス通知が作成される。また例えば、振動センサがオン状態の場合、モータの点検を促す旨の推奨メンテナンスに関する情報に基づくメンテナンス通知が作成される。また例えば、受水槽の渇水センサがオン状態の場合、受水槽に給水するポンプの点検を促す旨の推奨メンテナンスに関する情報に基づくメンテナンス通知が作成される。
ポンプの部品交換に関する情報としては、例えば、交換部品の型番や個数を表す情報などが、適宜、使用可能となっている。例えば、漏水センサがオン状態の場合、メカニカルシールの部品交換を促す旨の部品交換に関する情報に基づくメンテナンス通知が作成される。また例えば、ポンプの運転時間が1万時間を超えた場合、モータの交換を促す旨の部品交換に関する情報に基づくメンテナンス通知が作成される。
イベントの累積時間に関する情報としては、ユーザの操作に応じて書込可能であり、例えば、イベントがポンプの運転の場合、3千時間、6千時間、1万時間などの運転時間を経過したことを表す情報などが、適宜、使用可能となっている。また、イベントの累積時間に関する情報としては、例えば、イベントがポンプの故障の場合、3時間、6時間、12時間、1日などの故障時間を経過したことを表す情報などが、適宜、使用可能となっている。
設定テーブル73bは、ポンプ装置10の製造番号毎に、後付けした通信装置40における入力端子B1~B10の各々の端子番号と、入力端子B1~B10に入力される信号を識別する識別情報(信号名)とを関連付けて設定している。なお、「信号名」は、信号の識別情報の一例であり、「信号が示すイベント」を意味する文字列であることが、特別な意味を持たない英数字の文字列よりも理解し易く、設定ミスを防止し易い観点から好ましい。図10の例では、入力端子B1の端子番号「B1」と、信号名「第1の共通電源」とが対応づけられている。また、入力端子B2,B3の端子番号「B2」,「B3」と、信号名「1号機運転」,「2号機運転」とが対応づけられている。また、入力端子B4の端子番号「B4」と、信号名「第2の共通電源」とが対応づけられている。また、入力端子B5,B6の端子番号「B5」,「B6」と、信号名「1号機故障」,「2号機故障」とが対応づけられている。また、入力端子B7,B8の端子番号「B7」,「B8」と、信号名「吸込圧力低下」,「点検作業中」とが対応づけられている。また、入力端子B9,B10の端子番号「B9」,「B10」と、信号名「高架水槽液面異常」,「制御基板圧力発信器異常」とが対応づけられている。ここで、信号名「1号機運転」,「2号機運転」,「点検作業中」は、ポンプの運転に関するイベントに応じた信号の信号名である。また、信号名「1号機故障」,「2号機故障」,「吸込圧力低下」,「制御基板圧力発信器異常」は、ポンプの故障に関するイベントに応じた信号の信号名である。また、信号名「高架水槽液面異常」は、ポンプが接続する受水槽の水位に関するイベントに応じた信号の信号名である。
補足すると、制御装置30(制御盤)のリレー出力はオン/オフ信号であり、端子台34Aを介して通信装置40に送信される。また、制御装置30は複数の出力端子A1~A10を持ち、通信装置40も複数の入力端子B1~B10を持つ。ここで、制御装置30の出力端子A1~A10の各々は、例えば出力端子A1と入力端子B1とが接続されるように、同じ数字の端子番号をもつ通信装置40の入力端子B1~B10の各々に接続されることが好ましい。この場合、管理サーバ70において、後述する設定テーブルの設定が不要となり、予め入力端子B1~B10の端子番号に関連付けて信号名及び作成用情報を記憶しておけばよい。但し、実際には、制御装置30の出力端子A1~A10の各々が、必ずしも同じ数字の端子番号をもつ通信装置40の入力端子B1~B10の各々に接続されるとは限らない。また、制御装置30(制御盤)ごとに出力端子A1~A10のもつ情報(運転なのか故障なのか)も異なるため、通信装置40の入力端子B1~B10に割り当てられる情報は自由に変更可能な構成が望ましい。これに伴い、管理サーバ70は通信装置40の入力端子B1~B10ごとに情報を設定可能に構成されており、ポンプ装置10の個体ごとに自由に変更可能である。
例えば、あるポンプ装置(#1)のリレー出力は2つあり、それは1号機/2号機故障であり、あるポンプ装置(#2)のリレー出力は3つあり、それは1号機/2号機/3号機運転であって、通信装置40の入力端子B5~B7に接続するとする。あるポンプ装置(#1)の場合、通信装置40の入力端子B5、B6にそれぞれ1号機故障/2号機故障を接続し、入力端子B7には接続せず、管理サーバ70にB5=1号機故障、B6=2号機故障、B7=使用なしと設定する。あるポンプ装置(#2)の場合、通信装置40の入力端子B5~B7にそれぞれ1号機運転/2号機運転/3号機運転を接続し、管理サーバ70にB5=1号機運転、B6=2号機運転、B7=3号機運転と設定する。この例の通りであれば、接続する制御装置30(制御盤)の種類を問わず、自由に出力情報を判別することが可能となる。通信装置40の入力端子と制御装置30の信号名との組み合わせは、管理サーバ70に設定せず、通信装置40に設定することも可能であるが、管理サーバ70で行う方が、通信装置40に操作部と液晶表示部を構成せずに済むため、好ましい。但し、設定テーブル73bは、自由に設定可能である一方、ポンプ装置10の製造番号又は型番・品番に基づいて、制御装置30の外部出力を示す信号名の初期値が設定されていてもよい。
プロセッサ74は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ74は、ポンプ装置10を管理する処理を実行する。プロセッサ74は、メモリ73に保存されたプログラムを実行することで、図9の管理部74a及び処理部74bとして機能し得る。但し、管理部74a及び処理部74bの機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更してもよい。例えば、管理部74aの機能を処理部74bが実行するように変形してもよく、処理部74bの機能を管理部74aが実行するように変形してもよい。いずれにしても、プロセッサ74が各機能を実行すればよい。
管理部74aは、ポンプ装置10を管理する。例えば、管理部74aは、通信装置40又はユーザ端末50から受けた運転状況データを保存したり、ポンプ装置10をオーバーホールした時期などといったメンテナンス情報を保存する。処理部74bは、ユーザ端末50から受けたポンプ装置10の製造番号毎に、入力端子B1~B10の端子番号と、入力端子B1~B10に対応する信号名とを関連付けて設定テーブル73bに保存(設定)する。
処理部74bは、通信装置40から送信された出力情報に基づいて、ポンプのイベントを管理する。例えば、処理部74bは、通信装置40から受けたポンプ装置10の製造番号、入力端子B1~B10の端子番号、端子番号に対応する信号のオン/オフ状態に基づいて、設定テーブル73bを参照し、当該信号のオン/オフ状態を、ポンプ装置10の信号名のオン/オフ状態として検出する。これにより、処理部74bは、ポンプ装置10の信号名のオン/オフ状態に応じて、ポンプ装置10のイベントの発生/消失状態を管理する。
また、処理部74bは、通信装置40から送信された出力情報に基づいて、イベントごとのポンプのメンテナンス通知を作成し、当該メンテナンス通知を出力する。なお、メンテナンス通知の出力先は、例えば、図示しない所定の管理者端末、ポンプ装置10を担当する作業者のユーザ端末50、及び出力情報の送信元の通信装置40などのいずれとしてもよい。ここで、処理部74bは、例えば、出力情報に含まれる端子番号に応じて設定テーブル73bから識別情報(信号名)を読み出し、当該読み出した識別情報に応じて記憶テーブル73a部から情報(作成用情報)を読み出し、当該読み出した情報に基づいて当該メンテナンス通知を作成してもよい。また、処理部74bは、当該出力情報が信号のオン状態を示した時間を含むとき、当該時間がしきい値以上の場合には、当該メンテナンス通知を作成するようにしてもよい。また、処理部74bは、当該出力情報が通信装置40の通電時間を含むとき、当該通電時間がしきい値以上の場合には、当該メンテナンス通知を作成するようにしてもよい。なお、処理部74bは、作成部及び出力部の一例である。
以下、図12を参照しながら、通信装置40を後付けしてシリアル通信を行う時の動作例を説明する。この動作例は、後付け時のステップS10と、通信時のステップS20とを含んでいる。後付け時のステップS10は、最初の1回だけ行われる。通信時のステップS20は、適宜、繰り返し実行される。
(ステップS10:後付け時)
始めに、通信装置40を後付けするステップS10は、ステップS11~S14により実行される。まず、作業者により、通信装置40を既設のポンプ装置10に後付けする後付け作業が行われる(ステップS11)。例えば、通信装置40の入力端子B1~B10を、配線ケーブルを介して制御装置30の出力端子A1~A10に接続する。また、通信装置40の電源部421を、配線ケーブルを介して制御装置30の端子台343の電源端子に接続する。なお、端子台343の電源端子は、電源ノイズをフィルタする電源基板の二次側にある。電源部421は、このような電源端子から電源を取得し、当該取得した電源の電圧を調整して信号検出部422及び通信部423に供給する。
ステップS11の後、ユーザ端末50は、作業者の操作に応じて、ポンプ装置10の製造番号、通信装置40の入力端子B1~B10の端子番号、入力端子B1~B10に入力される信号の信号名、を含む設定要求を管理サーバ70に送信する(ステップS12)。入力される信号名は、例えば、ポンプ装置10の取扱説明書を参照して、当該入力端子B1~B10に電気的に接続されるポンプ装置10の出力端子A1~A10の信号名を用いればよい。また、入力される信号名は、例えば、入力端子B1~B10の端子番号ごとに、ポンプ装置10の製造番号又は型番・品番に対応する出力端子A1~A10の信号名を提示するドロップダウンリストから選択する方式としてもよい。この場合、接続線/検出回路422aの接続線に関する入力端子B1,B4については、共通電源に関する信号名(第1の共通電源、第2の共通電源)が提示される。また、接続線/検出回路422aの検出回路dc2、dc3、dc5~dc10に関する入力端子B2,B3,B5~B10については、ポンプの運転、故障、センサ異常などに関する信号名が提示される。
ステップS12の後、管理サーバ70の処理部74bは、ユーザ端末50から受けた製造番号、端子番号及び信号名をメモリ73の設定テーブル73bに保存する(ステップS13)。
ステップS13の後、管理サーバ70の処理部74bは、設定完了を通信部71からユーザ端末50に通知する(ステップS14)。以上のステップS11~S14の実行により、ステップS10が終了する。
(ステップS20:通信時)
ステップS10の終了後、制御装置30は、イベント毎に信号を出力端子A2,A3,A5~A10から出力する(ステップS21)。出力された信号は、入力端子B2,B3,B5~B10を介して通信装置40に入力される。当該イベントとしては、例えば、ポンプの運転に関するイベント、ポンプの故障に関するイベント、ポンプが接続する受水槽の水位に関するイベント、のうちの少なくとも1つを含んでいる。
ステップS21の後、通信装置40は、入力された信号を検出し、検出結果に基づいて、イベントに応じた出力情報を管理サーバ70に送信する(ステップS22)。出力情報は、信号が入力された入力端子の端子番号を含んでいる。例えば、出力情報は、ポンプ装置10の製造番号、入力端子B2,B3,B5~B10の端子番号毎にオン/オフ状態を示す情報、が使用可能となっている。但し、通常がオフ状態であれば、オン状態のときだけ端子番号を送信することで、別途、オン/オフ状態を示す情報を送信しなくてもよい。逆に、通常がオン状態であれば、オフ状態のときだけ端子番号を送信することで、別途、オン/オフ状態を示す情報を送信しなくてもよい。オン/オフ状態を示す情報は、信号の立ち上がりを検出した第1の検出結果と、信号の立ち下がりを検出した第2の検出結果とのいずれか一方としてもよい。なお、通信装置40は、出力情報をシリアル通信により管理サーバ70に送信してもよい。
ステップS22の後、管理サーバ70は、出力情報を受信すると、当該出力情報に基づいて、イベントごとのポンプのメンテナンス通知を作成する(ステップS23)。このステップS23は、例えば、ステップST23-1~ST23-5に示すように実行される。
管理サーバ70の処理部74bは、出力情報内のポンプ装置10の製造番号に基づいて、当該製造番号毎の設定テーブル73bを選択する。また、処理部74bは、出力情報内の入力端子B2,B3,B5~B10の端子番号に応じて、設定テーブル73bから信号名を読み出す(ステップS23-1)。
ステップS23-1の後、処理部74bは、読み出した信号名がセンサ異常又は故障に関する信号名か否かを判定し(ステップS23-2)、判定の結果がセンサ異常又は故障に関する信号名を示す場合にはステップS23-5に移行する。なお、センサ異常に関する信号名は、ポンプの制御に関するイベントがセンサ信号の異常である場合に応じた当該センサ信号の信号名を意味する。但し、センサ異常に関する信号名は、ポンプに接続される受水槽の水位に関するイベントが水位センサの異常である場合に応じた信号の信号名を更に意味してもよい。すなわち、ポンプ設備が必ずしも受水槽を含まないことから、センサ異常のうち、水位センサの異常を任意の付加的事項としている。また、故障に関する信号名は、ポンプの故障に関するイベントに応じた信号の信号名を意味する。
また、ステップS23-2の判定の結果、否の場合には、読み出した信号名がポンプの運転に関する信号名を示している。この場合、処理部74bは、出力情報が信号のオン状態を示した時間を含むか否かを判定し(ステップS23-3)、時間を含む場合には、当該時間がしきい値以上か否かを判定する(ステップS23-4)。
なお、ステップS23-3~S23-4は、次のように変形してもよい。すなわち、ステップS23-3~S23-4は、処理部74bが、出力情報が通信装置40の通電時間を含むか否かを判定し(ステップS23-3)、通電時間を含む場合に当該通電時間がしきい値以上か否かを判定する(ステップS23-4)、ように変形してもよい。この変形例は、ステップS23-3~S23-4が、ポンプの運転時間が長いか否かを判定する処理であることから、ポンプの運転信号を用いてもよく、通信装置40の通電時間を用いてもよいことに基づく。また、通電時間のしきい値は、ポンプ台数が複数の場合に、通電時間÷ポンプ台数=各ポンプの運転時間、と推測される関係を考慮し、各ポンプの運転時間のしきい値とは異なる値を用いてもよい。例えば、2台のポンプを交替運転する場合、通信装置40の通電時間は、ポンプ1号機の運転時間と、ポンプ2号機の運転時間との和となる。これに伴い、通電時間のしきい値は、ポンプ1号機の運転時間のしきい値と、ポンプ2号機の運転時間のしきい値との和となる。但し、2台のポンプを並列運転する場合、通信装置40の通電時間は、ポンプ1号機及びポンプ2号機の各々の運転時間のしきい値と等しい値になる。従って、通信装置40の通電時間のしきい値は、各ポンプの運転が平準化されていると仮定して、当該運転の条件に応じて、ポンプ1台当たりの運転時間のしきい値から、当該しきい値にポンプ台数を乗じた値までの範囲内にある値が適宜、用いられる。なお、通電時間のしきい値がポンプ1台当たりの運転時間のしきい値となる場合は、完全な並列運転を行う条件に対応する。また、通電時間のしきい値がポンプ1台当たりの運転時間のしきい値にポンプ台数を乗じた値となる場合は、完全な交替運転を行う条件に対応する。
いずれにしても、ステップS23-3、S23-4のいずれかの判定の結果、否の場合にはステップS23の処理を終了する。
また、ステップS23-4の判定の結果、しきい値以上の場合には、処理部74bは、ステップS23-5に移行する。ステップST23-5は、センサ異常又は故障に関する信号名を示す場合、あるいは時間がしきい値以上の場合、に実行される。
ステップS23-5において、処理部74bは、ステップS23-1で読み出した信号名に応じて記憶テーブル73a部から作成用情報を読み出し、当該作成用情報に基づいてメンテナンス通知を作成する。例えば、処理部74bは、当該作成用情報を含むメンテナンス通知を作成する。この場合、メンテナンス通知は、ポンプの推奨メンテナンスに関する情報、ポンプの部品交換に関する情報、イベントの累積時間に関する情報、のうちの少なくとも1つを含むように作成される。但し、メンテナンス通知は、信号に応じた作成用情報と、信号がオン状態を示す時間とに基づいて作成してもよい。例えば、イベントの累積時間に関する情報が、「〇〇時間の運転時間を経過した」ことを表す情報の場合、「〇〇時間」に当該オン状態を示す時間を挿入してもよい。また、以上のステップS23-1~S23-5の実行により、ステップS23が終了する。
ステップS23の後、管理サーバ70は、メンテナンス通知を通信装置40に送信する(ステップS24)。通信装置40の通信部423は、メンテナンス通知を受信すると、当該受信したメンテナンス通知に基づいてLED(図示せず)を表示させる。なお、管理サーバ70は、メンテナンス通知をユーザ端末50に送信してもよい(ステップS25)。この場合、ユーザ端末50は、メンテナンス通知を受信すると、当該受信したメンテナンス通知を表示部53に表示させる。以上により、ステップS20が終了する。通信時のステップS20は、定期的に、又は信号の立ち上がり/立ち下がり時のような不定期に、繰り返し実行される。
上述したように一実施形態によれば、通信装置は、ポンプのイベントごとに信号を出力可能な複数の出力端子を有するポンプ装置に取り付け可能な装置である。通信装置は、複数の入力端子と、計測部と、通信部とを備えている。複数の入力端子は、複数の出力端子の各々に電気的に個別に接続されることにより、複数の出力端子の各々から信号が個別に入力される。計測部は、入力された信号のうちの少なくともポンプの運転信号がオン状態を示す時間を計測する。通信部は、信号が入力された入力端子を識別する識別情報と、計測された時間とを含む出力情報をポンプ管理装置に送信する。なお、管理装置は、当該出力情報に基づいて、イベントごとのポンプのメンテナンス通知を出力する。従って、既設のポンプ装置に後付け可能な通信装置を提供することができる。また、係る通信装置を後付けすることにより、通信非対応の既設のポンプ装置にも通信対応化を実現できる。また、通信先のポンプ管理装置による遠隔監視対応化を図ることができる。
補足すると、ポンプ装置のメンテナンス作業において、作業者の高齢化、後継者不足により、遠距離通信を用いた遠隔地での監視が望まれる。故障情報、故障を予知するための情報を遠距離通信により取得したいが、ポンプ装置の製品寿命は一般的に10年程度であり、あらかじめ遠距離通信を取り入れた製品が市場に投入されづらい。新機種に置き換えるのではなく、製品寿命を迎えつつある既設のポンプ装置に対して、後付けによる遠隔監視対応が望まれる。また、遠隔監視で望まれるのは異常監視が多く、異常に迅速に対応したいというニーズがある。ポンプ装置の多くは経年劣化とともに異常が増加する傾向にあり、新製品への置き換えからではなく、旧機種のまま対応したいということも望まれている。この種の要望に対し、一実施形態によれば、既設のポンプ装置に後付け可能な通信装置及びその通信装置に通信可能なポンプ管理装置を提供でき、好ましい。
また、一実施形態によれば、通信装置の計測部は、当該信号がオン状態を示す時間に代えて、ポンプ装置から電源の供給を受けた通電時間を計測してもよい。この場合、ポンプ装置の運転信号を用いずに、ポンプの運転時間を推測することができる。
また、一実施形態によれば、複数の入力端子に個別に入力された信号は、ポンプの運転に関するイベントに応じた信号と、前記ポンプの制御に関するイベントに応じたセンサ信号と、ポンプの故障に関するイベントに応じた信号との少なくとも1つを含むようにしてもよい。この場合、運転、センサ異常、故障、の少なくとも一つに関するイベントに応じた出力情報を管理装置に送信することができる。
また、一実施形態によれば、複数の入力端子に個別に入力された信号は、ポンプに接続される受水槽の水位に関するイベントに応じた信号を更に含んでもよい。この場合、当該出力情報を、さらに、水位に関するイベントに応じた情報とすることができる。
補足すると、旧機種のポンプ装置を利用しているプラントや大型設備では、ポンプ装置に備えた運転状態(運転、故障)や受水槽の水位(満水、減水、渇水)をリレー出力し、統合制御盤で故障検知を行うことがある。これに対し、一実施形態では、統合制御盤の代わりに、リレー出力情報をポンプ装置に後付け可能な通信装置に入力し、通信装置は入力を受けると管理装置に遠距離通信を行う。これにより、一実施形態では、統合制御盤のようなシステムを構築することなく、ユーザへイベント情報を迅速に通知可能となる通信装置を提供可能としている。
また、一実施形態によれば、ポンプ管理装置は、ポンプのイベントごとに信号を出力可能な複数の出力端子を有するポンプ装置に取り付け可能な通信装置に通信可能な管理装置である。ポンプ管理装置は、受信部、作成部及び出力部を備えている。受信部は、当該複数の出力端子から個別に出力された当該信号が通信装置の複数の入力端子に個別に入力されることにより、当該信号が入力された入力端子の端子番号を含む出力情報を通信装置から受信する。作成部は、当該出力情報に基づいて、当該イベントごとのポンプのメンテナンス通知を作成する。出力部は当該メンテナンス通知を出力する。従って、このように、入力端子の端子番号といった簡素な情報に基づいてメンテナンス通知を作成する構成により、既設のポンプ装置に後付け可能な通信装置に通信可能なポンプ管理装置を提供することができる。また、これにより、通信非対応の既設のポンプ装置に対する遠隔監視を実現でき、後付けされた通信装置からの出力情報に基づくメンテナンス通知を出力することができる。
また、一実施形態によれば、ポンプ管理装置は、記憶部と、設定部と、を更に備えてもよい。記憶部は、ポンプ装置の機種毎に、ポンプの推奨メンテナンスに関する情報、ポンプの部品交換に関する情報、イベントの累積時間に関する情報、のうちの少なくとも1つと、信号を識別する識別情報とが関連付けて記憶されてもよい。設定部は、通信装置毎に、識別情報と端子番号とを関連付けて設定するようにしてもよい。これに伴い、作成部は、出力情報に含まれる端子番号に応じて設定部から識別情報を読み出し、当該読み出した識別情報に応じて記憶部から当該情報を読み出し、当該読み出した情報に基づいてメンテナンス通知を作成するようにしてもよい。この場合、出力情報に基づいてメンテナンス通知を作成する構成を容易に実現させることができる。
また、一実施形態によれば、作成部は、出力情報が信号のオン状態を示した時間を含むとき、当該時間がしきい値以上の場合には、メンテナンス通知を作成するようにしてもよい。この場合、例えば、運転時間又は故障時間がしきい値以上のときにメンテナンス通知を作成するので、信号の時間がしきい値以上に長いことを考慮したメンテナンス通知を作成及び出力することができる。
また、一実施形態によれば、作成部は、出力情報が前記通信装置の通電時間を含むとき、当該通電時間がしきい値以上の場合には、メンテナンス通知を作成するようにしてもよい。この場合、例えば、ポンプの運転時間に代えて、通電時間がしきい値以上のときにメンテナンス通知を作成できるので、運転時間に代えて、通電時間がしきい値以上に長いことを考慮したメンテナンス通知を作成及び出力することができる。
また、一実施形態によれば、通信装置の信号検出部は、信号の立ち上がりを検出した第1の検出結果と、信号の立ち下がりを検出した第2の検出結果との各々を通信部に送出するようにしてもよい。この場合、信号の状態が変化したときのみ、通信部を介してポンプ管理装置に出力情報を送信するので、通信処理の負荷を軽減させることができる。
また、一実施形態によれば、上記通信装置は、入力基板と、通信基板と、を備え、入力基板は複数の入力端子及び検出部が実装され、通信基板は通信部が実装される、ようにしてもよい。この場合、既設のポンプ装置のうち、比較的旧機種には入力基板と通信基板とを後付けし、比較的新機種に通信基板のみを後付けするといった使い分けを行うことが期待できる。
補足すると、通信装置は、ポンプ装置の旧製品にも新製品にも対応できていると兼用化によりコストを抑えることができる。このため、通信装置において、リレー入力が可能な回路は別基板にして取り外し可能に構成すると、新製品で使用する際、コストを抑えることができる(リレーは端子台受けが一般的で、基板サイズも大きくなる傾向にあり、新製品では使用しない。)。
また、一実施形態によれば、電源ノイズをフィルタする電源基板の二次側に電源端子を有するポンプ装置に対し、通信装置は、電源部を備えてもよい。電源部は、ポンプ装置の当該電源端子に電気的に接続されることにより、電源端子から電源を取得し、当該取得した電源の電圧を調整して検出部及び通信部に供給する。この場合、通信装置は、ポンプ装置の電源基板の二次側から電源を取得することができる。
補足すると、通信装置はポンプ装置に構成される制御盤に取り付けることを想定している為、電源を制御盤でフィルタされた二次側から取得すると、通信装置に余分なフィルタ回路を設ける必要がなく、コンパクトで安価な製品を提供することができる。
また、一実施形態によれば、通信部は、出力情報をシリアル通信により管理装置に送信するようにしてもよい。この場合、パラレル通信に比べ、簡素な構成で実現することができる。また、新製品のポンプ装置でも通信基板は兼用化して使用するため、通信装置はシリアル通信に対応していればよい。
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
また、以上のような通信装置及びポンプ管理装置を備えたポンプ管理システムは、以下の[1]~[7]に示すように、表現してもよい。なお、以下の記載中、「ポンプ装置の管理システム」は「ポンプ管理システム」に対応する。「ポンプ装置の管理システム」を対象とした表現は、「通信装置」及び「管理装置」のいずれかを対象とした表現に書き換えてもよい。「管理装置」は「ポンプ管理装置」に対応する。「信号入力部」は「入力端子」に対応する。「信号出力部」は「出力端子」に対応する。「演算部」は「計測部」に対応する。
[1]送信された信号を元にメンテナンス通知を行う管理装置と、信号を入力する信号入力部、及び当該信号入力部への入力情報を当該管理装置に送信可能な通信部を備える通信装置とにより構成される、ポンプ装置の管理システムであって、上記通信装置は、単一または複数のポンプを制御する制御部と、当該制御に使用させるセンサ信号を入力するセンサ信号入力部と、当該ポンプ装置に接続される受水槽の水位を入力する水位判定部と、当該制御部、センサ信号入力部及び水位判定部による信号を出力可能な信号出力部とを備えたポンプ装置の、前記信号を入力可能である、ポンプ装置の管理システム。
[2]上記ポンプ装置の信号出力部が出力可能な信号は、ポンプ毎の故障、ポンプ毎の運転、センサの異常、水位判定の異常、の少なくとも1つを含む、上記[1]に記載のポンプ装置の管理システム。
[3]上記メンテナンス通知は、推奨メンテナンス情報通知、消耗部品の交換通知、その他ユーザにより決められた管理装置に設定された通知、の少なくとも1つを含む、上記[1]又は[2]に記載のポンプ装置の管理システム。
[4]上記信号入力部が入力無しから入力有りになったとき、及び入力有りから入力無しになったとき、のうちの少なくとも1つを判定基準として、上記通信装置は、上記信号を管理装置に送信し、管理装置は、当該判定基準により、上記信号によるメンテナンス通知を行うか決定する、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポンプ装置の管理システム。
[5]上記通信装置は、上記信号がポンプの運転情報であったとき、上記信号の入力有りから入力無しまでの時間(運転時間)、当該入力有りの回数(運転回数)を計測可能な演算部を備え、当該計測情報を上記管理装置に送信し、上記管理装置は計測情報によりメンテナンス通知を行う、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポンプ装置の管理システム。
[6]上記通信装置は通電時間を管理装置に送信し、上記管理装置はあらかじめ設定された閾値を超えた場合にメンテナンス通知を行う、上記[1]乃至[5]のいずれかに記載のポンプ装置の管理システム。
[7]上記メンテナンス通知をポンプ装置に送信可能な管理装置と、当該メンテナンス通知を表示可能な表示部を備えるポンプ装置とにより構成される、上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のポンプ装置の管理システム。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。