JP2022139135A - タイヤ - Google Patents

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将一 向井
Masakazu Mukai
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【課題】走行末期の溝底クラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)を向上するタイヤを提供する。【解決手段】少なくとも1つの周方向溝と、2層以上のゴム層を有するトレッド部を備えたタイヤであって、ゴム層は、トレッドの最表面のゴム層1と、タイヤ半径方向内側に隣接したゴム層2とを少なくとも有し、周方向溝のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面での溝幅L0、最表面から95%での溝幅L95は、(1)0.00<L95/L0<1.00を満たし、周方向溝の溝底におけるゴム層1、2の硬度H1、H2は、(2)H1>H2を満たし、周方向溝の溝底におけるゴム層1は、loge(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、loge(tear energy[J])に対するloge(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下である。(dc/dNは、亀裂長さを印加回数で微分した値)【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤに関する。
近年、2層以上の多層構造のトレッドを備えたタイヤにおいて、トレッドの周方向溝底部においてTread Groove Crack(TGC)が生じ、溝底でのクラックが進行することが問題となっている。
本発明は、前記課題を解決し、走行末期における溝底でのクラックの進行を抑制する性能(耐TGC性能)を向上するタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも1つの周方向溝を有し、2層以上のゴム層を有するトレッド部を備えたタイヤであって、
前記ゴム層は、トレッドの最表面に配されたゴム層1と、前記ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2とを少なくとも有し、
前記周方向溝のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面での溝幅L0(mm)、前記周方向溝のタイヤ半径方向最表面から95%の位置における溝幅L95(mm)は、下記式(1)を満たし、
(1)0.00<L95/L0<1.00
前記周方向溝の溝底における前記ゴム層1及び前記ゴム層2のそれぞれの硬度H1、H2は、下記式(2)を満たし、
(2)H1>H2
前記周方向溝の溝底における前記ゴム層1は、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下であるタイヤに関する。
(但し、dc/dNは、crack length(亀裂長さ)をcycleN(印加回数)で微分した値を表す。)
前記タイヤは、下記式を満たすことが好ましい。
0.10≦L95/L0≦0.30
前記タイヤは、前記L95/L0、前記傾きaが下記式を満たすことが好ましい。
{a/(L95/L0)}≦10.0
前記タイヤは、前記L95/L0、前記傾きa、前記周方向溝の溝深さDが下記式を満たすことが好ましい。
{a/(L95/L0)}/D≦2.00
前記タイヤは、前記L0が5~20mmであることが好ましい。
前記タイヤは、前記周方向溝の溝深さDが6.0~12.0mmであることが好ましい。
前記タイヤは、前記H1、前記H2が下記式を満たすことが好ましい。
1.04≦H1/H2≦1.20
前記タイヤは、前記H2が44~53であることが好ましい。
本発明によれば、少なくとも1つの周方向溝を有し、かつ、トレッドの最表面に配されたゴム層1と、前記ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2とを少なくとも有する2層以上のゴム層を有するトレッド部を備えたタイヤにおいて、前記式(1)、(2)を満たし、かつ前記傾きaが2.0以下であるタイヤであるので、優れた走行末期における耐TGC性能を有するタイヤを提供できる。
図1は、空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。 tear energy[J]と亀裂成長性[mm/cycle]とを対数変換して得られるグラフの一例である。 (a)はcycleN(印加回数)とcrack length(亀裂長さ)との関係を示すグラフ、(b)は(a)についてcrack lengthをcycleNで微分したグラフの一例である。
本発明は、少なくとも1つの周方向溝を有し、かつ、トレッドの最表面に配されたゴム層1と、前記ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2とを少なくとも有する2層以上のゴム層を有するトレッド部を備えたタイヤにおいて、前記式(1)、(2)を満たし、かつ、周方向溝の溝底におけるゴム層1は、tear energy1.0×100.1~2.0×100.1[J]の範囲において、tear energy[J]に対する亀裂成長性[mm/cycle]の傾きaが2.0以下であるタイヤである。前記タイヤは、走行末期における耐TGC性能に優れている。
このような作用効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
トレッド部の剛性を確保しつつ、排水性を確保する方法として、周方向溝をV字形とし、ブロック部を半径方向内側に向けて広くする手法が考えられるが、V字の角度が大きくなるほど、走行中に溝底部において変形が集中し、かつ変形量も大きくなると考えられる。そこで、「tear energy1.0×100.1~2.0×100.1[J]の範囲において、tear energy[J]に対する亀裂成長性[mm/cycle]の傾きaが2.0以下」とすることで、溝底部の溝幅(L95)に対して、トレッド表面の溝幅(L0)が大きくなるにしたがって、変形に対する亀裂成長性のパラメータ(傾きa)を小さくすることにより、繰り返し変形によってクラックが生じにくくなり、走行末期においてもTGCが生じ難くすることができると考えられる。また、周方向溝の溝底における最表面のゴム層1の硬度H1に比べ、該ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配された2層目のゴム層2の硬度H2を小さくすることで、最表面のゴム層1での応力集中が緩和され、耐TGC性能が向上すると考えられる。従って、前記タイヤにおいて、走行末期における耐TGC性能が顕著に向上すると推察される。
このように、前記タイヤは、「0.00<L95/L0<1.00」を満たすタイヤにおいて、「H1>H2」、「周方向溝の溝底におけるゴム層1は、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下(但し、dc/dNは、crack length(亀裂長さ)をcycleN(印加回数)で微分した値を表す。))」を備える構成にすることにより、走行末期における耐TGC性能を向上するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、「H1>H2」、「周方向溝の溝底におけるゴム層1は、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下(但し、dc/dNは、crack length(亀裂長さ)をcycleN(印加回数)で微分した値を表す。))」のパラメータは課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、走行末期における耐TGC性能を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメータを満たすような構成にしたものである。
以下、適宜図面が参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は該形態に制限されるものではなく、請求項の範囲内にあるタイヤを全て含むものである。
図1には、空気入りタイヤ2のタイヤ断面視の一例が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のウィング8、一対のクリンチ10、一対のビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、インナーライナー20及び一対のチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、周方向溝26が刻まれている。周方向溝26とは、タイヤの周方向に沿って設けられた溝である。周方向溝26は、周方向に連通していれば、ジグザグ状でも、湾曲状でも、直線状でもよい。この周方向溝26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。ベース層28は、キャップ層30のタイヤ半径方向内側に隣接して位置している。図1の形態においては、キャップ層30が「トレッドの最表面に配されたゴム層1」、ベース層28が「ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2」に相当する。
なお、図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、これに限らず、2層以上の任意の多層構造のトレッドに適用できる。3層以上の構造を有するトレッド4の場合は、トレッドの最表面に配されたゴム層がゴム層1を構成し、このトレッドの最表面に配されたゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層がゴム層2を構成することになる。
図1のタイヤ2において、それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール6は、例えば、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのウィング8は、トレッド4とサイドウォール6との間に位置している。ウィング8は、トレッド4及びサイドウォール6のそれぞれと接合している。ウィング8は、例えば、接着性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのクリンチ10は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、例えば、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。
それぞれのビード12は、クリンチ10の軸方向内側に位置している。ビード12は、コア32と、このコア32から半径方向外向きに延びるエイペックス34とを備えている。コア32はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質として、例えば、スチールが例示される。エイペックス34は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス34は、例えば、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス14は、カーカスプライ36を備えている。このタイヤ2では、カーカスプライ36は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ36は、それぞれのコア32の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ36には、主部36aと一対の折り返し部36bとが形成されている。すなわち、カーカスプライ36は、主部36aと一対の折り返し部36bとを備えている。
図示されていないが、カーカスプライ36は、例えば、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°が好適である。コードは、例えば、有機繊維からなり、具体的には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維などが例示される。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。ベルト16は、内側層38及び外側層40からなる。
図示されていないが、内側層38及び外側層40のそれぞれは、例えば、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層40のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードは、例えば、スチール、有機繊維からなり、該有機繊維としては、前述のもの等が例示される。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18はベルト16の幅と同等の幅を有している。このバンド18が、このベルト16の幅よりも大きな幅を有していてもよい。
図示されていないが、バンド18は、例えば、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、例えば、螺旋状に巻かれている。このバンド18としては、例えば、いわゆるジョイントレス構造を有するものが例示される。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、例えば、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト16が拘束されるので、ベルト16のリフティングが抑制される。コードは、例えば、有機繊維からなり、該有機繊維としては、前述のもの等が例示される。
ベルト16及びバンド18は、補強層を構成している。ベルト16のみから、補強層が構成されてもよい。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー20は、例えば、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー20の典型的な基材ゴムとして、例えば、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどが例示される。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。チェーファー22は、例えば、布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー22が、クリンチ10と一体とされてもよい。この場合、チェーファー22の材質は、例えば、クリンチ10の材質と同じとされる。
図2は、図1のタイヤ2のトレッド4の近辺が示された拡大断面図である。図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図2の拡大断面図に示されるタイヤ2において、周方向溝26のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面の位置における溝幅L0(mm)、周方向溝26のタイヤ半径方向最表面から95%の深さの位置における溝幅L95(mm)が、下記式(1)を満たす。タイヤ2は、すべての周方向溝26が式(1)の関係を満たすことが好ましいが、1本の周方向溝26が式(1)の関係を満たすものでもよい。
(1)0.00<L95/L0<1.00
L95/L0の下限は、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。L95/L0の上限は、0.70以下が好ましく、0.50以下がより好ましく、0.30以下が更に好ましい。上記範囲内であると、より効果が得られる傾向がある。
タイヤ2において、周方向溝26の溝幅L0は、溝底部での変形を小さくし、クラックの発生を抑制する観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは12mm以下であり、また、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上、更に好ましくは8mm以上である。
タイヤ2において、周方向溝26の溝深さDは、溝底部での変形を小さくし、クラックの発生を抑制する観点から、好ましくは13.0mm以下、より好ましくは12.0mm以下、更に好ましくは11.5mm以下であり、また、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは6.0mm以上、更に好ましくは8.0mm以上である。
なお、本明細書において、周方向溝26の溝深さとは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の法線に沿って計測され、該接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底までの距離を意味するものであり、図2では、周方向溝26の溝深さは、Dの長さを意味する。そして、周方向溝26のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面の位置とは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面の位置を意味し、周方向溝26のタイヤ半径方向最表面から95%の深さの位置とは、トレッド最表面の接地面を形成する面を延長した面から最深の溝底まで(100%)の95%の距離の位置を意味する。
タイヤ2は、周方向溝26の溝底27におけるキャップ層30A(溝底27のタイヤ半径方向内側に位置するキャップ層30A:破線内のキャップ層30A)の硬度H1、溝底27におけるベース層28A(溝底27のタイヤ半径方向内側に位置するベース層28A:破線内のベース層28A)の硬度H2が、下記式(2)を満たす。図1の形態においては、キャップ層30Aが「周方向溝の溝底におけるゴム層1」、ベース層28Aが「周方向溝の溝底におけるゴム層2」に相当する。
(2)H1>H2
H1/H2は、好ましくは1.02以上、より好ましくは1.04以上、更に好ましくは1.06以上である。H1/H2の上限は、好ましくは1.30以下、より好ましくは1.20以下、更に好ましくは1.10以下である。上記範囲内であると、溝底部での応力集中が緩和され、クラックの発生を抑制しやすくなると考えられる。
H1は、好ましくは45以上、より好ましくは49以上、更に好ましくは50以上、特に好ましくは51以上である。H1の上限は、好ましくは60以下、より好ましくは58以下、更に好ましくは55以下である。上記範囲内であると、溝底部での応力集中が緩和され、クラックの発生を抑制しやすくなると考えられる。
H2は、好ましくは40以上、より好ましくは44以上、更に好ましくは46以上、特に好ましくは48以上である。H2の上限は、好ましくは55以下、より好ましくは53以下、更に好ましくは50以下である。上記範囲内であると、溝底部での応力集中が緩和され、クラックの発生を抑制しやすくなると考えられる。
なお、本明細書において、ゴム層(加硫後)の硬度H1、H2は、JIS K6253-3(2012)の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に従って、タイプAデュロメータにより、25℃で測定される。物性測定のための試験片は、原則、タイヤ2から切り出したゴム片を、断面方向から測定することで求められる。ただし、タイヤ2から試験片を切り出すことができない場合には、例えば、伸張型の動的粘弾性の弾性率と硬度との関係から相関を求めて算出することが可能である。
ここで、ゴム層の硬度Hは、ゴム層を構成するゴム組成物に配合される薬品(特に、ゴム成分、充填剤、可塑剤、シランカップリング剤、柔軟粒子など)の種類や量によって調整することが可能である。例えば、硬度Hは、充填剤を増量したり、可塑剤を減量したりすると大きくなる傾向があり、充填剤を減量したり、可塑剤を増量したりすると小さくなる傾向がある。また、柔軟粒子の硬度の大小を利用し、該粒子を配合することで、硬度を上げたり、下げたりすることが可能である。
図2の拡大断面図に示されるタイヤ2において、周方向溝26の溝底27におけるキャップ層30A(溝底27のタイヤ半径方向内側に位置するキャップ層30A:破線内のキャップ層30A)は、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きa[(mm/cycle)/J]が2.0以下である(但し、dc/dNは、crack length(亀裂長さ)をcycleN(印加回数)で微分した値を表す。))。傾きa[(mm/cycle)/J]は、好ましくは1.9以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.7以下である。傾きa[(mm/cycle)/J]の下限は特に限定されず、小さいほど望ましいが、0.3以上でも、0.5以上でも、0.7以上でもよい。図1の形態においては、キャップ層30Aが「周方向溝の溝底におけるゴム層1」に相当する。
ここで、「log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下」との特性を満たす手法としては、スチレンブタジエンゴムを配合すること、柔軟粒子を配合すること、加硫剤及び/又は加硫促進剤を配合すること、これらの成分の含有量を調整すること、などの手法が挙げられる。
傾きa[(mm/cycle)/J]は、例えば、各tear energy[J]における各亀裂成長性[mm/cycle]を測定し、得られた測定値を対数変換した後、最小二乗法を適用することにより、測定できる。
図3は、測定により得られた各tear energy[J]、各亀裂成長性[mm/cycle]の値について、対数変換をすることにより得られたグラフの一例である。この対数変換したグラフにおいて、tear energy1.0×100.1~2.0×100.1[J]の範囲に対応するのは、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲であり、当該範囲について最小二乗法を適用することで、傾きa(1.7509(mm/cycle)/J)が得られる。
具体的には、例えば、以下の手法により、図3の対数変換したグラフが作製され、最小二乗法を適用することで、傾きaを測定できる。
複数の試験片を準備し、各試験片について、各tear energyで繰り返し振幅を印加し、各試験片が破断するまで振幅の印加を繰り返す。そして、各試験片について、繰り返し振幅を印加している間におけるcycleN(印加回数)とcrack length(亀裂長さ)との関係を示すグラフを作製し、そのグラフにおいてcrack lengthをcycleNで微分し、dc/dNを求める。
図4(a)は、ある試験片でのcycleN(印加回数)とcrack length(亀裂長さ)との関係を示すグラフ、図4(b)は、そのグラフにおいてcrack lengthをcycleNで微分し、図4(a)の傾きの変化を測定し、dc/dNを求めることを示すグラフである。ゴム組成物の配合による違いはあるが、図4(a)に示されているように、crack length cはNが小さいところで急に立ち上がり、その後、しばらく一定の傾きで変化し、再び急激に立ち上がる傾向を持ち、図4(a)の傾きの変化から、図4(b)を作製し、図4(b)に示されているとおり、傾きが一定となる期間の平均値をdc/dnと定義する。
そして、各試験片について、得られたtear energyとdc/dnの測定値を対数変換することで、log(tear energy[J])とlog(dc/dn[mm/cycle])との関係を示す図3などに示される対数グラフが得られ、更に最小二乗法を適用することで、該対数グラフの傾きa[(mm/cycle)/J]を測定できる。
なお、crack length(亀裂長さ)の測定は、亀裂長さの観測、計測が可能な任意の方法を使用できる。例えば、各社から販売されている引張-圧縮型の疲労試験、恒温槽付き疲労試験機などを用い、CCDカメラを備えた画像処理システムによって測定できる。また、印加回数(繰り返し回数)ごとに顕微鏡、ノギスなどで計測することも可能である。
タイヤ2は、前記L95/L0、前記傾きa[(mm/cycle)/J]が下記式を満たすことが好ましい。下記式の関係を満たすように、L95/L0の値が小さくなる(溝底部での角度が小さくなる)にしたがって、傾きaを小さくするようにすることで、溝底部で応力集中が生じやすくなっても十分な耐亀裂性を得ることが可能となり、溝底での耐クラック性能を向上させることが可能になると考えられる。
{a/(L95/L0)}≦20.0
{a/(L95/L0)}は、好ましくは17.8以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは8.0以下、特に好ましくは6.0以下である。{a/(L95/L0)}の下限は特に限定されないが、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、更に好ましくは3.0以上である。
タイヤ2は、前記L95/L0、前記傾きa[(mm/cycle)/J]、周方向溝26の溝深さDが下記式を満たすことが好ましい。上記の関係に加えて、タイヤ表面から溝の底面までの距離が長いほど、路面からトレッド部が受けた力をトレッド内で吸収しやすくなり、溝底部での入力を小さくすることが可能となり、溝底での耐クラック性能を向上させやすくなると考えられる。
{a/(L95/L0)}/D≦2.50
{a/(L95/L0)}/Dは、好ましくは2.23以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.50以下、特に好ましくは0.99以下である。{a/(L95/L0)}/Dの下限は特に限定されないが、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.70以上、特に好ましくは0.74以上である。
図1に示されているように、タイヤ2のトレッド4には、複数本、詳細には、3本の周方向溝26が刻まれている。これらの周方向溝26は、軸方向に間隔をあけて配置されている。このトレッド4には、3本の周方向溝26が刻まれることにより、周方向に延在する4本のリブ44が形成されている。つまり、リブ44とリブ44との間が周方向溝26である。
それぞれの周方向溝26は、周方向に延在している。周方向溝26は、周方向に途切れることなく連続している。周方向溝26は、例えば雨天時において、路面とタイヤ2との間に存在する水の排水を促す。このため、路面が濡れていても、タイヤ2は路面と十分に接触することができる。
タイヤ2の製造では、複数のゴム部材がアッセンブリーされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。このローカバーが、モールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。そのキャビティ面に凸凹模様を有するモールドが用いられることにより、タイヤ2に凹凸模様が形成される。
前記のとおり、図1、2のタイヤ2の例では、キャップ層30が「トレッドの最表面に配されたゴム層1」、ベース層28が「ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2」に相当するものであるが、ゴム層1を構成するゴム層1用ゴム組成物、ゴム層2用ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムを使用できる。ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。また、ブチル系ゴム、フッ素ゴムなども挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、非変性ジエン系ゴムでもよいし、変性ジエン系ゴムでもよい。
変性ジエン系ゴムとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムであればよく、例えば、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ジエン系ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ジエン系ゴム等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物に使用可能なゴム成分としては、より効果が得られる観点から、SBR、BR、イソプレン系ゴムを含むことが好ましく、これらを組み合わせてもよい。より好ましくはSBRを含むことが好ましく、SBRのみを含んでもよい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。変性SBRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性SBRが挙げられる。
ゴム層1用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
また、BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。変性BRとしては、変性ジエン系ゴムと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
ゴム層1用ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、ゴム工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム層1用ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、効果がより良好に得られる観点から、柔軟粒子を含むことが好ましい。
柔軟粒子は、効果がより良好に得られる観点から、平均粒子径が0.08~50μmであることが好適である。柔軟粒子の平均粒子径は、効果がより良好に得られる観点から、であることが好適である。下限は、0.5μm以上が好ましく、0.8μm以上がより好ましく、1μm以上が更に好ましい。上限は、45μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、35μm以下が更に好ましい。ここで、柔軟粒子が後述の「内部に空洞部を形成するように発泡された発泡粒子」である場合、上記平均粒子径は、発泡後の値である。
なお、本明細書において、柔軟粒子の平均粒子径の測定方法は、レーザなどによる光散乱法や光回折法により得られる値である。なお、実施例は、レーザによる光散乱法による測定値である。使用する測定装置としては、島津製作所 レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD-2300等が挙げられる。
ゴム層1用ゴム組成物において、柔軟粒子の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物において、柔軟粒子の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
柔軟粒子の硬度は、ゴム成分の硬度より小さくても良いし、大きくてもよいが、効果がより良好に得られる観点からは、ゴム成分の硬度より大きい方が好ましい。
柔軟粒子の構造としては特に限定されず、中実構造、中空構造、中実/中空構造(複数の層から構成されるコア・シェル構造等)、等が挙げられる。また、柔軟粒子は、粒子表面に表面修飾を施した粒子(粒子表面を変性剤で変性してゴムとの親和性を向上した柔軟粒子等)も使用可能である。
具体的には、柔軟粒子として、例えば、メラミンビーズ、アクリルビーズ、アクリル-スチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリスチレンビーズ、塩ビビーズ、ウレタン架橋微粒子、シリコン系ビーズ等の樹脂ビーズ(樹脂粒子)を好適に使用できる。
柔軟粒子として、内部に空洞部を形成するように発泡された発泡粒子も好適に使用できる。上記発泡粒子は、熱発泡性を有する粒子を発泡させた発泡粒子が好ましく、熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させて発泡させた発泡粒子がより好ましい。ここで、熱膨張性マイクロカプセルは、外殻樹脂の内部に低沸点溶剤等の揮発性物質が内包されたものであり、加熱により外殻樹脂が軟化し、内包された揮発性物質が揮発ないし膨張するため、その圧力で外殻が膨張して粒子径が大きくなり、発泡粒子となるものである。なお、熱膨張性マイクロカプセルを発泡させる温度は、特に限定されないが、後述する発泡開始温度より大きく、最大発泡温度未満であることが好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルの外殻は、熱可塑性樹脂から形成されることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等のビニル重合体及びこれらの共重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;等が挙げられる。なかでも、アクリロニトリルの共重合体が好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルの内部に内包される揮発性物質としては、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数3~7の炭化水素;石油エーテル;塩化メチル、メチレンクロリド等のメタンのハロゲン化物;CClF、CCl等のクロロフロオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン等のテトラアルキルシラン;等の低沸点液体が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの好適例としては、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合体を外殻樹脂とし、イソブタン等の炭素数3~7の炭化水素を内包したマイクロカプセルが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルは、平均粒子径が好ましくは2~10倍に膨張して、上記発泡粒子となることが好ましい。また、熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度は、95~150℃が好ましく、105~140℃が更に好ましい。また、最大発泡温度は、120~200℃が好ましく、135~180℃が更に好ましい。
柔軟粒子としては、根上工業(株)製「ハイパール」及び「アートパール」、積水化成工業(株)製「テクノポリマー」(中実粒子);日本フィライト(株)製「EXPANCEL」、積水化学工業(株)製「アドバンセル」、松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアー」、(株)クレハ製「マイクロスフェアー」(熱膨張性マイクロカプセル);等の市販品を使用できる。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、柔軟粒子以外のフィラー(充填材)を含んでもよい。
前記フィラー(充填材)として、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー;難分散性フィラー等が挙げられる。なかでも、シリカ、カーボンブラックが好ましい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物において、使用可能なシリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは70m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
ゴム層1用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカとともにシランカップリング剤を配合してもよい。
使用可能なシランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物において、使用可能なカーボンブラックとしては、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
ゴム層1用ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物には、可塑剤を配合してもよい。
可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、例えば、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)、樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
ゴム層1用ゴム組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量(可塑剤の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物に使用可能な液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー、液状ファルネセン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム層1用ゴム組成物が液体可塑剤を含有する場合、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、油展オイルに含まれるオイル量も含まれる。
ゴム層2用ゴム組成物が液体可塑剤を含有する場合、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、油展オイルに含まれるオイル量も含まれる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましい。
液状樹脂としては、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、フェノール樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、これらの水素添加物も使用可能である。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。
ゴム層1用、ゴム層2用ゴム組成物サに使用可能な上記樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)としては、例えば、常温(25℃)で固体状態の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。また、樹脂は、水添されていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、石油樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。
ゴム層1用ゴム組成物が液体可塑剤を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム層2用ゴム組成物が液体可塑剤を含有する場合、上記樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部でもよいが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の軟化点は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、160℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、115℃以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、高荷重かつ高速で走行した際の耐カット性が改善される傾向がある。
なお、上記樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記芳香族ビニル重合体は、芳香族ビニルモノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、具体的には、スチレンの単独重合体(スチレン樹脂)、α-メチルスチレンの単独重合体(α-メチルスチレン樹脂)、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、スチレンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。
上記クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂である。クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記クマロン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロンを含む樹脂である。
上記インデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるポリマー等の公知のものを使用できる。なかでも、酸触媒で反応させることにより得られるもの(ノボラック型フェノール樹脂など)が好ましい。
上記ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、これらの水素添加物に代表されるロジン系樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5/C9系樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、これらの水素添加物などが挙げられる。なかでも、DCPD樹脂、水添DCPD樹脂が好ましい。
上記テルペン系樹脂は、テルペンを構成単位として含むポリマーであり。例えば、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂、テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂も使用できる。なお、テルペン化合物としては、α-ピネン、β-ピネンなど、フェノール系化合物としては、フェノール、ビスフェノールAなど、芳香族化合物としては、スチレン系化合物(スチレン、α-メチルスチレンなど)が挙げられる。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系モノマーを構成単位として含むポリマーである。例えば、カルボキシル基を有し、芳香族ビニルモノマー成分とアクリル系モノマー成分とを共重合して得られる、スチレンアクリル樹脂等のスチレンアクリル系樹脂などが挙げられる。なかでも、無溶剤型カルボキシル基含有スチレンアクリル系樹脂を好適に使用できる。
上記可塑剤としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、耐クラック性、耐オゾン性等の観点から、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては特に限定されないが、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは7.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下である。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、ステアリン酸を含んでもよい。ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部以上、より好ましくは0.5~5質量部である。
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物には、ワックスを配合してもよい。ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。なお、ワックスの含有量は、耐オゾン性、コストの点から、適宜設定すれば良い。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物には、硫黄を配合してもよい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上である。該含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物は、加硫促進剤を含んでもよい。
加硫促進剤の含有量は特に制限はなく、要望する加硫速度や架橋密度に合わせて自由に決定すれば良いが、ゴム成分100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7質量部である。
加硫促進剤の種類は特に制限はなく、通常用いられているものを使用可能である。加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、前記性能バランスの観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物には、上記成分以外にも、離型剤や顔料等の応用分野に従い、それらに使用される通常の添加物を適宜配合してもよい。
ゴム層1、ゴム層2用ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、必要に応じて架橋する方法などにより製造できる。なお、混練条件としては、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。また、オールシーズンタイヤ、サマータイヤ、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)等に使用できる。中でも乗用車用タイヤに用いることが好ましい。なお、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。ここで、最大負荷能力とは、そのタイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める最大負荷能力であり、例えば、JATMA規格(日本自動車タイヤ協会規格)であれば、ロードインデックス(LI)に基づく最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
SBR:JSR(株)製のHPR850(スチレン含有量27.5質量%、ビニル結合量59.0質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量98質量%)
NR:TSR20
柔軟粒子1:根上工業(株)製のアートパールJB-800(ウレタンビーズ(中空構造)、平均粒子径6μm)
柔軟粒子2:根上工業(株)製のアートパールJB-400(ウレタンビーズ(中空構造)、平均粒子径15μm)
柔軟粒子3:根上工業(株)製のC-200(ウレタンビーズ(中空構造)、平均粒子径32μm)
柔軟粒子4:根上工業(株)製のC-100(ウレタンビーズ(中空構造)、平均粒子径50μm)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
加硫促進剤:住友化学(株)製のソクシノールCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<実施例及び比較例>
表1、3に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を添加し、150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次いで、硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、100℃の条件下で2分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた各未加硫ゴム組成物を用いて、表2、4の仕様に従い、キャップトレッド(ゴム層1に相当)、ベーストレッド(ゴム層2に相当)の形状に成型し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて170℃で15分間加硫することにより、試験タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた試験タイヤについて、以下の物性測定、評価を行い、結果を各表に示した。なお、表2、4は、それぞれ比較例1-1、2-1を基準比較例とした。
<傾きa[(mm/cycle)/J]>
各試験用タイヤの周方向溝の溝底におけるキャップトレッドから採取した各サンプルについて、tear energy1.0×100.1~2.0×100.1[J]の範囲におけるtear energy[J]に対する亀裂成長性[mm/cycle]の傾きa[(mm/cycle)/J]を、各tear energy[J]における各亀裂成長性[mm/cycle]を測定し、図3、4に準じて、測定値を対数変換した後、最小二乗法を適用することにより測定した。なお、以下の装置、試験条件により実施した。
(装置)
Coesfeld社製 Tear Fatigue Analyzer(き裂観察システム付き疲労試験機)
(試験条件)
室温(約23℃)の環境下で、周波数5Hzで10Hz周期のハルス波にて、15mmの平滑部を持つ試験片の平滑部に対して、10,15,20,25,30,35%の振幅をそれぞれ破断するまで印加する。
<硬度>
各試験用タイヤの周方向溝の溝底におけるキャップトレッド、ベーストレッドから採取した各サンプルについて、JIS K6253-3(2012)の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に準じて、タイプAデュロメータを用いて、25℃における硬度(JIS-A硬度)を測定した。
<走行末期における耐TGC性能>
リム組みした試験用タイヤを30pphmのオゾンをトレッド部に照射しながら80℃2週間熱処理した後、国産FF車に装着し、アスファルト路面上を周回させ、周回後の溝底でのクラックの発生状況を観察した。溝底に発生したクラックの長さを測定し、下記式により指数化した。指数が大きいほど、耐溝底クラック性能が良好である。
(基準比較例のタイヤのクラック長さ)/(各仕様のタイヤのクラック長さ)×100
Figure 2022139135000002
Figure 2022139135000003
Figure 2022139135000004
Figure 2022139135000005
各表より、前記式(1)、(2)を満たし、かつ前記傾きaが2.0以下を満たす実施例のタイヤは、満たさない比較例に比べ、走行末期における耐TGC性能に優れていた。
2 空気入りタイヤ
4 トレッド
6 サイドウォール
8 ウィング
10 クリンチ
12 ビード
14 カーカス
16 ベルト
18 バンド
20 インナーライナー
22 チェーファー
24 トレッド面
26 周方向溝
27 溝底
28 ベース層
28A 周方向溝の溝底におけるベース層
30 キャップ層
30A 周方向溝の溝底におけるキャップ層
32 コア
34 エイペックス
36 カーカスプライ
36a 主部
36b 折り返し部
38 内側層
40 外側層
44 リブ
CL タイヤ2の赤道面
L0 周方向溝のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面の位置における溝幅
L95 周方向溝のタイヤ半径方向最表面から95%の深さの位置における溝幅
D 周方向溝の溝深さ

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの周方向溝を有し、2層以上のゴム層を有するトレッド部を備えたタイヤであって、
    前記ゴム層は、トレッドの最表面に配されたゴム層1と、前記ゴム層1のタイヤ半径方向内側に隣接して配されたゴム層2とを少なくとも有し、
    前記周方向溝のタイヤ断面視におけるタイヤ半径方向最表面での溝幅L0(mm)、前記周方向溝のタイヤ半径方向最表面から95%の位置における溝幅L95(mm)は、下記式(1)を満たし、
    (1)0.00<L95/L0<1.00
    前記周方向溝の溝底における前記ゴム層1及び前記ゴム層2のそれぞれの硬度H1、H2は、下記式(2)を満たし、
    (2)H1>H2
    前記周方向溝の溝底における前記ゴム層1は、log(tear energy[J])の0.0~0.3の範囲において、log(tear energy[J])に対するlog(dc/dn[mm/cycle])の傾きaが2.0以下であるタイヤ。
    (但し、dc/dNは、crack length(亀裂長さ)をcycleN(印加回数)で微分した値を表す。)
  2. 下記式を満たす請求項1記載のタイヤ。
    0.10≦L95/L0≦0.30
  3. 前記L95/L0、前記傾きaが下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ。
    {a/(L95/L0)}≦10.0
  4. 前記L95/L0、前記傾きa、前記周方向溝の溝深さDが下記式を満たす請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ。
    {a/(L95/L0)}/D≦2.00
  5. 前記L0が5~20mmである請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記周方向溝の溝深さDが6.0~12.0mmである請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記H1、前記H2が下記式を満たす請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ。
    1.04≦H1/H2≦1.20
  8. 前記H2が44~53である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ。
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