JP2022138580A - 抗ウイルス性化粧シート - Google Patents

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Ryosuke Nishigaki
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晴香 中村
Haruka Nakamura
陽亮 住田
Yosuke Sumida
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Abstract

【課題】本発明は、再現性の高い抗ウイルス性を発現させることができ、更に適切な意匠性を付与できる、抗ウイルス性化粧シートを提供することを目的とする。【解決手段】抗ウイルス層、第一樹脂層、繊維基布及び第二樹脂層をこの順に有する化粧シートであり、前記抗ウイルス層は抗ウイルス剤を含み、前記抗ウイルス剤が、銀含有無機粒子を含み、ICP-OES測定により測定した前記化粧シートの銀イオン濃度が0.05μg/cm2以上である、抗ウイルス性化粧シート。【選択図】図1

Description

本発明は、抗ウイルス性化粧シートに関する。
近年、新コロナウィルスに代表されるウイルス病が世界的に猛威をふるっており、人類にとって脅威となっている。
これらウイルスや菌に対応するため、以前より、衛生面の観点から、建築物の内装材料、車両の内装材料、OA機器及びタッチパネル等の人が手で触れる物の表面に、抗ウイルス性又は抗菌性を有する組成物を塗布し、抗菌処理を施すことが行われていた。
また、これらウイルス病の爆発的な流行により、最近では、病院施設内での対応の他に、医療用テント内での対応も増加している。
抗ウイルス性を有する組成物及び物品に関して、特許文献1には、化粧シート最表面のコーティング樹脂中に銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤を配合した抗ウイルス性を有する内装用化粧シートが提案されている。
また、特許文献2には、ウイルスを不活化させるに有効な抗ウイルス材料を担持した膜材、防水布製品、及びテントを提供することを目的として、金属フタロシアニン誘導体を抗ウイルス材料として含む樹脂層が積層されている膜材が提案されている。
特開2015-80887号公報 特開2011-042095号公報
しかしながら、特許文献1に例示されているように、最表面のコーティング樹脂に銀系無機添加剤を加えて抗ウイルス性の発現を試みた先行技術は各種存在する。しかしながら、従来の化粧シートでは銀系無機添加剤を配合しても十分な抗ウイルス性が得られない場合があり、銀系無機添加剤の配合量、コーティング樹脂との相性等、各種要因が推測されているが、再現性の高い抗ウイルス性を発現させる手段は見出されていない。
また、特許文献2の膜材は、金属フタロシアニン誘導体を有することから、抗ウイルス材料である金属フタロシアニン誘導体に由来する色味を防ぐことができないものであった。また、抗ウイルス材料の色味を呈することから、膜材表面に文字や絵柄等を施した際のデザインに制限がかかるものであったため、医療現場のテント等して用いた場合に、必要な情報を、膜材の表面に適切な形で印刷等することが困難である問題があった。
本発明は、再現性の高い抗ウイルス性を発現させることができ、更に適切な意匠性を付与できる、抗ウイルス性化粧シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]抗ウイルス層、第一樹脂層、繊維基布及び第二樹脂層をこの順に有する化粧シートであり、前記抗ウイルス層は抗ウイルス剤を含み、前記抗ウイルス剤が、銀含有無機粒子を含み、ICP-OES測定により測定した前記化粧シートの銀イオン濃度が0.05μg/cm以上である、抗ウイルス性化粧シート。
[2]前記抗ウイルス層が、架橋硬化型樹脂を含む、[1]の抗ウイルス性化粧シート。
[3]前記架橋硬化型樹脂が、2液硬化型ウレタン系樹脂である、[2]に記載の抗ウイルス性化粧シート。
[4]前記銀含有無機粒子は、平均粒径が1μm以上12μm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[5]前記銀含有無機粒子は、銀担持ガラス粒子である、[1]~[4]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[6]前記銀担持ガラス粒子は、ガラス成分としてリン酸を含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[7]前記繊維基布が、ガラス繊維を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[8]前記第一樹脂層と前記繊維基布との間及び前記第二樹脂層と前記繊維基布との間に、接着剤層を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[9]前記抗ウイルス層と前記第一樹脂層との間、又は前記第一樹脂層と前記繊維基布との間に、装飾層を有する、[1]~[8]のいずれかに記載の抗ウイルス性化粧シート。
[10]前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層が、塩化ビニル系樹脂を含む、[1]~[9]のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
本発明によれば、再現性の高い抗ウイルス性を発現させることができ、更に適切な意匠性を付与できる、抗ウイルス性化粧シートを提供することを目的とする。
本発明の抗ウイルス性化粧シートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の抗ウイルス性化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の抗ウイルス性化粧シートのその他の実施形態を示す断面図である。 本発明の抗ウイルス性化粧シートの一実施形態の抗ウイルス層を示す部分断面図である。
[抗ウイルス性化粧シート]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、抗ウイルス層、第一樹脂層、繊維基布及び第二樹脂層をこの順に有する化粧シートであり、前記抗ウイルス層は抗ウイルス剤を含み、
前記抗ウイルス剤が、銀含有無機粒子を含み、ICP-OES測定により測定した前記化粧シートの銀イオン濃度が0.05μg/cm以上であることを特徴としている。この特徴を有することにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートは、再現性の高い抗ウイルス性を発現させることができる。
図1~3は、後述する図4の抗ウイルス層を有する、本発明の抗ウイルス性化粧シート100の実施の形態を示す断面図である。
図1の抗ウイルス性化粧シート100は、抗ウイルス層10、第一樹脂層20、繊維基布40及び第二樹脂層30をこの順に有している。また、前記抗ウイルス層10は、架橋硬化型樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む。
第一樹脂層20及び第二樹脂層30は、透明でもよく、着色されていてもよい。また、図示はされていないが、必要に応じて、第一樹脂層20と繊維基布40との間及び第二樹脂層30と繊維基布40との間に、接着剤層を設けてもよい。
図2の抗ウイルス性化粧シート100は、抗ウイルス層10、装飾層50、第一樹脂層20、繊維基布40及び第二樹脂層30をこの順に有している。また、前記抗ウイルス層10は、架橋硬化型樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む。
装飾層50としては、文字や図柄を形成する絵柄層や、ベタ印刷層が挙げられ、必要に応じ適宜組み合わせてもよい。また、第一樹脂層20及び第二樹脂層30は、透明でもよく、着色されていてもよい。また、図示はされていないが、必要に応じて、第一樹脂層20と繊維基布40との間及び第二樹脂層30と繊維基布40との間に、接着剤層を設けてもよい。
図3の抗ウイルス性化粧シート100は、抗ウイルス層10、第一樹脂層20、装飾層50、繊維基布40及び第二樹脂層30をこの順に有している。また、前記抗ウイルス層10は、架橋硬化型樹脂11及び抗ウイルス剤12を含む。
装飾層50としては、文字や図柄を形成する絵柄層や、ベタ印刷層が挙げられ、必要に応じ適宜組み合わせてもよい。図3のウイルス性化粧シートにおいて、第一樹脂層20は、装飾層の絵柄等をウイルス性化粧シート100の抗ウイルス層側から装飾層を良好に視認できるようにするために、透明であることが好ましい。第二樹脂層30は、透明でもよく、着色されていてもよい。また、図示はされていないが、必要に応じて、第一樹脂層20と繊維基布40との間及び第二樹脂層30と繊維基布40との間に、接着剤層を設けてもよい。
図4(A)~(E)は、図1~3に示す、本発明の抗ウイルス性化粧シート100における、抗ウイルス層の実施の形態を示す部分断面図である。
図4(A)~(E)の抗ウイルス層は、抗ウイルス剤12及び架橋硬化型樹脂11を有している。
図4(A)の抗ウイルス層10は、抗ウイルス剤12を、厚み方向(同図のZ軸方向)及び面内方向(同図のXY平面内の各方向)の両方向において、抗ウイルス層10の全体に含んでいる。図4(B)の抗ウイルス層10は、抗ウイルス剤12を抗ウイルス層10の表面側(図の上側)に含んでいる。図4(C)の抗ウイルス層10は、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス層10の表面側(図の上側)及び背面側(図の下側)に含んでいる。図4(D)の抗ウイルス層10は、抗ウイルス剤11を、抗ウイルス層10の表面側(図の上側)の面内方向において一部の領域に含んでいる。図4(E)の抗ウイルス層10は、抗ウイルス剤12を、抗ウイルス層10の表面側(図の上側)の一部の領域及び硬化物層10の背面側(図の下側)の一部の領域に含んでいる。
図4(A)~(E)に示すように、抗ウイルス層10内において、抗ウイルス剤12の存在箇所は特に限定されない。但し、抗ウイルス性を高める観点からは、人が触れる側の面に抗ウイルス剤12が存在することが好ましい。
[抗ウイルス層]
抗ウイルス層は、抗ウイルス剤を含むことを要する。抗ウイルス層は、抗ウイルス剤及び架橋硬化型樹脂を含むことが好ましい。抗ウイルス層に抗ウイルス剤を含むことによって、本発明の抗ウイルス性化粧シートは、抗ウイルス性を発現することができる。
<抗ウイルス剤>
抗ウイルス層は、抗ウイルス剤として銀含有無機粒子を含有する。銀含有無機粒子としては、無機粒子であるゼオライト、アパタイト、ジルコニア等の物質に銀イオンを取り込んで形成した複合材料が使用できる。
また、銀担持ガラス粒子も使用することが好ましく、ガラス成分としてはリン酸を含有することが好ましい。一般的に、ガラスは、水等と接触をすることにより、内部に含有するイオン成分が溶出する。銀担持ガラス粒子は、ガラス成分の一つとして銀を含有したものであり、ガラス成分の組成を調整することにより水と接触した際の銀イオンの溶出量を調整することができるため、銀担持ガラス粒子の添加量が比較的少量でも抗ウイルス性能、更には抗菌性能を発現しやすいと考えられる。ここで、銀担持ガラス粒子は水と接触することにより銀イオンが溶出されることにより、ウイルス及び細菌を不活性化すると考えられている。
これらの銀含有無機粒子としては各種用途で上市されている市販品を使用してもよい。銀含有無機粒子の平均粒径は限定的ではないが、1μm以上12μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。なお、平均粒径の下限値は1μm「超過」と設定することもできる。
<架橋硬化型樹脂>
抗ウイルス層は、架橋硬化型樹脂を含むことが好ましい。架橋硬化型樹脂を含むことにより、抗ウイルス剤を抗ウイルス層に固定しやすくでき、摩擦などによる抗ウイルス剤の脱落を防ぎやすくできる。
架橋硬化型樹脂の樹脂成分としては限定的ではないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により抗ウイルス層を形成する場合には、抗ウイルス性化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。これらの中でも、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重量平均分子量としては、通常250~100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
本発明では、電離放射線硬化型樹脂として、下記の樹脂A及び樹脂Bの二種類の脂肪族ウレタンアクリレートを含有する混合樹脂を用いることもできる。
樹脂Aはイソシアヌレート骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートであり、この要件満たす限り限定的ではないが、例えば、ジイソシアネートの三量体により形成されるイソシアヌレート骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートが好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(特に1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート)の三量体、トリレンジイソシアネートの三量体、メタキシレンジイソシアネートの三量体等が挙げられる。なお、トリレンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネートはベンゼン環を有する点でヘキサメチレンジイソシアネートよりも耐候性が劣る可能性があるため、これらのジイソシアネートは水素添加されていることが好ましい。これらの樹脂Aは、抗ウイルス層の耐汚染性、耐アルカリ性等を向上させる効果がある。
樹脂Bはイソシアヌレート骨格を有さず、脂環骨格を有する脂肪族ウレタンアクリレートであり、この要件を満たす限り限定的ではないが、例えば、当該脂環骨格としてイソホロン及びシクロヘキサンの少なくとも一種を有することが好ましい。具体的には、イソホロンジイソシアネートとブタンジオールとをモノマーとする重合体であるウレタンオリゴマーの末端にアクリレートを付加したもの、水素添加ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)のPG変性ジアクリレート等が挙げられる。これらの樹脂Bは、抗ウイルス層に柔軟性を付与する効果があり、樹脂Aとの組み合わせにより抗ウイルス層に長期間に亘る優れた耐汚染性、耐アルカリ性等とともに、衝撃が加わった際や加工時の割れやクラックの発生を抑制する効果を与える。
電離放射線硬化型樹脂中の樹脂A、樹脂Bの含有割合は限定的ではないが、樹脂A及び樹脂Bの合計量を100質量%とした場合に、樹脂Aが10~50質量%、樹脂Bが50~90質量%の範囲であれば好ましく、樹脂Aが20~40質量%、樹脂Bが60~80質量%の範囲であればより好ましい。
なお、電離放射線硬化型樹脂は、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂であって、硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。なお、本発明では電離放射線硬化型樹脂の中でも、光重合開始剤を含まない点で原料樹脂の性質がそのまま架橋硬化型樹脂層の樹脂成分の性質に反映できる点、且つ耐候剤を併用する場合の選択の幅が広がるという点から電子線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の架橋硬化型樹脂は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
抗ウイルス層における銀含有無機粒子の含有量は、本発明の抗ウイルス性化粧シートについてICP-OES測定により測定した銀イオン濃度が0.05μg/cm以上であることを要する。前記銀イオン濃度は、0.07μg/cm以上であることがより好ましく、0.10μg/cm以上であることがより好ましい。銀イオン濃度が0.05μg/cm以上であることにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートは、十分な抗ウイルス性を発現することができる。また、銀イオン濃度の上限については特に限定はされないが、抗ウイルス層の耐久性を維持しやすくし、また、抗ウイルス性化粧シートの意匠性を高めやすくする観点から、0.30μg/cm以下が好ましく、0.25μg/cm以下がより好ましい。
なお、本明細書におけるICP-OES測定は、化粧シートを10cm×10cmに切断後、超純水50mlの入ったポリプロピレン袋に入れ、40℃恒温槽で1時間加温した後、超純水を取り出しICP-OES測定で銀イオン濃度を測定することにより行った。
架橋硬化型樹脂100質量部に対する銀含有無機粒子の含有量は、1質量部以上12質量部以下が好ましく、1.5質量部以上10質量部以下がより好ましく2質量部以上8質量部以下が更に好ましい。
架橋硬化型樹脂100質量部に対する銀含有無機粒子の含有量が1質量部以上であることにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートは、十分な抗ウイルス性を発現することができる。また、銀含有無機粒子の含有量が12質量部以下であることにより、抗ウイルス層の耐久性を維持しやすくし、また、抗ウイルス性化粧シートの意匠性を高めやすくできる。
抗ウイルス層の厚さは特に限定はされないが、1μm以上50μm以下が好ましく、2μm以上35μm以下がより好ましい。
抗ウイルス層は、例えば、第一樹脂層上に架橋硬化型樹脂と銀含有無機粒子とを含有する抗ウイルス層形成用組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。
また、抗ウイルス層には、所定の抗ウイルス性に影響を与えない範囲で染料,顔料等の着色剤、無機フィラー等の充填剤、耐候剤、消泡剤,レベリング剤,チクソトロピー性付与剤,難燃剤等の各種添加剤を加えてもよい。また、無機フィラーは主に艶消し剤として用いられる場合が多いが、抗ウイルス層に無機フィラーを含むことにより抗ウイルス層の硬化収縮を抑制する効果も期待できる。
[繊維基布]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、繊維基布を有する。繊維基布を有することにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートは、引張強度に優れ、特に天井膜や医療用テントの用途に好適に用いることができる。
本発明の抗ウイルス性化粧シートの繊維基布は、ガラス繊維を含むことが好ましい。ガラス繊維を含むことにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートの引張強度をより向上させやすくできる。
ガラス繊維は、ガラス、好ましくは石英ガラスなどの無アルカリガラスを融解、牽引して繊維状にしたものである。
ガラス繊維としては、シラン化合物で表面処理されたものを使用することが好ましい。表面処理剤としてのシラン化合物としては、カップリング剤や、その重合物からなるポリシロキサンが使用できる。このようなシラン系カップリング剤の具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシランの他、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン等を挙げることが出来る。ガラス繊維に表面処理を行う方法は、例えば、シラン化合物を含有する溶液をガラス繊維表面に塗布、乾燥して行うことが出来る。シラン化合物の付着量は、通常、ガラス繊維100質量部に対して0.05質量部~5質量部程度である。
本発明の抗ウイルス性化粧シートの繊維基布は、ガラス織布を有する層であることが好ましい。ガラス織布とは、ガラス繊維の束を糸として、経糸と緯糸から製織したものである。製織する前に、二つ以上のガラス繊維の束を予め合撚してもよい。経糸の織り密度を20本/25mm~75本/25mm、緯糸の織り密度を20本/25mm~75本/25mmとなるように平織りで形成されたものであることが好ましく、織り密度の一例としては、経糸、緯糸とも32本/25mmである。ガラス織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、またガラス不織布より引張強度に優れる。そのため、本発明の抗ウイルス性化粧シートの引張強度を向上させ、不燃性を付与することができるため、耐久性を向上させやすくできる。
本発明の抗ウイルス性化粧シートの繊維基布は、ガラス不織布を有する層であってもよい。ガラス不織布は、例えば、ガラス繊維を水中に分散させ、抄紙機で抄造する湿式法で製造され、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂及びエポキシ樹脂等のバインダーを用いて、ガラス繊維同士を結着させたものである。ガラス不織布は、高い不燃性能を有し、シート状のガラス繊維として容易に入手することができ、かつガラス織布より安価である。
繊維基布の厚さは、加工特性及び耐久性のバランスの観点から、20μm以上300μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましく、75μm以上150μm以下が更に好ましい。
[第一樹脂層及び第二樹脂層]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、繊維基布の一方の面に第一樹脂層を有し、繊維基布の第一樹脂層側とは反対側の面に第二樹脂層を有する。第一樹脂層及び第二樹脂層を有することにより、本発明の抗ウイルス性化粧シートの耐久性及び耐候性を向上させることができる。
第一樹脂層及び第二樹脂層は、塩化ビニル系樹脂を含むことが好ましい。第一樹脂層及び第二樹脂層が塩化ビニル樹脂を含むことによって、本発明の抗ウイルス性化粧シートに耐久性及び耐候性を向上しやすくできる。
また、第一樹脂層及び第二樹脂層は、塩化ビニル系樹脂を主成分とする塩化ビニル系樹脂フィルムであることが好ましい。このような塩化ビニル系樹脂フィルムは、製造時において塩化ビニル樹脂粉末などを調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。塩化ビニル系樹脂は、不燃性能、防炎性能に優れており、可塑剤の添加量によって表面硬度や伸び率(弾性率)が容易に調整可能であるため、本発明の抗ウイルス性化粧シートに不燃性を付与することができ、また、耐久性及び耐候性を維持しつつ、取り扱い性を向上しやすくできる。
第一樹脂層及び第二樹脂層は、抗ウイルス性化粧シートの用途に応じ、軟質及び硬質の塩化ビニル系樹脂フィルムを用いることができ抗ウイルス性化粧シートの取り扱い性を向上しやすくするために、軟質の塩化ビニル系樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明において第一樹脂層及び第二樹脂層が軟質であるということは、第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率が20MPa以下である場合をいう。
第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率は、塩化ビニル系樹脂フィルムにおいて、例えば可塑剤部数により調整することができ、例えば第一樹脂層及び第二樹脂層のいずれも可塑剤部数を30質量部以上とすることにより、第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率を20MPa以下とすることができる。
また、本発明において第一樹脂層及び第二樹脂層が硬質であるということは、第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率が20MPaより大きい場合をいう。
第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率は、塩化ビニル系樹脂フィルムにおいて、例えば可塑剤部数により調整することができ、例えば第一樹脂層及び第二樹脂層のいずれも可塑剤部数を30質量部未満とすることにより、第一樹脂層及び第二樹脂層の弾性率を20MPaより大きくすることができる。
尚、上記の弾性率は、第一樹脂層及び第二樹脂層を15cm×1cmに切出し、その長尺方向が伸び方向となる様に伸び計にセットして、温度23℃±5℃、相対湿度40%~65%の条件下、チャック間距離100mm、速度50mm/minで0.25kNに達するまで引っ張ることにより測定したものである。
第一樹脂層及び第二樹脂層は、透明でもよく、着色されていてもよい。一方で、後述の装飾層が第一樹脂層と繊維基布との間に形成される場合、形成された装飾層を良好に視認できるようにするために、第一樹脂層は透明であることが好ましい。
第一樹脂層及び第二樹脂層が着色されている場合、着色剤を有するフィルムを用いることができる。特に、第一樹脂層及び第二樹脂層が塩化ビニル系樹脂フィルムである場合、製造時において塩化ビニル樹脂粉末に着色剤を配合して調製したコンパウンドを作り、そのコンパウンドを種々の加工機械に供給し、加工成形することで得ることができる。着色剤は顔料、染料のいずれでも構わないが、顔料が用いられることが多く、白色に着色する場合には、例えば酸化チタンあるいは体質顔料としてシリカ、あるいはその両方などが用いられる。これらのように、無機顔料で白色化されたものは、紫外線の反射率が上がるため、抗ウイルス性化粧シートの耐久性を向上しやすくできる。
なお、塩化ビニル系樹脂とは、以下のいずれかの形態の樹脂を意味する総称である。
(1)塩化ビニル単量体(monomer)の単独重合体、すなわち狭義のポリ塩化ビニル。
(2)塩素化ポリ塩化ビニル。
(3)塩化ビニル単量体に塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させた塩化ビニル共重合体、ここで他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
(4)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか2種又は3種の混合物。
(5)前記(1)のポリ塩化ビニル、前記(2)の塩素化ポリ塩化ビニル、前記(3)の塩化ビニル共重合体のいずれか1種又は2種以上、あるいは(4)の混合物に、更に、他の樹脂を混合した混合物。ここで他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
なお、前記(1)から(5)に列記の各種塩化ビニル系樹脂には、必要に応じて、各種添加剤を添加する。該添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤等)、紫外線吸収剤(UVA)、難燃剤、界面活性剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤等が挙げられる。
これら添加剤のうち、可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル系可塑剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリ-n-オクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。この中でも、塩化ビニル系樹脂フィルムの弾性率を調整しやすいことから、フタル酸エステル系可塑剤を用いることが好ましく、ジイソノニルフタレート(DINP)を用いることがより好ましい。
第一樹脂層及び第二樹脂層が塩化ビニル系樹脂フィルムの場合、可塑剤の種類、塩化ビニル系樹脂の種類及び重合度により依存するが、可塑剤の添加量を、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、30質量部以上とすることが好ましく、40質量部以上70質量部以下とすることがより好ましい。可塑剤の添加量を30質量部以上とすることにより、塩化ビニル系樹脂フィルムを軟質とすることができる。一方、可塑剤の添加量を70質量部以下とすることで、可塑剤のブリードアウトを防ぎやすくでき、抗ウイルス性化粧シートの耐久性を向上しやすくできる。
有機系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等のトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、平均粒径200nm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等の金屬酸化物粒子等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、具体的には、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
難燃剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、三酸化モリブデン等のモリブデン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤、塩素化パラフィン、ヘキサブロモシクロドデカン等のハロゲン系難燃剤等が挙げられる。
第一樹脂層及び第二樹脂層の厚さは、25μm以上300μm以下が好ましく、50μm以上250μm以下がより好ましく、100μm以上200μm以下が更に好ましい。
第一樹脂層及び第二樹脂層の厚さが25μm以上であることにより、抗ウイルス性化粧シートの耐候性及び耐久性を向上しやすくできる。また、第一樹脂層及び第二樹脂層の厚みが300μm以下であることにより、抗ウイルス性化粧シートの厚さ及び重量を大きくすることなく、取り扱い性を向上させることができる。
また、第一樹脂層と第二樹脂層との厚みは、同一でもよく、異なっていいてもよい。
第一樹脂層の表面の表面粗さRaは、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが更に好ましい。第一樹脂層の表面の表面粗さRaが2μm以下であることにより、後述の装飾層をより高精細に形成しやすくできる。
なお、第一樹脂層の表面の表面粗さRaは、カットオフ値0.8mmのJIS B0601:1994に準拠して測定される、算術平均粗さとして求められる。
[接着剤層]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、第一樹脂層と繊維基布との間及び第二樹脂層と繊維基布との間に、接着剤層を有することが好ましい。また、本発明の抗ウイルス性化粧シートが、第一樹脂層と繊維基布との間に後述の装飾層を有する場合、装飾層と繊維基布との間に接着剤層を有することが好ましい。接着剤層を有することにより、第一樹脂層と繊維基布との間及び第二樹脂層と繊維基布との間並びに装飾層と繊維基布との間の密着性を向上させることができ、抗ウイルス性化粧シートの耐久性を向上しやすくできる。
接着剤層は、接着剤を含み、その接着剤の組成としては、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、ポリオレフィン系共重合樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂等を挙げることができ、中でも塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。接着剤層の組成が塩化ビニル系樹脂であると、特に第一樹脂層及び第二樹脂層が塩化ビニル系樹脂フィルムの場合、密着性を向上しやすくでき、抗ウイルス性化粧シートの耐久性を向上しやすくできる。また、後述の装飾層が第一樹脂層と繊維基布との間に形成される場合、形成された装飾層を良好に視認できるようにする観点からも好ましい。
接着剤層を形成することにより、繊維基布と第一樹脂層及び第二樹脂層とを、接着剤層を介して熱圧着によるラミネートをすることができる。
接着剤層の塗布量は、加工特性及び繊維基布とその他の層との密着性のバランスの観点から、繊維基布の両面における合計として、5g/m以上100g/m以下が好ましく、10g/m以上80g/m以下がより好ましく、20g/m以上60g/m以下が更に好ましい。
[装飾層]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、前記抗ウイルス層と前記第一樹脂層との間、又は前記第一樹脂層と前記繊維基布との間に、装飾層を有することが好ましい。装飾層を有することによって、抗ウイルス性化粧シートの表面に、文字や絵柄等の適切な意匠を付与することができる。
《絵柄層》
本発明の抗ウイルス性化粧シートにおける装飾層は、絵柄層を有することが好ましい。絵柄層の絵柄としては、絵柄層の絵柄としては、例えば木目絵柄、石目絵柄、布目絵柄、皮紋絵柄、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄、単色ベタ柄、単色グラデーションを挙げることができ、また、これらを組み合わせたものであってもよい。
絵柄層は、例えば、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スプレー印刷法及びインクジェット印刷法等の印刷手法、並びに、印刷された図柄を転写する転写手法等、公知の方法により形成することができる。その中では、グラビア印刷法、インクジェット印刷法が好ましい。
グラビア印刷法は、高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため費用面で有利である。一方、インクジェット印刷法の場合には、絵柄層を形成しようとする面の平滑性が比較的悪くても適用でき、高精細な印刷が可能である。また段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能であるため、少量生産に適している。
本発明における絵柄層は、第一樹脂層が繊維基布と貼り合わされる前に第一樹脂層の一方の面に印刷等により形成されてもよく、第一樹脂層が繊維基布と貼り合わされた後に、第一樹脂層側の表面に印刷等により形成されてもよい。
第一樹脂層は、通常、繊維基布と比較してはるかに平滑性が高く、かつ剛性も比較的高いため、グラビア印刷法により絵柄層を好適に形成することが可能である。仮に繊維基布に対し絵柄層を形成しようとする場合には、絵柄層の精細さを担保するために、平坦化する層を別途介在させる必要があり、グラビア印刷法を適用しようとすれば、繊維基布が平坦化する層の印刷面にあまり影響を及ぼさない程度に平坦化する層を厚くする必要が生じ、工程負荷が高くなり、更に化粧シートとしての厚さが増し、重量も重くなることから好ましくない。
印刷等による絵柄層の形成に用いるインキは、公知の着色剤(染料又は顔料)を、樹脂、すなわちバインダー樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得ることができる。着色剤として、無機顔料、有機顔料、金属粉顔料、真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等が挙げられる。例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、黄鉛、カドミウムレッド等を、有機顔料としては、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料、各種色相の有彩色アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ニッケル-アゾ錯体、ジオキサジン顔料等を、金属粉顔料としては、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の鱗片状箔片を、真珠光沢顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の鱗片状箔片を挙げることができる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用したり、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに使用したりしてもよい。
絵柄層に使用する樹脂(バインダー樹脂)としては、各種ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-マレイン酸共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体のアクリル系樹脂、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等を使用することもできる。上記樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記樹脂には架橋剤、重合開始剤、又は、重合促進剤を添加して、塗膜強度、及び耐久性を向上させることが好ましく、上記樹脂のなかでは アクリル系樹脂又はアクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物が好ましい。
アクリル系樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体との混合物の場合、混合の質量比は、[アクリル系樹脂の質量]/[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の質量]は2/8~8/2の範囲とすることが、絵柄層及び後述のベタ印刷層の第一樹脂層への印刷適性及び密着性、並びに耐候性及び耐擦傷性等の耐久性の点で好ましい。
絵柄層の厚さは、好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、より好ましくは2μm以上25μm以下である。
《ベタ印刷層》
本発明の抗ウイルス性化粧シートにおいて、特に、第一樹脂層が透明であり、装飾層が第一樹脂層と繊維基布との間に形成される場合は、装飾層は、更にベタ印刷層を有することが好ましい。装飾層が上述の絵柄層を有する場合、ベタ印刷層は、絵柄層の第一樹脂層側とは反対側の面に形成されることが好ましい。
ベタ印刷層の絵柄としては、いわゆるベタ柄、すなわち好ましくはベタ印刷層を形成する単色、すなわち、同一の明度、色相、及び彩度の着色インキが絵柄層又は第一樹脂層の全面に隙間なく形成された絵柄である。しかし、ベタ印刷層を形成する目的が、繊維基布を視覚的に隠蔽することや、絵柄層の見かけ上の色を補うことであることを鑑みると、厳密に単色の着色インキが絵柄層又は第一樹脂層の全面に隙間なく形成された場合のみに限定されない。例えば、単色の着色インキが一定の面積割合で絵柄層又は第一樹脂層の全面に一様に分布形成されることにより、あるいはその色相、明度、及び/又は、彩度に面内分布(階調ないし勾配)がある場合であっても、視覚的に十分ベタ柄に見えるような場合、更には、使用するインキ色は単色に限定されず、複数色の各単色の着色インキが各一定の面積割合で絵柄層又は第一樹脂層の全面に一様に分布形成されることにより、全体としてベタ柄に見えるような場合であっても、上記視覚的効果が得られる態様であればベタ印刷層に含まれるものとする。
ベタ印刷層の形成方法としては、各種印刷方法が適用可能であるが、絵柄層と同様にグラビア印刷法、インクジェット印刷法が好ましい。そして絵柄層とベタ印刷層とは同じ印刷方法であることが好ましい。同じ印刷方法の場合には、絵柄層とベタ印刷層との相互の親和性が高く、また印刷設備も共有でき効率的だからである。とりわけ、装飾層に絵柄層及びベタ印刷層の両方が含まれる場合は、グラビア印刷法で形成されていることが好ましい。絵柄層において高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する印刷が可能であり、大量生産する場合においては特に、絵柄層及びベタ印刷層において安価かつ高速な印刷が可能だからである。一方、インクジェット印刷法の場合には、絵柄層において、形成しようとする面の平滑性が悪くても適用でき、かつ高精細な印刷が可能である。また、絵柄層及びベタ印刷層において、段取り時間が短く機動性の高い安価な印刷が可能であるため、少量生産に適している。
ベタ印刷層の形成方法、用いるインキ、使用する樹脂などは、上記絵柄層において例示したものと同様である。ベタ印刷層に用いるインキ色は特に限定はなく、繊維基布を視覚的に隠蔽する効果や、絵柄層の見かけ上の色を補う効果を鑑みて適宜選択することができる。一例として、絵柄層が木目模様層、ベタ印刷層が白色ベタ層である組み合わせが挙げられる。
ベタ印刷層の厚さについて、好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、より好ましくは2μm以上25μm以下である。厚さを得るために、同じ色を複数のユニットで重ねて印刷したり、印刷を複数回行って重ねたりしても良い。
装飾層が単層の場合、装飾層の厚さの好ましい範囲は、上記絵柄層又はベタ印刷層で例示した厚さの範囲と同様である。
装飾層が絵柄層及びベタ印刷層等の複数の層からなる場合、装飾層の厚さは2μm以上100μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下が更に好ましい。装飾層の厚さを2μm以上とすることで、繊維基布を視覚的に隠蔽しやすくでき、また、絵柄層の見かけ上の色を補うことができるため、意匠性の高い抗ウイルス性化粧シートを得ることができる。また、100μm以下とすることで、装飾層形成時の乾燥時間を短くし、印刷速度を上げることができるため、生産性を向上させることができ、また、ブロッキングが発生を抑制しやすくできる。
抗ウイルス性化粧シートの厚さは、加工特性及び耐久性のバランスの観点から、25μm以上300μm以下が好ましく、50μm以上250μm以下がより好ましく、100μm以上200μm以下が更に好ましい。
[抗ウイルス性化粧シートの製造方法]
本発明の抗ウイルス性化粧シートの製造方法は、繊維基布に第一樹脂層及び第二樹脂層を形成する工程及び第一樹脂層上に抗ウイルス層を形成する工程を少なくとも含む。
<第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程>
第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程は、繊維基布の一方の面に第一樹脂層を形成すると共に、繊維基布の第一樹脂層側とは反対側の面に第二樹脂層を形成する工程である。
第一樹脂層及び第二樹脂層の形成方法としては、公知のラミネート方法を用いることができ、熱ラミネート、ドライラミネート及び押出ラミネート等で形成することができる。この中でも、例えば、第一樹脂層及び第二樹脂層となるフィルムをあらかじめ形成し、これらを繊維基布へ熱ラミネートする方法が好ましい。
<抗ウイルス層形成工程>
抗ウイルス層形成工程は、第一樹脂層の繊維基布側とは反対側の面に、抗ウイルス層を形成する工程である。抗ウイルス層形成工程は、抗ウイルス層は、前述の第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程の前に実施されてもよく、前述の第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程の後に実施されてもよい。尚、第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程の前に実施される場合は、第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程で第一樹脂層が形成される際に、第一樹脂層の抗ウイルス層とは反対側の面が、繊維基布と接するようにして、第一樹脂層が積層される。
抗ウイルス層の形成方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、第一樹脂層上に架橋硬化型樹脂と銀含有無機粒子とを含有する抗ウイルス層形成用組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成する方法、抗ウイルス層の組成物をあらかじめペレット化し押出ラミネートによって、第一樹脂層の表面に塗布する形成方法等、により形成することができる。
<装飾層形成工程>
本発明の抗ウイルス性化粧シートの製造工程は、更に装飾層形成工程を有することが好ましい。
装飾層形成工程は、抗ウイルス層と第一樹脂層との間又は第一樹脂層と繊維基布との間に、装飾層を形成する工程である。装飾層形成工程では、装飾層を第一樹脂層の表面に形成してもよく、繊維基布側に形成してもよいが、より高精細な装飾層とする観点から、第一樹脂層の表面に形成することが好ましい。装飾層を抗ウイルス層と第一樹脂層との間に形成する場合は、装飾層形成工程は、前述の抗ウイルス層形成工程の前に実施される。また、装飾層を第一樹脂層と繊維基布との間に形成される場合は、装飾層形成工程は、前述の第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程の前に実施される。
装飾層の形成方法としては、公知の印刷方法を用いることができ、その中でも、前述の通り、グラビア印刷法及びインクジェット印刷法を用いることが好ましい。グラビア印刷法で装飾層を形成することにより、高精細かつ階調表現の豊かな、すなわち高い意匠性を有する装飾層を形成することができ、また大量生産する場合には高速な印刷が可能であるため好ましい。一方、インクジェット印刷法で装飾層を形成することにより、装飾層を形成しようとする面の平滑性が比較的悪くても適用できることから高精細な印刷ができるため好ましい。また、インクジェット印刷法は、段取り時間が短く機動性の高い印刷が可能であるため、少量生産に適している。
<接着剤層形成工程>
本発明の抗ウイルス性化粧シートの製造工程は、更に接着剤層形成工程を有することが好ましい。
接着剤層形成工程は、前記第一樹脂層と前記繊維基布との間及び前記第二樹脂層と前記繊維基布との間に、接着剤層を形成する工程である。接着剤層形成工程では、通常、接着剤層は接着剤層形成工程は、前述の第一樹脂層及び第二樹脂層形成工程の前に実施される。
接着剤層の形成方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、繊維基布を、接着剤層を形成するための接着剤に浸し、含浸又は塗工することにより形成することができる。
[抗ウイルス性化粧シートの用途]
本発明の抗ウイルス性化粧シートは、上述のような構成を有することから、優れた抗ウイルス性を有することから、特に、病院や介護施設等、衛生環境を特に整える必要のある屋内の他、保育所、学校、会社、スーパーマーケット、その他商業施設等人の多く集まる屋内の壁面、天井、間仕切、衝立、屏風、窓口の仕切板、カーテン、垂れ幕、暖簾等に好適に用いることができる。
更に、光による変色が抑制されることから、屋外での使用にも適しており、気密性を重視した感染症対策用の陰圧式エアテント、又は飛沫感染対策用の開放テント等、種々のテントに好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、この例によって何ら限定されるものではない。
1.測定及び評価
1-1.ICP-OES測定
実施例及び比較例で作製した抗ウイルス性化粧シートを10cm×10cmに切断後、超純水50mlの入ったポリプロピレン袋に入れ、40℃恒温槽で1時間加温した後、超純水を取り出し、ICP-OES測定にて銀イオン濃度を測定した。測定結果は表1にまとめた。
1-2.抗ウイルス性能
実施例及び比較例で作製した抗ウイルス性化粧シートについて、抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で抗ウイルス性能試験を実施し、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を評価した。測定結果より、下記の測定基準により評価し、表1にまとめた。尚、通常、抗ウイルス活性値が2.0以上であると、有効な抗ウイルス性を有していると判断できる。
<評価基準>
+:抗ウイルス活性値2.0以上
-:抗ウイルス活性値2.0未満
2.抗ウイルス性化粧シートの作製
<実施例1>
厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート30質量部の透明ポリ塩化ビニルフィルムを第一樹脂層として、その一方の面に、下記グラビアインキ1を用いて、多色刷りグラビア印刷により木目柄の印刷層を形成した。更に、前記印刷層の上に、下記グラビアインキ2を用いて、グラビア印刷によりベタ印刷をし、白色ベタ層を形成した。印刷層と白色ベタ層との厚さの和は5μmであった。
<グラビアインキ1>
・バインダー樹脂:アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂との5対5質量比の混合物
・着色剤
C:シアニンブルー
M:キナクリドンレッド
Y:イソインドリノンイエロー
K:カーボンブラック
・溶剤:適量(酢酸エチル、MEK及び酢酸イソブチルの混合溶剤)
<グラビアインキ2>
・バインダー樹脂:アクリル樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂との5対5質量比の混合物
・着色剤:チタン白
・溶剤:適量(酢酸エチル、MEK及び酢酸イソブチルの混合溶剤)
次いで、前記透明ポリ塩化ビニルフィルムの印刷層及び白色ベタ層を形成した面とは反対側の面に、グラビアリバース方式で、下記の抗ウイルス層形成用組成物1を塗工し、ドライヤーによる風乾により熱風で加熱して乾燥させて厚さ2.8μmの抗ウイルス層を形成した。
(抗ウイルス層形成用組成物1)
・アクリル系2液硬化型樹脂
主剤:アクリルポリオール樹脂(昭和インク工業製、「FW-NT」):91質量部
硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート:9質量部
・抗ウイルス剤:銀担持リン酸系ガラス粒子(興亜硝子社製、「PG711」):7.5質量部
次いで、繊維基布として、経糸及び緯糸の織り密度が32本/25mmであるガラス織布準備し、前記ガラス基布を塩化ビニル系樹脂の着色接着剤に浸し、前記着色接着剤の塗布量が両面合わせて40g/mになるようにし、その後乾燥させることにより、ガラス織布の両面に接着剤層を形成した。
次に、前記透明ポリ塩化ビニルフィルム上の白色ベタ層面側とガラス織布の一方の面側とを接着剤層を介して熱圧着によりラミネートし、ガラス織布の他方の面側と、第二樹脂層として、酸化チタン及びシリカを含む厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート30質量部でチタン白を10質量部含むポリ塩化ビニルフィルムとを接着剤層を介して熱圧着によりラミネートし、実施例1の抗ウイルス性化粧シートを得た。
<実施例2>
経糸及び緯糸の織り密度がともに32本/25mmであるガラス織布を繊維基布として準備し、前記ガラス織布を塩化ビニル系樹脂を含む接着剤に浸し、接着剤の塗布量が両面合わせて40g/mとなるように含浸させ、ガラス織布の両面に接着剤層を形成した。
次に、ガラス織布の一方の面側と、第一樹脂層として、酸化チタン及びシリカを含む、厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート60質量部の白色ポリ塩化ビニルフィルムとを接着剤層を介して熱圧着によりラミネートするとともに、ガラス織布の他方の面側と、第二樹脂層として、酸化チタン及びシリカを含む厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート60質量部でチタン白を10質量部含む白色ポリ塩化ビニルフィルムとを接着剤層を介して熱圧着によりラミネートし、積層体を得た。
次いで、前記積層体の第一樹脂層側の表面に、下記の紫外線硬化型インクジェットインキを用い、インクジェット印刷機(EFI社製、「VUTEk GS5000r」)でインクジェット印刷を行い、木目柄の印刷層を形成した。該インクジェット印刷機の印刷ヘッドに搭載された紫外線光源はメタルハライドランプであり、また、印刷層の塗布量は20g/mであった。
<紫外線硬化型インクジェットインキ>
・バインダー樹脂:アクリル樹脂
・着色剤(顔料)
C:銅フタロシアニン
M:Pigment Red122
Y:Pigment Yellow11
K:カーボンブラック
ホワイト:酸化チタン
次いで、印刷層の上に、溶剤系のインクジェット印刷機(OKI製、『H3-104s』)でインクジェット印刷により、上記の抗ウイルス層形成用組成物1を塗工し、ドライヤーによる風乾により熱風で加熱して乾燥させて厚さ2.8μmの抗ウイルス層を形成し、実施例2の抗ウイルス性化粧シートを得た。
<実施例3>
酸化チタン及びシリカを含む、厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート27.5質量部の白色ポリ塩化ビニルフィルムを第一樹脂層として、その一方の面に、上記グラビアインキ1を用いて、多色刷りグラビア印刷により木目柄の印刷層を形成し、また、酸化チタン及びシリカを含む厚さ150μmで可塑剤部数がジイソノニルフタレート60質量部でチタン白を10質量部含むポリ塩化ビニルフィルムを第二樹脂層とした以外は、実施例2と同様にして、実施例3の抗ウイルス性化粧シートを得た。なお、印刷層と白色ベタ層との厚さの和は5μmであった。
<実施例4>
実施例1で得られた透明ポリ塩化ビニルフィルムの印刷層及び白色ベタ層を形成した面とは反対側の表面に、グラビアコート方式で、下記の抗ウイルス層形成用組成物2を塗工した後、酸素濃度200ppm以下の環境下、電子線照射装置を用いて加速電圧165KeV、5Mradの条件で電子線を照射して電子線硬化型樹脂を硬化させることで厚さ5.0μmの抗ウイルス層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の抗ウイルス性化粧シートを得た。
(抗ウイルス層形成用組成物2)
・電離放射線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート樹脂)
多官能ウレタンオリゴマー:35質量部
2官能オリゴマー:65質量部
・抗ウイルス剤:銀担持リン酸系ガラス粒子(興亜硝子社製、「PG711」):3.0質量部
<実施例5>
抗ウイルス層について、厚さ15.0μmとなるように抗ウイルス層を形成した以外は、実施例4と同様にして、実施例5の抗ウイルス性化粧シートを得た。
<実施例6>
抗ウイルス層について、下記の抗ウイルス層形成用組成物3を用いて、厚さ40.0μmの抗ウイルス層を形成した以外は、実施例4と同様にして、実施例6の抗ウイルス性化粧シートを得た。
(抗ウイルス層形成用組成物3)
・紫外線硬化型ウレタン樹脂
ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、「UV-7550B」):100質量部
光開始剤(BASF製、「イルガキュア184」)10質量部
・抗ウイルス剤:銀担持リン酸系ガラス粒子(興亜硝子社製、「PG711」):10.0質量部
<比較例1>
抗ウイルス層について、抗ウイルス層形成用組成物1における抗ウイルス剤の添加量を5.0質量部として、抗ウイルス層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の抗ウイルス性化粧シートを得た。
Figure 2022138580000002
表1に示すように、本発明で例示された抗ウイルス層を有する実施例1~6の抗ウイルス性化粧シートは、これを有しない比較例1と比較して、有効な抗ウイルス性を有していることが確認できる。
10 抗ウイルス層
11 架橋硬化型樹脂
12 抗ウイルス剤
20 第一樹脂層
30 第二樹脂層
40 繊維基布
50 装飾層
100 抗ウイルス性化粧シート

Claims (10)

  1. 抗ウイルス層、第一樹脂層、繊維基布及び第二樹脂層をこの順に有する化粧シートであり、
    前記抗ウイルス層は抗ウイルス剤を含み、
    前記抗ウイルス剤が、銀含有無機粒子を含み、
    ICP-OES測定により測定した前記化粧シートの銀イオン濃度が0.05μg/cm以上である、抗ウイルス性化粧シート。
  2. 前記抗ウイルス層が、架橋硬化型樹脂を含む、請求項1に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  3. 前記架橋硬化型樹脂が、2液硬化型ウレタン系樹脂である、請求項2に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  4. 前記銀含有無機粒子は、平均粒径が1μm以上12μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  5. 前記銀含有無機粒子は、銀担持ガラス粒子である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  6. 前記銀担持ガラス粒子は、ガラス成分としてリン酸を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  7. 前記繊維基布が、ガラス繊維を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  8. 前記第一樹脂層と前記繊維基布との間及び前記第二樹脂層と前記繊維基布との間に、接着剤層を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  9. 前記抗ウイルス層と前記第一樹脂層との間、又は前記第一樹脂層と前記繊維基布との間に、装飾層を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
  10. 前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層が、塩化ビニル系樹脂を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗ウイルス性化粧シート。
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