JP2022041101A - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた抗ウイルス性と高い加工適性とを両立可能な化粧シートおよび化粧材の提供。【解決手段】基材シート2上に、絵柄模様層3、及び単層又は複層で形成された表面保護層4がこの順に設けられ、表面保護層4の最表面に位置する最表層(第2表面保護層4b)に抗ウイルス剤が添加されている化粧シート。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂製の化粧シート及び化粧材に関する。特に木質系など基材に貼り合わせて家具・建具等に用いることのできる、抗ウイルス性を有する化粧シート及びその化粧材に関する技術である。
従来、環境保護上の問題が懸念されているポリ塩化ビニル製の化粧シートに替わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シート(例えば、ポリプロピレンシート)が数多く提案されている。オレフィン系樹脂を使用した化粧シートに関する技術としては、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
特許第3271022号公報 特開平1-313533
近年、抗ウイルス性能の需要が高まり、抗ウイルス製品の開発が急務となっている。これまで、化粧紙や化粧板等に抗ウイルス性を付与するため、抗ウイルス剤を該当素材中に添加したり、練り込んだりする方法、又は後工程にて塗装する方法等が行われていた。また、抗ウイルス性を有する壁紙や化粧シートも公知のものであり市販されている。従来は、化粧紙や化粧板等に抗ウイルス性を付与するために、抗ウイルス剤を成形用樹脂に練り込む方法や、塗料用樹脂に練り込む方法が取られていた(例えば、特許文献2)。しかしながら、この場合、大部分の抗ウイルス剤は樹脂に練り込まれて成形品の中に入っているため、表面において抗ウイルス作用が示されず、必ずしも最適な抗ウイルス性塗膜形成法とは言えなかった。また、抗ウイルス剤を成型用樹脂や塗料用樹脂に練り込む場合、例えば化粧シートの加工適性(例えば曲げ加工性)が低減し易いという問題があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、優れた抗ウイルス性と高い加工適性とを両立可能な化粧シートおよび化粧材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されている。
上記課題を解決するために、本発明の他の態様である化粧材は、前記化粧シートと、前記化粧シートが少なくとも一方の表面に貼り合わされた基材とを備えている。
本発明の一態様によれば、優れた抗ウイルス性と高い加工適性とを両立可能な化粧シートおよび化粧材を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係る化粧シートの断面模式図である。 本発明の第一実施形態の変形例に係る化粧シートの断面模式図である。 本発明の第二実施形態に係る化粧シートの断面模式図である。 本発明の第二実施形態の変形例に係る化粧シートの断面模式図である。 本発明の第三実施形態に係る化粧材の断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明を行う。
本実施形態では、建具用の化粧シート及び化粧材を例に挙げて説明するが、他の部位に使用する化粧シート及び化粧材であっても良い。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<第一実施形態>
(化粧シート)
本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」という)に係る化粧シートの基本構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る化粧シート1の一構成例を説明するための断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る化粧シート1は、基材シート2の一方の面側に、絵柄模様層3、及び表面保護層4がこの順に積層されている。本実施形態は、表面保護層4が、第1表面保護層4a及び第2表面保護層4bの2層からなる場合の例である。化粧シート1は、少なくとも基材シート1上に表面保護層4を設けてなる構成であればよい。
(基材シート)
基材シート1は、化粧シート1の基材となる層である。本実施形態では、基材シート2として、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。
ここで、基材シート2に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や、加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート1の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用したりすることができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
さらに、基材シート2には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。
基材シート2の厚さは40μm以上150μm以下の範囲内であることが好ましく、50μm以上130μm以下であることがより好ましい。基材シート1の厚さが40μm以上である場合、下地となる床材の凹凸や段差などを吸収して化粧シート1の施工仕上がりを良好にすることができる。また、基材シート1の厚さが150μm以下である場合、基材シート1を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート1の製造コストを削減することができる。
(絵柄模様層)
絵柄模様層3は、基材シート2と表面保護層4との間に設けられている。絵柄模様層3は、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層であり、必要に応じて設けられる。絵柄模様層3は、基材シート2の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄模様層3は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダ樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダ樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはそれらの組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート1の隠蔽性を向上するために、絵柄層2と基材シート1との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
絵柄模様層3の厚さは、1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。絵柄模様層3の厚さが1μm以上である場合、印刷を明瞭にすることができる。絵柄模様層3の厚さが10μm以下である場合、化粧シート1を製造する際の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
また、絵柄模様層3には、各種機能を付与するために、例えば、体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤及び硬化遅延剤等の機能性添加剤を添加してもよい。
ここで、絵柄模様層3は、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法によって形成することができる。これらの印刷方法は、形成する層によって別々に選択してもよいが、同じ方法を選択して一括加工することが効率的である。
(表面保護層)
絵柄模様層3の上には表面保護層4を設ける。表面保護層4は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層4としても良い。図1に示すように、本実施形態の化粧シート1では、表面保護層4として、第1表面保護層4aおよび第2表面保護層4bの2層が設けられている。表面保護層4が一層から構成される構造(単層構造)の場合、第2表面保護層4bが表面保護層4となる。
第1表面保護層4aおよび第2表面保護層4bからなる表面保護層4を設けるには、それぞれの層を、硬化型樹脂の種類に応じて、既知のコーティング装置、熱乾燥装置および紫外線照射装置を用いて塗布および塗膜の硬化を行うことができる。
表面保護層4は、曲げ加工性、耐候性、耐傷付性や清掃性に関してその優劣を左右する重要な役割をもつ。表面保護層4は、硬化型樹脂(硬化性樹脂)を主成分とする。すなわち樹脂成分が実質的に硬化型樹脂から構成されることが好ましい。実質的とは、例えば樹脂全体を100質量部とした場合に80質量部以上を指す。表面保護層4には、必要に応じて、耐侯剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤等を含んでもよい。
[第2表面保護層]
第2表面保護層4bは、表面保護層4を構成する層(第1表面保護層4a、第2表面保護層4b)のうち、最表面(最外面)に位置する層(最表層)である。第2表面保護層4bを形成する材料としては、熱硬化型樹脂や電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。第2表面保護層4bは、一般的に反応性樹脂を塗工することにより塗膜形成をし、その後加熱や電離放射線照射により塗膜を硬化させる方法で形成ことができる。第2表面保護層4bにおいては、硬化方法の違いによる特性差もある。例えば、一般的に電離放射線硬化型樹脂で形成された第2表面保護層4bは、硬化反応後の架橋度が高いことから硬度も高く、耐傷性に優れる傾向にある。一方で、熱硬化型樹脂で形成された第2表面保護層4bは、比較的架橋度が低いために硬度が低く、折り曲げや基材への追従などの柔軟性に優れる傾向にある。
第2表面保護層4bは、電離放射線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂のいずれか一方を主成分としてもよい。つまり、第2表面保護層4bの主成分は、電離放射線硬化型樹脂単体であってもよいし、熱硬化型樹脂単体であってもよい。
例えば、化粧シート1を部材として複雑な形状が多い建具に用いる場合は、柔軟性(例えば加工適正)が要求されることが多い。このため、例えば建具に用いる化粧シート1において、第2表面保護層4bの主成分には、熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。また、化粧シート1において柔軟性よりも耐傷性が求められる場合には、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
また、第2表面保護層4bの主成分は、電離放射線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物であってもよい。当該混合物を主成分とする場合、使用用途によって、第2表面保護層4bにおける熱硬化型樹脂および電離放射線硬化型樹脂の比率をコントロールすることで、化粧シート1を各種用途の要求に応じて使い分けることができる。
例えば、化粧シート1を建具に用いる場合、第2表面保護層4bの主成分となる熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂との混合物は、電離放射線硬化型樹脂よりも熱硬化型樹脂を多く含有することが好ましい。具体的には、当該混合物において熱硬化型樹脂が50重量%を超えていればよく、70重量%以上を占めることが好ましく、75重量%以上を占めることがより好ましく、80重量%以上を占めることがさらに好ましい。
また、例えば、化粧シート1に耐傷性が求められる場合、第2表面保護層4bの主成分となる熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂との混合物は、熱硬化型樹脂よりも電離放射線硬化型樹脂を多く含有することが好ましい。具体的には、当該混合物において電離放射線硬化型樹脂が50重量%を超えていればよく、70重量%以上を占めることが好ましく、75重量%以上を占めることがより好ましく、80重量%以上を占めることがさらに好ましい。
このように、第2表面保護層4bのうちの最表層に当たる第2表面保護層4bの主成分が、電離放射線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物とすることで、耐傷性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層4の白化や割れが発生し難くなる。
ただし、第2表面保護層4bに用いる樹脂の硬化方法の違いのみで、上記のような耐傷付性や加工適性といった化粧シート1の性能が決まるわけではない。化粧シート1の性能(ここでは耐傷付性や加工適性)は、樹脂自体の材料設計やフィラーなどの添加剤の添加作用、つまり表面保護層4に含まれる各種成分の物性が性能に大きく寄与する。このため、表面保護層4全体としての設計が重要になってくる。
(電離放射線硬化型樹脂)
ここで第2表面保護層4bに用いる電離放射線硬化型樹脂としては、特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。電離放射線硬化型樹脂における硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、上述のプレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250~100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
また、上述のプレポリマーとして、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常、190nm以上380nm以下の範囲が好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100keV以上1000keV以下の範囲のエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましく、100keV以上300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものがより好ましい。
(熱硬化型樹脂)
ここで第2表面保護層4bに用いる熱硬化型樹脂としては、特に限定されないが、例えば2液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。また熱硬化型樹脂としてはこれらに限られず、1液反応硬化型のポリウレタン系樹脂や、1液又は2液反応硬化型のエポキシ系樹脂などを用いてもよい。
(抗ウイルス剤)
本実施形態による化粧シート1において、表面保護層4の最表層である表面保護層4bには、抗ウイルス剤が添加されている。これにより、人や物が触れる化粧シートの最表面において抗ウイルス効果が発揮され、成型用樹脂(例えば基材シート等)中に抗ウイルス剤が添加される場合と比べて、化粧シート1に優れた抗ウイルス性を付与することができる。また、例えば成型用樹脂中や塗料用樹脂中に抗ウイルス剤が添加される場合と比べて、高い加工適性を付与することができる。
従来、抗ウイルス剤を成形用樹脂に練り込む方法や、塗料用樹脂に練り込む方法が取られていたが、抗ウイルス剤をプラスチック成形品等に練り込む場合は、製造工程の複雑化やコストの増加、生産性の低下等の問題が発生し易い。また、成形用樹脂や塗料用樹脂の中には樹脂組成物の必要成分として顔料、染料、硬化剤、触媒等が混合され得る。このため、成形用樹脂や塗料用樹脂に抗ウイルス剤を練り込む場合、これらの成分が抗ウイルス剤の変色や、抗ウイルス作用の低下等の悪影響を与える場合があり、抗ウイルス剤と樹脂組成物内の各成分との適性を個々に検討する必要があった。
したがって、従来は抗ウイルス性を有する化粧シートや化粧材の製造時には、基材や用途に応じて樹脂組成を検討する必要があり、作業の煩雑化や生産性の低下が生じるという問題があった。また、抗ウイルス剤を成形用樹脂や塗料用樹脂に練り込む場合、大部分の抗ウイルス剤は樹脂に練り込まれて成形品の中に入っていて抗ウイルス作用を示さない。このため、抗ウイルス剤の使用方法としては経済的に大きな問題となっていた。
これに対し、本実施形態に係る化粧シート1では、上述のように、表面保護層4の最表層である第2表面保護層4bに抗ウイルス剤が添加されている。これにより、抗ウイルス剤が成形用樹脂や塗料用樹脂に練り込まれる場合に比べて、化粧シート1の表面における抗ウイルス剤の表面積が拡大される。このため、従来に比べて抗ウイルス剤の使用量が低減され、抗ウイルス剤の使用に伴うコストを抑えることができる。また、第2表面保護層4bに抗ウイルス剤を添加する場合、成形用樹脂や塗料用樹脂等を構成する樹脂組成物内の上記必要成分が抗ウイルス剤に与える影響は低減される。このため、抗ウイルス剤と樹脂組成物内の各成分との適正を個々に検討する必要が生じない。したがって、作業の煩雑化や生産性の低下を抑制することができる。
本実施形態において、第2表面保護層4bに添加される抗ウイルス剤は、有効成分が有機系材料であることが好ましい。これにより、本実施形態による化粧シート1は、抗ウイルス効果の持久性に優れた化粧シートとなる。抗ウイルス剤に用いる有機系材料としては、特に限定されないが、例えばカルボン酸系材料、スルホン酸系材料を用いることができる。カルボン酸系材料は、例えば長方形状を有している。また、スルホン酸系材料は、例えば球形状を有している。
一般的に、ウイルスは、エンベロープ(タンパク質や脂質で形成される膜)の有無によって、エンベロープウイルス(エンベロープ有)とノンエンベロープウイルス(エンベロープ無)とに分けられる。エンベロープウイルスには、例えば、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイルス、B型肝炎ウイルス等が含まれる。また、ノンエンベロープウイルスには、例えばノロウイルス、ネコカリシウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスが含まれる。
本実施形態における抗ウイルス剤の有機材料のうち、カルボン酸系材料は、エンベロープウイルスおよびノンエンベロープウイルスの両方に対して抗ウイルス効果を発揮することができる。また、上記有機材料のうちスルホン酸系材料は、エンベロープウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することができる。また、本実施形態における抗ウイルス剤の有機材料には、4級アンモニウム塩を用いてもよい。4級アンモニウム塩は、例えばエンベロープウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することができる。これらの有機材料(カルボン酸系材料、スルホン酸系材料および4級アンモニウム塩)による抗ウイルス剤は、無機材料による抗ウイルス剤に比べて、即効性の抗ウイルス効果を発揮することができる。
このように、本実施形態に係る化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加される抗ウイルス剤は、有機材料として、カルボン酸系材料、スルホン酸系材料、または4級アンモニウム塩のうち少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。これにより、本実施形態に係る化粧シート1は、無機材料による抗ウイルス剤が添加されている場合に比べて即効性の抗ウイルス効果を発揮することができる。なお、化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加する抗ウイルス剤には、有機材料としてカルボン酸系材料、スルホン酸系材料、または4級アンモニウム塩のうちいずれか1種が含まれてもよいし、これら3種類の有機材料のうち、2種以上が含まれてもよい。例えば、抗ウイルス剤にカルボン酸系材料およびスルホン酸系材料の両方が含まれる場合、エンベロープウイルスおよびノンエンベロープウイルスの両方に対して抗ウイルス効果が発揮されることとなる。
本実施形態において、抗ウイルス剤の添加量は、第2表面保護層4bの固形分に対して8質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。抗ウイルス剤の添加量が当該範囲内であることにより、化粧シート1に対して優れた抗ウイルス性を確実に付与することができる。また、加工適性(例えば、曲げ加工性)を十分に向上し、かつ機械強度を向上することができる。一方、抗ウイルス剤の添加量が第2表面保護層4bの固形分に対して8質量%未満であると、抗ウイルス効果の発現が安定せず、抗ウイルス効果が低減し得る。また、抗ウイルス剤の添加量が第2表面保護層4bの固形分に対して20質量%を超えると、化粧シート1の加工適性が低減したり、第2表面保護層4bの機械強度に影響が生じる場合がある。
また、本実施形態において、抗ウイルス剤の平均粒径は、表面保護層4の最表層である第2表面保護層4bの厚さの0.5倍以上2倍以下の範囲内であることが望ましい。つまり、抗ウイルス剤の平均粒径をΦ(μm)とし、第2表面保護層4bの厚さをD(μm)とした場合に、以下の関係式(1)の関係が成立することが好ましい。
0.5D≦Φ≦2D・・・(1)
さらに、本実施形態において、第2表面保護層4bに添加する抗ウイルス剤の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが望ましい。ここで、抗ウイルス剤の平均粒径は、算術平均径であって、抗ウイルス剤の個数を粒度分布計と電子顕微鏡にて測定した。
第2表面保護層4bの厚さに対する抗ウイルス剤の平均粒径が当該条件を満たす場合、第2表面保護層4bに含まれる抗ウイルス剤の表面積が十分に拡大される。したがって、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4bの表面)における抗ウイルス剤との接触面積が拡大され、抗ウイルス効果を向上することができる。
また、本実施形態において、抗ウイルス剤の粒度分布における粒径のピークは、0.5μm以上20μm以下の範囲内であると好ましい。粒径のピークが当該範囲内である場合、第2表面保護層4bに含まれる抗ウイルス剤の表面積が十分に拡大される。したがって、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4bの表面)における抗ウイルス剤との接触面積が拡大され、抗ウイルス効果を向上することができる。さらに、粒径のピークが上記範囲内である場合、グラビア印刷にて第2表面保護層4bを好適に塗工可能となる。
また、本実施形態に係る化粧シート1において、例えば耐汚染性向上策として、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4b)にシリコン系成分(例えばシリコン樹脂)やフッ素系成分(例えばフッ素樹脂)を設定してもよい。
(シリコン樹脂)
シリコン樹脂を用いる場合は、周囲との密着性や相溶性の問題から変性シリコンを用いることが好ましい。第2表面保護層4bを構成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂からなる場合には、変性シリコンは、電離放射線反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。また第2表面保護層4bを構成する硬化型樹脂が熱硬化型樹脂からなる場合には、変性シリコンは、熱反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。また、第2表面保護層4bを構成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂及び熱硬化型樹脂の混合からなる場合には、上記変性シリコンは、電離放射線反応性及び熱反応性の少なくとも一方からなる変性シリコン樹脂であることが好ましい。
変性シリコンは、反応性変性シリコンと非反応性シリコンとに分類できる。熱反応性の変性シリコンとしては、モノアミン変性シリコン、ジアミン変性シリコン、エポキシ変性シリコン、カルビノール変性シリコン、カルボキシ変性シリコン、メルカプト変性シリコン、シラノール変性シリコン、アルコール変性シリコン、ジオール変性シリコンが例示出来る。また、電離放射線反応性の変性シリコンとしては、アクリル変性シリコン、メタクリル変性シリコンが例示できる。また、非反応性変性シリコンであるポリエーテル変性シリコン、アラルキル変性シリコン、長鎖アルキル変性シリコン、高級脂肪酸エステル変性シリコンが例示出来る。またこれらの変性シリコン製造メーカーとしては信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、旭化成ワッカーシリコーン(株)などが挙げられる。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂は最小レベルの表面張力を示すことが広く知られており、耐汚染材料として好適である。第2表面保護層4bが含有するフッ素樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン―エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどが挙げられ、これら以外にも多くの誘導体を用いることができる。またこれらのフッ素樹脂のメーカーとしてはダイキン工業(株)、三井・デュポンフロロケミカル(株)などが挙げられる。第2表面保護層4bが含有するフッ素樹脂の量は、10質量部以上100質量部以下が好ましい。より好ましくは20質量部以上である。ここで、フッ素樹脂自体が硬化型樹脂であっても良い。すなわち、フッ素樹脂の一部が、表面保護層4(第1表面保護層4a、第2表面保護層4b)の主成分である硬化型樹脂の一部を兼ねていても良い。例えば、第2表面保護層4bの樹脂成分全部がフッ素樹脂であっても良い。
このように、本実施形態に係る化粧シート1において、表面保護層4の最表層、すなわち第2表面保護層4bに、シリコン系成分又はフッ素系成分のうち少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。これにより、化粧シート1の耐汚染性を向上することができる。耐汚染性が向上されると、ウイルスが化粧シート1の表面に長期間存在することを抑制することができ、結果として、抗ウイルス性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態に係る化粧シート1において、第2表面保護層4bの厚さは、3μm以上であればよい。例えば、第2表面保護層4bの厚さは、3μm以上15μm以下の範囲内であると好ましい。第2表面保護層4bの厚さが3μm以上であれば、耐摩耗性、耐候性、耐傷性など、各種耐性に優れた化粧シートを得ることができる。また、第2表面保護層4bの厚さが15μm以下であれば、性能とコストとのバランスがよく、必要以上のコストの増加を抑えることができる。一方、第2表面保護層4bの厚さが3μmに満たない場合には、塗工方式が限定的になり、かつ安定した生産が難しくなるため生産性が低下することがある。また、耐候性や耐傷付性が低下し、バラつきが大きくなることがある。また、第2表面保護層4bの厚みが15μmを超える場合には、性能とコストのバランスが崩れ、コストが高くなることがある。また、可撓性が低下することがある。このことを鑑みると、第2表面保護層4bの厚みは15μm以下であることが好ましい。
(第1表面保護層)
第1表面保護層4aは、表面保護層4において絵柄模様層3側に設けられた層、すなわち表面保護層4における内側層である。第1表面保護層4aについては、最外層である第2表面保護層4bと同様の組成の樹脂を用いてもよく、別個に樹脂の種類や組成、比率を変えたものを用いても構わない。また、例えば第1表面保護層4aにも抗ウイルス剤を添加してもよい。この場合、化粧シート1は、表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)が摩耗して第1表面保護層4aが露出した場合であっても、抗ウイルス効果を発揮することができる。
また、第1表面保護層4aの厚みは、3μm以上50μm以下の範囲内であればよい。第1表面保護層4aの厚みが3μmに満たない場合には、塗工方式が限定的になり、かつ安定した生産が難しくなるため生産性が低下する場合がある。また、耐候性や耐傷付性が低下し、バラつきが大きくなる場合がある。一方、第1表面保護層4aの厚みが50μmを超える場合には、性能とコストのバランスが崩れ、コストが高くなる場合や、可撓性が低下する場合がある。このことを鑑みると、第1表面保護層4aの厚みは20μm以下であることがより好ましい。
(変形例)
本実施形態に係る化粧シートの変形例について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態の変形例による化粧シート1の一構成例を説明するための断面模式図である。図2に示すように、化粧シート1において表面保護層4の表面、すなわち第2表面保護層4bの表面には、所与の意匠性を付与するためにエンボス部5が形成されていてもよい。通常はエンボス加工によって凹凸模様を形成する。エンボス加工方法は特に限定されない。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。エンボス部5の凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
以上説明したように、本実施形態による化粧シート1は、基材シート2上に単層又は複層で形成された表面保護層4が設けられ、表面保護層4の最表面に位置する第2表面保護層4bに抗ウイルス剤が添加されている。
これにより、化粧シート1は、優れた抗ウイルス性を有するとともに、加工適性(例えば、曲げ加工性)を向上することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加されている抗ウイルス剤の添加量は、第2表面保護層4bの固形分に対して8質量%以上20質量%以下であってもよい。
これにより、化粧シート1により優れた抗ウイルス性を確実に付与することができ、かつ加工適性を向上することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加されている抗ウイルス剤の平均粒径は、第2表面保護層4bの厚さの0.5倍以上2倍以下であってもよい。
これにより、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4bの表面)における抗ウイルス剤との接触面積が拡大され、抗ウイルス効果を向上することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加されている抗ウイルス剤の平均粒径は、1μm以上10μm以下であってもよい。
これにより、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4bの表面)における抗ウイルス剤との接触面積が拡大され、抗ウイルス効果を向上することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加されている抗ウイルス剤の粒度分布において、粒径のピークが0.5μm以上20μm以下の範囲内であってもよい。
これにより、化粧シート1の最表面(第2表面保護層4bの表面)における抗ウイルス剤との接触面積が拡大されて抗ウイルス効果を向上することができ、さらに、グラビア印刷にて第2表面保護層4bを好適に塗工可能となる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bに添加されている抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であってもよい。
また、当該抗ウイルス剤は、有機材料としてカルボン酸系材料、スルホン酸系材料または4級アンモニウム塩のうち少なくともいずれか1種を含んでもよい。
これにより、化粧シート1は、無機系の抗ウイルス剤が添加された化粧シートに比べて即効性の抗ウイルス効果を発揮することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bの厚さは、3μm以上であればよい。
これにより、耐摩耗性,耐候性、耐傷性など等の各種耐性に優れた化粧シートを提供することができる。
また、本実施形態による化粧シート1において、第2表面保護層4bには、シリコン系成分又はフッ素系成分のうち少なくとも一方が含まれていてもよい。
これにより、化粧シート1は、耐汚染性を向上することができ、結果として抗ウイルス性をさらに向上させることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る化粧シートについて、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施形態(以下、「本実施形態」という)に係る化粧シート10の一構成例を説明するための断面図である。
化粧シート10は、基材シート1の一方の面側に、絵柄模様層3、熱可塑性樹脂層11、及び表面保護層4がこの順に積層されている。すなわち、化粧シート10は、表面保護層4と絵柄模様層3との間に熱可塑性樹脂層11が設けられている点で、上記第1実施形態に係る化粧シート1と相違する。
以下、熱可塑性樹脂層11について説明する。なお、熱可塑性樹脂層11以外の各層(基材シート2、絵柄模様層3、表面保護層4)については、上記第1実施形態に係る化粧シート1の各層と同様の構成であるため説明を省略する
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層11は、絵柄模様層3上に形成される層である。熱可塑性樹脂層11は、化粧シート10の表面(上面)から絵柄模様層3の絵柄を透視可能な程度の透明性(無色透明、有色透明、半透明)を有することが好ましい。熱可塑性樹脂層11を設ける場合、熱可塑性樹脂層11の厚さ(層厚)は30μm以上100μm以下の範囲内が好ましい。熱可塑性樹脂層11の層厚が30μm未満の場合、透明樹脂層11表面の耐傷性の向上効果が低く、熱可塑性樹脂層11を設ける意義が少なくなってしまう。また、熱可塑性樹脂層11の層厚が100μmを超える場合、化粧シート10の剛性が高すぎて、曲げ加工において白化や割れといった不具合が生じてしまうおそれがある。
(樹脂材料)
熱可塑性樹脂層11を構成する樹脂材料としては、例えば基材シート1と同様に、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体、エチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
ここで、熱可塑性樹脂層11に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や、加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート10の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。つまり、本実施形態に係る化粧シート10において、熱可塑性樹脂層の主成分としてポリプロピレンを用いることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用したりすることができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1又はオクテン-1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-プロピレン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
熱可塑性樹脂層11には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていてもよい。
透明熱可塑性樹脂層11によって、化粧シート10は意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シート10の耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
また、化粧シート10には、基材シート2および絵柄模様層3と熱可塑性樹脂層11の接着を強固にする目的で、絵柄模様層3と熱可塑性樹脂層11との間に透明接着層(不図示)を設けてもよい。この接着が強固であることによって、化粧シート1に対し、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
(変形例)
本実施形態に係る化粧シートの変形例について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の変形例による化粧シート10の一構成例を説明するための断面模式図である。図4に示すように、化粧シート1において熱可塑性樹脂層11の表面には、所与の意匠性を付与するためにエンボス加工が施されたエンボス部15が形成されていてもよい。エンボス部15には、エンボス部15の凹凸形状としては、上記第1実施形態による化粧シート1のエンボス部5と同様に、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。熱可塑性樹脂層11にエンボス部15を形成することにより、化粧シート10には、質感が付与され、意匠性を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態による化粧シート10は、基材シート2と表面保護層4との間に絵柄模様層3が設けられ、表面保護層4と絵柄模様層3との間に熱可塑性樹脂層11が設けられていてもよい。
これにより、化粧シート10は意匠的に厚みや深みが出る効果を有するほか、化粧シート10の耐候性、耐磨耗性能を向上させることができる。
また、本実施形態による化粧シート10において、熱可塑性樹脂層11は、ポリプロピレンを主成分としてもよい。
これにより、環境問題に配慮しつつ、各種物性に優れた化粧シートを提供することができる。
また、本実施形態による化粧シート10において、熱可塑性樹脂層11は、厚さが30μm以上100μm以下の範囲内であって、エンボス加工が施されていてもよい。
これにより、化粧シート10に質感が付与され、意匠性を向上することができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る化粧材について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る化粧材8の一構成例を説明するための断面模式図である。
(化粧材)
図5に示すように化粧材8には、例えば上記第1実施形態に係る化粧シート1が用いられる。具体的には化粧材8は、化粧シート1を基材7に貼り合わせることで構成される。本実施形態に係る化粧材8は、例えば建具に用いられる化粧材である。
(基材7)
基材7としては、例えば建具用基材が想定される。基材7としては、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(以後MDF)、日本農林規格に規定される普通合板等が使用可能である。また、木紛添加オレフィン系樹脂からなる基材も使用可能である。基材7の厚さは3mm以上25mm以下程度が好適である。なお基材7は、アルミなどの金属やプラスチックなどの樹脂、またはそれらの複合材料であっても良い。
基材7の少なくとも一方の表面(表層)に化粧シート(例えば、化粧シート1)が貼り合わされることで、化粧材8が構成される。なお、本実施形態に係る化粧材8において用いられる化粧シートは、上記第1実施形態に係る化粧シート1に限られない。例えば、化粧材8には、上記第1実施形態の変形例に係る化粧シート1を用いてもよいし、上記第2実施形態に係る化粧シート10を用いてもよいし、当該第2実施形態の変形例に係る化粧シート10を用いてもよい。これにより、本実施形態に係る化粧材8には、優れた抗ウイルス性および加工適性が付与される。
(接着剤層)
基材7上には、基材7を化粧シート1に貼り合わせるための接着剤層6が設けられている。基材7が木質系材料である場合、接着剤層6には、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系、ポリウレタン(PUR)系等の接着剤を使用することができる。
化粧材8において、基材7に貼り付けられる化粧シート(例えば、化粧シート1)には、プライマー層(不図示)が設けられてもよい。プライマー層は、基材7との接着に用いられる接着剤との密着性を向上させるために、例えば基材シート2において絵柄模様層3とは反対の面側に必要に応じて施されるものである。例えば、基材7が木質系材料で形成されている場合には、接着剤として、上述のように酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤が使用され得る。このため、プライマー層は、これらの接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を用いることができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、例えば、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や投錨効果による接着力の向上に有効である。
以上説明したように、本実施形態による化粧材8は、上述の化粧シート(例えば、化粧シート1または化粧シート10のいずれか一方)と、当該化粧シートが少なくとも一方の表面に貼り合わされた基材7とを備えている。
これにより、抗ウイルス性に優れた化粧材を提供することができる。
以下本発明を実施例によってさらに具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
<実施例1>
基材シート2としてオレフィン素材からなる着色熱可塑性樹脂層を用いた。その上に絵柄模様層3として木目柄をグラビア印刷機で印刷して設けた。また、絵柄模様層3上に、透明熱可塑性樹脂層11としてオレフィン素材からなる透明シートを貼り合わせ、その後に、表面保護層4の内側層(第1表面保護層4a)として熱硬化性樹脂(DICグラフィックス製W480)を厚さ3μmにて塗工した。さらに、表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)として熱硬化性樹脂(DICグラフィックス株式会社製W480)中に有機系抗ウイルス剤を、固形分比率で9質量%配合し、これを3μmで塗工した。続いて加熱により熱硬化性樹脂を硬化させて、実施例1の化粧シートを得た。
実施例1に用いた有機系抗ウイルス剤は、平均粒径(Φ)を4.5μmとし、粒径のピークを4μmとした。また、表面保護層の最表層(第2表面保護層4b)の厚さD(本実施例では、3μm)に対する平均粒径(Φ)は1.5Dとした。また、当該有機系抗ウイルス剤は、有機材料としてカルボン酸系材料およびスルホン酸系材料を含むものとした。
<実施例2>
表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)の主成分を紫外線硬化性樹脂(DICグラフィックス株式会社製ウレタンアクリレート樹脂)とし、当該紫外線硬化性樹脂中に有機系抗ウイルス剤を固形分比率で9質量%配合し、当該最表層を厚さ6μmで塗工した。それ以外は、実施例1と同様に実施例2の化粧シートを得た。
<実施例3>
抗ウイルス剤の添加量を第2表面保護層4bにおける固形分比率で8質量%に変更した。それ以外は、実施例1と同様に実施例3の化粧シートを得た。
<実施例4>
抗ウイルス剤の添加量を第2表面保護層4bにおける固形分比率で20質量%に変更した。それ以外は、実施例1と同様に実施例4の化粧シートを得た。
<実施例5>
抗ウイルス剤の平均粒径を1μmに変更し、第2表面保護層4bの厚さを10μmとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の化粧シートを作製した。
<実施例6>
抗ウイルス剤の平均粒径を10μmに変更し、第2表面保護層4bの厚さを10μmとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の化粧シートを作製した。
<実施例7>
抗ウイルス剤の粒径のピークを0.1μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の化粧シートを作製した。
<実施例8>
抗ウイルス剤の粒径のピークを0.5μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例8の化粧シートを作製した。
<実施例9>
抗ウイルス剤の粒径のピークを20μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例9の化粧シートを作製した。
<実施例10>
抗ウイルス剤の粒径のピークを25μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例10の化粧シートを作製した。
<実施例11>
第2表面保護層4bの厚さを1μmとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例11の化粧シートを作製した。
<実施例12>
抗ウイルス剤の平均粒径を7.5μmに変更し、粒径のピークを5μmに変更し、第2表面保護層4bの厚さを15μmとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例12の化粧シートを作製した。
<実施例13>
第2表面保護層4bの厚さを30μmとした。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例13の化粧シートを作製した。
<実施例14>
抗ウイルス剤の平均粒径を6μmに変更した。それ以外は実施例1と同様の方法で、実施例14の化粧シートを作製した。
<比較例1>
表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)の主成分である熱硬化性樹脂に抗ウイルス剤を添加せずに、第2表面保護層4bを塗工した。それ以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の化粧シートを作製した。
<評価判定>
上述した実施例1~14、比較例1で得られた化粧シートについて、以下の方法で抗ウイルス性能及び曲げ加工性の評価を行った。
<評価>
〔抗ウイルス性能〕
実施例1~14及び比較例1の化粧シートをISO 21702に準じて抗ウイルス試験を実施した。抗ウイルス性能試験には、エンベロープウイルスを使用した。50mm四方の供試試料を滅菌シャーレ内に置き、0.4mLのウイルス液を試料上に接種した。その後、試料上に40mm四方のポリエチレンフィルムを被せた。シャーレに蓋をした後、温度25℃・湿度90%以上の条件で、試料とウイルスを接種させた。所定時間(24時間)後、10mLのSCDLP培地をシャーレに注ぎ、ウイルスを洗い出した。洗い出し液は、プラーク法にてウイルス感染価を測定した。
〈ウイルス感染価の測定(プラーク法)〉
宿主細胞を6ウェルプレート上に単層培養し、階段希釈した洗い出し液をウェルに0.1mLずつ接種した。5%CO・温度37℃の条件で1時間培養し、細胞にウイルスを吸着させた後、6ウェルプレートに寒天培地を注いで更に2~3日培養した。培養後、細胞を固定・染色し、形成したプラークの数を計測した。
〈ウイルス感染価の算出〉
以下の式に伴い、試料1cm当たりのウイルス感染価を算出した。
V=(10×C×D×N)/A
V:試料1cm当たりのウイルス感染価(PFU/cm
C:計測したプラーク数
D:プラークを計測したウェルの希釈倍率
N:SCDLP量
A:試料とウイルスの接触面積(ポリエチレンフィルムの面積)
〈抗ウイルス活性値の算出〉
以下の式に伴い、抗ウイルス活性値を算出した。ここで、抗ウイルス活性値が2log10以上の場合、抗ウイルス効果ありと判定した。
抗ウイルス活性値=log(Vb)-log(Vc)
Log(Vb):24時間後の無加工試料1cm当たりのウイルス感染価の常用対数値
Log(Vc):24時間後の抗ウイルス加工試料1cm当たりのウイルス感染価の常用対数値
〔曲げ加工性〕
建具基材である厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に、接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製「リカボンド」(重量比BA-10L/BA-11B=100:2.5))をウエット状態で100g/mに塗工した後、実施例1~14及び比較例1の化粧シートをそれぞれ貼り合わせ、24時間養生することで、実施例1~14及び比較例1の建具化粧材とした。
これらの建具化粧材にVカット加工を実施し、折り曲げ頂上部の外観状態を確認した。具体的には、光学顕微鏡を用いてVカット部分の割れの有無について観察した。Vカット加工としては、建具化粧材において化粧シートが貼り付けられていない面側から上記建具基材と化粧シートとを貼り合わせている境界まで、化粧シートにキズが付かないようにV型の溝を入れた。次に、化粧シート1を貼付した面が山折りとなるようにして、建具基材を当該V型の溝に沿って90度まで折り曲げた。
<評価基準>
〇:折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化等無し。
×:折り曲げ頂上部に、表面保護層の割れ、白化発生。
以上の評価結果を、表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)の組成とともに表1に示す。
Figure 2022041101000002
表1中に表されるように、実施例1から14の評価結果から、抗ウイルス剤が表面保護層4の最表層(第2表面保護層4b)に添加されている場合には、抗ウイルス活性値が2log10以上となり、比較例1のように抗ウイルス剤が表面保護層4の最表層に添加されていない場合と比べて、抗ウイルス性が高いことが分かった。なお、比較例1については、抗ウイルス活性値は測定できなかった。表1では、これを「-」で示している。また、実施例1から14の評価結果から、表面保護層4の最表層に抗ウイルス剤を添加した場合も、加工適性が高いことが分かった。
なお、本発明の化粧シート及び化粧材は、上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において種々の変更が可能である。
1、10 化粧シート
2 基材シート
3 絵柄模様層
4 表面保護層
4a 第1表面保護層
4b 第2表面保護層
5、15 エンボス部
6 接着剤層
7 基材
8 化粧材
11 透明熱可塑性樹脂層
上記課題を解決するために、本発明の一態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料として4級アンモニウム塩を含んでいる。
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料としてカルボン酸系材料またはスルホン酸系材料のうち少なくとも一方を含んでいる。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに他の態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料としてカルボン酸系材料およびスルホン酸系材料を含み、ISO21702に準じる抗ウイルス試験において、抗ウイルス活性値が2.0log 10 以上である。
上記課題を解決するために、本発明の一態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料として4級アンモニウム塩を含んでおり、前記抗ウイルス剤の添加量が、前記表面保護層の前記最表層の固形分に対して8質量%以上20質量%以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が、前記表面保護層の前記最表層の厚さの0.5倍以上2倍以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が1μm以上10μm以下であり、前記表面保護層の前記最表層の厚さが、3μm以上である。
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料としてカルボン酸系材料またはスルホン酸系材料のうち少なくとも一方を含んでおり、前記抗ウイルス剤の添加量が、前記表面保護層の前記最表層の固形分に対して8質量%以上20質量%以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が、前記表面保護層の前記最表層の厚さの0.5倍以上2倍以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が1μm以上10μm以下であり、前記表面保護層の前記最表層の厚さが、3μm以上である
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに他の態様である化粧シートは、基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されており、前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料であって、当該有機材料としてカルボン酸系材料およびスルホン酸系材料を含み、ISO21702に準じる抗ウイルス試験において、抗ウイルス活性値が2.0log10以上であり、前記抗ウイルス剤の添加量が、前記表面保護層の前記最表層の固形分に対して8質量%以上20質量%以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が、前記表面保護層の前記最表層の厚さの0.5倍以上2倍以下であり、前記抗ウイルス剤の平均粒径が1μm以上10μm以下であり、前記表面保護層の前記最表層の厚さが、3μm以上である

Claims (13)

  1. 基材シート上に単層又は複層で形成された表面保護層が設けられ、
    前記表面保護層の最表面に位置する最表層に抗ウイルス剤が添加されている化粧シート。
  2. 前記抗ウイルス剤の添加量が、前記表面保護層の前記最表層の固形分に対して8質量%以上20質量%以下である
    請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記抗ウイルス剤の平均粒径が、前記表面保護層の前記最表層の厚さの0.5倍以上2倍以下である
    請求項1又は2のいずれか1項に記載の化粧シート。
  4. 前記抗ウイルス剤の平均粒径が1μm以上10μm以下である
    請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記抗ウイルス剤の粒度分布において、粒径のピークが0.5μm以上20μm以下の範囲内である
    請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記抗ウイルス剤は、有効成分が有機材料である
    請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記抗ウイルス剤は、前記有機材料としてカルボン酸系材料、スルホン酸系材料または4級アンモニウム塩のうち少なくともいずれか1種を含む
    請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記表面保護層の前記最表層の厚さが、3μm以上である
    請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. 前記最表層に、シリコン系成分又はフッ素系成分のうち少なくとも一方が含まれている
    請求項1から8のいずれか1項に記載の化粧シート。
  10. 前記基材シートと前記表面保護層との間に絵柄模様層が設けられ、
    前記表面保護層と前記絵柄模様層との間に熱可塑性樹脂層が設けられている
    請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
  11. 前記熱可塑性樹脂層は、ポリプロピレンを主成分とする
    請求項10に記載の化粧シート。
  12. 前記熱可塑性樹脂層は、厚さが30μm以上100μm以下の範囲内であって、エンボス加工が施されている
    請求項10又は11に記載の化粧シート。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の化粧シートと、
    前記化粧シートが少なくとも一方の表面に貼り合わされた基材と、
    を備える化粧材。
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