JP2022137852A - 蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定構造の蓄電装置における液体電解質の液漏れを抑制する。【解決手段】蓄電装置は、正極集電体21a及び正極活物質層21bを有する正極21と、負極集電体及び負極活物質層を有する負極と、正極活物質層21bと負極活物質層との間に配置されたセパレータと、正極21と負極との間に液体電解質を収容する密閉空間Sを形成するシール部24とを備える。正極集電体21aは、正極活物質層21bが設けられる第1面21a1がアルミニウムにより構成されるアルミニウム集電体である。シール部24は、ポリオレフィン系樹脂により構成されている。液体電解質は、金属フッ化物塩を含む液体電解質である。アルミニウム集電体の第1面21a1におけるシール部24との接着部分には、特定量のモリブデンを含む保護層Mが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電装置に関する。
特許文献1には、個々に作製された複数の蓄電セルを直列に積層することにより構成される扁平型の蓄電装置が開示されている。上記蓄電セルは、箔状の正極集電体の片面の中央部に正極活物質層が形成されてなる正極と、箔状の負極集電体の片面の中央部に負極活物質層が形成されてなり、負極活物質層が正極の正極活物質層と対向するように配置された負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータとを備えている。
さらに、上記蓄電セルは、正極と負極との間かつ正極活物質層及び負極活物質層よりも外周側に配置されるシール部を備えている。シール部は、正極集電体と負極集電体との間隔を保持して集電体間の短絡を防止するとともに、正極集電体と負極集電体との間を液密に封止して、正極集電体と負極集電体との間に液体電解質を収容する密閉空間を形成する。
特開2017-16825号公報
LiPFを電解質塩として含む液体電解質は、リチウムイオン二次電池の液体電解質として広く使用されている。LiPFなどの金属フッ化物塩を電解質塩として含む液体電解質を上記の蓄電装置に適用するとともに、集電体としてアルミニウムにより構成される集電体を用いた場合には、正極集電体と負極集電体との間の密閉空間から液体電解質の液漏れが生じることがあった。
上記の目的を達成する蓄電装置は、正極集電体の第1面の中央部に正極活物質層が設けられた正極と、負極集電体の第1面の中央部に負極活物質層が設けられてなり、前記負極活物質層が前記正極の前記正極活物質層と対向するように配置された負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されたセパレータと、前記正極と前記負極との間において、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の周囲を囲むように配置されるとともに、前記正極集電体及び前記負極集電体の各第1面に接着されることにより、前記正極と前記負極との間に液体電解質を収容する密閉空間を形成するシール部とを備え、前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方は、第1面がアルミニウムにより構成されるアルミニウム集電体であり、前記シール部は、ポリオレフィン系樹脂により構成され、前記液体電解質は、金属フッ化物塩を含む液体電解質である蓄電装置であって、前記アルミニウム集電体の第1面における前記シール部との接着部分には、モリブデンを含む保護層が設けられ、前記アルミニウム集電体の表面における前記保護層が設けられている部分を対象とする蛍光X線分析で測定されるモリブデンの含有割合は、前記蛍光X線分析で測定されるアルミニウム100質量部に対して、0.100×10-3質量部以上である。
前記保護層は、酸化モリブデン、炭化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、窒化モリブデンから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
前記保護層は、前記アルミニウム集電体の第1面の全体に設けられていることが好ましい。
本発明によれば、特定構造の蓄電装置における液体電解質の液漏れを抑制できる。
蓄電装置の断面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示す蓄電装置10は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置10は、例えば、ニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置10は、電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置10がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
<蓄電装置>
図1に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電セル20が積層方向にスタック(積層)されたセルスタック30(積層体)を含んで構成されている。以下では、複数の蓄電セル20の積層方向を単に積層方向という。各蓄電セル20は、正極21と、負極22と、セパレータ23と、シール部24とを備える。
正極21は、正極集電体21aと、正極集電体21aの第1面21a1に設けられた正極活物質層21bとを備える。積層方向から見た平面視(以下、単に平面視という。)において、正極活物質層21bは、正極集電体21aの第1面21a1の中央部に形成されている。平面視における正極集電体21aの第1面21a1の周縁部は、正極活物質層21bが設けられていない正極未塗工部21cとなっている。正極未塗工部21cは、平面視において正極活物質層21bの周囲を囲むように配置されている。
負極22は、負極集電体22aと、負極集電体22aの第1面22a1に設けられた負極活物質層22bとを備える。平面視において、負極活物質層22bは、負極集電体22aの第1面22a1の中央部に形成されている。平面視における負極集電体22aの第1面22a1の周縁部は、負極活物質層22bが設けられていない負極未塗工部22cとなっている。負極未塗工部22cは、平面視において負極活物質層22bの周囲を囲むように配置されている。
正極21及び負極22は、正極活物質層21b及び負極活物質層22bが積層方向において互いに対向するように配置されている。つまり、正極21及び負極22の対向する方向は積層方向と一致している。負極活物質層22bは、正極活物質層21bよりも一回り大きく形成されており、積層方向から見た平面視において、正極活物質層21bの形成領域の全体が負極活物質層22bの形成領域内に位置している。
正極集電体21aは、第1面21a1とは反対側の面である第2面21a2を有する。正極21は、正極集電体21aの第2面21a2に正極活物質層21b及び負極活物質層22bのいずれも形成されていないモノポーラ構造の電極である。負極集電体22aは、第1面22a1とは反対側の面である第2面22a2を有する。負極22は、負極集電体22aの第2面21a2に正極活物質層21b及び負極活物質層22bのいずれも形成されていないモノポーラ構造の電極である。
セパレータ23は、正極21と負極22との間に配置されて、正極21と負極22とを隔離することで両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。
セパレータ23は、例えば、液体電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布である。セパレータ23を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステルなどが挙げられる。セパレータ23は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、接着層、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。
シール部24は、正極21の正極集電体21aの第1面22a1と、負極22の負極集電体22aの第1面22a1との間、かつ正極活物質層21b及び負極活物質層22bよりも外周側に配置され、正極集電体21a及び負極集電体22aの両方に接着されている。シール部24は、正極集電体21aと負極集電体22aとの間を絶縁することによって、集電体間の短絡を防止する。
シール部24は、平面視において、正極集電体21a及び負極集電体22aの周縁部に沿って延在するとともに、正極活物質層21b及び負極活物質層22bの周囲を取り囲む枠状に形成されている。シール部24は、正極集電体21aの第1面21a1の正極未塗工部21cと、負極集電体22aの第1面22a1の負極未塗工部22cとの間に配置されている。
蓄電セル20の内部には、枠状のシール部24、正極21及び負極22によって囲まれた密閉空間Sが形成されている。密閉空間Sには、セパレータ23及び液体電解質が収容されている。なお、セパレータ23の周縁部分は、シール部24に埋まった状態とされている。
シール部24は、正極21及び負極22との間の密閉空間Sを封止することにより、密閉空間Sに収容された液体電解質の外部への透過を抑制し得る。また、シール部24は、蓄電装置10の外部から密閉空間S内への水分の侵入を抑制し得る。さらに、シール部24は、例えば、充放電反応等により正極21又は負極22から発生したガスが蓄電装置10の外部に漏れることを抑制し得る。
セルスタック30は、複数の蓄電セル20が、正極集電体21aの第2面21a2と負極集電体22aの第2面22a2とが接触するように重ね合わされた構造を有する。これにより、セルスタック30を構成する複数の蓄電セル20が直列に接続されている。
ここで、セルスタック30においては、積層方向に隣り合う二つの蓄電セル20により、互いに接する正極集電体21a及び負極集電体22aを一つの集電体とみなした疑似的なバイポーラ電極25が形成される。疑似的なバイポーラ電極25は、正極集電体21a及び負極集電体22aが重ね合わされた構造の集電体と、その集電体の一方側の面に形成された正極活物質層21bと、他方側の面に形成された負極活物質層22bとを含む。
各蓄電セル20のシール部24は、正極集電体21aと負極集電体22aの各縁部よりも外側に延びる外周部分24aを有している。外周部分24aは、積層方向から見て正極集電体21aと負極集電体22aの各縁部よりも積層方向に直交する方向に突出している。積層方向に隣り合う蓄電セル20は、それぞれのシール部24の外周部分24a同士が接着されることにより一体化している。隣り合うシール部24同士を接着する方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着又は赤外線溶着など、公知の溶着方法が挙げられる。
蓄電装置10は、セルスタック30の積層方向においてセルスタック30を挟むように配置された、正極通電板40及び負極通電板50からなる一対の通電体を備える。正極通電板40及び負極通電板50は、それぞれ、導電性に優れた材料で構成される。
正極通電板40は、積層方向の一端において最も外側に配置された正極21の正極集電体21aの第2面21a2に電気的に接続される。負極通電板50は、積層方向の他端において最も外側に配置された負極22の負極集電体22aの第2面22a2に電気的に接続される。
蓄電装置10は、正極通電板40及び負極通電板50のそれぞれに設けられた端子を通じて充放電が行われる。正極通電板40を構成する材料としては、例えば、正極集電体21aを構成する材料と同じ材料を用いることができる。正極通電板40は、セルスタック30に用いられた正極集電体21aよりも厚い金属板で構成してもよい。負極通電板50を構成する材料としては、例えば、負極集電体22aを構成する材料と同じ材料を用いることができる。負極通電板50は、セルスタック30に用いられた負極集電体22aよりも厚い金属板で構成してもよい。
次に、正極集電体21a、負極集電体22a、正極活物質層21b、負極活物質層22b、液体電解質、及びシール部24の詳細について説明する。
<正極集電体及び負極集電体>
正極集電体21a及び負極集電体22aは、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、正極活物質層21b及び負極活物質層22bに電流を流し続けるための化学的に不活性な電気伝導体である。
正極集電体21a及び負極集電体22aの少なくとも一方は、第1面21a1又は第1面22a1となる表面がアルミニウムにより構成されるアルミニウム集電体である。アルミニウム集電体は、全体がアルミニウムにより構成された単体物であってもよいし、アルミニウムにより構成される部分とアルミニウム以外の材料により構成される部分とを有する複合体であってもよい。上記複合体としては、第1面21a1を構成する層がアルミニウム層である多層構造体、第1面21a1を含む表面がアルミニウム膜によって被覆された基材が挙げられる。
上記アルミニウム以外の材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料が挙げられる。上記金属材料としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)が挙げられる。上記導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。
アルミニウム集電体の形態は、例えば、箔、シート、フィルムである。アルミニウム集電体の厚さは、例えば、1~100μmである。
アルミニウム集電体におけるアルミニウムにより構成される表面には、モリブデンを含む保護層が設けられている。モリブデンを含む保護層としては、例えば、酸化モリブデン(MoO)、炭化モリブデン(MoC)、モリブデン酸アルミニウム(AlMo12)、窒化モリブデン(MoN)から選ばれる少なくとも一種を含む層が挙げられる。
保護層の厚さは、例えば、100μm以上300μm以下である。
次に、保護層に含まれるモリブデンの含有割合について記載する。本明細書において、モリブデンの含有割合は、アルミニウム集電体の保護層が設けられている表面を蛍光X線分析により分析して得られる検出値に基づく質量割合であり、検出値に基づくアルミニウムの質量を100質量部とした場合の相対値である。保護層におけるモリブデンの含有割合は、アルミニウム100質量部に対して、0.100×10-3質量部以上であり、0.150×10-3質量部以上であることが好ましく、0.170×10-3質量部以上であることで最も好ましい。また、上記モリブデンの含有割合は、例えば、アルミニウム100質量部に対して、0.500×10-3質量部以下であることが好ましく、0.300×10-3質量部以下であることがさらに好ましく、0.200×10-3質量部以下であることが最も好ましい。
保護層は、少なくとも正極集電体21aの第1面21a1又は負極集電体22aの第1面22a1におけるシール部24と接着する部分に設けられている。保護層は、シール部24に接触している。
例えば、保護層は、第1面21a1又は第1面22a1におけるシール部24と接着する部分のみに設けられていてもよい。また、保護層は、第1面21a1又は第1面22a1におけるシール部24と接着する部分以外の部分、例えば、正極活物質層21b又は負極活物質層22bが設けられている部分にも設けられていてもよい。
保護層を形成する処理を簡略化する観点においては、第1面21a1又は第1面22a1の全体に保護層を設けることが好ましい。また、保護層を形成するための材料の使用量を低減する観点においては、第1面21a1又は第1面22a1におけるシール部24と接着する部分のみに保護層を設けることが好ましい。なお、第1面21a1又は第1面22a1におけるシール部24と接着する部分には、保護層が形成されていない部分が部分的に設けられていてもよい。
正極集電体21a及び負極集電体22aの一方は、アルミニウム集電体以外の集電体(以下、その他の集電体という。)であってもよい。その他の集電体を構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、導電性無機材料等を用いることができる。
金属材料としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)が挙げられる。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。
その他の集電体は、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。その他の集電体の表面は、公知の層により被覆されてもよい。その他の集電体の表面は、メッキ処理等の公知の方法により処理されてもよい。
その他の集電体は、例えば、箔、シート、フィルム、線、棒、メッシュ又はクラッド材等の形態を有してもよい。箔、シート、フィルムである場合のその他の集電体の厚さは、例えば、1~100μmである。
正極集電体21a及び負極集電体22aの好ましい一例としては、正極集電体21aをアルミニウム集電体であるアルミニウム箔により構成するとともに、負極集電体22aをその他の集電体である銅箔により構成した場合が挙げられる。なお、図1は、正極集電体21aをアルミニウム集電体により構成した場合を図示している。図1では、正極集電体21aの第1面21a1の全体に保護層Mが設けられている。
<正極活物質層及び負極活物質層>
正極活物質層21bは、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、ポリアニオン系化合物など、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。本実施形態において、正極活物質層21bはポリアニオン系化合物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含む。
負極活物質層22bは、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金又は化合物であれば特に限定はなく使用可能である。例えば、負極活物質としてLi、又は、炭素、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては天然黒鉛、人造黒鉛、あるいはハードカーボン(難黒鉛化性炭素)又はソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。本実施形態において、負極活物質層22bは炭素系材料としての黒鉛を含む。
正極活物質層21b及び負極活物質層22b(以下、単に活物質層ともいう。)はそれぞれ、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、液体電解質等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分、当該成分の配合比、及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
導電助剤は、正極21又は負極22の導電性を高めるために添加される。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイトが挙げられる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体が挙げられる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒又は分散媒としては、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。
正極集電体21a及び負極集電体22aの表面に活物質層を形成する方法は特に限定されるものではなく、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いることができる。
正極21又は負極22の熱安定性を向上させるために、活物質層の表面に上記の耐熱層を設けてもよい。
活物質層の目付量は特に限定されるものではなく、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。ただし、蓄電セル20のエネルギー密度を大きくする観点から、活物質層の目付量を大きくすることが好ましい。正極活物質層21bの目付量は、例えば、55~90mg/cmであり、60mg/cm以上であることが好ましく、70mg/cm以上であることがより好ましい。負極活物質層22bの目付量は、例えば、25~45mg/cmであり、30mg/cm以上であることが好ましい。
<シール部>
シール部24は、ポリオレフィン系樹脂により構成される。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、イソプレン、変性イソプレン、ポリブテン、変性ポリブテン、ポリブタジエンが挙げられる。変性ポリエチレンとしては、例えば、酸変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンが挙げられる。変性ポリプロピレンとしては、例えば、酸変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリプロピレンが挙げられる。なお、これら公知のポリオレフィン系樹脂を二種以上組合せて用いてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。
シール部24は、アルミニウム集電体により構成される正極集電体21a又は負極集電体22aに対して、平面視において、保護層Mと重なる位置に配置されている。シール部24は、保護層Mと接着している。
<液体電解質>
液体電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩としての金属フッ化物塩とを含む液体電解質である。非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
金属フッ化物塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF等のリチウムフッ化物塩が挙げられる。液体電解質は、金属フッ化物塩以外の一種又は二種以上の電解質塩を含有してもよい。金属フッ化物塩以外の電解質塩としては、例えば、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩が挙げられる。
次に、本実施形態の蓄電装置10の製造方法について説明する。
蓄電装置10は、電極形成工程と、蓄電セル形成工程と、セルスタック形成工程とを順に経ることにより製造される。ここでは、一例として、正極集電体21aをアルミニウム箔により構成し、負極集電体22aを銅箔により構成した場合について説明する。
<電極形成工程>
電極形成工程は、正極21を形成する正極形成工程と、負極22を形成する負極形成工程とを有する。
正極形成工程では、まず、正極集電体21aとしてのアルミニウム箔の第1面21a1の特定部位に対して保護層Mを形成する。このとき、少なくとも、第1面21a1におけるシール部24を接着させる部分に保護層Mを形成する。保護層Mの形成方法としては、溶液系プロセスや蒸着系プロセスなどの被膜の形成に適用される公知の方法を用いることができる。溶液系プロセスの一例を以下に記載する。
まず、正極集電体21aとしてのアルミニウム箔の第1面21a1の特定部位に対して、モリブデン酸塩処理液を所定厚みとなるように付着させることにより塗膜を形成する。モリブデン酸塩処理液は、モリブデン酸塩と、溶媒とを含む混合液である。
モリブデン酸塩処理液に含まれるモリブデン酸塩としては、例えば、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸ナトリウム、塩化モリブデン、臭化モリブデンが挙げられる。モリブデン酸塩処理液に含まれる溶媒としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、あるいはそれらの混合溶媒が挙げられる。モリブデン酸塩処理液におけるモリブデン酸塩の濃度は、例えば、0.2~1mol/l以上である。
モリブデン酸塩処理液を正極集電体21aに付着させる方法としては、例えば、スプレー処理、浸漬処理が挙げられる。モリブデン酸塩処理液を正極集電体21aに付着させる際の処理温度は、例えば、25~60℃である。また、塩基性の条件、例えば、pH8~12にて、モリブデン酸塩処理液を付着させることが好ましい。この場合には、アルミニウム箔に対して、モリブデン酸を効率的に付着させることができる。また、塩基性の条件とする観点においては、モリブデン酸塩は、リチウム塩やナトリウム塩等の塩基性のモリブデン酸塩であることが好ましい。
次に、形成された塗膜を乾燥及び固化させることにより保護層Mを形成する。モリブデン酸塩処理液の塗膜を固化させる処理としては、例えば、溶媒を揮発させる乾燥処理が挙げられる。また、塗膜を固化させた後、80~120℃の加熱によるアニール処理を行うことが好ましい。アニール処理を行うことにより、保護層Mの構造を緻密化することができる。
次に、保護層Mが形成されたアルミニウム箔の第1面21a1の中央部に対して、固化することにより正極活物質層21bとなる正極合材を所定厚みとなるように付着させる。その後、正極合材に応じた固化処理を行うことにより、正極活物質層21bを形成する。
負極形成工程は特に限定されるものではなく、負極集電体22a及び負極活物質層22bを備える負極22の形成に適用される公知の方法を用いることができる。例えば、負極集電体22aとしての銅箔の第1面22a1に対して、固化することにより負極活物質層22bとなる負極合材を所定厚みとなるように付着させた後、負極合材に応じた固化処理を行うことにより負極22を形成することができる。
<蓄電セル形成工程>
蓄電セル形成工程では、まず、セパレータ23を間に挟んで正極活物質層21b及び負極活物質層22bが互いに積層方向に対向するように正極21及び負極22を配置する。また、正極21と負極22の間、かつ正極集電体21a及び負極集電体22aよりも外周側にシール部24となるシール材を配置する。シール材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂シートを、シール部24の平面視形状と同形状に切り出したものを用いる。このとき、正極集電体21aの第1面21a1における保護層Mに接するようにシール材を配置する。
その後、正極21、負極22、及びセパレータ23とシール材とを溶着により接着することにより、正極21、負極22、セパレータ23、及びシール部24が一体化された組立体を形成する。シール材の溶着方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着、赤外線溶着等の公知の溶着方法が挙げられる。
次に、シール部24の一部に設けられた注入口を通じて組立体の内部の密閉空間Sに液体電解質を注入した後、注入口を封止する。これにより、蓄電セル20が形成される。
<セルスタック形成工程>
セルスタック形成工程では、まず、複数の蓄電セル20を、正極集電体21aの第2面21a2と負極集電体22aの第2面22a2とを向い合せるように重ねて積層する。その後、積層方向に隣り合う蓄電セル20におけるシール部24の外周部分24a同士を接着することにより複数の蓄電セル20を一体化する。
次に、積層方向の一端において最も外側に配置された正極21の正極集電体21aの第2面21a2に対して、正極通電板40を重ねて電気的に接続した状態にて固定する。同様に、積層方向の他端において最も外側に配置された負極22の負極集電体22aの第2面22a2に対して、負極通電板50を重ねて電気的に接続した状態にて固定する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
LiPFを電解質塩として含む液体電解質を用いた場合に生じる液体電解質の液漏れは、LiPFに由来するフッ化物アニオン(PF )及びフッ酸(HF)の一方又は両方に起因するものと考えられる。「PF 」は、特に高温時において「PF+F」との間で平行状態となることが示唆されている。このときに生じる「PF」は、強いルイス酸性を示すことから、アルミニウムにより構成される集電体の表面を腐食する。また、外部から侵入した水が液体電解質と反応するとフッ酸が発生する。発生したフッ酸がアルミニウムにより構成される集電体の表面を腐食する。これらの腐食によって、シール部を構成する樹脂と集電体との結合が破壊されることにより、集電体と樹脂製のシール部との接着部分の剥離強度が低下する。これらの現象は、LiPF以外の金属フッ化物塩を電解質塩として含む液体電解質を用いた場合にも同様に生じると考えられる。
ここで、正極集電体と負極集電体との間に設けられるシール部によって液体電解質を収容する密閉空間が形成されている蓄電装置の場合、正極活物質層及び負極活物質層の周囲を囲むようにシール部が配置されており、平面視における密閉空間の全周がシール部により封止されている。加えて、密閉空間の内圧が上昇した際に、内圧を逃がす構造的な余裕が少ないため、密閉空間の内圧が集電体とシール部との接着部分に強い負荷が作用しやい。そのため、集電体と樹脂製のシール部との接着部分の剥離強度が低下した場合に、シール部からの集電体の剥離が生じやすく、シール部におけるどの部分に剥離が生じたとしても、その剥離が液体電解質の液漏れにつながりやすい。
本実施形態の蓄電装置10では、アルミニウム集電体におけるシール部24との接着部分に保護層Mを設けている。これにより、フッ化物アニオンから生じるルイス酸性を示す物質及びフッ酸による腐食からアルミニウム集電体における上記接着部分の表面を保護している。この場合、アルミニウム集電体における上記接着部分の表面が、フッ化物アニオンから生じるルイス酸性を示す物質及びフッ酸によって腐食されることによる上記接着部分の剥離強度の低下が抑制される。その結果、密閉空間Sの内圧が上昇した場合にもシール部24からアルミニウム集電体が剥がれ難くなり、液体電解質の液漏れを抑制できる。
本実施形態によれば、以下に記載する効果を得ることができる。
(1)蓄電装置10は、正極集電体21a及び正極活物質層21bを有する正極21と、負極集電体22a及び負極活物質層22bを有する負極22と、正極活物質層21bと負極活物質層22bとの間に配置されたセパレータ23と、正極21と負極22との間に液体電解質を収容する密閉空間Sを形成するシール部24とを備える。
正極集電体21a及び負極集電体22aの少なくとも一方は、正極活物質層21b又は負極活物質層22bが設けられる第1面がアルミニウムにより構成されるアルミニウム集電体である。シール部24は、ポリオレフィン系樹脂により構成されている。液体電解質は、金属フッ化物塩を含む液体電解質である。アルミニウム集電体の第1面におけるシール部24との接着部分には、モリブデンを含む保護層Mが設けられている。アルミニウム集電体の表面における保護層Mが設けられている部分を対象とする蛍光X線分析で測定されるモリブデンの含有割合は、蛍光X線分析で測定されるアルミニウム100質量部に対して、0.100×10-3質量部以上である。
上記構成によれば、金属フッ化物塩由来のフッ化物アニオンから生じるルイス酸性を示す物質及びフッ酸の少なくとも一方による腐食からアルミニウム集電体における上記接着部分の表面が保護される。これにより、シール部24からアルミニウム集電体が剥がれ難くなり、液体電解質の液漏れを抑制できる。
(2)アルミニウム集電体の第1面において、保護層Mは、アルミニウム集電体の第1面の全体に設けられている。
保護層Mは、アルミニウム集電体の電気抵抗を増大させない。そのため、アルミニウム集電体の第1面における正極活物質層21b又は負極活物質層22bが設けられている部分に保護層Mを設けた場合にも、蓄電装置10の電池特性を維持することができる。したがって、電池特性の低下を考慮して保護層Mの形成位置を設定する必要が無くなる。そのため、アルミニウム集電体の第1面の全体に保護層Mを設ける構成として、保護層Mを形成する処理を簡略化できる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
〇正極集電体21a及び正極活物質層21bの平面視形状は特に限定されるものではない。矩形状等の多角形状であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。負極集電体22a及び負極活物質層22bについても同様である。
〇シール部24の平面視形状は特に限定されるものではなく、矩形状等の多角形状であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。
○正極通電板40と正極集電体21aとの間に、両部材間の導電接触を良好にするために、正極集電体21aに密着する導電層を配置してもよい。導電層としては、例えば、アセチレンブラック又はグラファイト等のカーボンを含む層、Au等を含むメッキ層などの正極集電体21aよりも低い硬度を有する層が挙げられる。また、負極通電板50と負極集電体22aとの間に同様の導電層を配置してもよい。
〇蓄電装置10を構成する蓄電セル20の数は特に限定されない。蓄電装置10を構成する蓄電セル20の数は、1であってもよい。
〇正極集電体21aの第2面21a2に、正極活物質層21b又は負極活物質層22bが設けられていてもよい。また、負極集電体22aの第2面22a2に、正極活物質層21b又は負極活物質層22bが設けられていてもよい。
○電極は、正極集電体21aの第2面21a2と負極集電体22aの第2面22a2とが一体化された集電体を用いたバイポーラ電極であってもよい。上記のバイポーラ電極の集電体としては、例えば、アルミニウム箔同士を貼り合せた集電体、アルミニウム箔と銅箔とを貼り合せた集電体、アルミニウム箔の表面に銅をメッキした集電体が挙げられる。
○セルスタック30において、積層方向に隣接する蓄電セル20同士の接触部分である正極集電体21aの第2面21a2と負極集電体22aの第2面22a2とを接着させた構成としてもよい。正極集電体21aの第2面21a2と負極集電体22aの第2面22a2とを接着する方法としては、例えば、導電性を有する接着剤を用いる方法が挙げられる。
〇蓄電装置10は、セルスタック30を拘束する拘束部材を備えるものであってもよい。拘束部材は、セルスタック30の積層方向において、蓄電セル20同士が対向する領域、特に、平面視において、正極活物質層21bが設けられている範囲と負極活物質層22bが設けられている範囲とが重なる領域に拘束加重を付与する。
セルスタック30に対して拘束加重を付与することのできる構成であれば、拘束部材の具体的構成は特に限定されない。拘束部材としては、例えば、セルスタック30を挟み込むようにセルスタック30の積層方向の両端に配置される板状の拘束板と、拘束板同士を締結するボルト及びナットからなる締結部材とを備える構成が挙げられる。上記構成の拘束部材の場合、締結部材によって、拘束板同士が互いに接近する方向に付勢されることにより、セルスタック30に対して積層方向の拘束加重が付与される。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記アルミニウム集電体の第1面において、前記保護層は、前記シール部との接着部分、及び前記正極活物質層又は前記負極活物質層が設けられている部分に設けられている前記蓄電装置。
(ロ)前記正極と、前記負極と、前記セパレータと、が繰り返し積層された構造を有し、前記正極集電体における前記第1面の反対側の第2面と、前記負極集電体における前記第1面の反対側の第2面とが接触している前記蓄電装置。
以下に、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
<試験1>
(正極集電体の作製)
厚さ15μmのアルミニウム箔の片側の表面をモリブデン酸リチウム水溶液に接触させた状態として、表1に示す処理条件にて処理した。処理後、水を用いた流水浴による3秒間の含侵処理、送風乾燥機による乾燥処理、及び120℃、1時間のアニール処理を順に行うことにより、アルミニウム箔の片側の表面に保護層を形成した。保護層が設けられたアルミニウム箔を試験例1~5の正極集電体とした。また、比較として、保護層が設けられていない厚さ15μmのアルミニウム箔を試験例6の正極集電体とした。
(蛍光X線分析)
各試験例の正極集電体の表面における保護層が設けられている部分を対象とする蛍光X線分析を行うことにより、モリブデン(Mo)の質量を測定した。そして、アルミニウム100質量部に対するモリブデンの含有割合を算出した。その結果を表1の含有割合欄に示す。
(液漏れ試験)
作製した各試験例の正極集電体から縦150mm×横150mmの正方形状の試験片を切り出した。また、試験片と同形状である厚さ10μmの銅箔を用意した。試験片における保護層が形成されている表面の上に、縦150mm×横150mm×幅10mmの正方形枠状のシール材及び上記銅箔を、周縁を揃えるように順に積層することにより積層体を得た。シール材としては、厚さ150μmの酸変性ポリプロピレンシートを用いた。
次に、積層体の3辺における幅10mmの範囲を、インパルス式シーラーを用いて加熱することにより接着させた。未接着の一辺側から積層体内に液体電解質3ml、及び濃度が2000ppmとなる量の水を加えた後、未接着の一辺を真空封止することにより測定サンプルを作製した。液体電解質としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジメチルカーボネートを体積比10:20:30:40で混合した混合溶媒に、LiPFを1Mの濃度となるように溶解させた液体電解質を用いた。測定サンプルを25℃又は60℃にて7日間、放置した。放置の前後において測定サンプルの質量を測定し、放置の前後における測定サンプルの質量差を算出し、この値を液体電解質の液漏れ量とした。その結果を表1の液漏れ量欄に示す。なお、表1の液漏れ欄における「-」は、測定を行っていないことを示す。
(電気抵抗の測定)
作製した各試験例の正極集電体の両面に端子を接続して端子間の電圧を測定することにより、電極抵抗を求めた。その結果を表1の電気抵抗欄に示す。なお、表1の電気抵抗欄における「-」は、測定を行っていないことを示す。
Figure 2022137852000002
表1の処理条件欄及び含有割合欄に示すように、モリブデン酸リチウム水溶液の濃度及び処理温度に依存して保護層におけるモリブデンの含有割合が増加している。この結果から、モリブデンを含む保護層が形成されていることが分かる。
表1の液漏れ量欄に示すように、アルミニウム100質量部に対するモリブデンの含有割合が0.100×10-3質量部未満である試験例1、及び保護層を設けていない試験例6では、25℃条件及び60℃条件の両方の液漏れ試験において液漏れが発生した。一方、上記モリブデンの含有割合が0.100×10-3質量部以上である試験例2~5では、25℃条件及び60℃条件の両方の液漏れ試験において液漏れは発生しなかった。これらの結果から、特定量のモリブデンを含む保護層を設けることにより、液体電解質を収容する密閉空間を形成するシール部を有する蓄電装置において、アルミニウムにより構成される集電体と特定の液体電解質とを組み合わせた場合に生じる液体電解質の液漏れを抑制できることが分かる。
表1の電気抵抗欄に示すように、試験例2,4,5の正極集電体の電気抵抗は、保護層を設けていない試験例6の正極集電体と同程度であり、保護層を設けることによる抵抗の増大は確認されなかった。この結果から、集電体と活物質層との間に試験例2,4,5の保護層を設けた場合にも、蓄電装置10の電池特性に大きな影響を与えないことが分かる。
M…保護層、S…密閉空間、10…蓄電装置、20…蓄電セル、21…正極、21a…正極集電体、21b…正極活物質層、22…負極、22a…負極集電体、22b…負極活物質層、23…セパレータ、24…シール部、30…セルスタック、40…正極通電板、50…負極通電板。

Claims (3)

  1. 正極集電体の第1面の中央部に正極活物質層が設けられた正極と、
    負極集電体の第1面の中央部に負極活物質層が設けられてなり、前記負極活物質層が前記正極の前記正極活物質層と対向するように配置された負極と、
    前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されたセパレータと、
    前記正極と前記負極との間において、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の周囲を囲むように配置されるとともに、前記正極集電体及び前記負極集電体の各第1面に接着されることにより、前記正極と前記負極との間に液体電解質を収容する密閉空間を形成するシール部とを備え、
    前記正極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一方は、第1面がアルミニウムにより構成されるアルミニウム集電体であり、
    前記シール部は、ポリオレフィン系樹脂により構成され、
    前記液体電解質は、金属フッ化物塩を含む液体電解質である蓄電装置であって、
    前記アルミニウム集電体の第1面における前記シール部との接着部分には、モリブデンを含む保護層が設けられ、
    前記アルミニウム集電体の表面における前記保護層が設けられている部分を対象とする蛍光X線分析で測定されるモリブデンの含有割合は、前記蛍光X線分析で測定されるアルミニウム100質量部に対して、0.100×10-3質量部以上である蓄電装置。
  2. 前記保護層は、酸化モリブデン、炭化モリブデン、モリブデン酸アルミニウム、窒化モリブデンから選ばれる少なくとも一種を含む請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 前記保護層は、前記アルミニウム集電体の第1面の全体に設けられている請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
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