JP2022136981A - 感光性組成物、硬化物、表示装置、及び硬化物の製造方法 - Google Patents

感光性組成物、硬化物、表示装置、及び硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】露光時の感度向上、優れたハーフトーン特性、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制を兼ね備える感光性組成物を提供すること。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制を両立できる硬化膜を提供すること。【解決手段】(G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含む、感光性組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性組成物、硬化物、表示装置、及び硬化物の製造方法に関する。表示装置に関して、詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」)ディスプレイ、量子ドットディスプレイ、又はマイクロ発光ダイオード(以下、「マイクロLED」)ディスプレイに関する。特に、有機ELディスプレイに関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC、及びテレビなど、薄型ディスプレイを有する表示装置において、有機ELディスプレイ、量子ドットディスプレイ、又はマイクロLEDディスプレイに関する技術が盛んに研究されており、それらを用いた製品が多く開発されている。
有機ELディスプレイの発光特性向上、及び信頼性向上のために、有機ELディスプレイの画素分割層、薄層トランジスタ(以下、「TFT」)平坦化層、若しくはTFT保護層、又は、TFTアレイ形成における層間絶縁層若しくはゲート絶縁層には高耐熱性の感光性組成物が用いられる。例えば、第1電極上に形成される画素分割層を形成する感光性組成物では、フォトリソグラフィーによってアノード(陽極)となる第1電極を露出させる必要があり、有機ELディスプレイの製造におけるプロセスタイム削減・生産性向上のため、感光性組成物には露光時の感度向上が求められる。一方で、有機ELディスプレイの発光特性向上としては、発光素子を高信頼性化すれば有機ELディスプレイの耐久性向上を実現できるため、発光素子の信頼性向上も求められる。
また、画素分割層を形成した後、蒸着マスクを介して発光材料を蒸着によって成膜し、その後、第2電極を蒸着によって成膜するのが一般的である。なお、発光材料を蒸着によって成膜する際の蒸着マスクの支持台として、画素分割層の一部に膜厚の厚い領域(以下、「厚膜部」)を形成することも一般的である。このような画素分割層の一部における膜厚の厚い領域は、画素分割層を形成した後、その上層に感光性組成物を再度成膜してパターン加工する二層成膜プロセスで形成可能である。一方で、このような二層成膜プロセスでは、工程数増加による生産性低下又は歩留まり低下が懸念される。そのため、画素分割層をフォトリソグラフィーによって形成する際、ハーフトーンフォトマスクを用いることで、画素分割層における段差形状として、画素分割層と厚膜部とを一括形成するプロセスが適用されている。
一方、有機ELディスプレイは自発光素子を有するため、屋外における太陽光などの外光が入射すると、その外光反射によって視認性及びコントラストが低下する。そのため、外光を遮断して外光反射を低減する技術として、画素分割層を形成する感光性組成物中に着色剤を含有させて遮光性を向上させることが一般的である。
感光性組成物としては、アクリル樹脂を含有するネガ型感光性組成物(特許文献1参照)、及びポリイミドなどの第1の樹脂と、カルド系樹脂などの第2の樹脂とを含有するネガ型感光性組成物(特許文献2参照)などが挙げられる。
特開2002-167404号公報 国際公開第2017/159876号
上述した感光性組成物における露光時の感度向上は、感光性組成物の遮光性を向上させるため、着色剤の含有量を増加させると問題となる場合がある。特に、遮光性の高い黒色顔料などを含有させる場合、パターン露光時の紫外線等も遮断されるため、露光時の感度低下の要因となる。
また、上述した画素分割層層の一部に厚膜部を形成するプロセスにおいて、感光性組成物の特性によっては、ハーフトーンフォトマスクを介したパターン露光により画素分割層と厚膜部とを一括形成する特性(以下、「ハーフトーン特性」)が不十分な場合がある。ハーフトーンフォトマスクを用いても、画素分割層と厚膜部との膜厚差を形成できない場合や、画素分割層の領域が現像時に消失する場合がある。これはハーフトーンフォトマスクのハーフトーン部を介した比較的露光量の小さな光に対する、感光性組成物の感度によって支配的であると考えられる。ポジ型の感光性組成物の場合、ハーフトーン部を介した光に対する感度が過剰であると、画素分割層の領域が現像時に消失しやすい。一方、ネガ型の感光性組成物の場合、ハーフトーン部を介した光に対する感度が過剰であると、画素分割層と厚膜部との膜厚差が形成困難となりやすい。特に、ネガ型の感光性組成物の場合、比較的露光量が小さい領域では不十分な光硬化となりやすく、画素分割層の領域が現像時に消失することも多いため、安定的なパターン加工が困難である。
一方、感光性組成物を用いたフォトリソグラフィーによる開口部の形成において、開口パターン寸法のバラツキが大きい場合、アノード上の発光画素領域の設計誤差に繋がるため、有機ELディスプレイの発光特性バラツキなどの悪影響を及ぼす。例えば、開口パターン寸法によって電流密度が変化するため、発光素子の輝度バラツキ・駆動電圧バラツキの要因となる。開口パターン寸法のバラツキは、パターン露光時の照度バラツキなどの装置による影響もあると考えられるが、材料特性の寄与によっても大きく左右される。ポジ型の感光性組成物の場合、露光部のアルカリ溶解性向上が、基板上の面内においてどの程度のバラツキがあるかによって開口パターン寸法のバラツキが異なる。一般に、露光部のアルカリ溶解性が過剰な場合に、開口パターン寸法のバラツキが大きくなりやすい。また、膜深部におけるアルカリ溶解性向上にバラツキがある場合も、開口パターン寸法のバラツキが大きくなりやすい。一方、ネガ型の感光性組成物の場合、露光部の光硬化によるアルカリ溶解性低下が、基板上の面内においてどの程度のバラツキがあるかによって開口パターン寸法のバラツキが異なる。特に、ネガ型の感光性組成物の場合、パターン露光時に発生したラジカルによる光硬化の影響が支配的なため、開口パターン寸法のバラツキが発生しやすい。一般に、露光部の光硬化が過剰な場合、フォトマスクのパターン寸法以上の光硬化によってバラツキが大きくなりやすい。一方、露光部の光硬化が不十分な場合、アルカリ現像時の膜深部のサイドエッチングによってバラツキが大きくなりやすい。
さらに、ネガ型の感光性組成物を用いて上述したハーフトーンフォトマスクを介したパターン露光をする場合、ハーフトーン部を介した比較的露光量の小さな光によって画素分割層となる領域をパターン加工する必要がある。その場合、ハーフトーン部を介した光が膜深部まで十分に到達しないため、膜深部の光硬化が不十分となりやすい。すなわち、ハーフトーンフォトマスクを用いてパターン加工する場合は、さらに開口パターン寸法のバラツキが大きくなりやすい。
従って、感光性組成物には、露光時の感度向上、優れたハーフトーン特性、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制を兼ね備える材料が要求される。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制を両立できる硬化膜を提供可能な材料も要求される。しかしながら、上記の文献に記載の感光性組成物はいずれも、上記いずれかの特性が不十分であった。
上述した課題を解決するために、本発明の第一の態様である感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、
該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含む、感光性組成物である。
本発明の第二の態様である表示装置は、基板、第1電極、第2電極、及び画素分割層を少なくとも有し、
さらに、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層を有する表示装置であって、
該画素分割層は、該第1電極上の一部と重なるように形成され、
該発光層を含む有機EL層及び/又は該発光層を含む光取り出し層は、該第1電極上、かつ該第1電極及び該第2電極の間に形成され、
該画素分割層が、少なくとも以下の(X-DL)樹脂を有し、
該画素分割層が、さらに(Da)黒色剤を含有する、表示装置である。
(X-DL)樹脂:一般式(85)~(86)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上、及び/又は、一般式(87)~(89)のいずれかで表される末端構造からなる群より選ばれる一種類以上、を有する樹脂。
Figure 2022136981000002
一般式(85)~(89)において、Z86及びZ89は、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、又は硫黄原子を表す。R71~R84は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。R85~R89は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の脂肪族構造、炭素数4~10の脂環式構造、又は炭素数6~15の芳香族構造を表す。a、b、c、d、及びeは、0又は1である。Z86が炭素原子の場合、xは3である。Z86が窒素原子の場合、xは2である。Z86が硫黄原子の場合、xは1である。Z89が炭素原子の場合、yは3である。Z89が窒素原子の場合、yは2である。Z89が硫黄原子の場合、yは1である。*~*は、それぞれ独立して、樹脂中の結合点を表す。
本発明の第一の態様である感光性組成物によれば、露光時の感度向上、優れたハーフトーン特性、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制を兼ね備える感光性組成物を提供可能である。加えて、本発明の第一の態様である感光性組成物によれば、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制を両立できる硬化膜を提供可能である。
本発明の第二の態様である表示装置によれば、発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制を兼ね備える表示装置を提供可能である。
図1は、本発明の第一の態様の感光性組成物の硬化物を用いた有機ELディスプレイにおける工程1~工程7の製造プロセスを模式的断面で例示する工程図である。 図2は、パターン寸法バラツキ評価に用いたハーフトーンフォトマスクにおける、透光部、遮光部、及び半透光部の、配置及び寸法の概略図である。 図3は、ハーフトーン特性評価に用いたハーフトーンフォトマスクにおける、透光部、遮光部、及び半透光部の、配置及び寸法を例示する概略図である。 図4は、発光特性評価に用いた有機ELディスプレイの基板における工程1~工程4の製造プロセスを平面図で例示する概略図である。
以下、本発明の第一の態様である感光性組成物について述べる。また本発明の第二の態様である表示装置についても述べる。なお本発明の感光性組成物と記載する場合、本発明の第一の態様である感光性組成物に関する記載である。また本発明の表示装置と記載する場合、本発明の第二の態様である表示装置、及び、本発明の第一の態様である感光性組成物を硬化した硬化物を具備する表示装置に関する記載である。
<感光性組成物>
本発明の第一の態様である感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、
該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含む、感光性組成物である。
また、本発明の第一の態様である感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び/又は(B)ラジカル重合性化合物を含み、さらに(C)感光剤、(D)着色剤、及び(G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、
該(A)アルカリ可溶性樹脂及び該(B)ラジカル重合性化合物のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有し、
該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含み、
該(D)着色剤が、(Da)黒色剤を含む、感光性組成物であることが好ましい。
一方、本発明の第一の態様である感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、及び(G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、
該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤を含み、
該(GX)化合物が、以下の(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有する、感光性組成物であることが好ましい。
(A-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、及び光結合開裂構造からなる群より選ばれる一種類以上を有するカルボニル基、が結合した二級又は三級炭素原子。
(B-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる一種類以上、並びに、カルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;(A1)樹脂、(A2)樹脂、及び(A3)樹脂>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び/又は(B)ラジカル重合性化合物を含み、
アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂とは、アルカリ現像液に対する溶解性を有する樹脂をいう。(A)アルカリ可溶性樹脂は、後述する(C)感光剤によって、組成物にポジ型又はネガ型の感光性が付与され、アルカリ現像液で現像することでポジ型又はネガ型のパターンを形成可能な溶解性を有する樹脂が好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂を含有し、
(A)アルカリ可溶性樹脂が、以下の(A1)樹脂及び/又は(A3)樹脂を含有することが好ましい。
(A1)樹脂:イミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造単位を有し、かつエチレン性不飽和二重結合基を有しない樹脂。
(A3)樹脂:フェノール性水酸基を有する樹脂。
ラジカル重合性基である、エチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂及び/又は(A3)樹脂を含有することで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A1)樹脂を含有することがより好ましく、(A1)樹脂及び(A3)樹脂を含有することがさらに好ましい。(A1)樹脂とは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端にエチレン性不飽和二重結合基を有さず、樹脂の構造単位中にイミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する樹脂をいう。(A3)樹脂とは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにフェノール性水酸基を有する、(A1)樹脂とは異なる樹脂をいう。なお、(A1)樹脂がフェノール性水酸基を有する場合、(A1)樹脂に含まれる。同様に、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミドイミド、及びポリシロキサンが、フェノール性水酸基を有する場合、(A1)樹脂に含まれる。
上述した通り、ポジ型の感光性組成物の場合、露光部のアルカリ溶解性が過剰な場合に、現像後における開口パターン寸法のバラツキが大きくなりやすい。フェノール性水酸基を有する(A3)樹脂を含有させることで、フェノール性水酸基の適度なアルカリ溶解促進作用によって露光部がアルカリ溶解性過剰となりづらく、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制がされると考えられる。また、未露光部ではフェノール性水酸基の温和な酸性度によってハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするためハーフトーン加工性が向上すると推定される。同様に、剛直な骨格であるイミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造単位を有する(A1)樹脂を含有させることで、剛直な骨格によるアルカリ溶解阻害により露光部がアルカリ溶解性過剰となりづらく、またハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制、及びハーフトーン特性向上がされると考えられる。従って、(A1)樹脂がフェノール性水酸基を有することがより好ましい。
一方、ネガ型の感光性組成物の場合、パターン露光時に発生したラジカルによる光硬化の影響で開口パターン寸法のバラツキが発生しやすい。フェノール性水酸基を有する(A3)樹脂を含有させることで、パターン露光時に発生したラジカルをフェノール性水酸基が安定化することで露光部における過度な光硬化が制御され、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制がされると考えられる。さらに、フェノール性水酸基の適度なアルカリ溶解促進作用によって、露光部におけるアルカリ現像時の膜深部のサイドエッチングが抑制されることで、開口パターン寸法のバラツキ抑制がされると考えられる。また、フェノール性水酸基によって露光部における過度な光硬化を制御することで、露光量に対する光硬化度の勾配を緩やかにできると考えられる。加えて、フェノール性水酸基の温和な酸性度によってハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするためハーフトーン加工性が向上すると推定される。同様に、剛直な骨格であるイミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造単位を有する(A1)樹脂を含有させることで、剛直な骨格による立体障害や分子運動阻害により露光部における過度な光硬化が制御される。さらに、剛直な骨格によるアルカリ溶解阻害により露光部におけるアルカリ現像時の膜深部におけるサイドエッチングが抑制され、またハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするなどの効果が顕著となる。そのため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制、及びハーフトーン特性向上がされると考えられる。従って、(A1)樹脂がフェノール性水酸基を有することがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂を含み、
(A1)樹脂が、以下の(A1-1)樹脂、(A1-2)樹脂、(A1-3)樹脂、(A1-4)樹脂、(A1-5)樹脂、及び(A1-6)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(A1-1)樹脂:ポリイミド。
(A1-2)樹脂:ポリイミド前駆体。
(A1-3)樹脂:ポリベンゾオキサゾール。
(A1-4)樹脂:ポリベンゾオキサゾール前駆体。
(A1-5)樹脂:ポリアミドイミド。
(A1-6)樹脂:ポリシロキサン。
(A1)樹脂が、(A1-1)樹脂、(A1-2)樹脂、(A1-3)樹脂、(A1-4)樹脂、(A1-5)樹脂、及び(A1-6)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。また、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の効果が顕著となる。(A1)樹脂は、(A1-1)樹脂、(A1-2)樹脂、(A1-3)樹脂、(A1-4)樹脂、及び(A1-5)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することがより好ましく、(A1-1)樹脂及び/又は(A1-5)樹脂を含有することがさらに好ましい。(A1)樹脂は、単一の樹脂又はそれらの共重合体のいずれであっても構わない。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A3)樹脂を含み、
(A3)樹脂が、(A3-1)フェノール樹脂、(A3-2)ポリヒドロキシスチレン、(A3-3)フェノール基含有エポキシ樹脂、及び(A3-4)フェノール基含有アクリル樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(A3)樹脂が、(A3-1)樹脂、(A3-2)樹脂、(A3-3)樹脂、及び(A3-4)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。(A3)樹脂は、(A3-1)樹脂及び/又は(A3-3)樹脂を含有することがより好ましく、(A3-1)樹脂を含有することがさらに好ましい。(A3)樹脂は、単一の樹脂又はそれらの共重合体のいずれであっても構わない。また(A3)樹脂は、樹脂の構造単位中に、主鎖と環状骨格を有する嵩高い側鎖とが1つの原子で繋がれた構造を有することが好ましい。(A3)樹脂は、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の観点から、縮合多環式構造を有する構造単位又は縮合多環式ヘテロ環構造を有する構造単位を有することが好ましい。縮合多環式構造又は縮合多環式ヘテロ環構造は、フルオレン骨格、キサンテン骨格、又はイソインドリノン骨格が好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂が、以下の(A2)樹脂を含有することも好ましい。
(A2)樹脂:エチレン性不飽和二重結合基を有する樹脂。
(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A2)樹脂を含有することで、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。また、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の効果が顕著となる。(A2)樹脂とは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有する、(A1)樹脂及び(A3)樹脂とは異なる樹脂をいう。なお、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミドイミド、及びポリシロキサンが、エチレン性不飽和二重結合基を有する場合、(A2)樹脂に含まれる。一方、(A2)樹脂がフェノール性水酸基を有する場合、(A3)樹脂に含まれる。なお、イミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造単位を有し、エチレン性不飽和二重結合基を有し、さらにフェノール性水酸基を有する樹脂は、(A2)樹脂に含まれる。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂及び/又は(A3)樹脂を含有する場合、さらに以下の(A2)樹脂を含有することがより好ましい。
(A2)樹脂:エチレン性不飽和二重結合基を有する樹脂。
(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1)樹脂及び/又は(A3)樹脂を含有し、さらに(A2)樹脂を含有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。また、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の効果が顕著となる。
(A2)樹脂が有するエチレン性不飽和二重結合基は、露光時の感度向上の観点から、ラジカル重合性基であることが好ましく、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましい。光反応性基は、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基が好ましく、ビニル基又はアリル基がより好ましい。
(A2)樹脂は、以下の(A2-a)樹脂、(A2-b)樹脂、(A2-c)樹脂、(A2-d)樹脂、(A2-e)樹脂、(A2-f)樹脂、(A2-1)樹脂、(A2-2)樹脂、及び(A2-3)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(A2-a)樹脂:不飽和基含有ポリイミド。
(A2-b)樹脂:不飽和基含有ポリイミド前駆体。
(A2-c)樹脂:不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール。
(A2-d)樹脂:不飽和基含有ポリベンゾオキサゾール前駆体。
(A2-e)樹脂:不飽和基含有ポリアミドイミド。
(A2-f)樹脂:不飽和基含有ポリシロキサン。
(A2-1)樹脂:多環側鎖含有樹脂。
(A2-2)樹脂:酸変性エポキシ樹脂。
(A2-3)樹脂:アクリル樹脂。
ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、(A2)樹脂は、(A2-a)樹脂、(A2-b)樹脂、(A2-c)樹脂、(A2-d)樹脂、(A2-e)樹脂、及び(A2-f)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することがより好ましく、(A2-a)樹脂、(A2-b)樹脂、(A2-c)樹脂、(A2-d)樹脂、及び(A2-e)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することがさらに好ましく、(A2-a)樹脂及び/又は(A2-e)樹脂を含有することが特に好ましい。一方、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、(A2)樹脂は、(A2-1)樹脂、(A2-2)樹脂、及び(A2-3)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することがより好ましく、(A2-1)樹脂及び/又は(A2-2)樹脂を含有することがさらに好ましい。また、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、(A2)樹脂は、(A2-a)樹脂、(A2-b)樹脂、(A2-c)樹脂、(A2-d)樹脂、(A2-e)樹脂、及び(A2-f)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、さらに(A2-1)樹脂、(A2-2)樹脂、及び(A2-3)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を含有することも好ましい。(A2)樹脂は、単一の樹脂又はそれらの共重合体のいずれであっても構わない。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;(A3a)樹脂、及び(A3b)樹脂>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の観点から、(A3)樹脂が、(A3-1)樹脂、(A3-2)樹脂、(A3-3)樹脂、及び(A3-4)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上であって、(A)アルカリ可溶性樹脂が、以下の(A3b)樹脂を含有することも好ましい。
(A3b)樹脂:フェノール性水酸基、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する樹脂。
(A3b)樹脂とは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにフェノール性水酸基を有し、かつ、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有する、(A1)樹脂及び(A2)樹脂とは異なる樹脂をいう。
(A3b)樹脂が有するエチレン性不飽和二重結合基は、露光時の感度向上の観点から、ラジカル重合性基であることが好ましく、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましい。光反応性基は、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基が好ましく、ビニル基又はアリル基がより好ましい。
(A3b)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、500g/mol以上が好ましく、700g/mol以上がより好ましく、1,000g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、3,000g/mol以下が好ましく、2,000g/mol以下がより好ましく、1,500g/mol以下がさらに好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、(A3)樹脂が、(A3-1)樹脂、(A3-2)樹脂、(A3-3)樹脂、及び(A3-4)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上であって、(A)アルカリ可溶性樹脂が、以下の(A3a)樹脂を含有することも好ましい。
(A3a)樹脂:フェノール性水酸基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合基を有しない樹脂。
ラジカル重合性基である、エチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A3a)樹脂とは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端にエチレン性不飽和二重結合基を有さず、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにフェノール性水酸基を有する、(A1)樹脂及び(A2)樹脂とは異なる樹脂をいう。なお、(A)アルカリ可溶性樹脂が上述した(A3b)樹脂を含有する場合、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、熱硬化後における開口パターン寸法変化抑制の観点から、(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに上述した(A3a)樹脂を含有することが好ましい。
<アルカリ可溶性基>
(A1)樹脂及び(A2)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。(A1)樹脂及び(A2)樹脂は、酸性基を有する構造単位及び酸性基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。酸性基は、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、フェノール性水酸基、ヒドロキシイミド基、ヒドロキシアミド基、シラノール基、1,1-ビス(トリフルオロメチル)メチロール基、スルホン酸基、又はメルカプト基が好ましい。ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、フェノール性水酸基、ヒドロキシイミド基、ヒドロキシアミド基、シラノール基、又は1,1-ビス(トリフルオロメチル)メチロール基がより好ましく、フェノール性水酸基又はシラノール基がさらに好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。一方、現像後の残渣抑制の観点から、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基が好ましい。
(A1)樹脂の酸当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、200g/mol以上が好ましく、250g/mol以上がより好ましく、300g/mol以上がさらに好ましい。一方、酸当量は、現像後の残渣抑制の観点から、600g/mol以下が好ましく、500g/mol以下がより好ましく、450g/mol以下がさらに好ましい。
(A2)樹脂の酸当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、300g/mol以上が好ましく、350g/mol以上がより好ましく、400g/mol以上がさらに好ましい。一方、酸当量は、現像後の残渣抑制の観点から、700g/mol以下が好ましく、600g/mol以下がより好ましく、550g/mol以下がさらに好ましい。
(A3)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有する。(A3)樹脂は、フェノール性水酸基を有する構造単位及びフェノール性水酸基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。また、その他の酸性基を有しても構わない。酸性基は、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシイミド基、ヒドロキシアミド基、シラノール基、1,1-ビス(トリフルオロメチル)メチロール基、スルホン酸基、又はメルカプト基が好ましく、ハーフトーン特性向上の観点から、ヒドロキシイミド基、ヒドロキシアミド基、シラノール基、又は1,1-ビス(トリフルオロメチル)メチロール基が好ましい。一方、現像後の残渣抑制の観点から、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基が好ましい。
(A3)樹脂の酸当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、70g/mol以上が好ましく、80g/mol以上がより好ましく、90g/mol以上がさらに好ましい。一方、酸当量は、現像後の残渣抑制の観点から、450g/mol以下が好ましく、350g/mol以下がより好ましく、300g/mol以下がさらに好ましい。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;ポリイミド、及びポリイミド前駆体>
以下、ポリイミドである(A1-1)樹脂、及び(A2-a)樹脂について、まとめて記載する。同様に、ポリイミド前駆体である(A1-2)樹脂、及び(A2-b)樹脂について、まとめて記載する。ポリイミド前駆体としては、例えば、テトラカルボン酸又は対応するテトラカルボン酸二無水物などと、ジアミン又はジイソシアネート化合物などとを反応させることで得られる樹脂が挙げられる。ポリイミド前駆体としては、例えば、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、又はポリイソイミドが挙げられる。ポリイミドとしては、例えば、ポリイミド前駆体を加熱又は触媒を用いた反応により、脱水閉環させることで得られる樹脂が挙げられる。ポリイミド及びポリイミド前駆体は、樹脂を合成する反応において、さらにジカルボン酸又は対応するジカルボン酸活性ジエステルなどを用いることで得られる、ポリアミドとの共重合体である樹脂であっても構わない。
ポリイミドは、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリイミド中の全構造単位に占める、一般式(1)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
ポリイミド前駆体は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(3)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリイミド前駆体中の全構造単位に占める、一般式(3)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
Figure 2022136981000003
一般式(1)及び一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、4~10価の有機基を表す。R及びR10は、それぞれ独立して、2~10価の有機基を表す。R、R、及びR13は、それぞれ独立して、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基、又は一般式(6)若しくは一般式(7)で表される置換基を表す。R11は、一般式(6)又は一般式(7)で表される置換基を表す。R12は、フェノール性水酸基、スルホン酸基、又はメルカプト基を表す。pは0~6の整数を表す。qは0~8の整数を表す。tは2~8の整数を表し、uは0~6の整数を表し、2≦t+u≦8である。vは0~8の整数を表す。ただし、R又はRがフェノール性水酸基を表す場合、フェノール性水酸基と結合するR又はRは芳香族構造を表す。また、R12又はR13がフェノール性水酸基を表す場合、フェノール性水酸基と結合するR又はR10は芳香族構造を表す。
一般式(1)及び一般式(3)において、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する4~10価の有機基が好ましい。R及びR10は、それぞれ独立して、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する2~10価の有機基が好ましい。qは1~8の整数が好ましい。vは1~8の整数が好ましい。R及びRは、それぞれ独立して、テトラカルボン酸残基又はテトラカルボン酸誘導体残基を表す。R及びR10は、それぞれ独立して、ジアミン残基又はジアミン誘導体残基を表す。テトラカルボン酸誘導体としては、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物、又はテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。ジアミン誘導体としては、ジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。上述した脂肪族構造、脂環式構造、及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
Figure 2022136981000004
一般式(6)及び一般式(7)において、R25~R27は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~6のアシル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。一般式(6)及び一般式(7)において、R25~R27は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~4のアシル基、又は炭素数6~10のアリール基が好ましい。上述したアルキル基、アシル基、及びアリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
ポリイミド前駆体としては、一般式(3)で表される構造単位におけるR11が、一般式(6)で表される置換基である場合において、R25が水素原子である構造単位をアミド酸構造単位という。一般式(3)で表される構造単位におけるR11が、一般式(6)で表される置換基である場合において、R25が炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~6のアシル基又は炭素数6~15のアリール基である構造単位を、アミド酸エステル構造単位という。一般式(3)で表される構造単位におけるR11が、一般式(7)で表される置換基である場合の構造単位を、アミド酸アミド構造単位という。ポリイミド前駆体は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、アミド酸エステル構造単位及び/又はアミド酸アミド構造単位を有することが好ましい。アミド酸エステル構造単位及び/又はアミド酸アミド構造単位を有するポリイミド前駆体としては、テトラカルボン酸残基及び/又はテトラカルボン酸誘導体残基であるカルボキシ基の一部を、エステル化及び/又はアミド化させることで得られる樹脂が挙げられる。また、アミド酸構造単位、アミド酸エステル構造単位、及びアミド酸アミド構造単位の一部がイミド閉環したイミド閉環構造単位を有しても構わない。アミド酸構造単位、アミド酸エステル構造単位、アミド酸アミド構造単位、及びイミド閉環構造単位の含有比率の合計に占める、アミド酸エステル構造単位及びアミド酸アミド構造単位の含有比率の合計は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、10mol%以上が好ましく、30mol%以上がより好ましく、50mol%以上がさらに好ましい。一方、アミド酸エステル構造単位及びアミド酸アミド構造単位の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制の観点から、100mol%以下が好ましく、90mol%以上がより好ましく、80mol%以上がさらに好ましい。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;ポリベンゾオキサゾール前駆体、及びポリベンゾオキサゾール>
以下、ポリベンゾオキサゾールである(A1-3)樹脂、及び(A2-c)樹脂について、まとめて記載する。同様に、ポリベンゾオキサゾール前駆体である(A1-4)樹脂、及び(A2-d)樹脂について、まとめて記載する。ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、ジカルボン酸又は対応するジカルボン酸活性ジエステルなどと、ジアミンとしてビスアミノフェノール化合物などとを反応させることで得られる樹脂が挙げられる。ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、ポリヒドロキシアミドが挙げられる。ポリベンゾオキサゾールとしては、例えば、ポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱又は触媒を用いた反応により、脱水閉環させることで得られる樹脂が挙げられる。ポリベンゾオキサゾール及びポリベンゾオキサゾール前駆体は、樹脂を合成する反応において、さらにジアミン又はジイソシアネート化合物などを用いることで得られる、ポリアミドとの共重合体である樹脂であっても構わない。
ポリベンゾオキサゾールは、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(2)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリベンゾオキサゾール中の全構造単位に占める、一般式(2)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(4)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリベンゾオキサゾール前駆体中の全構造単位に占める、一般式(4)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
Figure 2022136981000005
一般式(2)及び一般式(4)において、R及びR14は、それぞれ独立して、2~10価の有機基を表す。R及びR15は、それぞれ独立して、芳香族構造を有する4~10価の有機基を表す。R、R、及びR16は、それぞれ独立して、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基、又は上述した一般式(6)若しくは一般式(7)で表される置換基を表す。R17はフェノール性水酸基を表す。R18は、スルホン酸基、メルカプト基、又は上述した一般式(6)若しくは一般式(7)で表される置換基を表す。rは0~8の整数を表す。sは0~6の整数を表す。wは0~8の整数を表す。xは2~8の整数を表し、yは0~6の整数を表し、2≦x+y≦8である。ただし、Rがフェノール性水酸基を表す場合、フェノール性水酸基と結合するRは芳香族構造を表す。また、R16がフェノール性水酸基を表す場合、フェノール性水酸基と結合するR14は芳香族構造を表す。
一般式(2)及び一般式(4)において、R及びR14は、それぞれ独立して、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する2~10価の有機基が好ましい。R及びR15は、それぞれ独立して、炭素数6~30の芳香族構造を有する4~10価の有機基が好ましい。sは1~6の整数が好ましい。R及びR14は、それぞれ独立して、ジカルボン酸残基又はジカルボン酸誘導体残基を表す。R及びR15は、それぞれ独立して、ビスアミノフェノール化合物残基又はビスアミノフェノール化合物誘導体残基を表す。ジカルボン酸誘導体としては、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル、ジホルミル化合物が挙げられる。上述した脂肪族構造、脂環式構造、及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;ポリアミドイミド>
以下、ポリアミドイミドである(A1-5)樹脂、及び(A2-e)樹脂について、まとめて記載する。ポリアミドイミドとしては、例えば、トリカルボン酸又は対応するトリカルボン酸無水物などと、ジアミン又はジイソシアネート化合物などとを反応させることで得られる樹脂が挙げられる。得られた樹脂を、さらに加熱又は触媒を用いた反応により、脱水閉環させることで得られる樹脂も挙げられる。ポリアミドイミドは、樹脂を合成する反応において、さらにジカルボン酸又は対応するジカルボン酸活性ジエステルなどを用いることで得られる、ポリアミドとの共重合体である樹脂であっても構わない。
ポリアミドイミドは、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(5)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリアミドイミド中の全構造単位に占める、一般式(5)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
Figure 2022136981000006
一般式(5)において、R19は、3~10価の有機基を表す。R20は、2~10価の有機基を表す。R21及びR22は、それぞれ独立して、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基、又は上述した一般式(6)若しくは一般式(7)で表される置換基を表す。mは0~7の整数を表す。nは0~8の整数を表す。ただし、R21又はR22がフェノール性水酸基を表す場合、フェノール性水酸基と結合するR19又はR20は芳香族構造を表す。
一般式(5)において、R19は、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する3~10価の有機基が好ましい。R20は、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する2~10価の有機基が好ましい。nは1~8の整数が好ましい。R19は、トリカルボン酸残基又はトリカルボン酸誘導体残基を表す。R20は、ジアミン残基又はジアミン誘導体残基を表す。トリカルボン酸誘導体としては、トリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、又はトリカルボン酸活性エステルが挙げられる。ジアミン誘導体としては、ジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。上述した脂肪族構造、脂環式構造、及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
<フッ素原子を有する構造単位>
ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及びポリアミドイミド(以下、「ポリイミド系の樹脂」)は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、フッ素原子を有する構造単位を有することが好ましい。ここでいう露光とは、活性化学線(放射線)の照射のことであり、例えば、可視光線、紫外線、電子線、又はX線などの照射が挙げられる。以降、露光とは、活性化学線(放射線)の照射をいう。
ポリイミド系の樹脂において、それぞれの樹脂の全構造単位のうち、カルボン酸に由来する構造単位又はカルボン酸誘導体に由来する構造単位にフッ素原子を有し、かつアミンに由来する構造単位又はアミン誘導体に由来する構造単位にフッ素原子を有する場合、それぞれの樹脂の全構造単位に占める、フッ素原子を有する構造単位の含有比率の合計は、10~100mol%が好ましく、30~100mol%がより好ましく、50~100mol%がさらに好ましい。
また、それぞれの樹脂の全構造単位のうち、カルボン酸に由来する構造単位又はカルボン酸誘導体に由来する構造単位のみにフッ素原子を有する場合、全カルボン酸に由来する構造単位及び全カルボン酸誘導体に由来する構造単位の合計に占める、フッ素原子を有する構造単位の含有比率の合計は、10~100mol%が好ましく、30~100mol%がより好ましく、50~100mol%がさらに好ましい。
一方、それぞれの樹脂の全構造単位のうち、アミンに由来する構造単位又はアミン誘導体に由来する構造単位のみにフッ素原子を有する場合、全アミンに由来する構造単位及び全アミン誘導体に由来する構造単位の合計に占める、フッ素原子を有する構造単位の含有比率の合計は、10~100mol%が好ましく、30~100mol%がより好ましく、50~100mol%がさらに好ましい。
<アルカリ可溶性基>
ポリイミド系の樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。これらの樹脂は、酸性基を有するカルボン酸に由来する構造単位又は酸性基を有するジアミンに由来する構造単位などの酸性基を有する構造単位、又は酸性基を有する末端構造を有することが好ましい。また、それぞれの樹脂が有する一部のヒドロキシ基などと、多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、それぞれの樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応により酸性基を導入した樹脂も好ましい。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A2)樹脂である(A2-a)樹脂、(A2-b)樹脂、(A2-c)樹脂、(A2-d)樹脂、及び(A2-e)樹脂(以下、「ポリイミド系の(A2)樹脂」)は、エチレン性不飽和二重結合基を有する。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。これらの(A2)樹脂は、(A1-1)樹脂、(A1-2)樹脂、(A1-3)樹脂、(A1-4)樹脂、及び(A1-5)樹脂(以下、「ポリイミド系の(A1)樹脂」)において、それぞれの樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物とを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、それぞれの樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物は、エチレン性不飽和二重結合基を有する求電子性化合物が好ましい。求電子性化合物は、反応性及び化合物の利用性の観点から、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アルコール化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、又はカルボン酸無水物が好ましく、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、又はアルコール化合物がより好ましい。
上述したポリイミド系の(A2)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、500g/mol以上が好ましく、700g/mol以上がより好ましく、1,000g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、3,000g/mol以下が好ましく、2,000g/mol以下がより好ましく、1,500g/mol以下がさらに好ましい。
<その他の構造単位、末端封止剤、及び分子量>
ポリイミド系の樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族カルボン酸に由来する構造単位又は芳香族ジアミンに由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましい。また、パターン形状の低テーパー化の観点から、シリコーンジアミンに由来する構造単位などのシリル基若しくはシロキサン結合を有する構造単位、又はオキシアルキレンジアミンに由来する構造単位などのオキシアルキレン骨格を有する構造単位も好ましい。また、樹脂の末端が、モノアミン又はジカルボン酸無水物などの末端封止剤で封止された構造を有することも好ましい。
ポリイミド系の樹脂の重量平均分子量(以下、「Mw」)は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」)で測定されるポリスチレン換算で、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましく、20,000以下が特に好ましい。ポリイミド系の樹脂は公知の方法で合成できる。それぞれの樹脂の合成に用いられるテトラカルボン酸、トリカルボン酸、ジカルボン酸、及びそれらの誘導体、並びに、ジアミン、ビスアミノフェノール化合物、モノアミン、及びそれらの誘導体としては、例えば、国際公開第2017/057281号又は国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;ポリシロキサン>
以下、ポリシロキサンである(A1-6)樹脂、及び(A2-f)樹脂について、まとめて記載する。ポリシロキサンとしては、例えば、三官能オルガノシラン、四官能オルガノシラン、二官能オルガノシラン、及び一官能オルガノシランからなる群より選ばれる一種類以上を加水分解し、脱水縮合させて得られる樹脂が挙げられる。
ポリシロキサンは、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、一般式(8)で表される三官能オルガノシラン単位及び/又は一般式(9)で表される四官能オルガノシラン単位を有することが好ましい。
Figure 2022136981000007
一般式(8)及び一般式(9)において、R29は、水素原子又は有機基を表す。*~*は、それぞれ独立して、樹脂中の結合点を表す。一般式(8)及び一般式(9)において、R29は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数4~10のハロゲン化シクロアルキル基、又は炭素数6~15のハロゲン化アリール基が好ましい。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、及びハロゲン化アリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
ポリシロキサンに占める、一般式(8)で表される三官能オルガノシラン単位の含有比率は、Si原子mol比で50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。三官能オルガノシラン単位は、現像後の残渣抑制の観点から、エポキシ基を有するオルガノシラン単位が好ましい。
ポリシロキサンに占める、一般式(9)で表される四官能オルガノシラン単位の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、Si原子mol比で1mol%以上が好ましく、5mol%以上がより好ましく、10mol%以上がさらに好ましい。一方、一般式(9)で表される四官能オルガノシラン単位の含有比率は、パターン形状の低テーパー化の観点から、Si原子mol比で40mol%以下が好ましく、30mol%以下がより好ましく、20mol%以下がさらに好ましい。
<アルカリ可溶性基>
ポリシロキサンは、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。ポリシロキサンは、酸性基を有するオルガノシラン単位を有する樹脂が好ましい。また、樹脂が有する一部のヒドロキシ基などと、多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応により酸性基を導入した樹脂も好ましい。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A2)樹脂である(A2-f)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有する。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。(A2-f)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有するオルガノシラン単位を有する樹脂が好ましい。また、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。(A2-f)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、500g/mol以上が好ましく、700g/mol以上がより好ましく、1,000g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、3,000g/mol以下が好ましく、2,000g/mol以下がより好ましく、1,500g/mol以下がさらに好ましい。
<その他の構造単位、及び分子量>
ポリシロキサンが有する構造単位は、パターン形状の低テーパー化の観点から、二官能オルガノシラン単位又は一官能オルガノシラン単位も好ましい。また、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族基を有するオルガノシラン単位も好ましい。各オルガノシラン単位は、規則的な配列又は不規則的な配列のいずれであっても構わない。規則的な配列としては、例えば、交互共重合、周期的共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合などが挙げられる。不規則的な配列としては、例えば、ランダム共重合などが挙げられる。また、各オルガノシラン単位は、二次元的な配列又は三次元的な配列のいずれであっても構わない。二次元的な配列としては、例えば、直鎖状が挙げられる。三次元的な配列としては、例えば、梯子状、籠状、又は網目状などが挙げられる。
ポリシロキサンのMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、10,000以下がより好ましい。ポリシロキサンは公知の方法で合成できる。オルガノシランとしては、例えば、国際公開第2017/057281号又は国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;多環側鎖含有樹脂>
(A2)樹脂である(A2-1)樹脂としては、例えば、以下の(1-a2-1)~(6-a2-1)で得られる樹脂が挙げられる。必要に応じて、いずれかの反応段階において多官能アルコール化合物をさらに反応させても構わない。
(1-a2-1)多官能フェノール化合物と多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる化合物に、エポキシ化合物を反応させて得られる樹脂。
(2-a2-1)多官能フェノール化合物とエポキシ化合物とを反応させて得られる化合物に、多官能カルボン酸二無水物を反応させて得られる樹脂。
(3-a2-1)環状骨格含有多官能アルコール化合物と多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる化合物に、エポキシ化合物を反応させて得られる樹脂。
(4-a2-1)環状骨格含有多官能アルコール化合物とエポキシ化合物とを反応させて得られる化合物に、多官能カルボン酸二無水物を反応させて得られる樹脂。
(5-a2-1)多官能エポキシ化合物と多官能カルボン酸化合物とを反応させて得られる化合物に、エポキシ化合物を反応させて得られる樹脂。
(6-a2-1)多官能エポキシ化合物とカルボン酸化合物とを反応させて得られる化合物に、多官能カルボン酸二無水物を反応させて得られる樹脂。
(A2-1)樹脂は、樹脂の構造単位中に、主鎖と環状骨格を有する嵩高い側鎖とが1つの原子で繋がれた構造を有する。また、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(41)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2022136981000008
一般式(41)において、X41及びX42は、それぞれ独立して、直接結合、一般式(42)又は一般式(43)で表される置換基を表す。Y41は、カルボン酸残基又はカルボン酸誘導体残基である3~4価の有機基を表す。Wは、芳香族基を少なくとも2つ有する有機基を表す。R101及びR102は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R103及びR104は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又はエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基を表す。a及びbは、それぞれ独立して、0~10の整数を表す。cは0又は1を表す。一般式(42)及び一般式(43)において、R105及びR106は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又はエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基を表す。*及び*は、それぞれ独立して、一般式(41)中のWとの結合点又は炭素原子との結合点を表す。*及び*は、それぞれ独立して、一般式(41)中の酸素原子との結合点を表す。
一般式(41)において、Y41は、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造、又は炭素数6~30の芳香族構造を有する3~4価の有機基が好ましい。現像後の残渣抑制、及び発光素子の信頼性向上の観点から、Wは、一般式(44)~(49)のいずれかで表される置換基が好ましい。R103及びR104は、それぞれ独立して、水素原子又はエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基が好ましい。一般式(41)~(43)中、R103~R106におけるエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基は、(メタ)アクリロイル基又は一般式(50)で表される置換基が好ましい。上述したアルキル基、脂肪族構造、脂環式構造、及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
Figure 2022136981000009
一般式(44)~(49)において、X43~X52は、それぞれ独立して、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。Y43及びY53は、それぞれ独立して、直接結合、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。R107~R117は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R118~R124は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。a、b、c、及びdは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。e及びfは、それぞれ独立して、0~5の整数を表す。g、h、及びiは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。j及びkは、それぞれ独立して、0~3の整数を表す。Y43が直接結合、酸素原子、又は硫黄原子の場合、lは0である。Y43が窒素原子の場合、lは1である。Y43が炭素原子の場合、lは2である。Y53が直接結合、酸素原子、又は硫黄原子の場合、mは0である。Y53が窒素原子の場合、mは1である。Y53が炭素原子の場合、mは2である。*~*は、それぞれ独立して、上述した一般式(47)中のX41との結合点又は酸素原子との結合点を表す。*~*12は、それぞれ独立して、上述した一般式(47)中のX42との結合点又は酸素原子との結合点を表す。
一般式(44)~(49)において、X43~X52は、それぞれ独立して、炭素数6~15の単環式又は縮合多環式の炭化水素環が好ましい。Y43及びY53は、それぞれ独立して、直接結合又は酸素原子が好ましい。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び単環式若しくは縮合多環式の芳香族炭化水素環は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
Figure 2022136981000010
一般式(50)において、X54は、直接結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。R125は、ビニル基、アリル基、クロトニル基、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基を表す。R126は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又はカルボキシ基を有するカルボン酸誘導体残基を表す。上述したアルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(A2-1)樹脂は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、縮合多環式構造を有する構造単位又は縮合多環式ヘテロ環構造を有する構造単位を有することが好ましい。縮合多環式構造又は縮合多環式ヘテロ環構造は、フルオレン骨格、キサンテン骨格、又はイソインドリノン骨格が好ましい。上述した一般式(41)において、Wが一般式(44)又は一般式(49)であり、Y43が直接結合又は酸素原子であると、フルオレン骨格を有する構造単位又はキサンテン骨格を有する構造単位を有する。また、上述した一般式(41)において、Wが一般式(48)であると、イソインドリノン骨格を有する構造単位を有する。
<アルカリ可溶性基>
(A2-1)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。(A2-1)樹脂は、多官能カルボン酸化合物に由来する構造単位、多官能カルボン酸二無水物に由来する構造単位、及び酸性基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。また、樹脂が有する一部のヒドロキシ基などと、多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応により酸性基を導入した樹脂も好ましい。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A2)樹脂である(A2-1)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有する。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。(A2-1)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物に由来する構造単位、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物に由来する構造単位、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。また、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。(A2-1)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、300g/mol以上が好ましく、400g/mol以上がより好ましく、500g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、1,500g/mol以下が好ましく、1,000g/mol以下がより好ましく、700g/mol以下がさらに好ましい。
<その他の構造単位、末端封止剤、及び分子量>
(A2-1)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族多官能カルボン酸化合物に由来する構造単位又は芳香族多官能カルボン酸二無水物に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましい。また、樹脂の末端が、モノカルボン酸、ジカルボン酸無水物、又はトリカルボン酸無水物などの末端封止剤で封止された構造を有することも好ましい。
(A2-1)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、15,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。(A2-1)樹脂は公知の方法で合成できる。フェノール化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、カルボン酸無水物、及びカルボン酸化合物としては、例えば、国際公開第2017/057281号又は国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
(A2-1)樹脂としては、例えば、“ADEKA ARKLS”(登録商標) WR-101若しくは同 WR-301(以上、いずれもADEKA社製)、又はOGSOL(登録商標) CR-1030(大阪ガスケミカル社製)が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;酸変性エポキシ樹脂>
(A2)樹脂である(A2-2)樹脂としては、例えば、以下の(1-a2-2)~(2-a2-2)で得られる樹脂が挙げられる。必要に応じて、いずれかの反応段階において多官能アルコール化合物をさらに反応させても構わない。
(1-a2-2)多官能エポキシ化合物と多官能カルボン酸化合物とを反応させて得られる化合物に、エポキシ化合物を反応させて得られる樹脂。
(2-a2-2)多官能エポキシ化合物とカルボン酸化合物とを反応させて得られる化合物に、多官能カルボン酸二無水物を反応させて得られる樹脂。
(A2-2)樹脂は、樹脂の構造単位中に環状骨格を有する。また、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(61)~(63)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。
Figure 2022136981000011
一般式(61)~(63)において、X61及びX62は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。X63は、炭素数1~6のアルキレン基を表す。Wは、芳香族基を少なくとも1つ有する有機基を表す。R141及びR142は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。R143は、ハロゲン原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R144~R146は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、又は一般式(69)で表される置換基を表す。R147は、水素原子又は一般式(70)で表される置換基を表す。R148及びR149は、それぞれ独立して、エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基を表す。a及びbは、それぞれ独立して、0~10の整数を表す。cは0~14の整数を表す。dは0~3の整数を表す。e及びfは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。
一般式(61)において、現像後の残渣抑制、及び発光素子の信頼性向上の観点から、Wは、一般式(64)~(68)のいずれかで表される置換基が好ましい。一般式(61)~(63)中、R148及びR149におけるエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基は、(メタ)アクリロイル基、又は一般式(72)若しくは一般式(73)で表される置換基が好ましい。上述した脂肪族構造、アルキレン基、アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
Figure 2022136981000012
一般式(64)~(68)において、X64は、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。X65及びX66は、それぞれ独立して、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。Y65は、直接結合、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。R150は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。R151~R159は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、又は一般式(69)で表される置換基を表す。R160~R162は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。R163~R169は、それぞれ独立して、エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基を表す。aは0~10の整数を表す。bは0~3の整数を表す。cは0~5の整数を表す。dは0~3の整数を表す。e、f、g、及びhは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。i及びjは、それぞれ独立して、0~3の整数を表す。Y65が直接結合、酸素原子、又は硫黄原子の場合、kは0である。Y65が窒素原子の場合、kは1である。Y65が炭素原子の場合、kは2である。*~*は、それぞれ独立して、上述した一般式(61)中のX61との結合点を表す。*~*10は、それぞれ独立して、上述した一般式(61)中の結合点を表す。
一般式(64)~(68)において、X65及びX66は、それぞれ独立して、炭素数6~15の単環式又は縮合多環式の炭化水素環が好ましい。Y65は、直接結合又は酸素原子が好ましい。R163~R169におけるエチレン性不飽和二重結合基を有する有機基は、(メタ)アクリロイル基、又は一般式(72)若しくは一般式(73)で表される置換基が好ましい。上述した脂肪族構造、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び単環式若しくは縮合多環式の芳香族炭化水素環は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
Figure 2022136981000013
一般式(69)及び一般式(70)において、R170及びR172は、それぞれ独立して、一般式(72)又は一般式(73)で表される置換基を表す。R171は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、又は一般式(69)若しくは一般式(71)で表される置換基を表す。aは0~4の整数を表す。一般式(71)において、R173及びR174は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R175は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は一般式(69)で表される置換基を表す。bは0~5の整数を表す。一般式(72)及び一般式(73)において、X67及びX68は、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。R176及びR177は、それぞれ独立して、ビニル基、アリル基、クロトニル基、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基を表す。R178及びR179は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は一般式(74)で表される置換基を表す。一般式(74)において、X69は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルケニレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。X69は、カルボン酸無水物残基であることが好ましい。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、及びアリーレン基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(A2-2)樹脂は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、縮合多環式構造を有する構造単位、縮合多環式ヘテロ環構造を有する構造単位、芳香環骨格及び脂環式骨格が直接連結された構造を有する構造単位、又は、少なくとも2つの芳香環骨格が直接連結された構造を有する構造単位、を有することが好ましい。縮合多環式構造又は縮合多環式ヘテロ環構造は、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、又はキサンテン骨格が好ましい。脂環式骨格は、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格が好ましい。少なくとも2つの芳香環骨格が直接連結された構造は、ビフェニル骨格が好ましい。上述した一般式(61)において、Wが一般式(65)~(67)のいずれかで表される置換基であり、Y65が直接結合又は酸素原子であると、ナフタレン骨格を有する構造単位、ビフェニル骨格を有する構造単位、フルオレン骨格を有する構造単位、又はキサンテン骨格を有する構造単位を有する。また、上述した一般式(62)であると、芳香環骨格及びトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格が直接連結された構造を有する構造単位を有する。
<アルカリ可溶性基>
(A2-2)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。(A2-2)樹脂は、多官能カルボン酸化合物に由来する構造単位、多官能カルボン酸二無水物に由来する構造単位、及び酸性基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。また、(A2-2)樹脂を製造する方法としては、例えば、酸性基を有しない樹脂に酸性基を導入する方法も挙げられる。より具体的には、例えば、樹脂が有する一部のヒドロキシ基などと、多官能カルボン酸二無水物とを反応させる方法や、カルボキシ基を有しない樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応により酸性基を導入する方法などが挙げられる。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A2)樹脂である(A2-2)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有する。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。(A2-2)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物に由来する構造単位、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物に由来する構造単位、及びエチレン性不飽和二重結合基を有する末端構造のうち少なくとも1つを有することが好ましい。また、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。(A2-2)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、300g/mol以上が好ましく、400g/mol以上がより好ましく、500g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、1,500g/mol以下が好ましく、1,000g/mol以下がより好ましく、700g/mol以下がさらに好ましい。
<その他の構造単位、末端封止剤、及び分子量>
(A2-2)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族多官能カルボン酸化合物に由来する構造単位又は芳香族多官能カルボン酸二無水物に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましい。また、樹脂の末端が、モノカルボン酸、ジカルボン酸無水物、又はトリカルボン酸無水物などの末端封止剤で封止された構造を有することも好ましい。
(A2-2)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。い。(A2-2)樹脂は公知の方法で合成できる。エポキシ化合物、カルボン酸無水物、及びカルボン酸化合物としては、例えば、国際公開第2017/057281号又は国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
(A2-2)樹脂としては、例えば、“KAYARAD”(登録商標) PCR-1222H、同 CCR-1171H、同 TCR-1348H、同 ZAR-1494H、同 ZFR-1401H、同 ZCR-1798H、同 ZXR-1807H、同 ZCR-6002H、又は同 ZCR-8001H(以上、いずれも日本化薬社製)が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;アクリル樹脂>
(A2)樹脂である(A2-3)樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、スチレン誘導体、及びその他の共重合成分からなる群より選ばれる一種類以上をラジカル共重合させて得られる樹脂が挙げられる。(A2-3)樹脂は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(81)で表される構造単位及び/又は一般式(82)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2022136981000014
一般式(81)及び一般式(82)において、X81は、直接結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。X82は、直接結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。R201~R206は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。R207は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数4~10のハロゲン化シクロアルキル基、又は炭素数6~15のハロゲン化アリール基を表す。R208は、ビニル基、アリル基、クロトニル基、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基を表す。R209は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は一般式(83)で表される置換基を表す。一般式(83)において、X83は、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数2~6のアルケニレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルケニレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。X83は、カルボン酸無水物残基であることが好ましい。一般式(81)において、X81が直接結合であり、R207が水素原子であることが好ましい。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化アリール基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基、及びアリーレン基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
<アルカリ可溶性基>
(A2-3)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基として酸性基を有する。(A2-3)樹脂は、(メタ)アクリル酸誘導体に由来する構造単位、又は酸性基を有する末端構造を有することが好ましい。また、樹脂が有する一部のヒドロキシ基などと、多官能カルボン酸二無水物とを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応により酸性基を導入した樹脂も好ましい。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A2)樹脂である(A2-3)樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有する。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。(A2-3)樹脂は、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物などとを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂が有するエポキシ基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物などとを反応させて得られる樹脂も好ましい。また、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。(A2-3)樹脂の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、500g/mol以上が好ましく、700g/mol以上がより好ましく、1,000g/mol以上がさらに好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、4,000g/mol以下が好ましく、3,000g/mol以下がより好ましく、2,000g/mol以下がさらに好ましく、1,500g/mol以下が特に好ましい。
<その他の構造単位、及び分子量>
(A2-3)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位又はスチレン誘導体に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましく、脂環式(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位などの脂環式基を有する構造単位も好ましい。
(A2-3)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。(A2-3)樹脂は公知の方法で合成できる。(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、スチレン誘導体、及びその他の共重合成分としては、例えば、国際公開第2017/057281号又は国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;フェノール樹脂>
(A3)樹脂である(A3-1)樹脂としては、例えば、フェノール化合物などと、アルデヒド化合物、ケトン化合物、アルコキシメチル化合物、及びメチロール化合物からなる群より選ばれる一種類以上とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。(A3-1)樹脂は、ノボラック樹脂及び/又はレゾール樹脂を含有することが好ましい。ノボラック樹脂とは、酸触媒下にて反応させて得られる樹脂をいう。レゾール樹脂とは、塩基触媒下にて反応させて得られる樹脂をいう。
(A3-1)樹脂は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(36)で表される構造単位を有することが好ましい。(A3-1)樹脂の全構造単位に占める、一般式(36)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
Figure 2022136981000015
一般式(36)において、X38は、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。R94は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニルオキシ基、炭素数1~10のアシル基、カルボキシ基、アミノ基、又は環を形成する基を表す。環を形成する基によって連結する環は、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。R95は、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。aは1~4の整数を表す。bは0~3の整数を表す。αは0~4の整数を表す。上述した脂肪族構造、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基、環を形成する基、及びアルキレン基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。環を形成する基によって形成される縮合多環式の炭化水素環は、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、インダン環、インデン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環、キサンテン環、又はイソインドリノン環が好ましい。
<アルカリ可溶性基>
(A3-1)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有する。(A3-1)樹脂は、フェノール化合物と、アルデヒド化合物、アルコキシメチル化合物、及びメチロール化合物からなる群より選ばれる一種類以上とを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりフェノール性水酸基を導入した樹脂も好ましい。なお、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有しても構わない。例えば、樹脂が有するフェノール性水酸基とカルボン酸無水物とを反応させて得られる樹脂、又はフェノール化合物としてカルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有するフェノール化合物を反応させて得られる樹脂が挙げられる。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A3)樹脂である(A3-1)樹脂は、以下の(A3b-1)樹脂を含有することが好ましい。(A3b-1)樹脂は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合基を有する(A3b)樹脂である。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(A3b-1)樹脂:不飽和基含有フェノール樹脂。
(A3b-1)樹脂は、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物などとを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりエチレン性不飽和二重結合基を導入した樹脂も好ましい。なお、(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3b-1)樹脂を含有する場合、(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに以下の(A3a-1)樹脂を含有することが好ましい。不飽和基はエチレン性不飽和二重結合基であることが好ましい。すなわち(A3a-1)樹脂は、ラジカル重合性基であるエチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A3a-1)樹脂:不飽和基を有しないフェノール樹脂。
<その他の構造単位、及び分子量>
(A3-1)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族アルデヒド化合物に由来する構造単位又は芳香族ケトン化合物に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましく、脂環式アルデヒド化合物に由来する構造単位、脂環式ケトン化合物に由来する構造単位、脂環式アルコキシメチル化合物に由来する構造単位、又は脂環式メチロール化合物に由来する構造単位などの脂環式基を有する構造単位も好ましい。
(A3-1)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましく、5,000以下がさらにより好ましく、3,000以下が特に好ましい。(A3-1)樹脂は公知の方法で合成できる。フェノール化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物、アルコキシメチル化合物、及びメチロール化合物としては、例えば、国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;ポリヒドロキシスチレン>
(A3)樹脂である(A3-2)樹脂としては、例えば、ヒドロキシスチレン誘導体などと、スチレン誘導体及び/又はその他の共重合成分とをラジカル共重合させて得られる樹脂が挙げられる。その他の共重合成分としては、(メタ)アクリル酸誘導体又は(メタ)アクリル酸エステル誘導体などが挙げられる。(A3-2)樹脂は、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、一般式(91)で表される構造単位及び/又は一般式(92)で表される構造単位を有することが好ましい。(A3-2)樹脂の全構造単位に占める、一般式(91)で表される構造単位及び一般式(92)で表される構造単位の含有比率は、50~100mol%が好ましく、60~100mol%がより好ましく、70~100mol%がさらに好ましい。
Figure 2022136981000016
一般式(91)及び一般式(92)において、X121は、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。R221~R226は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。R227及びR228は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数2~10のアルケニルオキシ基、炭素数1~10のアシル基、カルボキシ基、アミノ基、又は環を形成する基を表す。環を形成する基によって連結する環は、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。a及びbは、それぞれ独立して、1~5の整数を表す。c、及びdは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。上述したアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アシル基、環を形成する基、アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。環を形成する基によって形成される縮合多環式の炭化水素環は、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、インダン環、インデン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環、キサンテン環、又はイソインドリノン環が好ましい。
<アルカリ可溶性基>
(A3-2)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有する。(A3-2)樹脂は、少なくともヒドロキシスチレン誘導体を含む共重合成分をラジカル共重合させて得られる樹脂が好ましい。また、さらにエポキシ基などの反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合成分をラジカル共重合させて得られた樹脂において、樹脂が有するエポキシ基などと、カルボキシ基を有するフェノール化合物などとを反応させて得られる樹脂も好ましく、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりフェノール性水酸基を導入した樹脂も好ましい。なお、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有しても構わない。例えば、樹脂が有するフェノール性水酸基とカルボン酸無水物とを反応させて得られる樹脂、又はその他の共重合成分としてカルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有する共重合成分を反応させて得られる樹脂が挙げられる。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A3)樹脂である(A3-2)樹脂は、以下の(A3b-2)樹脂を含有することが好ましい。(A3b-2)樹脂は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合基を有する(A3b)樹脂である。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(A3b-2)樹脂:不飽和基含有ポリヒドロキシスチレン。
(A3b-2)不飽和基含有ポリヒドロキシスチレンは、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物などとを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂が有するエポキシ基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物などとを反応させて得られる樹脂も好ましい。なお、(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3b-2)樹脂を含有する場合、(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに以下の(A3a-2)樹脂を含有することが好ましい。不飽和基はエチレン性不飽和二重結合基であることが好ましい。すなわち(A3a-2)樹脂は、ラジカル重合性基であるエチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A3a-2)樹脂:不飽和基を有しないポリヒドロキシスチレン。
<その他の構造単位、及び分子量>
(A3-2)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましく、脂環式(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位などの脂環式基を有する構造単位も好ましい。
(A3-2)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。(A3-2)樹脂は公知の方法で合成できる。ヒドロキシスチレン誘導体、スチレン誘導体、及びその他の共重合成分としては、例えば、国際公開第2017/159876号に記載の化合物が挙げられる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;フェノール基変性エポキシ樹脂>
(A3)樹脂である(A3-3)樹脂としては、例えば、以下の(1-a3-3)~(2-a3-3)で得られる樹脂が挙げられる。必要に応じて、いずれかの反応段階において多官能アルコール化合物をさらに反応させても構わない。(A3-3)樹脂は、樹脂の構造単位中に環状骨格を有する。
(1-a3-3)多官能エポキシ化合物と、エポキシ反応性基を有するフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂。
(2-a3-3)上述した(1-a3-3)の樹脂に、さらに多官能カルボン酸二無水物又は多官能カルボン酸化合物を反応させて得られる樹脂。
<アルカリ可溶性基>
(A3-3)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有する。(A3-3)樹脂は、多官能エポキシ化合物などと、カルボキシ基を有するフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりフェノール性水酸基を導入した樹脂も好ましい。なお、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有しても構わない。例えば、樹脂が有するヒドロキシ基とカルボン酸無水物とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A3)樹脂である(A3-3)樹脂は、以下の(A3b-3)樹脂を含有することが好ましい。(A3b-3)樹脂は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合基を有する(A3b)樹脂である。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(A3b-3)樹脂:不飽和基含有フェノール基変性エポキシ樹脂。
(A3b-3)不飽和基含有フェノール基変性エポキシ樹脂は、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物などとを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂が有するエポキシ基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物などとを反応させて得られる樹脂も好ましい。なお、(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3b-3)樹脂を含有する場合、(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに以下の(A3a-3)樹脂を含有することが好ましい。不飽和基はエチレン性不飽和二重結合基であることが好ましい。すなわち(A3a-3)樹脂は、ラジカル重合性基であるエチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A3a-3)樹脂:不飽和基を有しないフェノール基変性エポキシ樹脂。
<その他の構造単位、及び分子量>
(A3-3)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族多官能カルボン酸化合物に由来する構造単位又は芳香族多官能カルボン酸二無水物に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましい。
(A3-3)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。(A3-3)樹脂は公知の方法で合成できる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂;フェノール基変性アクリル樹脂>
(A3)樹脂である(A3-4)樹脂としては、例えば、以下の(1-a3-4)~(2-a3-4)で得られる樹脂が挙げられる。
(1-a3-4)(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体、スチレン誘導体、及びその他の共重合成分からなる群より選ばれる一種類以上をラジカル共重合させて得られる樹脂に、さらに付加反応性基を有するフェノール化合物を反応させて得られる樹脂。
(2-a3-4)上述した(1-a3-4)の樹脂に、さらに多官能カルボン酸二無水物又は多官能カルボン酸化合物を反応させて得られる樹脂。
<アルカリ可溶性基>
(A3-4)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有する。(A3-4)樹脂は、エポキシ基などの反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合成分をラジカル共重合させて得られた樹脂において、樹脂が有するエポキシ基などと、カルボキシ基を有するフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つに、触媒を用いた反応によりフェノール性水酸基を導入した樹脂も好ましい。なお、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を有しても構わない。例えば、樹脂が有するヒドロキシ基とカルボン酸無水物とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。
<エチレン性不飽和二重結合基>
(A3)樹脂である(A3-4)樹脂は、以下の(A3b-4)樹脂を含有することが好ましい。(A3b-4)樹脂は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合基を有する(A3b)樹脂である。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(A3b-4)樹脂:不飽和基含有フェノール基変性アクリル樹脂。
(A3b-4)不飽和基含有フェノール基変性アクリル樹脂は、樹脂が有する一部の酸性基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物などとを反応させて得られる樹脂が好ましい。また、樹脂が有するエポキシ基などと、エチレン性不飽和二重結合基を有するカルボン酸化合物などとを反応させて得られる樹脂も好ましい。なお、(A)アルカリ可溶性樹脂が(A3b-4)樹脂を含有する場合、(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに以下の(A3a-4)樹脂を含有することが好ましい。不飽和基はエチレン性不飽和二重結合基であることが好ましい。すなわち(A3a-4)樹脂は、ラジカル重合性基であるエチレン性不飽和二重結合基を有しないことが好ましい。
(A3a-4)樹脂:不飽和基を有しないフェノール基変性アクリル樹脂。
<その他の構造単位、及び分子量>
(A3-4)樹脂が有する構造単位は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、芳香族(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位又はスチレン誘導体に由来する構造単位などの芳香族基を有する構造単位も好ましく、脂環式(メタ)アクリル酸エステル誘導体に由来する構造単位などの脂環式基を有する構造単位も好ましい。
(A3-4)樹脂のMwは、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、GPCで測定されるポリスチレン換算で、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。一方、Mwは、現像後の残渣抑制、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、50,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。(A3-4)樹脂は公知の方法で合成できる。
<(A)アルカリ可溶性樹脂の含有比率>
本発明の感光性組成物において、(A)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量%に占める、(A1)樹脂の含有比率の合計は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。一方、(A1)樹脂の含有比率の合計は、パターン形状の低テーパー化の観点から、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下がさらにより好ましく、55質量%以下が特に好ましい。
本発明感光性組成物において、(A)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量%に占める、(A2)樹脂の含有比率の合計は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。一方、(A2)樹脂の含有比率の合計は、ハーフトーン特性向上、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、65質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。
本発明の感光性組成物において、(A)アルカリ可溶性樹脂の合計100質量%に占める、(A3)樹脂の含有比率の合計は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。一方、(A3)樹脂の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点から、85質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましく、55質量%以下がさらにより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(A)アルカリ可溶性樹脂の含有比率は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。一方、(A)アルカリ可溶性樹脂の含有比率は、露光時の感度向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、75質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物の合計を100質量部とした場合において、25質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、45質量部以上がさらに好ましい。一方、(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、85質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、75質量部以下がさらに好ましい。
<(B)ラジカル重合性化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(B)ラジカル重合性化合物(以下、「(B)化合物」)を含有することが好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び/又は(B)化合物を含み、
(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。
(B)化合物とは、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物をいう。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。本発明の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合、パターン露光時、後述する(C1)光重合開始剤/光ラジカル発生剤から発生するラジカルによって(B)化合物のラジカル重合が進行し、組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して不溶化することで、ネガ型のパターンを形成できる。また、露光時の光硬化が促進され、露光時の感度向上の効果が顕著となる。一方、本発明の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、パターン露光時の未露光部において、現像後露光時又は熱硬化時に(B)化合物のラジカル重合が進行し、組成物の膜の架橋度が向上することで、熱硬化後のパターン形状制御の効果が顕著となる。(B)化合物のエチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合が進行しやすい観点から、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。(B)化合物が、後述する(B1)疎水性骨格含有ラジカル重合性化合物、(B2)柔軟骨格含有ラジカル重合性化合物、及び(B3)環状骨格含有ラジカル重合性化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(B)化合物の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上の観点から、80g/mol以上が好ましく、90g/mol以上がより好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上の観点から、800g/mol以下が好ましく、600g/mol以下がより好ましい。
本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(B)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、露光時の感度向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、25質量部以上がさらに好ましい。一方、(B)化合物の含有量は、ハーフトーン特性向上の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、75質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、55質量部以下がさらに好ましい。
<(B)ラジカル重合性化合物;(B1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(B)化合物を含み、
(B)化合物が、(B1)疎水性骨格含有ラジカル重合性化合物(以下、「(B1)化合物」)を含有し、
(B1)化合物が、以下の(I-b1)構造及び(II-b1)構造を有し、(II-b1)構造を少なくとも2つ有することが好ましい。
(I-b1)構造:フルオレン構造、インダン構造、縮合多環脂環式構造、インドリノン構造、及びイソインドリノン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造。
(II-b1)構造:エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基。
エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。(B1)化合物を含有させることで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
(B1)化合物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、上述した(I-b1)構造が、一般式(141)~(147)のいずれかで表される構造であることが好ましい。
Figure 2022136981000017
一般式(141)~(147)において、X201~X208は、それぞれ独立して、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。X210~X214は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。Y201及びY209は、それぞれ独立して、直接結合、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。R301~R309は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R310~R316は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。R317及びR318は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。a、b、c、d、e、f、及びgは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。h及びiは、それぞれ独立して、0~3の整数を表す。Y201が直接結合、酸素原子、又は硫黄原子の場合、jは0である。Y201が窒素原子の場合、jは1である。Y201が炭素原子の場合、jは2である。Y209が直接結合、酸素原子、又は硫黄原子の場合、kは0である。Y209が窒素原子の場合、kは1である。Y209が炭素原子の場合、kは2である。l及びmは、それぞれ独立して、0~14の整数を表す。nは0~2の整数を表す。*~*15は、それぞれ独立して、上述した(II-b1)構造との結合点を表す。
一般式(141)~(147)において、X201~X208は、それぞれ独立して、炭素数6~15の単環式又は縮合多環式の炭化水素環が好ましい。Y201及びY209は、それぞれ独立して、直接結合又は酸素原子が好ましい。上述した脂肪族構造、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び単環式若しくは縮合多環式の芳香族炭化水素環は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(B1)化合物は、露光時の感度向上、現像後の残渣抑制、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、(I-b1)構造、(II-b1)構造、並びに、以下の(III-b1)構造又は(IV-b1)構造を有することがより好ましい。
(III-b1)構造:アルキレンカルボニル基、オキシアルキレンカルボニル基、及びアミノアルキレンカルボニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
(IV-b1)構造:ヒドロキシ基を含むアルキレン基及び/又はヒドロキシ基を含むオキシアルキレン基。
(B1)化合物が有する(III-b1)構造又は(IV-b1)構造の数の合計は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。一方、(III-b1)構造又は(IV-b1)構造の数の合計は、10個以下が好ましく、8個以下がより好ましく、6個以下がさらに好ましい。(B1)化合物は、(III-b1)構造を有することが好ましい。(III-b1)構造は、ラクトン化合物に由来する構造又はラクタム化合物に由来する構造が好ましい。(B1)化合物が(III-b1)構造又は(IV-b1)構造を有する場合、上述した一般式(141)~(147)において、*~*15は、それぞれ独立して、上述した(II-b1)構造との結合点、上述した(III-b1)構造との結合点、又は上述した(IV-b1)構造との結合点を表す。
(B1)化合物が後述する一般式(157)で表される構造を有する場合、上述した(III-b1)構造を有する。また、(B1)化合物が後述する一般式(156)で表される構造を有し、X231がヒドロキシ基を含む炭素数1~10のアルキレン基を表す場合、上述した(IV-b1)構造を有する。なお、一般式(156)及び一般式(157)において、*及び*は、それぞれ独立して、上述した(I-b1)構造との結合点を表す。*及び*は、それぞれ独立して、上述した(II-b1)構造との結合点を表す。一般式(157)において、*及び*は、それぞれ独立して、上述した一般式(141)~(147)中の酸素原子との結合点であることが好ましい。
(B1)化合物の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、150g/mol以上が好ましく、190g/mol以上がより好ましい。一方、二重結合当量は、現像後の残渣抑制の観点から、600g/mol以下が好ましく、400g/mol以下がより好ましい。
本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(B1)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。一方、(B1)化合物の含有量は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
<(B)ラジカル重合性化合物;(B2)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(B)化合物を含み、
(B)化合物が、(B2)柔軟骨格含有ラジカル重合性化合物(以下、「(B2)化合物」)を含有し、
(B2)化合物が、以下の(I-b2)構造、(II-b2)構造、及び(III-b2)構造を有し、(II-b2)構造を少なくとも2つ有することが好ましい。
(I-b2)構造:少なくとも2つのヒドロキシ基を有する化合物に由来する構造。
(II-b2)構造:エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基。
(III-b2)構造:アルキレン基、オキシアルキレン基、ヒドロキシ基を含むアルキレン基、ヒドロキシ基を含むオキシアルキレン基、アルキレンカルボニル基、オキシアルキレンカルボニル基、及びアミノアルキレンカルボニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。(B2)化合物を含有させることで、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
(B2)化合物において、(I-b2)構造は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、以下の(I-b2x)構造がより好ましい。
(I-b2x)構造:脂肪族多官能アルコールに由来する構造、脂環式構造、及びヘテロ脂環式構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造。
(B2)化合物は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、上述した(I-b2x)構造が、一般式(151)~(154)のいずれかで表される構造であることが好ましい。
Figure 2022136981000018
一般式(151)~(154)において、X221~X228は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。R321~R325は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数4~10のシクロアルキル基を表す。a及びbは、それぞれ独立して、0~5の整数を表す。*~*16は、それぞれ独立して、上述した(II-b2)構造との結合点又は上述した(III-b2)構造との結合点を表す。上述した脂肪族構造、アルキル基、及びシクロアルキル基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(B2)化合物が上述した(I-b2x)構造を有する化合物を含有する場合、ハーフトーン特性向上、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、(B2)化合物は、さらに、上述した(I-b2)構造として、一般式(155)で表される構造を有する化合物を含有することが好ましい。
Figure 2022136981000019
一般式(155)において、X229及びX230は、それぞれ独立して、炭素数1~6の脂肪族構造を表す。Y229は、直接結合、窒素原子、又は酸素原子を表す。R326は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数4~10のシクロアルキル基を表す。Y229が直接結合又は酸素原子の場合、aは0である。Y229が窒素原子の場合、aは1である。*及び*は、それぞれ独立して、上述した(III-b2)構造との結合点を表す。上述した脂肪族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(B2)化合物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、以下の(III-b2x)構造を有することがより好ましい。
(III-b2x)構造:アルキレンカルボニル基、オキシアルキレンカルボニル基、及びアミノアルキレンカルボニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
(B2)化合物が有する(III-b2)構造の数、及び(III-b2x)構造の数の合計は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。一方、(III-b2)構造の数、及び(III-b2x)構造の数の合計は、12個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下がさらに好ましい。アルキレン基、オキシアルキレン基、ヒドロキシ基を含むアルキレン基、及びヒドロキシ基を含むオキシアルキレン基は、エポキシ化合物に由来する構造又はアルキレングリコールに由来する構造が好ましい。(B2)化合物は、(III-b2x)構造を有することが好ましい。(III-b2x)構造は、ラクトン化合物に由来する構造又はラクタム化合物に由来する構造が好ましい。
(B2)化合物は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、上述した(III-b2)構造は、一般式(156)又は一般式(157)で表される構造からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましい。
Figure 2022136981000020
一般式(156)及び一般式(157)において、X231及びX232は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基、又はヒドロキシ基を含む炭素数1~10のアルキレン基を表す。Y231及びY232は、それぞれ独立して、直接結合、窒素原子、又は酸素原子を表す。R327は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数4~10のシクロアルキル基を表す。a及びbは、それぞれ独立して、1~4の整数を表す。Y232が直接結合又は酸素原子の場合、cは0である。Y232が窒素原子の場合、cは1である。*及び*は、それぞれ独立して、上述した(I-b2)構造との結合点を表す。*及び*は、それぞれ独立して、上述した(II-b2)構造との結合点を表す。一般式(156)及び一般式(157)において、*及び*は、それぞれ独立して、一般式(151)~(154)中の酸素原子との結合点であることが好ましい。上述したアルキレン基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。(B2)化合物が一般式(157)で表される構造を有する場合、上述した(III-b2x)構造を有する。
(B2)化合物が有するエチレン性不飽和二重結合基数は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。一方、エチレン性不飽和二重結合基数は、ハーフトーン特性向上、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、12個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下がさらに好ましい。また、二重結合当量は、ハーフトーン特性向上、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、100g/mol以上が好ましく、120g/mol以上がより好ましい。一方、二重結合当量は、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、600g/mol以下が好ましく、400g/mol以下がより好ましい。(B2)化合物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、少なくとも3つの(II-b2)構造を有する化合物、及び2つの(II-b2)構造を有する化合物を含有することがより好ましい。
本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(B2)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、露光時の感度向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。一方、(B2)化合物の含有量は、ハーフトーン特性向上、及びパターン形状の低テーパー化の観点から、40質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましい。
<(B)ラジカル重合性化合物;(B3)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(B3)環状骨格含有ラジカル重合性化合物(以下、「(B3)化合物」)を含有し、
(B3)化合物が、以下の(I-b3)構造及び(II-b3)構造を有し、(II-b3)構造を少なくとも2つ有することが好ましい。
(I-b3)構造:脂環式構造及び/又はヘテロ脂環式構造を含む構造。
(II-b3)構造:エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基。
(B3)化合物は、(B1)化合物及び(B2)化合物とは異なる化合物である。なお、(B1)化合物及び(B2)化合物の両方に該当する化合物は、(B1)化合物に含まれるものとする。エチレン性不飽和二重結合基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。(B3)化合物を含有させることで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
(B3)化合物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、上述した(I-b3)構造が、窒素原子を少なくとも2つ有する環状構造を含む構造であることが好ましい。窒素原子を少なくとも2つ有する環状構造は、イソシアヌル酸構造及び/又はトリアジン構造が好ましい。
(B3)化合物の二重結合当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、150g/mol以上が好ましく、190g/mol以上がより好ましい。一方、二重結合当量は、現像後の残渣抑制の観点から、600g/mol以下が好ましく、400g/mol以下がより好ましい。
本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(B3)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。一方、(B3)化合物の含有量は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
<(C)感光剤>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤を含有することが好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、ポジ型又はネガ型の感光性を有することが好ましい。
(C)感光剤とは、露光によって結合開裂、反応、又は構造変化して別の化合物を発生させることで、組成物にポジ型又はネガ型の感光性を付与する化合物をいう。(C)感光剤は、(C1)光重合開始剤/光ラジカル発生剤(以下、「(C1)化合物」)、(C2)光酸発生剤、及び(C3)ナフトキノンジアジド化合物(以下、「(C3)化合物」)からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。組成物にネガ型の感光性を付与する場合、(C1)化合物を含有することが好ましく、さらに、(C2)光酸発生剤及び/又は(C3)化合物を含有することが好ましい。組成物にポジ型の感光性を付与する場合、(C3)化合物を含有することが好ましく、さらに、(C1)化合物及び/又は(C2)光酸発生剤を含有することが好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、後述する特定構造の(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤(以下、「(GX)化合物」)によって、ポジ型の感光性を有することが好ましい。パターン露光時、後述する特定構造の(GX)化合物によって組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶化することで、ポジ型のパターンを形成できる。本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤を含有し、(C)感光剤が、(C1)化合物又は(C3)化合物を含むことが好ましい。本発明の第一の態様の感光性組成物に、後述する特定構造の(GX)化合物によってポジ型の感光性を付与する場合、(C)感光剤が、(C1)化合物又は(C3)化合物を含有することが好ましく、(C1)化合物及び(C3)化合物を含有することがより好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(C)感光剤の含有比率は、露光時の感度向上の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(C)感光剤の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
<(C)感光剤;(C1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤が、(C1)光重合開始剤/光ラジカル発生剤(以下、「(C1)化合物」)を含有することが好ましい。(C1)化合物とは、露光によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する化合物をいう。(C1)化合物を含有することが、ネガ型のパターン形成に好適である。露光時、(C1)化合物から発生するラジカルが僅かな量であっても、上述した(B)化合物などのラジカル重合が連鎖的に進行するため、低露光量の光でのネガ型のパターン形成に好適であり、露光時の感度向上の効果が顕著となる。
(C1)化合物は、ベンジルケタール系化合物、α-ヒドロキシケトン系化合物、α-アミノケトン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシムエステル系化合物、アクリジン系化合物、チタノセン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、芳香族ケトエステル系化合物、又は安息香酸エステル系化合物が好ましい。露光時の感度向上の観点から、α-ヒドロキシケトン系化合物、α-アミノケトン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ビイミダゾール系化合物、又はオキシムエステル系化合物がより好ましく、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、オキシムエステル系化合物がさらに好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(C1)化合物の含有比率は、露光時の感度向上の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(C1)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(C1)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。一方、(C1)化合物の含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
<(C)感光剤;(C1-1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C1)化合物が、(C1-1)オキシムエステル系化合物(以下、「(C1-1)化合物」)を含有することが好ましい。(C1-1)化合物とは、露光によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する骨格として、オキシムエステル構造を有する化合物をいう。(C1-1)化合物を含有させることで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後の残渣抑制の効果が顕著となる。
本発明の感光性組成物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、(C1)化合物が、(C1-1)化合物を含有し、さらに、上述した(B)化合物を含有することが好ましい。(C1-1)化合物は、露光時の光に対する吸光度が高いため、高効率的なラジカル発生に好適であり、(B)化合物のラジカル重合の反応速度向上が顕著となる。
(C1-1)化合物は、縮合多環式構造、縮合多環式ヘテロ環構造、又はジフェニルスルフィド構造を有することが好ましい。(C1-1)化合物は、縮合多環式構造、縮合多環式へテロ環構造、又はジフェニルスルフィド構造に、少なくとも1つのオキシムエステル構造が結合した構造、又は少なくとも1つのオキシムエステルカルボニル構造が結合した構造を有することが好ましく、少なくとも1つのオキシムエステル構造が結合した構造を有することがより好ましい。縮合多環式構造は、フルオレン構造、ベンゾフルオレン構造、ジベンゾフルオレン構造、インデン構造、インダン構造、ベンゾインデン構造、又はベンゾインダン構造が好ましく、フルオレン構造、ベンゾフルオレン構造、又はジベンゾフルオレン構造がより好ましい。縮合多環式ヘテロ環構造は、カルバゾール構造、ジベンゾフラン構造、ジベンゾチオフェン構造、ベンゾカルバゾール構造、インドール構造、インドリン構造、ベンゾインドール構造、又はベンゾインドリン構造が好ましく、カルバゾール構造、ベンゾカルバゾール構造、インドール構造、又はベンゾインドール構造がより好ましい。露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、(C1-1)化合物は、フルオレン構造、ベンゾフルオレン構造、ジベンゾフルオレン構造、ベンゾカルバゾール構造、インドール構造、又はベンゾインドール構造を有することが好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤を含有し、
(C)感光剤が、(C1)化合物を含み、
(C1)化合物が、(C1-1)化合物を含有し、
(C1-1)化合物が、ニトロ基、ナフチルカルボニル構造、トリメチルベンゾイル構造、チオフェニルカルボニル構造、フリルカルボニル構造、及び少なくとも2つのオキシムエステル構造からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。
(C1-1)化合物が、ニトロ基、ナフチルカルボニル構造、トリメチルベンゾイル構造、チオフェニルカルボニル構造、フリルカルボニル構造、及び少なくとも2つのオキシムエステル構造からなる群より選ばれる一種類以上を有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。中でも、縮合多環式構造、縮合多環式へテロ環構造、又はジフェニルスルフィド構造に、これらの構造が結合した構造を有することが好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C1-1)化合物が、ニトロ基、ナフチルカルボニル構造、トリメチルベンゾイル構造、チオフェニルカルボニル構造、フリルカルボニル構造、及び少なくとも2つのオキシムエステル構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する場合、
(C1-1)化合物が、フルオレン骨格、ベンゾフルオレン骨格、及びジベンゾフルオレン骨格からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。
(C1-1)化合物が、フルオレン骨格、ベンゾフルオレン骨格、及びジベンゾフルオレン骨格からなる群より選ばれる一種類以上を有することで、(C1-1)化合物がフォトブリーチング性を有するため、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。フォトブリーチング性とは、露光によって結合開裂及び/又は反応することで、紫外領域の波長(例えば、400nm以下)の吸光度及び/又は可視領域の波長(380~780nm)の吸光度が低下することをいう。同様に、フォトブリーチング性を有する観点から、(C1-1)化合物は、ジフェニルスルフィド構造、インドール構造、又はベンゾインドール構造を有することも好ましく、縮合多環式構造又は縮合多環式へテロ環構造に、オキシムエステルカルボニル構造が結合した構造(すなわち、カルボニル構造を介してオキシムエステル構造が結合した構造;β-オキシム構造)を有することも好ましい。
(C1-1)化合物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、ハロゲン原子で置換された基を有することが好ましく、フッ素原子で置換された基を有することがより好ましい。上述した(A)アルカリ可溶性樹脂がハロゲン原子を有する構造単位を有する場合、樹脂と光重合開始剤との相溶性向上により、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。なお、上述したポリイミド系の樹脂は、上述したフッ素原子を有する構造単位を有することが好ましい。ハロゲン原子で置換された基は、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、トリクロロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、フルオロシクロペンチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロプロポキシ基、テトラフルオロプロポキシ基、又はペンタフルオロフェノキシ基が好ましい。
(C1-1)化合物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。中でも、縮合多環式構造、縮合多環式へテロ環構造、又はジフェニルスルフィド構造に、少なくとも1つの炭素数1~5のアルケニル基が結合した構造を有することが好ましい。光反応性基は、ラジカル重合性基が好ましく、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基が好ましく、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基がより好ましく、ビニル基又はアリル基がさらに好ましい。
縮合多環式構造、縮合多環式ヘテロ環構造、又はジフェニルスルフィド構造を有する(C1-1)化合物は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、一般式(17)~(19)のいずれかで表される化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましく、一般式(18)で表される化合物を含有することがより好ましい。なお、縮合多環式構造を有する場合、一般式(17)及び一般式(18)において、Y及びYは、それぞれ独立して、炭素原子である。また、縮合多環式ヘテロ環構造を有する場合、一般式(17)及び一般式(18)において、Y及びYは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
Figure 2022136981000021
一般式(17)~(19)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。Y及びYは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を表す。R451~R456は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表す。R457~R459は、それぞれ独立して、一般式(37)~(40)のいずれかで表される置換基、又はニトロ基を表す。R460~R467は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、又は、炭素数4~10の環を形成する基を表す。R468及びR469は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、又は炭素数2~15のアシル基を表す。R471~R473は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、炭素数4~10の複素環基、炭素数4~10の複素環オキシ基、炭素数2~10のアシル基、又はニトロ基を表す。R474~R476は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。aは0~3の整数を表す。cは0~5の整数を表す。b及びdは、それぞれ独立して、0又は1を表す。e及びfは、それぞれ独立して、0~2の整数を表す。Y及びYが、それぞれ独立して、炭素原子の場合、g及びhは、それぞれ独立して、2である。Y及びYが、それぞれ独立して、窒素原子の場合、g及びhは、それぞれ独立して、1である。Y及びYが、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子の場合、g及びhは、それぞれ独立して、0である。j、k、及びlは、それぞれ独立して、0又は1を表す。m、n、及びoは、それぞれ独立して、1~10の整数を表す。p、q、及びrは、それぞれ独立して、1~4の整数を表す。x、y、及びzは、それぞれ独立して、1~4の整数を表す。
Figure 2022136981000022
一般式(37)~(40)において、R477~R480は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のヒドロキシアルキル基、又は環を形成する基を表す。複数のR477~R480で形成する環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、シクロペンタン環、又はシクロヘキサン環が挙げられる。aは0~7の整数を表す。bは0~2の整数を表す。c及びdは、それぞれ独立して、0~3の整数を表す。複数のR477~R480で形成する環は、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(C1-1)化合物の含有比率は、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(C1-1)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(C1-1)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。一方、(C1-1)化合物の含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
<(C)感光剤;(C2)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤が、(C2)光酸発生剤を含有しても構わない。(C2)光酸発生剤とは、露光によって結合開裂及び/又は反応して酸を発生する化合物をいう。露光時、(C2)光酸発生剤から発生する酸が僅かな量であっても、後述する(G)架橋剤などのカチオン重合性化合物のカチオン重合、及び/又は、後述する(G)架橋剤などの酸反応性化合物と樹脂との架橋が連鎖的に進行するため、低露光量でのネガ型のパターン形成に好適であり、露光時の感度向上の効果が顕著となる。(C)感光剤が、上述した(C1)化合物、及び、(C2)光酸発生剤を含有することも好ましい。一方、(C)感光剤が後述する(C3)化合物及び(C2)光酸発生剤を含有する場合、アルカリ現像後かつ熱硬化前における露光時、(C2)光酸発生剤から酸を発生できる。発生した酸により、その後の熱硬化時における後述する(C)架橋剤などの熱反応性化合物と樹脂との架橋を促進できるため、硬化膜の耐熱性向上、及び硬化膜の耐薬品性向上の効果が顕著となる。
(C2)光酸発生剤としては、例えば、イオン性化合物又は非イオン性化合物が挙げられる。イオン性化合物は、トリオルガノスルホニウム塩系化合物が好ましい。非イオン性化合物は、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、リン酸エステル化合物、又はスルホンベンゾトリアゾール化合物が好ましい。
<(C)感光剤;(C3)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(C)感光剤が、(C3)ナフトキノンジアジド化合物(以下、「(C3)化合物」)を含有することが好ましい。(C3)化合物とは、露光によって構造変化してインデンカルボン酸及び/又はスルホインデンカルボン酸を発生する化合物をいう。露光時、(C3)化合物が構造変化した酸性化合物により、組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶化することで、ポジ型のパターンを形成できる。また、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が選択的に向上し、現像後の解像度向上の効果が顕著となる。一方、本発明の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合、(C)感光剤が、上述した(C1)化合物、及び、(C3)化合物を含有することで、現像時のパターン形状変化抑制、及びパターン形状の低テーパー化の効果が顕著となる。
(C3)化合物は、フェノール性水酸基の有する化合物の5-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル体又は4-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル体が好ましい。(C3)化合物を製造する方法としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸とをエステル化反応させる方法や、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとをエステル化反応させる方法などが挙げられる。ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドは、5-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド又は4-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。
<(D)着色剤;(Da)化合物、及び(Db)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D)着色剤を含有することが好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D)着色剤を含有し、(D)着色剤が、(Da)黒色剤を含むことが好ましい。
(D)着色剤とは、可視光線の波長(380~780nm)の光を吸収することで着色させる化合物をいう。(D)着色剤を含有させることで、組成物の膜を透過する光又は組成物の膜から反射する光を所望の色に着色できる。また、組成物の膜に遮光性を付与できる。(D)着色剤は、(D1)顔料又は(D2)染料などが好ましい。特に、可視光線の遮光性が必要な場合、(Da)黒色剤が好ましい。(Da)黒色剤とは、可視光線の波長の光を吸収することで黒色化させる化合物をいう。(Da)黒色剤を含有させることで、組成物の膜の遮光性向上、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。(Da)黒色剤を含有する組成物の膜は、外光反射抑制による高コントラスト化、隣接画素からの光漏れ防止、又はTFTの誤作動防止などが要求される用途に好適であり、有機ELディスプレイの画素分割層、TFT平坦化層、TFT保護層、層間絶縁層、又はゲート絶縁層として特に好ましい。また、ブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーとしても好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(Da)黒色剤を含み、さらに後述する(GX)化合物を含有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。これは、(Da)黒色剤によってパターン露光時の紫外線が遮断される場合において、後述する(GX)化合物の作用により、比較的露光量の小さな光によるパターン加工性が顕著に向上するためと考えられる。
なお、(Da)黒色剤を含有し、さらに(Db)黒色以外の着色剤を含有しても構わない。(Db)黒色以外の着色剤を含有させることで、組成物の膜を所望の色座標に調色できる。(D2)染料とは、対象物の表面構造に化学吸着等をして着色させる化合物をいい、一般に溶剤等に可溶である。(D2)染料としては、例えば、アントラキノン系染料、アゾ系染料、アジン系染料、フタロシアニン系染料、メチン系染料、オキサジン系染料、キノリン系染料、インジゴ系染料、インジゴイド系染料、カルボニウム系染料、スレン系染料、ペリノン系染料、ペリレン系染料、トリアリールメタン系染料、又はキサンテン系染料が挙げられる。
(D)着色剤における黒色とは、Colour Index Generic Name(以下、「C.I.ナンバー」)に“BLACK”が含まれるものをいう。C.I.ナンバーが付与されていないものを含有するときは、硬化膜とした場合に黒色であるものをいう。硬化膜とした場合における黒色とは、(D)着色剤を含有する組成物の硬化膜の透過スペクトルにおいて、波長550nmにおける膜厚1.0μmあたりの透過率をランベルト・ベールの式に基づいて、波長550nmにおける透過率が10%となるように膜厚を0.1~1.5μmの範囲内で換算した場合に、換算後の透過スペクトルにおける波長450~650nmにおける透過率が25%以下であることをいう。硬化膜の透過スペクトルは、国際公開第2019/087985号に記載の方法に基づき、求めることができる。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(D)着色剤の含有比率は、遮光性向上の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、(D)着色剤の含有比率は、露光時の感度向上の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。本発明の感光性組成物において、(Da)黒色剤の好ましい含有比率は、上述した(D)着色剤の好ましい含有比率の通りである。
<(D)着色剤;(D1a)化合物、及び(D1b)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(Da)黒色剤が、(D1a)黒色顔料を含有することが好ましい。(D1a)黒色顔料とは、可視光線の波長の光を吸収することで黒色化させる顔料をいう。顔料とは、対象物の表面に物理吸着又は相互作用等をして着色させる化合物をいい、一般に溶剤等に不溶である。(D1a)黒色顔料を含有させることで、組成物の膜の遮光性向上、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。なお、(D1a)黒色顔料が、後述する(D1a-1)黒色有機顔料及び/又は(D1a-2)黒色無機顔料である場合、さらに(D1b)黒色以外の顔料を含有しても構わない。(D1b)黒色以外の顔料を含有させることで、組成物の膜を所望の色座標に調色できる。(D1b)黒色以外の顔料は、後述する青色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、橙色顔料、及び緑色顔料からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましい。本発明の感光性組成物において、(D1a)黒色顔料の好ましい含有比率は、上述した(D)着色剤の好ましい含有比率の通りである。
<(D)着色剤;(D1a-1)化合物、(D1a-2)化合物、及び(D1a-3)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a)黒色顔料が、(D1a-1)黒色有機顔料、(D1a-2)黒色無機顔料、及び(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましい。有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、(D1a-1)黒色有機顔料及び/又は(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物であることがより好ましく、(D1a-1)黒色有機顔料がさらに好ましい。
(D1a-1)黒色有機顔料としては、例えば、ベンゾフラノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アゾ系黒色顔料、アントラキノン系黒色顔料、アニリン系黒色顔料、アゾメチン系黒色顔料、又はカーボンブラックが挙げられる。(D1a-2)黒色無機顔料としては、例えば、グラファイト若しくは銀スズ合金、又は、チタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、若しくは銀などの金属における、微粒子、酸化物、複合酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、窒化物、炭化物、若しくは酸窒化物が挙げられる。(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物とは、二色以上の顔料を組み合わせることで、擬似的に黒色化させる顔料混合物をいう。二色以上の顔料を混合するため、組成物の膜を所望の色座標に調色できる。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D)着色剤を含み、
(D)着色剤が、(Da)黒色剤を含有し、
(Da)黒色剤が、(D1a)黒色顔料を含み、
(D1a)黒色顔料が、(D1a-1)黒色有機顔料及び/又は(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、
(D1a-1)黒色有機顔料が、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(D1a-1b)ペリレン系黒色顔料、及び(D1a-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上を含み、
(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物が、赤、橙、黄、緑、青及び紫色の顔料からなる群より選ばれる二色以上の顔料を含むことが好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a)黒色顔料として、遮光性の高いこれらの顔料を含む場合においても、さらに後述する(GX)化合物を含有することがより好ましい。これは同様に、後述する(GX)化合物の作用により、比較的露光量の小さな光によるパターン加工性が顕著に向上するためと考えられる。
(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物は、赤、橙、黄、緑、青、及び紫色の顔料からなる群より選ばれる二色以上の顔料を含むことが好ましい。(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物は、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、(I-d1)青色顔料、赤色顔料、及び黄色顔料を含む着色顔料混合物、(II-d1)青色顔料、赤色顔料、及び橙色顔料を含む着色顔料混合物、(III-d1)青色顔料、紫色顔料、及び橙色顔料を含む着色顔料混合物、又は(IV-d1)紫色顔料及び黄色顔料を含む着色顔料混合物であることが好ましい。(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物において、青色顔料は、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、又はC.I.ピグメントブルー60が好ましく、赤色顔料は、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、又はC.I.ピグメントレッド190が好ましく、黄色顔料は、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー192、又はC.I.ピグメントイエロー194が好ましく、紫色顔料は、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット29、又はC.I.ピグメントバイオレット37が好ましく、橙色顔料は、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、又はC.I.ピグメントオレンジ72が好ましい(数値はいずれもC.I.ナンバー)。本発明の感光性組成物において、(D1a-1)黒色有機顔料、(D1a-2)黒色無機顔料、及び(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物の含有比率の合計は、上述した(D)着色剤の好ましい含有比率の通りである。
<(D)着色剤;(D1a-1a)化合物、(D1a-1b)化合物、及び(D1a-1c)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a-1)黒色有機顔料が、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(D1a-1b)ペリレン系黒色顔料、及び(D1a-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上(以下、「特定の(D1a)黒色顔料」)を含有することが好ましく、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有することがより好ましい。特定の(D1a)黒色顔料は、一般的な有機顔料と比較して組成物中の顔料の単位含有比率当たりの遮光性に優れるとともに、紫外領域の波長(例えば、400nm以下)の透過率が高いため、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。また、一般的な有機顔料や無機顔料と比較して絶縁性及び低誘電性に優れるため、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a-1)黒色有機顔料として、より遮光性の高いこれらの顔料を含む場合においても、さらに後述する(GX)化合物を含有することがさらに好ましい。これは同様に、後述する(GX)化合物の作用により、比較的露光量の小さな光によるパターン加工性が顕著に向上するためと考えられる。また、(GX)化合物と組み合わせることに好適な(D1a-1)黒色有機顔料は、顔料の高い遮光性及び顔料の紫外領域の波長の高い透過率の観点から、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料が特に好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a-1)黒色有機顔料を含有し、
(D1a-1)黒色有機顔料が、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含むことが好ましい。
(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料は、ベンゾフラン-2(3H)-オン構造又はベンゾフラン-3(2H)-オン構造を有することが好ましく、一般式(161)及び一般式(162)のいずれかで表される化合物、それらの幾何異性体、それらの塩、又はそれらの幾何異性体の塩がより好ましい。
Figure 2022136981000023
一般式(161)及び一般式(162)において、R341~R344は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基を表す。R345~R348は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、R353、COOH、COOR353、COO、CONH、CONHR353、CONR353354、CN、OH、OR353、OCOR353、OCONH、OCONHR353、OCONR353354、NO、NH、NHR353、NR353354、NHCOR353、NR353COR354、N=CH、N=CHR353、N=CR353354、SH、SR353、SOR353、SO353、SO353、SOH、SO 、SONH、SONHR353、又はSONR353354を表す。R353及びR354は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基、又は炭素数2~10のアルキニル基を表す。複数のR345~R348は、互いに直接結合、又は、酸素原子ブリッジ、硫黄原子ブリッジ、NHブリッジ、若しくはNR353ブリッジにより環を形成しても構わない。R349~R352は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。a、b、c、及びdは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、及びアリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(D1a-1b)ペリレン系黒色顔料とは、ペリレン構造を有し、一般式(164)~(166)のいずれかで表される化合物、又はそれらの塩が好ましい。
Figure 2022136981000024
一般式(164)~(166)において、X241及びX242は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。Y241及びY242は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。R361及びR362は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数2~6のアシル基を表す。R363~R369は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、ハロゲン原子、R370、COOH、COOR370、COO、CONH、CONHR370、CONR370371、CN、OH、OR370、OCOR370、OCONH、OCONHR370、OCONR370371、NO、NH、NHR370、NR370371、NHCOR370、NR370COR371、N=CH、N=CHR370、N=CR370371、SH、SR370、SOR370、SO370、SO370、SOH、SO 、SONH、SONHR370、又はSONR370371を表す。R370及びR371は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基、又は炭素数2~10のアルキニル基を表す。複数のR367~R369は、互いに直接結合、又は、酸素原子ブリッジ、硫黄原子ブリッジ、NHブリッジ、若しくはNR370ブリッジにより環を形成しても構わない。a及びbは、それぞれ独立して、0~5の整数を表す。c、d、e、及びfは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。g、h、及びiは、それぞれ独立して、0~8の整数を表す。X241及びX242が直接結合であって、Y241及びY242が直接結合の場合、R361及びR362は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基が好ましく、a及びbは1である。X241及びX242が炭素数1~10のアルキレン基であって、Y241及びY242が直接結合の場合、R361及びR362はヒドロキシ基が好ましく、a及びbは1である。X241及びX242が炭素数1~10のアルキレン基であって、Y241及びY242が炭素数6~15のアリーレン基の場合、R361及びR362は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数2~6のアシル基が好ましく、a及びbは、それぞれ独立して、0~5の整数を表す。上述したアルキレン基、アリーレン基、アルキル基、アルコキシ基、及びアシル基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(D1a-1c)アゾ系黒色顔料とは、分子内にアゾ基を有し、一般式(168)で表される化合物又はその塩が好ましい。
Figure 2022136981000025
一般式(168)において、X251は、炭素数6~15のアリーレン基を表す。Y251は、炭素数6~15のアリーレン基を表す。R381~R383は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、R390、COOH、COOR390、COO、CONH、CONHR390、CONR390391、CN、OH、OR390、OCOR390、OCONH、OCONHR390、OCONR390391、NO、NH、NHR390、NR390391、NHCOR390、NR390COR391、N=CH、N=CHR390、N=CR390391、SH、SR390、SOR390、SO390、SO390、SOH、SO 、SONH、SONHR390、又はSONR390391を表す。R390及びR391は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基、又は炭素数2~10のアルキニル基を表す。複数のR381~R383は、互いに直接結合、又は、酸素原子ブリッジ、硫黄原子ブリッジ、NHブリッジ、若しくはNR390ブリッジにより環を形成しても構わない。R384は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又はニトロ基を表す。R385は、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~10のアシルアミノ基、又はニトロ基を表す。R386~R389は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。aは0~4の整数を表す。bは0~2の整数を表す。cは0~4の整数を表す。d及びeは、それぞれ独立して、0~8の整数を表す。nは1~4の整数を表す。上述したアリーレン基、アルキル基、アルコキシ基、及びアシルアミノ基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料としては、例えば、“IRGAPHOR”(登録商標) BLACK S0100CF(BASF社製)、国際公開第2010/081624号記載の黒色顔料、又は国際公開第2010/081756号記載の黒色顔料が挙げられる。また、(D1a-1b)ペリレン系黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック31又はC.I.ピグメントブラック32が挙げられる(数値はいずれもC.I.ナンバー)。上述した以外に、“PALIOGEN”(登録商標) BLACK S0084、同 K0084、同 L0086、同 K0086、同 K0087、同 K0088、同 EH0788、同 FK4280、又は同 FK4281(以上、いずれもBASF社製)が挙げられる。また、(D1a-1c)アゾ系黒色顔料としては、例えば、“CHROMOFINE”(登録商標) BLACK A1103(大日精化工業社製)、特開平01-170601号公報に記載された黒色顔料、又は特開平02-034664号公報に記載された黒色顔料が挙げられる。本発明の感光性組成物において、特定の(D1a)黒色顔料の含有比率の合計は、上述した(D)着色剤の好ましい含有比率の通りである。
<(DC)被覆層>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D1a-1)黒色有機顔料が、さらに(DC)被覆層を含有することが好ましい。(DC)被覆層とは、例えば、シランカップリング剤による表面処理、ケイ酸塩による表面処理、金属アルコキシドによる表面処理、又は樹脂による被覆処理などの処理で形成される顔料表面を被覆する層をいう。(DC)被覆層を含有させることで、(D1a-1)黒色有機顔料の耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、分散安定性、又は耐熱性を向上でき、現像後の残渣抑制、ハーフトーン特性向上、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。特に、上述した(D1a-1)黒色有機顔料が、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有する場合、(DC)被覆層を含有させることで、顔料に起因する現像後の残渣抑制、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。(D1a-1)黒色有機顔料に対する、(DC)被覆層による平均被覆率は、現像後の残渣抑制の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、50~100%が好ましく、70~100%がより好ましく、90~100%がさらに好ましい。(D1a-1)黒色有機顔料に対する、(DC)被覆層による平均被覆率は、国際公開第2019/087985号に記載の方法に基づき、求めることができる。
<(DC)被覆層;(DC-1)被覆層、(DC-2)被覆層、及び(DC-3)被覆層>
(DC)被覆層は、現像後の残渣抑制の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、(DC-1)シリカ被覆層(以下、「(DC-1)被覆層」)、(DC-2)金属酸化物被覆層(以下、「(DC-2)被覆層」)、及び(DC-3)金属水酸化物被覆層(以下、「(DC-3)被覆層」)からなる群より選ばれる一種類を含有することが好ましく、(DC-1)被覆層がより好ましい。(DC-1)被覆層におけるシリカとしては、例えば、二酸化ケイ素又はその含水物が挙げられる。(DC-2)被覆層における金属酸化物には、金属酸化物そのものだけでなく、例えば、金属酸化物の水和物なども含まれる。金属酸化物としては、例えば、アルミナ(Al)又はアルミナ水和物(Al・nHO)が挙げられる。(DC-3)被覆層における金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH))が挙げられる。
本発明の感光性組成物において、(DC-1)被覆層の含有量は、(D1a-1)黒色有機顔料を100質量部とした場合において、現像後の残渣抑制の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。一方、(DC-1)被覆層の含有量は、現像後の残渣抑制の観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。また、本発明の感光性組成物において、(DC-2)被覆層及び(DC-3)被覆層の含有量の合計は、(D1a-1)黒色有機顔料を100質量部とした場合において、現像後の残渣抑制の観点、及び有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。一方、(DC-2)被覆層及び(DC-3)被覆層の含有量の合計は、現像後の残渣抑制の観点から、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
<(E)分散剤>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(E)分散剤を含有することが好ましい。(E)分散剤とは、上述した(D1)顔料などの表面と相互作用する表面親和性基と、分散安定性を向上させる分散安定化構造とを有する化合物をいう。分散安定化構造としては、例えば、静電反発によって分散安定化させるイオン性置換基や極性置換基、又は立体障害によって分散安定化させるポリマー鎖などが挙げられる。(D1)顔料の数平均粒子径が500nm以下である場合、表面積の増大によって分散安定性が低下し、粒子の凝集が発生しやすくなる。(E)分散剤を含有させることで、現像後の残渣抑制、及び現像後の解像度向上の効果が顕著となる。
(E)分散剤は、現像後の残渣抑制の観点から、塩基性基のみを有する分散剤、塩基性基及び酸性基を有する分散剤、塩基性基が酸と塩形成した構造を有する分散剤、又は、酸性基が塩基と塩形成した構造を有する分散剤が好ましく、塩基性基のみを有する分散剤、又は、塩基性基及び酸性基を有する分散剤がより好ましい。なお、酸性基のみを有する分散剤、又は、塩基性基及び酸性基のいずれも有しない分散剤を含有しても構わない。(E)分散剤が有する塩基性基は、三級アミノ基、又は、ピロリジン骨格、ピロール骨格、イミダゾール骨格、若しくはピペリジン骨格などの含窒素環骨格が好ましい。(E)分散剤が有する酸性基は、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、又はフェノール性水酸基が好ましい。(E)分散剤が有する塩基性基が酸と塩形成した構造は、四級アンモニウム塩構造又は上述した含窒素環骨格が塩形成した構造が好ましい。ポリマー鎖を有する(E)分散剤は、アクリル樹脂系分散剤、ポリオキシアルキレンエーテル系分散剤、ポリエステル系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリオール系分散剤、ポリアルキレンアミン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、又はポリアリルアミン系分散剤が好ましい。
<(E)分散剤;(E1)化合物>
(E)分散剤は、(E1)塩基性基を有する顔料分散剤(以下、「(E1)化合物」)を含有することが好ましく、(E1)化合物が、一般式(26)~(29)のいずれかで表される構造からなる群より選ばれる一種類以上の構造、及びポリオキシアルキレン構造を有することがより好ましい。(E1)化合物は、顔料分散液の保管時の粘度上昇抑制、硬化膜の平坦性向上、及び現像後の残渣抑制の観点から、一般式(26)で表される構造、及びポリオキシアルキレン構造を有することがさらに好ましい。また、(E1)塩基性基を有する顔料分散剤は、顔料の分散性向上、及び顔料分散液の冷凍保管時における顔料凝集物抑制の観点から、一般式(29)で表される構造、及びポリオキシアルキレン構造を有することもさらに好ましい。
Figure 2022136981000026
一般式(26)~(28)において、R56~R59は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基を表す。nは1~9の整数を表す。*~*は、それぞれ独立して、ポリオキシアルキレン構造との結合点を表す。一般式(29)において、X56及びX57は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。Y56~Y59は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキレン基を表す。a及びbは、それぞれ独立して、1~100の整数を表す。c及びdは、それぞれ独立して、0~100の整数を表す。*は、炭素原子又は窒素原子との結合点を表す。a及びbは、それぞれ独立して、5~60の整数が好ましく、10~40の整数がより好ましい。c及びdは、それぞれ独立して、0~20の整数が好ましく、0~10の整数がより好ましい。
(E)分散剤及び(E1)化合物のアミン価は、現像後の残渣抑制の観点から、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、アミン価は、現像後の残渣抑制の観点から、100mgKOH/g以下が好ましく、70mgKOH/g以下がより好ましい。ここでいうアミン価とは、(E)分散剤1g又は(E1)化合物1g当たりと反応する酸と当量の水酸化カリウムの質量をいい、単位はmgKOH/gである。(E)分散剤及び(E1)化合物の酸価は、現像後の残渣抑制の観点から、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。一方、酸価は、現像後の残渣抑制の観点から、100mgKOH/g以下が好ましく、70mgKOH/g以下がより好ましい。ここでいう酸価とは、(E)分散剤1g又は(E1)化合物1g当たりと反応する水酸化カリウムの質量をいい、単位はmgKOH/gである。
本発明の感光性組成物が(D1)顔料を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(E)分散剤及び(E1)化合物の含有量の合計は、(D1)顔料を100質量部とした場合において、現像後の残渣抑制の観点から、5質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。一方、(E)分散剤及び(E1)化合物の含有量の合計は、現像後の残渣抑制の観点から、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
<(F)化合物;(F0)化合物、及び(FB)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、以下の(F0)化合物及び/又は(FB)化合物を含有することが好ましい。
(F0)化合物:リン原子を含む酸性基、及び/又は、リン原子を含む酸性基の塩を有する化合物(以下、「(F0)化合物」)。
(FB)化合物:リン原子を含むベタイン構造を有する化合物(以下、「(FB)化合物」)。
なお、(F0)化合物、(FB)化合物、後述する(FC1)化合物、及び後述する(FT)化合物をまとめて、以下、「(F)化合物」という場合もある。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(F0)化合物が、以下の(I-f0)構造を有することが好ましい。
(I-f0)構造:炭素数4~30の1~2価の脂肪族基、炭素数10~30のアルキルアリール基、及び炭素数6~15のアリール基が結合したオキシアルキレン基からなる群より選ばれる一種類以上の基。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(FB)化合物が、以下の(I-fb)構造を有することが好ましい。
(I-fb)構造:アンモニウムカチオン構造を有する炭素数1~6の1~2価の脂肪族基。
(F0)化合物及び/又は(FB)化合物を含有させることで、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。(F0)化合物及び/又は(FB)化合物は、二種類以上の化合物を含有することも好ましく、二種類以上の(F0)化合物及び二種類以上の(FB)化合物を含有することも好ましい。(F0)化合物及び(FB)化合物を含有することが特に好ましい。
<(F)化合物;(F1)化合物、及び(FB1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(F0)化合物及び/又は(FB)化合物を含有し、
(F0)化合物が、以下の(F1)化合物を含み、
(FB)化合物が、以下の(FB1)化合物を含むことが好ましい。
(F1)化合物:リン酸化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる一種類以上(以下、「(F1)化合物」)。
(FB1)化合物:リン酸ベタイン化合物、ホスホン酸ベタイン化合物、及びホスフィン酸ベタイン化合物からなる群より選ばれる一種類以上(以下、「(FB1)化合物」)。
なお、(F1)化合物、(FB1)化合物、後述する(FC1)化合物、及び後述する(FT)化合物をまとめて、以下、「(F)化合物」という場合もある。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(F1)化合物が、以下の(I-f1)構造及び/又は(II-f1)構造を有することが好ましい。
(I-f1)構造:炭素数4~30の1価の脂肪族基、炭素数6~30の2価の脂肪族基、及び炭素数10~30のアルキルアリール基からなる群より選ばれる一種類以上の基。
(II-f1)構造:炭素数4~30の1価の脂肪族基が結合したオキシアルキレン基、炭素数10~30のアルキルアリール基が結合したオキシアルキレン基、及び炭素数6~15のアリール基が結合した炭素数4~15のオキシアルキレン基からなる群より選ばれる一種類以上の基。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(FB1)化合物が、以下の(I-fb1)構造を有することが好ましい。
(I-fb1)構造:アンモニウムカチオン構造を有する炭素数1~6の1~2価の脂肪族基。
(F1)化合物及び/又は(FB1)化合物を含有させることで、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。(F1)化合物及び/又は(FB1)化合物は、二種類以上の化合物を含有することも好ましく、二種類以上の(F1)化合物及び二種類以上の(FB1)化合物を含有することも好ましい。(F1)化合物及び(FB1)化合物を含有することが特に好ましい。
(F1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する置換基を有し、
該置換基が(I-f1)構造、及び/又は、(II-f1)構造であることが好ましい。
(I-f1)構造は、以下の(I-f1x)構造が好ましい。
(I-f1x)構造:炭素数6~12の1価の脂肪族基、炭素数6~12の2価の脂肪族基、及び炭素数14~26のアルキルアリール基からなる群より選ばれる一種類以上の基。
1価の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましい。2価の脂肪族基は、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基が好ましい。また、(I-f1)構造は、直鎖構造及び/又は分岐構造であることも好ましい。
(II-f1)構造は、以下の(II-f1x)構造が好ましい。
(II-f1x)構造:炭素数6~12の1価の脂肪族基が結合したオキシアルキレン基、炭素数14~26のアルキルアリール基が結合したオキシアルキレン基、及び炭素数6~10のアリール基が結合した炭素数6~12のオキシアルキレン基からなる群より選ばれる一種類以上の基。
1価の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましい。また、(II-f1)構造は、直鎖構造及び/又は分岐構造であることも好ましい。
(F0)化合物におけるリン原子を含む酸性基の塩を有する化合物とは、リン原子を含む酸性基の塩、又は、リン原子を含む酸性基の塩構造を部分構造として有する化合物をいう。(F0)化合物におけるリン原子を含む酸性基の塩は、リン原子を含む酸性基と、カチオン構造を有する化合物との塩が挙げられる。例えば、上記の(I-f0)構造を有するリン原子を含む酸性基のアンモニウム塩又はテトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。(F0)化合物におけるリン原子を含む酸性基の塩構造を部分構造として有する化合物は、リン原子を含む酸性基と、カチオン構造を有する化合物との塩構造を部分構造として有する化合物が挙げられる。例えば、上記の(I-f0)構造を有するリン原子を含む酸性基のアンモニウム塩構造又はテトラアルキルアンモニウム塩構造などを部分構造として有する化合物が挙げられる。別の例として、上記の(I-f0)構造を有するリン原子を含む酸性基のアンモニウム塩構造又はテトラアルキルアンモニウム塩構造などを主鎖、側鎖、又は末端に有する樹脂が挙げられる。同様に、(F1)化合物におけるリン酸化合物の塩、ホスホン酸化合物の塩、又はホスフィン酸化合物の塩は、リン酸化合物、ホスホン酸化合物、及びホスフィン酸化合物と、カチオン構造を有する化合物との塩が挙げられる。
カチオン構造を有する化合物は、金属原子のカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、及びスルホニウムカチオンからなる群より選ばれる一種類以上を有する化合物が挙げられ、アンモニウムカチオンを有する化合物が好ましい。アンモニウムカチオンは、一級アンモニウムカチオン、二級アンモニウムカチオン、三級アンモニウムカチオン、又は四級アンモニウムカチオンが好ましく、四級アンモニウムカチオンがより好ましい。アンモニウムカチオンは、少なくとも1つの炭素数1~30の脂肪族基を有することが好ましく、炭素数1~15の脂肪族基を有することがより好ましく、炭素数1~10の脂肪族基を有することがさらに好ましく、炭素数1~6の脂肪族基を有することが特に好ましい。脂肪族基としては、1~2価の直鎖構造及び/又は分岐構造の脂肪族基が好ましく、直鎖構造のアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基からなる群より選ばれる基が好ましく、直鎖構造のアルキル基がさらに好ましい。
(F1)化合物は、一般式(11)~(13)のいずれかで表される化合物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。一般式(11)~(13)のいずれかで表される化合物、及びそれらの塩からなる群より選ばれる二種類以上の化合物を含有することも好ましい。(F1)化合物は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、少なくとも一般式(12)で表される化合物及び/又はその塩を含むことが特に好ましい。
Figure 2022136981000027
一般式(11)~(13)において、Z11~Z13は、それぞれ独立して、直接結合、炭素数6~30の2価の脂肪族基、又は一般式(14)で表される基を表す。Z14~Z16は、それぞれ独立して、直接結合、炭素数6~30の2価の脂肪族基、又は一般式(15)で表される基を表す。一般式(11)におけるZ11が直接結合の場合、対応するR31は、炭素数4~30の1価の脂肪族基、又は炭素数10~30のアルキルアリール基を表す。一般式(12)及び一般式(13)における、Z12及び対応するR32、並びに、Z13及び対応するR33においても一般式(11)におけるZ11及び対応するR31の関係と同様である。一般式(11)におけるZ14が直接結合の場合、対応するR34は、水素原子、炭素数4~30の1価の脂肪族基、炭素数10~30のアルキルアリール基、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、炭素数2~5のアルキニル基、又は熱反応性基を表す。一般式(12)及び一般式(13)における、Z15及び対応するR35、並びに、Z16及び対応するR36においても一般式(11)におけるZ14及び対応するR34の関係と同様である。一般式(11)におけるZ11とZ14の少なくともいずれかが、炭素数6~30の2価の脂肪族基の場合、対応するR31及び/又はR34は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1~15の1価の有機基を表す。一般式(12)及び一般式(13)における、Z12とZ15及び対応するR32とR35、並びに、Z13とZ16及び対応するR33とR36においても一般式(11)におけるZ11とZ14及び対応するR31とR34の関係と同様である。一般式(11)におけるZ11が、一般式(14)で表される基の場合、対応するR31は、炭素数4~30の1価の脂肪族基、炭素数10~30のアルキルアリール基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。一般式(12)及び一般式(13)における、Z12及び対応するR32、並びに、Z13及び対応するR33においても一般式(11)におけるZ11及び対応するR31の関係と同様である。一般式(11)におけるZ14が、一般式(15)で表される基の場合、対応するR34は、水素原子、炭素数4~30の1価の脂肪族基、炭素数10~30のアルキルアリール基、炭素数6~15のアリール基、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、炭素数2~5のアルキニル基、又は熱反応性基を表す。一般式(12)及び一般式(13)における、Z15及び対応するR35、並びに、Z16及び対応するR36においても一般式(11)におけるZ14及び対応するR34の関係と同様である。光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。熱反応性基は、アルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、オキセタニル基、又はブロックイソシアネート基が好ましい。
一般式(14)及び一般式(15)において、Y11及びY12は、それぞれ独立して、炭素数1~15のアルキレン基を表す。R37及びR38は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基を表す。m及びnは、それぞれ独立して、1~15の整数を表す。p及びqは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。*は、一般式(11)中の酸素原子との結合点、一般式(12)中のリン原子との結合点、又は一般式(13)中のリン原子との結合点を表す。*は、一般式(11)中のR31との結合点、一般式(12)中のR32との結合点、又は一般式(13)中のR33との結合点を表す。*は、一般式(11)中の酸素原子との結合点、一般式(12)中の酸素原子との結合点、又は一般式(13)中のリン原子との結合点を表す。*は、一般式(11)中のR34との結合点、一般式(12)中のR35との結合点、又は一般式(13)中のR36との結合点を表す。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、後述するアセテート結合を有する溶剤としてプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートを含有し、かつ
(F1)化合物は、上述した一般式(11)~(13)中、Z11~Z13が直接結合又は一般式(14)で表される基の場合、R31~R33における炭素数4~30の1価の脂肪族基が、それぞれ独立して炭素数6~12の1価の脂肪族基であり、
上述した一般式(11)~(13)中、Z14~Z16が直接結合の場合、R34~R36は水素原子であることが好ましい。
このような(F1)化合物を、以下、「特定の(F1)化合物」という。なお(F1)化合物が、上述した(I-f1)構造として、炭素数6~12の1価の脂肪族基、及び/又は、
上述した(II-f1)構造として、炭素数6~12の1価の脂肪族基が結合したオキシアルキレン基を有する場合、同様にこのような化合物を、以下、「特定の(F1)化合物」という。
(F1)化合物が、特定の(F1)化合物を含有することで、特異的に(F1)化合物のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートへの溶解性を顕著に向上できる。それにより、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
(F1)化合物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後のパターン剥がれ抑制の観点から、さらに以下の(III-f1)構造を有することも好ましい。
(III-f1)構造:光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
(F1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する二種類以上の置換基を有し、
該置換基が、(I-f1)構造及び/又は(II-f1)構造、並びに、
(III-f1)構造であることが好ましい。
(III-f1)構造において、光反応性基は、ラジカル重合性基が好ましく、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基が好ましく、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基がより好ましく、ビニル基又はアリル基がさらに好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、上述した(F1)化合物及び/又は(FB1)化合物を含み、かつ
(F1)化合物とは別の、上述した光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を有する、リン酸化合物、ホスホン酸化合物、及びホスフィン酸化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することも好ましい。
(FB1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する置換基を有し、
該置換基が(I-fb1)構造であることが好ましい。
(I-fb1)構造において、炭素数1~6の1~2価の脂肪族基は、炭素数1~4の2価の脂肪族基が好ましい。1価の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましい。2価の脂肪族基は、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基が好ましい。また、炭素数1~6の1~2価の脂肪族基は、直鎖構造及び/又は分岐構造であることも好ましい。炭素数1~6の1~2価の脂肪族基は、置換基として、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、カルボキシ基、又はヒドロキシ基を有しても構わない。
(I-fb1)構造において、アンモニウムカチオン構造は、アンモニウムカチオン、モノアルキルアンモニウムカチオン、ジアルキルアンモニウムカチオン、又はトリアルキル四級アンモニウムカチオンが好ましく、トリアルキル四級アンモニウムカチオンがより好ましい。
(I-fb1)構造は、少なくとも1つのヒドロキシ基、及び、少なくとも1つのアンモニウム基又はアミノ基を有する炭素数1~6の窒素含有脂肪族アルコール化合物に由来する構造がより好ましい。そのような化合物は、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、セリン、トレオニン、チオシン、又はコリンが好ましく、エタノールアミン、セリン、又はコリンがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、後述するアセテート結合を有する溶剤としてプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートを少なくとも含み、さらに、
後述するエーテル結合を少なくとも3つ有する溶剤としてジエチレングリコールジアルキルエーテル、及び/又は、
後述するアルコール性水酸基を有する溶剤としてプロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル、ヒドロキシ酢酸アルキル、及び酢酸ヒドロキシアルキルからなる群より選ばれる一種類以上を含有する場合(以下、「特定の溶剤を含有する場合」)において、
(FB1)化合物は、上述した(I-fb1)構造において、トリアルキル四級アンモニウムカチオン構造を有することが好ましい。
トリアルキル四級アンモニウムカチオン構造は、炭素数1~6のアルキル基を3つ有することが好ましく、炭素数1~4のアルキル基を3つ有することがより好ましい。このような(FB1)化合物を、以下、「特定の(FB1)化合物」という。
特定の溶剤を含有する場合において、(FB1)化合物が、特定の(FB1)化合物を含有することで、特異的に(FB1)化合物の溶剤への溶解性を顕著に向上できる。それにより、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
また、ジエチレングリコールジアルキルエーテルは、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルがより好ましい。
また、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル、ヒドロキシ酢酸アルキル、又は酢酸ヒドロキシアルキルは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、酢酸2-ヒドロキシメチル、及び酢酸2-ヒドロキシエチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、又は酢酸2-ヒドロキシエチルがより好ましい。
(FB1)化合物は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、さらに以下の(II-fb1)構造を有することが好ましい。
(II-fb1)構造:炭素数6~30の脂肪酸化合物に由来する脂肪酸エステル構造、及び/又は、炭素数6~30の脂肪族アルコールに由来する脂肪族エーテル構造。
(FB1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する二種類以上の置換基を有し、
該置換基が(I-fb1)構造、及び、(II-fb1)構造であることが好ましい。
(II-fb1)構造は、炭素数6~30の1~2価の脂肪族基を有することが好ましく、炭素数10~20の1~2価の脂肪族基を有することがより好ましい。1価の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましい。2価の脂肪族基は、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基が好ましい。また、炭素数6~30の1~2価の脂肪族基は、直鎖構造及び/又は分岐構造であることも好ましい。なお、上述した特定の溶剤を含有する場合において、(FB1)化合物が、上述した(II-fb1)構造を有することで、さらに特異的に(FB1)化合物の溶剤への溶解性を顕著に向上できる。
(FB1)化合物は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、(I-fb1)構造を有し、さらに以下の(IV-fb1)構造又は(V-fb1)構造を有する化合物(以下、「ベタイン型のリン脂質の(FB1)化合物」)を含有することが好ましい。
(IV-fb1)構造:少なくとも3つのヒドロキシ基を有する、炭素数2~6の脂肪族多官能アルコール化合物に由来するエステル構造。
(V-fb1)構造:少なくとも2つのヒドロキシ基、並びに、少なくとも1つのアミノ基又は少なくとも1つのアルキルアミド基を有する、炭素数15~20の窒素含有脂肪族アルコール化合物に由来するエステル構造。
なお、上述した特定の溶剤を含有する場合において、(FB1)化合物が、ベタイン型リン脂質の(FB1)化合物を含有することで、さらに特異的に(FB1)化合物の溶剤への溶解性を顕著に向上できる。
(FB1)化合物は、ベタイン型リン脂質の(FB1)化合物として、グリセロリン脂質及び/又はスフィンゴリン脂質を含むことが特に好ましい。ベタイン型リン脂質の(FB1)化合物は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、水添ホスファチジルコリン、水添ホスファチジルエタノールアミン、水添ホスファチジルセリン、水添スフィンゴミエリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾスフィンゴミエリン、レシチン、水添レシチン、リゾレシチン、セファリン、水添セファリン、リゾセファリン、プラズマローゲン、血小板活性化因子、及び(トリメチルアンモニオ)エチルホスホン酸セラミドからなる群より選ばれる一種類以上を含有することが特に好ましい。
(FB1)化合物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後のパターン剥がれ抑制の観点から、さらに以下の(III-fb1)構造を有することも好ましい。
(III-fb1)構造:光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
(FB1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する二種類以上の置換基を有し、
該置換基が(I-fb1)構造、及び、(III-fb1)構造であることが好ましい。
また、(FB1)化合物が二種類以上の(FB1)化合物を含有し、上述した(II-fb1)構造、上述した(IV-fb1)構造、及び上述した(V-fb1)構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する化合物を含み、
さらに(III-fb1)構造を有する化合物を含むことも好ましい。
(III-fb1)構造において、光反応性基は、ラジカル重合性基が好ましく、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基が好ましく、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基がより好ましく、ビニル基又はアリル基がさらに好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(F1)化合物及び(FB1)化合物の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上がさらに好ましく、0.25質量%以上が特に好ましい。一方、(F1)化合物及び(FB1)化合物の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制の観点、並びに、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の観点から、1.8質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1.3質量%以下がさらに好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(F1)化合物及び(FB1)化合物の含有量の合計は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、0.05質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましく、0.30質量部以上がさらに好ましく、0.50質量部以上が特に好ましい。一方、(F1)化合物及び(FB1)化合物の含有量の合計は、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以下が特に好ましい。
<(F)化合物;(FC1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(FC1)非ベタイン型リン脂質(以下、「(FC1)化合物」)を含有することが好ましい。(FC1)化合物を含有させることで、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。(FC1)化合物は、二種類以上の化合物を含有することも好ましく、(F1)化合物及び/又は(FB1)化合物を含み、さらに(FC1)化合物を含有することが特に好ましい。
(FC1)化合物は、少なくとも以下の(I-fc1)構造並びに(II-fc1)構造を有する。
(I-fc1)構造:リン原子を含む酸性基、リン原子を含むアニオン構造、及びリン原子を含む酸性基の塩からなる群より選ばれる一種類以上。
(II-fc1)構造:炭素数6~30の脂肪酸化合物に由来する脂肪酸エステル構造、及び/又は、炭素数6~30の脂肪族アルコールに由来する脂肪族エーテル構造。
(I-fc1)構造が、リン原子を含む酸性基及び/又はリン原子を含むアニオン構造である場合、(FC1)化合物は、アンモニウムカチオン構造を有しないことが好ましい。上述したリン原子を含むアニオン構造は、リン原子を含む酸性基に由来するアニオン構造が好ましい。(FC1)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する二種類以上の置換基を有し、
該置換基が(I-fc1)構造、及び、(II-fc1)構造であることが好ましい。
(I-fc1)構造は、リン酸基、ホスホン酸基、若しくはホスフィン酸基、及び/又は、
リン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、若しくはホスフィン酸アニオンが好ましい。
(II-fc1)構造は、炭素数6~30の1~2価の脂肪族基を有することが好ましく、炭素数10~20の1~2価の脂肪族基を有することがより好ましい。1価の脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましい。2価の脂肪族基は、アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基が好ましい。また、炭素数6~30の1~2価の脂肪族基は、直鎖構造及び/又は分岐構造であることも好ましい。
(FC1)化合物は、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、スフィンゴシン-1-リン酸、及びホスファチジル-シチジン一リン酸からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが特に好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物において、(F1)化合物、(FB1)化合物、及び(FC1)化合物の含有比率の合計は、上述した(F1)化合物及び(FB1)化合物の好ましい含有比率の通りである。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、(F1)化合物、(FB1)化合物、及び(FC1)化合物の含有量の合計は、上述した(F1)化合物及び(FB1)化合物の好ましい含有量の通りである。
<(F)化合物;(FT)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(FT)反応性基を有する、リン原子を含む酸性基のエステル化合物(以下、「(FT)化合物」)を含有することが好ましい。(FT)化合物を含有させることで、ハーフトーン特性向上、及び現像後のパターン剥がれ抑制の効果が顕著となる。(FT)化合物は、二種類以上の化合物を含有することも好ましく、(F1)化合物及び/又は(FB1)化合物を含み、さらに(FT)化合物を含有することが特に好ましい。
(FT)化合物は、ラジカル重合性基を有することが好ましく、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。(FT)化合物が有する、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上の数を(X)とし、
(FT)化合物が有する、1~2価の脂肪族基、1~2価の脂環式基、1~2価の芳香族基、及び置換基が結合したオキシアルキレン基からなる群より選ばれる一種類以上の数を(Y)とするとき、(X)及び(Y)が、一般式(FT-α)~(FT-γ)を満たすことが好ましい。
X+Y=3 (FT-α)。
1≦X≦3 (FT-β)。
0≦Y≦2 (FT-γ)。
一般式(FT-α)~(FT-γ)において、Xは、1~3の整数が好ましく、2又は3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。Yは、0~2の整数が好ましく、0又は1であることがより好ましい。
(FT)化合物は、リン原子に結合する置換基及び/又はP-O結合上の酸素原子に結合する置換基を有し、
該置換基が、ラジカル重合性基を有することが好ましく、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。
また、該置換基が、1~2価の脂肪族基、1~2価の脂環式基、1~2価の芳香族基、及び置換基が結合したオキシアルキレン基からなる群より選ばれる一種類以上を有することも好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに以下の(FT1)化合物、(F1)化合物として上述した(III-fb1)構造を有する化合物、及び(FB1)化合物として上述した(III-fb1)構造を有する化合物、からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(FT1)化合物:光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を少なくとも3つ有する、リン原子を含む酸性基のエステル化合物。
(FT)化合物おいて、光反応性基は、ラジカル重合性基が好ましく、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基が好ましく、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基がより好ましく、ビニル基又はアリル基がさらに好ましい。
(FT)化合物は、上述した光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上を有する、リン酸トリエステル化合物、亜リン酸トリエステル化合物、ホスホン酸ジエステル化合物、次亜リン酸ジエステル化合物、及びホスフィン酸モノエステル化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
本発明の感光性組成物において、(F1)化合物、(FB1)化合物、及び(FT)化合物の含有比率の合計は、上述した(F1)化合物及び(FB1)化合物の好ましい含有比率の通りである。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、(F1)化合物、(FB1)化合物、及び(FT)化合物の含有量の合計は、上述した(F1)化合物及び(FB1)化合物の好ましい含有量の通りである。
<(G)連鎖移動剤;(GX)化合物、及び(GY)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有し、
(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤(以下、「(GX)化合物」)及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤(以下、「(GY)化合物」)を含む。
(G)連鎖移動剤とは、パターン露光時のラジカル重合によって発生するポリマー生長末端からラジカルを受け取り、他のポリマー鎖へのラジカル移動を介することで、ラジカルの連鎖移動が可能な化合物をいう。(GX)化合物とは、パターン露光時のラジカル重合によって発生するポリマー生長末端のラジカルとの反応によって、ポリマー末端にエチレン性不飽和二重結合基を導入するとともに、(GX)化合物に由来する新たな活性ラジカルを発生することで、ラジカルの連鎖移動が可能な化合物をいう。このような化合物は、感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合に好適である。なお(GX)化合物は、上述した(C1)化合物とは異なる化合物をいう。(GY)化合物とは、メルカプト基又はスルフィド基などの硫黄原子を含む基を有さず、分子中に硫黄原子を有しない連鎖移動剤をいう。
また(G)連鎖移動剤とは、上述した(C1)化合物や(G)連鎖移動剤の露光による光結合開裂などによって発生したラジカルと反応し、(G)化合物に由来する新たな活性ラジカルを発生することで、ラジカルの連鎖移動が可能な化合物をいう。また(GX)化合物とは、上述した(C1)化合物や(GX)化合物の露光による光結合開裂などによって発生したラジカルとの反応によって、(GX)化合物に由来する新たな活性ラジカルを発生することで、ラジカルの連鎖移動が可能な化合物をいう。(GX)化合物によるラジカルの連鎖移動の結果、パターン露光時にケテン及び/又はカルボン酸へと構造変化する化合物は、感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合に好適である。(GY)化合物とは、メルカプト基又はスルフィド基などの硫黄原子を含む基を有さず、分子中に硫黄原子を有しない連鎖移動剤をいう。
(GX)化合物及び/又は(GY)化合物を含有させることで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合、パターン露光時、上述した(A2)樹脂及び/又は上述した(B)化合物のラジカル重合によって発生するポリマー生長末端のラジカルと、(GX)化合物とが反応する。その際、ポリマー末端にラジカル重合性基であるエチレン性不飽和二重結合基が導入されるとともに、(GX)化合物に由来する新たな活性ラジカルが発生することで連鎖移動が起こるため、ネガ型のパターン形成機構にリビングラジカル重合機構を導入できる。そのため、活性ラジカルが高い運動性を維持したまま(A2)樹脂及び/又は(B)化合物のラジカル重合が進行する上、ポリマー生長末端にもラジカルとの反応点が存在することで、露光部の膜深部における光硬化を促進できる。加えて、連鎖移動作用によって光硬化によるアルカリ溶解性低下のバラツキを抑制できるため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合、以下に記載する(GX)化合物が好ましい。また、本発明の第一の態様の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合、(C)感光剤が、上述した(C1)化合物を含有することが好ましく、上述した(C1)化合物及び(C3)化合物を含有することがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤が、(GX)化合物を含み、
(GX)化合物が、以下の(I-gx)構造を有することが好ましい。
(I-gx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基、トリチオカーボネート結合、ジチオエステル結合、ジチオカルバメート結合、ジチオカーボネート結合、ピラゾールジチオエステル結合、チウラムジスルフィド結合、ジチオカルボニルジスルフィド結合、及びチオカルボニルジスルフィド結合からなる群より選ばれる一種類以上。
上述したカルボニル基は、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合として結合するカルボニル基であることが好ましい。(GX)化合物が、(I-gx)構造を有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤が、(GX)化合物を含み、
(GX)化合物が、以下の(I-gxx)構造を有することが好ましい。
(I-gxx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、及び/又は、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基。
少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基は、ケトン基が結合したプロペニレン基、エステル結合が結合したプロペニレン基、又はアミド結合が結合したプロペニレン基が好ましく、エステル結合が結合したプロペニレン基がより好ましい。ケトン基、エステル結合、及びアミド基は、アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、アルキル基を有することがより好ましい。(GX)化合物が、(I-gxx)構造を有することで、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(GX)化合物が、(I-gx)構造と結合する構造として、さらに以下の(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有することが好ましい。
(II-gx)構造:少なくともアリール基、カルボニル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる一種類以上が結合した二級又は三級炭素原子。
(III-gx)構造:アリール基、カルボニル基、ハロゲン原子、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、アルキルチオ基、及びアルキルペルオキシ基からなる群より選ばれる一種類以上。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(GX)化合物が、(I-gxx)構造を有する場合、
(GX)化合物が、(I-gxx)構造と結合する構造として、さらに以下の(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有することが好ましい。
(II-gx)構造:少なくともアリール基、カルボニル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる一種類以上が結合した二級又は三級炭素原子。
(III-gx)構造:アリール基、カルボニル基、ハロゲン原子、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、アルキルチオ基、及びアルキルペルオキシ基からなる群より選ばれる一種類以上。
上述したカルボニル基は、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合として結合するカルボニル基であることが好ましい。(GX)化合物が、(I-gx)構造又は(I-gxx)構造と結合する構造として、(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。なお(II-gx)構造における二級又は三級炭素原子とは、(GX)化合物の化学構造式から(I-gx)構造又は(I-gxx)構造を除いた、二級アルキル基又は三級アルキル基などの置換基における二級又は三級炭素原子をいう。すなわち、(GX)化合物の化学構造式において四級炭素原子となる場合の構造は、(II-gx)構造における三級炭素原子となる。従って、(II-gx)構造における四級炭素原子は存在しない。
(GX)化合物は、一般式(54)又は一般式(55)で表される化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
Figure 2022136981000028
一般式(54)及び一般式(55)において、Z41~Z44は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は環を形成する基を表す。Y45は、直接結合、酸素原子、硫黄原子、又はペルオキシ基を表す。Y46は、炭素原子、又は窒素原子を表す。R41~R44は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、シアノ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルペルオキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、又は環を形成する基を表す。R45は、ハロゲン原子、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、シアノ基、炭素数7~15のアリールカルボニル基、又は炭素数3~10のアルコキシカルボニルアルキル基を表す。R46は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、シアノ基、炭素数7~15のアリールカルボニル基、炭素数1~10のアルキルチオ基、又は炭素数1~10のアルキルペルオキシ基を表す。R47~R55は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基を表す。Z41又はR41が環を形成する基の場合、Z41単独若しくはR41単独で環を形成する基、又はZ41及びR41で環を形成する基を表す。Z42又はR42が環を形成する基の場合、Z42単独若しくはR42単独で環を形成する基、又はZ42及びR42で環を形成する基を表す。Z43又はR43が環を形成する基の場合、Z43単独若しくはR43単独で環を形成する基、又はZ43及びR43で環を形成する基を表す。Z44又はR44が環を形成する基の場合、Z44単独若しくはR44単独で環を形成する基、又はZ44及びR44で環を形成する基を表す。環を形成する基によって形成される環は、単環式又は縮合多環式の炭化水素環を表す。a及びbは、それぞれ独立して、0~2の整数を表し、a+bは1又は2である。cは0~2の整数を表す。Y46が炭素原子の場合、a+b+c=3である。Y46が窒素原子の場合、a+b+c=2である。d及びeは、それぞれ独立して、0又は1を表し、d+e=1である。R43又はR46は、ハロゲン原子、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、シアノ基、炭素数7~15のアリールカルボニル基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルペルオキシ基を表す。aが1の場合、R44は、ハロゲン原子、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、シアノ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルキルペルオキシ基を表す。上述したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルペルオキシ基、及び環を形成する基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。単環式の炭化水素環は、ベンゼン環、シクロペンテン環、又はシクロヘキセン環が好ましい。縮合多環式の炭化水素環は、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、インダン環、インデン環、テトラヒドロナフタレン環、フルオレン環、キサンテン環、又はイソインドリノン環が好ましい。
(GX)化合物は、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体、α-位に置換基を有するスチレン誘導体、α-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル、トリチオカーボネート化合物、ジチオエステル化合物、ジチオカルバメート化合物、ジチオカーボネート化合物、ピラゾールジチオエステル化合物、チウラムジスルフィド化合物、ジチオカルボニルジスルフィド化合物、又はチオカルボニルジスルフィド化合物が好ましく、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体、α-位に置換基を有するスチレン誘導体、又はα-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
(GX)化合物において、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体は、少なくとも2つのアリール基、並びに、アリール基が結合した二級又は三級炭素原子を有するスチレン誘導体がさらに好ましい。また、α-位に置換基を有するスチレン誘導体は、α-位にハロゲン原子を含む置換基を有するスチレン誘導体、又はα-位にアリール基を含む置換基を有するスチレン誘導体がさらに好ましい。また、α-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、α-位にハロゲン原子を含む置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル、又はα-位にアリール基を含む置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルがさらに好ましい。
(GX)化合物において、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体は、2,3-ジフェニル-1-プロペン、2,4-ジフェニル-1-ブテン、2,4-ジフェニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-3-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(別名:α-メチルスチレンダイマー)、2,4-ジフェニル-4-シアノ-1-ペンテン2-(4-メチルフェニル)-4-フェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジ(4-メチルフェニル)-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ヘキセン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ヘキセン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ヘプテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-オクテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ノネン、2,4,6-トリフェニル-4,6-ジメチル-1-へプテン、3,5-ジフェニル-5-メチル-2-ヘプテン、3,5,7-トリフェニル-5-エチル-7-メチル-2-ノネン、1,3-ジフェニル-1-ブテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、又は3,5-ジフェニル-5-メチル-3-ヘプテンが好ましい。
α-位に置換基を有するスチレン誘導体は、α-(2-メチル-2-メトキシカルボニル-1-プロピル)スチレン、α-(2-メチル-2-ブロモ-1-プロピル)スチレン、α-[(メトキシカルボニル)メチル]スチレン、α-(ブロモメチル)スチレン、α-(フェノキシメチル)スチレン、α-(ベンジルオキシメチル)スチレン、α-(2-シアノ-2-プロピル)スチレン、α-(アルキルチオメチル)スチレン、α-(t-ブチルチオメチル)スチレン、又はα-(t-ブチルペルオキシメチル)スチレンが好ましい。
α-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、α-(2-メチル-2-フェニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-メチル-2-メトキシカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-シアノ-2-フェニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-メチル-2-ブロモ-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(フェニルメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-[(メトキシカルボニル)メチル](メタ)アクリル酸メチル、α-(ブロモメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(ブロモメチル)(メタ)アクリル酸エチル、α-(フェニルエチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(フェノキシメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(ベンジルオキシメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(ベンジルオキシメチル)(メタ)アクリル酸エチル、α-(2-シアノ-2-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(アルキルチオメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(t-ブチルチオメチル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(t-ブチルペルオキシメチル)(メタ)アクリル酸メチル、又はα-(ブロモメチル)(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
トリチオカーボネート化合物は、S-シアノメチル-S-ドデシルトリチオカルボナート、S-[(2-シアノ)-2-プロピル]-S-ドデシルトリチオカーボネート、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-[(ドデシルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]-2-メチルプロピオン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、S,S-ジベンジルトリチオカーボネート、エチレントリチオカーボネート、S,S-ビス(カルボキシメチル)トリチオカーボネート、4-シアノ-4-[(2-カルボキシエチルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、3-[(1-カルボキシ-1-エチルスルファニル-チオカルボニル)スルファニル]プロピオン酸、又はビス[4-[N-エチル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバモイル]ベンジル]トリチオカーボネートが好ましい
ジチオエステル化合物は、ジチオ安息香酸(2-フェニル)-2-プロピル、ジチオ安息香酸(2-シアノ)-2-プロピル、ジチオ安息香酸ベンジル、2-(フェニルチオカルボニルチオ)酢酸、又は4-シアノ-4-(フェニルチオカルボニルチオ)ペンタン酸が好ましい。
ジチオカルバメート化合物は、N-メチル-N-フェニルジチオカルバミン酸シアノメチル、又はN,N-ジフェニルジチオカルバミン酸シアノメチルが好ましい。
ジチオカーボネート化合物は、キサントゲン酸エステルが好ましい。
ピラゾールジチオエステル化合物は、2-シアノ-2-ブチル-4-クロロ-3,5-ジメチルピラゾール-1-カルボジチオエート、又はシアノメチル-3,5-ジメチルピラゾール-1-カルボジチオエートが好ましい。
チウラムジスルフィド化合物は、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ビス(n-ドデシルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィド、又はビス(ベンジルメルカプト-チオカルボニル)ジスルフィドが好ましい。
ジチオカルボニルジスルフィド化合物は、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィドが好ましい。
チオカルボニルジスルフィド化合物は、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィドが好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤が、(GY)化合物を含み、
(GY)化合物が、α-位に置換基を有するスチレン誘導体、テルペノイド系化合物、ハロゲン化炭化水素、及びモノアリル化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
(GY)化合物において、α-位に置換基を有するスチレン誘導体は、1,1-ジフェニルエチレン、2-フェニル-1-プロペン(別名:α-メチルスチレン)、2-フェニル-1-ブテン、2-フェニル-3,3-ジメチル-1-ブテン、2-フェニル-1-オクテン、又は1-シクロヘキシル-1-フェニルエチレン(別名:α-シクロヘキシルスチレン)が好ましい。
テルペノイド系化合物は、リモネン、ミルセン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、β-ピネン、又はα-ピネンが好ましい。
ハロゲン化炭化水素は、四塩化炭素、四臭化炭素、1,2-ジクロロエタン、又は1,2-ジブロモエタンが好ましい。
モノアリル化合物は、アリルアルコール、安息香酸アリル、又はアリルベンゼンが好ましい。
その他の化合物としては、例えば、ペンタフェニルエタン、アクリロレイン、又はメタクリロレインが挙げられる。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、以下に記載する(GX)化合物が好ましい。また、本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(C)感光剤が、上述した(C3)化合物を含有することが好ましく、上述した(C1)化合物及び(C3)化合物を含有することがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有し、
(G)連鎖移動剤が、(GX)化合物を含み、
(GX)化合物が、以下の(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有することが好ましい。
(A-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、及び光結合開裂構造からなる群より選ばれる一種類以上を有するカルボニル基、が結合した二級又は三級炭素原子。
(B-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる一種類以上、並びに、カルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子。
なお(A-gx)構造及び(B-gx)構造における二級又は三級炭素原子とは、(GX)化合物の化学構造式から(I-gx)構造又は(I-gxx)構造に相当する置換基を除いた、二級アルキル基又は三級アルキル基などの置換基における二級又は三級炭素原子をいう。すなわち、(GX)化合物の化学構造式において四級炭素原子となる場合の構造は、(A-gx)構造及び(B-gx)構造における三級炭素原子となる。従って、(A-gx)構造及び(B-gx)構造における四級炭素原子は存在しない。
光結合開裂構造とは、露光によって結合開裂及び/又は反応してラジカルを発生する構造をいう。なお(GX)化合物は、上述した(C1)化合物とは異なる化合物をいう。光結合開裂構造を有するカルボニル基は、
α-位に2つのアルコキシ基及びアリール基、を有するカルボニル基、
α-位に2つのアルキル基及びヒドロキシ基、を有するカルボニル基、
α-位に2つのアルキル基及びアミノ基、を有するカルボニル基、
アリールホスフィンオキシド構造、を有するカルボニル基、又は、
α-位にオキシムエステル構造、を有するカルボニル基が好ましい。
また、本発明の第一の態様の感光性組成物が特定構造の(GX)化合物によって、ポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物は、パターン露光時にケテン及び/又はカルボン酸へと構造変化する化合物が好ましい。ポジ型の感光性組成物における、(GX)化合物による推定反応機構を一般式(A)及び一般式(B)に示す。また、本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(C)感光剤が、上述した(C1)化合物又は(C3)化合物を含有することが好ましく、上述した(C1)化合物及び(C3)化合物を含有することがより好ましい。
一般式(A)において、まず、(工程1a)パターン露光時、上述した(C1)化合物などを含有する場合、露光によって発生するラジカル(R・)と(GX)化合物とが反応する。その際、(GX)化合物に由来する新たな活性ラジカルが発生することで連鎖移動が起こる。次いで、(工程2a)ラジカルが存在する炭素のα-位に結合する置換基(R)のホモリシス開裂が進行し、別の活性ラジカル(R・)とケテンが発生することでさらに連鎖移動が起こる。その後、(工程3a)発生したケテンは、膜中に存在する水分などの反応することで対応するカルボン酸へと構造変化するため、ポジ型のパターン形成機構にリビングラジカル重合機構を導入できる。そのため、一度ラジカルが発生すると、活性ラジカルが高い運動性を維持したまま別の(GX)化合物と連鎖的に反応でき、化学増幅型の感光機構と同様にカルボン酸が発生することで、露光部の膜深部におけるアルカリ溶解性を向上できる。そのため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。なお(工程1a)において、露光によって発生するラジカル(R・)は、(GX)化合物の露光による光結合開裂などによって発生したラジカルであっても構わない。すなわち、一分子の(GX)化合物から発生したラジカルを起点として、発生したラジカルが別分子の(GX)化合物と反応することによって、上記の推定反応機構が進行しても構わない。
Figure 2022136981000029
一般式(B)において、まず、(工程1b)パターン露光時、上述した(C1)化合物などを含有する場合、露光によって発生するラジカル(R・)と(GX)化合物とが反応する。その際、(GX)化合物に由来する新たな活性ラジカルが発生することで連鎖移動が起こる。次いで、(工程2b)ラジカルが存在する炭素に結合する置換基(R)のホモリシス開裂が進行し、別の活性ラジカル(R・)とカルベンが発生することでさらに連鎖移動が起こる。その後、(工程3b)発生したカルベンから、置換基(R)の転位によってケテンが生成する。さらに、(工程4b)発生したケテンは、膜中に存在する水分などの反応することで対応するカルボン酸へと構造変化するため、ポジ型のパターン形成機構にリビングラジカル重合機構を導入できる。すなわち、同様に、一度ラジカルが発生すると、活性ラジカルが高い運動性を維持したまま別の(GX)化合物と連鎖的に反応でき、化学増幅型の感光機構と同様にカルボン酸が発生することで、露光部の膜深部におけるアルカリ溶解性を向上できる。なお(工程1b)において、露光によって発生するラジカル(R・)は、(GX)化合物の露光による光結合開裂などによって発生したラジカルであっても構わない。すなわち、一分子の(GX)化合物から発生したラジカルを起点として、発生したラジカルが別分子の(GX)化合物と反応することによって、上記の推定反応機構が進行しても構わない。
Figure 2022136981000030
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物が、以下の(A-gxx)構造又は(B-gxx)構造を有することが好ましい。なお、(GX)化合物が、(A-gxx)構造を有する場合、上述した一般式(A)の推定反応機構において好ましい。また、(GX)化合物が、(B-gxx)構造を有する場合、上述した一般式(B)の推定反応機構において好ましい。
(A-gxx)構造:ハロゲン化カルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリールカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリールオキシカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリールアルキルカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
α-位に2つのアルコキシ基及びアリール基、を有するカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
α-位に2つのアルキル基及びヒドロキシ基、を有するカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
α-位に2つのアルキル基及びアミノ基、を有するカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリールホスフィンオキシド構造、を有するカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、並びに、
α-位にオキシムエステル構造、を有するカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子からなる群より選ばれる一種類以上。
(B-gxx)構造:ハロゲン原子及びカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリール基及びカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、
アリールオキシ基及びカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子、並びに、
アリールアルキル基及びカルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子からなる群より選ばれる一種類以上。
なお(A-gxx)構造及び(B-gxx)構造における二級又は三級炭素原子とは、(GX)化合物の化学構造式から(I-gx)構造又は(I-gxx)構造に相当する置換基を除いた、二級アルキル基又は三級アルキル基などの置換基における二級又は三級炭素原子をいう。すなわち、(GX)化合物の化学構造式において四級炭素原子となる場合の構造は、(A-gxx)構造及び(B-gxx)構造における三級炭素原子となる。従って、(A-gxx)構造及び(B-gxx)構造における四級炭素原子は存在しない。
上述したカルボニル基は、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合として結合するカルボニル基であることが好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物が、上記と同様に以下の(I-gx)構造を有することが好ましい。
(I-gx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基、トリチオカーボネート結合、ジチオエステル結合、ジチオカルバメート結合、ジチオカーボネート結合、ピラゾールジチオエステル結合、チウラムジスルフィド結合、トリチオカルボニルジスルフィド結合、及びジチオカルボニルジスルフィド結合からなる群より選ばれる一種類以上。
上述したカルボニル基は、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合として結合するカルボニル基であることが好ましい。(GX)化合物が、(I-gx)構造を有することで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物が、上記と同様に以下の(I-gxx)構造を有することが好ましい。
(I-gxx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、及び/又は、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基。
少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基は、ケトン基が結合したプロペニレン基、エステル結合が結合したプロペニレン基、又はアミド結合が結合したプロペニレン基が好ましく、エステル結合が結合したプロペニレン基がより好ましい。ケトン基、エステル結合、及びアミド基は、アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、アルキル基を有することがより好ましい。(GX)化合物が、(I-gxx)構造を有することで、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有し、(GX)化合物が、(I-gx)構造を有する場合、
露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、(GX)化合物が、(I-gx)構造と結合する構造として、前記(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有することが好ましく、前記(A-gxx)構造及び/又は(B-gxx)構造を有することがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有し、(GX)化合物が、(I-gxx)構造を有する場合、
露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、(GX)化合物が、(I-gxx)構造と結合する構造として、前記(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有することが好ましく、前記(A-gxx)構造及び/又は(B-gxx)構造を有することがより好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(GX)化合物が、以下の(I)化合物及び(II)化合物を含有することが好ましい。
(I)化合物:(I-gx)構造又は(I-gxx)構造を有し、
(I-gx)構造又は(I-gxx)構造と結合する構造として、前記(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造、又は、前記(A-gxx)構造及び/又は(B-gxx)構造を有する化合物。
(II)化合物:(I-gx)構造又は(I-gxx)構造を有し、
(I-gx)構造又は(I-gxx)構造と結合する構造として、前記(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有する化合物。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(GX)化合物が、以下の(III)化合物を含有することも好ましい。
(III)化合物:(I-gx)構造又は(I-gxx)構造を有し、
(I-gx)構造又は(I-gxx)構造と結合する構造として、前記(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造、又は、前記(A-gxx)構造及び/又は(B-gxx)構造、並びに、
(I-gx)構造又は(I-gxx)構造と結合する構造として、前記(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有する化合物。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物は、上述した一般式(54)で表される化合物を含有することが好ましい。
(GX)化合物は、一般式(54)において、aは1又は2であり、bは0~2の整数を表し、a+bは1又は2である。cは0~2の整数を表す。Y46が炭素原子の場合、a+b+c=3である。Y46が窒素原子の場合、a+b+c=2である。
(GX)化合物は、一般式(54)において、Z43が酸素原子であって、
43が、ハロゲン原子、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、又は炭素数1~10のアルキルペルオキシ基であって、
46が、ハロゲン原子、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数6~15のアリールオキシ基、炭素数7~30のアリールアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、又は炭素数1~10のアルキルペルオキシ基である化合物が好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合、(GX)化合物は、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体、α-位に置換基を有するスチレン誘導体、又はα-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(GX)化合物において、少なくとも2つのアリール基を有するスチレン誘導体は、2,4-ジフェニル-4-ブロモカルボニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-フェニルカルボニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-フェノキシカルボニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-ベンジルカルボニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-(t-ブチルチオ)カルボニル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-(t-ブチルペルオキシ)カルボニル-1-ペンテン、3,5-ジフェニル-5-ブロモカルボニル-2-ヘプテン、3,5-ジフェニル-5-フェニルカルボニル-2-ヘプテン、3,5-ジフェニル-5-フェノキシカルボニル-2-ヘプテン、又は3,5-ジフェニル-5-ベンジルカルボニル-2-ヘプテンが好ましい。
α-位に置換基を有するスチレン誘導体は、2-フェニル-4-ブロモ-4-フェニルカルボニル-1-ペンテン、2-フェニル-4-フェノキシ-4-フェニルカルボニル-1-ペンテン、2-フェニル-4-ベンジル-4-フェニルカルボニル-1-ペンテン、2-フェニル-4-(t-ブチルチオ)-4-フェニルカルボニル-1-ペンテン、又は2-フェニル-4-(t-ブチルペルオキシ)-4-フェニルカルボニル-1-ペンテンが好ましい。
α-位に置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、α-(2-フェニル-2-ブロモカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-フェニル-2-フェニルカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-フェニル-2-フェノキシカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-フェニル-2-ベンジルカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-ブロモ-2-フェニルカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、α-(2-フェノキシ-2-フェニルカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチル、又はα-(2-ベンジル-2-フェニルカルボニル-1-プロピル)(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。
なお、本発明の第一の態様の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合においても、本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有し、
(G)連鎖移動剤が、(GX)化合物を含み、
(GX)化合物が、以下の(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有することが好ましい。
(A-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、及び光結合開裂構造からなる群より選ばれる一種類以上を有するカルボニル基、が結合した二級又は三級炭素原子。
(B-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる一種類以上、並びに、カルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子。
同様に、本発明の第一の態様の感光性組成物がポジ型の感光性を有する場合に好適な、上述した(GX)化合物は、本発明の第一の態様の感光性組成物がネガ型の感光性を有する場合においても好適である。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(GX)化合物の含有比率は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、1.0質量%以上がさらにより好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。一方、(GX)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下がさらにより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(GX)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、3質量部以上がさらにより好ましく、5質量部以上が特に好ましい。一方、(GX)化合物の含有量は、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下がさらにより好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
<(G)連鎖移動剤;(G1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(G)連鎖移動剤を含有し、
(G)連鎖移動剤が、さらに、(G1)チオール系連鎖移動剤(以下、「(G1)化合物」)を含有することが好ましい。(G)連鎖移動剤とは、パターン露光時のラジカル重合によって発生するポリマー生長末端からラジカルを受け取り、他のポリマー鎖へのラジカル移動を介することで、ラジカルの連鎖移動が可能な化合物をいう。(G)連鎖移動剤を含有させることで、酸素阻害によってポリマー成長末端と酸素分子とが反応して生成する、不活性なペルオキシラジカルからのラジカル移動も可能となる。そのため、新たな活性ラジカルが発生することで露光部の光硬化を促進できるため、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。(G1)化合物とは、少なくとも2つのメルカプト基を有する化合物をいう。(G1)化合物を含有させることで、ポリマー生長末端からラジカルを受け取ったメルカプト基からチイルラジカルが発生し、効率的なラジカルの連鎖移動が可能となる。そのため、酸素阻害抑制の効果が顕著となり、露光部の光硬化をより促進できる。
(G1)化合物は、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の観点から、脂肪族多官能アルコールに由来する構造、芳香族構造、及びヘテロ脂環式構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造を有することが好ましい。ヘテロ脂環式構造は、窒素原子を少なくとも2つ有する環状構造であることが好ましい。窒素原子を少なくとも2つ有する環状構造は、イソシアヌル酸構造、又はトリアジン構造が好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(G1)化合物の含有比率は、露光時の感度向上、及びハーフトーン特性向上の観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、1.0質量%以上がさらにより好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。一方、(G1)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(G1)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、3質量部以上がさらにより好ましく、5質量部以上が特に好ましい。一方、(G1)化合物の含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
<(H)架橋剤>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(H)架橋剤を含有することが好ましい。(H)架橋剤とは、樹脂などと結合可能な架橋性基を有する化合物又はカチオン重合性基を有する化合物をいう。一般に、架橋性基による樹脂などとの架橋反応及びカチオン重合性基によるカチオン重合は、酸及び/又は熱によって促進可能であり、硬化膜の耐熱性向上、及び硬化膜の耐薬品性向上に好適である。(H)架橋剤は、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、及びアリル基からなる群より選ばれる一種類以上の基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい(ただし、上述した(B)化合物は除く)。アルコキシアルキル基は、アルコキシメチル基が好ましく、メトキシメチル基がより好ましい。ヒドロキシアルキル基は、メチロール基が好ましい。
<(H)架橋剤;(H1)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(H1)疎水性骨格含有エポキシ架橋剤(以下、「(H1)化合物」)を含有することが好ましい。(H1)化合物とは、以下の(I-h1)構造及び(II-h1)構造を有し、(II-h1)構造を少なくとも2つ有する化合物をいう。
(I-h1)構造:縮合多環式構造、縮合多環式ヘテロ環構造、芳香環骨格及び脂環式骨格が直接連結された構造、並びに少なくとも2つの芳香環骨格が直接連結された構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造。
(II-h1)構造:エポキシ基を有する有機基。
(H1)化合物を含有させることで、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
(H1)化合物は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、上述した(I-h1)構造が、フルオレン構造、インダン構造、インドリノン構造、イソインドリノン構造、キサンテン構造、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造、及びビナフチル構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造であることが好ましい。
(H1)化合物のエポキシ基当量は、現像後の残渣抑制の観点から、150g/mol以上が好ましく、170g/mol以上がより好ましく、190g/mol以上がさらに好ましい。一方、エポキシ基当量は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、800g/mol以下が好ましく、600g/mol以下がより好ましく、500g/mol以下がさらに好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(H1)化合物の含有比率は、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(H1)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(H1)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。一方、(H1)化合物の含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
<(H)架橋剤;(H2)化合物、及び(H3)化合物>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、以下の(H2)化合物及び/又は(H3)化合物を含有し、
架橋性基が、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、及びアリル基からなる群より選ばれる一種類以上を含むことが好ましい。アルコキシアルキル基は、アルコキシメチル基が好ましく、メトキシメチル基がより好ましい。ヒドロキシアルキル基は、メチロール基が好ましい。
(H2)化合物:少なくとも2つのフェノール性水酸基、及び少なくとも2つの架橋性基を有する化合物。
(H3)化合物:窒素原子を少なくとも2つ有する環状構造、及び少なくとも2つの架橋性基を有する化合物。
(H2)化合物及び/又は(H3)化合物を含有させることで、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の効果が顕著となる。(H2)化合物又は(H3)化合物が有する架橋性基数は、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。一方、架橋性基数は、8つ以下が好ましく、7つ以下がより好ましく、6つ以下がさらに好ましい。
(H2)化合物は、以下の(I-h2)構造を少なくとも2つ有することが好ましい。また(H2)化合物は、以下の(I-h2x)構造を少なくとも2つ有することがより好ましい。
(I-h2)構造:1つの芳香族構造にフェノール性水酸基、及び架橋性基が結合した構造。
(I-h2x)構造:1つの芳香族構造にフェノール性水酸基、及び少なくとも2つの架橋性基、が結合した構造。
(H2)化合物が有する(I-h2)構造の数、及び(I-h2x)構造の数の合計は、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。一方、(I-h2)構造の数、及び(I-h2x)構造の数の合計は、8つ以下が好ましく、7つ以下がより好ましく、6つ以下がさらに好ましい。(H2)化合物は、芳香族構造などの疎水性骨格を有することが好ましい。疎水性骨格は、フルオレン構造、インダン構造、縮合多環脂環式構造、少なくとも2つの芳香環骨格が脂肪族基で連結された構造、及び少なくとも2つの芳香環骨格が直接連結された構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造が好ましい。
(H2)化合物は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点から、(H2)化合物が有するフェノール性水酸基数は、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。一方、フェノール性水酸基数は、8つ以下が好ましく、7つ以下がより好ましく、6つ以下がさらに好ましい。
(H3)化合物は、以下の(I-h3)構造を有することが好ましい。また(H3)化合物は、以下の(I-h3x)構造を有することがより好ましい。
(I-h3)構造:窒素原子を少なくとも2つ有する環状骨格に、架橋性基が結合した構造。
(I-h3x)構造:窒素原子を少なくとも2つ有する環状骨格に、少なくとも2つの架橋性基が結合した構造。
(H3)化合物が有する(I-h3x)構造における架橋性基数は、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。一方、架橋性基数は、8つ以下が好ましく、7つ以下がより好ましく、6つ以下がさらに好ましい。
(H3)化合物は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点から、(H3)化合物が有する窒素原子を少なくとも2つ有する環状骨格は、イソシアヌル酸構造、トリアジン構造、グリコールウリル構造、イミダゾリドン構造、ピラゾール構造、イミダゾール構造、トリアゾール構造、テトラゾール構造、及びプリン構造からなる群より選ばれる一種類以上が好ましく、イソシアヌル酸構造、トリアジン構造、及びグリコールウリル構造からなる群より選ばれる一種類以上がより好ましく、イソシアヌル酸構造及び/又はトリアジン構造がさらに好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(H2)化合物及び(H3)化合物の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制、及びハーフトーン特性向上の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(H2)化合物及び(H3)化合物の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制、及び露光時の感度向上の観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(H2)化合物及び(H3)化合物の含有量の合計は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。一方、(H2)化合物及び(H3)化合物の含有量の合計は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
<(I)溶解促進剤>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、(I)溶解促進剤(以下、「(I)化合物」)を含有することが好ましい。(I)化合物とは、アルカリ現像液へ溶解可能な酸性基及び/又は親水性基を有する化合物をいう。(I)化合物を含有させることで現像後の残渣抑制の効果が顕著となる。(I)化合物は、多官能カルボン酸化合物、多官能フェノール化合物、ヒドロキシイミド化合物、並びに、ヒドロキシ基及びオキシアルキレン基を有する化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。
オキシアルキレン基は、炭素数1~10の1~2価の脂肪族基、炭素数6~15のアリール基、炭素数7~25のアリールアルキル基、炭素数7~25のアルキルアリール基、並びに、炭素数7~25のアリールアルキル基が少なくとも2つ結合した炭素数6~15のアリール基、からなる群より選ばれる基が結合していることが好ましい。炭素数7~25のアリールアルキル基は、炭素数6~15のアリール基を有する炭素数2~5のアルケニル基が好ましい。オキシアルキレン基は、炭素数1~6のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基、又はオキシプロピレン基がより好ましく、オキシエチレン基がさらに好ましい。溶解促進剤が有するオキシアルキレン基数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。一方、オキシアルキレン基数は、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましく、10個以下がさらに好ましい。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(I)化合物の含有比率は、現像後の残渣抑制の観点から、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(I)化合物の含有比率は、現像後のパターン剥がれ抑制の観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物を含有する場合、本発明の感光性組成物に占める(I)化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)化合物の合計を100質量部とした場合において、0.5質量%以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。一方、(I)化合物の含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。
<(J)無機粒子>
本発明の感光性組成物は、さらに、(J)無機粒子を含有することが好ましい。(J)無機粒子とは、金属元素、半金属元素、及び半導体元素からなる群より選ばれる元素を主成分の元素に含む粒子をいう。(J)無機粒子としては、例えば、水を除いた質量のうち金属化合物、半金属化合物、及び半導体化合物からなる群より選ばれる化合物の含有比率が90質量%以上の粒子が挙げられる。金属化合物、半金属化合物、又は半導体化合物としては、例えば、上記元素のハロゲン化物、酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、又はメタケイ酸塩が挙げられる。
(J)無機粒子を含有させることで、ハーフトーン特性向上及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。その結果、感光性組成物の硬化膜は、発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。また(J)無機粒子を含有させることで、感光性組成物の硬化膜は、(J)無機粒子の堅牢な構造が導入されるため耐熱性が顕著に向上し、画素分割層等からのアウトガスが抑制される。その結果、発光素子の劣化が抑制されるため、発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。
ポジ型の感光性組成物の場合、(J)無機粒子の堅牢な構造よるアルカリ溶解阻害により露光部がアルカリ溶解性過剰となりづらく、またハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制、及びハーフトーン特性向上がされると考えられる。一方、ネガ型の感光性組成物の場合、(J)無機粒子の堅牢な構造による立体障害や分子運動阻害により露光部における過度な光硬化が制御される。さらに、堅牢な構造によるアルカリ溶解阻害により露光部におけるアルカリ現像時の膜深部におけるサイドエッチングが抑制され、またハーフトーン露光部が緩やかな現像膜減りをするなどの効果が顕著となる。そのため、現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制、及びハーフトーン特性向上がされると考えられる。
本発明の感光性組成物は、さらに、(J)無機粒子を含有し、
(J)無機粒子が、Si、Al、Ti、V、Zn、Zr、Nb、Sn、Li、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Ag、Ba、La、Ce、Ta、W、又はReを主成分の元素に含むことが好ましく、ケイ素、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、スズ、又はセリウムを主成分の元素に含むことがより好ましく、ケイ素を主成分の元素に含むことがさらに好ましい。(J)無機粒子における主成分の元素とは、(J)無機粒子の構成元素において最も多く含まれる元素をいう。(J)無機粒子は、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化バナジウム粒子、酸化クロム粒子、酸化鉄粒子、酸化コバルト粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化スズ粒子、又は酸化セリウム粒子が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
(J)無機粒子は、Si、Al、Ti、V、Zn、Zr、Nb、Sn、Li、Na、Mg、K、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Y、Ag、Ba、La、Ce、Hf、Ta、W、及びReからなる群より選ばれる一種類以上の元素を含むことが好ましく、ケイ素、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、スズ、セリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、及びハフニウムからなる群より選ばれる一種類以上の元素を含むことがより好ましく、ケイ素元素を含むことがさらに好ましい。これらの元素は、(J)無機粒子における主成分の元素と同じであっても構わない。(J)無機粒子は主成分の元素とは異なる元素として、これらの元素を含むことも好ましい。
本発明の感光性組成物において、(J)無機粒子を含有し、
(J)無機粒子が、Si、Al、Ti、V、Zn、Zr、Nb、Sn、Li、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Ag、Ba、La、Ce、Ta、W、又はReを主成分の元素に含む場合、
本発明の感光性組成物は、(J)無機粒子が、ラジカル重合性基及び/又は熱反応性基を有することが好ましい。
このような構成とすることで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、発光素子の信頼性向上及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。ラジカル重合性基及び/又は熱反応性基を有する(J)無機粒子を含有させることで、ラジカル重合性基又は熱反応性基の架橋構造により、ポジ型の感光性組成物の場合の露光部における過剰なアルカリ溶解抑制、又は、ネガ型の感光性組成物の場合の露光部におけるアルカリ現像時の膜深部におけるサイドエッチング抑制により、上記の効果が顕著になると推定される。また、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性基がラジカル重合した架橋構造が導入されるため、感光性組成物の硬化膜は架橋密度向上により耐熱性向上の効果が顕著となる。その結果、画素分割層等からのアウトガスが抑制されるため、発光素子の信頼性向上の効果が顕著になると推定される。
ラジカル重合性基は、エチレン性不飽和二重結合基が好ましい。ラジカル重合性基は、光反応性基、炭素数2~5のアルケニル基、及び炭素数2~5のアルキニル基からなる群より選ばれる一種類以上がより好ましい。光反応性基は、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基が好ましく、ビニル基又はアリル基がより好ましい。熱反応性基は、アルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、オキセタニル基、又はブロックイソシアネート基が好ましい。
(J)無機粒子は、表面に官能基を有することが好ましい。(J)無機粒子は、表面にラジカル重合性基、熱反応性基、シラノール基、アルコキシシリル基、アルキルシリル基、ジアルキルシリル基、トリアルキルシリル基、フェニルシリル基、及びジフェニルシリル基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、発光素子の信頼性向上及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、ラジカル重合性基及び/又は熱反応性基を有することが好ましい。
表面に官能基を有する(J)無機粒子は、官能基を有するオルガノシラン化合物に由来する表面修飾基を、(J)無機粒子表面のヒドロキシ基及び/又はシラノール基との脱水縮合反応によって導入することで得られる。ラジカル重合性基及び/又は熱反応性基を有するオルガノシラン化合物としては、例えば、4-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、表面に官能基を有する(J)無機粒子は、官能基を有するイソシアネート化合物に由来する表面修飾基を、(J)無機粒子表面のシラノール基とのウレタン化反応によって導入することでも得られる。ラジカル重合性基及び/又は熱反応性基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネートが挙げられる。官能基を有するオルガノシラン化合物に由来する表面修飾基と、官能基を有するイソシアネート化合物に由来する表面修飾基とを(J)無機粒子の表面に順に修飾することで、それぞれの官能基を含む表面修飾基を有する(J)無機粒子が得られる。
溶剤を除く、本発明の感光性組成物の全固形分中に占める(J)無機粒子の含有比率は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、発光素子の信頼性向上及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。一方、(J)無機粒子の含有比率は、露光時の感度向上の観点、及び、発光素子の信頼性向上の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
<(J)無機粒子;(J1)シリカ粒子>
本発明の感光性組成物において、さらに、(J)無機粒子を含有し、
(J)無機粒子が、Si、Al、Ti、V、Zn、Zr、Nb、Sn、Li、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Ag、Ba、La、Ce、Ta、W、又はReを主成分の元素に含む場合、
本発明の感光性組成物は、(J)無機粒子が、(J1)シリカ粒子を含有することが好ましい。
このような構成とすることで、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の効果が顕著となる。加えて、発光素子の信頼性向上及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。(J1)シリカ粒子を含有させることで、(J1)シリカ粒子の堅牢な構造により、ポジ型の感光性組成物の場合の露光部における過剰なアルカリ溶解抑制、又は、ネガ型の感光性組成物の場合の露光部におけるアルカリ現像時の膜深部におけるサイドエッチング抑制により、上記の効果が顕著になると推定される。また(J1)シリカ粒子を含有させることで、感光性組成物の硬化膜は、(J1)シリカ粒子の堅牢な構造が導入されるため耐熱性が顕著に向上し、画素分割層等からのアウトガスが抑制される。その結果、発光素子の劣化が抑制されるため、発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。また硬化膜の表面における入射した外光の反射・散乱が低減されるため、外光反射抑制の効果が顕著となる。
(J1)シリカ粒子とは、ケイ素を主成分の元素に含む無機粒子をいう。(J1)シリカ粒子としては、例えば、水を除いた質量のうち二酸化ケイ素の純分が90質量%以上の粒子、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)からなる粒子、二酸化ケイ素水和物(含水ケイ酸又はホワイトカーボン)からなる粒子、石英ガラスからなる粒子、又は、オルトケイ酸、メタケイ酸、及びメタ二ケイ酸からなる粒子が挙げられる。(J1)シリカ粒子は、有機溶媒及び/又は水を分散媒としたシリカ粒子分散液が好ましい。(J1)シリカ粒子の分散媒における有機溶媒は、メタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチル-n-プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、トルエン、又はキシレンが挙げられる。
(J1)シリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は5~50nmであることが好ましい。(J1)シリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は、露光時の感度向上、ハーフトーン特性向上、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制の観点、並びに、発光素子の信頼性向上及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。一方、(J1)シリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は、露光時の感度向上の観点、並びに、外光反射抑制及び発光素子の信頼性向上の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、25nm以下がさらにより好ましく、20nm以下が特に好ましく、15nm以下が最も好ましい。シリカ粒子の一次粒子径とは、シリカ粒子の一次粒子における長軸径をいう。シリカ粒子分散液中の(J1)シリカ粒子の平均一次粒子径の好ましい範囲は、上記の(J1)シリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径の好ましい範囲の通りである。
(J1)シリカ粒子のアスペクト比及び平均アスペクト比は、1.00以上が好ましく、1.05以上がより好ましく、1.10以上がさらに好ましい。一方、(J1)シリカ粒子のアスペクト比及び平均アスペクト比は、1.50以下が好ましく、1.40以下がより好ましく、1.30以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。シリカ粒子のアスペクト比とは、シリカ粒子の一次粒子径における長軸径を短軸径で除した値の小数点第三位を四捨五入した値をいう。シリカ粒子のアスペクト比が1.00~1.05未満である場合、真球状シリカ粒子とみなす。
(J1)シリカ粒子としては、例えば、水を除いた質量のうち二酸化ケイ素の純分が90質量%以上の粒子、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)からなる粒子、二酸化ケイ素水和物(含水ケイ酸又はホワイトカーボン)からなる粒子、石英ガラスからなる粒子、又は、オルトケイ酸、メタケイ酸、及びメタ二ケイ酸からなる粒子が挙げられる。これらの粒子の構造は特に限定されず、内部空隙を有していても構わない。ただし、有機顔料及び無機顔料における表面処理剤又は被覆層に含まれる二酸化ケイ素は、その一次粒子径やアスペクト比によらずシリカ粒子には含まれないものとする。(J1)シリカ粒子の凝集形態は特に限定されない。シリカ粒子の製法によって制御された凝集形態としては、例えば、数珠状シリカ粒子、鎖状シリカ粒子、会合状シリカ粒子、又はマリモ状シリカ粒子が挙げられる。これらの凝集形態のシリカ粒子は、複数の一次粒子から構成された二次粒子又は三次粒子とみなす。
(J1)シリカ粒子の一次粒子径及びアスペクト比は、硬化膜を薄く割断したものを測定試料として、イオンミリング処理により研磨して平滑性を高めた断面について、TEMを用いて硬化膜の表面から深さ方向に0.2~0.8μmの範囲に位置する箇所を倍率50,000倍の条件で観測した撮像を、画像解析式粒度分布測定機(Mac-View;MOUNTECH社製)を用いて測定できる。また(J1)シリカ粒子の平均一次粒子径は、測定試料の断面を撮像及び解析し、(J1)シリカ粒子の一次粒子30個を測定した平均値として算出できる。さらに、TEM-EDXで観測することで粒子を構成する元素を判別でき、硬化膜中のシリカ粒子の特定が可能である。なお、シリカ粒子分散液中の(J1)シリカ粒子の平均一次粒子径は、動的光散乱法により粒度分布を測定することで求めることができる。
本発明の感光性組成物は、一次粒子径又は平均一次粒子径が5~50nmの(J1)シリカ粒子を含み、さらに、一次粒子径又は平均一次粒子径が5nm未満の(J1)シリカ粒子、及び/又は、一次粒子径又は平均一次粒子径が50nmを超える(J1)シリカ粒子を含有しても構わない。また本発明の感光性組成物は、アスペクト比又は平均アスペクト比が1.00~1.50の(J1)シリカ粒子を含み、さらに、アスペクト比又は平均アスペクト比が1.50を超える(J1)シリカ粒子を含有しても構わない。
(J1)シリカ粒子は、発光素子の信頼性向上の観点から、ナトリウム元素を含むことが好ましい。ナトリウム元素の存在形態としては、例えば、イオン(Na)又はシラノール基との塩(Si-ONa)が挙げられる。(J1)シリカ粒子に占めるナトリウム元素の含有量は、1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましく、10ppm以上がさらに好ましく、50ppm以上が特に好ましい。さらに、発光素子の信頼性向上の観点から、100ppm以上が好ましく、300ppm以上がより好ましく、500ppm以上がさらに好ましい。一方、(J1)シリカ粒子に占めるナトリウム元素の含有量は、10,000ppm以下が好ましく、7,000ppm以下がより好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましく、3,000ppm以下がさらにより好ましく、1,000ppm以下が特に好ましい。ナトリウム元素を含むシリカ粒子は、アルカリ条件下、ケイ素源として強アルカリであるケイ酸ナトリウムと、強酸である鉱酸との反応により得られる。本発明の感光性組成物において、(J1)シリカ粒子の好ましい含有比率は、上述した(J)無機粒子の好ましい含有比率の通りである。
<ハロゲン元素、硫黄元素、及びリン元素の含有量>
本発明の感光性組成物は、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の観点から、さらに、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましく、ハロゲン元素を含む成分及び/又は硫黄元素を含む成分を含有することがより好ましく、硫黄元素を含む成分を含有することがさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物は、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる二種類以上を含有することが好ましく、ハロゲン元素を含む成分及び硫黄元素を含む成分を含有することがより好ましく、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分を含有することがさらに好ましい。
ハロゲン元素は、塩素元素、臭素元素、ヨウ素元素、又はフッ素元素が挙げられる。ハロゲン元素は、塩素元素、臭素元素、及びヨウ素元素からなる群より選ばれる一種類以上を含むことが好ましく、塩素元素及び/又は臭素元素を含むことがより好ましく、塩素元素を含むことがさらに好ましい。
感光性組成物中に占めるハロゲン元素の含有量は、0.01ppm以上が好ましく、0.03ppm以上がより好ましく、0.05ppm以上がさらに好ましく、0.07ppm以上がさらにより好ましく、0.1ppm以上が特に好ましい。一方、ハロゲン元素の含有量は、700ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。さらに、発光特性向上の観点から、100ppm以下が好ましく、70ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましく、30ppm以下がさらにより好ましく、10ppm以下が特に好ましい。さらに、発光素子の低電圧駆動化の観点から、7ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
感光性組成物中に占める硫黄元素の含有量は、0.01ppm以上が好ましく、0.03ppm以上がより好ましく、0.05ppm以上がさらに好ましく、0.07ppm以上がさらにより好ましく、0.1ppm以上が特に好ましい。一方、硫黄元素の含有量は、700ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。さらに、発光特性向上の観点から、100ppm以下が好ましく、70ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましく、30ppm以下がさらにより好ましく、10ppm以下が特に好ましい。さらに、発光素子の低電圧駆動化の観点から、7ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
感光性組成物中に占めるリン元素の含有量は、0.01ppm以上が好ましく、0.03ppm以上がより好ましく、0.05ppm以上がさらに好ましく、0.07ppm以上がさらにより好ましく、0.1ppm以上が特に好ましい。一方、リン元素の含有量は、700ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、300ppm以下がさらに好ましい。さらに、発光特性向上の観点から、100ppm以下が好ましく、70ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましく、30ppm以下がさらにより好ましく、10ppm以下が特に好ましい。さらに、発光素子の低電圧駆動化の観点から、7ppm以下が好ましく、5ppm以下がより好ましく、3ppm以下がさらに好ましく、1ppm以下が特に好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、下記(1)~(3)の条件を1つ以上満たすことが好ましい。
(1)感光性組成物中に占めるハロゲン元素の含有量が0.01~100ppm。
(2)感光性組成物中に占める硫黄元素の含有量が0.01~100ppm。
(3)感光性組成物中に占めるリン元素の含有量が0.01~100ppm。
また、本発明の感光性組成物は、(1)の条件及び/又は(2)の条件を満たすことがより好ましく、(2)の条件を満たすことがさらに好ましい。また、本発明の感光性組成物は、(1)~(3)の条件からなる群より選ばれる二つ以上の条件を満たすことが好ましく、(1)の条件及び(2)の条件を満たすことがより好ましく、(1)~(3)の条件を全て満たすことがさらに好ましい。
本発明の感光性組成物は、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、
感光性組成物がハロゲン元素を含む成分を含有する場合、感光性組成物中に占めるハロゲン元素の含有量が0.01~100ppmであって、
感光性組成物が硫黄元素を含む成分を含有する場合、感光性組成物中に占める硫黄元素の含有量が0.01~100ppmであって、
感光性組成物がリン元素を含む成分を含有する場合、感光性組成物中に占めるリン元素の含有量が0.01~100ppmであることがより好ましい。
感光性組成物が、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、感光性組成物中に占めるハロゲン元素、硫黄元素、及びリン元素からなる群より選ばれる一種類以上の含有量を特定範囲とすることで、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。これは、感光性組成物中にこれらの元素を含む成分を微量含有させることで、例えば有機ELディスプレイにおける画素分割層を形成する工程において、第1電極の表面がこれらの元素によって表面改質されると考えられる。または、画素分割層を形成した後、画素分割層に含まれるこれらの元素が遷移することで、第1電極の表面がこれらの元素によって表面改質されると考えられる。そのため、第1電極の仕事関数差の調整によって、有機ELディスプレイにおける発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著になると推定される。また、意図的にこれらの元素を含む成分を微量含有させることで、例えば有機ELディスプレイにおける画素分割層中における分極構造や電荷バランスが制御されると考えられる。それにより、発光特性に悪影響を及ぼす金属不純物やイオン不純物に起因するイオンマイグレーションやエレクトロマイグレーションを抑制することで、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上の効果が顕著になると推定される。
感光性組成物が含有するハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分は、単体、イオン、化合物、又は化合物イオンであることが好ましい。すなわち、感光性組成物が、ハロゲン元素の単体、ハロゲン元素のイオン、ハロゲン元素を含む化合物、ハロゲン元素を含む化合物イオン、硫黄元素の単体、硫黄元素のイオン、硫黄元素を含む化合物、硫黄元素を含む化合物イオン、リン元素の単体、リン元素のイオン、リン元素を含む化合物、又はリン元素を含む化合物イオンを含むことが好ましい。感光性組成物中に占めるハロゲン元素の含有量は、単体、イオン、化合物、又は化合物イオンであるハロゲン元素の総量である。同様に、感光性組成物中に占める硫黄元素の含有量は、単体、イオン、化合物、又は化合物イオンである硫黄元素の総量である。同様に、感光性組成物中に占めるリン元素の含有量は、単体、イオン、化合物、又は化合物イオンであるリン元素の総量である。
感光性組成物が、ハロゲン元素のイオン、ハロゲン元素を含む化合物イオン、硫黄元素のイオン、硫黄元素を含む化合物イオン、リン元素のイオン、又はリン元素を含む化合物イオンを含有する場合、カウンターカチオン又はカウンターアニオンを含有しても構わない。カウンターカチオンは、金属元素イオン、アンモニウムイオン、一級アンモニウムイオン、二級アンモニウムイオン、三級アンモニウムイオン、又は四級アンモニウムイオンが挙げられ、四級アンモニウムイオンが好ましい。金属元素イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、典型元素金属イオン、又は遷移金属イオンが挙げられる。金属元素は、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、又はZnが好ましい。一級アンモニウムイオン、二級アンモニウムイオン、三級アンモニウムイオン、及び四級アンモニウムイオンは、それぞれ、脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基を1~4個有する。カウンターアニオンは、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、次亜硝酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、又はフェノキシイオンが挙げられる。
<撥インク剤、及びその他の添加剤>
本発明の感光性組成物は、さらに、撥インク剤を含有することも好ましい。撥インク剤とは、撥水性の構造及び/又は撥油性の構造を有する化合物をいう。撥インク剤を含有させることで膜の撥液性を向上できるため、膜の純水に対する接触角及び/又は膜の有機溶剤に対する接触角を高めることができる。撥インク剤は、少なくとも2つの光反応性基、少なくとも2つの炭素数2~5のアルケニル基、少なくとも2つの炭素数2~5のアルキニル基、及び少なくとも2つの熱反応性基からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましい。光反応性基は、ラジカル重合性基が好ましく、スチリル基、シンナモイル基、マレイミド基、又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。一方、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数2~5のアルキニル基は、ラジカル重合性基が好ましく、ビニル基、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、クロトニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、エチニル基、又は2-プロパルギル基がより好ましく、ビニル基又はアリル基がさらに好ましい。熱反応性基は、アルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、オキセタニル基、又はブロックイソシアネート基が好ましい。撥インク剤は、ポリマー鎖を有することも好ましく、ポリマー鎖の繰り返し単位の側鎖に撥水性の構造、撥油性の構造、少なくとも2つの光反応性基、少なくとも2つの炭素数2~5のアルケニル基、少なくとも2つの炭素数2~5のアルキニル基、及び少なくとも2つの熱反応性基からなる群より選ばれる一種類以上を有することも好ましい。ポリマー鎖を有する撥インク剤としては、例えば、アクリル樹脂系撥インク剤、ポリオキシアルキレンエーテル系撥インク剤、ポリエステル系撥インク剤、ポリウレタン系撥インク剤、ポリオール系撥インク剤、ポリエチレンイミン系撥インク剤、又はポリアリルアミン系撥インク剤が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、さらに、増感剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、及び界面活性剤からなる群より選ばれる一種類以上を含有することも好ましい。増感剤を含有させることで露光時の感度向上の効果が顕著となる。増感剤は、フルオレン骨格、ベンゾフルオレン骨格、フルオレノン骨格、又はチオキサントン骨格を有する化合物が好ましい。重合禁止剤を含有させることで現像後の解像度向上の効果が顕著となる。重合禁止剤は、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、又はベンゾイミダゾール化合物が好ましい。シランカップリング剤を含有させることで硬化膜と下地の基板との密着性向上の効果が顕著となる。シランカップリング剤は、三官能オルガノシラン、四官能オルガノシラン、又はシリケート化合物が好ましい。界面活性剤を含有させることで塗膜の膜厚均一性向上の効果が顕著となる。界面活性剤は、フッ素樹脂系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンエーテル系界面活性剤、又はアクリル樹脂系界面活性剤が好ましい。本発明の感光性組成物に占める界面活性剤の含有比率は、感光性組成物全体の、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましい。一方、界面活性剤の含有比率は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
<溶剤>
本発明の第一の態様の感光性組成物は、さらに、溶剤を含有することも好ましい。溶剤を含有させることで、組成物の膜を基板上に所望の膜厚で成膜でき、塗膜の膜厚均一性向上の効果が顕著となる。溶剤は、各種樹脂及び各種添加剤の溶解性の観点から、アルコール性水酸基を有する化合物、カルボニル基を有する化合物、エステル結合を有する化合物、又はエーテル結合を少なくとも3つ有する化合物が好ましい。溶剤は、塗膜の膜厚均一性向上の観点から、大気圧下の沸点が110℃以上である化合物が好ましい。一方、熱硬化時の膜収縮抑制による平坦性向上の観点から、大気圧下の沸点が250℃以下である化合物が好ましい。本発明の感光性組成物に占める溶剤の含有比率は、塗布方法などに応じて適宜調整可能である。例えば、スピンコーティングにより塗膜を形成する場合、感光性組成物全体の50~95質量%とすることが一般的である。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、(D)着色剤として(D1)顔料を含有する場合、溶剤として、カルボニル基を有する溶剤又はエステル結合を有する溶剤を含有することで、(D1)顔料の分散安定性向上により、現像後の残渣抑制の効果が顕著となる。カルボニル基は、アルキルカルボニル基、ジアルキルカルボニル基、ホルミル基、カルボキシ基、アミド基、イミド基、ウレア結合、又はウレタン結合が好ましい。エステル結合は、カルボン酸エステル結合、炭酸エステル結合、又はギ酸エステル結合が好ましく、カルボン酸エステル結合がより好ましい。カルボン酸エステル結合の中でも、アセテート結合、プロピオネート結合、又はブチレート結合がより好ましく、アセテート結合がさらに好ましい。本発明の第一の態様の感光性組成物において、溶剤に占めるカルボニル基を有する溶剤又はエステル結合を有する溶剤の含有比率の合計は、現像後の残渣抑制、及び現像後の解像度向上の観点から、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。本発明の第一の態様の感光性組成物において、(F1)化合物が、上述した特定の(F1)化合物を含有する場合、同様に溶剤に占めるプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの含有比率は、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。
本発明の第一の態様の感光性組成物において、(FB1)化合物が、上述した特定の(FB1)化合物を含有する場合、溶剤に占めるプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの含有比率は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。一方、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの含有比率は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。また、本発明の第一の態様の感光性組成物において、(FB1)化合物が、上述した特定の(FB1)化合物を含有する場合、溶剤に占めるジエチレングリコールジアルキルエーテル、及び/又は、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル、ヒドロキシ酢酸アルキル、及び酢酸ヒドロキシアルキルからなる群より選ばれる一種類以上の含有比率の合計は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、これらの溶剤の含有比率の合計は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
<本発明の感光性組成物の製造方法>
本発明の感光性組成物の代表的な製造方法について説明する。(D)着色剤が(Da)黒色剤を含み、(Da)黒色剤が(D1a)黒色顔料を含有する場合、(A)アルカリ可溶性樹脂の溶液に必要に応じて(E)分散剤を加えた混合溶液に、分散機を用いて(D1a)黒色顔料を分散させ、顔料分散液を調製する。次に、この顔料分散液に、(A)アルカリ可溶性樹脂、(C)感光剤、並びに、必要に応じて(G)化合物、その他の添加剤、及び任意の溶剤を加え、20分~3時間攪拌して均一な溶液とする。攪拌後、得られた溶液を濾過することで本発明の感光性組成物が得られる。分散機は、現像後の残渣抑制の観点から、ビーズミルが好ましい。ビーズとしては、例えば、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ、又はジルコンビーズが挙げられる。ビーズ径は、0.01~6mmが好ましく、0.015~5mmがより好ましく、0.03~3mmがさらに好ましい。
<硬化物と硬化物の光学濃度、テーパー角、及び段差形状>
本発明の硬化物は上記の感光性組成物を硬化したものである。硬化とは加熱によって架橋構造が形成され、膜の流動性が無くなった状態をいう。硬化条件としては、例えば、150~500℃で、5~300分間加熱するなどの条件である。加熱する方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置、又はレーザーアニール装置を用いて加熱する方法が挙げられる。加熱する処理雰囲気としては、例えば、空気、酸素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン若しくはキセノン雰囲気下、酸素を1~10,000ppm(0.0001~1質量%)含有するガス雰囲気下、又は、真空下が挙げられる。
本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜において、膜厚1μm当たりの可視光領域(380~780nm)における光学濃度は、外光反射抑制、及び隣接画素からの光漏れ防止の観点から、1.0~5.0が好ましい。膜厚1μm当たりの光学濃度は、上述した(D)着色剤の組成及び含有比率により調節できる。本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜が含む、硬化パターンの断面における傾斜辺のテーパー角は、電極断線防止、及び発光素子の信頼性向上の観点から、20~45°が好ましい。本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜が含む段差形状を有するパターンにおける、最も大きい厚さを有する領域(厚膜部)の膜厚と、最も小さい厚さを有する領域(薄膜部)の膜厚との膜厚差は、発光素子の信頼性向上の観点から、1.0~5μmが好ましい。
<画素分割層の段差形状を有するパターン表面における接触角>
本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜が、有機ELディスプレイの画素分割層である場合において、上述した段差形状を有するパターンを含む硬化膜における、厚膜部の純水に対する接触角を(CAwFT)°、及び、薄膜部の純水に対する接触角を(CAwHT)°とするとき、前記(CAwFT)°と前記(CAwHT)°との接触角差(ΔCAwFT-HT)°は、インクジェット塗布で有機EL層を形成する場合のインク同士の混色防止抑制の観点から、20°以上が好ましく、40°以上がより好ましい。一方、有機EL層の成膜不良抑制の観点から、純水に対する接触角差(ΔCAwFT-HT)°は、90°以下が好ましく、70°以下がより好ましい。
本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜が、有機ELディスプレイの画素分割層である場合において、上述した段差形状を有するパターンを含む硬化膜における、厚膜部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角を(CApFT)°、及び、薄膜部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角を(CApHT)°とするとき、前記(CApFT)°と前記(CApHT)°との接触角差(ΔCApFT-HT)°は、インクジェット塗布で有機EL層を形成する場合のインク同士の混色防止抑制の観点から、10°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。一方、有機EL層の成膜不良抑制の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角差(ΔCApFT-HT)°は、70°以下が好ましく、50°以下がより好ましい。
<本発明の硬化物を具備する表示装置>
以下、本発明の硬化物を具備する表示装置、本発明の第二の態様である表示装置について述べる。本発明の表示装置としては、例えば、有機ELディスプレイ、量子ドットディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は電界放出ディスプレイが挙げられる。本発明の表示装置は、有機ELディスプレイ、量子ドットディスプレイ、又はマイクロLEDディスプレイが好ましく、有機ELディスプレイがより好ましい。
本発明の感光性組成物は、露光時の感度向上、優れたハーフトーン特性、及び現像後における開口パターン寸法のバラツキ抑制を兼ね備えることが可能である。加えて、有機ELディスプレイにおける発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制を両立できる。そのため、上述した硬化条件にて本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜は、有機ELディスプレイの画素分割層、TFT平坦化層、TFT保護層、層間絶縁層、又はゲート絶縁層として特に好ましい。また、ブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサーとしても好ましい。硬化膜は、有機ELディスプレイに特に好適に具備できる。その結果、発光素子の高信頼性によって有機ELディスプレイの耐久性向上を実現できるとともに、発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制により高精彩化・省電力化を実現可能である。上述した理由により、本発明の感光性組成物は有機ELディスプレイにおける画素分割層を形成するための用途において、特に好適である。さらに、優れたハーフトーン特性を有するため、有機ELディスプレイにおける画素分割層の段差形状を一括形成するための用途において、特に好適である。
本発明の第一の態様の感光性組成物は、有機ELディスプレイにおける画素分割層の段差形状を一括形成するために用いられることが好ましい。
本発明の感光性組成物において、(D)着色剤が(Da)黒色剤を含む場合、上述した通り硬化膜の遮光性向上による外光反射抑制が可能となる。そのため、本発明の感光性組成物を硬化した硬化膜を具備する有機ELディスプレイは、発光素子の光取り出し側に直線偏光板、1/4波長板、又は円偏光板などの偏光フィルムを有しなくても、外光反射抑制が可能である。従って、硬化膜がフレキシブル基板上に積層されている構造を有し、かつ偏光フィルムを有しない、フレキシブル性を有する有機ELディスプレイに特に好適に具備できる。フレキシブル基板は、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板、シクロオレフィンポリマー基板、ポリカーボネート基板、又はセルローストリアセテート基板が好ましい。フレキシブル性を有する有機ELディスプレイは、曲面の表示部、外側に折り曲げ可能な表示部、又は内側に折り曲げ可能な表示部を有することが好ましい。
<表示装置>
本発明の表示装置は、本発明の硬化物を具備する。本発明の表示装置は、基板、第1電極、第2電極、画素分割層、発光層を含む有機層を有する表示装置であることが好ましい。本発明の表示装置は、画素分割層が本発明の硬化物であることが好ましい。また本発明の硬化物を具備する表示装置は、有機ELディスプレイであることが好ましい。本発明の感光性組成物を硬化した硬化物を具備する有機ELディスプレイは、基板、第1電極、第2電極、画素分割層、及び発光層を少なくとも有し、画素分割層及び発光層は第1電極上に形成され、発光層は第1電極及び第2電極の間に形成された積層構造を有する。
<第二の態様の表示装置>
本発明の第二の態様である表示装置は、基板、第1電極、第2電極、及び画素分割層を少なくとも有し、
さらに、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層を有する表示装置であって、
該画素分割層は、該第1電極上の一部と重なるように形成され、
該発光層を含む有機EL層及び/又は該発光層を含む光取り出し層は、該第1電極上、かつ該第1電極及び該第2電極の間に形成され、
該画素分割層が、少なくとも以下の(X-DL)樹脂を有し、
該画素分割層が、さらに(Da)黒色剤を含有する、表示装置である。
(X-DL)樹脂:後述する一般式(85)~(86)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上、及び/又は、後述する一般式(87)~(89)のいずれかで表される末端構造からなる群より選ばれる一種類以上、を有する樹脂。
<基板>
本発明の表示装置は、基板を有することが好ましい。本発明の第二の態様の表示装置は、基板を有する。基板は、耐衝撃性向上の観点からガラス基板が好ましい。基板としては、例えば、ガラス上に、電極又は配線として、インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びガリウムから選ばれる一種類以上を有する酸化物、金属(モリブデン、銀、銅、アルミニウム、クロム、若しくはチタンなど)、又はCNT(Carbon Nano Tube)が形成された基板が挙げられる。基板は、折り曲げ性向上の観点から、ポリイミド基板などのフレキシブル基板が好ましい。
<第1電極、及び第2電極>
本発明の表示装置は、第1電極及び第2電極を有することが好ましい。本発明の第二の態様の表示装置は、第1電極及び第2電極を有する。第1電極と第2電極として、透明電極と非透明電極とを組み合わせることにより、後述する発光層における発光を片側に取り出すことができる。本発明の表示装置における、透明電極及び非透明電極には、電気特性に優れること、陽極として用いる場合には効率良く正孔を注入できること、陰極として用いる場合には効率良く電子を注入できることなどの複合的な特性が求められる。
本発明の表示装置は、上述した第1電極の発光層側の最表層に、インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びガリウムからなる群より選ばれる一種類以上を含む透明導電性酸化膜層を有することが好ましく、少なくともインジウムを含む透明導電性酸化膜層を有することがより好ましく、少なくともインジウムを含むアモルファス性の透明導電性酸化膜層を有することがさらに好ましい。少なくともインジウムを含む透明導電性酸化膜層は、仕事関数差の調整による発光特性の低電圧駆動化の観点から、ITO、又はIZOが好ましく、ITOがより好ましい。
第1電極は、単層構造又は多層構造である。第1電極が単層構造の場合、第1電極は透明電極であり、インジウムを含む透明導電性酸化膜層が好ましい。第1電極が多層構造の場合、第1電極は透明電極又は非透明電極であり、第1電極の発光層側の最表層に、少なくともインジウムを含む透明導電性酸化膜層を有することが好ましい。第2電極は、単層構造の透明電極、多層構造の透明電極、単層構造の非透明電極、又は多層構造の非透明電極である。上述した第1電極が透明電極の場合、第2電極は非透明電極である。一方、第1電極が非透明電極の場合、第2電極は透明電極である。本発明の表示装置は、上述した第1電極が、透明導電性酸化膜層及び非透明導電性金属層を少なくとも含む多層構造を有し、第1電極の発光層側の最表層に、少なくともインジウムを含むアモルファス性の導電性酸化膜層を有し、非透明導電性金属層が、少なくとも銀を含む合金層を有し、トップエミッション型の構成であることが好ましい
<画素分割層>
本発明の表示装置は、画素分割層を有することが好ましい。本発明の第二の態様の表示装置は、画素分割層を有し、画素分割層は、上述した第1電極上の一部と重なるように形成されている。画素分割層は、上述した感光性組成物を硬化した硬化膜が好ましい。画素分割層が第1電極上の一部で重なるように形成されることで、任意の画素の第1電極と、その画素の後述する第2電極とを絶縁することができ、第1電極と第2電極との短絡に起因する画素非点灯を抑制できる。また、任意の画素の第1電極と、その画素と隣接する画素の第1電極とを絶縁することができ、第1電極同士の短絡に起因する画素非点灯を抑制できる。
<画素分割層が有する樹脂、化合物、着色剤、及び無機粒子>
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、少なくとも以下の(X-DL)樹脂を有することが好ましい。本発明の第二の態様の表示装置は、上述した画素分割層が、少なくとも以下の(X-DL)樹脂を有する。
(X-DL)樹脂:一般式(85)~(86)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上、及び/又は、一般式(87)~(89)のいずれかで表される末端構造からなる群より選ばれる一種類以上、を有する樹脂(以下、「画素分割層中の(X-DL)樹脂」)。
Figure 2022136981000031
一般式(85)~(89)において、Z86及びZ89は、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、又は硫黄原子を表す。R71~R84は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。R85~R89は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の脂肪族構造、炭素数4~10の脂環式構造、又は炭素数6~15の芳香族構造を表す。a、b、c、d、及びeは、0又は1である。Z86が炭素原子の場合、xは3である。Z86が窒素原子の場合、xは2である。Z86が硫黄原子の場合、xは1である。Z89が炭素原子の場合、yは3である。Z89が窒素原子の場合、yは2である。Z89が硫黄原子の場合、yは1である。*~*は、それぞれ独立して、樹脂中の結合点を表す。
これらの構造単位及び末端構造は、(GX)化合物によってポリマー末端に導入されたラジカル重合性基を含む末端構造、又は該ラジカル重合性基に由来する構造を含む構造単位である。
画素分割層が、画素分割層中の(X-DL)樹脂を有することで、表示装置における発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。画素分割層がこれらの樹脂を有することで、画素分割層に残存する上述した(B)化合物に由来する重合度の低い低分子量のポリマー、及び上述した(B)化合物に由来する未反応のラジカル重合性基を低減できる。そのため、画素分割層の低アウトガス化により、発光素子の信頼性向上に効果があると推定される。加えて、画素分割層の膜深部における上述した(B)化合物のラジカル重合性基の光硬化度を高めることができ、上述した(B)化合物に由来するポリマーを高分子量化できる。そのため、開口パターン寸法のバラツキ抑制により、発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制に効果があると考えられる。
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、さらに(I-DL)イミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する樹脂(以下、「画素分割層中の(I-DL)樹脂」)、及び/又は、(III-DL)フェノール樹脂、ポリヒドロキシスチレン、フェノール基変性エポキシ樹脂、及びフェノール基変性アクリル樹脂からなる群より選ばれる一種類以上(以下、「画素分割層中の(III-DL)樹脂」)を有することが好ましい。
画素分割層が、画素分割層中の(I-DL)樹脂及び/又は画素分割層中の(III-DL)樹脂を有することで、表示装置における発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。画素分割層中の(I-DL)樹脂は、樹脂の構造単位中にイミド構造、アミド構造、及びオキサゾール構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する樹脂が好ましい。また、画素分割層中の(I-DL)樹脂は、上述した(A1)樹脂に由来する構造を有する樹脂であることが好ましい。画素分割層中の(I-DL)樹脂は、上述した一般式(1)~(5)、及び一般式(8)~(9)、のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、一般式(1)で表される構造単位及び/又は一般式(5)で表される構造単位を有することがより好ましい。
画素分割層中の(III-DL)樹脂は、樹脂の主鎖、樹脂の側鎖及び樹脂の末端のうち少なくとも1つにアルカリ可溶性基としてフェノール性水酸基を有し、樹脂の構造単位中に芳香環骨格を含む。また、画素分割層中の(III-DL)樹脂は、上述した(A3)樹脂に由来する構造を有する樹脂であることが好ましい。画素分割層中の(III-DL)樹脂は、上述した一般式(36)、及び一般式(91)~(92)、のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、一般式(36)で表される構造単位を有することがより好ましい。
なお、画素分割層中の(I-DL)樹脂及び画素分割層中の(III-DL)樹脂は、樹脂中に含まれるフェノール性水酸基の一部が、他の樹脂や化合物と反応して架橋構造を形成していることも好ましい。
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、さらに(II-DL)一般式(24)で表される構造単位を有する樹脂(以下、「画素分割層中の(II-DL)樹脂」)を有することが好ましい。
Figure 2022136981000032
一般式(24)において、R67~R69は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。aは0又は1である。*は樹脂中の結合点を表す。
画素分割層が、画素分割層中の(II-DL)樹脂を有することで、表示装置における発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。画素分割層中の(II-DL)樹脂は、上述した(A2)樹脂に由来する構造を有する樹脂であることが好ましい。画素分割層中の(II-DL)樹脂は、上述した(1)~(5)、一般式(8)~(9)、一般式(41)、一般式(61)~(63)、及び一般式(81)~(82)、のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することが好ましく、一般式(1)~(5)、及び一般式(8)~(9)、のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することがより好ましく、一般式(1)~(5)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上を有することがさらに好ましい。
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、画素分割層中の(I-DL)樹脂及び/又は画素分割層中の(III-DL)樹脂を有する場合、さらに画素分割層中の(II-DL)樹脂を有することが好ましい。
画素分割層が、画素分割層中の(I-DL)樹脂及び/又は画素分割層中の(III-DL)樹脂を有し、さらに画素分割層中の(II-DL)樹脂を有することで、表示装置における発光素子の信頼性向上、及び発光素子の駆動電圧のバラツキ抑制の効果が顕著となる。
本発明の表示装置は、遮光性向上による表示装置のコントラスト向上、及び表示装置における発光素子の信頼性向上の観点から、上述した画素分割層が、さらに(IV-DL)リン酸エステル構造、ホスホン酸構造、ホスホン酸エステル構造、亜リン酸エステル構造、ホスフィン酸構造、ホスフィン酸エステル構造、次亜リン酸エステル構造、リン酸ベタインエステル構造、ホスホン酸ベタイン構造、ホスホン酸ベタインエステル構造、亜リン酸ベタインエステル構造、ホスフィン酸ベタイン構造、ホスフィン酸ベタインエステル構造、又は次亜リン酸ベタインエステル構造を有する化合物からなる群より選ばれる一種類以上(以下、「(IV-DL)リン酸系構造を有する化合物」)を含有することが好ましい。
(IV-DL)リン酸系構造を有する化合物は、ホスホン酸構造、ホスホン酸エステル構造、又は亜リン酸エステル構造を有する化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することがより好ましく、ホスホン酸構造を有する化合物及び/又はホスホン酸エステル構造を有する化合物を含有することがさらに好ましい。(IV-DL)リン酸系構造を有する化合物は、上述した(F0)化合物に由来する構造を有する化合物及び/又は(FB)化合物に由来する構造を有する化合物であることが好ましく、上述した(F1)化合物に由来する構造を有する化合物及び/又は(FB1)化合物に由来する構造を有する化合物であることがより好ましい。
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、さらに(D)着色剤を含有することが好ましく、(Da)黒色剤を含有することがより好ましい。本発明の第二の態様の表示装置は、上述した画素分割層が、さらに(Da)黒色剤を含有する。画素分割層が、(Da)黒色剤を含有することで、遮光性向上による表示装置のコントラスト向上、及び表示装置における発光素子の信頼性向上の効果が顕著となる。
本発明の表示装置は、上述した画素分割層が、さらに(D1a)黒色顔料を含有することが好ましい。画素分割層は、(D1a)黒色顔料が上述した特定の(D1a)黒色顔料を含有することがより好ましく、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有することがさらに好ましい。上述した画素分割層は、一般式(161)及び一般式(162)のいずれかで表される構造を有する化合物、それらの幾何異性体、それらの塩、それらの幾何異性体の塩;一般式(164)~(166)のいずれかで表される構造を有する化合物、それらの塩;一般式(168)で表される構造を有する化合物、並びにその塩、からなる群より選ばれる一種類以上を含有することも好ましい。上述した画素分割層が、一般式(161)及び一般式(162)のいずれかで表される構造を有する化合物を含有することがより好ましい。
本発明の表示装置は、遮光性向上による表示装置のコントラスト向上、及び表示装置における発光素子の信頼性向上の観点から、上述した画素分割層が、さらに一般式(141)~(147)のいずれかで表される構造を有する化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましい。画素分割層中の当該構造を有する化合物は、(B1)化合物に由来する構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の表示装置は、遮光性向上による表示装置のコントラスト向上、及び表示装置における発光素子の信頼性向上の観点から、上述した画素分割層が、さらにフルオレン構造、ベンゾフルオレン構造、ジベンゾフルオレン構造、インデン構造、インダン構造、ベンゾインデン構造、ベンゾインダン構造、カルバゾール構造、ジベンゾフラン構造、ジベンゾチオフェン構造、ベンゾカルバゾール構造、インドール構造、インドリン構造、ベンゾインドール構造、ベンゾインドリン構造、又はジフェニルスルフィド構造に、イミノ基が結合した構造、及び/又は、カルボニル基が結合した構造を有する化合物を含有することが好ましい。上述した画素分割層が、フルオレン構造、ベンゾフルオレン構造、ジベンゾフルオレン構造、ベンゾカルバゾール構造、インドール構造、又はベンゾインドール構造を有する化合物を含有することがより好ましい。画素分割層中の当該構造を有する化合物は、(C1-1)化合物に由来する構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の表示装置は、発光素子の信頼性向上の観点から、上述した画素分割層が、さらに無機粒子を含有することが好ましい。画素分割層は、無機粒子が、Si、Al、Ti、V、Zn、Zr、Nb、Sn、Li、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sr、Ag、Ba、La、Ce、Ta、W、又はReを主成分の元素に含むことが好ましく、ケイ素、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、スズ、又はセリウムを主成分の元素に含むことがより好ましく、ケイ素を主成分の元素に含むことがさらに好ましい。無機粒子における主成分の元素とは、無機粒子の構成元素において最も多く含まれる元素をいう。画素分割層は、無機粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化バナジウム粒子、酸化クロム粒子、酸化鉄粒子、酸化コバルト粒子、酸化銅粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化スズ粒子、又は酸化セリウム粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることがより好ましい。画素分割層中の無機粒子は、上述した(J)無機粒子であることが好ましい。画素分割層中のシリカ粒子は、上述した(J1)シリカ粒子であることが好ましい。
画素分割層中のシリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は5~50nmであることが好ましい。画素分割層中のシリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は、発光素子の信頼性向上の観点から、5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。一方、画素分割層中のシリカ粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径は、外光反射抑制及び発光素子の信頼性向上の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、25nm以下がさらにより好ましく、20nm以下が特に好ましく、15nm以下が最も好ましい。シリカ粒子の一次粒子径とは、シリカ粒子の一次粒子における長軸径をいう。
画素分割層中のシリカ粒子の一次粒子径は、画素分割層を薄く割断したものを測定試料として、イオンミリング処理により研磨して平滑性を高めた断面について、TEMを用いて画素分割層の表面から深さ方向に0.2~0.8μmの範囲に位置する箇所を倍率50,000倍の条件で観測した撮像を、画像解析式粒度分布測定機(Mac-View;MOUNTECH社製)を用いて測定できる。また画素分割層中のシリカ粒子の平均一次粒子径は、測定試料の断面を撮像及び解析し、画素分割層中のシリカ粒子の一次粒子30個を測定した平均値として算出できる。さらに、TEM-EDXで観測することで粒子を構成する元素を判別でき、画素分割層中のシリカ粒子の特定が可能である。
<発光層を含む有機EL層及び発光層を含む光取り出し層>
本発明の表示装置は、さらに、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層を有することが好ましい。本発明の表示装置は、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層が、上述した第1電極上、かつ上述した第1電極及び第2電極の間に形成されていることが好ましい。
本発明の第二の態様の表示装置は、さらに、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層を有し、
発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層は、上述した第1電極上、かつ上述した第1電極及び第2電極の間に形成されている。このような構成とすることで、発光画素部に相当する領域を形成できる。
有機EL層は、さらに、正孔輸送層及び/又は電子輸送層を有することが好ましく、発光層との積層構造となるように有機EL層を形成することが好ましい。有機EL層の構成としては、例えば、(1)正孔輸送層/発光層、(2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、又は、(3)発光層/電子輸送層などが挙げられる。有機EL層の構成については、正孔と電子の注入や輸送、発光層における発光効率などを総合的に高めるために種々検討されており、好ましい構成としては、例えば、特開平8-109373号公報に記載された有機EL素子などが挙げられる。
なお、本発明の表示装置は、発光層を含む有機EL層を用いた積層構造とすることで、表示装置である有機ELディスプレイを製造することができる。一方、本発明の表示装置は、発光層を含む光取り出し層を用いた積層構造とすることで、表示装置である量子ドットディスプレイ又はマイクロLEDディスプレイを製造することができる。
本発明の表示装置は、発光層を含む光取り出し層が量子ドットを含む構成である量子ドットディスプレイも好ましい。量子ドットディスプレイは、基板上に、第1電極、第2電極、画素分割層、及び発光層を含む光取り出し層を有する表示装置であって、画素分割層は、第1電極上の一部と重なるように形成され、発光層を含む光取り出し層は、第1電極上、かつ第1電極及び第2電極の間に形成された構成を有し、発光層を含む光取り出し層が量子ドットを含む構成を有する表示装置である。
本発明の表示装置は、発光層を含む光取り出し層が無機半導体を含む構成であるマイクロLEDディスプレイも好ましい。マイクロLEDディスプレイは、基板上に、第1電極、第2電極、画素分割層、及び発光層を含む光取り出し層を有する表示装置であって、画素分割層は、第1電極上の一部と重なるように形成され、発光層を含む光取り出し層は、第1電極上、かつ第1電極及び第2電極の間に形成された構成を有し、発光層を含む光取り出し層が無機半導体を含む構成を有する表示装置である。
本発明の表示装置は、発光輝度向上及び発光色純度向上の観点から、さらに、量子ドットを含むカラーフィルタを有することが好ましい。量子ドットを含むカラーフィルタを有する積層構造とする場合、量子ドットを含むカラーフィルタと重畳し、かつ量子ドットを含むカラーフィルタよりも下層に位置する発光素子は、青色光を発光する有機EL発光素子、白色光を発光する有機EL発光素子、青色光を発光するLED素子、又は白色光を発光するLED素子が好ましい。
本発明の表示装置は、複数の画素部を有することが好ましい。本発明の表示装置は、画素分割層の開口部における、上述した第1電極上、かつ、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層が形成された箇所を画素部とすることが好ましい。画素部に相当する領域は、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層が、上述した第1電極部と接する領域に相当する。本発明の表示装置は、画素部が、カラーフィルタ層及びブラックマトリックス層の開口部と重畳することが好ましい。本発明の表示装置は、同一の基板上に、第1電極、第2電極、画素分割層、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層、封止層、カラーフィルタ層、及びブラックマトリックス層を有することが好ましい。
<有機ELディスプレイの製造プロセスの模式的断面図>
本発明の感光性組成物において、(D)着色剤が(Da)黒色剤を含む場合、該組成物を硬化した硬化膜を、遮光性を有する画素分割層として具備する有機ELディスプレイの製造プロセスを例に、図1に模式的断面図を示して説明する。まず、(工程1)ガラス基板1上に、薄膜トランジスタ(以下、「TFT」)2を形成し、TFT平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させてTFT平坦化用の硬化膜3を形成する。次に、(工程2)銀‐パラジウム‐銅合金(以下、「APC」)をスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工してAPC層を形成し、さらに、APC層の上層に酸化インジウムスズ(以下、「ITO」)をスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いたエッチングによりパターン加工し、第1電極として反射電極4を形成する。その後、(工程3)本発明の感光性組成物を塗布及びプリベークして、プリベーク膜5aを形成する。次いで、(工程4)所望のパターンを有するマスク6を介して、活性化学線7を照射する。次に、(工程5)現像してパターン加工をした後、必要に応じてブリーチング露光及びミドルベークする。さらに、熱硬化させることで、遮光性を有する画素分割層として、所望のパターンを有する硬化パターン5bを形成する。その後、(工程6)EL発光材料を、マスクを介した蒸着によって成膜して有機EL層8を形成し、マグネシウム‐銀合金(以下、「MgAg」)を蒸着により成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工し、第2電極として透明電極9を形成する。次に(工程7)平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させて平坦化用の硬化膜10を形成し、その後、カバーガラス11を接合させることで、本発明の感光性組成物の硬化膜を、遮光性を有する画素分割層として具備する有機ELディスプレイを得る。
<硬化物の製造方法>
本発明の感光性組成物を用いた硬化物の製造方法は、以下の(1)~(4)の工程を有することが好ましい。
(1)基板上に、本発明の感光性組成物の塗膜を成膜する工程、
(2)該感光性組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、
(3)アルカリ溶液を用いて現像して、該感光性組成物のパターンを形成する工程、及び、
(4)該パターンを加熱して、該感光性組成物の硬化パターンを得る工程。
また、本発明の感光性組成物を用いた硬化物の製造方法は、フォトマスクが、透光部及び遮光部を含み、透光部と遮光部の間に透過率が透光部の値より低く、かつ透過率が遮光部の値より高い、半透光部を有するハーフトーンフォトマスクであることが好ましい。
なお、硬化物の製造方法としては、国際公開第2019/087985号に記載の方法を適用しても構わない。
<塗膜を成膜する工程>
本発明の感光性組成物を用いた、硬化物の製造方法は、(1)基板上に、感光性組成物の塗膜を成膜する工程、を有する。感光性組成物を成膜する方法としては、例えば、基板上に、感光性組成物を塗布する方法、又は、基板上に、感光性組成物をパターン状に塗布する方法が挙げられる。基板としては、例えば、ガラス上に、電極又は配線として、インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びガリウムから選ばれる一種類以上を含む酸化物、金属(モリブデン、銀、銅、アルミニウム、クロム、若しくはチタンなど)、又はCNT(Carbon Nano Tube)が形成された基板などが用いられる。インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、及びガリウムから選ばれる一種類以上を含む酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)が挙げられる。
<基板上に、感光性組成物を塗布する方法>
基板上に、感光性組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、又はスリットコーティングが挙げられる。塗布膜厚は、塗布方法、感光性組成物の固形分濃度や粘度などによって異なるが、通常は、塗布及びプリベーク後の膜厚が0.1~30μmである。基板上に、感光性組成物を塗布した後、プリベークして成膜することが好ましい。プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置、又はレーザーアニール装置などを使用することができる。プリベーク温度は、50~150℃が好ましい。プリベーク時間は、30秒~10分が好ましい。また、80℃で2分間プリベークした後、120℃で2分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でプリベークしても構わない。
<基板上に成膜した塗膜をパターン加工する方法>
基板上に成膜した、感光性組成物の塗膜をパターン加工する方法としては、例えば、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工する方法、又はエッチングによりパターン加工する方法が挙げられる。工程数削減、及びプロセスタイム短縮の観点から、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工する方法が好ましい。
<フォトマスクを介して活性化学線を照射する工程>
本発明の感光性組成物を用いた、硬化物の製造方法は、(2)上述した感光性組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、を有する。フォトマスクを介して活性化学線を照射する方法としては、例えば、ステッパー、スキャナー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)などの露光機を用いてパターニング露光する方法が挙げられる。
フォトマスクは、透光部及び遮光部を含むパターンを有するフォトマスクであって、該透光部と該遮光部の間に、透過率が該透光部の値より低く、かつ透過率が該遮光部の値より高い、半透光部を有するハーフトーンフォトマスクを用いることが好ましい。ハーフトーンフォトマスクを用いて露光することで、現像後に段差形状を有するパターンを形成することができる。ネガ型の感光性組成物を用いた場合、段差形状を有するパターンにおいて、該透光部を介して活性化学線を照射した露光部から形成した箇所は厚膜部に相当し、該半透光部を介して活性化学線を照射したハーフトーン部から形成した箇所は薄膜部に相当する。
活性化学線の露光波長は、150nm以上が好ましく、300nm以上がより好ましい。一方、露光波長は、450nm以下が好ましく、420nm以下がより好ましい。活性化学線は、水銀灯のj線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)、若しくはg線(波長436nm)、又は、i線、h線及びg線の混合線が特に好ましい。活性化学線として、XeF(波長351nm)レーザー、XeCl(波長308nm)レーザー、KrF(波長248nm)レーザー、又はArF(波長193nm)レーザーなどを用いても構わない。活性化学線の露光量は、i線照度値で、100J/m(10mJ/cm)~30,000J/m(3,000mJ/cm)以下が好ましい。露光後、露光後ベークをしても構わない。露光後ベークをすることで、現像後の解像度向上、又は現像条件の許容幅拡大が可能である。
<アルカリ溶液を用いて現像して、パターンを形成する工程>
本発明の感光性組成物を用いた、硬化物の製造方法は、(3)アルカリ溶液を用いて現像して、上述した感光性組成物のパターンを形成する工程、を有する。フォトマスクを介して活性化学線を照射した後、アルカリ溶液を用いて現像する方法としては、例えば、自動現像機を用いて現像する方法が挙げられる。現像方法としては、例えば、パドル現像、スプレー現像、又はディップ現像が挙げられる。ネガ型の感光性を有する場合、未露光部が現像液で除去されたパターンを形成でき、ポジ型の感光性を有する場合、露光部が現像液で除去されたパターンを形成できる。
現像液は、アルカリ溶液が好ましく、有機系のアルカリ溶液、又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。アルカリ溶液としては、例えば、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、又は水酸化テトラエチルアンモニウムが挙げられる。現像液は、有機溶媒を用いても構わない。現像液は、有機溶媒と感光性組成物に対する貧溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。アルカリ溶液のアルカリ濃度は、0.01~5質量%が好ましい。現像時間は、30秒~10分が好ましい。現像後、得られたパターンをリンス液で洗浄することが好ましい。リンス液は、現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合、水が好ましい。リンス液は、アルコール類の水溶液、エステル類の水溶液、酸性を示す化合物の水溶液、又は有機溶媒を用いても構わない。現像後、現像後露光をしても構わない。現像後露光をすることで、熱硬化後の解像度向上、熱硬化後のパターン形状制御、及び熱硬化後の段差形状を有するパターン形成が可能である。また、現像後、ミドルベークをしても構わない。ミドルベークをすることで、熱硬化後の解像度向上、及び熱硬化後のパターン形状制御が可能である。
<パターンを加熱して、硬化パターンを得る工程>
本発明の感光性組成物を用いた、硬化物の製造方法は、(4)上述した感光性組成物のパターンを加熱して硬化させ、上述した感光性組成物の硬化パターンを得る工程、を有する。感光性組成物のパターンを加熱する方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置、又はレーザーアニール装置を用いて加熱する方法が挙げられる。感光性組成物のパターンを加熱して熱硬化させることで、硬化膜の耐熱性を向上できるとともに、低テーパー形状のパターンを形成できる。熱硬化させる温度は、150~500℃が好ましい。熱硬化させる時間は、5~300分が好ましい。また、150℃で30分間熱硬化させた後、250℃で30分間熱硬化させるなど、二段又はそれ以上の多段で熱硬化させても構わない。熱硬化させる処理雰囲気としては、例えば、空気、酸素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン若しくはキセノン雰囲気下、酸素を1~10,000ppm(0.0001~1質量%)含有するガス雰囲気下、又は、真空下が挙げられる。
以下に実施例、参考例、及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。なお、以下実施例の説明または表で用いた化合物のうち略語を使用しているものについて、名称を以下に示す。
6FDA:4,4’-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル-ビス(1,2-フタル酸無水物)
ADP:三級アミノ基、一般式(26)で表される構造、一般式(29)で表される構造、及びポリオキシアルキレン構造を有する(E1)塩基性基を有する分散剤(アミン価:20mgKOH/g(固形分濃度:100質量%))
APC:Argentum‐Palladium‐Cupper(銀‐パラジウム‐銅合金)
BAHF:2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
BAPF:9,9-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン
BGPF:9,9-ビス(4-グリシドキシフェニル)フルオレン
BnMA:メタクリル酸ベンジル
Bk-A1103:一般式(168)で表される化合物;“CHROMOFINE”(登録商標) BLACK A1103(大日精化工業社製;一次粒子径50~100nmのアゾ系黒色顔料)
Bk-CBF1:一般式(161)で表される化合物及び一般式(162)で表される化合物の混合物;表面被覆ベンゾフラノン系黒色顔料((DC-1)シリカ被覆層:シリカ(黒色顔料100質量部に対して、SiO換算値で10.0質量部);(DC-2)金属酸化物被覆層:アルミナ(黒色顔料100質量部に対して、Al換算値で2.0質量部);黒色顔料に対する被覆層の平均被覆率:97.5%)
Bk-CBF2:一般式(165)で表される化合物及び一般式(166)で表される化合物の混合物;表面被覆ペリレン系黒色顔料((DC-1)シリカ被覆層:シリカ+シリカ((DC-1)シリカ被覆層が二層;黒色顔料100質量部に対して、SiO換算値で3.0+7.0質量部);黒色顔料に対する被覆層の平均被覆率:84.5%)
Bk-FK4280:一般式(165)で表される化合物及び一般式(166)で表される化合物の混合物;“LUMOGEN”(登録商標)BLACK FK4280(BASF社製;一次粒子径50~100nmのペリレン系黒色顔料)
Bk-S0084:一般式(164)で表される化合物;“PALIOGEN”(登録商標) BLACK S0084(BASF社製;一次粒子径50~100nmのペリレン系黒色顔料)
Bk-S0100CF:一般式(161)で表される化合物及び一般式(162)で表される化合物の混合物;“IRGAPHOR”(登録商標) BLACK S0100CF(BASF社製;一次粒子径40~80nmのベンゾフラノン系黒色顔料)
cyEpoTMS:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
GMA:メタクリル酸グリシジル
HA:下記式で表されるヒドロキシ基含有ジアミン化合物
HAD:ホルムアルデヒド
HST:4-ヒドロキシスチレン
ITO:酸化インジウムスズ
MAA:メタクリル酸
MAP:m-アミノフェノール
MBA:3-メトキシ-n-ブチルアセテート
MCS:m-クレゾール
MEK:メチルエチルケトン
MEK-ST-40:メチルエチルケトンを分散溶媒に用いたシリカ粒子分散液(日産化学工業社製)
MEK-ST-L:メチルエチルケトンを分散溶媒に用いたシリカ粒子分散液(日産化学工業社製)
MeTMS:メチルトリメトキシシラン
MgAg:Magnesium‐Argentum(マグネシウム‐銀合金)
MOI:2-メタクリロキシエチルイソシアネート
MOP:4-メトキシフェノール
NA:5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物
NC-3500:ビフェニル骨格、ベンゼン骨格、及び2つのエポキシ基を含む構造単位を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製)
ODB-HBT:ビス(4-カルボキシフェニル)エーテルと、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾールとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物
ODPA:オキシジフタル酸二無水物
P.B.60:C.I.ピグメントブルー60(インダントロン系青色顔料)
P.R.179:C.I.ピグメントレッド179(ペリレン系赤色顔料)
P.Y.192:C.I.ピグメントイエロー192(イミダゾロン系黄色顔料)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PHA:フタル酸無水物
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン
SiDA:1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
STR:スチレン
TCDM:メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル;メチロール-トリシクロデカンメタアクリレート
THPHA:1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TMAC:無水トリメリット酸クロリド
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム
TMOS:テトラメトキシシラン
ZCR-1569H:ビフェニル骨格及びベンゼン骨格を含む構造単位を有する酸変性エポキシ樹脂(日本化薬社製;酸当量:570g/mol、二重結合当量:500g/mol)。
<各樹脂の合成例>
(A)アルカリ可溶性樹脂として、合成例1~14で得られた各樹脂の組成を、まとめて表1-1~表1-2に示す。各樹脂は以下の文献に記載の方法に基づき、公知の方法により合成した。
合成例1及び2は、国際公開第2017/057281号の段落[0544]の合成例1に記載の方法。
合成例4は、国際公開第2017/057281号の段落[0548]の合成例15に記載の方法。
合成例5は、国際公開第2017/057281号の段落[0546]の合成例12に記載の方法。
合成例9は、国際公開第2017/057281号の段落[0553]の合成例30に記載の方法。
合成例10は、国際公開第2017/057281号の段落[0563]の合成例45に記載の方法。
合成例3は、国際公開第2017/159876号の段落[0726]の合成例6に記載の方法。
合成例11は、国際公開第2017/159876号の段落[0744]の合成例25に記載の方法。
合成例12は、国際公開第2017/159876号の段落[0739]の合成例20に記載の方法。
合成例13は、国際公開第2017/159876号の段落[0740]の合成例21に記載の方法。
合成例14は、国際公開第2017/159876号の段落[0742]の合成例23に記載の方法。
合成例6は、国際公開第2017/057143号の段落[0161]の合成例9に記載の方法。
合成例7及び8は、国際公開第2018/159384号の段落[0160]の合成例9に記載の方法。
なお、合成例3及び8は、国際公開第2017/159876号の段落[0726]の合成例6に記載の方法に基づき、エチレン性不飽和二重結合基を導入した。
合成例12は、国際公開第2017/159876号の段落[0739]の合成例20に記載の方法に基づき、エチレン性不飽和二重結合基を導入した。
合成例11において、エポキシ基を有するNC-3500に対して、不飽和カルボン酸を反応させており、NC-3500由来のエポキシ基に対して全て開環付加させた。
合成例12において、エポキシ基を有するGMAを反応させており、GMAのエポキシ基を全て開環付加させた。
酸変性エポキシ樹脂(AE-1)は、市販の樹脂であるZCR-1569Hを使用した。
合成例4で使用した下記構造のヒドロキシ基含有ジアミンである(HA)は、国際公開第2016/056451号に記載の方法に基づき、公知の方法により合成した。
Figure 2022136981000033
Figure 2022136981000034
Figure 2022136981000035
<各顔料分散液の調製例>
顔料分散液として、調製例1~7で得られた各分散液の組成を、まとめて表2-1に示す。調製例1~7は、国際公開第2019/087985号に記載の方法に基づき、各顔料分散液を公知の方法により調製した。なお、調製例6で使用した表面被覆ベンゾフラノン系黒色顔料(Bk-CBF1)及び調製例7で使用した表面被覆ペリレン系黒色顔料(Bk-CBF2)は、国際公開第2019/087985号に記載の方法に基づき、公知の方法により合成した。また、調製例1~7で使用したポリアルキレンアミン系-ポリオキシアルキレンエーテル系分散剤(ADP)は、一般式(26)で表される構造、一般式(29)で表される構造、及びポリオキシアルキレン構造を有する(E1)塩基性基を有する顔料分散剤である。調製例1~7で使用したADPは、特開2020-070352号公報に記載の方法に基づき、公知の方法により合成した。
Figure 2022136981000036
合成例15 シリカ粒子(SP-1)分散液の合成
三口フラスコに、溶剤としてMEKを104.5g、ナトリウム元素を含有するシリカ粒子分散液としてMEK-ST-40を142.5g、重合禁止剤としてMOPを0.01g秤量して添加して混合し、10分間攪拌した後、液温を50℃に昇温した。次いで、表面修飾剤として、3.0gのKBM-503を50.0gのMEKに溶解させた溶液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で2時間攪拌して表面修飾剤を脱水縮合させた。反応後、反応溶液を室温に冷却し、シリカ粒子(SP-1)分散液を得た。得られたシリカ粒子(SP-1)は、ラジカル重合性基としてメタクリロイル基を含む表面修飾基を有する。
シリカ粒子として、合成例15で得られたシリカ粒子分散液及び市販のシリカ粒子分散液の組成を、まとめて表2-2に示す。なおシリカ粒子(SP-2)分散液は、市販のシリカ粒子分散液であるMEK-ST-40を使用した。シリカ粒子(SP-3)分散液は、市販のシリカ粒子分散液であるMEK-ST-Lを使用した。
Figure 2022136981000037
<各実施例、参考例、及び比較例における評価方法>
各実施例、参考例、及び比較例における評価方法を以下に示す。
(1)樹脂の重量平均分子量
GPC分析装置(HLC-8220;東ソー社製)を用い、流動層としてテトラヒドロフラン又はN-メチルピロリドンを用いて、「JIS K7252-3(2008)」に基づき、常温付近での方法によりポリスチレン換算の重量平均分子量を測定して求めた。
(2)酸当量、メチロール当量
電位差自動滴定装置(AT-510;京都電子工業社製)を用い、滴定試薬として0.1mol/Lの水酸化ナトリウム/エタノール溶液、滴定溶剤としてキシレン/N,N-ジメチルホルムアミド=1/1(質量比)を用いて、「JIS K2501(2003)」に基づき、電位差滴定法により、酸価(単位はmgKOH/g)を測定して求めた。測定した酸価の値から、酸当量(単位はg/mol)を算出した。なお、メチロール当量は、メチロール基をアセチル化した試料を調製し、同様に電位差滴定法によって測定したメチロール価から、メチロール当量(単位はg/mol)を算出した。
(3)二重結合当量
電位差自動滴定装置(AT-510;京都電子工業社製)を用い、ヨウ素供給源として一塩化ヨウ素溶液(三塩化ヨウ素=7.9g、ヨウ素=8.9g、酢酸=1,000mLの混合溶液)、未反応ヨウ素の捕捉水溶液として100g/Lのヨウ化カリウム水溶液、滴定試薬として0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて、JIS K0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価、及び不けん化物の試験方法」の「第6項よう素価」に記載の方法に基づき、ウィイス法により、樹脂のヨウ素価を測定した。測定したヨウ素価(単位はgI/100g)の値から、二重結合当量(単位はg/mol)を算出した。
(4)顔料の数平均粒子径
ゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(ゼータサイザーナノZS;シスメックス社製)を用い、希釈溶媒としてPGMEAを用いて、顔料分散液を1.0×10-5~40体積%の濃度に希釈し、希釈溶媒の屈折率をPGMEAの屈折率に、測定対象の屈折率を1.6に設定して、波長633nmのレーザー光を照射して顔料分散液中の顔料の数平均粒子径を測定した。
(5)基板の前処理
ガラス上に、APC(銀/パラジウム/銅=98.07/0.87/1.06(質量比))をスパッタにより100nm成膜し、さらに、APC層の上層に、ITOをスパッタにより10nm成膜したガラス基板(ジオマテック社製;以下、「ITO/Ag基板」)は、卓上型光表面処理装置(PL16-110;セン特殊光源社製)を用いて、100秒間UV-O3洗浄処理をして使用した。テンパックスガラス基板(AGCテクノグラス社製)は、前処理をせずに使用した。
(6)膜厚測定
表面粗さ・輪郭形状測定機(SURFCOM1400D;東京精密社製)を用いて、測定倍率を10,000倍、測定長さを1.0mm、測定速度を0.30mm/sとして、膜厚を測定した。
(7)感度
下記、実施例1記載の方法で、組成物の現像後膜を作製した。FPD/LSI検査顕微鏡(OPTIPHOT-300;ニコン社製)を用いて、作製した現像後膜の解像パターンを観察した。感度の指標として、20μmのライン・アンド・スペースパターンにおいて、開口部に相当するスペースパターンを18μmの寸法幅にて形成できる露光量(i線照度計の値)を感度とした。下記のように判定し、感度が90mJ/cm以下となる、A+、A、B+、B、C+及びCを合格とし、感度が60mJ/cm以下となる、A+、A、B+、及びBを良好とし、感度40mJ/cm以下となる、A+及びAを優秀とした。
A+:感度が30mJ/cm以下
A:感度が30mJ/cmを超え、かつ40mJ/cm以下
B+:感度が40mJ/cmを超え、かつ50mJ/cm以下
B:感度が50mJ/cmを超え、かつ60mJ/cm以下
C+:感度が60mJ/cmを超え、かつ75mJ/cm以下
C:感度が75mJ/cmを超え、かつ90mJ/cm以下
D:感度が90mJ/cmを超え、かつ150mJ/cm以下
E:感度が150mJ/cmを超過。
(8)パターン寸法バラツキ
下記、実施例1記載の方法で、ITO/Ag基板上に組成物のプリベーク膜を4.4μmの膜厚で成膜し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学社製)を用いて、ハーフトーン特性評価用のハーフトーンフォトマスクを介して、露光量を変えて超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、及びg線(波長436nm)でパターニング露光し、フォトリソ用小型現像装置(AD-1200;滝沢産業社製)を用いて現像して組成物の現像後膜を作製した。パターン寸法バラツキ評価に用いたハーフトーンフォトマスクの、透光部、遮光部、及び半透光部の配置、並びに、寸法の概略図を、図3に示す。ハーフトーンフォトマスクは、透光部、遮光部、及び半透光部を有する。また、ライン形状の透光部と、四角形形状の遮光部とを有する。透光部が半透光部に隣接しており、かつ遮光部が半透光部に隣接しており、遮光部が隣接する半透光部に囲まれている。遮光部は、幅30μm及び長さ60μmの遮光部が、幅方向にピッチ90μm及び長さ方向にピッチ150μmで配置されている。半透光部と透光部は、幅30μmの遮光部と遮光部との間の60μm(ピッチ90μm-幅30μm=60μm)において、透光部20μmが配置されているとともに、遮光部に隣接する半透光部20μmが透光部の両側に配置されている。また、長さ60μmの遮光部と遮光部との間の90μm(ピッチ150μm-長さ60μm=90μm)において、透光部30μmが配置されているとともに、遮光部に隣接する半透光部30μmが透光部の両側に配置されている。
FPD/LSI検査顕微鏡(OPTIPHOT-300;ニコン社製)を用いて、作製した現像後膜の段差形状を有する解像パターンを観察した。ハーフトーン露光部である半透光部の透過率(%THT)%が、透光部の透過率(%TFT)の20%、25%、又は30%となる箇所を観察した。段差形状を有する解像パターンにおいて、マスク寸法が幅30μmの遮光部から形成された開口パターンの開口寸法(CDDEV)μmを測長した。なお、ハーフトーン露光部である半透光部の露光量は、半透光部から形成された薄膜部の現像後の膜厚が、2.0μmとなる露光量とした。同様の方法で、同一基板の面内で4点の開口パターンの開口寸法(CDDEV)μmを測長した。パターン寸法バラツキの指標として、4点の開口パターンの開口寸法(CDDEV)μmの標準偏差σを算出した。下記のように判定し、開口寸法の標準偏差σが0.75以下となる、A+、A、B+、B、C+及びCを合格とし、開口寸法の標準偏差σが0.50以下となる、A+、A、B+及びBを良好とし、開口寸法の標準偏差σが0.30以下となる、A+及びAを優秀とした。
A+:開口寸法の標準偏差σが0.25以下
A:開口寸法の標準偏差σが0.25を超え、かつ0.30以下
B+:開口寸法の標準偏差σが0.30を超え、かつ0.40以下
B:開口寸法の標準偏差σが0.40を超え、かつ0.50以下
C+:開口寸法の標準偏差σが0.50を超え、かつ0.63以下
C:開口寸法の標準偏差σが0.63を超え、かつ0.75以下
D:開口寸法の標準偏差σが0.75を超え、かつ1.00以下
E:開口寸法の標準偏差σが1.00を超過。
(9)ハーフトーン特性
下記、実施例1記載の方法で、ITO/Ag基板上に組成物のプリベーク膜を5μmの膜厚で成膜し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学社製)を用いて、ハーフトーン特性評価用のハーフトーンフォトマスクを介して、露光量を変えて超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、及びg線(波長436nm)でパターニング露光し、フォトリソ用小型現像装置(AD-1200;滝沢産業社製)を用いて現像して組成物の現像後膜を作製した。ハーフトーンフォトマスクは、透光部、遮光部、及び、透光部と遮光部の間に半透光部を有するフォトマスクを用いた。半透光部の透過率(%THT)%がそれぞれ、透光部の透過率(%TFT)の20%、25%、30%、35%、40%、又は50%である箇所を有する。透光部と半透光部は隣接しており、半透光部と遮光部は隣接している。ハーフトーンフォトマスクの一例として、透光部、遮光部、及び半透光部の配置、並びに、寸法の一例を、図2に示す。
作製した現像後膜の段差形状を有する解像パターンについて、透光部から形成された厚膜部の現像後の膜厚(TFT)μmを測定した。ハーフトーン露光部である半透光部から形成された薄膜部は、透過率の異なる箇所の現像後の膜厚(THT)μmを測定し、現像後に残膜した薄膜部の最小膜厚(THT/min)μmを求めた。ハーフトーン特性の指標として、最大段差膜厚((TFT)-(THT/min))μmを算出した。下記のように判定し、最大段差膜厚が0.4μm以上となる、A+、A、B+、B、C+及びCを合格とし、最大段差膜厚が1.0μm以上となる、A+、A、B+及びBを良好とし、最大段差膜厚が2.0μm以上となる、A+及びAを優秀とした。
A+:段差形状における最大段差膜厚が2.5μm以上
A:段差形状におけるパターンの最大段差膜厚が2.0μm以上、かつ2.5μm未満
B+:段差形状における最大段差膜厚が1.5μm以上、かつ2.0μm未満
B:段差形状における最大段差膜厚が1.0μm以上、かつ1.5μm未満
C+:段差形状における最大段差膜厚が0.7μm以上、かつ1.0μm未満
C:段差形状における最大段差膜厚が0.4μm以上、かつ0.7μm未満
D:段差形状における最大段差膜厚が0.1μm以上、かつ0.4μm未満
E:段差形状における最大段差膜厚が0.1μm未満、又は現像後に残膜せず測定不能。
(10)遮光性(光学濃度値(以下、「OD値」))
下記、実施例1記載の方法で、テンパックスガラス基板上に組成物の熱硬化膜を作製した。透過濃度計(X-Rite 361T(V);X-Rite社製)を用いて、作製した熱硬化膜の面内3箇所における入射光強度(I)及び透過光強度(I)をそれぞれ測定した。遮光性の指標として、膜厚1μm当たりのOD値を下記式により算出し、面内3箇所におけるOD値の平均値を算出した。
OD値=log10(I/I)。
(11)発光素子の発光特性(電流密度-電圧特性、及び信頼性)
<有機ELディスプレイの作製方法>
図4に、使用した基板の概略図を示す。まず、38×46mmの無アルカリガラス基板47に、非透明導電性金属層としてAPC(銀/パラジウム/銅=98.07/0.87/1.06(質量比))をスパッタにより100nm成膜し、エッチングによりパターン加工してAPC層を形成した。さらに、APC層の上層に透明導電性酸化膜層としてアモルファス性のITOをスパッタにより10nm成膜し、エッチングにより、第1電極48として反射電極を形成した。また、第2電極を取り出すため補助電極49も同時に形成した(図4(工程1))。得られた基板を“セミコクリーン”(登録商標)56(フルウチ化学社製)で10分間超音波洗浄し、超純水で洗浄した。次に、この基板上に、組成物を実施例1に記載された方法で塗布及びプリベークし、所定のパターンを有するフォトマスクを介してパターンニング露光、現像及びリンスした後、加熱し熱硬化させた。以上の方法で、幅70μm及び長さ260μmの開口部が、幅方向にピッチ155μm及び長さ方向にピッチ465μmで配置され、それぞれの開口部が第1電極を露出せしめる形状の画素分割層50を、基板有効エリアに限定して形成した(図4(工程2))。なお、この開口部が、最終的に有機ELディスプレイの発光画素となる。また、基板有効エリアは、16mm四方であり、画素分割層50の厚さは、約1.0μmで形成した。
次に、第1電極48、補助電極49及び画素分割層50を形成した基板を用いて、有機ELディスプレイの作製を行った。前処理として、窒素プラズマ処理を行った後、真空蒸着法により、発光層を含む有機EL層51を形成した(図4(工程3))。なお、蒸着時の真空度は、1×10-3Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、正孔注入層として、化合物(HT-1)を10nm、正孔輸送層として、化合物(HT-2)を50nm蒸着した。次に、発光層に、ホスト材料として、化合物(GH-1)とドーパント材料として、化合物(GD-1)を、ドープ濃度が10%になるように40nmの厚さに蒸着した。その後、電子輸送材料として、化合物(ET-1)と化合物(LiQ)を、体積比1:1で40nmの厚さに積層した。なお、有機EL層で用いた化合物(化合物(HT-1)、化合物(HT-2)、化合物(GH-1)、化合物(GD-1)、化合物(ET-1)、及び化合物(LiQ))は、国際公開第2017/057281号に記載のものと同一化合物を用いた。
次に、化合物(LiQ)を2nm蒸着した後、MgAg(マグネシウム/銀=10/1(体積比))を10nm蒸着して第2電極52とし、透明電極を形成した(図4(工程4))。その後、低湿窒素雰囲気下、エポキシ樹脂系接着剤を用いて、キャップ状ガラス板を接着することで封止をし、1枚の基板上に5mm四方のトップエミッション型有機ELディスプレイを4つ作製した。なお、ここでいう膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
<駆動電圧バラツキ評価>
上述した方法で作製した有機ELディスプレイを、低電圧側から順次電圧値を変え、電流密度が30mA/cmとなるまで直流駆動にて発光させた。低電圧側から順次電圧値を変えた場合における電圧値及び電流密度をプロットし、電流密度-電圧特性として電流密度が10mA/cmとなる駆動電圧を求めた。同様の方法で、作製した4つの有機ELディスプレイにおける、電流密度が10mA/cmとなる駆動電圧を求めた。駆動電圧バラツキの指標として、4つの有機ELディスプレイの駆動電圧の標準偏差σを3倍した値である、駆動電圧の3σを算出した。下記のように判定し、駆動電圧の3σが0.45以下となる、A+、A、B+、B、C+及びCを合格とし、駆動電圧の3σが0.30以下となる、A+、A、B+及びBを良好とし、駆動電圧の3σが0.18以下となる、A+及びAを優秀とした。
A+:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.15以下
A:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.15を超え、かつ0.18以下
B+:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.18を超え、かつ0.24以下
B:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.24を超え、かつ0.30以下
C+:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.30を超え、かつ0.38以下
C:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.38を超え、かつ0.45以下
D:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.45を超え、かつ0.60以下
E:所定の電流密度となる駆動電圧の3σが0.60を超過。
<信頼性評価>
上述した方法で作製した有機ELディスプレイを、10mA/cmで直流駆動にて発光させ、非発光領域や輝度ムラなどの発光不良がないかを観察した。また、耐久性試験として、80℃で500時間保持した。耐久性試験後、有機ELディスプレイを10mA/cmで直流駆動にて発光させて発光特性に変化がないかを観察し、耐久性試験前の発光領域面積を100%とした場合における、耐久性試験後の発光領域面積を測定した。下記のように判定し、発光領域面積が80%以上となる、A+、A、B+、B、C+及びCを合格とし、発光領域面積が90%以上となる、A+、A、B+及びBを良好とし、発光領域面積が97%以上となる、A+及びAを優秀とした。
A+:耐久性試験後の発光領域面積が100%
A:耐久性試験後の発光領域面積が97%以上、かつ100%未満
B+:耐久性試験後の発光領域面積が94%以上、かつ97%未満
B:耐久性試験後の発光領域面積が90%以上、かつ94%未満
C+:耐久性試験後の発光領域面積が85%以上、かつ90%未満
C:耐久性試験後の発光領域面積が80%以上、かつ85%未満
D:耐久性試験後の発光領域面積が60%以上、かつ80%未満
E:耐久性試験後の発光領域面積が60%未満。
<各実施例、参考例、及び比較例で使用した化合物>
各実施例、参考例、及び比較例で使用した(F1)化合物、(FB1)化合物、(FC1)化合物、(FT)化合物、(GX)化合物、及び(GY)化合物の一覧と物性値を、まとめて表2-3~表2-5に示す。(FB1)化合物である(fb-1)の組成比についても、表2-4に示す。
Figure 2022136981000038
Figure 2022136981000039
Figure 2022136981000040
各合成例で得られた樹脂、並びに、各実施例、参考例、及び比較例で使用した樹脂について、各樹脂はそれぞれ以下の構造単位を有する。
ポリイミド(PI-1)~(PI-3)は、一般式(1)で表される構造単位。なお(PI-3)は、エチレン性不飽和二重結合基も有する。
ポリイミド前駆体(PIP-1)は、一般式(3)で表される構造単位。なお(PIP-1)における、アミド酸構造単位、アミド酸エステル構造単位、アミド酸アミド構造単位、及びイミド閉環構造単位の含有比率の合計に占める、アミド酸エステル構造単位の含有比率は65mol%であり、アミド酸構造単位の含有比率は25mol%であり、イミド閉環構造単位の含有比率は10mol%である。
ポリベンゾオキサゾール(PB-1)は、一般式(2)で表される構造単位。
ポリベンゾオキサゾール前駆体(PBP-1)は、一般式(4)で表される構造単位。
ポリアミドイミド(PAI-1)及び(PAI-2)は、一般式(5)で表される構造単位。なお(PAI-2)は、エチレン性不飽和二重結合基も有する。
ポリシロキサン(PS-1)は、一般式(8)で表される構造単位及び一般式(9)で表される構造単位。
多環側鎖含有樹脂(CR-1)は、一般式(44)で表される構造を含む一般式(41)で表される構造単位。なお(CR-1)は、エチレン性不飽和二重結合基も有する。
酸変性エポキシ樹脂(AE-1)及び(AE-2)は、一般式(66)で表される構造を含む一般式(61)で表される構造単位。なお(AE-1)及び(AE-2)は、エチレン性不飽和二重結合基も有する。
アクリル樹脂(AC-1)は、一般式(81)で表される構造単位及び一般式(82)で表される構造単位。なお(AC-1)は、エチレン性不飽和二重結合基も有する。
フェノール樹脂(PR-1)は一般式(36)で表される構造単位。
ポリヒドロキシスチレン(PHS-1)は、一般式(91)で表される構造単位。
各実施例、参考例、及び比較例における略語に対応する名称を以下に示す。また、各実施例、参考例、及び比較例で使用した化合物として、(b-1)~(b-6)、(c-1)~(c-4)、(f-1)~(f-2)、(ft-1)、(gx-1)~(gx-8)、(gh-1)~(gh-4)、(gz-1)~(gz-4)、(gt-1)、(g-1)~(g-2)、(h-1)~(h-4)、(i-1)、及び(NQD-1)の構造を以下に示す。
(d-1):Bk-S0100CF
(d-2):Bk-S0084
(d-3):Bk-FK4280
(d-4):Bk-A1103
(d-5):P.R.179/P.Y.192/P.B.60の混合物
(d-6):Bk-CBF1
(d-7):Bk-CBF2
(e-1):ADP。
Figure 2022136981000041
Figure 2022136981000042
Figure 2022136981000043
Figure 2022136981000044
<実施例1>
表3に記載の組成にて、組成物1を調製した。まず、(D)着色剤を含まない調合液を調製した後、顔料分散液と調合液とを混合して、組成物を調製した。溶剤として、PGMEA/EDM/MBA=60/20/20(質量比)を用いて、組成物の固形分濃度が15質量%となるように調製した。なお、得られた組成物の溶液は、0.45μmφのフィルターで濾過して使用した。
<組成物の熱硬化膜の作製>
調製した組成物1を、ITO/Ag基板上にスピンコーター(MS-A100;ミカサ社製)を用いて任意の回転数でスピンコーティングにより塗布した後、ブザーホットプレート(HPD-3000BZN;アズワン社製)を用いて120℃で120秒間プリベークし、膜厚約1.8μmのプリベーク膜を作製した。作製したプリベーク膜を、フォトリソ用小型現像装置(AD-1200;滝沢産業社製)を用いて、2.38質量%TMAH水溶液でスプレー現像し、プリベーク膜(未露光部)が完全に溶解する時間(Breaking Point;以下、「BP」)を測定した。
上述の方法と同様にプリベーク膜を作製し、作製したプリベーク膜を、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学社製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International社製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、及びg線(波長436nm)でパターニング露光した。露光量は、20μmのライン・アンド・スペースパターンにおいて、開口部に相当するスペースパターンを18μmの寸法幅にて形成できる露光量(i線照度計の値)とした。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD-1200;滝沢産業社製)を用いて、2.38質量%TMAH水溶液で現像し、水で30秒間リンスして組成物1の現像後膜を作製した。現像時間は、BP+20秒とした。現像後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム社製)を用いて、250℃で熱硬化させ、膜厚約1.2μmの組成物1の熱硬化膜を作製した。熱硬化条件は、窒素雰囲気下、250℃で60分間熱硬化させた。
核磁気共鳴分光分析、赤外分光分析、及び飛行時間型二次イオン質量分析などの方法で熱硬化膜を分析し、熱硬化膜中に含まれる樹脂の構造単位及び化合物の構造を分析した。上述の方法で組成物1を硬化した熱硬化膜は、以下の樹脂及び化合物を含有することを確認した。すなわち、組成物1を硬化した熱硬化膜は、組成物1が含有する各構成成分に由来する構造を有する化合物を含有する。
画素分割層中の(I-DL)樹脂:一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂。
画素分割層中の(II-DL)樹脂:一般式(24)で表される構造単位を有する樹脂。
画素分割層中の(III-DL)樹脂:一般式(36)で表される構造単位を有する樹脂。
画素分割層中の(X-DL)樹脂:一般式(85)で表される構造単位を有する樹脂、一般式(87)で表される末端構造を有する樹脂、及び一般式(88)で表される末端構造を有する樹脂。
(IV-DL)リン酸系構造:ホスホン酸エステル構造を有する化合物。
(B1)化合物に由来する構造:一般式(141)で表される構造を有する化合物。
(C1-1)化合物に由来する構造:ベンゾカルバゾール構造を有する化合物。
(D1a)黒色顔料:(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、かつ一般式(161)で表される構造を有する顔料。
<実施例2~90、及び比較例1~12>
実施例1と同様に、組成物2~102を表3~表10に記載の組成にて調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様に、基板上に組成物を成膜して感光特性、硬化膜特性、及び発光特性の評価を行った。これらの評価結果を、まとめて表3~表10に示す。なお、比較しやすくするため、表4-1、表5、及び表9には実施例1の組成及び評価結果、表4-2には実施例1、及び15の組成及び評価結果、表6には実施例1、14、及び16の組成及び評価結果、表7には実施例14の組成及び評価結果、表8には実施例1、及び61の組成及び評価結果、並びに、表10には実施例76の組成及び評価結果をそれぞれ記載した。
表3において、(A)アルカリ可溶性樹脂として(A1)樹脂、(A2)樹脂、及び(A3)樹脂からなる群より選ばれる一種類以上を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。表4-1及び表4-2において、(GX)化合物、(GY)化合物、及び(G1)化合物からなる群より選ばれる一種類以上を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。表5において、(B)化合物、(C)感光剤、及び(C1-1)化合物からなる群より選ばれる一種類以上を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。表6において、(D1a)黒色顔料の種類を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。なお実施例74~75は、(D)着色剤及び(E)分散剤を含有しない組成物にて、各種特性の評価をした。表7において、ネガ型の感光性を有し、(GX)化合物の種類を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。また、ポジ型の感光性を有し、(C)感光剤及び/又は(GX)化合物の種類を変えた組成物、又は、ポジ型の感光性を有し、(D)着色剤及び(E)分散剤の含有有無を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。表9において、(H)架橋剤又は(J)無機粒子を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。
表8において、比較例1~6はネガ型の感光性を有し、(GX)化合物を含有しない組成物にて、各種特性の評価をした。比較例7~12はポジ型の感光性を有し、(GX)化合物を含有しない組成物にて、各種特性の評価をした。
表10において、塩素元素、臭素元素、硫黄元素、又はリン元素を含む添加剤を変えた組成物にて、各種特性の評価をした。なお表10は、塩素元素、臭素元素、硫黄元素、又はリン元素の含有量を記載の上、発光特性に関して、信頼性及び電流密度-電圧特性発光特性の評価結果をまとめた。
なおポジ型の感光性を有する組成物を用いた場合の現像時間は60秒、90秒、又は120秒とし、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International社製)を用いて、20μmのライン・アンド・スペースパターンにおいて、開口部に相当するスペースパターンを18μmの寸法幅にて形成できる最適露光量(i線照度計の値)を求めた。またポジ型の感光性を有する組成物を用いた場合、熱硬化条件は、窒素雰囲気下、200℃で60分間熱硬化させた。
塩素元素、臭素元素、硫黄元素、又はリン元素の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィーによって測定した。組成物を分析装置の燃焼管内で燃焼・分解させ、発生したガスを吸収液に吸収後、吸収液の一部をイオンクロマトグラフィーにより分析した。
<燃焼・吸収条件>
システム:AQF-2100H、GA-210(三菱化学社製)
電気炉温度:Inlet 900℃, Outlet 1000℃
ガス:Ar/O 200mL/min, O 400mL/min
吸収液:H 0.1%
吸収液量:5mL
<イオンクロマトグラフィー・アニオン分析条件>
システム:ICS1600(DIONEX社製)
移動相:2.7mmol/L NaCO, 0.3mmol/L NaHCO
流速:1.50mL/min
検出器:電気伝導度検出器
注入量:100μL。
各実施例及び比較例の元素含有量を以下に記載する。元素含有量の記載が無いものは、当該元素が検出されなかったことを示す。
実施例32の硫黄元素含有量は741ppm、実施例33の硫黄元素含有量は771ppm、実施例34の硫黄元素含有量は768ppm、実施例35の硫黄元素含有量は1,151ppm、実施例38の硫黄元素含有量は213ppm、実施例45の硫黄元素含有量は586ppm、実施例47の硫黄元素含有量は112ppm、実施例62の硫黄元素含有量は316ppm、実施例63~66の硫黄元素含有量は309ppm、実施例69の硫黄元素含有量は218ppm、実施例70~73の硫黄元素含有量は212ppm、比較例2の硫黄元素含有量は214ppm、比較例8の硫黄元素含有量は332ppm、比較例10の硫黄元素含有量は335ppm、比較例12の硫黄元素含有量は231ppmであった。
また、実施例40のリン元素含有量は71ppm、実施例41のリン元素含有量は39ppm、実施例42のリン元素含有量は18ppm、実施例43のリン元素含有量は132ppmであった。
Figure 2022136981000045
Figure 2022136981000046
Figure 2022136981000047
Figure 2022136981000048
Figure 2022136981000049
Figure 2022136981000050
Figure 2022136981000051
Figure 2022136981000052
Figure 2022136981000053
1 ガラス基板
2 TFT
3 TFT平坦化用の硬化膜
4 反射電極
5a プリベーク膜
5b 硬化パターン
6 マスク
7 活性化学線
8,51 有機EL層
9 透明電極
10 平坦化用の硬化膜
11 カバーガラス
41 透光部
42 遮光部
43 半透光部
47 無アルカリガラス基板
48 第1電極
49 補助電極
50 画素分割層
52 第2電極

Claims (20)

  1. (G)連鎖移動剤を含有する感光性組成物であって、
    該(G)連鎖移動剤が、(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤及び/又は(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含む、感光性組成物。
  2. 前記感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂及び/又は(B)ラジカル重合性化合物を含み、さらに(C)感光剤、及び(D)着色剤を含有し、
    該(A)アルカリ可溶性樹脂及び該(B)ラジカル重合性化合物のうち少なくとも1つにエチレン性不飽和二重結合基を有し、
    該(D)着色剤が、(Da)黒色剤を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂を含有し、
    前記(G)連鎖移動剤が、前記(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤を含み、
    該(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤が、以下の(A-gx)構造及び/又は(B-gx)構造を有する、請求項1に記載の感光性組成物。
    (A-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、及び光結合開裂構造からなる群より選ばれる一種類以上を有するカルボニル基、が結合した二級又は三級炭素原子。
    (B-gx)構造:ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、及びアリールアルキル基からなる群より選ばれる一種類以上、並びに、カルボニル基が結合した二級又は三級炭素原子。
  4. 前記(G)連鎖移動剤が、前記(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤を含み、
    該(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤が、以下の(I-gx)構造を有する、請求項1~3のいずれかに記載の感光性組成物。
    (I-gx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基、トリチオカーボネート結合、ジチオエステル結合、ジチオカルバメート結合、ジチオカーボネート結合、ピラゾールジチオエステル結合、チウラムジスルフィド結合、トリチオカルボニルジスルフィド結合、及びジチオカルボニルジスルフィド結合からなる群より選ばれる一種類以上。
  5. 有機ELディスプレイにおける画素分割層の段差形状を一括形成するために用いられる、請求項1~4のいずれかに記載の感光性組成物。
  6. 前記感光性組成物が、(D)着色剤を含み、
    該(D)着色剤が、(Da)黒色剤を含有し、
    該(Da)黒色剤が、(D1a)黒色顔料を含み、
    該(D1a)黒色顔料が、(D1a-1)黒色有機顔料及び/又は(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物を含有し、
    該(D1a-1)黒色有機顔料が、(D1a-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(D1a-1b)ペリレン系黒色顔料、及び(D1a-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上を含み、
    該(D1a-3)二色以上の着色顔料混合物が、赤、橙、黄、緑、青及び紫色の顔料からなる群より選ばれる二色以上の顔料を含む、請求項1~5のいずれかに記載の感光性組成物。
  7. 前記感光性組成物が、(A)アルカリ可溶性樹脂を含有し、
    該(A)アルカリ可溶性樹脂が、以下の(A1)樹脂及び/又は(A3)樹脂を含有する、請求項1~6のいずれかに記載の感光性組成物。
    (A1)樹脂:イミド構造、アミド構造、オキサゾール構造、及びシロキサン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造単位を有し、かつエチレン性不飽和二重結合基を有しない樹脂。
    (A3)樹脂:フェノール性水酸基を有する樹脂。
  8. 前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに以下の(A2)樹脂を含有する、請求項7に記載の感光性組成物。
    (A2)樹脂:エチレン性不飽和二重結合基を有する樹脂。
  9. 前記(G)連鎖移動剤が、前記(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤を含み、
    該(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤が、以下の(I-gxx)構造を有する、請求項1~8のいずれかに記載の感光性組成物。
    (I-gxx)構造:少なくともアリール基が結合したプロペニレン基、及び/又は、少なくともカルボニル基が結合したプロペニレン基。
  10. 前記(GX)可逆的付加開裂型連鎖移動剤が、前記(I-gxx)構造と結合する構造として、さらに以下の(II-gx)構造及び/又は(III-gx)構造を有する、請求項9に記載の感光性組成物。
    (II-gx)構造:少なくともアリール基、カルボニル基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる一種類以上が結合した二級又は三級炭素原子。
    (III-gx)構造:アリール基、カルボニル基、ハロゲン原子、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シアノ基、アルキルチオ基、及びアルキルペルオキシ基からなる群より選ばれる一種類以上。
  11. 前記(G)連鎖移動剤が、前記(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤を含み、
    該(GY)硫黄原子を有しない連鎖移動剤が、α-位に置換基を有するスチレン誘導体、テルペノイド系化合物、ハロゲン化炭化水素、及びモノアリル化合物からなる群より選ばれる一種類以上を含有する、請求項1~10のいずれかに記載の感光性組成物。
  12. さらに、(J)無機粒子を含有し、
    該(J)無機粒子が、(J1)シリカ粒子を含有する、請求項1~11のいずれかに記載の感光性組成物。
  13. 前記感光性組成物が、ハロゲン元素を含む成分、硫黄元素を含む成分、及びリン元素を含む成分からなる群より選ばれる一種類以上を含有し、下記(1)~(3)の条件を1つ以上満たす、請求項1~12のいずれかに記載の感光性組成物。
    (1)該感光性組成物中に占めるハロゲン元素の含有量が0.01~100ppm
    (2)該感光性組成物中に占める硫黄元素の含有量が0.01~100ppm
    (3)該感光性組成物中に占めるリン元素の含有量が0.01~100ppm
  14. 前記感光性組成物が、(C)感光剤を含有し、
    該(C)感光剤が、(C1)光重合開始剤/光ラジカル発生剤を含み、
    該(C1)光重合開始剤/光ラジカル発生剤が、(C1-1)オキシムエステル系化合物を含有し、
    該(C1-1)オキシムエステル系化合物が、ニトロ基、ナフチルカルボニル構造、トリメチルベンゾイル構造、チオフェニルカルボニル構造、フリルカルボニル構造、及び少なくとも2つのオキシムエステル構造からなる群より選ばれる一種類以上を有する、請求項1~13のいずれかに記載の感光性組成物。
  15. 前記感光性組成物が、(B)ラジカル重合性化合物を含み、
    該(B)ラジカル重合性化合物が、(B1)疎水性骨格含有ラジカル重合性化合物を含有し、
    該(B1)疎水性骨格含有ラジカル重合性化合物が、以下の(I-b1)構造及び(II-b1)構造を有し、(II-b1)構造を少なくとも2つ有する、請求項1~14のいずれかに記載の感光性組成物。
    (I-b1)構造:フルオレン構造、インダン構造、縮合多環脂環式構造、インドリノン構造、及びイソインドリノン構造からなる群より選ばれる一種類以上を含む構造。
    (II-b1)構造:エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基。
  16. 前記感光性組成物が、(B)ラジカル重合性化合物を含み、
    該(B)ラジカル重合性化合物が、(B2)柔軟骨格含有ラジカル重合性化合物を含有し、
    該(B2)柔軟骨格含有ラジカル重合性化合物が、以下の(I-b2)構造、(II-b2)構造、及び(III-b2)構造を有し、(II-b2)構造を少なくとも2つ有する、請求項1~15のいずれかに記載の感光性組成物。
    (I-b2)構造:少なくとも2つのヒドロキシ基を有する化合物に由来する構造。
    (II-b2)構造:エチレン性不飽和二重結合基を有する有機基。
    (III-b2)構造:アルキレン基、オキシアルキレン基、ヒドロキシ基を含むアルキレン基、ヒドロキシ基を含むオキシアルキレン基、アルキレンカルボニル基、オキシアルキレンカルボニル基、及びアミノアルキレンカルボニル基からなる群より選ばれる一種類以上。
  17. さらに、以下の(F0)化合物及び/又は(FB)化合物を含有する、請求項1~16のいずれかに記載の感光性組成物。
    (F0)化合物:リン原子を含む酸性基、及び/又は、リン原子を含む酸性基の塩を有する化合物。
    (FB)化合物:リン原子を含むベタイン構造を有する化合物。
  18. 請求項1~17のいずれかに記載の感光性組成物を硬化した硬化物。
  19. 硬化物の製造方法であって、
    (1)基板上に、請求項1~17のいずれかに記載の感光性組成物の塗膜を成膜する工程、
    (2)前記感光性組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、
    (3)アルカリ溶液を用いて現像し、前記感光性組成物のパターンを形成する工程、及び
    (4)前記パターンを加熱して、前記感光性組成物の硬化パターンを得る工程、を有する、硬化物の製造方法であって、
    該フォトマスクが、透光部及び遮光部を含み、該透光部と該遮光部の間に透過率が該透光部の値より低く、かつ透過率が該遮光部の値より高い、半透光部を有するハーフトーンフォトマスクである、硬化物の製造方法。
  20. 基板、第1電極、第2電極、及び画素分割層を少なくとも有し、
    さらに、発光層を含む有機EL層及び/又は発光層を含む光取り出し層を有する表示装置であって、
    該画素分割層は、該第1電極上の一部と重なるように形成され、
    該発光層を含む有機EL層及び/又は該発光層を含む光取り出し層は、該第1電極上、かつ該第1電極及び該第2電極の間に形成され、
    該画素分割層が、少なくとも以下の(X-DL)樹脂を有し、
    該画素分割層が、さらに(Da)黒色剤を含有する、表示装置。
    (X-DL)樹脂:一般式(85)~(86)のいずれかで表される構造単位からなる群より選ばれる一種類以上、及び/又は、一般式(87)~(89)のいずれかで表される末端構造からなる群より選ばれる一種類以上、を有する樹脂。
    Figure 2022136981000054
    (一般式(85)~(89)において、Z86及びZ89は、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、又は硫黄原子を表す。R71~R84は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。R85~R89は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の脂肪族構造、炭素数4~10の脂環式構造、又は炭素数6~15の芳香族構造を表す。a、b、c、d、及びeは、0又は1である。Z86が炭素原子の場合、xは3である。Z86が窒素原子の場合、xは2である。Z86が硫黄原子の場合、xは1である。Z89が炭素原子の場合、yは3である。Z89が窒素原子の場合、yは2である。Z89が硫黄原子の場合、yは1である。*~*は、それぞれ独立して、樹脂中の結合点を表す。)

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