以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
図1~図16を用いて、コインの真偽及び金種を検出し、その検出結果に基づきコインの排出先を変えるコインセレクターについて説明する。
図1は、コインセレクターの外観を説明する斜視図である。
コインセレクター1の本体部分は、第1基台部2、第2基台部3、扉部4を備える。第2基台部3は、第1基台部2に固定されている。扉部4は、ヒンジ15によって第1基台部2に固定されている。扉部4は、ヒンジ軸14を中心として回動する。図1において、ヒンジ15は、第1基台部2の上部に配置されている。扉部4は、扉の開方向を示す矢印16で示される方向に開く。扉部4を開閉することで、扉部4の下方側を第1基台部2に対して接離する。扉部4を開くことで、扉部4と第1基台部2との間に隙間ができる。コインは、この隙間から、出金口8に繋がるコイン通路に落下する。落下したコインは、出金口8から排出される。コイン通路は、底部と、底部の両側に配置された側壁を備える。コインは、出金口8の方向に向かって、コイン通路の底部上を側壁に支えられながら転動する。コイン通路の出金口8側には、コイン通路の一部を構成する第2コイン支持路10が配置されている。第2コイン支持路10を含むコイン通路の側方には、第1側壁11が第1基台部2に設けられている。さらに、第2基台部3と扉部4には、第1側壁11に対向する側壁が設けられている。コイン通路の両側に側壁が設けられており、コインを出金口8に導く。また、第1側壁11には、案内凸部12が設けられている。案内凸部12は、第1側壁11とコインとの接触面積を低減し、コインの第1側壁11への貼り付きを防止する。
コインセレクター1の表側には、プレート5が第1基台部2及び第2基台部3に固定されている。プレート5には、コインを投入する入金口7とコインが排出される出金口8の開口が設けられている。自動サービス機などの装置の筐体に、プレート5をネジ13によって固定することで、コインセレクター1を装置に取り付けることができる。出金口8の外側には、排出されたコインがこぼれ落ちないようにコインガード9が取り付けられている。コインセレクター1の内部に配置されたコイン通路は傾斜しており、入金口7から投入されたコインは、コイン通路を転がり、出金口8または後述する正貨格納口に排出される。
コインセレクター1には、第1基台部2に設けられた側壁と、その側壁に対向する側壁が第2基台部3と扉部4に設けられている。入金口7から入ったコインは、両側の側壁に沿って移動する。また、第1基台部2と扉部4には、コインの周面が接し、コインが転動するコインの移動路が設けられている。移動路と移動路の両側に配置された側壁によってコイン通路が形成されている。
キャンセルレバー6の回転に連動して後述するコインの排出機構が動作する。コインの排出機構は、コイン通路に詰まったコインを、出金口8に排出する。キャンセルレバー6は、入金口7と出金口8の間に配置されている。キャンセルレバー6を入金口7または出金口8の近傍に配置することで、ユーザーはコイン詰まりが生じたときに直ぐに対処できる。キャンセルレバー6は、プレート5の入金口7と出金口8の間に設けられている。
図2は、コインセレクターの内部の構成を説明するため第2基台部を外した状態の図である。扉部4は、閉じた状態であり、扉部4の外側のカバーを外した状態の図である。
コインは、入金口7から入り、出金口8または正貨格納口17から排出される。入金口7から入れられたコインが出金口8に至るまでのコイン通路は、第1基台部2、第2基台部3、扉部4によって形成されている。また、ゲート24は、入金口7から入れられたコインの進路を分岐させる。コインの進路が、出金口8か正貨格納口17かに分けられる。
扉部4には、入金されたコインの真偽および金種を識別するための第1検出センサー21が配置されている。第1基台部2の第1検出センサー21に対向する位置に不図示の第2検出センサーが配置されている。コイン通路の両側の側壁には、コイン通路を通過するコインの特徴を検出するセンサーが配置されている。
扉部4の第1基台部2に対向する側には、破線で示されている第1案内路22が設けられている。第1案内路22は水平方向に対して傾斜して配置されており、入金口7側が高く、入金口7から離れるに従い低くなる。入金口7から入れられたコインは、第1案内路22と周面が接し、扉部4の側面と第1基台部2の側面との間を第1案内路22に沿って転がる。コインは、扉部4の側面と第1基台部2の側面とによって支えられながら移動する。扉部4の側面と第1基台部2の側面はコイン通路の側壁を形成する。
入金口7に投入されたコインは、第1案内路22に沿って移動し、第1検出センサー21及び第2検出センサーの検出範囲に達すると、第1検出センサー21及び第2検出センサーによってコインの特徴の検出が開始される。例えば、破線で示されているコインの第1位置36に到達すると、第1検出センサー21及び第2検出センサーによって、コインの特徴の検出が開始され、コインが検出範囲外に移動するまでコインの特徴の検出が続けられる。不図示の制御回路によって検出結果に基づいて投入されたコインの真偽と金種が判断される。第1検出センサー21及び第2検出センサーはコインの真贋を含む金種を識別する識別部を構成する。
投入されたコインは、第1案内路22に沿って移動し、第1案内路22の端部から落下する。コインは、第1案内路22の傾斜によって加速され、第1基台部2の外周壁23側に向けて落下する。例えば、第1案内路22の端部から離れ落ちたコインは、コインの第2位置37に移動する。
コイン通路の途中には、ゲート24が設けられている。ゲート24は、上述の不図示の制御回路によって動作が制御される。投入されたコインが、予め決められた金種であればゲート24が開放され、それ以外の金種あるいは偽貨であればゲート24が閉じられる。
第1検出センサー21及び第2検出センサーによってコインの特徴が検出されてから、第1案内路22から落下するまでに、コインの真偽および金種が判断される。この判断結果に基づいて、ゲート24の開閉が制御される。投入されたコインが予め決められた金種であると判断された場合には、ゲート24が開放され、コインは、コインの第3位置38で示されるように、正貨格納口17側に落下する。投入されたコインが所定の金種以外のものであると判断された場合には、ゲート24が閉じられる。ゲート24から出金口8までのコイン通路は、ゲート24側が出金口8側よりも鉛直方向に高く配置されている。コインは、重力によって、実線で示されるコイン20の方向に転がり落ちる。その後、コイン20は、コインの第4位置39で示されるように、出金口8から排出される。コイン20は、コインガード9により、出金口8からこぼれ落ちずに保持される。
ゲート24、第1コイン支持路25、フラップ26、第2コイン支持路10の順に、ゲート24から出金口8までのコイン通路のコインの周面が接する移動路が配置されている。第1基台部2の第1側壁11と、第2基台部3または扉部4の側面によって、ゲート24から出金口8までのコイン通路の側面が形成されている。ゲート24から出金口8まで、コインは、第1側壁11と、第2基台部3または扉部4の側面との間を、ゲート24、第1コイン支持路25、フラップ26、第2コイン支持路10の順に通過し、出金口8に至る。
第1側壁11には、案内凸部12が設けられ、コインとの接触面積を低減している。案内凸部12は、第1側壁から突出して設けられており、コインの移動方向に沿って複数本設けられている。
第1基台部2には、フラップ26を支持するフラップ支持部33、フラップ軸支部34が設けられている。フラップ26の一方側の側面には円柱状の部分が設けられ、フラップ軸支部34によって、回動自在に把持される。フラップ支持部33は、第1基台部2に設けられており、フラップ26をフラップ支持部33の上に載置する。フラップ支持部33は、フラップ26と接する部分が平坦な板状の部材である。フラップ支持部33は、フラップ26を支えることができれば良いので、例えば、円柱状の形状でもよい。フラップ26上をコインが移動したり、フラップ26上にコインが落下したりするので、フラップ支持部33は、移動や落下の衝撃に耐えることができる必要があり、板状の部材としフラップ26と広い面積で接することが好ましい。フラップ26は、フラップ軸支部34に一方側の側面を回動自在に把持され、フラップ支持部33上に乗せられている。フラップ26は、一方側の側面を軸として、他方側の側面をフラップ支持部33に対して接離するように揺動することができる。
案内凸部12の切り欠き部35は、出金口8から遠ざかる方向に向かい第1側壁11からの高さが漸次低くなるように設けられた傾斜面である。コイン通路の側壁は、出金口8から遠い部分が近い部分よりも間隔が広く配置されている。
第1開口30は、外周壁23に設けられた開口である。第2開口31は第1側壁11に設けられた開口である。第1押動部29は、第1開口30を通り抜けて、コイン通路側に突出可能に設けられている。第2押動部32は、第2開口31を通り抜けて、コイン通路側に突出可能に設けられている。
第1アーム28は、第1基台部2に設けられた第1軸支部27に、軸支されている。第1アーム28の先端には、曲げ部が設けられ、コインを押動する第1押動部29を形成している。第1アーム28は、第1軸支部27を中心に回動する。第1アーム28を回動させることで、第1アーム28の先端に設けられた第1押動部29を、第1開口30からコイン通路側に出し入れすることができる。第2押動部32は図2の紙面の奥行き方向に移動し、第2押動部32を第2開口31からコイン通路側に出し入れすることができる。
第1押動部29はコイン通路のコインを押動することができる。第2押動部32はコイン通路のコインを押動することができる。例えばコイン通路に詰まったコインを第1押動部29または第2押動部32によって押動することで、コイン通路の詰まりを解消することができる。第1押動部29は、コインの周面を出金口8方向に押動する。第2押動部32は、コインの表または裏面をコインの厚み方向に押動する。押動されたコインは、詰まりの原因が解消され、出金口8方向への移動を再開する。側壁に貼り付いたコインは、側壁から剥され、コインの周面で立ち、側壁に支えられながら出金口8の方向に転がる。
第1押動部29と第2押動部32が動いた場合に、ゲート24の上のコインが、第1押動部29か第2押動部32のどちらかの押動部と接することが可能であることが好ましい。第1押動部29の第1開口30からの突出量と第2押動部32の第2開口31からの突出量、第1押動部29と第2押動部32との距離などの位置関係は、予め計算や実験で求め、設定されることが好ましい。最小径のコインに対しても、第1押動部29と第2押動部32が動いた場合に、ゲート24上のコインが、第1押動部29か第2押動部32のどちらかの押動部と接することが好ましい。ゲート24の上で詰まった如何なる金種のコインでも、押し動かせるようにすることが好ましい。
図3は、コインセレクターの第1基台部を説明する斜視図である。第1基台部2のコイン通路側から見た場合の斜視図である。第1基台部2には、コイン20のコイン通路の側面を形成する第1側壁11および第2側壁19を備える。第2側壁19は、扉部4に対向する位置に設けられている。第2側壁19は、第1側壁11に対して、第1側壁11の厚み方向に突出している。第2側壁19には、コインと第2側壁19との間に発生する摩擦力を低減させるために複数本の溝42が、コインの移動方向に沿って設けられている。
第1基台部2の上部には、第1軸筒18が設けられている。第1軸筒18は、ヒンジ15(図1参照)の一部を構成する。第1軸筒18は、後述の扉部4(図1参照)に設けられた第2軸筒と共にヒンジ軸14(図1参照)が挿入されている。扉部4は、第1基台部2に対してヒンジ軸14を回転軸として回動する。
第2側壁19には第3開口47が配置されている。扉部4を押動する第3押動部48は、第3開口47から出し入れできる。第3押動部48は、第2側壁19に設けられた第3開口47から突出させることで扉部4を押し、ヒンジ軸14を回転軸として第2側壁19から離れる方向に扉部4を回動させることができる。
図4は、コインセレクターの扉部の斜視図である。これは、コイン通路側から見た場合の扉部4の斜視図である。扉部4には、コイン通路の側壁を形成する第3側壁41が備わる。第3側壁41は、第1基台部2に対向する位置に設けられている。第3側壁41には、コインと第3側壁41との間に発生する摩擦力を低減させるために複数本の溝42が、コインの移動方向に沿って設けられている。第3側壁41の下部には、第3側壁41から立設する第1案内路22が設けられている。第1案内路22のコインの周面と接する部分は、第3側壁41に対して略垂直に設けられている。第1案内路22は、第3側壁41から突出している。第1案内路22の一方端の第3押動部48に対応する位置に、第3押動部48と当接する当接部45が第1案内路22と同様に第3側壁41の端から突出して設けられている。
第1案内路22の他方端には、第1案内路端部43が配置されている。第1案内路22の一方端はコインの入金口7側の端部であり、他方端はコインの移動方向の出金口8側の端部である。第1案内路端部43は、第1案内路22の終端である。第1案内路端部43から下方に向けて第1案内路22を延在させ、扉部4の下部に第1コインガイド44が設けられている。第1コインガイド44は第1案内路22と同様に第3側壁41から突出している。第1コインガイド44は、第1基台部2の第1側壁11に対向している。第1側壁11と第1コインガイド44とで、移動するコインを両側から支え、コイン通路内のコインを案内する。
扉部4の上部には、ヒンジ15の一部を形成する第2軸筒46が設けられている。第2軸筒46は、第1軸筒18と共にヒンジ軸14(図1参照)が挿入され、扉部4を第1基台部2に対してヒンジ軸14を回転軸として揺動させることができる。扉部4は第1基台部2に扉部4の下側を開閉可能に接続されている。また、扉部4の上部には、第3側壁41から突出させて設けられたカム部40が備わる。カム部40は、扉部4の揺動に応じて回動する。カム部40の表面は斜面が形成されている。
次に扉部4の開閉動作について図5、図6、図11を用いて説明する。図5は、コインセレクターの第2基台部と扉部の斜視図である。第2基台部3と扉部4のコイン通路側から見た場合の斜視図である。図6は、コインセレクターの扉部の開閉動作を説明するコインセレクターを正面から見た場合の図である。図11は、コインセレクターのコイン排出機構の駆動機構を説明する部分拡大図である。
第2基台部3のコイン通路側には、第2コインガイド60が備わる。第2コインガイド60は、第1基台部2の第1側壁11に対向して設けられている。第2コインガイド60は、第1コインガイド44の下方に、コイン20の移動方向に沿って第2基台部3に設けられている。第2コインガイド60は、ゲート24からフラップ26の区間を移動するコイン20と第2基台部3との間に発生する摩擦力を低減させるために設けられている。
コインセレクター1には、キャンセルレバー6にかかる力を第1押動部29及び第2押動部32に伝える伝達部が備わる。この伝達部について説明する。扉バネ59は、ヒンジ15の一部を構成している。扉バネ59は、扉部4が第1基台部2に対して閉じる方向に付勢する。ベアリング50が固定部51によってネジで第1基台部2に固定される。ベアリング50は、キャンセルレバー6の回転軸を回動自在に軸支している。キャンセルレバー6の回転軸には、突起52が固定されている。キャンセルレバー6の回転に連動して突起52が回転方向に移動する。
第3押動部48は、第3アーム部54の一端側の先端に形成されている。第3アーム部54の他端側には、第3支軸53が形成されている。第3押動部48は、突起52に押されて第3支軸53を回転軸として回動し、当接部45を押す。扉部4は、第3押動部48によって当接部45が押され、扉部4を閉じる方向に付勢する扉バネ59に抗して開く。
扉部4の開閉動作に伴い、扉部4に設けられたカム部40が移動する。カム部40と第1アーム28の先端に設けられた第1カムフォロア部58とは、当接している。カム部40の移動に伴い、カム部40と第1カムフォロア部58との当接位置が変わる。カム部40と第1カムフォロア部58との当接位置に応じて、第1アーム28が第1軸支部27を中心に回動する。第1アーム28は、第1軸支部27に軸支されている。また第1アーム28は、アームバネ90によって第1押動部29が第1開口30から突出する方向に付勢されている。扉部4が閉じている場合は、アームバネ90の力に抗して第1押動部29が第1開口30から突出しない。扉部4が閉じた状態から開いた状態に遷移する場合、カム部40と第1カムフォロア部58との当接位置が変わりながら遷移する。カム部40と第1カムフォロア部58との当接位置に応じて、第1アーム28は、第1押動部29が第1開口30から突出する方向に、回動する。
第1アーム28の第1カムフォロア部58と第2アーム56の先端に設けられた第2カムフォロア部57は当接している。
第2アーム56は第2軸支部55に軸支され、第2押動部32が第2開口31から突出しないように不図示のバネによって付勢されている。扉部4が閉じている場合は、第2押動部32が第2開口31から突出しない位置にある。扉部4が閉じた状態から開いた状態に遷移する場合、第1アーム28の第1カムフォロア部58が図5の紙面では上方に移動する。第1カムフォロア部58の上方への移動に伴って第2カムフォロア部57が押し上げられ、第2アーム56は第2軸支部55を中心に回動する。その結果、第2押動部32は、第2開口31から突出する方向に移動する。
扉部4が開いた状態から閉じる状態に移動した場合、上述の逆の動作となり、第1押動部29及び第2押動部32はそれぞれ第1開口30及び第2開口31の内側に戻る。
ゲート24は、第2基台部3に配置されたゲート軸受62に軸支されている。ゲート24には、ゲート軸受62に対応するゲート軸61が形成されている。ゲート24は、ゲート軸61を回転軸として回動する。ゲート24は、不図示の駆動手段によって開閉する。ゲート24を閉じることで、コイン20をフラップ26方向へ案内する。ゲート24は、第1基台部2から離れる方向にゲート軸61を回転軸として回動する。ゲート24を開けることで、ゲート24と第1基台部2との間に隙間が生じる。コイン20は、ゲート24と第1基台部2との間から落下する。ゲート24の開閉に応じて、コイン20の進路が変わる。
キャンセルレバー6を左回転させることで、扉部4は、第3押動部48によって当接部45が押され、ヒンジ軸14を回転中心として第2側壁19から離れる方向に移動する。第1案内路22と第2側壁19の間に隙間が生じ、コイン20が、フラップ26や第2コイン支持路10方向に落下する。
また、キャンセルレバー6を左回転させることで、扉部4の開く動作に連動して、第1アーム28、第2アーム56が動作し、第1押動部29及び第2押動部32が、それぞれ第1開口30、第2開口31から突出する。第1押動部29がコイン20に当接した場合、コイン20は押し動かされる。第2押動部32がコイン20に当接した場合、コイン20は押し動かされる。
キャンセルレバー6を回転させることで、キャンセルレバー6に連結されている各要素は駆動する。しかし、これに限らず、ボタン等を押し込むときの力を用いて、ボタン等に連結されている各要素の駆動を行っても良い。また、ソレノイドやモーターなどの電気的な要素によって連結されている各要素の駆動を行ってもよい。
フラップ26、第1コイン支持路25、第2コイン支持路10は、扉部4の鉛直方向側に配置されている。キャンセルレバー6に連動する扉部4を開くことで、扉部4と第2側壁19の間に詰まったコインは、フラップ26、第1コイン支持路25、第2コイン支持路10の上に落下する。また、場合によっては、コインはゲート24の上に落ちることも考えられる。落下したコインは、その後、出金口8に向かって転がり落ちる。フラップ26、第1コイン支持路25、第2コイン支持路10は、ゲート24のコインの移動方向の下流側に配置されている。コインは、これらの上をゲート24から出金口8の方向に向かって移動する。また、扉部4と第2側壁19の間を通過し、ゲート24の上で詰まったコインは、キャンセルレバー6の操作に連動する第1押動部29又は第2押動部32によって突き動かされ、出金口8の方向に転がる。また、キャンセルレバー6を操作することで、扉部4が開閉するので、コインセレクター1の全体が振動し、詰まったコインを揺り動かすことができる。揺り動かされたコインは、コイン通路を通り出金口8に移動する。
次に図7から図10を用いて、入金口7からゲート24までの間のコインの詰まりを解消する動作について説明する。コインの詰まりを解消する動作は、ゲート24が閉じた状態で行われる。図7は、コインセレクターのコインの移動を説明する第1の例の図である。図8は、図7のA-A線の部分の断面図である。図7及び図8は、扉部4が閉じている場合の図である。図9は、コインセレクターのコインの移動を説明する第2の例を図である。図10は、図9のB-B線の部分の断面図である。図9及び図10は、扉部4が開いている場合の図である。
コインの第5位置75は、入金口7から投入された直後のコインの位置を示している。コインの第6位置76は、金種を判断するための特徴が検出されているコインの位置を示している。第1案内路22の略中央部分にコインの特徴を検出するためのセンサーが配置されている。コインの第7位置77は、コインが第1案内路22から落下し、ゲート24及び外周壁23に接した状態を示している。コインの第8位置78は、コインが第1案内路22から落下し、ゲート24の上にある状態を示している。コインの第9位置79は、コインがフラップ26上にある場合を示している。
ゲート24のコインと接する面は、傾斜角が異なるゲートの第1面70、ゲートの第2面71、ゲートの第3面72の3部分に分かれている。ゲートの第2面71の傾斜が他の部分より急である。ゲートの第1面70はゲートの第2面71より傾斜が緩いが、短く形成されている。ゲートの第3面72はゲートの第2面71より傾斜が緩いが、長く形成されている。ゲート24が閉じている場合、ゲートの第1面70、ゲートの第2面71、ゲートの第3面72の何れかの面が、第1案内路22から落下するコインを最初に受ける面となる。傾斜面の角度と長さを変えることで、コインの詰まりを発生しにくくしている。コインの詰まりが発生し難い部分は傾斜を緩くしている。
図9の破線で示されるコインの第7位置77において、ゲートの第1面70付近でコインが詰まった場合の詰まりの解消方法を説明する。ゲートの第1面70及び外周壁23に接した状態またはその近傍で、コインが側壁に貼り付き、詰まってしまう場合がある。キャンセルレバー6を回動させることで、第1アーム28の先端にある第1押動部29が、第1矢印80で示す方向に移動する。第1矢印80は、第1押動部29の移動方向を示している。コインは、第1押動部29によって押され、ゲート24の上の傾斜角の急なゲートの第2面71上に移動する。コインは、ゲート24の傾斜に沿って、第2矢印81で示す方向に回転しながら出金口8方向に移動する。
図7に示されるコインの第8位置78において、ゲートの第3面72付近でコインが詰まった場合の詰まりの解消方法を説明する。コインが、第1側壁11に接した状態で貼り付いて詰まってしまう場合がある。キャンセルレバー6を回動させることで、第2アーム56の先端にある第2押動部32は、コインを第2押動部32の移動方向に押す。コインは、第2押動部32によって押され、第1側壁11から離れる。第2押動部32によって詰まりが解消されたコインは、出金口8方向に転がり、移動する。
ここで、図8は、コインが第2押動部32によって押される前の状態を示しており、図10は、コインが第2押動部32によって押された後の状態を示している。キャンセルレバー6を回すことで、それに連動して第1アーム28が動作する。このとき、第1アーム28の第1カムフォロア部58が上方に移動し、第2押動部32が、第2開口31を通り抜ける。第1側壁11に貼り付いているコイン20は、第2押動部32によって、第1側壁11から剥がされ、斜めになり、傾斜しているコイン通路を出金口8方向に転動する。
コインがコイン通路に詰まった場合、キャンセルレバー6を動かすことで、扉部4の下方側が開くと共に、第1押動部29と第2押動部32が移動する。第1押動部29と第2押動部32の移動範囲にコインがある場合に、コインを押し動かすことができる。詰まったコインは、扉部4の開閉動作と、第1押動部29または第2押動部32の動作によって、詰まりが解消され、出金口8方向に向かって再び移動する。ゲート24から出金口8までコイン通路は傾斜しているので、重力によって転がり落ちる。
次に、ゲート24を通過してから出金口8までの間でコインが詰まった場合のコインの詰まりを解消する動作について説明する。コインの詰まりを解消する動作は、ゲート24が閉じた状態で行われ、キャンセルレバー6の動作に連動して行われる。
まず、図12を用いて概要を説明する。図12は、コインセレクターのコインの移動を説明する第3の例の図である。図12は、コインセレクター1について、部分的に外装ケースを外し、内部の構成を示した図である。フラップ26の上にコイン20が載っている状態を示している。
フラップ26を揺り動かすためのフラップ駆動片94が、フラップ軸部95に軸支されている。フラップ駆動片94は、フラップ軸部95を軸として、図12の紙面奥行き方向に回動する。フラップ駆動片94の先端は、扉部4に配置されている押動アーム91の先端と接触する。押動アーム91の他端側のアーム固定部92は扉部4に固定されている。押動アーム91は、中央部に湾曲した曲部93が配置されている。曲部93によって、押動アーム91にバネ性を持たせている。押動アーム91の先端がフラップ駆動片94に対して接離する方向に、曲部93によってバネ性を持たせることができる。
扉部4を開閉させることで押動アーム91の先端が、フラップ駆動片94に接離する。この押動アーム91とフラップ駆動片94の接離に応じて、フラップ駆動片94は、フラップ軸部95を中心に回動する。この回動の動作に応じて、フラップ駆動片94がフラップ26を押し動かす。フラップ26が揺り動かされるので、フラップ26上のコインは揺り動かされ、コイン通路の傾斜に沿って出金口8方向に転がる。
次に図13と図14を用いてフラップ駆動片94と押動アーム91の動作について説明する。図13は、図12のC-C線の部分の断面図である。図14は、コインセレクターの後方からの斜視図である。図14は、フラップ駆動片94の動作の説明に必要な部分を抜き出した斜視図である。
押動アーム91の先端部98は、扉部4のケースの下部から外側に突出している。押動アーム91は、扉部4に設けられているので、扉部4の開閉に伴い移動する。また、押動アーム91の先端部98は、扉部4の内側から外側に向けて付勢されているので、押動アーム91の先端部98に強い力が加わった場合、押動アーム91が湾曲し、扉部4の内部に押し戻される。そのため、フラップ駆動片94が動かずに固定されてしまうような予期せぬ不具合から押動アーム91を保護できる。また、押動アーム91のバネ性により、押動アーム91がフラップ駆動片94に当接するときの急激な衝突力を緩和し、衝撃音等の不快な現象の発生を低減できる。
フラップ駆動片94の一方側の先端部は、押動アーム91の先端部98と当接する。フラップ駆動片94の一方側の先端部には、第1傾斜部96と第2傾斜部97が備えられている。第1傾斜部96と第2傾斜部97が接する部分が頂点である。頂点と、第1傾斜部96の頂点側の一部と、第2傾斜部97の頂点側の一部とが押動アーム91の先端部98と接する。フラップ駆動片94の他端側には、フラップ駆動片94を第1基台部2方向に曲げて形成されたフラップ駆動アーム部100が配置されている。フラップ駆動アーム部100の先端には、フラップ26と接するフラップ押動部99が設けられている。フラップ押動部99は、フラップ駆動アーム部100をフラップ26方向に曲げて形成されている。フラップ26の一方側の側面には円柱状の部分が設けられ、フラップ軸支部34によって、回動自在に把持される。またフラップ26の裏面側は、フラップ支持部33によって支持されている。フラップ26は、フラップ軸支部34を回動の中心として、フラップ押動部99によって裏面側から押されて移動する。
フラップ押動部99は、フラップ26の長手方向の大凡中央部に配置されている。フラップ26を裏面側から押動する場合、中央部のみでも良いし、複数箇所を押動しても良い。
第1傾斜部96または第2傾斜部97に押動アーム91の先端部98が当接すると、第1傾斜部96または第2傾斜部97の傾斜に対応して、フラップ駆動片94がフラップ軸部95を中心に回動し、フラップ押動部99が上下に移動する。扉部4の開く方向を示している矢印101の方向に、扉部4が閉じた状態から開いた状態に遷移する場合、押動アーム91の先端部98が、第1傾斜部96の基部から頂点方向に接しながら移動する。このとき、図13の場合では、押動アーム91は、フラップ軸部95を中心に左方向に回転する。その後、押動アーム91の先端部98が、第2傾斜部97の頂点から基部方向に接しながら移動する。このとき、図13の場合では、押動アーム91は、フラップ軸部95を中心に右方向に回転する。この一連の過程で、図13の場合では、フラップ押動部99は上下に動く。さらに、フラップ26は、フラップ押動部99によって、フラップ軸支部34を中心として右方向に回転させられた後、左方向に回転させられる。この様に、フラップ26は、キャンセルレバー6の操作に基づいて、扉部4の動作に連動して揺動する。
押動アーム91の先端部98がフラップ駆動片94の頂点に接する位置は、フラップ押動部99の移動量が最大となる位置である。このとき、フラップ26の移動量が最も大きくなる。
コイン通路には、コインを一方向のみ通過可能とするコイン通過体104が配置されている。コイン通過体104は、コイン通過体軸103を中心に回動する。コイン通過体104の先端は、第1側壁11に設けられたコイン通過体開口部102に入り込んでいる。第1基台部2と扉部4との間を通り抜けたコインは、コイン通過体104を揺動させてゲート24の上に落下する。このときは、落下するコインにコイン通過体104が押され、コイン通過体104の先端は、コイン通過体開口部102の外に移動することができる。しかし、逆の方向に対しては、コイン通過体104の先端はコイン通過体開口部102の縁に当接して移動できない。コイン通過体104はコインの逆方向の移動を制限することができる。
コネクタ105は、コインセレクター1を制御するための電源や制御線などを、外部に配置された制御手段に接続する接続手段である。コネクタ105を介してコインセレクター1に対して、電力の供給、制御信号の通信、センサーの検出結果の通信などが行われる。コインセレクター1は、外部に配置された制御手段に制御される。
次に、図15と図16を用いて、フラップ26と、第1基台部2に設けられたフラップ26の支持部について説明する。図15は、コインセレクターのフラップの支持部を説明する斜視図である。図16は、コインセレクターのフラップの斜視図である。
レバー孔106は、キャンセルレバー6の回転軸が挿通される第1基台部2に設けられた貫通孔である。
第1基台部2に設けられたフラップ支持部33は第1基台部2に設けられた板状の突起である。フラップ支持部33の上にフラップ26が載置される。
フラップ26は、大凡矩形の平板であり、コイン載置面110は平坦である。また、コイン載置面110の長手方向の一方端には、フラップ傾斜部111が設けられている。フラップ26の短手方向の一方側には、略円柱状の突出部112が、長手方向に沿って設けられている。フラップ26の長手方向の他方端の突出部112側にはフラップ切欠部113が設けられている。
第1コイン支持路25と第2コイン支持路10の表面の高さに対してフラップ支持部33の表面は、一段下がった位置となっている。フラップ26の厚みを考慮してこの段差を設けている。この段差は、コインの転がりの障害にならないように配置されている。第1基台部2のフラップ支持部33の根元側にフラップ軸支部34が設けられている。また、フラップ26の揺動の動作の障害にならないように、フラップ支持部33の根元側には、フラップ26の突出部112に対応して凹部が設けられている。
フラップ支持部33は間隔を開けて複数設けられている。フラップ押動部99は、フラップ支持部33の間から出し入れされ、フラップ26の裏面側を押動する。
フラップ26の突出部112は、フラップ軸支部34によって揺動自在に軸支されている。フラップ26の裏面側は、フラップ支持部33と接する。キャンセルレバー6が操作されていない場合は、フラップ26が動かずに、フラップ支持部33の上にフラップ26の裏面側が接した状態となる。第1コイン支持路25とフラップ26とによって、第1コイン支持路25の表面がフラップ26の表面より高い状態の段差を形成する。また、フラップ26と第2コイン支持路10とによって、フラップ26の表面が第2コイン支持路10の表面より高い状態の段差を形成する。これらの段差は、コインが移動する際に障害にならないように設けられている。仮にコインの移動方向側を高くすると、移動の障害となる場合がある。また、フラップ26をフラップ支持部33に載置するだけで、好適な段差を生じさせるようにコイン載置面110にフラップ傾斜部111が設けられている。
また、第1コイン支持路25から第2コイン支持路10までのコイン通路は、第1コイン支持路25から第2コイン支持路10に向かって漸次鉛直方向に低くなるように配置されている。すなわち、コイン通路の全経路に傾斜を持たせている。コインは、重力によって、高い方から低い方に転がり落ちる。
第1コイン支持路25から第2コイン支持路10までのコイン通路は、第1側壁11に設けられた案内凸部12によって、コイン通路の幅が第2コイン支持路10の方向に向かい漸次狭くなるように構成されている。フラップ26に、第1側壁11から突出する案内凸部12に対応してフラップ切欠部113を設けることで、部品間の干渉を避けている。
次に、図17を用いてコインセレクター1を備える自動サービス機120の例を説明する。図17は、自動サービス機の例を示す図である。
自動サービス機120は、コインセレクター1に所定の料金を入金すると、料金に応じて物品を排出する装置である。
自動サービス機120には、装置の全体の制御を司る制御部121が備わる。制御部121は、たとえばCPUを備え、メモリーに記憶されているプログラムに従って各要素を制御する手段である。
第1ボタン122、第2ボタン123は、制御部121に接続され、商品の選択を行うボタンである。制御部121は、第1ボタン122または第2ボタン123が操作された場合に、信号を入力し、どちらのボタンが操作されたかを取得することができる。
コインセレクター1は制御部121に接続され、制御部121によって制御される。また、入金口7から入金されたコインの金種を識別し、制御部121に出力する。コインセレクター1に投入されたコインは、正規の入金と判断された場合に、金庫129に格納されるとともに入金額が制御部121によって演算され、取得される。偽貨などの正規の入金と判断されない場合は、出金口8に戻される。また、コインが詰まった場合は、キャンセルレバー6を操作することで、詰まりを解消し、投入されたコインを出金口8に戻すことができる。
第1商品庫124には第1商品が格納されている。第2商品庫125には第2商品が格納されている。第1商品ゲート部126は、制御部121の制御によって動作し、第1商品庫124に格納されている第1商品を製品取り出し口128に排出する。第2商品ゲート部127は、制御部121の制御によって動作し、第2商品庫125に格納されている第2商品を製品取り出し口128に排出する。第1商品庫124と第2商品庫125は、商品を格納する格納部を構成し、格納部に格納されている商品は所定の数量毎に排出される。
コインセレクター1に商品の料金としてコインを投入する。投入されたコインは、金種が識別され、制御部121によって金額が演算される。投入された金額が、商品の料金を満たしている場合は、商品の選択が可能となる。商品は、第1ボタン122または第2ボタン123によって選択する。第1ボタン122が選択された場合、制御部121は、第1商品ゲート部126を制御し、第1商品を製品取り出し口128に排出する。第2ボタン123が選択された場合、制御部121は、第2商品ゲート部127を制御し、第2商品を製品取り出し口128に排出する。第1商品ゲート部126と第2商品ゲート部127は、商品を格納部から排出する排出部を構成する。利用者は、取り出し口128から所望の商品を取り出すことができる。
ここでは、自動サービス機120は、商品を販売する装置を例にして説明したが、商品の代わりに、ランドリー機器やマッサージ機などの機器を所定時間動作させるなどのサービスを提供する装置であっても良い。