JP2022135756A - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合体微粒子を含む樹脂混合物と、当該樹脂混合物より低い粘度を有する樹脂または樹脂混合物とを均一に混合し得る、新規の方法を提供する。【解決手段】樹脂(B1)を槽内で撹拌する撹拌工程と、前記樹脂(B1)を撹拌しながら、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂(B1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、前記樹脂(B1)は、25℃において前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法に関する。
熱硬化性樹脂は高い耐熱性、機械的強度などの種々の優れた性質を持つため、様々な分野で使用されている。熱硬化性樹脂の中でもエポキシ樹脂は、例えば、電子回路封止剤、塗料、接着剤および繊維強化材料のマトリクス樹脂として幅広い用途に用いられている。エポキシ樹脂は耐熱性、耐薬品性、絶縁性などに優れているが、熱硬化性樹脂の特徴である耐衝撃性が不十分という問題を有している。熱硬化性樹脂の耐衝撃性を改善するために、熱硬化性樹脂にエラストマーを添加する方法が広く用いられている。
前記エラストマーとしては、重合体微粒子(例えば架橋重合体微粒子)が挙げられる。重合体微粒子は、一般的に1μmより小さい粒子径を有し得る。ここで、1μmより小さい粒子径を有する重合体微粒子の1次粒子を幾つか集めて作製された重合体微粒子の粉粒体を2次粒子と称する。熱硬化性樹脂中に、重合体微粒子の2次粒子を分散させることは可能であるが、重合体微粒子の1次粒子を熱硬化性樹脂に分散させることは、工業レベルでは非常に難しい。
上述のように、重合体微粒子の2次粒子(粉粒体)と熱硬化性樹脂とを機械的に混合して樹脂組成物を得る場合、樹脂組成物中で重合体微粒子の1次粒子同士は凝集したままである。そのため、得られた樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の表面外観が非常に悪いという問題がある。そのため、熱硬化性樹脂へ重合体微粒子を1次粒子の状態で分散させる各種の製造方法が提案されている。
特許文献1には、重合体微粒子を含むラテックスから粉粒体を製造する方法が開示されている。特許文献1の開示によると、得られた粉粒体と樹脂とを、両者が流動し得る温度で混合することにより、樹脂中に重合体微粒子が分散された樹脂組成物が得られる。
国際公開WO2020/196922号
しかしながら、上述のような従来技術は、樹脂中に重合体微粒子が均一に存在している樹脂組成物を得る観点からは十分なものではなく、さらなる改善の余地があった。
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、重合体微粒子および樹脂を含む樹脂組成物と、当該樹脂組成物より低い粘度を有する樹脂または樹脂組成物とを混合することにより、重合体微粒子が均一に存在している樹脂組成物を提供し得る、新規の方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、
前記樹脂(B1)を撹拌する撹拌工程と、
前記樹脂(B1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂(B1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、
前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
前記樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、
前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が20~70重量%であり、
前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が30~99重量%である、樹脂組成物の製造方法。
〔2〕重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、
前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B1)を含む樹脂混合物(C1)を撹拌する撹拌工程と、
前記樹脂混合物(C1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂混合物(C1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、
前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
前記樹脂混合物(C1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、
前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が20~70重量%であり、
前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が30~99重量%である、樹脂組成物の製造方法。
〔3〕前記混合工程において、撹拌翼有効面積比0.3以上の撹拌翼が使用される〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物の製造方法。
〔4〕前記混合工程において、撹拌レイノルズ数(Re)は10以上である〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
〔5〕前記樹脂(B1)および前記樹脂(B2)がエポキシ樹脂を含む、〔1〕~〔4〕の何れか1つに記載の樹脂組成物の製造方法。
〔6〕前記樹脂(B1)または前記樹脂混合物(C1)の25℃における粘度が100~10,000mPa・sであり、前記樹脂混合物(C2)の25℃における粘度が30,000~10,000,000mPa・sである、〔1〕~〔5〕の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の一態様によれば、重合体微粒子および樹脂を含む樹脂組成物と、当該樹脂組成物より低い粘度を有する樹脂または樹脂組成物とを混合することにより、重合体微粒子が均一に存在している樹脂組成物を提供し得る、新規の方法を提供することができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の技術的思想〕
本発明者が鋭意検討した結果、上述した先行技術文献(特許文献1)に記載の技術には、以下に示すような改善の余地または問題点があることを見出した。
特許文献1に記載の技術によれば、重合体微粒子を含む粉粒体(樹脂組成物ともいえる)と樹脂とを混合することにより、粉粒体よりも低い濃度で重合体微粒子を含む樹脂組成物を得ることができる。特許文献1に開示されるように、「最終的に得られる樹脂組成物よりも重合体微粒子を高濃度で含む樹脂組成物」(以下「マスターバッチ」とも称する)を、「樹脂または重合体微粒子をより低濃度で含む樹脂混合物」(以下「希釈樹脂」とも称する)と混合して、原料の樹脂組成物よりも低濃度で重合体微粒子を含む樹脂組成物を得る方法としては、所望の正確な濃度を有する樹脂組成物を得るために、マスターバッチを槽内に投入し、その後に希釈樹脂を槽内(すなわちマスターバッチ中)に投入し、マスターバッチと希釈樹脂とを混合する方法が一般的に用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂中に重合体微粒子(A)を高濃度で含むマスターバッチと希釈用エポキシ樹脂とを、上述の方法により混合および撹拌したところ、一定時間撹拌後も重合体微粒子(A)が均一に存在している樹脂組成物を得ることができないという問題が生じた。具体的な現象としては、マスターバッチの一部が槽壁面等(例えば、混合物の液面および混合物液面の外縁部(混合物液面と槽壁面との接触部など))で滞留したまま移動せず、重合体微粒子(A)が均一に存在している樹脂組成物を得ることができなかった。さらに、得られた樹脂組成物を槽の下部から回収したところ、マスターバッチの一部が、槽壁に強固に付着した状態で槽内に残留していた。これらの結果から、撹拌中にマスターバッチが槽壁面に強固に付着すると、マスターバッチの一部が槽壁面等で滞留するため、その後に長時間混合物を撹拌しても、重合体微粒子(A)が均一に存在している樹脂組成物が得られにくいことが分かった。
本発明者が上述の問題を検討したところ、(i)マスターバッチが粘性を有すること、および(ii)希釈樹脂の粘度がマスターバッチの粘度よりも低いこと、が一因であることを見出した。そして、上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を新たに見出し、本発明を完成するに至った:(a)相対的に低粘度の希釈樹脂を槽内に投入した後、相対的に高粘度のマスターバッチを槽内に投入することにより、槽内の混合物の見かけ粘度が低い状態で維持され、混合物の流動性が向上すること;(b)希釈樹脂を撹拌しながら、マスターバッチを槽内(すなわちマスターバッチ中)に投入することにより、マスターバッチの槽壁面への付着が防止され、混合物の全体が撹拌されること;(c)(a)および(b)の結果、重合体微粒子(A)が均一に存在している樹脂組成物が得られること。
〔2.樹脂組成物の製造方法(第1の製造方法)〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、前記樹脂(B1)を撹拌する撹拌工程と、前記樹脂(B1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂(B1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、前記樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が20~70重量%であり、前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が30~99重量%である。本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法を、以下「第1の製造方法」と称する場合もある。
第1の製造方法によれば、樹脂(B1)と、樹脂(B1)よりも高い粘度を有する樹脂混合物(C2)との混合において、以下(i)~(iii)の利点を有する:(i)相対的に低粘度の樹脂(B1)を、例えば槽内に、投入した後、相対的に高粘度の樹脂混合物(C2)を槽内に投入することにより、槽内の混合物の見かけ粘度が低い状態で維持され、混合物の流動性が向上すること;(ii)樹脂(B1)を、例えば槽内で、撹拌しながら、樹脂混合物(C2)を投入することにより、樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着が防止され、混合物の全体を撹拌できること;並びに、(iii)(i)および(ii)の結果、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含み、樹脂(B)中で重合体微粒子(A)が均一に存在する樹脂組成物が得られること。第1の製造方法によれば、特に、樹脂混合物(C2)が粘性を有する場合であっても、上述した(i)~(iii)の利点を有する。
また、第1の製造方法において、樹脂混合物(C2)よりも先に容器に投入した樹脂(B1)が、容器の壁面に付着する場合もある。例えば、容器の壁面にセンサー(静電容量式界面検知センサー、光式界面計、振動式界面検知センサー、ガイドパルス式界面検知センサー、差圧伝送器など)がある場合、樹脂(B1)がセンサーに付着する場合もあり得る。しかし、樹脂(B1)は、樹脂混合物(C2)よりも粘性が小さい。そのため、樹脂(B1)の付着は撹拌により容易に剥がすことができる。そのため、従来技術と比較して、第1の製造方法によると、センサーの機能を妨害する虞がすくない、という利点もある。
以下、第1の製造方法の各工程について詳説した後、重合体微粒子(A)、樹脂(B)などについて説明する。
(2-1.撹拌工程)
第1の製造方法は、樹脂(B1)を撹拌する撹拌工程を含む。第1の製造方法では、例えば槽を使用する。撹拌工程は、樹脂混合物(C2)を槽に投入する前に、樹脂(B1)の全量を槽に投入し、撹拌する工程であればよく、具体的な撹拌方法については特に限定されない。例えば、樹脂(B1)の全量を槽に投入した後に撹拌を開始してもよく、投入および撹拌を同時に行ってもよい。
樹脂(B1)の撹拌手段は、特に限定されないが、混合性および流動性並びに効率の観点からは、回転軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌機による撹拌であることが好ましい。
樹脂(B1)を投入する槽としては、槽外から駆動可能な回転軸、および当該回転軸に設けられた撹拌翼を有する撹拌機を槽内に備える槽が挙げられる。撹拌機は、回転軸によって撹拌翼を回転することにより、槽内の樹脂(B1)を撹拌することができる。
槽の形状は特に限定されず、例えば、円筒形、円錐形、楕円筒形、角筒形、および角錐形などを挙げることができるが、混合性および流動性の観点からは円筒形が好ましい。また、回転軸は、槽内のいずれの位置に設置されていてもよいが、混合性および流動性の観点からは、槽内の中心部に垂直方向に設置されていることが好ましい。
撹拌機が有する撹拌翼の形状は特に限定されず、例えば、大型格子翼、パドル翼、プロペラ翼、傾斜パドル翼、ファウドラー翼、ディスクタービン翼、アンカー翼、ゲート翼、ヘリカルリボン翼およびスクリュー翼などを挙げることができる。また、回転軸に設けられる撹拌翼(ひとつながりの撹拌翼)の数も特に限定されない。回転軸に複数の撹拌翼(ひとつながりの撹拌翼)を設ける場合、複数の撹拌翼(ひとつながりの撹拌翼)は同一の形状であっても、互いに異なる形状であってもよい。なお、本明細書において、「ひとつながりの撹拌翼」とは、回転軸の領域を除き、翼面が水平方向および垂直方向に連続して延在している撹拌翼を意味する。
混合性および流動性の観点から、撹拌翼有効面積比が0.3以上である撹拌機を使用することが好ましく、0.4以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.5以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.6以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.7以上である撹拌機を使用することがさらに好ましく、0.8以上である撹拌機を使用することが特に好ましい。撹拌翼有効面積比が0.3以上である撹拌機を使用する場合、槽内の混合物に循環流が生じやすくなる。循環流により、混合物の全体が撹拌され、かつ樹脂混合物(C2)の槽壁面への接触が防がれる結果、均一化に要する混合時間を短縮し、樹脂組成物をより効率的に製造することができる。撹拌機の撹拌翼有効面積比の上限は特に限定されない。撹拌翼有効面積比が増大するほど、該撹拌翼を備える回転軸を回転されるためのモーターにかかる負荷が大きくなり、該回転軸の回転に必要な力(電力、動力など)が大きくなる。そのため、回転軸の回転に必要な力を低減する観点からは、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
本明細書において、撹拌翼有効面積比は、下記式により算出される値である。
撹拌翼有効面積比[m-1]=撹拌翼有効面積[m]/槽内の樹脂組成物の体積[m]。なお、「槽内の樹脂組成物の体積」とは、混合工程を経て最終的に得られる樹脂組成物の体積であり、すなわち樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との合計体積ともいえる。また、上記式中、「撹拌翼有効面積」とは、回転軸を含む平面への撹拌翼の投影面積の最大値を算出することにより求めることができる。回転軸に複数の撹拌翼(ひとつながりの撹拌翼)を設ける場合、「撹拌翼有効面積」は、ひとつながりの撹拌翼のそれぞれについて算出された有効面積の合計値である。
更に、混合性および流動性の観点から、ひとつながりの撹拌翼の有効面積比が0.3以上である撹拌機を使用することが好ましく、0.4以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.5以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.6以上である撹拌機を使用することがより好ましく、0.7以上である撹拌機を使用することがさらに好ましく、0.8以上である撹拌機を使用することが特に好ましい。ひとつながりの撹拌翼の有効面積比が0.3以上である撹拌機を使用する場合、槽内の混合物に、循環流を生じさせる効果が高まる。撹拌機のひとつながりの撹拌翼の有効面積比の上限は特に限定されないが、回転軸の回転に必要な力を低減する観点からは、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
本明細書において、ひとつながりの撹拌翼の有効面積比は、最大の有効面積を有するひとつながりの撹拌翼についての有効面積比(=ひとつながりの撹拌翼の有効面積[m]/槽内の樹脂組成物の体積[m])である。
混合性および流動性の観点から、撹拌機下部の撹拌翼の面積に対する撹拌機上部の撹拌翼の面積の比(以下、「上下面積比」とも称する)が1.0以下である撹拌機を使用することが好ましく、1.0未満である撹拌機を使用することがより好ましく、0.95以下である撹拌機を使用することがより好ましく、0.90以下である撹拌機を使用することがより好ましく、0.85以下である撹拌機を使用することがより好ましく、0.80以下である撹拌機を使用することがさらに好ましく、0.75以下である撹拌機を使用することが特に好ましい。上下面積比が1.0以下である撹拌機を使用する場合、槽内の混合物に循環流が生じやすくなる。撹拌機の上下面積比の下限は特に限定されない。また、上下面積比は1.0より大きくてもよい。本明細書において、撹拌機下部の撹拌翼の面積とは、撹拌翼の高さ(撹拌翼の鉛直方向の最も長い距離の長さ)の半分より下にある撹拌翼についての有効面積を意図し、撹拌機上部の撹拌翼の面積とは、前記高さの半分より上にある撹拌翼についての有効面積を意図する。
また、本明細書において、「循環流」とは、撹拌翼の回転による吐出流により生じる混合物の流れであり、槽内に垂直方向に設置された回転軸近傍における上部(液面)から下部(槽の底部)へ向かう下方流(軸流)と、回転軸と槽壁面との間の任意の位置で下部から上部へ向かう上方流とを含む。循環流が生じている状態で槽内の混合物(または樹脂(B)単独)に樹脂混合物(C2)を添加すると、樹脂混合物(C2)は、混合物の液面に浮遊した後に、回転軸近傍にて下方流に沿って、回転軸近傍かつ槽下部へ移動する。次いで、槽の底部付近に到達した樹脂混合物(C2)は、底部に沿って槽壁面方向に移動し、撹拌翼により裁断されながら槽壁面近傍を上方流に沿って上部へ移動する。次いで、混合物の液面付近に到達した樹脂混合物(C2)は、再び回転軸近傍において下方流に沿って、回転軸近傍かつ槽下部へ移動する。これらの移動が繰り返されることにより、樹脂混合物(C2)は、槽壁面に付着することなく、樹脂(B1)中に均一に分散される。
撹拌工程における撹拌翼の回転速度は、後述の混合工程の開始時点(すなわち樹脂混合物(C2)の添加開始時点)において、樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着が阻害され得る程度に樹脂(B1)を流動させる回転速度であればよい。このような回転速度は、使用する樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の体積および物性(粘度および密度など)、槽および撹拌翼のサイズおよび形状などによって異なり、特に限定されない。一実施形態において、撹拌工程における撹拌翼の回転速度は、例えば80rpm~220rpmであることが好ましく、90rpm~210rpmであることがより好ましく、100rpm~200rpmであることがさらに好ましい。
撹拌工程において樹脂(B1)の撹拌に要する撹拌時間は、撹拌開始時点から、撹拌工程の終了時点(すなわち、後述の混合工程の開始時点(樹脂混合物(C2)の添加開始時点))までの時間である。前記撹拌時間は、使用する樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の体積および物性(粘度および密度など)、槽および撹拌翼のサイズおよび形状、並びに撹拌翼の回転速度などによって異なり、特に限定されない。一実施形態において、撹拌工程において樹脂(B1)の撹拌に要する撹拌時間は、後述の混合工程にて樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着が十分に阻害されることから、例えば2秒以上であることが好ましく、5秒以上であることがより好ましい。撹拌工程において樹脂(B1)の撹拌に要する撹拌時間の上限は特に限定されないが、効率の観点からは、1,800秒以下であることが好ましく、600秒以下であることがより好ましい。
撹拌工程において、樹脂(B1)の好適な温度は、樹脂(B1)の体積および物性などによって異なり、特に限定されない。一実施形態において、撹拌工程に供するときの樹脂(B1)の温度は、例えば60℃~140℃であることが好ましく、70℃~130℃であることがより好ましく、80℃~120℃であることがさらに好ましい。撹拌工程に供するときの樹脂(B1)の温度および/または撹拌工程の終了時点(混合工程の開始時点)での樹脂(B1)の温度が上記の範囲である場合、流動性および樹脂混合物(C2)との混合性が向上するという利点を有する。
(2-2.混合工程)
第1の製造方法は、樹脂(B1)を撹拌しながら、樹脂混合物(C2)を樹脂(B1)に添加し、混合する混合工程を含む。混合工程は、撹拌中の樹脂(B1)に樹脂混合物(C2)を添加し、得られた混合物をさらに混ぜ合わせる工程ともいえる。また、混合工程は、樹脂混合物(C2)を樹脂(B1)で希釈する工程ともいえる。また、混合工程は、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物を得る工程ともいえる。
本製造方法では、樹脂混合物(C2)を樹脂(B1)に添加するときに樹脂(B1)が撹拌されているため、添加された樹脂混合物(C2)の一部が、槽壁面等に移動して槽壁面等に付着する虞がない。その結果、本製造方法によると、樹脂(B)中で重合体微粒子(A)が均一に存在する樹脂組成物を得ることができる。
混合工程は、撹拌工程を行った槽内でそのまま行われる。混合工程における樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の撹拌手段は、上記(2-1.撹拌工程)の項に記載される撹拌手段および撹拌翼の記載を援用する。混合工程における撹拌翼の好適な回転速度は、上記(2-1.撹拌工程)の項に記載される撹拌翼の好適な回転速度と同じである。
混合性および流動性の観点から、混合工程において、槽内の撹拌レイノルズ数(Re)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、25以上であることが特に好ましい。撹拌レイノルズ数(Re)が10以上である場合、槽内の混合物に循環流が生じやすくなる。循環流により、混合物の全体が撹拌され、かつ樹脂混合物(C2)の槽壁面への接触が防がれる結果、均一化に要する混合時間を短縮し、樹脂組成物をより効率的に製造することができる。撹拌レイノルズ数(Re)の上限は特に限定されないが、撹拌時の気泡の巻き込みを抑制する観点からは、100,000以下であることが好ましく、10,000以下であることがより好ましい。
本明細書において、撹拌レイノルズ数(Re)の算出方法は以下の通りである。先ず、(i)混合工程における槽内の混合物の撹拌トルク(T)を測定し、(ii)測定された撹拌トルク(T)から、式(1)に基づき撹拌動力(P)を算出し、(iii)算出した撹拌動力(P)から、式(2)に基づき動力数(Np)を算出し、(iv)算出した動力数(Np)から、Np-Re曲線に基づき、撹拌レイノルズ数(Re)を求める。
P=N×T/9549.32・・・式(1)
Np=P/ρ×(N/60)×d・・・式(2)
式(1)および式(2)中、Pは撹拌動力[kW]であり、Nは撹拌翼の回転数[rpm]であり、Tは撹拌トルク[N・m]であり、Npは動力数であり、ρは混合物の密度[kg/m]であり、dは撹拌翼の翼径[m]である。
撹拌トルク(T)は、例えば、佐竹化学機械工業(株)社製トルクメーターST-3000を用いて測定することができる。混合物の密度(ρ)は、比重びんを用いて25℃において測定された値である。撹拌翼の翼径(d)は、回転軸に対して垂直方向の撹拌機の最大長である。
Np-Re曲線の作成方法は、以下の通りである:(i)樹脂組成物の体積(混合工程を経て最終的に得られる樹脂組成物の体積)と等量の、粘度既知の標準物質を槽内で撹拌し、測定された撹拌トルク(T)から、動力数(Np)を算出する;(ii)標準物質の粘度(μ)[mPa・s]から、式(3)に基づき、撹拌レイノルズ数(Re)を算出する;(iii)算出したNpおよびReをプロットし、Np-Re曲線を作成する。標準物質としては、水あめ水溶液(還元水飴と水とを種々の重量比で混合した溶液)を使用する。還元水飴としては、例えば、物産フードサイエンス株式会社製エスイー30などを使用することができる。
Re=ρ×(N/60)×d/(μ/1,000)・・・式(3)
式(3)中、ρは水あめ水溶液の25℃における密度[kg/m]であり、Nは撹拌翼の回転数[rpm]であり、dは撹拌翼の翼径[m]であり、μは水あめ水溶液の25℃における粘度[mPa・s]である。
Np-Re曲線は、樹脂組成物の体積および撹拌機の変更に伴い、その都度作成される。
好ましい実施形態として、槽内の撹拌レイノルズ数(Re)が好ましくは10以上であり、より好ましくは15以上であり、さらに好ましくは20以上であり、特に好ましくは25以上であり、かつ、撹拌機の撹拌翼有効面積比が好ましくは0.4以上であり、より好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.7以上であり、特に好ましくは0.8以上である。当該構成によると、槽内の混合物に循環流がより生じやすくなるという利点を有する。
本製造方法は、槽内の撹拌レイノルズ数(Re)が10以上であることに加えてさらに、下記式(4)で表される値Xが、0.80以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、1.00以上であることがさらに好ましく、1.10以上であることが特に好ましい:
値X=撹拌翼有効面積比+(撹拌レイノルズ数(Re)/100)・・・式(4)。
当該構成によると、槽内の混合物に循環流がより生じやすくなるという利点を有する。
一実施形態として、動力の負荷を低減させるために、混合工程において、槽内の混合物の見かけ粘度は、5,000mPa・s以下であることが好ましく、4,000mPa・s以下であることがより好ましい。槽内の混合物の見かけ粘度が5,000mPa・s以下である場合、回転軸の駆動にかかる電力を低減することができる。
本明細書において、混合物の見かけ粘度は、下記式(5)により算出される値である。
μ=ρ×(N/60)×d×10/Re・・・式(5)
式(5)中、μは見かけ粘度[mPa・s]であり、ρは混合物の25℃における密度[kg/m]であり、nは撹拌翼の回転数[rpm]であり、dは撹拌翼の翼径[m]であり、Reは撹拌レイノルズ数である。
混合工程における樹脂混合物(C2)の添加速度は、撹拌翼の回転による吐出流により、樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着が阻害され得る範囲であればよい。このような添加速度は、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の体積および物性(粘度および密度など)、槽および撹拌翼のサイズおよび形状、撹拌翼の回転速度などによって異なり、特に限定されない。
一実施形態として、以下の条件で混合工程を行う場合の、樹脂混合物(C2)の添加時間について説明する。
<条件>
槽の内容積:0.02m~0.04m
撹拌槽の直径Dに対する撹拌翼の翼径dの比(d/D):0.5~0.7
撹拌翼の形状:格子翼
樹脂(B1)の使用量:3,000g~4,000g
樹脂混合物(C2)の使用量:20,000g~22,000g
撹拌翼の回転速度:100rpm~200rpm。
上述した条件では、樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着および混合物の著しい粘度上昇を回避するためには、樹脂混合物(C2)の使用量の全量を1分以上かけて添加するのが好ましく、2分以上かけて添加することがより好ましい。上述した条件における樹脂組成物(C2)の添加時間の上限は特に限定されないが、短時間で均一な樹脂組成物を得る観点からは、例えば樹脂混合物(C2)の使用量の全量を10分以下で添加することが好ましく、8分以下で添加することがより好ましい。
混合工程において、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の混合に要する混合時間は、混合工程の開始時点(すなわち、樹脂混合物(C2)の添加開始時点)から、混合工程の終了時点(すなわち、槽内の混合物の混合終了時点)までにかかる時間である。このような混合時間は、使用する樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の体積および物性(粘度および密度など)、槽および撹拌翼のサイズおよび形状、並びに撹拌翼の回転速度などによって異なり、特に限定されない。一実施形態において、混合工程において樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の混合に要する混合時間は、短時間で均一な樹脂組成物を得る観点、および生産のサイクルタイムを短縮する観点から、例えば30分以下であることが好ましく、10分以下であることがより好ましく、5分以下であることがさらに好ましい。ここで、「サイクルタイム」とは、作業を行うのに必要な正味の時間を意図する。
混合工程において、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の好適な温度は、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の体積および物性などによって異なり、特に限定されない。一実施形態において、混合工程に供するときの樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の温度は、例えば60℃~140℃であることが好ましく、70℃~130℃であることがより好ましく、80℃~120℃であることがさらに好ましい。混合工程に供するときの樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)の温度および/または混合工程の終了時点での樹脂組成物の温度が上記の範囲である場合、流動性および混合性が向上するという利点を有する。
混合工程において、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との混合比率は、樹脂組成物における重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が1~70重量%、樹脂(B)が30~99重量%となる混合比率であればよい。このような樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との混合比率は、樹脂混合物(C2)における重合体微粒子(A)および樹脂(B2)の配合比率によって異なり、特に限定されない。樹脂混合物(C2)における重合体微粒子(A)および樹脂(B2)の配合比率については、後述の(2-6.樹脂混合物(C2))の項に詳説する。
より好ましい実施形態として、混合工程は、樹脂組成物における重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、(a)重合体微粒子(A)が1~65重量%、樹脂(B)が35~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことが好ましく、(b)重合体微粒子(A)が1~60重量%、樹脂(B)が40~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことがより好ましく、(c)重合体微粒子(A)が1~55重量%、樹脂(B)が45~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことがより好ましく、(d)重合体微粒子(A)が1~50重量%、樹脂(B)が50~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことがさらに好ましく、(e)重合体微粒子(A)が1~45重量%、樹脂(B)が55~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことがよりさらに好ましく、(f)重合体微粒子(A)が1~40重量%、樹脂(B)が60~99重量%となるように、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)とを混合する工程を含むことが特に好ましい。
(2-3.重合体微粒子(A))
重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものである。
(グラフト部)
本明細書において、「グラフト部」とは、任意の重合体に対してグラフト結合された重合体を意図する。グラフト部を有する重合体微粒子(A)は、グラフト共重合体ともいえる。すなわち、重合体微粒子(A)は、グラフト共重合体である。重合体微粒子(A)がグラフト共重合体であることにより、第1の製造方法、および後述する第2の製造方法において、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)が好適な挙動を示すことができるという利点を有する。
グラフト部は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体である(を含む)。前記構成を有するグラフト部は、種々の役割を担うことができる。「種々の役割」とは、例えば、(a)重合体微粒子(A)と樹脂(B1)との相溶性を向上させること、(b)樹脂(B1)における重合体微粒子(A)の分散性を向上させること、および(c)樹脂組成物またはその硬化物において重合体微粒子(A)が1次粒子の状態で分散することを可能にすること、などである。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、およびジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニルシアン単量体の具体例としては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどが挙げられる。
(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意図する。
上述した、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
グラフト部は、構成単位として、芳香族ビニル単量体に由来する構成単位、ビニルシアン単量体に由来する構成単位および(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を合計で、グラフト部100重量%中に、10~95重量%含むことが好ましく、30~92重量%含むことがより好ましく、50~90重量%含むことがさらに好ましく、60~87重量%含むことが特に好ましく、70~85重量%含むことが最も好ましい。
グラフト部は、構成単位として、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。前記反応性基を有する単量体は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、アミノ基、イミド基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、環状エステル、環状アミド、ベンズオキサジン基、およびシアン酸エステル基からなる群から選択される1種以上の反応性基を有する単量体であることが好ましく、エポキシ基、水酸基、およびカルボン酸基からなる群から選択される1種以上の反応性基を有する単量体であることがより好ましく、エポキシ基を有する単量体であることが最も好ましい。前記構成によると、樹脂組成物中で重合体微粒子(A)のグラフト部と樹脂(B1)(例えば熱硬化性樹脂)とを化学結合させることができる。これにより、樹脂組成物中またはその硬化物中で、重合体微粒子(A)を凝集させることなく、重合体微粒子(A)の良好な分散状態を維持することができる。
エポキシ基を有する単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有ビニル単量体が挙げられる。
水酸基を有する単量体の具体例としては、例えば、(a)2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ直鎖アルキル(メタ)アクリレート(特に、ヒドロキシ直鎖C1-6アルキル(メタ)アクリレート);(b)カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート;(c)α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルなどのヒドロキシ分岐アルキル(メタ)アクリレート;(d)二価カルボン酸(フタル酸など)と二価アルコール(プロピレングリコールなど)とから得られるポリエステルジオール(特に飽和ポリエステルジオール)のモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸などのモノカルボン酸、並びに、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸などのジカルボン酸などが挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、前記モノカルボン酸が好適に用いられる。
上述した反応性基を有する単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
グラフト部は、グラフト部100重量%中、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を、0.5~90重量%含むことが好ましく、1~50重量%含むことがより好ましく、2~35重量%含むことがさらに好ましく、3~20重量%含むことが特に好ましい。グラフト部が、グラフト部100重量%中、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を、(a)0.5重量%以上含む場合、得られる樹脂組成物は、十分な耐衝撃性を有する硬化物を提供することができ、(b)90重量%以下含む場合、得られる樹脂組成物は、十分な耐衝撃性を有する硬化物を提供することができ、かつ、当該樹脂組成物の貯蔵安定性が良好となるという利点を有する。
反応性基を有する単量体に由来する構成単位は、グラフト部に含まれることが好ましく、グラフト部にのみ含まれることがより好ましい。
グラフト部は、構成単位として、多官能性単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。グラフト部が、多官能性単量体に由来する構成単位を含む場合、(a)樹脂組成物中において重合体微粒子(A)の膨潤を防止することができる、(b)樹脂組成物の粘度が低くなるため、樹脂組成物の取扱い性が良好となる傾向がある、および(c)樹脂(B1)における重合体微粒子(A)の分散性が向上する、などの利点を有する。
グラフト部が多官能性単量体に由来する構成単位を含まない場合、グラフト部が多官能性単量体に由来する構成単位を含む場合と比較して、得られる樹脂組成物は、靱性および耐衝撃性により優れる硬化物を提供することができる。
多官能性単量体は、同一分子内にラジカル重合性反応基を2つ以上有する単量体ともいえる。前記ラジカル重合性反応基は、好ましくは炭素-炭素二重結合である。多官能性単量体としては、ブタジエンは含まれず、アリルアルキル(メタ)アクリレート類およびアリルオキシアルキル(メタ)アクリレート類のような、エチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリレートなどが例示される。(メタ)アクリル基を2つ有する単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。前記ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレートなどが例示される。また、3つの(メタ)アクリル基を有する単量体として、アルコキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、グリセロールプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどが例示される。アルコキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらに、4つの(メタ)アクリル基を有する単量体として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、などが例示される。またさらに、5つの(メタ)アクリル基を有する単量体として、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが例示される。またさらに、6つの(メタ)アクリル基を有する単量体として、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレートなどが例示される。多官能性単量体としては、また、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなども挙げられる。
上述の多官能性単量体の中でも、グラフト部の重合に好ましく用いられ得る多官能性単量体としては、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。これら多官能性単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
グラフト部は、グラフト部100重量%中、多官能性単量体に由来する構成単位を、1~20重量%含むことが好ましく、5~15重量%含むことがより好ましい。
グラフト部の重合において、上述した単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、グラフト部は、構成単位として、上述した単量体に由来する構成単位の他に、他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
また、グラフト部は、後述する弾性体に対してグラフト結合された重合体であることが好ましい。
(グラフト部のガラス転移温度)
グラフト部のガラス転移温度は、190℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、140℃以下がより好ましく、120℃以下がより好ましく、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がより好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下がより好ましく、0℃以下がより好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下がより好ましく、-45℃以下がより好ましく、-50℃以下がより好ましく、-55℃以下がより好ましく、-60℃以下がより好ましく、-65℃以下がより好ましく、-70℃以下がより好ましく、-75℃以下がより好ましく、-80℃以下がより好ましく、-85℃以下がより好ましく、-90℃以下がより好ましく、-95℃以下がより好ましく、-100℃以下がより好ましく、-105℃以下がより好ましく、-110℃以下がより好ましく、-115℃以下がより好ましく、-120℃以下がさらに好ましく、-125℃以下が特に好ましい。
グラフト部のガラス転移温度は、0℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。
グラフト部のTgは、グラフト部に含まれる構成単位の組成などによって、決定され得る。換言すれば、グラフト部を製造(重合)するときに使用する単量体の組成を変化させることにより、得られるグラフト部のTgを調整することができる。
グラフト部のTgは、重合体微粒子(A)からなる平面板を用いて、粘弾性測定を行うことによって得ることができる。具体的には、以下のようにしてTgを測定できる:(1)重合体微粒子(A)からなる平面板について、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御株式会社製、DVA-200)を用いて、引張条件で動的粘弾性測定を行い、tanδのグラフを得る;(2)得られたtanδのグラフについて、tanδのピーク温度をガラス転移温度とする。ここで、tanδのグラフにおいて、複数のピークが得られた場合には、最も高いピーク温度をグラフト部のガラス転移温度とする。
(グラフト部のグラフト率)
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)は、グラフト部と同じ構成を有する重合体であり、かつ任意の重合体(例えば後述する弾性体)に対してグラフト結合されていない重合体を有していてもよい。本明細書において、「グラフト部と同じ構成を有する重合体であり、かつ任意の重合体に対してグラフト結合されていない重合体」を、非グラフト重合体とも称する。当該非グラフト重合体も、本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)の一部を構成するものとする。前記非グラフト重合体は、グラフト部の重合において製造された重合体のうち、任意の重合体に対してグラフト結合していない重合体ともいえる。
本明細書において、グラフト部の重合において製造された重合体のうち、任意の重合体に対してグラフト結合された重合体、すなわちグラフト部の割合を、グラフト率と称する。グラフト率は、(グラフト部の重量)/{(グラフト部の重量)+(非グラフト重合体の重量)}×100で表される値、ともいえる。
グラフト部のグラフト率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。グラフト率が70%以上である場合、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎないという利点を有する。
本明細書において、グラフト率の算出方法は下記の通りである。先ず、重合体微粒子(A)を含有する水性ラテックスを得、次に、当該水性ラテックスから、重合体微粒子(A)の粉粒体を得る。水性ラテックスから重合体微粒子(A)の粉粒体を得る方法としては、具体的には、(a)前記水性ラテックス中の重合体微粒子(A)を凝析し、(b)得られる凝析物を脱水し、(c)さらに凝析物を乾燥することにより、重合体微粒子(A)の粉粒体を得る方法が挙げられる。次いで、重合体微粒子(A)の粉粒体2gをメチルエチルケトン(以下、MEKとも称する。)50mLに溶解する。その後、得られたMEK溶解物を、MEKに可溶な成分(MEK可溶分)とMEKに不溶な成分(MEK不溶分)とに分離する。具体的には、以下(1)~(3)を行う:(1)遠心分離機(日立工機(株)社製、CP60E)を用い、回転数30,000rpmにて1時間、得られたMEK溶解物を遠心分離に供し、当該溶解物を、MEK可溶分とMEK不溶分とに分離する;(2)得られたMEK可溶分とMEKとを混合し、得られたMEK混合物を上述の遠心分離機を用い、回転数30,000rpmにて1時間、遠心分離に供し、当該MEK混合物をMEK可溶分とMEK不溶分とに分離する;(3)上記(2)の操作を1回繰り返す(すなわち遠心分離作業は合計3回実施する)。かかる操作により濃縮したMEK可溶分を得る。次に、濃縮したMEK可溶分20mlをメタノール200mlと混合する。塩化カルシウム0.01gを水に溶かした塩化カルシウム水溶液を得られた混合物に添加し、得られた混合物を1時間撹拌する。その後、得られた混合物をメタノール可溶分とメタノール不溶分とに分離し、メタノール不溶分の重量をフリー重合体(FP)量とする。
次式よりグラフト率を算出する。
グラフト率(%)=100-[(FP量)/{(FP量)+(MEK不溶分の重量)}]/(グラフト部の重合体の重量)×10,000。
なお、グラフト部以外の重合体の重量は、グラフト部以外の重合体を構成する単量体の仕込み量である。グラフト部以外の重合体は、例えば弾性体である。また、重合体微粒子(A)が後述する表面架橋重合体を含む場合、グラフト部以外の重合体は、弾性体および表面架橋重合体の両方を含む。グラフト部の重合体の重量は、グラフト部の重合体を構成する単量体の仕込み量である。また、グラフト率の算出において、重合体微粒子(A)を凝析する方法は特に限定されず、溶剤を用いる方法、凝析剤を用いる方法、水性ラテックスを噴霧する方法などが用いられ得る。
(グラフト部の変形例)
本発明の一実施形態において、グラフト部は、同一の組成の構成単位を有する1種のグラフト部のみからなってもよい。本発明の一実施形態において、グラフト部は、それぞれ異なる組成の構成単位を有する複数種のグラフト部からなってもよい。
本発明の一実施形態において、グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合について説明する。この場合、複数種のグラフト部のそれぞれを、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部とする(nは2以上の整数)。グラフト部は、それぞれ別々に重合されたグラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部の複合体を含んでいてもよい。グラフト部は、グラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部をそれぞれ順に重合して得られる1つの重合体を含んでいてもよい。このように、複数の重合部(グラフト部)をそれぞれ順に重合することを、多段重合とも称する。複数種のグラフト部を多段重合して得られる重合体を、多段重合グラフト部とも称する。多段重合グラフト部の製造方法については、後に詳述する。
グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、これら複数種のグラフト部の全てが弾性体に対してグラフト結合されていなくてもよい。少なくとも1種のグラフト部の少なくとも一部が弾性体に対してグラフト結合されていればよく、その他の種(その他の複数種)のグラフト部は、弾性体に対してグラフト結合されているグラフト部にグラフト結合されていてもよい。また、グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、複数種のグラフト部と同じ構成を有する重合体であり、かつ弾性体に対してグラフト結合されていない複数種の重合体(複数種の非グラフト重合体)を有していてもよい。
グラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部からなる多段重合グラフト部について説明する。当該多段重合グラフト部において、グラフト部は、グラフト部n-1の少なくとも一部を被覆し得るか、またはグラフト部n-1の全体を被覆し得る。当該多段重合グラフト部において、グラフト部の一部はグラフト部n-1の内側に入り込んでいることもある。
多段重合グラフト部において、複数のグラフト部のそれぞれが、層構造を形成していてもよい。例えば、多段重合グラフト部が、グラフト部、グラフト部、およびグラフト部からなる場合、グラフト部がグラフト部における最内層を形成し、グラフト部の外側にグラフト部の層が形成され、さらにグラフト部の層の外側にグラフト部の層が最外層として形成される態様も、本発明の一態様である。このように、複数のグラフト部のそれぞれが層構造を形成している多段重合グラフト部は、多層グラフト部ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、グラフト部は、(a)複数種のグラフト部の複合体、(b)多段重合グラフト部および/または(c)多層グラフト部を含んでいてもよい。
重合体微粒子(A)の製造において任意の重合体(例えば後述する弾性体)とグラフト部とがこの順で重合される場合、得られる重合体微粒子(A)において、グラフト部の少なくとも一部分は、任意の重合体の少なくとも一部分を被覆し得る。任意の重合体とグラフト部とがこの順で重合されるとは、換言すれば、任意の重合体とグラフト部とが多段重合されるともいえる。任意の重合体とグラフト部とを多段重合して得られる重合体微粒子(A)は、多段重合体ともいえる。
重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、グラフト部は任意の重合体(例えば後述する弾性体)の少なくとも一部を被覆し得るか、または任意の重合体の全体を被覆し得る。重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、グラフト部の一部は任意の重合体の内側に入り込んでいることもある。グラフト部の少なくとも一部分は、弾性体の少なくとも一部分を被覆していることが好ましい。換言すれば、グラフト部の少なくとも一部分は、重合体微粒子(A)の最も外側に存在することが好ましい。
重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、任意の重合体(例えば後述する弾性体)およびグラフト部が、層構造を形成していてもよい。例えば、弾性体が最内層(コア層とも称する。)を形成し、弾性体の外側にグラフト部の層が最外層(シェル層とも称する。)として形成される態様も、本発明の一態様である。弾性体をコア層とし、グラフト部をシェル層とする構造はコアシェル構造ともいえる。このように、弾性体およびグラフト部が層構造(コアシェル構造)を形成している重合体微粒子(A)は、多層重合体またはコアシェル重合体ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)は、多段重合体であってもよく、かつ/または、多層重合体もしくはコアシェル重合体であってもよい。ただし、グラフト部を有している限り、重合体微粒子(A)は前記構成に制限されるわけではない。
(弾性体)
重合体微粒子(A)は、さらに弾性体を有するものであることが好ましい。上述したグラフト部は、弾性体に対してグラフト結合された重合体であることが好ましい。すなわち、重合体微粒子(A)は、弾性体と、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部と、を有するゴム含有グラフト共重合体であることがより好ましい。以下、重合体微粒子(A)がゴム含有グラフト共重合体である場合を例に挙げて、本発明の一実施形態を説明する。
当該弾性体は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。弾性体は、上述したゴム以外に、天然ゴムを含んでいてもよい。弾性体は、弾性部またはゴム粒子と言い換えることもできる。
弾性体がジエン系ゴムを含む場合(場合A)について説明する。場合Aにおいて、得られる樹脂組成物は、靱性および耐衝撃性に優れる硬化物を提供することができる。靱性および/または耐衝撃性に優れる硬化物は、耐久性に優れる硬化物ともいえる。
前記ジエン系ゴムは、構成単位として、ジエン系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。前記ジエン系単量体は、共役ジエン系単量体と言い換えることもできる。場合Aにおいて、ジエン系ゴムは、構成単位100重量%中、ジエン系単量体に由来する構成単位を50~100重量%、およびジエン系単量体と共重合可能なジエン系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を0~50重量%、含むものであってもよい。場合Aにおいて、ジエン系ゴムは、構成単位として、ジエン系単量体に由来する構成単位よりも少ない量において、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
ジエン系単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、2-クロロ-1,3-ブタジエンなどが挙げられる。これらのジエン系単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジエン系単量体と共重合可能なジエン系単量体以外のビニル系単量体(以下、ビニル系単量体A、とも称する。)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性単量体、などが挙げられる。上述した、ビニル系単量体Aは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上述した、ビニル系単量体Aの中でも、特に好ましくはスチレンである。なお、場合Aにおけるジエン系ゴムにおいて、ビニル系単量体Aに由来する構成単位は任意成分である。場合Aにおいて、ジエン系ゴムは、ジエン系単量体に由来する構成単位のみから構成されてもよい。
場合Aにおいて、ジエン系ゴムとしては、1,3-ブタジエンに由来する構成単位からなるブタジエンゴム(ポリブタジエンゴムとも称する。)、または、1,3-ブタジエンとスチレンとの共重合体であるブタジエン-スチレンゴム(ポリスチレン-ブタジエンとも称する。)が好ましく、ブタジエンゴムがより好ましい。前記構成によると、重合体微粒子(A)がジエン系ゴムを含むことによる所望の効果がより発揮され得る。また、ブタジエン-スチレンゴムは、屈折率の調整により、得られる硬化物の透明性を高めることができる点においても、より好ましい。
弾性体が(メタ)アクリレート系ゴムを含む場合(場合B)について説明する。場合Bでは、多種の単量体の組合せにより、弾性体の幅広い重合体設計が可能となる。
前記(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位として、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位100重量%中、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を50~100重量%、および(メタ)アクリレート系単量体と共重合可能な(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を0~50重量%、含むものであってもよい。場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位として、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位よりも少ない量において、ジエン系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアルキル(メタ)アクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレートなどのアリルアルキル(メタ)アクリレート類;モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの(メタ)アクリレート系単量体の中でも、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、および2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムとしては、エチル(メタ)アクリレートゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴムおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートゴムがより好ましい。エチル(メタ)アクリレートゴムはエチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムであり、ブチル(メタ)アクリレートゴムはブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムであり、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴムは2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムである。当該構成によると、弾性体のガラス転移温度(Tg)が低くなるためTgが低い重合体微粒子(A)および樹脂組成物が得られる。その結果、(a)得られる樹脂組成物は、優れた靱性を有する硬化物を提供でき、かつ(b)当該樹脂組成物の粘度をより低くすることができる。
(メタ)アクリレート系単量体と共重合可能な(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体(以下、ビニル系単量体B、とも称する。)としては、前記ビニル系単量体Aにおいて列挙した単量体が挙げられる。(ビニル系単量体Bは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ビニル系単量体Bの中でも、特に好ましくはスチレンである。なお、場合Bにおける(メタ)アクリレート系ゴムにおいて、ビニル系単量体Bに由来する構成単位は任意成分である。場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムは、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位のみから構成されてもよい。
弾性体がオルガノシロキサン系ゴムを含む場合(場合C)について説明する。場合Cにおいて、得られる樹脂組成物は、十分な耐熱性を有し、かつ低温での耐衝撃性に優れる硬化物を提供することができる。
オルガノシロキサン系ゴムとしては、例えば、(a)ジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるオルガノシロキサン系重合体、(b)側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるオルガノシロキサン系重合体、が挙げられる。これらのオルガノシロキサン系重合体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、ジメチルシリルオキシ単位から構成される重合体をジメチルシリルオキシゴムと称し、メチルフェニルシリルオキシ単位から構成される重合体をメチルフェニルシリルオキシゴムと称し、ジメチルシリルオキシ単位とジフェニルシリルオキシ単位とから構成される重合体をジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムと称する。場合Cにおいて、オルガノシロキサン系ゴムとしては、(a)得られる粉粒体を含む樹脂組成物が耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供することができることから、ジメチルシリルオキシゴム、メチルフェニルシリルオキシゴムおよびジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、(b)容易に入手できて経済的でもあることから、ジメチルシリルオキシゴムであることがより好ましい。
場合Cにおいて、重合体微粒子(A)は、重合体微粒子(A)に含まれる弾性体100重量%中、オルガノシロキサン系ゴムを80重量%以上含有していることが好ましく、90重量%以上含有していることがより好ましい。前記構成によると、得られる樹脂組成物は、耐熱性に優れる硬化物を提供することができる。
弾性体は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴム以外の弾性体をさらに含んでいてもよい。ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴム以外の弾性体としては、例えば天然ゴムが挙げられる。
本発明の一実施形態において、弾性体は、ブタジエンゴム、ブタジエン-スチレンゴム、ブタジエン-(メタ)アクリレートゴム、エチル(メタ)アクリレートゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴム、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴム、ジメチルシリルオキシゴム、メチルフェニルシリルオキシゴム、およびジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ブタジエンゴム、ブタジエン-スチレンゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴム、およびジメチルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
(弾性体の架橋構造)
重合体微粒子(A)の樹脂(B1)(例えば熱硬化性樹脂)中での分散安定性を保持する観点から、弾性体には、架橋構造が導入されていることが好ましい。弾性体に対する架橋構造の導入方法としては、一般的に用いられる手法を採用することができ、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、弾性体の製造において、弾性体を構成し得る単量体に、多官能性単量体および/またはメルカプト基含有化合物などの架橋性単量体を混合し、次いで重合する方法が挙げられる。本明細書において、弾性体など重合体を製造することを、重合体を重合する、とも称する。
また、オルガノシロキサン系ゴムに架橋構造を導入する方法としては、次のような方法も挙げられる:(A)オルガノシロキサン系ゴムを重合するときに、多官能性のアルコキシシラン化合物と他の材料とを併用する方法、(B)反応性基(例えば(a)メルカプト基および(b)反応性を有するビニル基、など)をオルガノシロキサン系ゴムに導入し、その後、得られた反応生成物に、(a)有機過酸化物または(b)重合性を有するビニル単量体などを添加してラジカル反応させる方法、または、(C)オルガノシロキサン系ゴムを重合するときに、多官能性単量体および/またはメルカプト基含有化合物などの架橋性単量体を他の材料と共に混合し、次いで重合を行う方法、など。
多官能性単量体としては、上述した(グラフト部)の項で例示した多官能性単量体が挙げられる。
メルカプト基含有化合物としては、アルキル基置換メルカプタン、アリル基置換メルカプタン、アリール基置換メルカプタン、ヒドロキシ基置換メルカプタン、アルコキシ基置換メルカプタン、シアノ基置換メルカプタン、アミノ基置換メルカプタン、シリル基置換メルカプタン、酸基置換メルカプタン、ハロ基置換メルカプタンおよびアシル基置換メルカプタンなどが挙げられる。アルキル基置換メルカプタンとしては、炭素数1~20のアルキル基置換メルカプタンが好ましく、炭素数1~10のアルキル基置換メルカプタンがより好ましい。アリール基置換メルカプタンとしては、フェニル基置換メルカプタンが好ましい。アルコキシ基置換メルカプタンとしては、炭素数1~20のアルコキシ基置換メルカプタンが好ましく、炭素数1~10のアルコキシ基置換メルカプタンがより好ましい。酸基置換メルカプタンとしては、好ましくは、カルボキシル基を有する炭素数1~10のアルキル基置換メルカプタン、または、カルボキシル基を有する炭素数1~12のアリール基置換メルカプタン、である。
(弾性体のガラス転移温度)
弾性体のガラス転移温度は、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下がより好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がより好ましく、10℃以下がより好ましく、0℃以下がより好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下がより好ましく、-45℃以下がより好ましく、-50℃以下がより好ましく、-55℃以下がより好ましく、-60℃以下がより好ましく、-65℃以下がより好ましく、-70℃以下がより好ましく、-75℃以下がより好ましく、-80℃以下がより好ましく、-85℃以下がより好ましく、-90℃以下がより好ましく、-95℃以下がより好ましく、-100℃以下がより好ましく、-105℃以下がより好ましく、-110℃以下がより好ましく、-115℃以下がより好ましく、-120℃以下がさらに好ましく、-125℃以下が特に好ましい。本明細書において、「ガラス転移温度」を「Tg」と称する場合もある。当該構成によると、低いTgを有する重合体微粒子(A)、および、低いTgを有する樹脂組成物を得ることができる。その結果、得られる樹脂組成物は、優れた靱性を有する硬化物を提供できる。また、当該構成によると、得られる樹脂組成物の粘度を、より低くすることができる。弾性体のTgは、重合体微粒子(A)からなる平面板を用いて、粘弾性測定を行うことによって得ることができる。具体的には、以下のようにしてTgを測定できる:(1)重合体微粒子(A)からなる平面板について、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御株式会社製、DVA-200)を用いて、引張条件で動的粘弾性測定を行い、tanδのグラフを得る;(2)得られたtanδのグラフについて、tanδのピーク温度をガラス転移温度とする。ここで、tanδのグラフにおいて、複数のピークが得られた場合には、最も低いピーク温度を弾性体のガラス転移温度とする。
一方、得られる硬化物の弾性率(剛性)の低下を抑制することができる、すなわち十分な弾性率(剛性)を有する硬化物が得られることから、弾性体のTgは、0℃よりも大きいことが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、80℃以上であることが特に好ましく、120℃以上であることが最も好ましい。
弾性体のTgは、弾性体に含まれる構成単位の組成などによって、決定され得る。換言すれば、弾性体を製造(重合)するときに使用する単量体の組成を変化させることにより、得られる弾性体のTgを調整することができる。
ここで、1種類の単量体のみを重合させてなる単独重合体としたとき、0℃よりも大きいTgを有する単独重合体を提供する単量体の群を、単量体群aとする。また、1種類の単量体のみを重合させてなる単独重合体としたとき、0℃未満のTgを有する単独重合体を提供する単量体の群を、単量体群bとする。単量体群aから選択される少なくとも1種の単量体に由来する構成単位を50~100重量%(より好ましくは、65~99重量%)、および単量体群bから選択される少なくとも1種の単量体に由来する構成単位を0~50重量%(より好ましくは、1~35重量%)含む弾性体を、弾性体Gとする。弾性体Gは、Tgが0℃よりも大きい。また、弾性体が弾性体Gを含む場合、得られる樹脂組成物は、十分な剛性を有する硬化物を提供することができる。
弾性体のTgが0℃よりも大きい場合も、弾性体に架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、前記の方法が挙げられる。
前記単量体群aに含まれ得る単量体としては、以下に限るものではないが、例えば、スチレン、2-ビニルナフタレンなどの無置換ビニル芳香族化合物類;α-メチルスチレンなどのビニル置換芳香族化合物類;3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレンなどの環アルキル化ビニル芳香族化合物類;4-メトキシスチレン、4-エトキシスチレンなどの環アルコキシル化ビニル芳香族化合物類;2-クロロスチレン、3-クロロスチレンなどの環ハロゲン化ビニル芳香族化合物類;4-アセトキシスチレンなどの環エステル置換ビニル芳香族化合物類;4-ヒトロキシスチレンなどの環ヒドロキシル化ビニル芳香族化合物類;ビニルベンゾエート、ビニルシクロヘキサノエートなどのビニルエステル類;塩化ビニルなどのビニルハロゲン化物類;アセナフタレン、インデンなどの芳香族単量体類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート類;フェニルメタクリレートなどの芳香族メタクリレート;イソボルニルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレートなどのメタクリレート類;メタクリロニトリルなどのメタクリル酸誘導体を含むメタクリル単量体;イソボルニルアクリレート、tert-ブチルアクリレートなどのある種のアクリル酸エステル;アクリロニトリルなどのアクリル酸誘導体を含むアクリル単量体、などが挙げられる。さらに、前記単量体群aに含まれ得る単量体としては、アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、1-アダマンチルアクリレートおよび1-アダマンチルメタクリレート、など、単独重合体としたとき120℃以上のTgを有する単独重合体を提供し得る単量体が挙げられる。これらの単量体aは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記単量体bとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート(別名:アクリル酸ブチル)、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートなどが挙げられる。これらの単量体bは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの単量体bの中でも、特に好ましくは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートである。
(弾性体の体積平均粒子径)
弾性体の体積平均粒子径は、0.03μm~50.00μmが好ましく、0.05μm~10.00μmがより好ましく、0.08μm~2.00μmがより好ましく、0.10μm~1.00μmがさらに好ましく、0.10μm~0.80μmがよりさらに好ましく、0.10μm~0.50μmが特に好ましい。弾性体の体積平均粒子径が(a)0.03μm以上である場合、所望の体積平均粒子径を有する弾性体を安定的に得ることができ、(b)50.00μm以下である場合、得られる硬化物または成形体の耐熱性および耐衝撃性が良好となる。弾性体の体積平均粒子径は、弾性体を含む水性ラテックスを試料として、動的光散乱式粒子径分布測定装置などを用いて、測定することができる。弾性体の体積平均粒子径の測定方法については、下記実施例にて詳述する。
(弾性体の割合)
重合体微粒子(A)中に占める弾性体の割合は、重合体微粒子(A)全体を100重量%として、40~97重量%が好ましく、60~95重量%がより好ましく、70~93重量%がさらに好ましい。弾性体の前記割合が、(a)40重量%以上である場合、得られる樹脂組成物は、靱性および耐衝撃性に優れる硬化物を提供することができ、(b)97重量%以下である場合、重合体微粒子(A)は容易には凝集しないため、樹脂組成物が高粘度となることがなく、その結果、得られる樹脂組成物は取り扱いに優れたものとなり得る。
(弾性体のゲル含量)
弾性体は、適切な溶媒に対して膨潤し得るが、実質的には溶解しないものであることが好ましい。弾性体は、使用する樹脂(B1)(例えば熱硬化性樹脂)に対して、不溶であることが好ましい。
弾性体は、ゲル含量が60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、95重量%以上であることが特に好ましい。弾性体のゲル含量が前記範囲内である場合、得られる樹脂組成物は、靱性に優れる硬化物を提供できる。
本明細書においてゲル含量の算出方法は下記の通りである。先ず、重合体微粒子(A)を含有する水性ラテックスを得、次に、当該水性ラテックスから、重合体微粒子(A)の粉粒体を得る。水性ラテックスから重合体微粒子(A)の粉粒体を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、(a)当該水性ラテックス中の重合体微粒子(A)を凝集させ、(b)得られる凝集物を脱水し、(c)さらに凝集物を乾燥することにより、重合体微粒子(A)の粉粒体を得る方法が挙げられる。次いで、重合体微粒子(A)の粉粒体2.0gをメチルエチルケトン(MEK)50mLに溶解する。その後、得られたMEK溶解物を、MEKに可溶な成分(MEK可溶分)とMEKに不溶な成分(MEK不溶分)とに分離する。具体的には、遠心分離機(日立工機(株)社製、CP60E)を用い、回転数30,000rpmにて1時間、得られたMEK溶解物を遠心分離に供し、当該溶解物を、MEK可溶分とMEK不溶分とに分離する。ここで、遠心分離作業は合計3セット実施する。得られたMEK可溶分とMEK不溶分との重量を測定し、次式よりゲル含量を算出する。
ゲル含量(%)=(メチルエチルケトン不溶分の重量)/{(メチルエチルケトン不溶分の重量)+(メチルエチルケトン可溶分の重量)}×100
(弾性体の変形例)
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成が同一である1種類の弾性体、のみからなってもよい。この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種類である。
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種の弾性体からなってもよい。この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される2種類以上であってもよい。また、この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種類であってもよい。換言すれば、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種のジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムまたはオルガノシロキサン系ゴムであってもよい。
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」が、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種の弾性体からなる場合について説明する。この場合、複数種の弾性体のそれぞれを、弾性体、弾性体、・・・、および弾性体とする。ここで、nは2以上の整数である。重合体微粒子(A)の「弾性体」は、それぞれ別々に重合された弾性体、弾性体、・・・、および弾性体の複合体を含んでいてもよい。重合体微粒子(A)の「弾性体」は、弾性体、弾性体、・・・、および弾性体をそれぞれ順に重合して得られる1つの弾性体を含んでいてもよい。このように、複数の弾性体(重合体)をそれぞれ順に重合することを、多段重合とも称する。複数種の弾性体を多段重合して得られる1つの弾性体を、多段重合弾性体とも称する。多段重合弾性体の製造方法については、後に詳述する。
弾性体、弾性体、・・・、および弾性体からなる多段重合弾性体について説明する。当該多段重合弾性体において、弾性体は、弾性体n-1の少なくとも一部を被覆し得るか、または弾性体n-1の全体を被覆し得る。当該多段重合弾性体において、弾性体の一部は弾性体n-1の内側に入り込んでいることもある。
多段重合弾性体において、複数の弾性体のそれぞれが、層構造を形成していてもよい。例えば、多段重合弾性体が、弾性体、弾性体、および弾性体からなる場合、弾性体が最内層を形成し、弾性体の外側に弾性体の層が形成され、さらに弾性体の層の外側に弾性体の層が弾性体における最外層として形成される態様も、本発明の一態様である。このように、複数の弾性体のそれぞれが層構造を形成している多段重合弾性体は、多層弾性体ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、(a)複数種の弾性体の複合体、(b)多段重合弾性体および/または(c)多層弾性体を含んでいてもよい。
(表面架橋重合体)
ゴム含有グラフト共重合体は、弾性体、および、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部以外に、表面架橋重合体をさらに有することが好ましい。換言すれば、重合体微粒子(A)は、弾性体、および、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部以外に、表面架橋重合体をさらに有することが好ましい。以下、重合体微粒子(A)(例えばゴム含有グラフト共重合体)が、表面架橋重合体をさらに有する場合を例に挙げて、本発明の一実施形態を説明する。この場合、(a)重合体微粒子(A)の製造において、耐ブロッキング性を改善することができるとともに、(b)樹脂(B1)(例えば熱硬化性樹脂)における重合体微粒子(A)の分散性がより良好となる。これらの理由としては、特に限定されないが、以下のように推測され得る:表面架橋重合体が弾性体の少なくとも一部を被覆することにより、重合体微粒子(A)の弾性体部分の露出が減り、その結果、弾性体同士が引っ付きにくくなるため、重合体微粒子(A)の分散性が向上する。
重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を有する場合、さらに以下の効果も有し得る:(a)本樹脂組成物の粘度を低下させる効果、(b)弾性体における架橋密度を上げる効果、および(c)グラフト部のグラフト効率を高める効果。弾性体における架橋密度とは、弾性体全体における架橋構造の数の程度を意図する。
表面架橋重合体は、構成単位として、多官能性単量体に由来する構成単位を30~100重量%、およびその他のビニル系単量体に由来する構成単位を0~70重量%、合計100重量%含む重合体からなる。
表面架橋重合体の重合に用いられ得る多官能性単量体としては、上述の多官能性単量体と同じ単量体が挙げられる。それら多官能性単量体の中でも、表面架橋重合体の重合に好ましく用いられ得る多官能性単量体としては、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えばジメタクリル酸1,3-ブチレングリコールなど)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。これら多官能性単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
重合体微粒子(A)は、ゴム含有グラフト共重合体の重合とは独立して重合された表面架橋重合体を含んでいてもよく、または、ゴム含有グラフト共重合体と共に重合された表面架橋重合体を含んでいてもよい。重合体微粒子(A)は、弾性体と表面架橋重合体とグラフト部とをこの順に多段重合して得られる多段重合体であってもよい。これらいずれの態様においても、表面架橋重合体は弾性体の少なくとも一部を被覆し得る。
表面架橋重合体は、弾性体の一部とみなすこともできる。換言すれば、表面架橋重合体は、ゴム含有グラフト共重合体の一部とみなすこともでき、表面架橋重合部ともいえる。重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を含む場合、グラフト部は、(a)表面架橋重合体以外の弾性体に対してグラフト結合されていてもよく、(b)表面架橋重合体に対してグラフト結合されていてもよく、(c)表面架橋重合体以外の弾性体および表面架橋重合体の両方に対してグラフト結合されていてもよい。重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を含む場合、上述した弾性体の体積平均粒子径とは、表面架橋重合体を含む弾性体の体積平均粒子径を意図する。
重合体微粒子(A)が、弾性体と表面架橋重合体とグラフト部とをこの順に多段重合して得られる多段重合体である場合(場合D)について説明する。場合Dにおいて、表面架橋重合体は、弾性体の一部を被覆し得るか、または弾性体の全体を被覆し得る。場合Dにおいて、表面架橋重合体の一部は弾性体の内側に入り込んでいることもある。場合Dにおいて、グラフト部は、表面架橋重合体の一部を被覆し得るか、または表面架橋重合体の全体を被覆し得る。場合Dにおいて、グラフト部の一部は表面架橋重合体の内側に入り込んでいることもある。場合Dにおいて、弾性体、表面架橋重合体およびグラフト部が、層構造を有していてもよい。例えば、弾性体を最内層(コア層)とし、弾性体の外側に表面架橋重合体の層が中間層として存在し、表面架橋重合体の外側にグラフト部の層が最外層(シェル層)として存在する態様も、本発明の一態様である。
(重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv))
重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)は、所望の粘度を有し、かつ高度に安定した樹脂組成物を得ることができることから、0.03μm~50.00μmが好ましく、0.05μm~10.00μmがより好ましく、0.08μm~2.00μmがより好ましく、0.10μm~1.00μmがさらに好ましく、0.10μm~0.80μmがよりさらに好ましく、0.10μm~0.50μmが特に好ましい。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)が前記範囲内である場合、樹脂(B1)(例えば、熱硬化性樹脂)における重合体微粒子(A)の分散性が良好となるという利点も有する。なお、本明細書において、「重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)」とは、特に言及する場合を除き、重合体微粒子(A)の1次粒子の体積平均粒子径を意図する。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は、重合体微粒子(A)を含む水性ラテックスを試料として、動的光散乱式粒子径分布測定装置などを用いて、測定することができる。
(重合体微粒子(A)の密度)
重合体微粒子(A)は、樹脂(B1)および/または樹脂(B2)より低い密度を有することが好ましい。重合体微粒子(A)は、樹脂(B1)および/または樹脂(B2)より低い密度を有することにより、樹脂(B1)よりも低い密度を有する樹脂混合物(C2)を容易に得ることができる、という利点を有する。
重合体微粒子(A)は、800kg/m~1,000kg/mの密度を有することが好ましく、850kg/m~1,000kg/mの密度を有することがより好ましく、900kg/m~1,000kg/mの密度を有することがさらに好ましい。重合体微粒子(A)の密度が上記の範囲である場合、樹脂(B1)よりも低い密度を有する樹脂混合物(C2)を容易に得ることができる、という利点を有する。本明細書において重合体微粒子(A)の密度は、比重びんを用いて、25℃において、水と重合体微粒子(A)との混合液(例えば重合体微粒子(A)を含む水性ラテックス)を測定して得られた値から算出される。
(2-4.重合体微粒子(A)の製造方法)
以下、重合体微粒子(A)が、弾性体と、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部と、を有するゴム含有グラフト共重合体を含む場合を例に挙げて、重合体微粒子(A)の製造方法の一例を説明する。重合体微粒子(A)は、例えば、弾性体を重合した後、当該弾性体の存在下にて当該弾性体に対してグラフト部を構成する重合体をグラフト重合することによって、製造できる。
重合体微粒子(A)は、公知の方法、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの方法により製造することができる。具体的には、重合体微粒子(A)における弾性体の重合、グラフト部の重合(グラフト重合)、および表面架橋重合体の重合は、公知の方法、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの方法により実施することができる。これらの中でも特に、重合体微粒子(A)の製造方法としては、乳化重合法が好ましい。乳化重合法によると、(a)重合体微粒子(A)の組成設計が容易である、および(b)重合体微粒子(A)の工業生産が容易である、という利点を有する。以下、重合体微粒子(A)に含まれ得る弾性体、グラフト部、および任意の構成である表面架橋重合体の製造方法について、説明する。
(弾性体の製造方法)
弾性体が、ジエン系ゴムおよび(メタ)アクリレート系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種以上を含む場合を考える。この場合、弾性体は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などの方法により製造することができ、その製造方法としては、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
弾性体が、オルガノシロキサン系ゴムを含む場合を考える。この場合、弾性体は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などの方法により製造することができ、その製造方法としては、例えばWO2006/070664号公報に記載の方法を用いることができる。
重合体微粒子(A)の「弾性体」が複数種の弾性体(例えば弾性体、弾性体、・・・、弾性体)からなる場合について説明する。この場合、弾性体、弾性体、・・・、弾性体は、それぞれ別々に上述の方法により重合され、その後混合されて複合化されることにより、複数種の弾性体からなる複合体が製造されてもよい。または、弾性体、弾性体、・・・、弾性体は、それぞれ順に多段重合され、複数種の弾性体からなる1つの弾性体が製造されてもよい。
弾性体の多段重合について、具体的に説明する。例えば、以下、(1)~(4)の工程を順に行うことにより、多段重合弾性体を得ることができる:(1)弾性体を重合して弾性体を得る;(2)次いで弾性体の存在下にて弾性体を重合して2段弾性体1+2を得る;(3)次いで弾性体1+2の存在下にて弾性体を重合して3段弾性体1+2+3を得る;(4)以下、同様に行った後、弾性体1+2+・・・+(n-1)の存在下にて弾性体を重合して多段重合弾性体1+2+・・・+nを得る。
(グラフト部の製造方法)
グラフト部は、例えば、グラフト部の形成に用いる単量体を、任意の重合体(例えば弾性体)の存在下、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。(a)弾性体、または(b)弾性体および表面架橋重合体を含む重合体微粒子前駆体、を水性ラテックスとして得た場合には、グラフト部の重合は乳化重合法により行うことが好ましい。グラフト部は、例えば、WO2005/028546号公報に記載の方法に従って製造することができる。
グラフト部が複数種のグラフト部(例えばグラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部)からなる場合の、グラフト部の製造方法について説明する。この場合、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部は、それぞれ別々に上述の方法により重合され、その後混合されて複合化されることにより、複数種のグラフト部からなるグラフト部(複合体)が製造されてもよい。または、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部は、それぞれ順に多段重合され、複数種のグラフト部からなる1つのグラフト部が製造されてもよい。
グラフト部の多段重合について、具体的に説明する。例えば、以下、(1)~(4)の工程を順に行うことにより、多段重合グラフト部を得ることができる:(1)グラフト部を重合してグラフト部を得る;(2)次いでグラフト部の存在下にてグラフト部を重合して2段グラフト部1+2を得る;(3)次いでグラフト部1+2の存在下にてグラフト部を重合して3段グラフト部1+2+3を得る;(4)以下、同様に行った後、グラフト部1+2+・・・+(n-1)の存在下にてグラフト部を重合して多段重合グラフト部1+2+・・・+nを得る。
グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、複数種のグラフト部を有するグラフト部を重合した後、弾性体にそれらグラフト部をグラフト重合して、重合体微粒子(A)を製造してもよい。弾性体の存在下にて、弾性体に対して、グラフト部を構成する複数種の重合体を順に多段グラフト重合して、重合体微粒子(A)を製造してもよい。
(表面架橋重合体の製造方法)
表面架橋重合体は、表面架橋重合体の形成に用いる単量体を、任意の重合体(例えば弾性体)の存在下、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。弾性体を水性ラテックスとして得た場合には、表面架橋重合体の重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
重合体微粒子(A)の製造方法として、乳化重合法を採用する場合、重合体微粒子(A)の製造には、公知の乳化剤(分散剤)を用いることができる。
乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などが挙げられる。アニオン性乳化剤としては、硫黄系乳化剤、リン系乳化剤、ザルコシン酸系乳化剤、カルボン酸系乳化剤などが挙げられる。硫黄系乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称;SDBS)などが挙げられる。リン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
重合体微粒子(A)の製造方法として、乳化重合法を採用する場合、重合体微粒子(A)の製造には、熱分解型開始剤を用いることができる。前記熱分解型開始剤としては、例えば、(a)2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、並びに(b)有機過酸化物および無機過酸化物などの過酸化物、などの公知の開始剤を挙げることができる。前記有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、およびt-ヘキシルパーオキサイドなどが挙げられる。前記無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
重合体微粒子(A)の製造には、レドックス型開始剤を使用することもできる。前記レドックス型開始剤は、(a)有機過酸化物および無機過酸化物などの過酸化物と、(b)硫酸鉄(II)などの遷移金属塩や、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤を併用した開始剤である。さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用してもよい。
レドックス型開始剤を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定することができるようになる。そのため、レドックス型開始剤を用いることが好ましい。レドックス型開始剤の中でも、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、およびt-ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物を過酸化物として使用したレドックス型開始剤が好ましい。前記開始剤の使用量、並びに、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤、遷移金属塩およびキレート剤などの使用量は、公知の範囲で用いることができる。
弾性体、グラフト部または表面架橋重合体に架橋構造を導入する目的で、弾性体、グラフト部または表面架橋重合体の重合に多官能性単量体を使用する場合、公知の連鎖移動剤を公知の使用量の範囲で用いることができる。連鎖移動剤を使用することにより、得られる弾性体、グラフト部もしくは表面架橋重合体の分子量および/または架橋度を容易に調節することができる。
重合体微粒子(A)の製造には、上述した成分に加えて、さらに界面活性剤を用いることができる。前記界面活性剤の種類および使用量は、公知の範囲である。
重合体微粒子(A)の製造において、重合における重合温度、圧力、および脱酸素などの各条件は、公知の数値範囲の条件を適宜適用することができる。
(2-5.樹脂(B))
樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなる。樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する。換言すれば、樹脂(B1)は、25℃における粘度が1,000,000mPa・s以下である樹脂のうちから、25℃における粘度が樹脂混合物(C2)の25℃における粘度より低くなるように選択される。樹脂(B2)は、樹脂混合物(C2)の25℃における粘度が、樹脂(B1)の25℃における粘度より高くなるように選択される。
樹脂(B1)および樹脂(B2)が上記の構成を有することにより、第1の製造方法において、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)が相互に作用して好適な挙動を示す結果、混合物の流動性および混合性が向上するという利点を有する。
なお、「樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する」とは、「25℃である樹脂(B1)が、1,000,000mPa・s以下の粘度を有し、かつ、25℃である樹脂(B1)の粘度が、25℃である樹脂混合物(C2)の粘度より低い」ことを意図する。
また、本明細書において、樹脂、樹脂混合物および樹脂組成物の粘度は、粘度計により測定することができる。樹脂、樹脂混合物および樹脂組成物の粘度の測定方法は、下記実施例にて詳述する。
(2-5-1.樹脂(B1))
樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する。混合性および流動性の観点から、25℃における樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差は、100,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましく、4,000mPa・s以下であることがさらに好ましい。樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差の下限値は、0でない限り特に限定されない。混合性および流動性の観点から、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差が小さいほど好ましい。
流動性の観点から、樹脂(B1)は、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有することが好ましい。樹脂(B1)の粘度は、25℃において、50,000mPa・s以下であることがより好ましく、30,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、15,000mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する樹脂(B1)は、液体であるともいえる。
樹脂(B1)の流動性が大きくなるほど、換言すれば粘度が小さくなるほど、樹脂(B1)中に、重合体微粒子(A)を1次粒子の状態で分散させることが困難となる。従来、25℃において1,000,000mPa・s以下の粘度を有する樹脂(B1)中に、重合体微粒子(A)を1次粒子の状態で分散させることは非常に困難であった。しかし、第1の製造方法によれば、上述した構成を有する重合体微粒子(A)が、25℃において1,000,000mPa・s以下の粘度を有する樹脂(B1)中で良好に分散している樹脂組成物を得ることができる。
また樹脂(B1)の粘度は、重合体微粒子(A)中に樹脂(B1)が入り込むことにより重合体微粒子(A)同士の融着を防ぐことができることから、25℃において、100mPa・s以上であることがより好ましく、500mPa・s以上であることがさらに好ましく、1,000mPa・s以上であることがよりさらに好ましく、1,500mPa・s以上であることが特に好ましい。
本明細書において樹脂(B1)の粘度は、粘度計(例えば、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV-II+Pro型)により測定して得られた値とする。
また、樹脂(B1)は、樹脂混合物(C2)より高い密度を有することが好ましい。樹脂(B1)が樹脂混合物(C2)より高い密度を有することにより、第1の製造方法において、樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)が相互に作用して好適な挙動を示す結果、混合物の流動性および混合性が向上するという利点を有する。より具体的に、樹脂(B1)が樹脂混合物(C2)より高い密度を有することにより、混合工程において樹脂(B1)は樹脂混合物(C2)よりも、撹拌機の中心軸からより遠い位置(例えば槽壁面)に移動しやすくなる。そのため、樹脂混合物(C2)が槽壁面等に付着する虞が低下する結果、槽中の混合物の流動性および混合性が向上するという利点を有する。
槽内の混合物の混合性および流動性の観点から、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との密度の差は、80kg/m以上であることが好ましく、90kg/m以上であることがより好ましく、100kg/m以上であることがさらに好ましい。樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との密度の差の上限値は特に限定されず、混合性および流動性の観点から、両者の差が大きいほど好ましい。ここで、本発明者は、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との密度の差は、樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差よりも、混合性および流動性への影響が小さい、ということを新規に見出した。
樹脂(B1)は、1,050kg/m~1,300kg/mの密度を有することが好ましく、1,100kg/m~1,250kg/mの密度を有することがより好ましく、1,150kg/m~1,200kg/mの密度を有することがさらに好ましい。本明細書において樹脂(B1)の密度は、25℃において、比重びんを用いて測定して得られた値とする。
樹脂(B1)は、示差熱走査熱量測定(DSC)のサーモグラムにて25℃以下の吸熱ピークを有することが好ましく、0℃以下の吸熱ピークを有することがより好ましい。前記構成によると、樹脂(B1)は流動性に優れるという利点を有する。
樹脂(B1)としては、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する樹脂である限り特に限定されないが、熱硬化性樹脂であることが好ましい。熱硬化性樹脂は、エチレン性不飽和単量体を重合させてなる重合体を含む樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオール樹脂およびアミノ-ホルムアルデヒド樹脂(メラミン樹脂)からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことが好ましく、エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。樹脂(B1)が、上記の群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことにより、(a)得られる樹脂組成物は耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供できるとともに、(b)樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の分散性を向上させることができる、という利点を有する。
また、熱硬化性樹脂としては、芳香族ポリエステル原料を重合させてなる重合体を含む樹脂も挙げられる。芳香族ポリエステル原料としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸誘導体、シアン化ビニル化合物、マレイミド化合物などのラジカル重合性単量体、ジメチルテレフタレート、アルキレングリコールなどが挙げられる。これら熱硬化性樹脂は1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(エチレン性不飽和単量体)
エチレン性不飽和単量体としては、分子中にエチレン性不飽和結合を少なくとも1個有するものであれば特に限定されない。
エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、α-アルキルアクリル酸、α-アルキルアクリル酸エステル、β-アルキルアクリル酸、β-アルキルアクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、酢酸ビニル、ビニルエステル、不飽和エステル、多不飽和カルボン酸、多不飽和エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、無水マレイン酸およびアセトキシスチレンが挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ結合を少なくとも1個有するものであれば特に限定されない。
エポキシ樹脂の具体例としては例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA(もしくはF)型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンもしくはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、p-オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのような不飽和重合体のエポキシ化物、および含アミノグリシジルエーテル樹脂、などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、およびグリセリンなどが挙げられる。エポキシ樹脂としては、前記のエポキシ樹脂にビスフェノールA(もしくはF)類、または多塩基酸類などを付加反応させて得られるエポキシ化合物も挙げられる。エポキシ樹脂は、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用され得る。これらのエポキシ樹脂は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述したエポキシ樹脂の中でもエポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するものが、樹脂組成物の硬化において、反応性が高く、かつ得られた硬化物が3次元的網目を作りやすいなどの点から好ましい。また、エポキシ樹脂としては、経済性および入手のし易さに優れることから、エポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するエポキシ樹脂の中でもビスフェノール型エポキシ樹脂を主成分とするものが好ましい。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られる化合物であれば特に限定されない。フェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、キシレノール、パラターシャリーブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラフェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびレゾルシンなどのフェノール類が挙げられる。特に好ましいフェノール類としては、フェノール、およびクレゾールが挙げられる。
アルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、およびアクロレインなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。アルデヒド類としては、上述したアルデヒド類の発生源となる物質、またはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することもできる。アルデヒド類としては、フェノール類とアルデヒド類とを反応させるときの操作が容易であることから、ホルムアルデヒドが好ましい。
フェノール類とアルデヒド類とを反応させるときの、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)とのモル比(F/P)(以下、反応モル比とも称する)は特に限定されない。反応において酸触媒を使用する場合、前記反応モル比(F/P)は0.4~1.0であることが好ましく、0.5~0.8であることがより好ましい。反応においてアルカリ触媒を使用する場合、前記反応モル比(F/P)は0.4~4.0であることが好ましく、0.8~2.5であることがより好ましい。反応モル比が前記下限値以上である場合、歩留まりが低くなりすぎず、また、得られるフェノール樹脂の分子量が小さくなる虞がない。一方、反応モル比が前記上限値以下である場合、フェノール樹脂の分子量が大きくなりすぎずかつ軟化点が高くなりすぎないため、加熱時に充分な流動性を得られる。また、反応モル比が前記上限値以下である場合、分子量のコントロールが容易であり、反応条件に起因したゲル化、もしくは部分的なゲル化物が生じる虞がない。
(ポリオール樹脂)
ポリオール樹脂は、末端に活性水素を2個以上有する化合物であり、分子量50~20,000程度の2官能以上のポリオールである。ポリオール樹脂としては、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、ポリエーテル型ポリオール類、ポリエステル型ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、およびアクリルポリオール類などを挙げることができる。
脂肪族アルコールは、二価アルコール、または三価以上のアルコール(三価アルコール、四価アルコールなど)のいずれであってもよい。二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール類(特に炭素数が1~6程度のアルキレングリコール類)、当該アルキレングリコール類の2分子以上(例えば、2~6分子程度)の脱水縮合物(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど)などが挙げられる。三価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオールなど(特に炭素数が3~10程度の三価アルコール)が挙げられる。四価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどが挙げられる。また、単糖、オリゴ糖、多糖などの糖類が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;ジヒドロキシビフェニルなどのビフェニル類;ハイドロキノン、フェノールホルムアルデヒド縮合物などの多価フェノール類;ナフタレンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテル型ポリオールとしては、例えば、活性水素を含有する開始剤、1種類または2種以上の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどを開環重合して得られるランダム共重合体またはブロック共重合体など、およびこれら共重合体の混合物などが挙げられる。ポリエーテル型ポリオールの開環重合に用いられる、活性水素を含有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAなどのジオール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンなどのトリオール類;単糖、オリゴ糖、多糖などの糖類;ソルビトール;アンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミンなどのアミン類;などが挙げられる。
ポリエステル型ポリオールとしては、例えば(a)マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、アゼライン酸などの多塩基酸および/またはその酸無水物と、(b)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-へキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールなどの多価アルコールとを、エステル化触媒の存在下、150~270℃の温度範囲で重縮合させて得られる重合体が挙げられる。さらに、(a)ポリエステル型ポリオールとしては、ε-カプロラクトン、バレロラクトンなどの開環重合物、および、(b)ポリカーボネートジオール、ヒマシ油などの活性水素を2個以上有する活性水素化合物、などが挙げられる。
ポリオレフィン型ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、およびそれらの水添物などが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、(a)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、およびビニルフェノールなどの水酸基含有単量体と、(b)n-ブチル(メタ)アクリレートおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの汎用単量体との共重合体、並びにそれら共重合体の混合物などが挙げられる。
これらポリオール樹脂の中でも、得られる樹脂組成物の粘度が低く作業性に優れ、当該樹脂組成物が硬度と靱性とのバランスに優れた硬化物を提供できることから、ポリエーテル型ポリオールが好ましい。また、これらポリオール樹脂の中でも、得られる樹脂組成物が接着性に優れる硬化物を提供できることから、ポリエステル型ポリオールが好ましい。
(アミノ-ホルムアルデヒド樹脂)
アミノ-ホルムアルデヒド樹脂は、アミノ化合物とアルデヒド類とをアルカリ性触媒下で反応させて得られる化合物であれば特に限定されない。前記アミノ化合物としては、メラミン;グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどの6-置換グアナミン類;CTUグアナミン(3,9-ビス[2-(3,5-ジアミノ-2,4,6-トリアザフェニル)エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、CMTUグアナミン(3,9-ビス[(3,5-ジアミノ-2,4,6-卜リアザフェニル)メチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)などのアミン置換トリアジン化合物;尿素、チオ尿素、エチレン尿素などの尿素類を挙げることができる。また前記アミノ化合物としては、メラミンのアミノ基の水素をアルキル基、アルケニル基、および/またはフェニル基で置換した置換メラミン化合物(米国特許第5,998,573号明細書(対応日本公開公報:特開平9-143238号)に記載されている。)、並びに、メラミンのアミノ基の水素をヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシアルキル基、および/またはアミノアルキル基で置換した置換メラミン化合物(米国特許第5,322,915号明細書(対応日本公開公報:特開平5-202157号)に記載されている。)なども使用することができる。前記アミノ化合物としては、上述した化合物中でも、工業的に生産されており安価であることから、多官能性アミノ化合物である、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、およびベンゾグアナミンが好ましく、メラミンが特に好ましい。上述したアミノ化合物は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。またこれらアミノ化合物に加えて、(a)フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン、およびピロガロールなどのフェノール類、並びに(b)アニリン、などを追加して用いても良い。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、およびフルフラールなどが挙げられる。前記アルデヒド類としては、安価であり、先に挙げたアミノ化合物との反応性が良いことから、ホルムアルデヒド、およびパラホルムアルデヒドが好ましい。アミノ-ホルムアルデヒド樹脂の製造において、アルデヒド類は、アミノ化合物1モルに対して、有効アルデヒド基当たり1.1~6.0モルを使用することが好ましく、1.2~4.0モルを使用することが特に好ましい。
(2-5-2.樹脂(B2))
樹脂(B2)は、樹脂混合物(C2)の25℃における粘度が、樹脂(B1)の25℃における粘度より高くなるように選択される限り、特に限定されない。
樹脂(B2)としては、樹脂(B1)と同じ樹脂であってもよく、樹脂(B1)と異なる樹脂であってもよい。一例として、樹脂(B2)が樹脂(B1)と同じ種類の樹脂である場合を考える。この場合、得られる樹脂組成物では樹脂(B1)と樹脂(B2)との区別をつけることはできないため、外見上、得られる樹脂組成物は、重合体微粒子(A)以外に樹脂(B1)のみを有しているように見える。次に、樹脂(B2)が樹脂(B1)と異なる種類の樹脂である場合を考える。この場合、得られる樹脂組成物では樹脂(B1)と樹脂(B2)とは識別可能である。この場合、最終的に得られる樹脂組成物は、重合体微粒子(A)以外に、樹脂(B1)以外の樹脂として、樹脂(B2)を含み得る。
樹脂(B2)は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との任意の組み合わせであってもよい。樹脂(B2)は、樹脂(B1)(例えば熱硬化性樹脂)中にて、重合体微粒子(A)の分散性を高める効果を有し得る。
樹脂(B2)における熱硬化性樹脂としては、上記(2-5-1.樹脂(B1))の項で説明する種々の熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂(B2)において、熱硬化性樹脂は1種類のみ使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
樹脂(B2)における熱可塑性樹脂としては、例えば、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体などが挙げられる。樹脂(B2)における熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタンおよびポリ酢酸ビニルなども挙げられる。樹脂(B2)において、熱可塑性樹脂は1種類のみ使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
混合対象の樹脂(B1)が熱硬化性樹脂である場合、樹脂組成物またはその硬化物の種々の物性へ影響を与える虞がないことから、樹脂(B2)は樹脂(B1)の熱硬化性樹脂と同種類であることが好ましい。つまり、樹脂(B1)の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、樹脂(B2)もエポキシ樹脂であることが好ましい。樹脂(B2)が樹脂(B1)の熱硬化性樹脂と異なる場合、(a)樹脂組成物中で、樹脂(B2)と樹脂(B1)の熱硬化性樹脂とは、相分離していないことが好ましく、(b)樹脂(B2)は樹脂(B1)の熱硬化性樹脂と相溶するものであることが好ましい。
(その他)
本明細書では、油脂および脂肪酸エステルもまた、樹脂(B2)に含まれる。樹脂(B2)として好適に利用できる油脂としては、エポキシ化大豆油およびエポキシ化アマニ油などのエポキシ化油脂、などが挙げられる。エポキシ化大豆油としては市販品を用いることもでき、例えば、ADEKA社製、アデカイザーO-130Pなどを挙げることができる。樹脂(B2)として好適に利用できる、脂肪酸エステルとしては、エポキシ化脂肪酸ブチル、エポキシ化脂肪酸2-エチルヘキシル、エポキシ化脂肪酸オクチルエステルおよびエポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化脂肪酸エステル、などが挙げられる。
エポキシ化油脂およびエポキシ化脂肪酸エステルは、エポキシ系可塑剤と称される場合もある。すなわち、本明細書では、エポキシ系可塑剤もまた、樹脂(B2)に含まれる。エポキシ化油脂およびエポキシ化脂肪酸エステル以外のエポキシ系可塑剤としては、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリルおよびエポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
上述した、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、油脂、および脂肪酸エステルの各々は、酸化防止剤と混合して使用することができる。本明細書では、上述した各々の物質と混合して使用する場合に限り、酸化防止剤を樹脂(B2)の一部とみなす。酸化防止剤のみを使用する場合には、酸化防止剤は樹脂(B2)とはみなされない。樹脂(B2)の代わりに酸化防止剤のみを使用する場合について説明する。酸化防止剤は架橋に寄与しない成分であるため、樹脂組成物の硬化物の物性が劣る傾向がある。例えば、硬化物のTgが低下したり、耐衝撃性が劣ったりする場合が考えられる。
酸化防止剤としては、特に限定されない。酸化防止剤としては、例えば、(a)フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤などの一次酸化防止剤、および(b)イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の二次酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤を挙げることができる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、分子内にヒンダードフェノール構造あるいは片ヒンダードフェノール構造を有する化合物が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としてはとしては市販品を用いることもでき、例えば、BASFジャパン株式会社製、イルガノックス245などを挙げることができる。
前記アミン系酸化防止剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。アミン系酸化防止剤の具体例としては、アミン-ケトン系化合物として、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、およびジフェニルアミンとアセトンとの反応物、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤には、芳香族系アミン化合物も含まれる。芳香族系アミン化合物としては、ナフチルアミン系酸化防止剤、ジフェニルアミン系酸化防止剤、およびp-フェニレンジアミン系酸化防止剤が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤としては、それぞれ、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。
リン系酸化防止剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。活性水素を含むリン酸およびリン酸エステルは得られる粉粒体を含む樹脂組成物の貯蔵安定性、および当該樹脂組成物が提供する硬化物または成形体の耐熱性に悪影響を与え得る。そのため、リン系酸化防止剤としては、リン酸およびリン酸エステルを分子内に含まない、アルキルホスファイト、アリールホスファイト、アルキルアリールホスファイト化合物などが好ましい。
前記酸化防止剤としては、その他、従来公知の物質を使用してもよい。酸化防止剤としては、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」(昭和51年10月25日初版発行)、シーエムシー出版発行の「高分子添加剤ハンドブック」(春名徹編著、2010年11月7日第1版発行)などに記載された種々の物質を使用してもよい。
樹脂(B2)は、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と酸化防止剤との混合物、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と酸化防止剤との混合物、油脂、油脂と酸化防止剤との混合物、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルと酸化防止剤との混合物、エポキシ硬化剤、およびエポキシ硬化剤と酸化防止剤との混合物、からなる群から選択される1つ以上であることが好ましく、エポキシ樹脂、アクリル系重合体、エポキシ樹脂と酸化防止剤との混合物、アクリル系重合体と酸化防止剤との混合物、および、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物からなる群から選択される1つ以上であることがより好ましく、エポキシ樹脂と酸化防止剤との混合物、アクリル系重合体と酸化防止剤との混合物、および、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物からなる群から選択される1つ以上であることがさらに好ましく、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物であることが特に好ましい。当該構成によると、(a)得られる樹脂組成物は耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供できるとともに、(b)樹脂(B1)中の重合体微粒子(A)の分散性を向上させることができる、という利点を有する。
樹脂(B2)は、25℃において、(a)100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、(b)半固体であるか、または(c)固体であることが好ましい。
樹脂(B2)が25℃において液体である場合、樹脂(B2)の粘度は、25℃において、750,000mPa・s以下であることが好ましく、700,000mPa・s以下であることがより好ましく、500,000mPa・s以下であることがより好ましく、350,000mPa・s以下であることがより好ましく、300,000mPa・s以下であることがより好ましく、250,000mPa・s以下であることがより好ましく、100,000mPa・s以下であることがより好ましく、75,000mPa・s以下であることがより好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましく、30,000mPa・s以下であることがより好ましく、25,000mPa・s以下であることがより好ましく、20,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、15,000mPa・s以下であることが特に好ましい。前記構成によると、樹脂組成物は流動性に優れるという利点を有する。
また樹脂(B2)の粘度は、25℃において、200mPa・s以上であることがより好ましく、300mPa・s以上であることがより好ましく、400mPa・s以上であることがより好ましく、500mPa・s以上であることがより好ましく、750mPa・s以上であることがさらに好ましく、1,000mPa・s以上であることがよりさらに好ましく、1,500mPa・s以上であることが特に好ましい。当該構成によると、樹脂(B2)は重合体微粒子(A)中に含浸しないが、複数の重合体微粒子(A)の粒子間に入り込むことにより重合体微粒子(A)同士の融着を防ぐことができる。そのため、樹脂(B2)によって重合体微粒子(A)同士の融着を防ぐことができる。
樹脂(B2)の粘度は、25℃において、100mPa・s~750,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、100mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。
樹脂(B2)が25℃において半固体である場合、樹脂(B2)は25℃において半液体であるともいえ、樹脂(B2)は、25℃において1,000,000mPa・sより大きい粘度を有しているともいえる。樹脂(B2)が、25℃において、(a)半固体であるか、または(b)固体である場合、樹脂組成物は、べたつきが少なく取り扱いやすいという利点を有する。
さらに、樹脂(B1)が熱硬化性樹脂である場合、25℃における樹脂(B2)の粘度は、25℃での樹脂(B1)(熱硬化性樹脂)の粘度に50,000mPa・sを加えた値以下であることが好ましい。樹脂(B2)と樹脂(B1)(熱硬化性樹脂)の均一な混合を容易にするという点から、25℃での樹脂(B2)の粘度が25℃での熱硬化性樹脂(B1)の粘度以上の場合、25℃での樹脂(B2)の粘度は、25℃での樹脂(B1)(熱硬化性樹脂)の粘度に20,000mPa・sを加えた値以下であることがより好ましく、10,000mPa・sを加えた値以下であることがより好ましく、5,000mPa・sを加えた値以下であることがさらに好ましく、0mPa・sを加えた値以下であることがもっとも好ましい。
また樹脂(B2)は、示差熱走査熱量測定(DSC)のサーモグラムが25℃以下の吸熱ピークを有する樹脂であることが好ましく、0℃以下の吸熱ピークを有する樹脂であることがより好ましい。
本製造方法では、樹脂(B1)および樹脂(B2)がエポキシ樹脂を含むことが好ましい。当該構成によると、(a)得られる樹脂組成物は耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供できるとともに、(b)樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の分散性を向上させることができる、という利点を有する。
(2-6.樹脂混合物(C2))
樹脂混合物(C2)は、重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含み、樹脂混合物(C2)に含まれる重合体微粒子(A)と樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が30~80重量%、樹脂(B2)が20~70重量%である。また、樹脂混合物(C2)は、25℃において、樹脂(B1)の25℃における粘度より高い粘度を有する。換言すれば、樹脂混合物(C2)の25℃における粘度が樹脂(B1)の25℃における粘度より高くなるように、樹脂混合物(C2)における重合体微粒子(A)および樹脂(B2)の種類およびこれらの配合比率が設定される。
樹脂混合物(C2)が上記の構成を有することにより、第1の製造方法において、(a)樹脂(B1)および樹脂混合物(C2)が相互に作用して好適な挙動を示す結果、混合物の流動性および混合性が向上する、および(b)重合体微粒子(A)および樹脂(B)を好適な比率で含有し、かつ樹脂(B)中で重合体微粒子(A)が均一に存在する樹脂組成物が得られる、という利点を有する。
樹脂混合物(C2)における重合体微粒子(A)および樹脂(B2)の配合比率は、樹脂混合物(C2)に含まれる重合体微粒子(A)と樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が30~80重量%、樹脂(B2)が20~70重量%であることがより好ましく、重合体微粒子(A)が30~70重量%、樹脂(B2)が30~70重量%であることがより好ましく、重合体微粒子(A)が30~60重量%、樹脂(B2)が40~70重量%であることがさらに好ましく、重合体微粒子(A)が30~50重量%、樹脂(B2)が50~70重量%であることがよりさらに好ましく、重合体微粒子(A)が30~40重量%、樹脂(B2)が60~70重量%であることが特に好ましい。重合体微粒子(A)および樹脂(B2)の配合比率が上記の範囲である場合、樹脂混合物(C2)の粘度が適度であり、取り扱いが容易であるという利点を有する。
樹脂混合物(C2)は、25℃において30,000~10,000,000mPa・sの粘度を有することが好ましく、50,000~5,000,000mPa・sの粘度を有することがより好ましく、100,000~1,000,000mPa・sの粘度を有することがさらに好ましく、300,000~500,000mPa・sの粘度を有することが特に好ましい。
樹脂混合物(C2)は、950kg/m~1,150kg/mの密度を有することが好ましく、1,000kg/m~1,150kg/mの密度を有することがより好ましく、1,050kg/m~1,150kg/mの密度を有することがさらに好ましい。本明細書において樹脂混合物(C2))の密度は、25℃において、比重びんを用いて測定して得られた値とする。
樹脂混合物(C2)は、粘性を有していてもよい。樹脂混合物(C2)の粘性は特に限定されない。第1の製造方法によれば、樹脂混合物(C2)が一定の粘性を有する場合であっても、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含み、樹脂(B)中で重合体微粒子(A)が均一に存在する樹脂組成物が得られるという利点を有する。換言すれば、第1の製造方法は、一定の粘性を有する樹脂混合物(C2)を使用する場合に、好適に利用できる。
樹脂混合物(C2)の製造方法は、特に限定されず、種々の方法を利用し得る。このような方法としては、例えば、以下の(a1)~(a4)の方法が挙げられる:
(a1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスおよび樹脂(B2)を含む混合物に無機塩等の凝析剤を添加し、混合物中の重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を凝析し、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む凝析物である樹脂混合物を得る方法;
(a2)重合体微粒子(A)の粉粒体と樹脂(B2)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む樹脂混合物を得る方法;
(a3)重合体微粒子(A)の水性ラテックスを使用して重合体微粒子(A)の凝析物を得る。得られた重合体微粒子(A)の凝析物と樹脂(B2)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む樹脂混合物を得る方法;および
(a4)重合体微粒子(A)および樹脂(B3)を含む樹脂混合物(C3)と、樹脂(B2)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B2)を含む樹脂混合物を得る方法。
(a1)にて使用する重合体微粒子(A)の水性ラテックスおよび樹脂(B2)を含む混合物の製造方法としては、(a1-1)重合体微粒子(A)の重合工程中に樹脂(B2)を、直接添加する方法、水性エマルジョン状態にて添加する方法、もしくは溶液状態にて添加する方法、および、(a1-2)重合体微粒子(A)の水性ラテックスに対して樹脂(B2)を、直接添加する方法、水性エマルジョン状態にて添加する方法、もしくは溶液状態にて添加する方法、(a1-3)重合体微粒子(A)の存在下で、樹脂(B2)を重合する方法、などが挙げられるが、これらに限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(a2)にて使用する重合体微粒子(A)の粉粒体の製造方法としては、特に限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(a3)において、重合体微粒子(A)の水性ラテックスを使用して重合体微粒子(A)の凝析物を得る方法としては、(1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスと有機溶媒とを混合し、得られる混合物と水とを接触させる方法、(2)重合体微粒子(A)の水性ラテックスに無機塩等の凝析剤を添加する方法などが挙げられるが、これに限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(a4)における樹脂(B3)としては、上記(2-5-2.樹脂(B2))の項で説明する種々の樹脂が挙げられる。樹脂(B3)は、樹脂(B2)と同じ樹脂であってもよく、樹脂(B2)と異なる樹脂であってもよい。樹脂混合物(C3)の製造方法としては、本項で説明する樹脂混合物(C2)の製造方法が挙げられる。
(a1)および(a3)にて使用する樹脂混合物(C2)の製造方法について、上記の事項以外は、適宜、(2-4.重合体微粒子(A)の製造方法)の項の記載を援用する。
(a1)のさらに具体的な態様としては、以下(b1)~(b4)の工程を含んでいてもよいが、かかる製造方法に限定されるものではない:(b1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスと樹脂(B)とを混合する樹脂混合工程;(b2)前記樹脂混合工程により得られた樹脂混合物に、剪断応力を与える剪断工程;(b3)前記剪断工程により得られた樹脂混合物に対して、無機塩等の凝析剤を添加する凝析剤添加工程;(b4)前記凝析剤添加工程により得られた混合物を、混合する混合工程。
(樹脂混合工程)
本製造方法は、樹脂混合工程を含んでもよい。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)に、樹脂(B)を混合する工程である。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)に樹脂(B)を添加して、混合物を得る工程であると言え、得られた混合物を混ぜ合わせる工程ともいえる。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを混合する工程ともいえる。
樹脂混合工程において、重合体微粒子(A)は、(i)粉粒体の状態であってもよく、(ii)溶媒中で分散して存在する状態、すなわち、重合体微粒子(A)を含むラテックスの状態であってもよい。本製造方法において、重合体微粒子(A)を含むラテックスの製造方法については、上述の(重合体微粒子(A)の製造方法)の項の記載の通りである。
重合体微粒子(A)に樹脂(B)を添加する方法は、種々の方法が利用でき、特に限定されない。当該方法としては、例えば、(i)重合体微粒子(A)に対して樹脂(B)を直接添加する方法、もしくは(ii)樹脂(B)を溶解させた溶液を、重合体微粒子(A)に添加する方法、などが挙げられる。「樹脂(B)を溶解させた溶液」は、「樹脂(B)を水に分散させた乳化物」ともいえる。「乳化物」は、「乳化液」または「水性エマルジョン」とも称される場合もある。
また、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを混合する手段も、特に限定されない。例えば、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを撹拌する、ニーダーで混練する、押出機で混練する、自転公転ミキサーで混合する等を挙げることができる。
樹脂混合工程において、重合体微粒子(A)の量と、樹脂(B)の量とは、特に限定されない。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、(i)重合体微粒子(A)1~70重量%と、樹脂(B)30~99重量%と、を混合する工程を含むことが好ましく、(ii)重合体微粒子(A)1~65重量%と、樹脂(B)35~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(iii)重合体微粒子(A)1~60重量%と、樹脂(B)40~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(iv)重合体微粒子(A)1~55重量%と、樹脂(B)45~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(v)重合体微粒子(A)1~50重量%と、樹脂(B)50~99重量%と、を混合する工程を含むことがさらに好ましく、(vi)重合体微粒子(A)1~45重量%と、樹脂(B)55~99重量%と、を混合する工程を含むことがよりさらに好ましく、(vii)重合体微粒子(A)1~40重量%と、樹脂(B)60~99重量%と、を混合する工程を含むことが特に好ましい。
樹脂混合工程において添加する重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量が、濃度測定工程の測定対象の混合物に含まれる重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量となる。それゆえ、樹脂混合工程において添加する重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量は、最終的に得られる樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の濃度、および当該樹脂組成物の物性等が所望の態様となるよう調整することが好ましい。
(剪断工程)
本製造方法は、剪断工程を含んでもよい。剪断工程は、前記樹脂混合工程により得られた混合物に、剪断応力を与える工程である。
混合物に剪断応力を加える方法については特に限定されず、種々の技術を用いることができる。当該方法としては、例えば、ホモミキサーにより混合物を3,000rpm~25,000rpmで撹拌する方法、高剪断乳化機により混合物を500rpm~12,000rpmで撹拌する方法、高圧式ホモジナイザーにより混合物を撹拌する方法、などを挙げることができる。
樹脂(B)の粘度が高い場合は、樹脂(B)の粘度を最適な粘度になるように調整することが好ましい。例えば、樹脂(B)の最適な粘度としては、100mPa・s~750,000mPa・sが好ましく、150mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、200mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、250mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、300mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、350mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、400mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。樹脂(B)の粘度を調整する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の温度を調節する方法を挙げることができる。樹脂(B)の粘度を最適な値とすることにより、移送時の圧力が高くなり過ぎることを防止でき、剪断工程を効率よく実施できる。
また、剪断工程における混合物の温度は、特に限定されない。剪断工程に供するときの混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。剪断工程により得られた混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。剪断工程に供するときの混合物の温度および/または剪断工程により得られた混合物の温度が前記範囲内である場合、重合体微粒子(A)の劣化を抑えることができるという利点を有する。なお、「剪断工程に供するときの混合物の温度」は、「剪断工程前の混合物の温度」ともいえる。また、「剪断工程により得られた混合物の温度」は「剪断工程後の混合物の温度」ともいえ、「剪断工程後であり、かつ分離工程前の混合物の温度」ともいえる。分離工程については、後述する。
剪断工程は、種々の実施態様で行うことができ、特に限定されない。例えば、(i)前記樹脂混合工程により得られた混合物を投入した容器内に剪断装置(乳化機等)を設置してバッチ式で行う態様、(ii)剪断工程で得られた混合物を循環させることにより、当該混合物を剪断装置(乳化機等)に通す工程を複数回実施する態様、(iii)樹脂混合工程と剪断工程とを連続的に行う態様(iv)混合物を通す流路と樹脂(B)を通す流路との合流後に、剪断装置(乳化機等)を設置して、前記樹脂混合工程により得られた混合物に剪断を付与する工程、(v)前記(iv)の態様において、剪断工程で得られた混合物を複数回、剪断装置(乳化機等)を通す態様、などを挙げることができる。
(凝析剤添加工程)
本製造方法は、凝析剤添加工程を含んでもよい。凝析剤添加工程は、剪断工程により得られた混合物に対して、凝析剤を添加する工程である。
凝析剤としては、特に限定されない。凝析剤としては、例えば、ラテックス中の重合体微粒子(A)を凝析および凝固し得る性質を有する物質であればよい。凝析剤としては、例えば、(i)無機酸(塩)および/または有機酸(塩)、(ii)無機酸(塩)および/または有機酸(塩)の水溶液、および(iii)高分子凝析剤などが挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等などが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ギ酸等が挙げられる。有機酸塩(有機塩)としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム等が挙げられる。高分子凝析剤としては、親水基と疎水基とを有する高分子化合物であればよく特に限定されない。高分子凝析剤としては、例えば、アニオン系高分子凝析剤、カチオン系高分子凝析剤、ノニオン系高分子凝析剤のいずれであってもよい。高分子凝析剤としては、本発明の一実施形態の作用効果をより高めることができることから、カチオン系高分子凝析剤が好ましい。カチオン系高分子凝析剤としては、分子内にカチオン性基を有する高分子凝析剤、すなわち水に溶解させた際にカチオン性を示す高分子凝析剤が挙げられる。カチオン系高分子凝析剤として具体的には、ポリアミン類、ポリジシアンジアミド類、カチオン化デンプン、カチオン系ポリ(メタ)アクリルアミド、水溶性アニリン樹脂、ポリチオ尿素、ポリエチレンイミン、第4級アンモニウム塩類、ポリビニルピリジン類、キトサン等が挙げられる。上述した凝析剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。凝析剤としては、上述した中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウム、塩酸、硫酸等の一価若しくは二価の無機塩または無機酸の水溶液が好適に使用できる。凝析剤の添加方法に特に制限は無く、(a)添加する凝析剤の全量を短時間に一気に添加する方法、(b)添加する凝析剤の全量を幾つかに分けて、一定期間を開けて数回に分けて分割して添加する方法、または(c)添加する凝析剤の全量を少量ずつ連続的に添加する方法、などを挙げることができる。
添加する凝析剤の量は、混合物100重量部に対して、1重量部~50重量部であることを挙げることができるが、2重量部~30重量部であることが好ましく、3重量部~20重量部であることがより好ましい。なお、添加する凝析剤の量は、重合体微粒子(A)の種類等に応じて適宜変更することができる。
(第1の分離工程)
本製造方法は、剪断工程と凝析剤添加工程との間に、剪断工程で得られた混合物を、凝析物と水成分とに分離する第1の分離工程を実施してもよい。当該第1の分離工程を実施する場合、凝析剤添加工程は、第1の分離工程により得られた水成分に対して、凝析剤を添加する工程であってもよい。
第一の分離工程の具体的態様は特に限定されず、例えば、ろ過、圧搾脱水等の方法が挙げられる。
(混合工程)
本製造方法は、混合工程を含んでもよい。混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する工程である。混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物を使用して、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である混合物を調製する工程、とも換言できる。
凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する方法については特に限定されず、種々の技術を用いることができる。当該方法としては、例えば、ホモミキサーにより混合物を3,000rpm~25,000rpmで撹拌する方法、高剪断乳化機により混合物を500rpm~12,000rpmで撹拌する方法、高圧式ホモジナイザーにより混合物を撹拌する方法、ピンミキサーにより混合物を100rpm~2,000rpmで撹拌する方法などを挙げることができる。重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得るために、ホモミキサーを使用する場合は、混合物を、5,000rpm~25,000rpmで撹拌することが好ましく、7,000rpm~20,000rpmで撹拌することが好ましく、8,000rpm~20,000rpmで撹拌することがより好ましい。重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得るために、高剪断乳化機により混合物を撹拌する場合は、混合物を、1,000rpm~12,000rpmで撹拌することが好ましく、2,000rpm~20,000rpmで撹拌することが好ましく、2,500rpm~20,000rpmで撹拌することがより好ましい。ピンミキサーにより混合物を撹拌する場合は、混合物を、150rpm~1,500rpmで撹拌することが好ましく、150rpm~1,000rpmで撹拌することが好ましく、150rpm~500rpmで撹拌することがより好ましい。
樹脂(B)の粘度が高い場合は、樹脂(B)の粘度を最適な粘度になるように調整することが好ましい。例えば、樹脂(B)の最適な粘度としては、100mPa・s~750,000mPa・sが好ましく、150mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、200mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、250mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、300mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、350mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、400mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。樹脂(B)の粘度を調整する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の温度を調節する方法(例えば凝析剤添加工程により得られた混合物の温度を調節する方法)を挙げることができる。樹脂(B)の粘度を最適な値とすることにより、移送時の圧力が高くなり過ぎることを防止でき、混合工程を効率よく実施できる。その結果、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く、かつより効率よく取得することができる。
また、混合工程は、気液界面の存在下で実施することが好ましい。当該構成によると、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く、かつより効率よく得ることができる。混合工程を気液界面の存在下で実施するためには、凝析剤添加工程により得られた混合物中に気泡(エアーまたはバブルとも称する。)が存在すればよい。換言すれば、混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物と気体(例えば、空気、二酸化炭素および窒素)とを混合しつつ、実施することが好ましい。
また、混合工程における混合物の温度は、特に限定されない。混合工程に供するときの混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。混合工程により得られた混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。混合工程に供するときの混合物の温度および/または混合工程により得られた混合物の温度が前記範囲内である場合、(a)重合体微粒子(A)の劣化を抑えることができるという利点、および(b)重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得ることができるという利点、を有する。なお、「混合工程に供するときの混合物の温度」は、「混合工程前の混合物の温度」ともいえる。また、「混合工程により得られた混合物の温度」は「混合工程後の混合物の温度」ともいえ、「混合工程後であり、かつ分離工程前の混合物の温度」ともいえる。第2の製造方法における分離工程については、後述する。
混合工程は、種々の実施態様で行うことができ、特に限定されない。例えば、(i)凝析剤添加工程により得られた混合物を投入した容器内に混合装置(乳化機等)を設置してバッチ式で行う態様、(ii)混合工程で得られた混合物を循環させることにより、当該混合物を混合装置(乳化機等)に通す工程を複数回実施する態様、(iii)凝析剤添加工程と混合工程とを連続的に行う態様(iv)剪断工程により得られた混合物を通す流路と凝析剤を通す流路との合流後に、混合装置(乳化機等)を設置して、前記凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する工程、(v)前記(iv)の態様において、混合工程で得られた混合物を複数回、混合装置(乳化機等)に通す態様、(vi)前記(iii)~(v)において混合装置(乳化機等)を通した混合物を凝析物と水成分とに分離した後、当該水成分を1回以上混合装置に通す態様、などを挙げることができる。
(第2の分離工程)
本製造方法は、さらに、混合工程の後、当該混合工程で得られた混合物を、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含有する凝析物である樹脂組成物と水成分とに分離する第2の分離工程を含むことが好ましい。本製造方法における第2の分離工程は、混合工程により得られた混合物中の水を取り除いて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物を得る工程、とも換言できる。
凝析物と水成分とを分離する方法については特に限定されない。例えば、ろ過、圧搾脱水等の方法が挙げられる。第2の分離工程において、水成分とは、水を主たる成分とするが、乳化剤、凝析しなかった重合体微粒子(A)、樹脂(B)等を含む混合物である。
本製造方法の第2の分離工程においては、前記凝析物の含水量を、凝析物100重量%中、5重量%~45重量%に調整する工程を含むことが好ましい。凝析物の含水量をかかる範囲とすることにより、得られた樹脂組成物を熱硬化性樹脂に配合した際に、粘度が高くなり過ぎず、ハンドリングが容易になる。なお、本明細書中において、凝析物(樹脂組成物)の含水量は、水分測定装置を用いて測定された値とする。
(洗浄工程)
本製造方法は、さらに、混合工程により得られた凝析物である樹脂組成物を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。凝析物である樹脂組成物を洗浄することにより、夾雑物等の含有量が少ない凝析物が得られる。洗浄工程では、凝析物を、水で洗浄することがより好ましく、イオン交換水または純水で洗浄することがさらに好ましい。
洗浄工程は、混合工程の後第2の分離工程を行うことなく、当該混合工程で得られた混合物に洗浄水を添加して、凝析物を洗浄してもよい。または、洗浄工程は、混合工程の後に実施される第2の分離工程後に、当該第2の分離工程で得られた凝析物に洗浄水を添加して、凝析物を洗浄してもよい。
洗浄工程は、当該洗浄工程により得られる混合物を洗浄後の凝析物(樹脂組成物)と水成分とに分離して得られる前記洗浄後の凝析物中の、前記凝析剤および乳化剤由来の元素SおよびPの量が、当該洗浄後の凝析物の重量に対して5,000ppm以下となるように、前記凝析物と洗浄水との混合物を混合する工程を含むことが好ましい。当該構成によると、夾雑物等の含有量がより少ない凝析物が得られるという利点を有する。
洗浄後の凝析物中の凝析剤および乳化剤由来の元素SおよびPの量は少ないほど好ましく、当該洗浄後の凝析物の重量に対して、例えば、5,000ppm以下であることが好ましく、4,000ppm以下であることがより好ましく、3,000ppm以下であることがさらに好ましく、2,000ppm以下であることが特に好ましい。
(その他の工程)
上述した工程以外に、得られた凝析物である樹脂組成物を加熱し、脱揮・乾燥させる工程を備えていてもよい。かかる工程も種々の方法を利用でき、特に限定されない。当該方法としては、例えば、加熱および真空脱揮等が挙げられる。
脱揮・乾燥させる工程で得られた脱揮・乾燥後の凝析物(樹脂組成物)を、樹脂混合物(C2)として、使用してもよい。
(2-7.樹脂組成物)
第1の製造方法により、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物が得られる。第1の製造方法により得られる樹脂組成物もまた、本発明の一実施形態である。それ故、「第1の製造方法により得られる樹脂組成物」を、「本発明の一実施形態に係る樹脂組成物」または「本樹脂組成物」と称する場合がある。
本樹脂組成物は、本樹脂組成物に含まれる重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が1~70重量%、樹脂(B)が30~99重量%である。重合体微粒子(A)および樹脂(B)の配合比率が上記の範囲である場合、樹脂組成物の粘度が適度であり、取り扱いが容易であるという利点を有する。
樹脂組成物における重合体微粒子(A)および樹脂(B)の配合比率は、樹脂組成物に含まれる重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が1~65重量%、樹脂(B)が35~99重量%であることがより好ましく、重合体微粒子(A)が1~60重量%、樹脂(B)が40~99重量%であることがより好ましく、重合体微粒子(A)が1~55重量%、樹脂(B)が45~99重量%であることがさらに好ましく、重合体微粒子(A)が1~50重量%、樹脂(B)が50~99重量%であることがさらに好ましく、重合体微粒子(A)が1~45重量%、樹脂(B)が55~99重量%であることがよりさらに好ましく、重合体微粒子(A)が1~40重量%、樹脂(B)が60~99重量%であることが特に好ましい。
本樹脂組成物は、必要に応じて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)以外の、その他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分としては、ブロッキング防止剤、硬化剤、顔料および染料などの着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、無機質充填剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、並びに分散剤などが挙げられる。
前記その他の任意成分は、第1の製造方法における任意の工程中で適宜添加することができる。例えば、前記添加剤は、撹拌工程または混合工程において、樹脂(B1)および/または樹脂混合物(C2)中へ添加することができる。
本樹脂組成物は、樹脂(B)以外の、公知の熱硬化性樹脂をさらに含んでいてもよいし、公知の熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。
本樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物、換言すれば本樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、重合体微粒子(A)の分散安定性が高く、かつ均質である。本樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物もまた、本発明の一実施形態である。
本樹脂組成物は、様々な用途に使用することができ、それらの用途は特に限定されない。本樹脂組成物は、例えば、接着剤、コーティング材、強化繊維のバインダー、複合材料、3Dプリンターの造形材料、封止剤、電子基板、インキバインダー、木材チップバインダー、ゴムチップ用バインダー、フォームチップバインダー、鋳物用バインダー、床材用およびセラミック用の岩盤固結材、ウレタンフォームなどの用途に好ましく用いられる。ウレタンフォームとしては、自動車シート、自動車内装部品、吸音材、制振材、ショックアブソーバー(衝撃吸収材)、断熱材、工事用床材クッションなどが挙げられる。当該樹脂組成物は、上述した用途の中でも、接着剤、コーティング材、強化繊維のバインダー、複合材料、3Dプリンターの造形材料、封止剤、および電子基板として用いられることがより好ましい。
〔3.樹脂組成物の製造方法(第2の製造方法)〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B1)を含む樹脂混合物(C1)を槽内で撹拌する撹拌工程と、前記樹脂混合物(C1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂混合物(C1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、前記樹脂混合物(C1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が70~20重量%であり、前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が99~30重量%である。本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法を、以下「第2の製造方法」と称する場合もある。
第2の製造方法によれば、樹脂混合物(C1)と、樹脂混合物(C1)よりも高い粘度を有する樹脂混合物(C2)との混合において、以下(i)~(iii)の利点を有する:(i)相対的に低粘度の樹脂混合物(C1)を、例えば槽内に、投入した後、相対的に高粘度の樹脂混合物(C2)を槽内に投入することにより、槽内の混合物の見かけ粘度が低位に維持され、混合物の流動性が向上すること;(ii)樹脂混合物(C1)を、例えば槽内で、撹拌しながら、樹脂混合物(C2)を投入することにより、樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着が防止され、混合物の全体を撹拌できること;並びに、(iii)(i)および(ii)の結果、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む均一な樹脂組成物が得られること。第2の製造方法によれば、特に、樹脂混合物(C2)が粘性を有する場合であっても、上述した(i)~(iii)の利点を有する。
以下、第2の製造方法に関する樹脂混合物(C1)について説明するが、以下に詳説した事項以外は、適宜、〔2.樹脂組成物の製造方法(第1の製造方法)〕の項の記載を援用する。具体的には、〔2.樹脂組成物の製造方法(第1の製造方法)〕の項の記載において、(2-5-1.樹脂(B1))を除く全ての記載は、「樹脂(B1)」を「樹脂混合物(C2)」に置き換えることにより、第2の製造方法に適用可能である。
(3-1.樹脂混合物(C1))
樹脂混合物(C1)は、重合体微粒子(A)および前記樹脂(B1)を含み、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有する。また、樹脂混合物(C1)は、樹脂混合物(C2)より高い密度を有することが好ましい。樹脂混合物(C1)が樹脂混合物(C2)より高い密度を有することにより、第2の製造方法において、樹脂混合物(C1)および樹脂混合物(C2)が相互に作用して好適な挙動を示す結果、混合物の流動性および混合性が向上するという利点を有する。
(a’)樹脂混合物(C1)の粘度、(b)樹脂混合物(C1)の密度、(c)25℃における樹脂混合物(C1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差、および(d)樹脂混合物(C1)と樹脂混合物(C2)との密度の差、の好適な範囲および測定方法は、それぞれ、上記〔2.樹脂組成物の製造方法(第1の製造方法)〕の(2-5-1.樹脂(B1))の項に記載されている、(a’)樹脂(B1)の粘度、(b’)樹脂(B1)の密度、(c’)25℃における樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との粘度の差、および(d’)樹脂(B1)と樹脂混合物(C2)との密度の差、の好適な範囲および測定方法と同じである。
樹脂混合物(C1)に含まれる重合体微粒子(A)および樹脂(B1)の詳細については、〔2.樹脂組成物の製造方法(第1の製造方法)〕の項の記載を援用する。
樹脂混合物(C1)は、25℃における粘度が樹脂混合物(C2)の25℃における粘度より低くなるように、重合体微粒子(A)および樹脂(B1)の種類およびこれらの配合比率が設定される。樹脂混合物(C1)における重合体微粒子(A)および樹脂(B1)の配合比率は、樹脂混合物(C1)に含まれる重合体微粒子(A)と樹脂(B1)との合計を100重量%とした場合に、重合体微粒子(A)が1~70重量%、樹脂(B1)が30~99重量%であることが好ましく、重合体微粒子(A)が5~65重量%、樹脂(B1)が35~95重量%であることがより好ましく、重合体微粒子(A)が10~60重量%、樹脂(B1)が40~90重量%であることがさらに好ましく、重合体微粒子(A)が20~50重量%、樹脂(B1)が50~80重量%であることがよりさらに好ましく、重合体微粒子(A)が30~40重量%、樹脂(B1)が60~70重量%であることが特に好ましい。重合体微粒子(A)および樹脂(B1)の配合比率が上記の範囲である場合、樹脂混合物(C1)の粘度が適度であり、取り扱いが容易であるという利点を有する。
樹脂混合物(C1)の製造方法としては、特に限定されず、上記(2-6.樹脂混合物(C2))の項で説明する樹脂混合物(C2)の製造方法が挙げられる。
以下、実施例および比較例によって本発明の一実施形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の一実施形態は、前記または後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[評価方法]
先ず、実施例および比較例によって製造した樹脂組成物の評価方法について、説明する。
<体積平均粒子径の測定>
水性ラテックスに分散している弾性体または重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)は、Nanotrac WaveII-EX150(マイクロトラックベル株式会社製)を用いて測定した。水性ラテックスを脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水、および、各製造例で得られた弾性体または重合体微粒子(A)の屈折率を入力し、計測時間120秒、ローディングインデックス1~20の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
<粘度>
以下の実施例および比較例において使用した樹脂(B1)〔液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、JER828)〕、樹脂混合物(C1)、樹脂混合物(C2)および最終的に得られた樹脂組成物の粘度測定を行った。使用した装置は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV-II+Pro型であった。また、粘度領域によってスピンドルCPE-52Zを用い、測定温度25℃または50℃にてShear Rate(ずり速度)を必要に応じ変化させて、粘度を測定した。その結果、樹脂(B1)である液状エポキシ樹脂(JER828)の25℃における粘度は12,000mPa・sであった。
<密度>
実施例および比較例において使用した樹脂(B1)、樹脂混合物(C1)、および樹脂混合物(C2)の密度は、25℃において、比重びんを用いて測定した。
<撹拌レイノルズ数(Re)および見かけ粘度(μ)>
実施例および比較例において、混合工程中の撹拌トルク(T)を測定した。なお、混合工程開始直後、短時間、撹拌トルク(T)が変化する場合がある。その場合であっても、混合工程開始後、一定時間が経過すると撹拌トルク(T)が一定または略一定(±1%の変化)となる。そのため、混合工程中の撹拌トルク(T)は、撹拌トルク(T)が一定または略一定になった時点の値を採用した。使用した装置は、佐竹化学機械工業(株)社製トルクメーターST-3000であった。測定された撹拌トルク(T)から、式(1)に基づき撹拌動力(P)を算出した。次いで、算出された撹拌動力(P)から、式(2)に基づき動力数(Np)を算出した。次いで、算出された動力数(Np)から、Np-Re曲線に基づき、撹拌レイノルズ数(Re)を求めた。また、式(5)に基づき、槽内で撹拌中の樹脂組成物の見かけ粘度(μ)を算出した。
P=N×T/9549.32・・・式(1)
Np=P/ρ×(N/60)×d・・・式(2)
μ=ρ×(N/60)×d×10/Re・・・式(5)
式(1)、式(2)および式(5)中、Pは撹拌動力[kW]であり、Nは撹拌翼の回転数[rpm]であり、Tは撹拌トルク[N・m]であり、Npは動力数であり、ρは混合物の25℃における密度[kg/m]であり、dは撹拌翼の翼径[m]であり、μは見かけ粘度[mPa・s]であり、Reは撹拌レイノルズ数である。
<撹拌翼有効面積比>
実施例および比較例で使用した撹拌翼の撹拌翼有効面積比は、以下の式により算出した。
撹拌翼有効面積比[m-1]=撹拌翼有効面積[m]/槽内の樹脂組成物の体積[m
<ひとつながりの撹拌翼の有効面積比>
実施例および比較例で使用した撹拌翼のひとつながりの撹拌翼の有効面積比は、それぞれの撹拌翼の撹拌翼有効面積比に等しい値であった。
<撹拌翼の上下面積比>
実施例および比較例で使用した撹拌翼の上下面積比は、撹拌機下部の撹拌翼の面積(有効面積)に対する、撹拌機上部の撹拌翼の面積(有効面積)の比として算出した。
<縞模様の有無>
縞模様の有無は、撹拌後に槽の下部より払出した樹脂組成物を透明の容器に入れて目視により縞模様の有無を確認した。
<均質性>
撹拌後に槽の下部より樹脂組成物を払い出した。払い出し初期(約33%)の樹脂組成物を槽内部下層のサンプルとし、払い出し中期(約33%)の樹脂組成物を槽内部中層のサンプルとし、払い出し後期(約33%)の樹脂組成物を槽内部上層のサンプルとした。また、払い出し後に、槽壁面部から樹脂組成物をスクレーパーを用いて回収した。槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層、および槽壁面部から採取したサンプルの50℃における粘度から、最終的に得られた樹脂組成物の均質性を、以下の基準で評価した。
良:槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層、および槽壁面部から採取した全サンプルの粘度が基準値以内である。(基準値:12,500~45,000mPa・s)
不良:槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層、および槽壁面部から採取したサンプルのうち、少なくとも1つのサンプルの粘度が基準値から外れる。
[製造例]
(1.弾性体の重合)
製造例1;ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性ラテックス(R-1)の調製
耐圧重合器中に、脱イオン水200重量部、リン酸三カリウム0.03重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、および乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55重量部を投入した。次に、投入した原料を撹拌しつつ、耐圧重合器内部の気体を窒素置換することにより、耐圧重合器内部から酸素を十分に除いた。その後、ブタジエン(Bd)100重量部を耐圧重合器内に投入し、耐圧重合器内の温度を45℃に昇温した。その後、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03重量部を耐圧重合器内に投入し、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10重量部を耐圧重合器内に投入し、重合を開始した。重合開始から15時間目に、減圧下にて脱揮して、重合に使用されずに残存した単量体を脱揮除去することにより、重合を終了した。重合中、PHP、EDTAおよび硫酸第一鉄・7水和塩のそれぞれを、任意の量および任意の時宜で耐圧重合器内に添加した。当該重合により、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性ラテックス(R-1)を得た。得られた水性ラテックス(R-1)に含まれる弾性体の体積平均粒子径は90nmであった。
製造例2;ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性ラテックス(R-2)の調製
耐圧重合器中に、前記で得た水性ラテックス(R-1)を固形分で7重量部、脱イオン水200重量部、リン酸三カリウム0.03重量部、EDTA0.002重量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を投入した。次に、投入した原料を撹拌しつつ、耐圧重合器内部の気体を窒素置換することにより、耐圧重合器内部から酸素を十分に除いた。その後、Bd93重量部を耐圧重合器内に投入し、耐圧重合器内の温度を45℃に昇温した。その後、PHP0.02重量部を耐圧重合器内に投入し、続いてSFS0.10重量部を耐圧重合器内に投入し、重合を開始した。重合開始から30時間目に、減圧下にて脱揮して、重合に使用されずに残存した単量体を脱揮除去することにより、重合を終了した。重合中、PHP、EDTA、硫酸第一鉄・7水和塩およびSDBSのそれぞれを、任意の量および任意の時宜で耐圧重合器内に添加した。当該重合により、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性ラテックス(R-2)を得た。得られた水性ラテックス(R-2)に含まれる弾性体の体積平均粒子径は195nmであった。
(2.重合体微粒子(A)の調製(グラフト部の重合))
製造例3;重合体微粒子を含む水性ラテックス(L-1)の調製
ガラス製反応器に、前記水性ラテックス(R-2)250重量部(ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体87重量部を含む)、および、脱イオン水50重量部を投入した。ここで、前記ガラス製反応器は、温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、および単量体の添加装置を有していた。ガラス製反応器中の気体を窒素で置換し、60℃にて投入した原料を撹拌した。次に、EDTA0.004重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、およびSFS0.20重量部をガラス製反応器内に加え、10分間撹拌した。その後、メチルメタクリレート(MMA)12.5重量部、スチレン(St)0.5重量部、およびt-ブチルハイドロパーオキサイド(BHP)0.035重量部の混合物をガラス製反応器内に、80分間かけて連続的に添加した。その後、BHP0.013重量部をガラス製反応器内に添加し、さらに1時間、ガラス製反応器内の混合物の撹拌を続けて重合を完結させた。以上の操作により、重合体微粒子(A)および乳化剤を含む水性ラテックス(L-1)を得た。単量体成分の重合転化率は99重量%以上であった。得られた水性ラテックス(L-1)に含まれる重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は200nmであった。得られた水性ラテックス(L-1)における固形分濃度(重合体微粒子(A)の濃度)は、水性ラテックス100重量%に対して、30重量%であった。
製造例4;重合体微粒子(A)および樹脂(B1)を含む樹脂混合物(C2)の製造)
水性ラテックス(L-1)60kgと樹脂(B1)である液状エポキシ樹脂27kgとを混合して混合物を得た(樹脂混合工程)。次いで、得られた混合物に剪断応力を与え、重合体微粒子(A)および樹脂(B1)を含む凝集体である樹脂組成物を含有する混合物を得た(剪断工程)。
上記剪断工程において得られた混合物に、凝析剤として15%硫酸ナトリウム水溶液12kgを添加して混合し、混合物を得た(凝析剤添加工程および混合工程)。
上記混合により得られた混合物を、凝析物(樹脂組成物)と水成分とに分離した(第二の分離工程)。
上記第二の分離工程において得られた混合物に、水288kgを添加して混合し、混合物を得た(洗浄工程)。
上記洗浄工程において得られた混合物を、凝析物(樹脂組成物)と水成分とに分離した。上記分離により得られた凝析物(樹脂組成物)を、上記洗浄工程と同様の操作で洗浄した。上記洗浄工程において得られた混合物を、凝析物(樹脂組成物)と水成分とに分離した。
得られた樹脂組成物について、115℃で真空脱揮を行って水を除去し、樹脂混合物(C2)を得た。
樹脂混合物(C2)の25℃における粘度は460,000mPa・sであり、密度は1,040kg/mであった。
(実施例1)
液状エポキシ樹脂(樹脂B1)(三菱ケミカル株式会社製、JER828、25℃における粘度12,000mPa・s、密度1,170kg/m)に極微量の着色剤を混合した。着色された上記液状エポキシ樹脂(樹脂B1)0.35重量部を、回転軸および当該回転軸に設けられた1枚の撹拌翼(大型格子翼、翼径0.205m、撹拌翼有効面積0.022m、上下面積比0.75)を槽内の中心部に備える円筒形槽(容量0.03m)に投入し、80℃で、撹拌翼の回転速度143rpmで撹拌した(撹拌工程)。
撹拌開始から30秒後に、撹拌翼の回転速度を維持したまま、槽の上部かつ撹拌翼と槽壁面との間から樹脂混合物(C2)2.1重量部を、添加速度4kg/minで槽内に添加した(混合工程)。樹脂混合物(C2)の添加開始から5分後に、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加された。槽内の混合物の全体積は0.025mであり、密度は1,050kg/mであった。
樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから5分後に撹拌を停止し、槽の下部より樹脂組成物を払い出し、槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層のそれぞれに位置する樹脂組成物をサンプルとして回収した。また、樹脂組成物を払い出した後、槽壁面に付着した樹脂組成物をスクレーパーで掻き取ることによりサンプルとして回収した。回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、混合工程における撹拌翼有効面積比、撹拌レイノルズ数(Re)および見かけ粘度を算出した。さらに、縞状模様の有無を評価し、得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
撹拌翼の回転速度を80rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして、撹拌工程および混合工程を行った。
樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから5分後に撹拌を停止し、実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
5分後に得られた混合物(樹脂組成物)を、上記と同じ条件でさらに混合し、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから60分後に撹拌を停止した。実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、撹拌翼有効面積比、撹拌レイノルズ数(Re)および見かけ粘度を算出し、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
撹拌翼をパドル翼(翼径0.205m、撹拌翼有効面積0.008m、上下面積比1.0)に変更した以外は、実施例1と同様にして、撹拌工程および混合工程を行った。
樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから5分後に撹拌を停止し、実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
上記と同じ条件で再び撹拌工程および混合工程を行い、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから60分後に撹拌を停止した。実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
上記と同じ条件で再び撹拌工程および混合工程を行い、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから120分後に撹拌を停止した。実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、撹拌翼有効面積比、撹拌レイノルズ数(Re)および見かけ粘度を算出し、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
(樹脂混合物(C1)の製造)
着色された液状エポキシ樹脂(樹脂B1)0.175重量部を、実施例1において使用したものと同じ円筒形槽に投入し、80℃で、撹拌翼の回転速度143rpmで撹拌した。撹拌開始から30秒後に、撹拌翼の回転速度を維持したまま、実施例1と同様にして樹脂混合物(C2)1.05重量部を、添加速度4kg/minで槽内に添加した。樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから5分後に、撹拌翼の回転速度を維持したまま、着色された液状エポキシ樹脂(樹脂B1)0.175重量部を、添加速度4kg/minで槽内に添加した。樹脂(B1)の全量が槽内に添加されてから30秒後に、撹拌を終了し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を樹脂混合物(C1)とした。樹脂混合物(C1)の25℃における粘度は120,000mPa・sであり、密度は1,060kg/mであった。
(樹脂組成物の製造)
上記で得られた樹脂混合物(C1)に対し、撹拌翼の回転速度を維持したまま、実施例1と同様にして樹脂混合物(C2)1.05重量部を、添加速度4kg/minで槽内に添加した。樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから5分後に撹拌を停止し、実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、回収した各サンプルについて、50℃における粘度を測定した。また、実施例1と同じ方法により、縞状模様の有無を評価し、5分後に得られた樹脂組成物について均質性を評価した。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
樹脂組成物(C2)2.1重量部を、実施例1において使用したものと同じ円筒形槽に投入し、80℃で、撹拌翼の回転速度143rpmで撹拌した。撹拌開始から30秒後に、撹拌翼の回転速度を維持したまま、実施例1と同様にして着色された液状エポキシ樹脂(樹脂B1)0.35重量部を、添加速度4kg/minで槽内に添加した。
着色された液状エポキシ樹脂(樹脂B1)の全量が槽内に添加されてから5分後に撹拌を停止し、実施例1と同様にして槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、樹脂組成物の均質性を評価した。その結果、全てのサンプルは、互いに粘度が異なり、また縞状模様が存在していた。
上記と同じ条件で再び撹拌および混合を行い、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから60分後に撹拌を停止し、槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、樹脂組成物の均質性を評価した。その結果、槽壁面部のサンプルは、50℃における粘度が他のサンプルよりも低く、また縞状模様が存在していた。
上記と同じ条件で再び撹拌および混合を行い、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから120分後に撹拌を停止し、槽内部上層、槽内部中層、槽内部下層および槽壁面部のサンプルを回収し、樹脂組成物の均質性を評価した。その結果、槽壁面部のサンプルは、50℃における粘度が他のサンプルよりも低く、また縞状模様が存在していた。結果を表1に示す。
Figure 2022135756000001
実施例1~4において、撹拌および混合により均質な樹脂組成物が得られ、また樹脂混合物(C2)の槽壁面への付着も生じなかった。特に、実施例1および実施例4においては、樹脂混合物(C2)の全量が槽内に添加されてから僅か5分間の撹拌により、均質な樹脂組成物が得られた。これに対し、比較例1においては、120分間撹拌した後も、樹脂混合物(C2)の一部が槽壁面に付着したまま移動せず、樹脂組成物として回収することができなかった。

Claims (6)

  1. 重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、
    前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、
    前記樹脂(B1)を撹拌する撹拌工程と、
    前記樹脂(B1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂(B1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、
    前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
    前記樹脂(B1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、
    前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が20~70重量%であり、
    前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が30~99重量%である、樹脂組成物の製造方法。
  2. 重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む樹脂組成物の製造方法であって、
    前記樹脂(B)は、樹脂(B1)および樹脂(B2)からなり、
    前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B1)を含む樹脂混合物(C1)を槽内で撹拌する撹拌工程と、
    前記樹脂混合物(C1)を撹拌しながら、前記重合体微粒子(A)および前記樹脂(B2)を含む樹脂混合物(C2)を前記樹脂混合物(C1)に添加し、混合する混合工程と、を含み、
    前記重合体微粒子(A)は、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
    前記樹脂混合物(C1)は、25℃において1,000,000mPa・s以下かつ前記樹脂混合物(C2)の粘度より低い粘度を有し、
    前記樹脂混合物(C2)に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B2)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が30~80重量%、前記樹脂(B2)が20~70重量%であり、
    前記混合工程により得られる前記樹脂組成物に含まれる前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、前記重合体微粒子(A)が1~70重量%、前記樹脂(B)が30~99重量%である、樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記混合工程において、撹拌翼有効面積比0.3以上の撹拌翼が使用される請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記混合工程において、槽内の撹拌レイノルズ数(Re)は20以上である請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記樹脂(B1)および前記樹脂(B2)がエポキシ樹脂を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記樹脂(B1)または前記樹脂混合物(C1)の25℃における粘度が100~10,000mPa・sであり、前記樹脂混合物(C2)の25℃における粘度が30,000~10,000,000mPa・sである、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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