JP2022135543A - 転がり軸受および転がり軸受用保持器 - Google Patents

転がり軸受および転がり軸受用保持器 Download PDF

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Abstract

【課題】振動の低減および潤滑寿命の向上を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる転がり軸受および転がり軸受用保持器を提供する。【解決手段】保持器6は互いに軸方向に重なる二枚の環状体10,10を有し、各環状体10は、複数のポケット壁部13と複数の結合板部14とを有する。保持器6は、ポケット壁部13の径方向寸法である帯幅W1が、結合板部14の径方向寸法W2よりも小さくなるように、ポケット壁部13の内径面および外径面に切り欠き部13a,13bが設けられる。各ポケット壁部のうち、内径面における切り欠き部13aの最深部P1と、外径面における切り欠き部13bの最深部P2との間の帯幅W1の径方向中心を玉5のピッチ円径付近とする。帯幅W1を玉5の直径BDの35%以下とし、且つ各切り欠き部13a,13bの周方向範囲L1を玉5の直径BDの50~100%とした。【選択図】図3A

Description

本発明は、転がり軸受および転がり軸受用保持器に関し、例えば、モータ用転がり軸受等において、振動の低減および潤滑寿命の向上を図る技術に関する。
転がり軸受に使用する合成樹脂製保持器が提案されている(特許文献1)。この合成樹脂製保持器は、軸方向に対向する二枚の環状体からなり、前記二枚の環状体の間に玉を収容する複数のポケットが周方向に間隔をおいて形成されている。
また、潤滑寿命を向上させるため、外輪の内径面に周溝状のグリースポケットが形成された転がり軸受が提案されている(特許文献2)。
特開2013-7468号公報 特開2009-275176号公報
従来の合成樹脂製保持器Rtは、図6および図7に示すように、ポケット部Ptの径方向寸法である帯幅Wが、ボールPCDを中心として、ボール径の40%~50%の範囲でボール30を保持した形状となっている。また、外輪31の内径面と、内輪32の外径面との間の径方向寸法D1に対し、70%~80%の帯幅Wとなっている。
この場合、図6に示すように、ボール30とポケット部Ptの内径側縁部との隙間δ、およびボール30とポケット部Ptの外径側縁部との隙間δ1が広くなる。このため、ボール表面に付着したグリースは、ポケット部Ptでの掻き取りが少なく、ポケット部Ptとボール30との間へ巻き込まれるグリースが増える。このことから、ポケット部Ptとボール30との間でのグリースのせん断抵抗が大きくなり、保持器Rtの挙動が安定せず、振動および騒音値が大きくなることがある。
また、転がり軸受の内径寸法dmmに回転速度n(min-1)を乗じたdn値が35万以上の高速で使用される転がり軸受は、発熱を考慮し、静止空間容積100%を上限として使用される。前記「静止空間容積」とは、内外輪間の軸受空間における、転動体および保持器を除く空間(静止空間)の容積である。軸方向両側にシール部材が取り付けられている場合、静止空間容積は、内外輪間の軸受空間のうち、軸方向両側のシール部材の間の静止空間の容積である。前記軸受空間における、転動体および保持器を含む空間を、動空間と言う。
軸受回転後のグリースは、動空間から静止空間へ排出され、外輪内径側付近の静止空間で保持され、グリースの基油が外輪転走面へ供給され転動部の潤滑として使用される。ボールPCD以下のシール部材と保持器背面間、および内輪外径付近の静止空間で保持されるグリースは潤滑に寄与され難い。
図6に示す従来品はポケット部Ptの帯幅Wが大きいため、静止空間容積A1が狭く外輪内径側付近に保持されるグリース量が少なく潤滑寿命が短くなることがある。図8に示すように、潤滑寿命を向上させる目的で、外輪31の内径面における、転走面31aの軸方向両側にグリースポケット31b(図8)を設け、外輪内径側付近のグリース保持量を増加させる場合、製造コストが増加する。
本発明の目的は、振動の低減および潤滑寿命の向上を図ると共に、製造コストの低減を図ることができる転がり軸受および転がり軸受用保持器を提供することである。
本発明の転がり軸受は、内外輪と、これら内外輪間に介在する複数の玉と、各玉を保持するポケットが形成された保持器とを備え、この保持器は互いに軸方向に重なる二枚の環状体を有し、各環状体は、円周方向に一定の間隔で並びそれぞれが前記ポケットの内壁面を構成する複数のポケット壁部と、円周方向に隣り合う前記ポケット壁部同士を連結する複数の結合板部とを有し、前記二枚の環状体が前記各結合板部で互いに重なって結合された転がり軸受であって、
前記保持器は、前記ポケット壁部の径方向寸法である帯幅が、前記結合板部の径方向寸法よりも小さくなるように、前記ポケット壁部の内径面および外径面に切り欠き部がそれぞれ設けられ、
各ポケット壁部のうち、前記内径面における切り欠き部の最深部と、前記外径面における切り欠き部の最深部との間の帯幅の径方向中心を前記玉のピッチ円径付近とし、
前記帯幅を前記玉の直径の35%以下とし、且つ前記各切り欠き部の周方向範囲を前記玉の直径の50~100%とした。
前記玉のピッチ円径付近とは、前記玉のピッチ円径(PCD)を基準に、前記玉の直径の±5%の範囲である。
この構成によると、玉に付着したグリースを、ポケット壁部の内径側および外径側の切り欠き部でそれぞれ掻き取ることから、ポケットと玉との間に巻き込まれるグリースが減少する。このため、ポケットと玉との間でのグリースのせん断抵抗が小さくなり、保持器の挙動が安定し、振動および騒音値が低減するという格別の作用効果を奏する。
切り欠き部の帯幅が玉の直径の35%を超えるか、または切り欠き部の周方向範囲を玉の直径の50%未満とすると、グリースの掻き取りが少なく、ポケットと玉との間に巻き込まれるグリースが増える。この場合、保持器の挙動が安定せず、振動および騒音に対する抑制効果が小さい。
ポケット壁部の外径面に切り欠き部が設けられているため、静止空間が広くなる。この場合、ポケット壁部の内径面のみに切り欠き部が設けられているもの、または、ポケット壁部に切り欠き部が設けられていないものに対し、静止空間容積が増加する。ポケット壁部の外径面に切り欠き部を設けたことで、外輪内径側の静止空間において、グリース保持量が増加する。このため、外輪の内径面に周溝状のグリースポケット等を設けることなく潤滑寿命を向上させることが可能となる。したがって、外輪の内径面にグリースポケットを設ける従来構造等に比べて、製造コストの低減を図れる。
内径側の切り欠き部のみの場合、切り欠き部の無い外径側からポケットと玉との間にグリースが巻き込まれ易く、保持器の挙動が安定され難く振動および騒音が大きくなる。また内輪外径側の静止空間容積が広くなり内輪外径側の静止空間でのグリース保持量が増加するが転動部の潤滑に寄与され難い。
外径側の切り欠き部のみの場合、外輪内径側のグリース保持量が増加し、潤滑寿命が向上するが、切り欠き部の無い内径側からポケットと玉との間にグリースが巻き込まれ易く、保持器の挙動が安定され難く振動および騒音が大きくなる。
前記外輪の内径面と前記内輪の外径面との間の径方向寸法に対し、前記保持器の前記帯幅を50%以下としてもよい。この場合、ポケットと玉との間に巻き込まれるグリースをより確実に低減することができる。
前記保持器は、融点が200~350℃の樹脂材としてもよい。この場合、保持器に異常な摺動痕が認められず好適である。融点が200℃未満の樹脂材のものは、玉とポケット壁部の摺動による摩擦熱により、樹脂が溶融または異常摩耗する。融点が350℃を超える樹脂材のものは製造コストが嵩む。
前記玉がセラミックボールであってもよい。この場合、例えば、軸受鋼等から成る鋼球よりも比重を小さくして転がり軸受の高速化を図れると共に耐熱性を高めることができる。
転がり軸受はモータ用転がり軸受であってもよい。モータ用転がり軸受が、振動の低減および潤滑寿命の向上を図ると共に、製造コストの低減を図れる場合、様々な用途のモータに転がり軸受を適用でき、モータ用転がり軸受としての汎用性を高めることができる。
本発明の転がり軸受用保持器は、上述した本発明の転がり軸受に用いられる保持器である。
本発明の転がり軸受または転がり軸受によれば、玉に付着したグリースを、ポケット壁部の内径側および外径側の切り欠き部でそれぞれ掻き取ることから、ポケットと玉との間に巻き込まれるグリースが減少する。このため、ポケットと玉との間でのグリースのせん断抵抗が小さくなり、保持器の挙動が安定し、振動および騒音値が低減する。ポケット壁部の内径面だけでなく外径面に切り欠き部を設けたことで、外輪内径側の静止空間において、グリース保持量が増加する。このため、外輪の内径面に周溝状のグリースポケットを設ける等の製造コストをかける必要がなく潤滑寿命を向上させることが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の縦断面図である。 同転がり軸受の要部の拡大断面図である。 同転がり軸受の保持器を軸方向から見た正面図である。 同保持器の要部の拡大正面図である。 同保持器の拡大断面図である。 図4AのIVB-IVB線断面図である。 同転がり軸受をモータに適用したモータ用転がり軸受を示す概略図である。 従来の転がり軸受の要部の拡大縦断面図である。 従来の転がり軸受用保持器を軸方向から見た正面図である。 他の従来の転がり軸受の要部の拡大縦断面図である。 さらに他の従来の転がり軸受用保持器を軸方向から見た正面図である。 さらに他の従来の転がり軸受用保持器を軸方向から見た正面図である。
[第1の実施形態]
本発明の実施形態に係る転がり軸受および転がり軸受用保持器を図1ないし図5と共に説明する。
<転がり軸受について>
図1に示すように、この例の転がり軸受1は、深溝玉軸受であって、内輪2と、外輪3と、内外輪2,3の転走面2a,3a間に介在する複数の転動体である玉5と、各玉5を保持する保持器6を備え、さらにシール4を備えている。玉5は、鋼球またはセラミックボールである。
内輪2の外周と外輪3の内周間に環状空間が形成され、この環状空間の軸方向両端の開口がシール4,4により閉鎖されている。閉鎖された環状空間に潤滑用のグリースが封入されている。外輪3の内周面にシール取付溝7が形成され、内輪2の外周面に内輪シール溝8が形成されている。図2に示すように、この例の各シール4は、前記内輪シール溝8にリップが接触しない非接触シールである。シール4は、芯金4aにゴム材4bをモールドしたものであり、このシール4の外周縁が、外輪3の前記シール取付溝7に嵌め込まれて固定される。
<保持器6について>
図3Aに示すように、保持器6は、転動体案内形式であり、図4Bに示すように、互いに軸方向に重なる二枚の合成樹脂製の環状体10,10で構成されている。図3Aの保持器6は、二枚の環状体10,10を結合した状態において、環状体10,10の各外径面が切り欠き部13bを除き同径の円筒面を成し、環状体10,10の各内径面が切り欠き部13aを除き同径の円筒面を成す。各環状体10は、合成樹脂を例えば射出成形して形成される。二枚の環状体10,10は、互いに同一形状であり同一の金型で成形可能である。
前記合成樹脂としては、射出成形可能であり、保持器材料として十分な耐熱性、耐油性および機械的強度等を有するものであれば、ポリオレフィン系樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック、およびスーパエンジニアリングプラスチック等を用いることができる。また保持器6は耐熱性を考慮し、融点が200℃~360℃、望ましくは200℃以上350℃以下の樹脂材とするのがよい。融点が200℃未満のものは、玉とポケット壁部の摺動による摩擦熱により、樹脂が溶融または異常摩耗するおそれがある。樹脂は強度を高めるために、ガラス繊維またはカーボン繊維またはアラミド繊維等が15~45質量%添加されているものが使用できるが、これらの繊維等が無添加のものでも使用可能である。
前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記エンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
前記スーパエンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(例えばPA46、PA66、PA9T、PA10T等)等が挙げられる。また、上記樹脂の2種以上の材料の混合物、ポリマーアロイ材等も使用できる。
図4Aおよび図4Bに示すように、各環状体10は、複数の半円筒状のポケット壁部13と、複数の結合板部14とを有する。複数のポケット壁部13は、円周方向に一定の間隔で並びそれぞれが玉5を保持するポケット12の内壁面を構成する。複数の結合板部14は、円周方向に隣合うポケット壁部13同士を連結する。
結合板部14は、二枚の環状体10,10を結合したときに面接触する合わせ面15を有する。結合板部14における合わせ面15の周方向中央付近には、軸方向に突出する結合爪16と、他方の環状体10の結合爪16が挿入される結合孔17とが形成されている。
結合爪16の軸方向先端部に鉤部19が形成され、一方の環状体10の鉤部19は、他方の環状体10の結合孔17の内面に形成された段部18に係合する。この係合により結合爪16が結合孔17から抜け止めされ、二枚の環状体10,10が互いに重なって結合される。
結合板部14は、突出壁部20および収容凹部21を有する。突出壁部20は、一方の環状体10の合わせ面15における円周方向一端に、軸方向に突出するように設けられている。収容凹部21は、一方の環状体10の合わせ面15における円周方向他端に設けられ、他方の環状体10の突出壁部20を収容する。結合板部14が前述の突出壁部20および収容凹部21を有することによって、二枚の環状体10,10を結合したときの環状体10,10の合わせ目が、ポケット12の軸方向中央からずれた位置にくるようになっている。これにより、軸受運転時、玉5の遅れまたは進みにより玉5が結合板部14に接触するとき、二枚の環状体10,10の合わせ目の位置に玉5が接触することを防止し得る。したがって、玉5を安定して保持することが可能となる。
二枚の環状体10,10を結合した状態において、突出壁部20および収容凹部21は、突出壁部20と収容凹部21の間の周方向および軸方向の隙間22,23が生じる大きさとされている。これにより、環状体10を射出成形した後の収縮差により突出壁部20と収容凹部21が干渉するのを防止することができ、二枚の環状体10,10の結合板部14における合わせ面15同士を確実に密着させ得る。
各ポケット12の円周方向両端部には、玉5の外周に沿う部分凹球面25がそれぞれ形成されている。部分凹球面25は、玉5を間に挟んで玉5の進行方向の前後に対向して形成されている。部分凹球面25の曲率半径は玉5の半径よりも僅かに大きく設定されている。
<切り欠き部13a,13bについて>
図3Bは、図3AのIIIB部分拡大図である。図3Aおよび図3Bに示すように、保持器6は、ポケット壁部13の径方向寸法である帯幅W1が、結合板部14の径方向寸法W2よりも小さくなるように、ポケット壁部13の内径面および外径面に切り欠き部13a,13bがそれぞれ設けられている。前記内径面および外径面の各切り欠き部13a,13bは、軸受軸方向から見て凹曲線となる曲面形状である。これら切り欠き部13a,13bは、例えば、環状体10の射出成形時に形成されるが、射出成形後の機械加工等によって形成することも可能である。
各ポケット壁部13において、前記内径面の円周方向中間部に、前記内径面における切り欠き部13aの最深部P1が設けられ、前記外径面の円周方向中間部に、前記外径面における切り欠き部13bの最深部P2が設けられている。各ポケット壁部13において、円周方向中間部の帯幅W1が最も小さく、前記円周方向中間部から円周方向両側に向かうに従って、帯幅W1が前記曲面形状に沿って次第に大きくなるように形成されている。
また各ポケット壁部13のうち、内径面における切り欠き部13aの最深部P1と、外径面における切り欠き部13bの最深部P2との間の最小となる帯幅W1の径方向中心Pcを、玉5のピッチ円径(PCD)付近としている。前記最小となる帯幅W1を、玉5の直径BDの20%以上35%以下とし、且つ各切り欠き部13a,13bの周方向範囲L1を玉5の直径BDの50%以上100%以下としている。さらに本実施形態では、図2に示すように、外輪3の内径面と内輪2の外径面との間の径方向寸法D1に対し、前記最小となる帯幅W1を50%以下としている。
ポケット壁部13は、前記切り欠き部13a,13bによる体積減少分だけ厚肉に形成されている。具体的には、内径、外径、幅寸法が同一サイズの深溝玉軸受に使用される合成樹脂製の保持器につき、切り欠き部が形成されていない従来品のポケット壁部33(図6)に対し、本実施形態の保持器は、ポケット壁部13の全体が軸受軸方向に前記体積減少分だけ厚肉に形成されている。これにより、切り欠き部13a,13bによる保持器6の剛性低下を抑制し得る。
<音響試験>
本実施形態に係る保持器を備えた転がり軸受と、従来保持器を備えた転がり軸受とを、後述する試験機を用いて比較する音響試験を実施した。
<試験条件>
試験する転がり軸受の型番(呼び番号):6312(内径60mm×外径130mm×幅31mm)
回転速度:8000min-1
荷重:ラジアル荷重Fr=500N、アキシアル荷重Fa=785N
判定方法:試験開始後の所定時間経過時における軸受回転中の聴覚判定
前記試験機は、例えば、ハウジングに二個の転がり軸受を介して駆動軸が回転支持され、この駆動軸の長手方向一端部のプーリーにベルト等を介してモータの駆動により軸心回りに回転駆動可能に構成されている。前記二個の転がり軸受のうち、前記プーリー側の転がり軸受を試験する転がり軸受とし、他方の転がり軸受を支持軸受としている。前記モータの駆動により駆動軸および各転がり軸受の内輪を回転させ、ベルト荷重にてラジアル荷重を試験する転がり軸受に負荷させる。前記試験機には、試験する転がり軸受に、所定のアキシアル荷重を与えるための予圧ばね等が設置されている。
<音響試験結果>
Figure 2022135543000002
表1において、「〇」は、聴覚判定により保持器に異音が発生していないことを表し、「×」は、聴覚判定により保持器に異音が発生したことを表す。
<高速試験>
本実施形態に係る保持器のうち、融点が異なる複数の保持器を備えた転がり軸受について、高速試験を実施した。試験機は、前述の音響試験の試験機と略同様である。
<試験条件>
試験する転がり軸受の型番(呼び番号):6312
回転速度:13500min-1
荷重:アキシアル荷重Fa=588N
判定方法:所定時間経過後回転停止した後の目視判定
<高速試験結果>
Figure 2022135543000003
<作用効果>
以上説明した転がり軸受1および転がり軸受用保持器6によると、図3Aの玉5に付着したグリースを、ポケット壁部13の内径側および外径側の切り欠き部13a,13bでそれぞれ掻き取ることから、ポケット12と玉5との間に巻き込まれるグリースが減少する。このため、ポケット12と玉5との間でのグリースのせん断抵抗が小さくなり、保持器6の挙動が安定し、振動および騒音値が低減するという格別の作用効果を奏する。
切り欠き部13a,13bの帯幅W1が玉5の直径BDの35%を超えるか、または切り欠き部13a,13bの周方向範囲L1を玉5の直径BDの50%未満とすると、グリースの掻き取りが少なく、ポケット12と玉5との間に巻き込まれるグリースが増える。この場合、保持器6の挙動が安定せず、振動および騒音に対する抑制効果が小さい。
ポケット壁部13の外径面に切り欠き部13bが設けられているため、静止空間が広くなる。この場合、ポケット壁部33の内径面のみに切り欠き部33aが設けられているもの(図9)、または、ポケット壁部33に切り欠き部が設けられていないもの(図7)に対し、静止空間容積が増加する。ポケット壁部13の外径面に切り欠き部13bを設けたことで、外輪内径側の静止空間において、グリース保持量が増加する。このため、外輪3の内径面に周溝状のグリースポケット等を設けることなく潤滑寿命を向上させることが可能となる。したがって、外輪の内径面にグリースポケット31bを設ける従来構造(図8)等に比べて、製造コストの低減を図れる。
内径側の切り欠き部33aのみ(図9)の場合、切り欠き部の無い外径側からポケットと玉との間にグリースが巻き込まれ易く、保持器の挙動が安定され難く振動および騒音が大きくなる。また内輪外径側の静止空間容積が広くなり内輪外径側の静止空間でのグリース保持量が増加するが転動部の潤滑に寄与され難い。
外径側の切り欠き部33bのみ(図10)の場合、外輪内径側のグリース保持量が増加し、潤滑寿命が向上するが、切り欠き部の無い内径側からポケットと玉との間にグリースが巻き込まれ易く、保持器の挙動が安定され難く振動および騒音が大きくなる。
外輪3の内径面と内輪2の外径面との間の径方向寸法D1に対し、保持器6の帯幅W1を50%以下とした場合、ポケット12と玉5との間に巻き込まれるグリースをより確実に低減することができる。
保持器6は、融点が200~350℃の樹脂材としてもよい。この場合、保持器6に異常な摺動痕が認められず好適である。融点が200℃未満の樹脂材のものは、玉5とポケット壁部13の摺動による摩擦熱により、樹脂が溶融または異常摩耗する。融点が350℃を超える樹脂材のものは製造コストが嵩む。
玉5がセラミックボールである場合、例えば、軸受鋼等から成る鋼球よりも比重を小さくして転がり軸受1の高速化を図れると共に耐熱性を高めることができる。
この転がり軸受は、例えば、図5に概略示すモータ51用の転がり軸受50,50として用いられる。但し、この転がり軸受をモータ以外の用途に適用することも可能である。
転がり軸受がモータ用転がり軸受でありこのモータ用転がり軸受が、振動の低減および潤滑寿命の向上を図ると共に、製造コストの低減を図れる場合、様々な用途のモータに転がり軸受を適用でき、モータ用転がり軸受としての汎用性を高めることができる。
<他の実施形態>
各環状体のポケット壁部は、半円筒状に限定されるものではなく、半球状であってもよい。
シールは、内輪シール溝にリップが接触する接触シールであってもよい。
シールは、鋼板のみからなるいわゆるシールド板であってもよい。
シールが無い開放形の転がり軸受であってもよい。
いずれかの転がり軸受を工作機械、産業機械、車両等に適用することも可能である。
各環状体を3Dプリンターまたは機械加工により形成することも可能である。
<参考提案例>
帯幅を前記玉の直径の35%以下とする構成に代えて、前記外輪の内径面と前記内輪の外径面との間の径方向寸法に対し、前記保持器の前記帯幅を50%以下としてもよい。その他前述の実施形態と同様の構成である。この場合にも前述と同様の作用効果を奏する。
この参考提案例に係る転がり軸受は、以下のように記載される。
内外輪と、これら内外輪間に介在する複数の玉と、各玉を保持するポケットが形成された保持器とを備え、この保持器は互いに軸方向に重なる二枚の環状体を有し、各環状体は、円周方向に一定の間隔で並びそれぞれが前記ポケットの内壁面を構成する複数のポケット壁部と、円周方向に隣り合う前記ポケット壁部同士を連結する複数の結合板部とを有し、前記二枚の環状体が前記各結合板部で互いに重なって結合された転がり軸受であって、
前記保持器は、前記ポケット壁部の径方向寸法である帯幅が、前記結合板部の径方向寸法よりも小さくなるように、前記ポケット壁部の内径面および外径面に切り欠き部がそれぞれ設けられ、
各ポケット壁部のうち、前記内径面における切り欠き部の最深部と、前記外径面における切り欠き部の最深部との間の帯幅の径方向中心を前記玉のピッチ円径付近とし、
前記外輪の内径面と前記内輪の外径面との間の径方向寸法に対し、前記保持器の前記帯幅を50%以下とし、且つ前記各切り欠き部の周方向範囲を前記玉の直径の50~100%とした、転がり軸受。
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…転がり軸受、2…内輪、3…外輪、5…玉、6…保持器、10…環状体、12…ポケット、13…ポケット壁部、13a,13b…切り欠き部、14…結合板部

Claims (6)

  1. 内外輪と、これら内外輪間に介在する複数の玉と、各玉を保持するポケットが形成された保持器とを備え、この保持器は互いに軸方向に重なる二枚の環状体を有し、各環状体は、円周方向に一定の間隔で並びそれぞれが前記ポケットの内壁面を構成する複数のポケット壁部と、円周方向に隣り合う前記ポケット壁部同士を連結する複数の結合板部とを有し、前記二枚の環状体が前記各結合板部で互いに重なって結合された転がり軸受であって、
    前記保持器は、前記ポケット壁部の径方向寸法である帯幅が、前記結合板部の径方向寸法よりも小さくなるように、前記ポケット壁部の内径面および外径面に切り欠き部がそれぞれ設けられ、
    各ポケット壁部のうち、前記内径面における切り欠き部の最深部と、前記外径面における切り欠き部の最深部との間の帯幅の径方向中心を前記玉のピッチ円径付近とし、
    前記帯幅を前記玉の直径の35%以下とし、且つ前記各切り欠き部の周方向範囲を前記玉の直径の50~100%とした、転がり軸受。
  2. 請求項1に記載の転がり軸受において、前記外輪の内径面と前記内輪の外径面との間の径方向寸法に対し、前記保持器の前記帯幅を50%以下とした転がり軸受。
  3. 請求項1または請求項2に記載の転がり軸受において、前記保持器は、融点が200~350℃の樹脂材とした転がり軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記玉がセラミックボールである転がり軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受において、モータ用転がり軸受である転がり軸受。
  6. 互いに軸方向に重なる二枚の環状体を有し、各環状体は、円周方向に一定の間隔で並びそれぞれが玉を保持するポケットの内壁面を構成する複数のポケット壁部と、円周方向に隣り合う前記ポケット壁部同士を連結する複数の結合板部とを有し、前記二枚の環状体が前記各結合板部で互いに重なって結合された、転がり軸受用保持器であって、
    前記ポケット壁部の径方向寸法である帯幅が、前記結合板部の径方向寸法よりも小さくなるように、前記ポケット壁部の内径面および外径面に切り欠き部がそれぞれ設けられ、
    各ポケット壁部のうち、前記内径面における切り欠き部の最深部と、前記外径面における切り欠き部の最深部との間の帯幅の径方向中心を前記玉のピッチ円径付近とし、
    前記帯幅を前記玉の直径の35%以下とし、且つ前記各切り欠き部の周方向範囲を前記玉の直径の50~100%とした、転がり軸受用保持器。
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