JP2022134170A - 皮膚菌叢バランス改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表皮ブドウ球菌を選択的に増殖させ、黄色ブドウ球菌選択的に減少させる皮膚菌叢バランス改善剤を提供すること。【解決手段】 ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;を含有する、皮膚菌叢バランス改善剤を調製する。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚菌叢バランス改善剤に関する。
ヒトの皮膚の表皮には多くの細菌(皮膚常在菌)が棲息しており、これらの細菌の作用により、紫外線や活性酸素によるダメージ、ウイルスの体内への侵入、皮膚の乾燥などを防ぐことが可能となっている。表皮を守る作用を有する細菌の代表として、表皮ブドウ球菌が挙げられ、実際に健常な肌と比べて敏感肌では、表皮ブドウ球菌が少ないことも知られている。
皮膚の至適pHでは弱酸性であるが、このバランスが崩れてアルカリ性に傾くと、悪玉菌の一種である黄色ブドウ球菌が増殖するとされている。これにより、バリア機能が低下して外部からの悪影響を受けやすくなり、ニキビなどの皮膚トラブルが起こること、アトピー性皮膚疾患を悪化させることなどが知られている。
ヒトの皮膚に常在するこのような種々の細菌の表皮での棲息のバランスによって、皮膚のバリア機能が保持されているが、棲息のバランスが崩れると、皮膚トラブルに発展する。皮膚トラブルとしては、乾燥や炎症の他に、感染症も挙げられる。たとえば、とびひやおでき(毛包炎、せつ、よう)をはじめとする化膿性皮膚疾患もその1種として知られている。また、白斑、乾癬など多くの皮膚疾患においてDysbiosisと呼ばれる微生物種の構成異常が観察される事も報告されており、いずれも皮膚常在菌のバランスが疾患病態に深く関わっていると考えられている。
特定の植物抽出物によって、皮膚常在菌のバランスを調整することが提案されている(特許文献1)。
特開2007-153800号公報
このような皮膚の菌叢バランスを整える為に直接的に効果を有する製剤は多くは報告されていない状況である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、菌の表皮での棲息のバランスの改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、特定の種類の油性成分、大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上により、皮膚菌叢バランスが整うことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を提供する。
項1.
ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
を含有する、皮膚菌叢バランス改善剤。
項2.
ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
を含有する、表皮ブドウ球菌増殖剤。
項3.
ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
を含有する、黄色ブドウ球菌抗菌剤。
さらに本発明は、ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
を含有する、皮膚菌叢バランス改善用皮膚外用組成物、表皮ブドウ球菌増殖用皮膚外用組成物、又は黄色ブドウ球菌抗菌用皮膚外用組成物に関する。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤によれば、皮膚常在菌のバランスを整え、皮膚をより健常な状態へと導くことができる。
[皮膚菌叢バランス改善剤]
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤は、
ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
を含有する。
ここで、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤でいう「菌」とは、皮膚に常在する細菌を指し、主には表皮ブドウ球菌と黄色フドウ球菌を含み、「バランス改善」とは、具体的には、表皮ブドウ球菌のような皮膚に好ましい影響を与える菌を増殖させ、黄色ブドウ球菌のような病原菌を減少させ、皮膚の状態を良好な状態にする又は良好な状態に維持することをいう。
従って、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤は、表皮ブドウ球菌増殖剤及び/又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を包含する。ここで、「抗菌」とは、菌の発生・生育・増殖を阻害することを意味する。
(油性成分)
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤は、ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分を含む。ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分は、市販で入手できるもので良く、特に限定はされない。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分の含有量は、皮膚外用組成物全量に対して、ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分の含有量は、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、好ましくは0.00001質量%~55質量%であり、より好ましくは0.01質量%~3質量%、さらに好ましくは0.1質量%~1質量%である。
本発明におけるダイズ油としては、限定はされないが、市販されているものを用いてもよい。市販されているダイズ油としては、例えば、「ダイズ油YM」(日清オイリオグループ株式会社)、「大豆白絞油」(サミット性油株式会社)、「SRソイビーン」(クローダジャパン株式会社)、「ダイズ油」(カネダ株式会社)等が挙げられる。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、ダイズ油の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.00001質量%~40質量%であり、より好ましくは0.01質量%~1質量%、さらに好ましくは0.1質量%~1質量%である。
本発明におけるアルモンド油としては、限定はされないが、市販されているものを用いてもよい。市販されているアルモンド油としては、例えば、「NIKKOL スイートアルモンド油」(日光ケミカルズ株式会社)、「アーモンド油」(サミット製油株式会社)、「アーモンド油」(GP TEXTRON株式会社)、「CROPURE ALMOND」(クローダジャパン株式会社)、「SWEET ALMOND OIL」(GP TEXTRON株式会社)等が挙げられる。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、アルモンド油の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.00001質量%~53質量%であり、より好ましくは0.001質量%~1質量%、さらに好ましくは0.01質量%~0.1質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、コレステロールの含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.005質量%~5質量%であり、より好ましくは0.01質量%~1質量%、さらに好ましくは0.05質量%~0.5質量%である。
(大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、又はシクロデキストリン)
本発明における大豆レシチンは、医薬品添加物規格(株式会社薬事日報社)等の公定書に記載されているものが好ましく用いられる。
本発明におけるセラミド又はその類似体とは、スフィンゴイド塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合したものであり、例えばスフィンゴミエリンやスフィンゴシルホスホリルコリン等のスフィンゴ燐脂質、α-ガラクトシルセラミド、セレブロシドやガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質が挙げられる。
セラミド類似体は、天然セラミドと化学的構造や性質が類似した、疑似セラミドであっても良く、N-(2-ヒドロキシ-3-ヘキサデシロキシプロピル)-N-2-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、トリヒドロキシパルミタミドヒドロキシプロピルミリスチルエーテル、セチルヒドロキシプロリンパルミタミドが挙げられる。
本発明におけるシクロデキストリンは、グルコースがα-1,4結合で環状に連なった構造を有する環状オリゴ糖の一種である。シクロデキストリンは、構成するグルコースの数に応じて、α型(α-シクロデキストリン、グルコース6分子)、β型(β-シクロデキストリン、グルコース7分子)、γ型(γ-シクロデキストリン、グルコース8分子)等と呼ばれる。天然には、更に多くの分子のグルコースで構成されるシクロデキストリンも存在することが知られている。本発明に用いられるシクロデキストリン系化合物は、シクロデキストリン又はその塩であってもよく、薬学的又は生理学的に許容され得る任意の塩を使用することができる。
本明細書において、「塩」としては、限定はされないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基等との塩が例示され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。さらには、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩等が挙げられる。
本発明において、ピロリドンカルボン酸の塩やカゼインの塩として、限定はされないが、好ましくは、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸亜鉛、カゼインナトリウム等が挙げられる。本発明におけるピロリドンカルボン酸及びその塩は、医薬品添加物規格(株式会社薬事日報社)に記載の「dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液」が特に好ましく用いられる。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、大豆レシチンの含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.05質量%~16質量%であり、より好ましくは0.1質量%~2質量%、さらに好ましくは0.1質量%~0.8質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、セラミド又はその類似体の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.01質量%~5質量%であり、より好ましくは0.05質量%~1質量%、さらに好ましくは0.1質量%~0.5質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、尿素の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.005質量%~20質量%であり、より好ましくは0.05質量%~10質量%、さらに好ましくは0.1質量%~5質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、ピロリドンカルボン酸及びその塩の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.0005質量%~5質量%であり、より好ましくは0.005質量%~1質量%、さらに好ましくは0.05質量%~0.1質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、カゼイン及びその塩の含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.01質量%~1質量%、さらに好ましくは0.05質量%~0.3質量%である。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、シクロデキストリンの含有量は、本発明の効果を発揮する観点から、組成物の全量に対して、好ましくは0.001質量%~5質量%であり、より好ましくは0.01質量%~1質量%、さらに好ましくは0.05質量%~0.3質量%である。
[任意成分]
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、黄色ブドウ球菌抗菌剤又は皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で任意成分を含むことができる。任意成分としては、例えば、ダイズ油、アルモンド油、コレステロール以外の 油剤、増粘剤、抗炎症成分、抗酸化成分・酸化防止剤、清涼化剤、抗菌・殺菌剤、ビタミン類、有機酸、保湿成分、アルコール類、アミノ酸又はその誘導体、界面活性剤、着色剤、pH調整剤、キレート剤等が挙げられる。なお、本発明において、これらの各成分は、それぞれ1種単独で配合してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記油剤としては、極性油、非極性油が挙げられる。極性油としては、例えば、エステル油、ロウ類等が挙げられるが、これに限定されない。極性油としては、エステル油、ロウ類が好ましく、エステル油、がより好ましい。非極性油としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられるが、これに限定されない。
炭化水素油としては、例えば、ワセリン、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等が挙げられる。これらのうち、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、スクワランが好ましい。
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸イヌリン、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アジピン酸ジイソブチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエチルヘキシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。これらのうち、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジエチルが好ましく、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチルがより好ましい。
シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー等のシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジン等が挙げられる。これらのうち、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
ロウ類としては、例えば、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セラックロウ、ミツロウ等が挙げられる。
上記増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム等の多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、ベントナイト、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
上記抗炎症成分としては、例えば、アラントイン及びその誘導体、カラミン、トラネキサム酸、グリチルリチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、グリチルレチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、酸化亜鉛、アミノカプロン酸、アズレン及びその誘導体、酢酸トコフェロール、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸又はその誘導体、ステロイド類及びその塩、ウフェナマート、ブフェキサマク、イブプロフェンピコノール、カラミン、アゼライン酸、植物(例えば、コンフリー、オウレン、ドクダミ、カミツレ、ビルベリー、イザヨイバラ、エンメイソウなど)に由来する成分等が挙げられる。
上記抗酸化成分・酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸及びその塩、エリソルビン酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩、トコフェロール及びその誘導体、トコトリエノール、L-システイン塩酸塩、コエンザイムQ10等のユビキノン類、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン、植物(例えばオトギリソウ、カッコン、ビルベリー、オウゴン、クダモノトケイソウ、グレープフルーツ、シャクヤク、シモツケソウ、シソ、スイカズラ、セージ、セイヨウノコギリソウ、ゼニアオイ、シモツケソウ、ソウハクヒ、チョウジ、チンピ、ヒメフウロ、ビワ、ベニバナ、ボタンピ、ホップ、ユーカリ、ユキノシタ、ルイボス、レモングラス、ヨモギ、メマツヨイグサ、ローズマリー、ラベンダーなど)に由来する成分等が挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えばメントール、カンフル、ゲラニオール、等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油等の精油等が挙げられる。
上記抗菌・殺菌剤・防腐剤としては、例えば、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、ジンクピリチオン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノグリシン、塩化セチルピリジニウム、ピロクトオラミン、ミコナゾール若しくはその塩、クロロブタノール、エチルヘキシルグリセリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、カプリルヒドロキサム酸、フェネチルアルコール、メチルイソチアゾリノン、ソルビン酸、β-グリチルレチン酸、アゼライン酸に由来する成分等が挙げられる。
上記ビタミン類としては、水溶性ビタミン及び油溶性ビタミンのいずれであってもよく、例えば、ビタミンB類、パントテン酸類、ニコチン酸類、ビタミンB類、ビタミンB類、ビオチン類葉酸類、ビタミンB12類、水溶性のビタミンC類、油溶性のビタミンC類、トコフェロール及びその誘導体、ビタミンK類;フェルラ酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。
上記有機酸としては、例えば、グルコン酸、アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、クエン酸、グルタミン酸、シュウ酸、フマル酸、プロピオン酸、リンゴ酸、サリチル酸、グリコール酸、フィチン酸、酢酸、乳酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としては、例えば、硫酸、塩酸又はリン酸等の鉱酸の塩、マレイン酸又はメタンスルホン酸等の有機酸の塩、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
上記保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸又はその塩又はその誘導体(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸亜鉛、低分子ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、架橋型ヒアルロン酸誘導体、カチオン化ヒアルロン酸等);コンドロイチン硫酸又はその塩;ヘパリン類似物質、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グリシン、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体;グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオールなどの多価アルコール;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース・ショ糖縮合物(グルコオリゴ糖)、加水分解キシラン(キシロオリゴ糖)などの糖アルコール;PPG-17ブテス-17、PPG-25ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシアルキレンジグリセリルなどのアルキレンオキシド;グリコシルトレハロース、トレハロース;フィトステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体;MPCポリマー;乳酸、乳酸ナトリウムなどのNMF由来成分;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等とそれらの加水分解物;ヒドロキシエチルウレアに由来する成分、等が挙げられる。
上記アルコール類としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、高級アルコール、多価アルコールが挙げられる。高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(モノステアリルグリセリルエーテル((バチルアルコール))、2-デシルテトラデカシノール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。多価アルコールとしては、炭素数2~10のものが好ましく、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
上記アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよく、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等の硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミン等のアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤が好ましい。
上記着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸等)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム等)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルギニン等)等が挙げられる。
上記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
(pH)
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤が皮膚外用組成物に含まれる場合又は皮膚外用組成物の形態である場合において、そのpHは、生理学的又は薬学的に許容できる範囲であれば制限されないが、例えば、pHが3~9、好ましくは3.5~8.5、より好ましくは4~8、さらに好ましくは4.5~7とすることができる。
(剤形)
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤は、好ましくは、外用組成物に含まれるか外用組成物の形態であり、医薬品、医薬部外品又は化粧品として公知の形態であれば、特に限定されない。例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、不織布等のシートに本発明の成分を含浸させたシート剤等の形態により、公知の方法で製剤化することができる。本願の効果をより顕著に奏する観点から、化粧水、乳液、美容液などとして、液剤、乳剤、クリーム剤が好ましい。このような形態に製剤化することにより、効果を十分に発揮することができる。このように本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤は、いわゆるリーブオンで適用可能であることから、洗浄料とは異なり皮脂や善玉菌を失うことがなく、塗布操作だけで皮膚菌叢のバランスを整えることが可能である。
液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤等の形態で液状又は半固形状に製剤化した場合、限定はされないが、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器等に収容することにより、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を、所望の患部に直接的に又は間接的に塗布することができる。ノズルやスポンジは、患部の狭い範囲又は広い範囲に塗布できるように、先細又は大きな径に設計することも可能である。患部に本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。また別の態様として、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤等の形態で皮膚菌叢バランス改善剤を液状に製剤化した場合、限定はされないが、スプレー容器に収容することにより、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を、患部に直接的に噴霧して使用することもできる。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤の適用部位は、特に制限されないが、皮膚(毛髪、爪、粘膜等を含む)が挙げられる。これらの中でも、外用組成物が適用される部位は、手(手のひら、手指)、顔、足、頭、首元、胸元、脇、背中の皮膚がより好ましく、手のひら、手指、皮膚が特に好ましい。
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤の用途や製剤形態に応じて適宜設定され得る。
皮膚菌叢は有害な微生物の定着を防ぐなどバリア機能に影響するため、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤を皮膚に適用することにより、皮膚菌叢が健康な状態に保たれ、皮膚トラブルの抑制に貢献することが期待される。あるいは、バリア善玉菌の増加という言葉で表現できるような肌の状態を達成することもできる。さらに、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤は、肌を弱酸性に保つ脂肪酸を分泌しやすくするため、美肌が達成されやすくなる。また、表皮ブドウ球菌は保湿成分であるグリセリンを分泌するため、肌が潤い、乾燥や外的刺激から肌を守るバリア機能が高まる効果も期待できる。そのため、アトピー性皮膚炎や敏感肌の症状軽減や、感染症の起こり難い肌状態にすることにも貢献しうる。
(製造方法)
本発明の皮膚菌叢バランス改善剤、表皮ブドウ球菌増殖剤、又は黄色ブドウ球菌抗菌剤は、公知の方法により製造することができる。必要に応じて、滅菌工程等を含めることができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1:皮膚常在菌への影響評価試験]
表3に記載の被験物質について、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の増殖に影響を与えるか否かを確認した。表3の被験物質を表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌培養液に添加、培養し、24時間経過後に、DNA抽出を行った。予備検討により決定した定量PCR法により表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌のコピー数を算定し、被験物質添加後のコピー数の増減を確認した。
使用した機器等は以下の通りである。
リアルタイムPCR装置:LightCycler 96(Roche製)
高速冷却遠心機:KUBOTA 7000(久保田商事製)
微量分光光度計:DS-11(DeNovix製)
分光光度計:Ultrospec2100 pro(株式会社セントラル科学貿易)
使用した試薬・試液は、以下の表1に示す通りである。
Figure 2022134170000001
(予備試験)
1.溶解と懸濁の検討
(1) 実施例の被験物質のうち、水溶性物質(尿素)は滅菌水に溶解し、0.22μmフィルターを用いてろ過滅菌を行った。
(2) 各成分の溶解性または懸濁性を確認し、試験に用いる検体の濃度を決定した。
(3) 溶解や懸濁が困難な成分や滅菌水を加えたときに粘度が高くなる成分(すなわちカゼインナトリウム、β―シクロデキストリン、大豆レシチン、N-(2-ヒドロキシ-3-ヘキサデシロキシプロピル)-N-2-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、コレステロール)は培地に懸濁し、オートクレーブ(121°C 20分)で滅菌した。
(4) 脂溶性成分(アルモンド油、ダイズ油)は表3の終濃度v/v%になるように直接培地に添加した。
2. 表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌の培養及び溶媒の影響確認
(1)培地8.9mLに、エタノール(100%及び50%)又は滅菌水、クエン酸バッファーを1.0mL加えた培養液を調製した。この培地を990μLずつ、Falcon(登録商標)ラウンドチューブに分注した。
(2)それぞれの調製培養液をエタノール群、滅菌水群、クエン酸バッファー群とし、1群10本ずつ用意した。
(3)培養試験を行う。10μLの表皮ブドウ球菌(EZ-shot菌懸濁液)及び黄色ブドウ球菌(予備培養液)を2)のそれぞれの調製培養液2本に添加した(元培養)。ボルテックスを用いて、菌をよく分散し、さらにそこから10μLそれぞれ採取し、新しく調製した2)の調製培養液990μLに接種した(菌量1/100希釈培養)。もう一度、この操作を繰り返して(菌量1/10000希釈培養)、37°Cで18~24時間、振盪培養を行った。
(4)分光光度計を用いて濁度が2.0以下になる菌量を決定した。
3. DNA抽出
上記2.で培養した菌培養液200μLを1.5mLチューブに添加し、2×lysing solution(200mMTris-HCl(pH8.0)/60mM EDTA/1%SDS)を200μL添加した後、ゆっくりピペッティングし、100°Cで15分間加熱した。その後、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を300μL添加し、ボルテックスにより混合した。1200rpm、室温で10分間遠心分離後、水層部分を新しい1.5mLチューブに200μL移し、6.6μLの3M酢酸ナトリウム、2μLのエタ沈メイト、500μLのエタノールを加え、ボルテックスミキサーにより混合した。20μLのTE(10mMTris-HCl/1mMEDTA、pH8.0)で沈殿を溶かし、微量分光光度計でDNA量を測定した。DNA量と総ゲノム数から、DNA当たりのコピー数を算定した。
4.リアルタイムPCR
(1)検量線用スタンダードを表2の通り調製した。
Figure 2022134170000002
(2) 1.5mLチューブ内に以下の組成でPCRミックスを調製し、緩やかに混合した。
(PCRミックスの組成)
10μM フォワードプライマー 0.4μL
10μM リバースプライマー 0.4μL
KAPA SYBR Fast qPCRキット 10.0μL
水(PCR グレード) 6.2μL
各テンプレートDNA 3.0μL
全量 20.0μL
プライマー配列
フォワードプライマー“Bac349F” 5’-AGGCAGCAGTDRGGAAT-3’
リバースプライマー“Bac806R” 5’-GGACTACYVGGGTATCTAAT-3’
(3)下記条件でPCRを実施した。
増幅95℃10秒、65℃10秒、72℃1秒、を45回
(4)検量線用スタンダードDNAのCt値を用いて、検量線を作成し、以下の本試験の定量に使用した。
(本試験)
表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌のDNAコピー数に対する作用
(1)ファルコン(登録商標)ラウンドチューブに、表3の終濃度になるように実施例又は比較例の被験物質を希釈又は懸濁した培地をそれぞれ1mL添加し、予備試験で決めた菌量の表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌を10μL接種し、37°Cで18~24時間振盪培養を行った。
(2)上記3と同様の手順でDNAを抽出し、4で設定した条件でリアルタイムPCRを実施した。
得られた結果から両ブドウ球菌のDNAコピー数を算出した。被験物質を含まない場合のコピー数と比較した比率を以下に示す。
Figure 2022134170000003
この結果、アルモンド油、コレステロール、ダイズ油、尿素、カゼインナトリウム、セラミド類似体、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、大豆レシチン、及びβシクロデキストリンには、表皮ブドウ球菌を増加させ、黄色ブドウ球菌を減少させる作用があることがわかった。これらの物質は、皮膚菌叢バランスを改善する作用があると考えられる。
以下、本発明の皮膚菌叢バランス改善剤としての皮膚外用組成物の製剤処方例を示す。なお、表中の処方例はすべてクリーム剤である。
Figure 2022134170000004
Figure 2022134170000005

Claims (3)

  1. ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
    大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
    を含有する、皮膚菌叢バランス改善剤。
  2. ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
    大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
    を含有する、表皮ブドウ球菌増殖剤。
  3. ダイズ油、アルモンド油、及びコレステロールからなる群より選択される1種又は2種以上の油性成分;及び/又は
    大豆レシチン、セラミド又はその類似体、尿素、ピロリドンカルボン酸及びその塩、カゼイン及びその塩、並びにシクロデキストリンからなる群より選ばれる1種以上又は2種以上;
    を含有する、黄色ブドウ球菌抗菌剤。
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