JP2022133843A - チオウレア含有重合体 - Google Patents

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ayaka Kaneda
斎文 田中
Shimon Tanaka
哲也 山本
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Abstract

【課題】アリルチオウレア構造を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル共重合させて得られる高い水素結合能を有するチオウレア含有重合体を提供することを課題とする。【解決手段】一般式(1)JPEG2022133843000006.jpg4875で表されるアリルチオウレア構造を有する化合物と、ラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させて得られたラジカル共重合体であることを特徴とするチオウレア含有重合体により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、チオウレア含有重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、アリルチオウレア構造を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル共重合させて得られる高い水素結合能を有するチオウレア含有重合体に関する。
チオウレア構造は、金属イオンの吸着や金属膜との密着性向上に効果があることが知られている。
例えば、特開2015-174878号公報(特許文献1)には、エチレン-ビニルアルコール系共重合体と、アミノ基の少なくとも一部をチオウレア基に変性したチオウレア基含有アミン系ポリマーとを含むポリマーアロイを用いてなる金属吸着剤が開示され、特開2011-235236号公報(特許文献2)には、ポリアリルアミンのアミノ基と、ポリアリルアミンのアミノ基の1つの水素原子がイソチオシアナートによって置換されたチオウレア基の双方を有する、特定の繰り返し単位から構成されるポリアリルアミン誘導体からなる金属吸着剤が開示されている。
また、チオウレア構造を有する化合物は、その特異な構造から高分子鎖間の水素結合を発現し易く、様々な高機能材料に適用できる可能性が指摘されている。
例えば、Yu Yanagisawa, 外3名,「Mechanically robust, readily repairable polymers via tailored noncovalent cross-linking」, Science, 2018年1月5日, 第359巻, p.72-76(非特許文献1)には、チオウレア構造を有する化合物の高い凝集力を活かして、割れても元に戻るガラスなどの自己修復材料への適用例が記載され、機械強度、耐久性、高接着などの機能性向上を意図した電子材料用途への適用などが期待されている。
他方、電子材料用途の分野では、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどのラジカル重合性モノマーの重合体を主体として材料設計されることが多い。
上記のように、チオウレア構造の機能性向上が期待されているにも拘らず、重合体へのチオウレア構造の導入例はない。これは、当該技術分野では、重合体へのチオウレア構造の導入が容易ではない、あるいは困難であると考えられていたことによるものと考えられる。
例えば、特許第5697223号公報(特許文献3)には、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはアクリレートオリゴマー100重量部、特定の構造を有するアルコキシシランカップリング剤と(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤とを特定の重量比で併用するシランカップリング剤0.1~50重量部および光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物およびその塗膜(フィルム)が、銅や銀などの金属膜に対して良好な密着性を有することが記載されている。
このように、金属膜への密着性強化を目的としたチオウレア型シランカップリング剤を用いた紫外線硬化型樹脂組成物および導電性フィルムなどの限定した用途に止まっており、チオウレア構造をラジカル重合性モノマーと反応させた具体的かつ有効な重合体は未だ見出されていない。
近年、特に、半導体封止材や電気・電子部品の接着・シール、電気・電子部品の保護ポッティング・コーティングなどの用途では、機械強度、耐久性、高接着などの機能性向上を意図した材料設計が求められており、ラジカル重合性モノマーの重合体へのチオウレア構造の導入が求められている。
特開2015-174878号公報 特開2011-235236号公報 特許第5697223号公報 Yu Yanagisawa, 外3名,「Mechanically robust, readily repairable polymers via tailored noncovalent cross-linking」, Science, 2018年1月5日, 第359巻, p.72-76
そこで、本発明は、アリルチオウレア構造を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル共重合させて得られる高い水素結合能を有するチオウレア含有重合体を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のアリルチオウレア構造を有する化合物とラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させることにより、高い水素結合能を有するチオウレア含有重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、一般式(I):
Figure 2022133843000001
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基または式:-X-A(ここで、Xは、可能な場合は酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在してもよい炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基または置換もしくは無置換の炭素数3~12の環状アルキレン基であり、Aは、水素原子、アルキルアミノ基、エステル基、カルボン酸基、ビニル基、水酸基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基である)で表される基である]
で表されるアリルチオウレア構造を有する化合物と、ラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させて得られたラジカル共重合体であることを特徴とするチオウレア含有重合体が提供される。
本発明によれば、アリルチオウレア構造を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル共重合させて得られる高い水素結合能を有するチオウレア含有重合体を提供することができる。
アリルチオウレア構造の高い水素結合性、すなわち次式に示されるようなチオウレア基間の水素結合により、重合体に高靭性が付与されるものと考えられる。
Figure 2022133843000002
本発明のチオウレア含有重合体は、ラジカル重合により得られるポリマーへのチオウレア構造の導入において有用あり、半導体封止材や電気・電子部品の接着・シール、電気・電子部品の保護ポッティング・コーティングなどの用途において、その構造が有する水素結合性を活用して、ポリマー材料に優れた機械強度、耐久性、高接着などの機能を付与することができる。
本発明のチオウレア含有重合体は、次の条件のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)アリルチオウレア構造を有する化合物が、ジエチルアリルチオウレアまたはヒドロキシエチルアリルチオウレアである。
(2)ラジカル共重合体が、3~40モル%のチオウレア基を含有する。
(3)ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。
実施例1で得られたラジカル共重合体の1H-NMRスペクトルを示す図である。 実施例2で得られたラジカル共重合体の1H-NMRスペクトルを示す図である。 実施例3で得られたラジカル共重合体の1H-NMRスペクトルを示す図である。 実施例4で得られたラジカル共重合体の1H-NMRスペクトルを示す図である。
本発明のチオウレア含有重合体は、一般式(I):
Figure 2022133843000003
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基または式:-X-A(ここで、Xは、可能な場合は酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在してもよい炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基または置換もしくは無置換の炭素数3~12の環状アルキレン基であり、Aは、水素原子、アルキルアミノ基、エステル基、カルボン酸基、ビニル基、水酸基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基である)で表される基である]
で表されるアリルチオウレア構造を有する化合物と、ラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させて得られたラジカル共重合体であることを特徴とする。
[アリルチオウレア構造を有する化合物]
アリルチオウレア構造を有する化合物は、一般式(I)で表される。
一般式(I)における「芳香族炭化水素基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルが挙げられる。これらは適当な置換基(例えば、アルキル、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
一般式(I)における「炭素数1~20の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルの直鎖状アルキルおよびそれらの構造異性体である分枝鎖状アルキルが挙げられる。これらは適当な置換基(例えば、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
式-X-Aで表される基のXにおける「可能な場合は酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在してもよい炭素数1~20の直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基」において、酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在する場合のアルキレン基の炭素数は2~20である。
したがって、「酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在する炭素する2~20の直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、ジエチレンオキシド、ジ(トリメチレン)オキシド、ジプロピレンオキシド、ジ(テトラメチレン)オキシド、ジ(ペンタメチレン)オキシド、ジ(ヘキサメチレン)オキシド、ジ(ヘプタメチレン)オキシド、ジ(オクタメチレン)オキシド、ジ(ノナメチレン)オキシド、ジ(デカメチレン)オキシド、エチレンメチレンオキシド、トリエチレンジオキシド、トリプロピレンジオキシド、トリ(トリメチレン)ジオキシド、テトラエチレントリオキシド、テトラプロピレントリオキシド、ペンタエチレンテトラオキシドおよびヘキサエチレンペンタオキシドが挙げられ、これらの中でもエチレンメチレンオキシドがより好ましい。これらは適当な置換基(例えば、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
式-X-Aで表される基のXにおける「炭素数3~12の環状アルキレン基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプタレンおよびデカヒドロナフチレンが挙げられる。これらは適当な置換基(例えば、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
式-X-Aで表される基のAにおける「アルキルアミノ基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジブチルアミノが挙げられる。これらは適当な置換基(例えば、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
式-X-Aで表される基のAにおける「エステル基」は、式:-COOR’(ここで、R’は上記の炭素数1~20の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基である)で表され、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、Aがメチル、エチル、プロピルまたはブチルであるエステル基が好ましく、ブチルであるエステル基がより好ましい。
式-X-Aで表される基のAにおける「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」は、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニルイル、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、イソブチルフェニル、t-ブチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ドデシルフェニル、キシリル、トリメチルフェニル、シアノフェニルが挙げられる。これらは適当な置換基(例えば、アルコキシ、ハロゲン)で置換されてもよい。
前記の適当な置換基におけるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
本発明において一般式(I)で表される「アリルチオウレア構造を有する化合物」としては、例えば、ジメチルアリルチオウレア、ジエチルアリルチオウレア、ジプロピルアリルチオウレア、ジブチルアリルチオウレア、ジイソプロピルアリルチオウレア、ジヘキシルアリルチオウレア、ジオクチルアリルチオウレア、ジヒドロキシエチルアリルチオウレア、ジシクロヘキシルチオウレア、ジフェニルアリルチオウレア、メチルエチルアリルチオウレア、エチルプロピルアリルチオウレア、エチルイソプロピルアリルチオウレア、イソプロピルヘキシルアリルチオウレア、メチルアリルチオウレア、エチルアリルチオウレア、プロピルアリルチオウレア、イソプロピルアリルチオウレア、ブチルアリルチオウレア、ヘキシルアリルチオウレア、オクチルアリルチオウレア、デシルアリルチオウレア、ドデシルアリルチオウレア、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアリルチオウレア、シクロヘキシルアリルチオウレア、メチルシクロヘキシルアリルチオウレア、ベンジルアリルチオウレア、イソアミルアリルチオウレア、2-メチルブチルアリルチオウレア、シクロペンチルアリルチオウレア、ネオペンチルアリルチオウレア、ヒドロキシエチルアリルチオウレア、メトキシプロピルアリルチオウレア、エトキシエチルアリルチオウレア、メトキシフェニルアリルチオウレア、ヒドロキシフェニルアリルチオウレアが挙げられる。
これらの中でも、ラジカル重合性モノマーまたは重合溶媒への溶解性が良いことから、アリルチオウレア構造を有する化合物は、ジエチルアリルチオウレアまたはヒドロキシエチルアリルチオウレアであるのが好ましい。
[ラジカル重合性モノマー]
本発明において「ラジカル重合性モノマー」としては、例えば、置換または非置換のスチレン、置換または非置換のアルキルアクリレート、置換または非置換のアルキルメタクリレート、アクリロニトリル、N-アルキルアルキルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジアルキルアクリルアミド、N,N-ジアルキルメタクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセテートおよびこれらの組み合わせから選択することができる。
ラジカル重合性モノマーの詳細な例としては、本発明の効果を阻害しない限り、特に限定されないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全ての異性体を含む)、ブチルメタクリレート(全ての異性体を含む)、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリロニトリル、α-メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(全ての異性体を含む)、ブチルアクリレート(全ての異性体を含む)、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(全ての異性体を含む)、ヒドロキシブチルメタクリレート(全ての異性体を含む)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(全ての異性体を含む)、ヒドロキシブチルアクリレート(全ての異性体を含む)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-t-ブチルメタクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-エチロールアクリルアミド、4-アクリルモルフォリン、ビニル安息香酸(全ての異性体を含む)、ジエチルアミノスチレン(全ての異性体を含む)、α-メチルビニル安息香酸(全ての異性体を含む)、ジエチルアミノα-メチルスチレン(全ての異性体を含む)、p-ビニルベンゼンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、マレイン無水物、N - フェニルマレイミド、N-ブチルマレイミド、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、エチレン、ビニルアセテート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明において好ましいラジカル重合性モノマーは、置換または非置換のアルキルアクリレート、置換または非置換のアルキルメタクリレートおよびこれらの組み合わせから選択される。
本発明において、ラジカル重合性モノマーは、アリルチオウレア構造を有する化合物との相溶性の点で、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであるのが好ましい。
本発明において「ラジカル重合性モノマー」として、多官能ラジカル重合モノマーを用いてもよい。
多官能ラジカル重合モノマーの詳細な例としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングルコールジアクリレート、トリエチエレングルコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグルコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングルコールジメタクリレート、トリエチエレングルコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグルコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
[ラジカル共重合]
本発明のチオウレア含有重合体は、一般式(I)で表されるアリルチオウレア構造を有する化合物と、ラジカル重合性モノマーとを、重合開始剤を用いる公知のラジカル共重合により得ることができる。
温度、時間、雰囲気、圧力などの重合条件は、用いる材料などにより適宜決定すればよい。
(ラジカル重合性モノマーとアリルチオウレア構造を有する化合物の原料モル比)
ラジカル重合性モノマー(原料1)とアリルチオウレア構造を有する化合物(原料2)のモル比は、使用する原料、得ようとするラジカル共重合体などにより適宜設定すればよい。
例えば、原料1/原料2のモル比は、95/5~5/95であり、好ましくは、80/20~20/80である。
(重合開始剤)
重合開始剤としては特に制限はなく、重合開始剤として公知の各種重合開始剤を用いることができる。好ましくは、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)または光重合開始剤(光ラジカル発生剤)が挙げられる。
光重合開始剤または光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル);アセトフェノン類(アセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-フェニル-2-ヒドロキシ-アセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど);プロピオフェノン類(p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなど);ブチリルフェノン類[1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オンなど];
アミノアセトフェノン類[2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルフェニル)プロパン-1-オン、1-(4-ブチルフェニル)-2-ジメチルアミノ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-メトキシフェニル)-2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ジメチルアミノフェニル)-ブタン-1-オンなど];
ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、N,N'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど);チオキサンテン類(チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテンなど);アントラキノン類(2-エチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノンなど);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントンなど);アクリジン類(1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタンなど);
トリアジン類(2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジンなど);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイドなど);アシルフォスフィンオキサイド類(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなど);チタノセン系光重合開始剤;オキシムエステル類が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド類(ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t-ブチル、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物、アゾニトリル化合物[2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、アゾビスブチロニトリルなど]、アゾアミド化合物{2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが挙げられる。熱重合開始剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。
(溶媒)
ラジカル共重合は、溶媒中で行ってもよい。
溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類など)、炭化水素系溶媒(ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルムなど)、エーテル系溶媒(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、エステル系溶媒(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酪酸エチルなど)、ケトン系溶媒(アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドンなど)、セロソルブ系溶媒(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、
カルビトール系溶媒(メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなど)、プロピレングリコールモノアルキルエーテル系溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテルなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテートなど)、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒が挙げられる。有機溶媒は、単独でまたは混合溶媒として使用できる。
(ラジカル共重合体中のラジカル重合性モノマー成分とアリルチオウレア構造を有する化合物成分のモル比)
ラジカル重合性モノマー成分(原料1成分)とアリルチオウレア構造を有する化合物成分(原料2成分)のモル比は、ラジカル共重合前の原料モル比が反映される。
例えば、原料1成分/原料2成分のモル比は、95/5~5/95であり、好ましくは、80/20~20/80である。
(数平均分子量Mn、質量平均分子量Mwおよびそれらの比Mw/Mn)
ラジカル共重合体の数平均分子量Mnおよび質量平均分子量Mwは、得ようとする共重合体の物性を考慮して適宜材料設計により設定されればよく、例えば、それぞれ500~100,000程度および1,000~200,000程度であり、それらの比Mw/Mnは1.0~3.0程度である。
(ガラス転移温度:℃)
ラジカル共重合体のガラス転移温度Tg(℃)は、得ようとする共重合体の物性を考慮して適宜材料設計により設定されればよく、例えば、-40~100℃程度である。
(5%質量減少温度:℃)
ラジカル共重合体の5%質量減少温度(℃)は、得ようとする共重合体の物性を考慮して適宜材料設計により設定されればよく、例えば、200~300℃程度である。
(チオウレア基含有量)
本発明において、ラジカル共重合体は、水素結合による特性発現の点で、3~40モル%のチオウレア基を含有するのが好ましい。
チオウレア基が3モル%未満では、材料物性に対する水素結合の効果が弱いことがある。一方、チオウレア基が40モル%を超えると、ラジカル重合性モノマーに由来する物性が損なわれることがある。
好ましいチオウレア基の含有量は、15~35モル%であり、より好ましくは20~30モル%である。
[用途]
本発明のチオウレア含有重合体は、ラジカル重合により得られるポリマーへのチオウレア構造の導入において有用あり、半導体封止材や電気・電子部品の接着・シール、電気・電子部品の保護ポッティング・コーティングなどの用途において、その構造が有する水素結合性を活用して、ポリマー材料に優れた機械強度、耐久性、高接着などの機能を付与することができる。
[組成物]
各種用途に用いられる、本発明のチオウレア含有重合体を含む組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、必要に応じて、種々の添加剤を含んでいてもよい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、熱重合禁止剤(ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテルなど)、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(抗酸化剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、着色剤、充填剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、レベリング剤、分散剤、分散助剤が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]アクリル酸ブチルとジエチルアリルチオウレアとの共重合-1
還流冷却管、温度計および撹拌機を備えた容量100mLフラスコに、アクリル酸ブチル(25.6g、200mmol)、ジエチルアリルチオウレア(8.6g、50mmol)、ラジカル反応開始剤としてのアゾビスブチロニトリル(2.1g、12.8mmоl)および溶媒としてのイソプロパノール45gを投入し、窒素雰囲気下、温度70℃で4時間加熱して、重合を行った。
得られた反応混合物を、メタノール/水混合液(3/2 v/v)を用いて、再沈殿精製を行い、アクリル酸ブチル/ジエチルアリルチオウレア共重合体21.3gを得た。
1H-NMR測定により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
また、得られた重合体は、数平均分子量8,000、質量平均分子量17,300、ガラス転移温度-38℃、5%質量減少温度251℃であり、共重合体中のチオウレア含有量は11モル%であった。
1H-NMR測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ(ppm):0.93(3H,CH2-C 3 )、1.22(6H,N-CH2-C 3 )、2.40(2H,C)、3.69(4H,N-C 2 )、4.05(2H,O-C 2 )、6.13(1H,N
[実施例2]アクリル酸ブチルとジエチルアリルチオウレアとの共重合-2
アクリル酸ブチル(19.2g、150mmol)およびジエチルアリルチオウレア(17.2g、100mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、アクリル酸ブチル/ジエチルアリルチオウレア共重合体23.5gを得た。
1H-NMR測定により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
得られた共重合体は、数平均分子量5,000、質量平均分子量12,700、ガラス転移温度-23℃、5%質量減少温度233℃であり、共重合体中のチオウレア含有量は22モル%であった。
1H-NMR測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ(ppm):0.94(3H,CH2-C 3 )、1.22(6H,N-CH2-C 3 )、2.29(2H,C)、3.69(4H,N-C 2 )、4.05(2H,O-C 2 )、6.15(1H,N
[実施例3]アクリル酸ブチルとジエチルアリルチオウレアとの共重合-3
アクリル酸ブチル(12.8g、100mmol)およびジエチルアリルチオウレア(25.8g、150mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、アクリル酸ブチル/ジエチルアリルチオウレア共重合体14.7gを得た。
1H-NMR測定により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
得られた共重合体は、数平均分子量6,900、質量平均分子量11,800、ガラス転移温度-2℃、5%質量減少温度214℃であり、共重合体中のチオウレア含有量は29モル%であった。
1H-NMR測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ(ppm):0.93(3H,CH2-C 3 )、1.22(6H,N-CH2-C 3 )、2.27(2H,C)、3.69(4H,N-C 2 )、4.03(2H,O-C 2 )、6.14(1H,N
[実施例4]アクリル酸ブチルとジエチルアリルチオウレアとの共重合-4
アクリル酸ブチル(6.42g、50mmol)およびジエチルアリルチオウレア(34.5g、200mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、アクリル酸ブチル/ジエチルアリルチオウレア共重合体7.84gを得た。
1H-NMR測定により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
得られた共重合体は、数平均分子量2,500、質量平均分子量5,700、ガラス転移温度15℃、5%質量減少温度220℃であり、共重合体中のチオウレア含有量は38モル%であった。
1H-NMR測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,重クロロホルム)δ(ppm):0.93(3H,CH2-C 3 )、1.22(6H,N-CH2-C 3 )、2.27(2H,C)、3.74(4H,N-C 2 )、4.01(2H,O-C 2 )、6.14(1H,N
[実施例5]アクリル酸ブチルとヒドロキシエチルアリルチオウレアとの共重合
アクリル酸ブチル(25.6g、200mmol)およびヒドロキシエチルアリルチオウレア(8.02g、50mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、アクリル酸ブチル/ジエチルアリルチオウレア共重合体24.6gを得た。
得られた共重合体は、数平均分子量7,300、質量平均分子量17,300、ガラス転移温度-42℃、5%質量減少温度230℃であり、共重合体中のチオウレア含有量はGC分析およびLC分析から8モル%と見積もられた。
このようにGC分析およびLC分析により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
GC分析およびLC分析の結果を示す。
アクリル酸ブチルのGC面積値466734とアニソールのGC面積値519425から検量線を用いてアクリル酸ブチルの転化率が99.1wt%と見積もられ、アクリル酸ブチルの仕込み量25.6g(200mmоl)と転化率から共重合体中のアクリル酸ブチルが198mmоlと見積もられた。同様にヒドロキシエチルアリルチオウレアのLC面積値1301112とアニソールのLC面積値266859から検量線を用いてヒドロキシエチルアリルチオウレアの転化率が34.5wt%と見積もられ、仕込み量8.02g(50mmol)と転化率から共重合体中のヒドロキシエチルアリルチオウレアが17mmоlと見積もられた。アクリル酸ブチル198mmоlとヒドロキシエチルアリルチオウレア17mmоlから共重合体のモル比が92:8、共重合体中のチオウレア含有量は8mоl%と見積もられた。
[実施例6]メタクリル酸メチルとヒドロキシエチルアリルチオウレアとの共重合
メタクリル酸メチル(20.1g、200mmol)およびヒドロキシエチルアリルチオウレア(8.02g、50mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、メタクリル酸メチル/ヒドロキシエチルアリルチオウレア共重合体11.0gを得た。
得られた共重合体は、数平均分子量15,500、質量平均分子量23,500、ガラス転移温度98℃、5%質量減少温度220℃であり、共重合体中のチオウレア含有量はGC分析およびLC分析から3モル%と見積もられた。
このようにGC分析およびLC分析により、得られた共重合体が所望の共重合体であることを確認した。
GC分析およびLC分析の結果を示す。
メタクリル酸メチルのGC面積値856752とアニソールのGC面積値1015303から検量線を用いてメタクリル酸メチルの転化率が97.3wt%と見積もられ、メタクリル酸メチルの仕込み量20.1g(200mmоl)と転化率から共重合体中のメタクリル酸メチルが188mmоlと見積もられた。同様にヒドロキシエチルアリルチオウレアのLC面積値426647とアニソールのLC面積値74566から検量線を用いてヒドロキシエチルアリルチオウレアの転化率が11.4wt%と見積もられ、仕込み量8.02g(50mmol)と転化率から共重合体中のヒドロキシエチルアリルチオウレアが5.7mmоlと見積もられた。メタクリル酸メチル188mmоlとヒドロキシエチルアリルチオウレア5.7mmоlから共重合体のモル比が97:3、共重合体中のチオウレア含有量は3mоl%と見積もられた。
[評価方法]
実施例において得られた共重合体および硬化物の物性を以下の方法により測定・評価した。
(1)1H-NMR測定
1H-NMR測定は、FT NMR装置(株式会社JEOL RESONANCE製、型式:JNM-ECS400)を用い、溶媒として重クロロホルム、標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて行った。
(2)示差走査熱量測定
示差走査熱量測定は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメント株式会社(現:株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型式:DSC7020)を用い、アルミパンを用い、窒素気流中、昇温速度10℃/分の割合で-80℃から100℃までの昇温条件で行い、ガラス転移温度Tg(℃)を測定した。
(3)熱重量(熱質量)測定
熱重量測定は、示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメント株式会社(現:株式会社日立ハイテクサイエンス)製、型式:TG/DTA6300)およびアルミパンを用い、100mL/分の空気気流中、昇温速度10℃/分の割合で昇温させて行い、各試料(化合物)の質量の5%が減少する温度を5%質量減少温度(℃)とし、これを熱分解温度の指標とした。
(4)分子量測定
分子量測定は、高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所製、型式:Prominence LC-20A)を用い、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC測定)により行った。SECカラム(東ソー株式会社製、型式:TSKgel MultiporeHxl-M)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、流速1ml/分、カラムオーブン温度40℃で測定した。分子量は、TSKgel標準ポリスチレンによる。
(5)ガスクロマトグラフィー(GC)測定
ガスクロマトグラフィー装置(株式会社島津製作所製、型式:GC-2014)を用いて、カラムはHP-1 10m 内径0.530mm 膜厚2.65μm、オーブンは80℃1分、10℃/分で300℃まで昇温し、300℃で5分ホールド、インジェクション温度は280℃、検出器は水素炎イオン化検出器、検出器温度300℃の条件で測定した。
アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルの重合転化率を内部標準分析法から見積もり、それをもとに共重合体組成を見積もった。内部標準物質はアニソールを用い、アクリル酸ブチルの場合の検量線は(アクリル酸ブチルのGC面積値/アニソールのGC面積値)=0.78×(アクリル酸ブチルの質量/アニソールの質量)、メタクリル酸メチルの場合の検量線は(メタクリル酸メチルのGC面積値/アニソールのGC面積値)=1.05×(メタクリル酸メチルの質量/アニソールの質量)を用いた。
(6)液体クロマトグラフィー(LC)測定
LC測定は高速液体クロマトグラフ(株式会社島津製作所製、型式:Prominence LC-20A)およびLCカラム(東ソー株式会社製、型式:TSKgel ODS-100Z 5μm)を用い、アセトニトリル/水の混合液(60/40v/v)を溶離液とし、流速1ml/分、カラムオーブン温度40℃、UV検出器220nmの条件で測定した。
ジエチルアリルチオウレアまたはヒドロキシエチルアリルチオウレアの重合転化率を内部標準分析法から見積もり、それをもとに共重合体組成を見積もった。
内部標準物質はアニソールを用い、ジエチルアリルチオウレアの場合の検量線は(ジエチルアリルチオウレアのLC面積値/アニソールのLC面積値)=1.52×(ジエチルアリルチオウレアの質量/アニソールの質量)、ヒドロキシエチルアリルチオウレアの場合の検量線は(ヒドロキシエチルアリルチオウレアのLC面積値/アニソールのLC面積値)=1.73×(ヒドロキシエチルアリルチオウレアの質量/アニソールの質量)を用いた。
得られた結果を、共重合体のモノマー成分およびそれらの比率、チオウレア基の含有量と共に表1に示す。
Figure 2022133843000004
表1の結果から次のことがわかる。
実施例1~4の共重合体のチオウレア基含有量とガラス転移温度をみると、チオウレア基含有量が多くなるにしたがって、その水素結合形成に起因してガラス転移温度が上昇している。アクリルの特性を保ちつつ、この水素結合能を活用して、半導体封止材や電気・電子部品の接着・シール、電気・電子部品の保護ポッティング・コーティングなどの用途において、優れた機械強度、耐久性、高接着などの機能を有するポリマー材料の提供に期待できる。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    Figure 2022133843000005
    [式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基または式:-X-A(ここで、Xは、可能な場合は酸素原子がアルキレン基の炭素結合の間に存在してもよい炭素数1~20の置換もしくは無置換の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基または置換もしくは無置換の炭素数3~12の環状アルキレン基であり、Aは、水素原子、アルキルアミノ基、エステル基、カルボン酸基、ビニル基、水酸基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基である)で表される基である]
    で表されるアリルチオウレア構造を有する化合物と、ラジカル重合性モノマーとをラジカル共重合させて得られたラジカル共重合体であることを特徴とするチオウレア含有重合体。
  2. 前記アリルチオウレア構造を有する化合物が、ジエチルアリルチオウレアまたはヒドロキシエチルアリルチオウレアである請求項1に記載のチオウレア含有重合体。
  3. 前記ラジカル共重合体が、3~40モル%のチオウレア基を含有する請求項1または2に記載のチオウレア含有重合体。
  4. 前記ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである請求項1~3のいずれか1つに記載のチオウレア含有重合体。
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