JP2022133835A - シリコーン離型層除去剤、シリコーン離型層の除去方法、リサイクルポリエステルの製造方法及びリサイクルポリエステル製品 - Google Patents

シリコーン離型層除去剤、シリコーン離型層の除去方法、リサイクルポリエステルの製造方法及びリサイクルポリエステル製品 Download PDF

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Abstract

【課題】
シリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルムから、シリコーン離型層を容易に除去することができるシリコーン離型層除去剤と、前記除去剤を用いたシリコーン離型層除去方法、リサイクルポリエステルの製造方法及びリサイクルポリエステル製品を提案することにある。
【解決手段】
ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムから該シリコーン離型層を除去するための除去剤であって、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する、シリコーン離型層除去剤。
|δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
(ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーン離型層除去剤、シリコーン離型層の除去方法、リサイクルポリエステルの製造方法及びリサイクルポリエステル製品に関する。
従来、廃プラスチックは、埋め立て、海洋投棄、焼却等の処理がなされていたが、埋め立て場所の確保が困難になりつつあり、海洋投棄はプラスチックが分解しないために環境面で問題になっている。
また、焼却によって熱として利用することはできるが、炭酸ガスの排出により、地球温暖化につながるという問題がある。
そこで、昨今の環境問題の高まりから、廃プラスチックの再利用、再生等のリサイクルが必要とされており、そのための研究開発が盛んに行われている。 また、プラスチックはその多くが化石燃料により生産されており、資源の有効利用の点からも、リサイクル方法の構築が求められている。
ところで、プラスチックフィルムの一種であるポリエステルフィルムは、基材フィルムとして有用であり、片面又は両面に種々の機能層が積層された、積層フィルムとして使用されることが多い。機能層としては、離型層、ハードコート層、粘接着層、加飾層、遮光層、偏光層、紫外線遮蔽層など、様々な機能層があり、機能層に応じた材料をポリエステルフィルムに積層した積層フィルムが使用されている。
このような積層フィルムは、使用後にほとんど再利用されておらず、廃棄、焼却等がなされている。
機能層が積層された積層フィルムをそのまま再溶融してリサイクルしようとしても、機能層を構成する材料が溶融ポリマー中に混入するため、押し出し時に異臭を発生したり、ポリマーの溶融粘度が低下したりしてフィルム製膜時の破断の原因となる。
また、仮に製膜できたとしても得られたフィルムの着色や、異物混入などによる品質の劣化が避けられない。
また、仮に機能層を物理的に削り取るなどして剥離除去し、溶融押出しした場合も、押出し時の濾過工程で、残存した機能層によってフィルターが目詰まりを起こし、正常な製膜ができなくなるなどの問題が生じる。
離型フィルムのリサイクル方法としては、例えば、特許文献1に開示される技術がある。この技術は、基材フィルムの少なくとも片面に易溶解性樹脂層と離型層をこの順に積層してなる離型フィルムである。このような構成としたうえで、使用後に、易溶解性樹脂層のみ溶解可能であって、基材フィルムを溶解しない溶媒で洗浄することにより、離型フィルムからフィルム表面の離型層を分離除去して、基材フィルムのみを回収しようというものである。回収した基材フィルムは再溶融され、基材フィルムを構成していた樹脂組成物を再生することを可能としたものである。
また、特許文献2には、基材フィルムの少なくとも一方の面に有する機能層を除去する方法であって、ロール状に巻き取られた前記基材フィルムを長尺状の状態でアルカリ性処理液に接触させる工程を含むことを特徴とする機能層の除去方法について開示されている。
特開2002-265665号公報 特開2020-090094号公報
特許文献1に開示される方法は、上述のように、基材フィルムの表面に易溶解性樹脂層と離型層とをこの順に積層してなる離型フィルムを前提としており、易溶解性樹脂層を溶解させることによって、離型層を除去しようとするものである。
すなわち、易溶解性樹脂層を有さない、大部分の離型フィルムに用いることはできず、汎用性のない技術である。
また、上記特許文献2に開示される方法は、アルカリ性処理液に接触させることで機能層を除去するものであるが、機能層の種別毎の除去剤の除去能に関しては一切検討されていない。
上記実情に鑑みて、易溶解性樹脂層を有さないシリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルムであっても、シリコーン離型層に対して優れた剥離性を有し、基材フィルムを回収することのできるシリコーン離型層除去剤を提案することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、Hansen溶解度パラメーターに着目し、シリコーン離型層表面の極性項と、シリコーン離型層除去剤中の成分(a)の極性項とが特定の関係を満足することで、本発明の課題を解決し得ることを見出した。
本発明は係る知見に基づき完成したものである。すなわち、本発明は、以下の態様を有するものである。
[1]ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムから該シリコーン離型層を除去するための除去剤であって、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する、シリコーン離型層除去剤。
|δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
(ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
[2]前記成分(a)が、さらに、下記式(2)の関係を満足する、上記[1]に記載のシリコーン離型層除去剤。
|δh-δh|<11.0MPa0.5・・・・(2)
(ただし、δhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の水素結合項δhを表し、δhは、成分(a)の水素結合項δhを表す。)
[3]前記成分(a)が、さらに、下記式(3)の関係を満足する、上記[1]又は[2]に記載のシリコーン離型層除去剤。
Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5≦9.2・・・・(3)
(ただし、RaはHSP距離を、δd、δp及びδhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、それぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを表し、δd、δp及びδhは、それぞれ成分(a)のδd、δp及びδhを表す。)
[4]前記成分(a)の分散項δdが15.0~22.0MPa0.5である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[5]前記成分(a)が、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、芳香族アミン類及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[6]前記除去剤が、さらに、成分(b)アルカリ性化剤を含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[7]前記除去剤が、さらに、成分(c)相溶化剤を含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[8]前記シリコーン離型層表面の分散項δdが16.0~23.0MPa0.5、極性項δpが2.0~9.0MPa0.5、及び水素結合項δhが5.0~12.0MPa0.5である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[9]前記シリコーン離型層の厚みが、0.003~1.0μmである、上記[1]~[8]のいずれかに記載のシリコーン離型層除去剤。
[10]ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムを、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する除去剤で洗浄する、シリコーン離型層の除去方法。
|δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
(ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
[11]前記成分(a)が、さらに、下記式(2)の関係を満足する、上記[10]に記載のシリコーン離型層の除去方法。
|δh-δh|<11.0MPa0.5・・・・(2)
(ただし、δhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の水素結合項δhを表し、δhは、成分(a)の水素結合項δhを表す。)
[12]前記成分(a)が、下記式(3)の関係を満足する、上記[10]又は[11]に記載のシリコーン離型層の除去方法。
Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5≦9.2・・・・(3)
(ただし、RaはHSP距離を、δd、δp及びδhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、それぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを表し、δd、δp及びδhは、それぞれ成分(a)のδd、δp及びδhを表す。)
[13]前記成分(a)の分散項δdが15.0~22.0MPa0.5である、上記[10]~[12]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[14]前記成分(a)が、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、芳香族アミン類及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[10]~[13]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[15]前記除去剤が、さらに、成分(b)アルカリ性化剤を含有する、上記[10]~[14]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[16]前記除去剤が、さらに、成分(c)相溶化剤を含有する、上記[10]~[15]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[17]前記シリコーン離型層表面の分散項δdが16.0~23.0MPa0.5、極性項δpが2.0~9.0MPa0.5、及び水素結合項δhが5.0~12.0MPa0.5である、上記[10]~[16]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[18]前記シリコーン離型層の厚みが、0.003~1.0μmである、上記[10]~[17]のいずれかに記載のシリコーン離型層の除去方法。
[19]ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムを、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する除去剤で洗浄する、洗浄工程と、洗浄後のポリエステルフィルムを回収する、回収工程と、を有する、リサイクルポリエステルの製造方法。
|δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
(ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
[20]さらに、前記回収工程で回収されたポリエステルフィルムを原料として、リサイクルポリエステル製品を製造する製造工程を有する、上記[19]に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
[21]前記製造工程が、前記洗浄後のポリエステルフィルムをペレット化するペレット製造工程を有する、上記[20]に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
[22]前記洗浄工程において、洗浄後のポリエステルフィルムに付着した除去剤を洗い流すリンス工程をさらに備える、上記[19]~[21]のいずれか1項に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
[23]前記洗浄工程の前段に巻き出し工程又は裁断工程をさらに備える、上記[19]~[22]のいずれかに記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
[24]ロールトゥロール方式で行われる、上記[19]~[23]のいずれかに記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
[25]上記[19]~[24]のいずれかに記載のリサイクルポリエステルの製造方法により製造したポリエステルを原料として少なくとも一部に含むリサイクルポリエステル製品。
本発明のシリコーン離型層除去剤によれば、シリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルムから、シリコーン離型層を容易に除去することができ、効率的に基材フィルム(ポリエステルフィルム)を回収することができる。
[シリコーン離型層除去剤]
本発明のシリコーン離型層除去剤(以下、単に「除去剤」と記載することがある。)は、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する除去剤である。
|δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
(ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムを、前記除去剤で洗浄することで、シリコーン離型層を容易に除去することができる。
ここで、除去剤として、上記成分(a)を含有することが重要であり、成分(a)を含むことによってポリエステルフィルム上のシリコーン離型層を効果的に除去することができる。
成分(a)を含有することで、シリコーン離型層を効果的に除去することができる機構については、定かではないが、以下のように推定している。
成分(a)とシリコーン離型層表面の極性項δpの差が8.0MPa0.5未満であると、成分(a)とシリコーン離型層表面との親和性が高くなり、成分(a)がシリコーン離型層に浸透して、シリコーン離型層を通り抜けていく。
そして、基材であるポリエステルフィルムとシリコーン離型層の界面に到達した成分(a)が、界面の何れかの成分に求核攻撃、又は何れかの成分のエステル結合部分とエステル交換反応をすることで、鹸化反応が進行して膨潤剥離が起こると推定している。
このように、成分(a)とシリコーン離型層との親和性による浸透効果がトリガーとなって、鹸化、膨潤剥離が起こり、シリコーン離型層を除去することが可能になったと考えられる。
また、後述する成分(b)アルカリ性化剤を含有することで、シリコーン離型層の除去率が向上する機構についても定かではないが、以下のように推定している。
成分(b)は、成分(a)がシリコーン離型層に浸透し、通り抜けていく過程で、これに連れて、シリコーン離型層を通り抜け、ポリエステルフィルムとシリコーン離型層の界面に到達する。そして、成分(b)から電離した水酸基が、界面の何らかの成分に求核攻撃することで、鹸化反応が進行する。このように成分(b)を含有することで、鹸化反応の進行が効率的に進行するため、シリコーン離型層の除去率が向上すると推定している。
<Hansen溶解度パラメーター>
Hansen溶解度パラメーター(HSP)とは、ある物質が他のある物質にどのくらい溶けるのかという溶解性を表す指標である。HSPは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメーターを、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、三次元空間に表したものである。分散項δdは分散力による効果、極性項δpは双極子間力による効果、水素結合項δhは水素結合力による効果を示し、それぞれ
δd: 分子間の分散力に由来するエネルギー
δp: 分子間の極性力に由来するエネルギー
δh: 分子間の水素結合力に由来するエネルギー
と、表記される。(ここで、それぞれの単位はMPa0.5である。)
HSPの定義と計算は、下記の文献に記載されている。
Charles M. Hansen著、Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook(CRCプレス、2007年)。
それぞれ、分散項はLondоn分散力、極性項はダイポール・モーメント、水素結合項は水、アルコールなどによる作用をそれぞれ反映している。
本発明において、シリコーン離型層表面のHSP[δd,δp,δh]は、HSP既知の各種溶媒の液滴2.0μLを積層ポリエステルフィルムのシリコーン離型層表面へ接触させ、30秒後の接触角の値から、接触角の小さい溶媒種を良溶媒、接触角の大きい溶媒種を貧溶媒として相互作用球とその中心であるHSPを算出することができる。
算出には、例えば、市販のハンセン溶解度パラメーター計算ソフトHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice)が使用でき、良溶媒と貧溶媒の閾値は算出された相互作用球のFitting値が最も1に近くなるように決定すればよい。正確な測定のためには、測定に使用する溶媒がそれぞれ多様なHSP[δD,δP,δH]を有していることが好ましく、好ましい溶媒の種類は、表1の通りである。表1に従い、18種以上の溶媒にて、各溶媒5回の接触角測定を行い、最も大きい値と最も小さい値を除いた3つのデータの平均値をその溶媒の接触角とする。なお、表中「≧1」は1種以上の溶媒について測定することを意味しており、「≧2」は2種以上の溶媒について測定することを意味する。
Figure 2022133835000001

また、本発明において、シリコーン離型層除去剤中の成分(a)のHSPは、Charles M. Hansen著、Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook(CRCプレス、2007年)や、市販のハンセン溶解度パラメーター計算ソフト(例えば、前述のHSPiP等)から求めることができる。成分(a)の化学構造が明確であれば、HSPiPのY-MB(Yamamoto Molecular Break)機能によって計算が可能であるし、化学構造が明確でなければ従来公知の手法により実測によって求めることもできる。
(成分(a))
本発明に係る除去剤は、上述のように、上記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する。成分(a)とシリコーン離型層表面の極性項δpの差が8.0MPa0.5未満であれば、成分(a)とシリコーン離型層表面との親和性が高くなり、溶解性が向上し、結果として、シリコーン離型層を容易に除去できる。
かかる観点から、|δp-δp|は6.5MPa0.5未満であることがより好ましく、5.0MPa0.5未満であることがさらに好ましい。下限値については、0MPa0.5以上であればよい。
前記成分(a)は、さらに、下記式(2)の関係を満足することが好ましい。
|δh-δh|<11.0MPa0.5・・・・(2)
(ただし、δhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の水素結合項δhを表し、δhは、成分(a)の水素結合項δhを表す。)
成分(a)とシリコーン離型層表面の水素結合項δhの差が11.0MPa0.5未満であれば、成分(a)とシリコーン離型層表面との親和性が高くなり、溶解性が向上し、結果として、シリコーン離型層を容易に除去でき、好ましい。
かかる観点から、|δh-δh|は9.0MPa0.5未満であることがより好ましく、7.0MPa0.5未満であることがさらに好ましい。下限値については、0MPa0.5以上であればよい。
前記成分(a)は、HSP距離(Ra)に関して、下記式(3)の関係を満足することが好ましい。HSP距離(Ra)とは、HSPによるベクトルの類似度を表し、HSPが似ているもの同士は溶解度が高く、好ましい。
Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5≦9.2・・・・(3)
(ただし、δd、δp及びδhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、それぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを表し、δd、δp及びδhは、それぞれ成分(a)のδd、δp及びδhを表す。)
Raは、9.2以下であることが好ましく、8.7以下であることがより好ましく、8.2以下であることがさらに好ましい。
Raがかかる範囲であると、上述の通り、溶解性が高くなり、シリコーン離型層を容易に除去することができる。なお、下限値については、0以上であればよい。
前記成分(a)は、HSP[δd,δp,δh]において、分散項δdは、15.0~22.0MPa0.5であることが好ましく、16.0~21.0MPa0.5であることがより好ましく、17.0~20.0MPa0.5であることがさらに好ましく、18.0~19.5MPa0.5であることが特に好ましい。
また、極性項δpは、0.0~9.0MPa0.5であることが好ましく、0.5~8.0MPa0.5であることがより好ましく、1.0~7.0MPa0.5であることがさらに好ましく、1.0~6.5MPa0.5であることが特に好ましい。
さらに、水素結合項δhは、1.0~16.0MPa0.5であることが好ましく、1.5~15.0MPa0.5であることがより好ましく、2.0~14.5MPa0.5であることがさらに好ましく、2.0~14.0MPa0.5であることが特に好ましい。
本発明のシリコーン離型層除去剤中の成分(a)のδd,δp及びδhが、かかる範囲にあることで、シリコーン離型層表面との溶解性が高まり、容易にシリコーン離型層を除去することができる。
前記成分(a)としては、エタノール、プロパノール及びブタノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類、アニリンやベンジルアミン等の芳香族アミン類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素などが好ましい。
これらの中でも、前記HSP距離(Ra)を小さくする観点から、芳香族であることが好ましく、その中でも芳香族アルコール類、芳香族アミン類がより好ましい。
前記成分(a)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、前記成分(a)の沸点は、後述する除去剤の使用温度以上であることが好ましい。成分(a)の沸点が、使用温度以上であれば、除去剤として使用する際に蒸発しにくいため、好ましい。例えば、成分(a)の沸点が、後述する浸漬法における除去剤の温度以上であることが好ましい。
除去剤全体における成分(a)の含有量は、10~99質量%が好ましく、20~98質量%がより好ましく、30~97質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、シリコーン離型層表面との親和性及び溶解性を良好なものとでき、リサイクルポリエステルフィルム等のリサイクルポリエステル製品の品質を維持できる。
また、除去剤において、(a)成分に、後述する(b)成分に加え(c)成分を併用する場合や、除去剤を水系除去剤とする場合には、除去剤における(a)成分の含有量は、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~75質量%、さらに好ましくは30~65質量%である。上記範囲内であれば、(b)アルカリ性化剤及び相溶化剤の量を適切なものとすることができる。また、水系とする場合には、一定量以上の水を含有させることもできる。
(成分(b):アルカリ性化剤)
本発明に係るシリコーン離型層除去剤は、さらに、成分(b)アルカリ性化剤を含有していることが好ましい。成分(b)を併用することで、シリコーン離型層の除去率が向上する。
アルカリ性化剤は、除去剤をアルカリ性とするものであり、アルカリ剤とも呼べる。アルカリ性化剤としては、無機アルカリ性化剤であっても、有機アルカリ性化剤であってもよいが、前記成分(a)及び後述する成分(c)相溶化剤との組み合わせが好適である点から、無機アルカリ性化剤であることが好ましい。
無機アルカリ性化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等のアルカリ金属のリン酸塩;オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩;アンモニアなどが挙げられる。
なかでも、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、入手容易性から水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましく、洗浄性から水酸化カリウムが特に好ましい。
除去剤における無機アルカリ性化剤としては、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用する場合は、効果及び取り扱い性の点から、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを使用することが好ましい。
有機アルカリ性化剤としては、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-シクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、等の有機アミン化合物等が挙げられる。
なお、有機アルカリ性化剤として、前記成分(a)が含まれる場合があるが、該化合物のHSP距離(Ra)が13以上であれば、アルカリ性化剤として取り扱う。
除去剤における有機アルカリ性化剤のうち、汎用性からモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましく、入手容易性からモノエタノールアミン、ジエタノールアミンがより好ましく、洗浄性からモノエタノールアミンが特に好ましい。
また、除去剤全体における成分(b)アルカリ性化剤の含有量は1~20質量%であることが好ましく、2~15質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、除去剤として充分な効果が得られる。
(成分(c):相溶化剤)
本発明に係るシリコーン離型層除去剤は、さらに、成分(c)相溶化剤を含有していることが好ましい。相溶化剤は、前記成分(a)及び成分(b)と併用することで、積層ポリエステルフィルムからのシリコーン離型層の溶出を助ける働きを有するとともに、上記成分(a)、成分(b)、及びその他任意に添加される添加剤等を可溶化する機能を有する。特に、除去剤が水を含む場合にも、前記成分(a)及び成分(b)の相溶性を良好なものとすることができる。
成分(c)としては、特に制限はなく、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、ノニオン系相溶化剤、両性相溶化剤のいずれも使用することができる。
なお、成分(c)には、上記成分(b)にも相当する化合物が含まれることから、本発明の除去剤において、成分(c)は、上記成分(b)と併用するに際し、成分(b)とは異なるものを用いる。
アニオン系相溶化剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、芳香族スルホン酸、アルキルカルボン酸、芳香族カルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α-スルホン化脂肪酸、N-メチル-N-オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、これらの塩等が挙げられる。
カチオン系相溶化剤としては、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、アルキルピリジニウム、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N-ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム及びこれらの塩等が挙げられる。
ノニオン系相溶化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル等の芳香族基含有エーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール又は2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのエトキシレート等のアセチレングリコール;多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のエステル系相溶化剤、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸トリエタノールアミド等のアルカノールアミド;アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド等のグルコシド系相溶化剤;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド等の水酸基含有アミン化合物などの有機アミン化合物が挙げられる。
両性相溶化剤としては、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N-ジアルキル-N,N-ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2-アルキル-1-カルボキシメチル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン類、N,N-ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩等のアミノカルボン酸類が挙げられる。
なお、相溶化剤としては、前記成分(a)が含まれる場合があるが、アルカノールアミン化合物、アルカノールアミド化合物、及び下記に該当する炭素数12以上のヒドロキシ化合物については、成分(c)相溶化剤として取り扱う。
アルカノールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられ、アルカノールアミド化合物としては、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド及びトリエタノールアミド等が挙げられる。
また、炭素数12以上のヒドロキシ化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシアルキレングリコール系、アセチレングリコール系、エステル系及びグルコシド系の炭素数12以上のヒドロキシ化合物が挙げられる。
除去剤における成分(c)相溶化剤のうち、相溶性及び取り扱い性の観点から、芳香族スルホン酸塩及び水酸基含有アミン化合物の使用が好ましい。具体的な化合物としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。これらの中でも、除去剤の加温上限を上げる観点から、沸点が高い上記芳香族スルホン酸塩の使用がより好ましい。
なお、ここでは上述のように、成分(b)とは異なる化合物を用いることが前提である。
成分(b)と成分(c)の組み合わせの具体例としては、アルカリ性化剤として無機アルカリ性化剤を使用する場合には、成分(c)としては、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、ノニオン系相溶化剤、及び両性相溶化剤のいずれか少なくとも1つを使用すればよい。
また、成分(b)として、有機アルカリ性化剤を使用する場合には、成分(c)としては、アニオン系相溶化剤、カチオン系相溶化剤、有機アミン化合物以外のノニオン系相溶化剤、及び両性相溶化剤のいずれか少なくとも1つを使用すればよい。
また、本発明の除去剤においては、成分(b)として無機アルカリ性化剤を使用し、かつ成分(c)として芳香族スルホン酸塩及び水酸基含有アミン化合物から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
なかでも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸塩との組み合わせが好ましい。
また、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、1-アミノ-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミンから選択される少なくとも1種の水酸基含有アミン化合物の組み合わせが好ましく、これらの中でも、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種の無機アルカリ性化剤と、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンから選択される少なくとも1種の水酸基含有アミン化合物を併用した組み合わせが特に好ましい。
また、除去剤中の様々な添加剤を包括的に相溶させる観点から、前記相溶化剤を2種類以上併用してもよい。
また、本除去剤中の相溶化剤の含有量としては、1~40質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲内であると十分な洗浄性が得られる。以上の観点から、除去剤中の相溶化剤の含有量は、5~35質量%の範囲であることがより好ましく、8~30質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明のシリコーン離型層除去剤は、水系除去剤であることが好ましい。水系除去剤は、上記成分(a)~(c)等を水に溶解させ、また、希釈させたものである。水系除去剤は引火点を上げることができるため比較的安全性が高く、また、後述するリンス工程において、水を使用できる点でも有利である。
本発明のシリコーン離型層除去剤は、上記成分(a)~(c)以外にも種々の添加剤を配合することができ、例えば、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、消泡剤などを添加することができる。
<積層ポリエステルフィルム>
本発明における積層ポリエステルフィルムとは、基材フィルムであるポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層が積層されたものをいう。
ポリエステルフィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。多層構造の場合、2層構造、3層構造などでもよいし、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。
また、ポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルム等の延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、市場に流通しているものを適宜使用できる。具体的には、ジカルボン酸とジオールを重縮合してなるポリエステルが挙げられ、ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族グリコールが好ましい。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。
上記脂肪族グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
ポリエステルはホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
また、ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、グリコール以外の第3成分を共重合体成分として含んでもよい。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられ、これらの中ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、これらは、共重合体ポリエステルであってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位の30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有し、また、ジオール単位の30モル%以下程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有してもよい。
シリコーン離型層は、ポリエステルフィルムに離型性を付与するために設けられる層であり、例えば、セラミック電子部品の製造時に使用するグリーンシート成形用工程紙、偏光板、光学フィルター等のフラットパネルディスプレイ製造時に使用する光学部材の粘着セパレータなどに使用する離型フィルムに設けられる層である。シリコーン離型層を構成する材料としては、特に制限はなく、例えば、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするもの、あるいはウレタン樹脂、エポキシ樹脂等とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
かかる硬化型シリコーン樹脂としては、溶剤付加型、溶剤縮合型、溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
積層ポリエステルフィルム中のシリコーン離型層表面のHSP[δd,δp,δh]において、分散項δdは、16.0~23.0MPa0.5であることが好ましく、17.0~22.0MPa0.5であることがより好ましく、18.0~21.0MPa0.5であることがさらに好ましく、19.0~20.0MPa0.5であることが特に好ましい。
また、極性項δpは、2.0~9.0MPa0.5であることが好ましく、3.0~8.0MPa0.5であることがより好ましく、4.0~7.0MPa0.5であることがさらに好ましく、5.0~6.0MPa0.5であることが特に好ましい。
さらに、水素結合項δhは、5.0~12.0MPa0.5であることが好ましく、6.0~11.0MPa0.5であることが好よりましく、7.0~10.0MPa0.5であることがさらに好ましく、8.0~9.0MPa0.5であることが特に好ましい。
シリコーン離型層のδd,δp及びδhが、かかる範囲にあることで、本発明のシリコーン離型層除去剤中の成分(a)との溶解性が高まり、容易にシリコーン離型層を除去することができる。
シリコーン離型層の厚みは、特に制限されないが、シリコーン離型層除去剤の浸透性の観点から、0.003~1.0μmであることが好ましく、0.005~0.5μmであることがより好ましく、0.01~0.4μmであることがさらに好ましい。
[シリコーン離型層の除去方法]
本発明の別の態様によれば、ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムからシリコーン離型層を除去するための除去方法(以下、「本除去方法」ともいう。)が提供される。
本除去方法は、上述した除去剤で積層ポリエステルフィルムを洗浄することで、積層ポリエステルフィルムからシリコーン離型層を除去するものである。
除去剤の具体的な態様及び好ましい態様は、前述と同じであり、これらを全て援用することができる。
また、洗浄の具体的な態様及び好ましい態様は、後述する洗浄工程と同じであり、これらを全て援用することができる。
本除去方法は、積層ポリエステルフィルムからシリコーン離型層を容易に除去することができ、積層ポリエステルフィルムから効率的にポリエステルフィルムを回収することができる。
[リサイクルポリエステルの製造方法]
本発明のリサイクルポリエステルの製造方法(以下、単に「製造方法」と記載することがある。)は、洗浄工程と回収工程を有する。
<洗浄工程>
本発明に係る洗浄工程は、前記除去剤を用いて、積層フィルムのシリコーン離型層を除去する工程である。除去の方法としては、例えば、除去剤の入った洗浄槽に浸漬する浸漬法、溶液状態の除去剤を塗布する塗布法、溶液状態の除去剤又は気化した除去剤を吹き付ける吹き付け法などが挙げられる。これらのうち、シリコーン離型層への除去剤の浸透性の点から、浸漬法が好ましい。
浸漬法における除去剤の温度としては、室温(20℃)以上であることが好ましい。室温(20℃)以上であると、除去剤の粘度が低く、シリコーン離型層へ浸透しやすいため良好な洗浄性が得られる。以上の観点から、浸漬法における除去剤の温度としては40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。
また、除去剤の温度の上限値としては、除去剤を溶液状態で用いる場合には、沸点以下の温度が好ましい。本願の好適な態様である水系除去剤の場合は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
なお、浸漬法以外においても洗浄時の除去剤の温度は、上記と同様である。
また、浸漬法における洗浄では、シリコーン離型層の除去率を向上させる目的で、マイクロ波照射を行ってもよい。
除去剤のpHは、洗浄性の観点から12以上が好ましく、13以上がより好ましい。
浸漬時間については、1秒以上、30分以下が好ましい。1秒以上であると、除去剤がシリコーン離型層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以内であると、基材であるポリエステルフィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られるポリエステルの量を確保できる。以上の観点から、15秒以上、20分以下であることがより好ましく、30秒以上、10分以下であることがさらに好ましく、1分以上、5分以下であることが特に好ましい。
洗浄工程の具体的な態様は、廃材である積層ポリエステルフィルムの形状による。
<巻き出し工程>
廃材である積層ポリエステルフィルムが、ロール状である場合には、巻き出し工程を有することが好ましい。より具体的には、除去剤を入れた洗浄槽の前段に巻き出し装置を設置しておき、該装置から積層ポリエステルフィルムを巻き出して、洗浄槽中に導入して洗浄する工程である。そして、連続的に次の回収工程に移行する態様が好ましい。
なお、積層ポリエステルフィルムがロール状である場合には、洗浄工程において、積層ポリエステルフィルムから効率良くシリコーン離型層を除去する目的で、ロールブラシ、超音波、マイクロ/ナノバブル、水流、圧縮冷気などの物理的手段を備えた設備を設けても良い。
<裁断工程>
廃材である積層ポリエステルフィルムが、塊状である場合には、裁断工程を有することが好ましい。より具体的には、洗浄工程の前に裁断装置を設置しておき、フレーク状にして洗浄槽に導入する工程である。フレーク状にすることで、積層ポリエステルフィルムと除去剤との接触面積が大きくなって、除去剤が浸透しやすくなり、効率的にシリコーン離型層を除去することができる。また、フレーク状の積層ポリエステルフィルム同士による摩擦が生じることからも、効率的にシリコーン離型層を除去することができる。本態様では、ベルトコンベア等を利用して、フレーク状の積層ポリエステルフィルムを連続的に洗浄槽に導入する方法が好ましい。このような態様をとることで、高い生産性で洗浄することができる。
なお、本態様の場合には、洗浄はバッチ式で行うこともできる。
<回収工程>
本発明のリサイクルポリエステルの製造方法では、前記洗浄工程の後に、基材フィルムであるポリエステルフィルムを回収する、回収工程を有する。
また、回収工程の前段で、リンス工程、及び乾燥工程を有することが好ましい。回収の方法としては、廃材である積層ポリエステルフィルムの形状に応じて、適当な方法を選択することができる。
廃材である積層ポリエステルフィルムが、ロール状の場合は、ロールトゥロールで連続的に行い、適宜、洗浄工程、リンス工程及び乾燥工程を経て、巻き取ることで効率的に回収することができる。
廃材である積層ポリエステルフィルムが塊状の場合は、上述のように、洗浄工程の前に、裁断工程を有することが好ましく、ベルトコンベア等を利用して、連続的にリンス工程、乾燥工程を通過させて、フレーク状のポリエステルを回収する態様が好ましい。
上述のようにして回収されたポリエステルフィルムは、回収後、ペレット状にすることが、取り扱いの点で有利である。
<リンス工程>
本発明では、洗浄工程の後、回収工程の前に、除去剤を洗い流すリンス工程を有することが好ましい。具体的には、リンス液により、シリコーン離型層を除去したポリエステルフィルムに付着した除去剤を洗い流す工程を指す。
リンス液としては、除去剤を洗い流し得るものであれば特に限定されないが、本発明の好適な態様である水系除去剤を用いる場合には、リンス工程に水を用いることができる。
リンス工程の温度としては、効率的に洗い流せるとの観点から、室温付近であることが好ましく、具体的には5~50℃であることが好ましく、5~30℃であることがより好ましい。
除去剤を洗い流す方法としては、シリコーン離型層を除去したポリエステルフィルムに対してリンス液を吹き付ける吹き付け法、ポリエステルフィルムをリンス液の入ったリンス槽に浸漬する浸漬法などが挙げられる。ただし、洗い流す必要のない除去剤を使用する場合には、リンス工程は省略可能である。
除去剤とともに、ポリエステルフィルムから剥離したシリコーン離型層も同時に洗い流される場合がある。リンス工程で用いられた有機溶剤又は水と、シリコーン離型層を構成していた材料はその後分離され、有機溶剤及び水はリンス工程で再利用することができ、シリコーン離型層を構成していた材料も再利用することが可能である。
<乾燥工程>
リンス工程の後には、乾燥工程を経ることが好ましい。乾燥工程によって、ポリエステルフィルム上に残存した除去剤及び/又はリンス液を除去できる。 なお、リンス工程が省略される場合には、乾燥工程は、洗浄工程の後に行われるとよい。
乾燥工程の条件としては、特に限定されず、通常70~150℃で、1~30分程度の時間乾燥される。乾燥方法としては、赤外線ヒーターやオーブン等による加熱乾燥、熱風乾燥機等による熱風乾燥やマイクロ波加熱乾燥など、一般的な方法を用いることができる。
<リサイクルポリエステル製品製造工程>
本発明の製造方法においては、上記回収工程で回収されたポリエステルフィルムを原料としてリサイクル(再生利用)し、リサイクルポリエステル製品を製造する、リサイクルポリエステル製品製造工程を有することが好ましい。また、該製造工程の前段で、後述するペレット製造工程によりポリエステルをペレット化し、該ペレットを用いて後述するリサイクルポリエステル製品を製造することが好ましい。
<ペレット製造工程>
乾燥されたポリエステルフィルムは、ペレット製造工程により、ペレットに加工されることが好ましい。特に、廃材である積層ポリエステルフィルムが塊状の場合は、上述のように、裁断されており、得られるリサイクルポリエステルはフレーク状である。フレーク状のポリエステルは、ペレット化することで取り扱い性が格段に向上する。
ペレットは、取り扱いの点で有利であるだけでなく、保管、その後の加工等も行いやすいというメリットもある。
[リサイクルポリエステル製品]
本発明のリサイクルポリエステルの製造方法により得られたポリエステルフィルムは、ポリエステル原料として利用でき、いわゆるリサイクルポリエステル製品として、再利用することができる。具体的には、回収したポリエステルはペレット化して、ペレット状のポリエステル(ポリエステル製品)として保管することができる。
また、回収されたポリエステルは、溶融押出し等によってポリエステルフィルムなどの各種のポリエステル製品に成形することもできる。
なお、回収されたポリエステルは、その製造容易性から、一旦ペレット化した後に、各種製品に成形することが好ましい。
用途としては、通常のポリエステル製品と同様の用途に用いることができ、例えば、基材フィルムであるポリエステルフィルムとして使用することができる。当該基材フィルムに、機能層を形成することで、積層フィルムとして再利用することも可能である。
前記機能層は、その構成成分は特に限定されないが、例えば、粘接着層、ハードコート層、離型層、加飾層、遮光層、紫外線遮蔽層、易接着層(プライマー層)、帯電防止層、屈折率調整層、オリゴマー封止層などが挙げられる。
リサイクルポリエステルは、従来の方法で製造されたポリエステルと混合して使用することもでき、また、リサイクルポリエステルと従来の方法で製造されたポリエステルを用いた多層フィルムとすることもできる。
リサイクルポリエステル製品としては、フィルム以外にも、各種用途に使用可能であり、例えばペットボトル、ポリエステル繊維、ポリエステルシート、ポリエステル容器などを製造することもできる。
なお、剥離したシリコーン離型層に関しても、必要に応じて回収し、再利用することも可能である。
<<語句の説明>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(1)極限粘度
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)洗浄試験
各実施例及び比較例で調製した除去剤を30mlの容器に入れ、4×3cmの積層ポリエステルフィルムを浸漬させた。除去剤の温度、浸漬時間は、表に記載の通りである。
(3)シリコーン離型層の除去率:蛍光X線分析
洗浄後の積層ポリエステルフィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、(株)島津製作所製「EDX-8000」)を用いてSi元素の定量分析を行った。
洗浄前の積層ポリエステルフィルム表面のSi元素量を100%、積層ポリエステルフィルムのシリコーン離型層が塗工されていないプレーンフィルムのSi元素量を0%とすることで、シリコーン離型層の除去率を測定した。
◎(very good);除去率85~100%
○(good);除去率70~84%
×(poor);除去率0~69%
(4)シリコーン離型層表面のHSP[δd,δp,δh
シリコーン離型層表面に、上述の表1に従って選定した溶媒2.0μLの液滴を滴下し、30秒後の接触角を記録した。各溶媒の測定は5回行い、最も大きい値と最も小さい値を除いた3つのデータの平均値をその溶媒の接触角とした。
接触角の小さい溶媒種を良溶媒、接触角の大きい溶媒種を貧溶媒として相互作用球とその中心であるHSPを算出した。算出にはHSPiPを使用し、良溶媒と貧溶媒の閾値は算出された相互作用球のFitting値が最も1に近くなるように決定した。
算出したシリコーン離型層表面のHSP[δd,δp,δh]を表2に示す。算出の際の良溶媒と貧溶媒の閾値は78°とした。相互作用球の半径は3.6、Fittingは1.000であった。
なお、測定に用いたシリコーン離型層は、市販品(三菱ケミカル(株)製「MRF38」)であり、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは38μm、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの極限粘度は0.57dl/gであった。
Figure 2022133835000002

(5)HSP距離(Ra)
前記成分(a)のHSP、及び上記の方法で測定されたシリコーン離型層表面のHSPの値を用いて、下記式からHSP距離(Ra)を算出した。
Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5
なお、δd、δp及びδhはそれぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを示し、δd、δp及びδhはシリコーン離型層除去剤中の成分(a)のδd、δp及びδhを示す。
<積層ポリエステルフィルム>
シリコーン離型層を有する積層ポリエステルフィルム;市販品(三菱ケミカル(株)製「MRF75」)を用いた。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは75μm、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの極限粘度は0.57dl/gであった。
なお、前述の「MRF38」と上記「MRF75」のシリコーン離型層は同一である。
[実施例1]
成分(a)としてベンジルアミン40質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を55質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、80℃に加温した除去剤に、5分間浸漬させて洗浄し、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例2]
成分(a)としてベンジルアルコール40質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を55質量部となるように混合し、除去剤を調製した。実施例1と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例3]
成分(a)としてトルエン40質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を55質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例4]
成分(a)としてベンジルアミン33質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、成分(c)として2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム26質量部、その他成分として水を36質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、80℃に加温した除去剤に、1分間及び5分間、それぞれ浸漬させて洗浄し、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[実施例5]
成分(a)としてベンジルアルコール41.3質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、成分(c)として2,4-ジメチルベンゼンスルホン酸ナトリウム17.6質量部、その他成分として水を36.1質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例4と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[比較例1]
成分(a)としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)40質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を55質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[比較例2]
成分(a)としてアセトニトリル40質量部、成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を55質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
[比較例3]
成分(b)として水酸化カリウム5質量部、その他成分として水を95質量部となるように混合し、除去剤を調製した。
上記の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、シリコーン離型層の除去率評価を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2022133835000003
表3に示すように、成分(a)を含有する除去剤で、積層ポリエステルフィルムを洗浄することで、積層ポリエステルフィルムからシリコーン離型層を容易に除去することができた。
これは、成分(a)とシリコーン離型層表面の極性項δpの差が8.0MPa0.5未満であれば、成分(a)とシリコーン離型層表面との親和性が高くなり、溶解性が向上するためである。その結果として、溶解性による浸透効果が得られ、シリコーン離型層を容易に除去できる。

Claims (25)

  1. ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムから該シリコーン離型層を除去するための除去剤であって、
    下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する、シリコーン離型層除去剤。
    |δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
    (ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
  2. 前記成分(a)が、さらに、下記式(2)の関係を満足する、請求項1に記載のシリコーン離型層除去剤。
    |δh-δh|<11.0MPa0.5・・・・(2)
    (ただし、δhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の水素結合項δhを表し、δhは、成分(a)の水素結合項δhを表す。)
  3. 前記成分(a)が、さらに、下記式(3)の関係を満足する、請求項1又は2に記載のシリコーン離型層除去剤。
    Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5≦9.2・・・・(3)
    (ただし、RaはHSP距離を、δd、δp及びδhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、それぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを表し、δd、δp及びδhは、それぞれ成分(a)のδd、δp及びδhを表す。)
  4. 前記成分(a)の分散項δdが15.0~22.0MPa0.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  5. 前記成分(a)が、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、芳香族アミン類及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  6. 前記除去剤が、さらに、成分(b)アルカリ性化剤を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  7. 前記除去剤が、さらに、成分(c)相溶化剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  8. 前記シリコーン離型層表面の分散項δdが16.0~23.0MPa0.5、極性項δpが2.0~9.0MPa0.5、及び水素結合項δhが5.0~12.0MPa0.5である、請求項1~7のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  9. 前記シリコーン離型層の厚みが、0.003~1.0μmである、請求項1~8のいずれか1項に記載のシリコーン離型層除去剤。
  10. ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムを、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する除去剤で洗浄する、シリコーン離型層の除去方法。
    |δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
    (ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
  11. 前記成分(a)が、さらに、下記式(2)の関係を満足する、請求項10に記載のシリコーン離型層の除去方法。
    |δh-δh|<11.0MPa0.5・・・・(2)
    (ただし、δhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の水素結合項δhを表し、δhは、成分(a)の水素結合項δhを表す。)
  12. 前記成分(a)が、下記式(3)の関係を満足する、請求項10又は11に記載のシリコーン離型層の除去方法。
    Ra={4×(δd-δd+(δp-δp+(δh-δh0.5≦9.2・・・・(3)
    (ただし、RaはHSP距離を、δd、δp及びδhは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、それぞれシリコーン離型層表面のδd、δp及びδhを表し、δd、δp及びδhは、それぞれ成分(a)のδd、δp及びδhを表す。)
  13. 前記成分(a)の分散項δdが15.0~22.0MPa0.5である、請求項10~12のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  14. 前記成分(a)が、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、芳香族アミン類及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10~13のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  15. 前記除去剤が、さらに、成分(b)アルカリ性化剤を含有する、請求項10~14のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  16. 前記除去剤が、さらに、成分(c)相溶化剤を含有する、請求項10~15のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  17. 前記シリコーン離型層表面の分散項δdが16.0~23.0MPa0.5、極性項δpが2.0~9.0MPa0.5、及び水素結合項δhが5.0~12.0MPa0.5である、請求項10~16のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  18. 前記シリコーン離型層の厚みが、0.003~1.0μmである、請求項10~17のいずれか1項に記載のシリコーン離型層の除去方法。
  19. ポリエステルフィルムの表面にシリコーン離型層を備える積層ポリエステルフィルムを、下記式(1)の関係を満足する成分(a)を含有する除去剤で洗浄する、洗浄工程と、
    洗浄後のポリエステルフィルムを回収する、回収工程と、を有する、リサイクルポリエステルの製造方法。
    |δp-δp|<8.0MPa0.5・・・・(1)
    (ただし、δpは、Hansen溶解度パラメーター[δd,δp,δh]において、シリコーン離型層表面の極性項δpを表し、δpは、成分(a)の極性項δpを表す。)
  20. さらに、前記回収工程で回収されたポリエステルフィルムを原料として、リサイクルポリエステル製品を製造する製造工程を有する、請求項19に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
  21. 前記製造工程が、前記洗浄後のポリエステルフィルムをペレット化するペレット製造工程を有する、請求項20に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
  22. 前記洗浄工程において、洗浄後のポリエステルフィルムに付着した除去剤を洗い流すリンス工程をさらに備える、請求項19~21のいずれか1項に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
  23. 前記洗浄工程の前段に巻き出し工程又は裁断工程をさらに備える、請求項19~22のいずれか1項に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
  24. ロールトゥロール方式で行われる、請求項19~23のいずれか1項に記載のリサイクルポリエステルの製造方法。
  25. 請求項19~24のいずれか1項に記載のリサイクルポリエステルの製造方法により製造したポリエステルを原料として少なくとも一部に含むリサイクルポリエステル製品。

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