JP2022100250A - 積層フィルム及び機能層除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた易溶解性樹脂層が水及びアルカリ水溶液のいずれにも容易に溶解するとともに、該易溶解性樹脂層上に機能層を積層した場合に、易溶解性樹脂層と機能層との間の密着性に優れる積層フィルムを提供することにある。【解決手段】基材フィルムの少なくとも一方の表面に易溶解性樹脂層を有し、前記易溶解性樹脂層が、ポリエステル成分を含有し、前記ポリエステル成分は、酸成分として、(A)テレフタル酸、(B)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、及び(C)その他のジカルボン酸を含み、かつ、前記易溶解性樹脂層中の全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)が、前記(B)成分の含有割合(モル%)の3.0~8.0倍である、積層フィルムである。【選択図】なし
Description
本発明は、積層フィルム及び機能層除去方法に関する。
従来、廃プラスチックは、埋め立て、海洋投棄、焼却等の処理がなされていたが、埋め立て場所の確保が困難になりつつあり、かつ、海洋投棄はプラスチックが分解しないために環境面で問題になっている。
また、焼却によって熱として利用することはできるが、炭酸ガスの排出により、地球温暖化につながるという問題がある。
また、焼却によって熱として利用することはできるが、炭酸ガスの排出により、地球温暖化につながるという問題がある。
そこで、昨今の環境問題の高まりから、廃プラスチックの再利用、再生等のリサイクルが必要とされており、そのための研究開発が盛んに行われている。
また、プラスチックはその多くが化石燃料により生産されており、資源の有効利用の点からも、リサイクル方法の構築が求められている。
また、プラスチックはその多くが化石燃料により生産されており、資源の有効利用の点からも、リサイクル方法の構築が求められている。
ところで、プラスチックフィルムの一種であるポリエステルフィルムは、基材フィルムとして有用であり、その片面又は両面に種々の機能層が積層された、積層フィルムとして使用されることが多い。
機能層としては、ハードコート層、粘接着層、加飾層、遮光層、偏光層、紫外線遮蔽層など、様々な機能層があり、機能層に応じた材料をポリエステルフィルムに積層した積層フィルムが使用されている。
機能層としては、ハードコート層、粘接着層、加飾層、遮光層、偏光層、紫外線遮蔽層など、様々な機能層があり、機能層に応じた材料をポリエステルフィルムに積層した積層フィルムが使用されている。
このような積層フィルムは、使用後にほとんど再利用されておらず、廃棄、焼却等がなされている。
機能層が積層された積層フィルムをそのまま再溶融してリサイクルしようとしても、機能層を構成する材料が溶融ポリマー中に混入するため、押し出し時に異臭が発生する、ポリマーの溶融粘度の低下等によりフィルム製膜時の破断の原因となる、等の問題が生じる。
また、仮に製膜できたとしても、得られたフィルムの着色や異物混入などによる品質の劣化が避けられない。
また、仮に製膜できたとしても、得られたフィルムの着色や異物混入などによる品質の劣化が避けられない。
さらに、仮に機能層を物理的に削り取るなどして剥離除去し、溶融押出しした場合も、例えば、押出し時の濾過工程で、残存した機能層によってフィルターが目詰まりを起こし、正常な製膜ができなくなるなどの問題が生じる。
積層フィルムのリサイクル方法として、例えば特許文献1及び2に開示される技術がある。これらの技術は、基材フィルムの少なくとも片面に易溶解性樹脂層と表面機能層とをこの順に積層してなる積層フィルムである。
このような構成としたうえで、使用後に、易溶解性樹脂層のみ溶解可能であって、基材フィルムを溶解しない溶媒で洗浄することにより、積層フィルムから基材フィルムを分離回収しようというものである。
分離回収したものは再溶融され、基材フィルムを構成していた樹脂組成物を再生することを可能としたものである。
このような構成としたうえで、使用後に、易溶解性樹脂層のみ溶解可能であって、基材フィルムを溶解しない溶媒で洗浄することにより、積層フィルムから基材フィルムを分離回収しようというものである。
分離回収したものは再溶融され、基材フィルムを構成していた樹脂組成物を再生することを可能としたものである。
しかしながら、特許文献1に記載の易溶解性樹脂層を構成する樹脂(以下、単に易溶解性樹脂とも呼ぶ。)は、ポリビニルアルコール樹脂であるため、易溶解性樹脂層と表面機能層との密着性が低い場合がある。
また、特許文献2に記載のポリエステル易溶解性樹脂層は、熱水には溶解するものの、アルカリ水溶液には溶解しないといった問題があり、易溶解性樹脂層に対する密着性が特に高い機能層に対しては、機能層を十分に除去できないといった問題があった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた易溶解性樹脂層が水及びアルカリ水溶液のいずれにも容易に溶解するとともに、該易溶解性樹脂層上に機能層を積層した場合に、易溶解性樹脂層と機能層との間の密着性に優れる積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリエステル成分を含有する易溶解性樹脂層を有し、該ポリエステル成分は、酸成分として、(A)テレフタル酸、(B)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、及び(C)その他のジカルボン酸を含み、かつ、前記易溶解性樹脂層中の全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)が前記(B)成分の含有割合(モル%)の3.0~8.0倍となるように調整することで、水及びアルカリ水溶液に対する溶解性が向上するとともに、機能層が設けられる場合には密着性にも優れることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき完成したものであり、以下の態様を有する。
本発明は、かかる知見に基づき完成したものであり、以下の態様を有する。
[1]基材フィルムの少なくとも一方の表面に易溶解性樹脂層を有し、前記易溶解性樹脂層が、ポリエステル成分を含有し、前記ポリエステル成分は、酸成分として、(A)テレフタル酸、(B)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、及び(C)その他のジカルボン酸を含み、かつ、前記易溶解性樹脂層中の全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)が、前記(B)成分の含有割合(モル%)の3.0~8.0倍である、積層フィルム。
[2]前記全酸成分中の前記(B)成分の含有割合が8モル%以下である、前記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記(B)成分が、5-スルホイソフタル酸ナトリウムである、前記[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記(C)成分がイソフタル酸を少なくとも含む、前記[1]~[3]の何れか一つに記載の積層フィルム。
[5]前記易溶解性樹脂層上に機能層を有する、前記[1]~[4]の何れか一つに記載の積層フィルム。
[6]前記機能層がシリコーン離型層である、前記[5]に記載の積層フィルム。
[7]前記[5]又は[6]に記載の積層フィルムを洗浄剤で洗浄して、前記易溶解性樹脂層を溶解させ、前記機能層を前記易溶解性樹脂層と共に前記基材フィルムから除去する機能層除去方法。
[8]前記洗浄剤が水又はアルカリ水溶液である、前記[7]に記載の機能層除去方法。
[2]前記全酸成分中の前記(B)成分の含有割合が8モル%以下である、前記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記(B)成分が、5-スルホイソフタル酸ナトリウムである、前記[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記(C)成分がイソフタル酸を少なくとも含む、前記[1]~[3]の何れか一つに記載の積層フィルム。
[5]前記易溶解性樹脂層上に機能層を有する、前記[1]~[4]の何れか一つに記載の積層フィルム。
[6]前記機能層がシリコーン離型層である、前記[5]に記載の積層フィルム。
[7]前記[5]又は[6]に記載の積層フィルムを洗浄剤で洗浄して、前記易溶解性樹脂層を溶解させ、前記機能層を前記易溶解性樹脂層と共に前記基材フィルムから除去する機能層除去方法。
[8]前記洗浄剤が水又はアルカリ水溶液である、前記[7]に記載の機能層除去方法。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられた易溶解性樹脂層が水及びアルカリ水溶液のいずれにも容易に溶解するとともに、該易溶解性樹脂層上に機能層を積層した場合に、易溶解性樹脂層と機能層との間の密着性に優れることを特徴とする。したがって、例えば、機能層を除去する前には通常の易接着層付き積層フィルム並みの密着性を維持しながら、それでいて機能層を容易に除去することもできる。
したがって、本発明の積層フィルムは、通常のポリエステルフィルムと同様に使用することができ、かつ、リサイクル性に優れる。
したがって、本発明の積層フィルムは、通常のポリエステルフィルムと同様に使用することができ、かつ、リサイクル性に優れる。
[積層フィルム]
本発明における積層フィルム(以下、「本フィルム」ともいう。)は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に易溶解性樹脂層を有する。
また、本発明における積層フィルムは、易溶解性樹脂層上に各種の樹脂材料から形成される機能層を積層していることが好ましい。
本発明における積層フィルム(以下、「本フィルム」ともいう。)は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に易溶解性樹脂層を有する。
また、本発明における積層フィルムは、易溶解性樹脂層上に各種の樹脂材料から形成される機能層を積層していることが好ましい。
<基材フィルム>
本フィルムを構成する基材フィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。
多層構造の場合、2層構造、3層構造などでもよいし、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。
また、基材フィルムは、二軸延伸フィルム等の延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、力学特性のバランス、平面性及び薄膜化の観点から、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
本フィルムを構成する基材フィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。
多層構造の場合、2層構造、3層構造などでもよいし、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。
また、基材フィルムは、二軸延伸フィルム等の延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、力学特性のバランス、平面性及び薄膜化の観点から、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
前記基材フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ナイロンフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。中でも、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、市場に流通しているものを適宜使用できる。
具体的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合してなるポリエステルが挙げられる。上記ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、上記ジオールとしては脂肪族グリコールが好ましい。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。また、基材フィルムが多層構成の場合は、各層の主成分樹脂がポリエステルであることが好ましい。
なお、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えば各層を構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
前記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、市場に流通しているものを適宜使用できる。
具体的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合してなるポリエステルが挙げられる。上記ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、上記ジオールとしては脂肪族グリコールが好ましい。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。また、基材フィルムが多層構成の場合は、各層の主成分樹脂がポリエステルであることが好ましい。
なお、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えば各層を構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。
上記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
上記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
ポリエステルはホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられ、これらの中ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエステルは、ポリエステルを構成するジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸の主成分となる化合物と、ジオール、好ましくは脂肪族グリコールの主成分となる化合物以外の第3成分を共重合体成分として含んでもよい。例えば、第3成分とは、ポリエチレンテレフタレートではテレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。
例えば、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位の30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有し、また、ジオール単位の30モル%以下程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有していてもよい。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられ、これらの中ではポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエステルは、ポリエステルを構成するジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸の主成分となる化合物と、ジオール、好ましくは脂肪族グリコールの主成分となる化合物以外の第3成分を共重合体成分として含んでもよい。例えば、第3成分とは、ポリエチレンテレフタレートではテレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。
例えば、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位の30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有し、また、ジオール単位の30モル%以下程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有していてもよい。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料としてポリエステルフィルムを製造してもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外層を、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層とすることで、オリゴマー成分の析出量を抑えてもよい。
ポリエスエルは、エステル化もしくはエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして、減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外層を、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層とすることで、オリゴマー成分の析出量を抑えてもよい。
ポリエスエルは、エステル化もしくはエステル交換反応をした後に、さらに反応温度を高くして、減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
基材フィルムには、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有させることも可能である。粒子の種類は、易滑性の付与が可能な粒子であれば特に限定されるものではない。具体例としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、1種単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、1種単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、フィルムの透明性と取り扱い性との両立を考慮すると、通常、0.05~5μm、好ましくは0.1~4μm、さらに好ましくは0.1~3.5μmの範囲がよい。なお、粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定する。
基材フィルムが、多層構造であり、かつ粒子を含有する場合、粒子は、複数の層のうちの少なくとも1つに含有させるとよい。基材が表層及び中間層を有する場合には、粒子は、表層に含有させることが好ましい。粒子は、一方の表層に含有させてもよく、両方の表層に含有させてもよい。表層に粒子を含有させることで、基材フィルム全体における粒子の含有量を少なくしつつ、効果的に易滑性などを付与できる。
粒子を含有する層における粒子の含有量は、通常0.010質量%以上10質量%未満、好ましくは0.015~5質量%、さらに好ましくは0.015~3質量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、基材フィルムの透明性が高くなり、透明性の観点から良好な基材フィルムとなる。一方、上記範囲で粒子を含有することで、滑り性の点でも良好となる。
なお、粒子を含有する層は、多層構造である場合には、好ましくは表層であるが、基材フィルムが単層構造である場合には、基材フィルム全体である。
なお、粒子を含有する層は、多層構造である場合には、好ましくは表層であるが、基材フィルムが単層構造である場合には、基材フィルム全体である。
基材フィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成する樹脂(例えばポリエステル)を製造する任意の段階において添加することができる。基材フィルムがポリエステルの場合は、エステル化又はエステル交換反応終了後、粒子を添加することが好ましい。
基材フィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等の添加剤を添加することができる。基材フィルムが多層構造を有する場合、各添加剤は、複数の層のうち、少なくともいずれかに添加されればよい。
基材フィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常、9~100μm、好ましくは12~75μm、より好ましくは25~75μmの範囲である。なお、基材フィルムが多層構造である場合には、基材フィルム全体としての厚みが上記範囲にあるものとする。
<易溶解性樹脂層>
本フィルムが有する易溶解性樹脂層(以下、「本易溶解性樹脂層」ともいう。)は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられる。本フィルムが機能層を有する場合には、前記易溶解性樹脂層は、基材フィルムと機能層との間に設けられることが好ましい。そうすることで、使用後の積層フィルムを、洗浄剤で洗浄することにより、易溶解性樹脂を洗浄剤中に溶解させるとともに、機能層と該機能層に付着した残渣物や不純物を完全に分離除去することが可能となる。すなわち、積層フィルムから基材フィルムを分離回収することができる。
また、分離回収した基材フィルムは再溶融され、該基材フィルムを構成していた樹脂を再生することも可能となる。
本フィルムが有する易溶解性樹脂層(以下、「本易溶解性樹脂層」ともいう。)は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられる。本フィルムが機能層を有する場合には、前記易溶解性樹脂層は、基材フィルムと機能層との間に設けられることが好ましい。そうすることで、使用後の積層フィルムを、洗浄剤で洗浄することにより、易溶解性樹脂を洗浄剤中に溶解させるとともに、機能層と該機能層に付着した残渣物や不純物を完全に分離除去することが可能となる。すなわち、積層フィルムから基材フィルムを分離回収することができる。
また、分離回収した基材フィルムは再溶融され、該基材フィルムを構成していた樹脂を再生することも可能となる。
易溶解性樹脂層は、ポリエステル成分を含み、該ポリエステル成分は、ジカルボン酸成分、すなわち酸成分として、(A)テレフタル酸(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸(以下、「(B)成分」ともいう。)及び(C)その他のジカルボン酸(以下、「(C)成分」ともいう。)を含む。
なお、「ポリエステル成分」とは、少なくとも1種のジカルボン酸成分と、少なくとも1種のジオール成分との重縮合によって得られるポリエステルの構成成分をいう。
なお、「ポリエステル成分」とは、少なくとも1種のジカルボン酸成分と、少なくとも1種のジオール成分との重縮合によって得られるポリエステルの構成成分をいう。
ポリエステル成分中の前記(A)~(C)成分は、本易溶解性樹脂層を構成する単一のポリエステルに由来してもよいし、異なるポリエステルに由来していてもよい。
本易溶解性樹脂層は、例えば前記(A)成分及び前記(B)成分を含む共重合ポリエステルにより形成してもよいし、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルにより形成してもよい。
また、例えば前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分のうち、少なくとも二成分を含む共重合ポリエステル、具体的には、前記(A)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルや、前記(B)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルを用いて本易溶解性樹脂層を形成してもよい。
本易溶解性樹脂層は、例えば前記(A)成分及び前記(B)成分を含む共重合ポリエステルにより形成してもよいし、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルにより形成してもよい。
また、例えば前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分のうち、少なくとも二成分を含む共重合ポリエステル、具体的には、前記(A)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルや、前記(B)成分及び前記(C)成分を含む共重合ポリエステルを用いて本易溶解性樹脂層を形成してもよい。
さらに、本易溶解性樹脂層が、前記(A)~(C)成分を含むように、ホモポリエステルなど、1種のジカルボン酸成分からなるポリエステルを複数組み合わせて用いてもよい。
また、共重合ポリエステルに加えて、ホモポリエステルなどの、1種のジカルボン酸成分からなるポリエステルを併用してもよい。
いずれの場合であっても、本易溶解性樹脂層に、結果として、前記(A)~(C)成分が含まれればよい。
また、前記(A)~(C)成分が、全て異なるポリエステル(ホモポリエステル、共重合ポリエステルを問わない)由来であってもよい。
また、共重合ポリエステルに加えて、ホモポリエステルなどの、1種のジカルボン酸成分からなるポリエステルを併用してもよい。
いずれの場合であっても、本易溶解性樹脂層に、結果として、前記(A)~(C)成分が含まれればよい。
また、前記(A)~(C)成分が、全て異なるポリエステル(ホモポリエステル、共重合ポリエステルを問わない)由来であってもよい。
以上のように、本易溶解性樹脂層は、ポリエステル成分を含み、該ポリエステル成分は、酸成分として、前記(A)~(C)成分を含むが、これらは必ずしも共重合ポリエステルとして含まれていなくてもよく、各成分を含むポリエステルのブレンドであってもよい。
前記(B)成分は、共重合ポリエステルの酸成分の一成分として含まれていることが好ましい。
なお、ホモポリエステルなどの1種のジカルボン酸成分からなるポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分であることが好ましく、ホモポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
前記(B)成分は、共重合ポリエステルの酸成分の一成分として含まれていることが好ましい。
なお、ホモポリエステルなどの1種のジカルボン酸成分からなるポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分であることが好ましく、ホモポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
前記易溶解性樹脂層がポリエステル成分を含み、該ポリエステル成分が酸成分として前記(B)成分を含有することで、水溶性化が容易になる。
前記(B)成分としては、例えばスルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホイソフタル酸、4-スルホ-2,7-ナフタレンジカルボン酸などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、中でも5-スルホイソフタル酸ナトリウムが、より水溶性化が容易になる点で好ましい。これら(B)成分は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本発明において、前記(A)成分は、ポリエステル成分が含む酸成分のうち、前記(B)成分を除いたテレフタル酸である。
前記(B)成分としては、例えばスルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホイソフタル酸、4-スルホ-2,7-ナフタレンジカルボン酸などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、中でも5-スルホイソフタル酸ナトリウムが、より水溶性化が容易になる点で好ましい。これら(B)成分は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本発明において、前記(A)成分は、ポリエステル成分が含む酸成分のうち、前記(B)成分を除いたテレフタル酸である。
前記(C)成分としては、(A)成分及び(B)成分以外のジカルボン酸であればよく、例えばイソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸等が挙げられる。(C)成分を含有することで、水に対する溶解性が向上するとともに、本フィルムが機能層を有する場合には、機能層との密着性が向上する。
これら(C)成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、イソフタル酸を少なくとも含むことが好ましい。(C)成分としてイソフタル酸を含むことで、(A)テレフタル酸成分及び(B)成分として好適な5-スルホイソフタル酸ナトリウムとの相性がよく、易溶解性樹脂層の物性が良好となる。
これら(C)成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、イソフタル酸を少なくとも含むことが好ましい。(C)成分としてイソフタル酸を含むことで、(A)テレフタル酸成分及び(B)成分として好適な5-スルホイソフタル酸ナトリウムとの相性がよく、易溶解性樹脂層の物性が良好となる。
本発明では、易溶解性樹脂層において、全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)が、前記(B)成分の含有割合(モル%)の3.0~8.0倍であることを要する。上記範囲内であれば、易溶解性樹脂層の水及びアルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。
これらの観点から、(C)成分の含有割合(モル%)は、(B)成分の含有割合(モル%)に対して、より好ましくは3.0~7.0倍、もっとも好ましくは4.0~6.0倍の範囲である。
なお、全酸成分とは、易溶解性樹脂層を構成する全てのポリエステル、すなわちポリエステル成分におけるジカルボン酸成分を意味する。
これらの観点から、(C)成分の含有割合(モル%)は、(B)成分の含有割合(モル%)に対して、より好ましくは3.0~7.0倍、もっとも好ましくは4.0~6.0倍の範囲である。
なお、全酸成分とは、易溶解性樹脂層を構成する全てのポリエステル、すなわちポリエステル成分におけるジカルボン酸成分を意味する。
全酸成分中の前記(B)成分の含有割合(モル%)は、8モル%以下であることが好ましく、8.0モル%以下であることがより好ましく、7モル%以下であることがさらに好ましく、6.5モル%以下であることがよりさらに好ましい。
また、下限値は0%を超えていれば、特に制限されないが、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることがさらに好ましい。
全酸成分中の前記(B)成分の含有割合が上記範囲内であることで、アルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。また、上記上限値以下であると、耐ブロッキング性の点でも有利であり、機能層を有さない面に接触する態様では有効である。
また、下限値は0%を超えていれば、特に制限されないが、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることがさらに好ましい。
全酸成分中の前記(B)成分の含有割合が上記範囲内であることで、アルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。また、上記上限値以下であると、耐ブロッキング性の点でも有利であり、機能層を有さない面に接触する態様では有効である。
全酸成分中の前記(A)成分の含有割合(モル%)は、50~85モル%であることが好ましく、55~80モル%であることがより好ましく、60~75モル%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、フィルムの成形性や強度を確保しながら、前記(C)成分を適切量確保できる。上記上限値以下であると、前記(B)成分の含有量が確保できる。したがって、水及びアルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。
また、全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)は、14~42モル%であることが好ましく、18~38モル%であることがより好ましく、20~35モル%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、水に対する溶解性及び機能層との密着性の点で有利であり、上記上限値以下であると、前記(B)成分の含有量が確保できる。したがって、水及びアルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。
また、全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)は、14~42モル%であることが好ましく、18~38モル%であることがより好ましく、20~35モル%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、水に対する溶解性及び機能層との密着性の点で有利であり、上記上限値以下であると、前記(B)成分の含有量が確保できる。したがって、水及びアルカリ水溶液に対する溶解性が十分となる。
前記ポリエステル成分中のジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等の1種類又は2種類以上が挙げられる。ここで、ジオール成分の少なくとも1種はエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコールを含有することで結晶性が保持され、フィルムの基本特性である耐熱性や強度などが向上する。
エチレングリコールの含有量は、全ジオール成分中の40~100モル%の範囲であることが好ましく、60~100モル%の範囲であることがより好ましく、80~100モル%の範囲であることがさらに好ましい。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールからジエチレングリコールが副生する。本明細書においては、このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称する。エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生量は、重縮合の様式等によっても異なるが、エチレングリコールのうち5モル%以下程度である。
本発明においては、5モル%以下の前記副生ジエチレングリコールもエチレングリコールに包含されるものとする。一方で、ジエチレングリコールの含有量によっては、より具体的にはジエチレングリコールが5モル%を超えて含有されている場合には、ジエチレングリコールはエチレングリコールとは区別される。
エチレングリコールの含有量は、全ジオール成分中の40~100モル%の範囲であることが好ましく、60~100モル%の範囲であることがより好ましく、80~100モル%の範囲であることがさらに好ましい。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールからジエチレングリコールが副生する。本明細書においては、このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称する。エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生量は、重縮合の様式等によっても異なるが、エチレングリコールのうち5モル%以下程度である。
本発明においては、5モル%以下の前記副生ジエチレングリコールもエチレングリコールに包含されるものとする。一方で、ジエチレングリコールの含有量によっては、より具体的にはジエチレングリコールが5モル%を超えて含有されている場合には、ジエチレングリコールはエチレングリコールとは区別される。
本易溶解性樹脂層は、前述したポリエステル成分を含めばよく、前記ポリエステル成分以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。
上述した通り、本発明の一態様においては、基材フィルムが、ポリエステルフィルムであることが好ましい。そのため、ポリエステル成分を含む本易溶解性樹脂層と、基材フィルムとは密着性に優れる。したがって、本発明の積層フィルムは、通常の積層ポリエステルフィルムと同様に問題なく使用することができる。
上述した通り、本発明の一態様においては、基材フィルムが、ポリエステルフィルムであることが好ましい。そのため、ポリエステル成分を含む本易溶解性樹脂層と、基材フィルムとは密着性に優れる。したがって、本発明の積層フィルムは、通常の積層ポリエステルフィルムと同様に問題なく使用することができる。
本フィルムにおける易溶解性樹脂層の厚さとしては、回収工程での溶媒等への溶解のし易さの観点、及び後述する機能層との密着性の観点から、0.01~10μmが好ましく、0.05~5μmがより好ましく、0.1~5μmがさらに好ましい。
また、本フィルムの厚みは、9~110μmが好ましく、12~85μmがより好ましく、25~85μmがさらに好ましく、25~60μmであることが特に好ましい。
また、本フィルムの厚みは、9~110μmが好ましく、12~85μmがより好ましく、25~85μmがさらに好ましく、25~60μmであることが特に好ましい。
また、易溶解性樹脂層は粒子を含有していてもよく、粒子を含有することによって、易溶解性樹脂層の表面を粗くすることができ、本フィルムが機能層を有する場合に、機能層との密着性を高めることができる。また、機能層を有さない面に対しては、粒子によって、耐ブロッキング性を高めることができる。粒子としては、前記基材フィルムに含有するものと同様の粒子を用いることができ、粒径、含有量等も同様である。
易溶解性樹脂層の製造方法の一例としては、通常知られているフィルムの製膜法を採用できる。例えば、本フィルムを構成する各層の主成分樹脂がポリエステルであり、積層構造のうちの表層を易溶解性樹脂層として製膜する場合、以下のようにして製造することができる。ただし、以下の説明は、積層フィルムを製造する方法の一例であり、本フィルムは係る製造方法により製造される積層フィルムに限定されるものではない。
なお、本フィルムが、A層/B層/C層の3種3層からなり、かつ、A層が易溶解性樹脂層である場合、B層/C層を基材フィルムとし、本フィルムは基材フィルムの一方の表面に易溶解性樹脂層を有する積層フィルムと言える。また、本フィルム(機能層を含まない状態)は、4層以上の積層フィルムであってもよく、その場合は、設けられ得る機能層が接する側の最外層が、易溶解性樹脂層になっていればよい。
なお、本フィルムが、A層/B層/C層の3種3層からなり、かつ、A層が易溶解性樹脂層である場合、B層/C層を基材フィルムとし、本フィルムは基材フィルムの一方の表面に易溶解性樹脂層を有する積層フィルムと言える。また、本フィルム(機能層を含まない状態)は、4層以上の積層フィルムであってもよく、その場合は、設けられ得る機能層が接する側の最外層が、易溶解性樹脂層になっていればよい。
例えば二軸延伸フィルムを製造する場合、先に述べた原料となるポリエステルを、複数の押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、回転冷却ドラム(キャスティングドラム)で冷却固化して未延伸積層シートを得る方法が好ましい。この場合、積層シートの平面性を向上させるため積層シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。このようにして、未延伸積層シートを得る。
なお、原料となるポリエステルは、ペレットなどとして、適宜乾燥されたうえで押出機に供給されるとよい。また、粒子、紫外線吸収剤、その他の添加剤などは、適宜ペレットに配合されてもよい。
なお、原料となるポリエステルは、ペレットなどとして、適宜乾燥されたうえで押出機に供給されるとよい。また、粒子、紫外線吸収剤、その他の添加剤などは、適宜ペレットに配合されてもよい。
次に、前記方法により得られた未延伸積層シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃、好ましくは80~120℃であり、延伸倍率は通常3~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃、好ましくは80~120℃であり、延伸倍率は通常3~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合には、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、積層フィルムの製造に同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃に温度コントロールされた状態で、長手方向及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法である。延伸倍率は、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。
続いて、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
続いて、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
なお、フィルムの長手方向とは、フィルムの製造工程でフィルムが進行する方向、すなわちフィルムロールの巻き方向をいう。幅方向とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいい、すなわち、フィルムロール状としたときロールの中心軸と平行な方向である。
また、易溶解性樹脂層は、フィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。
前記インラインコーティングは、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後、熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムのいずれかにコーティングする。
本発明の一態様においては、易溶解性樹脂層をインラインコーティングにより設けることが好ましい。インラインコーティングによって易溶解性樹脂層を設けることで、易溶解性樹脂層を薄膜とすることができ、結果として密着性及び耐ブロッキング性を向上させることができる。
前記インラインコーティングは、具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後、熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムのいずれかにコーティングする。
本発明の一態様においては、易溶解性樹脂層をインラインコーティングにより設けることが好ましい。インラインコーティングによって易溶解性樹脂層を設けることで、易溶解性樹脂層を薄膜とすることができ、結果として密着性及び耐ブロッキング性を向上させることができる。
インラインコーティングやオフラインコーティングによる易溶解性樹脂層の形成方法は、特に限定されず、例えばリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。乾燥及び硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えばオフラインコーティングにより易溶解性樹脂層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、インラインコーティングにより易溶解性樹脂層を設ける場合、通常、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングにかかわらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本フィルムを構成する基材フィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングにかかわらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本フィルムを構成する基材フィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<機能層>
本発明の積層フィルムは、機能層を備えていてもよい。機能層は、その構成成分は特に限定されるものではないが、本発明の機能層除去方法によって除去する観点からは、樹脂により構成されていることが好ましい。機能層としては、例えばハードコート層、粘接着層、離型層、加飾層、遮光層、紫外線遮蔽層、易接着層(プライマー層)、帯電防止層、屈折率調整層、オリゴマー封止層などが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、機能層を備えていてもよい。機能層は、その構成成分は特に限定されるものではないが、本発明の機能層除去方法によって除去する観点からは、樹脂により構成されていることが好ましい。機能層としては、例えばハードコート層、粘接着層、離型層、加飾層、遮光層、紫外線遮蔽層、易接着層(プライマー層)、帯電防止層、屈折率調整層、オリゴマー封止層などが挙げられる。
ハードコート層は、基材フィルムに耐擦傷性などを付与するために設けられる層である。ハードコート層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、テトラエトキシシラン等の反応性ケイ素化合物の硬化物などが挙げられる。
粘接着層は、他の機器等に粘接着させるために設けられる層である。粘接着層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着樹脂を使用することができる。
離型層は、基材フィルムに離型性を付与するために設けられる層であり、例えば、セラミック電子部品の製造時に使用するグリーンシート成形用工程紙、偏光板、光学フィルター等のフラットパネルディスプレイ製造時に使用する光学部材の粘着セパレータなどに使用される離型フィルムに設けられる層である。離型層を構成する材料としては、特に制限はなく、例えば、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするもの、あるいはウレタン樹脂、エポキシ樹脂等とのグラフト重合等による変性シリコーン樹脂等、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、炭化水素系ワックス、オレフィン系重合体、ウレタンアクリレート系重合体等が挙げられる。中でも、前記機能層がシリコーン離型層、オレフィン系離型層及びウレタンアクリレート系離型層からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。本発明の一態様においては、機能層としてシリコーン離型層を有する積層フィルムを挙げることができる。
なお、本発明において、実施例で記載の機能層は離型層として扱う。
なお、本発明において、実施例で記載の機能層は離型層として扱う。
加飾層は、意匠性を付与するために設けられる層である。加飾層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂に顔料、染料等が加えられ装飾がなされる。
遮光層又は紫外線遮蔽層は、内容物を紫外線、可視光等から保護するために設けられる層である。遮光層又は紫外線遮蔽層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、加飾層で記載した各種樹脂や、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム等の無機充填剤、木粉、パルプ粉等、セルロース粉末等の有機充填剤が挙げられる。
易接着層(プライマー層)は、他の層やフィルムを基材フィルム上に接着させるために設けられる層であり、特に限定されないが、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂等や、各種架橋剤、粒子等が挙げられる。
帯電防止層は、他の材質との接触や剥離などにより発生する帯電を防ぐために設けられる層である。帯電防止層に使用される帯電防止剤としては、特に限定されないが、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-スチレンサルフォネート)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンサルフォネート)等の導電性高分子、SnO2(Sbドープ)、In2O3(Snドープ)、ZnO(Alドープ)等の金属酸化物フィラー、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)などのカーボン化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。また、帯電防止層は、帯電防止剤を含む樹脂組成物から形成されてもよい。樹脂組成物に含有される樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂などが挙げられる。
屈折率調整層は、屈折率を調整するために設けられる層である。屈折率調整層を構成する材料としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、酸化ジルコニウムや酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
オリゴマー封止層は、加熱工程後のフィルム白化・異物防止のために設けられる層である。オリゴマー封止層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アミン系化合物、イオン性樹脂、高架橋塗膜等が挙げられる。
これら機能層は単層でも良いし、2種類以上の層が積層されていてもよい。
2種類以上の層が積層されている場合、少なくとも1層が樹脂により構成されている層であることが好ましい。
本発明において、前記機能層は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられている易溶解性樹脂層上に積層されている。すなわち、本発明の積層フィルムが機能層を有する場合には、上記易溶解性樹脂層上に当該機能層を有する。易溶解性樹脂層を介在させることによって、洗浄剤で洗浄することにより、易溶解性樹脂を溶媒中に溶解させることができるとともに、フィルム表面の前記機能層を完全に除去することが可能となり、基材フィルムのみを回収することができる。
2種類以上の層が積層されている場合、少なくとも1層が樹脂により構成されている層であることが好ましい。
本発明において、前記機能層は、基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けられている易溶解性樹脂層上に積層されている。すなわち、本発明の積層フィルムが機能層を有する場合には、上記易溶解性樹脂層上に当該機能層を有する。易溶解性樹脂層を介在させることによって、洗浄剤で洗浄することにより、易溶解性樹脂を溶媒中に溶解させることができるとともに、フィルム表面の前記機能層を完全に除去することが可能となり、基材フィルムのみを回収することができる。
[機能層除去方法]
上記したとおり、本フィルムは、易溶解性樹脂層を有するため、本フィルムが機能層を有する場合に、易溶解性樹脂層上に形成された機能層の剥離除去が容易となる。
当該機能層の除去方法(以下、「本機能層除去方法」ともいう。)としては、本フィルムを洗浄剤で洗浄して、易溶解性樹脂層を溶解させて、前記機能層を易溶解性樹脂層と共に基材フィルムから除去する機能層除去工程を含む方法が挙げられる。
上記したとおり、本フィルムは、易溶解性樹脂層を有するため、本フィルムが機能層を有する場合に、易溶解性樹脂層上に形成された機能層の剥離除去が容易となる。
当該機能層の除去方法(以下、「本機能層除去方法」ともいう。)としては、本フィルムを洗浄剤で洗浄して、易溶解性樹脂層を溶解させて、前記機能層を易溶解性樹脂層と共に基材フィルムから除去する機能層除去工程を含む方法が挙げられる。
<洗浄剤>
前記洗浄剤は、基材フィルムを溶解させずに回収できるようにする観点から、水又はアルカリ水溶液が好ましい。環境への負荷の観点からは、水を用いることが好ましい。
なお、基材フィルムとの濡れ性を向上するために、水に界面活性剤などを添加してもよい。
前記洗浄剤は、基材フィルムを溶解させずに回収できるようにする観点から、水又はアルカリ水溶液が好ましい。環境への負荷の観点からは、水を用いることが好ましい。
なお、基材フィルムとの濡れ性を向上するために、水に界面活性剤などを添加してもよい。
例えば、機能層との密着性をより高めたなど、易溶解性樹脂層のより具体的な構成によっては、洗浄力の観点から、アルカリ水溶液を用いることが好ましい場合もある。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等のアルカリ金属のリン酸塩;オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩;アンモニアなどが挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等のアルカリ金属のリン酸塩;オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属のケイ酸塩;アンモニアなどが挙げられる。
アルカリ水溶液のうち、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、入手容易性及び洗浄性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
また、本洗浄剤におけるアルカリ水溶液としては、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本洗浄剤におけるアルカリ水溶液としては、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
洗浄剤全体におけるアルカリ(土類)金属又はアンモニアの含有量は1~35質量%であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましく、1~25質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、洗浄剤として充分な効果が得られる。
アルカリ水溶液には、洗浄効果を高める目的で、さらに、少なくとも一つの水酸基を有する化合物を含有していてもよく、少なくとも一つの水酸基を有する化合物としては、アルコール類及び/又はフェノール類などが挙げられる。
アルコール類としては、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の多価アルコール等を挙げることができる。
フェノール類としては、フェノール、キシレノール、サリチル酸、ピクリン酸、ナフトール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ビスフェノールA、クレゾール、エストラジオール、オイゲノール、没食子酸、グアイアコール、フェノールフタレイン、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、チモール、チロシン、ヘキサヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。
これらは1種を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
なお、アルカリ水溶液には、上記成分以外にも種々の添加剤を配合することができ、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、防錆剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを添加することができる。
<機能層除去工程>
上記機能層除去工程における本フィルムの洗浄方法としては、例えば、洗浄剤の入った洗浄槽に浸漬する浸漬法、溶液状態の洗浄剤を塗布する塗布法、溶液状態の洗浄剤又は気化した洗浄剤を吹き付ける吹き付け法などが挙げられる。これらのうち、洗浄剤の浸透性の点から、浸漬法が好ましい。
上記機能層除去工程における本フィルムの洗浄方法としては、例えば、洗浄剤の入った洗浄槽に浸漬する浸漬法、溶液状態の洗浄剤を塗布する塗布法、溶液状態の洗浄剤又は気化した洗浄剤を吹き付ける吹き付け法などが挙げられる。これらのうち、洗浄剤の浸透性の点から、浸漬法が好ましい。
浸漬法における洗浄剤の温度としては、室温(20℃)以上であることが好ましい。室温(20℃)以上であると、洗浄剤の粘度が低く、機能層へ浸透しやすいため良好な洗浄性が得られる。以上の観点から、浸漬法における洗浄剤の温度としては40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、60℃以上であることが特に好ましい。
また、洗浄剤の温度の上限値としては、洗浄剤を溶液状態で用いる場合には、沸点以下の温度が好ましい。本願の好適な態様である水系洗浄剤の場合は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
なお、浸漬法以外においても洗浄時の洗浄剤の温度は、上記と同様である。また、浸漬法における洗浄では、加水分解反応を進める目的として、マイクロ波照射を行ってもよい。
また、洗浄剤の温度の上限値としては、洗浄剤を溶液状態で用いる場合には、沸点以下の温度が好ましい。本願の好適な態様である水系洗浄剤の場合は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
なお、浸漬法以外においても洗浄時の洗浄剤の温度は、上記と同様である。また、浸漬法における洗浄では、加水分解反応を進める目的として、マイクロ波照射を行ってもよい。
洗浄時間(例えば、浸漬法の場合には浸漬時間)は、洗浄対象物の種類によって、以下のように適宜調整することが好ましい。
機能層としてアクリル系粘着層を設けた積層フィルムが洗浄対象の場合、洗浄時間は、1秒以上、30分以下が好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
機能層としてアクリル系ハードコート層を設けた積層フィルムが洗浄対象の場合、洗浄時間は、1秒以上、30分以下が好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
機能層としてシリコーン離型層を設けた積層フィルムが洗浄対象の場合、洗浄時間は、1秒以上、30分以下が好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
1秒以上であると、洗浄剤が易溶解性樹脂層へ充分に浸透し、洗浄性が発揮できる。一方、30分以下であると、基材フィルムが過度に溶解することなく、回収した際に得られる基材樹脂の量、例えばポリエステルの量を確保できる。
以上の観点から、洗浄時間は、15秒以上、30分以下であることがより好ましく、30秒以上、25分以下であることがさらに好ましく、1分以上、20分以下であることが特に好ましい。
機能層除去工程の具体的な態様は、廃材である積層フィルムの形状によって、具体的には以下の通りである。
廃材である積層フィルムが、ロール状である場合には、洗浄剤を入れた洗浄槽の前段に巻き出し装置を設置しておき、該装置から積層フィルムを巻き出して、洗浄槽中に導入して洗浄することが好ましい。そして、連続的に次の回収工程に移行する態様が好ましい。
また、機能層除去工程において、積層フィルムから効率良く機能層を除去する目的で、ロールブラシ、超音波、マイクロ/ナノバブル、水流、圧縮冷気などの物理的手段を備えた設備を設けても良い。
また、機能層除去工程において、積層フィルムから効率良く機能層を除去する目的で、ロールブラシ、超音波、マイクロ/ナノバブル、水流、圧縮冷気などの物理的手段を備えた設備を設けても良い。
廃材である積層フィルムが、塊状である場合には、洗浄工程の前に裁断装置を設置しておき、フレーク状にして洗浄槽に導入することが好ましい。フレーク状にすることで、積層フィルムと洗浄剤との接触面積が大きくなって、洗浄剤が浸透しやすくなり、効率的に機能層を除去することができる。本態様では、ベルトコンベア等を利用して、フレーク状の積層フィルムを連続的に洗浄槽に導入する方法が好ましい。このような態様をとることで、高い生産性で洗浄することができる。なお、本態様の場合には、洗浄はバッチ式で行うこともできる。
<回収工程>
前記機能層除去工程の後に、基材フィルムを回収する、回収工程があってもよい。また、回収工程の前段で、リンス工程、及び乾燥工程を有していてもよい。回収の方法としては、廃材である積層フィルムの形状に応じて、適当な方法を選択することができる。
廃材である積層フィルムが、ロール状の場合は、ロールトゥロールで連続的に行い、機能層除去工程、リンス工程及び乾燥工程を経て、巻き取ることで効率的に回収することができる。
また、廃材である積層フィルムが塊状の場合は、上述のように、機能層除去工程の前に、裁断工程を有し、ベルトコンベア等を利用して、連続的に、機能層除去工程、リンス工程、乾燥工程を通過させて、フレーク状のポリエステルを回収する態様が好ましい。
上述のようにして回収された基材フィルムは、回収後、ペレット状にすることが、取り扱いの点で有利である。
前記機能層除去工程の後に、基材フィルムを回収する、回収工程があってもよい。また、回収工程の前段で、リンス工程、及び乾燥工程を有していてもよい。回収の方法としては、廃材である積層フィルムの形状に応じて、適当な方法を選択することができる。
廃材である積層フィルムが、ロール状の場合は、ロールトゥロールで連続的に行い、機能層除去工程、リンス工程及び乾燥工程を経て、巻き取ることで効率的に回収することができる。
また、廃材である積層フィルムが塊状の場合は、上述のように、機能層除去工程の前に、裁断工程を有し、ベルトコンベア等を利用して、連続的に、機能層除去工程、リンス工程、乾燥工程を通過させて、フレーク状のポリエステルを回収する態様が好ましい。
上述のようにして回収された基材フィルムは、回収後、ペレット状にすることが、取り扱いの点で有利である。
<リンス工程>
本機能層除去方法においては、上述したとおり、機能層除去工程と回収工程の間に、洗浄剤を洗い流すリンス工程を有していてもよい。リンス液により、機能層を除去した基材フィルムに付着した洗浄剤を洗い流す工程である。リンス液としては水が好ましいが、洗浄剤が水など、洗い流す必要がない場合は、リンス工程は省略できる。
本機能層除去方法においては、上述したとおり、機能層除去工程と回収工程の間に、洗浄剤を洗い流すリンス工程を有していてもよい。リンス液により、機能層を除去した基材フィルムに付着した洗浄剤を洗い流す工程である。リンス液としては水が好ましいが、洗浄剤が水など、洗い流す必要がない場合は、リンス工程は省略できる。
<乾燥工程>
リンス工程の後には、乾燥工程があってもよい。乾燥工程の条件としては、特に限定されず、通常70~150℃で、1~30分程度の時間乾燥される。
乾燥方法としては、赤外線ヒーターやオーブン等による加熱乾燥、熱風乾燥機等による熱風乾燥やマイクロ波加熱乾燥など、一般的な方法を用いることができる。
リンス工程の後には、乾燥工程があってもよい。乾燥工程の条件としては、特に限定されず、通常70~150℃で、1~30分程度の時間乾燥される。
乾燥方法としては、赤外線ヒーターやオーブン等による加熱乾燥、熱風乾燥機等による熱風乾燥やマイクロ波加熱乾燥など、一般的な方法を用いることができる。
<<語句の説明>>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分及び顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分及び顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径の測定
株式会社島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置(SA-CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とした。
株式会社島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置(SA-CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とした。
(3)溶解性評価
各実施例及び比較例にて得られる積層フィルムのうち、機能層を設ける前の積層フィルム(3cm×4cm)を、水又はアルカリ水溶液30mLに浸漬させた。浸漬後の積層フィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、株式会社島津製作所製「EDX-8000」)を用いてNa元素の定性分析を行い、以下の基準で、易溶解性樹脂層の溶解性を評価した。
なお、水を用いた場合は90℃で20分間、アルカリ水溶液(2質量%NaOH)を用いた場合は90℃で20分間、機能層なし積層フィルムを浸漬させた。
〇(good);Na元素が検出されない(溶解する)
×(poor);Na元素が検出される(溶解しない)
各実施例及び比較例にて得られる積層フィルムのうち、機能層を設ける前の積層フィルム(3cm×4cm)を、水又はアルカリ水溶液30mLに浸漬させた。浸漬後の積層フィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、株式会社島津製作所製「EDX-8000」)を用いてNa元素の定性分析を行い、以下の基準で、易溶解性樹脂層の溶解性を評価した。
なお、水を用いた場合は90℃で20分間、アルカリ水溶液(2質量%NaOH)を用いた場合は90℃で20分間、機能層なし積層フィルムを浸漬させた。
〇(good);Na元素が検出されない(溶解する)
×(poor);Na元素が検出される(溶解しない)
(4)密着性評価
2枚の機能層なし積層フィルムの易溶解性樹脂層(A層またはコート層)同士を重ね合わせて、切り出した12cm×10cmの試験片を、40℃、80%RH、10kg/cm2、20時間の条件下でプレスした。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて剥離し、その剥離荷重を測定した。
剥離荷重が重いものほど易溶解性樹脂層自体の易接着性が良好といえるため、機能層との密着性も良好といえる。
なお、評価基準は以下の通りとした。
◎(excellent);400g/cm以上
〇(good);200g/cm以上、400g/cm未満
△(fair);100g/cm以上、200g/cm未満
×(poor);100g/cm未満
2枚の機能層なし積層フィルムの易溶解性樹脂層(A層またはコート層)同士を重ね合わせて、切り出した12cm×10cmの試験片を、40℃、80%RH、10kg/cm2、20時間の条件下でプレスした。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて剥離し、その剥離荷重を測定した。
剥離荷重が重いものほど易溶解性樹脂層自体の易接着性が良好といえるため、機能層との密着性も良好といえる。
なお、評価基準は以下の通りとした。
◎(excellent);400g/cm以上
〇(good);200g/cm以上、400g/cm未満
△(fair);100g/cm以上、200g/cm未満
×(poor);100g/cm未満
(5)耐ブロッキング性評価
各実施例及び比較例にて得られる積層フィルムのうち、機能層を設ける前の積層フィルムを2枚用意し、易溶解性樹脂層(後述するA層又はコート層)と、該易溶解性樹脂層とは反対側の基材フィルム層(後述するC層)を重ね合わせて、切り出した12cm×10cmの試験片を、40℃、80%RH、10kg/cm2、20時間の条件下でプレスした。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて島津製作所製AUTOGRAPHを用いて剥離し、その剥離荷重を測定した。
剥離荷重が軽いものほどブロッキングしにくく良好、すなわち耐ブロッキング性を有するといえる。
なお、評価基準は以下の通りとした。
◎(excellent);50g/cm未満
〇(good);50g/cm以上、100g/cm未満
△(fair);100g/cm以上、500g/cm未満
×(poor);500g/cm以上、評価の途中でフィルムが破れる、又はプレスにより明らかなブロッキングが発生する
各実施例及び比較例にて得られる積層フィルムのうち、機能層を設ける前の積層フィルムを2枚用意し、易溶解性樹脂層(後述するA層又はコート層)と、該易溶解性樹脂層とは反対側の基材フィルム層(後述するC層)を重ね合わせて、切り出した12cm×10cmの試験片を、40℃、80%RH、10kg/cm2、20時間の条件下でプレスした。その後、フィルム同士をASTM D1893に規定された方法に準じて島津製作所製AUTOGRAPHを用いて剥離し、その剥離荷重を測定した。
剥離荷重が軽いものほどブロッキングしにくく良好、すなわち耐ブロッキング性を有するといえる。
なお、評価基準は以下の通りとした。
◎(excellent);50g/cm未満
〇(good);50g/cm以上、100g/cm未満
△(fair);100g/cm以上、500g/cm未満
×(poor);500g/cm以上、評価の途中でフィルムが破れる、又はプレスにより明らかなブロッキングが発生する
(6)機能層除去評価
(シリコーン離型層を有する積層フィルム)
実施例及び比較例において、シリコーン離型層を設けた後の積層フィルムについて以下の評価を行った。
シリコーン離型層を有する積層フィルム(3cm×4cm)を、洗浄剤を用いて洗浄した。洗浄後の積層フィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、前出「EDX-8000」)を用いてSi元素の定量分析を行った。本評価では、洗浄前の積層フィルム表面のSi元素量を100%、積層フィルムの機能層が塗工されていないプレーンの積層フィルムのSi元素量を0%とすることで、機能層の除去率(%)を算出した。
(シリコーン離型層を有する積層フィルム)
実施例及び比較例において、シリコーン離型層を設けた後の積層フィルムについて以下の評価を行った。
シリコーン離型層を有する積層フィルム(3cm×4cm)を、洗浄剤を用いて洗浄した。洗浄後の積層フィルムの表面を、蛍光X線分析装置(XRF、前出「EDX-8000」)を用いてSi元素の定量分析を行った。本評価では、洗浄前の積層フィルム表面のSi元素量を100%、積層フィルムの機能層が塗工されていないプレーンの積層フィルムのSi元素量を0%とすることで、機能層の除去率(%)を算出した。
上記の方法で算出した機能層除去率に関して、以下の基準で評価した。
機能層の除去は、洗浄剤30mLの入った洗浄槽に積層フィルムを浸漬させて行った。水を用いた場合は90℃で20分間、アルカリ水溶液(2質量%NaOH)を用いた場合は90℃で20分間、機能層付き積層フィルムの洗浄を行った。
〇(good);除去率90~100%
×(poor);除去率0~90%未満
機能層の除去は、洗浄剤30mLの入った洗浄槽に積層フィルムを浸漬させて行った。水を用いた場合は90℃で20分間、アルカリ水溶液(2質量%NaOH)を用いた場合は90℃で20分間、機能層付き積層フィルムの洗浄を行った。
〇(good);除去率90~100%
×(poor);除去率0~90%未満
<使用した材料>
[ポリエステル原料]
実施例及び比較例で用いた各ポリエステル原料の組成を表1に示す。
表1において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、5-SIPA-Naは5-スルホイソフタル酸ナトリウム、EGはエチレングリコール、DEGはジエチレングリコール、NPGはネオペンチルグリコールである。
なお、ポリエステルEには、平均粒径0.7μmの炭酸カルシウムを2質量%、ポリエステルFには、平均粒径3.2μmのシリカ粒子を0.2質量%配合した。
また、ポリエステルD、E及びFの固有粘度はそれぞれ、0.64dl/g、0.61dl/g、0.65dl/gであった。
[ポリエステル原料]
実施例及び比較例で用いた各ポリエステル原料の組成を表1に示す。
表1において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、5-SIPA-Naは5-スルホイソフタル酸ナトリウム、EGはエチレングリコール、DEGはジエチレングリコール、NPGはネオペンチルグリコールである。
なお、ポリエステルEには、平均粒径0.7μmの炭酸カルシウムを2質量%、ポリエステルFには、平均粒径3.2μmのシリカ粒子を0.2質量%配合した。
また、ポリエステルD、E及びFの固有粘度はそれぞれ、0.64dl/g、0.61dl/g、0.65dl/gであった。
(実施例1)
各層の原料を表2に示す通りに混合した。
A層、B層及びC層の各混合原料をそれぞれ別の溶融押出機にてそれぞれ280℃で共押出した後、静電印加密着法を用いて25℃に冷却したキャスティングドラム上で冷却固化させることで、3種3層(A層/B層/C層)の未延伸積層フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸積層フィルムをロール延伸機で長手方向(MD)に88℃で3.5倍に延伸した。更に、テンター内にて100℃で予熱した後、幅方向(TD)に110℃で4.4倍に延伸した。二軸延伸をした後は、220℃で熱処理を施し、厚み31μm(A層:1.55μm、B層:27.9μm、C層:1.55μm)の積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、易溶解性樹脂層はA層に相当する。
得られた積層フィルムに、以下の機能層を設けた。
得られた積層フィルムのA層に、硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業社製、KS847Hの15%希釈品)1.6質量%、メチルエチルケトン19.7質量%、トルエン39.4質量%及びヘプタン39.3質量%からなる混合物100質量部に対して、付加型白金触媒(信越化学工業社製、PL-50T)0.001質量部を混合したシリコーン離型剤を、乾燥後の塗布量が0.1g/m2になるように塗布し、オーブンを用いて150℃で30秒間加熱することでシリコーン離型層を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの特性は、上記の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
各層の原料を表2に示す通りに混合した。
A層、B層及びC層の各混合原料をそれぞれ別の溶融押出機にてそれぞれ280℃で共押出した後、静電印加密着法を用いて25℃に冷却したキャスティングドラム上で冷却固化させることで、3種3層(A層/B層/C層)の未延伸積層フィルムを得た。
次いで、得られた未延伸積層フィルムをロール延伸機で長手方向(MD)に88℃で3.5倍に延伸した。更に、テンター内にて100℃で予熱した後、幅方向(TD)に110℃で4.4倍に延伸した。二軸延伸をした後は、220℃で熱処理を施し、厚み31μm(A層:1.55μm、B層:27.9μm、C層:1.55μm)の積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、易溶解性樹脂層はA層に相当する。
得られた積層フィルムに、以下の機能層を設けた。
得られた積層フィルムのA層に、硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業社製、KS847Hの15%希釈品)1.6質量%、メチルエチルケトン19.7質量%、トルエン39.4質量%及びヘプタン39.3質量%からなる混合物100質量部に対して、付加型白金触媒(信越化学工業社製、PL-50T)0.001質量部を混合したシリコーン離型剤を、乾燥後の塗布量が0.1g/m2になるように塗布し、オーブンを用いて150℃で30秒間加熱することでシリコーン離型層を有する積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムの特性は、上記の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例2、3及び比較例1、5)
下記表2に記載の組成で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
下記表2に記載の組成で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
(実施例4)
下記表2に記載の組成及び製膜(厚み)条件で行ったこと、及び、一軸延伸後に一軸延伸フィルムのA層面に、原料Cの7質量%水溶液を乾燥後の厚みが100nmになるように塗布してからテンター内に導いた後、幅方向(TD)に延伸したこと以外は、実施例1と同様に行うことで、易溶解性樹脂層を有する積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、実施例4においては、易溶解性樹脂層はコート層に相当する。
以降は、実施例1と同様に、易溶解性樹脂層上に機能層を積層した。評価結果を表3に示す。
下記表2に記載の組成及び製膜(厚み)条件で行ったこと、及び、一軸延伸後に一軸延伸フィルムのA層面に、原料Cの7質量%水溶液を乾燥後の厚みが100nmになるように塗布してからテンター内に導いた後、幅方向(TD)に延伸したこと以外は、実施例1と同様に行うことで、易溶解性樹脂層を有する積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、実施例4においては、易溶解性樹脂層はコート層に相当する。
以降は、実施例1と同様に、易溶解性樹脂層上に機能層を積層した。評価結果を表3に示す。
(比較例2及び3)
下記表2に記載の組成及び製膜(厚み)条件で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
下記表2に記載の組成及び製膜(厚み)条件で行った以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表3に示す。
(比較例4)
下記表2に記載の組成で、積層フィルムを得た後、原料Gの25質量%水溶液を25質量%、原料Hの25質量%水溶液を75質量%混ぜた混合溶液を乾燥膜厚が1.5μmとなるようA層上に塗布し、オーブンを用いて100℃で3分間、及び170℃で15秒間加熱することで易溶解性樹脂層を有する積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、易溶解性樹脂層はコート層に相当する。
以降は、実施例1と同様に、易溶解性樹脂層上に機能層を積層した。評価結果を表3に示す。
下記表2に記載の組成で、積層フィルムを得た後、原料Gの25質量%水溶液を25質量%、原料Hの25質量%水溶液を75質量%混ぜた混合溶液を乾燥膜厚が1.5μmとなるようA層上に塗布し、オーブンを用いて100℃で3分間、及び170℃で15秒間加熱することで易溶解性樹脂層を有する積層フィルムを得た。なお、表2に示すように、易溶解性樹脂層はコート層に相当する。
以降は、実施例1と同様に、易溶解性樹脂層上に機能層を積層した。評価結果を表3に示す。
実施例1~4で示されるように、本発明の積層フィルムは、溶解性、密着性、耐ブロッキング性、及び機能層の除去性に優れる。そのため、積層フィルムとしての性能が維持され、かつ機能層を剥離することができ、基材フィルムを回収し得ることが明らかである。また、実施例2及び4は、易溶解性樹脂層の膜厚の違いから、密着性や耐ブロッキング性に差が出たと考えられる。
なお、実施例4においては、易溶解性樹脂層の膜厚が非常に薄いため、先に記載した溶解性評価では測定ができなかった。しかしながら、機能層除去評価において、問題なく機能層が除去できていることから、易溶解性樹脂層に相当するコート層は、水及びアルカリ水溶液に問題なく溶解していることがわかる。
一方、比較例1及び2に示されるように、易溶解性樹脂層の酸成分として、IPAを有さない場合には、易溶解性樹脂層同士の密着性が不十分であり、易溶解性樹脂層に機能層が積層された場合に、易溶解性樹脂層と機能層との密着性が不十分となることが想定される。なお、IPAを有さない場合には、水での洗浄では、易溶解樹脂層の溶解性が不十分となるため、洗浄剤としてアルカリ水溶液を用いる必要性があることがわかる。
また、比較例3及び4の結果より、(C)成分の含有割合が(B)成分の含有割合に対して3.0~8.0倍の範囲からはずれると、アルカリ水溶液を洗浄剤として用いる場合に、易溶解樹脂層の溶解性が不十分となることがわかる。また、比較例3及び4の積層フィルムは、耐ブロッキング性に劣る。
なお、比較例5の結果から、易溶解樹脂層に含まれるポリエステル成分が、(B)成分及び(C)成分のいずれも有さない場合には、易溶解樹脂層は水又はアルカリ水溶液による洗浄では溶解せず、機能層を剥離することができないことがわかる。また、密着性にも劣り、易溶解性樹脂層と機能層との密着性が不十分となることが想定される。
なお、実施例4においては、易溶解性樹脂層の膜厚が非常に薄いため、先に記載した溶解性評価では測定ができなかった。しかしながら、機能層除去評価において、問題なく機能層が除去できていることから、易溶解性樹脂層に相当するコート層は、水及びアルカリ水溶液に問題なく溶解していることがわかる。
一方、比較例1及び2に示されるように、易溶解性樹脂層の酸成分として、IPAを有さない場合には、易溶解性樹脂層同士の密着性が不十分であり、易溶解性樹脂層に機能層が積層された場合に、易溶解性樹脂層と機能層との密着性が不十分となることが想定される。なお、IPAを有さない場合には、水での洗浄では、易溶解樹脂層の溶解性が不十分となるため、洗浄剤としてアルカリ水溶液を用いる必要性があることがわかる。
また、比較例3及び4の結果より、(C)成分の含有割合が(B)成分の含有割合に対して3.0~8.0倍の範囲からはずれると、アルカリ水溶液を洗浄剤として用いる場合に、易溶解樹脂層の溶解性が不十分となることがわかる。また、比較例3及び4の積層フィルムは、耐ブロッキング性に劣る。
なお、比較例5の結果から、易溶解樹脂層に含まれるポリエステル成分が、(B)成分及び(C)成分のいずれも有さない場合には、易溶解樹脂層は水又はアルカリ水溶液による洗浄では溶解せず、機能層を剥離することができないことがわかる。また、密着性にも劣り、易溶解性樹脂層と機能層との密着性が不十分となることが想定される。
本発明の積層フィルムによれば、洗浄液として水及びアルカリ水溶液のいずれを用いて洗浄しても易溶解性樹脂層を溶解させることができる。そのため、本発明の積層フィルムが、該易溶解性樹脂層を介して機能層を有する場合には、該積層フィルムの使用後に、容易に機能層を剥離することができ、基材フィルムを回収することができる。
また、本発明の積層フィルムが機能層を有する場合に、基材フィルムと機能層とが易溶解性樹脂層を介して、高い密着性で積層されており、機能性フィルムとしての機能を十分に果たすことができる。したがって、機能層の種類に応じた種々の機能性フィルムとして使用することができる。
したがって、本発明の積層フィルムは、従来の機能性フィルムと同等の機能を有する積層フィルムであって、基材を回収及びリサイクルすることが可能であり、機能性と環境性能を併せ持つ極めて有用なフィルムということができる。
また、本発明の積層フィルムが機能層を有する場合に、基材フィルムと機能層とが易溶解性樹脂層を介して、高い密着性で積層されており、機能性フィルムとしての機能を十分に果たすことができる。したがって、機能層の種類に応じた種々の機能性フィルムとして使用することができる。
したがって、本発明の積層フィルムは、従来の機能性フィルムと同等の機能を有する積層フィルムであって、基材を回収及びリサイクルすることが可能であり、機能性と環境性能を併せ持つ極めて有用なフィルムということができる。
Claims (8)
- 基材フィルムの少なくとも一方の表面に易溶解性樹脂層を有し、
前記易溶解性樹脂層が、ポリエステル成分を含有し、
前記ポリエステル成分は、酸成分として、(A)テレフタル酸、(B)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、及び(C)その他のジカルボン酸を含み、かつ、前記易溶解性樹脂層中の全酸成分中の前記(C)成分の含有割合(モル%)が、前記(B)成分の含有割合(モル%)の3.0~8.0倍である、
積層フィルム。 - 前記全酸成分中の前記(B)成分の含有割合が8モル%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記(B)成分が、5-スルホイソフタル酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
- 前記(C)成分がイソフタル酸を少なくとも含む、請求項1~3の何れか一項に記載の積層フィルム。
- 前記易溶解性樹脂層上に機能層を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の積層フィルム。
- 前記機能層がシリコーン離型層である、請求項5に記載の積層フィルム。
- 請求項5又は6に記載の積層フィルムを洗浄剤で洗浄して、前記易溶解性樹脂層を溶解させ、前記機能層を前記易溶解性樹脂層と共に前記基材フィルムから除去する機能層除去方法。
- 前記洗浄剤が水又はアルカリ水溶液である、請求項7に記載の機能層除去方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020214293 | 2020-12-23 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=82269418
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022100250A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022259834A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | Dic株式会社 | 脱離可能な皮膜形成用組成物 |
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2021
- 2021-12-01 JP JP2021195642A patent/JP2022100250A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022259834A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | Dic株式会社 | 脱離可能な皮膜形成用組成物 |
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