JP2022131598A - 冷菓用添加剤及び冷菓 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミックス液に優れた安定性及び流動性を付与し且つ冷菓に優れた保形性及び良好なフレーバーリリース性を付与することができる冷菓用添加剤、並びに、保形性に優れ且つフレーバーリリース性が良好な冷菓を提供することを課題とする。【解決手段】増粘多糖類と、食物繊維とを含み、前記増粘多糖類が、脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方を含み、前記食物繊維が、シトラス由来食物繊維を含む、冷菓用添加剤、及び、該冷菓用添加剤を含む冷菓。【選択図】なし

Description

本発明は、冷菓用添加剤及び冷菓に関する。
従来、冷菓の品質を良好なものとするための添加剤に関する検討がなされている。例えば、冷菓の食感やフレーバーリリース性を良好にする添加剤の検討や、喫食時の冷菓の溶け落ちを遅らせる等の保形性を付与する添加剤の検討がなされている。また、冷菓の製造を容易にするために、水等の各原料が混合された凍結前のミックス液を取り扱い易くするための添加剤の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、大豆由来の食物繊維を含む添加剤が提案されており、これによって、冷菓に好ましい保形性及び風味を付与することができるとされている。
また、特許文献2及び3では、多糖類としてローカストビーンガムを含む添加剤が提案されており、これによって、冷菓に好ましい食感及び優れた保形性を付与することができるとされている。また、ローカストビーンガムは、これを含む水溶液に対して、凍結によって増粘を生じさせ且つ凍結前には増粘を生じさせないという性質を有している。よって、ローカストビーンガムを含むミックス液は、比較的取り扱い易い流動性を有するものとなる。
上記の他、特許文献4では、食感に悪影響を与えることなく冷菓に保形性を付与するために、微小繊維状セルロースを含む添加剤が提案されている。
特開2002-17267号公報 特開2003-333995号公報 特開2005-13099号公報 特開2013-74883号公報
しかしながら、従来技術の添加剤では、ミックス液や冷菓の品質を十分に良好なものとすることができない場合がある。例えば、ローカストビーンガムのようなガラクトマンナン類、又は、キシログルカンやセルロース誘導体といった多糖類を含む添加剤を使用する場合には、ミックス液において一部の原料に凝集が生じ、これに伴って冷菓の品質が低下するおそれがある。また、ミックス液の一部にゲル化が生じる等して、ミックス液が取り扱いにくくなる場合がある。このようなことから、ミックス液や冷菓の品質をさらに向上させ得る添加剤の提供が求められている。
上記事情に鑑み、本発明は、ミックス液に優れた安定性及び流動性を付与し且つ冷菓に優れた保形性及び良好なフレーバーリリース性を付与することができる冷菓用添加剤、並びに、保形性に優れ且つフレーバーリリース性が良好な冷菓を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の増粘多糖類と、特定の食物繊維とを組み合わせることによって、ミックス液に上記のような特性を付与させつつも、冷菓が上記品質に優れたものになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る冷菓用添加剤は、
増粘多糖類と、食物繊維とを含み、
前記増粘多糖類が、脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方を含み、
前記食物繊維が、シトラス由来食物繊維を含む。
斯かる構成によれば、増粘多糖類が脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方を含み、且つ、食物繊維がシトラス由来食物繊維を含むことによって、冷菓を製造するためのミックス液に優れた安定性及び流動性を付与することができるとともに、冷菓に優れた保形性及び良好なフレーバーリリース性を付与することができる。
また、本発明に係る冷菓用添加剤は、好ましくは、
前記シトラス由来食物繊維に含まれる不溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して40質量%以上90質量%以下であり、且つ、水溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して10質量%以上60質量%以下である。
斯かる構成によれば、該食物繊維に含まれる不溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して40質量%以上90質量%以下であり、水溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して10質量%以60質量%以下であることによって、ミックス液及び冷菓の上記のような品質をさらに良好にすることができる。
また、本発明に係る冷菓は、上記いずれかの冷菓用添加剤を含む冷菓である。
斯かる構成によれば、上記の冷菓用添加剤を含むことによって、優れた保形性及び良好なフレーバーリリース性を有するものとなる。
また、本発明に係る冷菓は、好ましくは、
前記増粘多糖類の含有量が前記冷菓の総質量に対して0.01質量%以上0.3質量%以下であり、且つ、前記シトラス由来食物繊維の含有量が前記冷菓の総質量に対して0.1質量%以上1.2質量%以下である。
斯かる構成によれば、増粘多糖類及び食物繊維の含有量が上記のような値であることによって、より優れた保形性及びより良好なフレーバーリリース性を有するものとなる。
以上の通り、本発明によれば、ミックス液に優れた安定性及び流動性を付与し且つ冷菓に優れた保形性及び良好なフレーバーリリース性を付与することができる冷菓用添加剤、並びに、保形性に優れ且つフレーバーリリース性が良好な冷菓が提供される。
以下、本発明の一実施形態に係る冷菓用添加剤について説明する。なお、以下では、冷菓を製造するための各原料が混合された凍結前の混合物をミックス液と称する。該ミックス液が凍結されることによって、冷菓が製造されることとなる。
本実施形態の冷菓用添加剤は、増粘多糖類として脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方と、食物繊維としてシトラス由来食物繊維とを含む。このような冷菓用添加剤を含むミックス液は、原料の分離や凝集が抑制され、安定性に優れたものとなる。また、該ミックス液は、流動性に優れたものとなり、冷菓の製造上取り扱い易いものとなる。さらに、本実施形態の冷菓用添加剤を含む冷菓は、自重等による型崩れや、一部が液状となって生じるドリップが抑制された保形性に優れたものとなる。また、冷菓に含まれる香り成分のフレーバーリリースが良好なものとなる。
前記脱アシルジェランガムは、ネイティブ型ジェランガムが有するアシル基を除去して得られる多糖類である。前記ネイティブ型ジェランガムは、微生物スフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)がブドウ糖等を栄養源として菌体外に蓄積した蓄積物を分離精製して得られる多糖類である。また、前記脱アシルジェランガムの構成糖は、グルコース、グルクロン酸、グルコース、及びラムノースであり、前記脱アシルジェランガムは、これら4つの構成糖がグリコシド結合した4糖を構成単位とする繰り返し構造を有している。
ペクチンは、ガラクツロン酸を構成糖とする酸性多糖類であり、主鎖は前記ガラクツロン酸がα-1,4結合した構造を有している。前記ペクチンは、一部のガラクツロン酸のカルボン酸基がメチルエステル基となっている。すなわち、前記ペクチンは、メチルエステル基を有するガラクツロン酸と、カルボン酸基を有するガラクツロン酸とを有する。前記ペクチンは、メチルエステル基を有するガラクツロン酸の分子中の存在比率(エステル化度:DE)によって大別され、DEが50%以上のものはHM(High Methylester)ペクチン、DEが50%未満のものはLM(Low Methylester)ペクチンと呼ばれる。一般的なペクチンの製造方法では、植物組織を高温酸性下で処理後、分離精製することによって前記ペクチンが得られる。このような製造方法で製造されたペクチンは、前記HMペクチンが大半を占めている。そして、前記LMペクチンは、前記HMペクチンを酸、アンモニア等の塩基、又は酵素等を用いて脱メチルエステル化することによって得られる。また、アンモニアを用いて製造されるLMペクチンはLMAペクチンと呼ばれ、該LMAペクチンは、前記ペクチンの一部のガラクツロン酸のメチルエステル基がアミド基に変換されたものである。一方、酸、他の塩基、又は酵素を用いて製造されるLMペクチンはLMCペクチンと呼ばれ、該LMCペクチンは、前記ペクチンの一部のガラクツロン酸のメチルエステル基がカルボキシル基に変換されたものである。
前記増粘多糖類は、前記脱アシルジェランガム又は前記LMペクチンのいずれか一方を含んでいればよいが、これらの両方を含むことが好ましい。具体的には、冷菓における前記脱アシルジェランガムの含有量を増加させることによって冷菓に優れた保形性を付与することができる一方で、該含有量を増加させると冷菓のフレーバーリリース性が低下傾向を示すことがある。また、前記増粘多糖類に前記LMペクチンのみを使用した場合には、保形性が、脱アシルジェランガムを単独で使用した場合、又は、ペクチンと併用した場合に比べ、低下傾向を示すことがある。このため、前記増粘多糖類は、前記脱アシルジェランガム及び前記LMペクチンの両方を含むことが好ましい。
また、前記冷菓用添加剤又は前記冷菓中の前記脱アシルジェランガムの質量は、前記LMペクチンの質量以下であることが好ましく、前記LMペクチンの質量よりも小さいことがより好ましい。より具体的には、前記脱アシルジェランガムと前記LMペクチンとの質量比は、1:1~1:4であることが好ましい。これによって、さらに、ミックス液の流動性を良好なものとすることができ、また、保形性とフレーバーリリース性に優れた冷菓を調製することができる。
前記LMペクチンは、前記LMCペクチン及び前記LMAペクチンの一方を含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。特に前記LMAペクチンはミックス液の流動性を向上させる機能に優れている。例えば、使用する原料に依存して冷菓の保形性を担保し難いことがある。しかし、保形性を担保するために前記脱アシルジェランガムの含有量を単に増やすとミックス液の流動性が損なわれるリスクがある。このような場合には、前記脱アシルジェランガムと前記LMAペクチンを併用し、増粘多糖類の総含有量を調節することで、増粘多糖類の総含有量を低減しつつ、冷菓の保形性及びミックス液の流動性を確保することができる。さらに、増粘多糖類の使用量を比較的少なくすることができるため、冷菓のフレーバーリリース性も良好なものとすることが可能となり得る。前記冷菓用添加剤又は前記冷菓中の前記脱アシルジェランガムと前記LMAペクチンとの質量比は、1:1~1:2であることが好ましい。
前記冷菓の総質量に対する前記増粘多糖類の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、前記含有量は、0.3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。前記増粘多糖類がこのような低含有量であっても、前記シトラス由来食物繊維と組み合わされることによって、冷菓に十分な保形性を付与することが可能となる。また、前記増粘多糖類が低含有量であることによって、ミックス液に十分な流動性を付与することができる。さらに、冷菓のフレーバーリリース性が損なわれることも抑制することができる。また、喫食者の後口のネバつきが抑制され、冷菓にあっさりとした風味を付与することができる。
前記増粘多糖類の総質量に対する前記脱アシルジェランガム及び前記LMペクチンの質量割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
前記シトラス由来食物繊維としては、例えば、レモン、ライム、オレンジ等の柑橘類由来の食物繊維が挙げられる。
ここで、食物繊維は、日本食品標準成分表において、「ヒトの消化酵素で消化されない食品の難消化性成分の総体」と定義されている。また、その定義法として、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」とを定量し、これらを合算して「食物繊維総質量」とする「プロスキー変法」が用いられる。
前記シトラス由来食物繊維に含まれる不溶性食物繊維の含有量は、該食物繊維の総質量に対して40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、45質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。また、前記シトラス由来食物繊維に含まれる水溶性食物繊維の含有量は、該食物繊維の総質量に対して10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、15質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。これによって、ミックス液に優れた安定性及び流動性を付与し易くなる。また、冷菓に優れた保形性を付与し易くなる。さらに、冷菓のフレーバーリリース性が損なわれることを抑制することができる。
なお、前記不溶性食物繊維及び前記水溶性食物繊維の含有量は、「日本食品成分表分析マニュアル」に記載のプロスキー変法によって測定することができる。より具体的には、前記プロスキー変法では、まず、マニュアル規定の酵素反応条件下で、不溶性の画分と、可溶性ではあるが追加のエタノール添加等の処理によって不溶化する画分とに分画する。次いで、それぞれの画分の質量から、これらに含まれる灰分及びたんぱく質の質量を差し引き、不溶性食物繊維の質量及び水溶性食物繊維の質量を求める。
前記シトラス由来食物繊維の前記不溶性成分は、セルロース繊維、キシログルカン等を含む。また、該セルロース繊維は、酸加水分解や物理的・化学的なミクロフィブリル化を受けておらず、よって該食物繊維は微結晶セルロースや微小繊維状セルロースとは明確に区別されるものである。
前記水溶性食物繊維としては、例えば、ペクチン等が挙げられる。
また、前記シトラス由来食物繊維は、所定の膨潤性を有していることが好ましい。所定の膨潤性とは、前記シトラス由来食物繊維を水に懸濁させて調製される1.0質量%懸濁液(前記シトラス由来食物繊維1g当たり99gの水に懸濁させた懸濁液)を、圧力ホモジナイザーで均質圧力15MPaにて均質化して得られる均質化懸濁液が、下記条件(1)及び(2)の両方を満たすことを意味する。
(1)B型粘度計を用いて、M2号ローターを使用し、撹拌回転数30rpm、温度25℃の条件下で測定した粘度(前記均質化懸濁液の粘度)が10~1,000mPa・sであること
(2)前記均質化懸濁液100gを100mLメスシリンダーに分注し、1時間25℃で静置後、懸濁状態の部分の体積(懸濁体積)が40~100mLであること
なお、前記均質化懸濁液の粘度は、10~800mPa・sであることがより好ましい。
前記冷菓用添加剤又は前記冷菓における、前記増粘多糖類と前記シトラス由来食物繊維との質量比は、1:1~1:10であることが好ましく、1:3~1:7であることがより好ましい。
前記冷菓の総質量に対する前記シトラス由来食物繊維の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがさらに好ましい。これによって、ミックス液の安定性が向上し、また、冷菓に優れた保形性を付与することができる。また、該含有量は、1.2質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましい。これによって、ミックス液の流動性が適度なものとなる。
上記の他、前記冷菓用添加剤は、キレート剤を含むことが好ましい。該キレート剤としては、例えば、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、フィチン酸等のリン酸系キレート剤、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸及びこれらの塩等のポリカルボン酸系キレート剤が挙げられる。前記キレート剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。前記キレート剤は、メタリン酸ナトリウム又はピロリン酸ナトリウムを含むことが好ましく、これらの両方を含むことがより好ましい。これによって、前記脱アシル型ジェランガムや前記LMペクチン(特に前記LMAペクチン)によるミックス液の増粘やゲル化を抑制することができる。
前記キレート剤と前記増粘多糖類との質量比は、1:1~2:1であることが好ましい。また、前記冷菓の総質量に対する前記キレート剤の含有量は、0.1~1.0質量%であることが好ましく、0.1~0.5質量%であることがより好ましい。
前記冷菓用添加剤は、その効果を阻害しない程度に、前記脱アシルジェランガムや前記LMペクチン以外の多糖類を含んでいてもよい。該多糖類としては、例えば、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、タマリンド種子多糖類、グルコマンナン、ネイティブジェランガム、寒天、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、微結晶セルロース、ゼラチン等が挙げられる。
上記構成の冷菓用添加剤を用いる利点として、次のような事項が挙げられる。前記増粘多糖類とともに前記シトラス由来食物繊維を含むミックス液は、凝集することなく、適度な流動性を有するものとなる。しかも、前記シトラス由来食物繊維を含む冷菓は、他の食物繊維を含む冷菓と比較して、型崩れやドリップが抑制された保形性に優れたものとなる。すなわち、前記脱アシルジェランガム及び前記LMペクチンの少なくとも一方と前記シトラス由来食物繊維との組み合わせにより、冷菓の保形性及びミックス液の流動性を両立させることができる。このような効果が奏される理由としては、例えば、上記組み合わせによって、冷菓製造工程中のフリージング工程や硬化工程において凍結濃縮現象が生じた際に、食物繊維のみの場合と比較して、より密な網目構造が形成され、この網目構造によって束縛水が保持され易くなることが挙げられる。これに対して、増粘多糖類(具体的には、前記脱アシルジェランガムと前記LMペクチンとの組み合わせ)のみでは、冷菓の保形性及びミックス液の流動性を両立させることは困難となる。また、食物繊維のみでもこれらを両立させることは困難となる。
本実施形態の冷菓用添加剤は、例えば、アイスクリーム(JAS規格において乳固形分15%以上であり、該成分において乳脂肪分8%以上)、アイスミルク(JAS規格において乳固形分10%以上であり、該成分において乳脂肪分3%以上)、ラクトアイス(JAS規格において乳固形分3%以上)、氷菓等の冷菓に使用することができる。
前記冷菓のその他の原料としては、通常の冷菓に用いられる原料を使用することができ、例えば、乳及び乳製品(生乳、クリーム、バター、バターオイル、練乳、濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク、ホエー粉等)、植物脂肪(やし油、パーム油、パーム核油等)、糖質(ショ糖、ブドウ糖、異性化糖、水あめ、粉末水あめ等)、甘味料(アスパルテーム、ステビア等)、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等)、果汁(ぶどう等)、香料(バニラ等)、色素等が挙げられる。
前記冷菓の形態としては、特に限定されないが、例えば、カップタイプ、バータイプ、モナカタイプ、サンドタイプ、コーンタイプ、マルチパックタイプ、一口タイプ等が挙げられる。
前記冷菓は、一般的な製造方法によって製造することができる。該製造方法としては、例えば、前記冷菓用添加剤、水、油脂、タンパク質、糖質、乳化剤、甘味料、安定剤、香料、色素等の原料を混合して第1のミックス液を調製し、該第1のミックス液を予備乳化、均質化(乳化)処理、殺菌処理した後に、2~5℃で12~18時間エージングし(エージング工程)、第2のミックス液を調製する。そして、該第2のミックス液をフリージングすることによって(フリージング工程)前記冷菓を製造することができる。
前記フリージング工程では、冷菓のオーバーランを20~150%に調整することが好ましく、30~100%に調整することがさらに好ましい。これによって、冷菓の食感が良好なものとなる。なお、前記オーバーランとは、前記フリージング工程により該冷菓に混入された空気の量を示す指標である。例えば、オーバーラン100%の冷菓は、前記第2のミックス液と同体積の空気を含んだ冷菓を意味する。前記オーバーランは、通常、下記式によって算出される。
オーバーラン(%)=[(A-B)/B]×100
A:第2のミックス液の質量
B:第2のミックス液の質量Aに対応する体積の冷菓の質量
前記フリージング工程では、前記第2のミックス液に空気の気泡を混入させてオーバーランを調整する。本実施形態の冷菓用添加剤を含有する第2のミックス液であれば、フリージング工程に通常採用される温度(約-3~-9℃)にて、適宜オーバーランを調整することが可能となる。
本実施形態に係る冷菓用添加剤を含むミックス液は、原料の分離や凝集の発生が抑制され、さらに、0~10℃程度の冷蔵によるゲル化や増粘の発現が抑制されている。よって、該ミックス液から製造される冷菓は、品質が良好なものとなる。また、工業的なスケールであっても、エージング工程を容易に実施することができる。
また、該ミックス液は、ソフトクリームのように、多くの場合、店頭でフリージング工程が行われる冷菓の製造に適している。具体的には、このような冷菓を製造するためのミックス液は、凍結しない冷蔵温度(0~10℃)で一時的に保管される。そして、提供時に、-3~-9℃に凍結されることによって冷菓にされる。該ミックス液は、上記のような取扱性に優れたものとなっているため、店頭への輸送時(0~10℃)や冷蔵保管時における劣化(凝集やゲル化)が抑制されたものとなる。また、このようなミックス液により製造される冷菓も品質の劣化が抑制されたものとなる。
また、本実施形態に係る冷菓用添加剤を含む冷菓は、型崩れやドリップが抑制された保形性に優れたものであるため、温度変化による品質低下が抑制され、また、喫食時間を延長させることが可能となる。さらに、フレーバーリリース性が良好なものとなる。
以上のように、例示として一実施形態を示したが、本発明に係る冷菓用添加剤は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る冷菓用添加剤は、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係る冷菓用添加剤は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
下記表1に示す基本原料を使用して、冷菓用添加剤の成分及び配合割合を種々変更し、ミックス液及び冷菓の品質について評価することとした。
Figure 2022131598000001
[製造例1]
5Lのガラス製ビーカーに、各原料を総質量が2,500gになるように加え、TKホモミキサー(型式:MARKII;プライミクス社製)を用いて回転数9,000rpmにて撹拌しながら混合液を加温し、85℃に到達後10分間撹拌を継続して第1のミックス液を得た。第1のミックス液を二段式ピストンホモジナイザー(型式:HA06816; 三和エンジニアリング社製)で一段目10MPa、二段目5MPaの圧力条件にて均質化処理を行った。次いで、均質化した第2のミックス液をスリーワンモーター(型式:BL1200;HEIDON社製)にて撹拌しながら10℃まで冷却し、その後、一晩10℃の恒温庫にてエージングした。アイスクリームフリーザー(型式:ダイヤソフトクリームフリーザーSF-2;三菱重工社製)を用いて第2のミックス液に対しフリージングを行った後、95mLの紙カップに充填し、-40℃の冷凍庫にて硬化させ、冷菓としてのラクトアイスを得た。
[評価1:ミックス液の安定性]
製造例1における第2のミックス液を200mLのトールビーカーに採取して外観観察を行い、分離及び凝集の発生の有無により、ミックス液の安定性を評価した。
(評価基準)
○:分離及び凝集が認められない
×:分離及び凝集が認められる
[評価2:ミックス液の流動性]
製造例1における第2のミックス液をトールビーカーに採取し、トールビーカーを傾けることによって第2のミックス液の流動性の有無を観察し、流動性が認められた場合は、B型粘度計(型式:TVB-10;東機産業社製)を用い、M2号ローターを使用し、30rpm、試料温度10℃の条件下で粘度を測定した。
(評価基準)
◎:流動性が認められ、粘度が600mPa・s未満
○:流動性が認められ、粘度が600mPa・s以上、1,200mPa・s未満
△:流動性が認められるが、粘度が1,200mPa・s以上
×:流動性が認められない
[評価3:冷菓の保形性(型崩れ)]
製造例1で製造した各ラクトアイスを、直径30mm、高さ20mmの円筒状に切り出して、シャーレに載置した。この状態のアイスを-40℃の冷凍庫に一晩保管した。保管後のアイスを25℃に調温した恒温庫に入れ、型崩れの様子を観察した。
(評価基準)
◎:原形が保たれている
○:少しの溶解が認められるものの、原形がほぼ保たれている
△:固形分が認められるものの、溶解状態の液分の割合が多い
×:固形分が認められるものの、液分の割合がかなり多い
[評価4:冷菓の保形性(ドリップ)]
製造例1で製造した各ラクトアイスを、直径30mm、高さ20mmの円筒状に切り出して、10メッシュの網上に載置した。この状態のアイスを-40℃の冷凍庫に一晩保管した。保管後の冷菓を25℃に調温した恒温庫に入れ、60分後にメッシュから滴下した融解液の質量を測定した。融解液の質量を切り出したアイスの重量で除し、百分率で表したものを「ドリップ率」とし、これを指標にドリップについて評価した。
(評価基準)
◎:ドリップ率が15.0%未満
○:ドリップ率が15.0%以上、25.0%未満
△:ドリップ率が25.0%以上、35.0%未満
×:ドリップ率が35.0%以上
[評価5:冷菓のフレーバーリリース性]
各アイスの香立ちの強さを評価した。
(評価基準)
◎:香立ちが強い
○:香立ちがやや強い
△:香立ちがやや弱い
×:香立ちが弱い
製造例1にて製造した各ラクトアイスの評価結果を下記表2に示した。増粘多糖類として脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方を含み、且つ、シトラス由来食物繊維を含むミックス液は、安定性及び流動性に優れることが認められた。また、これらを含む冷菓は、保形性及びフレーバーリリース性に優れることが認められた。
Figure 2022131598000002
次に、食物繊維の種類を種々変更し、製造例1と同様にしてラクトアイスを製造し、上記の評価方法に従って、ミックス液及びアイスについて評価を行った。また、次に記載の方法に従って、各食物繊維の膨潤性について評価を行った。
[膨潤性の評価]
(1)食物繊維懸濁液の調製
1Lステンレスビーカーに495.0gの水道水を入れ、スリーワンモーター(型式:BL1200;HEIDON社製)を用いて、撹拌回転数550rpmで撹拌しながら、5.0gの粉末状の食物繊維を投入した。投入後、スリーワンモーターの撹拌回転数を800rpmに設定し5分間撹拌を継続した。次いで、この1.0質量%懸濁液を一段式ピストンホモジナイザー(型式:HA6011;三和エンジニアリング社製)を用いて均質圧力15MPaで均質化処理し(1回)、均質化懸濁液を得た。
(2)均質化懸濁液の粘度測定
均質化懸濁液200gを200mLトールビーカーに分取し、25 ℃に設定した恒温槽にて2時間調温した。調温後の均質化後懸濁液を、B型粘度計(型式:TVB-10;東機産業社製)を用い、M2号ローターを使用し、撹拌回転数30rpm、温度25℃の条件下で均質化懸濁液の粘度を測定した。結果を下記表3に示した。
(3)懸濁体積の測定
均質化懸濁液100gを100mLのメスシリンダーに分注し、1時間25℃で静置した。静置後、懸濁部分の体積を目視にて測定し、この体積を懸濁体積とした。結果を下記表3に示した。
Figure 2022131598000003
表3より、シトラス由来食物繊維を使用した場合には、ミックス液の安定性及び流動性、並びに、冷菓の保形性及びフレーバーリリース性が優れていることが認められた。
さらに、表3においてミックス液の安定性及び流動性、並びに、冷菓の保形性及びフレーバーリリース性が優れていることが確認された3種のシトラス由来食物繊維について、プロスキー変法を用いて不溶性食物繊維含量及び水溶性食物繊維含量を定量した。結果は、下記表4に示した通りである。なお、プロスキー変法は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」に準拠して実施した。また、表4に記載の値は総食物繊維含量に対する不溶性食物繊維含量及び水溶性食物繊維含量である。
Figure 2022131598000004
表4より、シトラス由来食物繊維の不溶性食物繊維含量及び水溶性食物繊維含量はそれぞれ44.5~82.6質量%、17.4~55.5質量%であった。
次に、増粘多糖類の種類、並びに、増粘多糖類とシトラス由来食物繊維との配合割合について、さらに検討することとした。なお、冷菓製造用の基本原料は、下記表5に示したものを用いた。
Figure 2022131598000005
[製造例2]
3Lステンレス製ビーカーに、各原料を総質量が2,500gになるように加え、スリーワンモーター(型式:BL1200;HEIDON社製)を用いて撹拌しながら混合液を加温し、85℃に到達後10分間撹拌して第1のミックス液を得た。第1のミックス液をTKホモミキサー(型式:MARKII;プライミクス社製)で8,000rpm、3分間予備乳化した後、二段式ピストンホモジナイザー(型式:HA06816; 三和エンジニアリング社製)で一段目10MPa、二段目5MPaの圧力条件にて均質化処理を行った。次いで、均質化したミックス液をスリーワンモーター(型式:BL1200;HEIDON社製)にて撹拌しながら10℃まで冷却し、一晩10℃の恒温庫にてエージングした。エージング後、アイスクリームフリーザー(型式:ダイヤソフトクリームフリーザーSF-2;三菱重工社製)を用いてフリージングを行った後、95mLの紙カップに充填し、-40℃の冷凍庫にて硬化させ、冷菓としての氷菓を得た。得られた氷菓について、上記評価1~5の方法に従って評価した。結果を下記表6に示した。
Figure 2022131598000006
表6から、脱アシルジェランガム、LMペクチン、及びシトラス由来食物繊維の配合量や配合割合によって、ミックス液の安定性及び流動性、並びに、冷菓の保形性及びフレーバーリリース性が、さらに改善されることが認められた。

Claims (4)

  1. 増粘多糖類と、食物繊維とを含み、
    前記増粘多糖類が、脱アシルジェランガム及びLMペクチンの少なくとも一方を含み、
    前記食物繊維が、シトラス由来食物繊維を含む、冷菓用添加剤。
  2. 前記シトラス由来食物繊維に含まれる不溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して40質量%以上90質量%以下であり、且つ、水溶性食物繊維の含有量が前記食物繊維の総質量に対して10質量%以上60質量%以下である、請求項1に記載の冷菓用添加剤。
  3. 請求項1又は2に記載の冷菓用添加剤を含む冷菓。
  4. 前記増粘多糖類の含有量が前記冷菓の総質量に対して0.01質量%以上0.3質量%以下であり、且つ、前記シトラス由来食物繊維の含有量が前記冷菓の総質量に対して0.1質量%以上1.2質量%以下である、請求項3に記載の冷菓。
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