JP2022130986A - 滑り免震装置の取り付け方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可及的にシンプルな取り付け時の構成の滑り免震装置にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、下部構造体と上部構造体の間に滑り免震装置を取り付けることを可能にした、滑り免震装置の取り付け方法を提供すること。【解決手段】下部構造体20と上部構造体10の間に、上沓41と下沓43と摺動体45を備えた滑り免震装置40を取り付ける、滑り免震装置の取り付け方法であり、上沓41と下沓43を固定治具50にて固定して仮設時滑り免震装置40Aとし、仮設時滑り免震装置40Aを下部構造体20の上に載置するA工程と、上部構造体10と上沓41を固定するB工程と、下沓43の設置位置を、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた上部構造体10の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせた位置に調整し、下沓43と下部構造体20を固定するC工程とを有する。【選択図】図6

Description

本発明は、滑り免震装置の取り付け方法に関する。
地震国であるわが国においては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅、物流倉庫といった様々な構造物に対して、免震支承が適用されている。この免震支承は、下部構造体の一部である基礎や橋脚(もしくは橋台)と、柱-梁フレーム架構や橋桁といった上部構造体との間に免震装置を介在させることにより形成される。免震支承を形成する免震装置により、基礎の振動が上部構造物へ伝達されることを低減し、上部構造物の振動を低減することによりその構造安定性が保証される。尚、この免震装置は、地震時のみならず、構造物に対して常時作用する交通振動の上部構造物への影響低減にも効果を発揮する。
免震装置には、鉛プラグ入り積層ゴム装置や高減衰積層ゴム装置、積層ゴム装置とダンパーを組み合わせた装置、滑り免震装置など、様々な形態の装置が存在している。その中で、滑り免震装置には平面滑り免震装置と球面滑り免震装置があり、球面滑り免震装置にはさらに、摺動体に対して上沓と下沓のいずれか一方が摺動する片面滑り免震装置(シングルコンケイブ式の免震装置)と、摺動体に対して上沓と下沓の双方が摺動する二面滑り免震装置(ダブルコンケイブ式の免震装置)がある。
ところで、一般の構造物や免震装置を設計する際の温度(以下、この温度を「基準温度」という)は、20℃程度の室温に設定されることが一般的であり、例えば春期や秋期の日中の平均的な温度に相当する。例えば、橋梁の橋桁の設計においても基準温度を20℃としてその橋軸方向の長さが設定されていることから、橋脚等の上に免震装置を取り付け、免震装置の上に橋桁を取り付ける取り付け時(施工時)の温度が基準温度と異なる場合(このような場合は往々にしてある)、橋桁の橋軸方向への伸縮により、免震装置には設置当初からせん断力が作用することになる。
免震装置が積層ゴム装置の場合は、作用するせん断力により積層ゴム体にはせん断変形が生じており、免震装置が滑り免震装置の場合は、作用するせん断力により上沓と下沓の相対変位や偏心が生じる。設計条件等により、沓のサイズが小さな滑り免震装置において、このような施工時における偏心が生じた場合に、設計上必要な沓の変位量を確保できない事態が生じ得る。
ここで、特許文献1には、鉄骨梁の温度による伸縮、建て込み時の施工誤差等による公差累積によっても鉄骨柱間に鉄骨梁を容易に建て込むことを可能にした、免震建物の施工方法が提案されている。具体的には、少なくとも2つの下部ベースプレートの上に施工時の滑り免震支承構造を施工する、滑り免震支承構造形成工程と、2つの鉄骨柱の間に鉄骨梁を吊り込み、柱位置調整具により、2つの鉄骨柱の少なくとも一方の位置調整を行いながら2つの鉄骨柱の間に鉄骨梁を設置して接続する鉄骨梁設置工程と、鉄骨梁の上にコンクリート床版を施工する床板施工工程と、固定治具を滑り免震装置から取り外す、固定治具撤去工程とを有する、免震建物の施工方法である。
ここで、施工時の滑り免震支承構造は、建物の下部構造体及び上部構造体と、それらの間に介在する滑り免震装置とにより構成される。下沓は、下部構造体に対してボルト固定されずに載置されているのみであり、鋼製の上部ベースプレートと、上部ベースプレートに接続される鉄骨柱とを少なくとも備える上部構造体における上部ベースプレートは、上沓にボルト固定されずに載置されているのみである。上沓にはボルト孔が開設され、上部ベースプレートにボルト孔よりも大径のルーズ孔が開設され、ルーズ孔内でスライド自在なフェイルセーフ用ボルトが上沓のボルト孔とルーズ孔に挿通され、フェイルセーフ用ボルトの上部には、上沓と上部ベースプレートを締付け固定しない状態でナットが取り付けられている。フェイルセーフ用ボルトは、ルーズ孔によって上部構造体から作用するせん断力を負担せず、上部構造体から作用する引張力を負担するものであり、上沓と下沓が、複数の固定治具により相対移動が規制された状態で仮固定されている。
特開2020-33716号公報
特許文献1に記載の免震建物の施工方法によれば、施工手間を低減でき、公差累積によっても鉄骨柱間に鉄骨梁を容易に建て込むことができる。しかしながら、滑り免震支承構造形成工程において施工される、施工時の滑り免震支承構造が比較的複雑な構造を有していることから、可及的にシンプルな取り付け時の構成の滑り免震装置にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、下部構造体と上部構造体の間に滑り免震装置を取り付けることを可能にした、滑り免震装置の取り付け方法の開発が望まれる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、可及的にシンプルな取り付け時の構成の滑り免震装置にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、下部構造体と上部構造体の間に滑り免震装置を取り付けることを可能にした、滑り免震装置の取り付け方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による滑り免震装置の取り付け方法の一態様は、
下部構造体と上部構造体の間に、上沓と下沓と摺動体を備えた滑り免震装置を取り付ける、滑り免震装置の取り付け方法であって、
前記上沓と前記下沓を固定治具にて固定して仮設時滑り免震装置とし、該仮設時滑り免震装置を前記下部構造体の上に載置する、A工程と、
前記上部構造体と前記上沓を固定する、B工程と、
前記下沓の設置位置を、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた前記上部構造体の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせた位置に調整し、該下沓と前記下部構造体を固定する、C工程と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、仮設時滑り免震装置が、供用時の滑り免震装置に固定治具を取り付けただけのシンプルな構成であり、滑り免震装置の取り付けに当たり、上部構造体と上沓を固定した後、下沓の設置位置を、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた上部構造体の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせた位置に調整した上で下沓と下部構造体を固定することにより、可及的にシンプルな取り付け時の構成の滑り免震装置にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、滑り免震装置を取り付けることが可能になる。このことにより、滑り免震装置の取り付け時に、上部構造体の温度伸縮に起因するせん断力が滑り免震装置に作用することが解消され、当該せん断力により上沓と下沓の相対変位や偏心が生じる恐れはない。
本態様において、A工程では、固定治具にて上沓と下沓が固定されることにより、仮設時滑り免震装置が形成されているが、この仮設時滑り免震装置は、現場に搬送された滑り免震装置に対して固定治具を取り付けることにより形成されてもよいし、例えば工場にて形成された仮設時滑り免震装置が現場へ搬入されてもよい。現場において、仮設時滑り免震装置は例えば重機にて吊り搬送されることから、固定治具が吊り治具用開口を有しているのが好ましい。
ここで、「上部構造体の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせる」とは、例えば、上部構造体が橋桁や鉄骨梁等の長尺な鋼材の場合に、鋼材が基準温度の際の長さよりも取り付け時の長さが伸長した場合は、伸長方向に伸長量だけセットバックさせることを意味しており、逆に、取り付け時の長さが伸縮した場合は、伸縮方向に伸縮量だけセットバックさせることを意味している。C工程では、仮設時滑り免震装置を構成している固定治具の例えば一部を上沓もしくは下沓から取り外し、上沓と下沓のいずれか一方を相対変位できるようにしておいた上で、温度伸縮方向に上沓と下沓の一方をセットバックさせた後、上沓と下沓を正対させて供用時の滑り免震装置を形成し、下沓を下部構造体に固定する。
また、本発明による滑り免震装置の取り付け方法の他の態様において、
前記上沓の側面には第一ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面には第二ボルト孔が設けられており、
前記固定治具は、前記上沓と前記下沓に跨がる鋼材により形成され、該鋼材のうち、前記第一ボルト孔に対応する位置には第三ボルト孔が設けられ、前記第二ボルト孔に対応する位置には第四ボルト孔が設けられ、前記上沓の側面に対応する位置には第五ボルト孔が設けられており、
前記A工程における、前記仮設時滑り免震装置においては、第一ボルトが前記第三ボルト孔を介して前記第一ボルト孔に螺合され、第二ボルトが前記第四ボルト孔を介して前記第二ボルト孔に螺合されており、
前記C工程では、前記第一ボルトを前記第一ボルト孔と前記第三ボルト孔から取り外し、前記第五ボルト孔に螺合して該第一ボルトの先端を前記上沓の側面に当接させて該上沓を押し込むことにより、前記上部構造体と前記上沓に反力を取って前記下沓を移動させて該下沓の位置の調整を行うことを特徴とする。
本態様によれば、鋼板からなる固定治具が、上沓及び下沓とボルト固定されるためのボルト孔(第三ボルト孔と第四ボルト孔)の他に、下沓をセットバックさせるべく上沓を押し込むための第五ボルト孔を有していることにより、固定治具を介して仮設時滑り免震装置を形成できるとともに、固定治具を利用して上部構造体の温度伸縮量だけ下沓をセットバックさせることができる。相互に固定されている上部構造体と上沓は、下沓に比べて重量が格段に大きいことから、下沓に固定されている固定治具の第五ボルト孔を介して第一ボルトの先端を上沓の側面に当接させて上沓を押し込むことにより、その反力を利用して下沓を容易にセットバックさせることが可能になる。
また、本発明による滑り免震装置の取り付け方法の他の態様において、
前記上沓の側面には第一ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面には第二ボルト孔が設けられており、
前記固定治具は、前記上沓と前記下沓に跨がる鋼材により形成され、該鋼材のうち、前記第一ボルト孔に対応する位置には第三ボルト孔が設けられ、前記第二ボルト孔に対応する位置には第四ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面に対応する位置には第五ボルト孔が設けられており、
前記A工程における、前記仮設時滑り免震装置においては、第一ボルトが前記第三ボルト孔を介して前記第一ボルト孔に螺合され、第二ボルトが前記第四ボルト孔を介して前記第二ボルト孔に螺合されており、
前記C工程では、前記第二ボルトを前記第二ボルト孔と前記第四ボルト孔から取り外し、前記第五ボルト孔に螺合して該第二ボルトの先端を前記下沓の側面に当接させて該下沓を押し込むことにより、該下沓を移動させて該下沓の位置の調整を行うことを特徴とする。
本態様によれば、鋼板からなる固定治具が、上沓及び下沓とボルト固定されるためのボルト孔(第三ボルト孔と第四ボルト孔)の他に、下沓をセットバックさせるべく下沓を押し込むための第五ボルト孔を有していることにより、固定治具を介して仮設時滑り免震装置を形成できるとともに、固定治具を利用して上部構造体の温度伸縮量だけ下沓をセットバックさせることができる。相互に固定されている上部構造体と上沓は、下沓に比べて重量が格段に大きいことから、上沓に固定されている固定治具の第五ボルト孔を介して第二ボルトの先端を下沓の側面に当接させて下沓を押し込むことにより、下沓を容易にセットバックさせることが可能になる。
また、本発明による滑り免震装置の取り付け方法の他の態様において、
前記下部構造体が橋脚もしくは橋台であり、前記上部構造体が橋桁であって、
前記滑り免震装置は、前記上沓と前記下沓に跨る一対の移動方向規制治具をさらに備え、該一対の移動方向規制治具が該上沓と該下沓のいずれか一方に対して固定され、該上沓と該下沓の他方に対して固定されておらず、該他方の沓の所定方向への水平変位が該移動方向規制治具により規制され、
前記移動方向規制治具は鍵部を備え、該鍵部が前記他方の沓の端部の上面もしくは下面に配設されることにより、該他方の沓の鉛直変位が規制されており、
一対の前記移動方向規制治具は橋軸直角方向に配設され、前記上沓と前記下沓における橋軸方向の一対の側面にそれぞれ、前記固定治具が取り付けられており、
前記C工程では、前記温度伸縮方向が橋軸方向であり、前記第一ボルトにより、前記下沓を前記温度伸縮方向にセットバックすることを特徴とする。
本態様によれば、滑り免震装置が橋軸直角方向に配設されている一対の移動方向規制治具を有していることにより、橋桁の主たる温度伸縮方向である橋軸方向に対して、下沓をスムーズにセットバックさせることができ、その上で、より一層制震性能に優れた免震支承を施工することができる。
また、本発明による滑り免震装置の取り付け方法の他の態様において、
前記上沓と前記下沓がいずれも沓であり、前記摺動体が該上沓と該下沓の摺動面を摺動する、二面滑り免震装置である、第一形態、
前記上沓と前記下沓の一方が沓であり、他方が受け台であり、該受け台の備える球座に回動自在に前記摺動体が収容されている、片面滑り免震装置である、第二形態、
前記上沓と前記下沓の一方に前記摺動体が取り付けられ、前記上沓と前記下沓の他方に対して平面内で摺動する、平面滑り免震装置である、第三形態、のいずれか一種が取り付けられることを特徴とする。
本態様によれば、二面滑り免震装置、片面滑り免震装置といった球面滑り免震装置と、平面滑り免震装置のいずれの滑り免震装置の取り付けに際しても、可及的にシンプルな取り付け時の構成の滑り免震装置にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、滑り免震装置を取り付けることが可能になる。
以上の説明から理解できるように、本発明の滑り免震装置の取り付け方法によれば、可及的にシンプルな取り付け時の構成にて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する上部構造体の伸縮に追随しながら、下部構造体と上部構造体の間に滑り免震装置を取り付けることができる。
仮設時滑り免震装置と滑り免震装置の一例の斜視図である。 図1のII-II矢視図であって、仮設時滑り免震装置と滑り免震装置の一例の縦断面図である。 上沓と下沓に対して固定治具を取り付ける方法を説明する斜視図であって、第一ボルトを、第一ボルト孔と第三ボルト孔から取り外して第五ボルト孔に螺合させ、第一ボルトにて上沓の側面を押し込むことを説明する図である。 実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法のA工程を説明する工程図である。 図4に続いて、滑り免震装置の取り付け方法のB工程を説明する工程図である。 図5に続いて、滑り免震装置の取り付け方法のC工程を説明する工程図である。 図6に続いて、滑り免震装置の取り付け方法のC工程を説明する工程図である。
以下、実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法について、仮設時滑り免震装置と滑り免震装置の一例とともに添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態]
<仮設時滑り免震装置と滑り免震装置>
はじめに、図1乃至図3を参照して、実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法の仮設時における、仮設時滑り免震装置の一例と、仮設時滑り免震装置から固定治具が取り外されることにより形成される、供用時の滑り免震装置の一例について説明する。ここで、図1は、仮設時滑り免震装置と滑り免震装置の一例の斜視図であり、図2は、図1のII-II矢視図であって、仮設時滑り免震装置と滑り免震装置の一例の縦断面図である。また、図3は、上沓と下沓に対して固定治具を取り付ける方法を説明する斜視図であって、第一ボルトを、第一ボルト孔と第三ボルト孔から取り外して第五ボルト孔に螺合させ、第一ボルトにて上沓の側面を押し込むことを説明する図である。
図示例において、実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法は、橋脚もしくは橋台の天端に橋桁を支持する滑り免震装置40を取り付けることにより、橋梁の免震支承を施工する方法として説明するが、取り付け対象は橋脚以外にも、高架道路、ビルやマンション等の様々な建築物が含まれる。
滑り免震装置40が適用される橋梁(図示せず)は、橋軸方向に間隔を置いて配設される、例えば鉄筋コンクリート製の複数の橋脚(下部構造体の一例)に対して、固定支承や可動支承である滑り免震装置40を介して上部構造体である橋桁(例えば図5参照)が支持されることにより形成される。
図1及び図2に示すように、供用時の滑り免震装置40は、上沓41(沓の一例)と、下沓43(受け台の一例)と、受け台43に対して回動自在な摺動体45とを有し、摺動体45に対して沓41がスライド自在に構成されている片面滑り免震装置である。そして、橋脚20の天端に滑り免震装置が取り付けられる際の仮設時滑り免震装置40Aは、供用時の滑り免震装置40の構成に対して、沓41と受け台43を固定する複数(図示例は四つ)の固定治具50が取り付けられることにより形成される。
尚、図示を省略するが、滑り免震装置は、図示例の形態以外にも、摺動体45が上沓41に対して回動自在に配設され(上沓が受け台である)、摺動体45に対して下沓43がスライド自在に構成されている(下沓が沓である)、図示例とは天地逆転した構成の片面滑り免震装置であってもよいし、二面滑り免震装置であってもよいし、平面滑り免震装置であってもよい。
沓41と受け台43はともに、溶接鋼材用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、C、もしくはS45C)、あるいはSUS材や鋳鋼材、鋳鉄等から形成され、相互に平面寸法の異なる平面視矩形を呈している。図示例では、受け台43の平面寸法が相対的に大きくなっている。
沓41の上面は、上部構造体を支持する平坦な構造体支持面41aである。この構造体支持面41aのうち、一対の端辺には係合溝41bが設けられている。また、受け台43の上面には、ブロック状の本体部47aと、本体部47aの上部において沓41側に突出する鍵部47bとを備える二つの移動方向規制治具47が設けられている。そして、それぞれの移動方向規制治具47の有する鍵部47bが、対応する係合溝41bに対して遊嵌されている。また、構造体支持面41aの四つの隅角部近傍には、沓41と橋桁を固定するためのセットボルトが螺合されるセットボルト孔41mが設けられている。
図2からも明らかなように、沓41の係合溝41bと移動方向規制治具47の鍵部47bとの間には隙間があり、鍵部47bの下面と係合溝41bの底面の間には鉛直方向の長さt1の隙間41fが設けられ、本体部47aと沓41の外周面との間には水平方向の長さt2の隙間41gが設けられている。
図2に示すように、常時においては、左右一対の移動方向規制治具47と沓41は相互に隙間41f,41gを有した状態で完全に縁切りされており、従って、図1に示すように、上部構造体(図示せず)を支持する沓41は橋軸方向に移動自在となっている。
一方、図2に示すように、沓41の下面には、円柱状の溝からなるストッパーリング41dが設けられ、このストッパーリング41dの内側には、凹球状で平面視円形の摺動面である、第二凹球面41cが設けられている。そして、第二凹球面41cには、ステンレス製で平面視円形の相手材42(滑り板)が嵌め込まれている。また、相手材42の摺動面には鏡面仕上げ加工が施されている。相手材42は、ストッパーリング41d及び第二凹球面41cの平面視寸法よりも大きな平面視寸法を有しており、相対的に平面視寸法の大きな相手材42がストッパーリング41dを介して第二凹球面41cに嵌め込まれていることにより、相手材42にはその径方向に圧縮力が生じ、この圧縮力の反力がストッパーリング41dを径方向外側へ押し込むことにより、第二凹球面41cに対して相手材42が強固に固定されている。
図2に示すように、受け台43の上面には、第一凹球面44a(摺動面)を備えている球座44が、複数のボルト(図示せず)により着脱自在に固定されている。ここで、球座44も、沓41や受け台43と同様の素材により形成されている。
また、受け台43には、橋脚に設けられているアンカーボルト孔に挿入される複数(図示例は六つ)のアンカーボルト49を備えている。
図2に示す様に、球座44の第一凹球面44aには、摺動体45の有する下方の第一凸球面45b(摺動面)が回動自在に収容されている。摺動体45は、その上方に沓41の第二凹球面41cと同様の曲率を有する第二凸球面45a(摺動面)を有し、その下方に上記する第一凸球面45bを有している。第二凸球面45aには、摩擦材46が取り付けられている。
ここで、摩擦材46は、例えば、少なくともPTFEを素材とする摩擦材である。摩擦材46は二重織物により形成され、二重織物は、PTFE繊維(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)と、PTFE繊維よりも引張強度の高い繊維(高強度繊維)とにより形成される。ここで、「PTFE繊維よりも引張強度の高い繊維」としては、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6などのポリアミドやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルやパラアラミドなどの繊維を挙げることができる。また、メタアラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、カーボン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、LCP、ポリイミド、PEEKなどの繊維を挙げることができる。また、さらに、熱融着繊維や綿、ウールなどの繊維を適用してもよい。その中でも、耐薬品性、耐加水分解性に優れ、引張強度の極めて高いPPS繊維が望ましい。
尚、少なくともPTFEを素材とする摩擦材46としては、二重織物以外のPTFE繊維を含む織物でもよく、また、PTFEのみを素材とする摩擦材、PTFEと他の樹脂の複合素材からなる摩擦材、PTFEを素材とする摩擦材と他の樹脂を素材とする摩擦材との積層構造の摩擦材などであってもよい。
図1及び図2に示すように、受け台43の上面に固定されている球座44に摺動体45が回動自在に収容され、摺動体45の天端の摩擦材46に対して、第二凹球面41cに嵌め込まれている相手材42が当接するようにして沓41が配設される。この状態で、沓41の左右の係合溝41bに鍵部47bが遊嵌するようにして、断面視逆L型の一対の移動方向規制治具47が、複数のボルト48により受け台43に固定され、可動支承や固定支承を構成する滑り免震装置40が形成される。ここで、移動方向規制治具47も、沓41や受け台43と同様の素材により形成される。
図2に示すように、移動方向規制治具47の鍵部47bと沓41の係合溝41bの底面との間に、鉛直方向の長さt1の隙間41fが存在するものの、例えば、大地震時において沓41が水平変位する過程で上方に持ち上げられた際に、上方にある鍵部47bがストッパーとなることにより、上部構造体を支持する沓41の過度な上方への浮き上がりが抑制される。
図3に示すように、沓41と受け台43のうち、それぞれの橋軸方向にある一対の側面41j、43aには、固定治具50が固定される第一ボルト孔41kと第二ボルト孔43bが設けられている。
固定治具50は、山形鋼等の形鋼材(鋼材の一例)により形成され、図示例は、相互に直交する第一片51と第二片52とを有する。第一片51のうち、沓41の第一ボルト孔41kに対応する位置には縦長の第三ボルト孔53が設けられ、受け台43の第二ボルト孔43bに対応する位置には第四ボルト孔54が設けられている。さらに、第三ボルト孔53の下方のうち、沓41の側面41jの任意箇所41nに対応する位置には第五ボルト孔55が設けられている。
仮設時滑り免震装置40Aを形成する際は、第一ボルト58を、第三ボルト孔53へX1方向に挿通させて第一ボルト孔41kに螺合し、第二ボルト59を、第四ボルト孔54へX2方向に挿通させて第二ボルト孔43bに螺合する。
一方、以下で詳説するように、第一ボルト58にて沓41の側面41j(の任意箇所41n)を押し込む際は、第一ボルト58を第一ボルト孔41kと第三ボルト孔53から取り外し、第五ボルト孔55へX3方向に螺合することにより、第一ボルト58の先端を沓41の側面41jの任意箇所41nに当接させて沓41を押し込む。この押し込みにより、相互に固定されている上部構造体と沓41に反力を取って、受け台43を橋軸方向に移動させる(セットバックさせる)ことができる。
第三ボルト孔53が縦方向であるX4方向に長い長孔であることにより、以下で詳説するように、橋脚の天端において受け台43の設置高さを設計高さに調整する際の、沓41と受け台43の上下方向への相対変位に対応することができる。尚、第三ボルト孔は、図示例の縦方向への長孔の他にも、第一ボルト58のボルト部よりも大径の円形孔であってもよい。
また、固定治具50の第二片52には、吊り治具用開口56が設けられている。図示例の仮設時滑り免震装置40Aでは、総計四つの固定治具50の備える四つの吊り治具用開口56に吊り治具(図示せず)を取り付け、重機のブームから垂下されるワイヤを架け渡すことにより、現場にて安定的に仮設時滑り免震装置40Aを吊り搬送することが可能になる。
橋脚の天端において、橋桁を支持した姿勢で仮設時滑り免震装置40Aが取り付けられ、仮設時滑り免震装置40Aから固定治具50が取り外されることにより、供用時の滑り免震装置40が形成され、滑り免震装置40により免震支承が形成されることになる。
<滑り免震装置の取り付け方法>
次に、図4乃至図7を参照して、実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法の一例について説明する。ここで、図4乃至図7は順に、実施形態に係る滑り免震装置の取り付け方法を説明する工程図であり、より詳細には、図4は取り付け方法のA工程を説明する工程図であり、図5は取り付け方法のB工程を説明する工程図であり、図6,7は順に取り付け方法のC工程を説明する工程図である。
まず、図4に示すように、橋脚20の沓座21に、アンカーボルト49が挿入されるアンカーボルト孔22を削孔する。アンカーボルト孔22は、挿入されるアンカーボルト49よりも大径孔であり、アンカーボルト49を含む仮設時滑り免震装置40Aの製作誤差や、仮設時滑り免震装置40Aの取り付け時の施工誤差を吸収できるようになっている。
不図示の重機にて仮設時滑り免震装置40Aを橋脚20の天端に吊り搬送し、各アンカーボルト49を対応するアンカーボルト孔22に挿入することにより、沓座21の天端に仮設時滑り免震装置40Aを載置する。
この仮設時滑り免震装置40Aの載置に当たり、沓座21の天端レベルを予め測量し、受け台43の設置高さを設計高さに調整するべく、必要に応じて鋼製の高さ調整用プレート60を沓座21の天端21aに載置しておき、高さ調整用プレート60の上に受け台43が載置されるようにして仮設時滑り免震装置40Aを吊り下ろす(以上、A工程)。
次に、図5に示すように、沓41の構造体支持面41aに主桁11の下フランジ11aを載置し、相互に対応する下フランジ11aのセットボルト孔11bと沓41のセットボルト孔41mに対してセットボルト15を締め付け、沓41と主桁11を固定する(以上、B工程)。
ここで、上部構造体の一例である橋桁10は、I形鋼等により形成される鋼製の主桁11と、左右の主桁11(図5には、右側の主桁11のみ図示)のウエブ同士を繋ぐ鋼製の横桁12とにより構成されている。ここで、ウエブから補強リブ(図示せず)が張り出し、補強リブと横桁12がスプライスプレート(図示せず)を介してボルト接合されていてもよいし、主桁11には、その長手方向に間隔を置いて補強リブが取り付けられていてもよい。また、上部構造体10は、図示例のI形鋼からなる主桁11と横桁12の組み合わせに限らず、トラス構造の主桁や箱桁、あるいはコンクリート桁等により形成されてもよい。
次に、不図示の油圧ジャッキにて橋桁10と仮設時滑り免震装置40Aを仮受けし、受け台43をスムーズに移動できる状態(セットバックし易い状態)とする。
また、現在の取り付け時温度を計測し、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた橋桁10(主桁11)の温度伸縮量(基準温度の際の主桁11の長さに対する温度伸縮量)を算定する。ここで、この温度伸縮量の算定は、予め、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた主桁11の温度伸縮量に関するデータを取得しておき、取り付け時温度を測定した後にデータと照合することで瞬時に温度伸縮量を特定することもできる。また、その他、実際の測量にて、取り付け時の主桁11の長さを特定することもできる。
そして、図6に示すように、主桁11の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向であるY1方向に受け台43をセットバックさせる。具体的には、固定治具50の第二ボルト59を受け台43に固定した状態で、全ての第一ボルト58を取り外し、温度伸縮方向であるY1方向の第一ボルト58を第五ボルト孔55に螺合し、第一ボルト58の先端を沓41の側面41jに当接させ、沓41をY1方向と逆向きのY2方向に押し込む。この第一ボルト58の押し込みにより、橋桁10と沓41に反力を取って、受け台43を温度伸縮方向であるY1方向と同方向のY3方向へ、温度伸縮量だけセットバックさせる。
この際、仮設時滑り免震装置40Aが、橋軸直角方向に配設されている一対の移動方向規制治具47を有していることにより、主桁11の主たる温度伸縮方向である橋軸方向のY3方向に対して、受け台43をスムーズにセットバックさせることができる。
受け台43を主桁11の温度伸縮量だけセットバックさせた後、受け台43と沓41を正対させ(相互にずれの無いように位置合わせさせ)、図7に示すように、沓座21の天端21aと受け台43の間の隙間にモルタル25を充填する。モルタル25は、アンカーボルト孔22とアンカーボルト49の間の隙間を閉塞しながら、沓座21と受け台43の間の隙間を閉塞し、モルタル25の硬化により、橋桁10を支持する仮設時滑り免震装置40Aと橋脚20が固定される。この際、高さ調整用プレート60はモルタル25の内部に残置される(以上、C工程)。
仮設時滑り免震装置40Aから固定治具50を取り外すことにより滑り免震装置40が形成され、橋脚20の天端上において、橋桁10を支持する滑り免震装置40からなる免震支承70が形成される。
図示する滑り免震装置の取り付け方法によれば、仮設時滑り免震装置40Aが、供用時の滑り免震装置40に固定治具50を取り付けただけのシンプルな構成であり、滑り免震装置40の取り付けに当たり、橋桁10(上部構造体の一例)と沓41(上沓の一例)を固定した後、受け台43(下沓の一例)の設置位置を、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた主桁11の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせた位置に調整した上で受け台43と橋脚20(下部構造体の一例)を固定することにより、可及的にシンプルな取り付け時の構成の仮設時滑り免震装置40Aにて、基準温度と取り付け時の温度の相違に起因する主桁11の伸縮に追随しながら、仮設時滑り免震装置40A(滑り免震装置40)を取り付けることが可能になる。このことにより、滑り免震装置40の取り付け時に、主桁11の温度伸縮に起因するせん断力が仮設時滑り免震装置40A(滑り免震装置40)に作用することが解消され、このせん断力により沓41と受け台43の相対変位や偏心が生じる恐れはない。
尚、図示を省略するが、図示例の取り付け方法以外にも、固定治具が、下沓の側面に対応する位置に第五ボルト孔を備えていて、C工程において、第二ボルトを第二ボルト孔と第四ボルト孔から取り外して第五ボルト孔に螺合し、第二ボルトの先端を下沓の側面に当接させて下沓を移動させたい方向へ押し込むことにより、下沓の位置の調整を行う方法であってもよい。この方法でも、相互に固定されている上部構造体と上沓は下沓に比べて重量が格段に大きいことから、下沓を容易に移動させることができる。
ここで、施工された免震支承70の各種の機能について説明する。免震支承70では、沓41が一対の移動方向規制治具47に固定されず、一対の移動方向規制治具47をガイドとして、受け台43に対する沓41の橋軸方向への相対移動が許容されている。そのため、主桁11を含む橋桁10の温度変化に起因する橋軸方向への伸縮の際に、受け台43に対して沓41が橋軸方向へ相対移動することにより、橋桁10の橋軸方向への伸縮に対応することができる。
地震時の水平力は、免震支承70に作用し得る。また、鉛直方向の地震動やそれに伴うたわみ振動、さらには、例えば曲線桁のように重心が偏芯箇所となることに起因する橋脚20の天端における転倒モーメント等により、免震支承70には上揚力が作用し得る。図示する免震支承70においては、断面形状が逆L型を呈している一対の移動方向規制治具47の鍵部47bが、沓41の左右の端部にある係合溝41bに対して隙間を有した状態で配設されていることから、これら様々な要因にて作用し得る上揚力に対して、受け台43から沓41が過度に浮き上がり、脱落する危険性を抑止することができる。
また、橋桁10を支持する滑り免震装置40に、レベル2地震による橋軸方向の水平力が作用した場合、摺動体45が回動するとともに、橋桁10を支持する沓41は水平力の作用方向に水平変位する。想定される最大地震であるレベル2地震が作用した場合は、沓41が橋軸方向に水平変位する過程で上方へ持ち上げられる。そして、沓41の左右の係合溝41bと移動方向規制治具47の鍵部47bの間の鉛直方向の隙間41fが無くなって双方が接触し、沓41のそれ以上の上方への浮き上がりが抑止される。尚、滑り免震装置40に対してレベル1地震による橋軸方向の水平力が作用した場合は、隙間41fが無くなる程の沓41の水平変位は生じない。
これに対して、レベル2より大きな地震による橋軸方向の水平力が同様に作用した場合は、沓41の係合溝41bと移動方向規制治具47の鍵部47bが接触し、沓41の浮き上がりが抑止される。しかしながら、レベル2より大きな地震ゆえに過大な水平力に起因して上沓41の係合溝41bが移動方向規制治具47の鍵部47bを上方に押し込むことにより、移動方向規制治具47を受け台43に固定していたボルトが破断したり、当該ボルトが引き抜かれたり、あるいは、移動方向規制治具47(の例えば鍵部47b)が塑性変形等することにより破壊され得る。
そして、沓41は橋軸方向へさらに水平変位し得るが、沓41の下面にストッパーリング41dが設けられていることにより、摺動体45がストッパーリング41dに当接し、沓41のそれ以上の過度な水平変位を抑制することができる。
一方、橋桁10を支持する滑り免震装置40に対して、レベル2地震(レベル1地震を含んでもよい)による橋軸直角方向の水平力が作用した場合、沓41が橋軸直角方向に水平変位することにより、移動方向規制治具47の本体部47aと沓41の外周面との間の水平方向の隙間41gが無くなって双方が接触し、沓41のそれ以上の水平変位が抑制される。
これに対して、レベル2より大きな地震による橋軸直角方向の水平力が同様に作用した場合は、沓41が移動方向規制治具47を橋軸直角方向にさらに押し込むことにより、移動方向規制治具47を受け台43に固定していたボルトが破断したり、当該ボルトが引き抜かれたり、あるいは移動方向規制治具47が塑性変形等することにより破壊され得る。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:上部構造体(橋桁)
11:主桁
11a:下フランジ
11b:セットボルト孔
12:横桁
15:セットボルト
20:下部構造体(橋脚)
21:沓座
21a:天端
22:アンカーボルト孔
25:モルタル
40:滑り免震装置
40A:仮設時滑り免震装置
41:上沓(沓)
41a:構造体支持面
41b:係合溝
41c:第二凹球面(摺動面)
41d:ストッパーリング
41f、41g:隙間
41j:側面
41k:第一ボルト孔
41m:セットボルト孔
42:相手材
43:下沓(受け台)
43a:側面
43b:第二ボルト孔
44:球座
44a:第一凹球面(摺動面)
45:摺動体
45a:第二凸球面(摺動面)
45b:第一凸球面(摺動面)
46:摩擦材
47:移動方向規制治具
47a:本体部
47b:鍵部
48:ボルト
49:アンカーボルト
50:固定治具
51:第一片
52:第二片
53:第三ボルト孔
54:第四ボルト孔
55:第五ボルト孔
56:吊り治具用開口
58:第一ボルト
59:第二ボルト
60:高さ調整用プレート
70:免震支承

Claims (5)

  1. 下部構造体と上部構造体の間に、上沓と下沓と摺動体を備えた滑り免震装置を取り付ける、滑り免震装置の取り付け方法であって、
    前記上沓と前記下沓を固定治具にて固定して仮設時滑り免震装置とし、該仮設時滑り免震装置を前記下部構造体の上に載置する、A工程と、
    前記上部構造体と前記上沓を固定する、B工程と、
    前記下沓の設置位置を、基準温度と取り付け時温度の差分値に応じた前記上部構造体の温度伸縮量だけ、温度伸縮方向にセットバックさせた位置に調整し、該下沓と前記下部構造体を固定する、C工程と、を有することを特徴とする、滑り免震装置の取り付け方法。
  2. 前記上沓の側面には第一ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面には第二ボルト孔が設けられており、
    前記固定治具は、前記上沓と前記下沓に跨がる鋼材により形成され、該鋼材のうち、前記第一ボルト孔に対応する位置には第三ボルト孔が設けられ、前記第二ボルト孔に対応する位置には第四ボルト孔が設けられ、前記上沓の側面に対応する位置には第五ボルト孔が設けられており、
    前記A工程における、前記仮設時滑り免震装置においては、第一ボルトが前記第三ボルト孔を介して前記第一ボルト孔に螺合され、第二ボルトが前記第四ボルト孔を介して前記第二ボルト孔に螺合されており、
    前記C工程では、前記第一ボルトを前記第一ボルト孔と前記第三ボルト孔から取り外し、前記第五ボルト孔に螺合して該第一ボルトの先端を前記上沓の側面に当接させて該上沓を押し込むことにより、前記上部構造体と前記上沓に反力を取って前記下沓を移動させて該下沓の位置の調整を行うことを特徴とする、請求項1に記載の滑り免震装置の取り付け方法。
  3. 前記上沓の側面には第一ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面には第二ボルト孔が設けられており、
    前記固定治具は、前記上沓と前記下沓に跨がる鋼材により形成され、該鋼材のうち、前記第一ボルト孔に対応する位置には第三ボルト孔が設けられ、前記第二ボルト孔に対応する位置には第四ボルト孔が設けられ、前記下沓の側面に対応する位置には第五ボルト孔が設けられており、
    前記A工程における、前記仮設時滑り免震装置においては、第一ボルトが前記第三ボルト孔を介して前記第一ボルト孔に螺合され、第二ボルトが前記第四ボルト孔を介して前記第二ボルト孔に螺合されており、
    前記C工程では、前記第二ボルトを前記第二ボルト孔と前記第四ボルト孔から取り外し、前記第五ボルト孔に螺合して該第二ボルトの先端を前記下沓の側面に当接させて該下沓を押し込むことにより、該下沓を移動させて該下沓の位置の調整を行うことを特徴とする、請求項1に記載の滑り免震装置の取り付け方法。
  4. 前記下部構造体が橋脚もしくは橋台であり、前記上部構造体が橋桁であって、
    前記滑り免震装置は、前記上沓と前記下沓に跨る一対の移動方向規制治具をさらに備え、該一対の移動方向規制治具が該上沓と該下沓のいずれか一方に対して固定され、該上沓と該下沓の他方に対して固定されておらず、該他方の沓の所定方向への水平変位が該移動方向規制治具により規制され、
    前記移動方向規制治具は鍵部を備え、該鍵部が前記他方の沓の端部の上面もしくは下面に配設されることにより、該他方の沓の鉛直変位が規制されており、
    一対の前記移動方向規制治具は橋軸直角方向に配設され、前記上沓と前記下沓における橋軸方向の一対の側面にそれぞれ、前記固定治具が取り付けられており、
    前記C工程では、前記温度伸縮方向が橋軸方向であり、前記第一ボルトにより、前記下沓を前記温度伸縮方向にセットバックすることを特徴とする、請求項2又は3に記載の滑り免震装置の取り付け方法。
  5. 前記上沓と前記下沓がいずれも沓であり、前記摺動体が該上沓と該下沓の摺動面を摺動する、二面滑り免震装置である、第一形態、
    前記上沓と前記下沓の一方が沓であり、他方が受け台であり、該受け台の備える球座に回動自在に前記摺動体が収容されている、片面滑り免震装置である、第二形態、
    前記上沓と前記下沓の一方に前記摺動体が取り付けられ、前記上沓と前記下沓の他方に対して平面内で摺動する、平面滑り免震装置である、第三形態、のいずれか一種が取り付けられることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の滑り免震装置の取り付け方法。
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