JP2022127939A - 鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法 - Google Patents

鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法 Download PDF

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Abstract

【課題】掘削孔の壁面の周方向に沿って鋼製土留パネルを順に配置して土留構造物を構築する場合において、施工性を向上させることができる鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法を提供する。【解決手段】土留構造物は、地面を掘削して形成された掘削孔に、平面視が円弧状である鋼製土留パネルを設置して構築される。土留構造物は、掘削孔の壁面に沿って、複数の鋼製土留パネルをリング状に配置して形成された環状体が、孔軸方向に少なくとも1段以上構築された第1土留構造部を備えている。周方向に隣り合う鋼製土留パネルが突き合わさる端面の組のうち、少なくとも1つの組が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。【選択図】図7

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されているように、地面を掘削して形成された鉛直の掘削孔に波付け鋼板を組み立てて構築された土留構造物が知られている。土留構造物は、掘削孔の壁面に沿って波付け鋼板をリング状に配置して形成された環状体を、孔軸方向に積み重ねて構築される。
土留構造物は、掘削孔の深度が深くなるにつれて地山側からの土圧が大きくなり、波付け鋼板だけでは剛性が足りない場合がある。また、孔軸方向の深度が深くなるにつれて、上方に配置された環状体の自重が下方に配置された環状体に作用する。このため、土留構造物では、深度が深い箇所において、上下に隣り合う波付け鋼板の間に補強リングと呼ばれるH形鋼を挟み込み剛性を高めている。
しかしながら、補強リングの施工は、煩雑で手間が掛かるため、工期が長引き工費が嵩む問題がある。そのため、補強リングを省略できる土留構造物の構築が望まれている。例えば土圧が小さく補強リングが不要である掘削孔の深度が浅い部分には、円弧状の波付け鋼板で環状体を構築し、土圧が大きく補強リングが必要となる掘削孔の深度が深い部分では、円弧状の鋼製土留パネルで環状体を構築することが考えられる。鋼製土留パネルは、波付け鋼板よりも剛性が高い製品である。鋼製土留パネルは、例えば掘削孔の壁面に面する円弧状のスキンプレートと、スキンプレートの上端及び下端に設けられ、上面及び下面を形成する円弧状の主桁と、スキンプレートの円弧方向における両端に設けられ、円弧方向の両端面を形成する継手板と、を有する構成である。
特開2020-066845号公報
円弧状の波付け鋼板を用いてリング状の環状体を構築する場合、掘削孔の壁面の周方向に沿って複数の波付け鋼板を順に配置し、隣り合う波付け鋼板同士を連結する。このとき、壁面の周方向において最後に配置される波付け鋼板は、既に設置した左右の波付け鋼板の間のスペースに、環状体の内側から外側に向かって嵌め込むように設置される。波付け鋼板は、板厚が薄く円弧の内径面と外径面の寸法差が小さいため、既に設置した左右の波付け鋼板の間のスペースに、環状体の内側から外側に向かって容易に嵌め込むことができる。
一方、円弧状の鋼製土留パネルを用いてリング状の環状体を構築する場合においても、掘削孔の壁面の周方向に沿って複数の鋼製土留パネルに順に配置し、隣り合う鋼製土留パネルを連結する。このとき、壁面の周方向において最後に配置される鋼製土留パネルは、既に設置した左右の鋼製土留パネルの間のスペースに、環状体の内側から外側に向かって嵌め込むことができない。鋼製土留パネルは、主桁の桁高が大きく、円弧の内径側と外径側とで寸法差が大きいため、既に設置した左右の鋼製土留パネルの間のスペースに、環状体の内側から外側に向かって嵌め込もうとすると、外面の両端が左右の鋼製土留パネルの内面に突き当たってしまうからである。そこで、当該スペースの周囲の壁面を拡張掘削し、できた拡張空間を利用して環状体の外側から内側に向かって、鋼製土留パネルをスペースに嵌め込む方法が採用されている。当該孔は、最後の鋼製土留パネルを設置した後に埋め戻される。このように、鋼製土留パネルを用いてリング状の環状体を構築する場合においても、最後の鋼製土留パネルを設置するための孔を壁面に形成する必要があるので、施工が煩雑で手間が掛かり、工期が長引き工費が嵩む問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、掘削孔の壁面の周方向に沿って鋼製土留パネルを順に配置して土留構造物を構築する場合において、施工性を向上させることができる鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法を提供することを目的とする。
本発明に係る鋼製土留パネルは、地面を掘削して形成された掘削孔に配置されて、リング状の土留構造物を構築するために用いられる鋼製土留パネルであって、平面視が円弧状とされ、円弧方向における少なくとも一方の端面が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されているものである。
本発明に係る土留構造物は、地面を掘削して形成された掘削孔に、平面視が円弧状である鋼製土留パネルを設置して構築される土留構造物であって、前記掘削孔の壁面に沿って、複数の前記鋼製土留パネルをリング状に配置して形成された環状体が、孔軸方向に少なくとも1段以上構築された第1土留構造部を備え、各前記環状体を構成する複数の前記鋼製土留パネルは、上記構成の鋼製土留パネルを少なくとも2つ有しており、周方向に隣り合う前記鋼製土留パネルが突き合わさる端面の組のうち、少なくとも1つの組が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されているものである。
本発明に係る土留構造物の構築方法は、上記構成の土留構造物の構築工法であって、上記構成の鋼製土留パネルを1つ残して、他の鋼製土留パネルを掘削孔の壁面の周方向に沿って順に組み立てて環状体の一部を構築する工程と、周方向に沿って順に組み立てた鋼製土留パネルのうち両端に位置する鋼製土留パネルの間に形成されたスペースに、残した前記鋼製土留パネルを前記環状体の内側から周方向に沿ってスライドさせて一端側を挿入し、他端側を径方向に向かって押し込んで嵌め込む工程と、を有するものである。
本発明では、平面視が円弧状とされ、円弧方向における少なくとも一方の端面が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成された鋼製土留パネルを用いているので、最後に設置される鋼製土留パネルを、既に設置された左右の鋼製土留パネルの間に形成されたスペースに、環状体の内側から周方向にスライドさせて嵌め込むことができる。よって、当該スペースの周囲の壁面を拡張掘削する必要がないので、工期の短縮及び工費の削減を図ることができ施工性を向上させることができる。
実施の形態1に係る土留構造物を模式的に示した斜視図である。 実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてライナープレートを示した斜視図である。 実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてライナープレートを示した縦断面図である。 実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてプランクプレートを示した斜視図である。 実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてプランクプレートを示した縦断面図である。 実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した斜視図である。 実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した平断面図である。 (A)は実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該鋼製土留パネルを示した左側面図である。 実施の形態1に係る土留構造物における第1土留構造部の一例を示した平断面図である。 図9に示したA部の拡大図である。 実施の形態1に係る土留構造物の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。 実施の形態1に係る土留構造物の第1土留構造部を構築する手順を模式的に示した説明図である。 実施の形態1に係る土留構造物の構築工法の特徴を具体的に示した説明図である。 従来の土留構造物の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。 実施の形態1に係る鋼製土留パネルの変形例を示した平面図である。 図15に示した鋼製土留パネルの左側面の拡大図である。 図15に示した鋼製土留パネルを用いた土留構造物の要部を模式的に示した拡大図である。 実施の形態2に係る土留構造物における第1土留構造部の一例を示した平断面図である。 実施の形態2における第1鋼製土留パネルを示した平断面図である。 (A)は実施の形態2における第1鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第1鋼製土留パネルを示した左側面図である。 実施の形態2における第2鋼製土留パネルを示した平断面図である。 (A)は実施の形態2における第2鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第2鋼製土留パネルを示した左側面図、(C)は該第2鋼製土留パネルを示した右側面図である。 実施の形態2における第3鋼製土留パネルを示した平断面図である。 (A)は実施の形態2における第3鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第3鋼製土留パネルを示した左側面図、(C)は該第3鋼製土留パネルを示した右側面図である。 実施の形態2に係る土留構造物における第1土留構造部の変形例を示した平断面図である。 実施の形態2の変形例における鋼製土留パネルを示した平断面図である。 (A)は図26に示した第3鋼製土留パネルの正面図、(B)は該第3鋼製土留パネルの左側面図、(C)は該第3鋼製土留パネルの右側面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
先ず、実施の形態1に係る鋼製土留パネル1、該鋼製土留パネル1を用いた土留構造物100、及び該土留構造物100の構築工法を、図1~図14に基づいて説明する。図1は、実施の形態1に係る土留構造物を模式的に示した斜視図である。
図1に示すように、土留構造物100は、地面を掘削して形成された鉛直の掘削孔に波付け鋼板2と鋼製土留パネル1とを設置して構築された構成である。土留構造物100は、例えば建築構造物の基礎を構築するための立坑又は地中に構築される集水井等の土木構造物を構築する際に構築されるものである。具体的には、土留構造物100は、第2土留構造部102と、第1土留構造部101と、を備えている。第2土留構造部102は、平面視が円弧状の波付け鋼板2がリング状に配置されて形成された環状体102Aを、孔軸方向に4段積み重ねて構築された構成である。第2土留構造部102は、波付け鋼板2を千鳥状に配置して組み立てられている。第1土留構造部101は、平面視が円弧状の鋼製土留パネル1がリング状に配置されて形成された環状体101Aを、孔軸方向に2段積み重ねて構築された構成である。第1土留構造部101も、鋼製土留パネル1を千鳥状に配置して組み立てられている。なお、第1土留構造部101及び第2土留構造部102の段数は、図示した構成に限定されず、それぞれ少なくとも1段以上あればよい。また、図1に示した土留構造物100の周方向における波付け鋼板2及び鋼製土留パネル1の個数は、一例である。また、リング状とは、例えば楕円形状等も含むものとする。
図2は、実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてライナープレートを示した斜視図である。図3は、実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてライナープレートを示した縦断面図である。図4は、実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてプランクプレートを示した斜視図である。図5は、実施の形態1に係る波付け鋼板の一例としてプランクプレートを示した縦断面図である。
波付け鋼板2は、例えば図2及び図3に示したライナープレート2Aや、図4及び図5に示したプランクプレート2Bで構成されている。ライナープレート2Aは、波形断面がサインカーブ状に形成された構成である。プランクプレート2Bは、波形断面が矩形状に形成された構成である。波付け鋼板2には、図2~図5に示すように、上端縁及び下端縁に沿って設けられた円弧状の周方向フランジ部20と、円弧方向の両端縁に沿って設けられた軸方向フランジ部21と、が設けられている。周方向フランジ部20は、波付け鋼板2上端縁及び下端縁から掘削孔の内部に向かって突出するように曲げ加工されて形成されている。軸方向フランジ部21は、波付け鋼板2の円弧方向の両端縁にプレートを溶接して形成されている。
波付け鋼板2は、例えば厚さが2.7mm~7mm程度である。図1に示す土留構造物100では、上から1段目及び2段目にライナープレート2Aからなる波付け鋼板2が用いられ、上から3段目及び4段目にプランクプレート2Bからなる波付け鋼板2が用いられている。土留構造物100では、掘削孔の深度が深くなるにつれて地山側からの土圧が大きく、更に上方に配置された環状体102Aの自重が下方に配置された環状体102Aに作用する。そのため、ライナープレート2Aよりも剛性が高いプランクプレート2Bを、土留構造物100の3段目及び4段目に用いている。なお、第2土留構造部102は、すべての段をライナープレート2Aで構成してもよいし、すべての段をプランクプレート2Bで構成してもよい。
周方向フランジ部20には、孔軸方向に積み重ねた上下に隣り合う波付け鋼板2同士、又は波付け鋼板2と鋼製土留パネル1とを連結するための連結孔20aが円弧方向に沿って複数形成されている。上下に隣り合う波付け鋼板2は、周方向フランジ部20を突き合わせ、例えば連結孔20aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、上下に隣り合う波付け鋼板2の周方向フランジ部20を連結する手段は、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。また、図示した連結孔20aの個数は一例であって、これに限定されるものではない。
軸方向フランジ部21には、掘削孔の周方向に配置した左右に隣り合う波付け鋼板2同士を連結するための連結孔21aが上下方向に沿って複数形成されている。左右に隣り合う波付け鋼板2は、軸方向フランジ部21を突き合わせ、連結孔21aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、左右に隣り合う波付け鋼板2の軸方向フランジ部21を連結する手段は、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。また、図示した連結孔21aの個数は一例であって、これに限定されるものではない。
図6は、実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した斜視図である。図7は、実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した平断面図である。図8の(A)は実施の形態1に係る鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該鋼製土留パネルを示した左側面図である。図9は、実施の形態1に係る土留構造物における第1土留構造部の一例を示した平断面図である。図9に示す矢印は、各鋼製土留パネル1の範囲を示している。図10は、図9に示したA部の拡大図である。
鋼製土留パネル1は、図6~図8に示すように、掘削孔の壁面に面する円弧状のスキンプレート10と、スキンプレート10の上端及び下端に設けられて上面及び下面を形成する円弧状の主桁11と、スキンプレート10の円弧方向における両端に設けられて円弧方向の両端面を形成する継手板12と、を有しており、掘削孔の内部に向かって開口する凹状に形成されている。スキンプレート10、主桁11及び継手板12は、それぞれ溶接で固定されている。主桁11の桁高は、掘削孔の土質及び深度等によって仕様が変わるが、例えば150mm~400mm程度である。また、孔軸方向における鋼製土留パネル1の高さは、例えば土留構造物100を構築する作業者の安全性と効率を考慮して、500mmを標準とし、500mm~1000mm程度範囲で設計される。
また、鋼製土留パネル1は、上部の主桁11と下部の主桁11との間に配置され、製造時、運搬時、及び施工時における鋼製土留パネル1の形状を保持する形状保持部材13を有している。形状保持部材13は、例えば図示したように鋼板等から成る板状部材、又は図示省略の鉄筋棒等から成る棒状部材で構成されている。形状保持部材13は、図示例の場合、円弧方向に間隔を開けて4つ配置されている。なお、形状保持部材13の形状及び設置個数は、図示例に限定されず、例えば鋼製土留パネル1の大きさ及び形状等を考慮して決定される。
主桁11には、孔軸方向に積み重ねた上下に隣り合う鋼製土留パネル1同士、又は鋼製土留パネル1と波付け鋼板2とを連結するための連結孔11aが複数形成されている。上下に隣り合う鋼製土留パネル1は、主桁11を突き合わせ、連結孔11aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。また、上下に隣り合う鋼製土留パネル1と波付け鋼板2は、主桁11と周方向フランジ部20とを突き合わせ、連結孔11a及び20aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。
なお、連結孔11aの孔径は、連結孔20aの孔径よりも大きくすることが好ましい。環状体102Aは、施工誤差が生じたり、波付け鋼板2の剛性が低いことに起因して、真円度の誤差が生じたりする場合がある。環状体102Aの施工誤差及び真円度の誤差が生じてしまうと、連結孔11aと連結孔20aの位置が若干ずれて、連結孔11a及び20aにボルトを挿通させることが困難となる場合がある。つまり、連結孔11aの孔径を連結孔20aの孔径よりも大きくすることで、波付け鋼板2によって形成された環状体102Aの施工誤差及び真円度の誤差を連結孔11aで吸収することができ、連結孔11a及び20aにボルトを挿通させることができる。なお、連結孔11aの位置、大きさ及び個数は、図示した限りではなく、鋼製土留パネル1の形状及び大きさ等に応じて、適宜変更して形成するものとする。
また、図6及び図7に示すように、上下の主桁11には、工具を差し込んで抉るための抉り孔11bが、円弧方向に間隔をあけて複数形成されている。抉るとは、例えば隙間などに物を差し入れてねじることを意味する。工具とは、一例としてシノ棒等の棒状部材である。抉り孔11bは、上下に隣り合う鋼製土留パネル1同士、又は鋼製土留パネル1と波付け鋼板2とを連結するための連結孔11aの位置を一致させる作業を行うために設けられている。なお、抉り孔11bは、上下の主桁11のうち、いずれか一方にのみ設けてもよいし、双方ともに省略してもよい。また、抉り孔11bの位置、大きさ及び個数は、図示した限りではなく、適宜変更して形成するものとする。
継手板12には、掘削孔の周方向に配置した左右に隣り合う鋼製土留パネル1を連結するための連結孔12aが複数形成されている。左右に隣り合う鋼製土留パネル1は、継手板12を突き合わせ、連結孔12aに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、図示した連結孔12aの個数は一例であって、これに限定されるものではない。
また、図6及び図8に示すように、左右の継手板12には、工具を差し込んで抉るための抉り孔12bが形成されている。工具とは、一例としてシノ棒等の棒状部材である。抉り孔12bは、左右に隣り合う鋼製土留パネル1の連結孔12aの位置を一致させる作業を行うために設けられている。なお、抉り孔12bは、上下に隣り合う鋼製土留パネル1同士、又は鋼製土留パネル1と波付け鋼板2とを連結するための連結孔11aの位置を一致させる際に利用してもよい。また、抉り孔12bは、左右の継手板12のうち、いずれか一方にのみ設けてもよいし、双方ともに省略してもよい。また、抉り孔12bの位置、大きさ及び個数は、図示した限りではなく、適宜変更して形成するものとする。
鋼製土留パネル1は、図6及び図7に示すように、平面視が円弧状とされ、円弧方向における両端面が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。具体的には、鋼製土留パネル1は、平面視において、主桁11の円弧方向における両端部、及び継手板12が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。つまり、図9及び図10に示すように、複数の鋼製土留パネル1をリング状に配置して構築された環状体101Aでは、周方向に隣り合う鋼製土留パネル1が突き合わさる端面の組が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。なお、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されているとは、後述するように、既に設置された左右の鋼製土留パネル1及び1の間に形成されたスペースに、最後に設置される鋼製土留パネル1を、環状体101Aの内側から周方向にスライドさせて嵌め込むことができる程度に傾斜して形成されていることを意味する。
次に、上記土留構造物100の構築工法を図11~図13に基づいて説明する。図11は、実施の形態1に係る土留構造物の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。図12は、実施の形態1に係る土留構造物の第1土留構造部を構築する手順を模式的に示した説明図である。図13は、実施の形態1に係る土留構造物の構築工法の特徴を具体的に示した説明図である。なお、図12及び図13に示す括弧書きの数字は、鋼製土留パネル1のピースの番号を示している。
本実施の形態1に係る土留構造物100の構築工法では、第2土留構造部102を構築した後に、第2土留構造部102の下部に第1土留構造部101を構築する。先ず、図11(A)に示すように、地面200に土留構造物100を構築するための掘削孔201を形成する。掘削孔201は、土留構造物100の外径よりも例えば20cm程度の大きい外径で形成される。掘削孔201の深さは、一例として0.5m~1.5m程度である。そして、掘削孔201の壁面に沿って円弧状の波付け鋼板2をリング状に配置して環状体102Aを組み立てる。
環状体102Aは、掘削孔201の壁面の周方向に沿って波付け鋼板2を順に配置し、左右に隣り合う波付け鋼板2をボルト及びナットで連結して組み立てられる。このとき、壁面の周方向において最後に配置される波付け鋼板2は、左右の波付け鋼板2の間に形成されたスペースに、環状体102Aの内側から外側に向かって嵌め込むように設置される。波付け鋼板2は、板厚が薄く円弧の内径面と外径面の寸法差が小さいため、左右の波付け鋼板2の間に形成されたスペースに、環状体102Aの内側から外側に向かって嵌め込むことができる。上段の環状体102Aの波付け鋼板2と、下段の環状体102Aの波付け鋼板2とは、ボルト及びナットで連結される。なお、上段の波付け鋼板2と下段の波付け鋼板2とは、千鳥配置となるように、周方向の位置をずらして配置される。このように、環状体102Aを孔軸方向に沿って複数段積み重ねて(図示例の場合は3段)第2土留構造部102の一部が構築される。
次に、図11(B)に示すように、最上段に位置する環状体102Aを地面200に設置した井桁300で固定した後、環状体102Aの外側の掘削孔201を掘削土で埋め戻す。なお、最上段に位置する環状体102Aを地面に固定する手段は、井桁300に限定されず、例えばコンクリートを用いてもよい。そして、図11(C)に示すように、地盤を掘削しつつ、環状体102A及び101Aを組み立てて第2土留構造部102及び第1土留構造部101を構築し、所定の深度まで掘り進める。なお、最上段に位置する環状体102Aを井桁300で固定した後は、最下段の環状体102Aの下端に、掘削孔201の壁面の周方向に沿って波付け鋼板2を配置し、該波付け鋼板2を最下段の波付け鋼板2にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う波付け鋼板2同士をボルト及びナットで連結して、環状体102Aを構築していく。また、波付け鋼板2と掘削孔201との間には、裏込注入材として、コンクリート又はモルタルが充填される。
第1土留構造部101は、円弧状の波付け鋼板2をリング状に配置して形成された環状体102Aを、孔軸方向に4段積み重ねて第2土留構造部102を構築した後、該第2土留構造部102の下端に構築される。なお、図12に示した第1土留構造部101の構成する各環状体101Aは、一例として同形同大の6つの鋼製土留パネル1で構成されている。
具体的には、先ず、図12(A)に示すように、第6ピースの鋼製土留パネル1を1つ残して、第1ピースから第5ピースの鋼製土留パネル1を掘削孔201の壁面の周方向に沿って順に組み立てて環状体101Aの一部を構築する。第1ピースから第5ピースの鋼製土留パネル1は、上段の波付け鋼板2又は上段の鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う鋼製土留パネル1同士をボルト及びナットで連結される。なお、上段の波付け鋼板2又は上段の鋼製土留パネル1と下段の鋼製土留パネル1とは、千鳥配置となるように、周方向の位置をずらして配置される。
そして、図12(B)に示すように、第1ピースの鋼製土留パネル1と第5ピースの鋼製土留パネル1との間に形成されたスペースSに、残した第6ピースの鋼製土留パネル1を、環状体101Aの内側から周方向にスライドさせて挿入する。このとき、図13に示すように、第5ピースの鋼製土留パネル1における一方の継手板12に対して、第6ピースの鋼製土留パネル1における一方の継手板12をスライドさせる。第6ピースの鋼製土留パネル1の一端側を、第1ピースの鋼製土留パネル1と第5ピースの鋼製土留パネル1との間のスペースSにスライドさせて挿入した後、図12(C)及び図13に示すように、第6ピースの鋼製土留パネル1の他端側を、環状体101Aの内側から外側(図中の矢印Xの方向)に向かって押し込み、当該スペースSに嵌め込む。そして、第6ピースの鋼製土留パネル1を、上段の波付け鋼板2又は鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結する。なお、鋼製土留パネル1と掘削孔との間には、裏込注入材として、コンクリート又はモルタルが充填される。また、最後に設置される第6ピースの鋼製土留パネル1は、他の鋼製土留パネル1よりも、円弧方向の長さを例えば0mm~6mm程度、より好ましくは3mm程度短くすることが好ましい。第6ピースの鋼製土留パネル1を、スペースSに挿入しやすくし、組み立ての作業性を高めるためである。
図14は、従来の土留構造物の構築工法の一例を模式的に示した説明図である。なお、図14に示す括弧書きの数字は、鋼製土留パネル3のピースの番号を示している。
図14に示す鋼製土留パネル3は、平面視において、主桁の円弧方向における両端面及び継手板が、掘削孔の径方向に向いた構成である。従来の土留構造物100の構築工法における第1土留構造部の環状体の構築は、先ず、第1ピースから第5ピースの鋼製土留パネル3を、環状体の内側から掘削孔201の壁面の周方向に沿って順に組み立てる。最後に配置される第6ピースの鋼製土留パネル3は、既に設置した第1ピースの鋼製土留パネル3と第5ピースの鋼製土留パネル3との間のスペースSに、環状体の内側から外側に向かって嵌め込むことができない。鋼製土留パネル3は、主桁の桁高が大きく、円弧の内径側と外径側とで寸法差が大きい。そのため、既に設置した第1ピースの鋼製土留パネル3と第5ピースの鋼製土留パネル3との間のスペースSに、第6ピースの鋼製土留パネル3を環状体の内側から外側に向かって嵌め込もうとすると、第6ピースの鋼製土留パネル3の外面の両端が、第1ピースの鋼製土留パネル3の内面又は第5ピースの鋼製土留パネル3の内面に突き当たってしまうからである。そこで、図14に示すように、当該スペースSの周囲の壁面を拡張掘削し、できた拡張空間202を利用して環状体の外側から内側(図中の矢印Yの方向)に向かって、鋼製土留パネル3をスペースSに嵌め込む方法が採用されている。当該拡張空間202は、最後の鋼製土留パネル3を設置した後に埋め戻される。
このように、従来の土留構造物の構築工法では、各環状体において最後に設置される鋼製土留パネルを設置するための拡張空間202を壁面に形成する必要があるため、施工が煩雑で手間が掛かり、工期が長引き工費が嵩む問題があった。
また、鋼製土留パネル3は、地上に設置したクレーン等で吊った状態で掘削孔201の内部に降ろされ、掘削孔201の壁面の周方向に沿って配置されることになる。しかし、鋼製土留パネル3をクレーン等で吊った状態で拡張空間202に配置し、環状体の外側から内側に向かって移動させる場合、既に設置した上部の波付け鋼板又は上部の鋼製土留パネルにクレーンの吊り紐が障害となり、鋼製土留パネル3を吊り紐で上手く吊ることができないおそれがある。
一方、本実施の形態1に係る鋼製土留パネル1、該鋼製土留パネル1を用いた土留構造物100、及び該土留構造物100の構築工法では、平面視が円弧状とされ、円弧方向における両端面が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成された鋼製土留パネル1を用いているので、最後に設置される鋼製土留パネル1を、既に設置された左右の鋼製土留パネル1の間に形成されたスペースSに、環状体101Aの内側から周方向にスライドさせて嵌め込むことができる。つまり、当該スペースSの周囲の壁面を拡張掘削する必要がないので、工期の短縮及び工費の削減を図ることができ、施工性を向上させることができる。
なお、第2土留構造部102は、図示した4段に限定されず、1段以上あればよい。また、第1土留構造部101の構成する各環状体101Aは、図示した6つの鋼製土留パネル1で形成された構成に限定されず、6つ以外の個数で形成してもよい。また、本実施の形態1に係る土留構造物100では、波付け鋼板2で構築した第2土留構造部102と、鋼製土留パネル1で構築した第1土留構造部101と、を有する構成に限定されず、図示は省略したが、鋼製土留パネル1で構築した第1土留構造部101のみで構成してもよい。
図15は、実施の形態1に係る鋼製土留パネルの変形例を示した平面図である。図16は、図15に示した鋼製土留パネルの左側面の拡大図である。図17は、図15に示した鋼製土留パネルを用いた土留構造物の要部を模式的に示した拡大図である。
図15~図17に示すように、上部の主桁11は、その外端縁11cがスキンプレート10の外面よりも掘削孔201の壁面に向かって突き出すように設けてもよい。また、下部の主桁11も、その外端縁11cがスキンプレート10の外面よりも掘削孔201の壁面に向かって突き出すように設けられている。ここで言う外端縁11cとは、スキンプレート10の外面よりも掘削孔201の壁面に向かって突き出している部分をいう。主桁11の外端縁11cの突き出す長さは、一例として25mm程度である。上下の主桁11の外端縁11cと、スキンプレート10の外面とで、土留構造物100の外面と掘削孔201との間に充填される裏込注入材203が入り込む凹状のスペースSが形成される。つまり、鋼製土留パネル1は、凹状のスペースSによって、掘削孔201の壁面と鋼製土留パネル1との間に充填されて硬化した裏込注入材203が引っ掛かる定着代を形成することができ、裏込注入材203の定着性を高めることができる。
なお、図示することは省略したが、鋼製土留パネル1は、上部の主桁11及び下部の主桁11のうち、いずれか一方の外端縁11cが、スキンプレート10の外面よりも掘削孔201の壁面に向かって突き出すように構成してもよい。この場合であっても、該突き出した主桁11の外端縁11cとスキンプレート10の外面とで、凹状のスペースSが形成されるので、掘削孔201の壁面と鋼製土留パネル1との間に充填されて硬化した裏込注入材203が引っ掛かる定着代を形成することができ、裏込注入材203の定着性を高めることができる。
実施の形態2.
次に、本実施の形態2に係る鋼製土留パネル、該鋼製土留パネルを用いた土留構造物、及び該土留構造物の構築工法を、図1~図17を参照しつつ、図18~図24に基づいて説明する。図18は、実施の形態2に係る土留構造物における第1土留構造部の一例を示した平断面図である。図18に示す矢印は、各鋼製土留パネル1A~1Cの範囲を示している。なお、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
本実施の形態2に係る土留構造物も、図1に示すように、円弧状の波付け鋼板2がリング状に配置されて形成された環状体102Aを、孔軸方向に複数段積み重ねて構築された第2土留構造部102と、円弧状の鋼製土留パネル1がリング状に配置して形成された環状体101Aを、孔軸方向に複数段積み重ねて構築された第1土留構造部101と、を備えている。なお、第1土留構造部101及び第2土留構造部102の段数は、図示した構成に限定されず、少なくとも1段以上あればよい。また、リング状とは、例えば楕円状等も含むものとする。
本実施の形態2に係る土留構造物は、図18に示すように、第1土留構造部101の環状体101Aを構築する鋼製土留パネル1において、周方向に隣り合う鋼製土留パネル1が突き合わさる端面の組のうち1つの組が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成された構成であることを特徴としている。
本実施の形態2に係る鋼製土留パネル1も、掘削孔の壁面に面する円弧状のスキンプレート10と、スキンプレート10の上端及び下端に設けられて上面及び下面を形成する円弧状の主桁11と、円弧方向における両端面を形成する継手板12と、を有しており、掘削孔の内部に向かって開口する凹状に形成された構成である。
本実施の形態2に係る土留構造物では、各環状体101Aが3種類の鋼製土留パネルを組み合わせて構成されている。図18に示した環状体101Aでは、5つの第1鋼製土留パネル1Aと、1つの第2鋼製土留パネル1Bと、1つの第3鋼製土留パネル1Cとからなる7つの鋼製土留パネル1を有している。第1鋼製土留パネル1A、第2鋼製土留パネル1B、及び第3鋼製土留パネル1Cは、主桁11の円弧方向における端面及び継手板12の向きがそれぞれ異なる。
図19は、実施の形態2における第1鋼製土留パネルを示した平断面図である。図20の(A)は実施の形態2における第1鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第1鋼製土留パネルを示した左側面図である。第1鋼製土留パネル1Aは、すべて同形同大で構成されている。第1鋼製土留パネル1Aは、図19及び図20に示すように、平面視において、主桁11の円弧方向における端面及び継手板12が、掘削孔の径方向に向いた構成である。なお、第1鋼製土留パネル1Aは、円弧方向の長さをすべて同一にする必要はない。また、第1鋼製土留パネル1Aは、図示した5つに限定されない。第1鋼製土留パネル1Aは、掘削孔の形状及び大きさに応じて、円弧方向に長さ及び個数を適宜変更して設けるものとする。
図21は、実施の形態2における第2鋼製土留パネルを示した平断面図である。図22の(A)は実施の形態2における第2鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第2鋼製土留パネルを示した左側面図、(C)は該第2鋼製土留パネルを示した右側面図である。第2鋼製土留パネル1Bは、円弧方向の長さが、例えば第1鋼製土留パネル1Aの円弧方向の長さの略半分である。第2鋼製土留パネル1Bは、図21及び図22に示すように、平面視において、円弧方向における左端面が掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。具体的には、第2鋼製土留パネル1Bは、平面視において、主桁11の円弧方向における左端部、及び円弧方向の左端面を形成する継手板12が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。
図23は、実施の形態2における第3鋼製土留パネルを示した平断面図である。図24の(A)は実施の形態2における第3鋼製土留パネルを示した正面図、(B)は該第3鋼製土留パネルを示した左側面図、(C)は該第3鋼製土留パネルを示した右側面図である。第3鋼製土留パネル1Cは、円弧方向の長さが、例えば第1鋼製土留パネル1Aの円弧方向の長さの略半分である。第3鋼製土留パネル1Cは、図23及び図24に示すように、平面視において、円弧方向における右端面が掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。具体的には、第3鋼製土留パネル1Cは、平面視において、主桁11の円弧方向における右端部、及び円弧方向の右端面を形成する継手板12が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている。
次に、本実施の形態2に係る上記土留構造物100の構築工法を、図18を参照して説明する。本実施の形態2に係る上記土留構造物100の構築工法における第2土留構造部102を構築する工程は、上記実施の形態1と同じである。
第1土留構造部101は、円弧状の波付け鋼板2をリング状に配置して形成された環状体102Aを、孔軸方向に複数段積み重ねて第2土留構造部102を構築した後、該第2土留構造部102の下端に構築される。
第1土留構造部101の環状体101Aの構築は、先ず、5つの第1鋼製土留パネル1Aを掘削孔の壁面の周方向に沿って順に配置し、上段の波付け鋼板2又は上段の鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う第1鋼製土留パネル1A同士をボルト及びナットで連結する。そして、5つの第1鋼製土留パネル1Aのうち、周方向の両端に位置する第1鋼製土留パネル1Aの間に第2鋼製土留パネル1Bを配置し、該第2鋼製土留パネル1Bを、上段の波付け鋼板2又は上段の鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結するとともに、左側において隣り合う第1鋼製土留パネル1Aにボルト及びナットで連結する。そして、第1鋼製土留パネル1Aと第2鋼製土留パネル1Bの間に形成されたスペースに、第3鋼製土留パネル1Cを嵌め込む。第3鋼製土留パネル1Cは、第1鋼製土留パネル1Aと第2鋼製土留パネル1Bの間に形成されたスペースに、環状体101Aの内側から周方向にスライドさせて挿入する。このとき、第2鋼製土留パネル1Bにおける傾斜した継手板12に対して、第3鋼製土留パネル1Cの傾斜した継手板12をスライドさせる。そして、第3鋼製土留パネル1Cの傾斜した一端側を、第1鋼製土留パネル1Aと第2鋼製土留パネル1Bの間に形成されたスペースにスライドさせて挿入した後、第3鋼製土留パネル1Cの他端側を、環状体101Aの内側から外側に向かって押し込み、当該スペースに嵌め込む。そして、第3鋼製土留パネル1Cを、上段の波付け鋼板2又は上段の鋼製土留パネル1にボルト及びナットで連結するとともに、左右に隣り合う第1鋼製土留パネル1Aと第2鋼製土留パネル1Bとにボルト及びナットで連結する。また、鋼製土留パネル(1A~1C)と掘削孔との間には、裏込注入材として、コンクリート又はモルタルが充填される。
なお、5つの第1鋼製土留パネル1Aのうち、周方向の両端に位置する第1鋼製土留パネル1Aの間に第3鋼製土留パネル1Cを配置して、第1鋼製土留パネル1Aにボルト及びナットで連結した後、第1鋼製土留パネル1Aと第3鋼製土留パネル1Cの間に形成されたスペースに、第2鋼製土留パネル1Bを嵌め込んでもよい。
このように、本実施の形態2に係る鋼製土留パネル(1A~1C)、該鋼製土留パネル(1A~1C)を用いた土留構造物100、及び該土留構造物100の構築工法においても、平面視が円弧状とされ、円弧方向における両端面が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成された鋼製土留パネル1を用いているので、最後に設置される第3鋼製土留パネル1Cを、既に設置された左右の第1鋼製土留パネル1A及び第2鋼製土留パネル1Bの間に形成されたスペースに、環状体101Aの内側から周方向にスライドさせて嵌め込むことができる。つまり、当該スペースの周囲の壁面を拡張掘削する必要がないので、工期の短縮及び工費の削減を図ることができ、施工性を向上させることができる。
なお、図示することは省略したが、環状体101Aを形成する鋼製土留パネル1において、周方向に隣り合う鋼製土留パネル1が突き合わさる端面の組のうち、2つ以上の組が、掘削孔の径方向に対して傾斜して形成された構成としてもよい。
次に、図25~図27に基づいて、本実施の形態2に係る鋼製土留パネル(1A~1C)、該鋼製土留パネル(1A~1C)を用いた土留構造物100の変形例を説明する。図25は、実施の形態2に係る土留構造物における第1土留構造部の変形例を示した平断面図である。図25に示す矢印は、各鋼製土留パネル(1A~1C)の範囲を示している。図26は、実施の形態2の変形例における鋼製土留パネルを示した平断面図である。図27の(A)は図26に示した第3鋼製土留パネルの正面図、(B)は該第3鋼製土留パネルの左側面図、(C)は該第3鋼製土留パネルの右側面図である。
図25~図27に示した本実施の形態2の変形例は、第2鋼製土留パネル1Bにおける円弧方向の長さを、第3鋼製土留パネル1Cと比べて非常に短くしたことを特徴としている。一例として、第2鋼製土留パネル1Bと第3鋼製土留パネル1Cを組み合わせた円弧方向の長さが、第1鋼製土留パネル1Aと略同じ長さである。第2鋼製土留パネル1Bの円弧方向の長さは、第3鋼製土留パネル1Cの円弧方向の長さの1/9程度である。
本実施の形態2の変形例では、第2鋼製土留パネル1Bを第3鋼製土留パネル1Cと比べて非常に短くして軽量化を図った構成なので、第2鋼製土留パネル1Bを、左右の第1鋼製土留パネル1A及び第3鋼製土留パネル1Cの間に形成されたスペースに、スライドさせて嵌め込む作業が容易となり、施工性をより向上させることができる。
以上に、鋼製土留パネル1、土留構造物100及び該土留構造物100の構築工法を実施の形態に基づいて説明したが、鋼製土留パネル1、土留構造物100及び該土留構造物100の構築工法は、上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図11に基づいて説明した土留構造物100の構築工法は、一例であって、上記実施の形態に限定されない。要するに、鋼製土留パネル1、土留構造物100及び該土留構造物100の構築工法は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
1 鋼製土留パネル、1A 第1鋼製土留パネル、1B 第2鋼製土留パネル、1C 第3鋼製土留パネル、2 波付け鋼板、2A ライナープレート、2B プランクプレート、3 鋼製土留パネル、10 スキンプレート、11 主桁、11a 連結孔、11b 抉り孔、11c 外端縁、12 継手板、12a 連結孔、12b 抉り孔、13 形状保持部材、20 周方向フランジ部、20a 連結孔、21 軸方向フランジ部、21a 連結孔、100 土留構造物、101 第1土留構造部、101A 環状体、102 第2土留構造部、102A 環状体、200 地面、201 掘削孔、202 拡張空間、203 裏込注入材、300 井桁。

Claims (7)

  1. 地面を掘削して形成された掘削孔に配置されて、リング状の土留構造物を構築するために用いられる鋼製土留パネルであって、
    平面視が円弧状とされ、円弧方向における少なくとも一方の端面が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている、鋼製土留パネル。
  2. 前記掘削孔の壁面に面する円弧状のスキンプレートと、
    前記スキンプレートの上端及び下端に設けられ、上面及び下面を形成する円弧状の主桁と、
    前記スキンプレートの円弧方向における両端に設けられ、円弧方向の両端面を形成する継手板と、を有しており、
    平面視において、前記主桁の円弧方向における端面及び前記継手板が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている、請求項1に記載の鋼製土留パネル。
  3. 上下の前記主桁の間に設けられ、形状を保持する形状保持部材を更に備えている、請求項2に記載の鋼製土留パネル。
  4. 地面を掘削して形成された掘削孔に、平面視が円弧状である鋼製土留パネルを設置して構築される土留構造物であって、
    前記掘削孔の壁面に沿って、複数の前記鋼製土留パネルをリング状に配置して形成された環状体が、孔軸方向に少なくとも1段以上構築された第1土留構造部を備え、
    各前記環状体を構成する複数の前記鋼製土留パネルは、請求項1~3のいずれか一項に記載の鋼製土留パネルを少なくとも2つ有しており、周方向に隣り合う前記鋼製土留パネルが突き合わさる端面の組のうち、少なくとも1つの組が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている、土留構造物。
  5. 各前記環状体を形成する前記鋼製土留パネルにおいて、周方向に隣り合う前記鋼製土留パネルが突き合わさる端面のすべての組が、前記掘削孔の径方向に対して傾斜して形成されている、請求項4に記載の土留構造物。
  6. 前記掘削孔の壁面に沿って、平面視が円弧状である複数の波付け鋼板をリング状に配置して形成された環状体が、孔軸方向に少なくとも1段以上構築された第2土留構造部を更に備えており、
    前記第1土留構造部は、前記第2土留構造部の下方に構築されている、請求項4又は5に記載の土留構造物。
  7. 請求項4~6のいずれか一項に記載の土留構造物の構築工法であって、
    請求項1又は2に記載の鋼製土留パネルを1つ残して、他の鋼製土留パネルを掘削孔の壁面の周方向に沿って順に組み立てて環状体の一部を構築する工程と、
    周方向に沿って順に組み立てた鋼製土留パネルのうち両端に位置する鋼製土留パネルの間に形成されたスペースに、残した前記鋼製土留パネルを前記環状体の内側から周方向に沿ってスライドさせて一端側を挿入し、他端側を径方向に向かって押し込んで嵌め込む工程と、を有する、土留構造物の構築工法。
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