JP2022127843A - 複合体 - Google Patents

複合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2022127843A
JP2022127843A JP2021026048A JP2021026048A JP2022127843A JP 2022127843 A JP2022127843 A JP 2022127843A JP 2021026048 A JP2021026048 A JP 2021026048A JP 2021026048 A JP2021026048 A JP 2021026048A JP 2022127843 A JP2022127843 A JP 2022127843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
composition
layer
mass
pentene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021026048A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022127843A5 (ja
Inventor
恭子 小林
Kyoko Kobayashi
綾平 志賀
Ryohei Shiga
基泰 安井
Motoyasu Yasui
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2021026048A priority Critical patent/JP2022127843A/ja
Publication of JP2022127843A publication Critical patent/JP2022127843A/ja
Publication of JP2022127843A5 publication Critical patent/JP2022127843A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【解決手段】組成物(Ia)から形成された組成物層(I)と、前記組成物層(I)に接する金属層(II)とを有する複合体であり、前記組成物(Ia)は、プロピレンに由来する構成単位を75~100モル%含有するプロピレン系重合体(A)の含有比率が45~75質量部であり、エチレン系重合体(B)の含有比率が0~20質量部であり、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上99モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を1モル%以上40モル%以下有し、前記4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位とが合計で100モル%である共重合体を含み、かつ、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は実質的に観測されない熱可塑性樹脂(C)の含有比率が15~45質量部である(ただし、前記成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする)樹脂組成物である複合体。【効果】本発明によれば、共押出成形によりポリメチルペンテン樹脂と、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂とを良好に接着させることができ、更に金属層との剥離強度に優れるポリオレフィン樹脂組成物層および、これらの複合体を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系重合体を含む組成物層および金属層を有する複合体に関する。
従来からポリプロピレンは、剛性、耐熱性および透明性に優れる熱可塑性成形材料として広く利用されている。ポリプロピレンは、非極性材料であるため、例えばアルミニウム等の金属材料との接着性に乏しい。接着性改良を目的として、ポリプロピレンを不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性する技術が広く知られている。
また、ポリプロピレンは柔軟性に劣るため、接着樹脂として用いる際は、通常、ポリプロピレンに軟質ゴム成分を配合している。ポリプロピレンに軟質ゴム成分を配合することで、接着性が改善されたポリプロピレン系接着樹脂が提案されている(特許文献1)。
一方、リチウムイオン電池に代表される二次電池では、従来から金属製の缶が用いられてきた。近年では、製品の薄型化や多様化の要求に対して、アルミニウム箔に樹脂フィルムを積層した複合体を袋状にしたラミネート包装材が用いられるようになっている。リチウムイオン電池の正極および負極の金属基材には、アルミニウム、ニッケルなどの金属製のリード基材が電気を取り出すために取り付けられる。リード基材とラミネート包装材のアルミニウム箔との短絡や電解液の漏洩を防ぐため、リード基材とラミネート包装材の最内層の樹脂層(シーラント)とのシール強度を向上させる目的で、リード基材のシール部分にはフィルム形状の絶縁体(タブリードフィルム)を挟み込んでシールすることが一般的となっている(特許文献2および特許文献3)。
また、4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む繊維質シートまたは多孔質シートと変性ポリオレフィンからなる層を含む電池部材用フィルムが開示され、従来品と同等以上の耐熱性、柔軟性、電極への接着力、層間接着力を維持しつつ、架橋工程なしで製造可能であるタブリードフィルム等の電池部材用フィルムが得られることが記載されている(特許文献4)。
特開平04-300933号公報 特開昭56-071278号公報 特開2001-102016号公報 特開2016-026380号公報
タブリードフィルムは、絶縁性が高いことはもちろんであるが、リード基材に対する剥離強度に優れる必要がある。例えば、近年、リチウムイオン電池は自動車用などの大型で大容量の電池への検討が盛んであり、耐熱性、剥離強度の向上が要求されている。
ポリメチルペンテン樹脂は耐熱性が高いもののリード基材、ポリプロピレン系樹脂とは接着剤を使用して接着する必要があった。更にポリプロピレン系接着樹脂を使用して接着を行う場合、共押出成形では無極性で濡れ性が低いポリメチルペンテン樹脂は剥離強度が低く、剥離しやすいため、繊維質シートや多孔質シートにしてからポリプロピレン系接着樹脂を押出塗布しなければならないという問題があった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、共押出成形によりポリメチルペンテン樹脂とポリプロピレン系接着樹脂層および金属層との剥離強度に優れる複合体を提供することを目的とする。
[1] 組成物(Ia)から形成された組成物層(I)と、
前記組成物層(I)に接する金属層(II)と
を有する複合体であり、
前記組成物(Ia)は、
プロピレンに由来する構成単位を75~100モル%含有するプロピレン系重合体(A)の含有比率が45~75質量部であり、
エチレン系重合体(B)の含有比率が0~20質量部であり、
4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上99モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を1モル%以上40モル%以下有し、前記4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位とが合計で100モル%である共重合体を含み、かつ、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は実質的に観測されない熱可塑性樹脂(C)の含有比率が15~45質量部である(ただし、前記成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする)樹脂組成物である
複合体。
[2] 前記プロピレン系重合体(A)、エチレン系重合体(B)および熱可塑性樹脂(C)に含まれる共重合体の一部またはすべてが不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によってグラフト変性された[1]に記載の複合体。
[3] 前記組成物層(I)における、前記金属層(II)が接していない面上に形成されたポリオレフィン樹脂層(III)をさらに有する[1]または[2]に記載の複合体。
[4] 前記ポリオレフィン樹脂層(III)における、前記金属層(II)が接していない面上に形成された前記組成物層(I)をさらに有する[3]に記載の複合体。
[5] 前記ポリオレフィン樹脂層(III)が、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位の全構成単位に対する含有比率が90モル%以上100モル%以下であり、4-メチル-1-ペンテン以外のα―オレフィンに由来する構成単位の全構成単位に対する含有比率が0モル%以上10モル%以下である重合体を含み、かつ、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが200℃以上である熱可塑性樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の複合体。
[6] 前記組成物(Ia)が、さらにカルボジイミド変性ポリオレフィン(D)を含み、前記組成物(Ia)において、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部中、成分(A)の含有比率が45~65質量部、成分(B)の含有比率が0~20質量部、成分(C)の含有比率が15~45質量部、成分(D)の含有比率が5~30質量部である、[1]~[5]のいずれかに記載の複合体。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の複合体を含むリチウムイオン電池用タブリード。
[8] [7]に記載のタブリードを有するリチウムイオン電池。
本発明によれば、共押出成形によりポリメチルペンテン樹脂と、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂とを良好に接着させることができ、更に金属層との剥離強度に優れるポリオレフィン樹脂組成物層および、これらの複合体を提供することができる。
図1は、本発明の複合体の一実施形態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[複合体]
本発明の複合体は、
組成物(Ia)から形成された組成物層(I)と、
前記組成物層(I)に接する金属層(II)と
を有する。
<組成物層(I)>
組成物層(I)は、組成物(Ia)から形成される。組成物(Ia)は、プロピレン系共重合体(A)および熱可塑性樹脂(C)を含有し、さらにエチレン系重合体(B)を含有することができる。組成物(Ia)は、さらにカルボジイミド変性ポリオレフィン(D)を含むことができる。
以下、前記プロピレン系共重合体(A)、エチレン系重合体(B)、熱可塑性樹脂(C)およびカルボジイミド変性ポリオレフィン(D)をそれぞれ成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)ともいう。
組成物層(I)は、高い絶縁性を有し、また金属層(II)に対する剥離強度に優れる。
このため、組成物層(I)は、例えばリチウムイオン電池のラミネート包装材における正極、負極の金属製リード基材に対するタブリードフィルムとして好ましい。
プロピレン系重合体(A)
プロピレン系重合体(A)は、アイソタクティックポリプロピレンであってもシンジオタクティックポリプロピレンであってもよい。プロピレン系重合体(A)は、ホモポリプロピレンであっても、プロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)とのランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。前記α-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン等を挙げることができ、これらの2つ以上の組み合わせであってもよい。
特に耐熱性の観点から、エチレン、1-ブテンが好ましい。
プロピレン系重合体(A)は、プロピレンに由来する構成単位を、75~100モル%含み、好ましくは85~100モル%、さらに好ましくは90~100モル%含む。
プロピレン系重合体(A)は、上記重合体を1種単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン系重合体(A)は、密度が好ましくは0.860~0.910g/cm3、より好ましくは0.875~0.910g/cm3、さらに好ましくは0.885~0.910g/cm3の範囲にある。上記の範囲にあると、耐熱性の点で優れる。
プロピレン系重合体(A)は、ASTM D 1238に基づき測定した、温度230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.1~100g/10分、より好ましくは0.2~50g/10分、さらに好ましくは0.3~30g/10分の範囲にある。上記の範囲にあると、成形性とシール性の点で優れる。
エチレン系重合体(B)
エチレン系重合体(B)は、エチレンの単独重合体またはエチレンとα-オレフィンとの共重合体である。前記α-オレフィンとしては、炭素数3以上、好ましくは3~10のα-オレフィンを挙げることができ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン等を挙げることができ、これらの2つ以上の組み合わせであってもよい。α-オレフィンの共重合量は、通常25モル%以下である。上記の範囲にあると、柔軟性の点で優れる。
エチレン系重合体(B)は、密度が好ましくは0.855~0.970g/cm3、より好ましくは0.860~0.940g/cm3、さらに好ましくは0.865~0.930g/cm3の範囲にある。上記の範囲にあると、柔軟性の点で優れる。
エチレン系重合体(B)は、ASTM D 1238に基づき測定した、温度190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.1~20g/10分、より好ましくは0.3~16g/10分、さらに好ましくは0.5~10g/10分の範囲にある。上記の範囲にあると、成形性とシール性の点で優れる。
熱可塑性樹脂(C)
熱可塑性樹脂(C)は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位および4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を有し、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位とが合計で100モル%である共重合体を含む。
前記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等を挙げることができる。前記α-オレフィンとして、好ましくはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンであり、さらに好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンである。前記α-オレフィンは、1種で用いてもよいし、これらの2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
前記共重合体において、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位は60モル%以上99モル%以下であり、好ましくは63モル%以上98モル%以下であり、より好ましくは65モル%以上95モル%以下であり、さらに好ましくは65モル%以上90モル%以下であり、特に好ましくは65モル%以上87モル%以下である。4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位は、1モル%以上40モル%以下であり、好ましくは2モル%以上37モル%以下であり、より好ましくは5モル%以上35モル%以下であり、さらに好ましくは10モル%以上35モル%以下であり、特に好ましくは13モル%以上35モル%以下である。前記構成単位の量が前記の範囲内にあるとき、得られる組成物は耐熱性および接着強度に優れる。
前記共重合体は、ASTM D 1238に準じた、温度230℃ 、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.5~50/10分の範囲にあることが好ましく、0.5~30g/10分の範囲にあることがさらに好ましい。上記の範囲にあると、成形性の点で優れる。
熱可塑性樹脂(C)は、密度が好ましくは0.825~0.870g/cm3、より好ましくは0.827~0.860g/cm3、さらに好ましくは0.830~0.850g/cm3の範囲にある。上記の範囲にあると、柔軟性とハンドリング性のバランスに優れる。
熱可塑性樹脂(C)は、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は実質的に観測されない。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)とカルボジイミド基含有化合物(b)との反応物である。
本発明の接着性樹脂組成物がカルボジイミド変性ポリオレフィン(D)を含むことにより、本発明の接着性樹脂組成物はカルボジイミド基を含むことになる。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)は、1分子中のカルボジイミド基数が5個以上であることが好ましく、10個以上であることがより好ましい。なお、カルボジイミド基数の上限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常で30個である。
(ポリオレフィン(a))
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)は、ポリオレフィンに、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(m)を導入することにより得ることができる。ポリオレフィン(a)は、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。
化合物(m)としては、例えば、カルボジイミド基との反応性を有する活性水素を持つ基を有する化合物が挙げられる。具体的には、カルボン酸、アミン、アルコール、チオール等に由来する基を持つ化合物が挙げられる。これらの中では、カルボン酸に由来する基を有する化合物が好適に用いられ、中でも不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が特に好ましい。また、活性水素を持つ基を有する化合物以外でも、水などにより容易に活性水素を持つ基に変換される基を有する化合物も好ましく使用することができる。具体的には、エポキシ基を有する化合物、グリシジル基を有する化合物が挙げられる。化合物(m)は、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。
化合物(m)として不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を用いる場合、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物およびその誘導体、好ましくは、無水カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物およびその誘導体が挙げられる。不飽和基としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。具体的な化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、これらの酸無水物、およびこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。具体的な酸無水物および誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物;塩化マレニル;マレニルイミド;マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートおよびアミノプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
化合物(m)として不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を使用する場合、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。これらの中では、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレートが好ましい。更には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物等のジカルボン酸無水物が特に好ましい。
化合物(m)をポリオレフィンに導入する方法としては、周知の方法を採用することが可能であるが、例えば、ポリオレフィン主鎖に化合物(m)をグラフト共重合する方法や、オレフィンと化合物(m)とをラジカル共重合する方法が挙げられる。以下に、グラフト共重合する場合とラジカル共重合する場合に分けて、具体的に説明する。
<グラフト共重合>
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)は、ポリオレフィン主鎖にカルボジイミド基と反応する基を有する化合物(m)、必要に応じてその他のエチレン性不飽和単量体等を、ラジカル開始剤の存在下でグラフト共重合することによって得ることが可能である。
《ポリオレフィン主鎖》
ポリオレフィン主鎖として用いられるポリオレフィンは、炭素数2~20の脂肪族α-オレフィン、環状オレフィン、非共役ジエンを主成分とする重合体であり、好ましくは炭素数2~10の脂肪族α-オレフィン、更に好ましくは炭素数2~8の脂肪族α-オレフィンを主成分とする重合体である。これらのオレフィンは、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。共重合体の場合、コモノマーとなるオレフィンの含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常50モル%以下であり、好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。このような範囲にあるポリオレフィンの中では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、およびエチレン、プロピレン、ブテン-1または4-メチル-1-ペンテンとコモノマーとのα-オレフィン共重合体等の結晶性ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはプロピレン-エチレン共重合体がより好ましい。また、これらはアイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。
グラフト変性に用いられるポリオレフィンの密度(JIS K7112に準拠して測定)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常0.8~1.1g/cm3、好ましくは0.8~1.05g/cm3、更に好ましくは0.8~1.0g/cm3である。ASTM D1238による230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常0.01~500g/10分、好ましくは0.05~200g/10分、さらに好ましくは0.1~100g/10分である。密度およびMFRがこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体の密度、MFRも同程度となることからハンドリングしやすい。
また、グラフト変性に用いられるポリオレフィンの結晶化度は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常2%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。結晶化度がこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体のハンドリングに優れる。
グラフト変性に用いられるポリオレフィンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)は、好ましくは5000~50万、さらに好ましくは1万~10万である。数平均分子量(Mn)がこの範囲にあれば、ハンドリングに優れる。尚、数平均分子量は、エチレン系ポリオレフィンにおいては、コモノマー量が10モル%以下であればポリエチレン換算、10モル%以上であればエチレン-プロピレン換算(エチレン含量70モル%を基準)で求めることが可能である。
グラフト変性に用いられるポリオレフィンの製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いてオレフィンを重合することができる。また、グラフト変性に用いられるポリオレフィンは、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
《グラフト重合方法》
化合物(m)をポリオレフィン主鎖にグラフトさせる方法については特に限定されず、溶液法、溶融混練法等の従来公知のグラフト重合法を採用することができる。
化合物(m)のグラフト量は、ポリオレフィン(a)を100重量%とした場合に、通常0.05~20重量%、好ましくは0.05~10重量%、より好ましくは0.05~5重量%、さらに好ましくは0.05~3重量%である。なお、化合物(m)のグラフト量は、ポリオレフィン(a)から遊離の化合物(m)を除いた後に測定される、正味のグラフト量である。また、グラフト量は、13C-NMR、1H-NMR測定等の公知の手段で行うことが出来る。また、化合物(m)として、不飽和カルボン酸およびその酸無水物等の酸性官能基を有する単量体を用いる場合、ポリオレフィン(a)に導入された官能基の量の目安となる量として、例えば、酸価を用いることも可能である。また、化合物(m)として、無水マレイン酸を用いる場合、赤外分光光度計を用いて、通常1780~1790cm-1付近に検出される無水マレイン酸のカルボニル基の吸収スペクトルに基づいて、グラフト量を求めることもできる。
<ラジカル共重合>
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)は、オレフィンと、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(m)とをラジカル共重合することによって得ることも可能である。オレフィンとしては、上述のポリオレフィン主鎖として用いられるポリオレフィンを形成する場合のオレフィンと同一のものを採用することが可能である。オレフィンと化合物(m)とを共重合させる方法については特に限定されず、従来公知のラジカル共重合法を採用することができる。
(ポリオレフィン(a)の構成)
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)中におけるカルボジイミド基と反応する基を有する化合物(m)由来の構造単位の量(例:構造単位量、グラフト量)は、通常は0.05~20重量%、好ましくは0.05~5重量%、さらに好ましくは0.05~3重量%である。カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(m)由来の構造単位の量が、上記範囲であれば、ポリオレフィン(a)とカルボジイミド基含有化合物(b)とが好適に架橋して、接着材を製造することが可能となるため、好ましい。上記範囲を下回ると、接着力が不足する場合がある。
また、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)の密度(JIS K7112に準拠して測定)は、通常0.870~0.940g/cm3、好ましくは0.875~0.940g/cm3、更に好ましくは0.880~0.940g/cm3である。
(カルボジイミド基含有化合物(b))
カルボジイミド基含有化合物(b)は、例えば、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。カルボジイミド基含有化合物(b)は、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。
Figure 2022127843000001
式(2)中、R1は炭素数2~40の2価の有機基を示す。
ポリカルボジイミドは、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等の有機ジイソシアネートを縮合触媒の存在下、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応を行なうことにより製造することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート等が、単独又は複数混合して用いられる。脱炭酸縮合反応において、触媒、反応温度、末端封止剤等を選択することによってポリカルボジイミドの重合度を調節することができる。重合度としては、通常2~40、好ましくは4~20のものが用いられる。末端封止剤としては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート、メタノール、エタノール、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、コハク酸、安息香酸、エチルメルカプタン等の活性水素含有化合物が使用できる。縮合触媒としては、例えば、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ナトリウム、カルシウム等のアルコラート、フォスホレンオキシド等の有機リン化合物が使用できる。
カルボジイミド基含有化合物(b)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、通常400~500,000、好ましくは700~10,000、より好ましくは1,000~8,000、更に好ましくは1,000~4,000である。数平均分子量(Mn)がこの範囲にあると、接着材の接着力が優れるため好ましい。
カルボジイミド基含有化合物(b)は、ポリカルボジイミド中にモノカルボジイミドを含んでもよく、単独又は複数の化合物を混合して使用することも可能である。
本発明では、市販のカルボジイミド基含有化合物をそのまま使用することも可能である。市販のカルボジイミド基含有化合物としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製カルボジライト(登録商標)HMV-8CA、HMV-15CAやカルボジライト(登録商標)LA1が挙げられる。
また、本発明において、カルボジイミド基含有化合物(b)1分子におけるカルボジイミド基数が多くなるほど、極性樹脂およびポリケトン等の樹脂との反応点が増えるので、極性樹脂を含む層およびポリケトン等の樹脂を含む層と本発明の接着材からなる層とをより強固に接着することができる。このことから、1分子中のカルボジイミド基数が5個以上のカルボジイミド基含有化合物(b)を用いることが好ましく、10個以上のカルボジイミド基含有化合物(b)を用いることがより好ましい。なお、1分子中のカルボジイミド基数の上限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、1分子中のカルボジイミド基数が増えると、カルボジイミド基含有化合物(b)を介した架橋構造が形成されやすくなり、成形性が悪化することがあるため、30が好ましい。
カルボジイミド基含有化合物(b)におけるカルボジイミド基の含有量は、13C-NMR、IR、滴定法等により測定でき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C-NMRでは130~142ppm、IRでは2130~2140cm-1にピークを観察することが可能である。
13C-NMR測定は、例えば次のようにして行われる。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子(株)社製GX-500型NMR測定装置を用い、120℃で13C-NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。
(ポリオレフィンの調製方法)
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)と、カルボジイミド基含有化合物(b)とを、好ましくは230℃以上にて反応させることにより得られる。前記ポリオレフィンを含む接着材は、具体的には、溶融変性等のように溶融混練することにより得ることが可能であるが、この方法に限定されるものではない。
以下に、溶融混練する場合の例を示す。前記反応方法は、特に限定はされないが、ポリオレフィン(a)とカルボジイミド基含有化合物(b)を、例えばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー等に装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられる。これらのうちでも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散・反応された接着材を得ることができるため好ましい。
ポリオレフィン(a)とカルボジイミド基含有化合物(b)は、予め混合した後にホッパーから供給する方法、一部の成分をホッパーから供給し、ホッパー部付近から押出機先端の間の任意の部分に設置した供給口よりその他の成分を供給する方法のいずれの方法を取ることも可能である。
上記各成分を溶融混練する際の温度は、混合する各成分の融点の内、最も高い融点以上で反応させることができるが、具体的には通常は180~320℃、好ましくは230~300℃、更に好ましくは235~280℃の範囲である。
組成物(Ia)
組成物(Ia)において、前記プロピレン系重合体(A)、エチレン系重合体(B)および熱可塑性樹脂(C)に含まれる共重合体の一部またはすべては不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によってグラフト変性されていてもよい。すなわち、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)のいずれか1つまたは2つの成分がグラフト変性されていてもよいし、3つの成分すべてがグラフト変性されていてもよい。また、前記成分(A)、成分(B)および成分(C)のそれぞれは、一部のみがグラフト変性されていてもよいし、全体がグラフト変性されていてもよい。
グラフト変性は、一般に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をベースポリマーにグラフト反応させることによって行うことができる。不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンドシス-ビシクロ「2,2,1」ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸の登録商標) 、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば前記不飽和カルボン酸の酸無水物、イミド、アミド、エステル等を挙げることができ、具体的には、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレート等を例示することができる。これらの中では、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特に、マレイン酸、ナジック酸、それらの酸無水物が好適である。不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を使用する場合、1種単独で用いても2種以上を用いてもよい。
グラフト反応には、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ベースポリマーとしてプロピレン系重合体を用いる場合、例えば、プロピレン系重合体を有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液に不飽和カルボン酸またはその誘導体及び必要に応じて有機過酸化物などのラジカル開始剤を加え、通常、60~350℃、好ましくは80~190℃の温度で、0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させる方法がある。あるいは、押出機などを使用して、無溶媒で、プロピレン系重合体と、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体及び必要に応じて有機過酸化物などのラジカル開始剤を加え、通常、プロピレン系重合体の融点以上、好ましくは120~350℃、0.5~10分間反応させる方法を採り得る。
ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等の有機パーオキサイドが好ましい。
前記グラフト変性による変性量は、グラフトモノマー重量として好ましくは0 .01~10質量% 、より好ましくは0.1~5質量% 、さらに好ましくは1~5質量%である。グラフト変性量が前記範囲内であると、得られる積層体において層間接着性が良好となる。
組成物(Ia)において、前記成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部中、成分(A)の割合が45~75質量部、成分(B)の割合が0~20質量部、成分(C)の割合が15~45質量部であり、好ましくは成分(A)の割合が47~72質量部、成分(B)の割合が7~20質量部、成分(C)の割合が17~42質量部であり、より好ましくは成分(A)の割合が50~70質量部、成分(B)の割合が10~20質量部、成分(C)の割合が20~40質量部である。
組成物(Ia)において、前記成分(D)が含まれる場合は、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部中、成分(A)の割合が45~65質量部、成分(B)の割合が0~20質量部、成分(C)の割合が15~45質量部、成分(D)の割合が5~30質量部であり、好ましくは成分(A)の割合が45~60量部、成分(B)の割合が5~17質量部、成分(C)の割合が17~42質量部、成分(D)の割合が10~30質量部であり、より好ましくは成分(A)の割合が45~55質量部、成分(B)の割合が7~17質量部、成分(C)の割合が20~40質量部、成分(D)の割合が10~25質量部である。
組成物(Ia)は、ASTM D 1238に準じた、温度230℃ 、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、0.3~20g/10分の範囲にあることが好ましく、0.5~15g/10分の範囲にあることがさらに好ましい。上記の範囲にあると、成形性とシール性の点で優れる。
組成物(Ia)のJIS K7112に準拠して測定された密度は、好ましくは0.860~0.900g/cm3、より好ましくは0.865~0.890g/cm3の範囲にある。上記の範囲にあると、柔軟性と接着性の点で優れる。
組成物(Ia)中のカルボジイミド基の含有量は、接着材100g当たり、好ましくは0.1~50mmolであり、より好ましくは0.2~40mmol、更に好ましくは0.5~30mmolである。組成物(Ia)中のカルボジイミド基の含有量がこの範囲にあると、接着性に優れるとともに、カルボジイミド基含有化合物(b)を介したポリオレフィン(a)の架橋を抑制することができるので好ましい。
組成物(Ia)中のカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド基含有化合物(b)の仕込み量から算出することができ、また、13C-NMR、IR、滴定法等により測定することもでき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C-NMRでは130~142ppm、IRでは2130~2140cm-1にピークを観察することが可能である。なお、13C-NMR測定は、例えば、前述のカルボジイミド基含有化合物(b)におけるカルボジイミド基含有量の測定方法に記載の測定方法で行われる。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)は、上記のようにカルボジイミド基含有化合物(b)のカルボジイミド基(NCN)が、ポリオレフィン(a)が有するカルボジイミド基と反応する基と反応することで製造され、この反応の過程である程度のカルボジイミド基が消費される。ポリオレフィン基と同一分子鎖としてつながっているカルボジイミド基の残基はポリケトンまたは極性樹脂等との接着性に寄与する。組成物(Ia)中のカルボジイミド基の含有量が上述の範囲を超えると、カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)に対して、組成物(Ia)中に過剰の遊離カルボジイミド基が存在することになり、接着性能や成形加工性が低下する。
下記の方法により、ポリオレフィン(a)とカルボジイミド基含有化合物(b)との反応率を評価することができる。
上記のカルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)(リファレンス)と、組成物(Ia)とに対し、各々の熱プレスシートを作成した後に、赤外吸収分析装置を用いて赤外線吸収を測定する。得られたチャートから、ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度と、ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度と接着材中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度との差とを比較して、下記式(α1)を用いて反応率を計算できる。なお、カルボジイミド基と反応する基として無水マレイン酸に由来する基を用いた場合は、1790cm-1付近の吸光度を用いることができる。
反応率(%)={P/Q}×100・・・式(α1)
P:ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度と、接着材中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度との差
Q:ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度
接着材について上記方法で求めた反応率は、通常40~100%、好ましくは60~100%、更に好ましくは80~100%の範囲にある。
なお、カルボジイミド基は吸水によってウレア基へ変わるが、ウレア基でもポリケトンまたは極性樹脂等との高い反応性を発揮する。したがって、接着材中には、カルボジイミド基が、例えば、大気中の水などによりウレア基へ変換されているポリオレフィンが含まれていても構わず、本発明の好適態様の一つである。
組成物(Ia)は、種々公知の方法、例えば、上記成分を、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V-ブレンダー等によりドライブレンドする方法、ドライブレンドした後、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等により溶融混練する方法、および溶媒の存在下で、攪拌混合する方法等によって調製することができる。
組成物(Ia)は、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加剤或いは他の重合体、ゴムなどを必要に応じて含有することができる。
<金属層(II)>
金属層(II)を構成する金属は、特に制限されないが、例えば、アルミニウム、チタン、銅、ニッケルおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金が挙げられる。例えば、金属層(II)がリチウムイオン電池の正極に接続されるタブリードのリード基材である場合は、アルミニウム、チタンおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金で形成された金属層(II)が好ましい。金属層(II)がリチウムイオン電池の負極に接続されるタブリードのリード基材である場合は、銅、ニッケルおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金で形成された金属層(II)が好ましい。
金属層(II)は、例えば、金属シートおよび金属板である。金属層(II)の一実施態様、リチウムイオン電池の、正極および負極から選ばれる電極に接続されるタブリードを構成するリード基材である。
<ポリオレフィン樹脂層(III)>
本発明の複合体は、ポリオレフィン樹脂層(III)をさらに有することができる。ポリオレフィン樹脂層(III)は、例えば、組成物層(I)における金属層(II)が接していない面上に形成される。すなわち、本発明の複合体は、金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)という構成を有することができる。
ポリオレフィン樹脂層(III)におけるポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、4-メチル-1-ペンテン重合体等の熱可塑性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。ポリオレフィン樹脂は架橋されていてもよい。ポリオレフィン樹脂層(III)におけるポリオレフィン樹脂としては耐熱性の観点から4-メチル-1-ペンテン重合体が好ましい。
前記4-メチル-1-ペンテン重合体は、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を全構成単位に対して90モル%以上100モル%以下含有することが好ましく、より好ましくは92モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下含有する。前記4-メチル-1-ペンテン重合体は、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を、全構成単位に対して0モル%以上10モル%以下含有することが好ましく、より好ましくは0モル%以上8モル%以下、さらに好ましくは0モル%以上5モル%以下含有する。4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-オクタデセン等を挙げることができる。
前記4-メチル-1-ペンテン重合体は、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが200℃以上であることが好ましく、より好ましくは210~240℃、さらに好ましくは220~235℃である。
<他の層(IV)>
本発明の複合体は、他の層(IV)をさらに有することができる。他の層(IV)は、例えば、ポリオレフィン樹脂層(III)における2面のうち、前記金属層(II)に対してより遠い面上に形成される。すなわち、本発明の複合体は、金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)/他の層(IV)という構成を有することができる。
他の層(IV)は、前述した組成物(Ia)から形成された層であることが好ましい。他の層(IV)が組成物(Ia)から形成された層である場合、更にその面上にポリオレフィン樹脂層、特にポリプロピレン系樹脂層が形成される場合に接着力に優れる点で好ましい。他の層(IV)は組成物層(I)と同一の組成を有する層であってもよく、また異なった組成を有する層であってもよい。
また、他の層(IV)は、他の一実施態様において、例えば、公知の酸変性ポリオレフィン樹脂およびその架橋体から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等の、酸変性熱可塑性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらは1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。酸変性ポリプロピレンを用いると、耐熱性の観点から好ましい。
<複合体の構成>
本発明の複合体の構成としては、例えば、
金属層(II)/組成物層(I)、
金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)、
金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)/他の層(IV)、
組成物層(I)/金属層(II)/組成物層(I)、
ポリオレフィン樹脂層(III)/組成物層(I)/金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)、
他の層(IV)/ポリオレフィン樹脂層(III)/組成物層(I)/金属層(II)/組成物層(I)/ポリオレフィン樹脂層(III)/他の層(IV)
金属層(II)/組成物層(I)(組成物(Ia)から形成された層)/ポリオレフィン樹脂層(III)/組成物層(I)((組成物(Ia)から形成された層)
が挙げられる。
なお、本発明の複合体において、金属層(II)の全面に組成物層(I)が形成されている必要はなく、金属層(II)の一部に組成物層(I)が形成されていればよい。例えば、後述するリチウムイオン電池用タブリードの場合は、外装部材によりシールされる部位の金属層(II)(リード基材に相当)を被覆するように組成物層(I)が形成されていることが好ましい。
<複合体の各層の厚みおよび複合体の製造方法>
本発明の複合体は、例えば、以下の方法にて製造することができる。
組成物層(I)を単独で使用する場合は、組成物(Ia)からTダイ付き押出成形機またはインフレーション成形機等の成形機でフィルムまたはシートなどを成形する。成形温度は、例えば180~250℃である。次いで、組成物層(I)に対応する前記フィルムまたはシートと、金属層(II)に対応する金属部材とを貼り合わせ、熱融着、具体的には熱圧着する。このとき、組成物層(I)の厚みは、通常は5~300μm、好ましくは10~250μmである。
ポリオレフィン樹脂層(III)および必要に応じて他の層(IV)を設ける場合は、前記(I)、前記(III)および必要に応じて前記(IV)それぞれに対応するフィルムを予め成形し、熱圧着などを行って積層フィルムを作製する。あるいは、組成物層(I)、ポリオレフィン樹脂層(III)および必要に応じて他の層(IV)を公知の多層成形法により成形することで積層フィルムを作製してもよい。公知の多層成形法としては、例えば、共押出成形法、押出ラミネート法が挙げられる。このときの、組成物層(I)、ポリオレフィン樹脂層(III)、必要に応じて他の層(IV)を合わせた総厚みは、通常は10~300μm、好ましくは10~250μmである。この中で組成物層(I)の厚みは、通常は3~50μm、好ましくは5~40μmであり、ポリオレフィン樹脂層(III)の厚みは、例えば7~297μmまたは5~245μmであり、他の層(IV)の厚みは、通常は3~50μm、好ましくは5~40μmである。次いで、前記積層フィルムと金属層(II)に対応する金属部材とを、組成物層(I)が金属層(II)と接触するように貼り合わせ、熱融着、具体的には熱圧着する。
金属層(II)の厚みは、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは2μm~100mm、より好ましくは5μm~50mmである。
熱融着の条件、具体的には熱圧着の条件は、例えば、通常は130~200℃、好ましくは140~180℃であり、通常は0.1~1MPa、好ましくは0.2~0.8MPaである。
これらの中でも、本発明の複合体はタブリードとして用いることが特に好ましい。タブ
リードは、電池における電極と外部との電気の出し入れを行う端子である。本発明の複合
体は、リチウムイオン電池イオン用、特にラミネート型リチウムイオン電池用のタブリー
ドとして用いることが好ましい。ラミネート型リチウムイオン電池は、リチウムイオン電
池としては軽量であり、形状自由度が高く、高速充電が可能である。
本発明のタブリードは、リード基材である金属層(II)と、リード基材の少なくとも片面上に形成されたタブリードフィルムとを有する。タブリードは、リード基材の両面上にタブリードフィルムを有することができる。
タブリードフィルムは、リード基材に接する組成物層(I)を有し、一実施形態においては組成物層(I)上にさらにポリオレフィン樹脂層(III)、および必要に応じて他の層(IV)を有することができる。タブリードフィルムは、リード基材(リード導体)の一部を被覆し、後述するリチウムイオン電池における外装部材の内面に接着させるために形成されている。一例として、図1に、タブリードフィルムによりリード基材と外装部材とを接着させた構成を示す。
タブリードフィルムは、一実施形態において、耐熱層と接着層とを有する積層フィルムである。リチウムイオン電池では、前記接着層をリード基材に接着させ、前記耐熱層を外装部材の内面に接着させる。一実施形態において、本発明の複合体における金属層(II)がリード基材に相当し、組成物層(I)がタブリードフィルムの接着層に相当し、ポリオレフィン樹脂層(III)がタブリードフィルムの耐熱層に相当する。
リード基材の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、銅、ニッケルおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金が挙げられる。リチウムイオン電池の正極に接続されるリード基材としては、例えば、アルミニウム、チタンおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金からなるリード導体が用いられ、リチウムイオン電池の負極に接続されるリード基材としては、例えば、銅、ニッケルおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金からなるリード導体が用いられる。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、上述したタブリードを有する。
本発明のリチウムイオン電池は、具体的には、正極と、負極と、正極および負極の間のセパレータと、電解液と、これらを収容(すなわち封入)する外装部材とを有する。リチウムイオン電池は、前記正極に電気的に接続した正極タブリードと、前記負極に電気的に接続した負極タブリードとを有している。
正極、負極およびセパレータとしては、従来公知の構成を採用することができる。正極および負極は、例えば、集電体と呼ばれる金属基材と、前記金属基材上に活性物質層とを有する。正極の金属基材には、例えば、アルミニウム、チタンおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金からなる電極導電体が用いられる。負極の金属基材には、例えば、銅、ニッケルおよびこれらから選ばれる少なくとも1種を含む合金からなる電極導電体が用いられる。セパレータは、例えば、ポリオレフィン系の多孔膜で形成される。リチウムイオン電池における電極は、正極と負極とをセパレータを介して積層した積層電極群であることができる。
電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液が挙げられる。電解質としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6等のリチウム化合物が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロドフランが挙げられる。
リチウムイオン電池からその外部に電流を取り出すために、すなわち外部との電気的な接続を可能にするために、正極タブリードおよび負極タブリードは、外装部材内から外部に延びている。具体的には、正極の金属基材は、電気的に正極タブリードの一端に接続され、正極タブリードの他端は外装部材の外部に延びている。また、負極の金属基材は、電気的に負極タブリードの一端に接続され、負極タブリードの他端は外装部材の外部に延びている。
本発明のリチウムイオン電池は、少なくとも一部のタブリードに本発明のタブリードが使用されている。外装部材からのタブリードの取出し部分において、リード基材の一部と外装部材とがタブリードフィルムの熱融着によって接合されている。タブリード取出し部分において外装部材のシール性が低下することがあるが、本発明では前記熱融着により、外装部材のシール性の低下を防止することができる。また、本発明では前記シールの接着強度が高く優れている。
外装部材は、通常、金属層を有するラミネートシートからなる袋状の部材、すなわちラミネート包装材である。前記ラミネートシートは、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属からなる金属層と、前記金属層の両面に形成された樹脂フィルムとを有する。このような構成とすることで、外装部材の密封性が高まる。
外装部材の最内層フィルム(電池内部側の前記樹脂フィルム)は、非水電解液と接触するため、シール部分から非水電解液が漏出することを防止する観点から、例えば、ヒートシール性に優れるポリプロピレンから形成される。外装部材の最外層フィルム(電池外部側の前記樹脂フィルム)は、前記金属層を外傷から保護する観点から、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから形成される。
外装部材は、矩形状に裁断された2枚の前記ラミネートシートの周縁のシール部を、ヒートシールすることにより形成することができる。例えば、2枚の前記ラミネートシートの矩形の周縁部3辺を、所望のシール幅だけヒートシールする。このようにして、3辺がシールされ、1辺が開いた、開口を有する外装部材が得られる。
次に、開口を有する外装部材の内部に、前記開口を通して、リチウムイオン電池の構成部材とタブリードの一部とを収容する。次に、タブリードにおいてタブリードフィルムが形成された部分を、開口端部の外装部材によって挟み込み、ヒートシールする。このようにして、本発明のリチウムイオン電池を得ることができる。
(各種測定方法)
本実施例等においては、以下の方法に従って測定を実施した。
[接着性樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)]
接着性樹脂組成物のメルトフローレートについては、ASTM D1238に従い下記条件のもと測定を実施した。
ポリエチレン系重合体:190℃、2.16kg荷重下
ポリプロピレン系重合体:230℃、2.16kg荷重下
4-メチル-1-ペンテン系重合体:260℃、5kg荷重下。
[密度]
密度は、JIS K7112に準拠して測定した。
[カルボジイミド基含有化合物の数平均分子量]
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラヒドロフラン溶媒(移動相)とし、カラム温度40℃で測定した(ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)。標準ポリスチレンは、分子量が580≦Mw≦7×106については、アジレント・テクノロジー(株)(旧ポリマーラボラトリーズリミテッド)社製ポリスチレンPS-1を用いた。
[カルボジイミド基の含有量]
実施例および比較例のカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出した。
[無水マレイン酸のグラフト量]
無水マレイン酸のグラフト量は、FT-IRを用いて次の方法にて測定した。試料を250℃で、3分間熱プレスしてシートを作製した後に、赤外分光光度計(日本分光(株)社製、FT-IR410型)を用いて透過法で1790cm-1付近の赤外吸収スペクトルを測定した。測定条件は、分解能を2cm-1、積算回数を32回とした。
実施例及び比較例において使用したポリオレフィンを以下に示す。なお、プロピレン系重合体(A)、エチレン系重合体(B)および 熱可塑性樹脂(C)は、いずれも常法に従い重合を行い、調製した。
プロピレン系重合体(A)
PP-1: ランダムポリプロピレン
(メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重):7.0g/10分、密度:0.900g/cm3、プロピレン含量:95モル%、エチレン含量:5モル%)
PP-2: 無水マレイン酸変性ホモポリプロピレン
(メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重):100g/10分、密度:0.900g/cm3、無水マレイン酸グラフト量:3.0質量%)
PP-3: ポリプロピレン
(メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重):5g/10分、密度:0.900g/cm3、プロピレン含量:96モル%、エチレン含量:4モル%)
エチレン系重合体(B)
PE-1: ポリエチレン系重合体
(メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重):0.8g/10分、密度:0.870g/cm3、プロピレン含量:19モル%)
熱可塑性樹脂(C)
PMP-1: プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体(MFR:10g/10分(230℃、2.16kg荷重)、密度:0.838g/cm3、プロピレン含量:15モル%、4-メチル-1-ペンテン含量:85モル%、DSCにより測定される融点:130℃)
PMP-2: プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体(MFR:10g/10分(230℃、2.16kg荷重)、密度:0.840g/cm3、プロピレン含量:28モル%、4-メチル-1-ペンテン含量:72モル%、DSCにより融点が観測されない)
カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)
CDI-PP1:下記の製造例1によって得られたカルボジイミド変性ポリオレフィン
〔製造例1〕
<カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン(a)の製造>
PP-1 100部に、無水マレイン酸(和光純薬工業(株)社製、以下、MAHと略記)1部、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3(日油(株)社製、商品名パーヘキシン(登録商標)25B)0.25部を混合し、二軸混練機を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、ポリオレフィン(a)である無水マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH-PP-1と略記)を得た。MAH-PP-1の密度は0.905g/cm3であった。
得られたMAH-PP-1をキシレンに溶解し、次いで得られたキシレン溶液をアセトンに注ぐことで、MAH-PP-1を再沈させて精製した。無水マレイン酸のグラフト量をFT-IRにて測定したところ0.7重量%であった。
<カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)の製造>
上記で製造したMAH-PP-1 100部と、カルボジイミド基含有化合物(日清紡ケミカル(株)社製、商品名カルボジライト(登録商標)HMV-15CA、カルボジイミド基当量:262、数平均分子量:3050、1分子中のカルボジイミド基数:12個) 8.8部とを混合し、二軸混練機を用いてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、カルボジイミド変性ポリオレフィン(D)であるカルボジイミド変性PP(以下、CDI-PP1と略記)のペレットを製造した。
得られたCDI-PP1は、MFR(230℃、2.16kg荷重)は130g/10分、密度は0.905g/cm3であり、カルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出したカルボジイミド基含有量は31mmol/100gであった。尚、FT-IR分析によれば、CDI-PP1からは無水マレイン酸のピーク(1790cm-1)が消失していたことから、ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度およびCDI-PP1中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度の差(P)と、ポリオレフィン(a)中のカルボジイミド基と反応する基に由来する吸光度(Q)との比が1であるため、反応率は100%であった。
〔実施例1〕
<樹脂組成物の製造>
上記PP-1 65部と、PP-2 5部と、PMP-2 30部とを混合し、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX-30)を用いて230℃で溶融混練し、組成物Ia-
1を得た。得られた組成物のメルトフローレートは8.3g/10分であり、密度は0.880g/cm3であった。
<積層体の製造>
組成物Ia-1およびMP-1(ポリ4-メチル-1-ペンテン(MFR:26g/
10分(260℃、5kg荷重)、密度:0.833g/cm3、4-メチル-1-ペンテン含量:100モル%、DSCにより測定される融点:220℃))から成る層を、下記の条件で共押出して、3層積層体を成形した。
Tダイキャストシート成形機(EDI社製)を使用し、共押出成形によって組成物I
a-1/MP-1/組成物Ia-1の積層体を作成した。組成物Ia-1層の押出機は
温度を230℃とし、MP-1層の押出機は温度を275℃とし、ダイス温度は275℃とし、チルロールで冷却を受けつつ、4m/分の速さで引き取った。各層の厚みは組成物Ia-1/MP-1/組成物Ia-1=30/30/30μmとした。
前記積層体の層間接着力を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。組成物I
a-1層とMP-1層とが剥離しなかった場合には「剥離せず」と表記した。
<積層体の層間接着力評価>
得られた積層体を15mm幅に切り取り、引張試験機((株)インテスコ社製IM-20ST型)を使用してTピール法にて、組成物Ia-1層とMP-1層との界面にお
ける層間接着力(MP-1層間接着力)を、室温23℃で測定した。
クロスヘッドスピードは、300mm/minとした。
層間接着力の単位はN/15mmである。
<複合体の製造>
上記で得られた3層積層体を厚み350μm、幅15mmのアルミシートと、厚み100μm、幅15mmのPPフィルムとで挟み、ヒートシーラーにて140℃、0.2MPaの条件で4秒間ヒートシールして、PPフィルム/3層積層体/アルミシートの複合体を製造した。
前記複合体の層間接着力を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
<複合体の層間接着力評価>
得られた複合体のアルミシートと3層積層体との界面における層間接着力(アルミ層間接着力)を室温23℃で測定した。
クロスヘッドスピードは、200mm/minとした。
層間接着力の単位はN/15mmである。
得られた複合体のPPフィルムと3層積層体との界面における層間接着力(PP層間接着力)を室温23℃で測定した。
クロスヘッドスピードは、200mm/minとした。
層間接着力の単位はN/15mmである。
〔実施例2~5、比較例1~2〕
表1に示した配合処方に従い実施例1と同様の方法で樹脂組成物、積層体および複合体を製造した。得られた組成物のメルトフローレートおよび密度、ならびに積層体および複合体の層間接着力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
<組成物の製造>
CDI-PP1 20部、PP-3 40部、PE-1 10部、およびPMP-2 30部を混合し、二軸押出機を用いてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し組成物Ia-6を得た。組成物Ia-6の
メルトフローレートおよび密度を表1に示す。
<積層体の製造>
組成物Ia-6およびMP-1から成る層を、下記の条件で共押出して、3層積層体
を成形した。
Tダイキャストシート成形機(EDI社製)を使用し、共押出成形によって組成物I
a-6/MP-1/組成物Ia-6の積層体を作成した。組成物Ia-6層の押出機は
温度を270℃とし、MP-1層の押出機は温度を275℃とし、ダイス温度は275℃とし、チルロールで冷却を受けつつ、4m/分の速さで引き取った。各層の厚みは組成物Ia-6/MP-1/組成物Ia-6=30/30/30μmとした。
<積層体の層間接着力評価>
得られた積層体のMP-1層間接着力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
<複合体の製造>
上記で得られた3層積層体を厚み350μm、幅15mmのアルミシートと、厚み100μm、幅15mmのPPフィルムとで挟み、ヒートシーラーにて250℃、0.2MPaの条件で4秒間ヒートシールした。
<複合体の層間接着力評価>
得られた複合体のアルミ層間接着力、PP層接着力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
表1に示した配合処方に従い実施例6と同様の方法で、組成物、積層体および複合体を製造した。得られた組成物のメルトフローレートおよび密度、ならびに積層体および複合体の層間接着力を実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022127843000002
10…リード基材(金属層(II))
20…タブリードフィルム
21…組成物層(I)
22…ポリオレフィン樹脂層(III)
23…他の層(IV)
30…外装部材

Claims (8)

  1. 組成物(Ia)から形成された組成物層(I)と、
    前記組成物層(I)に接する金属層(II)と
    を有する複合体であり、
    前記組成物(Ia)は、
    プロピレンに由来する構成単位を75~100モル%含有するプロピレン系重合体(A)の含有比率が45~75質量部であり、
    エチレン系重合体(B)の含有比率が0~20質量部であり、
    4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を60モル%以上99モル%以下、及び4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位を1モル%以上40モル%以下有し、前記4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位と、前記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2以上20以下のα-オレフィンに由来する構成単位とが合計で100モル%である共重合体を含み、かつ、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は実質的に観測されない熱可塑性樹脂(C)の含有比率が15~45質量部である(ただし、前記成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とする)樹脂組成物である
    複合体。
  2. 前記プロピレン系重合体(A)、エチレン系重合体(B)および熱可塑性樹脂(C)に含まれる共重合体の一部またはすべてが不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によってグラフト変性された請求項1に記載の複合体。
  3. 前記組成物層(I)における、前記金属層(II)が接していない面上に形成されたポリオレフィン樹脂層(III)をさらに有する請求項1または請求項2に記載の複合体。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂層(III)における、前記金属層(II)が接していない面上に形成された前記組成物層(I)をさらに有する請求項3に記載の複合体。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂層(III)が、4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位の全構成単位に対する含有比率が90モル%以上100モル%以下であり、4-メチル-1-ペンテン以外のα―オレフィンに由来する構成単位の全構成単位に対する含有比率が0モル%以上10モル%以下である重合体を含み、かつ、示差走査熱量計(DSC)により測定される融点Tmが200℃以上である熱可塑性樹脂を含む、請求項1~4のいずれかに記載の複合体。
  6. 前記組成物(Ia)が、さらにカルボジイミド変性ポリオレフィン(D)を含み、前記組成物(Ia)において、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部中、成分(A)の含有比率が45~65質量部、成分(B)の含有比率が0~20質量部、成分(C)の含有比率が15~45質量部、成分(D)の含有比率が5~30質量部である、請求項1~5のいずれかに記載の複合体。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の複合体を含むリチウムイオン電池用タブリード。
  8. 請求項7に記載のタブリードを有するリチウムイオン電池。
JP2021026048A 2021-02-22 2021-02-22 複合体 Pending JP2022127843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021026048A JP2022127843A (ja) 2021-02-22 2021-02-22 複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021026048A JP2022127843A (ja) 2021-02-22 2021-02-22 複合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022127843A true JP2022127843A (ja) 2022-09-01
JP2022127843A5 JP2022127843A5 (ja) 2024-03-01

Family

ID=83061398

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021026048A Pending JP2022127843A (ja) 2021-02-22 2021-02-22 複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022127843A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024204697A1 (ja) * 2023-03-30 2024-10-03 三井化学株式会社 金属樹脂複合体およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024204697A1 (ja) * 2023-03-30 2024-10-03 三井化学株式会社 金属樹脂複合体およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102107368B1 (ko) 적층체 및 그의 제조 방법, 및 접착용 조성물
WO2007040261A1 (ja) 接着剤およびそれを用いた積層体
EP3778818B1 (en) Polyolefin-based adhesive composition
JP7047060B2 (ja) 樹脂組成物ならびに単層および多層フィルム
EP3878918B1 (en) Polyolefin-based adhesive composition
WO2020145239A1 (ja) 接着性樹脂組成物および積層体
JPWO2006098290A1 (ja) 新規接着剤およびそれを用いた積層体
WO2022211081A1 (ja) 多層シート及びその製造方法
EP3778819B1 (en) Polyolefin-based adhesive composition
JP2022127843A (ja) 複合体
JP7134853B2 (ja) 組成物層および金属層を有する複合体
WO2018155448A1 (ja) 積層体の製造方法および共押出シート
JP2018048266A (ja) 両面粘着テープ又はシート、及び、その製造方法
WO2022270468A1 (ja) 多層シート及びその製造方法
EP4332188A1 (en) Multi-layer sheet and method for producing same
WO2023286808A1 (ja) 多層シート及びその製造方法
EP3909765B1 (en) Adhesive resin composition and layered body
JP7500226B2 (ja) 接着性樹脂組成物、フィルムおよびその用途
WO2024053576A1 (ja) 接着組成物、積層体、包材および電池ケース用包材
EP4310143A1 (en) Resin composition, film including said resin composition, and use thereof
JP2024120230A (ja) 接着性重合体組成物、該接着性重合体組成物と金属を含む金属積層体、及び該金属積層体からなる電池用包装材
JP2020125406A (ja) 接着材および積層体
CN115666938A (zh) 适合作为光伏模块的集成背板元件的层元件

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240221

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20241008