JP2022126372A - 分散樹脂組成物 - Google Patents

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Takao Yoshimoto
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Ryo Koike
史泰 榊原
Fumiyasu Sakakibara
俊司 関口
Shunji Sekiguchi
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Abstract

【課題】本発明は、ガラス基材に対して高い密着性を有し、かつ塗膜化した際に良好な塗膜外観を有する変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物を提供することである。【解決手段】成分(A):ポリオレフィン樹脂を、成分(B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有し、前記成分(A)がエチレン-プロピレン共重合体である、ガラス基材用の変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、分散樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、熱により変形する性質を利用して、シート、フィルムなど平面形状のみならず、球状、円筒状、箱状など一定の形状に成形して各種形態の商品として利用されている。しかし、熱可塑性樹脂は基本的に透明で、比較的柔らかく、傷が付きやすいので、保護や美観の改善を目的として、その表面に印刷や塗装が行われる。
熱可塑性樹脂には、極性を有する樹脂と非極性の樹脂とがある。非極性樹脂の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂は、安価で成形性、耐薬品性、耐水性、電気特性、安全性など多くの優れた性質を有するため、近年広く採用されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の極性樹脂とは異なり、非極性でかつ結晶性のため、その表面にインキ、塗料、あるいは接着剤を強固に付着させることが困難である。
こうしたポリオレフィン系樹脂を用いた非極性樹脂基材に対して、付着性を有する樹脂として、変性ポリオレフィン樹脂が提案されている。この変性ポリオレフィン樹脂は、芳香族以外の溶剤への溶解性が低いため、従来、トルエン等の芳香族溶剤に溶解して使用されていたが、近年、環境問題の観点から、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003-327761号公報
特許文献1の実施例で付着性の効果が実証されている基材は、PP(ポリプロピレン)、PET、PC、ABS、6-PA、PVC等、木粉/PP複合材である。このような水性分散体が、例えばガラス基材等、他の材料でも接着性が生じれば、広範な用途に利用可能である。
本発明の課題は、ガラス基材に対して高い密着性を有し、かつ塗膜化した際に良好な塗膜外観を有する変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の樹脂骨格を有する変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕成分(A):ポリオレフィン樹脂を、成分(B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有し、前記成分(A)がエチレン-プロピレン共重合体である、ガラス基材用の変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物。
〔2〕前記成分(A)が、構成単位100モル%中、プロピレン由来の構成単位を50モル%以上含む、上記〔1〕に記載の分散樹脂組成物。
〔3〕前記成分(B)のグラフト重量が、0.1~20重量%である、上記〔1〕または〔2〕に記載の分散樹脂組成物。
〔4〕前記変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が、10,000以上~200,000未満である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔5〕前記変性ポリオレフィン樹脂が、さらに成分(C):(メタ)アクリル酸エステルでグラフト変性されている、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔6〕前記分散樹脂組成物中に、アルキルアミン系の界面活性剤を含む、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物。
〔7〕上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の分散樹脂組成物を有効成分とする塗料、インキ、接着剤又はプライマー。
本発明によれば、ガラス基材に対して高い密着性を有し、かつ塗膜化した際に良好な塗膜外観を有する変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本明細書中、「AA~BB」との表記は、AA以上BB以下を示す。
[分散樹脂組成物]
本発明の分散樹脂組成物は、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン樹脂に、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体を含む変性成分を導入した変性ポリオレフィン樹脂と、水系分散媒と、を少なくとも含有する。
[変性ポリオレフィン樹脂]
変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂にα,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む変性成分を導入して得られる。
変性ポリオレフィン樹脂の融点は、50~120℃が好ましく、60~110℃がより好ましく、60℃~100℃がさらに好ましい。融点が50℃以上であると、十分な付着性を発揮し得る。一方、融点が120℃以下であると、比較的低温で焼き付けを行っても優れた付着性を発揮し得る。融点は、例えば、ポリオレフィン樹脂のベース樹脂の種類により調整し得る。
DSCによる融点の測定の詳細は、以下の通りである。JIS K7121(1987)に準拠し、DSC測定装置(例、「DISCOVERY DSC2500」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、約5mgの試料を150℃で10分間加熱融解状態を保持する。10℃/分の速度で降温し、-50℃まで至った後、5分間安定保持する。その後、10℃/分で150℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度を測定し、該温度を融点とする。
変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、10,000~200,000が好ましく、20,000~180,000がより好ましく、50,000~180,000がさらに好ましい。重量平均分子量は、例えば、ポリオレフィン樹脂のベース樹脂の重量平均分子量や変性成分の使用量等により調整し得る。
GPCの測定条件の詳細は、以下の通りである。後述の実施例における変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、この条件で測定した値である。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー(株)製)
標準物質;ポリスチレン(東ソー(株)製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー(株)製)
分散樹脂組成物中の変性ポリオレフィン樹脂の平均粒子径は、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上がさらに好ましい。一方、その上限は、250nm以下が好ましく、230nm以下がより好ましく、210nm以下がさらに好ましい。平均粒子径は、分散の程度を表すものであり、数値が小さいほど分散性に優れることを示す。
本明細書中、平均粒子径は、動的光散乱法で測定したZ平均粒子径である。測定機器としては、マルバーン(株)製のゼータサイザーナノ ZS等が挙げられる。
(成分A:ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂は、ガラス基材への十分な付着性を発現させるという観点から、エチレン-プロピレン共重合体が好ましい。ポリオレフィン樹脂がエチレン-プロピレン共重合体であると、エチレン単位に付加している側鎖の嵩が小さいため、共重合体主鎖がガラス基材に接近しやすいことから、ガラスに対し良好な密着性が得られる。
ここで、「ポリプロピレン」とは、基本単位がプロピレン由来の構成単位である重合体を表す。「エチレン-プロピレン共重合体」とは、基本単位がエチレン及びプロピレン由来の構成単位である共重合体を表す。樹脂本来の性能を著しく損なわない量である限り、これらの(共)重合体は、基本単位以外の他のオレフィン由来の構成単位を少量含有していてもよい。
ポリオレフィン樹脂は、構成単位100モル%中、プロピレン由来の構成単位を50モル%以上含むことが好ましく、70%以上含むことがより好ましく、80%以上含むことがさらに好ましい。プロピレン由来の構成単位を上記範囲で含むと、ガラス基材に対する付着性を保持し得る。
ポリオレフィン樹脂は、重合触媒としてメタロセン触媒を用いて得られるものが好ましい。メタロセン触媒としては、公知のものを使用できる。メタロセン触媒を用いると、ポリオレフィン樹脂は次の特徴を有する。
・ポリオレフィン樹脂の分子量分布が狭くなる。
・ポリオレフィン樹脂が共重合体の場合、ランダム共重合性に優れ、組成分布が狭く、さらに、共重合し得るコモノマーの範囲が広くなる。
エチレン-プロピレン共重合体がランダム共重合体である場合、好ましくは構成単位100モル%中、エチレン由来の構成単位が5~50モル%であり、プロピレン由来の構成単位が50~95モル%である。
ポリオレフィン樹脂の融点の下限は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。ポリオレフィン樹脂の融点が50℃以上であると、変性ポリオレフィン樹脂をインキ、塗料等の用途に用いる際、十分な塗膜強度を発現し得る。そのため、基材との付着性が十分に発揮され得る。また、インキとして用いる際、印刷中のブロッキングを抑制し得る。また、その上限は、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂の融点が120℃以下であると、変性ポリオレフィン樹脂をインキ、塗料等の用途に用いる際、塗膜が固くなりすぎることを抑制し得る。そのため、塗膜が適度な柔軟性を発揮し得る。ポリオレフィン樹脂の融点の一実施形態としては、50~120℃が好ましく、60~110℃がより好ましく、60~100℃がさらに好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂の融点は、上記と同様に、DSC測定装置によって測定した値である。また、測定条件は、上記と同じである。
ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量に併せて適宜設定すればよい。例えば、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量について、10,000~200,000が好ましく、20,000~180,000がより好ましく、50,000~180,000がさらに好ましい場合、得られる変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が当該範囲となるように、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量を調整することが好ましい。より詳細には、熱やラジカルの存在下で減成して、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量を適当な範囲、例えば200,000以下となるように調整することが好ましい。
なお、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、上記と同様に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、標準物質:ポリスチレン)によって測定した値である。また、測定条件は、上記と同じである。
(成分B:α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体)
変性成分は、α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む。α,β-不飽和カルボン酸誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、及び無水アコニット酸等のα,β-不飽和カルボン酸誘導体が挙げられる。中でも、無水マレイン酸が好ましい。
α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む変性成分をポリオレフィン樹脂に導入する方法としては、公知の方法であってよい。このような方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を溶融又は溶媒に溶解し、α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む変性成分及びラジカル発生剤を添加し、変性する方法が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂における、α,β-不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフト量は、0.10重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。0.10重量%以上であることにより、難付着性基材や金属との付着性が向上する。上限は、20.0重量%以下が好ましく、10.0重量%以下がより好ましく、5.0重量%以下がさらに好ましい。20.0重量%以下であることにより、組成物の機械的物性を大きく損なう低分子量で、高極性の副生物の生成が抑えられる。変性ポリオレフィン樹脂の、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト量は、0.10~20.0重量%が好ましく、0.10~10.0重量%がより好ましく、1.0~5.0重量%がさらに好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂のα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト量は、アルカリ滴定法により求めることができる。
変性ポリオレフィン樹脂製造の際、ポリオレフィン樹脂にグラフト重合しないα,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体、すなわち未反応物は、例えば貧溶媒で抽出する方法などにより、変性ポリオレフィン樹脂製造の過程で除去してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、公知のラジカル発生剤の中から選択することができる。ラジカル発生剤としては、例えば、パーオキシド類(例、ジ-tert-ブチルパーオキシド、tert-ブチルヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert-ブチルパーオキシドベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド、ジ-tert-ブチルジパーフタレート)及びアゾニトリル類(例、アゾビスイソブチロニトリル)が挙げられる。
反応装置としては、例えば、温水や蒸気で加温可能なジャケットを有する反応タンクや、二軸押出機を用いることができる。
反応は、回分式で行ってもよく、連続式で行ってもよい。
ポリオレフィン樹脂に、α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む変性成分を導入することにより、通常、ポリオレフィンを主鎖とし、α,β-不飽和カルボン酸またはその誘導体を含む変性成分に由来する構成単位を含む側鎖を有するグラフト重合体が得られる。
(その他変性成分)
上記ポリオレフィン樹脂は、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体以外の化合物によりさらに変性されてもよい。α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体以外の化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルでポリオレフィン樹脂をさらに変性することにより、例えば塗料、インキ、バインダー等の用途に用いた際、極性の高い他成分との相溶性に優れ得る。
(成分C:(メタ)アクリル酸エステル)
(メタ)アクリル酸エステルとは、分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個含む化合物である。本明細書中「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を意味する。(メタ)アクリル酸エステルは、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
CH2=CR1COOR2 ・・・(1)
一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。R2はCnH2n+1を表す。ここで、nは、1~18の整数を表し、1~15の整数が好ましく、1~13の整数がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンが挙げられる。この中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましく、これらのメタクリレートがより好ましく、オクチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。後者の場合、それぞれの化合物の配合比は特に限定されない。
変性ポリオレフィン樹脂における、(メタ)アクリル酸エステルのグラフト量は、0.1~20重量%が好ましく、2~10重量%がより好ましく、3~8重量%がさらに好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂の(メタ)アクリル酸エステルのグラフト量は、1H-NMRにより求め得る。
α,β-不飽和カルボン酸誘導体及び(メタ)アクリル酸エステル以外の成分のグラフト量は、ポリオレフィン樹脂に対して、0.1~20重量%が好ましく、0.5~15重量%がより好ましく、0.5~10重量%がさらに好ましい。グラフト量は、ポリオレフィン樹脂を変性成分で変性する際の、変性成分及びラジカル発生剤の使用量、反応温度、反応時間等によって調整し得る。
[水系分散媒]
本発明の分散樹脂組成物は、水系分散媒を含有する。水系分散媒は、水単独でもよいし、水に溶解可能な溶剤を水と併用してもよい。水に溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類が挙げられる。
水系分散媒の使用量は、特に限定されるものではなく、分散樹脂組成物の用途に応じて任意に変更し得る。一例として、変性ポリオレフィン樹脂の固形分濃度が、10~50重量%となる量が好ましく、20~40重量%となる量がさらに好ましい。
(塩基性物質)
分散樹脂組成物が塩基性物質を含むことにより変性ポリオレフィン樹脂の酸性成分を中和し、水系分散媒への分散性をより高めることができる。塩基性物質としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。塩基性物質は、1種類の塩基性物質でもよいし、2種以上の塩基性物質の組み合わせでもよい。
塩基性物質の含有量は、分散樹脂組成物中の酸性成分の量に応じて、任意の量に調整することができる。分散樹脂組成物のpHが、通常は5以上、好ましくは6以上となる量である。これにより、十分に中和がされ、安定な分散性が保たれ得る。よって、酸変性塩素化ポリオレフィンが他の成分に分散しない、或いは分散しても経時的に沈殿、分離が生じ易いといった理由による、貯蔵安定性の悪化が防止され得る。一方、上限は通常、pH10以下となる量である。これにより、他成分との相溶性、作業上の安全性を良好に保持できる。従って、塩基性物質の含有量は、分散樹脂組成物のpHが好ましくは5以上となる量、より好ましくはpH6~10となる量である。
(乳化剤)
乳化剤は、変性ポリオレフィン樹脂を、水系分散媒に分散させる際、分散体の安定化を図る目的で添加する従来公知のものを使用し得る。例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が挙げられる。本発明においてはいずれの界面活性剤も用い得る。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ジオクチルスルホコハク酸エステル塩、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
本発明の分散樹脂組成物において、乳化剤の含有量は、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。下限は特に限定されず、乳化剤を含有しなくもてよい。乳化剤の含有量が30重量%以下であると、乳化剤の添加による付着性の低下を抑制し得る。
本発明の分散樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂と水系分散媒、塩基性物質、乳化剤の他に、溶液、硬化剤、及び接着成分からなる群より選択される少なくとも1種の成分をさらに含んでも良い。
(溶液)
溶液としては、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、エチルシクロヘキサノン等のケトン溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノナン、デカン等の脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤が挙げられる。環境問題の観点から、芳香族溶剤以外の有機溶剤が好ましく、脂環式炭化水素溶剤とエステル溶剤又はケトン溶剤との混合溶剤がより好ましい。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、変性ポリオレフィン樹脂と溶液を含む樹脂組成物の溶液の保存安定性を高めるために、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール)、プロピレン系グリコールエーテル(例、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル)を、1種単独で、又は2種以上混合して用いてもよい。この場合、上記有機溶剤に対して、1~20質量%添加することが好ましい。
また、溶液としては、例えば、下記一般式(1)で表され、且つその分子量が200未満である化合物が好ましい。
R-O-(ClH2lO)mH・・・・・・式(1)
一般式(1)中、Rは、CnH2n+1であり、nは、10以下の整数である。nは、8以下の整数であることが好ましく、7以下の整数であることがより好ましく、6以下の整数であることがさらに好ましく、5以下の整数であることがさらにより好ましく、4以下の整数であることがとりわけ好ましい。
一般式(1)中、lは、5以下の整数であり、4以下の整数であることが好ましく、3以下の整数であることがより好ましい。
一般式(1)中、mは、5以下の整数であり、4以下の整数であることが好ましく、3以下の整数であることがより好ましく、2以下の整数であることがさらに好ましく、1であることがさらにより好ましい。
一般式(1)で表され、且つその分子量が200未満である化合物は、グリコールエーテル系の化合物であることが好ましい。グリコールエーテル系の化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類の水素原子が、アルキル基に置換された構造である。
一般式(1)で表される化合物は、一分子中に疎水基と親水基を有する。これにより、一般式(1)で表される化合物を添加することにより、変性ポリオレフィン樹脂を容易に水中に分散、乳化させることができる。そのため、本発明の分散樹脂組成物が良好な保存安定性を保つことができるようになる。
一般式(1)で表される化合物として、より詳細には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノデシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、200未満である。これにより、変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(本発明の分散樹脂組成物)の沸点の上昇を抑えることができる。その結果、該水分散体組成物、又は該水分散体組成物を含むプライマー等を塗工した後、塗膜の高温又は長時間乾燥を省略することができる。
一般式(1)で表される化合物の分子量とは、IUPAC原子量委員会で承認された(12C=12とする)相対原子質量から求める分子量である。
一般式(1)で表され、且つその分子量が200未満である化合物は、一般式(1)で表される化合物単独であってもよいし、2種以上の一般式(1)で表される化合物の組み合わせであってもよい。後者の場合、それぞれの化合物の配合比は特に限定されない。
(硬化剤)
硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリオール化合物、或いはそれらの官能基が保護基でブロックされた架橋剤が例示される。
硬化剤は1種単独であってもよく、複数種の組み合わせであってもよい。
硬化剤の配合量は、変性ポリオレフィン樹脂中のα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性度により適宜選択できる。また、硬化剤を配合する場合は、目的に応じて有機スズ化合物、第三級アミン化合物等の触媒を併用することができる。
(接着成分)
接着成分としては、所望の効果を阻害しない範囲でポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等の公知の接着成分を用いることができる。
本発明の分散樹脂組成物は、付着性(接着性)が低く、塗料等の塗工が困難な基材のための中間媒体として有用であり、例えば、付着性(接着性)の乏しいポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系基材とガラス基材の接着剤として使用し得る。この際、基材がプラズマ、コロナ等により表面処理されているか否かを問わず用いることができる。
[プライマー、バインダー]
本発明の分散樹脂組成物は、プライマー、塗料用バインダー又はインキ用バインダーとして利用し得る。本発明の分散樹脂組成物は、溶液安定性に優れており、自動車のバンパー等ポリオレフィン基材への上塗り塗装時のプライマー、上塗り塗料やクリアーとの付着性に優れる塗料用バインダーとして好適に利用し得る。
また、本発明の分散樹脂組成物は、金属と樹脂との優れた接着性をも発揮し得る。金属としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂等の非極性樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。従って、本発明の分散樹脂組成物は、接着剤、プライマー、及び塗料用バインダー及びインキ用バインダーとして、又はこれらの成分として、用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。なお、物性値等の測定方法は、別途記載がない限り、上記に記載した測定方法である。また、「部」とは、特に断りがない限り、質量部を示す。
[各構造単位の含有率(mol%)]:核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定した。より詳細には、試料約60mgをテトラクロロエタン(d2)に溶解し、下記条件にて13C-NMRスペクトルを測定し、連鎖メチレン炭素シグナルの積分値より構造単位含有率を計算した。
観測範囲:250ppm
測定モード:シングルパルスプロトンデカップリング
パルスアングル:5.25μ秒(45°)
繰り返し時間:5.5秒
測定温度:120℃
[α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト量(重量%)]:α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト量は、JIS K-0070(1992)に準拠して次の通り算出した。まず、精秤した約0.5gの変性ポリオレフィン樹脂と約100gのトルエンを、冷却管及び温度計を取り付けた300mlセパラブルフラスコに投入し、ホットスターラー上で内温が80℃となるように加熱しながら撹拌溶解した。樹脂溶解後、15mlのメタノールを加え5分間保持した。その後、5~6滴の指示薬(1%フェノールフタレイン-メタノール溶液)を添加し、0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定した。そして、中和に要した滴定量から、次式より変性ポリオレフィン樹脂のα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体のグラフト量(変性度K)を算出した。
K={B×f×9.806/(S×1000)}×100
Kは、変性度(重量%)を表し、Bは、水酸化カリウム-エタノール溶液の滴定量(ml)を表し、fは、0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液のファクターを表し、9.806は、無水マレイン酸の式量×1/10であり、Sは、変性ポリオレフィン樹脂の重量(g)を表す。
[(メタ)アクリル酸エステルのグラフト量(重量%)]:H-NMRにより測定した。
[重量平均分子量(Mw)]:以下の測定条件で測定した値である。
測定機器:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgel(東ソー(株)製)
標準物質;ポリスチレン(東ソー(株)製、GLサイエンス製)
検出器;示差屈折計(東ソー(株)製)
温度;40℃
流速;1.0mL/分
[融点(℃)]:JIS K7121(1987)に準拠して測定した。より詳細には、DSC測定装置(「DISCOVERY DSC2500」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、約5mgの試料を150℃で10分間加熱融解状態を保持した。10℃/分の速度で降温し、-50℃まで至った後、5分間安定保持した。その後、10℃/分で150℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度を測定し、該温度を融点とした。
[平均粒子径(nm)]:製造直後の分散樹脂組成物について、動的光散乱法による粒度分布測定装置(ゼータサイザーナノ ZS(マルバーン(株)製))を用い、平均粒子径を測定した。
[付着性評価、塗膜外観]
<試験片の作製>
ガラス基材(ソーダライムガラス製、75mm×100mm×2mm)の表面をイソプロピルアルコールで脱脂した後、膜厚(乾燥塗膜)が10~15μmとなるよう分散樹脂組成物をスプレー塗装した。その後、60℃で5分間プレヒートを行い、10分間室温で静置した。その後、80℃で20分間の焼付け処理を行い、試験片を作製した。
<塗膜外観評価>
上記にて作製した試験片について、塗膜外観(ブリードの発生の有無等)を目視で観察し、下記基準に従って評価した。
A:異常なし
B:ブリード発生
<付着性評価>
次に、カッターナイフを用いて塗膜上に2mm間隔で素地に達する碁盤目状の切込み(11本×11本の切込みで合計100個の碁盤目を形成)を入れた。切込み上にセロハンテープ(ニチバン製)を密着させて180°の角度で剥離する操作を10回繰り返した後、碁盤目数100のうち剥離されなかった碁盤目数にて付着性を評価した。
A:塗膜剥がれ無し
B:塗膜剥がれが1~19
C:塗膜剥がれが20以上
(製造例1)
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、エチレン-プロピレンランダム共重合体(エチレン成分12モル%、プロピレン成分88モル%、Tm=65℃)100部をトルエン400g中に加熱溶解した。系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸4.5部、ラウリルメタクリレート4.5部、及びジ-t-ブチルパーオキサイド1.2部を、それぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、重量平均分子量が70,000、Tm=64℃の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
該反応物を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びラウリルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々3.7重量%、2.5重量%であった。
(製造例2)
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体(エチレン成分10モル%、プロピレン成分60モル%、ブテン成分30モル%、Tm=65℃)100部をトルエン400g中に加熱溶解した。系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸7.0部、トリデシルメタクリレート7.5部、及びジ-t-ブチルパーオキサイド2.0部を、それぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、重量平均分子量が80,000、Tm=63℃の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
該変性ポリオレフィン樹脂を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びトリデシルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々5.8重量%、6.0重量%であった。
(製造例3)
プロピレン-ブテンランダム共重合体(プロピレン成分80モル%、ブテン成分20モル%、Tm=75℃)100部、無水マレイン酸2.2部、トリデシルメタクリレート2.0部、及びジ-t-ブチルパーオキサイド0.5部を、160℃に設定した二軸押出機を用いて混練して反応を行った。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、重量平均分子量が150,000、Tm=74℃の変性ポリオレフィン樹脂を得た。
該変性ポリオレフィン樹脂を大過剰のアセトン中に投入することで精製して、無水マレイン酸及びトリデシルメタクリレートのグラフト重量を測定したところ、各々2.0重量%、1.8重量%であった。
(実施例1)
撹拌機、冷却管、温度計、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中に、製造例1で得た変性ポリオレフィン樹脂100g、メチルシクロヘキサン18g、モルホリン6.5g、リポノールC/15(ライオン社製、アルキルアミン系)20gを添加し、フラスコ内温を85℃にして60分混練した。その後、90℃の脱イオン水280gを60分かけて添加した。引き続き、メチルシクロヘキサンを減圧下にて除去した。その後、室温まで撹拌しつつ冷却し、脱イオン水にて固形分を30重量%となるよう調整した変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(分散樹脂組成物)を得た。得られた分散樹脂組成物の粒子径は、90μmであった。
(実施例2)
撹拌機、冷却管、温度計、及びロートを取り付けた四つ口フラスコ中に、製造例1で得た変性ポリオレフィン樹脂100g、n-へプタン22g、n-ブチルセロソルブ28g、N,N-ジメチルエタノールアミン7.5gを添加し、フラスコ内温を80℃にして30分混練した。その後、ピュアミールCCS-80(三洋化成社製、アルキルアミン系)3gを添加し、更に60分混錬した。続いて、フラスコ内温を85℃以上に昇温し、90℃の脱イオン水420gを60分かけて添加した。引き続き、n-へプタン及びn-ブチルセロソルブの一部を減圧下にて除去した。その後、室温まで撹拌しつつ冷却し、脱イオン水にて固形分を30重量%となるよう調整した変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(分散樹脂組成物)を得た。得られた分散樹脂組成物の粒子径は、130μmであった。
(比較例1)
撹拌機、冷却管、温度計、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中に、製造例2で得た変性ポリオレフィン樹脂100g、トルエン40gを添加し、フラスコ内温を85℃にして60分混練した。続いて、モルホリン6.5g添加し30分混錬した後、ピュアミールCCS-80(三洋化成社製、アルキルアミン系)15gを添加しさらに30分混錬した。その後、90℃の脱イオン水320gを60分かけて添加した。引き続き、トルエンを減圧下にて除去した。その後、室温まで撹拌しつつ冷却し、脱イオン水にて固形分を30重量%となるよう調整した変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(分散樹脂組成物)を得た。得られた分散樹脂組成物の粒子径は、100μmであった。
(比較例2)
撹拌機、冷却管、温度計、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中に、製造例3で得た変性ポリオレフィン樹脂100g、トルエン40g、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール4g、レオックスCL-90(ライオン社製、アルキルエーテル系)25g、水77gを添加し、フラスコ内温を85℃にして90分混練した。その後、90℃の脱イオン水254gを60分かけて添加した。引き続き、トルエンを減圧下にて除去した。その後、室温まで撹拌しつつ冷却し、脱イオン水にて固形分を30重量%となるよう調整した変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(分散樹脂組成物)を得た。得られた分散樹脂組成物の粒子径は、140μmであった。
(比較例3)
撹拌機、冷却管、温度計、及びロートを取り付けた四つ口フラスコ中に、製造例3で得た変性ポリオレフィン樹脂100g、トルエン35g、モルホリン3g、ピュアミールCCS-80(三洋化成社製、アルキルアミン系)20g、水65gを添加し、フラスコ内温を85℃にして180分混練した。その後、90℃の脱イオン水250gを60分かけて添加した。引き続き、トルエンを減圧下にて除去した。その後、室温まで撹拌しつつ冷却し、脱イオン水にて固形分を30重量%となるよう調整した変性ポリオレフィン樹脂水分散体組成物(分散樹脂組成物)を得た。得られた分散樹脂組成物の粒子径は、140μmであった。
Figure 2022126372000001
表1の結果からわかるように、変性ポリオレフィン樹脂の樹脂骨格がエチレン-プロピレン共重合体であると、ガラス基材に対し、良好な付着性と塗膜外観を有する分散樹脂組成物を得ることができる。

Claims (7)

  1. 成分(A):ポリオレフィン樹脂を、成分(B):α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有し、前記成分(A)がエチレン-プロピレン共重合体である、ガラス基材用の変性ポリオレフィン樹脂の分散樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)が、構成単位100モル%中、プロピレン由来の構成単位を50モル%以上含む、請求項1に記載の分散樹脂組成物。
  3. 前記成分(B)のグラフト重量が、0.1~20重量%である、請求項1または2に記載の分散樹脂組成物。
  4. 前記変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が、10,000以上~200,000未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  5. 前記変性ポリオレフィン樹脂が、さらに成分(C):(メタ)アクリル酸エステルでグラフト変性されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  6. 前記分散樹脂組成物中に、アルキルアミン系の界面活性剤を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の分散樹脂組成物を有効成分とする塗料、インキ、接着剤又はプライマー。
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