JP2022126255A - 磁性ペースト - Google Patents

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麻理子 三好
Mariko Miyoshi
秀樹 大山
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Abstract

【課題】比透磁率が高く、磁性損失が低い硬化物を得ることができる、粘度が低い磁性ペースト等の提供。【解決手段】(A)磁性粉体、及び(B)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂、を含む、コンプレッションモールドを用いたインダクタ基板形成用の磁性ペースト。【化1】TIFF2022126255000015.tif31169(一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、磁性ペースト、及び当該磁性ペーストを使用した回路基板、及びインダクタ基板、並びに回路基板の製造方法に関する。
プリント配線板等の回路基板に含まれうるインダクタ基板は、磁性粉体を含有する樹脂組成物を用いて形成される。インダクタ基板は、印刷法及びプレス法などで磁性粉体を含有する樹脂組成物を加工することで形成され、プレス法は磁性粉体を高充填化できるため、インダクタ基板の性能を高める手法の一つでもある。
プレス法としては、WIP法、CIP法、及びコンプレッションモールド法等がある。中でも、コンプレッションモールド法は大面積加工、基板上面に直接インダクタ基板を形成することが可能である。
特許文献1、2には、例えば、コンプレッションモールド法にて形成可能な磁性樹脂組成物が記載されている。
特開2017-199896号公報 特開2019-210447号公報
特許文献1に記載の磁性樹脂組成物は、固形樹脂をニーダーで混錬することで作製するので粘度が高く、インダクタ基板の生産作業性が劣ってしまう。また、特許文献2に記載の磁性樹脂組成物はEMIシールド用途であることから対応周波数帯域及び比透磁率がインダクタ基板に用いるには適当ではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、比透磁率が高い硬化物を得ることができる、粘度が低い磁性ペースト、及び当該磁性ペーストを使用した回路基板、インダクタ基板、並びに回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究をした結果、特定の液状エポキシ樹脂を含有させることにより、ペーストの粘度を低くでき、硬化物の比透磁率を高くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)磁性粉体、及び
(B)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂、を含む、コンプレッションモールドを用いたインダクタ基板形成用の磁性ペースト。
Figure 2022126255000001
(一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
[2] 周波数10MHzにおける比透磁率が、5以上である、[1]に記載の磁性ペースト。
[3] 周波数10MHzにおける磁性損失が、0.1以下である、[1]又は[2]に記載の磁性ペースト。
[4] 25℃における0.5rpmでの粘度が、30Pa・s以上600Pa・s以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の磁性ペースト。
[5] 一般式(1)中のRが、メチル基を表す、[1]~[4]のいずれかに記載の磁性ペースト。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の磁性ペーストの硬化物により形成された磁性層を含む、回路基板。
[7] [6]に記載の回路基板を含むインダクタ基板。
[8] 内層基板上に[1]~[5]のいずれかに記載の磁性ペーストを供給し、磁性ペーストをコンプレッションモールドにより成形し、磁性層を形成する工程を含む、回路基板の製造方法。
本発明によれば、比透磁率が高い硬化物を得ることができる、粘度が低い磁性ペースト、及び当該磁性ペーストを使用した回路基板、インダクタ基板、並びにインダクタ基板の製造方法を提供することができる。
図1は、内層基板の一例を説明するための模式的な断面図である。 図2は、回路基板の製造方法の一例に含まれる(A)工程を説明するための模式的な断面図である。 図3は、回路基板の製造方法の一例に含まれる(A)工程を説明するための模式的な断面図である。 図4は、回路基板の製造方法の一例に含まれる(B)工程を説明するための模式的な断面図である。 図5は、回路基板の製造方法の一例に含まれる(D)工程を説明するための模式的な断面図である。 図6は、一例としての回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。 図7は、一例としての図5に示すII-II一点鎖線で示した位置で切断した回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板の切断端面を示す模式的な図である。 図8は、一例としての回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は適宜変更可能である。以下の説明に用いる図面において、同様の構成要素については同一の符号を付して示し、重複する説明については省略する場合がある。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
[磁性ペースト]
本発明の磁性ペーストは、(A)磁性粉体、及び(B)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を含む。本発明の磁性ペーストは、コンプレッションモールドを用いたインダクタ基板の形成用として用いられる。
Figure 2022126255000002
(一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
本発明では、(B)成分を含有させることにより、磁性ペーストの粘度を低下させることができるのでインダクタ基板の生産作業性に優れるようになるとともに、磁性ペーストの硬化物は、周波数が10MHzで比透磁率の向上が可能である。また、好ましくは、その硬化物の磁性損失の低減及び機械特性の向上も可能である。
磁性ペーストは、必要に応じて、さらに(C)分散剤、(D)硬化剤、及び(E)その他の添加剤を含み得る。以下、本発明の磁性ペーストに含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)磁性粉体>
磁性ペーストは、(A)成分として、(A)磁性粉体を含有する。(A)磁性粉体は、磁性ペーストの硬化物の比透磁率の向上及び磁性損失の低減の両立を可能とする観点から、ナノ結晶磁性材料、及びアモルファス磁性材料のいずれかであることが好ましく、結晶の磁気異方性が低減されることで磁性損失の低減が可能となる観点からナノ結晶磁性材料及びアモルファス磁性材料を含むことがより好ましい。本明細書において、ナノ結晶磁性材料とは、結晶粒を含む磁性材料であり、磁性粉体の結晶粒の粒径が100nm以下であるものをいう。ナノ結晶磁性材料は、好ましくは結晶粒の最大粒径が100nm以下であるものをいう。通常、(A)磁性粉体の粒子1個には、複数個の結晶粒が含まれており、その粒子は多結晶体でありうる。結晶粒の大きさは例えばTEM(透過型電子顕微鏡)により観察しうる。ナノ結晶磁性材料は、結晶粒を含有するので、通常、X線回折パターンにおいて結晶性を示すピークを示しうる。また、アモルファス磁性材料とは、非晶質の磁性材料であり、X線回折パターンでは結晶性を示す特定のピークを示さないものをいう。通常、アモルファス磁性材料のX線回折パターンには、結晶性を示すピークのないブロードなパターンが現れる。(A)磁性粉体をナノ結晶磁性材料、及びアモルファス磁性材料のいずれかとすることで、磁束密度が高まり、その結果、比透磁率の向上及び磁性損失の低減の両方を効果的に達成することが可能になると考えられる。
(A)磁性粉体としては、軟磁性粉体、硬磁性粉体のいずれであってもよいが、磁性粉体の偏在化を抑制する観点から、軟磁性粉体であることが好ましい。
(A)磁性粉体としては、例えば、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、あるいはFe-Ni-Co系合金粉末などの鉄合金系金属粉(Fe基金属粉)等が挙げられる。
中でも、(A)磁性粉体としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、鉄合金系金属粉が好ましい。鉄合金系金属粉としては、Fe、Si、Cr、Al、Ni、及びCoから選ばれる少なくとも1種を含む鉄合金系金属粉を含むことが好ましく、Fe、Si、Crを含む鉄合金系金属粉を含むことがより好ましい。また、Fe、Si、Cr、Al、Ni、及びCoから選ばれる少なくとも1種を含む、ナノ結晶磁性材料、及びアモルファス磁性材料のいずれかであることがより好ましく、Fe、Si、Crを含む、ナノ結晶磁性材料、及びアモルファス磁性材料のいずれかであることがさらに好ましく、Fe基ナノ結晶磁性材料、及びFe基アモルファス磁性材料のいずれかであることが好ましく、Fe基ナノ結晶磁性材料であることがより好ましい。ここで、Fe基とは、Fe原子を含むことを意味する。
(A)磁性粉体は、例えば分級を行うことで所定の粒径分布に調整することが可能である。また、上記粒径分布は磁性ペースト中に含まれる(A)成分全体の粒径分布を表す。よって、2種以上の磁性粉体を混合してなる(A)成分が所定の粒径分布を有するように調整してもよく、例えば、所定の粒径分布を有さない磁性粉体を複数混合し、(A)成分全体として所定の粒径分布を有しいていてもよい。
(A)磁性粉体の粒径分布は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、磁性粉体の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、磁性粉体を超音波により純水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒径分布測定装置としては、マイクロトラックベル社製「MT3000II」、堀場製作所社製「LA-960」、島津製作所社製「SALD-2200」等を使用することができる。
(A)磁性粉体は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、2種以上の磁性粉体を併用することが好ましく、平均粒径が異なる2種以上の磁性粉体を併用することがより好ましい。一実施形態として、平均粒径が異なる2種の磁性粉体を併用する場合、一方の磁性粉体の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。また、好ましくは10μm未満、より好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。他方の磁性粉体の平均粒径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
平均粒径が異なる2種以上の磁性粉体を併用する場合において、一方の磁性粉体の平均粒径をa1とし、他方の磁性粉体の平均粒径をa2とした場合、a1/a2としては、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。但し、a1>a2である。a1/a2が斯かる範囲内となるように調整することで、本発明の効果を顕著に得ることができる。
(A)磁性粉体としては、市販品を用いることができ、2種以上を併用してもよい。用いられ得る市販の磁性粉体の具体例としては、エプソンアトミックス社製「KUAMET NC1」、「ATFINE NC1」(ナノ結晶磁性材料);エプソンアトミックス社製「KUAMET 6B2」、「AW02-08PF3F」(アモルファス磁性材料)等が挙げられる。
(A)磁性粉体は、球状であることが好ましい。磁性粉体の長軸の長さを短軸の長さで除した値(アスペクト比)としては、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下であり、好ましくは1を超え、より好ましくは1.05以上である。一般に、磁性粉体は球状ではない扁平な形状であるほうが、比透磁率を向上させやすいが、本発明においては、磁気損失を低くする観点、また好ましい粘度を有する磁性を得る観点から、球状の磁性粉体を用いる方が好ましい。
(A)磁性粉体の比表面積は、比透磁率を向上させる観点から、好ましくは0.05m/g以上、より好ましくは0.1m/g以上、さらに好ましくは0.3m/g以上である。また、好ましくは15m/g以下、より好ましくは12m/g以下、さらに好ましくは10m/g以下である。(A)磁性粉体の比表面積は、BET法によって測定できる。
(A)磁性粉体の含有量(体積%)は、比透磁率を向上させ及び損失係数を低減させる観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは40体積%以上、より好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは60体積%以上である。また、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは80体積%以下である。
(A)磁性粉体の含有量(質量%)は、比透磁率を向上させ及び損失係数を低減させる観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。
なお、本発明において、磁性ペースト中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
<(B)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂>
磁性ペーストは、(B)成分として、(B)一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂を含有する。
Figure 2022126255000003
(一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
磁性ペーストは、(B)成分を含有させることで粘度を低下させることができ、インダクタ基板の生産性に優れるようになる。また、その硬化物の機械的強度を向上させることも可能となる。
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、磁性ペーストの粘度を低減させる観点から、温度25℃で液状である。
一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、本発明の効果を顕著に得る観点から、メチル基が好ましい。特に、Rがメチル基である場合、磁性ペーストの粘度を効果的に下げられるだけでなく、驚くべきことに、磁性ペーストの硬化物の比透磁率及び磁性損失を効果的に改善することができる。
一般式(1)中のRの結合位置としては、ベンゼン環が窒素原子と結合している部位を基準としてオルト位で結合していることが好ましい。
一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂は、一般式(2)で表される液状エポキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2022126255000004
(一般式(2)中、Rは一般式(1)中のRと同じである。)
(B)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、住友化学社製の「ELM-100H」、三菱ケミカル社製の「630」等が挙げられる。(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは90g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい磁性層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(B)成分の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは150~3000、さらに好ましくは250~1500である。ここで、(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(B)成分の含有量は、良好な機械的強度を示す磁性層を得る観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。(B)成分の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
(B)成分の含有量(体積%)は、磁性ペースト中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上である。上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは25体積%以下、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは15体積%以下である。
<(C)分散剤>
磁性ペーストは、任意成分として、(C)分散剤を含有していてもよい。
(C)分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等のリン酸エステル系分散剤;ドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性分散剤;オルガノシロキサン系分散剤、アセチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等の非イオン性分散剤等が挙げられる。これらの中でも、アニオン性分散剤が好ましい。分散剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
リン酸エステル系分散剤は、市販品を用いることができる。市販品として、例えば東邦化学工業社製「フォスファノール」シリーズの「RS-410」、「RS-610」、「RS-710」等が挙げられる。
オルガノシロキサン系分散剤としては、市販品として、ビックケミー社製「BYK347」、「BYK348」等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系分散剤としては、市販品として、日油社製「マリアリム」シリーズの「AKM-0531」、「AFB-1521」、「SC-0505K」、「SC-1015F」及び「SC-0708A」、並びに「HKM-50A」等が挙げられる。
アセチレングリコールとしては、市販品として、Air Products and Chemicals Inc.製「サーフィノール」シリーズの「82」、「104」、「440」、「465」及び「485」、並びに「オレフィンY」等が挙げられる。
(C)分散剤の含有量は、本発明の効果を顕著に発揮させる観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
<(D)硬化剤>
磁性ペーストは、任意成分として、(D)硬化剤を含有していてもよい。(D)硬化剤には、(B成分を硬化する機能を有するエポキシ樹脂硬化剤と、(B)成分の硬化速度を促進させる機能を有する硬化促進剤とがある。磁性ペーストは、(D)硬化剤として、硬化促進剤を含むことが好ましい。
-エポキシ樹脂硬化剤-
エポキシ樹脂硬化剤は、通常、エポキシ樹脂と反応して磁性ペーストを硬化させうる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール系エポキシ樹脂硬化剤、ナフトール系エポキシ樹脂硬化剤、活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤、酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤、ベンゾオキサジン系エポキシ樹脂硬化剤、シアネートエステル系エポキシ樹脂硬化剤、及びイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、磁性ペーストの粘度を低下させる観点から、酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤、及びイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤が好ましく、さらに得られる硬化物の機械強度の観点からイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系エポキシ樹脂硬化剤及びナフトール系エポキシ樹脂硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系エポキシ樹脂硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系エポキシ樹脂硬化剤が好ましい。フェノール系エポキシ樹脂硬化剤としては、含窒素フェノール系エポキシ樹脂硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系エポキシ樹脂硬化剤がより好ましく、トリアジン骨格含有フェノールノボラックエポキシ樹脂硬化剤がさらに好ましい。
フェノール系エポキシ樹脂硬化剤及びナフトール系エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」、群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」等が挙げられる。
活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤が好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造を表す。
活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤として、DIC社製の「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」;ナフタレン構造を含む活性エステル化合物としてDIC社製の「EXB9416-70BK」;フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤として三菱ケミカル社製の「DC808」;フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤として三菱ケミカル社製の「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」;フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系エポキシ樹脂硬化剤として三菱ケミカル社製の「DC808」、等が挙げられる。
酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有するエポキシ樹脂硬化剤が挙げられる。酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
シアネートエステル系エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[エポキシ樹脂硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.2~1:2の範囲であることが好ましく、1:0.3~1:1.5の範囲であることがより好ましく、1:0.4~1:1の範囲であることがさらに好ましい。ここで、エポキシ樹脂硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、エポキシ樹脂硬化剤の種類によって異なる。また、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、エポキシ樹脂硬化剤の反応基の合計数とは、各エポキシ樹脂硬化剤の不揮発成分の質量を反応基当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂硬化剤について合計した値である。エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、硬化物としたときの耐熱性がより向上する。
-硬化促進剤-
硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂の硬化反応に触媒として作用して、硬化反応を促進しうる。硬化促進剤としては、例えば、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、磁性ペーストの粘度を低下させる観点から、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及びグアニジン系硬化促進剤が好ましく、さらに得られる硬化物の機械強度を向上させる観点からイミダゾール系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「PN-50」、「PN-23」、「MY-25」等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、前記のイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤と同様である。前記イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤は、他のエポキシ樹脂硬化剤と併用して用いる場合、硬化促進剤として機能する場合がある。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(D)硬化剤の含有量は、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、磁性ペーストの粘度を下げる観点から、磁性ペースト中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
<(E)その他の添加剤>
磁性ペーストは、さらに必要に応じて、(E)その他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、ホウ酸トリエチル等の硬化遅延剤;無機充填材(但し、磁性粉体に該当するものは除く);熱硬化性樹脂(但し、(B)成分及び(D)成分に該当するものは除く);熱可塑性樹脂;難燃剤;有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;並びに増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
上述した磁性ペースト中に含まれる有機溶剤の含有量は、磁性ペーストの全質量に対して、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。下限は、特に制限はないが0.001質量%以上、又は含有しないことである。磁性ペーストは、有機溶剤を含まなくても、(B)成分を含有するのでその粘度を低くすることができる。磁性ペースト中の有機溶剤の量が少ないことにより、有機溶剤の揮発によるボイドの発生を抑制することができる。
<磁性ペーストの製造方法>
磁性ペーストは、例えば、配合成分を、3本ロール、回転ミキサーなどの撹拌装置を用いて撹拌する方法によって製造できる。
<磁性ペーストの物性等>
磁性ペーストは、粘度が低いという特性を示す。よって、磁性ペーストはインダクタ基板の生産作業性に優れる。25℃における粘度は、好ましくは600Pa・s以下、より好ましくは550Pa・s以下、さらに好ましくは500Pa・s以下、400Pa・s以下、300Pa・s以下であり、好ましくは30Pa・s以上、好ましくは50Pa・s以上、より好ましくは60Pa・s以上である。粘度は、例えば、E型粘度計(東機産業社製 RE-80U)を用いて測定することができ、詳細は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
磁性ペーストを、190℃で90分間加熱することにより得られた硬化物は、周波数10MHzにおける比透磁率が高いという特性を示す。よって、前記硬化物は、比透磁率が高い磁性層をもたらす。この硬化物の周波数10MHzにおける比透磁率は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上である。また、上限は特に限定されないが50以下等とし得る。比透磁率は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
磁性ペーストを、190℃で90分間加熱することにより得られた硬化物は、通常、周波数10MHzにおける磁性損失が低いという特性を示す。よって、前記硬化物は、磁性損失が低い磁性層をもたらす。この硬化物の周波数10MHzにおける磁性損失は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.09以下、さらに好ましくは0.08以下である。下限は特に限定されないが0.001以上等とし得る。磁性損失は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
磁性ペーストを、190℃で90分間加熱することにより得られた硬化物は、通常、機械強度(最大点強度)に優れるという特性を示す。よって、前記硬化物は、最大点強度に優れる磁性層をもたらす。最大点強度としては、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、さらに好ましくは30MPa以上である。上限は特に限定されないが、100MPa以下等とし得る。最大点強度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
磁性ペーストを、190℃で90分間加熱することにより得られた硬化物は、通常、伸びの特性を示す。伸びとしては、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.1%以上である。上限は特に限定されない。伸びは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
[回路基板、回路基板の製造方法]
本発明の回路基板は、磁性ペーストの硬化物により形成された磁性層を含む。回路基板は、例えば、下記の工程(A)を含む製造方法によって製造する。
(A)内層基板上に磁性ペーストを供給し、磁性ペーストをコンプレッションモールドにより成形し、磁性層を形成する工程。
また、回路基板は、工程(A)に加えて、下記の工程(B)~(D)を含むことが好ましい。
(B)磁性層に穴あけ加工を行う工程、
(C)磁性層の表面を粗化処理する工程、及び
(D)磁性層の研磨した面に導体層を形成する工程。
以下、回路基板を製造するにあたっての上記の工程(A)~(D)について詳細に説明する。
<工程(A)>
工程(A)は、内層基板上に磁性ペーストを供給し、磁性ペーストをコンプレッションモールドにより成形し磁性層を形成する工程である。工程(A)の一実施形態として、内層基板上に磁性ペーストを供給し、供給された磁性ペーストが金型等の型内で加圧され、必要に応じて加温され、磁性ペーストがコンプレッションモールド成形される。コンプレッションモールド成形を行った後、必要に応じて磁性ペーストを熱硬化することにより、磁性層を形成する。
内層基板としては、絶縁性の基板を用いうる。内層基板の材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の絶縁性基材が挙げられる。内層基板は、その厚さ内に配線等が作り込まれた内層回路基板であってもよい。
図1に一例を示すように、内層基板200は、第1主表面200a上に設けられる第1導体層420を有している。第1導体層420は、複数の配線を含んでいてもよい。図示例ではインダクタ素子のコイル状導電性構造体400を構成する配線のみが示されている。
第1導体層420の材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の単金属;金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムの群から選択される2種以上の金属の合金が挙げられる。中でも、汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金を用いることが好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金を用いることがより好ましく、銅を用いることがさらに好ましい。第1導体層420の形成方法は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられ、中でもめっき法が好ましい。好適な実施形態では、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の適切な方法によって硬化物の表面にめっきして、所望の配線パターンを有するパターン導体層を形成する。
第1導体層420は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。また、第1導体層420の厚さは、後述する第2導体層440と同様である。
図2に一例を示すように、内層基板200を用意した後で、磁性ペーストを、コンプレッションモールドを用いて成形して、内層基板200上に第1磁性層320を形成する。コンプレッションモールドの具体的な操作は、通常、内層基板200上に磁性ペースト(図示せず)を供給することと、金型等の型によって磁性ペーストを加圧して成型することと、を含む。通常は、磁性ペーストの成型後、型内において、後述する熱硬化を行う。
コンプレッションモールドの具体的な操作は、例えば、下記のようにしうる。コンプレッションモールド用の型として、上型及び下型を用意する。下型に内層基板を設置し、内層基板に磁性ペーストを載せる。設置した内層基板は、真空吸着によって下型に固定してもよい。また、磁性ペーストは、内層基板を下型に設置する前に内層基板に載せてもよく、内層基板を下型に設置した後で内層基板に載せてもよい。その後、上型が磁性ペーストに接するように上型と下型とを型締めし、熱及び圧力を加えて、成型を行う。
また、コンプレッションモールドの具体的な操作は、例えば下記のように行ってもよい。上型に内層基板を設置する。設置した内層基板は、真空吸着によって上型に固定してもよい。また、下型に磁性ペーストを載せる。その後、下型に載った磁性ペーストが上型に取り付けられた内層基材に接するように上型と下型とを型締めし、熱及び圧力を加えて、成型を行う。
コンプレッションモールドの成形条件は、磁性ペーストの組成により異なる。成形時に加える圧力は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは5MPa以上であり、好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、さらに好ましくは20MPa以下である。加圧時間としては、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは5分以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、さらに好ましくは20分以下である。
また、コンプレッションモールドは、モールド成形性を発揮させる観点から、加圧と同時に必要に応じて加温してもよい。加温する温度としては、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。
内層基板上に磁性ペーストをコンプレッションモールドにより成形した後、図2に一例を示すように、磁性ペーストを熱硬化して第1磁性層320を形成する。磁性ペーストの熱硬化条件は、磁性ペーストの種類によっても異なるが、硬化温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~210℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間、より好ましくは15分間~100分間)である。
成型後の磁性ペーストを熱硬化させる前に、磁性ペーストに対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。例えば、磁性ペーストを熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を、通常5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)、予備加熱してもよい。
磁性層を形成した後、図3に一例を示すように、内層基板200の第1主表面200aから第2主表面200bに至るように内層基板200を貫通する複数のスルーホール220を形成してもよい。スルーホール220の形成は、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。スルーホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
スルーホール220にはスルーホール内配線220aを形成してもよい。スルーホール内配線220aは、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などの形成方法により形成しうる。通常は、スルーホール内配線220aの形成の前、後、又は、スルーホール内配線220aの形成と同時に、内層基板200に外部端子240が形成される。スルーホール内配線220aは、第1導体層420と外部端子240とを、電気的に接続しうる。
第1導体層420及び外部端子240のライン(L)/スペース(S)比は特に制限されないが、表面の凹凸を減少させて平滑性に優れる磁性層を得る観点から、通常、900/900μm以下、好ましくは700/700μm以下、より好ましくは500/500μm以下、さらに好ましくは300/300μm以下、さらにより好ましくは200/200μm以下である。ライン/スペース比の下限は特に制限されないが、スペースへの磁性層の埋め込みを良好にする観点から、好ましくは1/1μm以上である。
<工程(B)>
工程(B)において、図4に一例を示すように、第1磁性層320に穴あけ加工をし、ビアホール360を形成する。ビアホール360は、第1導体層420と、後述する第2導体層440とを電気的に接続するための経路となる。ビアホール360の形成は、磁性層の形成に使用した磁性ペーストの組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ビアホールの寸法や形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
<工程(C)>
工程(C)において、ビアホールを形成した磁性層の表面を粗化処理する。粗化工程の手順、条件は特に限定されず、多層プリント配線板の製造方法に際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。粗化工程として、例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施することにより第1磁性層32を粗化処理することができる。
粗化工程に用いられ得る膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。膨潤液であるアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。
膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に第1磁性層320が設けられた内層基板200を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。第1磁性層32を構成する樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に第1磁性層32を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
酸化剤による粗化処理に用いられ得る酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~80℃に加熱した酸化剤の溶液に第1磁性層32を10分間~30分間浸漬させることにより行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%とすることが好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和処理に用いられ得る中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガンスP」が挙げられる。中和液による中和処理は、酸化剤溶液による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤溶液による粗化処理がなされた第1磁性層320を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
磁性層の粗化処理後の算術平均粗さ(Ra)としては、めっきとの間の密着性を向上させる観点から、好ましくは300nm以上、より好ましくは350nm以上、さらに好ましくは400nm以上である。上限は、好ましくは1500nm以下、より好ましくは1200nm以下、さらに好ましくは1000nm以下である。表面粗さ(Ra)は、例えば、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(C)では、粗化処理の代わりに研磨を行い、突出又は付着している余剰の磁性層を除去し、平坦化してもよい。
<工程(D)>
工程(D)では、図5に一例を示すように、第1磁性層320上に、第2導体層440を形成する。
第2導体層440を構成し得る導体材料としては、工程(A)において説明した第1導体層の材料と同様である。
第2導体層440の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下である。下限は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
第2導体層440は、めっきにより形成することができる。第2導体層440は、例えば、無電解めっき工程、マスクパターン形成工程、電解めっき工程、フラッシュエッチング工程を含むセミアディティブ法、フルアディティブ法等の湿式めっき法により形成されることが好ましい。湿式めっき法を用いて第2導体層440を形成することにより、所望の配線パターンを含む第2導体層440として形成することができる。なお、この工程により、ビアホール360内にビアホール内配線360aが併せて形成される。
第1導体層420及び第2導体層440は、例えば後述する図6~8に一例を示すように、渦巻状に設けられていてもよい。一例において、第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端はビアホール内配線360aにより第1導体層420の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端に電気的に接続されている。第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線360aにより第1導体層42のランド420aに電気的に接続されている。よって第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線360a、ランド420a、スルーホール内配線220aを経て外部端子240に電気的に接続される。
コイル状導電性構造体400は、第1導体層420の一部分である渦巻状の配線部、第2導体層440の一部分である渦巻状の配線部、第1導体層420の渦巻状の配線部と第2導体層440の渦巻状の配線部とを電気的に接続しているビアホール内配線360aにより構成されている。
工程(D)後、さらに導体層上に磁性層を形成する工程を行ってもよい。詳細は、図7に一例を示すように、第2導体層440及びビアホール内配線360aが形成された第1磁性層320上に第2磁性層340を形成する。第2磁性層は既に説明した工程と同様の工程により形成してもよい。
[インダクタ基板]
インダクタ基板は、本発明の回路基板を含む。本発明の回路基板の製造方法により得られた回路基板を含む場合、インダクタ基板は、磁性層と、この磁性層に少なくとも一部分が埋め込まれた導電性構造体とを有しており、この導電性構造体と、磁性層の厚さ方向に延在し、かつ導電性構造体に囲まれた磁性層のうちの一部分によって構成されるインダクタ素子を含んでいる。ここで図6は、インダクタ素子を内蔵するインダクタ基板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。図7は、図6に示すII-II一点鎖線で示した位置で切断したインダクタ基板の切断端面を示す模式的な図である。図8は、インダクタ基板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
インダクタ基板100は、図6及び図7に一例として示されるように、複数の磁性層(第1磁性層320、第2磁性層340)及び複数の導体層(第1導体層420、第2導体層440)を有する、即ちビルドアップ磁性層及びビルドアップ導体層を有するビルドアップ配線板である。また、インダクタ基板100は、内層基板200を備えている。
図7より、第1磁性層320及び第2磁性層340は一体的な磁性層としてみることができる磁性部300を構成している。よってコイル状導電性構造体400は、磁性部300に少なくとも一部分が埋め込まれるように設けられている。すなわち、本実施形態のインダクタ基板100において、インダクタ素子はコイル状導電性構造体400と、磁性部300の厚さ方向に延在し、かつコイル状導電性構造体400に囲まれた磁性部300のうちの一部分である芯部によって構成されている。
図8に一例として示されるように、第1導体層420はコイル状導電性構造体400を構成するための渦巻状の配線部と、スルーホール内配線220aと電気的に接続される矩形状のランド420aとを含んでいる。図示例では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とランド420aを迂回する迂回部を含んでいる。図示例では第1導体層420の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり反時計回りに巻いている形状を有している。
同様に、第1磁性層320上には第2導体層440が設けられている。第2導体層440はコイル状導電性構造体400を構成するための渦巻状の配線部を含んでいる。図6又は図7では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とを含んでいる。図6又は図7では第2導体層44の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり時計回りに巻いている形状を有している。
このようなインダクタ基板は、半導体チップ等の電子部品を搭載するための配線板として用いることができ、かかる配線板を内層基板として使用した(多層)プリント配線板として用いることもできる。また、かかる配線板を個片化したチップインダクタ基板として用いることもでき、該チップインダクタ基板を表面実装したプリント配線板として用いることもできる。
またかかる配線板を用いて、種々の態様の半導体装置を製造することができる。かかる配線板を含む半導体装置は、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラおよびテレビ等)および乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶および航空機等)等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<実施例1>
エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部、分散剤(「RS-710」、リン酸エステル系分散剤、東邦化学社製)0.5質量部、硬化促進剤(「2P4MZ」、イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製)0.25質量部、磁性粉体(「KUAMET NC1」、Fe基ナノ結晶磁性材料、D50:25μm、エプソンアトミックス社製)58質量部、磁性粉体(「AW02-08PF3F」、Fe基アモルファス磁性材料、D50:3μm、エプソンアトミックス社製)24質量部を混合し、3本ロールで均一に分散して、磁性ペースト1を調製した。エポキシ樹脂「ELM-100H」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000005
<実施例2>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「630」、アミン系エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト2を調製した。エポキシ樹脂「630」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000006
<比較例1>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「EP-3980S」、アミン系エポキシ樹脂、ADEKA社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト3を調製した。エポキシ樹脂「EP3980S」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000007
<比較例2>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「604」、アミン系エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト4を調製した。エポキシ樹脂「604」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000008
<比較例3>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「EX201IM」、フェニル系エポキシ樹脂、ナガセケムテックス社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト5を調製した。エポキシ樹脂「EX201IM」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000009
<比較例4>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「828」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト6を調製した。エポキシ樹脂「828」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000010
<比較例5>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「ED-523」、2官能希釈性エポキシ樹脂、ADEKA社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト7を調製した。エポキシ樹脂「ED-523」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000011
<比較例6>
実施例1において、エポキシ樹脂(「ELM-100H」、アミン系エポキシ樹脂、住友化学社製)4質量部を、エポキシ樹脂(「YX4000HK」、ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製)4質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして磁性ペースト8を調製した。エポキシ樹脂「YX4000HK」の構造式を以下に示す。
Figure 2022126255000012
<粘度の測定>
磁性ペースト1~8の温度を25±2℃に保ち、E型粘度計(東機産業社製「RE-80U」、3°×R9.7コーン、回転数は0.5rpm)を用いて25℃での粘度を測定した。
<比透磁率、磁性損失の測定>
支持体として、シリコーン系離型剤処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ50μm)を用意した。各実施例及び各比較例で作製した磁性ペースト1~8を上記PETフィルムの離型面上に、乾燥後のペースト層の厚みが100μmとなるよう、ドクターブレードにて均一に塗布し、樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを190℃で90分間加熱することによりペースト層を熱硬化し、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。得られた硬化物を、幅5mm、長さ18mmの試験片に切断し、評価サンプルとした。この評価サンプルを、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies社製、「HP8362B」)を用いて、3ターンコイル法にて測定周波数を10MHzとし、室温23℃にて測定周波数が10MHzである場合の比透磁率(μ’)及び磁性損失(μ’’)を測定し、損失係数を得た。損失係数は、以下の式より算出した。
tanδ=μ’/μ’’
<最大点強度、伸びの測定>
支持体として、シリコーン系離型剤処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ50μm)を用意した。各実施例及び各比較例で作製した磁性ペースト1~8を上記PETフィルムの離型面上に、乾燥後のペースト層の厚みが100μmとなるよう、ドクターブレードにて均一に塗布し、樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを190℃で90分間加熱することによりペースト層を熱硬化し、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。得られた硬化体を、日本工業規格(JIS K7127)に準拠し、テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて引っ張り試験し、最大点強度、伸びを測定した。
Figure 2022126255000013
(B)成分を含む実施例1、2は、(B)成分を含まない比較例1~6と比較して、磁気特性が優れ、最大点強度及び伸びが良好であることがわかった。また、低粘度であることから、インダクタ基板の作製作業性に優れることも分かった。
(B)成分と類似する成分を用いた比較例1は、硬化物が脆いため、磁気特性および機械特性を測定することができなかった。(B)成分と類似する成分を用いた比較例2は、ペーストとならず、磁気特性、粘度、および機械特性を測定することができなかった。また、ビスフェノールA骨格を有するエポキシ樹脂を用いた比較例4は、粘度が高すぎて粘度を測定することができなかった。粘度が低いエポキシ樹脂を用いた比較例5は、硬化物が脆いため、磁気特性および機械特性を測定することができなかった。固形状エポキシ樹脂(温度25℃で固体状のエポキシ樹脂)を用いた比較例6は、ペーストとならず、磁気特性、粘度、および機械特性を測定することができなかった。
100 インダクタ基板
200 内層基板
200a 第1主表面
200b 第2主表面
220 スルーホール
220a スルーホール内配線
240 外部端子
300 磁性部
310 磁性シート
320a 樹脂組成物層
320 第1絶縁層
330 支持体
340 第2絶縁層
360 ビアホール
360a ビアホール内配線
400 コイル状導電性構造体
420 第1導体層
420a ランド
440 第2導体層

Claims (8)

  1. (A)磁性粉体、及び
    (B)下記一般式(1)で表される液状エポキシ樹脂、を含む、コンプレッションモールドを用いたインダクタ基板形成用の磁性ペースト。
    Figure 2022126255000014
    (一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
  2. 周波数10MHzにおける比透磁率が、5以上である、請求項1に記載の磁性ペースト。
  3. 周波数10MHzにおける磁性損失が、0.1以下である、請求項1又は2に記載の磁性ペースト。
  4. 25℃における0.5rpmでの粘度が、30Pa・s以上600Pa・s以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の磁性ペースト。
  5. 一般式(1)中のRが、メチル基を表す、請求項1~4のいずれか1項に記載の磁性ペースト。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の磁性ペーストの硬化物により形成された磁性層を含む、回路基板。
  7. 請求項6に記載の回路基板を含むインダクタ基板。
  8. 内層基板上に請求項1~5のいずれか1項に記載の磁性ペーストを供給し、磁性ペーストをコンプレッションモールドにより成形し、磁性層を形成する工程を含む、回路基板の製造方法。
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