JP2022124900A - 制御装置、診療システムおよび制御方法 - Google Patents

制御装置、診療システムおよび制御方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022124900000001
【課題】安全性とユーザビリティとを両立させることのできる制御装置、診療システムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置Mはチェア6等を制御する。制御装置Mは、チェア6等の制御データと、操作部の操作により生成される第1操作データと、ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入出力ポート101を備える。制御部102等は、チェア6等に対して実行する所定制御の許否を判断して、その所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、第1操作データが入力された場合と第2操作データが入力された場合とで異ならせる。
【選択図】図9

Description

本開示は、診療装置に係る制御装置、診療システムおよび制御方法に関する。
特許文献1に記載されるように、施術者が歯科用チェアユニット等の医療用チェアユニットを作動する際に、手指の押圧によるスイッチ操作が不要な装置が知られている。この装置では、施術者等が襟元に装着したワイヤレスマイクロフォンによって音声指令を検出し、音声が受信機によって受信される。制御用コンピュータによって、音声指令がデジタル信号に変換され、音声認識がなされる。施術者は、フットスイッチによりON操作を行い、チェアユニットのバックシート等を動かす。このように、施術者による操作が、音声指令およびフットスイッチによって行われる。
特開2002-209958号公報
ところで、医療用チェアユニット等の診療装置では、高い安全性が求められる。例えば、接触型のスイッチ等による操作(非音声操作)と、音声操作とが、互いに妨害や干渉しないような調整が必要である。さらには、安全性のみならず、操作の簡便さや操作性(ユーザビリティ等とも称される)も実現されることが望ましい。
本開示は、安全性とユーザビリティとを両立させることのできる制御装置、診療システムおよび制御方法を説明する。
本開示の一態様は、ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御装置であって、被制御部の制御データと、ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、第1操作データ又は第2操作データと制御データとに基づいて、被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、第1操作データが入力された場合と第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御部と、を備える。
この制御装置によれば、制御部は、ユーザの身体の一部が操作部に作用することによる第1操作データのみならず、ユーザが発する音声による第2操作データに基づいても、被制御部に対する所定制御を実行する。よって、音声による操作が可能となっており、操作の簡便さが実現されている。制御装置は、発話による操作を可能とするため、接触感染予防(インフェクションコントロール)にも寄与する。また、制御部が、制御データに基づいて、所定制御の許否を判断する。これにより、例えば、被制御部の制御の状況が、所定制御を行うのに適切ではない場合に、所定制御を行わない(すなわち禁止する)といった制御が可能であり、安全性を高めることができる。しかも、第1操作データが入力された場合すなわち操作部の操作が行われた場合と、第2操作データが入力された場合すなわち音声による操作が行われた場合とで、所定制御の許否を異ならせている。これにより、所定制御に関して、音声による操作・制御を受け付けないようにすることができ、安全性や操作性が高められる。この制御装置によれば、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
なお、本明細書において「ユーザの身体の一部が操作部に作用する」とは、ユーザの身体の一部が操作部に接触すること(物理的な接触)と、ユーザの身体の一部が操作部に接触することなく(すなわち非接触で)操作が行われることの両方を含む。「ユーザの身体の一部が操作部に作用する」操作は、接触による操作と非接触による操作とを含んでおり、これらを包含して「非音声操作」と言うことができる。非接触操作には、例えば赤外線スイッチ等が含まれる。
診療装置は医科歯科の診療装置であり、被制御部は、患者を座らせる座面シートの動作部、背もたれの動作部、歯科用インスツルメントの動作部、オペライトの動作部、撮影装置の動作部、顕微鏡等の周辺装置の動作部、及び、うがい鉢の動作部の少なくとも何れか1つを含んでもよい。この場合、医科歯科の診療装置において、音声による操作が可能であり、操作部の操作と、音声による操作とで、上述したような許否判断の違いを設けることができる。医科歯科の診療装置における安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
制御部は、制御データに基づいて、座面シートと背もたれの状態が歯科診療可能な第1ポジション、又は、歯科診療不可能な第2ポジションの何れであるかを判定し、その第1判定結果により、所定制御の許否を判断してもよい。座面シートと背もたれの状態(ポジション)は、歯科診療において重要な要素である。よって、第1ポジション又は第2ポジションの何れであるか(第1判定結果)によって所定制御の許否を判断することで、安全性が高められる。
制御部は、さらに、制御データに基づいて、歯科用インスツルメントのピックアップ状況を判定し、その第2判定結果により、所定制御の許否を判断してもよい。歯科用インスツルメントのピックアップ状況は、歯科診療において重要な要素である。よって、歯科用インスツルメントがピックアップされているか否かによって所定制御の許否を判断することで、操作性がさらに高められる。
制御部は、さらに、制御データに基づいて、歯科用インスツルメントの駆動状況を判定し、その第3判定結果により、所定制御の許否を判断してもよい。歯科用インスツルメントの駆動状況は、歯科診療において重要な要素である。よって、歯科用インスツルメントが駆動されているか否かによって所定制御の許否を判断することで、安全性がさらに高められる。
本開示の別の態様は、ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御装置であって、被制御部の制御データと、ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、第1操作データ又は第2操作データと制御データとに基づいて、被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、所定制御を実行し、第2操作データが入力された場合には、当該所定制御の許否に関する規制を、第1操作データが入力された場合よりも厳しくする制御部と、を備える。
この制御装置によれば、制御部は、ユーザの身体の一部が操作部に作用することによる第1操作データのみならず、ユーザが発する音声による第2操作データに基づいても、被制御部に対する(複数の所定制御のうち)1つの所定制御を実行する。よって、音声による操作が可能になっており、操作の簡便さが実現されている。制御装置は、発話による操作を可能とするため、接触感染予防(インフェクションコントロール)の向上にも寄与する。また、制御部が、制御データに基づいて、所定制御の許否を判断する。これにより、例えば、被制御部の制御の状況が、所定制御を行うのに適切ではない場合に、所定制御を行わない(すなわち禁止する)といった制御が可能であり、安全性を高めることができる。しかも、第2操作データが入力された場合すなわち音声による操作が行われた場合には、第1操作データが入力された場合すなわち操作部の操作が行われた場合よりも、複数の所定制御の許否に関する規制が厳しくされる。これにより、例えば比較的多くの所定制御に関して、音声による操作・制御を受け付けないようにすることができ、安全性や操作性が高められる。この制御装置によれば、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
制御部は、第2操作データが入力された場合であって被制御部に対する所定制御を実行する場合に、所定制御を実行する前に、所定制御を実行するかどうかをユーザに確認する確認処理を実行してもよい。ユーザは、意図しない音声操作をしてしまう可能性がある。確認処理の実行により、意図しない誤動作の可能性を低減することができる。
制御部は、確認処理を実行する前に、制御データに基づいて、患者を座らせる座面シートと背もたれの状態が歯科診療可能な第1ポジション、又は、歯科診療不可能な第2ポジションの何れであるかを判定し、その第1判定結果により、所定制御の許否を判断してもよい。座面シートと背もたれの状態(ポジション)は、歯科診療において重要な要素である。よって、第1ポジション又は第2ポジションの何れであるか(第1判定結果)によって所定制御の許否を判断することで、安全性が高められる。
本開示のさらに別の態様は、診療装置と、ユーザ操作に応じて診療装置の被制御部を制御する制御装置とを備える診療システムであって、制御装置は、被制御部の制御データと、ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、第1操作データ又は第2操作データと制御データとに基づいて、被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、第1操作データが入力された場合と第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御部と、を備える。
本開示のさらに別の態様は、ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御方法であって、(a)被制御部の制御データと、ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力工程と、(b)第1操作データ又は第2操作データと制御データとに基づいて、被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、第1操作データが入力された場合と第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御工程と、を含む。
これらの診療システムおよび制御方法によれば、上記の制御装置における作用効果と同様、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
本開示によれば、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
本開示の一実施形態に係る診療装置の全体構成を示す概略図である。 本開示の一実施形態に係る診療装置の全体構成を示すブロック図である。 図2中の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 図4(a)および図4(b)は第2制御状況例を示し、図4(c)および図4(d)は第2制御状況例における操作部の操作と音声操作の許否判断例を示す。 図5(a)および図5(b)は第1制御状況例を示し、図5(c)および図5(d)は第1制御状況例における操作部の操作と音声操作の許否判断例を示す。 図6(a)および図6(b)は第3制御状況例を示し、図6(c)および図6(d)は第3制御状況例における操作部の操作と音声操作の許否判断例を示す。 図7(a)および図7(b)は第4制御状況例を示し、図7(c)および図7(d)は第4制御状況例における操作部の操作と音声操作の許否判断例を示す。 図8(a)および図8(b)は第5制御状況例を示し、図8(c)および図8(d)は第5制御状況例における操作部の操作と音声操作の許否判断例を示す。 診療装置の制御装置によって行われる処理を示すフロー図である。 図10(a)および図10(b)は第6制御状況例を示し、図10(c)は第6制御状況例における音声操作の許否判断例を示す。 図11(a)は診療装置の一状況例を示し、図11(b)はその状況例における音声受付禁止処理を示す。 図12(a)および図12(b)は診療装置の別の状況例を示し、図12(c)および図12(d)はその状況例における音声受付処理を示す。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず図1および図2を参照して、本実施形態に係る診療装置1および医科歯科診療システムSについて説明する。図1および図2に示されるように、医科歯科診療システムSは、ユーザである医師または歯科医師が、患者を診療するために用いられるシステムである。患者が座るチェア6を備えた医科歯科診療システムSは、チェアユニットとも呼ばれる。医科歯科診療システムSを用いて行われる医科診療または歯科診療は、医科または歯科に関するあらゆる種類の診察および治療を包含する概念である。なお、ユーザは、診療装置1を操作し得る者であればよく、看護師等を含む医科助手であってもよく、歯科衛生士等を含む歯科助手であってもよい。1つの診療装置1に対して複数のユーザが存在してもよい。以下の説明では、医科歯科診療システムSおよび診療装置1が歯科診療に用いられる場合について説明する。
医科歯科診療システムSは、診療装置1と、診療装置1を管理するための管理装置30とを備える。診療装置1は、診療器具2と、表示装置(表示部)3と、フットコントローラ4と、トレーテーブル5と、チェア6と、ベースンユニット7と、照明装置8と、操作部11とを備える。診療装置1は、さらに、診療器具2を制御する診療器具制御装置9と、ユーザが発する音声を入力する音声入力部12と、表示制御装置10とを備える。管理装置30は、制御部31を備える。管理装置30には、表示装置32が情報通信可能に接続されており、制御部31には、入力装置33が情報通信可能に接続されている。
診療器具2は、例えば1つ又は複数の歯科用インスツルメント25(図5(b)参照)を含む。歯科用インスツルメント25は、例えば、歯科医師が患者の歯牙の治療(例として、う蝕治療や根管治療等)を行う際に使用される。歯科用インスツルメント25は、一種類のみの器具からなってもよく、複数種類の器具を有してもよい。例えば、図5(b)に示されるように、歯科用インスツルメント25が、4種類の器具(第1~第4歯科用インスツルメント25A~25D)、からなってもよい。歯科用インスツルメント25は、例えば先端に設けられた切削工具を含んでおり、内部の回転力伝達機構を介して切削工具を回転駆動させるエンドモータを含む。歯科用インスツルメント25は、診療器具制御装置9によって制御されて、その出力を変えることができる。
図1および図2に示されるように、表示装置3は、例えば液晶ディスプレイ等であり、診療器具2の作動状態および/または患者の診療状況等に関する情報を表示する。フットコントローラ4は、診療器具2またはチェア6等をユーザが足で操作するための操作部である。フットコントローラ4は、フットペダルと称されてもよい。
チェア6は、患者を支持する診療台である。チェア6は、患者の臀部を含む下半身を支持する座面シート17と、患者の上半身を支持する背もたれ16と、患者の頭部を支持するヘッドレスト14と、患者の脚部を支持する足置き台18とを有する。座面シート17、背もたれ16、ヘッドレスト14および足置き台18は、それぞれ、内部に駆動モータ等の駆動機構(動作部)を備えており、所定の動作で動くことが可能である。例えば、座面シート17は、上昇または下降することで、高さを変えることができる。背もたれ16は、背もたれ16と座面シート17の間の水平な回動軸を中心に傾動することで、背もたれ面の傾斜角度を変えることができる。背もたれ16のショルダー部に、1つ又は複数の歯科用インスツルメント25を保持するインスツルメントホルダ15が設けられてもよい。ヘッドレスト14は、上昇または下降することで、高さを変えることができ、さらにヘッドレスト14と背もたれ16の間の水平な回動軸を中心に傾動することで、傾斜角度を変えることができる。足置き台18は、足置き台18と座面シート17の間の水平な回動軸を中心に傾動することで、傾斜角度を変えることができる。座面シート17、背もたれ16、ヘッドレスト14および足置き台18の各駆動機構は、チェア制御部13によって制御される。なお、チェアのその他の形態としては、座面シート、背もたれ、ヘッドレストおよび足置き台が一体に成型された仕様や、ヘッドレスト以外が一体に成形された仕様が考えられる。
ベースンユニット7は、患者が口をゆすぐためのうがい鉢またはスピットンである。ベースンユニット7は、チェア6の側方に設けられている。ベースンユニット7は、給水ラインにおける出水量を制御する制御弁20と、制御弁20を開閉制御するベースン制御部19とを有する。制御弁20がベースン制御部19によって開閉制御されることで、注水をON又はOFFに切り替えることができる。ベースンユニット7は、例えば患者によって操作される操作ボタン等を含んでもよい。ベースンユニット7は、さらに、照明装置8を制御する照明制御部21を有する。照明装置8は例えばオペライト(無影灯)であり、チェア6の上方に配置されて患者の口腔を照らす。照明装置8は、光量の調整機構を備えており、照明制御部21によって制御されて、光量を調整することができる。
操作部11は、ユーザが手や指などで触ることによって、チェア6、ベースンユニット7、および照明装置8を操作する部分である。操作部11は、1つ又は複数のボタン、レバー、スイッチ、又はダイヤル等を含んでよい。本実施形態では、ユーザの操作(操作部11を用いた操作および後述の音声入力部12への入力を含む)に基づいて、診療器具2、チェア6の各部、ベースンユニット7および照明装置8が制御される。診療器具2、チェア6の各部、ベースンユニット7および照明装置8は、それぞれ、被制御部である。
被制御部は、それぞれ、制御要素を有する。診療装置1において、被制御部は、例えば、歯科用インスツルメント25のエンドモータ(動作部)、チェア6におけるヘッドレスト14、背もたれ16、座面シート17および足置き台18の各駆動機構(動作部)、ベースンユニット7の制御弁(動作部)20、ならびに照明装置8の光量の調整機構(動作部)を含む。制御要素は、例えば、歯科用インスツルメント25の出力、チェア6におけるヘッドレスト14の傾斜角度と高さ、背もたれ16の傾斜角度、座面シート17の高さ、および足置き台18の傾斜角度、ベースンユニット7の出水量、ならびに照明装置8の光量を含む。
フットコントローラ4および操作部11は、ユーザによって操作されて、上記した各制御要素を変化させることができる。ユーザの身体の一部がフットコントローラ4および操作部11に接触することで、フットコントローラ4および操作部11は、これらの操作部に対する物理的な接触により、操作内容を示す操作信号(第1操作データ)を生成し、後述する制御装置Mの入出力ポート(入力部)101(図3参照)に出力する。第1操作データは、非音声操作による操作内容を示す。非音声操作とは、ユーザの指、手、足等の身体の少なくとも一部が、フットコントローラ4又は操作部11(のボタン又は非接触センサ等)に作用する操作である。なお、医科歯科診療システムSでは、ユーザが入力装置33に所定の入力を行うことにより、管理装置30の制御部31を介して、上記した各制御要素を変化させることもできる。
なお、フットコントローラ4及び/又は操作部11が、各制御装置または各制御部と電気的に接続されておらず、無線で情報通信可能に構成されていてもよいが、そのような場合でも、ユーザの指、手、足等の身体の少なくとも一部が、フットコントローラ4又は操作部11に接触する。
本実施形態の医科歯科診療システムSは、入出力ポート101に入力された音声関連データに基づいて、上記した各制御要素を変化させることができるように構成されている。診療装置1は、上記した各被制御部に対して複数の所定制御を実行する制御装置Mを備える。制御装置Mは、表示制御装置10と、診療器具制御装置9と、チェア6のチェア制御部13と、ベースンユニット7のベースン制御部19と、照明制御部21とを含む。制御装置Mは、これらの各制御部が一体化された構成を有してもよい。
音声入力部12は、例えばトレーテーブル5から立ち上がるマイクロフォンを含む。音声入力部12は、マイクロフォンによって検出したユーザの音声を認識することができる。
音声入力部12は、音声を認識および入力するための公知の構成を備える。
図3は、図2中の制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置Mは、入出力ポート101と、制御部102と、主記憶部103と、補助記憶部104とを有する。入出力ポート101は、例えば、無線又は有線の通信モジュール等を含む。制御部102は、例えば、CPU等のプロセッサを含むマイコンである。主記憶部103は、例えば、ROMおよびRAM等を含む。補助記憶部104は、例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリ等を含み、主記憶部103よりも大量のデータを記憶する。補助記憶部104は、少なくとも1台のコンピュータを制御装置Mとして機能させるためのプログラムを記憶する。制御装置Mにおける処理は、例えば主記憶部103にプログラム110を読み込ませてそのプログラムを実行させることで実現される。制御部102は、プログラムに従って、入出力ポート101を動作させ、主記憶部103又は補助記憶部104におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。処理に必要なデータまたはデータベースが主記憶部103又は補助記憶部104内に格納されてもよい。
なお、医科歯科診療システムSにおいて、管理装置30(図2参照)が、図3に示される制御装置Mと同様の構成と機能を備えてもよい。その場合には、診療装置1の各部を制御する制御装置としての管理装置30が、診療装置1の外部に設けられる。
入出力ポート101は、被制御部の制御状況データと、非音声操作による第1操作データと、音声操作による音声関連データと、を入力する。入出力ポート101は、音声入力部12から出力された音声関連データ(第2操作データ)を入力する。音声関連データとは、ユーザが発する音声に基づいて生成される音声データであってもよく、ユーザが発する音声に基づいて、予め規定されたコードに変換されたデータであってもよい。すなわち、音声関連データは、音声データと、コードに変換されたデータとを含む。音声関連データは、ユーザが発する音声に基づいて生成される。音声関連データは、音声による操作内容を示す第2操作データである。
上記した各被制御部は、各制御要素の現在値を示す信号を、各被制御部に対応する制御部に出力する。例えば、座面シート17は、高さの現在値を示す信号をチェア制御部13に出力する。背もたれ16は、背もたれ面の傾斜角度の現在値を示す信号をチェア制御部13に出力する。制御装置Mの入出力ポート101は、各制御要素の現在値を示す信号を、被制御部の制御の状況を示す制御状況データ(制御データ)として入力する。本実施形態の医科歯科診療システムSでは、ユーザによって非音声操作又は音声操作が行われたときに、制御状況データに示される被制御部の制御の状況に応じて、所定制御が実行される。被制御部の制御の状況がある条件に当てはまっている場合には、所定制御が実行されるが、被制御部の制御の状況がある条件に当てはまっていない又は別の条件に当てはまっている場合には、所定制御が実行されない(禁止される)。
制御部102は、第1操作データ又は音声関連データと、制御状況データとに基づいて、第1操作データ又は音声関連データに対応する所定制御の許否を判断する。図4~図7を参照して、所定制御の許否の判断について説明する。以下の説明において、制御状況を「シチュエーション」と称する場合がある。図4(a)にはチェア6に関する制御状況が例示されており、図4(b)には歯科用インスツルメント25に関する制御状況が例示されている。図5(a)と図5(b)、図6(a)と図6(b)、図7(a)と図7(b)、及び図8(a)と図8(b)についても、同様に、チェア6と歯科用インスツルメント25の制御状況がそれぞれ例示されている。
例えば、図4(a)に示されるチェア6では、座面シート17が上昇して高いポジションに位置しており、かつ、背もたれ16は略水平なポジションにまで傾動している。すなわち、チェア6は、座面シート17と背もたれ16の状態が、歯科診療可能な診療ポジション(第1ポジション)に位置する。また、図4(b)に示される歯科用インスツルメント25では、歯科用インスツルメント25(例えばハンドピース)がインスツルメントホルダ15(またはインスツルメントハンガー)から取り外されて、ユーザの手に持たれ、そのエンドモータが駆動している。すなわち、歯科用インスツルメント25は動作中である。図5(b)に示される第2歯科用インスツルメント25Bは、インスツルメントホルダ15から取り外されてピックアップされている。なお、4種類の歯科用インスツルメント25のうち第2歯科用インスツルメント25Bのみがピックアップされており、第1歯科用インスツルメント25A、第3歯科用インスツルメント25C及び第4歯科用インスツルメント25Dはインスツルメントホルダ15に格納されている。すなわち、歯科用インスツルメント25の少なくとも1つがピックアップされている(動作はしていない)。図6(b)に示される歯科用インスツルメント25では、4種類の歯科用インスツルメント25の全てがインスツルメントホルダ15に格納されている(ピックアップされていない)。すなわち、歯科用インスツルメント25がすべてインスツルメントホルダ15に格納されている。図7(a)に示されるチェア6では、座面シート17が下降して低いポジションに位置しており、かつ、背もたれ16は立ったポジションに位置している。すなわち、チェア6は、座面シート17と背もたれ16の状態が、歯科診療不可能な退出ポジション(第2ポジション)に位置する。
制御部102は、これらのシチュエーション(制御状況)に応じて、第1操作データ又は音声関連データに対応する所定制御の許否を判断する。所定制御の許否とは、制御部102が所定制御を実行可能であるか、又は実行不可能であるか(禁止されているか)を意味する。制御部102(診療器具制御装置9、チェア制御部13、ベースン制御部19および照明制御部21等)は、特定のシチュエーションに対応させて、非音声操作が入力された場合の許否の判断基準(第1拒否基準)と、音声による操作が入力された場合の許否の判断基準(第2許否基準)とを別々に記憶している。図4(c)には、図4(a)及び(b)に示されたシチュエーションに応じた、非音声操作(第1操作データ)に対応する複数の所定制御の許否の判断基準が例示されており、図4(b)には、図4(a)及び(b)に示されたシチュエーションに応じた、音声操作(第2操作データ)に対応する複数の所定制御の許否の判断基準が例示されている。図5(c)と図5(d)、図6(c)と図6(d)、図7(c)と図7(d)、及び図8(c)と図8(d)についても、同様に、各シチュエーションに応じた、ボタン操作(第1操作データ)に対応する複数の所定制御の許否の判断基準と、音声操作(第2操作データ)に対応する複数の所定制御の許否の判断基準とがそれぞれ例示されている。図4~図7の各図において、白色で表された欄は、「実行可能」であることを意味する。また、灰色で表された欄は、「実行不可能(禁止)」であることを意味する。各図において、「HP」はハンドピース(すなわち歯科用インスツルメント25)を意味する。ハンドピースには、例えば、エアタービンハンドピース、モーターハンドピース、バキュームハンドピース、超音波スケーラハンドピースが含まれる。また各図には、ボタン操作のみならず、フットコントローラ4、スイッチ、赤外線スイッチ等を用いた操作が含まれる。
制御部102は、これらの判断基準を記憶している。例えば、診療器具制御装置9は、チェア6が診療ポジションに位置し、かつ歯科用インスツルメント25が動作中である場合において、「ハンドピース回転」との操作(制御)が実行可能であるか否かを、非音声操作と音声操作のそれぞれについて記憶している。図4(c),(d)に示されるように、非音声操作と音声操作の両方について、「ハンドピース回転」との操作(制御)は「実行不可能(禁止)」とされている。診療器具制御装置9は、チェア6が診療ポジションに位置し、かつ歯科用インスツルメント25が動作中である場合において、「ハンドピース停止」との操作(制御)が実行可能であるか否かを、非音声操作と音声操作のそれぞれについて記憶している。図4(c),(d)に示されるように、非音声操作と音声操作の両方について、「ハンドピース停止」との操作(制御)は「実行可能」とされている。なお、このシチュエーションでは、「ハンドピース停止」以外のすべての操作(制御)が、非音声操作と音声操作の両方について、「実行不可能(禁止)」とされている。図4(a)及び(b)に示されたシチュエーションは、第2診療状況であり、診療状況は「診療中」であると推定される。この場合、例えば、求められる安全性のレベルは「大」であり、またユーザビリティの必要性のレベルは「小」である。第2診療状況においては、ほぼ全ての被制御部についての非音声操作及び音声操作が禁止(制限)されている。
例えば、ベースン制御部19は、チェア6が診療ポジションに位置し、かつ歯科用インスツルメント25の少なくとも1つがピックアップされている(動作はしていない)場合において、「バキューム管路洗浄」との操作(制御)が実行可能であるか否かを、非音声操作と音声操作のそれぞれについて記憶している。図5(c),(d)に示されるように、非音声操作については、「バキューム管路洗浄」との操作(制御)は「実行可能」とされている一方で、音声操作については、「バキューム管路洗浄」との操作(制御)は「実行不可能(禁止)」とされている。このように、ベースン制御部19は、第1操作データが入力された場合と、第2操作データが入力された場合とで、所定制御の許否を異ならせている。別の観点では、図5(c),(d)に示される複数の所定制御全体を見た場合に、制御部102は、第2操作データが入力された場合には、第1操作データが入力された場合よりも、複数の所定制御の許否に関する規制を厳しくしている。図5(c)に示されるように、非音声操作については、すべての所定制御が「実行可能」であるのに対し、図5(d)に示されるように、音声操作については、5種類の所定制御が「実行不可能(禁止)」になっている。言い換えれば、第2操作データが入力された場合において「実行不可能(禁止)」とされる所定制御の数は、第1操作データが入力された場合において「実行不可能(禁止)」とされる所定制御の数よりも多い。図5(a)及び(b)に示されたシチュエーションは、第1診療状況であり、診療状況は「診療開始」であると推定される。この場合、例えば、求められる安全性のレベルは「中」であり、またユーザビリティの必要性のレベルは「中」である。第1診療状況においては、メンテナンス系の被制御部についての音声操作が禁止(制限)されている。メンテナンス系に対する音声操作とは、チェア6やスピットンなどに内設される管路のメンテナンスに関係する音声操作である。例えば、バキューム管路の洗浄、給水管路の洗浄、管路残留水の排出などを命令うる音声操作が含まれる。
図6(c),(d)には、チェア6が診療ポジションに位置し、かつ全ての歯科用インスツルメント25が格納されている場合における許否判断例が示されている。図6(a)及び(b)に示されたシチュエーションは、第3診療状況であり、診療状況は「診療終了」であると推定される。この場合、例えば、求められる安全性のレベルは「中」であり、またユーザビリティの必要性のレベルは「中」である。第3診療状況においては、ハンドピース系とメンテナンス系の被制御部についての音声操作が禁止(制限)されている。
図7(c),(d)には、チェア6が退出ポジションに位置し、かつ全ての歯科用インスツルメント25が格納されている場合における許否判断例が示されている。図7(a)及び(b)に示されたシチュエーションは、第4診療状況であり、診療状況は「診療中」又は「待機中」であると推定される。この場合、例えば、求められる安全性のレベルは「小」であり、またユーザビリティの必要性のレベルは「大」である。第4診療状況においては、ハンドピース系とカメラ系の被制御部についての音声操作が禁止(制限)されている。
図8(c),(d)には、チェア6が退出ポジションに位置し、かつ歯科用インスツルメント25が動作中である場合における許否判断例が示されている。図8(a)及び(b)に示されたシチュエーションは、第5診療状況であり、診療状況は「メンテナンス中」であると推定される。この場合、例えば、求められる安全性のレベルは「小」であり、またユーザビリティの必要性のレベルは「大」である。第5診療状況においては、チェア系とハンドピース系とカメラ系の被制御部についての音声操作が禁止(制限)されている。
制御部102は、第1操作データ又は音声関連データに対応する所定制御の許否を判断し、所定制御は実行可能と判断した場合にのみ、当該所定制御を実行する。制御部102は、第1操作データ又は音声関連データに対応する所定制御の許否を判断し、所定制御は実行不可能(禁止)と判断した場合には、当該所定制御を実行しない。
続いて、図9および図4~図7を参照して、制御装置Mによって行われる処理(制御方法)について説明する。まず、制御装置Mの入出力ポート101は、制御状況データを入力する(ステップS01、(a)入力工程)。ステップS01では、例えば、チェア6及び歯科用インスツルメント25に関する制御状況データが入力される。制御装置Mの制御部102は、入出力ポート101に入力された第1操作データ及び音声関連データを常に入力することができる。次に、制御部102は、第1操作データ又は音声関連データが入力されたか否かを判断する(ステップS02)。第1操作データ又は音声関連データが入力されていないと判断した場合(ステップS02;NO)、制御部102は、ステップS01の処理を繰り返す。第1操作データ又は音声関連データの何れかが入力されたと判断した場合(ステップS02;YES)、制御部102は、ステップS01で入力したチェア6及び歯科用インスツルメント25の制御状況を判定する(ステップS03)。例えば、制御部102は、チェア6が診療ポジション又は退出ポジションの何れに位置するかを判定し、その判定結果(第1判定結果)を出力する。また、制御部102は、歯科用インスツルメント25のピックアップ状況を判定し、その判定結果(第2判定結果)を出力する。また、制御部102は、歯科用インスツルメント25の動作状況(駆動状況)を判定し、その判定結果(第3判定結果)を出力する。制御部102は、これら第1、第2及び第3の判定に基づき、現在の診療状況が何れの診療状況であるか(例えば上記した第1~第5診療状況の何れであるか)を判定する。
制御部102は、ステップS02の判断結果に応じて、第1操作データ、又は音声関連データ第1操作データの何れが入力されたかを判断する(ステップS04)。第1操作データが入力された場合には、制御部102は、図4(c)、図5(c)、図6(c)及び図7(c)に示される非音声操作に対する許否の判断基準(第1拒否基準)に基づき、許否を判断する(ステップS05)。制御部102は、判断結果が「実行可能」である場合にのみ、被制御部を制御する(ステップS06、(b)制御工程)。
一方、音声関連データが入力された場合には、制御部102は、図4(d)、図5(d)、図6(d)及び図7(d)に示される音声操作に対する許否の判断基準(第2拒否基準)に基づき、許否を判断する(ステップS07)。制御部102は、判断結果が「実行可能」である場合にのみ、被制御部を制御する(ステップS06)。その場合には、図9に示されるステップS08とステップS09が省略されてもよい。
ステップS05の判断とステップS07の判断とでは、判断基準が異なっており、いくつかの所定制御において、許否が異なる。上記の一連の処理によって、非音声操作と音声操作の受付け可否が、シチュエーションに応じて異ならされている。シチュエーションにそぐわない音声指令を実行不可能(禁止)とすることで、誤認識の可能性が低減されている。なお、制御装置Mにおいて、実行不可能(禁止)であることが、音声認識対象から除外することと同じことを意味してもよい。
音声指令の禁止(制限)は、求められる安全性及びユーザビリティの必要性に基づいて設定される。例えば、第2診療状況(図4参照)では、診療装置1の状態に基づいて推定される診療状況は診療中であるため、安全確保の必要性が大きい。このため、命令ではない会話中の用語に基づいて音声認識がなされ、ユーザの意図しない制御(音声誤認制御)とならないようにほぼ全ての制御が制限されている。
第1診療状況(図5参照)では、診療装置1の状態に基づいて推定される診療状況は診療の開始であるため、安全確保の必要性は大きくはない。このため、ユーザビリティの向上を比較的優先させて多くの音声指令による制御を可能にさせている。なお、ハンドピースがインスツルメントホルダ15から取り外されておりユーザに使用意思が有り、一方で、メンテナンス系を作動させる意思は無い状況のため音声誤認制御を防ぐ必要がある。よって、メンテナンス系に対する音声指令による制御が制限されている。
第3診療状況(図6参照)では、診療装置1の状態に基づいて推定される診療状況は診療の終了であるめ、安全確保の必要性は大きくはない。このため、ユーザビリティの向上を比較的優先させて多くの音声指令による制御を可能にさせている。なお、ハンドピースはインスツルメントホルダ15に格納されておりユーザに使用意思は無い状況のため、音声誤認制御を防ぐ必要がある。よって、ハンドピースの音声指令による制御が制限されている。
第4診療状況(図7参照)では、診療装置1の状態に基づいて推定される診療状況は診療の終了又は待機であるため、安全確保の必要性は小さい。このため、ユーザビリティの向上を優先させて多くの音声指令による制御を可能にさせている。なお、ハンドピースはインスツルメントホルダ15に格納されておりユーザにハンドピースの使用意思は無い状況のため、音声誤認制御を防ぐ必要がある。よって、ハンドピースの音声指令による制御が制限されている。
第5診療状況(図8参照)では、診療装置1の状態に基づいて推定される診療装置のメンテナンス準備又は状態であるため、安全確保の必要性は小さい。このため、ユーザビリティの向上を優先させて音声指令によるメンテナンス系の制御を可能にさせている。なお、メンテナンス準備又は状態のため音声誤認制御を防ぐ必要があり、チェア系、ハンドピース系、カメラ系の音声指令による制御が制限されている。
なお、本実施形態に係る制御の目的である安全性とユーザビリティは、明確に区別できない場合があり、双方ともに達成される場合がある。また推定される診療状況は、実際の診療状況と異なる場合があり、音声認識制御を利用できない状況でも非音声操作が可能である。例えば、第1診療状況において、つまり、チェア診療ポジション、ハンドピースのインスツルメントホルダ15からの取り外し、ハンドピース停止の状態で診療の開始が推定され、メンテナンス系の音声認識制御を制限させる。一方で、稀ではあろうが、ユーザによってはその状態でメンテナンス系を動作させたい場合もあるかもしれず、この場合は、ユーザの明確な操作意思が確認でき、誤認操作となる可能性が小さい、非音声操作を可能にしている。
続いて、図9に示されるステップS08とステップS09が実行される場合の処理について説明する。ステップS07の処理に続き、制御部102は、所定制御を実行するかどうかを確認する確認処理を実行する(ステップS08)。例えば、図10(a)に示されるように、チェア6が診療ポジションに位置しており、図10(b)に示されるように、歯科用インスツルメント25の少なくとも1つがピックアップされている(動作はしていない)というシチュエーションにおいて、チェア6を退出ポジションやうがいポジションに変化させる操作が入力された場合に、確認処理が実行される(図10(c)では、操作名称に括弧が付されている)。
ステップS08の確認処理では、例えば、表示制御装置10が表示装置3を制御することにより、「〇○○の操作を本当に実行しますか?」と、ユーザに対して確認メッセージが表示される。或いは、制御部102が、図示しないスピーカ等(報知部)を制御することにより、「ピッピ」と2回(又は複数回)音が鳴るか、若しくは「〇○○の操作を本当に実行しますか?」との音声メッセージが流される。このように、制御部102は、第2操作データが入力された場合であって被制御部に対する所定制御を実行する(すなわち現シチュエーションのもと実行可能である)場合に、ステップS06にて所定制御を実行する前に、所定制御を本当に実行するかどうかを確認する。このように、特定のシチュエーションでは指示される可能性の低い音声操作については、念のために、実行してよいかを確認する処理が挿入されてもよい。
ユーザは、表示装置3のタッチパネルディスプレイに表示された「OK」を押す。或いは、ユーザは、音声入力部12に向けて、「はい」、「OK」若しくは「実行してよい」等の音声を発する。制御部102は、確認処理の結果、所定制御を実行してよいことを確認した場合(ステップS08;YES)、被制御部を制御する(ステップS06)。制御部102は、確認処理の結果、所定制御を実行してよいことを確認しなかった場合、又は、所定制御を実行してはいけないことを確認した場合(ステップS08;NO)、被制御部を制御せずに一連の処理を終了する。
制御装置M、医科歯科診療システムS、及び制御方法によれば、制御部102は、ユーザの身体の一部が操作部に作用することによる第1操作データのみならず、ユーザが発する音声による音声関連データに基づいても、被制御部に対する所定制御を実行する。よって、音声による操作が可能となっており、操作の簡便さが実現されている。制御装置Mは、発話による操作を可能とするため、接触感染予防にも寄与する。また、制御部102が、制御状況データに基づいて、所定制御の許否を判断する。これにより、例えば、被制御部の制御の状況が、所定制御を行うのに適切ではない場合に、所定制御を行わない(すなわち禁止する)といった制御が可能であり、安全性を高めることができる。しかも、第1操作データが入力された場合すなわち非音声操作が行われた場合と、音声関連データが入力された場合すなわち音声による操作が行われた場合とで、所定制御の許否を異ならせている。これにより、所定制御に関して、音声による操作・制御を受け付けないようにすることができ、安全性や操作性が高められる。この制御装置Mによれば、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
音声関連データが入力された場合すなわち音声操作が行われた場合には、第1操作データが入力された場合すなわち非音声操作が行われた場合よりも、複数の所定制御の許否に関する規制が厳しくされる。これにより、例えば比較的多くの所定制御に関して、音声による操作・制御を受け付けないようにすることができ、安全性や操作性が高められる。この制御装置によれば、安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
本実施形態では、音声制御機能と非音声系のスイッチ制御機能とを備えたシステムにおいて、両者の操作について、互いの障壁にならず、むしろそれぞれの特性を活かして、アクセシビリティや機能制御の利便性を向上させている。近年、音声認識の技術が発展し、発話を正確にデータ化できるようになったことに伴い、広い分野において音声認識技術が利用されるようになった。音声認識やこれを応用した制御技術が、様々な機器に搭載されるようになっている。医療の分野についても例外ではなく、音声認識や音声制御の機能を持たせることによって医療機器の操作性や衛生面でのユーザビリティを向上させる技術が進展してきている。
制御に音声を用いることで、複雑な機械操作が不要となったり(操作が簡便になったり)、非接触での制御が可能となったり(高いインフェクションコントロールが実現されたり)、操作者の動きの変化が不要になったり(姿勢を維持したままの操作が可能になったり)する、などのメリットが得られる。一方で診療装置は、直接的に人や動物の身体を扱うという性質上、極めて高い安全性の実現が必須である。そのために種々の、診療装置の誤作動が起こらない設計や、ユーザの誤操作を阻止できる設計が、これまで検討されてきた。
本実施形態のような、音声による制御技術を搭載した診療装置の場合、制御においては、接触型のスイッチ(メンブレンスイッチやボタン状のスイッチ、フットコントローラのスイッチなど)による制御と、非接触の操作、(音声操作、オペライトの測距センサなど)制御とが互いに妨害や干渉しないような調整が大前提となる。これに加えて、本実施形態では、さらに、単に非音声操作でできるものを音声操作でもできるようにするという構成の置き換えではなく、診療状況(シーン)に応じて、非音声操作及び音声操作それぞれの操作の利点/弱点をふまえたより高いユーザビリティと安全性を達成する工夫がなされている。
そのために、次の2つの要素が着目されている。
1)「診療状況(シーン)に応じて」
診療開始前~終了の間、診療空間の音響的な環境や、診療状況(シーン)を考慮した場合に選択すべきでない(または推奨されるべき)操作方法や、特定の医療行為の際に守られなければならない(または禁止される)操作のきまりが想定される。
2)診療装置へ制御信号を送る際の各操作方法(非音声操作/音声操作)の特性や強み/弱点
1)については、進行中の診療状況(シーン)に応じて、注意しなければならない診療装置の操作や医科歯科医療ならではの禁止事項を、「診療装置が」規制してくれることで、音声認識の環境下にある診療装置のエラーを回避することができる。例えば、患者が着座していないときの音声認識による制御はOFFにする。ハンドピースピックアップ中は音声によるチェアオート操作は受け付けられない。機器AがONの時は機器Bの操作は非音声操作でのみ受け付けるなどのように、歯科用チェアユニットにおいて、非音声操作と音声操作の受付の許否を、診療状況(シーン)に応じて異ならせる構成によって、音声認識機能を利用した診療装置の制御について操作性や安全性を大きく向上させることが可能になる。
2)については例えば、非音声操作は、ユーザは操作方法を習得することが求められるが、ユーザの志向性(操作目的)を確実に反映しながら制御信号が入力されるので、誤操作が少ないという特性がある。そのため、制御での規制対象項目を減らし(規制を緩くし)、操作可能な機能を確保することが好ましい。一方、音声操作は、ユーザが(コマンドとなるキーワードを習得する必要はあるが)指示出しが簡便で操作時の身体の変化は必要とされない。しかし、音響環境によってはノイズ等が発生する可能性があり、音声認識がうまくいかない状況や他の音声を拾うことによる誤操作などの発生が想定される。そのため、制御での規制対象項目を増やし(規制を厳しくし)、操作可能な機能を制限することが好ましい。その他にも例えば、音声認識の際には、聴き取った内容を装置に復唱させる(聞き返し機能)、音響環境の騒音レベルに応じて受付可能なコマンドをフィルタリングする(音響環境条件に応じた受付項目の選別機能を設ける)ような構成を追加するなど、音声認識だからこその制御規制を強めることで更なる安全性を追求することが可能になる。また、特定の診療状況(シーン)で禁止されている操作を機器が操作者に事前確認をすることによって禁止された操作を行うことができる(例外動作機能)など安全性を担保しつつ、ユーザビリティを向上させることも可能である。このように、非音声操作と音声操作と、操作方法の選択に応じて制御の内容(規制対象)を切り換える構成によって、ユーザビリティと安全性の双方の向上が図られている。
本実施形態では、上記した1)および2)の要素を掛け合わせて、診療状況(シーン)に応じた操作方法の使い分けを制御装置が行う。診療状況(シーン)に応じて、発動可能な音声制御コマンドが規制(限定)される。そして、音声操作と非音声操作と、それぞれの操作について、制御可能な対象が規制(限定)されることになる。
本実施形態によれば、次の効果が奏される。
(i)インフェクションコントロールやユーザビリティの向上、及び、安全面での改良などの従来から期待されている効果
(ii)高いアクセシビリティの実現
ドクターやアシスタント等のユーザの操作スキルに影響を受けることなく、いつだれがどのような目的で操作しても、円滑で安定した機器操作が可能となる。
(iii)プログラム的なアシストによる確実な操作の実現
制御プログラムが各操作における制御対象を規制する(特定事項を自動的に禁止する)ため、どうしても不確実性の残される音声による制御でも、トリガの条件を詳細に設定することで確実な音声制御を達成できる。コマンド内容によっては各制御対象に近接せずとも複数の装置にコマンドをインプットすることも可能になる。
また、上記実施形態では、診療装置1は医科歯科の診療装置であり、被制御部は、患者を座らせる座面シート17の動作部、背もたれ16の動作部、歯科用インスツルメント25の動作部、照明装置8(オペライト)の動作部、及び、ベースンユニット7(うがい鉢)の動作部を含む。医科歯科の診療装置1において、音声による操作が可能であり、操作部の接触等による非音声操作と、音声による操作とで、上述したような許否判断の違いを設けることができる。医科歯科の診療装置1における安全性とユーザビリティとを両立させることができる。
制御部102は、制御状況データに基づいて、座面シート17と背もたれ16の状態が歯科診療可能な第1ポジション、又は、歯科診療不可能な第2ポジションの何れであるかを判定し、その第1判定結果により、所定制御の許否を判断する。座面シート17と背もたれ16の状態(ポジション)は、歯科診療において重要な要素である。よって、第1ポジション又は第2ポジションの何れであるか(第1判定結果)によって所定制御の許否を判断することで、安全性が高められている。
制御部102は、さらに、制御状況データに基づいて、歯科用インスツルメント25のピックアップ状況を判定し、その第2判定結果により、所定制御の許否を判断する。歯科用インスツルメント25のピックアップ状況は、歯科診療において重要な要素である。例えば、歯科用インスツルメント25のピックアップ状況は、ユーザによる明確な操作意思の有無を表す。よって、歯科用インスツルメント25がピックアップされているか否かによって所定制御の許否を判断することで、操作性がさらに高められている。
制御部102は、さらに、制御状況データに基づいて、歯科用インスツルメント25の駆動状況を判定し、その第3判定結果により、所定制御の許否を判断してもよい。歯科用インスツルメント25の駆動状況は、歯科診療において重要な要素である。例えば、歯科用インスツルメント25の駆動中には、ハンドピース等を用いての患者の治療中である可能性が高く、慎重さが必要となる。図4(c),(d)に示されるように、ハンドピースの停止のみが、非音声操作でも音声操作でも有効とされ、それ以外の操作は受け付けられない。このように、歯科用インスツルメントが駆動されているか否かによって所定制御の許否を判断することで、安全性や操作性が高められている。
制御部102は、音声関連データが入力された場合であって被制御部に対する所定制御を実行する場合に、所定制御を実行する前に、所定制御を実行するかどうかをユーザに確認する確認処理を実行する。ユーザは、意図しない音声操作をしてしまう可能性がある。確認処理の実行により、意図しない誤動作のリスクを低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、図11(a)に示されるように、ノイズや、シチュエーションにそぐわない音声操作が続いた場合に、図11(b)に示されるように、制御装置Mが、音声認識をしないモードに切り替わってもよい。その場合、スピーカ等から音が発せられ、「ピッピ」という誤認識検知音が続いた後、「ピー」という連続音が鳴り、音声認識が停止させられてもよい。表示装置3の画面には、マイクオフのマークが点灯してもよい。ユーザは、これを聞いて又は見て、フットコントローラ4又は操作部11を用いた操作を行う。
図12(a)に示されるように、歯科用インスツルメント25をピックアップしておらずに全ての歯科用インスツルメント25が格納されているときに、制御装置Mは、音声認識が停止させられたモードに移行してもよい。何れか1つの歯科用インスツルメント25がピックアップされ(図12(b)参照)、ユーザによる明確な操作意思が確認されれば、音声認識を行うモードに戻ってもよい(図12(c)参照)。その場合、例えば、表示装置3の画面表示が、マイクオフのマークからマイクオンのマークに切り替わってもよい。
制御部102は、チェア6及び歯科用インスツルメント25以外の被制御部、例えばベースンユニット7や照明装置8等の制御状況に基づいて、所定制御の許否を判断してもよい。
1つ又は複数の歯科用インスツルメント25がトレーテーブル5に格納されてもよい。
医科歯科診療システムSおよび診療装置1が、耳鼻咽喉科、産婦人科、又は泌尿器科診療に用いられてもよい。診療システムが、医科歯科診療システムS以外のシステムであってもよい。ベッドタイプの診療台を備えた診療システムに、本開示の制御装置および制御方法が適用されてもよい。なお、ベッドタイプの診療台が使用される場合、「診療ポジション」は、基本的に昇降した状態とする。「退出ポジション」は基本的に最低位の(昇降していない)状態とする。
1…診療装置、2…診療器具、3…表示装置(表示部)、4…フットコントローラ(操作部)、6…チェア、7…ベースンユニット、8…照明装置、10…表示制御装置、11…操作部、12…音声入力部、13…チェア制御部、19…ベースン制御部、21…照明制御部、25…歯科用インスツルメント(診療器具2)、101…入出力ポート(入力部)、102…制御部、M…制御装置、S…医科歯科診療システム(診療システム)。

Claims (10)

  1. ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御装置であって、
    前記被制御部の制御データと、前記ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、前記ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、
    前記第1操作データ又は前記第2操作データと前記制御データとに基づいて、前記被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、前記所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、前記第1操作データが入力された場合と前記第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御部と、を備える制御装置。
  2. 前記被制御部は、患者を座らせる座面シートの動作部、背もたれの動作部、歯科用インスツルメントの動作部、オペライトの動作部、撮影装置の動作部、顕微鏡を含む周辺装置の動作部、及び、うがい鉢の動作部の少なくとも何れか1つを含む、請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記制御データに基づいて、前記座面シートと前記背もたれの状態が歯科診療可能な第1ポジション、又は、歯科診療不可能な第2ポジションの何れであるかを判定し、その第1判定結果により、前記所定制御の許否を判断する、請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、さらに、前記制御データに基づいて、前記歯科用インスツルメントのピックアップ状況を判定し、その第2判定結果により、前記所定制御の許否を判断する、請求項3に記載の制御装置。
  5. 前記制御部は、さらに、前記制御データに基づいて、前記歯科用インスツルメントの駆動状況を判定し、その第3判定結果により、前記所定制御の許否を判断する、請求項4に記載の制御装置。
  6. ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御装置であって、
    前記被制御部の制御データと、前記ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、前記ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、
    前記第1操作データ又は前記第2操作データと前記制御データとに基づいて、前記被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、前記所定制御を実行し、前記第2操作データが入力された場合には、当該所定制御の許否に関する規制を、前記第1操作データが入力された場合よりも厳しくする制御部と、を備える制御装置。
  7. 前記制御部は、前記第2操作データが入力された場合であって前記被制御部に対する前記所定制御を実行する場合に、前記所定制御を実行する前に、前記所定制御を実行するかどうかを確認する確認処理を実行する、請求項1~6の何れか一項に記載の制御装置。
  8. 前記制御部は、前記確認処理を実行する前に、前記制御データに基づいて、患者を座らせる座面シートと背もたれの状態が歯科診療可能な第1ポジション、又は、歯科診療不可能な第2ポジションの何れであるかを判定し、その第1判定結果により、前記所定制御の許否を判断する、請求項7に記載の制御装置。
  9. 診療装置と、ユーザ操作に応じて前記診療装置の被制御部を制御する制御装置とを備える診療システムであって、
    前記制御装置は、
    前記被制御部の制御データと、前記ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、前記ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力部と、
    前記第1操作データ又は前記第2操作データと前記制御データとに基づいて、前記被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、前記所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、前記第1操作データが入力された場合と前記第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御部と、を備える診療システム。
  10. ユーザ操作に応じて被制御部を制御する制御方法であって、
    (a)前記被制御部の制御データと、前記ユーザの身体の一部が操作部に作用することで生成される第1操作データと、前記ユーザが発する音声に関連する第2操作データと、を入力する入力工程と、
    (b)前記第1操作データ又は前記第2操作データと前記制御データとに基づいて、前記被制御部に対して実行する所定制御の許否を判断して、前記所定制御を実行し、当該所定制御の許否を、前記第1操作データが入力された場合と前記第2操作データが入力された場合とで異ならせる制御工程と、を含む制御方法。
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