本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
実施の形態1では、フットコントローラ、または、操作パネルなどの操作側で、受け付けた操作に対応する駆動量を上限値以下に制限する医療システムの一例について説明する。図1を参照して、医療システム1000の全体構成について説明する。図1は、実施の形態1における医療システム1000の全体構成を示す模式図である。医療システム1000は、医療装置1と、患者カメラ52と、全体カメラ53と、設定装置800とを備える。医療システム1000は、歯科分野において用いられる歯科診療システムであり、歯科における診療時に医療装置1の駆動量を適切に制御できるように術者の操作を支援する。
「診療」は、診察および治療の少なくともいずれか1つを含む。「診察」は、術者が患者の歯科に関する病状および病因などを探ることを含む。「治療」は、術者が患者の歯科に関する病気を治すこと、および、術者が患者の歯の美容や健康を保つこと(審美治療)の少なくともいずれか1つを含む。
医療装置1は、たとえば、歯科診療装置である。医療装置1は、チェア11と、ベースンユニット12と、トレーテーブル13と、診療器具15を保持する器具ホルダー14と、フットコントローラ16と、ディスプレイ17と、操作パネル18と、照明装置19とを備える。
チェア11は、診療時に患者が座る椅子であり、患者の頭を支えるヘッドレスト11aと、患者の背中を支える背もたれ11bと、患者の尾尻を支える座面シート11cと、患者の足を支える足置き台11dとを含む。チェア11は、傾きを変えることができるように構成されている。チェア11の駆動状態(チェア11の傾き度合い)は、設定装置800へ送信される。
ベースンユニット12は、排水口が形成された鉢12aと、コップが載置されるコップ台12bと、コップに給水するための給水栓12cとを含む給水・排水装置である。
トレーテーブル13は、診療時の物置台として用いられる。トレーテーブル13は、チェア11またはチェア11が設置された床から延びるアームに接続されている。術者は、トレーテーブル13をチェア11に対して手動で回動、水平移動、および垂直移動させることができる。診療中において、術者は、トレーテーブル13の上面にトレー30を置くことがある。トレー30には、患者を診療するための1または複数の器具(たとえば、ピンセット、ミラー、エキスカベーター、および深針など、術者によって診療中に用いられる器具)が置かれる。
診療器具15は、たとえば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、超音波スケーラ、およびバキュームシリンジなどの歯科診療用のインスツルメントであり、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応して駆動する。診療器具15の駆動状態(診療器具15の回転数)は、設定装置800へ送信される。
フットコントローラ16は、術者の足踏み操作を受け付ける複数のスイッチ(ペダル)を有する。術者は、これら複数のスイッチの各々に対して所定の機能を割り当てることができる。たとえば、術者は、診療器具15を駆動する機能をフットコントローラ16のスイッチに対して割り当てることができ、フットコントローラ16が術者による当該スイッチの足踏み操作を受け付けると、当該足踏み操作に対応する駆動量で診療器具15が駆動する。
ディスプレイ17は、トレーテーブル13に取り付けられており、各種の画像(たとえば、診療中の患者の口腔内の画像)を表示する。
操作パネル18は、チェア11、照明装置19、弁123(図2参照)、および診療器具15の動作の設定を行うためのスイッチを含む。たとえば、チェア11を動作させるための入力操作を操作パネル18が受け付けると、当該入力操作に基づきチェア11が動作する。たとえば、照明装置19の明るさを調整するための入力操作を操作パネル18が受け付けると、当該入力操作に基づき照明装置19の明るさが切り替わる。たとえば、弁123の駆動量(開度)を調整するための入力操作を操作パネル18が受け付けると、当該入力操作に基づき弁123の開度が切り替わる。たとえば、診療器具15の回転数を設定するための入力操作を操作パネル18が受け付けると、当該入力操作に基づき診療器具15の回転数が設定される。たとえば、診療器具15の駆動モード(後述する、ON/OFFモード、追従モード、アシストモード)を設定するための入力操作を操作パネル18が受け付けると、当該入力操作に基づき診療器具15の駆動モードが設定される。
照明装置19は、チェア11またはチェア11が設置された床から延びるポール5の上部で分岐するアーム6の先端に設けられている。照明装置19は、点灯状態と消灯状態との間で明るさを複数段階に切り替えることができ、術者による診療を照明によってサポートする。照明装置19の駆動状態(照明装置19の明るさ)は、設定装置800へ送信される。
上述したように構成された医療装置1を用いることで、術者は患者に対して歯科診療を行うことができる。適切な診療を行うためには、術者は診療器具15、チェア11、照明装置19、および弁123等の医療装置1を適切に駆動させる必要がある。具体的には、術者は診療器具15を適切な速度で駆動(回転)させ、チェア11を適切な角度に傾け、照明装置19を適切な明るさに調整し、弁123を適切に駆動させる必要がある。従来においては、医療装置1をどの程度駆動させるかは全て術者の判断に委ねられていたが、術者の判断が必ずしも適切であるとは限らない。そこで、医療システム1000においては、設定装置800が医療装置1の駆動に関連する情報を収集し、その情報を基に医療装置1の駆動量を制御する技術を提供する。
患者カメラ52は、照明装置19に取り付けられ、患者の口腔内を動画または静止画で撮影するように配置されている。通常、診療中においては、照明装置19によって患者の口腔内が照明されるため、照明装置19に取り付けられた患者カメラ52は、自ずと患者の口腔内を撮影することができる。患者カメラ52によって撮影された患者の口腔内の画像は、ディスプレイ17に映し出される。なお、患者カメラ52は、患者の口腔内を撮影することができる場所であれば、いずれの場所に設置されてもよい。
全体カメラ53は、ポール5の上部に取り付けられている。全体カメラ53は、患者を診療する診療空間を少なくとも含む領域、つまり、診療空間における、少なくとも、患者、および歯科医師や歯科助手などの術者を含む広い領域を動画または静止画で撮影するように配置されている。全体カメラ53は、ポール5の上部に取り付けられているため、歯科医師の行動、歯科助手の行動、患者の表情、チェア11の状態、および診療空間全体の様子を撮影することができる。診療中の歯科医師がよそ見をしている場合には、診療器具15の駆動量を減らす、または、診療器具15の駆動を停止させる。そのため、診療中の歯科医師の行動は医療装置1の駆動量の上限値を算出する際の一要素となる。チェア11等を操作している歯科助手がよそ見をしている場合には、チェア11の駆動量を減らす、または、チェア11の駆動を停止させる。そのため、歯科助手の行動は医療装置1の駆動量の上限値を算出する際の一要素となる。また、患者が痛そうにしている場合にも、診療器具15の駆動量を減らす、または、診療器具15の駆動を停止させる。そのため、診療中の患者の表情もまた医療装置1の駆動量の上限値を算出する際の一要素となる。また、チェア11の傾きが患者に合っていない場合には、チェア11の傾きを調整する。そのため、チェア11の状態もまた医療装置1の駆動量の上限値を算出する際の一要素となる。また、診療空間が暗すぎる場合には、照明装置19の明るさを調整する。そのため、診療空間全体の様子もまた医療装置1の駆動量の上限値を算出する際の一要素となる。診療器具15から注水される水量が適切でない場合には、弁123の開度を調整する。したがって、全体カメラ53によって撮影された画像データは、「医療装置1の駆動に関連する画像情報」といえる。全体カメラ53によって撮影された画像は、設定装置800によって取り込まれ、設定装置800で医療装置1の駆動量の上限値を算出する際に参照される。なお、全体カメラ53は、患者を診療する診療空間を少なくとも含む領域を撮影することができる場所であれば、いずれの場所に設置されてもよい。
設定装置800は、医療装置1から送信されてくる医療装置1の駆動状態と、全体カメラ53によって撮影された医療装置1の駆動に関連する画像情報との少なくとも一方に基づき、医療装置1の駆動量の上限値を算出し、算出した上限値を医療装置1へ送信する。医療装置1では、設定装置800から送られてきた上限値を、後述の、フットコントローラ制御装置160、または、入力制御装置180が受信する。フットコントローラ制御装置160は、設定装置800から受信した上限値を超えない範囲で、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量に基づいて診療器具15の駆動量を制御する。入力制御装置180は、設定装置800から受信した上限値を超えない範囲で、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量に基づいてチェア11、照明装置19、または弁123の駆動量を制御する。
次に、図2を参照して、医療システム1000の機能構成について説明する。図2は、実施の形態1における医療システム1000の機能構成を示すブロック図である。医療システム1000は、医療装置1と、撮像ユニット55Uと、設定装置800とを備える。医療装置1、撮像ユニット55U、および設定装置800は、有線または無線のLAN(Local Area Network)通信999によって相互に通信する。医療装置1の内部では、各ユニットがCAN(Controller Area Network)通信99によって相互に通信する。
医療装置1は、フットコントローラユニット16Uと、チェアユニット11Uと、診療器具ユニット15Uと、照明ユニット19Uと、弁ユニット123Uと、入出力ユニット78Uとを備える。フットコントローラユニット16U、チェアユニット11U、診療器具ユニット15U、照明ユニット19U、弁ユニット123U、および入出力ユニット78Uは、CAN通信99によって相互に通信する。
フットコントローラユニット16Uは、「受付部」の一例である。フットコントローラユニット16Uは、フットコントローラ16と、フットコントローラ制御装置160とを備える。フットコントローラ制御装置160は、特定部164と、通信部165と、生成部166とを備える。特定部164は、フットコントローラ16で受け付けた操作の内容を特定する。具体的には、特定部164は、駆動が指示されている診療器具15およびその駆動量を特定する。診療器具15には、複数のハンドピース(図2では、モータハンドピース15a、エアーハンドピース15b)が含まれている。特定部164は、駆動が指示されているハンドピースと、その駆動量を特定する。通信部165は、設定装置800から送られてくる診療器具15の駆動量の上限値を受信する。生成部166は、診療器具15の駆動量を指示する制御信号を生成する。具体的には、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えている場合には、受信した上限値で診療器具15を駆動させることを指示する制御信号を生成する。一方、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えていない場合には、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量で診療器具15を駆動させることを指示する制御信号を生成する。通信部165は、生成部166で生成した診療器具15の駆動量を指示する制御信号を診療器具ユニット15Uの器具制御装置150へ送信する。
診療器具ユニット15Uは、診療器具15と、器具制御装置150とを備える。診療器具15は、「駆動部」の一例である。診療器具15は、たとえは、マイクロモータハンドピース(モータハンドピース15a)およびエアタービンハンドピース(エアーハンドピース15b)である。なお、「駆動部」は診療器具ユニット15U全体でもよい。器具制御装置150は、通信部156と、制御部157とを備える。通信部156は、フットコントローラ制御装置160から送られてくるモータハンドピース15aの駆動量を指示する制御信号を受信する。また、通信部156は、フットコントローラ制御装置160から送られてくるエアーハンドピース15bの駆動量を指示する制御信号を受信する。制御部157は、通信部156で受信した制御信号で指示されているモータハンドピース15aの駆動量でモータハンドピース15aを駆動させる。これにより、モータハンドピース15aが適切な回転数(適切な速度)で駆動する。また、制御部157は、通信部156で受信した制御信号で指示されているエアーハンドピース15bの駆動量でエアーハンドピース15bを駆動させる。これにより、エアーハンドピース15bが適切な回転数(適切な速度)で駆動する。通信部156は、現時点におけるモータハンドピース15aの回転数を設定装置800へ送信する。また、通信部156は、現時点におけるエアーハンドピース15bの回転数を設定装置800へ送信する。なお、図2では、診療器具15の一例として、モータハンドピース15aおよびエアーハンドピース15bのみを挙げたが、診療器具15は他の歯科診療用のインスツルメント、たとえば、超音波スケーラ、バキュームシリンジなどでもよい。
入出力ユニット78Uは、入力装置と出力装置とを備える。入力装置は、「受付部」の一例である。入力装置は、入力制御装置180と、操作パネル18とを備える。入力制御装置180は、特定部184と、通信部185と、生成部186とを備える。特定部184は、操作パネル18で受け付けた操作の内容を特定する。具体的には、特定部184は、駆動が指示されている駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)およびその駆動量を特定する。通信部185は、設定装置800から送られてくる駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)の駆動量の上限値を受信する。生成部186は、駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)の駆動量を指示する制御信号を生成する。具体的には、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えている場合には、受信した上限値で駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)を駆動させることを指示する制御信号を生成する。一方、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えていない場合には、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)を駆動させることを指示する制御信号を生成する。通信部185は、生成部186で生成した駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)の駆動量を指示する制御信号を各駆動部の制御装置200(チェア制御装置110、ライト制御装置190、または弁制御装置120)へ送信する。
出力装置は、出力制御装置170と、ディスプレイ17とを備える。出力制御装置170は、通信部176と、制御部177とを備える。通信部176は、CAN通信99を介して送信されてくる制御信号を受信する。制御部177は、通信部176で受信した制御信号に基づき、ディスプレイ17に画像を表示する。
チェアユニット11Uは、チェア11と、チェア制御装置110とを備える。チェア11は、「駆動部」の一例である。なお、「駆動部」はチェアユニット11U全体でもよい。チェア制御装置110は、通信部116と、制御部117とを備える。通信部116は、入力制御装置180から送られてくるチェア11の駆動量(傾き)を指示する制御信号を受信する。制御部117は、通信部116で受信した制御信号で指示されている駆動量でチェア11を駆動させる。これにより、チェア11が適切な傾きに調整される。通信部116は、現時点におけるチェア11の傾きを設定装置800へ送信する。
照明ユニット19Uは、照明装置19と、ライト制御装置190とを備える。照明装置19は、「駆動部」の一例である。なお、「駆動部」は照明ユニット19U全体でもよい。ライト制御装置190は、通信部196と、制御部197とを備える。通信部196は、入力制御装置180から送られてくる照明装置19の駆動量(明るさ)を指示する制御信号を受信する。制御部197は、通信部196で受信した制御信号で指示されている駆動量で照明装置19を駆動させる。これにより、照明装置19が適切な明るさに調整される。通信部196は、現時点における照明装置19の明るさを設定装置800へ送信する。
弁ユニット123Uは、弁123と、弁制御装置120とを備える。弁123は、「駆動部」の一例である。弁123は、たとえば、給水弁121および排水弁122である。なお、「駆動部」は弁ユニット123U全体でもよい。弁制御装置120は、通信部126と、制御部127とを備える。通信部126は、入力制御装置180から送られてくる給水弁121の駆動量(開度)を指示する制御信号を受信する。また、通信部126は、入力制御装置180から送られてくる排水弁122の駆動量(開度)を指示する制御信号を受信する。制御部127は、通信部126で受信した制御信号で指示されている駆動量で給水弁121を駆動させる。これにより、給水弁121が適切な開度に調整される。また、制御部127は、通信部126で受信した制御信号で指示されている駆動量で排水弁122を駆動させる。これにより、排水弁122が適切な開度に調整される。通信部126は、現時点における給水弁121の開度を設定装置800へ送信する。また、通信部126は、現時点における排水弁122の開度を設定装置800へ送信する。
撮像ユニット55Uは、撮像装置と、撮像制御装置550とを備える。撮像装置は、たとえば、患者カメラ52および全体カメラ53である。撮像制御装置550は、制御部556と、通信部557とを備える。制御部556は、患者カメラ52に患者の口腔内を撮影させる。また、制御部556は、全体カメラ53に診療空間全体を撮影させる。通信部557は、患者カメラ52で撮影した患者の口腔内の画像を出力制御装置170へ送信する。また、通信部557は全体カメラ53で撮影した診療空間全体の画像(医療装置1の駆動に関連する画像が含まれる)を設定装置800へ送信する。
設定装置800は、受信部801と、算出部802と、送信部803とを備える。受信部801は「入力部」の一例であり、LAN通信999を介して医療装置1および/または撮像制御装置550から送信されてくる医療装置1の駆動に関連する情報を受信する。具体的には、受信部801は、LAN通信999を介して各駆動部の制御装置(たとえば、チェア制御装置110、器具制御装置150、ライト制御装置190、弁制御装置120)から送信されてくる各駆動部(たとえば、チェア11、診療器具15、照明装置19、弁123)の駆動状態を受信する。また、受信部801は、LAN通信999を介して撮像制御装置550から送信されてくる全体カメラ53で撮影した診療空間全体の画像(医療装置1の駆動に関連する画像が含まれる)を受信する。算出部802は、受信部801で受信した各駆動部の駆動状態および医療装置1の駆動に関連する画像(画像情報)に基づいて、現在駆動中の駆動部の駆動量の上限値を算出する。送信部803は、算出部802で算出した駆動量の上限値を医療装置1へLAN通信999を介して送信する。医療装置1では、設定装置800から送られてきた上限値を、フットコントローラ制御装置160、または、入力制御装置180が受信する。医療システム1000では、撮像ユニット55UはAI(artificial intelligence)画像認識部としての機能を有し、設定装置800はAI状況認識部としての機能を有する。そのため、撮像ユニット55UのAI画像認識部で認識した結果が、LAN通信999を介して設定装置800に送られ、設定装置800のAI状況認識部では、AI画像認識部で認識した結果から状況を予測している。なお、医療装置1が撮像ユニットを備える場合には、医療装置1にAI画像認識部としての機能を設けてもよい。また、設定装置800が撮像ユニットを備える場合には、設定装置800にAI画像認識部としての機能を設けてもよい。
図3は、実施の形態1における医療装置1の駆動量を説明するための図である。図3では、説明の便宜上、モータハンドピース15a(図2参照)を駆動する機能がフットコントローラ16に割り当てられているものとする。「位置P1」は、踏み込み操作がなされていない状態におけるフットコントローラ16のペダルの位置を示している。「位置P2」は、踏み込み量が最大である場合のフットコントローラ16のペダルの位置を示している。「位置P3」は、現時点におけるフットコントローラ16のペダルの実際の踏み込み位置を示している。
フットコントローラ16のペダルが術者によって位置P3まで踏み込まれている場合に、位置P3に対応するモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてきたモータハンドピース15aの駆動量の上限値を超えている場合には、モータハンドピース15aの駆動量は設定装置800から送られてきた上限値に設定される。一方、フットコントローラ16のペダルが術者によって位置P3まで踏み込まれている場合に、位置P3に対応するモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてきたモータハンドピース15aの駆動量の上限値を超えていない場合には、モータハンドピース15aの駆動量は位置P3に対応する駆動量に設定される。これにより、モータハンドピース15aの駆動量が、術者の意思を尊重した適切な駆動量に制御される。
図2および図4を参照して、設定装置800の処理について説明する。図4は、実施の形態1における設定装置800の処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、受信部801、算出部802、および送信部803で行われる処理であり、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。図4に示す処理は、設定装置800の電源がONになったことを契機に開始され、設定装置800の電源がOFFになるまで繰り返し行われる。
まず、設定装置800(具体的には、受信部801)は、医療装置1の駆動に関連する情報を受信する(ステップS405)。医療装置1の駆動に関連する情報は、各駆動部(より具体的には、各駆動部の制御装置)から送信されてくる各駆動部の駆動状態と、全体カメラ53(より具体的には、撮像制御装置550)から送信されてくる医療装置1の駆動に関連する画像情報とのうち少なくとも1つ以上の情報を含む。
次いで、設定装置800は(具体的には、算出部802)は、ステップS405で受信した情報に基づいて、駆動中の駆動部の駆動量の上限値を算出する(ステップS410)。一例として、設定装置800はあらかじめ状況別に駆動部の駆動量の上限値を記憶しており、算出部802はステップS405で受信した情報に基づいて状況を特定し、特定した状況に対応付けられている値を上限値とする。他の例として、算出部802は、上限値を算出するためにAI技術を用いてもよく、医療装置1の駆動に関連する情報に基づいてあらかじめ学習させておく。
次いで、設定装置800は(具体的には、送信部803)は、ステップS410で算出した上限値を医療装置1へ送信する(ステップS415)。ステップS410で算出した上限値が診療器具15の上限値である場合には、医療装置1では、フットコントローラ制御装置160が上限値を受信する。また、ステップS410で算出した上限値がチェア11、照明装置19、または弁123の上限値である場合には、医療装置1では、入力制御装置180が上限値を受信する。
ステップS415の後、設定装置800は、処理をステップS405に戻す。図4に示す一連の処理は、設定装置800の電源がOFFにならない限り、所定周期、又は、所定のイベントを検知して繰返し実行される。
図4に示す一連の処理により、送信されてくる医療装置1の駆動に関連する情報を基に、駆動中の駆動部の駆動量の上限値が算出され、医療装置1へ送信される。
図2および図5を参照して、駆動部(チェア11、診療器具15、照明装置19、または弁123)の駆動制御について説明する。図5は、実施の形態1における診療器具15の駆動制御を示すフローチャートである。図5に示す処理はフットコントローラ制御装置160で行われる処理であり、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。図5に示す処理は、医療装置1の電源がONになったことを契機に開始され、医療装置1の電源がOFFになるまで繰り返し行われる。
まず、フットコントローラ制御装置160(具体的には、特定部164)は、フットコントローラ16で操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS505)。フットコントローラ16で操作を受け付けた場合には(ステップS505においてYES)、フットコントローラ制御装置160(具体的には、特定部164)は駆動が指示されている診療器具15およびその駆動量を特定する(ステップS510)。
次いで、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、ステップS510で特定した診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信したか否かを判定する(ステップS515)。フットコントローラ制御装置160は、設定装置800から送信されてくる、ステップS510で特定した診療器具15の駆動量の上限値を受信する。ステップS510で特定した診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信した場合には(ステップS515においてYES)、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、処理をステップS520に移行する。一方、ステップS510で特定した診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信していない場合には(ステップS515においてNO)、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、処理をステップS530に移行する。
ステップS520において、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量(ステップS510で特定した駆動量)が設定装置800から受信した上限値を超えているか否かを判定する。フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えている場合には(ステップS520においてYES)、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、処理をステップS525に移行する。一方、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えていない場合には(ステップS520においてNO)、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、処理をステップS530に移行する。
ステップS525において、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、ステップS510で特定した診療器具15を設定装置800から受信した上限値で駆動させることを指示する制御信号を生成する。
ステップS530において、フットコントローラ制御装置160(具体的には、生成部166)は、ステップS510で特定した診療器具15をフットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量(ステップS510で特定した駆動量)で駆動させることを指示する制御信号を生成する。
ステップS525またはステップS530の後、フットコントローラ制御装置160(具体的には、通信部165)は、ステップS525またはステップS530で生成した制御信号を器具制御装置150へ送信する(ステップS535)。
ステップS535の後、フットコントローラ制御装置160は、処理をステップS505に戻す。図5に示す一連の処理は、医療装置1の電源がOFFにならない限り、所定周期、又は、所定のイベントを検知して繰返し実行される。
図5に示す一連の処理により、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から送られてきた駆動量の上限値を超えている場合には、駆動量は設定装置800から送られてきた上限値に設定される。一方、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から送られてきた駆動量の上限値を超えていない場合には、駆動量はフットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量に設定される。これにより、診療器具15の駆動量が、術者の意思を尊重した適切な駆動量に制御される。
なお、図5に示す処理のうち、「フットコントローラ16」を「操作パネル18」に、「診療器具15」を「チェア11、照明装置19、または弁123」に、「器具制御装置150」を「制御装置200」に読み替えた処理を入力制御装置180が実行した場合には、チェア11、照明装置19、または弁123の駆動量が、術者の意思を尊重した適切な駆動量に制御される。
次に、図6および図7を参照して、上述の制御が行われた場合に、診療器具15の駆動量がどのように推移するかについて、モータハンドピース15a(図2参照)を例に説明する。図6は、実施の形態1において駆動モードがON/OFFモードの場合のモータハンドピース15aの回転数の推移を示す図である。図7は、実施の形態1において駆動モードが追従モードの場合のモータハンドピース15aの回転数の推移を示す図である。図6および図7において、1点鎖線はフットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量の推移を示し、二点鎖線は、設定装置800から送られてきた駆動量の上限値の推移を示し、実線は上述の制御が行われた場合のモータハンドピース15aの実際の駆動量の推移を示す。
図6を参照して、ON/OFFモードとは、フットコントローラ16の踏み込み量によらず、フットコントローラ16を踏み込みさえすれば、モータハンドピース15aが最大回転数に到達するモードである。タイミングt0からタイミングt1までとタイミングt2からタイミングt3までとは、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量と設定装置800から送られてきた駆動量の上限値とが一致していることから、モータハンドピース15aの駆動量はフットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量に制御される。一方、タイミングt1からタイミングt2までは、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてきた駆動量の上限値を超えていることから、モータハンドピース15aの駆動量は設定装置800から送られてきた駆動量の上限値に制限される。
図7を参照して、追従モードは、フットコントローラ16の踏み込み量に応じて、モータハンドピース15aの回転数が変化するモードである。タイミングt0からタイミングt1までとタイミングt2からタイミングt3までとは、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてきた駆動量の上限値を超えていることから、モータハンドピース15aの駆動量は設定装置800から送られてきた駆動量の上限値に制限される。一方、タイミングt1からタイミングt2までは、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてきた駆動量の上限値を超えていないことから、モータハンドピース15aはフットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量で駆動する。
診療器具15の駆動モードには、他にアシストモードがある。アシストモードは、モータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてくる駆動量の上限値通りに制御されるモードであり、経験の浅い術者に役立つモードである。アシストモードでは、術者はフットコントローラ16を最大に踏み込み続ける必要がある。これにより、設定装置800から送られてくる駆動量の上限値はフットコントローラ16で受け付けた操作に対応するモータハンドピース15aの駆動量(最大の駆動量)以下となるので、アシストモードでは、常にモータハンドピース15aの駆動量が設定装置800から送られてくる駆動量の上限値通りに制御される。したがって、駆動モードがアシストモードの場合のモータハンドピース15aの回転数の推移は図6と同様の推移となる。
このように、実施の形態1における医療システム1000においては、設定装置800が、医療装置1から送信されてくる医療装置1の駆動状態と、撮像ユニット55Uから送信されてくる医療装置1の駆動に関連する画像情報との少なくとも一方に基づき、医療装置1の駆動量の上限値を算出し、算出した上限値を医療装置1へ送信する。医療装置1では、設定装置800から送られてきた上限値を、フットコントローラ制御装置160、または、入力制御装置180が受信する。
フットコントローラ制御装置160は、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えている場合には、受信した上限値で診療器具15を駆動させることを指示する制御信号を生成し、当該制御信号を器具制御装置150へ送信する。一方、フットコントローラ制御装置160は、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えていない場合には、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量で診療器具15を駆動させることを指示する制御信号を生成し、当該制御信号を器具制御装置150へ送信する。
また、入力制御装置180は、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えている場合には、受信した上限値で駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)を駆動させることを指示する制御信号を生成し、当該制御信号を制御装置200(チェア制御装置110、ライト制御装置190、または弁制御装置120)へ送信する。一方、入力制御装置180は、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した上限値を超えていない場合には、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)を駆動させることを指示する制御信号を生成し、当該制御信号を制御装置200(チェア制御装置110、ライト制御装置190、または弁制御装置120)へ送信する。
これにより、医療システム1000においては、医療装置1における駆動部の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1においては、フットコントローラ制御装置160、または、入力制御装置180が設定装置800から駆動部の駆動量の上限値を受信し、フットコントローラ16、または、操作パネル18側で受け付けた操作に対応する駆動量を上限値以下に制限している。これに対し、実施の形態2では、各駆動部に設けられた制御装置が、駆動部の駆動量の上限値を設定装置から受信し、各駆動部側で受け付けた操作に対応する駆動量を上限値以下に制限する。以下、実施の形態1と異なる点について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付して、その説明は繰り返さない。
図2および図8を参照して、駆動部(チェア11、診療器具15、照明装置19、または弁123)の駆動制御について説明する。図8は、実施の形態2における診療器具15の駆動制御を示すフローチャートである。図8に示す処理は、器具制御装置150(より具体的には、制御部157)で行われる処理であり、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。図8に示す処理は、医療装置1の電源がONになったことを契機に開始され、医療装置1の電源がOFFになるまで繰り返し行われる。
まず、制御部157は、フットコントローラ16(より具体的には、フットコントローラ制御装置160)から診療器具15の駆動量を指示する制御信号を受信したか否かを判定する(ステップS805)。ステップS805における、診療器具15の駆動量を指示する制御信号とは、フットコントローラ16の踏み込み量に対応する駆動量を指示する制御信号である。フットコントローラ16でユーザの踏み込み操作を受け付けると、フットコントローラ制御装置160は、フットコントローラ16の踏み込み量に対応する駆動量を指示する制御信号を器具制御装置150へ送信する。フットコントローラ16から診療器具15の駆動量を指示する制御信号を受信した場合には(ステップS805においてYES)、制御部157は、処理をステップS810に移行する。
ステップS810において、制御部157は、フットコントローラ16で駆動を指示されている診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信したか否かを判定する。器具制御装置150は、設定装置800から送信されてくる、フットコントローラ16で駆動を指示されている診療器具15の駆動量の上限値を受信する。フットコントローラ16で駆動を指示されている診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信した場合には(ステップS810においてYES)、制御部157は、処理をステップS815に移行する。一方、フットコントローラ16で駆動を指示されている診療器具15の駆動量の上限値を設定装置800から受信しなかった場合には(ステップS810においてNO)、制御部157は、処理をステップS825に移行する。
ステップS815において、制御部157は、フットコントローラ16(より具体的には、フットコントローラ制御装置160)から受信した制御信号に基づく駆動量(すなわち、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量)が設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値を超えているか否かを判定する。フットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量が設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値を超えている場合には(ステップS815においてYES)、制御部157は、処理をステップS820に移行する。一方、フットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量が設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値を超えていない場合には(ステップS815においてNO)、制御部157は、処理をステップS825に移行する。
ステップS820において、制御部157は、フットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量を設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値に制限して診療器具15を駆動させる。
ステップS825において、制御部157は、フットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量で診療器具15を駆動させる。
ステップS820またはステップS825の後、制御部157は、処理をステップS805に戻す。図8に示す一連の処理は、医療装置1の電源がOFFにならない限り、所定周期、又は、所定のイベントを検知して繰返し実行される。
なお、図8に示す処理のうち、「フットコントローラ16」を「操作パネル18」に、「診療器具15」を「チェア11、照明装置19、または弁123」に読み替えた処理を制御装置200(チェア制御装置110、ライト制御装置190、または弁制御装置120)が実行した場合には、チェア11、照明装置19、または弁123の駆動量が、術者の意思を尊重した適切な駆動量に制御される。
このように、実施の形態2における医療システム1000においては、設定装置800から送られてくる駆動部の駆動量の上限値を、各駆動部に設けられた制御装置(チェア制御装置110、器具制御装置150、ライト制御装置190、または弁制御装置120)が受信する。
フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値を超えている場合には、器具制御装置150はフットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量を設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値に制限して診療器具15を駆動させる。一方、フットコントローラ16で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した診療器具15の駆動量の上限値を超えていない場合には、器具制御装置150は、フットコントローラ16から受信した制御信号に基づく駆動量で診療器具15を駆動させる。
また、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した駆動部(チェア11、照明装置19、または弁123)の駆動量の上限値を超えている場合には、制御装置200(チェア制御装置110、ライト制御装置190、または弁制御装置120)は操作パネル18から受信した制御信号に基づく駆動量を設定装置800から受信した駆動部の駆動量の上限値に制限して駆動部を駆動させる。一方、操作パネル18で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置800から受信した駆動部の駆動量の上限値を超えていない場合には、制御装置200は、操作パネル18から受信した制御信号に基づく駆動量で駆動部を駆動させる。
これにより、医療システム1000においては、医療装置1における駆動部の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
[変形例]
本発明は、上記実施の形態に限られず、さらに種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例について説明する。
上記実施の形態においては、医療装置1の内部では、各ユニットがCAN通信99によって相互に通信されていたが、各ユニットがLIN(Local Interconnect Network)通信またはUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)通信等によって相互に通信されてもよい。
上記実施の形態においては、患者カメラ52および全体カメラ53が各1台ずつ医療システム1000に取り付けられていたが、これらのカメラは複数台ずつ医療システム1000に取り付けられてもよい。また、患者カメラ52および全体カメラ53は、固定式に限らず、術者の動きに追従して動く可動式であってもよい。
患者カメラ52および全体カメラ53は、医療装置1の周囲から当該医療装置1の方向へ光軸を向けたカメラであればよく、医療装置1が患者カメラ52および全体カメラ53を備えていてもよい。また、患者カメラ52および全体カメラ53は、術者が利用する眼鏡に搭載されたカメラでもよい。患者カメラ52および全体カメラ53は、赤外線暗視カメラや、3次元デプスカメラ等であってもよい。
上記実施の形態においては、撮像ユニット55Uは医療装置1とは別に設けられていたが、撮像ユニット55Uは医療装置1のユニットとして設けられてもよい。
上記実施の形態においては、設定装置800に入力される医療装置1の駆動に関連する情報は、各駆動部の制御装置から送信されてくる各駆動部の駆動状態、または、撮像制御装置550から送信されてくる全体カメラ53で撮影した医療装置1の駆動に関連する画像であったが、これらに限られない。たとえば、設定装置800に入力される医療装置1の駆動に関連する情報は、生体センサ(たとえば、血圧センサ、呼吸センサ、体温センサ、心電図センサ、心拍センサなど)、または、音入力センサ(たとえば、マイク)などのセンサによって検知されるデータでもよい。ここで、図9を参照して、医療システムが生体センサを備える場合について説明する。図9は、変形例における医療システム1000Aの機能構成を示すブロック図である。なお、上記実施の形態と異なる点についてのみ説明し、上記実施の形態と同様の構成については、同じ符号を付して、その説明は繰り返さない。
医療システム1000Aは、医療装置1と、撮像ユニット55Uと、生体センサ65と、設定装置800とを備える。医療装置1、撮像ユニット55U、および設定装置800は、有線または無線のLAN通信999によって相互に通信する。生体センサ65および設定装置800は、UART通信、Bluetooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)等によって相互に通信する。生体センサ65は、たとえば、血圧センサ、呼吸センサ、体温センサ、心電図センサ、心拍センサなどである。生体センサ65は、受付部655と、通信部657とを備える。受付部655は、患者の生体情報を受け付ける。受付部655で受け付けた患者の生体情報(生体センサ65の検出値)は患者の心身の状態を示す情報であり、設定装置800が駆動部の駆動量の上限値を算出する際の参考となる情報である。通信部657は、受付部655で受け付けた患者の生体情報を設定装置800へ送信する。
設定装置800は、生体センサ65から送られてきた患者の生体情報に基づき、駆動部の駆動量の上限値を算出する。具体的には、受信部801は、生体センサ65から送信されてくる患者の生体情報を受信する。算出部802は、受信部801で受信した患者の生体情報に基づいて、現在駆動中の駆動部の駆動量の上限値を算出する。送信部803は、算出部802で算出した駆動量の上限値を医療装置1へLAN通信999を介して送信する。
なお、上記実施の形態と同様に、受信部801は各駆動部の駆動状態や医療装置1の駆動に関連する画像(画像情報)を受信することができるので、算出部802は、受信部801で受信した患者の生体情報、各駆動部の駆動状態、および医療装置1の駆動に関連する画像(画像情報)のうち少なくとも1つの要素に基づいて、現在駆動中の駆動部の駆動量の上限値を算出してもよい。
また、医療システム1000Aは、生体センサ65に替えて、または、生体センサ65に加えて音入力センサ(たとえば、マイク)を備えていてもよい。音入力センサで検知する音は患者と術者との状態を示す情報であり、設定装置800が駆動部の駆動量の上限値を算出する際の参考となる情報である。設定装置800は、音入力センサで検知した音を受信した場合には、当該音に基づいて、駆動部の駆動量の上限値を算出してもよい。
[態様]
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る医療システムは、医療装置と、当該医療装置の駆動量の上限値を設定する設定装置とを備える。医療装置は、ユーザの操作を受け付ける受付部と、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動する駆動部と、を含む。設定装置は、情報を入力する入力部と、入力部で入力された情報に基づいて駆動部の駆動量の上限値を算出する算出部と、算出部で算出した上限値を医療装置へ送信する送信部と、を含む。駆動部は、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値を超えている場合に、上限値で駆動し、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値以下である場合に、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動する。
第1項に記載の医療システムによれば、医療装置(駆動部)の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第2項)第1項に記載の医療システムにおいて、医療装置は、複数の駆動部を含む。算出部は、複数の駆動部のうち駆動中の駆動部に対して上限値を算出する。
第2項に記載の医療システムによれば、複数の駆動部のうち駆動中の駆動部の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第3項)第1項または第2項に記載の医療システムにおいて、受付部は、設定装置から上限値を受信する受信部を含む。受付部は、受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値を超えている場合に、上限値に基づく制御信号を駆動部に出力し、受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値以下である場合に、受け付けた操作に対応する駆動量に基づく制御信号を駆動部に出力する。
第3項に記載の医療システムによれば、医療装置(駆動部)の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第4項)第1項または第2項に記載の医療システムにおいて、駆動部は、設定装置から上限値を受信する受信部を含む。駆動部は、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値を超えている場合に、受付部からの制御信号に基づく駆動量を上限値に制限して駆動し、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値以下である場合に、受付部からの制御信号に基づく駆動量で駆動する。
第4項に記載の医療システムによれば、医療装置(駆動部)の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の医療システムにおいて、医療装置と設定装置との通信、および、受付部と駆動部との通信は双方向通信である。
第5項に記載の医療システムによれば、医療装置と設定装置との間での情報のやりとり、および、受付部と駆動部との間での情報のやりとりが可能となる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の医療システムにおいて、入力部で入力される情報は、医療装置の駆動に関連する画像情報である。
第6項に記載の医療システムによれば、医療装置の駆動に関連する画像情報に基づいて、医療装置(駆動部)の駆動量の上限値を算出することができるため、診療の精度が向上する。
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の医療システムにおいて、入力部で入力される情報は、駆動部から受信する当該駆動部の駆動状態である。
第7項に記載の医療システムによれば、駆動部から受信する当該駆動部の駆動状態に基づいて、医療装置(駆動部)の駆動量の上限値を算出することができるため、診療の精度が向上する。
(第8項)第1項~第7項のいずれか1項に記載の医療システムにおいて、入力部で入力される情報は、患者の生体情報である。
第8項に記載の医療システムによれば、患者の生体情報に基づいて、医療装置(駆動部)の駆動量の上限値を算出することができるため、診療の精度が向上する。
(第9項)第1項~第8項のいずれか1項に記載の医療システムにおいて、医療システムは歯科診療システムであり、医療装置はハンドピースを備える歯科診療装置であり、受付部はフットコントローラであり、駆動部はハンドピースであり、駆動部の駆動量はハンドピースの回転数である。
第9項に記載の医療システムによれば、ハンドピースの回転数を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第10項)一態様に係る設定装置は、医療装置の駆動量の上限値を設定する。医療装置は、ユーザの操作を受け付ける受付部と、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動する駆動部と、を含む。設定装置は、情報を入力する入力部と、入力部で入力された情報に基づいて駆動部の駆動量の上限値を算出する算出部と、算出部で算出した上限値を医療装置へ送信する送信部と、を含む。上限値は、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量より小さい場合、受付部からの制御信号に基づく駆動量を制限する値である。
第10項に記載の設定装置によれば、医療装置(駆動部)の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
(第11項)一態様に係る医療システムの制御方法は、医療装置と、当該医療装置の駆動量の上限値を設定する設定装置とを備える医療システムの制御方法である。医療装置は、ユーザの操作を受け付ける受付部と、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動する駆動部と、を含む。設定装置は、情報を入力する入力部と、入力部で入力された情報に基づいて駆動部の駆動量の上限値を算出する算出部と、算出部で算出した上限値を医療装置へ送信する送信部と、を含む。当該医療システムの制御方法は、受付部でユーザの操作を受け付けるステップと、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が設定装置から受信した上限値を超えているか否かを判断するステップと、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が上限値を超えている場合に、上限値で駆動部を駆動するステップと、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量が上限値以下である場合に、受付部で受け付けた操作に対応する駆動量で駆動部を駆動するステップと、を含む。
第11項に記載の医療システムの制御方法によれば、医療装置(駆動部)の駆動量を術者の意思を尊重した上で適切に制御することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。なお、本実施の形態で例示された構成および変形例で例示された構成は、適宜組み合わせることができる。