JP2022123611A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】主電極の寿命が向上された半導体装置を提供すること。【解決手段】半導体装置は、一面及び裏面のそれぞれに形成された主電極を有するIGBTと、IGBTを挟むように配置された第1ヒートシンク,第2ヒートシンクと、ターミナル16と、第1ヒートシンクの少なくとも一部、第2ヒートシンクの少なくとも一部、ターミナル、及びIGBTを一体的に封止する封止樹脂体13と、を備えている。ターミナルは、裏面側の主電極と対向配置される電極対向面S1と、第2ヒートシンクと対向配置されるヒートシンク対向面S2と、環状のターミナル側面S3とを有し、裏面側の主電極と第2ヒートシンクとを電気的に接続している。また、ターミナル16は、ターミナル側面S3における電極対向面S1から所定範囲離れた位置とヒートシンク対向面S2から所定範囲離れた位置との間に凹凸160を備えている。【選択図】図1
Description
本開示は、半導体装置に関する。
特許文献1に開示された半導体装置がある。半導体装置は、両面に主電極を有するIGBT、IGBTを挟むように配置され、一面側の主電極と電気的に接続された第1ヒートシンク、及び、裏面側の主電極と電気的に接続された第2ヒートシンク、封止樹脂体とを備えている。また、半導体装置は、裏面側の主電極と第2ヒートシンクとに間に設けられたターミナルを備えている。
ところで、半導体装置では、裏面側の主電極における、さらなる寿命向上が求められている。
開示される一つの目的は、主電極の寿命が向上された半導体装置を提供することである。
ここに開示された半導体装置は、
一面及び一面と反対の裏面のそれぞれに形成された主電極(11c,11e)を有する少なくとも1つの半導体素子(11H,11L)と、
半導体素子を挟むように配置された放熱部であり、一面側の主電極と対向配置されて電気的に接続された第1放熱部(14H,14L)、及び、裏面側の主電極と対向配置されて電気的に接続された第2放熱部(18H,18L)と、
裏面側の主電極と対向配置される第1対向面(S1)と、第2放熱部と対向配置される第2対向面(S2)と、第1対向面と第2対向面に連なる環状の側面(S3)とを有し、はんだ(17,19)を介して裏面側の主電極と第2放熱部とを電気的に接続しているターミナル(16)と、
第1放熱部の少なくとも一部、第2放熱部の少なくとも一部、ターミナル、及び半導体素子を一体的に封止する封止樹脂体(13)と、を備え、
ターミナルは、側面における第1対向面から所定範囲離れた位置と第2対向面から所定範囲離れた位置との間に、はんだの濡れ性を低下させるとともに封止樹脂体との密着力を向上させる凹凸部(160)を備えている。
一面及び一面と反対の裏面のそれぞれに形成された主電極(11c,11e)を有する少なくとも1つの半導体素子(11H,11L)と、
半導体素子を挟むように配置された放熱部であり、一面側の主電極と対向配置されて電気的に接続された第1放熱部(14H,14L)、及び、裏面側の主電極と対向配置されて電気的に接続された第2放熱部(18H,18L)と、
裏面側の主電極と対向配置される第1対向面(S1)と、第2放熱部と対向配置される第2対向面(S2)と、第1対向面と第2対向面に連なる環状の側面(S3)とを有し、はんだ(17,19)を介して裏面側の主電極と第2放熱部とを電気的に接続しているターミナル(16)と、
第1放熱部の少なくとも一部、第2放熱部の少なくとも一部、ターミナル、及び半導体素子を一体的に封止する封止樹脂体(13)と、を備え、
ターミナルは、側面における第1対向面から所定範囲離れた位置と第2対向面から所定範囲離れた位置との間に、はんだの濡れ性を低下させるとともに封止樹脂体との密着力を向上させる凹凸部(160)を備えている。
ここに開示された半導体装置によると、凹凸部における封止樹脂体とターミナルとの密着力を向上できる。よって、半導体装置は、裏面側の主電極に印加される応力を抑制できる。また、凹凸部は、第1対向面から所定範囲離れた位置と第2対向面から所定範囲離れた位置との間に形成されている。つまり、半導体装置は、側面における第1対向面及び第2対向面から凹凸部までの所定範囲におけるはんだ濡れ性の低下が抑制されている。このため、半導体装置は、ターミナルの側面における濡れ性の低下が抑制されている領域に、はんだフィレットが形成されやすい。以上により、半導体装置は、裏面側の主電極における寿命を向上できる。
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、及び効果は、後続の詳細な説明、及び添付の図面を参照することによってより明確になる。
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
以下において、半導体素子(IGBT)の厚み方向をZ方向、Z方向に直交し、半導体素子の並び方向をX方向と示す。また、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断わりのない限り、XY面視したときの形状(XY平面に沿う形状)を平面形状とする。XY面視は、Z方向の投影視ともいえる。Z方向が積層方向に相当し、Y方向が一方向又は第1方向に相当する。X方向が第2方向に相当する。
(実施形態)
以下において、符号末尾のHは、上下アームのうち、上アーム側の要素であることを示している。一方、末尾のLは、下アーム側の要素であることを示している。要素の一部には、上アーム及び下アームを明確にするために末尾にH,Lを付与し、別の一部については、上アームと下アームとで共通符号としている。
以下において、符号末尾のHは、上下アームのうち、上アーム側の要素であることを示している。一方、末尾のLは、下アーム側の要素であることを示している。要素の一部には、上アーム及び下アームを明確にするために末尾にH,Lを付与し、別の一部については、上アームと下アームとで共通符号としている。
(電力変換装置の概略構成)
図1に示す電力変換装置1は、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される。電力変換装置1は、車両に搭載された直流電源2から供給される直流電圧を、三相交流に変換して、三相交流方式のモータ3に出力するように構成されている。モータ3は、車両の走行駆動源として機能する。電力変換装置1は、モータ3により発電された電力を、直流に変換して直流電源2に充電することもできる。このように、電力変換装置1は、双方向の電力変換が可能となっている。
図1に示す電力変換装置1は、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される。電力変換装置1は、車両に搭載された直流電源2から供給される直流電圧を、三相交流に変換して、三相交流方式のモータ3に出力するように構成されている。モータ3は、車両の走行駆動源として機能する。電力変換装置1は、モータ3により発電された電力を、直流に変換して直流電源2に充電することもできる。このように、電力変換装置1は、双方向の電力変換が可能となっている。
電力変換装置1は、平滑コンデンサ4及びインバータ5を備えている。平滑コンデンサ4の正極側の端子は、直流電源2の高電位側の電極である正極に接続され、負極側の端子は、直流電源2の低電位側の電極である負極に接続されている。インバータ5は、入力された直流電力を所定周波数の三相交流に変換し、モータ3に出力する。インバータ5は、モータ3により発電された交流電力を、直流電力に変換する。
インバータ5は、6つのアームよりなる。インバータ5は、三相分の上下アームにより構成されている。各相の上下アームは、正極側の電源ラインである正極側ライン6と、負極側の電源ラインである負極側ライン7との間で、2つのアームが直列に接続されてなる。正極側ライン6は高電位電源ライン、負極側ライン7は低電位電源ラインとも称される。各相の上下アームにおいて、上アームと下アームとの接続点は、モータ3への出力ライン8に接続されている。
本実施形態では、各アームを構成する半導体素子として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBTと示す)を採用している。半導体装置10は、直列接続された2つのIGBT11H,11Lを備えている。IGBT11H,11Lのそれぞれには、還流用のダイオードであるFWD12H,12Lが逆並列に接続されている。このように、一相分の上下アームは、2つのIGBT11H,11Lを有して構成されている。図1に示す符号11gは、IGBT11H,11Lのゲート電極である。このように、半導体素子はゲート電極11gを有している。
また、IGBT11H,11Lとしてnチャネル型を採用している。上アームを構成するIGBT11Hのコレクタ電極11cが、正極側ライン6と電気的に接続されている。下アームを構成するIGBT11Lのエミッタ電極11eが、負極側ライン7と電気的に接続されている。そして、上アーム側のIGBT11Hのエミッタ電極11eと、下アーム側のIGBT11Lのコレクタ電極11cが相互に接続されている。
電力変換装置1は、上記した平滑コンデンサ4及びインバータ5に加えて、直流電源2から供給される直流電圧を昇圧する昇圧コンバータ、インバータ5や昇圧コンバータを構成する半導体素子の動作を制御するゲート駆動回路などを備えてもよい。
(半導体装置の概略構成)
図2~図12に示すように、半導体装置10は、IGBT11H,11L、封止樹脂体13、第1ヒートシンク14H,14L、ターミナル16、第2ヒートシンク18H,18L、継手部20、電源端子22、出力端子23、及び信号端子24を備えている。図4~図11では、便宜上、後述する凹凸酸化膜30(粗化部)を省略している。
図2~図12に示すように、半導体装置10は、IGBT11H,11L、封止樹脂体13、第1ヒートシンク14H,14L、ターミナル16、第2ヒートシンク18H,18L、継手部20、電源端子22、出力端子23、及び信号端子24を備えている。図4~図11では、便宜上、後述する凹凸酸化膜30(粗化部)を省略している。
半導体素子としてのIGBT11H,11Lは、Si、SiC、GaNなどの半導体基板に構成されている。本実施形態では、上記したようにIGBT11H,11Lがいずれもnチャネル型とされている。IGBT11H,11Lには、FWD12H,12Lも一体的に形成されている。詳しくは、IGBT11HにFWD12Hが形成され、IGBT11LにFWD12Lが形成されている。このように、IGBT11H,11Lとして、RC(Reverse Conducting)-IGBTを採用している。IGBT11Hが上アーム素子に相当し、IGBT11Lが下アーム素子に相当する。
IGBT11H,11Lは、Z方向に電流が流れるように縦型構造をなしている。IGBT11H,11Lには、上記したゲート電極11gもそれぞれ形成されている。ゲート電極11gは、トレンチ構造をなしている。図4及び図5に示すように、IGBT11H,11Lの厚み方向、すなわちZ方向において、IGBT11H,11Lの一面にコレクタ電極11cがそれぞれ形成され、一面と反対の裏面にエミッタ電極11eがそれぞれ形成されている。コレクタ電極11cは、FWD12H,12Lのカソード電極も兼ねている。エミッタ電極11eは、FWD12H,12Lのアノード電極も兼ねている。コレクタ電極11cは、一面側の主電極に相当する。エミッタ電極11eは、裏面側の主電極に相当する。
IGBT11H,11Lは、互いにほぼ同じ平面形状をなしている。詳しくは、IGBT11H,11Lは、互いに平面略矩形状をなすとともに、互いにほぼ同じ大きさとほぼ同じ厚みを有している。IGBT11H,11Lは、互いに同じ構成となっている。IGBT11H,11Lは、お互いのコレクタ電極11cがZ方向における同じ側となり、お互いのエミッタ電極11eがZ方向における同じ側となるように配置されている。IGBT11H,11Lは、Z方向においてほぼ同じ高さに位置するとともに、X方向に横並びで配置されている。
図9に示すように、IGBT11H,11Lの裏面、すなわちエミッタ電極形成面には、信号用の電極であるパッド11pが形成されている。パッド11pは、エミッタ電極11eとは別の位置に形成されている。パッド11pは、エミッタ電極11eと電気的に分離されている。パッド11pは、Y方向において、エミッタ電極11eの形成領域とは反対側の端部に形成されている。
本実施形態では、各IGBT11H,11Lが、それぞれ6つのパッド11pを有している。詳しくは、6つのパッド11pとして、ゲート電極11g用、ダミーゲート電極用、エミッタ電極11eの電位を検出するケルビンエミッタ用、電流センス用、IGBT11H,11Lの温度を検出する温度センサ(感温ダイオード)のアノード電位用、同じくカソード電位用を有している。6つのパッドは、平面略矩形状のIGBT11H,11Lにおいて、Y方向の一端側にまとめて形成されるとともに、X方向に並んで形成されている。なお、ダミーゲート電極とは、反転層(チャネル)の発生に寄与しないゲート電極である。
封止樹脂体13は、IGBT11H,11Lを封止している。封止樹脂体13は、たとえばエポキシ系樹脂からなる。封止樹脂体13は、たとえばトランスファモールド法により成形されている。封止樹脂体13は、Z方向に直交する一面13aと、一面13aと反対の裏面13bと、一面13aと裏面13bとをつなぐ側面を有している。一面13a及び裏面13bは、たとえば平坦面となっている。
第1ヒートシンク14H,14Lは、対応するIGBT11H,11Lの熱を半導体装置10の外部に放熱する機能を果たす。第1ヒートシンク14H,14Lは、配線としての機能も果たす。このため、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料を用いて形成されている。本実施形態では、第1ヒートシンク14H,14Lが、Z方向からの投影視において、対応するIGBT11H,11Lを内包するように設けられている。第1ヒートシンク14H,14Lは、対応するIGBT11H,11Lに対して、封止樹脂体13の一面13a側に配置されている。
第1ヒートシンク14H,14Lは、対応するIGBT11H,11Lのコレクタ電極11cと、はんだ15を介して接続されている。第1ヒートシンク14H,14Lが、第1放熱部に相当する。第1ヒートシンク14H,14Lそれぞれの大部分は封止樹脂体13によって覆われている。第1ヒートシンク14H,14Lの表面のうち、実装面14aにはんだ15が接続され、実装面14aとは反対の放熱面14bが、封止樹脂体13から露出されている。放熱面14bは、一面13aと略面一となっている。第1ヒートシンク14H,14Lの表面のうち、実装面14aの一部及び放熱面14bを除く部分は、封止樹脂体13によって覆われている。
詳しくは、第1ヒートシンク14Hの実装面14aに、IGBT11Hのコレクタ電極11cが、はんだ15を介して接続されている。第1ヒートシンク14Lの実装面14aに、IGBT11Lのコレクタ電極11cが、はんだ15を介して接続されている。第1ヒートシンク14H,14Lは、X方向に並んで配置されるとともに、Z方向においてほぼ同じ位置に配置されている。第1ヒートシンク14H,14Lの放熱面14bは、封止樹脂体13の一面13aから露出されるとともに、互いにX方向に並んでいる。
ターミナル16は、対応するIGBT11H,11Lと第2ヒートシンク18H,18Lとの間に介在している。ターミナル16は、IGBT11H,11Lごとに設けられている。よって、半導体装置10は、二つのターミナル16を備えている。
ターミナル16は、各エミッタ電極11eと各第2ヒートシンク18H,18Lとを電気的に接続している。ターミナル16は、IGBT11H,11Lと第2ヒートシンク18H,18Lとの熱伝導、電気伝導経路の途中に位置するため、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料を用いて形成されている。
ターミナル16は、各エミッタ電極11eに対向配置され、はんだ17を介して各エミッタ電極11eと接続されている。また、ターミナル16は、各第2ヒートシンク18H,18Lに対向配置され、はんだ19を介して第2ヒートシンク18H,18Lと接続されている。なお、ターミナル16に関しては、後ほど詳しく説明する。
第2ヒートシンク18H,18Lも、第1ヒートシンク14H,14L同様、対応するIGBT11H,11Lの熱を半導体装置10の外部に放熱する機能を果たす。第2ヒートシンク18H,18Lは、配線としての機能も果たす。本実施形態では、第2ヒートシンク18H,18Lが、Z方向からの投影視において、対応するIGBT11H,11Lを内包するように設けられている。第2ヒートシンク18H,18Lは、Z方向において、対応するIGBT11H,11Lに対し、封止樹脂体13の裏面13b側に配置されている。
第2ヒートシンク18H,18Lは、対応するIGBT11H,11Lのエミッタ電極11eと電気的に接続されている。詳しくは、第2ヒートシンク18H,18Lは、対応するエミッタ電極11eと、はんだ17、ターミナル16、及びはんだ19を介して、電気的に接続されている。第2ヒートシンク18H,18Lが、第2放熱部に相当する。第2ヒートシンク18H,18Lの大部分は、封止樹脂体13によって覆われている。第2ヒートシンク18H,18Lの表面のうち、実装面18aにはんだ19が接続されており、実装面18aとは、反対の放熱面18bが封止樹脂体13から露出されている。放熱面18bは、裏面13bと略面一となっている。第2ヒートシンク18H,18Lの表面のうち、実装面18aの一部及び放熱面18bを除く部分は、封止樹脂体13によって覆われている。
詳しくは、第2ヒートシンク18Hの実装面18aに、IGBT11Hに対応するターミナル16が、はんだ19を介して接続されている。第2ヒートシンク18Lの実装面18aに、IGBT11Lに対応するターミナル16が、はんだ19を介して接続されている。それぞれの実装面18aには、溢れたはんだ19を吸収するための溝18cが形成されている。溝18cは、Z方向からの投影視において、エミッタ電極11e、すなわちターミナル16を取り囲むように環状に形成されている。
第2ヒートシンク18H,18Lは、X方向に並んで配置されるとともに、Z方向においてほぼ同じ位置に配置されている。そして、第2ヒートシンク18H,18Lの放熱面18bが、封止樹脂体13の裏面13bから露出されるとともに、互いにX方向に並んでいる。本実施形態では、第2ヒートシンク18H,18Lを共通部材としており、第2ヒートシンク18Hと第2ヒートシンク18Lとの配置はZ軸を回転軸とする2回対称となっている。
第2ヒートシンク18H,18Lは、Y方向の側面18d,18eを有している。第2ヒートシンク18Hにおいて側面18dが側面14cに対応しており、第2ヒートシンク18Lにおいて側面18eが側面14cに対応している。このため、第2ヒートシンク18Hの側面18d及び第2ヒートシンク18Lの側面18eが、第2側面に相当する。第2ヒートシンク18Hの側面18d及び第2ヒートシンク18Lの側面18eは、Y方向において側面14cと同じ側の面であり、Y方向に延びる部材が連なっていない。
継手部20は、第1継手部20a、第2継手部20b、及び第3継手部20cを有している。第1継手部20a及び第3継手部20cは、上アーム側の第2ヒートシンク18Hと、下アーム側の第1ヒートシンク14Lとを電気的に接続している。図5及び図10に示すように、第2継手部20bは、下アーム側の第2ヒートシンク18Lと負極端子22nとを電気的に接続している。
本実施形態において、第1継手部20aは、同一の金属板を加工することで第2ヒートシンク18Hと一体的に設けられている。また、第2継手部20bは、同一の金属板を加工することで第2ヒートシンク18Lと一体的に設けられている。第1継手部20aを含む第2ヒートシンク18Hと、第2継手部20bを含む第2ヒートシンク18Lとを共通部材としており、半導体装置10においてこれらの配置は、Z軸を回転軸とする2回対称となっている。
第1継手部20aは、封止樹脂体13に被覆されるように、第2ヒートシンク18Hよりも薄く設けられている。第1継手部20aは、第2ヒートシンク18Hの実装面18aと略面一となるように、第2ヒートシンク18Hに連なっている。第1継手部20aは、薄板状をなしており、第2ヒートシンク18Hにおける第2ヒートシンク18L側の側面からX方向に延びている。第1継手部20a及び第2ヒートシンク18Hを有する部材において、第2ヒートシンク18Hは、エミッタ電極11eと接続され、放熱機能を果たす厚肉部に相当する。第1継手部20aは、厚肉部よりも薄くされ、電気的な中継機能を果たす薄肉部に相当する。薄肉部である第1継手部20aは、厚肉部である第2ヒートシンク18Hの側面からX方向に延設されており、Y方向に延設されていない。第1継手部20aにおいて、第2ヒートシンク18Hの実装面18aに連なる面には、はんだ21を介して第3継手部20cが接続されている。
第2継手部20bも、封止樹脂体13に被覆されるように、第2ヒートシンク18Lよりも薄く設けられている。第2継手部20bは、第2ヒートシンク18Lの実装面18aと略面一となるように、第2ヒートシンク18Lに連なっている。第2継手部20bは、薄板状をなしており、第2ヒートシンク18Lにおける第2ヒートシンク18L側の側面からX方向に延びている。
第2継手部20b及び第2ヒートシンク18Lを有する部材において、第2ヒートシンク18Lは、エミッタ電極11eと接続され、放熱機能を果たす厚肉部に相当し、第2継手部20bは、厚肉部よりも薄くされ、電気的な中継機能を果たす薄肉部に相当する。薄肉部である第2継手部20bは、厚肉部である第2ヒートシンク18Lの側面からX方向に延設されており、Y方向に延設されていない。第2継手部20bにおいて、第2ヒートシンク18Lの実装面18aに連なる面には、はんだ21を介して負極端子22nが接続されている。
第1継手部20a及び第2継手部20bそれぞれの実装面18aに連なる面には、溢れたはんだ21を吸収するための溝20dが形成されている。溝20dは、環状に形成されている。以下において、第1継手部20a及び第2継手部20bを、単に継手部20a,20bとも称する。
本実施形態では、はんだ15,17,19,21として、Niボール入りのはんだを採用している。Niボールとしては、超音波探傷装置(SAT:Scanning Acoustic Tomograph)での検査が可能なはんだ厚を確保できる直径、たとえば40μm以上を有していればよい。これにより、はんだ15,17,19,21のいずれについても、たとえばボイドの検出が可能となる。
第3継手部20cも、同一の金属板を加工することで第1ヒートシンク14Lと一体的に設けられている。第3継手部20cは、封止樹脂体13に被覆されるように、第1ヒートシンク14Lよりも薄く設けられている。第3継手部20cは、第1ヒートシンク14Lの実装面14aに略面一で連なっている。第3継手部20cは、第1ヒートシンク14Lにおける第1ヒートシンク14H側の側面から、第2ヒートシンク18Hに向けて延設されている。
第3継手部20cは、Z方向からの平面視において、X方向に延設されている。本実施形態では、図4に示すように、第3継手部20cが屈曲部を2箇所有している。第3継手部20cの先端部分は、Z方向からの投影視において、第1継手部20aと重なっている。そして、第3継手部20cと第1継手部20aとが、はんだ21を介して接続されている。第3継手部20cは、Y方向において、第2継手部20bと横並びとなるように設けられている。
なお、第1継手部20aを、第2ヒートシンク18Hとは別部材とし、第2ヒートシンク18Hに接続することで第2ヒートシンク18Hに連なる構成としてもよい。第2継手部20bを、第2ヒートシンク18Lとは別部材とし、第2ヒートシンク18Lに接続することで第2ヒートシンク18Lに連なる構成としてもよい。また、第3継手部20cを、第1ヒートシンク14Lとは別部材とし、第1ヒートシンク14Lに接続することで第1ヒートシンク14Lに連なる構成としてもよい。第1継手部20a及び第3継手部20cの一方のみにより、上アームと下アームとを電気的に接続することもできる。
電源端子22は、正極端子22p及び負極端子22nを有している。正極端子22pは、平滑コンデンサ4の正極側の端子と電気的に接続される。正極端子22pは、正極側ライン6と電気的に接続される。正極端子22pは、主電流が流れる主端子である。正極端子22pは、高電位電源端子、P端子とも称される。正極端子22pは、第1ヒートシンク14Hに連なっており、第1ヒートシンク14Hの側面のうち、Y方向において信号端子24側の面とは反対の側面14cからY方向に延設されている。正極端子22pが延設部又は第1主端子に相当し、側面14cが第1側面に相当する。
本実施形態では、同一の金属板を加工することで、正極端子22pが第1ヒートシンク14Hと一体的に設けられている。正極端子22pは、第1ヒートシンク14HにおけるY方向の一端に連なっている。正極端子22pは、Y方向に延設され、図3に示すように、封止樹脂体13の側面13cから外部に突出している。
第1ヒートシンク14H及び正極端子22pを構成する金属板として異形条を採用しており、正極端子22pは薄板状をなしている。正極端子22p及び第1ヒートシンク14Hを有する部材において、第1ヒートシンク14Hは、コレクタ電極11cと接続され、放熱機能を果たす厚肉部に相当する。正極端子22pは、厚肉部よりも薄くされ、電気的な中継機能を果たす薄肉部に相当する。薄肉部である正極端子22pは、厚肉部である第1ヒートシンク14Hの側面14cからY方向に延設され、封止樹脂体13の側面13cから突出している。
負極端子22nは、平滑コンデンサ4の負極側の端子と電気的に接続される。負極端子22nは、負極側ライン7と電気的に接続される。負極端子22nは、主電流が流れる主端子である。負極端子22nは、低電位電源端子、N端子とも称される。負極端子22nは、その一部が、Z方向からの投影視において第3継手部20cと重なるように配置されている。負極端子22nは、Z方向において、第3継手部20cよりもIGBT11Lに近い位置に配置されている。負極端子22nと第3継手部20cも、はんだ21を介して接続されている。
負極端子22nは、Y方向に延設されて、正極端子22pと同じ側面13cから外部に突出している。図5及び図6などに示すように、負極端子22nのうち、第2継手部20bとの接続部分の厚みは、他の部分の厚み、たとえば封止樹脂体13から外に突出した部分の厚みよりも厚くされている。
出力端子23は、上下アームの接続点と電気的に接続される。出力端子23は、主電流が流れる主端子である。出力端子23は、モータ3の対応する相のコイル(固定子巻線)と電気的に接続される。出力端子23は、交流端子、O端子とも称される。出力端子23は、第1ヒートシンク14Lに連なっており、第1ヒートシンク14Lの側面のうち、Y方向において信号端子24側の面とは反対の側面14cから、Y方向であって正極端子22pと同じ側に延設されている。出力端子23が延設部又は第2主端子に相当し、第1ヒートシンク14Lの側面14cが第1側面に相当する。
本実施形態では、同一の金属板を加工することで、出力端子23が第1ヒートシンク14Lと一体的に設けられている。出力端子23は、第1ヒートシンク14LにおけるY方向の一端に連なっている。出力端子23は、Y方向に延設されて、正極端子22p及び負極端子22nと同じ側面13cから外部に突出している。
第1ヒートシンク14L及び出力端子23を構成する金属板として異形条を採用しており、出力端子23は薄板状をなしている。出力端子23及び第1ヒートシンク14Lを有する部材において、第1ヒートシンク14Lは、コレクタ電極11cと接続され、放熱機能を果たす厚肉部に相当し、出力端子23は、厚肉部よりも薄くされ、電気的な中継機能を果たす薄肉部に相当する。薄肉部である出力端子23は、厚肉部である第1ヒートシンク14Lの側面14cからY方向に延設され、封止樹脂体13の側面13cから突出している。
正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23それぞれの封止樹脂体13からの突出部分は、Z方向において互いにほぼ同じ位置に配置されている。また、X方向において、正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23の順に並んで配置されている。このように、正極端子22pの隣りに、負極端子22nが配置されている。
正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23は、少なくとも封止樹脂体13から突出部分において略平板状とされ、Z方向の厚みが互いに略等しくされている。よって、正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23それぞれの突出部分の厚みが、互いに略等しくされている。また、正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23それぞれの突出部分の幅が、互いに略等しくされている。ここで、幅とは、側面13cからの突出方向であるY方向及び板厚方向であるZ方向の両方向に直交する方向、すなわちX方向の長さである。
また、正極端子22pの突出長さが、負極端子22nの突出長さよりも短くされている。ここで、突出長さとは、封止樹脂体13の側面13cを位置の基準として、外部に延設された長さである。本実施形態では、出力端子23の突出長さが、負極端子22nの突出長さよりも長くされている。すなわち、突出長さは、正極端子22pが最も短くされ、出力端子23が最も長くされている。負極端子22nの突出長さは、中間の長さとされている。
なお、正極端子22pを、第1ヒートシンク14Hとは別部材とし、第1ヒートシンク14Hに接続することで第1ヒートシンク14Hに連なる構成としてもよい。負極端子22nを、第3継手部20c、ひいては第2ヒートシンク18Lと同一の金属板から構成してもよい。出力端子23を、第1ヒートシンク14Lとは別部材とし、第1ヒートシンク14Lに接続することで第1ヒートシンク14Lに連なる構成としてもよい。
電源端子22及び出力端子23には、後述する冷却器との積層状態で、図示しないバスバーがそれぞれ接続される。バスバーは、正極側ライン6、負極側ライン7、出力ライン8を構成する。バスバーは、たとえばレーザ溶接により、対応する電源端子22、出力端子23と接続される。
信号端子24は、図7~図9に示すように、対応するIGBT11H,11Lのパッド11pに、ボンディングワイヤ25を介して電気的に接続されている。本実施形態では、アルミニウム系のボンディングワイヤ25を採用している。信号端子24は、Y方向に延設されており、図3に示すように、封止樹脂体13において側面13cとは反対の側面13dから外部に突出している。
半導体装置10は、IGBT11H用に5本の信号端子24を有し、IGBT11L用に5本の信号端子24を有している。それぞれの5本の信号端子24のうち、1本の信号端子24aは、残りの信号端子24bよりもボンディングワイヤ25が接続される領域のX方向の幅が広くされている。信号端子24aには、エミッタ電極11eの電位を検出するケルビンエミッタ用のパッド11pとダミーゲート電極用のパッド11pが、それぞれボンディングワイヤ25を介して接続されている。これにより、ダミーゲート電極がエミッタ電位に固定されている。ゲート電極11g用、電流センス用、温度センサのアノード電位用、カソード電位用のパッド11pについては、互いに異なる信号端子24bに接続されている。
図6などに示すように、本実施形態では、第1ヒートシンク14H,14L、第3継手部20c、正極端子22p、負極端子22n、出力端子23、及び信号端子24が、同一の金属板であるリードフレーム26から構成されている。リードフレーム26は、上記以外にも、外枠26a、吊りリード26b、及びタイバー26cなどを有している。リードフレーム26において、第1ヒートシンク14H,14L及び負極端子22nの一部分が厚肉部とされており、それ以外の部分は厚肉部よりも厚みの薄い薄肉部とされている。
Y方向において、第1ヒートシンク14Hは、側面14cから延設された正極端子22pを介して外枠26aに連結されている。第1ヒートシンク14Lも、側面14cから延設された出力端子23を介して外枠26aに連結されている。また、第1ヒートシンク14H,14Lにおける側面14cと反対の側面14dには、吊りリード26bが連なっている。吊りリード26bは、側面14dからY方向に延設され、外枠26aに連結されている。
主端子である正極端子22p、負極端子22n、及び出力端子23は、Y方向においてそれぞれの一端が外枠26aに連なっている。また、X方向に延びるタイバー26cにより、相互に連結されている。信号端子24は、タイバー26cにより、外枠26a及び吊りリード26bに連結されている。信号端子24において、ボンディングワイヤ25が接続される端部とは反対の端部は、外枠26aに連結されておらず、フリーとなっている。
以上のように構成される半導体装置10では、封止樹脂体13により、IGBT11H,11L、第1ヒートシンク14H,14Lそれぞれの一部が、一体的に封止されている。さらに、半導体装置10では、封止樹脂体13によって、これらに加えて、ターミナル16、第2ヒートシンク18H,18Lそれぞれの一部、電源端子22それぞれの一部、出力端子23の一部、及び信号端子24の一部が、一体的に封止されている。半導体装置10では、封止樹脂体13によって、一相分の上下アームを構成する2つのIGBT11H,11Lが封止されている。このため、半導体装置10は、2in1パッケージとも称される。
第1ヒートシンク14H,14Lそれぞれの放熱面14bは、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体13の一面13aと略面一となっている。同じく、第2ヒートシンク18H,18Lそれぞれの放熱面18bは、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体13の裏面13bと略面一となっている。このように、半導体装置10は、放熱面14b,18bがともに封止樹脂体13から露出された両面放熱構造をなしている。
(半導体装置10の製造方法)
製造方法の概略について説明する。先ず、半導体装置10を構成する各要素を準備する。たとえば図6に示すリードフレーム26を準備する。また、IGBT11H,11L、ターミナル16、第1継手部20aを含む第2ヒートシンク18H、第2継手部20bを含む第2ヒートシンク18Lをそれぞれ準備する。第2ヒートシンク18H,18Lは、上記したように共通部材である。
製造方法の概略について説明する。先ず、半導体装置10を構成する各要素を準備する。たとえば図6に示すリードフレーム26を準備する。また、IGBT11H,11L、ターミナル16、第1継手部20aを含む第2ヒートシンク18H、第2継手部20bを含む第2ヒートシンク18Lをそれぞれ準備する。第2ヒートシンク18H,18Lは、上記したように共通部材である。
次いで、リードフレーム26における第1ヒートシンク14H,14Lの実装面14a上に、はんだ15を介して、対応するIGBT11H,11Lを配置する。その際、コレクタ電極11cが実装面14aと対向するように、IGBT11H,11Lを配置する。次に、たとえば予め両面にはんだ17,19が迎えはんだとして配置されたターミナル16を、はんだ17がIGBT11H,11L側となるように配置する。はんだ19については、半導体装置10における高さばらつきを吸収可能な量、配置しておく。また、第3継手部20c及び負極端子22n上にはんだ21を配置しておく。
そして、この積層状態で、はんだの1stリフローを実施する。これにより、はんだ15を介して、IGBT11H,11Lのコレクタ電極11cと対応する第1ヒートシンク14H,14Lとが接続される。また、はんだ17を介して、IGBT11H,11Lのエミッタ電極11eと対応するターミナル16とが接続される。すなわち、リードフレーム26、IGBT11H,11L、及びターミナル16が一体化された接続体を得ることができる。リフロー後、IGBT11H,11Lのパッド11pと信号端子24を、ボンディングワイヤ25により接続する。図7、図8、図9は、ボンディング後の接続体を示している。
次いで、実装面18aが上になるようにして第2ヒートシンク18H,18Lを図示しない台座上に配置する。そして、ターミナル16が第2ヒートシンク18H,18Lに対向するように、接続体を第2ヒートシンク18H,18L上に配置し、はんだの2ndリフローを実施する。2ndリフローでは、第1ヒートシンク14H,14L側から荷重を加えることで、半導体装置10の高さが所定高さとなるようにする。詳しくは、図示しないスペーサを、第1ヒートシンク14H,14Lと台座との間に配置し、スペーサを、第1ヒートシンク14H,14Lと台座の両方に接触させる。このようにして、半導体装置10の高さが所定高さとなるようにする。図10は、2ndリフロー後の状態を示している。
次いで、トランスファモールド法により封止樹脂体13の成形を行う。本実施形態では、第1ヒートシンク14H,14L及び第2ヒートシンク18H,18Lが完全に被覆されるように、封止樹脂体13を成形する。図11は、成形後の状態を示している。
次いで、成形した封止樹脂体13を第1ヒートシンク14H,14Lの一部ごと切削することにより、第1ヒートシンク14H,14Lの放熱面14bを露出させる。これにより、放熱面14bは一面13aと略面一となる。同じく、封止樹脂体13を第2ヒートシンク18H,18Lの一部ごと切削することにより、第2ヒートシンク18H,18Lの放熱面18bを露出させる。これにより、放熱面18bは裏面13bと略面一となる。
図12は、切削後の状態を示している。なお、放熱面14b,18bを成形金型のキャビティ壁面に押し当て、密着させた状態で、封止樹脂体13を成形してもよい。この場合、封止樹脂体13を成形した時点で、放熱面14b,18bが封止樹脂体13から露出される。このため、成形後の切削が不要となる。
次いで、外枠26a及びタイバー26cなど、リードフレーム26の不要部分を除去する。これにより、半導体装置10を得ることができる。
(ターミナル)
ここで、図13~図15を用いて、ターミナル16に関して詳しく説明する。ターミナル16は、直方体形状をなしている。ターミナル16は、電極対向面S1と、電極対向面S1の反対面であるヒートシンク対向面S2と、電極対向面S1とヒートシンク対向面S2とに連なる環状のターミナル側面S3とを有している。電極対向面S1は、第1対向面に相当する。ヒートシンク対向面S2は、第2対向面に相当する。ターミナル側面S3は、側面に相当する。
ここで、図13~図15を用いて、ターミナル16に関して詳しく説明する。ターミナル16は、直方体形状をなしている。ターミナル16は、電極対向面S1と、電極対向面S1の反対面であるヒートシンク対向面S2と、電極対向面S1とヒートシンク対向面S2とに連なる環状のターミナル側面S3とを有している。電極対向面S1は、第1対向面に相当する。ヒートシンク対向面S2は、第2対向面に相当する。ターミナル側面S3は、側面に相当する。
電極対向面S1は、エミッタ電極11eと対向配置される。ヒートシンク対向面S2は、第2ヒートシンク18H,18Lと対向配置される。ターミナル16は、はんだ17を介して、電極対向面S1とエミッタ電極11eとが接続されている。また、ターミナル16は、はんだ19を介して、ヒートシンク対向面S2と第2ヒートシンク18H,18Lとが接続されている。
電極対向面S1とヒートシンク対向面S2は、例えば平坦面であり、互いに平行に設けられている。また、電極対向面S1とヒートシンク対向面S2は、例えば矩形形状をなしている。電極対向面S1とヒートシンク対向面S2は、XY平面に沿う面である。ターミナル側面S3は、Z方向に沿う面である。Z方向は、ターミナル16の厚み方向と一致する。本実施形態では、図13に示すように、一例として、角が丸められた形状の電極対向面S1とヒートシンク対向面S2を採用している。
ターミナル16は、例えば、打ち抜き加工によって形成することができる。このため、ターミナル16は、図15に示すように、電極対向面S1とターミナル側面S3との境にバリ部161が形成されている。バリ部161は、電極対向面S1からZ方向に突出した部位といえる。また、ターミナル16は、図14に示すように、ヒートシンク対向面S2とターミナル側面S3との境にダレ面162が形成されている。ダレ面162は、ヒートシンク対向面S2の端部とターミナル側面S3の端部が丸められた部位といえる。バリ部161は、凸部に相当する。ダレ面162は、曲面に相当する。
しかしながら、本開示は、これに限定されない。本開示は、バリ部161が設けられていないターミナル16であっても採用できる。また、本開示は、ダレ面162が設けられていないターミナル16であっても採用できる。
図14、図15に示すように、ターミナル16は、ターミナル側面S3に凹凸部160が形成されている。凹凸部160は、ターミナル側面S3における粗化された部位である。凹凸部160は、レーザ光を照射することで形成することができる。例えば、凹凸部160は、ターミナル16を保持具に保持した状態で、ターミナル16にレーザ光を照射して形成する。
凹凸部160は、ターミナル側面S3の全周にわたって設けられている。凹凸部160は、ターミナル側面S3における電極対向面S1から所定範囲離れた位置とヒートシンク対向面S2から所定範囲離れた位置との間に設けられている。つまり、ターミナル側面S3は、Z方向において、電極対向面S1から凹凸部160までの範囲と、ヒートシンク対向面S2から凹凸部160までの範囲が平らな面となっている。凹凸部160は、はんだ濡れ性が周辺よりも低い。また、凹凸部160は、封止樹脂体13との密着力が周辺よりも高い。
以上のように、半導体装置10は、凹凸部160における封止樹脂体13とターミナル16との密着力を向上できる。よって、半導体装置10は、エミッタ電極11eに印加される応力を抑制できる。また、凹凸部160は、電極対向面S1から所定範囲離れた位置とヒートシンク対向面S2から所定範囲離れた位置との間に形成されている。つまり、半導体装置10は、ターミナル側面S3における電極対向面S1及びヒートシンク対向面S2から凹凸部160までの所定範囲におけるはんだ濡れ性の低下が抑制されている。このため、半導体装置10は、ターミナル側面S3における濡れ性の低下が抑制されている領域に、はんだフィレットが形成されやすい。したがって、半導体装置10は、エミッタ電極11eの寿命を向上できる。
特に、ターミナル16は、ヒートシンク対向面S2からの所定範囲よりも電極対向面S1からの所定範囲の方が狭いと好ましい。ターミナル16は、レーザ加工時にターミナル16が削られて飛散物が発生する。ターミナル16は、飛散物が電極対向面S1に付着すると、はんだ17による電極対向面S1とエミッタ電極11eとの接合力が低下する。しかしながら、ターミナル16は、上記のように電極対向面S1側にバリ部161が設けられている。よって、ターミナル16は、バリ部161が壁となり、被産物が電極対向面S1に付着することを抑制できる。このため、ターミナル16は、電極対向面S1とエミッタ電極11eとの接合力が低下することを抑制できる。さらに、ターミナル16は、レーザ加工時の保持具の摩耗を抑制できる。
また、凹凸部160は、ターミナル側面S3における電極対向面S1とヒートシンク対向面S2との中央より電極対向面S1側に偏っており、電極対向面S1から少なくとも0.14~0.58mmの領域に設けられていると好ましい。なお、ターミナル16は、厚みの最小値が例えば1.1mmのものを採用できる。シミュレーション結果によると、エミッタ電極11eの歪みは、ターミナル側面S3の全面に凹凸部160が設けられている場合と比べて、0.14~0.58mmに凹凸部160が設けられていれば抑制できることがわかった。つまり、ターミナル16は、0.14~0.58mmに凹凸部160が設けられていれば、エミッタ電極11eの寿命低下を抑制できる。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、変形例1、2に関して説明する。
(変形例1)
図16に示すように、ターミナル16は、目印部160aを含む凹凸部160が形成された形状を有していてもよい。目印部160aは、ターミナル16における電極対向面S1とヒートシンク対向面S2の方向を示す部位である。つまり、目印部160aは、ターミナル16の外部から、エミッタ電極11e側とヒートシンク対向面S2側とを確認可能とするための印である。
図16に示すように、ターミナル16は、目印部160aを含む凹凸部160が形成された形状を有していてもよい。目印部160aは、ターミナル16における電極対向面S1とヒートシンク対向面S2の方向を示す部位である。つまり、目印部160aは、ターミナル16の外部から、エミッタ電極11e側とヒートシンク対向面S2側とを確認可能とするための印である。
目印部160aは、凹凸部160の一部である。よって、目印部160aは、レーザ光を照射することで形成することができる。本実施形態では、一例として、ターミナル側面S3において周辺よりもZ方向に突出した形状の目印部160aを採用している。これによって、半導体装置10を製造する際に、電極対向面S1がエミッタ電極11eと対向した状態で、ターミナル16を配置しやすくなる。つまり、ヒートシンク対向面S2をエミッタ電極11eに対向させた状態で、ターミナル16を配置する間違いを抑制できる。当然ながら、半導体装置10は、このターミナル16を備えていても、上記実施形態の効果を奏することができる。
(変形例2)
図17に示すように、凹凸部160は、ターミナル側面S3に部分的に設けられていてもよい。言い換えると、凹凸部160は、Z方向にスリットが設けられていてもよい。このスリットは、レーザ加工されていない部位、すなわち凹凸となってない部位である。なお、スリットの幅は、特に限定されない。半導体装置10は、このようなターミナル16を備えていても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
図17に示すように、凹凸部160は、ターミナル側面S3に部分的に設けられていてもよい。言い換えると、凹凸部160は、Z方向にスリットが設けられていてもよい。このスリットは、レーザ加工されていない部位、すなわち凹凸となってない部位である。なお、スリットの幅は、特に限定されない。半導体装置10は、このようなターミナル16を備えていても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
1…電力変換装置、2…直流電源、3…モータ、4…平滑コンデンサ、5…インバータ、6…正極側ライン、7…負極側ライン、8…出力ライン、10…半導体装置、11H,11L…IGBT、11c…コレクタ電極、11e…エミッタ電極、11g…ゲート電極、11p…パッド、12H,12L…FWD、13…封止樹脂体、13a…一面、13b…裏面、13c,13d…側面、14H,14L…第1ヒートシンク、14a…実装面、14b…放熱面、14c,14d…側面、15…はんだ、16…ターミナル、160…凹凸部、160a…目印部、161…バリ部、162…ダレ面、S1…電極対向面、S2…ヒートシンク対向面、S3…ターミナル側面、17…はんだ、18H,18L…第2ヒートシンク、18a…実装面、18b…放熱面、18c…溝、18d,18e…側面、19…はんだ、20…継手部、20a…第1継手部、20b…第2継手部、20c…第3継手部、20d…溝、21…はんだ、22…電源端子、22p…正極端子、22n…負極端子、23…出力端子、24,24a,24b…信号端子、25…ボンディングワイヤ、26…リードフレーム、26a…外枠、26b…吊りリード、26c…タイバー
Claims (6)
- 一面及び前記一面と反対の裏面のそれぞれに形成された主電極(11c,11e)を有する少なくとも1つの半導体素子(11H,11L)と、
前記半導体素子を挟むように配置された放熱部であり、前記一面側の前記主電極と対向配置されて電気的に接続された第1放熱部(14H,14L)、及び、前記裏面側の前記主電極と対向配置されて電気的に接続された第2放熱部(18H,18L)と、
前記裏面側の前記主電極と対向配置される第1対向面(S1)と、前記第2放熱部と対向配置される第2対向面(S2)と、前記第1対向面と前記第2対向面に連なる環状の側面(S3)とを有し、はんだ(17,19)を介して前記裏面側の前記主電極と前記第2放熱部とを電気的に接続しているターミナル(16)と、
前記第1放熱部の少なくとも一部、前記第2放熱部の少なくとも一部、前記ターミナル、及び前記半導体素子を一体的に封止する封止樹脂体(13)と、を備え、
前記ターミナルは、前記側面における前記第1対向面から所定範囲離れた位置と前記第2対向面から所定範囲離れた位置との間に、前記はんだの濡れ性を低下させるとともに前記封止樹脂体との密着力を向上させる凹凸部(160)を備えている半導体装置。 - 前記ターミナルは、前記第2対向面からの所定範囲よりも前記第1対向面からの所定範囲の方が狭い請求項1に記載の半導体装置。
- 前記凹凸部は、前記側面における前記第1対向面と前記第2対向面との中央より前記第1対向面側に偏っており、前記第1対向面から少なくとも0.14~0.58mmの領域に設けられている請求項1又は2に記載の半導体装置。
- 前記ターミナルは、前記第1対向面と前記側面との境に凸部(161)が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記ターミナルは、前記第2対向面と前記側面との境に曲面(162)が設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
- 前記凹凸部は、前記第1対向面と前記第2対向面の方向を示す目印部(160a)が形成された形状をなしている請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。
Priority Applications (1)
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2021
- 2021-02-12 JP JP2021021024A patent/JP2022123611A/ja active Pending
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