JP2022121480A - バックグラインド用粘着テープ - Google Patents

バックグラインド用粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】バンプや電極突起などの凹凸形状を有する半導体ウエハに貼り付けた際には、バンプや電極突起に適切に追従し、また、裏面研削した際には、ディンプルの発生やウエハの破損の発生率が極めて少なく、さらに、粘着テープを剥離する際には、バンプ部や電極突起の破損の発生率が極めて少なく、被着面に糊残りを発生させることなく容易に剥離することができ、裏面研削後のウエハの厚さのバラツキを十分に抑制することができるバックグラインド用粘着テープを提供すること。【解決手段】基材と、該基材上に順次形成された中間樹脂層及び粘着層とを有する、半導体ウエハのバックグラインド用粘着テープであって、該中間樹脂層は、55~80℃のいずれかの温度において、0.15×106~1.51×106Paの貯蔵弾性率(G’)を有し、該粘着層は、2.0mgKOH/g以下の酸価及び1.0~15.0mgKOH/gの水酸基価を有するアクリル系粘着性ポリマーを主成分として含む非硬化性粘着剤から成るものである、バックグラインド用粘着テープ。【選択図】図1

Description

本発明は半導体ウエハのバックグラインドを行う際に、半導体ウエハの表面を保護する目的で貼付けられる、バックグラインド用粘着テープに関する。
大径の状態で製造された半導体ウエハは、フォトレジスト、エッチング、イオン注入、ポリッシング等の工程により半導体ウエハの表面に所定の回路パターンやスパッタリングにより電極が形成された後、所定の厚さになるように裏面研削処理(以下、「バックグラインド」とも記載する。)が施され、更に、必要に応じて裏面処理(エッチング、ポリッシング等)、切断加工処理等が施される。
半導体ウエハ表面には電気回路及び電極等の構造物が形成されている。上記バックグラインドを行う際は、該構造物が外傷を受けて破損すること、又は研削屑又は研削水に接触して汚染されることを防止するために、予め半導体ウエハ表面にバックグラインド用粘着テープと称される粘着テープを貼付け、バックグラインド後に半導体ウエハから該テープを剥離する方法が使用されている。
バックグラインド用粘着テープは、バックグラインド中に半導体ウエハ表面に研削屑又は研削水が浸入しないように、貼着時には、半導体ウエハ表面に十分に密着する必要がある。反面、半導体ウエハ表面の構造物を破損又は汚染しないように、バックグラインド用粘着テープの剥離時には容易に、粘着剤が残存(糊残り)すること無く脱着する必要がある。
また、近年では、電子機器の小型化、高密度化に伴い、半導体素子を最小の面積で実装できる方法として、フリップチップ実装が主流となりつつある。本実装方法では、半導体素子の電極上に半田や金からなるバンプが形成されており、このバンプと回路基板上の配線とが電気的に接合される。例えば、ウエハレベルパッケージの場合、このバンプの高さが、高いもので250~350μmにもなるバンプ付半導体ウエハが使用されている。
しかし、バンプ付半導体ウエハは、その表面に大きな凹凸形状を有しているため薄膜加工が難しく、通常の粘着テープを用いて裏面研削を行うと、(1)研削屑又は研削水が浸入する、(2)半導体ウエハが割れる、(3)裏面研削後の半導体ウエハの厚さ精度が悪くなる、(4)研削面にディンプル(窪み)が生じる、といった現象が発生しやすいため、バンプ付半導体ウエハの研削には、上記バンプの高さに追従して表面の凹凸を吸収できるように特別に設計された表面保護テープを用いて裏面研削加工がされている。さらに、裏面研削後のウエハの仕上げ厚さを、より薄くしたいという要求も依然として強いため、より高い性能を有する様々な構成の半導体ウエハの表面保護用粘着テープや粘着シートが開発されている。
特許文献1には、表面の凹凸差の大きな被着体の裏面加工時に、表面に貼着され、表面を保護するために好ましく使用され、特に極薄にまで被着体を研削しても均一な厚みで研削でき、ディンプルの発生を防止できるような粘着シートを提供することを目的に、基材と、その上に形成された中間層と、該中間層の上に形成された粘着剤層とからなる粘着シートであって、中間層の40℃における弾性率が1.0×10Pa未満である半導体ウエハの表面保護用粘着シートが開示されている。
特許文献2には、ウエハ表面に形成された凸凹の高低差以下までウエハの裏面を研削する際に、ウエハ表面の凸凹の保護と、ウエハ表面への研削屑や研削水などの浸入防止、及
び研削後のウエハの破損防止を図ることのできる半導体ウエハ保護用粘着シートを提供することを目的に、基材と少なくとも一層以上の中間層と粘着剤層をこの順番で積層してなる半導体ウエハ保護用粘着シートであって、該粘着シートと半導体ウエハの貼り合せ温度が50℃~100℃であり、該粘着剤層と接する側の中間層の貼り合せ温度における損失正接(tanδ)が0.5以上であり、該粘着剤層と接する側の中間層の貼り合せ温度における損失弾性率が0.005MPa~0.5MPaである半導体ウエハ保護用粘着シートが開示されている。
特許文献3には、半導体ウエハを研削しても半導体ウエハの破損やシーページが生じず、容易に半導体ウエハから剥離することができ、糊残りを抑制することができる半導体ウエハ表面保護用粘着テープを提供することを目的に、基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体ウエハ表面保護用粘着テープであって、ステンレス鋼に対する23℃での粘着力が0.3~10N/25mm、50℃に加熱したときの粘着力が23℃での粘着力の40%以下であり、かつ該粘着剤層表面における滴下直後の純水の接触角が100°以上、滴下から10分後の純水の接触角が65°以上であり、該粘着剤層に、酸価が20~50(mgKOH/g)の(メタ)アクリル系ポリマーを含有する半導体ウエハ表面保護用粘着テープが開示されている。
特許文献4には、半導体ウエハ加工時には半導体ウエハに強固に密着するとともに、剥離時に、半導体ウエハの破損や糊残りすることなく剥離することができる半導体ウエハ表面保護用粘着テープを提供することを目的に、ウエハ表面に20μm以上の凹凸を有するウエハに対して60℃以上の温度で加熱貼合される半導体ウエハ用粘着テープであって、該半導体ウエハ用粘着テープが、少なくとも、基材フィルム、中間樹脂層、表面の粘着剤層の3層から構成され、該基材フィルムは、融点が90℃を超え、曲げ弾性率1GPa~10GPaであり、該中間樹脂層がエチレン-アクリル酸メチルコポリマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチルコポリマー樹脂またはエチレン-アクリル酸ブチルコポリマー樹脂のいずれかの樹脂層とポリエチレン樹脂層の2層から成り、基材フィルム側がポリエチレン樹脂層であり、層比率がポリエチレン樹脂層:コポリマー樹脂層=1:9~5:5であり、該中間樹脂層の厚みがバンプの高さ以上で、融点が50℃~90℃の範囲であり、且つ曲げ弾性率が1MPa~100MPaである半導体ウエハ用粘着テープが開示されている。
特開2000-212530号公報 特開2010-258426号公報 特許第5855299号公報 特開2006-164953号公報
特許文献1の粘着シートを用いた場合、裏面研削後においてディンプルの発生やウエハ厚みのバラツキが抑制される。しかしながら、中間層がアクリル系粘着剤とジイソシアナート系硬化剤とを含有するアクリル系粘着剤組成物、または光重合性ウレタンアクリレート系オリゴマーと光重合性モノマーとを含有する樹脂組成物から形成されているため、40℃における弾性率が比較的小さく、また、0℃~60℃の範囲における tanδが比較的大きい。つまり、中間層の粘性が強い(柔らかい)ため、粘着シートをウエハに貼り付けた後に,ウエハの外周に沿ってテープを切り取る際に粘性のある切断屑がウエハの汚染を招いたりするおそれや、バンプ高さがより高いバンプ付ウエハをより薄く裏面研削した際に、粘着シートに加わる圧力によって中間層がはみ出し、ウエハの破損や研削後のウエハ厚みのバラツキを十分に抑制できないおそれがあった。
特許文献2の粘着シートを用いた場合、半導体ウエハの表面にある半田バンプに空隙無く貼り合わせることができ、半導体ウエハの裏面を研削しても半導体ウエハの破損率も研削水浸入の発生率も0%とすることができる。しかしながら、中間層の貼り合せ温度(50℃~100℃)における損失正接(tanδ)が0.5以上と大きく、損失弾性率が0.005MPa~0.5MPaと小さい。つまり、中間層の粘性が強い(柔らかい)ため、バンプなどの半導体ウエハ表面の凹凸に中間層とともに粘着剤が空隙無く噛み込み、アンカー効果が強くなり、例えば、粘着剤として紫外線硬化型粘着剤を使用した場合、剥離しにくくなることがあり、この場合、ウエハの破損はないものの、紫外線硬化後の粘着剤の弾性率の向上の影響でバンプ部の破損が発生するおそれがあった。
特許文献3の粘着テープを用いた場合、表面段差50μm以下の半導体ウエハに好適に追従させることができ、半導体ウエハの破損やシーページが生じず、容易に半導体ウエハから剥離することができる。しかしながら、粘着テープを剥離する際には50℃に加温する必要があり、作業性や温度管理においてに改善の余地があった。また、粘着剤層に、酸価が20~50(mgKOH/g)の(メタ)アクリル系ポリマーを含有するため、ウエハとの初期密着性が高く、バンプ高さがより高いバンプ付ウエハを裏面研削した際に、糊残り無く容易に剥離できるかどうかは不明であった。
特許文献4の粘着テープを用いた場合、高いバンプが付いている場合やバンプ間距離の狭ピッチ化の場合でも半導体ウエハ加工時には、粘着テープを加熱貼合することにより中間樹脂層が溶融し、バンプに対して完全に追従し、半導体ウエハに強固に密着するとともに、剥離時に、薄膜半導体ウエハを半導体ウエハの破損や糊残りすることなく剥離することができる。しかしながら、バンプなどの半導体ウエハ表面の凹凸に中間層とともに粘着剤が完全に追従し、アンカー効果が強くなり、例えば、粘着剤として放射線硬化性ポリマーを含む粘着剤を使用した場合、剥離しにくくなることがあり、この場合、ウエハの破損はないものの、紫外線硬化後の粘着剤の弾性率の向上の影響でバンプ部の破損が発生するおそれがあった。
上述したように、バンプや電極突起などの凹凸形状を有する半導体ウエハ用に特別に設計された従来の表面保護用粘着テープや粘着シートにおいてさえ、裏面研削後のウエハの破損やバンプ部の破損の発生率、バンプ周辺部やウエハ表面の糊残り性、研削後のウエハの厚さ精度において、全てを十分に満足するものはなく、まだまだ改善の余地があった。
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、バンプや電極突起などの凹凸形状を有する半導体ウエハに貼り付けた際には、バンプや電極突起に適切に追従し、また、裏面研削した際には、ディンプルの発生やウエハの破損の発生率が極めて少なく、さらに、粘着テープを剥離する際には、バンプ部や電極突起の破損の発生率が極めて少なく、被着面に糊残りを発生させることなく容易に剥離することができ、裏面研削後のウエハの厚さのバラツキを十分に抑制することができるバックグラインド用粘着テープを提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、凹凸形状を有する半導体ウエハ表面に加熱貼り付けされる、少なくとも、基材フィルム、中間樹脂層、及び非放射線硬化型粘着剤層の3層から構成された半導体ウエハ用粘着テープ構造とし、該中間樹脂層の貼り付け温度範囲における貯蔵弾性率(G’)及び該粘着剤層の酸価と水酸基価を、それぞれ、特定の範囲に定めることにより、上記の従来の問題点を解決できることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、基材と、該基材上に順次形成された中間樹脂層及び粘着層とを有する、半導体ウエハのバックグラインド用粘着テープであって、
該中間樹脂層は、55~80℃のいずれかの温度において、0.15×10~1.51×10Paの貯蔵弾性率(G’)を有し、
該粘着層は、2.0mgKOH/g以下の酸価及び1.0~15.0mgKOH/gの水酸基価を有するアクリル系粘着性ポリマーを主成分として含む非硬化性(外部エネルギーの後印加で硬化しない)粘着剤から成るものであることを特徴とするバックグラインド用粘着テープを提供する。
ここで、55~80℃のいずれかの温度において、中間樹脂層が0.15×10~1.51×10Paの貯蔵弾性率(G’)を有するとは、55~80℃の温度範囲内で、ある特定の温度における該中間樹脂層の貯蔵弾性率(G’)が0.15×10~1.51×10Paであることを意味する。
また、上記中間樹脂層は、半導体ウエハ表面に存在する凹凸形状の高低差の1.2倍以上の厚さを有することが好ましい。
また、更に、上記中間樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んでなることが好ましい。
また、更に、上記エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)は、25~40質量%の酢酸ビニルを含有することが好ましい。
また、更に、前記基材は、50~200μmの厚さを有することが好ましい。
また、更に、前記粘着層は、10~50μmの厚さを有することが好ましい。
また、更に、前記粘着テープは、バンプ付半導体ウエハ表面に貼り付け、真上からマイクロスコープで観察した際に、粘着テープ越しに観察・測定されるバンプの直径をr、該バンプ周縁部において粘着テープが半導体ウエハ表面に対して密着できずに形成された円形状の非密着部の直径をrとすると、r/rの値が1.15~1.50であることが好ましい。
また、更に、前記半導体ウエハ表面に存在する凹凸形状の高低差は、50~300μmであることが好ましい。
また、ある一形態においては、前記バックグラインド用粘着テープを前記半導体ウエハに貼り付ける時の貼り付け温度が55~80℃のいずれかの温度である。
本発明のバックグラインド用粘着テープは、バンプや電極突起などの凹凸形状を有する半導体ウエハに貼り付けた際には、バンプや電極突起に適切に追従し、また、裏面研削した際には、ディンプルの発生やウエハの破損の発生率が極めて少なく、さらに、粘着テープを剥離する際には、バンプ部や電極突起の破損の発生率が極めて少なく、被着面に糊残りを発生させることなく容易に剥離することができ、裏面研削後のウエハの厚さのバラツキを十分に抑制することができる。
本発明の一実施形態であるバックグラインド用粘着テープの層構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態であるバックグラインド用粘着テープを半田バンプ付き半導体ウエハの表面に貼り付けた際の断面図である。 本発明の一実施形態であるバックグラインド用粘着テープを半田バンプ付き半導体ウエハの表面に貼り付けた際に粘着テープ越しに見た上面図である。
図1は、本発明の一実施形態であるバックグラインド用粘着テープの層構造を示す断面図である。図1のバックグラインド用粘着テープは、基材1と、該基材上に順次形成された中間樹脂層2及び粘着層3とを有する。本発明のバックグラインド用粘着テープは、図2に示したように、半田バンプ付き半導体ウエハの表面に貼り付けて使用される。
本発明のバックグラインド用粘着テープの構成部材及び層構造は、図1に示した実施形態に限定されない。本発明のバックグラインド用粘着テープは基材1、中間樹脂層2及び粘着層3以外の層を有していてもよい。
バックグラインド用粘着テープは、使用時までは、粘着層3の貼り付け面を保護するための剥離ライナー(非表示)を備えていてもよい。このような剥離ライナーとしては、特に限定されるものではなく、公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。
基材1は使用環境に耐える強度を有する材料であればよく、紙、高分子材料、布、金属箔などが含まれる。好ましくは、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリ(テトラフルオロエチレン)、および(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの)ポリエステルなどの高分子材料から成るものである。中でも、半導体ウエハの裏面研削を行った後で、肉薄となり脆くなった半導体ウエハを破損することなく搬送するために基材1として高剛性であるポリエステルフィルムを用いることが好ましい。また、基材1としてポリエステルフィルムを使用すると、高剛性でタックがないため、半導体ウエハの裏面研削終了後に基材1とチャックテーブルの貼り付きも抑制することができる。これらの基材の形態はフィルム状であり、厚さは一般に50~200μm、好ましくは75~100μmである。
基材の厚さが50μmより薄いと、剛性が不足して裏面研削後の半導体ウエハの反りを抑制できないおそれや裏面研削後の半導体ウエハ表面にディンプルが発生するおそれがある。基材の厚さが200μmより厚いと、粘着テープをロール形態にした時に剥離ライナーが剥がれるおそれや、裏面研削後に粘着テープを剥離する際に半導体ウエハが破損するおそれがある。
所望ならば、当技術分野では公知である通り、プライマー組成物を基材に適用するか、或いは基材をコロナ処理または火炎処理を施すことによって、中間樹脂層の樹脂組成物を適用する前に、基材の表面を改質して、中間樹脂層の樹脂組成物と基材の接着性を高めることができる。プライマーの使用は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートの基材を用いる場合に特に好適である。
中間樹脂層2は、半導体ウエハ表面に粘着層を貼り付けた時に、凹凸形状による高低差を吸収して、その上の層である基材フィルムの表面を平坦な状態に維持する層である。加えて、裏面研削時の圧力や衝撃で半導体ウエハを破損しないための適度な緩衝層としての役割も有する。ここで、凹凸形状による高低差とは、バンプや突起電極が形成されていない被着面の表面から、バンプや突起電極のうちの最も高い位置までの距離のことである。
中間樹脂層2は、粘着テープの半導体ウエハ表面への貼り付け温度における貯蔵弾性率(G’)が0.15×10~1.51×10Paである。中間樹脂層2の貼り付け温度における貯蔵弾性率が0.15×10Pa未満であると、柔らかすぎるため、被着面の凹凸に隙間なく噛み込み、粘着テープの剥離の際にバンプ部が破損するおそれや被着面に糊残りが発生しやすくなる。一方、中間樹脂層2の貼り付け温度における貯蔵弾性率が1.51×10Paを超えると、硬すぎるため、被着面の凹凸に対する追従性が低下し、バックグラインド時に研削屑又は研削水が浸入しやすくなる。中間樹脂層2の貼り付け温度における貯蔵弾性率は、好ましくは0.30×10Pa~1.00×10Paである。
中間樹脂層2は、23℃における貯蔵弾性率(G’)が5.00×10~7.00×10Paであることが好ましい。半導体ウエハの裏面研削時には貼り付けられた粘着テープは常温から40℃程度になるが、23℃における貯蔵弾性率(G’)がこの範囲であると、粘着テープを半導体ウエハ表面に貼り付けた後、半導体ウエハを裏面研削する際に、粘着テープにかかる圧力によって中間樹脂層が流動したり、はみ出ることを防止できるため、粘着テープが半導体ウエハを適切に保持し、裏面研削時の衝撃を適度に緩和することができるので、半導体ウエハの裏面研削時においては、半導体ウエハの破損を抑制し、裏面研削後においては、半導体ウエハ表面のディンプルの発生を抑制し、半導体ウエハの厚さのバラツキを小さくすることができる。
中間樹脂層2は、貼り付け温度における貯蔵弾性率を調節する観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は、1種であってもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂の代表的な例としては、ポリエチレン(PE);ポリブテン;エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(EEAMAH)、エチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレン共重合体;ポリオレフィン系共重合体;ブタジエン系エラストマー、エチレン-イソプレン系エラストマー、エステル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;熱可塑性ポリエステル;ポリアミド12系共重合体などのポリアミド系樹脂;ポリウレタン;ポリスチレン系樹脂;セロハン;ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
また、前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量の範囲は20,000~300,000であることが好ましく、さらに好ましくは30,000~250,000である。
中間樹脂層2は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んで成ることが好ましい。中間樹脂層がエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む場合、半導体ウエハ表面の凹凸形状による高低差が50~300μmであった場合にも、凹凸形状に対する適度な追従性を有し易い。ある一形態においては、中間樹脂層がエチレン-酢酸ビニル共重合体から実質的に成るものである。
エチレン-酢酸ビニル共重合体は25~40質量%の酢酸ビニルを含有する。EVAの酢酸ビニル含有量が25質量%未満であると中間樹脂層の柔軟性が不十分になり、被着面の凹凸に対する追従性が低下し、40質量%を超えると中間樹脂層が柔らかくなりすぎて巻き取ったあとブロッキングが生じ易く、安定した製膜が困難となり生産性が低下する。
エチレン-酢酸ビニル共重合体は、25~40質量%の酢酸ビニルを含有するものの中でも、特にメルトマスフローレート(MFR)が2~700g/10分であることが好ましく、5~400g/10分であることがより好ましい。メルトマスフローレートがこの範囲であると、半導体ウエハ表面の凹凸形状に対する適度な追従性を有することができると同時に基材1に対して中間樹脂層として安定した溶融押出製膜が可能となる。
中間樹脂層2は特性を損なわない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、粘着付与剤、可塑剤、柔軟剤、充填剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤などが挙げられる。中間樹脂層2は1層で構成されていてもよいが、同種又は異種の複数の層からなる多層構造を有していてもよい。中間樹脂層が多層構造を有する場合には、中間樹脂層の厚さは複数の層の合計の厚さをいう。
中間樹脂層2の厚さは被着面の凹凸形状による高低差や凹凸部の形成時の高低差のバラツキに応じて決定される。中間樹脂層の厚さは、例えば、被着面の凹凸形状による高低差の1.2倍以上である。中間樹脂層の厚さが被着面の凹凸形状による高低差の1.2倍未満であると、被着面の凹凸の高低差を十分に吸収しきれずに被着面に密着できず、バックグラインド時に研削屑又は研削水が浸入するおそれがある。また、粘着テープを貼り付けた際に、被着面の凹凸の凸部が基材を突き出すため、バックグラインド後の半導体ウエハ表面にディンプルが発生するおそれや半導体ウエハ厚さにバラツキが生じるおそれがある。中間樹脂層の厚さは、好ましくは、凹凸形状による高低差の1.4~1.6倍である。
中間樹脂層2を基材1に積層する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、中間樹脂層2を押出機でフィルム状に押出成形しながら予め用意しておいた基材1とラミネートする方法、基材1と中間樹脂層2を共押出する方法、基材1に樹脂溶液を塗布・乾燥して形成する方法などが挙げられる。押出の方法は、Tダイ押出法やインフレーション法が挙げられる。
粘着層3は、半導体ウエハ表面に密着することでこれを密閉し、バックグラインド中に研削屑又は研削水が浸入するのを防止し、バックグラインド中に半導体ウエハを保持するのに最低限必要な粘着力を有する粘着剤から形成する。粘着層3は、バックグラインドが終了した後に容易に剥離される必要があり、粘着剤の粘着力は、上記特性を満たす限りにおいて、できるだけ弱いことが好ましい。
粘着層3は、ステンレス鋼に対する25℃での粘着力が0.10N/25mm以上、0.50N/25mm以下である。粘着層の上記粘着力が0.10N/25mmに満たない場合には、被着面の密閉が不十分になり、バックグラインド中に被着面に研削屑又は研削水が浸入するおそれがある。また、粘着テープを、凹凸形状を有する半導体ウエハの表面に貼り合わせた後でウエハ表面からの粘着テープが浮き上がるおそれがある。粘着層の上記粘着力が0.50N/25mmを超えると、バックグラインド終了後に剥離する際に、被着面に糊残りが発生するおそれや被着面に存在する構造物、例えば、回路パターン又は電極やバンプ部が損傷するおそれがある。
粘着層3のステンレス鋼に対する「粘着力」は、23℃において2kgローラーを一往復することで粘着テープを、JIS R 6253に規定する280番の耐水研磨紙で仕上げたステンレス鋼に貼り付け、貼り付けた粘着層を23℃で300mm/分の剥離速度で180度の角度で剥離した際の180度ピール粘着力を意味する。
粘着層3は、被着面から剥離した後に、被着面に残存しない粘着剤から形成する。粘着層3を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤が挙げられる。例えば、粘着層の貼り付け面に空気が挟まれた場合、具体的はバンプ付半導体ウエハのバンプ周辺部に空気が混入した場合であっても、剥離時に、放射線硬化型アクリル系粘着剤に見られるような酸素障害による硬化不良に起因する被着面に対する糊残りが生じないようにするために、アクリル系粘着性ポリマーを主成分として含む粘着剤であって、最終的に粘着テープに製造加工された状態では非硬化性であることが好ましい。
文言「主成分」とは、材料の物性及び特性が決定されるのに十分な量で含まれている成分をいう。粘着剤において、主成分は、一般に50質量%以上、70質量%以上、又は85質量%以上の量で含有される。主成分以外の粘着剤の成分としては、架橋剤、可塑剤、柔軟剤、充填剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。文言「非硬化性」とは、粘着剤層を半導体ウエハ表面から剥離させる際に、粘着剤が硬化性能を有していないことを意味する。すなわち、粘着剤層を半導体ウエハ表面から剥離させる際に、放射線照射や熱等の外部エネルギーの後印加により粘着剤が硬化しないことを意味する。具体的には、最終的に粘着テープに製造加工された状態において光感応基や熱感応基などの重合反応部位や架橋反応部位が残存していない粘着剤を意味する。
アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤は、2.0mgKOH/g以下の酸価及び1.0~15.0mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましい。ここで、酸価とは、対象物1g中に含まれる酸性成分を中和するために必要とする水酸化カリウムの量(mg)である。また、水酸基価とは、対象物1g中に含まれるOH基をアセチル化するために必要とする水酸化カリウムの量(mg)である。アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価及び水酸基価を上記範囲とすることにより、上記基材1と中間樹脂層2との組み合わせにおいて、粘着力を上記の適正な範囲とすることができ、その結果バックグラインド中には被着面に研削屑又は研削水が浸入することを防ぎ、バックグラインド後には被着面に糊残りすることなく粘着テープを容易に剥離することができる。
アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価が2.0mgKOH/gを超えると、粘着層の剥離力が大きくなり、被着面に糊残りが発生しやすくなる。アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価は、好ましくは1.0mgKOH/g以下である。アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価は0が好ましいが、アクリル酸エステルを使用する場合、酸価を完全に無くすることは、実質的に困難である。
アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の水酸基価が1.0mgKOH/g未満であると、特に架橋剤として水酸基と反応するイソシアネート基を含有する化合物を用いる場合、粘着層中の架橋密度が低下し、凝集力が低下するため、被着面に糊残りが発生しやすくなる。アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の水酸基価が15.0mgKOH/gを超えると、粘着層の剥離力が大きくなり、被着面に糊残りが発生しやすくなる。アクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の水酸基価は、好ましくは2.0~5.0mgKOH/gである。
アクリル系粘着性ポリマーの具体例には、モノマー成分として、アルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)を少なくとも有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)がある。
アルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数使用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、複数のアルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)を使用する場合、1種を主モノマーとして使用し、他をコモノマーとして使用してもよい。なお、アルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)のアルキル基数は、特に限定されるものではないが、生産コストを考慮すれば、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。また、アルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)は、単独重合体のガラス転移温度で0℃以下のものが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)中のアルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)の総含有量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは50~100質量%である。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、上記アルキル基含有(メタ)アクリル系モノマー(a1)の1種を主モノマーとして有していれば、コモノマーとして官能基含有(メタ)アクリル系モノマーを有する共重合体であってもよい。官能基含有(メタ)アクリル系モノマーを使用することにより、凝集力などの他の特性を向上することができる。
官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルなどの水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有(メタ)アクリル系モノマーなどが挙げられる。これらは、単独でまたは複数使用してもよい。このような官能基含有(メタ)アクリル系モノマーは、単独重合体のガラス転移温度で0℃より高いものが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーの総含有量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは0~30質量%であるが、最終的にアクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価が2.0mgKOH/g以下、水酸基が1.0~15.0mgKOH/gの範囲となるように適宜調整すれば良い。
また、(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、凝集力などの他の特性の向上を目的として、コモノマーとしてさらに他のモノマーを含有してもよい。このような他のモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリンなどの窒素原子含有環を有するモノマーが挙げられる。これらは、単独でまたは複数使用してもよい。これらの他のモノマーの総含有量は、モノマー成分全量に対して、好ましくは0~10質量%であるが、最終的にアクリル系粘着性ポリマーを含む粘着剤の酸価が2.0mgKOH/g以下、水酸基が1.0~15.0mgKOH/gの範囲となるように適宜調整すれば良い。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)を合成するための重合方法としては、従来公知の溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが挙げられ、これらの中でも重合が均一に進行する溶液重合法が好ましい。溶液重合を行う場合の有機溶剤としては、具体的には、例えば、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは複数使用してもよい。これらの中でもトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼンメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどの、一般に(メタ)アクリル系ポリマー(A)に対して良溶剤で、60~120℃の沸点を有する有機溶剤が好ましい。また、重合開始剤としては、α,α'-アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾビス系;ベンゾペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤が挙げられる。
上記のようにして得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量MwAは、好ましくは10万~100万であり、より好ましくは30万~70万である。重量平均分子量MwAが10万未満であると、高温下で粘着剤成分が流れ、保持性が低下する場合や被着体に糊残りが発生する場合がある。一方、重量平均分子量MwAが100万より大きいと、合成時及び塗工時に粘着剤成分がゲル化したり、被着面の凹凸に対する追従性が低下する場合がある。なお、本明細書において、重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるポリスチレン換算の測定値である(溶媒:テトラヒドロフラン)。
粘着層3は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)がコモノマーとして官能基含有(メタ)アクリル系モノマーを有する場合、該官能基含有(メタ)アクリル系モノマーによって分子内に導入された官能基と架橋する架橋剤を含有してもよい。このような架橋剤を使用することにより、三次元架橋構造を形成することができ、凝集力を向上させることができる。
架橋剤としては、具体的には、例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、酸無水化合物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独でまたは複数使用してもよい。これらの中でも、反応性に優れるイソシアネート基を有するポリイソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤の含有量は、官能基含有(メタ)アクリル系モノマーの含有量にもよるが、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部である。架橋温度は、好ましくは、20~70℃であり、架橋時間は、好ましくは1日~7日である。
粘着層3の厚さは、回路パターン面の凹凸の高低差や、半導体ウエハの保持性、保護性を損なわない範囲で適宜選択できるが、好ましくは5~50μmである。より好ましくは10~30μmである。粘着層の厚さが5μm未満であると粘着力が低くなり、バックグラインド時に研削屑又は研削水が浸入するおそれがある。粘着層の厚さが50μmを超えると粘着力が大きくなり、粘着テープの剥離時に被着面に糊残りが発生するおそれやバンプや突起電極などの構造物を破損するおそれがある。
粘着層3を形成する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、塗布法により形成される。すなわち、粘着剤をトルエン、酢酸エチルなどの有機溶剤で希釈して粘着層塗工液を得る。次いで、得られた粘着層塗工液を、あらかじめ基材1に積層された中間樹脂層2の表面に塗布して乾燥させ、硬化させることにより粘着層3を形成する。必要に応じて粘着層3の上に剥離ライナーを貼り合せる。あるいは、粘着層塗工液を一旦、剥離ライナーの表面に塗布して乾燥させ、次いで、あらかじめ基材1に積層された中間樹脂層2の表面に剥離ライナーと共に貼合、硬化させて粘着層3を形成しても良い。作業性の観点からは後者の塗布転写法により形成することが好ましい。
本発明のバックグラインド用粘着テープは、凹凸形状が存在する半導体ウエハ表面に適用することが好ましい。凹凸形状としては、例えば、突起状のバンプ電極、回路等の構造物の外形が挙げられる。本発明のバックグラインド用粘着テープの適用可能な凹凸形状の高低差は特に指定されるものではないが、前記被着面に存在する凹凸形状の高低差は、好適には50~300μmである。
本発明のバックグラインド用粘着テープをバックグラインドに適用する際には、バックグラインド用粘着テープは、粘着層及び中間樹脂層が被着面の凹凸形状に沿って変形するのに十分な柔軟性を有する温度に加熱し、粘着層を半導体ウエハの表面に貼付ける。バックグラインド用粘着テープを貼付ける温度は、通常55~80℃、好ましくは60~75℃である。
本発明のバックグラインド粘着テープは、図3に示したように、バンプ付半導体ウエハ表面に貼り付け、真上からマイクロスコープで観察した際に、粘着テープ越しに観察・測定されるバンプの直径をr、該バンプ周縁部において粘着テープが半導体ウエハ表面に対して密着できずに形成された円形状の非密着部の直径をrとすると、r/rの値が1.15~1.50であることが好ましい。r/rの値が1.0に近づくほどバンプ周辺部に空気がほとんど混入せずに粘着テープがバンプに完全に追従していることを意味する。しかしながら、完全に追従させると、粘着テープ剥離時に、半導体ウエハのバンプ部を破損させる可能性が高くなる。本発明のバックグラインド粘着テープは、r/rの値を上記範囲とすることにより完全にバンプに追従させない適切な追従状態を作り出し、上記粘着層3との組み合わせにおいて、バックグラインド時においては、半導体ウエハの破損を抑制し、粘着テープ剥離時においては、半導体ウエハのバンプ部が破損することを抑制し、かつ被着面に糊残りが生じないようにすることができる。上述したように粘着剤に放射線硬化型アクリル系粘着剤を適用した場合、完全にバンプに追従させないと空気に含まれる酸素の障害による硬化不良に起因する被着面に対する糊残りが生じる場合があるが、本発明のバックグラインド粘着テープの粘着層は適正な粘着力を有する非硬化性粘着層としているので、図2に示すように、例え空気が混入していても、粘着テープ剥離時において被着面に糊残りが生じないようにすることができる。r/rの値が1.50を超えると、バックグラインド中に被着面に研削屑又は研削水が浸入する可能性が高くなる。
バックグラインドが終了した後に、本発明のバックグラインド用粘着テープは、粘着層が被着面から脱着されることで剥離される。粘着層の脱着は、バックグラインド用粘着テープを半導体ウエハ表面から引き離すことで行われる。粘着剤層に含まれる粘着剤は非硬化性であり、剥離時に放射線照射又は加熱を行う必要はない。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」とあるのは、「質量部」を意味する。
(実施例1)
<基材と中間樹脂層の積層体の作製>
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:75μm)の片面にポリオレフィン系樹脂のアンカーコート層(厚さ:1μm)により易接着処理を施したものを準備した。中間樹脂層の熱可塑性樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)(酢酸ビニル(VA)含有量:32質量%、メルトマスフローレート:30g/10分)を用い、溶融押し出し法により、上記基材のアンカーコート層上に厚さが350μmとなるように中間樹脂層を形成し、連続して、中間樹脂層の表面にコロナ処理を施した後、上記コロナ処理面に保護フィルムを貼合して巻き取り、保護フィルム付きの基材と中間樹脂層の積層体を作製した。
<粘着剤溶液Aの作製>
固形分濃度44質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:0.3mgKOH/g、水酸基価:3.2mgKOH/g、分子量Mw:40万、溶剤:トルエン)100質量部、トリレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:75質量%)2.07質量部、酢酸エチル28.07質量部を混合撹拌し、固形分濃度35質量%の粘着剤溶液Aを作製した。
<粘着剤層の形成およびバックグラインド用粘着テープの作製>
上記粘着剤溶液Aを、片面がシリコーン処理された離型PETフィルム(厚さ:38μm)のシリコーン処理された側の面上に、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布、乾燥し、乾燥された粘着剤層の面を、あらかた保護フィルムが剥がされた基材と中間樹脂層の積層体の中間樹脂層側の面に貼合して巻き取った。次いで、得られたロールを塗工機に再度、通紙し、前記離型PETフィルムを剥がした後、改めてポリエチレン系保護フィルム(厚さ:100μm)を粘着剤層の面に貼合し直した。このロールを40℃の環境下で72時間エージングして、バックグラインド用粘着テープを作製した。
<粘着力(=剥離力)の測定>
上記バックグラインド用粘着テープについて、粘着力を以下の方法で測定した。上記バックグラインド用粘着テープを、後述するバンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け温度と同じ75℃まで加温し、2kgローラーを一往復することで上記バックグラインド用粘着テープを、JIS R 6253に規定する280番の耐水研磨紙で仕上げたステンレス鋼に貼り付け、貼り付けた粘着層を23℃で300mm/分の剥離速度で180度の角度で剥離した際の180度ピール粘着力を測定した。
上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.40N/25mm(貼り付け温度75℃)であった。
<貯蔵弾性率(G’)および損失正接(tanδ)の測定>
上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層について、貯蔵弾性率(G’)および損失正接(tanδ)を以下の方法で測定した。中間樹脂層に用いた樹脂サンプル(厚さ500μm)を準備し、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の粘弾性測定装置DMA6100(製品名)を用いて、動的粘弾性を測定し、貯蔵弾性率を求めた。測定条件は、周波数1Hzのせん断ひずみを与えながら、昇温速度5℃/分とし、0℃から85℃まで温度を変化させ、各温度での、損失弾性率(G’’)、貯蔵弾性率(G’)の値を求めた。損失正接(tanδ)は下記式を用いて算出した。
損失正接(tanδ)=損失弾性率(G’’)/貯蔵弾性率(G’)
上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の75℃における貯蔵弾性率(G’)は0.37×10Pa、損失正接(tanδ)は0.30であった。また、23℃における貯蔵弾性率(G’)は5.62×10Pa、損失正接(tanδ)は0.08であった。
<バンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け>
バンプ付き半導体ウエハとしては、8インチウエハ(厚さ800μm)の表面に以下の高さと間隔で半田バンプを設けたものを使用した。
半田バンプ高さ:250μm
半田バンプ直径:350μm
半田バンプピッチ:900μm
テープマウンターとしてリンテック社製のRAD3510(製品名)を用いて、貼り付け温度75℃とし、0.45MPaの一定圧力をかけながら、2.0mm/secのスピードでバックグラインド用粘着テープをバンプ付半導体ウエハに貼り付け、研削用の試料を作製した。この場合、中間樹脂層の厚さは、バンプ高さに対して1.4倍である。
(実施例2)
粘着剤溶液Aを以下の粘着剤溶液Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.50N/25mmであった。
<粘着剤溶液Bの作製>
固形分濃度30質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:1.9mgKOH/g、水酸基価:3.2mgKOH/g、分子量Mw:50万、溶剤:トルエン)100質量部、トリレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:75質量%)0.24質量部、酢酸エチル0.36質量部を混合撹拌し、固形分濃度30質量%の粘着剤溶液Bを作製した。
(実施例3)
粘着剤溶液Aを以下の粘着剤溶液Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.33N/25mmであった。
<粘着剤溶液Cの作製>
固形分濃度60質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:0.1mgKOH/g、水酸基価:15.0mgKOH/g、分子量Mw:45万、溶剤:トルエン)100質量部、トリレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:75質量%)0.6質量部、酢酸エチル72.1質量部を混合撹拌し、固形分濃度35質量%の粘着剤溶液Cを作製した。
(実施例4)
バンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け温度を75℃から80℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の80℃における貯蔵弾性率(G’)は0.19×10Pa、損失正接(tanδ)は0.45であった。また、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.43N/25mm(貼り付け温度80℃)であった。
(実施例5)
バンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け温度を75℃から55℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の55℃における貯蔵弾性率(G’)は1.51×10Pa、損失正接(tanδ)は0.13であった。また、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.22N/25mm(貼り付け温度55℃)であった。
(実施例6)
中間樹脂層の熱可塑性樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)(酢酸ビニル(VA)含有量:28質量%、メルトマスフローレート:150g/10分)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.33N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。また、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の75℃における貯蔵弾性率(G’)は0.15×10Pa、損失正接(tanδ)は0.40で、23℃における貯蔵弾性率(G’)は6.84×10Pa、損失正接(tanδ)は0.08であった。
(実施例7)
中間樹脂層の熱可塑性樹脂として、酢酸ビニル含有量の異なる2種のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)(酢酸ビニル(VA)含有量:32質量%、メルトマスフローレート:30g/10分と酢酸ビニル(VA)含有量:42質量%、メルトマスフローレート:70g/10分)とを1対1の質量比で混合溶融したEVA(酢酸ビニル(VA)含有量:37質量%、メルトマスフローレート:50g/10分)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.45N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。また、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の75℃における貯蔵弾性率(G’)は0.18×10Pa、損失正接(tanδ)は0.49で、23℃における貯蔵弾性率(G’)は4.73×10Pa、損失正接(tanδ)は0.08であった。
(実施例8)
中間樹脂層の厚さを300μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。この場合、中間樹脂層の厚さは、バンプ高さに対して1.2倍である。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.38N/25mm(貼り付け温度75℃)であった。
(実施例9)
中間樹脂層の厚さを400μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。この場合、中間樹脂層の厚さは、バンプ高さに対して1.6倍である。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.40N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
(実施例10)
基材の厚さを50μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.45N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
(実施例11)
基材の厚さを200μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.23N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
(実施例12)
粘着剤層の厚さを10μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.18N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
(実施例13)
粘着剤層の厚さを40μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.48N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
(比較例1)
粘着剤溶液Aを以下の粘着剤溶液Dに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.82N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
<粘着剤溶液Dの作製>
固形分濃度40質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:12.4mgKOH/g、水酸基価:1.5mgKOH/g、分子量Mw:100万、溶剤:トルエン)、トリレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:75質量%)1.2質量部、酢酸エチル15.66質量部を混合撹拌し、固形分濃度35質量%の粘着剤溶液Dを作製した。
(比較例2)
粘着剤溶液Aを以下の粘着剤溶液Eに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.12N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
<粘着剤溶液Eの作製>
固形分濃度35質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:0.5mgKOH/g、水酸基価:0.9mgKOH/g、分子量Mw:33万、溶剤:トルエン)100質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:100質量%)0.1質量部、酢酸エチル0.19質量部を混合撹拌し、固形分濃度35質量%の粘着剤溶液Eを作製した。
(比較例3)
粘着剤溶液Aを以下の粘着剤溶液Fに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.52N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
<粘着剤溶液Fの作製>
固形分濃度40質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:<1mgKOH/g、水酸基価:43mgKOH/g、分子量Mw:10万、溶剤:酢酸エチル、トルエン)20質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:100質量%)2.33質量部、酢酸エチル0.32質量部を混合撹拌し、固形分濃度35質量%の粘着剤溶液Fを作製した。
(比較例4)
バンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け温度を75℃から85℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の85℃における貯蔵弾性率(G’)は0.12×10Pa、損失正接(tanδ)は0.60であった。また、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.45N/25mmであった(貼り付け温度85℃)。
(比較例5)
バンプ付半導体ウエハへのバックグラインド用粘着テープの貼り付け温度を75℃から50℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープに使用した中間樹脂層の50℃における貯蔵弾性率(G’)は1.88×10Pa、損失正接(tanδ)は0.13であった。また、上記バックグラインド用粘着テープの粘着力は0.11N/25mmであった(貼り付け温度50℃)。
(比較例6)
粘着剤溶液Aを以下の紫外線硬化型粘着剤からなる粘着剤溶液Gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、バックグラインド用粘着テープおよび研削用試料を作製した。なお、上記バックグラインド用粘着テープの基材側から紫外線(積算光量:300mJ/cm)を照射した後の粘着力は0.02N/25mmであった(貼り付け温度75℃)。
<粘着剤溶液Gの作製>
固形分濃度33質量%のアクリル酸エステル共重合体から成るアクリル系粘着剤(酸価:6.5mgKOH/g、水酸基価:40.0mgKOH/g、分子量Mw:60万、溶剤:酢酸エチル)100質量部、トリレンジイソシアネート系架橋剤(固形分濃度:45質量%)0.5質量部、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤0.7重量部、酢酸エチル10.3質量部を混合撹拌し、固形分濃度30質量%の粘着剤溶液Gを作製した。
上記の実施例1~13および比較例1~6で作製したバックグラインド用粘着テープおよび研削用試料について、以下の試験を行い、その性能を評価した。評価結果を下記表1~3に記載した。
<バンプ追従性>
バックグラインド用粘着テープをバンプ付半導体ウエハ表面に貼り付けた研削用試料を、真上からキーエンス社製のマイクロスコープ“VHX-1000”(製品名)で観察した際に、粘着テープ越しに観察・測定される任意のバンプの直径をr、該バンプ周縁部において粘着テープが半導体ウエハ表面に対して密着できずに形成された円形状の非密着部の直径をrとし、r/rの値を求め、バンプ追従性を評価した。なお、各直径の測定は各方向4点について行い、その平均値をr、rの値とした。
<研削水(研削屑)侵入の発生率(%)>
バックグラインド用粘着テープをバンプ付半導体ウエハ表面に貼り付けた研削用試料5枚について、ウエハの裏面からディスコ(株)社製のシリコンウエハ研削機“DFG8540”(製品名)によりウエハの厚さが250μmになるまで研削を行った。裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚について、ウエハ表面への研削水の浸入の状態をマイクロスコープによって観察し、以下の式より研削水浸入の発生率を算出した。
研削水浸入の発生率(%)=(研削水が浸入したウエハの枚数/研削したウエハの枚数)×100
<裏面研削後のバンプ付半導体ウエハの破損率(%)>
裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚について、ウエハの破損およびクラック発生の状態を目視またはマイクロスコープによって観察し、以下の式より半導体ウエハの破損率を算出した。
半導体ウエハの破損率(%)=(破損したウエハの枚数/研削したウエハの枚数)×100
<裏面研削後のバンプ付半導体ウエハのバンプ部の破損率(%)>
裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚の任意の1枚について、ウエハのバンプ部の破損の状態をマイクロスコープによって観察し、以下の式より半導体ウエハのバンプ部の破損率を算出した。
半導体ウエハのバンプ部の破損率(%)=(破損したバンプの個数/ウエハのバンプの個数)×100
<裏面研削後のバンプ付半導体ウエハのディンプル発生の有無>
裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚について、ウエハ研削表面のディンプル発生の有無を目視によって観察した。また、目視でディンプルが観察されたものについては、Tylor Hobson社製の表面粗さ計“Surtoronic4”(製品名)を用いて、ディンプルの最大深さRzを測定し、以下の基準で判定を行った。
◎:目視ではディンプルが観察されなかったもの
○目視ではディンプルが観察されたが、最大深さが2.5μm未満であったもの
×:目視ではディンプルが観察されたが、最大深さが2.5μm以上であったもの
<裏面研削後のバンプ付半導体ウエハの厚さのバラツキ>
裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚について、ウエハ面の厚み精度TTV(最大厚み―最少厚み)を、ISIS社製の厚み制度測定装置“SemDex”(製品名)を用いて測定した。測定間隔はX方向:0.1mm、Y方向:10mmにてウエハ全面(200mm×200mmの範囲)を測定し、以下の基準で判定を行った。
○:TTVが3μm未満であったもの
×:TTVが3μm以上であったもの
<バックグラインド用粘着テープ剥離後のバンプ付半導体ウエハ表面の糊残の有無>
裏面研削後のバンプ付半導体ウエハ5枚について、バックグラインド用粘着テープ剥離後のバンプ付半導体ウエハ表面の糊残の有無をマイクロスコープによって観察した。
Figure 2022121480000002
Figure 2022121480000003
Figure 2022121480000004
表1~表3に示すように、実施例1~13のバックグラインド用粘着テープは、半田バンプ付き半導体ウエハに貼り付けた際には、半田バンプに適切に追従し、また、裏面研削した際には、ディンプルの発生およびウエハの破損の発生が極めて少なく、さらに、粘着テープを剥離する際には、バンプ部の破損の発生が極めて少なく、ウエハ表面に糊残りを発生させることなく容易に剥離することができ、裏面研削後のウエハの厚さのバラツキを十分に抑制できていることが分かる。
これに対し、比較例1のバックグラインド用粘着テープは、粘着剤の酸価が高く、半田バンプ付き半導体ウエハに強固に接着してしまい、粘着テープを剥離した際に、半田バンプに糊残りが生じた。
比較例2のバックグラインド用粘着テープは、粘着剤の水酸基価が低く、架橋剤による粘着剤の架橋が不十分なため、粘着剤の凝集力が不足し、粘着テープを剥離した際に、半田バンプに糊残りが生じた。
比較例3のバックグラインド用粘着テープは、粘着剤の水酸基価が高く、半田バンプ付き半導体ウエハに強固に接着してしまい、粘着テープを剥離した際に、糊残りが生じた。
比較例4のバックグラインド用粘着テープは、テープ貼付け温度が所定温度より高いため中間層樹脂の貯蔵弾性率が低下して半田バンプ付き半導体ウエハの凹凸に隙間なく噛み込んでしまい、粘着テープを剥離した際に、半田バンプの破損を生じた。
比較例5のバックグラインド用粘着テープは、テープ貼付け温度が所定温度より低いため中間層樹脂の貯蔵弾性率が高く、半田バンプ付き半導体ウエハの凹凸に対して追従しなかったため、バックグラインド時に研削水が浸入した。
比較例6のバックグラインド用粘着テープは、半田バンプ付き半導体ウエハの半田バンプ周辺部に空気が混入し、紫外線照射時の硬化不良により、粘着テープを剥離した際に、半田バンプ周辺に糊残りが生じた。
本発明によれば、バンプや電極突起などの凹凸形状を有する半導体ウエハに貼り付けた際には、バンプや電極突起に適切に追従し、また、裏面研削した際には、ディンプルの発生やウエハの破損の発生率が極めて少なく、さらに、粘着テープを剥離する際には、バンプ部や電極突起の破損の発生率が極めて少なく、被着面に糊残りを発生させることなく容易に剥離することができ、裏面研削後のウエハの厚さのバラツキを十分に抑制することができるバックグラインド用粘着テープを提供することができる。
1…基材、
2…中間樹脂層、
3…粘着層、
4…半導体ウエハ、
5…半田バンプ。

Claims (9)

  1. 基材と、該基材上に順次形成された中間樹脂層及び粘着層とを有する、半導体ウエハのバックグラインド用粘着テープであって、
    該中間樹脂層は、55~80℃のいずれかの温度において、0.15×10~1.51×10Paの貯蔵弾性率(G’)を有し、
    該粘着層は、2.0mgKOH/g以下の酸価及び1.0~15.0mgKOH/gの水酸基価を有するアクリル系粘着性ポリマーを主成分として含む非硬化性粘着剤から成るものであることを特徴とするバックグラインド用粘着テープ。
  2. 前記中間樹脂層は、半導体ウエハ表面に存在する凹凸形状の高低差の1.2倍以上の厚さを有する、請求項1に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  3. 前記中間樹脂層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んで成る、請求項1又は2に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  4. 前記エチレン-酢酸ビニル共重合体は、25~40質量%の酢酸ビニルを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  5. 前記基材は、50~200μmの厚さを有する、請求項1又は2に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  6. 前記粘着層は、5~50μmの厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  7. 前記半導体ウエハ表面に貼り付け、真上からマイクロスコープで観察した際に、粘着テープ越しに観察・測定されるバンプの直径をr、該バンプ周縁部において粘着テープが半導体ウエハ表面に対して密着できずに形成された円形状の非密着部の直径をrとすると、r/rの値が1.15~1.50である、請求項1~6のいずれか一項に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  8. 前記半導体ウエハ表面に存在する凹凸形状の高低差は、50~300μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のバックグラインド用粘着テープ。
  9. 前記粘着テープを前記半導体ウエハに貼り付ける時の貼り付け温度が55~80℃のいずれかの温度である、請求項1~8のいずれか一項に記載のバックグラインド用粘着テープ。
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