JP2022121158A - 偏光板用粘着剤組成物、及びそれを用いてなる偏光板用粘着剤、偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板ならびに画像表示装置 - Google Patents

偏光板用粘着剤組成物、及びそれを用いてなる偏光板用粘着剤、偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板ならびに画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アクリル系樹脂とイオン性化合物を含有する偏光板用粘着剤組成物において、長期でのリワーク性に優れ、更に高温、高温高湿及び冷熱衝撃環境下でも剥がれが起こらず耐久性、及び帯電防止性に優れた粘着剤を形成する偏光板用粘着剤組成物を提供すること。【解決手段】重量平均分子量50万以上100万未満であるアクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)の重合成分(a)として、水酸基含有モノマー(a1)を4~10重量%、カルボキシ基含有モノマー(a2)を0.9~2.5重量%、水酸基含有モノマー(a1)とカルボキシ基含有モノマー(a2)とを合計で5~10.5重量%含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板用粘着剤組成物、その偏光板用粘着剤組成物を用いてなる偏光板用粘着剤、及びその偏光板用粘着剤を用いた画像表示装置に関するものであり、詳細には、長期間のリワーク性、耐久性、及び帯電防止性のすべてに優れる粘着剤層を得ることができる、偏光板用粘着剤組成物、及びそれを用いてなる偏光板用粘着剤、偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板ならびに画像表示装置に関するものである。
液晶表示装置は液晶テレビ、コンピューターディスプレイ、携帯電話やデジタルカメラ等の画像表示装置として広く用いられている。かかる液晶表示装置は、液晶が封入されたガラス基板(液晶セル)の両面に偏光板が積層された構成となっており、必要に応じて位相差板等の各種光学素子が更に積層されている。
液晶表示装置の製造においては、通常、離型処理したフィルム上にアクリル系樹脂を含有する粘着剤層を設け、離型フィルムと反対側の粘着剤層面を偏光板に貼付して粘着剤層付偏光板を製造しておき、その後、液晶セルと貼り合わせる際に、離型フィルムを剥離して粘着剤層と液晶セルのガラス基板を貼付して製造される。
このような偏光板と液晶セルのガラス基板との貼り合わせに用いられる偏光板用粘着剤は、偏光板を液晶セルに貼り合わせる際に、貼り合わせ位置を誤ったり、異物が混入した場合において、偏光板を液晶セルから剥離し、液晶セルを再利用するため、ガラス基板に対して糊残り無く、容易に偏光板を剥離できる再剥離性(リワーク性)が必要とされている。
さらに、偏光板用粘着剤には、高温環境下(85℃Dry)や高温高湿環境下(65℃90%RH)、冷熱衝撃環境下(-30←→80℃サイクル)においても、偏光板がガラス基板から浮いたり、剥がれたりしない、高い耐久性が要求されている。
一方、液晶セルは電圧を制御して駆動しているため、静電気により表示ムラや故障といった問題が発生する。静電気は、粘着剤層と偏光板と液晶セルのガラス基板とを貼り合わせる際や剥離する際に発生し易いため、粘着剤に帯電防止性能を持たせることが求められている。
上記のようなリワーク性や耐久性、帯電防止性能をすべて満足させる手法として、重量平均分子量が100万以上のアクリル系樹脂を使用し、イオン性化合物の中でもイオン性液体を添加する方法が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照。)。これは、分子量100万以上の高分子量のアクリル系樹脂を使用することで、粘着剤に凝集力を付与し、リワーク性や耐久性を担保することに加え、更には、イオン性液体による可塑化によって引き起こされる耐久性の悪化にも耐えうる粘着剤層を形成する手法となっている。
重量平均分子量が100万以上のアクリル系樹脂を使用する場合は、粘着剤組成物の粘度が高くなり、取り扱いが困難となるため、有機溶剤で希釈し固形分を20重量%以下まで低下させて使用されている。しかしながら、近年では環境問題への意識の高まりから揮発性有機化合物(VOC)の排出の低減が必要であり、粘着剤においても有機溶剤使用量の低減が求められている。
それに対して、特許文献2において、固形分25重量%以上、重量平均分子量が50万以上100万以下の水酸基含有ポリマーに対して、特定のラジカル発生剤を添加した粘着剤組成物を使用することで、一般的な偏光板用粘着剤組成物と比較して低分子量ながらも、優れたリワーク性及び耐久性を維持しつつ有機溶剤使用量低減が図れる粘着剤組成物の提案がされている。
特開2020-129103号公報 特開2011-57794号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の粘着剤において、耐久性及びリワーク性と、粘着剤溶液の高固形分化の両立を実現しているものの、ラジカル発生剤として過酸化物を使用しているため、配合物の経時安定性に懸念がある。それに加え、偏光板用粘着剤においては、帯電防止性能付与のために低分子量のイオン性化合物を添加するのが一般的であるが、重量平均分子量100万未満の低分子量のアクリル系樹脂に添加した場合、重量平均分子量100万以上のアクリル系樹脂に添加した場合より顕著な可塑化が起こり、耐久性やリワーク性が悪化してしまうため、単に特許文献2に対してイオン性化合物を添加しても、耐久性、リワーク性、帯電防止性能のすべてを満足することは困難であった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、長期間のリワーク性、耐久性、及び帯電防止性のすべてに優れる偏光板用粘着剤組成物、及びそれを用いてなる偏光板用粘着剤、偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板ならびに画像表示装置を提供することを目的とする。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた。
一般的にアクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物において、溶液粘度を低下させ、固形分を上げる方法としては、アクリル系樹脂の重量平均分子量を下げる方法が一般的である。
また、粘着剤組成物の耐久性を向上させる方法としては、アクリル系樹脂の重合に用いるモノマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上のモノマー(高Tgモノマー)を共重合する方法や、極性官能基(水酸基やカルボキシ基)を有するモノマーを共重合する方法が知られている。
上記のことから、低溶液粘度、高固形分かつ高耐久性を実現する方法として、アクリル系樹脂として、重量平均分子量が低く、高Tgモノマーや極性官能モノマーを共重合成分として有するものを用いることが考えられる。しかしながら、単に高Tgモノマーを共重合し、重量平均分子量が低いアクリル系樹脂を用いた場合においては、粘着剤層全体が硬くなることで密着性が低下し、かえって高温条件下において剥がれが発生することになる。また、極性官能基を共重合し、重量平均分子量が低いアクリル系樹脂を用いた場合においては、粘着剤層の凝集力が担保できないことに加え、ガラス面との密着性が高くなることにより、リワーク性が悪化することになる。
更には、帯電防止性の付与のため、重量平均分子量が低いアクリル系樹脂に、イオン性化合物を含有させた場合には、顕著な可塑化が起こり、耐久性やリワーク性が悪化してしまうという問題があった。
本発明者らは、本来ならば充分な凝集力が得られず、イオン性化合物を含有させると更にリワーク性や耐久性の劣る、重量平均分子量100万未満のアクリル系樹脂に対して、通常であればリワーク性が悪化すると予想される量の極性官能基を共重合成分として用いながらも、水酸基量とカルボキシ基量のそれぞれを特定量範囲で用いることで、リワーク性、耐久性、及び帯電防止性のすべてに優れる粘着剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、次の通りである。
<1>
重量平均分子量50万以上100万未満であるアクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、
アクリル系樹脂(A)の重合成分(a)として、水酸基含有モノマー(a1)を4~10重量%、カルボキシ基含有モノマー(a2)を0.9~2.5重量%、水酸基含有モノマー(a1)とカルボキシ基含有モノマー(a2)とを合計で5~10.5重量%含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
<2>
前記イオン性化合物(B)の含有量が、前記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、2~30重量部であることを特徴とする<1>に記載の偏光板用粘着剤組成物。
<3>
更に、架橋剤(C)を含有することを特徴とする<1>または<2>に記載の偏光板用粘着剤組成物。
<4>
更に、シランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする<1>~<3>のいずれかに記載の偏光板用粘着剤組成物。
<5>
<1>~<4>のいずれかに記載の偏光板用粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする偏光板用粘着剤。
<6>
<5>に記載の偏光板用粘着剤からなる偏光板用粘着剤層を有することを特徴とする偏光板用粘着シート。
<7>
<5>に記載の偏光板用粘着剤からなる偏光板用粘着剤層と偏光板とが積層されていることを特徴とする粘着剤層付偏光板。
<8>
偏光板と液晶セルとが<5>に記載の偏光板用粘着剤で貼り合わせられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の偏光板用粘着剤は、重量平均分子量が50万以上100万未満と低分子量ながらもリワーク性、耐久性、帯電防止性のすべてに優れた粘着剤であり、偏光板用粘着剤として非常に有用なものである。したがって、この偏光板用粘着剤組成物を用いることにより、長期間のリワーク性に優れるほか、得られた偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板、画像表示装置は耐久性や帯電防止性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルまたはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートまたはメタクリレートをそれぞれ意味する。また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
また、「アクリル系樹脂の側鎖構造部位」とは、アクリル系樹脂の重合成分に含有されるエチレン性不飽和基含有エステルにおけるアルコール由来の構造部位をいう。
「重量平均分子量」及び「数平均分子量」は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものである。
「分散度」は、重量平均分子量/数平均分子量により求められる。
「ガラス転移温度」は、共重合体を構成する単量体単位の種類及び質量分率から、下記のFox式より求められる。本明細書ではFox式より求められるガラス転移温度を「計算ガラス転移温度」ともいう。
1/(273+Tg)=Σ{Wi/(273+Tgi)}
式中、Tgは共重合体のガラス転移温度(℃)、Wiは共重合体を構成する単量体i由来の単量体単位の重量分率、Tgiは単量体iの単独重合体におけるガラス転移温度(℃)を示す。
Tgiは、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。また、Tgiの値は、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されている場合にはこの値を用いて求めることもできる。
〔偏光板用粘着剤組成物〕
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)を含有する。まず、アクリル系樹脂(A)について説明する。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、重合成分(a)を重合してなる樹脂であり、かかる重合成分(a)として、水酸基含有モノマー(a1)及び、カルボキシ基含有モノマー(a2)を少なくとも含有する。重合成分(a)は水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーの他に、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)を更に含有し、必要に応じて、その他の重合性モノマー(a4)を含有する。これらの各モノマーについて以下に説明する。
なお、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は水酸基含有モノマー(a1)、及び、カルボキシ基含有モノマー(a2)を少なくとも含有する重合成分(a)を重合してなる樹脂であるから、必然的に側鎖構造部位を有する。
[水酸基含有モノマー(a1)]
水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー;2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;が挙げられる。これらは1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、架橋剤(C)との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、重合時の安定性の点で2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、架橋剤(C)との反応性が速くエージングが短くなる点で4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。更には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートは、モノマー調製時にジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、純度が高いものが得られ製造しやすい点で好ましい。
水酸基含有モノマー(a1)の含有量は全重合成分(a)に対して、4~10重量%であり、好ましくは4.5~9重量%であり、より好ましくは4.5~8重量%である。かかる含有量が少なすぎると耐久性が低下することとなり、多すぎるとリワーク性が低下することとなる。
[カルボキシ基含有モノマー(a2)]
カルボキシ基含有モノマー(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のアクリル酸のダイマー酸等が挙げられ、中でも耐熱性の点、重合時の安定性の点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
カルボキシ基含有モノマー(a2)の含有量は全重合成分(a)に対して、0.9~2.5重量%であり、好ましくは1.0~2.4重量%、より好ましくは1.1~2.3重量%、特に好ましくは1.2~2.1重量%である。かかる含有量が少なすぎると耐久性が低下することとなり、多すぎると基材の加水分解を促進し耐久性が低下することとなる。
本発明のアクリル系樹脂(A)の重合成分(a)において、水酸基含有モノマー(a1)とカルボキシ基含有モノマー(a2)との合計量が5~10.5重量%であり、好ましくは5.2~10.5重量%、より好ましくは5.5~10.3重量%、特に好ましくは5.7~10.0重量%である。水酸基含有モノマー(a1)とカルボキシ基含有モノマー(a2)との合計含有量が多くなりすぎると、リワーク性に劣ることとなり、少なくなりすぎると耐久性に劣ることとなる。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)としては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1~20、好ましくは2~18、より好ましくは2~12、更に好ましくは3~8のものが挙げられ、脂肪族系の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)として、具体的には、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)の中でも粘着物性に優れる点や重合時の安定性に優れる点で、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、特にn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)の含有量は、全重合成分(a)に対して、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは50~97重量%、特に好ましくは60~95重量%である。かかる含有量が少なすぎると、粘着物性が低下する傾向にある。
また、イオン性化合物(B)との相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂(A)を構成する重合成分(a)として、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1~6を含有していることが好ましく、より好ましくは2~4のアルキル(メタ)アクリレートを含有していることである。これらモノマーの含有量は、アクリル系樹脂(A)を構成する全重合成分(a)に対して、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは50~97重量%、特に好ましくは60~96重量%、殊に好ましくは80~95重量%である。
〔その他の重合性モノマー(a4)〕
その他の重合性モノマー(a4)とは、水酸基含有モノマー(a1)、カルボキシ基含有モノマー(a2)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)を除く重合可能なエチレン性不飽和モノマーである。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー;等が挙げられる。これらは、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
これらの中でも、屈折率及び複屈折を調整しやすい点、耐光漏れ性に優れる点では、芳香環含有モノマーが好ましく、特にはベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)エチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。屈折率及び複屈折を調整しやすく、低極性被着体(例えば、シクロオレフィン等)への接着性に優れる点では、脂環含有モノマーが好ましい。
なお、耐光漏れ性とは、偏光板と液晶セル等とを貼り合わせるために粘着剤を使用した際に、高温や湿熱試験後にバックライトの光が漏れるのを防ぐ当該粘着剤の性能のことである。
その他の重合性モノマー(a4)の含有量は、本発明の効果を損なわないためにも全重合成分(a)に対して、25重量%以下が好ましい。なお、下限値は通常0重量%である。
〔アクリル系樹脂(A)の製造〕
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)及びカルボキシ基含有モノマー(a2)を少なくとも含有し、好ましくは更に(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a3)、その他の重合性モノマー(a4)を適宜選択して組み合わせた重合成分(a)を用いて、例えば、有機溶媒中に、かかる重合成分(a)、重合開始剤を混合あるいは滴下して、重合することにより製造することができる。
上記重合反応は、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の重合方法により行うことができるが、これらの中でも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、特に好ましくは溶液ラジカル重合である。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;等が挙げられる。
これらの有機溶媒の中でも、重合反応のしやすさや連鎖移動の効果、粘着剤塗工時の乾燥のしやすさ、安全性の高さから、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、トルエン、メチルイソブチルケトンが好ましく用いられ、特に好ましくは、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンである。これら有機溶媒は、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
これらの有機溶媒の使用量は、通常、全重合成分(a)100重量部に対して10~900重量部である。
また、かかる溶液ラジカル重合に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(メチルプロピオン酸)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;等が挙げられ、使用するモノマーに合わせて適宜選択して用いることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
これらの重合開始剤の使用量は、通常、全重合成分(a)に対して0.01~5重量%である。
〔アクリル系樹脂(A)の物性〕
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、50万以上100万未満であり、好ましくは55万~99.9万、より好ましくは60万~99.5万、特に好ましくは80万~99.3万、殊に好ましくは90万~99.0万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると耐久性やリワーク性が低下し、大きすぎると製造時に希釈溶媒が大量に必要となり、乾燥性が低下し、粘着剤層中に残溶媒が多くなり耐久性が低下するほか、有機溶剤使用量の低減が達成できなくなる。
アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。
かかる分散度が高すぎるとリワーク性や耐久性が低下する傾向がある。なお、かかる分散度の下限は通常1である。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、-100~10℃であることが好ましく、より好ましくは-70~0℃、更に好ましくは-65~-15℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると密着性が低下することに加え、帯電防止性能が低下する傾向があり、低すぎると帯電防止剤であるイオン性化合物(B)が動きやすくブリードして耐久性が低下する傾向がある。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、通常、溶媒等によりアクリル系樹脂(A)が溶解され、粘度が調整される。アクリル系樹脂(A)の溶解に使用される溶媒としては、アクリル系樹脂(A)の調製の際に使用される有機溶媒が好適に用いられる。アクリル系樹脂(A)溶液の固形分(重量%)は、通常、15~45重量%、好ましくは20~40重量%、より好ましくは25~38重量%、特に好ましくは27~35重量%である。
アクリル系樹脂(A)溶液の粘度としては、取扱い易さの点から100~30000mPa・s/25℃であることが好ましく、より好ましくは500~15000mPa・s/25℃、更に好ましくは1000~8000mPa・s/25℃、特に好ましくは2000~4000mPa・s/25℃である。
かかる粘度が高すぎると流動性が低下して取り扱いにくくなる傾向にあり、低すぎると粘着剤としたときに塗工が困難となる傾向がある。
アクリル系樹脂(A)溶液の粘度は、アクリル系樹脂(A)溶液を25℃に調温し、B型粘度計を用いた回転粘度計法により測定する。
<イオン性化合物(B)>
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、帯電防止性の点から、イオン性化合物(B)を更に含有する。
イオン性化合物(B)はカチオン成分とアニオン成分とからなる化合物であり、カチオン成分として有機カチオンまたは無機カチオンと、アニオン成分との組み合わせからなる化合物である。イオン性化合物(B)は、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
上記無機カチオンとしては、アルカリ金属カチオンが帯電防止性能の点で好ましく、特にはリチウムカチオンが好ましい。
上記有機カチオンとしては、例えば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
カチオン成分の中でも有機カチオンが好ましく、特に樹脂との相溶性の点で窒素含有有機カチオンが好ましく、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点でテトラアルキルアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンが好ましく、特にはイオン性化合物の結晶性が低く析出しにくい点でテトラアルキルアンモニウムカチオンが好ましい。
上記アニオン成分としては、単原子アニオンと多原子アニオンが挙げられ、単原子アニオンとしては、例えば、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン等が挙げられ、多原子アニオンとしては、例えば、フッ素系無機アニオン、フッ素系有機アニオン、非フッ素系無機アニオン、非フッ素系有機アニオン等が挙げられる。
フッ素系無機アニオンとしては、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等が挙げられ、フッ素系有機アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホニウムアニオン等のフッ素含有スルホニウムアニオン;フッ素含有イミドアニオン;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン等のフッ素含有スルホニルイミドアニオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン等が挙げられる。
非フッ素系無機アニオンとしては、過塩素酸アニオン、硝酸アニオン等が挙げられ、非フッ素系有機アニオンとしては、酢酸アニオン、ジシアンアミドアニオン等が挙げられる。
上記の中でも特に、フッ素系有機アニオンが好ましく、更にはフッ素含有スルホニウムアニオン、フッ素含有イミドアニオン、フッ素含有スルホニルイミドアニオンが帯電防止性能や耐久性、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点で好ましい。
上記イオン性化合物(B)としては、特に第四級アンモニウム塩が好ましい。第四級アンモニウム塩の具体例としては、例えば、トリブチルメチルアンモニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、エチルジメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、n-ブチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルメチルアンモニウムメチルスルフェート、トリブチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラブチルアンモニウムベンゾエート、テトラブチルアンモニウムメタンスルフェート、テトラブチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネート、テトラ-n-ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムトリフルオロアセテート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
帯電防止性能と耐久性のバランスの点からは、イオン性化合物(B)のアニオン成分がフッ素含有アニオンであるイオン性化合物が好ましく、中でも特に、トリブチルメチルアンモニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム社製)が好ましく用いられる。
上記イオン性化合物(B)の融点は、-100~150℃であることが好ましく、0~80℃であることがより好ましく、25~50℃であることが更に好ましい。融点が低すぎると、ブリードアウトした際に耐久性が低下する傾向があり、高すぎると、析出した際に白濁したり樹脂との相溶性が低下したりする傾向にある。
イオン性化合物(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部(固形分)に対して、好ましくは2~30重量部であり、より好ましくは2.2~15重量部、更に好ましくは2.5~10重量部である。
かかるイオン性化合物(B)の含有量が少なすぎると、帯電防止性能が低くなり静電気によるタッチパネルの誤作動や液晶セルの表示ムラが発生する傾向があり、多すぎると粘着剤層が可塑化し耐久性が低下したり、プラスチック基材や被着体の加水分解が起こりやすくなる傾向がある。
<架橋剤(C)>
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)の他に、架橋剤(C)を含有することが好ましい。
架橋剤(C)は、粘着剤を形成した際の弾性率を向上させ、基材や被着体に含まれる成分の移行を防止し、耐久性を向上させる点で好ましい。
架橋剤(C)とは、アクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成する化合物であり、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも被着体との接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を用いることが好ましく、特にはイソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤(C)は、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、芳香族系イソシアネート系化合物、脂環族系イソシアネート系化合物、脂肪族系イソシアネート系化合物等が挙げられる。
上記芳香族系イソシアネート系化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系化合物;1,3-キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート系化合物;ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート等のジフェニルメタン系化合物;1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート系化合物;等が挙げられる。
上記脂環族系イソシアネート系化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
上記脂肪族系イソシアネート系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネート系化合物のアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。
これらイソシアネート系架橋剤の中でも、トリレンジイソシアネート系化合物がポットライフと耐久性の点で好ましく、キシリレンジイソシアネート系化合物及びイソシアヌレート骨格含有イソシアネート系化合物がエージング時間短縮の点で好ましく、芳香環非含有イソシアネート系化合物が耐黄変性の点で好ましい。これらの中での具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれるイソシアネート系化合物とトリメチロールプロパンとのアダクト体、及びトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれるイソシアネート系化合物とトリメチロールプロパンとのイソシアヌレート体が挙げられ、これらアダクト体及びイソシアヌレート体は、耐久性、ポットライフ、架橋速度のバランスに優れている点で好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、パナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属と、アセチルアセトンやアセトアセチルエステル等の配位子との配位化合物等が挙げられる。
架橋剤(C)を用いる場合、その含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部(固形分)に対して、0.005~30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~10重量部、更に好ましくは0.03~5重量部、特に好ましくは0.05~3重量部である。かかる含有量が少なすぎると、耐久性を向上させる効果が得られにくい傾向があり、多すぎると応力緩和性が低下して被着体の基板が反りやすくなったり、長時間のエージングが必要となったりする傾向がある。
<シランカップリング剤(D)>
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、耐久性を向上させる点で、シランカップリング剤(D)を更に含有することが好ましい。
シランカップリング剤(D)は、その構造中に、反応性官能基と、ケイ素原子に結合したアルコキシ基とをそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物であり、モノマー型とオリゴマー型が挙げられる。
シランカップリング剤(D)中の反応性官能基としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基等が挙げられ、これらの中でも、耐久性やリワーク性に優れる点からエポキシ基、メルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤(D)中の反応性官能基の含有割合としては、50~3000g/molであることが好ましく、100~2000g/molがより好ましく、150~1000g/molが更に好ましい。官能基当量が小さすぎると粘着力が高くなる傾向があり、大きすぎると耐久性が低下する傾向がある。
シランカップリング剤(D)の重量平均分子量としては、300~10000が好ましく、特には500~5000、更には550~3000が好ましい。かかる分子量が小さすぎると乾燥する際に揮発しやすくなり効果が発揮しがたい傾向があり、大きすぎると相溶性が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、下記の方法により測定できる。
・装置:ゲル浸透クロマトグラフ
・検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー社製、RI-8020型、感度32)
・カラム:TSKgel guardcolumn HHR-H(1本)(東ソー社製、直径6mm×4cm)、TSKgel GMHHR-N(2本)(東ソー社製、直径7.8mm×30cm)
・溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
・カラム温度:23℃
・流速:1.0mL/分
シランカップリング剤(D)としては、有機ケイ素化合物の一部が加水分解して重縮合した2量体、3量体等のオリゴマー型の有機ケイ素化合物(オルガノシロキサン化合物)であることがリワーク性及び耐久性の点で好ましい。
このようなオリゴマー型の有機ケイ素化合物としては、例えば、シロキサン骨格(-Si-O-)とシロキサン骨格(-Si-O-)がアルキル鎖で結合された構造を有するメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン化合物の一部が加水分解し重縮合したメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤;上記メルカプト基含有シラン化合物と、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物との共縮合物であるメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリ(グリシジル)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物の一部が加水分解し重縮合したエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤;上記エポキシ基含有シラン化合物と、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物との共縮合物であるエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤;これらエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤の一部がエーテル変性されたエポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤;等が挙げられる。
これらは、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
上記モノマー型やオリゴマー型のシランカップリング剤(D)としては、具体的には、市販品であるモメンティブ社製のシランカップリング剤「T-CURE」、信越化学工業社製のシランカップリング剤「KBM-403」、「X-41-1053」、「X-41-1059A」、「X-24-9590」、「KBM-803」、「X-41-1805」、「X-41-1810」、「X-41-1818」等が挙げられる。
シランカップリング剤(D)を用いる場合、その含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部(固形分)に対して、0.001~3重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01~2重量部、更に好ましくは0.05~1重量部である。
かかる含有量が少なすぎるとリワーク性を向上させる効果が得られにくい傾向があり、多すぎると低分子化合物の含有量割合が大きくなりすぎて耐久性が低下する傾向がある。
<その他の成分>
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、樹脂成分、アクリルモノマー、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤等の各種添加剤、金属粒子や樹脂粒子等を含有していてもよい。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等を少量含有していてもよい。
なお、配合物等の経時安定性の点から、ラジカル発生剤、特に過酸化物は含有しないことが好ましく、含有する場合でも組成物全体に対し0.03重量%未満であることが好ましい。
その他の成分の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部(固形分)に対して、5重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し耐久性が低下する傾向にある。なお、下限値は0重量部である。
かくしてアクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)、好ましくは更に、架橋剤(C)、シランカップリング剤(D)、更にその他の成分を混合することにより、本発明の偏光板用粘着剤組成物を得ることができる。
なお、混合方法については特に限定されず、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
〔偏光板用粘着剤、偏光板用粘着シート、粘着剤層付偏光板、画像表示装置〕
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、架橋(硬化)させることにより偏光板用粘着剤とすることができ、かかる粘着剤層を有する偏光板用粘着シート、更に、かかる粘着剤からなる粘着剤層を偏光板上に積層形成することにより、粘着剤層付偏光板を得ることができる。更にかかる粘着剤層付偏光板を用いて画像表示装置を作製することができる。上記粘着剤層付偏光板には、粘着剤層の光学部材側の面とは逆側の面に、離型シートを更に設けることが好ましい。
上記粘着剤層付偏光板の製造方法としては、〔1〕偏光板上に、偏光板用粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、離型シートを貼合し、常温(23℃)または加温状態の少なくとも一方でのエージングによる処理を行う方法、〔2〕離型シート上に、偏光板用粘着剤組成物を塗布、乾燥した後、偏光板を貼合し、常温(23℃)または加温状態の少なくとも一方でのエージングによる処理を行う方法、等が挙げられる。これらの中でも、〔2〕の方法で、常温状態でエージングする方法が、偏光板を傷めない点、偏光板との接着性に優れる点で好ましい。
かかるエージング処理は、粘着剤の化学架橋の反応時間として、粘着物性のバランスをとるために行われる。エージングの条件としては、温度は20~70℃、時間は通常1~30日間であり、具体的には、例えば、23℃で1~20日間、23℃で3~10日間、40℃で1~7日間等の条件が挙げられる。
上記偏光板用粘着剤組成物の塗布に際しては、この粘着剤組成物を溶媒に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、固形分濃度が、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~30重量%である。
また、上記溶媒としては、偏光板用粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されず、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶媒;等を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好適に用いられる。
これら溶媒は、1種を単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
また、上記粘着剤組成物の塗布に関しては、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の慣用の方法により行われる。
上記方法により製造される粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と偏光度低下抑制の点から、30~99重量%であることが好ましく、より好ましくは40~98重量%、更に好ましくは50~97重量%、特に好ましくは60~96重量%である。ゲル分率が低すぎると過酷な高温環境下で発泡が生じる傾向にあり、高すぎると浮きや剥がれが生じやすくなる傾向にある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。まず、粘着剤層が形成されてなる粘着フィルムから粘着剤をピッキングにより採取する。次に、採取された粘着剤を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に調整した酢酸エチル中に24時間浸漬する。酢酸エチル浸漬前の粘着剤の重量と、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤の重量とをそれぞれ計量して、不溶解の粘着剤の重量を浸漬前の粘着剤の重量で除した値の百分率をゲル分率(%)とする。
上記方法により製造された粘着剤層は、指で触れたときに程好いタック感があると、実際に被着体に貼る際に濡れ性が良いので、作業性が上がる傾向があり好ましい。
本発明の偏光板用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の電気特性としては、表面抵抗率が低いことが静電気対策として好ましく、より好ましくは5.0×1012Ω/cm2 以下、更に好ましくは5.0×1011Ω/cm2以下、特に好ましくは1.0×1011Ω/cm2以下である。かかる表面抵抗率が高すぎると粘着剤が帯電し易くなるので、液晶表示用途として使用した際に静電気による表示ムラが発生しやすくなる傾向にある。
本発明において、粘着剤層付偏光板は、直接、あるいは離型シートを有するものは離型シートを剥がした後、その粘着剤層面を例えば液晶セルのガラス基板に貼合することによって、液晶表示パネルが形成される。
本発明の粘着剤のリワーク性は、剥離した際に被着体に粘着剤層が付着しないことが好ましい。また剥離する際の粘着力としては25N/25mm以下が好ましく、更に好ましくは0.1~20N/mm、特に好ましくは1~15N/mmである。粘着力が高すぎると、リワーク時に被着体を破損しやすくなる傾向があり、低すぎると端部が剥がれやすくなる傾向にある。
上記粘着力は、つぎのようにして算出される。粘着剤層付偏光板について、幅25mm幅に裁断し、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製「イーグルXG」)に押圧して、偏光板とガラス板とを貼合する。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分間)を行った後、23℃×50%RHで24時間静置後に、引き剥がし角度90°、剥離速度300mm/分で剥離試験を行う。
また長期でのリワーク性に関しては、オートクレーブ処理後23℃×50%RHで所定の期間静置した後に引き剥がし角度90°、剥離速度300mm/分で剥離試験を行う。
本発明の偏光板用粘着剤組成物によれば、高温及び高温高湿環境下においても耐久性に優れるとともに、長期でのリワーク性に優れた偏光板用粘着剤が得られるので、偏光板と液晶セルとを貼り合わせるための偏光板用粘着剤として有用である。
なお、本明細書において「液晶セル」とは、液晶材料が一対の基板で挟まれた構造を有するセルであって、偏光板を有していないセルをいう。
一般的に偏光板は、ヨウ素分子を吸着配向させたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムと、当該PVA系フィルムを保護する保護フィルムとを有する。かかる保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、シクロオレフィン系フィルム等が挙げられる。
また、本発明の偏光板用粘着剤を用いることにより、偏光板と液晶セルとを貼り合わせて液晶表示装置等の画像表示装置を作製することができ、得られる画像表示装置は、精度よく作製でき、耐久性に優れたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂(A)を調製するとともに、その他の粘着剤組成物の原料を準備した。なお、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
また、粘度はB型粘度計を用いて25℃で測定した値である。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)の原料として表1に記載の重合成分(a)を用意した。
〔アクリル系樹脂(A-1)の作製〕
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた5ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル70部、アセトン20部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.025部仕込み、内温を沸点まで上昇させたところに、滴下漏斗に、表1で示すとおりのモノマー組成となるようにすべての重合成分(a)を仕込み、更に酢酸エチル5部、重合開始剤としてAIBN0.025部を混合した混合液を滴下しながら還流温度で2時間反応させた後、酢酸エチル5部とAIBN0.025部を含有する混合液を投入後、更に2時間30分間反応を継続させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル樹脂(A-1)溶液を得た。
〔アクリル系樹脂(A-2~A-4、A’-1~A’-4)の作製〕
上記、アクリル系樹脂(A-1)の作製において、重合成分(a)のモノマー組成を表1に示すとおりに変更した以外は、アクリル系樹脂(A-1)と同様にしてアクリル系樹脂(A-2~A-4、A’-1~A’-4)を調製した。
Figure 2022121158000001
上記で使用したモノマーは、下記メーカーのものを使用した。
・n-ブチルアクリレート(BA)(三菱ケミカル社製、ガラス転移温度-56℃)
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(大阪有機化学工業社製、ガラス転移温度-15℃)
・アクリル酸(AAc)(大阪有機化学工業社製、ガラス転移温度106℃)
なお、上記ガラス転移温度は各モノマーから得られたホモポリマーのガラス転移温度である。
<イオン性化合物(B)>
イオン性化合物(B)として以下の物を用意した。
(B-1):トリブチルメチルアンモニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム社製、FC-4400)(融点27.5℃)
<架橋剤(C)>
架橋剤(C)として以下の物を用意した。
(C-1):トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製、コロネートL55E)
<シランカップリング剤(D)>
シランカップリング剤(D)として以下のものを用意した。
(D-1):T-CURE モメンティブ社製
<実施例1~4、比較例1~4>
上記の成分を下記表2のとおりに配合し、酢酸エチルにて固形分濃度を調整し、偏光板用粘着剤組成物を得た。
上記で得られた偏光板用粘着剤組成物を用いて、下記のとおり評価用サンプルを作製し、下記性能を評価した。評価結果を下記表2に併せて示す。
〔粘着剤層付偏光板[I]の作製〕
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの離型シート(東レ社製「セラピールWZ」)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥した後、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを両面に積層した偏光板の一方のTACフィルム表面に、離型シートと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RHの環境下で7日間エージングし、粘着剤層付偏光板[I]を得た(層構成:離型シート/粘着剤層/TACフィルム/偏光子/TACフィルム)。
<ゲル分率>
得られた粘着剤層付偏光板[I]の離型シートを剥離し、粘着剤層面から粘着剤をピッキングし、200メッシュのSUS製金網で包んだ後、23℃に調整した酢酸エチル中に24時間浸漬した。酢酸エチル浸漬前の粘着剤の重量と、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤の重量とをそれぞれ計量して、不溶解の粘着剤の重量を浸漬前の粘着剤の重量で除した値の百分率をゲル分率(%)とした。
<リワーク性:粘着力、糊残り>
上記で得られた粘着剤層付偏光板[I]を25mm幅にカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせた後、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、その後、23℃×50%RHの環境下で14日静置した後、引き剥がし角度90°、剥離速度300mm/分で行い、引き剥がした時の粘着力を測定し、引き剥がし後のガラス表面への糊残り状態を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎・・・ガラスへの糊残りが見られない。
〇・・・ガラスへの糊残りは無いが剥離時に糸曳きが見られる。
△・・・ガラス面に貼りあとが見られる。
×・・・ガラス面に糊残りが見られる。
<耐久性>
得られた粘着剤層付偏光板[I]を165mm×95mmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、耐久性評価用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、(1)(85℃×500時間)、(2)(65℃90%RH×500時間)、(3)(-30℃←→80℃×500サイクル)のそれぞれの条件で暴露した後に、以下の基準にて評価を行った。
(評価基準)
◎・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られない。
○・・・偏光板の角に極わずかに浮きが見られる程度である。
△・・・偏光板の端部にわずかに浮きが見られる。
×・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に1mm以上の浮きが見られる。
<帯電防止性能:表面抵抗率>
上記粘着剤層付偏光板[I]を23℃×50%RHの雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型シートを外し、表面抵抗率測定装置(三菱ケミカルアナリテック社製「Hiresta-UPMCP-HT450」)を用いて粘着剤層の表面抵抗率(Ω/cm2)を測定した。
Figure 2022121158000002
上記結果より、水酸基含有モノマー(a1)及びカルボキシ基含有モノマー(a2)を含有し、それぞれの含有量が特定の範囲内にあるアクリル系樹脂(A)にイオン性化合物(B)を含有してなる粘着剤組成物から得られる粘着剤を使用した実施例1~4では、長期間のリワーク性並びに、高温、高温高湿、及び冷熱衝撃環境下においても耐久性に優れ、帯電防止性にも優れるものであった。
一方で、水酸基含有モノマー(a1)及びカルボキシ基含有モノマー(a2)の含有総量が特定の範囲から外れている比較例1では、長期間のリワーク性に劣るものであった。また、水酸基含有モノマー(a1)及びカルボキシ基含有モノマー(a2)の含有総量は特定の範囲内であるが、それぞれのどちらかもしくは両方が特定の範囲から外れている比較例2~4は、長期間のリワーク性は満足するものの、耐久性に劣るものであった。
そして、本発明の実施例品である粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層が、長期間のリワーク性、耐久性、及び帯電防止性のすべてに優れることから、上記粘着剤層を介して偏光板と液晶セル等の画像表示部材とを貼り合わせてなる画像表示装置は、優れた品質のものになると思われる。
本発明の粘着剤組成物は、高温、高温高湿及び冷熱衝撃環境下でも剥がれが起こらず耐久性に優れ、更に、経時後のリワーク性に優れた粘着剤を得ることができるものであり、タッチパネルやディスプレイ、それを構成する電子部品や光学部品を貼り合わせるための電子部材用粘着剤及び光学部材用粘着剤、特に、偏光板と液晶セルのガラス基板等を貼り合わせるための偏光板用粘着剤、タッチセンサー用粘着剤として有用である。

Claims (8)

  1. 重量平均分子量50万以上100万未満であるアクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)を含有する偏光板用粘着剤組成物であって、
    アクリル系樹脂(A)の重合成分(a)として、水酸基含有モノマー(a1)を4~10重量%、カルボキシ基含有モノマー(a2)を0.9~2.5重量%、水酸基含有モノマー(a1)とカルボキシ基含有モノマー(a2)とを合計で5~10.5重量%含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。
  2. 前記イオン性化合物(B)の含有量が、前記アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、2~30重量部であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  3. 更に、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  4. 更に、シランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の偏光板用粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする偏光板用粘着剤。
  6. 請求項5に記載の偏光板用粘着剤からなる偏光板用粘着剤層を有することを特徴とする偏光板用粘着シート。
  7. 請求項5に記載の偏光板用粘着剤からなる偏光板用粘着剤層と偏光板とが積層されていることを特徴とする粘着剤層付偏光板。
  8. 偏光板と液晶セルとが請求項5に記載の偏光板用粘着剤で貼り合わせられていることを特徴とする画像表示装置。
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