JP7259553B2 - 粘着剤組成物、及びそれを用いてなる粘着剤、偏光板用粘着剤、ならびに画像表示装置 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、重合成分として、側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)を含有し、重合してなる樹脂であるが、この側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)の他に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)を含有し、好ましくは極性基含有モノマー(a3)(但し、前記マクロモノマー(a1)を除く。)、必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a4)を含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂を挙げることができる。
上記側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)とは、側鎖に極性基を持ち、重合可能な官能基を持つ高分子量のモノマーをいい、とりわけ、重合体鎖の末端に重合性不飽和基を有することが好ましい(以下「側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)」を「マクロモノマー(a1)」と略すことがある)。
上記マクロモノマー(a1)を得るための原料モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα-エチルアクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
原料モノマーとしては、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a2)としては、例えば、アルキル基の炭素数が通常1~20(好ましくは1~18、特に好ましくは1~12、更に好ましくは1~8)のもの、好ましくは脂肪族系の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
次に、極性基含有モノマー(a3)について説明する。
本発明における極性基含有モノマー(a3)とは、側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)以外の、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、窒素原子含有モノマー等の共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを指すものであり、本発明においては、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、窒素原子含有モノマーから選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記アミノ基含有モノマーの中でも、架橋促進効果が高い点、樹脂の保存安定性が高い点で3級アミノ基含有モノマーが好ましい。
上記極性基含有モノマー(a3)の中でも、特にカルボキシ基含有モノマーを用いる場合、その含有量は、耐久性とリワーク性の点で重合成分に対して0.01~10重量%が好ましく、更には0.1~5重量%が好ましい。また、耐腐食性や基材や被着体の加水分解を抑制する点では重合成分に対して0.5重量%以下であることが好ましく、更には0.2重量%以下、特には0.1重量%以下が好ましい。
上記極性基含有モノマー(a3)の中でも、特に窒素原子含有モノマーを用いる場合、その含有量は、耐久性や加水分解抑制の点で重合成分に対して0.1~10重量%が好ましく、更には0.5~5重量%が好ましい。
上記その他の共重合性モノマー(a4)とは、共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであり、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
そして、これらの有機溶媒の使用量は、通常、重合成分100重量部に対して10~900重量部である。
そして、これらの重合開始剤の使用量は、通常、重合成分に対して0.01~5重量%である。
かかる分散度が高すぎるとリワーク性や耐久性が低下する傾向がある。なお、かかる分散度の下限は通常1である。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
なお、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K7121-1987や、JIS K6240に準拠した方法で測定することができる。
かかる粘度が高すぎると流動性が低下して取り扱いにくくなる傾向にあり、低すぎると粘着剤の塗工が困難となる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物には、静電気対策の点から、更にイオン性化合物(B)を含有する。
イオン性化合物(B)はカチオン成分とアニオン成分からなる化合物であり、カチオン成分として有機カチオンまたは無機カチオン、アニオン成分として有機アニオンまたは無機アニオンの組み合わせからなる化合物である。
有機カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
カチオン成分の中でも有機カチオンが好ましく、特に樹脂との相溶性の点で窒素含有有機カチオンが好ましく、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点でテトラアルキルアンモニウムカチオンやピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
(1):(CnF2n+1SO2)2N-(但し、nは1~10の整数)、
(2):CF2(CmF2mSO2)2N-(但し、mは1~10の整数)、
(3):O3S(CF2)lSO3 -(但し、lは1~10の整数)、
(4):(CpF2p+1SO2)N-(CqF2q+1SO2)、(但し、p、qは1~10の整数)
上記の中でも特に、フッ素原子を含むアニオンが好ましく、更にはフッ素含有スルホニウムアニオン、フッ素含有イミドアニオン、フッ素含有スルホニルイミドアニオンが帯電防止性能や耐久性、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点で好ましい。
また、上記イオン性化合物(B)の融点としては、-100℃以上、特には0℃以上、更には25℃以上が好ましく、かかる範囲の融点であれば高温時に可塑化しにくく耐久性が良好となる傾向がある。
かかるイオン性化合物(B)の含有量が少なすぎると、帯電防止性能が低くなり静電気によるタッチパネルの誤作動や液晶セルの表示ムラが発生しやすい傾向にあり、多すぎると粘着剤層が可塑化したり、ブリードしたりして耐久性が低下する傾向にある。
上記架橋剤(C)とは、アクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成させるものであり、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも基材との接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記架橋剤(C)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤(D)は、構造中に、反応性官能基とケイ素原子と結合したアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物であり、本発明の粘着剤組成物に含有されていることが好ましい。
・装置:ゲル浸透クロマトグラフ
・検出器:示差屈折率検出器RI(東ソー社製、RI-8020型、感度32)
・カラム:TSKgel guardcolumn HHR-H(1本)(東ソー社製、φ6mm×4cm)、TSKgel GMHHR-N(2本)(東ソー社製、φ7.8mm×30cm)
・溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
・カラム温度:23℃
・流速:1.0mL/分
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
かかる含有量が少なすぎるとリワーク性が低下する傾向があり、多すぎるとシランカップリング剤がブリードして耐久性が低下する傾向がある。
更に、本発明の粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、樹脂成分、アクリルモノマー、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤等の各種添加剤、金属及び樹脂粒子等を配合することができる。また、上記の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、更に離型シートを設けることが好ましい。
なお、上記において、光学部材としては、偏光板である場合に特に有効であるが、光学部材以外の被着体に粘着剤層を形成する場合にも上記方法を用いることができる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
アクリル系樹脂(A)の原料モノマーとして以下のものを用意した(表1参照)。
マクロモノマーとして、以下のものを用意した。
なお、ガラス転移温度を算出する際の、各モノマーのホモポリマーとした時のガラス転移温度は下記値を用いた。
・メチルメタクリレート(MMA)・・・105℃
・2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)・・・55℃
メチルメタクリレート(MMA)と2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との重合体である側鎖に水酸基を含有するアクリル系マクロモノマー(三菱ケミカル社製、MMA:HEMA(重量比)=75.5:24.5、数平均分子量5,700、分散度1.6、計算ガラス転移温度91℃)
(マクロモノマー2):
ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル系マクロモノマー(三菱ケミカル社製、PMMA=100%、数平均分子量3,700、分散度1.7、計算ガラス転移温度105℃)
(マクロモノマー3):
ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル系マクロモノマー(三菱ケミカル社製、PMMA=100%、数平均分子量45,000、分散度2.0、計算ガラス転移温度105℃)
なお、マクロモノマー3に関しては以下の方法で測定した。
即ち、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより数平均分子量を測定した。重量平均分子量も同様の方法で測定し、重量平均分子量と数平均分子量より求められる分散度を求めた。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、上記用意したマクロモノマー1(a1)1部、n-ブチルアクリレート(a2)90.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a3)8部、アクリル酸(a3)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流温度で3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A-1)溶液(固形分26.2%、粘度4,500mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A-1):重量平均分子量111万、計算ガラス転移温度-51.6℃、分散度4)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、上記用意したマクロモノマー2を1部、n-ブチルアクリレート(a2)90.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a3)8部、アクリル酸(a3)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流温度で3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'-1)溶液(固形分26.5%、粘度2,385mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A'-1):重量平均分子量103万、計算ガラス転移温度-51.6℃、分散度4)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、上記用意したマクロモノマー3を1部、n-ブチルアクリレート(a2)90.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a3)8部、アクリル酸(a3)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流温度で3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'-2)溶液(固形分26.0%、粘度12,050mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A'-2):重量平均分子量130万、計算ガラス転移温度-51.6℃、分散度5)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、上記用意したマクロモノマー2を5部、n-ブチルアクリレート(a2)86.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a3)8部、アクリル酸(a3)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流温度で3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'-3)溶液(固形分35.8%、粘度770mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A'-3):重量平均分子量48万、計算ガラス転移温度-47.7℃、分散度3)を得た。
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、n-ブチルアクリレート(a2)91.3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(a3)8部、アクリル酸(a3)0.7部、酢酸エチル53部、アセトン42部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.013部を仕込み、内温を沸点まで上昇させて反応を開始させた。次いでAIBNを0.04%含む酢酸エチル溶液を30部滴下しながら還流温度で3.25時間反応させた後、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A'-4)溶液(固形分21.5%、粘度5,000mPa・s/25℃、アクリル系樹脂(A'-4):重量平均分子量135万、計算ガラス転移温度-52.5℃、分散度5)を得た。
・ブチルアクリレート(BA)(三菱ケミカル社製、Tg-56℃)
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(大阪有機化学社製、Tg-15℃)
・アクリル酸(AAc)(三菱ケミカル社製、Tg106℃)
また、上記Tgは各モノマーのホモポリマーのTgである。
イオン性化合物(B)として以下のものを用意した。
(B-1):トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(東京化成工業社製)
(B-2):リチウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド56重量%溶液〔溶媒:テトラエチレングリコールジメチルエーテル(三光化学社製、サンコノールTGR)〕
(B-3):トリブチルメチルアンモニウムN,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(スリーエム社製、FC-4400)
架橋剤(C)として以下のものを用意した。
(C-1):トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体(東ソー社製、コロネートL55E)
シランカップリング剤(D)として以下のものを用意した。
なお、シランカップリング剤(D)の重量平均分子量に関しては、前述の方法にしたがって測定した。また、アルコキシ基含有量、反応性官能基、エポキシ当量またはメルカプト当量、含有アルコキシ基については、断りのない限りカタログ値を採用した。
・「X-24-9590」:信越化学工業社製、含有反応性官能基:エポキシ基、官能基当量:592g/mol、含有アルコキシ基:メトキシ基、アルコキシ基含有量:9.5%、重量平均分子量:13,700、分散度:3.44
・「X-41-1059A」:信越化学工業社製、含有反応性官能基:エポキシ基、反応性官能基当量:350g/mol、含有アルコキシ基:メトキシ基及びエトキシ基、アルコキシ基含有量:42%、重量平均分子量:2,270、分散度:1.86
上記の成分を下記表2の通りに配合し、酢酸エチルにて固形分濃度を比較例1は20%、比較例2は35%、それ以外は15%に調整し、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を厚み38μmの離型シート(東レ社製、セラピールWZ)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥したのち、トリアセチルセルロース(TAC)系フィルムを両面に積層した偏光板の一方のTAC系フィルム表面に、離型シートと反対側の粘着剤層面を貼り合わせ、23℃×50%RHの環境下で7日間エージングし、粘着剤層付き偏光板[I]を得た〔層構成:離型シート/粘着剤層/TAC系フィルム1/偏光子/TAC系フィルム2〕。
なお、上記のTAC系フィルムはトリアセチルセルロース系フィルムであり、TAC系フィルム1の厚みは40μm、TAC系フィルム2の厚みは40μmである。
粘着剤層付き偏光板[I]を用いて以下の評価を行った。
得られた粘着剤層付き偏光板[I]を165mm×95mmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG、厚み1.1mm)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、耐久性試験用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、耐熱性(95℃×100時間)の条件で暴露した後の偏光板について、以下の評価を行った。
(2)耐湿熱試験
得られたサンプルについて、耐湿熱性(85℃×85%RH×100時間)の条件で暴露した後の偏光板について、以下の評価を行った。
(評価基準)
○・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られない
×・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られる
得られた粘着剤層付き偏光板[I]を165mm×95mmにカットし、離型シートを剥離して粘着剤層面を鏡面仕上げステンレス鋼板(SUS-BA板)に押しつけ2kgローラーにて2往復して貼り合わせたのち、オートクレーブ処理(0.5MPa×50℃×20分間)を行い、耐久性試験用のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、耐湿熱性(85℃×85%RH×100時間)の条件で暴露した後の偏光板について、以下の評価を行った。
(評価基準)
○・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られない
×・・・偏光板の全面に発泡もしくは端部に浮きが見られる
(表面抵抗率)
上記粘着剤層付き偏光板[I]を23℃×50%RHの雰囲気下で24時間静置した後、粘着剤層の離型シートを外し表面抵抗率測定装置(三菱化学アナリテック社製、Hiresta-UP MCP-HT450)を用い粘着剤層の表面抵抗率(Ω/cm2)を測定した。
(評価基準)
◎・・・5.0×109Ω/cm2未満
〇・・・5.0×109Ω/cm2以上8.0×109Ω/cm2未満
△・・・8.0×109Ω/cm2以上1.0×1010Ω/cm2未満
×・・・1.0×1010Ω/cm2以上
得られた粘着剤層付き偏光板[I]の離型シートを剥離し、粘着剤層面から粘着剤をピッキングしSUS製の200メッシュ金網で包んだ後、23℃に調整した酢酸エチルに24時間浸漬して、酢酸エチル浸漬前の粘着剤の重量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率(%)とした。
一方、側鎖に極性基を有しないマクロモノマーを用いた比較例1~3では、いずれも耐久性に劣る粘着剤であることがわかる。
更に、帯電防止剤が少なくマクロモノマーを使用していない比較例4では、耐久性には優れるものの、帯電防止性能に劣るものであった。また、比較例4の帯電防止性能を上げるため帯電防止作用を有するイオン性化合物(B)の配合量を増やした比較例5では、帯電防止性能には優れるが、耐久性に劣るものであった。
したがって、本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤は、高温環境下または高温高湿環境下においても高い帯電防止性能と高い耐久性を両立できるものであることがわかる。
Claims (11)
- アクリル系樹脂(A)及びイオン性化合物(B)を含有する粘着剤組成物であって、アクリル系樹脂(A)が、側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)を含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂で、かつ、マクロモノマー(a1)の側鎖に有する極性基が水酸基であり、イオン性化合物(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、4重量部以上であることを特徴とする粘着剤組成物。
- 側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)が、アルキル(メタ)アクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造を有するアクリル系マクロモノマーであることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- 側鎖に極性基を有するマクロモノマー(a1)の含有割合が、アクリル系樹脂(A)を構成する重合成分に対して0.1~30重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
- アクリル系樹脂(A)が、更に極性基含有モノマー(a3)を含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 極性基含有モノマー(a3)が水酸基含有モノマーであり、水酸基含有モノマーの含有割合が、アクリル系樹脂(A)を構成する重合成分に対して0.01~30重量%であることを特徴とする請求項4記載の粘着剤組成物。
- イオン性化合物(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、4~30重量部であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 更に、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 更に、シランカップリング剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が、架橋剤(C)により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
- 請求項9記載の粘着剤を用いてなることを特徴とする偏光板用粘着剤。
- 請求項9記載の粘着剤で、偏光板と液晶セルを貼り合わせてなることを特徴とする画像表示装置。
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