JP2022120935A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】バウンドラバー量が増加して、引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも向上した、セルロースナノクリスタルを含有するタイヤ用ゴム組成物を提供する。【解決手段】ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、を含むタイヤ用ゴム組成物とすることにより、上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、およびそのタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
タイヤを構成するゴム組成物は、弾性率(伸び)、硬度(硬さ)などの特性が優れたものが求められている。そして、このような特性を向上させるために、ゴム組成物中にカーボンブラックやシリカなどの充填剤を配合する技術が知られている。
また、ゴム組成物中にセルロースの極細繊維であるナノセルロースを充填剤として配合する技術も開発されている。例えば、特許文献1には、カチオン性基を有する化学変性ミクロフィブリルセルロースをゴム組成物中に分散して含有させることによって、加工性に優れ、剛性、破断特性、および低燃費性にバランスよく優れるゴム組成物を提供する技術が開示されている。
特許第6353169号公報
しかしながら、このナノセルロースについては、ゴム成分に添加、混合した際の分散性についてさらなる改善の余地がある。特に、ナノセルロースのうち、平均繊維長さが0.1~0.5μmの結晶性ナノセルロースであるセルロースナノクリスタルは、非凝集および非集束状態を保つために水分散液としてゴム成分に添加、混合する必要があるセルロースナノファイバーとは異なり、粉体状のままゴム成分に添加、混合が可能なものであるが、親水性の成分であるため、そのまま添加、混合してもゴム成分中における分散性が悪く、得られるゴム組成物のバウンドラバー量が確認できないという課題がある。そして、ゴム組成物のバウンドラバー量が確認できないと、その力学特性(引張応力、引張強さ、および伸び)にも影響してしまう。
そこで本発明は、バウンドラバー量が増加して、引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも向上した、セルロースナノクリスタルを含有するタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、を含むタイヤ用ゴム組成物が、バウンドラバー量が増加することを見出し、さらに引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも向上していることも見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の<1>~<7>である。
<1>ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、を含むタイヤ用ゴム組成物。
<2>前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、およびメタクリル基からなる群から選ばれる1以上を有する、<1>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<3>前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にイソシアネート基を有する構造である、<2>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<4>前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にアミノ基を有し、分子の末端の前記アミノ基以外にはアミノ基を有さない構造である、<2>に記載のタイヤ用ゴム組成物。
<5>前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記セルロースナノクリスタルを0.1~30質量部、および前記シランカップリング剤を0.1~4質量部含む、<2>~<4>のいずれか1つに記載のタイヤ用ゴム組成物。
<6>前記ジエン系ゴムが、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、および天然ゴムからなる群から選ばれる1以上である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のタイヤ用ゴム組成物。
<7><1>~<6>のいずれか1つに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ。
本発明によれば、バウンドラバー量が増加し、さらに引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも向上した、セルロースナノクリスタルを含有するタイヤ用ゴム組成物を得ることができる。そして、このタイヤ用ゴム組成物を用いることにより、引張応力、引張強さおよび伸びがいずれも優れたタイヤを得ることができる。
本発明について説明する。
本発明は、ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、を含むタイヤ用ゴム組成物、およびこのタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤである。以下においては、これらを「本発明のタイヤ用ゴム組成物」、および「本発明のタイヤ」ともいう。
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、特段の断りがない限り、「~」の前に記載される数値を下限値、および「~」の後に記載される数値を上限値とする数値範囲を意味する。
<ジエン系ゴム>
本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム成分であり、具体的には、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴムなどが例示される。そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物には、このようなジエン系ゴムを単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、含有するジエン系ゴムが、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、および天然ゴムからなる群から選ばれる1以上(つまりこの群から選ばれる1つを使用する態様または2以上を組み合わせて使用する態様)であるのが特に好ましい。また、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有するジエン系ゴムであるとより好適であり、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムからなる(100質量%スチレン-ブタジエン共重合体ゴムである)ジエン系ゴムであってもよい。
また、このジエン系ゴムの重量平均分子量は、50000~3000000であることが好ましく、100000~2000000であることがより好ましい。
ここで、本発明において「重量平均分子量」とは、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定したものを意味する。
なお、本発明のタイヤ用ゴム組成物にはジエン系ゴム以外のゴム成分が含まれていてもよいが、含有するゴム成分の90質量%以上がジエン系ゴムであるのが好ましく、95質量%以上がジエン系ゴムであるのがより好ましく、含有するゴム成分がジエン系ゴムからなる(100質量%ジエン系ゴムである)のがさらに好ましい。
<セルロースナノクリスタル>
本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるセルロースナノクリスタル(CNC)は、セルロースミクロフィブリルからなる平均繊維径が1~1000nmの極細繊維(ナノセルロース)のうち、平均繊維長さが0.1~0.5μmの結晶性の(例えば針状結晶、あるいは球状結晶の)極細繊維である。
なお、本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるセルロースナノクリスタルには、平均繊維長さが0.5μm超のアモルファスを含むナノセルロースであるセルロースナノファイバー(CNF)は包含されない。このセルロースナノファイバーは、水分散液としてからゴム成分に混合する必要がある(粉体混合できない)ため、製造効率などが低下し易い傾向があるからである。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるセルロースナノクリスタルは、分子内の水酸基(OH基)が他の官能基に置換されていないセルロースナノクリスタルであってもよく、あるいは、分子内の1以上の水酸基が他の官能基に置換されている(水酸基に置換基が導入されている)セルロースナノクリスタルであってもよい。置換基が導入されている場合、その導入位置や単位構成分子(β-グルコース単位)当たりの導入数は限定されない。例えば、セルロースナノクリスタルを構成する単位構成分子中の少なくとも1つの水酸基に、硫酸基などが導入されたものであってよい。特に、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、分子内の水酸基が他の官能基に置換されていないセルロースナノクリスタルか、あるいは分子内の1以上の水酸基(さらには単位構成分子中の少なくとも1つの水酸基)が硫酸基に置換されたセルロースナノクリスタルを含むのがより好適である。
ここで、このセルロースナノクリスタルの原料となるセルロースは、木材由来または非木材(バクテリア、藻類、綿など)由来のいずれでもよく、特段限定されないが、綿由来セルロースから得られたセルロースナノクリスタル(綿由来のセルロースナノクリスタル)は、結晶化度が高く熱安定性がより高いため好適である。
セルロースナノクリスタルの作製方法としては、例えば、セルロース原料を酸(塩酸、硫酸等)などにより加水分解し、得られた結晶性のナノセルロースをアセトンやトルエンなどの低誘電率有機溶媒中に懸濁し、固形分を低誘電率有機溶媒中において粉砕し、粉砕後に低誘電率有機溶媒を乾燥除去してセルロースナノクリスタルの粉末を得る方法が示される。さらに、この得られた粉末をふるいなどによって分粒して、微粒子(例えば、JIS Z 8801に準拠して150μmふるいにかけたときの通過画分の質量割合が90質量%以上である微粒子)を得てもよい。また、この微粒子の表面を塩酸や硫酸などにより表面処理してもよい。
そして、このセルロースナノクリスタルの平均繊維径は1~1000nmであるが、1~200nmであると好ましく、2~100nmであるとより好ましく、4~50nmであるとさらに好ましい。またセルロースナノクリスタルの平均アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)は、1~500であるのが好ましく、1~100であるのがより好ましく、2~50であるのがさらに好ましい。なお、平均繊維径が上記範囲未満および/または平均アスペクト比が上記範囲を超えると、セルロースナノクリスタルの分散性が低下し易い傾向がある。また平均繊維径が上記範囲を超過および/または平均アスペクト比が上記範囲未満であると補強性能が低下し易い傾向がある。
ここで、本発明においてセルロースナノクリスタルの「平均繊維径」および「平均繊維長さ」とは、TEM観察またはSEM観察により、構成する繊維の大きさに応じて適宜倍率を設定して電子顕微鏡画像を得て、この画像中の少なくとも50本以上において測定したときの繊維径および繊維長さの平均値を意味する。そして、このようにして得られた平均繊維長さおよび平均繊維径から、平均アスペクト比を算出する。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、後述する所定のシランカップリング剤(加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、およびメタクリル基からなる群から選ばれる1以上を有するシランカップリング剤)とともに用いる場合、前述したジエン系ゴム100質量部に対して、このセルロースナノクリスタルを好ましくは0.1~30質量部含有させるのが好適である。なお、この下限は、0.3質量部以上であるのがより好ましく、0.5質量部以上であるのがさらに好ましく、0.8質量部以上であるのがさらに好ましく、1質量部以上であるのがさらに好ましい。また、この上限は、20質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以下であるのがさらに好ましく、8質量部以下であるのがさらに好ましく、5質量部以下であるのがさらに好ましい。このセルロースナノクリスタルの量が少なすぎると、得られるタイヤ用ゴム組成物の引張応力、引張強さ、および伸びが十分に高まりにくい傾向がある。また、このセルロースナノクリスタルの量が多すぎると、セルロースナノクリスタルの分散性が低下してバウンドラバー量が低下し易い傾向があり、また、得られるタイヤ用ゴム組成物のコストが高くなり易い傾向がある。
なお、このセルロースナノクリスタルは、前述したように、水分散液としてゴム成分に添加、混合する必要があるセルロースナノファイバーとは異なり、粉体状のままゴム成分に添加、混合できることが特徴である。
<シランカップリング剤>
本発明のタイヤ用ゴム組成物に含まれるシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば限定されない。そして、この加水分解性基も限定されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基がケイ素原子と結合したアルコキシシリル基であることがより好ましい。加水分解性基がアルコキシシリル基である場合、そのアルコキシ基部分の炭素数は1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
また、有機官能基も限定されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であればよく、例えば、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、メタクリル基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、スルフィド基(特に、ポリスルフィド基(-Sn-:nは2以上の整数))、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられる。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物では、ジエン系ゴム中におけるセルロースナノクリスタルの分散性をより高め易く、且つセルロースナノクリスタルとの併用により適していることから、このシランカップリング剤は、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、およびメタクリル基からなる群から選ばれる1以上を有するものであるのがより好ましい。
具体的には、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(下記式(1)で表される化合物)、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(下記式(2)で表される化合物)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式(3)で表される化合物)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(下記式(4)で表される化合物)、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式(5)で表される化合物)、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(下記式(6)で表される化合物)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(下記式(7)で表される化合物)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(下記式(8)で表される化合物)等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022120935000001
Figure 2022120935000002
Figure 2022120935000003
Figure 2022120935000004
Figure 2022120935000005
Figure 2022120935000006
Figure 2022120935000007
Figure 2022120935000008
特に、本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、上記式(1)および式(2)で表される化合物のような、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にイソシアネート基を有する構造のシランカップリング剤を用いるのがより好適であり、さらに、この加水分解性アルコキシシリル基のアルコキシ基部分の炭素数がいずれも1~4であるのがより好適である。セルロースナノクリスタルとの併用に特に適しており、バウンドラバー量をより増加させ易く、且つ、引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも特に向上したタイヤ用ゴム組成物を得やすいからである。
あるいは、本発明のタイヤ用ゴム組成物においては、上記式(3)および式(4)で表される化合物のような、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にアミノ基を有し、分子の末端のアミノ基以外にはアミノ基を有さない構造のシランカップリング剤を用いるのがより好適である。さらには、この分子の末端のアミノ基以外には窒素原子を有さない構造のシランカップリング剤であるのが非常に好適である。これもセルロースナノクリスタルとの併用に特に適しており、引張応力が特に向上したタイヤ用ゴム組成物を得やすいからである。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物では、前述した、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、およびメタクリル基からなる群から選ばれる1以上を有するシランカップリング剤をセルロースナノクリスタルとともに用いる場合、前述したジエン系ゴム100質量部に対して、このシランカップリング剤を好ましくは0.1~4質量部、より好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~2質量部含有させるのが好適である。このシランカップリング剤の量が少なすぎると、セルロースナノクリスタルの分散性が低下し易く、バウンドラバー量が低下し易い傾向がある。また、このシランカップリング剤の量が多すぎると、シランカップリング剤同士が重合してしまいやすい傾向にある。
さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物では、限定されるものではないが、前述したジエン系ゴムに対する含有量の範囲内において、このシランカップリング剤と、セルロースナノクリスタルとの比率(質量比)を、セルロースナノクリスタル1質量部に対して、このシランカップリング剤が0.3~5質量部となるようにするのがより好ましく、0.4~3質量部となるようにするのがさらに好ましい。ジエン系ゴム中におけるセルロースナノクリスタルの分散性がより高まり易く、且つセルロースナノクリスタルとこのシランカップリング剤との相乗効果も発揮され易いからである。
<その他の成分>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、セルロースナノクリスタル以外の充填剤として、各種無機充填剤をさらに配合することもできる。また、この無機充填剤は、単数あるいは複数を組み合わせて配合しても良い。この無機充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレイ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム等を例示することができる。
特に、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、上記効果がより優れたものとなることから、無機充填剤としてカーボンブラックを含有するのがより好ましい。このカーボンブラックは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている公知の任意のカーボンブラックを用いることができ、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF等の各種グレードのものを使用することができる。そして、このカーボンブラックは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、その含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して、40~200質量部程度であってよい。ここで、この「カーボンブラック」とは、工業的に品質制御して製造された直径3~500nm程度の炭素微粒子を意味する。
さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、レシチン、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤、加硫促進助剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を適量含有させることができ、これらの添加剤を公知の方法で混練してタイヤ用ゴム組成物とすることができる。
例えば、本発明のタイヤ用ゴム組成物における酸化亜鉛の含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.2~10.0質量部であることが好ましく、0.4~5.0質量部であることがより好ましく、1.0~4.0質量部であることがさらに好ましい。また、加硫剤の含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.3~3.0質量部であることが好ましく、0.5~2.5質量部であることがより好ましい。さらに、加硫促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.3~3.0質量部であることが好ましく、0.5~2.0質量部であることがより好ましい。そして、ステアリン酸の含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.1~5.0質量部であることが好ましく、0.2~4.0質量部であることがより好ましい。
<製造方法等>
本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法は、常法にしたがえばよく、特段限定はされない。製造方法の一例としては、ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、必要に応じて他の成分とを、バンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混錬機を用いて常温あるいは高温下で混練、混合することによりタイヤ用ゴム組成物を製造することができる。なお、加硫系成分(硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤など)を使用する場合には、これ以外の成分を先に高温下で混合し、冷却してから加硫系成分を混合するのが好ましい。
なお、本発明のタイヤ用ゴム組成物の製造方法では、前述したセルロースナノクリスタルとシランカップリング剤とを、ジエン系ゴムへの添加、混合前に予め混合して反応させておくなどの前処理を行う必要はない。つまり、セルロースナノクリスタルおよびシランカップリング剤を含めて、加硫系成分以外の原料は任意の順序で添加、混合することができる。
以上のようにして得られた本発明のタイヤ用ゴム組成物は、セルロースナノクリスタルがジエン系ゴム中に均質に分散してバウンドラバー量が増加し、且つこのセルロースナノクリスタルの補強性能によって引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも優れている。また、このセルロースナノクリスタルを充填剤として用いた本発明のタイヤ用ゴム組成物は、従来のタイヤ用ゴム組成物と比較してより軽量化されたものとすることが可能である。
そして、この本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いて、引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも優れた本発明のタイヤを得ることができる。なお、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、この空気入りタイヤに充填する気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、およびその他の気体を使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
<バウンドラバー量の確認>
下記表1に示す組成のゴム組成物サンプル(未加硫ゴム)を作製した。
具体的には、下記表1の上段に示す質量部の各成分を密閉式バンバリーミキサーで混練りし、所定時間の経過後、ミキサーから放出して室温冷却させ、サンプル1-1~1-11のゴム組成物サンプル(未加硫)を得た。なお、コントロール(Ct1)として、シランカップリング剤を含まないゴム組成物サンプル(未加硫ゴム)も作製した。
そして、得られた各ゴム組成物サンプル0.5gをそれぞれ金網かごに入れ、室温で300mLのトルエン中に72時間浸漬した。その後、トルエン中からサンプルを取り出して乾燥し、乾燥後のサンプル質量を測定して、バウンドラバー量(Bound rubber(%))を下記式から算出した。この結果を、下記表1の下段に示した。なお、乾燥後のサンプルについては、目視でも状態を確認した。
バウンドラバー量(%)=(トルエン浸漬処理、乾燥後のサンプル質量)/(処理前のゴム組成物サンプル(未加硫ゴム)の質量)×100
Figure 2022120935000009
上記表1中における各成分の詳細な内容は以下の通りである。
・SBR:スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Nipol 1502、日本ゼオン社製)
・CNC:セルロースナノクリスタル(分子内の水酸基が他の官能基に置換されていないセルロースナノクリスタル、平均繊維径10~50nm、平均繊維長さ0.1~0.5μmからなる、CelluForce社製)
・シランカップリング剤1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤2:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-603、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤3:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(KBE-9007N、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤4:3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤5:3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE-903、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤6:3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(KBE-9103P、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤7:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM-803、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤8:3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(Silquest A-Link 35、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
・シランカップリング剤9:3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-502、信越シリコーン社製)
・シランカップリング剤10:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE-403、信越シリコーン社製)
この結果から、特に、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、またはメタクリル基を有するシランカップリング剤をゴム組成物に含有させることにより、バウンドラバー量が目視でも十分に確認できるほど増加することが明らかとなった(サンプル1-1~1-8、1-11)。つまり、これらのゴム組成物は、セルロースナノクリスタルがスチレン-ブタジエン共重合体ゴム中に均質に分散してフィラーとして十分に機能していると推察された。
<タイヤ用ゴム組成物の作製および評価>
下記表2に示す組成のタイヤ用ゴム組成物を作製した。
具体的には、下記表2の上段に示す質量部の各成分のうち、硫黄および加硫促進剤を除く成分を密閉式バンバリーミキサーで混練りし、所定時間の経過後、ミキサーから放出して室温冷却させた。次に、オープンロールを用いて、硫黄および加硫促進剤を混合して混錬し、これを15cm×10cm×0.1cmの金型中において160℃30分間プレス加硫して、コントロール(Ct2)およびサンプル2-1~2-8のタイヤ用ゴム組成物(加硫ゴム)を得た。なお、サンプル2-1~2-8に含まれるシランカップリング剤の種類は、それぞれバウンドラバー量の確認で作製したサンプル1-1~1-8と同じものである(サンプル番号の末尾の数字が同じものが、同じシランカップリング剤を使用しているサンプルである)。
そして、得られた各タイヤ用ゴム組成物について、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2010に準拠して行い、50%モジュラス(M50:MPa)、200%モジュラス(M200:MPa)、400%モジュラス(M400:MPa)、破断時引張強さ(TB:MPa)、および破断時伸び(=破断時の伸び率:EB)を室温(20℃)にて測定した。なお、EBについては、各タイヤ用ゴム組成物のEB測定に用いた試験片の引張試験を行う前の長さを100%とした場合における、この試験片のEB測定での破断時の長さを相対値(%)として示した。また、各タイヤ用ゴム組成物の上記引張試験は、それぞれ3回ずつ実施した。これらの結果(3回の試験データの平均値)を、下記表2の下段に示す。
Figure 2022120935000010
上記表2中における各成分の詳細な内容は以下の通りである。
・SBR:スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Nipol 1502、日本ゼオン社製)
・CNC:セルロースナノクリスタル(分子内の水酸基が他の官能基に置換されていないセルロースナノクリスタル、平均繊維径10~50nm、平均繊維長さ0.1~0.5μmからなる、CelluForce社製)
・シランカップリング剤:上記表1のサンプル1-1~1-8と同じシランカップリング剤をそれぞれサンプル2-1~2-8に使用
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛(ZnO、正同化学工業社製)
・硫黄:ミュークロン OT-20(四国化成工業社製)
・ノクセラーNS-P:加硫促進剤(大内新興化学工業社製)
これらの結果から、ジエン系ゴムであるスチレン-ブタジエン共重合体ゴム、およびセルロースナノクリスタルとともに、所定のシランカップリング剤を含むサンプル2-1~2-8のタイヤ用ゴム組成物は、200%モジュラス、400%モジュラス、破断時引張強さ、および破断時伸びがいずれもコントロールのタイヤ用ゴム組成物より向上していることが明らかとなった。
特に、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にイソシアネート基を有する構造のシランカップリング剤を含有させたサンプル2-3は、このシランカップリング剤とセルロースナノクリスタルとの相乗効果などによって上記特性が非常に優れたものとなっていることが明らかとなった。また、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にアミノ基を1つ有し、分子の末端のアミノ基以外には窒素原子を有さない構造のシランカップリング剤を含有させたサンプル2-4およびサンプル2-5は、このシランカップリング剤とセルロースナノクリスタルとの相乗効果によって400%モジュラスが特に優れたものとなり、且つ他の項目も十分に向上していることも明らかとなった。
以上の結果より、サンプル2-1~2-8は、所定のシランカップリング剤によりセルロースナノクリスタルがジエン系ゴム中に均質に分散されて引張応力、引張強さ、および伸びがいずれも向上し、さらにこのセルロースナノクリスタルと所定のシランカップリング剤との組み合わせによる相乗効果も発揮されることが示された。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴムと、セルロースナノクリスタルと、シランカップリング剤と、を含むタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、およびメタクリル基からなる群から選ばれる1以上を有する、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にイソシアネート基を有する構造である、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記シランカップリング剤が、加水分解性アルコキシシリル基を3以上有し、且つ、分子の末端にアミノ基を有し、分子の末端の前記アミノ基以外にはアミノ基を有さない構造である、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記セルロースナノクリスタルを0.1~30質量部、および前記シランカップリング剤を0.1~4質量部含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記ジエン系ゴムが、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、および天然ゴムからなる群から選ばれる1以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ。
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WO2024101450A1 (ja) * 2022-11-11 2024-05-16 中越パルプ工業株式会社 ゴム組成物

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