JP2022120389A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、冷熱サイクル及び接着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)液状エポキシ樹脂、(B)チオール化合物、(C)アミン系潜在性硬化剤を含み、25℃で液状であり、(1)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、-25℃における曲げ弾性率が0.1GPa~8.0GPaであること;(2)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、25℃における曲げ弾性率が0.05GPa~4.0GPaであること;(3)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の残発熱量が15%以下であること;(4)配合直後の粘度(n1)に対して30℃で48時間保存した後の粘度(n2)の粘度倍率(n2/n1)が0.9倍以上1.5倍以下であること;を満たすエポキシ樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、電子機器、電気電子部品の絶縁材料、封止材料、接着剤、及び導電性材料等の幅広い用途に利用されている。
特に電子機器に利用するエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、電子機器の高機能化、小型化、薄型化に伴い、例えば、半導体チップの小型集積化、回路の高密度化と共に、生産性の大幅な改善や、電子機器のモバイル用途における可搬性、信頼性の向上等が求められている。
エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、硬化剤により硬化させて上記様々な用途に利用される。
エポキシ樹脂組成物を硬化させる方法としては、使用時にエポキシ樹脂と硬化剤とを混合して硬化させる、いわゆる二液性エポキシ樹脂組成物を用いる方法がある。二液性エポキシ樹脂組成物において、前記硬化剤として、チオール系硬化剤とアミン系硬化剤とを併用する方法が知られている。
前記二液性エポキシ樹脂組成物は、低温で良好に硬化し得るが、エポキシ樹脂と硬化剤とを別々に保管する必要があり、また、使用時には両者を計量した上で迅速かつ均一に混合する必要があり、取扱いが煩雑である傾向にある。さらに、エポキシ樹脂と硬化剤とを一旦混合してしまうと、その後の可使時間が限定されるため、両者を予め大量に混合しておくことができない。
これらの問題点を解決すべく、アミン系硬化剤に潜在性を持たせたアミン系潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が提案されている。しかしながら、このようなエポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性と硬化性(特に低温での硬化性)とを両立させることが難しい傾向にある。
例えば、特許文献1及び2には、いずれにも低温硬化性を改善したエポキシ樹脂組成物が提案されている。
特開2019-143134号公報 国際公開第2017/057019号
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているエポキシ樹脂組成物では、低温硬化性の改善を試みているものの、冷熱サイクル及び接着性に改善の余地があり、有機基材やシリコンとの接着といった電子部材への適用には不向きである。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、冷熱サイクル及び接着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の物性値を有するエポキシ樹脂組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
(A)液状エポキシ樹脂、(B)チオール化合物、(C)アミン系潜在性硬化剤を含み、25℃で液状であり、次の条件(1)~(4)を満たすエポキシ樹脂組成物;
(1)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、-25℃における曲げ弾性率が0.1GPa~8.0GPaであること;
(2)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、25℃における曲げ弾性率が0.05GPa~4.0GPaであること;
(3)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の残発熱量が15%以下であること;
(4)配合直後の粘度(n1)に対して30℃で48時間保存した後の粘度(n2)の粘度倍率(n2/n1)が0.9倍以上1.5倍以下であること。
[2]
更に下記条件(5)を満たす、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物;
(5)80℃の等温で示差走査熱量計(DSC)により、窒素雰囲気下でエポキシ樹脂組成物を分析したとき、80℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が20分以下であること。
[3]
(A)液状エポキシ樹脂が、(A1)可撓性エポキシ樹脂を含む、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4]
(C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度が0.9以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、
[5]
(C)アミン系潜在性硬化剤が、マイクロカプセル型である、[1]~[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[6]
更に(D)充填剤を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[7]
(B)チオール化合物がエステルフリーのチオール化合物を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[8]
(B)チオール化合物が下記式(1)及び/又は(2)で表される化合物を含む、[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2022120389000001
Figure 2022120389000002
(式(1)及び(2)中、R1~R5は、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の炭化水素基若しくはヘテロ基を示す。)
本発明によれば、冷熱サイクル及び接着性に優れるエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂、(B)チオール化合物、(C)アミン系潜在性硬化剤を含み、25℃で液状であり、下記条件(1)~(4)を満たす:
(1)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、-25℃における曲げ弾性率が0.1GPa~8.0GPaであること;
(2)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、25℃における曲げ弾性率が0.05GPa~4.0GPaであること;
(3)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の残発熱量が15%以下であること;
(4)配合直後の粘度(n1)に対して30℃で48時間保存した後の粘度(n2)の粘度倍率(n2/n1)が0.9倍以上1.5倍以下であること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上記条件を満たすことにより、冷熱サイクル性が良好であり、接着性に優れる。そのため、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、パッケージ基材などの電子材料接着剤に好適に用いることができる。
なお、本実施形態において、液状とは、25℃で流動性を示す状態であり、具体的には25℃での粘度が500Pa・s以下の状態をいう。
また、エポキシ樹脂組成物において、一般的な硬化温度100℃以上に対し、低温の80℃で硬化できることは、低温硬化性を有することを意味する。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、次の条件(1)を満たす。
(1)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、-25℃における曲げ弾性率が0.1GPa~8.0GPaであること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、-25℃における曲げ弾性率は、好ましくは0.2GPa~7.0GPaであり、さらに好ましくは0.3GPa~6.0GPaである。本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、-25℃における曲げ弾性率を前記範囲とする方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整する方法や、各成分を配合したエポキシ樹脂組成物を硬化させる際に、局所的ではなくエポキシ樹脂組成物全体に均一になるよう熱を加える方法を挙げることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、-25℃における曲げ弾性率が、前記下限値以上であると、熱サイクル時にかかる被接着体とのひずみに耐え、剥がれが生じにくく、また、前記上限値以下であると熱サイクル時の応力を緩和でき、割れが生じにくい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、次の条件(2)を満たす。
(2)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、25℃における曲げ弾性率が0.05GPa~4.0GPaであること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、25℃における曲げ弾性率は、好ましくは0.1GPa~3.0GPaであり、さらに好ましくは0.2GPa~2.0GPaである。本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、25℃における曲げ弾性率を前記範囲とする方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整する方法や、(C)アミン系潜在性硬化剤が(A)液状エポキシ樹脂と反応する前に(B)チオール化合物全体が硬化剤として寄与するような硬化条件を選択する方法を挙げることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、前記下限値以上であると、強度と靱性とが十分に高くなるため、耐クラック性に優れ、一方、前記上限値以下であると、十分に低い弾性率となり、衝撃や熱膨張及び収縮などの外部応力を緩和することができ、衝撃や熱膨張及び収縮による接着層の破壊が起こりにくい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、次の条件(3)を満たす。
(3)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の残発熱量が15%以下であること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、80℃、30分間で硬化させた硬化物の、DSCで測定した場合の残発熱量は、好ましくは12.5%以下であり、より好ましくは10%以下である。さらに好ましくは当該残発熱量がない、すなわち、0%である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該残発熱量が低いことは、硬化が進行したことを意味し、硬化物物性に優れることを示す。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該残発熱量を前記範囲とする方法としては、特に限定されないが、例えば、配合時にエポキシ樹脂組成物として均一に配合する方法や、(B)チオール化合物の含有量をエポキシ基1当量に対し、チオール基当量として0.5~2.0当量の範囲になるよう配合する方法を挙げることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、次の条件(4)を満たす。
(4)配合直後の粘度(n1)に対して30℃で48時間保存した後の粘度(n2)の粘度倍率(n2/n1)が0.9倍以上1.5倍以下であること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該粘度倍率(n2/n1)の上限は、好ましくは1.4倍以下であり、より好ましくは1.3倍以下であり、当該粘度倍率(n2/n1)の下限は、好ましくは0.93倍以上であり、0.95倍以上である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤として(B)チオール化合物を使用するときに、本条件(4)を満たすことは、エポキシ樹脂組成物の樹脂の反応や沈降具合といった安定性や、得られる硬化物物性、特に耐湿性を担保することを意味する。本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該粘度倍率(n2/n1)を前記範囲とする方法としては、特に限定されないが、例えば、(A)液状エポキシ樹脂、(B)チオール化合物を配合後に、(C)アミン系潜在性硬化剤を配合したりする方法や、配合時に過剰に熱を掛けない方法が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、次の条件(5)を満たすことが好ましい。
(5)80℃の等温で示差走査熱量計(DSC)により、窒素雰囲気下でエポキシ樹脂組成物を分析したとき、80℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が20分以下であること。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該ピークトップに至るまでの時間の上限は、好ましくは17.5分以下であり、より好ましくは15分以下である。また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該ピークトップに至るまでの時間の下限は、好ましくは1分超であり、より好ましくは3分超である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該ピークトップまでの時間が20分以下であると、反応が均一に進行することを示し、硬化ムラが少ないことから、サイクル試験を実施したときに歪がかかる部分が少ないことを意味する。本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該ピークトップまでの時間が前記下限値より大きいと、硬化するまでの単位時間あたりの硬化発熱量が少なくなるため、温度上昇が低くなり、硬化後の残応力が低下する。そのため、硬化物物性として良好なものとなる傾向にある。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、当該ピークトップまでの時間を前記範囲とする方法としては、特に限定されないが、例えば、(C)アミン系潜在性硬化剤の種類及び量、(C)アミン系潜在性硬化剤と、(A)液状エポキシ樹脂及び(B)チオール化合物との組合せ等を適宜選ぶ方法を挙げることができる。
なお、本実施形態において、上記各条件は、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
[(A)液状エポキシ樹脂]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂を含む。
本実施形態に用いる(A)液状エポキシ樹脂は、25℃における粘度が100Pa・s以下であることが好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有することが好ましい。(A)液状エポキシ樹脂は、本発明の効果を奏することができれば、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、テトラブロモビフェニル型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、フェニルベンゾエート型エポキシ樹脂、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホキシド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、ジフェニルジスルフィド型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、メチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、N,N-ジグリシジルアニリン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂類;N,N-ジグリシジルアミノベンゼン型エポキシ樹脂、o-(N,N-ジグリシジルアミノ)トルエン型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジアミノベンゼン型エポキシ樹脂等の4官能型エポキシ樹脂類;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ブロモ化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂類が挙げられる。
さらに(A)液状エポキシ樹脂は(A1)可撓性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A1)可撓性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、且つ可撓性が発現するものであることが好ましい。具体的には、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂など柔軟成分変性型のエポキシ樹脂、又はエラストマー添加型エポキシ樹脂、ウレタン樹脂添加型エポキシ樹脂など靱性成分添加型のエポキシ樹脂が挙げられる。他に2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサン型ジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン型ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン型エポキシ樹脂、クレジルグリシジルエーテル、p-s-ブチルフェニルグリシジルエーテル、n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2-エポキシ-4-(2-メチルオキシラニル)-1-メチルシクロヘキサン、1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ネオデカン酸グリシジルエステル等の反応性希釈剤としても使用できる脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(A)液状エポキシ樹脂としては、低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂が好ましく、液晶ポリマーとの接着性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂がより好ましい。具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂や1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましく用いられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂において、(A1)可撓性エポキシ樹脂の含有量は、(A)液状エポキシ樹脂の合計100質量部に対して、15質量部~85質量部の範囲にあることが好ましい。本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、(A)液状エポキシ樹脂の合計100質量部に対して、(A1)可撓性エポキシ樹脂の含有量が15質量部以上であることで、可撓性エポキシ樹脂の効果が十分に発現される傾向にあり、十分に低い弾性率と十分な靱性が得られる傾向にある。そのため、平面ひずみ破壊靱性値から求められる耐クラック性にも優れる傾向にある。一方、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂の合計100質量部に対して、(A1)可撓性エポキシ樹脂の含有量が85質量部以下であることで、柔軟性部位の過度な増加を抑制できるため、十分な強度を確保でき、十分な接着強度が得られる傾向にある。
[(B)チオール化合物]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(B)チオール化合物を含む。(B)チオール化合物は、本発明の効果を奏することができれば、以下に限定されるものではないが、得られた硬化物の物性の観点から、1分子中に2個以上のチオール基を含有するものであることが好ましい。具体的には、特に限定されないが、例えば、3,3’-ジチオジプロピオン酸、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,10-デカンジチオールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(B)チオール化合物は、低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)が好ましく、低温硬化性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)がより好ましい。
さらに(B)チオール化合物としてはエステルフリーの(エステル結合を有さない)チオール化合物を含むことが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、(B)チオール化合物としてエステル結合を有さないエステルフリーのチオール化合物を用いることで、硬化物が高温多湿条件下でも加水分解が起こりにくく、接着強度の保持率が高くなる。
(B)チオール化合物として、より好ましくは、下記式(1)及び/又は(2)で表される化合物を含む。
Figure 2022120389000003
Figure 2022120389000004
(式(1)及び(2)中、R1~R5は、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の炭化水素基若しくはヘテロ基を示す)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、(B)チオール化合物として上記式(1)及び/又は(2)で表される化合物を含むと、反応性が高く高接着となる傾向にある。
[(C)アミン系潜在性硬化剤]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(C)アミン系潜在性硬化剤を含む。(C)アミン系潜在性硬化剤は、本発明の効果を奏することができれば、以下に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド及びその誘導体、アミン-エポキシアダクト類、アミン-尿素アダクト類、又はこれらを被覆してなる硬化剤、包摂化合物と錯形成してなる硬化剤、多孔質体に吸着させてなる硬化剤などが挙げられる。その具体例としては、本発明の効果を奏することができれば、以下に限定されないが、例えば、ノバキュア HX-3721、HX-3722、HX-3613、HX-3921HP、HXA4922HP、フジキュアー FXR-1020、FXR-1030(富士化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(C)アミン系潜在性硬化剤としては、粒径度が0.9以上であることが好ましい。(C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度は、より好ましくは0.92以上であり、さらに好ましくは0.94以上である。(C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度の上限は、特に限定されないが、例えば、1.0である。(C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度が上記範囲にあると、カプセル化後に耐溶剤性、耐湿性、耐充填剤性が良好となる傾向にある。
ここで粒径度とは、以下の方法により求めた値である。フロー式粒子像分析装置FPIA-3000S(スペクトリス(株)社製)を用いて、シクロヘキサンに、製造工程中に得られた各種硬化剤を0.5質量%で分散させた分散液を測定することにより、粒径度を求めることができる。カプセル化されたものは、均一にカプセル化されたものとみなし、硬化剤の粒径度をそのまま使用する。粒径度が1に近いほど真球に近いことを意味する。
(C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度を前記範囲に制御する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(C)アミン系潜在性硬化剤の表面改質を行う方法が有効である。他にも、例えば、機械的に粒子を丸くしたり、熱風処理したりする方法が挙げられる。
(カプセル型の硬化剤)
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(C)アミン系潜在性硬化剤が、カプセル化されているカプセル型の硬化剤であることが好ましく、マイクロカプセル型の硬化剤であることがより好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(C)アミン系潜在性硬化剤がカプセル化されていることにより、硬化剤を物理的に隔離できるため、安定性が向上する。
カプセル化された(C)アミン系潜在性硬化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エポキシ系、アクリル系、ラテックス系、ウレタン系、シリカ系が挙げられる。
(C)アミン系潜在性硬化剤をカプセル化する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、以下の(1)~(3)のような方法が挙げられる。
(1):分散媒である溶剤中に、カプセル成分と、硬化剤の粒子とを溶解・分散させた後、分散媒中のカプセル成分の溶解度を下げて、エポキシ樹脂用硬化剤の粒子の表面にカプセルを析出させる方法。
(2):硬化剤の粒子を分散媒に分散させ、この分散媒に上記のカプセルを形成する材料を添加して硬化剤の粒子上に析出させる方法。
(3):分散媒にカプセルを形成する原材料成分を添加し、硬化剤の粒子の表面を反応の場として、そこでシェル形成材料を生成する方法。
ここで、前記(2)、(3)の方法は、反応と被覆を同時に行うことができるため好ましい。
前記(2)、(3)の方法でカプセルを形成した後、カプセル型の硬化剤を分散媒より分離する方法は、特に限定されないが、カプセルを形成した後の未反応の原料と分散媒とを共に分離・除去することが好ましい。このような方法として、ろ過により分散媒、及び未反応のカプセル形成材料を除去する方法が挙げられる。
分散媒を除去した後、カプセル型の硬化剤を洗浄することが好ましい。それにより、カプセル型の硬化剤の表面に付着している、未反応のカプセル形成材料を除去できる。
洗浄の方法は特に限定されないが、例えば、ろ過による残留物分離の際に、分散媒又はカプセル型の硬化剤を溶解しない溶媒を用いて洗浄することができる。
ろ過や洗浄を行った後にカプセル型の硬化剤を乾燥すると、粉末状のマイクロカプセル型の硬化剤を得ることができる。乾燥の方法は特に限定されないが、硬化剤の融点、又は軟化点以下の温度で乾燥することが好ましく、例えば減圧乾燥が挙げられる。
カプセル型の硬化剤を粉末状にすることにより、エポキシ樹脂との配合作業を容易に適用することができる。また、分散媒としてエポキシ樹脂を用いると、カプセル形成と同時に、エポキシ樹脂とマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤とからなる液状樹脂組成物を得ることができるため好適である。
なお、カプセル膜の厚さはカプセル化剤の量や反応条件によりコントロールできる。カプセル膜が薄すぎると、保存安定性や耐湿性や耐充填剤性がでにくくなる傾向にある。カプセル化剤の量は安定性を確保できれば特に限定されない。カプセルの形成反応は、通常、-10℃~150℃、好ましくは0℃~100℃の温度範囲で、通常、10分間~72時間、好ましくは30分間~24時間の反応時間で行う。
[(D)充填剤]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、(D)充填剤を含むことが好ましい。
(D)充填剤としては、本発明の効果を奏することができれば、特に限定されないが、熱膨張係数や熱伝導性の観点から無機充填剤(無機フィラー)、無機充填剤をシランカップリング剤で処理した無機充填剤が挙げられ、接着強度向上及び耐クラック性向上の観点から、有機充填剤より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、無機充填剤を含有することにより、熱膨張係数を調整でき、耐熱性及び耐湿性の向上に寄与する傾向にある。
無機充填剤(無機フィラー)としては、以下に限定されないが、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、合成シリカ、結晶シリカ等の酸化シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;亜硫酸カルシウム等亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、耐湿性、及び強度を向上できる観点から、溶融シリカ、結晶シリカ、及び合成シリカ粉末が好ましく、また、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び窒化ホウ素のいずれかが好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、このような充填剤を用いることにより、熱膨張係数を抑制できるため、冷熱サイクル試験の改善等が見込まれる。
上述した(D)充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D)充填剤の形状は、特に限定されず、例えば、不定形、球状、及びりん片のいずれの形態であってもよい。
(D)充填剤として無機充填剤を用いた場合、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上85質量%以下である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、無機充填剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、優れた低熱膨張係数が実現できる傾向にある。また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、無機充填剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、弾性率の上昇をより抑えることができる傾向にある。
無機充填剤は、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。
シランカップリング剤は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中に含有させることでも、その性能は発揮されるが、シランカップリング剤で無機充填剤の表面処理を行うことにより、一層の低粘度化を実現できる傾向にある。
シランカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-(ビニルベンジルアミノ)エチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
これらの中でも、接着強度の観点から、重合性官能基を有するシランカップリング剤が好ましい。
有機充填剤とは、応力緩和性を有する耐衝撃緩和剤としての機能を有するものである。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、有機充填剤を含有することにより、各種接続部材との接着性をより一層向上することができ、また、フィレットクラックの発生及び進展を抑制することができる傾向にある。
有機充填剤としては、以下に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリルゴム、ポリスチレン、NBR、SBR、シリコーン変性樹脂、及びこれらを成分として含む共重合体の有機微粒子が挙げられる。
接着性向上の観点から、前記有機微粒子としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル-ブタジエン-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル-シリコーン共重合体、シリコーン-(メタ)アクリル共重合体、シリコーンと(メタ)アクリル酸との複合体、(メタ)アクリル酸アルキル-ブタジエン-スチレンとシリコーンとの複合体及び(メタ)アクリル酸アルキルとシリコーンとの複合体を用いることが好ましい。
前記有機充填剤としては、コアシェル型の構造を有し、コア層とシェル層とで組成が異なる有機微粒子を用いることもできる。
コアシェル型の有機微粒子としては、例えば、シリコーン-アクリルゴムをコアとてアクリル樹脂をグラフトした粒子、及びアクリル共重合体にアクリル樹脂をグラフトとした粒子が挙げられる。
コアシェル型の有機微粒子の含有による低弾性率化によって、フィレット部に生じる応力が低減され、フィレットクラックの発生を抑制することができる傾向にある。また、フィレットクラックが発生した場合には、含有させたコアシェル型の有機微粒子が応力緩和剤として作用し、フィレットクラックの進展を抑制する傾向にある。
前記コア層の構成材料としては、柔軟性に優れた材料が用いられることが好ましい。コア層の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、シリコーン系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、及びシリコーン/アクリル系複合系エラストマーが挙げられる。
一方、前記シェル層の構成材料としては、半導体樹脂封止材の他の成分に対する親和性、特にエポキシ樹脂に対する親和性に優れた材料が用いられることが好ましい。シェル層の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂が、封止材の他の成分に対する親和性、特にエポキシ樹脂に対する親和性の観点から好ましい。
(D)充填剤として有機充填剤を用いた場合、本実施形態のエポキシ樹脂組成物中の有機充填剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは2~18質量%であり、さらに好ましくは3~16質量%である。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、有機充填剤の含有量が前記下限値以上であることにより、応力緩和が働き、接着力の向上の効果が得られる傾向にある。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、有機充填剤の含有量が前記上限値以下であることにより、耐熱リフロー性の効果が得られる傾向にある。
[その他の成分]
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を奏することができれば、その他の成分として、安定化剤や難燃剤なども含有してもよい。
安定化剤は、特に限定されないが、例えば、貯蔵安定性の向上のため、ホウ酸、及び環状ホウ酸エステル化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環状ホウ酸エステル化合物とは、ホウ素が環式構造に含まれているものである。環状ホウ酸エステル化合物は、2,2’-オキシビス(5,5’-ジメチル-1,3,2-オキサボリナン)が好ましい。
難燃剤は、特に限定されないが、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、及び無機系難燃剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
臭素系難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラブロモフェノールが挙げられる。リン系難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、9、10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファナンスレン-10-オキサイド及びそのエポキシ誘導体、トリフェニルホスフィンやその誘導体、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物が挙げられる。窒素系難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、グアニジン系難燃剤、トリアジン構造含有フェノール、ポリリン酸メラミン、及びイソシアヌル酸が挙げられる。無機系難燃化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウムが挙げられ、耐熱性の観点から水酸化マグネシウムが好ましい。
難燃剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂組成物の質量(100質量%)に対して、好ましくは5質量%以上200質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上100質量%以下である。
本発明を、実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔(C)アミン系潜在性硬化剤の製造〕
実施例及び比較例で用いた(C)アミン系潜在性硬化剤の製造方法を以下に示す。
(製造例1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:商品名「jER828EL」)188質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール110質量部を、n-ブタノールとトルエンとの1:1混合溶媒400質量部中、80℃で反応させた。その後減圧下で過剰のアミンを溶剤と共に留去し、25℃で固体のブロック状エポキシ樹脂用硬化剤を得た。
次いで、ブロック状エポキシ樹脂用硬化剤をジェットミル粉砕して、比表面積値が3.63m2/g、篩下平均粒径D50が2.40μm、D99/D50が8.6、粒径度0.86となる粒子(粉砕品、エポキシ樹脂用硬化剤1(アミン系潜在性硬化剤))を得た。
ヘキサン200質量部中にエポキシ樹脂用硬化剤1を100質量部、均一分散させ、カプセル化剤(東ソー(株)製:商品名「MR-400」)30質量部を加え、50℃で攪拌しながら3時間反応を続け、エポキシ樹脂用硬化剤2(マイクロカプセル型のアミン系潜在性硬化剤)を得た。
(製造例2)
エポキシ樹脂用硬化剤1を用いて、アーステクニカ株式会社製のクリプトロンオーブを使用し、温度10℃、湿度30%の環境下、回転速度13500rpm、供給速度10kg/時間、風量3m3/分で、形状補正処置を行い、サイクロン式捕集機、バグフィルターを付属させ比表面積値を調整し、比表面積値が2.67m2/g、D50が3.1μm、D99/D50が4.5、粒径度0.96となるエポキシ樹脂用硬化剤を分級機による分級操作によって作製し、エポキシ樹脂用硬化剤3を得た。
ヘキサン200質量部中にエポキシ樹脂用硬化剤3を100質量部、均一分散させ、カプセル化剤(東ソー(株)製:商品名「コロネートT100」)20質量部を加え、50℃で攪拌しながら3時間反応を続け、エポキシ樹脂用硬化剤4(マイクロカプセル型のアミン系潜在性硬化剤)を得た。
(製造例3)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:商品名「jER828EL」)188質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール110質量部とを、n-ブタノールとトルエンとの1:1混合溶媒400質量部中、80℃で反応させた。その後減圧下で過剰のアミンを溶剤と共に留去し、その後150℃まで加熱し、粉末状アミンであるトリエチレンジアミン(東ソー社製:商品名「TEDA」)を100質量部入れ、十分混合後冷却し、25℃で固体のブロック状エポキシ樹脂用硬化剤を得た。
次いで、ブロック状エポキシ樹脂用硬化剤をジェットミル粉砕し、さらにアーステクニカ株式会社製のクリプトロンオーブを使用し、温度10℃、湿度30%の環境下、回転速度13500rpm、供給速度10kg/時間、風量3m3/分で、形状補正処置を行い、サイクロン式捕集機、バグフィルターを付属させ比表面積値を調整し、比表面積値が1.98m2/g、D50が3.6μm、D99/D50が4.5、粒径度0.95のエポキシ樹脂用硬化剤を分級機による分級操作によって作製し、エポキシ樹脂用硬化剤5を得た。
ヘキサン200質量部中にエポキシ樹脂用硬化剤5を100質量部、均一分散させ、カプセル化剤(東ソー(株)製:商品名「コロネートT65」)15質量部を加え、50℃で攪拌しながら3時間反応を続け、エポキシ樹脂用硬化剤6(マイクロカプセル型のアミン系潜在性硬化剤)を得た。
なお、本実施例において、粒径度は、以下のように測定した。フロー式粒子像分析装置FPIA-3000S(スペクトリス(株)社製)を用いて、シクロヘキサンに、製造工程中に得られた各種硬化剤を0.5質量%で分散させた分散液を測定することにより、粒径度を求めた。カプセル化されたものは、均一にカプセル化されたものとみなし、硬化剤の粒径度をそのまま使用した。
実施例及び比較例で用いた物性及び特性の測定方法を以下に示す。
(1)曲げ弾性率
後述する硬化物を対象とし、測定装置TAインスツルメンタル社製RSA-G2を用いて、JIS K7244-5に準拠して、所定温度(-25℃及び25℃)での曲げ弾性率を測定した。
(2)示差走査熱量計(DSC)測定による残発熱量
実施例及び比較例で得られた配合直後のエポキシ樹脂組成物を、DSC測定装置TAインスツルメンタル社製Q2000を用いて、25~250℃まで10℃/分で測定して得られた総発熱量を100%とし、後述する硬化物を同様の条件で測定して得られた総発熱量の100分率を求めた。当該求めた値を残発熱量(%)とした。
(3)示差走査熱量計(DSC)測定
実施例及び比較例で得られた配合直後のエポキシ樹脂組成物を、DSC測定装置TAインスツルメンタル社製Q2000を用いて、100℃/分で80℃まで昇温した後に、窒素雰囲気下で2時間の等温測定を行った。80℃になった時点を測定開始時刻とし、発熱ピークトップ(熱流量がピークトップ)に至るまでの時間を測定した。
(4)保存安定性
実施例及び比較例で得られた配合直後のエポキシ樹脂組成物の粘度(n1)を23℃環境下、BH型粘度測定器を用いて測定した。また、実施例及び比較例で得られた配合直後のエポキシ樹脂組成物を、蓋をした密封容器に入れ、30℃で48時間保存した後の粘度(n2)を同様に測定した。得られた両者の粘度(n1及びn2)を比較し、粘度倍率(n2/n1)を求めた。
(5)冷熱サイクル試験
実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂組成物をシリコンウェハー上に500μmの厚さに塗布し、80℃、30分で硬化させてシリコンウェハー上に硬化物を形成させた。その後、当該硬化物を形成させたシリコンウェハーを5cm×5cmに切断したものを試験片とし、JIS C60068に準拠して、-40℃~+100℃の冷熱サイクル試験を3000回まで行った。1000回ごとに硬化物におけるクラックの有無を観測し、3000回までクラックがなかったものを◎、2000回までクラックがなかったが、3000回までにクラックがあったものを〇、1000回までなかったが、2000回までにクラックがあったものを△、1000回までにクラックがあったものを×とした。
(6)湿熱試験(引張せん断接着強度保持率)
後述する硬化物を対象とし、JIS K6850に準拠して、硬化直後の初期引張せん断接着強度(s1)を測定し、硬化後に30℃×90%RH環境下に168時間放置後に同様に引張せん断接着強度(s2)を測定した。両者の接着強度を測定した。両者の接着強度を比較し、引張せん断接着強度保持率(s2/s1)を求めた。当該引張せん断接着強度保持率が1倍に近いほど接着性に優れると評価した。
相手材にはスミカスーパーE6007LHF(住友化学株式会社製)を用いた。
〔実施例1~7、並びに、比較例1~5〕
(エポキシ樹脂組成物の調製)
以下の表1に示す配合比率で、後述する(A)~(E)の各成分を計量後、ノンバブリングニーダーで2分間の撹拌及び3分間の脱泡を行い、混合し、25℃で液状のエポキシ樹脂組成物を調製した。調製したエポキシ樹脂組成物について、上記のとおり各測定を行った。測定結果を表1に示す。なお、表1における(A)~(E)の各成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を100質量部としたときの質量部表示で示されている。
(硬化物の作製)
調製したエポキシ樹脂組成物をテフロン(登録商標)製の型に流し入れ、加熱炉にて80℃、30分間で硬化させた。硬化後にテフロン型を外し、2mm厚の硬化板を得た。得られた硬化板からステップカッターを用いて上記各測定に準拠した大きさのサンプル(硬化物)に切り出し、上記のとおり各測定を行った。測定結果を表1に示す。
[(A)液状エポキシ樹脂]
A-1:BE-186EL(長春人造樹脂社製、エポキシ当量:186、25℃での粘度:13.0Pa・s)
A-2:BFE170(長春人造樹脂社製、エポキシ当量:170、25℃での粘度:5.4Pa・s)
A-3:AER9000(旭化成(株)製、可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:380、25℃での粘度:900mPa・s(0.9Pa・s))
A-4:YED216L(三菱ケミカル(株)製、可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:160、25℃での粘度:15mPa・s(0.015Pa・s))
[(B)チオール化合物]
B-1:BPADT(味の素ファインテクノ(株)製、チオール当量:188g/eq、エステルフリー)
B-2:TMPIA(味の素ファインテクノ(株)製、チオール当量:117g/eq、エステルフリー)
B-3:TS-G(四国化成工業(株)製、チオール当量:108g/eq、エステルフリー)
B-4:PEPT(SC有機化学(株)製、チオール当量:124g/eq、エステルフリー)
B-5:PEMP(SC有機化学(株)製、チオール当量:122g/eq、エステル含有)
各チオール化合物B-1~B-5の構造は、以下のとおりである。
Figure 2022120389000005
(式(1)中、R1~R2は、プロピレン基(-C36-)を示す。)
Figure 2022120389000006
(式(2)中、R3~R5は、プロピレン基(-C36-)を示す。)
Figure 2022120389000007
Figure 2022120389000008
Figure 2022120389000009
[(C)アミン系潜在性硬化剤]
C-1:エポキシ樹脂用硬化剤1
C-2:エポキシ樹脂用硬化剤2
C-3:エポキシ樹脂用硬化剤4
C-4:エポキシ樹脂用硬化剤6
C-5:PN23J(味の素ファインテクノ(株)製)
C-6:HXA5945HP(旭化成(株)製、アミン系潜在性硬化剤)
[(D)充填剤]
D-1:アミノシラン処理SO-C2((株)アドマテックス製)
[(E)その他成分]
E-1:L-07N(四国化成(株)製、ホウ酸エステル化合物)
Figure 2022120389000010
表1の結果から、特定の条件を満たすエポキシ樹脂組成物は冷熱サイクル試験及び接着性の結果が良好であった。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、冷熱サイクル及び接着性に優れるため、各種電子部品の接着剤、液状封止剤として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (8)

  1. (A)液状エポキシ樹脂、(B)チオール化合物、(C)アミン系潜在性硬化剤を含み、25℃で液状であり、次の条件(1)~(4)を満たすエポキシ樹脂組成物;
    (1)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、-25℃における曲げ弾性率が0.1GPa~8.0GPaであること;
    (2)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、25℃における曲げ弾性率が0.05GPa~4.0GPaであること;
    (3)80℃、30分間で硬化させた硬化物が、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の残発熱量が15%以下であること;
    (4)配合直後の粘度(n1)に対して30℃で48時間保存した後の粘度(n2)の粘度倍率(n2/n1)が0.9倍以上1.5倍以下であること。
  2. 更に下記条件(5)を満たす、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物;
    (5)80℃の等温で示差走査熱量計(DSC)により、窒素雰囲気下でエポキシ樹脂組成物を分析したとき、80℃に達してから熱流量がピークトップに至るまでの時間が20分以下であること。
  3. (A)液状エポキシ樹脂が、(A1)可撓性エポキシ樹脂を含む、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. (C)アミン系潜在性硬化剤の粒径度が0.9以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物、
  5. (C)アミン系潜在性硬化剤が、マイクロカプセル型である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 更に(D)充填剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. (B)チオール化合物がエステルフリーのチオール化合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. (B)チオール化合物が下記式(1)及び/又は(2)で表される化合物を含む、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2022120389000011
    Figure 2022120389000012
    (式(1)及び(2)中、R1~R5は、それぞれ独立に、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖の2価の炭化水素基若しくはヘテロ基を示す。)
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