JP2022119734A - 変性ポリビニルアルコール系ポリマーとその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(I):
(ここで、Xはアルケニル基を含む部位である)で表される変性モノマー単位を含む変性ポリビニルアルコール系ポリマーであって、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が67モル%~78モル%であり、変性率が0.02モル%~1.5モル%であることを特徴とする、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを提供する。変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、得られるポリ塩化ビニル系樹脂の粒子径を小さくし、粗大粒子を少なくするために、懸濁重合の分散剤として用いることが好適である。
【選択図】なし
Description
で表される変性モノマー単位を含有し、
前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、ケン化度が67モル%(mol%)~78モル%であり、変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、変性率が0.02モル%~1.5モル%であることを特徴とする。
式(I-I)中、R1はC1~C10アルキレン基;R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C10アルキレン基、R31、R32及びR33はそれぞれ独立してハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、ハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基、又はアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基;R41及びR42はそれぞれ独立してC1~C6アルキル基であり;
式(I-I)中、o、p、n1、n2、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して、0又は1であり;m1、m2及びm3の合計は1~3であり;n1はm1以下であり;n2はm2以下であり;pはm3以下である)
で表される構造を有する。
式(I-II)中、o及びm1は1であり;n1、n2及びm2はそれぞれ独立して0又は1であり;n2はm2以下である)
で表される構造を有する。
式(I-III)中、o及びpはそれぞれ独立して0又は1であり、m3は1である)
で表される構造を有する。
いくつかの実施例を用いて、変性ポリビニルアルコール系ポリマー及びその懸濁重合における適用を示し、いくつかの比較例を比較のために提供する。当業者であれば、以下の実施例及び比較例により、本開示の利点及び効果を容易に理解することができる。本明細書に例示された実施例は、単に本開示の実施を示すために使用されるものであり、本開示の範囲を限定するために使用されるものではないことを理解されるべきである。当業者であれば、本開示を実施又は適用するために、本開示の精神を逸脱することなく、一般的な知識に従って修正又は変更を行うことができる。
変性ポリビニルアルコール系ポリマーを製造するために選択できる改質剤のCAS番号と構造式を以下の表1に示すが、これに限定されるものではない。選択された改質剤に基づいて、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの変性モノマー単位も、それぞれ以下の表1に示す。
コントロールとしては、式(I′)で表される構造を有する非変性ポリビニルアルコール系ポリマーが用いられる。この非変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、重合度700、ケン化度約72.36モル%、粘度約5.99cps、YI約35.95である。
実施例1~3
実施例1~3は、ポリビニルアルコール系ポリマー(コントロール)を以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.メタノール(MeOH、膨潤剤として)400重量部に、特定量の改質剤(下記表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約72.36モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させ、変性物を得る;
c.変性物をメタノールで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
実施例4~6及び比較例1は、ポリビニルアルコール系ポリマー(コントロール)を以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.43重量部の酢酸メチル(MeAc、膨潤剤として)に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約72.36モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させて、変性物を得る;
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥して、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
実施例7は、ポリビニルアルコール系ポリマーを以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.43重量部の酢酸メチル(膨潤剤として)に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加し、改質溶液を得る;
b.重合度約700、ケン化度約73.11モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を添加し、60℃で6時間反応させて、変性物を得る;
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥して、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
比較例2は、ポリビニルアルコール系ポリマーを以下の工程a~cにより改質し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得た。
a.酢酸メチル(膨潤剤として)43重量部に、特定の重量部の改質剤(以下の表2に示す)を添加して、改質溶液を得る。
b.重合度約700、ケン化度約86.97モル%のポリビニルアルコール系ポリマー100重量部に改質溶液を加えて60℃で6時間反応させ、変性物を得ること。
c.変性物を酢酸メチルで複数回洗浄し、遠心分離して液体を除去し、105℃で2時間乾燥し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーを得る。
実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマー、及びコントロールの非変性ポリビニルアルコールに用いたケン化度、粘度、イエローインデックスの分析方法を以下に示し、その結果を先に述べ、上記表2に記載した。
ケン化度:標準法JIS K 6726(1994)に従って測定;
粘度:標準法JIS K 6726(1994)に従って測定;及び
YI:標準法ASTM E313-98に従って測定。
本試験例では、実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーを分析対象物として使用した。各分析対象物をヘキサジュウテロジメチルスルホキシド(DMSO-d6、品番:DLM-10-10、Cambridge Isotope Laboratories,Inc.より購入)に溶解して試験サンプルとし、25℃で水素-1NMR分光法(1H-NMR、AvanceII 400MHz、Bruker社製)により400MHzで、炭素-13NMR分光法(13C-NMR、Varian VNMRS-600 NMR Spectrometer、Varian社製)により600MHzで分析した。
本試験例では、実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーと、コントロールのポリビニルアルコール系ポリマーとを分析対象物として使用した。各分析対象物を0.1重量%水溶液に調製し、試験サンプルとした。各試験サンプルを、光路長1cmのキュベットに流し込み、UV/Vis/NIR分光分析装置(V-730、日本分光(株)製)で分析し、各試験サンプルの紫外吸収分光法における波長215nm、280nm、320nmの吸光度値を得た。その結果を以下の表3に示す。
本発明の変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、懸濁重合用分散剤、特にPVC懸濁重合に適用可能な分散剤として使用することができる。以下、変性ポリビニルアルコール系ポリマーのPVC懸濁重合用分散剤としての用途を示す。
実施例1A~7A、比較例1A、2Aでは、分散剤として実施例1~7、比較例1、2の変性ポリビニルアルコール系ポリマーをそれぞれ使用し、以下に示す方法でポリ塩化ビニル系樹脂を得た。
コントロールAでは、実施例1A~7A、比較例1A、2Aで用いた変性ポリビニルアルコール系ポリマーの代わりに、コントロールのポリビニルアルコール系ポリマーを用いた以外は、上述の方法でPVC樹脂を調製した。
実施例及び比較例の各変性ポリビニルアルコール系ポリマー、並びにコントロールのポリビニルアルコール系ポリマーの懸濁重合用分散剤としての安定化効果を評価するために、実施例1A~6A、比較例1A及び2A、コントロール1Aで得られたPVC樹脂を本試験で試験する試料として選び、標準法ASTM D1921に従って、PVC樹脂の平均粒子径及び粒子径60メッシュ(含む)以上の粒子の割合を測定し、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの分散剤としての安定化効果を評価した。その結果を以下の表4に示す。
Claims (13)
- 前記変性モノマー単位が、式(I-I):
式(I-I)中、R1は、C1~C10アルキレン基であり;R21及びR22はそれぞれ独立してC1~C10アルキレン基であり;R31、R32、及びR33はそれぞれ独立して、ハロ基及びアルデヒド基で置換されていないC2~C6アルケニル基、ハロ基で置換されたC2~C6アルケニル基、又はアルデヒド基で置換されたC2~C6アルケニル基であり;R41及びR42はそれぞれ独立してC1~C6のアルキル基であり;
式(I-I)中、o、p、n1、n2、m1、m2及びm3はそれぞれ独立して、0又は1であり;m1、m2及びm3の合計は1~3であり;n1はm1以下であり;n2はm2以下であり;pはm3以下である)
で表される構成を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。 - 前記変性モノマー単位が、式(I-III):
式(I-III)中、o及びpはそれぞれ独立して、0又は1であり;m3は1である)
で表される構成を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。 - 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、0.02モル%~1.26モル%の変性率を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長215nmで0.34~0.8の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長280nmで0.3~0.4の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーの0.1重量%水溶液が、UV吸収分光法において、波長320nmで0.06~0.09の吸光度を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーは、イエローインデックスが10~35であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、5.0cps~6.55cpsの粘度を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマー。
- 懸濁重合において、塩化ビニルモノマーと、請求項1~11のいずれかに記載の変性ポリビニルアルコール系ポリマーとを混合することを含むことを特徴とする、変性ポリビニルアルコール系ポリマーの用途。
- 前記変性ポリビニルアルコール系ポリマーが、前記塩化ビニルモノマーの量に対して500ppm~1200ppmであることを特徴とする、請求項12に記載の用途。
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