JP2022118409A - 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜 - Google Patents

中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2022118409A
JP2022118409A JP2021014904A JP2021014904A JP2022118409A JP 2022118409 A JP2022118409 A JP 2022118409A JP 2021014904 A JP2021014904 A JP 2021014904A JP 2021014904 A JP2021014904 A JP 2021014904A JP 2022118409 A JP2022118409 A JP 2022118409A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow particles
heat insulating
insulating coating
heat
coating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021014904A
Other languages
English (en)
Inventor
博成 大木
Hiroshige Oki
拓美 伊藤
Takumi Ito
正督 藤
Masatada Fuji
恭一 藤本
Kyoichi Fujimoto
千加 高井
Chika Takai
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GENGEN KAGAKU KOGYO KK
Nagoya Institute of Technology NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Original Assignee
GENGEN KAGAKU KOGYO KK
Nagoya Institute of Technology NUC
Tokai National Higher Education and Research System NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GENGEN KAGAKU KOGYO KK, Nagoya Institute of Technology NUC, Tokai National Higher Education and Research System NUC filed Critical GENGEN KAGAKU KOGYO KK
Priority to JP2021014904A priority Critical patent/JP2022118409A/ja
Publication of JP2022118409A publication Critical patent/JP2022118409A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】中空粒子を含有する断熱塗料から形成される断熱塗膜の断熱性をより発揮することができる中空粒子を提供すること。【解決手段】本発明の中空粒子2は、平均粒子径が10~200nmであるため、断熱塗料に含有させたとき、断熱塗料が透明な断熱塗膜1を形成することができる。中空粒子2は、シロキサン結合から形成されているため親水性であるものの、表面修飾剤によって修飾されているため、有機溶剤系の断熱塗料と相溶させることができる。親水性のシロキサン結合を母体とする中空粒子2は、断熱塗料が成膜する際に、親水性が顕著になり、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、断熱塗膜1の表層に中空粒子2のμmオーダーの凝集体3を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、中空粒子、中空粒子を含有する断熱塗料及び中空粒子を含有する断熱塗膜に関する。
中空粒子と、中空粒子を含有する断熱塗料として、特許文献1には、シリカ中空粒子と、シリカ中空粒子を含有する断熱塗料が記載されている。この断熱塗料は、シリカ中空粒子を塗料中に均一に分散させることによって、断熱性の向上を図っているものである。
特開2007-070458号公報
断熱性は、熱の移動を抑制することによって、効果を発揮するものである。しかし、従来のシリカ中空粒子を含有する断熱塗料から形成された塗膜は、塗膜中に、シリカ中空粒子が均一に分散されているものの、塗膜の表層の大半は合成樹脂で覆われ、熱の移動の抑制が十分でなく、断熱性が十分に発揮することができないおそれがあるという問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、中空粒子を含有する断熱塗料から形成される断熱塗膜の断熱性をより発揮することができる中空粒子を提供することを目的とする。
本発明の中空粒子は、シロキサン結合を主骨格とする中空粒子であって、
平均粒子径が10~200nmであり、表面修飾剤によって修飾されていることを特徴とする。
本発明の中空粒子によれば、平均粒子径が10~200nmであるため、断熱塗料に含有させたとき、断熱塗料が透明な断熱塗膜を形成することができる。中空粒子は、シロキサン結合から形成されているため親水性であるものの、表面修飾剤によって修飾されているため、有機溶剤系の断熱塗料と相溶させることができる。親水性のシロキサン結合を母体とする中空粒子は、断熱塗料が成膜する際に、親水性が顕著になり、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、塗膜の表層に中空粒子のμmオーダーの凝集体を形成する。このため、中空粒子は、断熱塗料に使用されることによって、塗膜の断熱性を発揮させることができる。
ここで、上記中空粒子において、前記表面修飾剤が、有機相溶基と無機結合基とを有する化合物であるものとすることができる。
これによれば、中空粒子は、無機結合基がシロキサン結合の主骨格に共重合することができ、有機相溶基が中空粒子を断熱塗料に適度に相溶させることができる。
また、上記中空粒子において、前記シロキサン結合のSiの1molに対して、前記表面修飾剤が5~50g含有するものとすることができる。
これによれば、中空粒子は、断熱塗料が成膜する際に、親水性がバランスよく現れ、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、揮発成分が揮発することによって、塗膜の表層に中空粒子のμmオーダーの凝集体を形成することができる。
本発明の断熱塗料は、上記の中空粒子を不揮発分換算で5~30質量%含有するものとすることができる。
本発明の断熱塗料によれば、塗膜の表層に中空粒子の凝集体を形成することができる。
本発明の断熱塗膜は、塗膜の表層に、上記の中空粒子の凝集体を備えるものとすることができる。
本発明の断熱塗膜によれば、人の皮膚が接触することによる接触温冷感の緩和を図ることができる。
また、上記断熱塗膜において、塗膜の表層に、前記凝集体によって、μmオーダーの凹凸形状が形成されているものとすることができる。
これによれば、人の皮膚が接触することによる接触温冷感の緩和をより図ることができる。
本発明の中空粒子によれば、有機溶剤系の断熱塗料に含有させたとき、断熱塗料から形成された塗膜の表層に中空粒子の凝集体を形成し、塗膜の断熱性を発揮させることができる。
本発明の実施形態の中空粒子を含有する断熱塗膜のイメージ断面図である。 実施例の断熱塗膜の断面のSEM(走査電子顕微鏡)写真を示す図である。 実施例の断熱塗膜の表面のレーザー顕微鏡写真を示す図である。 比較例の断熱塗膜の表面のレーザー顕微鏡写真を示す図である。 メタリック塗料からなる塗膜の表面のレーザー顕微鏡写真を示す図である。 実施例の中空粒子の集合体のSEM写真を示す図である。
以下、本発明に係る中空粒子2の実施形態について説明する。実施形態の中空粒子2は、平均粒子径が10~200nmであり、表面修飾剤によって修飾されているものである。実施形態の中空粒子2は、詳しくは後述するが、最終的には溶解させて中空を形成する炭酸カルシウムに、アルコキシシランと表面修飾剤を被覆させて、中空粒子2の主骨格となるシロキサン結合のシェル体を形成する。シロキサン結合のシェル体が形成された炭酸カルシウムに、酸処理を施し、炭酸カルシウムのみを溶解させることによって、表面修飾剤によって修飾されたシロキサン結合を主骨格とする中空粒子2が形成されるものである。
実施形態の炭酸カルシウムは、ナノオーダーのサイズに粒子径が調整された菱面体構造の炭酸カルシウム(calcite)である。実施形態で使用する炭酸カルシウムの平均粒子径(SEM(走査電子顕微鏡)写真から50個の粒子径を測定した平均値)は、10~100nmであることが好ましい。炭酸カルシウムを被覆して形成された中空粒子2を、断熱塗料に混合させたときに、断熱塗料から形成される断熱塗膜1の断熱性と透明性を向上させることができるためである。炭酸カルシウムの平均粒子径が10nm未満である場合には、相対的に中空粒子2のシェルの厚みが厚くなり、断熱性能が劣るおそれがある。一方、100nmを超えると、断熱塗膜1の透明性が劣るおそれがある。より好ましくは、炭酸カルシウムの平均粒子径は、50~90nmである。
アルコキシシランとは、アルコキシ基を有するシラン化合物であり、アルコキシ基が加水分解することによって、シラノールを生成し、シラノールが縮合することによって、中空粒子2の主骨格となるシロキサン結合を生成するものである。実施形態の中空粒子2では、アルコキシシランは、特に限定されることなく使用することができ、例えば、テトラメトキシシラン(Si(OCH34)、メチルトリメトキシシラン(SiCH3(OCH33)、ジメチルジメトキシシラン(Si(CH32(OCH32)、トリメチルメトキシシラン(Si(CH33OCH3)、エチルトリメトキシシラン(SiC25(OCH33)、ジエチルジメトキシシラン(Si(C252(OCH32)、トリエチルメトキシシラン(Si(C253OCH3)、プロピルトリメトキシシラン(SiC37(OCH33)、テトラエトキシシラン(Si(OC254)、メチルトリエトキシシラン(SiCH3(OC253)、ジメチルジエトキシシラン(Si(CH32(OC252)、トリメチルエトキシシラン(Si(CH33OC25)、エチルトリエトキシシラン(SiC25(OC253)、ジエチルジエトキシシラン(Si(C252(OC252)、トリエチルエトキシシラン(Si(C253OC25)、プロピルトリエトキシシラン(SiC37(OC253)、又は、これらの混合物などを使用することができる。
表面修飾剤とは、有機相溶基と無機結合基とを有する化合物であり、親水性のシロキサン結合の主骨格に、表面修飾剤の無機結合基が結合することによって、シロキサン結合の主骨格の表面を有機相溶基で修飾する化合物である。表面が有機相溶基で修飾されたシロキサン結合の中空粒子2は、有機相溶基によって、断熱塗料に相溶させることができる。有機相溶基と無機結合基とを有する表面修飾剤として、シランカップリング剤、シリコーン界面活性剤、変性シリコーンなどを使用することができる。
シランカップリング剤は、シランカップリング剤の反応性官能基が有機相溶基となり、アルコキシ基が無機結合基となる。無機結合基のアルコキシ基が、加水分解することによって、シラノールを生成し、シラノールが中空粒子2の主骨格となるアルコキシシランと縮合することによって、表面修飾剤は、中空粒子2を形成するシロキサン結合に結合し、有機相溶基の反応性官能基が中空粒子2の表面を修飾する。シランカップリング剤は、無機結合基のアルコキシ基として、エトキシ基、メトキシ基を含有するものを使用することができ、有機相溶基の反応性官能基として、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、及び、これらとアルキレン基とからなる官能基を含有するものを使用することができる。シランカップリング剤として、具体的には、ビニル基を含有する、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシ基を含有する、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、スチリル基を含有する、p-スチリルトリメトキシシラン、メタクリル基を含有する、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリル基を含有する、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アミノ基を含有する、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、イソシアネート基を含有する、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアヌレート基を含有する、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ウレイド基を含有する、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、メルカプト基を含有する、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、又は、これら混合物などを使用することができる。
シリコーン界面活性剤は、有機基(有機相溶基)と、アルコキシシランと縮合可能なシリコーン鎖(無機結合基)と、から構成される化合物であり、有機基の構造により、アルキル変性シリコーン界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン界面活性剤などが使用することができる。
変性シリコーンは、有機変性基(有機相溶基)と、アルコキシシランと縮合可能なシリコーン鎖(無機結合基)と、から構成される化合物であり、有機変性基の構造により、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーンなどが使用することができる。
表面修飾剤は、アルコキシシランからなるシロキサン結合のSiの1molに対して、5~50g含有させるのが好ましい。中空粒子2を断熱塗料に相溶させることができ、中空粒子2は、断熱塗料が成膜する際に、親水性がバランスよく現れ、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、塗膜の表層に中空粒子2のμmオーダーの凝集体3を形成することができるためである。表面修飾剤の含有量が、シロキサン結合のSiの1molに対して、5g未満の場合には、中空粒子2が断熱塗料に相溶し難く、断熱塗料が成膜する際に、断熱塗料の表層に排斥され、塗膜の表層に中空粒子2の不定型の凝集体3が形成され、塗膜の表層が粗くなり、塗膜の透明性が失われるおそれがある。一方、50gを超えると、中空粒子2は、その表面の大半が有機相溶基で修飾され、断熱塗料に相溶し、塗膜の表面に排斥されないため、断熱性を向上させることができないおそれがある。より好ましくは、シロキサン結合のSiの1molに対する表面修飾剤の含有量は、10~30gであり、さらに好ましくは、15~25gである。
中空粒子2は、アンモニア水でアルカリ性にした水とアルコールの混合液中に、炭酸カルシウム、アルコキシシラン、表面修飾剤を投入し、混合することによって、炭酸カルシウムにアルコキシシランと表面修飾剤が被覆し、中空粒子2の主骨格となるシロキサン結合のシェルが形成される。シロキサン結合のシェルの形成後に、酸処理で、炭酸カルシウムを溶解させることによって、シロキサン結合のシェルからなる中空粒子2が形成される。
中空粒子2の比表面積は、50~400m2/gであることが好ましい。中空粒子2を含有する断熱塗膜1の断熱性を発揮することができるためである。中空粒子2の比表面積が50m2/g未満である場合には、断熱性を十分に発揮することができないおそれがある。一方、中空粒子2の比表面積が400m2/gを超えると、相対的に中空粒子2のシェルの厚みが薄くなり、中空粒子2を断熱塗料に混合させる際に、中空粒子2を破損させてしまうおそれがある。より好ましくは、中空粒子2の比表面積は、100~300m2/gである。
中空粒子2の平均粒子径は、10~200nmであることが好ましい。中空粒子2を含有する断熱塗膜1を、断熱性を有しつつクリヤ(透明)なものとすることができるためである。中空粒子2の平均粒子径が10nm未満である場合には、相対的に中空粒子2のシェルの厚みが厚くなり、断熱性が劣るおそれがある。一方、200nmを超えると、断熱塗膜1の透明性が劣るおそれがある。より好ましくは、中空粒子2の平均粒子径は、50~150nmである。
次に、中空粒子2を含有する断熱塗料の実施形態について説明する。実施形態の断熱塗料は、有機溶媒を希釈剤とする合成樹脂を結合材とし、中空粒子2を不揮発分換算で5~30質量%含有する塗料である。
中空粒子2は、先に述べた中空粒子2であり、断熱塗料中に、不揮発分換算で、5~30質量%含有させるのが好ましい。断熱塗料から形成される断熱塗膜1の断熱性を発揮させることができるためである。断熱塗料における中空粒子2の含有量が5質量%未満である場合には、塗膜表層に形成される中空粒子2の凝集体3が不連続となり、断熱性が劣るおそれがある。一方、30質量%を超えると、断熱性の効果は頭打ちとなり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、不揮発分換算で、断熱塗料における中空粒子2の含有量は、7~25質量%であり、さらに好ましくは、10~20質量%である。
断熱塗料は、合成樹脂を主結合体とする主剤に、中空粒子2と薄め液(シンナー)を撹拌しながら混入することによって、得ることができる。断熱塗料には、その他添加剤として、粘性調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤などを添加することができ、必要に応じて薄め液で粘度を調整して使用することができる。また、断熱塗料は、合成樹脂を主結合体とする主剤と、主剤を硬化させる硬化剤と、必要に応じて薄め液と、からなる2液(3液)タイプであっても使用することができる。
断熱塗料に混入された中空粒子2は、シロキサン結合から形成されているため親水性であるものの、表面修飾剤によって修飾されているため、有機溶剤系の断熱塗料に相溶させることができる。断熱塗料が被塗装物6に塗装されたとき、親水性のシロキサン結合を母体とする中空粒子2は、断熱塗料が成膜する際に、親水性が顕著になり、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、塗膜の表層に中空粒子2のμmオーダーの凝集体3を形成する。このため、断熱塗料から形成された断熱塗膜1は、断熱性を発揮することができる。
中空粒子2を含有する断熱塗料は、被塗装物6に塗装されることによって、表層に中空粒子2の凝集体3を有する断熱塗膜1が形成される。被塗装物6に人の皮膚7が触れたとき、中空粒子2の凝集体3が、被塗装物6と人の体との温度差で生じる熱移動を減速して、人が冷たい又は熱いと感じる接触温冷感の緩和を図ることができる。
中空粒子2を含有する断熱塗料は、人の皮膚7が直接触れる建築材料の、木材、ガラス、コンクリート、サイディング板、プラスチック材、衛生陶器(洗面台、便器、便座)など、人が直接触れる自動車の部位の、車体金属、ダッシュボードやステアリングホイールなどの内装プラスチック材など、に塗装することができる。
実施例の中空粒子2の原材料配合量(質量)と酸処理の処方と中空粒子2の性能を表1に記載する。なお、表中、中空粒子2としての中空粒子A及び中空粒子Aを使用した断熱塗料A、中空粒子B及び中空粒子Bを使用した断熱塗料B、並びに、中空粒子C及び中空粒子Cを使用した断熱塗料C、が実施例であり、中空粒子としての中空粒子D及び中空粒子Dを使用した断熱塗料Dが比較例である。中空粒子AからCは、主骨格がアルコキシシランと表面修飾剤から形成され、その表面が修飾された中空粒子2である。中空粒子Dは、主骨格がアルコキシシランから形成され、その表面が修飾されていない中空粒子である。
Figure 2022118409000002
炭酸カルシウムは、平均粒子径(SEM写真から50個の粒子径を測定した平均値)が80nmの炭酸カルシウムを使用した。アルコキシシランには、テトラエトキシシランを使用し、表面修飾剤Aには、シランカップリング剤の3-アミノプロピルトリエトキシシラン、表面修飾剤Bには、シリコーン界面活性剤のXIAMETER OFX-0203(ダウ・東レ株式会社製アルキル変性シリコーン界面活性剤)、表面修飾剤Cには、変性シリコーンのKF-859(信越化学工業株式会社製アミノ変性シリコーン)を使用した。
中空粒子AからCは、反応工程と溶解工程を経ることによって形成される。反応工程は、アンモニア水(25%)、精製水及びメタノールからなる溶媒に、超音波撹拌機で撹拌しながら炭酸カルシウムを加えて分散させ、次に、炭酸カルシウムが分散された溶媒に、アルコキシシランと表面修飾剤を撹拌しながら投入した。撹拌を続けることにより、炭酸カルシウムに、アルコキシシランと表面修飾剤が被覆し、アルコキシシランと表面修飾剤とが縮合重合したシロキサン結合からなるシェル体を形成した。溶解工程では、シェル体が形成された炭酸カルシウムが分散している溶媒に、マグネットスターラで撹拌しながら塩酸水を添加し、炭酸カルシウムを溶解させ、表面が修飾されたシロキサン結合のシェル体、つまり、中空粒子2としての中空粒子AからCとした。
中空粒子AからCは、アルコキシシラン(テトラエトキシシラン)のシロキサン結合のSiの1molに対して、それぞれ修飾剤を20.8g含有させたものである。中空粒子Dは、中空粒子AからCと同様に作製したが、修飾剤を含有させず、アルコキシシランのシロキサン結合を形成させたものである。
中空粒子Aは、アルコキシシランと表面修飾剤の3-アミノプロピルトリエトキシシランのエトキシシランとが縮合重合し、シロキサン結合の層が形成される。形成されたシロキサン結合の層は親水性であるが、3-アミノプロピルトリエトキシシランのアミノプロピル基を備えているため、中空粒子Aの表面は、半親水性となる。中空粒子Bは、アルコキシシランと表面修飾剤のアルキル変性シリコーンのシリコーン鎖とが縮合重合し、シロキサン結合の層が形成される。形成されたシロキサン結合の層は親水性であるが、アルキル変性シリコーンのアルキル変性基を備えているため、中空粒子Bの表面は、半親水性となる。中空粒子Cは、アルコキシシランと表面修飾剤のアミノ変性シリコーンのシリコーン鎖とが縮合重合し、シロキサン結合の層が形成される。形成されたシロキサン結合の層は親水性であるが、アミノ変性シリコーンのアミノ変性基を備えているため、中空粒子Cの表面は、半親水性となる。中空粒子Dは、アルコキシシランのみの縮合重合であるため、親水性となる。
中空粒子AからDは、乾燥させて、揮発分を除去することにより、断熱塗料に使用することができる中空粒子となる。中空粒子AのSEM写真を図6に示す。図6のスケールバーは、500nmである。
次に、断熱塗料について説明する。実施例の断熱塗料AからCは、実施例の中空粒子AからCをそれぞれ含有し、合成樹脂を結合材とする主剤と、硬化剤と、薄め液(シンナー)と、から構成され、これらを混ぜ合わせることによって、塗料となる。主剤、硬化剤及び薄め液は、それぞれ、原材料をディゾルバーミキサで混合することによって製造した。比較例の断熱塗料Dは、中空粒子Dを中空粒子AからCの代わりに用いて同様に製造した。断熱塗料AからDの原材料配合量(質量)と断熱塗料AからDから形成される断熱塗膜の性能を表2に記載する。原材料配合量は、揮発分を除き、不揮発分換算で記載し、揮発分(エステル系溶剤)に、不揮発分換算で記載した原材料に含まれる揮発分を加算して記載した。なお、熱伝導率は、円板熱流計法(ASTM E 1530 JIS A 1412-2)によって測定した。
Figure 2022118409000003
断熱塗料AからDは、主剤のバインダー樹脂がアクリルポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネートであり、混合されることによって、ウレタン変性アクリル樹脂となる。なお、アクリルポリオール樹脂の平均分子量は35,000であり、ガラス転移温度(Tg)は-10℃である。シリコン系添加剤は、粘性調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤などである。エステル系溶剤は、酢酸エチル及び/又は酢酸ブチルである。
断熱塗料AからDは、主剤:硬化剤:薄め液=100:25:75の質量比で混合することによって断熱塗料となる。断熱塗料は、被塗装物6に塗装されることによって、断熱塗膜を形成する。実施例では、被塗装物6に、木質基板(杉板)を使用した。
断熱塗料AからCは、塗料が成膜する際、半親水性の中空粒子AからCのアミノプロピル基、アルキル変性基及びアミノ変性基が塗料になじむものの、シロキサン結合の層が親水性であるため、塗膜表層に徐々に排斥される。このため、成膜時に、中空粒子AからCは、塗膜の表面に向けて中空粒子AからCの濃度が濃くなるように存在する。塗膜の表面では、揮発成分が揮発し、中空粒子AからCは、凝集し、μmオーダーの凹凸形状の凝集体3を形成する。μmオーダーの凹凸形状により、塗膜と人体の皮膚7との接触面積が小さくなるとともに、凹凸形状に空気層を介在させ、熱移動を抑制することができ、断熱性(熱伝導率)に優れるものであった。また、断熱塗膜1は、中空粒子AからCによって透明性が阻害されず透明を保っていた。
図2に、断熱塗料Aから形成された断熱塗膜1の断面のSEM写真を示す。図2の上側の略中央から右下方向に、中空粒子2の凝集体3がμmオーダーの凹凸形状を形成していることが確認できる。正確には、中空粒子2の凝集体3は、0.2~2μmの凹凸形状を形成している。なお、凹凸形状の左下方向側が断熱塗膜1である。
断熱塗料Aから形成された塗膜のレーザー顕微鏡の写真を図3に示す。図3に記載されたスケールバーは、100μmである。図5は、メタリック塗料からなる塗膜のレーザー顕微鏡の写真であり、図5に記載されたスケールバーは、100μmである。半親水性の中空粒子Aを含有する断熱塗料Aから形成された塗膜は、メタリック塗料から形成された塗膜よりも平滑であることが確認できる。なお、断熱塗料Aから形成された断熱塗膜1の表面には、μmオーダーの凹凸形状が形成され、皮膚7としての指に、滑らかなさらさら感を与えるものであった。一方、メタリック塗料から形成された塗膜の表面には、脈状の凹凸が形成され、指に湿り感を与えるものであった。
断熱塗料Dは、中空粒子Dのシロキサン層が親水性であるため、塗料が成膜する際、中空粒子Dが塗膜表層に排斥される。このため、中空粒子Dは、塗膜の表面に層状をなして存在し、揮発成分が揮発することによって収縮し、大きな(100μm以上の)凹凸形状を形成する。大きな凹凸形状により、塗膜表面は粗く、指にざらつき感を与えるものであった。塗膜表面が粗いため、人体の皮膚7に接触する面積が小さく、実施形態の測定方法では、断熱塗料Dは、断熱塗料AからCよりも断熱性(熱伝導率)に勝るものとなった。断熱塗料Dから形成された塗膜のレーザー顕微鏡の写真を図4に示す。図4に記載されたスケールバーは、200μmである。断熱塗料Bから形成された塗膜は、100μm以上の凹凸形状が形成されていることが確認できる。
実施例の結果から以下のことを把握することができる。
実施形態の断熱塗料から形成される断熱塗膜1は、表面粗さ(Ra)が0.1~0.4であるものとすることができる。これによれば、平滑性かつ断熱性に優れる塗膜とすることができる。より好ましくは、断熱塗料から形成される断熱塗膜1の表面粗さ(Ra)は、0.2~0.3である。
実施形態の断熱塗料から形成される断熱塗膜1は、表面のヘイズ(HAZE)測定値が40~90%であるものとすることができる。これによれば、光沢を有する塗膜とすることができる。より好ましくは、断熱塗料から形成される断熱塗膜1のヘイズ測定値は、40~80%であり、さらに好ましくは、50~70%である。
実施形態の断熱塗料から形成される断熱塗膜1は、熱伝導率が0.02~0.1W/mKであるものとすることができる。これによれば、断熱性に優れる塗膜とすることができる。より好ましくは、断熱塗料から形成される断熱塗膜1の熱伝導率は、0.025~0.05W/mKである。
以下には、実施形態から把握されるその他の技術的思想について記載する。
シロキサン結合を形成するアルコキシシランがテトラエトキシシランであり、表面修飾剤が3-アミノプロピルトリエトキシシランであって、アルコキシシラン100質量部に対して、表面修飾剤が5~30質量部含有することを特徴とする中空粒子。これによれば、中空粒子を半親水性にすることができ、中空粒子を含有する断熱塗料が成膜する際に、中空粒子は、親水性がバランスよく現れ、断熱塗料の内部から表層に向けて濃度が濃くなるように排斥され、揮発成分が揮発することによって、塗膜表層に、中空粒子のμmオーダーの凝集体3を形成することができる。より好ましくは、アルコキシシラン100質量部に対する表面修飾剤の含有量は、8~20質量部である。
結合材としての合成樹脂のガラス転移温度(Tg)が、-30~10℃であることを特徴とする断熱塗料。これによれば、断熱塗料は、断熱塗料から形成される塗膜が下地の伸縮に追従することができる可撓性を有し、適度な可撓性により塗膜への汚れの付着が少なく、塗膜の美観を保つことができる。
1…断熱塗膜、2…中空粒子、3…凝集体、6…被塗装物、7…皮膚。

Claims (6)

  1. シロキサン結合を主骨格とする中空粒子であって、
    平均粒子径が10~200nmであり、表面修飾剤によって修飾されていることを特徴とする中空粒子。
  2. 前記表面修飾剤が、有機相溶基と無機結合基とを有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の中空粒子。
  3. 前記シロキサン結合のSiの1molに対して、前記表面修飾剤を5~50g含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中空粒子。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の中空粒子を不揮発分換算で5~30質量%含有することを特徴とする断熱塗料。
  5. 塗膜の表層に、請求項1~3のいずれかに記載の中空粒子の凝集体を備えることを特徴とする断熱塗膜。
  6. 塗膜の表層に、前記凝集体によって、μmオーダーの凹凸形状が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の断熱塗膜。
JP2021014904A 2021-02-02 2021-02-02 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜 Pending JP2022118409A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021014904A JP2022118409A (ja) 2021-02-02 2021-02-02 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021014904A JP2022118409A (ja) 2021-02-02 2021-02-02 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022118409A true JP2022118409A (ja) 2022-08-15

Family

ID=82840125

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021014904A Pending JP2022118409A (ja) 2021-02-02 2021-02-02 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022118409A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102691902B1 (ko) * 2023-11-23 2024-08-06 윤강원 상온 경화형 방수재 조성물을 사용한 교면 방수방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102691902B1 (ko) * 2023-11-23 2024-08-06 윤강원 상온 경화형 방수재 조성물을 사용한 교면 방수방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4957926B2 (ja) 化学床保護用可撓性付与常温硬化型無機質コーティング剤
JP6625987B2 (ja) ポリフッ素含有シロキサン被覆
KR19980079940A (ko) 빗물오염방지성 도막, 도료 조성물, 도막 형성방법 및 도장물
JP4048912B2 (ja) 表面防汚性複合樹脂フィルム、表面防汚性物品、化粧板
JP6975375B2 (ja) コーティング剤組成物
JP2004168057A (ja) フッ素系複合樹脂フィルム及び太陽電池
TW201942206A (zh) 混合組成物
JP2003013007A (ja) コーティング用組成物及びそれを用いてなる建材
JP2022118409A (ja) 中空粒子、断熱塗料及び断熱塗膜
JP5293534B2 (ja) 耐指紋性塗膜形成品及び耐指紋性コーティング材組成物
JP2001279178A (ja) コーティング組成物および硬化体
JP4600351B2 (ja) 撥水・撥油性樹脂組成物及び塗装品
JP2011132486A (ja) コーティング組成物及び塗装品
JP2014205743A (ja) 無機塗料組成物及びその塗装品
JP2011195806A (ja) 耐指紋性塗膜形成品及び耐指紋性コーティング材組成物
JP6939142B2 (ja) 金属板用塗料およびこれを用いた塗装金属板の製造方法
JP2010100819A (ja) 指紋汚れの防止方法、並びに耐指紋性コーティング材組成物及びその塗装品
JP4225133B2 (ja) 樹脂表面改質用光触媒シート、積層体および樹脂表面改質方法
JPH1067945A (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JPH028273A (ja) ケイ素アルコキシド系コーティング材
JP5710178B2 (ja) 硬化性樹脂組成物およびハードコートフィルムまたはシート
JP2001081404A (ja) コーティング組成物および硬化体
JP2003202960A (ja) タッチパネル
JP4581216B2 (ja) 樹脂コーティングを施したガラス容器表面の親水化方法及び該方法により製造された親水性表面を有する樹脂コーティングガラス容器
JP6080074B2 (ja) セラミックコーティング剤組成物およびその塗装品

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210222

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240806

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240902