JP2022113421A - 糸巻取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸巻取装置において、糸継装置に糸保持部が設けられていない場合でも、既存の装置を活用して糸の弛みを除去する。【解決手段】巻取ユニット2は、糸Yに抵抗を与えることにより糸Yに張力を付与するように構成された張力付与装置31と、糸Yが第1の糸Y1と第2の糸Y2とに分断されているときに第1の糸Y1の糸端と第2の糸Y2の糸端とを継ぐように構成され、且つ、糸走行方向において張力付与装置31よりもパッケージP側に配置された糸継装置32と、第1の糸Y1を糸継装置32へ案内する第1糸案内装置34と、ユニット制御部15と、を備える。ユニット制御部15は、第1糸案内装置34を制御して、第1の糸Y1を張力付与装置31及び糸継装置32へ案内する案内制御と、張力付与装置31及び第1糸案内装置34を制御して、第1の糸Y1のうち張力付与装置31よりも糸走行方向における下流側の部分を伸ばす糸伸ばし制御と、を実行する。【選択図】図9
Description
本発明は、糸巻取装置に関する。
特許文献1、2に記載された糸巻取装置は、給糸ボビンから引き出された糸に対して張力付与装置によって張力を付与しつつ、糸を巻き取ってパッケージを形成するように構成されている。また、糸巻取装置は、糸走行方向において給糸ボビンとパッケージとの間で糸が分断されたときに、給糸ボビン側の糸(以下、第1の糸)の糸端とパッケージ側の糸(以下、第2の糸)の糸端とを継ぐように構成されている。具体的には、糸巻取装置は、糸端同士を継ぐ糸継装置と、給糸ボビン側の糸を糸継装置に案内する中継パイプ(第1糸案内装置)と、パッケージ側の糸を糸継装置に案内するサクションマウス(第2糸案内装置)とを備える。さらに具体的には、特許文献1に記載の糸継装置は、糸端同士を圧縮空気によって撚り合わせるように構成されたエアスプライサである。特許文献2に記載の糸継装置は、2つのディスクの間に糸を挟んで糸端同士を撚り合わせるように構成されたディスクスプライサである。さらに別の糸継装置として、特許文献3には、糸端同士を機械的に結ぶノッターも開示されている。
ところで近年、例えば例えば合成繊維からなるコアヤーンを有する伸縮しやすい糸(伸縮糸)を巻き取るための技術開発が盛んに行われている。伸縮糸を糸巻取装置において正常に処理するための課題の一つとして、以下のような課題が生じている。例えば、第1糸案内装置によって第1の糸が糸継装置へ案内される際に、第1の糸が縮んで弛みが発生しやすい。このように弛みが発生した状態で糸端同士が継がれると、継目の形状及び/又は強度が不安定になってしまいやすい。そこで、特許文献1においては、エアスプライサに設けられた糸保持部と、上述した第1糸案内装置とを利用して、第1の糸の弛みを除去する制御手段が開示されている。具体的には、第1糸案内装置によって第1の糸が糸継装置へ案内された後、第1の糸が糸保持部に保持された状態で中継パイプが所定方向に動く。これによって、第1の糸のうち、糸継装置によって処理される部分が伸ばされる。このようにして、第1の糸の弛みが除去された状態で糸端同士が継がれることにより、継目の品質の安定化が図られる。
特許文献2、3に開示された糸継装置は、特許文献1に記載のような糸保持部を有していない。このため、これらの糸継装置が設けられた構成では、第1の糸が糸継装置に案内された後で中継パイプを上記所定方向に動かしても、給糸ボビンから単に第1の糸が引き出されて、第1の糸が弛んでしまう。かといって、特許文献2、3に開示された糸継装置に糸保持部を新たに設けるのでは、製造コスト及び開発の手間等が余分にかかるという問題がある。
本発明の目的は、糸巻取装置において、糸継装置に糸保持部が設けられていない場合でも、既存の装置を活用して糸の弛みを除去することである。
第1の発明の糸巻取装置は、給糸ボビンから引き出された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取処理を行うように構成された糸巻取装置であって、糸走行方向において前記パッケージ側へ走行している前記糸に抵抗を与える抵抗付与部を有し、前記抵抗付与部によって前記糸に抵抗を与えることにより前記糸に張力を付与するように構成された張力付与装置と、前記糸が前記糸走行方向における前記給糸ボビン側の第1の糸と前記糸走行方向における前記パッケージ側の第2の糸とに分断されているときに前記第1の糸の糸端と前記第2の糸の糸端とを継ぐように構成され、且つ、前記糸走行方向において前記張力付与装置よりも前記パッケージ側に配置された糸継装置と、前記第1の糸を前記糸継装置へ案内するように構成された第1糸案内装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1糸案内装置を制御して、前記第1の糸を前記張力付与装置及び前記糸継装置へ案内する案内制御と、前記張力付与装置及び前記第1糸案内装置の少なくとも一方を制御して、前記糸継装置へ案内された前記第1の糸のうち前記張力付与装置よりも前記糸走行方向における下流側の部分を伸ばす糸伸ばし制御と、を実行することを特徴とする。
本発明の糸伸ばし制御が実行されることにより、糸継装置へ案内された第1の糸を、既存の張力付与装置及び第1糸案内装置によって伸ばすことができる。これにより、第1の糸の弛みを除去できる。したがって、糸を保持する糸保持部が糸継装置に設けられていない場合でも、既存の装置を活用して、糸の弛みを除去することができる。
第2の発明の糸巻取装置は、前記第1の発明において、前記第1糸案内装置は、前記第1の糸を保持する保持部と、前記保持部を移動駆動する移動駆動部と、を有し、前記制御部は、前記糸伸ばし制御において、前記移動駆動部を制御し、前記保持部を、所定の第1位置から、前記第1位置よりも前記抵抗付与部から遠い第2位置へ移動させることを特徴とする。
例えば、張力付与装置全体が移動可能に構成されていることによって糸伸ばし制御が実施可能であっても良いが、この場合、張力付与装置全体を移動させるための移動機構を新たに設ける必要が生じる。本発明では、移動可能な既存の保持部を移動させることにより糸伸ばし制御を実行できる。このため、既存の装置を効果的に活用して、第1の糸の弛みを除去することができる。
第3の発明の糸巻取装置は、前記第2の発明において、前記保持部は、前記第1の糸を吸引捕捉する吸引捕捉部と、前記吸引捕捉部によって吸引捕捉された前記第1の糸を把持する把持部と、を有することを特徴とする。
例えば、保持部が吸引捕捉部のみを有する構成では、糸伸ばし制御において保持部が移動したときに、第1の糸が保持部に対してスリップしてしまうおそれがある。これにより第1の糸が弛んでしまうおそれがある。この点、本発明では、捕捉された第1の糸を把持部によって把持できる。このため、糸伸ばし制御が行われたときに第1の糸が保持部に対してスリップすることを抑制できる。したがって、糸伸ばし制御によって第1の糸の弛みを確実に除去できる。
第4の発明の糸巻取装置は、前記第1~第3のいずれかの発明において、前記張力付与装置は、走行中の前記糸に所定の抵抗を与えることが可能な第1張力状態と、走行中の前記糸に前記所定の抵抗よりも強い抵抗を与えることが可能な第2張力状態との間で状態が切り換えられることが可能に構成され、前記制御部は、前記巻取処理時に前記張力付与装置の状態を前記第1張力状態にし、前記糸伸ばし制御時に前記張力付与装置の状態を前記第2張力状態にすることを特徴とする。
糸伸ばし制御時に、第1の糸が抵抗付与部に対してスリップしてしまうと、第1の糸が給糸ボビンから引き出されて弛んでしまうおそれがある。本発明では、糸伸ばし制御時に、第1の糸に強い抵抗を与えることができる。これにより、第1の糸が抵抗付与部に対してスリップしてしまうことを抑制できる。したがって、糸伸ばし制御時に第1の糸が弛んでしまうことを抑制できる。
第5の発明の糸巻取装置は、前記第4の発明において、前記制御部は、前記案内制御を実行した後、前記糸伸ばし制御を開始するよりも前に、前記張力付与装置の状態を前記第2張力状態に切り換えることを特徴とする。
案内制御の後、張力付与装置の状態が第2張力状態に切り換えられる前に糸伸ばし制御が開始されると、第1の糸が抵抗付与部に対してスリップしてしまうおそれがある。この点、本発明では、第1の糸がスリップすることを効果的に抑制できる。
第6の発明の糸巻取装置は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記糸継装置は、2つのディスクの間に前記第1の糸及び前記第2の糸を挟んで前記第1の糸と前記第2の糸とを撚り合わせるように構成されたディスクスプライサであることを特徴とする。
ディスクスプライサには、エアスプライサに設けられているような糸保持部が設けられていない。したがって、糸継装置としてディスクスプライサが設けられた構成において、従来から設けられている張力付与装置及び第1糸案内装置を用いた糸伸ばし制御が特に効果的である。
第7の発明の糸巻取装置は、前記第1~第5のいずれかの発明において、前記糸継装置は、前記第1の糸と前記第2の糸とを結ぶように構成されたノッターであることを特徴とする。
ノッターには、エアスプライサに設けられているような糸保持部が設けられていない。したがって、糸継装置としてノッターが設けられた構成において、従来から設けられている張力付与装置及び第1糸案内装置を用いた糸伸ばし制御が特に効果的である。
第8の発明の糸巻取装置は、前記第1~第7のいずれかの発明において、前記案内制御が行われているときに、前記給糸ボビンからの前記第1の糸の引出量を抑制することが可能に構成された引出抑制部を備えることを特徴とする。
案内制御時には、給糸ボビンから第1の糸が引き出される。本発明によれば、案内制御時に給糸ボビンから第1の糸が過剰に引き出されることを抑制できる。したがって、第1の糸が弛んでしまうことを効果的に抑制できる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、複数の巻取ユニット2が配列された方向を左右方向とする。左右方向と直交し且つ重力が作用する方向を上下方向(鉛直方向)とする。左右方向及び上下方向の両方と直交する方向と前後方向とする。糸Yが走行する方向を糸走行方向とする。
(自動ワインダの概略構成)
まず、本実施形態に係る自動ワインダ1の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る自動ワインダ1の正面図である。自動ワインダ1は、複数の巻取ユニット2(本発明の糸巻取装置)と、玉揚装置3と、機台制御装置4とを備える。
まず、本実施形態に係る自動ワインダ1の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る自動ワインダ1の正面図である。自動ワインダ1は、複数の巻取ユニット2(本発明の糸巻取装置)と、玉揚装置3と、機台制御装置4とを備える。
複数の巻取ユニット2は、左右方向に配列されている。複数の巻取ユニット2の各々は、給糸ボビンBsから引き出された糸Yを巻取ボビンBw(図2参照)に巻き取ってパッケージPを形成する巻取処理を行うように構成されている。糸Yは、例えば合成繊維からなるコアヤーンを有する伸縮しやすい糸(伸縮糸)である。玉揚装置3は、複数の巻取ユニット2の上方に配置され、左右方向に移動可能に構成されている。玉揚装置3は、ある巻取ユニット2からの満巻の信号を受信したときに、その巻取ユニット2の上方に移動して、満巻のパッケージPの取り外し、及び、空の巻取ボビンBwの巻取ユニット2への装着などの作業を行う。機台制御装置4は、例えば、複数の巻取ユニット2の左方に配置されている。機台制御装置4は、巻取ユニット2のユニット制御部15(後述)及び玉揚装置3の制御部(不図示)と電気的に接続されている。
(巻取ユニット)
次に、巻取ユニット2の構成について、図2、図3及び図4(a)~(c)を参照しつつ説明する。図2は、巻取ユニット2の概略的な正面図である。図3は、巻取ユニット2の概略的な側面図である。図4(a)~(c)は、張力付与装置31の動作を示す説明図である。
次に、巻取ユニット2の構成について、図2、図3及び図4(a)~(c)を参照しつつ説明する。図2は、巻取ユニット2の概略的な正面図である。図3は、巻取ユニット2の概略的な側面図である。図4(a)~(c)は、張力付与装置31の動作を示す説明図である。
図3に示すように、巻取ユニット2は、ユニット本体10と、給糸部11と、糸処理部12と、巻取部13と、ユニット制御部15(本発明の制御部)とを有する。ユニット本体10は、上下方向に延びた柱状の部材である。ユニット本体10の側面部には、給糸部11、糸処理部12及び巻取部13が取り付けられている。給糸部11、糸処理部12及び巻取部13は、この順に下側から上側へ並べて配置されている。
給糸部11は、給糸ボビンBsに巻き付けられた糸Yを解舒しながら供給するためのものである。給糸部11は、給糸ボビン支持部21と、糸解舒補助装置22とを有する。給糸ボビン支持部21は、給糸ボビンBsを略直立状態に支持する。糸解舒補助装置22は、給糸ボビンBsから糸Yが解舒される際の膨らみを、規制筒23によって規制する。規制筒23は、給糸ボビンBsに巻かれている糸量が減るにつれて下方へ移動し、上記膨らみの大きさを一定の大きさに保つように構成されている。糸解舒補助装置22の上側には、走行する糸Yの有無を検出するヤーンフィーラ(不図示)が設けられている。
図2に示すように、糸解舒補助装置22の近傍には、キンクプリベンタ24(本発明の引出抑制部)が設けられている。キンクプリベンタ24は、後述する糸継動作時に糸Yが給糸ボビンBsから過剰に引き出されることを抑制するように構成されている。キンクプリベンタ24は、アームの先端に配置されたブラシ24aと、当該アームを回動駆動する駆動部24bとを有する。ブラシ24aは、例えば上下方向を回動軸方向として回動可能である。ブラシ24aは、所定の退避位置と、給糸ボビンBsの上端部に接触する接触位置との間で移動可能である。駆動部24bは、例えばソレノイドによってアームを回動駆動可能に構成されている。
糸処理部12は、糸Yに対する所定の処理を行うように構成されている。糸処理部12は、張力付与装置31と、糸継装置32と、ヤーンクリアラ33とを有する。
張力付与装置31は、走行する糸Yに所定の張力を付与するように構成されている。張力付与装置31は、例えば特開2017-088366号公報に記載された既存の装置である。張力付与装置31は、例えば給糸部11の真上に配置されている。つまり、糸Yは、給糸部11から張力付与装置31に向かって、上下方向に沿って上方へ走行する。張力付与装置31は、いわゆるゲート式の装置である。すなわち、図2に示すように、張力付与装置31は、複数の固定ゲート体31aと複数の可動ゲート体31bとを有する。複数の固定ゲート体31a及び複数の可動ゲート体31bは、上下方向において交互に配置されている。固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bは、前後方向に沿って延びており、且つ、後端部を基端部として片持ち支持されている。
可動ゲート体31bは、張力付与状態(図2の実線及び図4(b)参照)と、案内状態(図2の破線及び図4(a)参照)との間で状態が切り換えられることが可能である。可動ゲート体31bが張力付与状態であるとき、後述するように、糸Yに張力が付与される。可動ゲート体31bが案内状態であるとき、糸Yが固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bに案内されることが可能である(詳細については後述する)。例えば図2に示すように、張力付与状態においては、可動ゲート体31bが固定ゲート体31aよりも右側に位置している。この状態で、糸Yは、主に、固定ゲート体31aの左側の側面及び可動ゲート体31bの右側の側面に接触している。この状態で、糸Yは、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bによって屈曲させられている。この状態で、糸Yは、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bに接触しつつ走行することにより、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bによって摩擦力による抵抗を与えられる。これにより、糸Yに張力が付与される。固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bの、糸Yが接触している部分が、本発明の抵抗付与部に相当する。なお、可動ゲート体31bの固定ゲート体31aに対する移動方向は、上述したものに限られない。例えば、可動ゲート体31bは前後方向に移動可能であっても良い。或いは、可動ゲート体31bは、例えば上下方向に延びた回動軸(不図示)を回動軸方向として回動可能であっても良い。これにより、可動ゲート体31bは斜め方向(左右方向及び前後方向の両方の成分を有する方向)に移動可能であっても良い。すなわち、可動ゲート体31bは、張力付与状態と案内状態との間で状態が切り換えられることが可能であれば、どのように移動しても良い。
さらに、張力付与装置31は、可動ゲート体31bの位置が変更されることにより、張力の強さが変更されるように構成されている。すなわち、可動ゲート体31bが例えば右側に大きく移動すると、糸Yの屈曲角度が大きくなる(上述したように、移動方向はこれに限定されるものではない)。これにより、糸Yと、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bとの接触長が長くなる。これにより、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bによって糸Yに与えられる摩擦力(抵抗)が増加し、その結果として張力が増加する。例えば、張力付与装置31は、図4(b)に示す状態(第1張力状態)と、図4(c)に示す状態(第2張力状態)との間で状態が切り換えられることが可能である。張力付与装置31の状態が第2張力状態であるときの接触長は、張力付与装置31の状態が第1張力状態であるときの接触長よりも長い。これにより、張力付与装置31が第2張力状態であるときに糸Yに与えられる抵抗は、張力付与装置31が第1張力状態であるときに糸Yに与えられる所定の抵抗よりも強くなる。
一方、案内状態においては、可動ゲート体31bが固定ゲート体31aよりも左側に位置している。この状態で、糸Yは、少なくとも可動ゲート体31bには接触しない。この状態で、張力付与装置31の前側から糸Yが張力付与装置31に案内されることが可能となっている。案内状態においては、糸Yに張力は付与されない。
糸継装置32は、給糸部11と巻取部13との間で糸Yが分断されたときに、給糸部11側の糸Y(以下、第1の糸Y1)と巻取部13側の糸Y(以下、第2の糸Y2)とを継ぐように構成されている。以下のような場合に、給糸部11と巻取部13との間で糸Yが分断される。例えば、後述するヤーンクリアラ33により糸欠陥が検出されたときのカッタ33aによる糸切断時、巻取処理中における糸切れ時、あるいは、給糸ボビンBsから糸Yが解舒され終わったときに糸Yが分断される。糸継装置32のより具体的な構成については後述する。
糸継装置32の近傍には、第1の糸Y1を糸継装置32に案内するように構成された第1糸案内装置34と、第2の糸Y2を糸継装置32に案内するように構成された第2糸案内装置35とが設けられている。大まかに、巻取ユニット2においては、第1糸案内装置34が第1の糸Y1を糸継装置32に案内し、且つ、第2糸案内装置35が第2の糸Y2を糸継装置32に案内した後、糸継装置32が第1の糸Y1の糸端と第2の糸Y2の糸端とを継ぐ。以下、このような第1糸案内装置34、第2糸案内装置35及び糸継装置32によって行われる一連の動作を「糸継動作」と称する。糸継動作のうち、第1糸案内装置34が第1の糸Y1を糸継装置32に案内する動作、及び、第2糸案内装置35が第2の糸Y2を糸継装置32に案内する動作を「準備動作」と称する。準備動作が行われた後、糸継装置32が第1の糸Y1の糸端部と第2の糸Y2の糸端部とを継ぐ動作を「継目形成動作」と称する。言い換えれば、糸継動作は、準備動作と継目形成動作とを含む。
第1糸案内装置34は、糸継装置32の下側且つ張力付与装置31の近傍に設けられている。第1糸案内装置34は、例えば特開2017-088366号公報に記載された既存の装置である。第1糸案内装置34は、準備動作の一部を行うように構成されている。第1糸案内装置34は、より詳細には、回動軸34aを中心に回動可能なパイプ状のアーム34bと、アーム34bの先端部に配置された保持部34cと、アーム34bを回動駆動するアーム駆動モータ34d(本発明の移動駆動部)とを有する。回動軸34aの軸方向は、左右方向と略平行である。回動軸34aは、例えば、張力付与装置31よりも上側に配置されている。アーム34bは、概ねU字状に屈曲したパイプ状の部材である。アーム34bは、少なくとも、左右方向と直交する方向に延びている(図3参照)。アーム34bは、保持部34cの移動範囲が、張力付与装置31よりも下側の位置(図2の実線参照)と、張力付与装置31よりも上側の位置(図2の二点鎖線参照)とを含むように配置されている。言い換えれば、保持部34cは、張力付与装置31よりも下側の位置(図2の実線参照)と、張力付与装置31よりも上側の位置(図2の二点鎖線参照)との間で移動可能である。アーム駆動モータ34dは、アーム34bを旋回駆動することにより保持部34cを移動駆動するように構成されている。アーム駆動モータ34dは、ユニット制御部15と電気的に接続されており、ユニット制御部15によって制御される。
保持部34cのより具体的な構成について、図5(a)~(d)を参照しつつ説明する。図5(a)~(d)は、第1糸案内装置の保持部及びその近傍の構成に関する説明図である。図5(a)~図5(d)に示すように、保持部34cは、吸引部材51(本発明の吸引捕捉部)と、カバー部材52(本発明の把持部)とを有する。吸引部材51は、アーム34bを介して不図示の負圧源と接続された吸引口51aを有する。吸引部材51は、負圧源が生成する負圧によって第1の糸Y1の糸端部を吸引捕捉可能に構成されている。カバー部材52は、吸引口51aを開閉可能、且つ、吸引部材51に吸引捕捉された第1の糸Y1を把持可能に構成されている。カバー部材52は、回動軸52aを支点として吸引部材51に回動可能に取り付けられている。カバー部材52は、回動軸52aを支点として回動することにより吸引口51aを開閉可能な蓋部52bを有する。蓋部52bは、例えば不図示のバネによって、吸引口51aを閉じる向きに付勢されている。また、蓋部52bは、吸引部材51との間に第1の糸Y1を挟むことにより第1の糸Y1を把持することが可能である。
さらに、カバー部材52は、例えば、突起52cと、側面部52dとを有する。突起52cは、ユニット本体10に取り付けられたカム53(図3、図5(a)、(b)参照)と接触可能に配置されている。突起52cがカム53に前側から接触している状態で、アーム34bがアーム駆動モータ34dによって移動駆動されることにより、カバー部材52がカム53によって回動させられる。これにより、カバー部材52は、吸引口51aを閉じる閉状態(図5(a)参照)と、吸引口51aを開く開状態(図5(b)参照)との間で状態が切り換えられる。カバー部材52が閉状態であるとき、カバー部材52と吸引部材51との間に第1の糸Y1が把持される。側面部52dは、保持部34cが張力付与装置31の下側に配置されているとき(図3の実線参照)には、吸引部材51の前側に位置している(図5(a)、(b)参照)。側面部52dは、保持部34cが張力付与装置31の上側に配置されているとき(図3の二点鎖線参照)には、吸引部材51の後側に位置している(図5(c)、(d)参照)。側面部52dは、ユニット本体10に取り付けられたカム54(図3、図5(c)、(d)参照)と接触可能に配置されている。側面部52dがカム54に前側から接触している状態で、アーム34bがアーム駆動モータ34dによって移動駆動されることにより、カバー部材52がカム54によって回動させられる。これにより、カバー部材52は、閉状態(図5(c)参照)と開状態(図5(d)参照)との間で状態が切り換えられる。
図2及び図3に戻って説明を続ける。第2糸案内装置35は、回動軸35aを中心に回動可能であるパイプ状のアーム35bと、アーム35bの先端部に配置され、第2の糸Y2の糸端部を吸引捕捉して保持する保持部35cと、アーム35bを回動駆動するアーム駆動モータ35dと、を有する。このような構成により、第2糸案内装置35は、第2の糸Y2を吸引捕捉して糸継装置32へ案内することができる(第2糸案内装置35の動作に関する詳細な説明は省略する)。
ヤーンクリアラ33は、走行する糸Yの太さの情報を取得し、この情報に基づいて、糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ33の近傍にはカッタ33aが配置されている。ヤーンクリアラ33は、糸欠陥を検出したとき、カッタ33aに糸Yを切断させるとともに、検出信号をユニット制御部15へ出力する。
巻取部13は、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取ってパッケージPを形成するためのものである。巻取部13は、クレードル41と、綾振ドラム42と、ドラム駆動モータ43とを有する。クレードル41は、巻取ボビンBw(パッケージP)を回転自在に支持するように構成されている。綾振ドラム42の外周面には、綾振り溝42aが形成されている。綾振ドラム42は、この綾振り溝42aに糸Yを通しながら回転することで、糸Yを所定の幅で綾振りする。そして、綾振ドラム42が、綾振り溝42aによって糸Yを綾振りしながら、巻取ボビンBwに形成されたパッケージPと接触した状態で回転することで、パッケージP及び巻取ボビンBwは、綾振ドラム42との接触摩擦により従動回転する。これにより、糸Yが巻取ボビンBwに巻き取られてパッケージPが形成される。
ドラム駆動モータ43は、パッケージPに糸Yが巻き取られる向き(正転方向)と、パッケージPから糸Yが引き出されることが可能な向き(逆転方向)の両方に綾振ドラム42を回転駆動可能に構成されている。通常の巻取処理時には、綾振ドラム42が正転駆動されることでパッケージPが正転し、パッケージPに糸が巻き取られる。また、上述した糸継動作時に、上述した準備動作が行われる際には、綾振ドラム42が逆転駆動されることでパッケージPが逆転する。これにより、第2糸案内装置35が第2の糸Y2を糸継装置32の近傍まで引き出すことが可能になる。
ユニット制御部15は、ユニット本体10に内蔵されている。ユニット制御部15は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。ユニット制御部15は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUにより巻取ユニット2の各構成要素を制御する。
以上の構成を備える巻取ユニット2において、ユニット制御部15が、パッケージPと綾振ドラム42とを接触させた状態でドラム駆動モータ43を駆動して綾振ドラム42を回転させる。これにより、給糸ボビンBsから引き出された糸Yが巻取ボビンBwに巻き取られてパッケージPが形成される(巻取処理)。また、糸Yが第1の糸Y1と第2の糸Y2とに分断されたときには、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の各構成要素を制御して、糸継動作(準備動作及び継目形成動作)を実行する。
(糸継装置の具体的構成)
次に、糸継装置32のより具体的な構成について、図6(a)~(c)及び図7(a)、(b)を参照しつつ説明する。図6(a)は、糸継装置32の平面図である。図6(b)は、糸継装置32の正面図である。図6(c)は、糸継装置32の底面図である。図7(a)は、後述する一対のディスク66の正面図である。図7(b)は、図7(a)のVII(b)-VII(b)線断面図である。
次に、糸継装置32のより具体的な構成について、図6(a)~(c)及び図7(a)、(b)を参照しつつ説明する。図6(a)は、糸継装置32の平面図である。図6(b)は、糸継装置32の正面図である。図6(c)は、糸継装置32の底面図である。図7(a)は、後述する一対のディスク66の正面図である。図7(b)は、図7(a)のVII(b)-VII(b)線断面図である。
糸継装置32は、例えば公知のディスクスプライサである。糸継装置32は、図6(a)~(c)に示すように、本体61と、左カバー62と、右カバー63と、上側案内プレート64と、下側案内プレート65と、一対のディスク66(66L、66R)と、上側糸寄せレバー67と、下側糸寄せレバー68とを有する。また、糸継装置32は、糸端の不要な部分を切断除去するための不図示のカッタを有する。
本体61は、略直方体状の部材である。左カバー62は、本体61の左前側部分に固定されている。右カバー63は、本体61の右前側部分に固定されている。左右方向において、左カバー62と右カバー63との間には、前後方向に延びた隙間69が形成されている。隙間69は、糸継動作時に第1の糸Y1及び第2の糸Y2が案内されるように配置されている。
上側案内プレート64は、本体61の上面に固定されている。上側案内プレート64には、第1の糸Y1が案内される第1上側案内溝64aと、第2の糸Y2が案内される第2上側案内溝64bとが形成されている。第1上側案内溝64a及び第2上側案内溝64bは、隙間69の真上に配置されている。下側案内プレート65は、本体61の下面に固定されている。下側案内プレート65には、第1の糸Y1が案内される第1下側案内溝65aと、第2の糸Y2が案内される第2下側案内溝65bとが形成されている。第1下側案内溝65a及び第2下側案内溝65bは、隙間69の真下に配置されている。
ディスク66L、66Rは、左右方向において互いに向かい合うように配置されている。ディスク66Lとディスク66Rとの間に形成された隙間は、上述した隙間69と少なくとも部分的に重なっている。糸継動作時には、左右方向において、ディスク66Lとディスク66Rとの間に第1の糸Y1及び第2の糸Y2が案内される(図7(a)、(b)参照)。ディスク66L、66Rは、第1の糸Y1及び第2の糸Y2を挟んだ状態で回転することにより、第1の糸Y1及び第2の糸Y2を解撚する動作と、解撚された第1の糸Y1と第2の糸Y2とを撚り合わせる動作とを実行可能に構成されている。
上側糸寄せレバー67及び下側糸寄せレバー68は、第1糸案内装置34によって糸継装置32の近傍まで案内されてきた第1の糸Y1及び第2糸案内装置35によって糸継装置32の近傍まで案内されてきた第2の糸Y2を隙間69に案内する。上側糸寄せレバー67は、第1の糸Y1を第1上側案内溝64aに案内し、第2の糸Y2を第2上側案内溝64bに案内するように構成されている。下側糸寄せレバー68は、第1の糸Y1を第1下側案内溝65aに案内し、第2の糸Y2を第2下側案内溝65bに案内するように構成されている。糸継装置32の構造等のさらなる詳細については、例えば特開2012-001349号公報を参照されたい。
ここで、伸縮しやすい糸Yを巻取ユニット2において正常に処理するための課題の一つとして、以下のような課題が生じている。すなわち、第1糸案内装置34によって第1の糸Y1が糸継装置32へ案内される際に、第1の糸Y1が縮んで弛みが発生しやすい。このように弛みが発生した状態で糸端同士が継がれると、継目の形状及び/又は強度が不安定になってしまいやすい。このため、伸縮糸の弛みを除去することが求められる。しかしながら、本実施形態の糸継装置32(ディスクスプライサ)においては、例えば特開2017-088366号公報に記載されたエアスプライサが有しているような糸保持部が設けられていないため、糸継装置32自体を用いて第1の糸Y1を伸ばすことは難しい。
なお、参考までに、例えば特開2017-065896号公報には、糸の弛みを抑制するための装置として糸貯留装置(不図示)が開示されている。糸貯留装置は、紡績装置によって糸が連続的に生成される紡績ユニット(不図示)において糸を継ぐ際に、生成された糸を一時的に貯留可能に構成されている。これにより、糸継ぎの最中に糸が糸走行方向下流側へ供給されることが防止され、その結果として糸が弛むことが抑制される。すなわち、このような糸貯留装置は、糸に生じた弛みを除去するように構成されているものではない。
本実施形態では、糸継装置32としてディスクスプライサが設けられた構成においても既存の装置を活用して糸Yの弛みを除去するために、巻取ユニット2のユニット制御部15が以下のような制御を行う。
(ユニット制御部による制御)
ユニット制御部15による制御の詳細について、主に図8のフローチャート及び図9(a)~(d)の説明図を参照しつつ説明する。以下、巻取処理中に糸Yが分断されてから巻取処理が再開されるまでの間にユニット制御部15が行う制御について説明する。当該制御は、準備動作に関する制御を含み、特に、張力付与装置31及び第1糸案内装置34の制御に関する。なお、巻取処理中に糸Yが分断されてから巻取処理が再開されるまでの間に、第2糸案内装置35によって第2の糸Y2を糸継装置32へ案内する制御も行われるが、この制御に関する詳細な説明は省略する。
ユニット制御部15による制御の詳細について、主に図8のフローチャート及び図9(a)~(d)の説明図を参照しつつ説明する。以下、巻取処理中に糸Yが分断されてから巻取処理が再開されるまでの間にユニット制御部15が行う制御について説明する。当該制御は、準備動作に関する制御を含み、特に、張力付与装置31及び第1糸案内装置34の制御に関する。なお、巻取処理中に糸Yが分断されてから巻取処理が再開されるまでの間に、第2糸案内装置35によって第2の糸Y2を糸継装置32へ案内する制御も行われるが、この制御に関する詳細な説明は省略する。
初期状態として、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の各構成要素を制御して巻取処理を実行している。巻取処理中、張力付与装置31の状態は、第1張力状態である。巻取処理中、第1糸案内装置34の保持部34c及び第2糸案内装置35の保持部35cは、走行中の糸Yと干渉しない位置(待機位置)にそれぞれ位置している。保持部34cの待機位置は、より具体的には、図9(a)に示す位置である。保持部34cの待機位置は、例えば糸Yが意図せず切れたときであっても、切れた糸Y(第1の糸Y1)を保持部34cが直ちに吸引捕捉できるようにするための位置である。保持部34cが待機位置に位置しているとき、カム53によって、カバー部材52が吸引口51aを開けるように配置されている(図5(b)参照)。これにより、第1の糸Y1が吸引部材51によって吸引捕捉されることが可能である。
巻取処理中に、例えばヤーンクリアラ33によって糸欠陥が検知されたときに、カッタ33aによって糸Yが切断され、糸Yが第1の糸Y1と第2の糸Y2とに分断される(S101)。ユニット制御部15は、糸Yが切断されたことを示す信号をヤーンクリアラ33から受信したとき、巻取ユニット2の各構成要素を制御して、巻取処理を一時停止させる(S102)。次に、ユニット制御部15は、第1糸案内装置34を制御して、第1の糸Y1を負圧により吸引捕捉する(S103)。なお、この吸引捕捉の動作は、巻取処理が完全に停止する前に行われても良い。次に、ユニット制御部15は、張力付与装置31を制御して、張力付与装置31の状態を上述した案内状態にする(S104。図4(a)参照)。つまり、ユニット制御部15は、第1の糸Y1を捕捉した保持部34cを第2位置へ移動させる(後述のS105)よりも前に、張力付与装置31の状態を案内状態にする。なお、ステップS104は、ステップS103よりも前又はステップS103と同時に行われても良い。また、ステップS104と並行して、又はステップS104の後に、ユニット制御部15は、キンクプリベンタ24を制御して、ブラシ24aを退避位置から接触位置に移動させる。これにより、後述の案内制御時に、第1の糸Y1の給糸ボビンBsからの引出量が抑制される。
次に、ユニット制御部15は、アーム駆動モータ34dを制御してアーム34bを回動させることにより、保持部34cを張力付与装置31よりも上側に移動させ、且つ、糸継装置32の近傍に位置させる(S105。図9(b)参照)。このとき、カバー部材52は吸引口51aを閉じており、カバー部材52と吸引部材51との間に第1の糸Y1が挟まれている。つまり、カバー部材52及び吸引部材51によって第1の糸Y1が把持されている。図9(b)に示す保持部34cの位置(案内位置。本発明の第1位置))は、上下方向において、張力付与装置31を挟んで第1位置とは反対側の位置である。このような案内位置に保持部34cが移動することにより、第1の糸Y1が張力付与装置31及び糸継装置32に案内される(案内制御)。より具体的には、第1の糸Y1が、左右方向において固定ゲート体31aと可動ゲート体31bとの間に配置される(図4(a)の二点鎖線参照)。ステップS105において、第1の糸Y1が給糸ボビンBsから引き出される。引き出された第1の糸Y1(伸縮糸)は、伸縮性に起因して縮むことにより、やや弛んだ状態になる(図9(b)参照)。
案内制御の後、ユニット制御部15は、張力付与装置31を制御して、可動ゲート体31bの状態を案内状態から第2張力状態に切り換える(S106。図4(c)参照)。これにより、第1の糸Y1が固定ゲート体31aと可動ゲート体31bとによって保持される。張力付与装置31の状態が第2張力状態であるとき、第1の糸Y1には固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bによって抵抗が与えられる。張力付与装置31の状態が第2張力状態であるときに第1の糸Y1に与えられる抵抗は、張力付与装置31の状態が第1張力状態であるときに第1の糸Y1に与えられる抵抗よりも強い。ユニット制御部15は、後述する糸伸ばし制御の開始前に、可動ゲート体31bの状態を第2張力状態に切り換える。
その後、ユニット制御部15は、アーム駆動モータ34dを制御して、アーム34bを回動させ、保持部34cを案内位置よりも後方の伸長位置(本発明の第2位置)に移動させる(S107)。伸長位置は、案内位置と比べて、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bのうち第1の糸Y1との接触部分(抵抗付与部)よりも遠い位置である。保持部34cが案内位置から伸長位置に移動しているとき、カバー部材52と吸引部材51とによって第1の糸Y1が把持された状態が維持されている。このため、保持部34cが案内位置から伸長位置に移動するときに、第1の糸Y1のうち保持部34cによって把持されている部分が保持部34cに対してスリップしてしまうことが抑制される。また、第1の糸Y1には、張力付与装置31(より具体的には、固定ゲート体31a及び可動ゲート体31b)によって抵抗が与えられている。保持部34cが案内位置から伸長位置に移動するときに、第1の糸Y1のうち固定ゲート体31a及び可動ゲート体31bに接触している部分がスリップしてしまうことが抑制される。したがって、保持部34cが案内位置から伸長位置に移動したとき、第1の糸Y1のうち、張力付与装置31と保持部34cとの間に位置している部分(すなわち、張力付与装置31の糸走行方向下流側の部分)が伸ばされる。これにより、糸継装置32へ案内された第1の糸Y1の弛みが除去される。このステップS107は、第1の糸Y1を伸ばすための糸伸ばし制御である。また、ユニット制御部15は、上記糸伸ばし制御が完了するまでに、巻取部13及び第2糸案内装置35を制御して、第2の糸Y2を糸継装置32へ案内する(詳細については説明を省略する)。
次に、ユニット制御部15は、糸継装置32を制御して、第1の糸Y1の糸端部と第2の糸Y2の糸端部とを継ぐ(S108。継目形成動作)。また、このとき、ユニット制御部15は、糸継装置32に設けられた不図示のカッタによって、糸端部のうち不要な部分を切断する。さらに、ユニット制御部15は、第1糸案内装置34を制御して保持部34cを移動させ、カム54によってカバー部材52を動作させて吸引口51aを開けさせる(図5(d)参照)。これにより、第1の糸Y1の糸端部のうち、不要な部分が吸引除去される。次に、ユニット制御部15は、第1糸案内装置34を制御して、保持部34cを待機位置に戻す(S109。図9(d)参照)。第2糸案内装置35に関しても同様の制御が行われる。さらに、ユニット制御部15は、張力付与装置31の状態を第2張力状態から第1張力状態に切り換える(S110)。なお、ステップS110は、ステップS109の前に又はステップS109と同時に実行されても良い。また、ステップS110と並行して又はステップS110の後に、ユニット制御部15は、キンクプリベンタ24を制御して、ブラシ24aを接触位置から退避位置に移動させる。最後に、ユニット制御部15は、巻取ユニット2の各構成要素を制御して、巻取処理を再開させる(S111)。
以上のように、糸伸ばし制御を実行することによって、糸継装置32へ案内された第1の糸Y1を、既存の張力付与装置31及び第1糸案内装置34によって伸ばすことができる。したがって、糸Yを保持する糸保持部が糸継装置32に設けられていない場合でも、既存の装置を活用して、糸Yの弛みを除去することができる。
また、本実施形態では、移動可能な既存の保持部34cを移動させることにより糸伸ばし制御を実行できる。このため、既存の装置を効果的に活用して、第1の糸Y1の弛みを除去することができる。
また、カバー部材52によって第1の糸Y1を把持できる。これにより、糸伸ばし制御が行われたときに、第1の糸Y1が保持部34cに対してスリップしてしまうことを抑制できる。したがって、糸伸ばし制御によって第1の糸Y1の弛みを確実に除去できる。
また、ユニット制御部15は、糸伸ばし制御時に、張力付与装置31の状態を第2張力状態にする。これにより、糸伸ばし制御時に、第1の糸Y1に強い抵抗を与えることができる。これにより、第1の糸Y1が固定ゲート体31a又は可動ゲート体31bに対してスリップしてしまうことを抑制できる。したがって、糸伸ばし制御時に第1の糸Y1が再び弛んでしまうことを抑制できる。
また、ユニット制御部15は、案内制御の実行後、糸伸ばし制御を開始するよりも前に、張力付与装置31の状態を第2張力状態に切り換える。したがって、第1の糸Y1がスリップすることを効果的に抑制できる。
また、本実施形態の糸継装置32(ディスクスプライサ)には、エアスプライサ(不図示)に設けられているような糸保持部が設けられていない。したがって、糸継装置32としてディスクスプライサが設けられた構成において、従来から設けられている張力付与装置31及び第1糸案内装置34を用いた糸伸ばし制御が特に効果的である。
また、キンクプリベンタ24によって、案内制御時に給糸ボビンBsから第1の糸Y1が過剰に引き出されることを抑制できる。したがって、第1の糸Y1が弛んでしまうことを効果的に抑制できる。
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
(1)前記実施形態においては、糸継装置32がディスクスプライサであるものとしたが、これには限られない。糸継装置として、例えば特開2018-159144号公報に記載されているような、第1の糸Y1と第2の糸Y2とを機械的に結ぶノッターが設けられていても良い。或いは、糸継装置として、特開2017-088366号公報に記載されているようなエアスプライサが設けられていても良い。これらの場合においても、上述した糸伸ばし制御を実行することによって第1の糸Y1の弛みを除去できる。
(2)前記までの実施形態においては、糸伸ばし制御(S107)の開始前に張力付与装置31の状態が第2張力状態に切り換えられる(S106)ものとしたが、これには限られない。例えば、ステップS106とステップS107とが同時に開始されても良い。
(3)前記までの実施形態においては、案内制御が行われる(S105)よりも前に張力付与装置31の状態が案内状態に切り換えられる(S104)ものとしたが、これには限られない。例えば、ステップS104とステップ105とが同時に開始されても良い。或いは、巻取ユニット2は、張力付与装置31が張力付与状態である場合でも、第1の糸Y1が張力付与装置31に案内されることが可能に構成されていても良い。すなわち、例えば、張力付与装置31の前側に、張力付与装置31に向かって後側へ移動中の第1の糸Y1を波状に屈曲させるように構成された不図示のガイド部材が設けられていても良い。
(4)前記までの実施形態においては、糸伸ばし制御(S107)の前に張力付与装置31の状態が第2張力状態に切り換えられるものとしたが、これには限られない。糸伸ばし制御時に、張力付与装置31の状態は、例えば第1張力付与状態(すなわち、巻取処理時と同じ状態)に切り換えられても良い。
(5)前記までの実施形態においては、保持部34cが第1の糸Y1を把持可能に構成されているものとしたが、これには限られない。例えば、保持部34cは、単に第1の糸Y1を吸引保持可能に構成されていても良い。
(6)前記までの実施形態においては、保持部34cが、第1の糸Y1を吸引捕捉する吸引部材51を有するものとした。しかしながら、これには限られない。吸引部材51の代わりに、例えば第1の糸Y1を把持して捕捉するように構成された把持部材が設けられていても良い。
(7)前記までの実施形態においては、保持部34cが移動することによって糸伸ばし制御が行われるものとしたが、これには限られない。例えば、張力付与装置31の可動ゲート体31bが左右方向に移動することによって、糸道の長さを変更することができる。これによって、このような張力付与装置31の機能を利用して、第1の糸Y1を伸ばしても良い(糸伸ばし制御が行われても良い)。或いは、例えば、張力付与装置31全体がユニット本体10に対して移動可能に構成されていても良い。つまり、張力付与装置31を保持部34cに対して移動させることにより糸伸ばし制御が行われても良い。この場合、保持部34c及び張力付与装置31の両方が移動させられても良い。以上のように、張力付与装置31及び第1糸案内装置34の少なくとも一方を制御することによって、糸伸ばし制御を実行することができる。
(8)前記までの実施形態においては、巻取ユニット2がキンクプリベンタ24を備えるものとしたが、これには限られない。キンクプリベンタ24は必ずしも設けられていなくても良い。この場合に、案内制御時に第1の糸Y1が給糸ボビンBsから過剰に引き出されてしまった場合でも、糸伸ばし制御によって第1の糸Y1の弛みを抑制することができる。或いは、キンクプリベンタ24が設けられていない場合に、張力付与装置31が例えば以下のように構成されていても良い。張力付与装置31は、可動ゲート体31bの状態が第2張力付与状態であるときに、固定ゲート体31aと可動ゲート体31bとの間に第1の糸Y1を強く挟み込むように構成されていても良い。これにより、案内制御時に第1の糸Y1が給糸ボビンBsから過剰に引き出されてしまった場合でも、糸伸ばし制御時に第1の糸Y1を効果的に伸ばすことができる。したがって、第1の糸Y1の弛みを効果的に除去できる。
(9)前記までの実施形態においては、巻取ユニット2はゲート式の張力付与装置31を備えるものとしたが、これには限られない。巻取ユニット2は、複数のディスク(不図示)の間に糸Yを挟むことによって糸Yに抵抗を与えるディスク式の張力付与装置(不図示)を備えていても良い。
(10)本発明は、自動ワインダ1の巻取ユニット2に限られず、給糸ボビンから糸を引き出してパッケージを形成する様々な糸巻取装置に適用可能である。
2 巻取ユニット(糸巻取装置)
15 ユニット制御部
24 キンクプリベンタ(引出抑制部)
31 張力付与装置
31a 固定ゲート体(抵抗付与部)
31b 可動ゲート体(抵抗付与部)
32 糸継装置
34 第1糸案内装置
34c 保持部
34d アーム駆動モータ(移動駆動部)
51 吸引部材(吸引捕捉部)
52 カバー部材(把持部)
Bs 給糸ボビン
P パッケージ
Y 糸
Y1 第1の糸
Y2 第2の糸
15 ユニット制御部
24 キンクプリベンタ(引出抑制部)
31 張力付与装置
31a 固定ゲート体(抵抗付与部)
31b 可動ゲート体(抵抗付与部)
32 糸継装置
34 第1糸案内装置
34c 保持部
34d アーム駆動モータ(移動駆動部)
51 吸引部材(吸引捕捉部)
52 カバー部材(把持部)
Bs 給糸ボビン
P パッケージ
Y 糸
Y1 第1の糸
Y2 第2の糸
Claims (8)
- 給糸ボビンから引き出された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取処理を行うように構成された糸巻取装置であって、
糸走行方向において前記パッケージ側へ走行している前記糸に抵抗を与える抵抗付与部を有し、前記抵抗付与部によって前記糸に抵抗を与えることにより前記糸に張力を付与するように構成された張力付与装置と、
前記糸が前記糸走行方向における前記給糸ボビン側の第1の糸と前記糸走行方向における前記パッケージ側の第2の糸とに分断されているときに前記第1の糸の糸端と前記第2の糸の糸端とを継ぐように構成され、且つ、前記糸走行方向において前記張力付与装置よりも前記パッケージ側に配置された糸継装置と、
前記第1の糸を前記糸継装置へ案内するように構成された第1糸案内装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1糸案内装置を制御して、前記第1の糸を前記張力付与装置及び前記糸継装置へ案内する案内制御と、
前記張力付与装置及び前記第1糸案内装置の少なくとも一方を制御して、前記糸継装置へ案内された前記第1の糸のうち前記張力付与装置よりも前記糸走行方向における下流側の部分を伸ばす糸伸ばし制御と、を実行することを特徴とする糸巻取装置。 - 前記第1糸案内装置は、前記第1の糸を保持する保持部と、前記保持部を移動駆動する移動駆動部と、を有し、
前記制御部は、
前記糸伸ばし制御において、前記移動駆動部を制御し、前記保持部を、所定の第1位置から、前記第1位置よりも前記抵抗付与部から遠い第2位置へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取装置。 - 前記保持部は、
前記第1の糸を吸引捕捉する吸引捕捉部と、前記吸引捕捉部によって吸引捕捉された前記第1の糸を把持する把持部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の糸巻取装置。 - 前記張力付与装置は、
少なくとも、走行中の前記糸に所定の抵抗を与えることが可能な第1張力状態と、走行中の前記糸に前記所定の抵抗よりも強い抵抗を与えることが可能な第2張力状態との間で状態が切り換えられることが可能に構成され、
前記制御部は、
前記巻取処理時に前記張力付与装置の状態を前記第1張力状態にし、前記糸伸ばし制御時に前記張力付与装置の状態を前記第2張力状態にすることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の糸巻取装置。 - 前記制御部は、
前記案内制御を実行した後、前記糸伸ばし制御を開始するよりも前に、前記張力付与装置の状態を前記第2張力状態に切り換えることを特徴とする請求項4に記載の糸巻取装置。 - 前記糸継装置は、2つのディスクの間に前記第1の糸及び前記第2の糸を挟んで前記第1の糸と前記第2の糸とを撚り合わせるように構成されたディスクスプライサであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の糸巻取装置。
- 前記糸継装置は、前記第1の糸と前記第2の糸とを結ぶように構成されたノッターであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の糸巻取装置。
- 前記案内制御が行われているときに、前記給糸ボビンからの前記第1の糸の引出量を抑制することが可能に構成された引出抑制部を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の糸巻取装置。
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