JP2022189204A - 紡績機 - Google Patents

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昌澄 重山
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Abstract

【課題】紡績機において紡績糸の分断が発生した場合に、パッケージ側の紡績糸を吸引装置で確実に捕捉する。【解決手段】紡績機は、糸貯留装置23と、吸引装置24と、糸外しレバー55と、を備える。糸貯留装置23は、紡績装置22と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置される。吸引装置24は、糸貯留装置23よりも糸走行下流側で紡績糸5を吸引可能である。糸外しレバー55は、糸経路を変更可能である。糸貯留装置23は、糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53を備える。紡績装置22と糸貯留装置23との間で紡績糸5が分断された場合に、糸貯留ローラ51に紡績糸5が残っている状態で、糸貯留ローラ51を正転させながら糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動させることで糸掛け部材53から紡績糸5を外す。糸貯留ローラ51が正転しかつ糸外しレバー55が糸外し位置P2にある期間においては、吸引装置24の吸引が作用している。【選択図】図4

Description

本発明は、紡績機に関する。
従来から、供給された糸を糸貯留装置において一時的に貯留した後、巻取装置において巻き取ってパッケージを形成する紡績機が知られている。特許文献1は、この種の紡績機である精紡機を開示する。
特許文献1の精紡機では、糸貯留装置に糸貯留ローラが設けられている。糸貯留ローラの外周面に糸を巻き付けることで、糸を一時的に貯留することができる。糸貯留ローラよりも下流側には、吸引装置が設けられている。糸貯留装置よりも下流側で糸切れが生じたときには、糸貯留ローラに残っている糸が吸引装置に吸引されて除去される。
特開2014-125349号公報
特許文献1の構成において、吸引装置は、糸貯留装置よりも下流側で糸切れが生じたときに、糸貯留ローラに残っている糸を除去するものに過ぎない。
本発明の目的は、紡績機において紡績糸の分断が発生した場合に、パッケージ側の紡績糸を吸引装置で確実に捕捉することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、紡績機は、紡績装置と、巻取装置と、糸貯留装置と、吸引装置と、糸作用部材と、を備える。前記紡績装置は、繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能である。前記巻取装置は、前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸貯留装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される。前記吸引装置は、前記糸貯留装置よりも糸走行下流側で糸を吸引可能である。前記糸作用部材は、第1位置と第2位置との間で移動することで前記糸経路を変更可能である。前記糸貯留装置は、糸貯留ローラと、糸掛け部材と、を備える。前記糸貯留ローラは、糸を外周に巻き付けて貯留可能である。前記糸掛け部材は、回転可能に構成され、前記糸貯留ローラから解舒される糸に掛かることで当該糸にテンションを付与する。前記糸作用部材は、前記第1位置から前記第2位置へ移動することで前記糸掛け部材から糸を外すことが可能である。前記紡績装置と前記糸貯留装置との間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、前記糸貯留ローラを正転させながら前記糸作用部材を前記第2位置に移動させることで前記糸掛け部材から糸を外す。前記糸貯留ローラが正転しかつ前記糸作用部材が前記第2位置にある期間においては、前記吸引装置の吸引が作用している。
これにより、糸の分断の発生時に、吸引装置によって、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記紡績装置と前記糸貯留装置との間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに残っている糸は、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で分断した状態である。前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、前記糸貯留ローラを正転させながら前記糸作用部材を前記第2位置に移動させることで前記糸掛け部材から糸を外し、前記糸貯留ローラが正転しかつ前記糸作用部材が前記第2位置にある期間においては、前記吸引装置の吸引を作用させ、前記糸貯留ローラに残っていた糸を前記吸引装置により吸引除去する。
糸貯留ローラとパッケージとの間で糸が分断した場合、パッケージの巻取りによって糸貯留ローラから糸を引き出すことができない。しかし、上記の構成とすることにより、糸貯留ローラに残っていた糸を、吸引装置によって捕捉して適切に除去することができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、紡績機は、紡績装置と、巻取装置と、糸貯留装置と、吸引装置と、糸作用部材と、を備える。前記紡績装置は、繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能である。前記巻取装置は、前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸貯留装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される。前記吸引装置は、前記糸貯留装置よりも糸走行下流側で糸を吸引可能である。前記糸作用部材は、糸経路を変更する。前記糸貯留装置は、糸貯留ローラと、糸掛け部材と、を備える。前記糸貯留ローラは、糸を外周に巻き付けて貯留可能である。前記糸掛け部材は、回転可能に構成され、前記糸貯留ローラから解舒される糸に掛かることで当該糸にテンションを付与する。前記糸作用部材は、紡績の中断動作に関連して、前記糸貯留ローラから解舒される糸の糸経路を変更する。
これにより、糸の分断の発生時に、吸引装置によって、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、紡績機は、複数の紡績ユニットを備える。それぞれの前記紡績ユニットが、前記紡績装置、前記糸貯留装置、及び、前記巻取装置を備える。前記糸作用部材、及び、前記糸作用部材を駆動する駆動部が、何れもそれぞれの前記紡績ユニットに設けられている。
これにより、糸作用部材が、他の紡績ユニットの糸作用部材に対して独立して動作することができる。従って、他の紡績ユニットの糸作用部材の動作には依存しないタイミングで、糸作用部材を駆動することができる。
前記の紡績機においては、前記紡績装置が糸出し紡績を行う場合、前記糸作用部材は、前記糸貯留ローラに巻かれた糸を廃棄するための位置まで移動することが好ましい。
これにより、糸作用部材によって、パッケージ側の糸の吸引装置への捕捉を容易にする機能と、糸出し紡績時に紡績装置側の糸を廃棄する機能と、の両方を実現することができる。従って、構成を簡素化することができる。
前記の紡績機においては、前記糸貯留ローラから糸が全て解舒され、当該糸が前記吸引装置に吸引されたタイミングで、前記糸作用部材が、糸経路の変更を解除する位置まで戻ることが好ましい。
これにより、吸引装置によってパッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。糸作用部材を糸経路の変更を解除する位置まで戻すタイミングが早いと、糸が糸貯留ローラから全て解舒されずに、糸貯留ローラに残ってしまうこともある。
前記の紡績機においては、紡績を中断した後、前記糸貯留ローラの回転速度を減速してから、前記糸作用部材が糸経路を変更するために移動することが好ましい。
これにより、紡績を中断した後、糸作用部材が移動するまでの間は、糸貯留ローラに残っていた糸をパッケージに巻き取ることができる。この結果、紡績機で発生する屑糸の量を削減することができる。また、糸作用部材を移動させるタイミングは、糸貯留ローラの回転速度を減速してからであるため、パッケージ側の糸を吸引装置によって容易に捕捉することができる。
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、紡績機は、紡績装置と、巻取装置と、糸貯留ローラと、第1駆動部と、糸掛け部材と、吸引装置と、を備える。前記紡績装置は、繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能である。前記巻取装置は、前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸貯留ローラは、前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される。前記第1駆動部は、前記糸貯留ローラを駆動する。前記糸掛け部材は、前記糸貯留ローラから解舒される糸に接触してテンションを付与する。前記吸引装置は、前記糸貯留ローラよりも糸走行下流側で糸を吸引可能である。紡績の中断動作に関連して、以下のうち少なくとも何れかが行われる。(1)前記糸掛け部材の回転が停止する。(2)前記糸貯留ローラの回転が停止し、前記糸貯留ローラから糸を解舒する方向に前記糸掛け部材が回転する。(3)前記糸掛け部材が無効形状となる。
これにより、糸の分断の発生時に、吸引装置によって、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記紡績装置と前記糸貯留ローラとの間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに残っている糸は、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で分断した状態である。前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、上記(1)~(3)のうち少なくとも何れかが、前記吸引装置の吸引を作用させながら行われることにより、前記糸貯留ローラに残っていた糸を前記吸引装置により吸引除去する。
糸貯留ローラとパッケージとの間で糸が分断した場合、パッケージの巻取りによって糸貯留ローラから糸を引き出すことができない。しかし、上記の構成とすることにより、糸貯留ローラに残っていた糸を、吸引装置によって捕捉して適切に除去することができる。
前記の紡績機においては、前記糸掛け部材を駆動する第2駆動部を備えることが好ましい。
これにより、糸貯留ローラの回転及び糸掛け部材の回転を、互いに独立して制御することができる。
前記の紡績機においては、前記糸貯留ローラの糸貯留量を検出するセンサを備えることが好ましい。
これにより、パッケージ側の糸を吸引装置で捕捉するために、パッケージの回転を、センサの検出結果に基づいて適切なタイミングで停止させることができる。
前記の紡績機においては、前記吸引装置に向けて前記糸を積極的に移動させる糸移動装置を備えることが好ましい。
これにより、吸引装置によってパッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、紡績機は、複数の紡績ユニットを備える。それぞれの紡績ユニットが、前記紡績装置と、前記巻取装置と、を備える。それぞれの前記紡績ユニットの前記巻取装置は、前記巻取装置で巻かれる糸をトラバースするトラバース装置を備える。前記紡績ユニットにおいて前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が分断された場合に、前記トラバース装置が糸をトラバースするトラバース幅が糸の分断前のトラバース幅よりも狭くなった状態で、前記巻取装置側の糸をパッケージに巻き取る。
これにより、糸がパッケージの巻幅を外れた位置に巻かれることを防止できる。従って、パッケージの品質を向上させることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記紡績装置と前記糸貯留ローラとの間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で糸は連続した状態である。前記糸貯留ローラからの解舒が終了し、前記吸引装置により吸引された糸は、吸引装置とパッケージとの間で連続した状態である。
これにより、糸の分断の発生時に、吸引装置によって、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
本発明の一実施形態に係る紡績機の全体的な構成を示す正面図。 紡績機における紡績ユニットを示す側面図。 紡績ユニットにおいて紡績糸の分断が発生した状態を示す側面図。 固定捕捉糸継ぎの過程で、糸外しレバーが待機位置から糸外し位置へ移動して糸貯留ローラに残っている紡績糸が解舒され、弛んだ紡績糸が吸引装置に吸引される様子を示す側面図。 パッケージ側の紡績糸の糸端が糸貯留ローラから抜けて吸引装置に捕捉され、パッケージ側の紡績糸が糸継台車の糸継装置によって取込可能になった状態を示す側面図。 図5の状態から紡績装置が糸出し紡績を開始し、紡績装置からの紡績糸がサクションパイプによって糸継装置に案内された状態を示す側面図。 糸出し紡績から通常の紡績に移行後、糸外しレバーが糸外し位置となり、糸貯留ローラに残っている糸出し紡績時の紡績糸が解舒される様子を示す側面図。 糸外しレバーが待機位置となり、糸継装置での糸継ぎが行われる様子を示す側面図。 図2から図5までに示す動作を説明するフローチャート。 移動捕捉糸継ぎの過程で、パッケージ側の紡績糸がサクションマウスによって捕捉され、紡績装置側の紡績糸がサクションパイプによって捕捉され、何れも糸継装置に案内されて糸継ぎが行われる様子を示す側面図。 第3変形例における糸貯留装置の構成を示す側面図。
本発明の一実施形態に係る紡績機1について、図面を参照して説明する。以下の説明において、「上流側」及び「下流側」とは、それぞれ、紡績糸(糸)5の巻取時における当該紡績糸5、スライバ4a又は繊維束4bの走行方向(糸走行方向)における上流側及び下流側を意味する。「前」及び「後」とは、紡績機1の正面で紡績機1と対面した場合に手前側及び奥側(図1の手前側及び奥側)を意味する。
図1に示すように、紡績機1は、ブロアボックス111と、制御ボックス112と、複数の紡績ユニット2と、糸継台車(作業台車)80と、を備える。複数の紡績ユニット2は、所定の方向に並べて配置されている。各紡績ユニット2(紡績機1)は、後述の紡績装置22等を用いて紡績を行う。本実施形態において、紡績機1は、空気紡績機として構成されている。
ブロアボックス111内には、負圧源として機能するブロア113等が配置されている。
制御ボックス112には、中央制御装置115と、表示部116と、操作部117と、が配置されている。
中央制御装置115は、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。中央制御装置115は、各紡績ユニット2が図2のように備えるユニット制御部15に、図略の信号線を介して接続されている。本実施形態では、それぞれの紡績ユニット2がユニット制御部15を備えているが、所定数(例えば、2つ又は4つ)の紡績ユニット2が1つのユニット制御部15を共用しても良い。
表示部116は、紡績ユニット2に対する設定内容、及び/又は、各紡績ユニット2の状態に関する情報等を表示することができる。操作部117は、オペレータが紡績機1の設定を行うために、及び/又は、表示部116に表示する情報の選択を行うために操作される。表示部116と操作部117は、タッチパネルディスプレイにより構成されていても良い。
図2に示すように、各紡績ユニット2は、ドラフト装置21と、紡績装置22と、糸貯留装置23と、吸引装置24と、巻取装置25と、を備える。これらの装置は、紡績糸5等の走行方向において上流側から下流側へ向かって順に配置されている。紡績装置22は、紡績ユニット2における給糸装置を構成している。
糸継台車80は、各紡績ユニット2に対して移動可能に設けられている。糸継台車80は、複数の紡績ユニット2に対して1つ備えられている。図1では1台の糸継台車80が図示されているが、紡績機1は、複数台の糸継台車80を備えていても良い。糸継台車80は、後述するように、糸継装置82と、サクションパイプ83と、サクションマウス84と、を備える。
ドラフト装置21は、紡績ユニット2(紡績機1)の上部に設けられている。ドラフト装置21は、複数のドラフトローラ対を備える。それぞれのドラフトローラ対は、2つのドラフトローラによって構成される。
具体的には、ドラフト装置21は、4つのドラフトローラ対を備える。4つのドラフトローラ対は、上流側から下流側へ向かって順に配置された、バックローラ対41、サードローラ対42、ミドルローラ対43、及びフロントローラ対44である。ミドルローラ対43の各ドラフトローラには、エプロンベルト45が設けられている。
4つのドラフトローラ対のそれぞれは、互いに対向する駆動ローラ及び従動ローラを有している。4つのドラフトローラ対に関して、それぞれの駆動ローラに、図略のモータ等の駆動源が設けられている。それぞれの駆動ローラは、駆動源によって当該駆動ローラの軸線を中心に回転駆動される。各ドラフトローラ対の従動ローラは、図略の軸受等を介して、当該従動ローラの軸線を中心に回転可能に設けられている。
ドラフト装置21は、スライバ供給部20から供給されるスライバ4aを、各ドラフトローラ対のドラフトローラ同士の間(駆動ローラと従動ローラとの間)で挟み込んで搬送することによって、所定の繊維量(又は太さ)となるまで引き伸ばして(ドラフトして)、繊維束4bを生成する。ドラフト装置21で生成された繊維束4bは、紡績装置22に供給される。
スライバ供給部20は、ドラフト装置21の上流側に配置されている。スライバ供給部20には、スライバ4aが収容される容器であるケンスが配置される。
紡績装置22は、本実施形態では空気紡績装置として構成されている。紡績装置22は、ドラフト装置21で生成された繊維束4b(ドラフトされたスライバ4a)に旋回空気流を作用させることにより、撚りを加えて紡績糸5を生成する。紡績装置22は、ドラフト装置21の下流側に配置されている。
紡績ユニット2(紡績機1)において、紡績装置22からなる給糸装置は、紡績糸5を供給する。給糸装置で生成された紡績糸5は、給糸装置から巻取装置25に向かって走行し、巻取装置25によって巻き取られる。給糸装置と巻取装置25との間には、紡績糸5が走行する糸経路が形成される。
糸貯留装置23は、紡績装置22で生成された紡績糸5を引き出して一時的に貯留する。糸貯留装置23は、給糸装置と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置されている。具体的には、糸貯留装置23は、紡績装置22よりも下流側に配置されている。
糸貯留装置23は、糸貯留ローラ51と、電動モータ(第1駆動部)52と、糸掛け部材53と、ガイド54と、糸外しレバー(糸作用部材)55と、糸貯留量検知センサ(センサ)56と、を備える。
糸貯留ローラ51は、電動モータ52により回転駆動される。糸貯留ローラ51は、その外周面に紡績糸5を巻き付けて一時的に貯留する。糸貯留ローラ51は、外周面に紡績糸5を巻き付けた状態で所定の回転速度で一側に回転することによって、紡績装置22から紡績糸5を所定の速度で引き出すことができる。
糸掛け部材53は、紡績糸5を引っ掛けることができる。糸掛け部材53は、紡績糸5を引っ掛けた状態で糸貯留ローラ51と一体的に回転することで、当該糸貯留ローラ51の外周面に紡績糸5を案内する。
以下、紡績装置22から紡績糸5を引き出す方向の糸貯留ローラ51の回転を正転と呼び、逆方向の回転を逆転と呼ぶことがある。糸掛け部材53に関しても、糸貯留ローラ51と同一方向の回転を正転と呼び、逆方向の回転を逆転と呼ぶことがある。通常、糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53は正転方向に駆動される。
糸外しレバー55は、糸貯留ローラ51の近傍に配置されている。糸外しレバー55は、糸掛け部材53から紡績糸5を外す糸外し動作を行うことができる。糸外しレバー55は図1に示すようにL字状の部材として構成され、その端部が回転可能に支持されている。
糸外しレバー55は、待機位置(第1位置)P1と糸外し位置(第2位置)P2との間で移動可能に設けられている。図2には、糸外しレバー55が待機位置P1にある状態が示されている。糸外しレバー55は、待機位置P1から糸外し位置P2に移動する過程で、糸貯留ローラ51よりも下流側の空間を通過する。このとき、糸掛け部材53に引っ掛かっている紡績糸5があれば、当該紡績糸5に糸外しレバー55が作用して、この紡績糸5が糸掛け部材53から外れる。糸外しレバー55が糸外し位置P2にある状態は、図4及び図7に示されている。
本実施形態において、糸外しレバー55は各紡績ユニット2に設けられており、各糸外しレバー55に対して単独の駆動部(モータ又はエアシリンダ等)が設けられている。従って、糸外しレバー55は、他の紡績ユニット2の糸外しレバー55に対して独立して動作することができる。
ガイド54は、糸貯留ローラ51の下流側に配置されている。ガイド54は、回転する糸掛け部材53によって振り回される紡績糸5の軌道を規制し、紡績糸5が走行する糸経路のうち当該ガイド54よりも下流側(巻取装置25側)の糸経路を安定させて紡績糸5を案内する。ガイド54は、糸外しレバー55よりも下流側に配置されている。
糸貯留量検知センサ56は、糸貯留ローラ51の糸貯留量を検知することができる。糸貯留量検知センサ56は、糸貯留ローラ51の外周面の適宜の位置に対向するように配置されている。糸貯留量検知センサ56は、この位置における紡績糸5の有無を検出する。糸貯留量検知センサ56は、検出した検出信号をユニット制御部15へ送信する。ユニット制御部15は、この検出信号に基づいて、糸貯留量が所定量以上であるか否かを検知することができる。
糸貯留装置23は、糸貯留ローラ51の外周面に紡績糸5を一時的に貯留することができるので、紡績糸5の一種のバッファとして機能する。これにより、紡績装置22における紡績速度と、巻取速度(後述のパッケージ7に巻き取られる紡績糸5の走行速度)と、が何らかの理由により一致しないことによる不具合(例えば、紡績糸5の弛み等)を解消することができる。
紡績装置22と糸貯留装置23との間には、糸監視装置47が設けられている。糸監視装置47は、糸貯留装置23よりも上流側(給糸装置側)で紡績糸5の状態を検知する。紡績装置22で生成された紡績糸5は、糸貯留装置23で貯留される前に糸監視装置47を通過する。
糸監視装置47は、走行する紡績糸5の品質を光センサによって監視し、紡績糸5に含まれる糸欠陥を検出する。糸欠陥としては、例えば、紡績糸5の太さの異常、及び/又は、紡績糸5に含まれる異物等がある。糸監視装置47は、紡績糸5の糸欠陥を検出した場合、ユニット制御部15へ糸欠陥検出信号を送信する。糸監視装置47は、光センサの代わりに、例えば静電容量式のセンサを用いて紡績糸5の品質を監視しても良い。糸監視装置47は、これらの糸欠陥に代えて、或いは、これらの糸欠陥に加えて、紡績糸5のテンションの異常を検出するように構成されていても良い。
糸品質を維持するために、糸欠陥及び異常箇所を除去することが好ましい。ユニット制御部15は、糸監視装置47の検出結果に基づいて、紡績糸5を切断するか否かを判断する。紡績糸5の切断は、ユニット制御部15が、紡績装置22による紡績を停止するように制御することで実現される。紡績糸5の切断は、ドラフト装置21によるドラフト(例えば、バックローラ対41の回転)を停止することによって実現されても良い。紡績装置22が紡績を停止する場合でも、ドラフト装置21から紡績装置22への繊維束の供給が停止される場合でも、紡績装置22による紡績は実質的に中断されることになる。紡績ユニット2にカッタを備え、ユニット制御部15がカッタにより紡績糸5の切断を行っても良い。カッタによって紡績糸5が切断される場合でも、ユニット制御部15は、紡績装置22による紡績が実質的に中断するように制御する。
吸引装置24は、紡績装置22と巻取装置25の間で紡績糸5が分断された場合に、パッケージ7側の紡績糸5を吸引することができる。吸引装置24は、糸貯留装置23と巻取装置25との間に設けられている。本実施形態では、吸引装置24は固定的に設けられているが、多少移動可能に設けられていても良い。例えば、吸引装置24は、糸経路に対して少しだけ接近及び退避する方向に移動可能に設けられていても良い。言い換えると、吸引装置24は、サクションマウス84ほどは移動しないように設けられている。後述の糸継台車80が当該紡績ユニット2に対して作業を行うとき、吸引装置24は、糸継台車80が備える糸継装置82よりも上流側に位置する。吸引装置24は、紡績糸5の分断が発生した場合に、巻取装置25側、言い換えればパッケージ7側の紡績糸5を、糸継装置82よりも上流側で捕捉することができる。
糸継装置82は、図示しない糸寄せレバーを備える。吸引装置24によって捕捉された紡績糸5は、糸寄せレバーを動作させることで糸継装置82へ取り込まれる。糸継装置82は、糸経路に対して接近又は退避する方向に移動可能に構成されていても良い。
糸継台車80は更に、サクションマウス84を備える。サクションマウス84は、パッケージ7側の紡績糸5を吸引装置24で捕捉しないときに、吸引装置24に代わって当該紡績糸5を捕捉する。糸継台車80の構成については後述する。
紡績糸5の分断が発生した場合、ユニット制御部15は、吸引装置24の使用/不使用を決定し、当該決定に基づいて吸引装置24を適宜制御する。詳細は後述するが、吸引装置24及びサクションマウス84は、パッケージ7側の紡績糸5の捕捉のために択一的に選択されて用いられる。従って、吸引装置24の使用はサクションマウス84の不使用を意味し、吸引装置24の不使用はサクションマウス84の使用を意味する。
吸引装置24の使用/不使用の決定は、例えば、紡績糸5が分断された原因(紡績中断要因)を考慮して行われる。この決定については後述する。
ユニット制御部15が吸引装置24の使用を決定した場合、吸引装置24は、ユニット制御部15によって、糸貯留装置23(ガイド54)よりも下流側で、パッケージ7側の紡績糸5を吸引して捕捉するように制御される。吸引装置24が吸引空気流を紡績糸5に作用させ始めるタイミングは、紡績糸5の分断が発生した後であって、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が吸引装置24を通過するよりも前の所定のタイミングである。
吸引装置24は、吸引パイプ61を備える。吸引パイプ61の先端(長手方向一端)に吸引口62が形成されている。吸引口62は、紡績ユニット2に形成される前述の糸経路の途中部に向かって開口している。吸引パイプ61は、配管等を介して、ブロア113等の負圧源に接続されている。これにより、吸引口62(吸引パイプ61内)に吸引空気流を発生させることができる。後述のサクションマウス84とは異なり、吸引パイプ61は紡績ユニット2に固定的に設けられている。従って、吸引口62の位置は一定である。
本実施形態において、吸引装置24にはシャッタ63が設けられている。吸引装置24の状態は、シャッタ63により、吸引状態と吸引停止状態との間で変更される。シャッタ63は、例えば、吸引口62と、吸引装置24のうち空気が流れる方向で当該吸引口62よりも下流側の部分と、の間に配置される。シャッタ63は、例えば、板状部材を有する開閉機構により構成することができる。シャッタ63は、ユニット制御部15の制御により開閉することができる。必要な場合にだけシャッタ63を開くことで、紡績機1における省エネルギーを実現することができる。なお、吸引装置24においてシャッタ63を省略することもできる。
吸引装置24には、糸捕捉検知センサ64が設けられている。糸捕捉検知センサ64は、本実施形態では吸引装置24の吸引口62のすぐ下流側に配置されている。糸捕捉検知センサ64は、吸引装置24によるパッケージ7側の紡績糸5の捕捉の成否を検出することができる。糸捕捉検知センサ64は、吸引装置24のすぐ下流側における紡績糸5の有無を検出し、検出信号をユニット制御部15に送信する。ユニット制御部15は、糸捕捉検知センサ64からの検出信号に基づいて、吸引装置24による捕捉が成功したか否かを検知することができる。糸捕捉検知センサ64は、吸引パイプ61の内部に設けられていても良い。
巻取装置25は、糸貯留装置23を通過した紡績糸5を巻き取ってパッケージ7を形成する。巻取装置25は、糸貯留装置23よりも下流側に配置されている。
巻取装置25は、クレードル装置71と、パッケージ回転装置72と、トラバース装置73と、を備える。
クレードル装置71は、1対のクレードルアーム74を備える。クレードル装置71は、紡績糸5を巻き取るためのボビン7a(ひいてはパッケージ7)を、1対のクレードルアーム74の間で回転可能に支持することができる。クレードルアーム74は、支軸75を中心として回転することができる。
パッケージ回転装置72は、巻取ドラム76と、ドラム駆動モータ77と、を備える。巻取ドラム76は、ボビン7a又はパッケージ7の外周面に接触することができる。ドラム駆動モータ77の出力軸は、適宜の手段(例えばベルト)で巻取ドラム76に連結されている。ドラム駆動モータ77によって巻取ドラム76を駆動することで、パッケージ7を巻取方向に回転させることができる。ドラム駆動モータ77は正逆回転可能に構成されている。従って、パッケージ7を巻取方向とは逆方向に回転させることもできる。
トラバース装置73は、糸ガイド78と、トラバース駆動モータ79と、を備える。糸ガイド78は、パッケージ7に巻き取られる紡績糸5を引っ掛けることができる。糸ガイド78は、パッケージ7の巻幅方向に往復移動することができる。トラバース駆動モータ79の出力軸は、適宜の手段(例えばベルトとプーリ等)で糸ガイド78に連結されている。糸ガイド78が紡績糸5を保持した状態で、トラバース駆動モータ79によって糸ガイド78を往復駆動することで、パッケージ7に巻き取られる紡績糸5をトラバースすることができる。
巻取装置25は、トラバース装置73の糸ガイド78を往復移動させながら、パッケージ回転装置72の巻取ドラム76を回転させる。これにより、巻取装置25は、紡績糸5を綾振りしつつ、紡績糸5をパッケージ7に巻き取る。
本実施形態において、各紡績ユニット2に対して単独のドラム駆動モータ77が設けられている。また、各紡績ユニット2に対して単独のトラバース駆動モータ79が設けられている。従って、巻取ドラム76及び糸ガイド78は、他の紡績ユニット2の巻取ドラム76及び糸ガイド78に対して独立して動作することができる。
図1に示すように、紡績機1には、レール101が設けられている。レール101は、複数の紡績ユニット2が並ぶ方向に沿って延びるように配置されている。糸継台車80は、レール101の上を走行可能に構成されている。これにより、糸継台車80は、複数の紡績ユニット2に対して移動することができる。
糸継台車80は、紡績糸5の分断が発生した紡績ユニット2に対応する作業位置まで走行して、当該紡績ユニット2において糸継処理を行う。糸継台車80は、この糸継処理を、紡績ユニット2に備えられた吸引装置24等と連携しながら、又は、当該糸継台車80が備える装置(後述のサクションマウス84等)を用いて行う。
糸継台車80は、走行車輪81と、糸継装置82と、サクションパイプ83と、サクションマウス84と、台車制御部85と、を備える。
走行車輪81は、図略の駆動手段(例えばモータ)によって回転駆動可能に構成されている。走行車輪81が駆動されることによって、糸継台車80が複数の紡績ユニット2のそれぞれに対して走行することができる。
サクションパイプ83は、パイプ状の部分を有する部材である。サクションパイプ83の先端88には開口が形成されている。サクションパイプ83は適宜の負圧源に接続されている。従って、サクションパイプ83の先端88に吸引空気流を発生させることができる。サクションパイプ83は回転可能に支持されている。サクションパイプ83が回転することにより、その先端88を、紡績装置22に対して接近又は退避させることができる。紡績糸5に分断が発生した場合に、サクションパイプ83は、紡績装置22に接近した位置で、紡績装置22側の紡績糸5を吸い込んで捕捉することができる。
サクションマウス84は、パイプ状の部分を有する部材である。サクションマウス84の先端89には開口が形成されている。サクションマウス84はブロア113等の負圧源に接続されている。従って、サクションマウス84の先端89の開口に吸引空気流を発生させることができる。サクションマウス84は回転可能に支持されている。サクションマウス84が回転することにより、その先端89の開口を、巻取装置25に対して接近した位置(接近位置)又は退避した位置(退避位置)に移動させることができる。紡績糸5に分断が発生した場合に、サクションマウス84は、巻取装置25に接近した位置で、巻取装置25側(パッケージ7側)の紡績糸5を先端89から吸い込んで捕捉することができる。
サクションパイプ83が一側に回転することにより、その先端88が紡績装置22に近づく方向に移動し、紡績装置22に接近した状態で紡績糸5の糸端を捕捉する。サクションパイプ83は、その後、他側に回転する。これにより、サクションパイプ83の先端88が紡績装置22から離れる方向に移動する。
サクションマウス84が一側に回転することにより、その先端89が巻取装置25に近づく方向に移動し、巻取装置25に接近した位置で当該紡績糸5を捕捉する。サクションマウス84は、その後、他側に回転する。これにより、サクションマウス84の先端89が巻取装置25から離れる方向に移動する。
糸継装置82は、紡績糸5の分断の発生後に、サクションパイプ83によって捕捉された紡績装置22側の紡績糸5と、吸引装置24又はサクションマウス84により捕捉されたパッケージ7側の紡績糸5と、の糸継ぎを行う。本実施形態において、糸継装置82は、旋回空気流により糸端同士を撚り合わせるスプライサ装置である。糸継装置82は、前記のスプライサ装置に限定せず、例えば機械式のノッタ等とすることもできる。
紡績糸5の分断が発生した紡績ユニット2へ糸継台車80が走行して停止した状態では、図5に示すように、糸継装置82は吸引装置24よりも下流側に位置する。また、巻取装置25に対してサクションマウス84の先端89を退避させた状態(図10の実線の状態)では、糸継装置82は、当該サクションマウス84の先端89よりも下流側に位置する。
台車制御部85は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する公知のコンピュータとして構成されている。台車制御部85は、糸継台車80が備える各部の動作を制御することによって、糸継台車80が行う糸継処理を制御する。
糸継台車80は、通常、レール101上の適宜の位置で待機している。何れかの紡績ユニット2において紡績糸5の分断が発生すると、糸継台車80は、紡績糸5の分断が発生した紡績ユニット2へ移動する。
次に、紡績ユニット2において糸継処理が行われる場合の、吸引装置24とサクションマウス84との使い分けについて説明する。
糸継処理は、紡績糸5が給糸装置(紡績装置22)とパッケージ7の間で分断された後、中断されていた紡績を紡績装置22が開始するタイミングの近傍で行われる。本実施形態において、糸継処理の動作は2種類あり、択一的に選択される。
第1動作は、図8に示すように、巻取装置25側の紡績糸5を吸引装置24によって捕捉し、糸継装置82が紡績糸5を取込可能な状態として糸継装置82により糸継ぎを行うものである。以下、この動作を「固定捕捉糸継ぎ」と呼ぶことがある。
第2動作は、図10に示すように、巻取装置25側の紡績糸5をサクションマウス84によって捕捉し、糸継装置82が紡績糸5を取込可能となるようにサクションマウス84が紡績糸5を案内して糸継装置82により糸継ぎを行うものである。以下、この動作を「移動捕捉糸継ぎ」と呼ぶことがある。
何れの動作においても、紡績装置22側の紡績糸5は、サクションパイプ83によって捕捉され、糸継装置82が紡績糸5を取込可能となるようにサクションパイプ83により紡績糸5が案内される。
ユニット制御部15は、紡績を中断する場合に、固定捕捉糸継ぎ及び移動捕捉糸継ぎのうち何れを行うかを、各種の要因に基づいて決定する。
固定捕捉糸継ぎは、移動捕捉糸継ぎと異なり、サクションマウス84の案内動作が不要である。従って、省エネルギーを考慮すれば、固定捕捉糸継ぎを行うことが好ましい。
例えば、糸監視装置47が糸欠陥を検出し、この糸欠陥を除去するために紡績糸5が切断された場合を考える。仮に固定捕捉糸継を行う場合、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が吸引装置24に捕捉された状態で、パッケージ7の回転が停止する必要がある。しかし、糸監視装置47が糸欠陥を検出した時点でパッケージ7は高速で回転しているため、直ちにパッケージ7の回転停止制御を開始しても、パッケージ7の回転が実際に停止するまでに、ある程度の長さの紡績糸5がパッケージ7に巻かれることは避けられない。
糸貯留ローラ51の糸貯留量が所定量以上である場合は、直ちにパッケージ7の回転停止制御を開始してからパッケージ7が実際に停止するまでに糸貯留ローラ51から紡績糸5が引き出されても、吸引装置24による紡績糸5の捕捉が間に合う状態である。吸引装置24による紡績糸5の捕捉が間に合う状態とは、言い換えれば、糸貯留ローラ51に少しでも紡績糸5が貯留されている状態である。この場合、ユニット制御部15は、固定捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
糸貯留ローラ51の糸貯留量が所定量未満である場合は、吸引装置24による紡績糸5の捕捉が間に合わず、パッケージ7が実際に停止するまでの回転によって糸端が吸引装置24を通過してしまう。この場合、ユニット制御部15は、移動捕捉糸継ぎを行うことを決定する。パッケージ7の巻取中に発生する異常なテンション等が原因で、吸引装置24よりも下流側で紡績糸5が切断された場合も、ユニット制御部15は、移動捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
固定捕捉糸継ぎ及び移動捕捉糸継ぎのうち何れを行うかの判断について、上記の説明は一例であり、他の基準で判断することもできる。
次に、図2の状態で紡績糸5の分断が発生して紡績を中断し、糸継装置82により糸継ぎが行われるときの各部の動作について説明する。以下では、糸監視装置47の検出結果に基づき紡績糸5が切断された場合を例として、固定捕捉糸継ぎについて説明する。
まず、ユニット制御部15が、糸監視装置47から入力される糸欠陥検出信号に基づいて、給糸装置(紡績装置22)による給糸を停止させる。給糸装置による給糸の停止により、紡績糸5が切断される。これにより、図3に示すように、紡績糸5の分断が発生する。糸監視装置47により検出された糸欠陥は、パッケージ7側の紡績糸5に含まれる。
ユニット制御部15は、糸監視装置47が糸欠陥を検出した後の適宜のタイミングで、糸継要求信号を台車制御部85に送信する。糸継要求信号を受信した台車制御部85は、紡績糸5の分断が発生した対象の紡績ユニット2まで糸継台車80を走行させた後、停止させる。
糸監視装置47が糸欠陥を検出した直後のタイミングで、ユニット制御部15は、糸継ぎを行うために、吸引装置24とサクションマウス84のうち何れを使用するかを決定する。今回の例では、ユニット制御部15は、固定捕捉糸継ぎを行うこと、言い換えれば、吸引装置24の使用を決定する。
固定捕捉糸継ぎを行う場合、ユニット制御部15は、パッケージ7の回転の減速制御を行う。これにより、パッケージ7側の紡績糸5の糸端付近の部分が将来的に吸引装置24を通過するときの速度が低くなるので、吸引装置24による捕捉が容易になる。パッケージ7の回転の減速制御は、糸欠陥を検出後、又は紡績の中断後、直ちに開始されても良いし、紡績糸5の貯留量が所定量以下となったことを糸貯留量検知センサ56が検知した時点で開始されても良い。糸欠陥を検出後、又は紡績の中断後、パッケージ7の回転をいったん完全に停止させ、それから低速での巻取りを再開しても良い。
ユニット制御部15は、更に、糸貯留ローラ51の回転速度を減速させる。この理由については後述する。糸貯留ローラ51の回転の減速は、パッケージ7の回転が減速すると同時に行われることが好ましいが、パッケージ7の回転の減速から遅れて行われても良い。
図3の状態から巻取装置25の巻取りが進行すると、糸貯留装置23の糸貯留ローラ51に残る紡績糸5が引き出されて、糸貯留ローラ51における紡績糸5の貯留量が減少していく。このとき、糸外しレバー55は図3に示すように待機位置P1で静止している。従って、糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5に接触し、テンションを付与する。ユニット制御部15は、糸貯留量検知センサ56の検出信号を監視する。
ユニット制御部15は、紡績糸5が糸貯留装置23から外れる少し前のタイミングで、糸外しレバー55を図4に示すように糸外し位置P2へ移動させる。このタイミングは、例えば、紡績糸5の貯留量が所定量以下となったことを糸貯留量検知センサ56が検知してから所定時間だけ巻取りを継続したタイミングとすることができる。糸外しレバー55が糸外し位置P2に移動することで、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5の糸経路が変更されて、紡績糸5が糸掛け部材53から外れる。
ユニット制御部15は、糸外しレバー55が糸外し位置P2へ移動するのと殆ど同時に、シャッタ63を開いて、吸引装置24による吸引を開始させる。ユニット制御部15は、吸引装置24による吸引開始とほぼ同時に、巻取装置25による巻取りを停止させる。
パッケージ7の回転は停止するが、糸貯留装置23の糸貯留ローラ51は回転を継続する。また、紡績糸5は糸外しレバー55によって糸経路が変更された結果、糸掛け部材53から外れている。従って、糸貯留ローラ51の回転に伴って解舒される紡績糸5のテンションは、糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で低下する。この結果、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が糸貯留ローラ51から抜ける前であっても、弛んだ紡績糸5の途中部を図4のように吸引装置24に吸引させることができる。
図4の状態から糸貯留ローラ51の回転が更に継続すると、図5に示すように、紡績糸5を吸引装置24により吸引口62から吸い込んで捕捉することができる。このとき、紡績糸5の糸端は、吸引パイプ61内に位置している。その後、ユニット制御部15は、適宜のタイミングで糸外しレバー55を待機位置P1に戻す。そして、糸貯留ローラ51の回転を停止する。図5には、前述の糸継要求信号に応じて、紡績ユニット2に糸継台車80が到着した状態が併せて示されている。
このように、本実施形態では、パッケージ7側の紡績糸5が糸貯留ローラ51に少量残っている状態で、パッケージ7の回転が停止する。
理論的にいえば、糸外しレバー55を待機位置P1に維持したままパッケージ7を回転させ、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が糸貯留ローラ51から抜けるのとほぼ同時にパッケージ7の回転を停止させても、当該糸端を吸引装置24で捕捉することは可能である。しかし、糸掛け部材53から抜けた直後のパッケージ7側の紡績糸5の糸端は、テンションが急激に失われるため不安定な挙動となる。従って、糸端付近の紡績糸5が吸引装置24の吸引口62付近を常に通過するとは限らない。また、パッケージ7の回転を停止させるタイミングが早く、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が貯留ローラに残っていると、捕捉ミスとなってしまう。一方で、パッケージ7の回転を停止させるタイミングが少しでも遅れると、糸端が吸引装置24の吸引口62を通過してしまい、やはり捕捉ミスとなってしまう。
この点、本実施形態では、糸貯留ローラ51からパッケージ7まで紡績糸5が連続している状態でパッケージ7の回転を停止し、更に糸外しレバー55を糸外し位置P2へ移動することによって、糸貯留ローラ51の回転により紡績糸5を弛ませて、吸引装置24に捕捉させる構成となっている。従って、紡績糸5の挙動が安定しているので、当該紡績糸5を容易かつ円滑に吸引装置24によって捕捉することができる。また、パッケージ7の回転を停止させるタイミングが仮に早過ぎたとしても、捕捉ミスに繋がりにくいので、回転停止タイミングの厳密な制御を不要とすることができる。
前述のとおり、糸貯留ローラ51の回転は、糸外しレバー55が糸外し位置P2に移動する前の段階で減速され、紡績糸5の分断前の回転速度よりも低くなっている。これにより、糸外しレバー55が糸外し位置P2に移動したときに、糸貯留ローラ51が紡績糸5を送り出す速度を低くすることができる。この結果、紡績糸5が急激に弛むことを防止できるので、吸引装置24によってパッケージ7側の紡績糸5を容易に捕捉することができる。
巻取装置25においてパッケージ7の回転を減速するのに関連して、トラバース装置73のトラバース幅を通常よりも狭めることができる。例えば、トラバース幅を、紡績糸5の分断前のトラバース幅(トラバース最大幅)の1/2以下とすることが好ましい。トラバース幅の短縮は、パッケージ7の巻取方向の回転が停止するまで継続される。このとき、トラバース幅を狭めるだけでなく、トラバース装置73のトラバース速度を減速させても良い。
上述のようにパッケージ7の回転速度を減速する制御を行う場合は、パッケージ7側の紡績糸5のテンションが不安定になる。従って、糸ガイド78によって紡績糸5がパッケージ7の外周面に導かれる位置が不安定になり易い。これを考慮すると、上記のようにトラバース幅を短縮することが、紡績糸5がパッケージ7の巻幅を外れた位置に巻かれること(以下、端面落ちと呼ぶ)を回避するために好ましい。
ユニット制御部15は、糸捕捉検知センサ64の検出結果に基づいて、吸引装置24による捕捉が成功したか否かを判断する。吸引装置24による捕捉が失敗したと判断した場合については後述する。
吸引装置24による捕捉が成功したと判断した場合には、ユニット制御部15は、必要に応じてパッケージ7を逆転させ、再び停止させる。パッケージ7側の紡績糸5に含まれている糸欠陥が長い場合は、糸欠陥を除去するために、パッケージ7から紡績糸5を解舒して吸引装置24に吸引させなければならないためである。その後、ユニット制御部15は、当該紡績ユニット2に糸継台車80が到着したか否かを判定し、未到着の場合は到着するまで待機する。
紡績ユニット2に対応する作業位置に糸継台車80が停止した状態で、吸引装置24の吸引口62は、糸継装置82よりも上流側に位置する。従って、糸継台車80が到着すると、吸引装置24によって保持されているパッケージ7側の紡績糸5は、図5に示すように、糸継台車80の糸継装置82と対面する状態になる。
糸継台車80を停止させた後、台車制御部85は糸継台車80を制御して、サクションパイプ83を、図6の鎖線で示すように、紡績装置22側の紡績糸5を捕捉できる位置へ移動させる。これと殆ど同時に、ユニット制御部15は、給糸装置からの紡績糸5の供給を再開する。また、糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53の回転が再開される。
紡績を再開した当初は、紡績装置22から供給された紡績糸5は、サクションパイプ83の空気吸引流によって引き出される。紡績装置22から引き出すように紡績糸5に加わる張力が弱く不安定であるため、紡績再開当初は、紡績装置22で生成される紡績糸5の品質は低い。以下、紡績再開直後に行われる紡績を糸出し紡績と呼ぶことがある。紡績装置22の詰まりを防止すること等を目的として、糸出し紡績と、通常の紡績とで、紡績ユニット2における紡績の条件(例えば、ドラフト装置21が繊維束4bを引き伸ばすドラフト比)を異ならせても良い。
台車制御部85は、サクションパイプ83により捕捉された紡績装置22側の紡績糸5を、図6の実線で示すように、下方の糸継装置82まで案内させる。
このとき、糸外しレバー55は待機位置P1を維持する。従って、紡績装置22から引き出された紡績糸5が糸掛け部材53に掛けられ、回転する糸掛け部材53によって紡績糸5が図6に示すように糸貯留ローラ51に巻かれていく。
糸貯留ローラ51に紡績糸5が巻かれ始めてから所定時間が経過し、必要最低貯留量以上の長さの紡績糸5が糸貯留ローラ51に貯留されると、安定した張力及び速度で紡績装置22から紡績糸5が引き出される状態になる。従って、紡績装置22において安定した紡績が行われるようになる。このようにして、紡績ユニット2が糸出し紡績から通常の紡績に移行する。
紡績ユニット2が通常の紡績に移行しても、糸貯留ローラ51には、その前の糸出し紡績により生成された低品質の紡績糸5が残っている。そこで、ユニット制御部15は、通常の紡績に移行する直前に、図7に示すように、糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動させるように制御する。この結果、糸貯留ローラ51に巻かれた紡績糸5は、糸貯留ローラ51から解舒され、サクションパイプ83に吸引されて廃棄される。
除去すべき紡績糸5が糸貯留ローラ51からすべて解舒された後、ユニット制御部15は、糸外しレバー55を図8に示す待機位置P1に移動させるように制御する。この結果、紡績糸5が糸掛け部材53に再び掛けられて、糸貯留ローラ51における紡績糸5の貯留量が増大していく。
この状態で、台車制御部85は糸継装置82を動作させ、吸引装置24により吸引された巻取装置25側の紡績糸5と、紡績装置22側の紡績糸5と、の糸継ぎを行わせる。糸継ぎ中に給糸装置からは連続的に紡績糸5が供給されるが、この紡績糸5は糸貯留装置23によって貯留される。
糸継ぎにおいて、余分な紡績糸5は糸継装置82において切断される。この切断により、パッケージ7側の紡績糸5から、糸監視装置47で検出された糸欠陥の部分が切り離される。切断された余分な紡績糸5は、吸引装置24又はサクションパイプ83に吸い込まれて廃棄される。
糸継ぎの完了とほぼ同時に、巻取装置25の駆動が開始されて、巻取装置25によるパッケージ7の巻取りが再開される。シャッタ63は、糸継完了後の適宜のタイミングで閉じられる。このようにして、紡績ユニット2は図2の通常状態に戻る。
図9のフローチャートは、固定捕捉糸継ぎを行うことを前提に、糸欠陥の検出からパッケージ7側の紡績糸5の糸継準備が完了するまでの動作を示している。以下、図9を参照して簡単に説明する。
図2の状態で紡績糸5をパッケージ7に巻き取っている間、糸監視装置47は糸欠陥を監視する(ステップS101)。糸欠陥が検出された場合、紡績装置22が紡績を中断する結果、図3のように紡績糸5が分断される(ステップS102)。
固定捕捉糸継ぎにおいては、紡績装置22が紡績を中断した直後に、巻取装置25がパッケージ7の回転を減速し、また、糸貯留ローラ51の回転を減速させる(ステップS103)。
糸貯留ローラ51及びパッケージ7が何れも低速で回転している状態で、糸貯留ローラ51における糸貯留量が、糸貯留量検知センサ56によって監視される(ステップS104)。
糸貯留ローラ51における糸貯留量が所定未満になると、図4に示すように、糸外しレバー55が待機位置P1から糸外し位置P2へ移動する(ステップS105)。これと殆ど同時に、巻取装置25はパッケージ7の回転を停止させ、吸引装置24はシャッタ63を開いて吸引空気流を発生させる(ステップS106)。これにより、糸掛け部材53から外れた紡績糸5が、糸貯留ローラ51の回転によって下流側へ送り出され、弛んだ紡績糸5が図4のように吸引装置24によって吸引される。
その後、紡績ユニット2は、回転を継続している糸貯留ローラ51に貯留されている紡績糸5が無くなるまで待機する(ステップS107)。この処理は、例えば、所定時間が経過するまで単純に待機することで実現できる。紡績ユニット2の適宜の位置(例えば、ガイド54の近傍)に糸検出センサを備え、この糸検出センサが紡績糸5を検出しなくなるまで紡績ユニット2が待機することもできる。
図5のように糸貯留ローラ51から紡績糸5が全て解舒されると、糸外しレバー55が糸外し位置P2から待機位置P1に戻り(ステップS108)、糸貯留ローラ51の回転が停止する(ステップS109)。
次に、紡績が中断され、ユニット制御部15が移動捕捉糸継ぎを行うことを決定した場合について説明する。
紡績糸5の分断の発生時に、移動捕捉糸継ぎを行うと決定した場合、ユニット制御部15はパッケージ7の回転を継続させる。この結果、パッケージ7側の紡績糸5の糸端がパッケージ7に巻き取られる。移動捕捉糸継ぎを行う場合、ユニット制御部15は、吸引装置24のシャッタ63を閉じた状態を維持するように制御する。或いは、シャッタ63が開いた状態であれば、ユニット制御部15は、シャッタ63を閉じるように制御する。従って、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が吸引装置24の吸引口62に吸い込まれることはない。その後、パッケージ7側の紡績糸5の糸端は、パッケージ7の外周面近く又は外周面に移動する。
パッケージ7側の紡績糸5がパッケージ7に完全に巻き取られる前の段階で、ユニット制御部15が、パッケージ7の巻取方向の回転速度を分断前よりも低くなるように制御しても良い。これにより、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が、パッケージ7の外周面に巻き取られる勢いを弱めることができるので、糸端がパッケージ7の外周面の紡績糸5から離れ易くなる。従って、その後、サクションマウス84によって糸端を容易に捕捉することができる。パッケージ7側の紡績糸5がパッケージ7に完全に巻き取られる直前に、パッケージ7の回転を停止させても良い。
パッケージ7が巻取方向に回転してパッケージ7側の紡績糸5を巻き取る過程で、トラバース装置73のトラバース幅を通常よりも狭めることができる。例えば、トラバース幅を、分断前のトラバース幅の1/2以下とすることが好ましい。トラバース幅の短縮は、パッケージ7の巻取方向の回転が停止するまで継続される。これにより、パッケージ7側の紡績糸5の糸端の位置が巻幅方向でバラつきにくくなる。従って、その後、サクションマウス84によって糸端を容易に捕捉することができる。しかし、トラバース装置73は、トラバース幅を短縮せずに、通常の幅を維持しても良い。
上述のようにパッケージ7の回転速度を減速する制御を行う場合は、パッケージ7側の紡績糸5のテンションが不安定になる。従って、前述と同様の理由で、トラバース幅を短縮することが、端面落ちを回避するために特に好ましい。
その後、ユニット制御部15は、当該紡績ユニット2に糸継台車80が到着したか否かを判定し、未到着の場合は到着するまで待機する。
糸継台車80は、紡績ユニット2に対する作業位置まで到着すると、サクションマウス84を、図10の鎖線で示すように巻取装置25へ接近させる。この状態で、巻取装置25のパッケージ回転装置72は、パッケージ7を巻取方向とは逆方向に回転する。これにより、サクションマウス84がパッケージ7側の紡績糸5を捕捉することができる。パッケージ7の逆方向の回転は、パッケージ7側の紡績糸5のうち糸欠陥を含む部分がすべてサクションマウス84に吸引されるまで継続される。サクションマウス84は、その後、巻取装置25から退避する。この結果、パッケージ7側の紡績糸5が、糸継装置82まで案内される。それ以外の糸継台車80の動作は、上述の固定捕捉糸継ぎと同様である。
固定捕捉糸継ぎを試みたが、何らかの理由で、パッケージ7側の紡績糸5を吸引装置24によって捕捉できない場合もある。紡績糸5の捕捉の失敗は、糸捕捉検知センサ64に基づいて検出することができる。吸引装置24による紡績糸5の捕捉に失敗していた場合、ユニット制御部15は、移動捕捉糸継ぎに切り換えることを決定する。サクションマウス84の使用前に、巻取装置25による、パッケージ7側の紡績糸5の更なる巻取りが行われる。これにより、吸引装置24による捕捉に失敗した糸端がパッケージ7の外周面近く又は外周面に移動するので、サクションマウス84でパッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
次に、糸継装置82による糸継ぎが失敗した場合の制御について説明する。
図8又は図10に示す状態で、糸継装置82による行われる糸継ぎが何らかの理由で失敗する場合が考えられる。糸継ぎの失敗は、例えば、適宜の糸検出センサによって検出することができる。糸継ぎの失敗は、例えば、糸継装置82による糸継動作の直後に検出される。糸継ぎが失敗した場合、紡績ユニット2は、ドラフト装置21によるドラフトと、紡績装置22による紡績と、巻取装置25によるパッケージ7の巻取りと、を停止する。紡績装置22が紡績を停止することにより、紡績装置22と糸貯留ローラ51との間で紡績糸5が切断される。
糸継ぎが失敗した状態では、紡績糸5は紡績装置22とパッケージ7との間で再び連続状態とはならない。即ち、当該紡績ユニット2において、紡績装置22と糸貯留ローラ51との間に一方の糸端が配置され、糸貯留ローラ51と糸継装置82との間に他方の糸端が配置された状態の紡績糸5が発生する。
紡績糸5は2箇所で分断された状態であるが、紡績装置22と糸貯留ローラ51との間の分断箇所を基準に考えれば、糸貯留ローラ51に残っている紡績糸5は、パッケージ7側の紡績糸5の一部であると考える余地がある。
糸継装置82よりも下流側に位置する糸端を有する紡績糸5は、巻取装置25によるパッケージ7の回転の減速停止に伴い、パッケージ7に巻き取られる。
上記のような状態では、糸継装置82による糸継ぎを再び実行する必要がある。しかし、糸継装置82による糸継ぎの前に、糸貯留ローラ51に残っている紡績糸5を除去する必要がある。当該紡績糸5を糸貯留ローラ51から除去するために、ユニット制御部15は、糸貯留ローラ51を正転させながら糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動させることで糸掛け部材53から紡績糸5を外す。
糸貯留ローラ51が正転しかつ糸外しレバー55が糸外し位置P2にある期間においては、吸引装置24の吸引が作用している。従って、糸貯留ローラ51よりも下流側の紡績糸5が吸引装置24によって捕捉されるので、糸貯留ローラ51と吸引装置24との間で紡績糸5が連続した状態となる。糸貯留ローラ51に残っていた紡績糸5は順次解舒され、吸引装置24に吸引されて除去される。糸貯留ローラ51に残っていた紡績糸5が全て除去された後、前述の移動捕捉糸継ぎが行われる。
以上に説明したように、本実施形態の紡績機1は、紡績装置22と、巻取装置25と、糸貯留装置23と、吸引装置24と、糸外しレバー55と、を備える。紡績装置22は、繊維束4bを紡績することで紡績糸5を生成し、紡績糸5を供給可能である。巻取装置25は、紡績装置22から供給された紡績糸5を巻き取ってパッケージ7を形成する。糸貯留装置23は、紡績装置22と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置される。吸引装置24は、糸貯留装置23よりも糸走行下流側で紡績糸5を吸引可能である。糸外しレバー55は、待機位置P1と糸外し位置P2との間で移動することで糸経路を変更可能である。糸貯留装置23は、糸貯留ローラ51と、糸掛け部材53と、を備える。糸貯留ローラ51は、紡績糸5を外周に巻き付けて貯留可能である。糸掛け部材53は、回転可能に構成され、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5に掛かることで紡績糸5にテンションを付与する。糸外しレバー55は、待機位置P1から糸外し位置P2へ移動することで糸掛け部材53から紡績糸5を外すことが可能である。紡績装置22と糸貯留装置23との間で紡績糸5が分断された場合に、糸貯留ローラ51に紡績糸5が残っている状態で、糸貯留ローラ51を正転させながら糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動させることで糸掛け部材53から紡績糸5を外す。糸貯留ローラ51が正転しかつ糸外しレバー55が糸外し位置P2にある期間においては、吸引装置24の吸引が作用している。
これにより、紡績糸5の分断の発生時に、吸引装置24によって、パッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
本実施形態の紡績機1において、紡績装置22と糸貯留装置23との間で紡績糸5が分断されたとき、糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で紡績糸5が連続している状態である場合と、分断した状態である場合と、の両方が考えられる。例えば、糸継装置82による糸継ぎが失敗した場合は、糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で紡績糸5が分断した状態となる。この場合は、糸貯留ローラ51に紡績糸5が残っている状態で、糸貯留ローラ51を正転させながら糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動させることで糸掛け部材53から紡績糸5を外し、糸貯留ローラ51が正転しかつ糸外しレバー55が糸外し位置P2にある期間においては、吸引装置24の吸引を作用させ、糸貯留ローラ51に残っていた紡績糸5を吸引装置24により吸引除去する。
糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で紡績糸5が分断した場合、パッケージ7の巻取りによって糸貯留ローラ51から紡績糸5を引き出すことができない。しかし、上記の構成とすることにより、糸貯留ローラ51に残っていた紡績糸5を、吸引装置24によって捕捉して適切に除去することができる。
本実施形態の紡績機1は、紡績装置22と、巻取装置25と、糸貯留装置23と、吸引装置24と、糸外しレバー55と、を備える。紡績装置22は、繊維束4bを紡績することで紡績糸5を生成し、紡績糸5を供給可能である。巻取装置25は、紡績装置22から供給された紡績糸5を巻き取ってパッケージ7を形成する。糸貯留装置23は、紡績装置22と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置される。吸引装置24は、糸貯留装置23よりも糸走行下流側で紡績糸5を吸引可能である。糸外しレバー55は、糸経路を変更する。糸貯留装置23は、糸貯留ローラ51と、糸掛け部材53と、を備える。糸貯留ローラ51は、紡績糸5を外周に巻き付けて貯留可能である。糸掛け部材53は、回転可能に構成され、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5に掛かることで紡績糸5にテンションを付与する。糸外しレバー55は、紡績の中断動作に関連して、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5の糸経路を変更する。
これにより、紡績糸5の分断の発生時に、吸引装置24によって、パッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
本実施形態の紡績機1は、複数の紡績ユニット2を備える。それぞれの紡績ユニット2が、紡績装置22、糸貯留装置23、及び、巻取装置25を備える。糸外しレバー55、及び、糸外しレバー55を駆動する駆動部が、何れもそれぞれの紡績ユニット2に設けられている。
これにより、糸外しレバー55が、他の紡績ユニット2の糸外しレバー55に対して独立して動作することができる。従って、他の紡績ユニット2の糸外しレバー55の動作に依存しないタイミングで、糸外しレバー55を駆動することができる。
本実施形態の紡績機1において、紡績装置22が糸出し紡績を行う場合、糸外しレバー55は、糸貯留ローラ51に巻かれた紡績糸5を廃棄するための糸外し位置P2まで移動する。
これにより、糸外しレバー55によって、パッケージ7側の紡績糸5の吸引装置24への捕捉を容易にする機能と、糸出し紡績時に紡績装置22側の紡績糸5を廃棄する機能と、の両方を実現できる。従って、構成を簡素化することができる。
本実施形態の紡績機1において、糸貯留ローラ51から紡績糸5が全て解舒され、紡績糸5が吸引装置24に吸引されたタイミングで、糸外しレバー55が、糸経路の変更を解除する待機位置P1まで戻る。
これにより、吸引装置24によってパッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。糸外しレバー55を待機位置P1まで戻すタイミングが早いと、紡績糸5が糸貯留ローラ51から全て解舒されずに、糸貯留ローラ51に残ってしまうこともある。
本実施形態の紡績機1において、紡績を中断した後、糸貯留ローラ51の回転速度を減速してから、糸外しレバー55が糸経路を変更するために待機位置P1から糸外し位置P2へ移動する。
これにより、紡績を中断した後、糸外しレバー55が移動するまでの間は、糸貯留ローラ51に残っていた紡績糸5をパッケージ7に巻き取ることができる。この結果、紡績機1で発生する屑糸の量を削減することができる。また、糸外しレバー55を移動させるタイミングは、糸貯留ローラ51の回転速度を減速してからであるため、パッケージ7側の紡績糸5を吸引装置24によって容易に捕捉することができる。
本実施形態の紡績機1は、複数の紡績ユニット2を備える。それぞれの紡績ユニット2が、紡績装置22と、巻取装置25と、糸貯留装置23と、を備える。それぞれの紡績ユニット2の巻取装置25は、巻取装置25で巻かれる紡績糸5をトラバースするトラバース装置73を備える。紡績ユニット2において紡績装置22と巻取装置25との間で紡績糸5が分断された場合に、トラバース装置73が紡績糸5をトラバースするトラバース幅が紡績糸5の分断前のトラバース幅よりも狭い状態で、巻取装置25側の紡績糸5をパッケージ7に巻き取る。
これにより、パッケージ7における端面落ちの発生を防止することができる。従って、パッケージ7の品質を向上させることができる。
本実施形態の紡績機1は、糸貯留ローラ51の糸貯留量を検出する糸貯留量検知センサ56を備える。
これにより、パッケージ7側の紡績糸5を吸引装置24で捕捉するために、パッケージ7の回転を、糸貯留量検知センサ56の検出結果に基づいて適切なタイミングで停止させることができる。
本実施形態の紡績機1において、紡績装置22と糸貯留装置23との間で紡績糸5が分断された場合であって、図3に示すように糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で紡績糸5が連続している状態のときは、糸貯留ローラ51からの解舒が終了し、吸引装置24により吸引された紡績糸5は、図5に示すように吸引装置24とパッケージ7との間で連続した状態である。
これにより、紡績糸5の分断の発生時に、吸引装置24によって、パッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
次に、上記の実施形態の第1変形例を説明する。本変形例以降の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
本変形例では、それぞれの紡績ユニット2において、例えば図4の符号65で示す位置に、糸移動装置が設けられている。この糸移動装置65は、パッケージ7側の紡績糸5を、吸引装置24の吸引口62に近づくように移動させる。糸移動装置65は、例えば、吸引口62に向かって圧縮空気を噴射するノズル装置として構成することができる。これにより、吸引装置24によるパッケージ7側の紡績糸5の捕捉を補助することができる。
糸移動装置65は、紡績糸5に圧縮空気を吹き付ける構成に限定されない。例えば、糸移動装置65は、紡績糸5に接触して紡績糸5を吸引口62に向けて押すことができるレバー状の可動部材を備える構成とすることができる。また、糸移動装置65は、図4の符号65で示す位置に設けずに、圧縮空気が供給されることにより吸引パイプ61の内部に補助吸引流を発生させるエアサッカーとすることもできる。
以上に説明したように、本変形例の紡績機は、吸引装置24に向けて紡績糸5を積極的に移動させる糸移動装置65を備える。
これにより、吸引装置24によってパッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
次に、第2変形例を説明する。
本変形例では、糸掛け部材53が、図示しない伸縮機構を備えている。伸縮機構の構成は任意であるが、例えば、超小型のエアシリンダを用いることができる。この伸縮機構により、糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51の径方向で伸縮可能に構成されている。糸掛け部材53は通常時は伸びた状態であるが、縮むことにより、掛かっている紡績糸5を外すことができる。
本変形例では、図9のステップS105で糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動することに代えて、糸掛け部材53が縮む。これにより、糸掛け部材53から紡績糸5を外すことができる。この状態で糸貯留ローラ51を回転させることで、パッケージ7側の紡績糸5を糸貯留ローラ51から解舒することができる。この結果、糸貯留ローラ51とパッケージ7の間で紡績糸5を弛ませて、図4のように吸引装置24に吸引させることができる。
縮んだ状態の糸掛け部材53は、紡績糸5に作用しない。従って、この状態を無効状態と呼ぶこともできる。無効状態は、糸掛け部材53が縮むことに代えて、例えば折れ曲がることによって実現することもできる。
以上に説明したように、本変形例の紡績機1は、紡績装置22と、巻取装置25と、糸貯留ローラ51と、電動モータ52と、糸掛け部材53と、吸引装置24と、を備える。紡績装置22は、繊維束4bを紡績することで紡績糸5を生成し、紡績糸5を供給可能である。巻取装置25は、紡績装置22から供給された紡績糸5を巻き取ってパッケージ7を形成する。糸貯留ローラ51は、紡績装置22と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置される。電動モータ52は、糸貯留ローラ51を駆動する。糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5に接触してテンションを付与する。吸引装置24は、糸貯留ローラ51よりも糸走行下流側で紡績糸5を吸引可能である。紡績の中断動作に関連して、糸掛け部材53が縮んだ無効形状となる。
これにより、紡績糸5の分断の発生時に、吸引装置24によって、パッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
次に、上記実施形態の第3変形例を説明する。
図11には、本変形例に係る糸貯留装置23xが示されている。この糸貯留装置23xにおいては、糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53が、別々のモータによって独立して駆動される。
具体的に説明する。本変形例の糸貯留装置23xは、ローラ駆動モータ52aと、糸掛け部材駆動モータ52bと、を備える。
ローラ駆動モータ52aの出力軸には、駆動プーリ121が固定されている。糸貯留ローラ51には筒軸122が形成されており、この筒軸122には従動プーリ123が固定されている。駆動プーリ121と従動プーリ123は、伝動ベルト124により連結されている。
糸掛け部材駆動モータ52bの出力軸は、筒軸122を通過するように差し込まれる。筒軸122は、糸掛け部材駆動モータ52bの出力軸に対して相対回転可能である。
糸貯留ローラ51には、糸掛け軸125が相対回転可能に支持される。糸掛け軸125の軸線は、糸貯留ローラ51の軸線、及び筒軸122の軸線と一致する。糸掛け部材駆動モータ52bの出力軸の先端部は、例えば磁気ヒステリシス材を介して、糸掛け軸125に連結される。糸掛け軸125には、糸掛け部材53が固定される。
この構成では、ローラ駆動モータ52aによって糸貯留ローラ51が回転駆動され、糸掛け部材駆動モータ52bによって糸掛け部材53が回転駆動される。図11の構成は一例であり、他の構成によって、糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53を互いに独立して駆動することもできる。例えば、糸貯留ローラ51の内部に、糸貯留ローラ51を駆動するモータと、糸掛け部材53を駆動するモータが配置されていても良い。
本変形例では、図11に示す糸貯留装置23xが、上記の実施形態の糸貯留装置23の代わりに用いられる。紡績糸5の分断前である図2の状態では、糸貯留装置23xの糸貯留ローラ51及び糸掛け部材53が互いに同一の速度で正転するように、ローラ駆動モータ52a及び糸掛け部材駆動モータ52bが制御される。これにより、上述の実施形態における糸貯留装置23と同様の機能を実現できる。
本変形例では、図9のステップS105で糸外しレバー55を糸外し位置P2に移動することに代えて、糸掛け部材53の正転を停止する。このとき、糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51からの紡績糸5の解舒に干渉しない位置に停止していることが好ましい。ただし、糸貯留ローラ51の正転は継続される。
本変形例においても、糸貯留ローラ51の正転に応じて、パッケージ7側の紡績糸5が糸貯留ローラ51から解舒される。従って、弛んだ紡績糸5を図4のように吸引装置24に吸引させることができる。
糸貯留ローラ51を正転させ、糸掛け部材53の正転を停止させる代わりに、糸貯留ローラ51の正転を停止させ、糸掛け部材53を逆転させても良い。この場合は、糸掛け部材53の逆転に応じて、パッケージ7側の紡績糸5が糸貯留ローラ51から解舒される。従って、上記と同様に、弛んだ紡績糸5を吸引装置24に吸引させることができる。紡績糸5を急激に弛ませないために、糸掛け部材53の逆転は、適宜の低い速度で行われることが好ましい。
以上に説明したように、本変形例の紡績機1は、紡績装置22と、巻取装置25と、糸貯留ローラ51と、ローラ駆動モータ52aと、糸掛け部材53と、吸引装置24と、を備える。紡績装置22は、繊維束4bを紡績することで紡績糸5を生成し、紡績糸5を供給可能である。巻取装置25は、紡績装置22から供給された紡績糸5を巻き取ってパッケージ7を形成する。糸貯留ローラ51は、紡績装置22と巻取装置25との間に形成される糸経路の途中に配置される。ローラ駆動モータ52aは、糸貯留ローラ51を駆動する。糸掛け部材53は、糸貯留ローラ51から解舒される紡績糸5に接触してテンションを付与する。吸引装置24は、糸貯留ローラ51よりも糸走行下流側で紡績糸5を吸引可能である。紡績の中断動作に関連して、糸掛け部材53の回転が停止する。或いは、紡績の中断動作に関連して、糸貯留ローラ51の回転が停止し、糸貯留ローラ51から糸を解舒する方向に糸掛け部材53が回転する。
これにより、紡績糸5の分断の発生時に、吸引装置24によって、パッケージ7側の紡績糸5を確実に捕捉することができる。
本変形例の紡績機は、糸掛け部材53を駆動する糸掛け部材駆動モータ52bを備える。
これにより、糸貯留ローラ51の回転及び糸掛け部材53の回転を、互いに独立して制御することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
糸外しレバー55の糸外し位置P2への移動、吸引装置24による吸引の開始、及びパッケージ7の回転停止が行われるタイミングを、糸監視装置47が検出した糸欠陥の長さに応じて変更するように制御することもできる。
上述の実施形態において、糸外しレバー55は、回転移動ではなく平行移動によって、位置を変更可能に構成することができる。
糸貯留量検知センサ56が複数設けられても良い。例えば、糸貯留量検知センサ56を糸貯留ローラ51の軸方向に複数並べて設けることができる。図4で示す糸貯留量検知センサ56の位置よりも少ない糸貯留量に相当する位置で糸の有無を検知可能なセンサを設けることで、パッケージ7側の紡績糸5の糸端が糸貯留ローラ51から抜けるタイミングを高精度で検知することができる。従って、正確なタイミングでパッケージ7の回転を停止させることができる。この結果、過剰な長さの紡績糸5が吸引装置24に吸い込まれて糸継ぎ時に廃棄され、無駄になることを防止できる。
吸引装置24のシャッタ63を省略し、吸引口62において吸引空気流を常時発生させる構成としても良い。
糸継装置82による糸継ぎが失敗した上述の場合(言い換えれば、糸貯留ローラ51とパッケージ7との間で紡績糸5が分断した状態である場合)に、糸外しレバー55の動作によって糸貯留ローラ51から紡績糸5が解舒されることに代えて、前述の第2変形例又は第3変形例の構成によって糸貯留ローラ51から紡績糸5が解舒されても良い。
紡績装置22と糸貯留ローラ51の間に、紡績糸5を挟んで送るデリベリローラが配置されても良い。
1 紡績機
2 紡績ユニット
4b 繊維束
5 紡績糸(糸)
7 パッケージ
22 紡績装置
23,23x 糸貯留装置
24 吸引装置
25 巻取装置
51 糸貯留ローラ
52 電動モータ(第1駆動部)
52a ローラ駆動モータ(第1駆動部)
52b 糸掛け部材駆動モータ(第2駆動部)
53 糸掛け部材
55 糸外しレバー(糸作用部材)
56 糸貯留量検知センサ(センサ)
65 糸移動装置
73 トラバース装置
P1 待機位置(第1位置)
P2 糸外し位置(第2位置)

Claims (14)

  1. 繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能な紡績装置と、
    前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
    前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される糸貯留装置と、
    前記糸貯留装置よりも糸走行下流側で糸を吸引可能な吸引装置と、
    第1位置と第2位置との間で移動することで前記糸経路を変更可能な糸作用部材と、
    を備え、
    前記糸貯留装置は、
    糸を外周に巻き付けて貯留可能な糸貯留ローラと、
    回転可能に構成され、前記糸貯留ローラから解舒される糸に掛かることで当該糸にテンションを付与する糸掛け部材と、
    を備え、
    前記糸作用部材は、前記第1位置から前記第2位置へ移動することで前記糸掛け部材から糸を外すことが可能であり、
    前記紡績装置と前記糸貯留装置との間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、前記糸貯留ローラを正転させながら前記糸作用部材を前記第2位置に移動させることで前記糸掛け部材から糸を外し、
    前記糸貯留ローラが正転しかつ前記糸作用部材が前記第2位置にある期間においては、前記吸引装置の吸引が作用していることを特徴とする紡績機。
  2. 請求項1に記載の紡績機であって、
    前記紡績装置と前記糸貯留装置との間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに残っている糸は、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で分断した状態であり、
    前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、前記糸貯留ローラを正転させながら前記糸作用部材を前記第2位置に移動させることで前記糸掛け部材から糸を外し、前記糸貯留ローラが正転しかつ前記糸作用部材が前記第2位置にある期間においては、前記吸引装置の吸引を作用させ、前記糸貯留ローラに残っていた糸を前記吸引装置により吸引除去することを特徴とする紡績機。
  3. 繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能な紡績装置と、
    前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
    前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される糸貯留装置と、
    前記糸貯留装置よりも糸走行下流側で糸を吸引可能な吸引装置と、
    糸経路を変更する糸作用部材と、
    を備え、
    前記糸貯留装置は、
    糸を外周に巻き付けて貯留可能な糸貯留ローラと、
    回転可能に構成され、前記糸貯留ローラから解舒される糸に掛かることで当該糸にテンションを付与する糸掛け部材と、
    を備え、
    前記糸作用部材は、紡績の中断動作に関連して、前記糸貯留ローラから解舒される糸の糸経路を変更することを特徴とする紡績機。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    複数の紡績ユニットを備え、
    それぞれの前記紡績ユニットが、前記紡績装置、前記糸貯留装置、及び、前記巻取装置を備え、
    前記糸作用部材、及び、前記糸作用部材を駆動する駆動部が、何れもそれぞれの前記紡績ユニットに設けられていることを特徴とする紡績機。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    前記紡績装置が糸出し紡績を行う場合、前記糸作用部材は、前記糸貯留ローラに巻かれた糸を廃棄するための位置まで移動することを特徴とする紡績機。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    前記糸貯留ローラから糸が全て解舒され、当該糸が前記吸引装置に吸引されたタイミングで、前記糸作用部材が、糸経路の変更を解除する位置まで戻ることを特徴とする紡績機。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    紡績を中断した後、前記糸貯留ローラの回転速度を減速してから、前記糸作用部材が糸経路を変更するために移動することを特徴とする紡績機。
  8. 繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能な紡績装置と、
    前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
    前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸経路の途中に配置される糸貯留ローラと、
    前記糸貯留ローラを駆動する第1駆動部と、
    前記糸貯留ローラから解舒される糸に接触してテンションを付与する糸掛け部材と、
    前記糸貯留ローラよりも糸走行下流側で糸を吸引可能な吸引装置と、
    を備え、
    紡績の中断動作に関連して、
    前記糸掛け部材の回転が停止すること、
    前記糸貯留ローラの回転が停止し、前記糸貯留ローラから糸を解舒する方向に前記糸掛け部材が回転すること、
    前記糸掛け部材が無効形状となること、
    のうち少なくとも何れかが行われることを特徴とする紡績機。
  9. 請求項8に記載の紡績機であって、
    前記紡績装置と前記糸貯留ローラとの間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラに残っている糸は、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で分断した状態であり、
    前記糸貯留ローラに糸が残っている状態で、
    前記糸掛け部材の回転が停止すること、
    前記糸貯留ローラの回転が停止し、前記糸貯留ローラから糸を解舒する方向に前記糸掛け部材が回転すること、
    前記糸掛け部材が無効形状となること、
    のうち少なくとも何れかが、前記吸引装置の吸引を作用させながら行われることにより、前記糸貯留ローラに残っていた糸を前記吸引装置により吸引除去することを特徴とする紡績機。
  10. 請求項8又は9に記載の紡績機であって、
    前記糸掛け部材を駆動する第2駆動部を備えることを特徴とする紡績機。
  11. 請求項1から10までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    前記糸貯留ローラの糸貯留量を検出するセンサを備えることを特徴とする紡績機。
  12. 請求項1から11までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    前記吸引装置に向けて前記糸を積極的に移動させる糸移動装置を備えることを特徴とする紡績機。
  13. 請求項1から12までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    複数の紡績ユニットを備え、
    それぞれの紡績ユニットが、前記紡績装置と、前記巻取装置と、を備え、
    それぞれの前記紡績ユニットの前記巻取装置は、前記巻取装置で巻かれる糸をトラバースするトラバース装置を備え、
    前記紡績ユニットにおいて前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が分断された場合に、前記トラバース装置が糸をトラバースするトラバース幅が糸の分断前のトラバース幅よりも狭くなった状態で、前記巻取装置側の糸をパッケージに巻き取ることを特徴とする紡績機。
  14. 請求項1から13までの何れか一項に記載の紡績機であって、
    前記紡績装置と前記糸貯留ローラとの間で糸が分断された場合に、前記糸貯留ローラと前記パッケージとの間で糸は連続した状態であり、
    前記糸貯留ローラからの解舒が終了し、前記吸引装置により吸引された糸は、吸引装置とパッケージとの間で連続した状態であることを特徴とする紡績機。
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