JP2022130239A - 紡績機 - Google Patents
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Abstract
【課題】紡績機において、パッケージ側の糸の捕捉を柔軟に行う。【解決手段】紡績機は、吸引装置29と、サクションマウス109と、を備える。吸引装置29は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33が分断された場合に、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉可能であり、糸道に対して設けられる。サクションマウス109は、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉可能であり、巻取装置31に対して接近した位置と退避した位置との間で移動可能に設けられる。紡績機が紡績装置23による紡績を中断した要因、紡績装置23による紡績の開始時の状態、又は、紡績糸33の糸種に応じて、吸引装置29及びサクションマウス109のうち何れが使用されるかが変化する。【選択図】図3
Description
本発明は、紡績機に関する。
従来から、糸の巻取りを開始する前に、分断されていた糸の糸継ぎ処理を行うことができる紡績機が知られている。特許文献1は、この種の紡績機である精紡機を開示する。
特許文献1の精紡機は、複数の紡績ユニットと、糸継台車と、を備える。それぞれの紡績ユニットは、紡績糸を生成する紡績装置と、この紡績糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、を備える。糸継台車は、何れかの紡績ユニットにおいて糸が分断された場合、その紡績ユニットまで走行することができる。
糸継台車は、サクションパイプと、サクションマウスと、糸継装置と、を備える。サクションパイプは、分断された糸のうち一方の糸(紡績装置側の糸)の糸端を捕捉して、糸継装置に案内する。サクションマウスは、分断された糸のうち他方の糸(巻取装置のパッケージ側の糸)の糸端を捕捉して、糸継装置に案内する。糸継装置は、これらにより案内された糸端同士を用いて糸継ぎを行う。
上記特許文献1の構成において、精紡機は、パッケージ側の糸の糸端を捕捉するためにサクションマウスを用いるしかできなかった。
本発明の目的は、パッケージ側の糸の捕捉を柔軟に行うことができる紡績機を提供することにある。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、この紡績機は、紡績装置と、巻取装置と、糸貯留装置と、固定捕捉装置と、可動捕捉装置と、を備える。前記紡績装置は、繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能である。前記巻取装置は、前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸貯留装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸走行経路の途中に配置される。前記固定捕捉装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が分断された場合に、前記パッケージ側の糸を捕捉可能である。前記固定捕捉装置は、前記糸走行経路に対して設けられる。前記可動捕捉装置は、前記パッケージ側の糸を捕捉可能であり、前記巻取装置に対して接近した位置と退避した位置との間で移動可能に設けられる。前記紡績機が前記紡績装置による紡績を中断した要因、前記紡績装置による紡績の開始時の状態、又は前記糸の糸種に応じて、前記固定捕捉装置及び前記可動捕捉装置のうち何れが使用されるかが変化する。
これにより、糸の分断の発生時に、固定捕捉装置と可動捕捉装置とを柔軟に使い分けることが可能になる。従って、糸の巻取りの開始のために、固定捕捉装置又は可動捕捉装置を用いて効率良くパッケージ側の糸を準備することができる。その結果、紡績機全体としてのパッケージ側の糸の捕捉の成功率の向上と、糸の巻取りの開始の準備に要する時間の短縮と、を実現できる。
前記の紡績機においては、前記固定捕捉装置が使用される場合、前記巻取装置は、前記パッケージ側の糸の巻取りを行い、当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、巻取りを停止する、又は、当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な状態で走行するように巻取りを減速することが好ましい。
これにより、固定捕捉装置によりパッケージ側の糸を捕捉し易くすることができる。
前記の紡績機においては、前記パッケージ側の糸の巻取りの停止、又は巻取りの減速後、前記固定捕捉装置が前記パッケージ側の糸の捕捉に失敗した場合、前記巻取装置は前記パッケージ側の糸を巻き取り、前記可動捕捉装置が前記パッケージ側の糸を捕捉することが好ましい。
これにより、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
前記の紡績機においては、前記可動捕捉装置が使用される場合、前記巻取装置は、少なくとも、前記パッケージ側の糸の糸端が前記固定捕捉装置よりも糸走行方向の下流側に位置するタイミングまでは、当該糸の巻取りを行うことが好ましい。
これにより、可動捕捉装置によりパッケージ側の糸を捕捉し易くすることができる。
前記の紡績機においては、前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置が使用されることが好ましい。
これにより、固定捕捉装置を有効に用いることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、検出装置を備える。前記検出装置は、前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側での糸切れを検出する。前記検出装置による糸切れの検出により前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉が可能か否かの判定が行われる。前記判定の結果が肯定的であれば、前記固定捕捉装置が使用される。前記判定の結果が否定的であれば、前記可動捕捉装置が使用される。
これにより、固定捕捉装置の使用頻度の上昇を図ることができる。従って、糸の巻取りの開始の準備に要する時間をより一層短縮することができる。
前記の紡績機においては、前記紡績装置による紡績が中断される前に糸の分断が発生したことによって紡績を中断した場合、その後に紡績を開始する際に前記可動捕捉装置が使用されることが好ましい。
これにより、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。また、可動捕捉装置を使用することを決めているため、紡績機はパッケージ側の糸を効率的に準備することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、禁止設定部を備える。前記禁止設定部は、前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉と補捉の禁止を設定する。
これにより、固定捕捉装置による糸の捕捉が好ましくない状況に適切に対応することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、複数の紡績ユニットと、作業台車と、を備える。前記作業台車は、前記複数の紡績ユニットに対して移動可能に設けられる。それぞれの前記紡績ユニットが、前記紡績装置、前記糸貯留装置、及び、前記巻取装置を備える。前記固定捕捉装置は、それぞれの前記紡績ユニットに設けられる。前記可動捕捉装置は、前記作業台車に設けられる。
これにより、固定捕捉装置の使用が決定された場合には、作業台車を所定の紡績ユニットに対して移動させる必要がない。固定捕捉装置は、可動捕捉装置に比べて、使用頻度が高い。従って、パッケージ側の糸の捕捉を効率良く行うことができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、糸検出装置を備える。前記糸検出装置は、前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側で糸の状態を検出する。前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置が使用される。
これにより、固定捕捉装置を有効に用いることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断され、前記固定捕捉装置が前記パッケージ側の糸の捕捉に失敗したときは、前記可動捕捉装置が使用される。前記糸貯留装置よりも糸走行方向の下流側に配置された糸継装置による糸継ぎに失敗したこと、若しくは、停電又は瞬時停電により停止したこと、により前記紡績装置による紡績が中断した場合であって、その後に紡績を開始するときは、前記可動捕捉装置が使用される。
これにより、可動捕捉装置を有効に用いることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、停電又は瞬時停電により前記紡績装置による紡績が中断されるとき、前記紡績機は、前記糸貯留装置と前記パッケージとの間で糸が繋がった状態で停止する。電力復旧後に前記紡績装置による紡績を開始する際は、前記巻取装置により前記パッケージ側の糸の巻取りが行われて、前記糸貯留装置の糸貯留ローラから当該糸貯留ローラに残る糸が解舒され、前記パッケージ側の糸の捕捉が前記固定捕捉装置により行われる。
これにより、固定捕捉装置をより一層有効に用いることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、停電又は瞬時停電により前記紡績装置による紡績が中断されるとき、前記パッケージの巻取幅を狭める。電力復旧後に前記紡績装置による紡績を開始する際は、前記パッケージ側の糸の捕捉が前記可動捕捉装置により行われる。
これにより、可動捕捉装置をより一層有効に用いることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、糸継装置を備える。前記糸継装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸の分断が発生した場合に、前記紡績装置側の糸と前記パッケージ側の糸との糸継ぎを行う。前記糸継装置は、前記固定捕捉装置又は前記可動捕捉装置によって捕捉された状態の前記パッケージ側の糸と、前記紡績装置側の糸と、を糸継ぎする。
これにより、糸継装置による糸継ぎを円滑に行うことができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、糸捕捉検知センサを備える。前記糸捕捉検知センサは、前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉の成否を検知する。
これにより、状況に応じて、固定捕捉装置の使用から可動捕捉装置の使用へ自動的に切り換えることができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記固定捕捉装置は、前記パッケージ側の糸を吸引することにより当該糸を捕捉するように構成される。前記固定捕捉装置は、当該固定捕捉装置を吸引状態と吸引停止状態との間で変更可能な変更部を有する。前記変更部は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が連続状態で当該糸が巻き取られている間、前記固定捕捉装置を吸引停止状態とする。
これにより、固定捕捉装置による吸引が不要な間は吸引を停止しておけるため、紡績機における省エネルギーを実現することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、糸検出装置を備える。前記糸検出装置は、前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側で糸の状態を検出する。前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断される場合、前記変更部は、紡績中断のタイミングよりも遅く、且つ、前記糸貯留装置の糸貯留ローラに糸が残っているタイミングで、前記固定捕捉装置を吸引停止状態から吸引状態へ変更する。
これにより、固定捕捉装置によりパッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の紡績機が提供される。即ち、この紡績機は、複数の紡績ユニットと、作業台車と、糸継装置と、を備える。前記作業台車は、前記複数の紡績ユニットに対して移動可能に設けられる。それぞれの前記紡績ユニットは、紡績装置と、巻取装置と、糸貯留装置と、を備える。前記紡績装置は、繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能である。前記巻取装置は、前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する。前記糸貯留装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸走行経路の途中に配置される。前記糸継装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸の分断が発生した場合に、前記紡績装置側の糸と前記パッケージ側の糸との糸継ぎを行う。それぞれの前記紡績ユニットは、固定捕捉装置を有する。前記固定捕捉装置は、前記パッケージ側の糸を捕捉可能であり、前記糸貯留装置と前記巻取装置との間に設けられて、前記糸継装置よりも糸走行方向の上流側に配置される。前記作業台車は、可動捕捉装置を有する。前記可動捕捉装置は、前記巻取装置に対して接近位置と退避位置との間で移動可能に設けられる。前記可動捕捉装置は、前記接近位置で前記パッケージ側の糸を捕捉し、当該糸を捕捉した状態で前記接近位置から前記退避位置へと移動可能である。前記可動捕捉装置の前記退避位置は、前記巻取装置から前記糸継装置よりも離れた位置である。前記糸継装置は、前記固定捕捉装置又は前記可動捕捉装置によって捕捉された状態の前記パッケージ側の糸と、前記紡績装置側の糸と、を糸継ぎする。
これにより、糸の分断の発生時に、糸継ぎのために、可動捕捉装置と固定捕捉装置とを適宜使い分けることが可能になる。従って、可動捕捉装置又は固定捕捉装置を用いて、糸継動作を適切に行うことができる。その結果、紡績機全体としてのパッケージ側の糸の捕捉の成功率の向上と、糸の巻取りの開始の準備に要する時間の短縮と、を実現することができる。
前記の紡績機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この紡績機は、前記紡績装置による紡績を中断した後に紡績を開始する際に、前記固定捕捉装置を使用した糸継ぎと、前記可動捕捉装置を使用した糸継ぎと、を切換可能である。前記固定捕捉装置が使用される場合、前記紡績装置による紡績の中断後、前記パッケージ側の糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するように、前記巻取装置による前記パッケージ側の糸の巻取りが行われる。前記可動捕捉装置が使用される場合、前記作業台車が糸の分断が発生した前記紡績ユニットに対応する位置に配置されるように、前記作業台車の制御が行われる。
これにより、可動捕捉装置又は固定捕捉装置を用いて、パッケージ側の糸を確実に捕捉することができる。
本発明の一実施形態に係る紡績機1について、図面を参照して説明する。以下の説明において、「上流側」及び「下流側」とは、それぞれ、紡績糸(糸)33の巻取時における当該紡績糸33、スライバ35又は繊維束37の走行方向(糸走行方向)における上流側及び下流側を意味する。
図1に示すように、紡績機1は、ブロアボックス3と、原動機ボックス5と、複数の紡績ユニット7と、糸継台車(作業台車)9と、を備える。複数の紡績ユニット7は、所定の方向に並べて配置されている。各紡績ユニット7(紡績機1)は、後述の紡績装置23等を用いて紡績を行う。本実施形態において、紡績機1は、空気紡績機として構成されている。
ブロアボックス3内には、負圧源として機能するブロア11等が配置されている。
原動機ボックス5には、駆動源(図略)と、中央制御装置13と、表示部15と、操作部17と、が配置されている。原動機ボックス5に設けられる駆動源には、複数の紡績ユニット7で共通で利用される電動モータが含まれる。
中央制御装置13は、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。中央制御装置13は、各紡績ユニット7が図2のように備えるユニット制御部19に、図略の信号線を介して接続されている。本実施形態では、それぞれの紡績ユニット7がユニット制御部19を備えているが、所定数(例えば、2つ又は4つ)の紡績ユニット7が1つのユニット制御部19を共用しても良い。
表示部15は、紡績ユニット7に対する設定内容、及び/又は、各紡績ユニット7の状態に関する情報等を表示することができる。操作部17は、オペレータが紡績機1の設定を行うために、及び/又は、表示部15に表示する情報の選択を行うために操作される。表示部15と操作部17は、タッチパネルディスプレイにより構成されていても良い。
図2に示すように、各紡績ユニット7は、ドラフト装置21と、紡績装置23と、糸貯留装置25と、吸引装置(固定捕捉装置)29と、巻取装置31と、を備える。これらの装置は、紡績糸33等の走行方向において上流側から下流側へ向かって順に配置されている。ドラフト装置21及び紡績装置23は、紡績ユニット7における給糸装置を構成している。
糸継台車9は、各紡績ユニット7に対して移動可能に設けられている。糸継台車9は、複数の紡績ユニット7に対して1つ備えられている。図1では1台の糸継台車9が図示されているが、紡績機1は、複数台の糸継台車9を備えていても良い。糸継台車9は、後述するように、糸継装置105と、サクションパイプ107と、サクションマウス(可動捕捉装置)109と、を備える。
ドラフト装置21は、紡績ユニット7(紡績機1)の上部に設けられている。ドラフト装置21は、複数のドラフトローラ対を備える。それぞれのドラフトローラ対は、2つのドラフトローラによって構成される。
具体的には、ドラフト装置21は、4つのドラフトローラ対を備える。4つのドラフトローラ対は、上流側から下流側へ向かって順に配置された、バックローラ対41、サードローラ対43、ミドルローラ対45、及びフロントローラ対47である。ミドルローラ対45の各ドラフトローラには、エプロンベルト49が設けられている。
4つのドラフトローラ対のそれぞれは、互いに対向する駆動ローラ及び従動ローラを有している。4つのドラフトローラ対に関して、それぞれの駆動ローラに、図略のモータ等の駆動源が設けられている。それぞれの駆動ローラは、駆動源によって当該駆動ローラの軸線を中心に回転駆動される。各ドラフトローラ対の従動ローラは、図略の軸受等を介して、当該従動ローラの軸線を中心に回転可能に設けられている。
ドラフト装置21は、スライバ供給部97から供給されるスライバ35を、各ドラフトローラ対のドラフトローラ同士の間(駆動ローラと従動ローラとの間)で挟み込んで搬送することによって、所定の繊維量(又は太さ)となるまで引き伸ばして(ドラフトして)、繊維束37を生成する。ドラフト装置21で生成された繊維束37は、紡績装置23に供給される。
スライバ供給部97は、ドラフト装置21の上流側に配置されている。スライバ供給部97には、スライバ35が収容される容器であるケンスが配置される。ユニット制御部19は、ドラフト装置21の設定値等に基づいて、ケンス内のスライバ残量を算出することができる。ユニット制御部19に代えて、中央制御装置13が、ケンス内のスライバ残量を算出するようにすることもできる。また、ケンス内のスライバ残量の算出は省略しても良い。
ドラフト装置21とスライバ供給部97との間には、スライバ35の有無を検知するためのスライバセンサ99が設けられている。スライバセンサ99により、ドラフト装置21に供給されるスライバ35の存在を検出することができる。なお、スライバセンサ99は必ずしも必要ではない。
紡績装置23は、本実施形態では空気紡績装置として構成されている。紡績装置23は、ドラフト装置21で生成された繊維束37(ドラフトされたスライバ35)に旋回空気流を作用させることにより、撚りを加えて紡績糸33を生成する。紡績装置23は、ドラフト装置21の下流側に配置されている。
紡績ユニット7(紡績機1)において、ドラフト装置21及び紡績装置23からなる給糸装置は、紡績糸33を供給する。給糸装置で生成された紡績糸33は、給糸装置から巻取装置31に向かって走行し、巻取装置31によって巻き取られる。給糸装置と巻取装置31との間には、紡績糸33が走行する糸道(糸走行経路)が形成される。
糸貯留装置25は、紡績装置23で生成された紡績糸33を引き出して一時的に貯留する。糸貯留装置25は、給糸装置と巻取装置31との間に形成される糸道の途中に配置されている。具体的には、糸貯留装置25は、紡績装置23よりも下流側に配置されている。
糸貯留装置25は、糸貯留ローラ53と、電動モータ55と、糸掛け部材57と、ガイド59と、糸貯留量検知センサ61と、を備える。
糸貯留ローラ53は、電動モータ55により回転駆動される。糸貯留ローラ53は、その外周面に紡績糸33を巻き付けて一時的に貯留する。糸貯留ローラ53は、外周面に紡績糸33を巻き付けた状態で所定の回転速度で回転することによって、紡績装置23から紡績糸33を所定の速度で引き出すことができる。
糸掛け部材57は、紡績糸33を引っ掛けることができる。糸掛け部材57は、紡績糸33を引っ掛けた状態で糸貯留ローラ53と一体的に回転することで、当該糸貯留ローラ53の外周面に紡績糸33を案内する。
ガイド59は、糸貯留ローラ53の下流側に配置されている。ガイド59は、回転する糸掛け部材57によって振り回される紡績糸33の軌道を規制し、紡績糸33が走行する糸道のうち当該ガイド59よりも下流側(巻取装置31側)の糸道を安定させて紡績糸33を案内する。
糸貯留量検知センサ61は、糸貯留ローラ53の糸貯留量を検知することができる。糸貯留量検知センサ61は、糸貯留ローラ53の外周面の適宜の位置に対向するように配置されている。糸貯留量検知センサ61は、この位置における紡績糸33の有無を検出する。糸貯留量検知センサ61は、検出した検出信号をユニット制御部19へ送信する。ユニット制御部19は、この検出信号に基づいて、糸貯留量が所定量以上であるか否かを検知することができる。
糸貯留装置25は、糸貯留ローラ53の外周面に紡績糸33を一時的に貯留することができるので、紡績糸33の一種のバッファとして機能する。これにより、紡績装置23における紡績速度と、巻取速度(後述のパッケージ93に巻き取られる紡績糸33の走行速度)と、が何らかの理由により一致しないことによる不具合(例えば、紡績糸33の弛み等)を解消することができる。
紡績装置23と糸貯留装置25との間には、糸監視装置(検出装置、糸検出装置)63及びスピニングセンサ69(糸検出装置)が設けられている。糸監視装置63及びスピニングセンサ69は、糸貯留装置25よりも上流側(給糸装置側)で紡績糸33の状態を検知する。紡績装置23で生成された紡績糸33は、糸貯留装置25で貯留される前に糸監視装置63及びスピニングセンサ69を通過する。
糸監視装置63は、走行する紡績糸33の品質を光センサによって監視し、紡績糸33に含まれる糸欠陥を検出する。糸欠陥としては、例えば、紡績糸33の太さの異常、及び/又は、紡績糸33に含まれる異物等がある。糸監視装置63は、紡績糸33の糸欠陥を検出した場合、ユニット制御部19へ糸欠陥検出信号を送信する。糸監視装置63は、光センサの代わりに、例えば静電容量式のセンサを用いて紡績糸33の品質を監視しても良い。
スピニングセンサ69は、糸監視装置63のすぐ下流側に配置されている。スピニングセンサ69は、紡績装置23と糸貯留装置25との間における紡績糸33のテンションを検出する。スピニングセンサ69は、検出したテンションの検出信号をユニット制御部19へ送信する。ユニット制御部19は、スピニングセンサ69が検出したテンションを監視することによって、弱糸などの異常箇所を検知することができる。なお、スピニングセンサ69は省略することもできる。
糸品質を維持するために、糸欠陥及び異常箇所を除去することが好ましい。ユニット制御部19は、糸監視装置63及びスピニングセンサ69のうち少なくとも何れかの検出結果に基づいて、紡績糸33を切断するか否かを判断する。紡績糸33の切断は、ユニット制御部19が、紡績装置23による紡績を停止するように制御することで実現される。紡績糸33の切断は、ドラフト装置21によるドラフト(バックローラ対41の回転)を停止することによって実現されてもよい。紡績装置23が紡績を停止する場合でも、ドラフト装置21から紡績装置23への繊維束の供給が停止される場合でも、紡績装置23による紡績は実質的に中断されることになる。紡績ユニット7にカッタを備え、ユニット制御部19がカッタにより紡績糸33の切断を行ってもよい。カッタによって紡績糸33が切断される場合でも、ユニット制御部19は、紡績装置23による紡績が実質的に中断するように制御する。
吸引装置29は、紡績糸33が分断された場合に、パッケージ93側の紡績糸33を吸引することができる。吸引装置29は、糸貯留装置25と巻取装置31との間に設けられている。本実施形態では、吸引装置29は固定的に設けられているが、多少移動可能に設けられていても良い。例えば、吸引装置29は、糸道に対して少しだけ接離可能に設けられていても良い。言い換えると、吸引装置29は、サクションマウス109ほどは移動しないように設けられている。後述の糸継台車9が当該紡績ユニット7に対して作業を行うとき、吸引装置29は、糸継台車9が備える糸継装置105よりも上流側に位置する。吸引装置29は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33の分断が発生した場合に、巻取装置31側、言い換えればパッケージ93側の紡績糸33を捕捉することができる。
糸継装置105は、図示しない糸寄せレバーを備える。吸引装置29によって捕捉された紡績糸33は、糸寄せレバーを動作させることで糸継装置105へ取り込まれる。糸継台車9は更に、サクションマウス109を備える。サクションマウス109は、パッケージ93側の紡績糸33を吸引装置29で捕捉しないときに、吸引装置29に代わって当該紡績糸33を捕捉する。糸継台車9の構成については後述する。なお、紡績糸33と糸継装置105とを接近させるために、糸継装置105は糸道に対して接離可能に設けられていても良い。
紡績糸33の分断が発生した場合、ユニット制御部19は、吸引装置29の使用/不使用を決定し、当該決定に基づいて吸引装置29を適宜制御する。詳細は後述するが、吸引装置29及びサクションマウス109は、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉のために択一的に選択されて用いられる。従って、吸引装置29の使用はサクションマウス109の不使用を意味し、吸引装置29の不使用はサクションマウス109の使用を意味する。
吸引装置29の使用/不使用の決定は、紡績糸33が分断された原因(紡績中断要因)、及び、紡績開始時の紡績機1の状態のうち、少なくとも何れかを考慮して行われる。紡績開始時とは、例えば工場出荷直後の最初の紡績開始時が考えられるが、紡績の中断後の再開時を含む。この決定については、後に詳細に説明する。
ユニット制御部19が吸引装置29の使用を決定した場合、吸引装置29は、ユニット制御部19によって、糸貯留装置25(ガイド59)よりも下流側で、パッケージ93側の紡績糸33を吸引して捕捉するように制御される。吸引装置29が吸引空気流を紡績糸33に作用させ始めるタイミングは、紡績糸33の分断が発生した後であって、パッケージ93側の紡績糸33の糸端が吸引装置29を通過するよりも前の所定のタイミングである。
吸引装置29は、吸引パイプ71を備える。吸引パイプ71の先端(長手方向一端)に吸引口73が形成されている。吸引口73は、紡績ユニット7に形成される前述の糸道の途中部に向かって開口している。吸引パイプ71は、配管等を介して、ブロア11等の負圧源に接続されている。これにより、吸引口73(吸引パイプ71内)に吸引空気流を発生させることができる。後述のサクションマウス109とは異なり、吸引パイプ71は紡績ユニット7に固定的に設けられている。従って、吸引口73の位置は一定である。
本実施形態において、吸引装置29にはシャッタ(変更部)77が設けられている。吸引装置29の状態は、シャッタ77により、吸引状態と吸引停止状態との間で変更される。シャッタ77は、例えば、吸引口73と、吸引装置29のうち空気が流れる方向で当該吸引口73よりも下流側の部分と、の間に配置される。シャッタ77は、例えば、板状部材を有する開閉機構により構成することができる。シャッタ77は、ユニット制御部19の制御により開閉することができる。なお、吸引装置29においてシャッタ77を省略することもできる。
紡績糸33の分断が発生せずに紡績が正常に行われている場合、吸引装置29を作動させる必要がない。紡績が正常に行われている場合とは、給糸装置(ドラフト装置21及び紡績装置23)により紡績糸33の供給が行われており、当該紡績糸33が巻取装置31により巻き取られている場合と言い換えることもできる。このような場合には、シャッタ77がユニット制御部19により閉じられるので、吸引装置29が吸引停止状態となる。よって、紡績機1における省エネルギーを実現することができる。
紡績糸33の分断が発生して紡績が中断した場合であって、ユニット制御部19が吸引装置29の使用を決定したときは、シャッタ77がユニット制御部19により開かれる。紡績装置23の紡績停止によって、当該紡績装置23の部分で紡績糸33が分断した場合を考えると、シャッタ77が開かれる具体的なタイミングは、紡績中断のタイミングよりも遅く、かつ、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53に紡績糸33が残っているタイミングである。このタイミングで吸引装置29の状態が吸引停止状態から吸引状態に変更されるので、吸引装置29は、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉することができる。なお、シャッタ77が開くタイミングは任意に変更可能である。
吸引装置29には、糸捕捉検知センサ79が設けられている。糸捕捉検知センサ79は、本実施形態では吸引装置29のすぐ下流側に配置されている。糸捕捉検知センサ79は、吸引装置29によるパッケージ93側の紡績糸33の捕捉の成否を検出することができる。糸捕捉検知センサ79は、吸引装置29のすぐ下流側における紡績糸33の有無を検出し、検出信号をユニット制御部19に送信する。ユニット制御部19は、糸捕捉検知センサ79からの検出信号に基づいて、吸引装置29による捕捉が成功したか否かを検知することができる。
図1に示すように、各紡績ユニット7における吸引装置29に対して、禁止設定部121が設けられている。禁止設定部121は、パッケージ93側の紡績糸33の吸引装置29による捕捉を禁止するために用いられる。禁止設定部121は、操作されることによって、禁止信号をユニット制御部19に送信する。ユニット制御部19は、禁止信号を受信した場合、吸引装置29を吸引停止状態で維持するようにシャッタ77を制御する。なお、禁止設定部121は例えば緊急停止ボタン、ハードウェアキー又はタッチパネル等として構成することができるが、その構成は特に限定されない。
禁止設定部121は、例えば、紡績ユニット7で紡績糸33の巻取りを非常停止させるとき、又は、紡績ユニット7の各装置のメンテナンスを行うときに操作される。本実施形態の禁止設定部121は、それぞれの紡績ユニット7における吸引装置29を個別に操作できるように設けられているが、所定数(例えば、2つ又は4つ)又は全ての紡績ユニット7における吸引装置29を一括で操作できるように構成されていても良い。禁止設定部121は、原動機ボックス5ではなく、各紡績ユニット7に対応する個別のユニットパネルに設けられていても良い。なお、禁止設定部121は省略しても良い。
巻取装置31は、糸貯留装置25を通過した紡績糸33を巻き取ってパッケージ93を形成する。巻取装置31は、糸貯留装置25よりも下流側に配置されている。
巻取装置31は、クレードルアーム81と、巻取ドラム83と、トラバースガイド85と、を備える。
クレードルアーム81は、支軸87まわりに揺動可能に支持されており、紡績糸33を巻き取るためのボビン91(ひいてはパッケージ93)を回転可能に支持することができる。巻取ドラム83は、ボビン91又はパッケージ93の外周面に接触した状態で回転することで、パッケージ93を巻取方向に回転駆動する。巻取装置31は、トラバースガイド85を図略の駆動手段によって往復動させながら、巻取ドラム83を図略の電動モータによって駆動する。これにより、巻取装置31は、紡績糸33を綾振りしつつ、紡績糸33をパッケージ93に巻き取る。
本実施形態では、吸引装置29と巻取装置31との間に、ワキシング装置65と、糸走行センサ67と、が設けられている。糸貯留装置25を通過した紡績糸33は、巻取装置31でパッケージ93に巻き取られる前にワキシング装置65を通過するとともに、糸走行センサ67の近傍を通過する。
ワキシング装置65は、紡績糸33に付与するワックスを保持することができる。ワキシング装置65は、糸貯留装置25と巻取装置31との間で走行する紡績糸33にワックスを付けることができる。
糸走行センサ67は、ワキシング装置65の下流側の近傍に配置されている。糸走行センサ67は、糸道の所定位置において、紡績糸33が走行中か否か、言い換えれば、紡績糸33の有無を検出することができる。糸走行センサ67は、検出信号をユニット制御部19に送信する。
図1に示すように、紡績機1には、レール101が設けられている。レール101は、複数の紡績ユニット7が並ぶ方向に沿って延びるように配置されている。糸継台車9は、レール101の上を走行可能に構成されている。これにより、糸継台車9は、複数の紡績ユニット7に対して移動することができる。
糸継台車9は、紡績糸33の分断が発生した紡績ユニット7に対応する作業位置まで走行して、当該紡績ユニット7において糸継ぎ処理を行う。糸継台車9は、この糸継ぎ処理を、紡績ユニット7に備えられた吸引装置29等と連携しながら、又は、当該糸継台車9が備える装置(後述のサクションマウス109等)を用いて行う。
糸継台車9は、走行車輪103と、糸継装置105と、サクションパイプ107と、サクションマウス109と、を備える。また、糸継台車9は更に、図2等に示す台車制御部111を備える。
走行車輪103は、図略の駆動手段によって回転駆動可能に構成されている。走行車輪103が駆動されることによって、糸継台車9が複数の紡績ユニット7のそれぞれに対して走行することができる。
サクションパイプ107は、パイプ状の部分を有する部材である。サクションパイプ107の先端には開口が形成されている。サクションパイプ107はブロア11等の負圧源に接続されている。従って、サクションパイプ107の先端に吸引空気流を発生させることができる。サクションパイプ107は回動可能に支持されている。サクションパイプ107が回動することにより、その先端を、紡績装置23に対して接近又は退避させることができる。紡績糸33に分断が発生した場合に、サクションパイプ107は、紡績装置23側の紡績糸33を吸い込んで捕捉することができる。
サクションマウス109は、パイプ状の部分を有する部材である。サクションマウス109の先端117には開口が形成されている。サクションマウス109はブロア11等の負圧源に接続されている。従って、サクションマウス109の先端117に吸引空気流を発生させることができる。サクションマウス109は回動可能に支持されている。サクションマウス109が回動することにより、その先端117を、巻取装置31に対して接近した位置(接近位置)又は退避した位置(退避位置)に移動させることができる。紡績糸33に分断が発生した場合に、サクションマウス109は、巻取装置31側(パッケージ93側)の紡績糸33を先端117から吸い込んで捕捉することができる。
サクションパイプ107が一側に回動することにより、その先端が紡績装置23に近づく方向に移動し、紡績装置23に接近した状態で紡績糸33の糸端を捕捉する。サクションパイプ107は、その後、他側に回動する。これにより、サクションパイプ107の先端が紡績装置23から離れる方向に移動する。図4及び図5の実線で示すようにサクションパイプ107が紡績装置23から退避した状態では、捕捉した糸端と紡績装置23との間の紡績糸33が、糸継装置105よりも下流側に位置する部分を有する。
サクションマウス109が一側に回動することにより、その先端117が巻取装置31に近づく方向に移動し、巻取装置31に接近した位置で当該紡績糸33を捕捉する。サクションマウス109は、その後、他側に回動する。これにより、サクションマウス109の先端117が巻取装置31から離れる方向に移動する。図5の実線で示すようにサクションマウス109が巻取装置31から退避した位置では、捕捉した糸端とパッケージ93との間の紡績糸33が、糸継装置105よりも上流側に位置する部分を有する。
糸継装置105は、紡績糸33の分断の発生後に、サクションパイプ107によって捕捉された紡績装置23側の紡績糸33と、吸引装置29又はサクションマウス109により捕捉されたパッケージ93側の紡績糸33と、の糸継ぎを行う。本実施形態において、糸継装置105は、旋回空気流により糸端同士を撚り合わせるスプライサ装置である。糸継装置105は、前記のスプライサ装置に限定せず、例えば機械式のノッタ等を採用することもできる。
紡績糸33の分断が発生した紡績ユニット7へ糸継台車9が走行して停止した状態では、糸継装置105は吸引装置29よりも下流側に位置する。また、巻取装置31に対してサクションマウス109の先端117を退避させた状態(図5の実線の状態)では、糸継装置105は、当該サクションマウス109の先端117よりも下流側に位置する。
台車制御部111は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する公知のコンピュータとして構成されている。台車制御部111は、糸継台車9が備える各部の動作を制御することによって、糸継台車9が行う糸継ぎ処理を制御する。
糸継台車9は、通常、レール101上の適宜の位置で待機している。何れかの紡績ユニット7において紡績糸33の分断が発生すると、糸継台車9は、紡績糸33の分断が発生した紡績ユニット7へ移動する。糸継台車9は、待機状態にある場合、サクションパイプ107及びサクションマウス109のそれぞれにおいて吸引空気流を発生させない。よって、サクションパイプ107及びサクションマウス109のそれぞれに関するエア消費量を節約することができる。
次に、紡績ユニット7において糸継ぎ処理が行われるときに、吸引装置29とサクションマウス109との使い分けについて説明する。
糸継ぎ処理は、紡績糸33が給糸装置(紡績装置23及び/又はドラフト装置21)とパッケージ93の間で分断された後、中断されていた紡績を紡績装置23が開始するタイミングの近傍で行われる。
本実施形態において、糸継ぎ処理の動作は2種類あり、択一的に選択される。
第1動作は、図4に示すように、巻取装置31側の紡績糸33を吸引装置29によって捕捉し、糸継装置105が紡績糸33を取込可能な状態として糸継ぎを行うものである。以下、この動作を「固定捕捉糸継ぎ」と呼ぶことがある。
第2動作は、図5に示すように、巻取装置31側の紡績糸33をサクションマウス109によって捕捉し、糸継装置105が紡績糸33を取込可能となるようにサクションマウス109が紡績糸33を案内して糸継ぎを行うものである。以下、この動作を「移動捕捉糸継ぎ」と呼ぶことがある。
何れの動作においても、紡績装置23側の紡績糸33は、サクションパイプ107によって捕捉され、糸継装置105が紡績糸33を取込可能となるようにサクションパイプ107により紡績糸33が案内される。
ユニット制御部19は、紡績を中断する前に、固定捕捉糸継ぎ及び可動捕捉糸継ぎのうち何れを行うかを、紡績中断要因に応じて決定する。前回紡績を中断してから時間が経過している場合等は、ユニット制御部19は、紡績を開始するときに、固定捕捉糸継ぎ及び可動捕捉糸継ぎのうち何れを行うかを、紡績中断要因又は紡績開始時の状態に応じて決定する。固定捕捉糸継ぎを行う決定は、吸引装置29を使用する決定と言い換えることができ、移動捕捉糸継ぎを行う決定は、サクションマウス109を使用する決定と言い換えることができる。
紡績を中断した場合、その要因は様々であり、例えば、
[A]糸監視装置63及び/又はスピニングセンサ69の検出結果に基づいて、例えば糸欠陥の除去のために紡績糸33が切断されたこと、
[B]紡績糸33の巻取時に紡績糸33に高いテンションが掛かり、紡績糸33が切れたこと(テンション切れ)、
[C]糸継装置105による糸継ぎ処理に失敗したこと、
[D]紡績ユニット7が停電又は瞬時停電の発生により紡績を停止したこと、
[E]ユニット制御部19により算出されるスライバ残量が所定量未満であること、
[F]スライバセンサ99がスライバなしを検出したこと、
[G]糸監視装置63が紡績糸33なしを検出したこと、及び
[H]糸走行センサ67が紡績糸33なしを検出したこと
を挙げることができる。
[A]糸監視装置63及び/又はスピニングセンサ69の検出結果に基づいて、例えば糸欠陥の除去のために紡績糸33が切断されたこと、
[B]紡績糸33の巻取時に紡績糸33に高いテンションが掛かり、紡績糸33が切れたこと(テンション切れ)、
[C]糸継装置105による糸継ぎ処理に失敗したこと、
[D]紡績ユニット7が停電又は瞬時停電の発生により紡績を停止したこと、
[E]ユニット制御部19により算出されるスライバ残量が所定量未満であること、
[F]スライバセンサ99がスライバなしを検出したこと、
[G]糸監視装置63が紡績糸33なしを検出したこと、及び
[H]糸走行センサ67が紡績糸33なしを検出したこと
を挙げることができる。
紡績開始時の状態としては、例えば、
[I]パッケージ93側の紡績糸33の糸端がパッケージ93に巻かれている状態、又は、
[J]複数の紡績ユニット7の紡績を一斉スタートさせる状態
を挙げることができる。
[I]パッケージ93側の紡績糸33の糸端がパッケージ93に巻かれている状態、又は、
[J]複数の紡績ユニット7の紡績を一斉スタートさせる状態
を挙げることができる。
[I]の状態は、糸走行センサ67等を用いて、ユニット制御部19が検知可能である。[J]の状態は、複数の紡績ユニット7がそれぞれ停電又は瞬時停電により紡績を中断していること、又は、複数の紡績ユニット7に対して設けられた一斉スタートボタン等の操作装置の操作が行われたことに基づいて、ユニット制御部19が検知可能である。
ユニット制御部19は、紡績装置23による給糸の中断が必要と判断したとき、具体的には、紡績中断要因が上記の[A]であるときは、固定捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
また、紡績中断要因には、[E]、[F]、及び[G]に示すような、スライバなし/糸なしの検知が含まれている。このような要因で紡績を中断する場合、紡績糸33の分断は、糸貯留装置25(糸貯留ローラ53)よりも上流側で発生していることになる。この場合には、ユニット制御部19は、吸引装置29によるパッケージ93側の紡績糸33の捕捉が間に合うか否かを考慮して、固定捕捉糸継ぎ及び移動捕捉糸継ぎの何れを行うかを判定する。
この判定には、糸貯留ローラ53の糸貯留量が所定量以上であるか否かを糸貯留量検知センサ61によって検出した結果が用いられる。
以下、詳細に説明する。本実施形態の紡績機1では、紡績糸33の分断が発生した場合、巻取装置31による紡績糸33の巻取りは直ちに停止される。仮に分断発生後も巻取装置31の巻取りが継続する場合、紡績糸33の糸端は、糸貯留ローラ53を通過した後、巻取装置31において回転しているパッケージ93に巻き取られることになる。
紡績糸33の分断の発生直後に巻取装置31の巻取りの停止制御を行っても、高速で回転していたパッケージ93が完全に回転を停止するまでに、ある程度の長さの紡績糸33がパッケージ93に巻き取られる。
糸貯留ローラ53の糸貯留量が所定量以上である場合は、停止制御の後にパッケージ93が実際に停止するまでに糸貯留ローラ53から紡績糸33が引き出されても、吸引装置29による紡績糸33の捕捉が間に合う状態である。吸引装置29による紡績糸33の捕捉が間に合う状態とは、言い換えれば、糸貯留ローラ53に少しでも紡績糸33が貯留されている状態である。この場合、ユニット制御部19は、固定捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
糸貯留ローラ53の糸貯留量が所定量未満である場合は、吸引装置29による紡績糸33の捕捉が間に合わず、パッケージ93が実際に停止するまでの回転によって糸端がパッケージ93に巻き取られてしまう。この場合、ユニット制御部19は、移動捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
紡績が中断する要因には上述の[A]~[H]で例示するように様々な要因があるが、[A]の要因の発生頻度が最も高い。ユニット制御部19は、[A]の場合、固定捕捉糸継ぎを行うことを決定する。従って、本実施形態では、サクションマウス109の使用頻度は低く、吸引装置29の使用頻度は高くなる傾向がある。
従って、本実施形態の紡績機1では、吸引装置29は紡績ユニット7に設けられ、サクションマウス109は糸継台車9に設けられている。即ち、吸引装置29は紡績ユニット7毎に設けられ、サクションマウス109は複数の紡績ユニット7で共有されるように設けられている。これにより、紡績機1全体の効率が良好である。
また、ユニット制御部19は、紡績中断要因が上記の[B]、[C]、[D]若しくは[H]である場合、又は、紡績開始時の状態が[I]若しくは[J]である場合、移動捕捉糸継ぎを行うことを決定する。
固定捕捉糸継ぎを試みたが、パッケージ93側の紡績糸33を吸引装置29によって捕捉できない場合もある。紡績糸33の捕捉の失敗は、糸捕捉検知センサ79に基づいて検出することができる。吸引装置29による紡績糸33の捕捉に失敗していた場合、ユニット制御部19は、移動捕捉糸継ぎに切り換えることを決定する。サクションマウス109の使用前に、巻取装置31による、パッケージ93側の紡績糸33の更なる巻取りが行われる。これにより、吸引装置29による捕捉を失敗した糸端がパッケージ93の外周面近く又は外周面に移動するので、サクションマウス109でパッケージ93側の紡績糸33を確実に捕捉することができる。
[D]の要因で紡績ユニット7の紡績を中断するとき、ユニット制御部19は、巻取装置31でパッケージ93を回転させて、パッケージ93に棒巻きを形成する。棒巻きとは、紡績糸33がパッケージ93の巻き幅方向の所定の位置又は所定の減縮幅だけに連続して巻き取られた部分である。棒巻きは、パッケージ93の巻取り中断前に、トラバースガイド85のトラバース範囲を所定期間だけ巻き幅方向の所定位置範囲又は所定の減縮幅範囲に制限することで、パッケージ93の表面に形成される。そして、ユニット制御部19は、電力復旧時に、移動捕捉糸継ぎを行うように制御する。
ただし、[D]の要因で紡績を停止したときには、ユニット制御部19が、移動捕捉糸継ぎの前に、固定捕捉糸継ぎを試みるように構成されていても良い。即ち、停電又は瞬時停電の発生により紡績を中断させるとき、ユニット制御部19は、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53と巻取装置31のパッケージ93との間で紡績糸33が繋がった状態で、紡績ユニット7を停止させる。電力が復旧した後、ユニット制御部19は、巻取装置31によりパッケージ93を回転させて、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53に残っている紡績糸33を解舒させ、パッケージ93側の紡績糸33を吸引装置29に捕捉させる。その後、糸継装置105による糸継ぎが行われる。
次に、図2の状態で紡績糸33の分断が発生して紡績を中断し、糸継装置105により糸継ぎが行われるときの各部の動作について説明する。以下では、紡績中断要因が[A]であり、具体的には、糸監視装置63の検出結果に基づき紡績糸33が切断された場合を例として説明する。
まず、ユニット制御部19が、糸監視装置63から入力される糸欠陥検出信号に基づいて、給糸装置(紡績装置23及び/又はドラフト装置21)による給糸を停止させる。このとき、ユニット制御部19は、巻取装置31も停止させる。給糸装置による給糸の停止により、紡績糸33が切断される。これにより、図3に示すように、紡績糸33の分断が発生する。
また、糸監視装置63が糸欠陥を検出した後の適宜のタイミングで、ユニット制御部19は糸継要求信号を台車制御部111に送信する。糸継要求信号を受信した台車制御部111は、紡績糸33の分断が発生した対象の紡績ユニット7まで糸継台車9を走行させた後、停止させる。図3では、分断の発生直後に当該紡績ユニット7に糸継台車9が到着した場合が示されているが、到着のタイミングは図3のタイミングよりも遅い場合もある。
糸監視装置63が糸欠陥を検出した後の適宜のタイミング、又は紡績糸33の分断が発生した後の適宜のタイミングで、ユニット制御部19は、糸継ぎを行うために、吸引装置29とサクションマウス109のうち何れを使用するかを決定する。今回の例では[A]の要因で紡績が中断されたので、ユニット制御部19は、固定捕捉糸継ぎを行うこと、言い換えれば、吸引装置29の使用を決定する。
紡績糸33の分断の発生後、巻取装置31は短時間で回転を停止する。従って、巻取装置31が完全に停止した状態では、糸貯留装置25とパッケージ93との間で紡績糸33が繋がった状態となっている。その後、ユニット制御部19は、巻取装置31を再び駆動させる。この結果、パッケージ93側の紡績糸33が、巻取装置31によりパッケージ93に巻き取られる。
巻取装置31の駆動により、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53に残る紡績糸33が引き出されて、糸貯留ローラ53における紡績糸33の貯留量が減少していく。ユニット制御部19は、糸貯留量検知センサ61の検出信号を監視する。
ユニット制御部19は、紡績糸33が糸貯留装置25から外れる少し前のタイミングで、閉じられていたシャッタ77を開いて、吸引装置29による吸引を開始させる。このタイミングは、例えば、紡績糸33の貯留量が所定量以下となったことを糸貯留量検知センサ61が検知してから所定時間だけ巻取りを継続したタイミングとすることができる。
その後、パッケージ93側の紡績糸33がパッケージ93に巻き取られる過程で、当該紡績糸33の糸端が吸引装置29により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、ユニット制御部19は、巻取装置31による巻取りを再び停止させる。巻取装置31による巻取りの停止タイミングは、例えば、糸貯留ローラ53に残っていた紡績糸33の糸端が糸貯留ローラ53から外れてガイド59を抜けるのと殆ど同じタイミングであっても良い。なお、ユニット制御部19は、巻取りを停止させる代わりに、紡績糸33の糸端が吸引装置29により捕捉可能な状態で走行するように巻取りを減速させても良い。この結果、紡績糸33を吸引装置29により吸引口73から吸い込んで捕捉することができる。
この際、ユニット制御部19は、糸捕捉検知センサ79からの検出結果に基づいて、吸引装置29による捕捉が成功したか否かを判断する。吸引装置29による捕捉が失敗したと判断した場合については後述する。
吸引装置29による捕捉が成功したと判断した場合には、ユニット制御部19は、当該紡績ユニット7に糸継台車9が到着したか否かを判定し、未到着の場合は到着するまで待機する。
紡績ユニット7に対応する作業位置に糸継台車9が停止した状態で、吸引パイプ71の吸引口73は、糸継装置105よりも上流側に位置する。従って、糸継台車9が到着すると、吸引装置29によって保持されているパッケージ93側の紡績糸33は、糸継台車9の糸継装置105と対面する状態になる。
糸継台車9を停止させた後、台車制御部111は糸継台車9を制御して、サクションパイプ107を、図4の鎖線で示すように、紡績装置23側の紡績糸33を捕捉できる位置へ移動させる。これと殆ど同時に、ユニット制御部19は、給糸装置からの紡績糸33の供給を再開する。台車制御部111は、サクションパイプ107により捕捉された紡績装置23側の紡績糸33を、図4の実線で示すように、下方の糸継装置105まで案内させる。
この状態で、ユニット制御部19は糸継装置105を動作させ、吸引装置29により吸引された巻取装置31側の紡績糸33と、紡績装置23側の紡績糸33と、の糸継ぎを行わせる。この糸継ぎにおいて、余分な紡績糸33は切断され、吸引装置29又はサクションパイプ107に吸い込まれて廃棄される。糸継ぎ中に給糸装置からは連続的に紡績糸33が供給されるが、この紡績糸33は糸貯留装置25によって貯留される。
糸継ぎの完了とほぼ同時に、巻取装置31の駆動が開始されて、巻取装置31によるパッケージ93の巻取りが再開される。シャッタ77は、糸継完了後の適宜のタイミングで閉じられる。このようにして、紡績ユニット7は図2の通常状態に戻る。
次に、例えば[B]の要因で紡績が中断され、ユニット制御部19が移動捕捉糸継ぎを行うことを決定した場合について説明する。
紡績糸33の分断の発生時に、移動捕捉糸継ぎを行うと決定した場合、ユニット制御部19は、パッケージ93側の紡績糸33の糸端がパッケージ93に巻き取られるように巻取装置31の回転を制御する。パッケージ93側の紡績糸33の糸端を吸引装置29によって捕捉させる必要がないため、前述の糸貯留量に関する判定は行われない。
紡績糸33の分断の発生後に、巻取装置31によりパッケージ93側の紡績糸33が紡績装置23と巻取装置31との間で連続した連続状態で巻き取られている間に、その糸端が吸引装置29の吸引口73の近傍を通過する。本実施形態では吸引装置29のシャッタ77が閉じられるので、パッケージ93側の紡績糸33の糸端が吸引装置29の吸引口73に吸い込まれることはない。吸引装置29においてシャッタ77が省略されている場合は、パッケージ93側の紡績糸33の糸端が吸引口73に吸い込まれる可能性もある。しかし、この場合でも、巻取装置31におけるパッケージ93の巻取りが継続される結果、糸端は吸引口73から強制的に引き出される。
その後、ユニット制御部19は、当該紡績ユニット7に糸継台車9が到着したか否かを判定し、未到着の場合は到着するまで待機する。
糸継台車9は、紡績ユニット7に対する作業位置まで到着すると、サクションマウス109を巻取装置31へ接近させる。この状態で、パッケージ93は、適宜の駆動手段によって、巻取方向とは逆方向に回転する。これにより、サクションマウス109が、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉することができる。サクションマウス109は、その後、巻取装置31から退避する。この結果、パッケージ93側の紡績糸33が、糸継装置105まで案内される。それ以外の糸継台車9の動作は、上述の固定捕捉糸継ぎと同様である。
次に、例えば[A]の要因で紡績が中断した後、固定捕捉糸継ぎが行われたが、吸引装置29による紡績糸33の捕捉が失敗したと判断した場合について説明する。
糸捕捉検知センサ79の検出結果に基づいて、吸引装置29による紡績糸33の捕捉が失敗したと判断した場合は、ユニット制御部19は、固定捕捉糸継ぎを中止し、移動捕捉糸継ぎを行うことを決定する。ユニット制御部19は直ちに、巻取装置31を再度駆動して、パッケージ93を巻取方向に回転させる。これにより、吸引装置29の近傍に位置していた紡績糸33の糸端をパッケージ93に巻き取ることができる。その結果、当該紡績ユニット7へ到着した糸継台車9がサクションマウス109を動作させることで、パッケージ93側の紡績糸33の糸端を容易に吸い込んで捕捉することができる。
次に、ユニット制御部19が、糸種に応じて、固定捕捉糸継ぎ及び可動捕捉糸継ぎのうち何れを行うかを決定する例について説明する。
糸種とは、紡績糸33の原料(スライバ35の素材)、紡績糸33の番手、及び、紡績糸33に含有される芯糸の有無の少なくとも何れかである。
例えば、紡績機1は、操作部17の操作により所定番手よりも太い番手の紡績糸33を生成することが設定された場合、常にサクションマウス109を使用してパッケージ93側の紡績糸33を捕捉するように構成されていても良い。即ち、紡績機1は、太番手の紡績糸33を生成する場合、吸引装置29の使用を禁止するように構成されていても良い。この説明は一例である。例えば、逆に、紡績機1は、操作部17の操作により所定番手よりも太い番手の紡績糸33を生成することが設定された場合に、常に吸引装置29を使用してパッケージ93側の紡績糸33を捕捉するように構成されていても良い。即ち、紡績機1は、太番手の紡績糸33を生成する場合、サクションマウス109の使用を禁止するように構成されていても良い。
例えば、紡績機1は、操作部17の操作により芯糸が含有された紡績糸33を生成することが設定された場合、常にサクションマウス109を使用してパッケージ93側の紡績糸33を捕捉するように構成されていても良い。即ち、紡績機1は、芯糸が含有された紡績糸33を生成する場合、吸引装置29の使用を禁止するように構成されていても良い。
以上に説明したように、本実施形態の紡績機1は、紡績装置23と、巻取装置31と、糸貯留装置25と、吸引装置29と、サクションマウス109と、を備える。紡績装置23は、繊維束37を紡績することで紡績糸33を生成し、当該紡績糸33を供給可能である。巻取装置31は、紡績装置23から供給された紡績糸33を巻き取ってパッケージ93を形成する。糸貯留装置25は、紡績装置23と巻取装置31との間に形成される糸走行経路の途中に配置される。吸引装置29は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33が分断された場合に、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉可能であり、糸走行経路に対して設けられる。サクションマウス109は、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉可能であり、巻取装置31に対して接近した位置と退避した位置との間で移動可能に設けられる。紡績機1が紡績装置23による紡績を中断した要因、紡績装置23による紡績の開始時の状態、又は、紡績糸33の糸種に応じて、吸引装置29及びサクションマウス109のうち何れが使用されるかが変化する。
これにより、糸の分断の発生時に、吸引装置29とサクションマウス109とを柔軟に使い分けることが可能になる。従って、糸の巻取りの開始のために、吸引装置29又はサクションマウス109を用いて効率良くパッケージ93側の紡績糸33を準備することができる。
吸引装置29を使用する場合は、パッケージ93側の紡績糸33をパッケージ93にいったん巻き取ってしまう動作が不要である。従って、吸引装置29を使用することにより、パッケージ93側の紡績糸33の準備に要する時間を短縮することができる。吸引装置29により紡績糸33を捕捉できなかったとしても、紡績機1はサクションマウス109を使用することによりパッケージ93側の紡績糸33の捕捉を自動で行うことができる。その結果、紡績機1全体として、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉の成功率の向上と、紡績糸33の巻取りの開始に要する時間の短縮と、を実現することができる。
本実施形態の紡績機1において、吸引装置29が使用される場合、巻取装置31は、パッケージ93側の紡績糸33の巻取りを行い、紡績糸33が吸引装置29により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、巻取りを停止する(又は、ユニット制御部19は、紡績糸33が吸引装置29により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、紡績糸33の糸端が吸引装置29により捕捉可能な状態で走行するように巻取りを減速させる)。
これにより、吸引装置29によりパッケージ93側の紡績糸33を捕捉し易くすることができる。
本実施形態の紡績機1において、パッケージ93側の紡績糸33の巻取りの停止後(又は減速後)、吸引装置29がパッケージ93側の紡績糸33の捕捉に失敗した場合、巻取装置31はパッケージ93側の紡績糸33を巻き取り、サクションマウス109がパッケージ93側の紡績糸33を捕捉する。
これにより、パッケージ93側の紡績糸33を確実に捕捉することができる。
本実施形態の紡績機1において、サクションマウス109が使用される場合、巻取装置31は、少なくとも、パッケージ93側の紡績糸33の糸端が吸引装置29よりも走行方向(糸走行方向)の下流側に位置するまでは、紡績糸33の巻取りを行う。
これにより、サクションマウス109によりパッケージ93側の紡績糸33を捕捉し易くすることができる。吸引装置29にシャッタ77が設けられていない場合であっても、上記のように紡績糸33の巻取りを行うことにより、紡績糸33が意図せずに吸引装置29により捕捉されることも回避できる。即ち、当該制御を行うことにより、シャッタ77を省略することもできる。
本実施形態の紡績機1において、紡績装置23による紡績が中断された場合、吸引装置29が使用される。
これにより、吸引装置29を有効に用いることができる。
本実施形態の紡績機1は、検出装置として、糸監視装置63又はスライバセンサ99等を備える。検出装置は、糸貯留装置25よりも走行方向の上流側での糸切れを検出する。検出装置による糸切れの検出により紡績装置23による紡績が中断された場合、吸引装置29によるパッケージ93側の紡績糸33の捕捉が可能か否かの判定が行われる。判定の結果が肯定的であれば、吸引装置29が使用される。判定の結果が否定的であれば、サクションマウス109が使用される。
これにより、吸引装置29の使用頻度の上昇を図ることができる。従って、紡績糸33の巻取りの開始の準備に要する時間をより一層短縮することができる。
本実施形態の紡績機1が、紡績装置23による紡績が中断される前に紡績糸33の分断が発生したことによって紡績を中断した場合(例えば糸継装置105による糸継ぎの失敗)、その後に紡績を開始する際にサクションマウス109が使用される。
これにより、パッケージ93側の紡績糸33を確実に捕捉することができる。また、サクションマウス109を使用することを決めているため、紡績機1はパッケージ93側の紡績糸33を効率的に準備することができる。
本実施形態の紡績機1は、禁止設定部121を備える。禁止設定部121は、吸引装置29によるパッケージ93側の紡績糸33の捕捉を禁止する。
これにより、吸引装置29による紡績糸33の捕捉が好ましくない状況に適切に対応することができる。
本実施形態の紡績機1は、複数の紡績ユニット7と、糸継台車9と、を備える。糸継台車9は、前記複数の紡績ユニット7に対して移動可能に設けられる。それぞれの紡績ユニット7が、紡績装置23、糸貯留装置25、及び、巻取装置31を備える。吸引装置29は、それぞれの紡績ユニット7に設けられる。サクションマウス109は、糸継台車9に設けられる。
これにより、吸引装置29の使用が決定された場合には、糸継台車9を所定の紡績ユニット7に対して移動させる必要がない。吸引装置29は、サクションマウス109に比べて、使用頻度が高い。従って、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉を効率良く行うことができる。
本実施形態の紡績機1は、糸検出装置として、糸監視装置63又はスピニングセンサ69を備える。前記糸検出装置は、糸貯留装置25よりも走行方向の上流側で紡績糸33の状態を検出する。前記糸検出装置の検出結果に基づいて紡績が中断された場合、その後に紡績を開始する際に吸引装置29が使用される。
これにより、吸引装置29を有効に用いることができる。
本実施形態の紡績機1において、前記糸検出装置の検出結果に基づいて紡績装置23による紡績が中断され、吸引装置29がパッケージ93側の紡績糸33の捕捉に失敗したときは、サクションマウス109が使用される。また、糸道を走行する紡績糸33のテンションに異常が生じたこと、糸貯留装置25よりも走行方向の下流側に配置された糸継装置105による糸継ぎに失敗したこと、若しくは、停電又は瞬時停電により停止したこと、により紡績が中断した場合であって、その後に紡績を開始するときは、サクションマウス109が使用される。
これにより、サクションマウス109を有効に用いることができる。
本実施形態の紡績機1は、停電又は瞬時停電により紡績装置23による紡績が中断されるとき、糸貯留装置25とパッケージ93との間で紡績糸33が繋がった状態で停止する。電力復旧後に紡績装置23による紡績を開始する際は、巻取装置31によりパッケージ93側の紡績糸33の巻取りが行われて、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53から糸貯留ローラ53に残る紡績糸33が解舒され、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉が行われる。
これにより、吸引装置29をより一層有効に用いることができる。
本実施形態の紡績機1において、停電又は瞬時停電により紡績装置23による紡績が中断されるとき、パッケージ93の巻取幅を狭める。電力復旧後に紡績装置23による紡績を開始する際は、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉がサクションマウス109により行われる。
これにより、サクションマウス109をより一層有効に用いることができる。
本実施形態の紡績機1は、糸継装置105を備える。糸継装置105は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33の分断が発生した場合に、紡績装置23側の紡績糸33とパッケージ93側の紡績糸33との糸継ぎを行う。糸継装置105は、吸引装置29又はサクションマウス109によって糸端が捕捉された状態のパッケージ93側の紡績糸33と、紡績装置23側の紡績糸33と、を糸継ぎする。
これにより、糸継装置105による糸継ぎを円滑に行うことができる。
本実施形態の紡績機1は、糸捕捉検知センサ79を備える。糸捕捉検知センサ79は、吸引装置29によるパッケージ93側の紡績糸33の捕捉の成否を検知する。
これにより、状況に応じて、吸引装置29の使用からサクションマウス109の使用へ自動的に切り換えることができる。
本実施形態の紡績機1において、吸引装置29は、パッケージ93側の紡績糸33を吸引することにより当該糸を捕捉するように構成される。吸引装置29は、吸引装置29を吸引状態と吸引停止状態との間で変更可能なシャッタ77を有する。シャッタ77は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33が連続状態で当該紡績糸33が巻き取られている間、吸引装置29を吸引停止状態とする。
これにより、吸引装置29による吸引が不要な間は吸引を停止しておけるため、紡績ユニット7における省エネルギーを実現することができる。
本実施形態の紡績機1は、糸検出装置として、糸監視装置63又はスピニングセンサ69を備える。この糸検出装置は、糸貯留装置25よりも走行方向の上流で紡績糸33の状態を検出する。前記糸検出装置の検出結果に基づいて紡績装置23による紡績が中断される場合、シャッタ77は、紡績中断のタイミングよりも遅く、且つ、糸貯留装置25の糸貯留ローラ53に紡績糸33が残っているタイミングで、吸引装置29を吸引停止状態から吸引状態へ変更する。
これにより、吸引装置29によりパッケージ93側の紡績糸33を確実に捕捉することができる。
本実施形態の紡績機1は、複数の紡績ユニット7と、糸継台車9と、糸継装置105と、を備える。糸継台車9は、前記複数の紡績ユニット7に対して移動可能に設けられる。それぞれの紡績ユニット7は、紡績装置23と、巻取装置31と、糸貯留装置25と、を備える。紡績装置23は、繊維束37を紡績することで紡績糸33を生成し、当該紡績糸33を供給可能である。巻取装置31は、紡績装置23から供給された紡績糸33を巻き取ってパッケージ93を形成する。糸貯留装置25は、紡績装置23と巻取装置31との間に形成される糸走行経路の途中に配置される。糸継装置105は、紡績装置23と巻取装置31との間で紡績糸33の分断が発生した場合に、紡績装置23側の紡績糸33とパッケージ93側の紡績糸33との糸継ぎを行う。それぞれの紡績ユニット7は、吸引装置29を有する。吸引装置29は、パッケージ93側の紡績糸33を捕捉可能であり、糸貯留装置25と巻取装置31との間に設けられて、糸継装置105よりも走行方向の上流側に配置される。糸継台車9は、サクションマウス109を有する。サクションマウス109は、巻取装置31に対して接近した位置である接近位置と退避した位置である退避位置との間で移動可能に設けられる。サクションマウス109は、接近位置でパッケージ93側の紡績糸33を捕捉し、当該紡績糸33を捕捉した状態で接近位置から退避位置へと移動可能である。サクションマウス109の退避位置は、巻取装置31から糸継装置105よりも離れた位置である。糸継装置105は、吸引装置29又はサクションマウス109によって捕捉された状態のパッケージ93側の紡績糸33と、紡績装置23側の紡績糸33と、を糸継ぎする。
これにより、紡績糸33の分断の発生時に、糸継ぎのために、吸引装置29とサクションマウス109とを適宜使い分けることが可能になる。従って、吸引装置29又はサクションマウス109を用いて、糸継動作を適切に行うことができる。その結果、紡績機1全体としてのパッケージ93側の紡績糸33の捕捉の成功率の向上と、紡績糸33の巻取りの開始の準備に要する時間の短縮と、を実現することができる。
本実施形態の紡績機1は、紡績装置23による紡績を中断した後に紡績を開始する際に、吸引装置29を使用した糸継ぎと、サクションマウス109を使用した糸継ぎと、を切換可能である。紡績装置23による紡績の中断後、吸引装置29が使用される場合、パッケージ93側の紡績糸33が吸引装置29により捕捉可能な領域に位置するように、巻取装置31によるパッケージ93側の紡績糸33の巻取りが行われる。サクションマウス109が使用される場合、糸継台車9が紡績糸33の分断が発生した紡績ユニット7に対応する位置に配置されるように、糸継台車9の制御が行われる。なお、この糸継台車9の制御は、糸継台車9が該当する紡績ユニット7に対応する作業位置に既に位置している場合に、糸継台車9に当該作業位置を維持させる制御を含む。
これにより、吸引装置29又はサクションマウス109を用いて、パッケージ93側の紡績糸33を確実に捕捉することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。以下の変更例は、適宜組み合わせ可能である。
上記の実施形態では、糸監視装置63による糸欠陥の検出に基づく紡績糸33の切断に起因して紡績を中断する場合には、固定捕捉糸継ぎが行われる。しかし、例えば、糸監視装置63が検出した糸欠陥の種類に基づいて、固定捕捉糸継ぎと移動捕捉糸継ぎの何れを行うかをユニット制御部19が選択しても良い。
上記の実施形態では、糸継ぎのために用いられる糸継装置105は、複数の紡績ユニット7が共有する1つの糸継台車9に設けているが、各紡績ユニット7に設けても良い。この場合、糸継装置105は、紡績糸33の走行方向において、糸貯留装置25と巻取装置31との間に設けられる。サクションパイプ107及びサクションマウス109も同様に各紡績ユニット7に設けても良い。よって、糸継台車9を省略することも可能である。
上記の実施形態では、糸捕捉検知センサ79は、吸引装置29の外部であってすぐ下流側に設けているが、吸引装置29の内部(吸引口73よりも内側)に設けても良い。
上記の実施形態では、糸捕捉検知センサ79は、吸引装置29を有する紡績ユニット7に設けているが、糸継台車9に設けても良い。
シャッタ77の構成及び位置は、吸引空気流の発生/停止を切換可能であれば任意である。例えば、シャッタ77を吸引口73に設けても良い。
複数の紡績ユニット7のそれぞれで紡績が中断され、その後にそれぞれが紡績を開始する場合に、当該複数の紡績ユニット7の全てにおいて移動捕捉糸継ぎを行うことが決定されることがある。この場合、サクションマウス109を備える糸継台車9の移動を考慮して、一部の紡績ユニット7では、サクションマウス109に代えて、吸引装置29を人為的に使用するようにしても良い。即ち、サクションマウス109に捕捉される予定であったパッケージ93側の紡績糸33の糸端をオペレータ等が手動で吸引装置29に向かって運び、パッケージ93側の紡績糸33の捕捉を実現させても良い。移動捕捉糸継ぎのために糸継台車9の到着を待機している紡績ユニット7において、糸捕捉検知センサ79が紡績糸33を検知した場合には、移動捕捉糸継ぎに代えて固定捕捉糸継ぎが行われる。
上記の実施形態では、糸貯留装置25によって紡績糸33を紡績装置23から引き出している。糸貯留装置25の代わりに、デリベリローラ対によって、紡績糸33を紡績装置23から引き出すように紡績ユニット7を構成しても良い。この場合、デリベリローラ対の下流側に糸貯留装置25、スラックチューブ及び機械式コンペンセーターの少なくとも何れかが設けられていても良い。
上記の実施形態では、吸引装置29がワキシング装置65よりも上流側に設けられていた。しかし、吸引装置29はワキシング装置65よりも下流側に設けられていても良い。
上記の実施形態では、上側から供給された紡績糸33が下側で巻き取られるように各装置が配置されている。しかし、下側から供給された紡績糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていても良い。
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
1 紡績機
7 紡績ユニット
9 糸継台車(作業台車)
21 ドラフト装置(給糸装置の一部)
23 紡績装置(給糸装置の一部)
25 糸貯留装置
29 吸引装置(固定捕捉装置)
31 巻取装置
33 紡績糸
63 糸監視装置(検出装置の一例、糸検出装置の一例)
69 スピニングセンサ(糸検出装置の一例)
77 シャッタ(変更部)
79 糸捕捉検知センサ
93 パッケージ
99 スライバセンサ(検出装置の一例)
105 糸継装置
109 サクションマウス(可動捕捉装置)
121 禁止設定部
7 紡績ユニット
9 糸継台車(作業台車)
21 ドラフト装置(給糸装置の一部)
23 紡績装置(給糸装置の一部)
25 糸貯留装置
29 吸引装置(固定捕捉装置)
31 巻取装置
33 紡績糸
63 糸監視装置(検出装置の一例、糸検出装置の一例)
69 スピニングセンサ(糸検出装置の一例)
77 シャッタ(変更部)
79 糸捕捉検知センサ
93 パッケージ
99 スライバセンサ(検出装置の一例)
105 糸継装置
109 サクションマウス(可動捕捉装置)
121 禁止設定部
Claims (19)
- 繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能な紡績装置と、
前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸走行経路の途中に配置された糸貯留装置と、
前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が分断された場合に、前記パッケージ側の糸を捕捉可能であり、前記糸走行経路に対して設けられた固定捕捉装置と、
前記パッケージ側の糸を捕捉可能であり、前記巻取装置に対して接近した位置と退避した位置との間で移動可能に設けられた可動捕捉装置と、
を備え、
前記紡績装置による紡績を中断した要因、前記紡績装置による紡績の開始時の状態、又は前記糸の糸種に応じて、前記固定捕捉装置及び前記可動捕捉装置のうち何れが使用されるかが変化することを特徴とする紡績機。 - 請求項1に記載の紡績機であって、
前記固定捕捉装置が使用される場合、前記巻取装置は、前記パッケージ側の糸の巻取りを行い、
当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、巻取りを停止する、又は
当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するタイミングで、当該糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な状態で走行するように巻取りを減速することを特徴とする紡績機。 - 請求項2に記載の紡績機であって、
前記パッケージ側の糸の巻取りの停止、又は巻取りの減速後、前記固定捕捉装置が前記パッケージ側の糸の捕捉に失敗した場合、前記巻取装置は前記パッケージ側の糸を巻き取り、前記可動捕捉装置が前記パッケージ側の糸を捕捉することを特徴とする紡績機。 - 請求項1から3までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記可動捕捉装置が使用される場合、前記巻取装置は、少なくとも、前記パッケージ側の糸の糸端が前記固定捕捉装置よりも糸走行方向の下流側に位置するタイミングまでは、当該糸の巻取りを行うことを特徴とする紡績機。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置が使用されることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側での糸切れを検出する検出装置を備え、
前記検出装置による糸切れの検出により前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉が可能か否かの判定が行われ、
前記判定の結果が肯定的であれば、前記固定捕捉装置が使用され、
前記判定の結果が否定的であれば、前記可動捕捉装置が使用されることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から6までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績装置による紡績が中断される前に糸の分断が発生したことによって紡績を中断した場合、その後に紡績を開始する際に前記可動捕捉装置が使用されることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から7までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉と捕捉の禁止を設定する禁止設定部を備えることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から8までの何れか一項に記載の紡績機であって、
複数の紡績ユニットと、
前記複数の紡績ユニットに対して移動可能に設けられた作業台車と、
を備え、
それぞれの前記紡績ユニットが、前記紡績装置、前記糸貯留装置、及び、前記巻取装置を備え、
前記固定捕捉装置は、それぞれの前記紡績ユニットに設けられ、
前記可動捕捉装置は、前記作業台車に設けられることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から9までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側で糸の状態を検出する糸検出装置を備え、
前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断された場合、前記固定捕捉装置が使用されることを特徴とする紡績機。 - 請求項10に記載の紡績機であって、
前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断され、前記固定捕捉装置が前記パッケージ側の糸の捕捉に失敗したとき、又は、
前記糸貯留装置よりも糸走行方向の下流側に配置された糸継装置による糸継ぎに失敗したこと、若しくは、停電又は瞬時停電により停止したこと、により前記紡績装置による紡績が中断した場合であって、その後に紡績を開始するときは、
前記可動捕捉装置が使用されることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から11までの何れか一項に記載の紡績機であって、
停電又は瞬時停電により前記紡績装置による紡績が中断されるとき、前記糸貯留装置と前記パッケージとの間で糸が繋がった状態で停止し、
電力復旧後に前記紡績装置による紡績を開始する際は、前記巻取装置により前記パッケージ側の糸の巻取りが行われて、前記糸貯留装置の糸貯留ローラから当該糸貯留ローラに残る糸が解舒され、前記パッケージ側の糸の捕捉が前記固定捕捉装置により行われることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から12までの何れか一項に記載の紡績機であって、
停電又は瞬時停電により前記紡績装置による紡績が中断されるとき、前記パッケージの巻取幅を狭め、
電力復旧後に前記紡績装置による紡績を開始する際は、前記パッケージ側の糸の捕捉が前記可動捕捉装置により行われることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から13までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸の分断が発生した場合に、前記紡績装置側の糸と前記パッケージ側の糸との糸継ぎを行う糸継装置を備え、
前記糸継装置は、前記固定捕捉装置又は前記可動捕捉装置によって捕捉された状態の前記パッケージ側の糸と、前記紡績装置側の糸と、を糸継ぎすることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から14までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記固定捕捉装置による前記パッケージ側の糸の捕捉の成否を検知するための糸捕捉検知センサを備えることを特徴とする紡績機。 - 請求項1から15までの何れか一項に記載の紡績機であって、
前記固定捕捉装置は、前記パッケージ側の糸を吸引することにより当該糸を捕捉するように構成され、
前記固定捕捉装置は、当該固定捕捉装置を吸引状態と吸引停止状態との間で変更可能な変更部を有し、
前記変更部は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸が連続状態で当該糸が巻き取られている間、前記固定捕捉装置を吸引停止状態とすることを特徴とする紡績機。 - 請求項16に記載の紡績機であって、
前記糸貯留装置よりも糸走行方向の上流側で糸の状態を検出する糸検出装置を備え、
前記糸検出装置の検出結果に基づいて前記紡績装置による紡績が中断される場合、前記変更部は、紡績中断のタイミングよりも遅く、且つ、前記糸貯留装置の糸貯留ローラに糸が残っているタイミングで、前記固定捕捉装置を吸引停止状態から吸引状態へ変更することを特徴とする紡績機。 - 複数の紡績ユニットと、
前記複数の紡績ユニットに対して移動可能に設けられた作業台車と、
糸継装置と、
を備え、
それぞれの前記紡績ユニットは、
繊維束を紡績することで糸を生成し、当該糸を供給可能な紡績装置と、
前記紡績装置から供給された糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
前記紡績装置と前記巻取装置との間に形成される糸走行経路の途中に配置された糸貯留装置と、
を備え、
前記糸継装置は、前記紡績装置と前記巻取装置との間で糸の分断が発生した場合に、前記紡績装置側の糸と前記パッケージ側の糸との糸継ぎを行い、
それぞれの前記紡績ユニットは、
前記パッケージ側の糸を捕捉可能であり、前記糸貯留装置と前記巻取装置との間に設けられて、前記糸継装置よりも糸走行方向の上流側に配置される固定捕捉装置を有し、
前記作業台車は、
前記巻取装置に対して接近位置と退避位置との間で移動可能に設けられて、前記接近位置で前記パッケージ側の糸を捕捉し、当該糸を捕捉した状態で前記接近位置から前記退避位置へと移動可能である可動捕捉装置を有し、
前記可動捕捉装置の前記退避位置は、前記巻取装置から前記糸継装置よりも離れた位置であり、
前記糸継装置は、前記固定捕捉装置又は前記可動捕捉装置によって捕捉された状態の前記パッケージ側の糸と、前記紡績装置側の糸と、を糸継ぎすることを特徴とする紡績機。 - 請求項18に記載の紡績機であって、
前記紡績装置による紡績を中断した後に紡績を開始する際に、前記固定捕捉装置を使用した糸継ぎと、前記可動捕捉装置を使用した糸継ぎと、を切換可能であり、
前記固定捕捉装置が使用される場合、前記紡績装置による紡績の中断後、前記パッケージ側の糸が前記固定捕捉装置により捕捉可能な領域に位置するように、前記巻取装置による前記パッケージ側の糸の巻取りが行われ、
前記可動捕捉装置が使用される場合、前記作業台車が糸の分断が発生した前記紡績ユニットに対応する位置に配置されるように、前記作業台車の制御が行われることを特徴とする紡績機。
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