JP2022112791A - カテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】拡張体の拡張性の低下を抑制しつつ、レトロ用ガイドワイヤの突き抜けによる誘導不能を抑制する。【解決手段】カテーテルは、中空状のシャフトと、シャフトの先端部に接続され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の拡張用素線によって径方向に拡縮可能に形成されている筒状の拡張体と、拡張体における基端側部分の内周側を覆う誘導膜と、拡張体の基端側部分の内周側に配置され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の補強用素線を編組して形成されている補強体と、を備える。【選択図】図2
Description
本明細書に開示される技術は、拡張体を備えるカテーテルに関する。
血管等における狭窄部、閉塞部や異常血管等(以下、「病変部」という。)を治療または検査する方法として、拡張体を備えるカテーテルを用いた方法が知られている(例えば特許文献1~3参照)。このカテーテルは、中空状のシャフトと、そのシャフトの先端部に接続された拡張体と、誘導膜と、を備える。拡張体は、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の素線によって径方向に拡縮可能に形成されている筒状体である。誘導膜は、拡張体における基端側部分の内周側を覆うように形成されている。
拡張体を備えるカテーテルは、次のようにして使用される。例えば慢性完全閉塞(CTO:Chronic total occlusion)や石灰化狭窄等のように、病変部が非常に硬いと、一方側から挿入したガイドワイヤが病変部を貫通することができない場合がある。この場合、拡張体を収縮させた状態でカテーテルの先端部を病変部へと誘導し、その病変部の途中まで形成された空間に、拡張体を挿入して拡張させる。次に、レトロ用ガイドワイヤを、上記一方側から挿入したガイドワイヤとは反対側から病変部に挿入する。その挿入されたレトロ用ガイドワイヤの先端部は、拡張体の隙間を介して拡張体内に進入し、誘導膜によってシャフト内へと誘導され、この結果、病変部に貫通孔が形成される。これにより、病変部の治療等を進めることができる。
上記従来のカテーテルでは、拡張体内に進入したレトロ用ガイドワイヤの先端部が、誘導膜及び拡張体を突き抜けて誘導不能になるおそれがある。なお、誘導膜の強度を高めることにより、レトロ用ガイドワイヤの突き抜けを抑制できる。しかし、誘導膜の強度が高いほど誘導膜の柔軟性が低下する傾向があるため、その誘導膜に覆われている拡張体の拡張性が低下する問題がある。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるカテーテルは、カテーテルであって、中空状のシャフトと、前記シャフトの先端部に接続され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の拡張用素線によって径方向に拡縮可能に形成されている筒状の拡張体と、前記拡張体における基端側部分の内周側を覆う誘導膜と、前記拡張体における前記基端側部分に配置され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の補強用素線を編組して形成されている補強体と、を備える。
本カテーテルでは、拡張体の基端側部分に補強体が配置されている。このため、本カテーテルによれば、補強体を備えない構成に比べて、拡張体内に進入したレトロ用ガイドワイヤの先端が誘導膜及び拡張体を突き抜けて誘導不能になることを抑制することができる。また、補強体は、複数の補強用素線を編組して形成されているため、補強体が例えば緻密なシート状である構成に比べて、柔軟性があるため、補強体の存在に起因して拡張体の拡張性が低下することを抑制することができる。すなわち、本カテーテルによれば、拡張体の拡張性の低下を抑制しつつ、レトロ用ガイドワイヤの突き抜けによる誘導不能を抑制することができる。
(2)上記カテーテルにおいて、前記補強体における前記補強用素線間の隙間の開口面積は、前記拡張体における前記拡張用素線間の隙間の開口面積よりも小さい構成としてもよい。このため、例えば補強用素線間の隙間の開口面積が拡張用素線間の隙間の開口面積以上である構成に比べて、レトロ用ガイドワイヤが補強体を貫通しにくくなるため、レトロ用ガイドワイヤの突き抜けによる誘導不能を、より効果的に抑制することができる。
(3)上記カテーテルにおいて、前記補強体を構成する前記補強用素線のピッチは、前記拡張体を構成する前記拡張用素線の間隔よりも長い構成としてもよい。このため、例えば補強用素線のピッチが拡張用素線のピッチ以下である構成に比べて、拡張体に対する補強体の伸縮性が高いため、補強体の存在に起因して拡張体の拡張性が低下することを、より効果的に抑制することができる。
(4)上記カテーテルにおいて、前記補強体を構成する前記補強用素線のピッチは、前記拡張体を構成する前記拡張用素線の間隔よりも短い構成としてもよい。このため、補強体によって、拡張体の過度な伸縮を抑制することができる。
(5)上記カテーテルにおいて、前記補強体の先端部は、前記誘導膜の内周面より外周側に位置している構成としてもよい。このため、例えば誘導膜より内側に突出した補強体の先端部にレトロ用ガイドワイヤが干渉してレトロ用ガイドワイヤの誘導性が低下することを抑制することができる。
(6)上記カテーテルにおいて、前記補強体の内、前記カテーテルの軸方向の中央部分は、前記誘導膜に対して独立に移動可能に配置されている構成としてもよい。このため、例えば、補強体の先端部だけでなく中央部分が誘導膜に埋設された構成に比べて、誘導膜によって補強体の柔軟性が制約されることを抑制することができる。
A.第1実施形態:
A-1.カテーテル100の全体構成:
図1は、第1実施形態におけるカテーテル100の縦断面構成を概略的に示す説明図である。図1では、カテーテル100の内、後述の拡張体20については側面構成が示されている。また、拡張体20の詳細構成は省略されている。ここで、カテーテル100の縦断面とは、カテーテル100の軸方向(長手方向 図1のZ軸方向)に平行な断面(図1のYZ断面)をいう。図1において、Z軸負方向側(後述のコネクタ30の側)が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)であり、Z軸正方向側(コネクタ30とは反対側)が、体内に挿入される先端側(遠位側)である。なお、図1では、カテーテル100が全体としてZ軸方向に平行な直線状となった状態を示しているが、カテーテル100は湾曲させることができる程度の柔軟性を有している。
A-1.カテーテル100の全体構成:
図1は、第1実施形態におけるカテーテル100の縦断面構成を概略的に示す説明図である。図1では、カテーテル100の内、後述の拡張体20については側面構成が示されている。また、拡張体20の詳細構成は省略されている。ここで、カテーテル100の縦断面とは、カテーテル100の軸方向(長手方向 図1のZ軸方向)に平行な断面(図1のYZ断面)をいう。図1において、Z軸負方向側(後述のコネクタ30の側)が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)であり、Z軸正方向側(コネクタ30とは反対側)が、体内に挿入される先端側(遠位側)である。なお、図1では、カテーテル100が全体としてZ軸方向に平行な直線状となった状態を示しているが、カテーテル100は湾曲させることができる程度の柔軟性を有している。
カテーテル100は、血管等における病変部Lを治療または検査するために、血管等に挿入される医療用デバイスである。具体的には、カテーテル100は、先端部に拡張体20を備えている。術者は、病変部Lに貫通孔を形成するために、一方から挿入されたカテーテル100に対し、反対側から挿入されたレトロ用ガイドワイヤの先端を拡張体20に進入させて、カテーテル100の拡張体20を用いてレトロ用ガイドワイヤ80を捕獲する。図1に示すように、カテーテル100は、シャフト10と、シャフト10の先端に取り付けられた筒状の拡張体20と、シャフト10の基端に取り付けられたコネクタ30とを備えている。
シャフト10は、先端と基端とが開口した筒状(例えば円筒状)の中空体である。なお、本明細書において「筒状(円筒状)」とは、完全な筒形状(円筒形状)に限らず、全体として略筒状(略円筒形状、例えば、若干、円錐形状や、一部に凹凸がある形状など)であってもよい。シャフト10の内部には、シャフト10の先端から基端まで延びるルーメンSが形成されている。ルーメンSには、例えば、異常血管に注入する生理食塩水等の流体が供給されたり、図示しないガイドワイヤが挿通されたりする。また、シャフト10の側壁には、ポート12が貫通形成されている。なお、シャフト10の形成材料としては、例えばポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマ等の樹脂や、ステンレス鋼(SUS304)や超弾性合金(例えば、Ni-Ti合金)等の金属が用いられる。
拡張体20は、シャフト10と略同軸上に配置されている。拡張体20の基端がシャフト10の先端に接続されている。拡張体20は、複数の拡張用素線を編組して筒状に形成された編組体(メッシュ体)である。具体的には、拡張体20は、拡張用素線21,22を有している。拡張用素線21,22は、カテーテル100の中心軸の周りに螺旋状に形成されている。拡張用素線21と拡張用素線22との巻回方向は互いに逆であり、かつ、互いに交差するように配置されている。このような構成により、拡張体20は、径方向に拡張および収縮が可能に形成されている。拡張用素線21,22の形成材料としては、例えばステンレス鋼(SUS304)や、超弾性合金(例えば、Ni-Ti合金)、または、放射線不透過性を有する材料(例えば、タングステンやCo-Cr合金)等の金属が用いられる。
拡張体20の先端部には、先端チップ40が接合されている。先端チップ40は、筒状であり、先端チップ40の先端部の形状は、先端に向かうにつれて外径が小さくなっているテーパ状である。先端チップ40に形成された挿通孔42は拡張体20の内周側の空間に連通している。先端チップ40の形成材料としては、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ等の柔軟な樹脂が用いられる。
先端チップ40の基端部には、コアワイヤ50の先端部が接合されている。コアワイヤ50は、線状の部材であり、拡張体20の内周側の空間とシャフト10のルーメンSとに挿通されている。コアワイヤ50は、例えば、断面が円形状であり、先端に向かって外径が小さくなっているテーパ状の金属製線材である。コアワイヤ50が基端側に引かれると、拡張体20が径方向に拡張し(後述の図3参照)、コアワイヤ50が先端側に押されると、拡張体20が径方向に収縮する(図1参照)。
拡張体20における基端側部分には、薄厚で可撓性を有する誘導膜60が形成されている。誘導膜60は、拡張体20における基端側部分の内周側および外周側を全周にわたって覆うように筒状に形成されている。すなわち、拡張体20における基端側部分(拡張用素線)の全体が誘導膜60内に埋設されている。誘導膜60の先端62は、軸方向において拡張体20の中央付近まで延びており、誘導膜60の基端64は、シャフト10の先端まで延びている。誘導膜60の形成材料としては、例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマ等の樹脂が用いられる。
A-2.拡張体20の詳細構成:
図2は、拡張体20の縦断面構成を拡大して示す説明図である。なお、図2では、拡張体20の内周面側の構成とシャフト10の基端側部分とが省略されている。
図2は、拡張体20の縦断面構成を拡大して示す説明図である。なお、図2では、拡張体20の内周面側の構成とシャフト10の基端側部分とが省略されている。
図2に示すように、カテーテル100は、さらに、補強体70を備えている。補強体70は、拡張体20の基端側部分の内周側に配置されている。補強体70は、複数の補強用素線を編組して筒状に形成された編組体である。すなわち、補強体70は、拡張体20の基端側部分の全周にわたって配置されている。
具体的には、補強体70は、補強用素線71,72を有している。補強用素線71,72は、カテーテル100の中心軸の周りに螺旋状に形成されている。補強用素線71と補強用素線72との巻回方向は互いに逆であり、かつ、互いに交差するように配置されている。このような構成により、補強体70は、径方向に拡張および収縮が可能に形成されている。補強用素線71,72の形成材料としては、例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、ポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマ等の樹脂が用いられる。補強用素線71,72は、誘導膜60よりも硬い材料により形成されていてもよい。また、補強用素線71,72は、誘導膜60よりも弾性率が高い材料により形成されていてもよい。また、補強用素線71,72は、単線でもよいし、複数の線材を平行に配置した平行線でもよいし、複数の線材を撚った撚り線でもよい。
補強体70における補強用素線の各隙間(網目)の開口面積は、拡張体20における拡張用素線の各隙間(網目)の開口面積よりも小さい。具体的には、補強体70において互いに隣り合う補強用素線同士(補強用素線71同士、補強用素線72同士)の軸方向における離間距離D2は、拡張体20において互いに隣り合う拡張用素線(拡張用素線21同士、拡張用素線22同士)の離間距離D1よりも短い。なお、本明細書における「開口面積」とは、拡張体20を最大径まで拡張させた状態における拡張用素線21,22または補強用素線71,72の各隙間の開口面積を意味する。補強用素線71,72の各隙間の開口面積は、拡張用素線21,22の各隙間の開口面積よりも小さくてもよく、例えば、拡張用素線21,22の各隙間の開口面積の1/4以下でもよい。
補強体70を構成する補強用素線71,72のピッチP2は、拡張体20を構成する拡張用素線21,22のピッチP1よりも短い。なお、「ピッチ」とは、拡張体20を最大径まで拡張させた状態における一の素線における1周巻回された部分の軸方向の距離である。
補強体70は、拡張体20の先端から基端まで軸方向の全長にわたって誘導膜60内に埋設されている。
A-3.カテーテル100の使用例:
図3は、拡張体20が拡張した状態のカテーテル100の縦断面構成を示す説明図である。図3では、カテーテル100の内、拡張体20については側面構成が示されている。また、拡張体20の詳細構成は省略されている。
図3は、拡張体20が拡張した状態のカテーテル100の縦断面構成を示す説明図である。図3では、カテーテル100の内、拡張体20については側面構成が示されている。また、拡張体20の詳細構成は省略されている。
例えば慢性完全閉塞や石灰化狭窄等のように、血管B(例えば右冠動脈)内に形成された病変部Lが部分的に非常に硬いと、一方側(図3のZ軸負方向側 以下、「アンテ側」という)から挿入したガイドワイヤ(図示しない)が病変部Lを貫通することができない場合がある。図3では、病変部Lのアンテ側が非常に硬いため、病変部Lのアンテ側に形成された孔(後述のバルーン拡張腔L1)が病変部Lの他方側(図3のZ軸正方向側 以下、「レトロ側」という)まで貫通せずにアンテ側から挿入したガイドワイヤが病変部Lの途中の位置にとどまっている。
そこで、まず、バルーンカテーテル(図示しない)が、病変部Lの途中まで挿入されたガイドワイヤを介してアンテ側から病変部L内に案内される。そして、バルーンカテーテルにおける収縮状態のバルーンを病変部Lに形成された孔に挿入し、バルーンを拡張させる。これにより、病変部Lのアンテ側にバルーン拡張腔L1が形成される。
次に、バルーンカテーテルを病変部Lのバルーン拡張腔L1から抜き出して、代わりに、カテーテル100における収縮状態の拡張体20(図1参照)を挿入し、図3に示すように、拡張体20を拡張させる。このように、病変部Lのバルーン拡張腔L1内において拡張体20を拡張させることにより、拡張体20がバルーン拡張腔L1内に保持される。
次に、レトロ用ガイドワイヤ80を、例えば左冠動脈から挿入し、左冠動脈から右冠動脈をつなぐように形成された側副血行路(コラテラルチャネル)を経由し、病変部Lのレトロ側から病変部L内に挿入させる。例えば、レトロ用ガイドワイヤ80の先端部は、病変部Lの比較的に柔らかい部分を通ってバルーン拡張腔L1に到達させることができる。ここで、バルーン拡張腔L1内においてレトロ用ガイドワイヤ80の先端部が進入する位置は、様々であり、予測が難しい。しかし、バルーン拡張腔L1内には拡張状態の拡張体20が挿入されている。このため、レトロ用ガイドワイヤ80の先端部は、拡張体20に形成された複数の隙間(網目)のいずれか(例えば図3のP)に挿入され捕獲される。
拡張体20内に挿入されたレトロ用ガイドワイヤ80の先端部は、誘導膜60によってカテーテル100のシャフト10内へと誘導される。これにより、病変部Lに貫通孔が形成される。その後、例えばバルーンカテーテルを病変部Lのレトロ側から病変部L内に挿入して病変部Lを拡張させるなどの治療を進めることができる。
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態におけるカテーテル100では、拡張体20の基端側部分の内周側に補強体70が配置されている(図2参照)。このため、本実施形態によれば、補強体70を備えない構成に比べて、拡張体20内に進入したレトロ用ガイドワイヤ80の先端が誘導膜60及び拡張体20を突き抜けて誘導不能になることを抑制することができる。また、補強体70は、複数の補強用素線71,72を編組して形成されている。このため、補強体70が例えば緻密なシート状である構成に比べて、柔軟性があるため、補強体70の存在に起因して拡張体20の拡張性が低下することを抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、拡張体20の拡張性の低下を抑制しつつ、レトロ用ガイドワイヤ80の突き抜けによる誘導不能を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態におけるカテーテル100では、拡張体20の基端側部分の内周側に補強体70が配置されている(図2参照)。このため、本実施形態によれば、補強体70を備えない構成に比べて、拡張体20内に進入したレトロ用ガイドワイヤ80の先端が誘導膜60及び拡張体20を突き抜けて誘導不能になることを抑制することができる。また、補強体70は、複数の補強用素線71,72を編組して形成されている。このため、補強体70が例えば緻密なシート状である構成に比べて、柔軟性があるため、補強体70の存在に起因して拡張体20の拡張性が低下することを抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、拡張体20の拡張性の低下を抑制しつつ、レトロ用ガイドワイヤ80の突き抜けによる誘導不能を抑制することができる。
本実施形態では、補強体70における補強用素線71,72間の隙間の開口面積は、拡張体20における拡張用素線21,22間の隙間の開口面積よりも小さい。このため、例えば補強用素線71,72間の隙間の開口面積が拡張用素線21,22間の隙間の開口面積以上である構成に比べて、レトロ用ガイドワイヤ80が補強体70を貫通しにくくなるため、レトロ用ガイドワイヤ80の突き抜けによる誘導不能を、より効果的に抑制することができる。
本実施形態では、補強体70を構成する補強用素線71,72のピッチP2は、拡張体20を構成する拡張用素線21,22のピッチP1よりも短い。このため、補強体70によって、拡張体20の過度な拡張に起因する破損等を抑制することができる。また、カテーテル100の製造段階において、補強体70のピッチP2を調整することにより、拡張体20の拡縮範囲を調整することができる。
本実施形態では、補強体70は、先端から基端まで軸方向の全長にわたって誘導膜60内に埋設されている。これにより、補強体70の一部が誘導膜60の内側に露出した構成に比べて、例えばレトロ用ガイドワイヤ80の先端部が補強体70に干渉してレトロ用ガイドワイヤ80の誘導性が低下することを抑制することができる。
B.第2実施形態:
図4は、本第2実施形態におけるカテーテル100aの拡張体20の縦断面構成を拡大して示す説明図である。なお、図4では、拡張体20の内周面側の構成とシャフト10の基端側部分とが省略されている。本第2実施形態のカテーテル100aの構成の内、上述した第1実施形態のカテーテル100と同一の構成については、同一符号を付すことによって、その説明を省略する。
図4は、本第2実施形態におけるカテーテル100aの拡張体20の縦断面構成を拡大して示す説明図である。なお、図4では、拡張体20の内周面側の構成とシャフト10の基端側部分とが省略されている。本第2実施形態のカテーテル100aの構成の内、上述した第1実施形態のカテーテル100と同一の構成については、同一符号を付すことによって、その説明を省略する。
図4に示すように、カテーテル100aでは、補強体70aの先端部は、誘導膜60aの内周面よりも外周側に位置している。このため、例えば誘導膜60aよりも内側に突出した補強体70aの先端部にレトロ用ガイドワイヤ80が干渉してレトロ用ガイドワイヤ80の誘導性が低下することを抑制することができる。
また、補強体70aのうち、先端部よりも基端側は、誘導膜60aよりも内側に位置し、誘導膜60aに対して独立に移動可能に配置されている。このため、例えば、補強体70aの先端部だけでなく補強体70aの全体が誘導膜60aに埋設された構成に比べて、誘導膜60aによって補強体70aの柔軟性(拡張体20の拡縮に対する追従性)が制約されることを抑制することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態におけるカテーテル100,100aの構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態において、カテーテル100は、弾性を有する素線により構成された自己拡張可能な拡張体を備え、拡張体は、シャフト10から先端側に押し出されることによって収縮状態から径方向に拡張する構成でもよい。
上記実施形態において、拡張体20を構成する拡張用素線21,22は、単線に限らず、例えば、複数の線材を平行に配置した平行線でもよいし、複数の線材を撚った撚り線でもよい。
上記実施形態において、誘導膜60は、拡張体20における基端側部分の内周側を全周にわたって覆うように筒状に形成された構成であったが、これに限らず、拡張体20における基端側部分の内周側のうち、周方向の一部分だけを覆う構成でもよい。また、誘導膜60は、拡張体20における基端側部分の内周側だけを覆う構成でもよいし、先端部だけが拡張体20に接合されており、先端部よりも基端側は拡張体20に接合されておらず、拡張体20に対して独立に移動可能な構成でもよい。
上記実施形態において、補強体70は、拡張体20の基端側部分の全周にわたって配置された構成であったが、これに限らず、拡張体20における基端側部分の内周側のうち、周方向の一部分だけに配置された構成でもよい。上記実施形態において、補強体70は、拡張体20と誘導膜60との間に配置された構成でもよい。
上記第2実施形態において、補強体70aの軸方向の中央部分は、誘導膜60aに対して独立に移動可能に配置され、補強体70aの基端部は、拡張体20aやシャフト10に接合された構成でもよい。これにより、例えば、補強体70aの先端部だけでなく中央部分が誘導膜60aに埋設された構成に比べて、誘導膜60aによって補強体70aの柔軟性が制約されることを抑制することができる。また、補強体70aの基端部が固定されていないことに起因して補強体70aの基端部の形状が変形してレトロ用ガイドワイヤ80の先端部が円滑にシャフト10内に挿入できなくなることを抑制することができる。
上記実施形態において、補強体70における補強用素線71,72間の隙間の開口面積は、拡張体20における拡張用素線21,22間の隙間の開口面積と同じでもよいし、それよりも小さくてもよい。このような構成でも、拡張体20の網目に対する補強体70の網目の位置のずれによって、拡張体20の網目内に補強体70の補強用素線71,72が位置することで、レトロ用ガイドワイヤ80が補強体70を貫通しにくくなるため、レトロ用ガイドワイヤ80の突き抜けによる誘導不能を抑制することができる。
上記実施形態において、補強体70を構成する補強用素線71,72のピッチP2は、拡張体20を構成する拡張用素線21,22のピッチP1と同じでもよいし、それよりも長くてもよい。なお、この場合、図4の構成では、補強体70aの両端を溶融または接着剤で固定されていることが好ましい。具体的には、補強体70aの先端側を、誘導膜60aの先端部を固定しておいて、補強体70aの基端側を、組付け前に熱または高周波による融着もしくは接着剤で補強用素線71,72同士を固定しておくことが好ましい。
これにより、例えば補強用素線71,72のピッチP2が拡張用素線21,22のピッチP1よりも短い構成に比べて、拡張体20に対する補強体70の柔軟性が高いため、補強体70の存在に起因して拡張体20の拡張性が低下することを、より効果的に抑制することができる。
これにより、例えば補強用素線71,72のピッチP2が拡張用素線21,22のピッチP1よりも短い構成に比べて、拡張体20に対する補強体70の柔軟性が高いため、補強体70の存在に起因して拡張体20の拡張性が低下することを、より効果的に抑制することができる。
上記実施形態のカテーテル100,100aにおける各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
10:シャフト 12:ポート 20,20a:拡張体 21,22:拡張用素線 30:コネクタ 40:先端チップ 42:挿通孔 50:コアワイヤ 60,60a:誘導膜 62:先端 64:基端 70,70a:補強体 71,72:補強用素線 80:レトロ用ガイドワイヤ 100,100a:カテーテル B:血管 D1,D2:離間距離 L1:バルーン拡張腔 L:病変部 P1,P2:ピッチ S:ルーメン
Claims (6)
- カテーテルであって、
中空状のシャフトと、
前記シャフトの先端部に接続され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の拡張用素線によって径方向に拡縮可能に形成されている筒状の拡張体と、
前記拡張体における基端側部分の内周側を覆う誘導膜と、
前記拡張体の前記基端側部分に配置され、互いに隙間を開けるように編み込まれた複数の補強用素線を編組して形成されている補強体と、
を備える、カテーテル。 - 請求項1に記載のカテーテルであって、
前記補強体における前記補強用素線間の隙間の開口面積は、前記拡張体における前記拡張用素線間の隙間の開口面積よりも小さい、
カテーテル。 - 請求項1または請求項2に記載のカテーテルであって、
前記補強体を構成する前記補強用素線のピッチは、前記拡張体を構成する前記拡張用素線の間隔よりも長い、
カテーテル。 - 請求項1または請求項2に記載のカテーテルであって、
前記補強体を構成する前記補強用素線のピッチは、前記拡張体を構成する前記拡張用素線の間隔よりも短い、
カテーテル。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のカテーテルであって、
前記補強体の先端部は、前記誘導膜の内周面より外周側に位置している、
カテーテル。 - 請求項5に記載のカテーテルであって、
前記補強体の内、前記カテーテルの軸方向の中央部分は、前記誘導膜に対して独立に移動可能に配置されている、
カテーテル。
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