JP2022112748A - セメント添加剤及びセメント組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】セメント組成物内における水を均一に分散させて自己収縮が均一に生じる効果を発揮させることのできるセメント添加剤、及び、このようなセメント添加剤を含むセメント組成物を提供すること。【解決手段】質量平均粒子径が特定範囲であるアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる粒子状架橋重合体を含有することを特徴とするセメント添加剤。【選択図】図1

Description

本発明は、セメント添加剤及びその用途に関する。より詳しくは、本発明は、特定の質量平均粒子径を有するアクリル酸および/またはその塩の架橋重合体架橋重合体を含有するセメント添加剤、当該セメント添加剤をセメントの自己収縮低減用に用いるセメント添加剤、及び、それを含むセメント組成物に関する。
土木・建築構造物等を構築するために用いられるセメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物には、セメントの他に、セメント組成物の流動性を高めるためにセメント分散剤が加えられ、さらに水が加えられている。
セメント分散剤として、炭素数4のアルケニル基を有する不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系モノマー由来の構成単位と、不飽和モノカルボン酸系モノマー由来の構成単位とを含む共重合体を必須とするセメント分散剤(特許文献1参照)等が開発され、分散性の発揮とともに、セメント組成物の硬化遅延の改善や、早期強度の発現を実現している。
また、ポリアクリル酸塩等の吸水性樹脂をセメントに配合することは従来から検討されており(特許文献2参照)、セメント硬化物の亀裂発生抑制に効果があることは知られている。
特開2002-121055号公報 特開昭56―69257号公報
"Effect of internal curing by using superabsorbent polymer(SAP) on autogenous shrinkage and other properties of a high-performance fine-grained concrete: result of a RILEM round-robin test", Materials and Structures (2014) 47:541-562 "Mitigating autogenous shrinkage in HPC by internal curing using superabsorbent polymers", International RILEM Conference on Volume Changes of Hardening Concrete: Testing and Mitigation 20-23 August 2006 "The influence of superabsorbent polymers on the autogenous shrinkage properties of cement pastes with supplementary cementitious materials", Cement and Concrete Research 74(2015) 59-67 "The use of superabsorbent polymers in high performance concrete to mitigate autogenous shrinkage in a large-scale demonstrator", Sustainability 2020,12(11),4741
セメント組成物においては、セメントの水和自身によって内部が乾燥する自己収縮という現象が存在する。セメント組成物の内部で水の分布が偏っていると、水が偏在している部位が大きく自己収縮し、水が偏在していない部位は自己収縮を生じない(もしくは収縮量が小さい)ため、コンクリートのひび割れが生じたりコンクリートの強度が低下したりすることがある。
特許文献1に記載のセメント分散剤用の共重合体は、セメントを水中に分散させるために用いられるものであり、セメント組成物中で水を均一に分散させる作用を有するものではない。また、上述した水の偏在による自己収縮の偏りの問題は、特許文献1に記載されたようなセメント分散剤を使用した場合にも生じる問題であった。
自己収縮については、日本コンクリート工学協会・自己収縮研究委員会において「セメント系材料において、セメントの水和により凝結開始以後に巨視的に生じる体積減少」と定義している。その中に「物質の侵入や逸散、温度変化、外力や外部拘束に起因する体積変化は含まれない」としている。すなわち、自己収縮とは応力伝達できるようになる凝結始発以降の硬化体の現象であること、空隙なども含めた巨視的な体積減少のこと、水分蒸発によって生実乾燥収縮や温度が降下する際に生じる温度収縮などを除く収縮のことを指している。したがって、
特許文献2に記載された吸水性ポリアクリル酸塩がセメント硬化物の亀裂発生を抑える結果は報告されているが、施工後の初期段階の急速な水逸散抑制を目的としており自己収縮低減の効果は確認できていなかった。
非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4には、吸水性樹脂製品をセメント物中に添加してセメント配合物の自己収縮特性を評価した結果が紹介されている。
しかし、これらの吸水性樹脂をセメントの自己収縮低減目的で添加する場合、吸水性樹脂がセメント組成物中で吸水することためセメント組成物の流動性が低下してしまい、実施行においては使用できない問題がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメント組成物内における流動性低下の影響が小さく、自己収縮が均一に生じる効果を発揮させることのできるセメント添加剤、及び、このようなセメント添加剤を含むセメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の質量平均粒子径を有するアクリル酸および/またはその塩の架橋重合体が、高吸水性作用を有しながらセメント組成物の流動性を低減させず、自己収縮低減性能を有することを見出して、本発明に想到した。
すなわち本発明は、特定の質量平均粒子径を有する、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる粒子状架橋重合体を含有することを特徴とするセメント添加剤である。
本発明はそして、上記セメント添加剤、セメント及び水を含むセメント組成物でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
〔セメント添加剤〕
本発明のセメント添加剤は、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる粒子状架橋重合体を含有する。
〔架橋重合体〕
以下、本発明で使用する粒子状架橋重合体に使用する原料や反応条件等について説明する。また、本明細書における、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)、600μm未満で150μm以上の粒子の質量百分率、無加圧下吸収倍率(CRC)、セメント模擬液の吸収倍率、ボルテックス吸収速度(Vortex)、吸湿流動性は後述する実施例に記載する方法によって測定した数値とする。
(1)架橋重合体およびその製造方法
本発明で架橋重合体とはアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる架橋重合体が用いられる。なお、アクリル酸及び/またはその塩をを主成分とする不飽和単量体を重合した後に、架橋剤により架橋反応して得られる架橋重合体であってもよい。また、必要により添加剤や水などを含有していてもよい。
以下、本発明の粒子状架橋重合体の製造方法、さらには本発明の粒子状架橋重合体について順次説明する。
(2)不飽和単量体
架橋重合体を構成する不飽和単量体(以下、単に単量体と略する場合がある。)としては、アクリル酸および/またはその塩を主成分として使用するが、その他の単量体を併用してもよい。このような他の単量体としては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体等を共重合成分とするものも含まれる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明で「アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体」とは、不飽和単量体のうち50モル%以上がアクリル酸及び/又はその塩であることを意味する。本発明でアクリル酸(塩)以外の単量体を併用する場合、本発明を達成するため、該アクリル酸(塩)以外の単量体の使用割合は、アクリル酸及びその塩との合計量に対して、好ましくは0~30モル%、より好ましくは0~10モル%、最も好ましくは0~5モル%の割合である。
なお、アクリル酸などの酸基含有不飽和単量体は、その塩としてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられるが、得られる架橋重合体の性能、工業的入手の容易さ、安全性等の面からナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。アクリル酸などの酸基含有不飽和単量体は、物性面およびpH面から酸基が中和されることが好ましく、酸基の中和率は、通常20~100モル%、さらには好ましくは30~95モル%、より好ましく40~80モル%である。なお、酸基の中和は単量体を含む水溶液で行ってもよいし、重合途中や重合体を得てから行ってもよいし、それらを併用しても良い。
(3)内部架橋剤
本発明で使用する架橋重合体の架橋構造の形成は、架橋性単量体を使用しない自己架橋型であってもよく、いわゆる架橋性単量体などの内部架橋剤を使用してもよい。物性面からは、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させることが好ましい。なお、架橋重合体であるため水不溶性となる。
これら内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N´-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これら内部架橋剤は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、これら内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。少なくとも1種または2種類以上の内部架橋剤を使用する場合には、最終的に得られる粒子状の架橋重合体の吸収特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に必須に用いることが好ましい。
これら内部架橋剤の使用量は前記単量体(内部架橋剤を除く)に対して、好ましくは0.001~2モル%、より好ましくは0.005~0.5モル%、さらに好ましくは0.01~0.2モル%、特に好ましくは0.03~0.15モル%の範囲内とされる。上記内部架橋剤の使用量が0.001モル%よりも少ない場合、並びに、2モル%よりも多い場合には、充分な吸収特性が得られないおそれがある。
上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
(4)重合開始剤
本発明に用いられる架橋重合体を得るために上述の単量体を重合するに際して使用される開始剤としては過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤や、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン等の光重合開始剤を用いることができる。これら重合開始剤の使用量は物性面から0.001~2モル%、好ましくは0.01~0.1モル%(対全単量体)である。これらの重合開始剤が0.001モル%未満の場合には未反応の残存単量体が多くなり、一方重合開始剤が2モル%を超える場合には重合の制御が困難となるので好ましくない。
(5)重合方法
本発明ではバルク重合や沈殿重合を行うことが可能であるが、物性面から上記単量体を水溶液とすることによる水溶液重合や逆相懸濁重合を行うことが好ましい。単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体の濃度は、水溶液の温度や単量体によって決まり、特に限定されるものではないが、好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%である。また、上記水溶液重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。水溶液重合の場合、通常、得られた架橋重合体は、重合中、及び/又は、重合後に粉砕される。
上記の重合を開始させる際には、前述の重合開始剤を使用して開始させる。また、前述重合開始剤の他にも紫外線や電子線、γ線などの活性エネルギー線を単独あるいは重合開始剤と併用しても良い。重合開始時の温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、15~130℃の範囲が好ましく、20~120℃の範囲が好ましい。
なお、逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている。水溶液重合は分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号、同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号,同0922717号などの欧州特許に記載されている。これら重合法に例示の単量体や開始剤なども本発明では適用できる。
本発明の架橋重合体は、前記したように酸基の中和率は、通常20~100モル%であるが、不飽和単量体の重合工程においては、不飽和単量体を未中和のまま重合し、重合後に中和してもよく、予め中和した不飽和単量体を使用して重合してもよい。従って、単量体水溶液の不飽和単量体の中和率は、0~100%のいずれの範囲でも行なうことができる。
(6)連鎖移動剤
本発明の製法では、重合時に連鎖移動剤が使用されてもよい。前述の前記不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤に加えて水溶性連鎖移動剤を存在させて重合することで、得られる架橋重合体を本発明に用いた場合、自己収縮低減効果に優れた安定なセメント構造体を得ることが可能になる。連鎖移動剤が併せて使用される場合、使用する内部架橋剤量を多くすることができる。その結果、架橋密度が高くなるため、セメント組成物の流動性を維持することが可能なセメント添加剤を得ることができる。
本発明で重合に使用する水溶性連鎖移動剤としては、水または水溶性エチレン性不飽和単量体に溶解するものであれば特に限定されず、チオール類、チオール酸類、2級アルコール類、アミン類、次亜燐酸(塩)類などを挙げることが出来る。具体的には、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、ドデシルメルカプタン、チオグリコール類、チオリンゴ酸、3-メルカプトプロピオン酸、イソプロパノール、次亜燐酸ナトリウム、蟻酸、およびそれらの塩類が使用され、これらの群から選ばれる1種または2種以上が用いられるが、その効果からリン系連鎖移動剤、特に次亜燐酸ナトリウムなどの次亜燐酸塩を用いることが好ましい。
水溶性連鎖移動剤の使用量は水溶性連鎖移動剤の種類や使用量、単量体水溶液の濃度にもよるが、全単量体に対して0.001~1モル%であり、好ましくは0.005~0.3モル%である。使用量が0.001モル%未満では、添加効果が確認できなくなる。また1モル%を超えて使用すると水可溶成分量が増加し、かえって安定性が低下するので好ましくない。連鎖移動剤は、単量体水溶液に溶解してから重合を行なってもよく、重合途中に逐次添加してもよい。
(7)乾燥
上記重合方法で得られた架橋重合体は、含水ゲル状架橋重合体であり、必要に応じてゲルを粉砕し、さらに乾燥される。乾燥は通常、熱媒温度として60℃~250℃、好ましくは100℃~220℃、より好ましくは120℃~200℃の温度範囲で行われる。乾燥時間は重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。なお、本発明では、乾燥後の架橋重合体を使用する。
本発明に用いることのできる架橋重合体の含水率は特に限定されないが、室温でも流動性を示す粒子であり、より好ましくは含水率が0.2~30質量%、さらに好ましくは0.3~15質量%、特に好ましくは0.5~10質量%の粉末状態である。含水率が高くなってしまうと、流動性が悪くなり製造に支障をきたすばかりか、架橋重合体が粉砕できなくなったり、特定の粒度分布に制御できなくなってしまう恐れがある。なお、架橋重合体の含水率は、架橋重合体に含まれる水分量で規定され、180℃で3時間の乾燥減量で測定したものである。
用いられる乾燥方法としては、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等目的の含水率となるように種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
前記の製法で得られた、本発明で使用する架橋重合体は粉末として取り扱えるのであれば、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状、不定形状、造粒粒子状、多孔質構造を有する粒子等特に限定されるものではないが、粒度制御のしやすさから粉砕工程を経ることが好ましく、この場合不定形破砕状のものが得られやすい。
(8)粉砕・分級および粒度制御、ならびに吸収倍率
本発明で使用する架橋重合体は、特定の粒度に調整される。
架橋重合体を下記の目的粒子径に制御する為に粉砕工程を経ることができる。このとき用いられる粉砕機としては、粉体工学便覧(粉体工学会編:初版)の表2.10で分類されている粉砕機種名の内、せん断粗砕機、衝撃粉砕機、高速回転式粉砕機に分類されるものであり、切断、せん断、衝撃、摩擦という粉砕機構の一つ以上の機構を有するものが好ましく使用でき、特に切断、せん断機構が主機構である粉砕機が好ましい。また、ロール転動型、ロールミル(ロール回転型)に分類されるものであり、粉砕機構として圧縮機構を有するものであっても、せん断、切断効果が強い場合には使用できる。上記した好ましい粉砕機の内でも、複数の回転刃と固定刃のせん断により粉砕する装置である事が好ましい。その回転刃の周速は、3.0~200m/秒、より好ましくは5.0~150m/秒である。このような高速回転刃による粉砕では微粉の発生量が少なくなるとともに、粉砕効率も高く、生産性に優れる。
本発明においては、含水率が0.2~30質量%の範囲にある乾燥された架橋重合体を上記粉砕機で粉砕する事により、150μm未満の微粒子の発生を極力少なくして、かつ、高い生産性で操作を行う事ができる。さらに、後述する、架橋重合体の回収の技術と組み合わせる事で、以下に示す本発明の好ましい粒子径が達成される。
本発明で使用する粒子状架橋重合体の粒径は、質量平均粒子径(ふるい分級で規定)が通常150~600μm、好ましくは200~500μm、より好ましくは200~400μm、特に好ましくは250~400μmに細かく制御され、かつ、150μm未満の粒子の割合が、通常0~50質量%、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~10質量%に制御される。
また600μm未満で150μm以上の粒子が全体の好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~100質量%、さらに好ましくは80~100質量%とされる。粒度分布の対数標準偏差(σζ)は好ましくは0.20~0.50、より好ましくは0.20~0.45、特に好ましくは0.20~0.40とされる。なお、過度に大きな架橋重合体を用いた場合、セメント添加剤に使用した場合、硬化体中に大きな空隙が発生し硬化特性が悪化するため好ましくない。また、セメント構造体の製造時に粒子数が少なくなるため、本発明の効果を示さない場合がある。
(9)架橋重合体微粒子の回収・再生
本発明では、従来よりも大きい粒子を得るため、及び、取り扱い性をよくするため、微粒子量(150μm未満の粒子)を低減する手法として、例えば、微粒子の回収・再生がなされる。
上記(8)の粉砕・分級によって取り出された架橋重合体の微粒子(例えば150μm未満の粒子)は、再度重合に使用する単量体溶液に戻し、または、多量の温水と混合して(上記微粒子と温水の質量比は5:4~3:7)再度含水ゲル状物質に戻し、その後乾燥・粉砕などして、目的とする架橋重合体の微粒子に再生することができる。このような技術の例示としては、米国特許6228930号、同5264495号、同4950692号、同5478879号、及び、欧州特許844270号がある。目的外の粒子を回収・再生すると廃棄量を低減することができる。
(10)表面架橋処理
本発明で用いられる粒子状架橋重合体は、前記工程で得られたものであってもよいが、さらに表面架橋することができる。本発明で使用する粒子状架橋重合体は、例えば、表面架橋によってその吸収倍率(CRC)が低下し、通常、表面架橋前の無加圧下吸収倍率(CRC)の95~50%、さらには90~60%にまで低下する。なお、無加圧下吸収倍率の低下は、架橋剤の種類や量、反応温度や時間などで適宜調整することができる。
本発明でいう表面架橋処理とは、粒子の表面近傍の架橋密度を粒子内部より高くする操作である。より具体的には架橋重合体に含まれる酸基またはその塩(例えばカルボキシル基またはその塩)と反応して結合を形成することが可能な官能基を分子中に2個以上有する化合物(表面架橋剤)を粒子表面に添加して、新たに架橋を形成させる操作である。
このような表面架橋処理をすることで、どのような吸収液でも粒子状架橋重合体を均一に分散させやすく好ましい。
本発明で用いることができる表面架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号などに例示されている表面架橋剤を用いることができる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドールなどのエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2-オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物等が挙げられ、これらの1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の効果を十分に発揮するためには、これらの表面架橋剤の中で多価アルコールを必須に用いることが好ましい。多価アルコールとしては、炭素数2~10のものが好ましく、炭素数3~8のものがより好ましい。
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、架橋重合体に対して、0.001~10質量%の範囲内が好ましく、0.01~5質量%の範囲内がより好ましい。
本発明で表面架橋を行う場合には、水を用いることが好ましい。この際、使用される水の量は、使用する架橋重合体の含水率にもよるが、架橋重合体に対して0.2~20質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.3~10質量%の範囲内である。また、水以外に親水性有機溶媒を用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合、その使用量は、架橋重合体に対して0~10質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは0~5質量%の範囲内、さらに好ましくは0~3質量%の範囲内である。
本発明において表面架橋を行う場合には、水及び/または親水性有機溶媒と表面架橋剤とを予め混合した後、次いで、その水溶液を架橋重合体に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧される液滴の大きさは、平均粒子径で0.1~300μmの範囲内が好ましく、0.1~200μmの範囲がより好ましい。
架橋重合体と該表面架橋剤、水や親水性有機溶媒を混合する際に用いられる混合装置としては両者を均一にかつ確実に混合するために、大きな混合力を備えていることが好ましい。上記の混合装置としては例えば、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー等が好適である。
表面架橋剤を混合後の架橋重合体は加熱処理されることが好ましい。加熱温度(熱媒温度または材料温度)は、好ましくは100~250℃の範囲内、より好ましくは150~250℃の範囲内であり、加熱時間は、1分~2時間の範囲内が好ましい。加熱温度と加熱時間の組み合わせの好適例としては、180℃で0.2~1.5時間、200℃で0.1~1時間である。
(11)その他添加剤
本発明にかかる粒子状架橋重合体は、吸湿時の流動性を確保するために無機微粒子、特に水不溶性無機微粒子を配合することが出来る。本発明に使用される無機粉末としては、具体的には例えば、二酸化珪素、酸化チタンまたは酸化アルミニウム等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、たとえばカオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。このうち二酸化珪素および珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が0.001~200μmの二酸化珪素および珪酸(塩)がさらに好ましい。このような無機微粒子を用いることにより、高湿度下でも架橋重合体が凝集することなく取り扱うことができ、コンクリート材料中に均一に配合できる。
(12)本発明の粒子状架橋重合体
上記製法を製法の一例とする本発明の粒子状架橋重合体は、以下の性能を有する。
すなわち、本発明の粒子状架橋重合体は、
アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる架橋重合体であって、
質量平均粒子径(D50)が150~600μmである粒子状架橋重合体、
である。
さらに詳細には、前記(8)で述べた粒度が適用される。
本発明において、粒子状架橋重合体の、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対する無加圧下吸収倍率(CRC)は好ましくは5g/g以上、より好ましくは10~70g/g、さらに好ましくは20~50g/g、さらに好ましくは30~40g/g、とされる。吸収倍率がこれらから外れると、フレッシュコンクリートの流動性への悪影響が懸念される。
本発明において、粒子状架橋重合体の、セメント模擬液の吸収倍率は好ましくは5g/g以上、より好ましくは10~70g/g、さらに好ましくは20~60g/g、さらに好ましくは35~50g/g、とされる。吸収倍率がこれらから外れると、フレッシュコンクリートの流動性への悪影響が懸念される。
本発明において、粒子状架橋重合体のボルテックス吸収速度は、好ましくは1~100秒、より好ましくは10~80秒、最も好ましくは20~60秒である。吸収速度が100秒を超える場合、液体を吸収し終わるのに時間がかかるため、混和化する場合に、液が均一になるのに時間がかかり、コンクリートの生産性が悪化する可能性がある。また、吸収速度が1秒未満の場合、混合が不十分なままゲル化して、十分に分散できない可能性がある。
本発明において、粒子状架橋重合体の吸湿流動性は、好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0~5質量%である。吸湿流動性が20質量%より大きい場合は、例えばコンクリート工場でコンクリートを製造する場合、粉体の流動性が悪くなるためコンクリートの製造が困難になるなどの弊害がある。これら吸湿流動性は前記の添加剤の使用で達成される。
以下、本発明のセメント添加剤を用いたセメント組成物について説明する。
〔セメント組成物〕
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント添加剤、セメント、及び、水を含むことを特徴とする。
セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。
骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
上記セメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比は特に限定されず、例えば、単位水量100~185kg/m、使用セメント量250~800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.1~0.7であることが好ましい。より好ましくは、単位水量100~175kg/m、使用セメント量250~800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.1~0.65である。このように本発明のセメント組成物は、貧配合~富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。また、本発明のセメント組成物は、比較的高減水率の領域、すなわち、水/セメント比(質量比)=0.10~0.5(好ましくは0.15~0.4)といった水/セメント比の低い領域においても、良好に使用することができる。さらに、本発明のセメント組成物は、超高強度コンクリートの領域、すなわち、水/セメント比(質量比)=0.10~0.30(好ましくは0.15~0.25)といった水/セメント比の極端に低い領域においても、流動性に悪影響を与えず良好に使用することができる。
また本発明のセメント組成物は、高減水率領域においても優れた諸性能を高性能で発揮でき、優れた作業性を有することから、例えば、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品(プレキャストコンクリート)用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等にも有効に適用できるものである。また、中流動コンクリート(スランプ値が22~25cmの範囲のコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50~70cmの範囲のコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効である。
上記セメント組成物において、本発明のセメント添加剤の配合割合としては、例えば、本発明の必須成分であるセメント添加剤(複数含む場合はその合計量)が、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01~1質量%となるように設定することが好ましい。
〔セメント分散剤〕
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント添加剤とは別に、通常使用されるセメント分散剤を更に含むことが望ましい。セメント分散剤は複数種類を併用することも可能である。セメント分散剤としては、従来公知のセメント分散剤を用いることができる。セメント分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸塩系;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸塩系;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系;ポリスチレンスルホン酸塩系等の分子中にスルホン酸基を有する各種スルホン酸系分散剤;特公昭59-18338号公報、特開平7-223852号公報に記載されるようなポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体から得られる共重合体;特開平10-236858号公報、特開2001-220417号公報、特開2002-121055号公報、特開2002-121056号公報、特開2018-111622号公報に記載のような不飽和(ポリ)アルキレングリコールエーテル系単量体、マレイン酸系単量体または(メタ)アクリル酸系単量体から得られる共重合体等の分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する各種ポリカルボン酸系分散剤;特開2006-52381号公報に記載のような(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸モノエステル系単量体、およびリン酸ジエステル系単量体から得られる共重合体等の分子中に(ポリ)オキシアルキレン基とリン酸基とを有する各種リン酸系分散剤、特表2008-517080号公報に記載のリン酸系分散剤などが挙げられる。中でも、セメント分散剤としては、本発明の効果が一層奏されることから、ポリカルボン酸系分散剤を用いることが好ましい。セメント分散剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記例示のセメント分散剤のうち、ポリカルボン酸系セメント分散剤が、減水性能に優れており、スランプ保持性能が良好であるので、特に好ましい。これにより、流動性に優れ、かつ強度および凍結融解に対する抵抗性等に優れたセメント組成物が得られる。
上記ポリカルボン酸系セメント分散剤は、不飽和カルボン酸(塩)を含む単量体成分を重合してなる重合体である。上記ポリカルボン酸系セメント分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;ポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートと、不飽和スルホン酸塩と、(メタ)アクリル酸塩とからなる単量体成分を共重合してなる共重合体;(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体;スルホネート基を有する(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸(塩)とからなる単量体成分を共重合してなる共重合体;ポリアルキレングリコールビニルエーテルまたはポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテルと、(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体;不飽和カルボン酸(塩)とポリアルキレングリコール鎖を有する単量体とを必須成分として含む単量体成分を重合してなる共重合体等が挙げられる。
上記例示のうちでも、不飽和カルボン酸(塩)とポリアルキレングリコール鎖を有する単量体とを必須成分として含む単量体成分を重合してなる共重合体が好ましい。上記の不飽和カルボン酸(塩)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等、およびこれらの中和物や部分中和物が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、ポリアルキレングリコール鎖を有する単量体の例としては、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル;エチレングリコールモノクロチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノクロチルエーテル;メトキシポリエチレングリコールモノクロチルエーテル等のアルコキシポリアルキレングリコールモノクロチルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、これらポリカルボン酸系セメント分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
上記セメント組成物において、セメント分散剤の配合割合としては、例えば、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01~10質量%となるように設定することが好ましい。0.01質量%未満では性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10質量%を超えると、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.02~5質量%であり、更に好ましくは0.05~3質量%である。なお、本明細書中、セメント分散剤の固形分含量は、以下のようにして測定することができる。
(固形分測定方法)
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固形分測定物の質量で除することで固形分を測定する。
〔セメント組成物中に含まれるその他の材料〕
本発明のセメント組成物には、例えば、水溶性高分子物質、高分子エマルジョン、遅延剤、早強剤・促進剤、鉱油系消泡剤、油脂系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、オキシアルキレン系消泡剤、アルコール系消泡剤、アミド系消泡剤、リン酸エステル系消泡剤、金属石鹸系消泡剤、シリコーン系消泡剤、AE剤、界面活性剤、防水剤、ひび割れ低減剤、膨張材、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ等の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
これらの材料の配合割合は、特に限定されるものではないが、セメント分散剤の固形分100質量%に対し、10質量%以下となるように設定することが好適である。
なお、本発明のセメント組成物を製造する場合、セメント添加剤、セメント、水を一度に混合してもよいし、セメントと水を混合した後にセメント添加剤を加えてもよい。また、セメント分散剤をセメント添加剤、セメント、水と一緒に加えてもよいし、別々に加えてもよい。セメント組成物中に含まれるその他の材料も、セメント添加剤、セメント、水と一緒に加えてもよいし、別々に加えてもよい。
本発明のセメント添加剤は、特定の質量平均粒子径を有するアクリル酸および/またはその塩の架橋重合体を含有するため、高吸水性作用を有しながらセメント組成物の流動性を低減させないため、水を吸水したセメント添加剤がセメント組成物中に偏在せずに均一に分散することによって、水をセメント組成物中に均一に分散させることができる。
その結果、セメントと水の水和がセメント組成物内で均一に生じるため、自己収縮がセメント組成物内で均一に生じ、コンクリートのひび割れや強度の低下が防止される。
また、水がセメント組成物中に均一に分散することによって、水が蒸発した後にコンクリート中に残る気孔の分布が均一となるため、コンクリートの強度が特定の部位で弱くなることがなくなるという効果も発揮され得る。添加した際のセメント組成物の粘度上昇を抑えることができているため、他の吸水性樹脂とはことなり配合の問題も生じない。
したがって、本発明のセメント添加剤を含むセメント組成物は、土木・建築分野等で好適に使用される。
図1は、自己収縮ひずみを測定する方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は、収率を除いて「質量%」を意味するものとする。
粒子状架橋重合体の諸性能は以下の方法で測定した。また、実施例において使用させる電気機器は全て100V、60Hzの条件で使用した。さらに、粒子状架橋重合体は特に指定がない限り、25℃±2℃、相対湿度50%RHの条件下で使用した。
(a)質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径600μm未満で150μm以上の質量百分率
粒子状架橋重合体を、850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、45μmのJIS標準ふるいで分級篩い分けし、粒子径600μm未満で150μm以上の質量百分率を実測するとともに、各粒度の残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50質量%に相当する粒径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。また、対数標準偏差(σζ)は下記の式で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
Figure 2022112748000002
なお、分級篩い分けは、粒子状架橋重合体10.00gを上記目開きのJIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径75mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、ES-65型ふるい振盪機)により5分間分級した。
なお、質量平均粒子径(D50)とは、米国特許5051259号公報などにあるように一定目開きの標準ふるいで粒子全体の50質量%に対応する標準ふるいの粒子径のことである。
(b)無加圧下吸収倍率(CRC)
粒子状架橋重合体0.20g(M1)を不織布製の袋(60mm×85mm)に均一に入れ、25±2℃に調温した0.90質量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬した。所定時間経過後30分に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン製、型式H-122小型遠心分離機)を用いて250G(250×9.81m/s2)で3分間水切りを行った後、袋の質量M3(g)を測定した。また、粒子状架橋重合体を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量M2(g)を測定した。そして、これら質量M1~M3から、次式に従って、無加圧下吸収倍率(g/g)を算出した。
Figure 2022112748000003
(c)セメント模擬液の吸収倍率
前記無加圧下吸収倍率(CRC)において、吸収させる液をセメント模擬液に変更し、遠心分離の代わりに表面水を紙ワイパー(商品名:キムタオル、日本製紙クレシア株式会社製)で取り除いた以外は同様に操作、計算して、セメント模擬液の吸収倍率を求めた。なお、セメント模擬液は、カルシウムイオンが10mmol/L、ナトリウムイオンが100mmol/L、カリウムイオンが180mmol/L、水酸化物イオンが128mmol/L、硫酸イオンが86mmol/L含まれる水溶液である。
(d)ボルテックス吸収速度(Vortex)
予め調整された0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に1000質量部に食品添加物である食用青色1号0.02質量部を添加し、液温30℃に調整した。その生理食塩水50mlを100mlビーカーに計り取り、長さ40mmで太さ8mmの円筒型攪拌子で600rpmで攪拌する中に、粒子状架橋重合体2.0gを投入し、吸収速度(秒)を測定した。終点は、JIS K 7224(1996年)「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法 解説」に記載されている基準に準じ、架橋重合体が生理食塩水を吸液してスターラーチップを試験液で覆うまでの時間を吸収速度(秒)として測定した。
(e)吸湿流動性(吸湿ブロッキング率)(質量%)
粒子状架橋重合体2gを底面の直径52mm、高さ22mmのアルミニウムカップの底に均一に散布し、あらかじめ25℃、相対湿度90%に調整した恒温恒湿器(タバイエスペック製PLATIOOUS LUCIFER PL-2G)にすばやく入れ、60分間放置した。その後、吸湿した架橋重合体を直径7.5cm、目開き2000μmのJIS標準ふるいに移した。この時、吸湿した架橋重合体がアルミカップに強固に付着し、ふるいに移せない場合は、吸湿しブロッキングを起こした状態の粒子状架橋重合体を、できるだけ崩さないように注意しながら剥がし取ってふるいに移した。これをすぐに、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES-65型、SER.No.0501)により8秒間ふるい、ふるい上に残存した架橋重合体の質量W5(g)およびふるいを通過した粒子状架橋重合体の質量W6(g)を測定した。下記式により、吸湿流動性(質量%)を算出した。算出された値が低いほど、吸湿流動性に優れており、粉体の取り扱い性等が向上する。
Figure 2022112748000004
(f)粒子状架橋重合体の含水率
質量が既知である直径60mmのアルミ皿(W11[g])に架橋重合体を2.000g均一に散布し、180℃に加熱した無風乾燥機(東京理化機械株式会社性、EYELA natural oven NDO-450)内に3時間放置する。3時間後、上記アルミ皿を取り出し、デシケータ中で20分間放冷した後、質量(W12[g])を測定した。含水率は以下の計算式により算出した。
Figure 2022112748000005
[製造例1]粒子状架橋重合体1
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)7.5gを溶解した。次に、この単量体水溶液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気したのち、反応器に供給した。この反応器は、内容積10Lのシグマ型羽根を2本有する双腕型のジャケット付きステンレス製ニーダーに蓋を付けて形成した。反応液温を30℃に保ちながら、反応器内に窒素ガスを吹き込み、系内の溶存酸素が1ppm以下となるように窒素置換した。
続いて、単量体水溶液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液29.8g及びL-アスコルビン酸の0.2質量%水溶液21.8gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始された。重合を開始して60分後に、含水ゲル状架橋重合体を取り出した。
この含水ゲル状架橋重合体は、約1~5mmの粒子に細分化されていた。この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥し、乾燥物とした。
次いで、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに目開き425μmと106μmの金網で分級した。425μm以上の粒子は、全量が425μmの金網を通過するまで繰り返しロールミルで粉砕した。106μmの金網を通過した微粒子は、粉砕を行った全量に対して14質量%を占めていた。106μmの金網を通過した微粒子に、この粒子と同量の90℃の温水を90℃に加熱したモルタルミキサーで混合した。この混合物を、前記含水ゲル状架橋重合体と同条件で乾燥し、前記乾燥物と同条件で粉砕した。この粉砕物と、上記分級において目開き425μmの金網を通過し目開き106μmの金網上に残った分級物を全量混合し、不定形破砕状の架橋重合体を得た。
次いで、得られた架橋重合体100質量部に、表面架橋剤水溶液3.33質量部を混合した。この表面架橋剤水溶液は、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部、1,4-ブタンジオール0.3質量部、プロピレングリコール0.5質量部及び水2.5質量部からなる。この混合物を175℃に加熱されたモルタルミキサー内で40分間加熱処理し、目開きが600μmの金網を通過させることにより、表面架橋された架橋重合体を得た。
表面架橋された架橋重合体100重量部に日本アエロジル社製のヒュームドシリカAEROSIL200を0.3重量部加え均一に混合することで、粒子状架橋重合体1を得た。粒子状架橋重合体1の質量平均質量平均粒子径(D50)は315μm、600μm未満で150μm以上の粒子が92質量%、対数標準偏差(σζ)が0.361、CRCが35g/g、セメント模擬液の吸収倍率が40g/g、Vortexが37秒、含水率が5質量%、吸湿ブロッキング率が0質量%であった。
[製造例2]比較粒子状架橋重合体1
1000mlの円筒型セパラブルフラスコにアクリルアミド41.06g、アクリル酸18.74g、N,N-メチレンビスアクリルアミド0.19gおよび水91.20gを仕込み、均一に溶解させた。ここで、アクリル酸、アクリルアミドおよびN,N-メチレンビスアクリルアミドからなる単量体混合物中、アクリル酸31.00モル%、アクリルアミド68.85モル%、N,N-メチレンビスアクリルアミド0.15モル%である。フラスコ内を窒素置換したのち、湯浴上で45℃に加熱し、2%過硫酸ナトリウム水溶液24.80gおよび0.1%L-アスコルビン酸水溶液23.99gを添加し、攪拌を停止して重合させた。重合開始後発熱し、10分後に80℃まで上昇した。液温の上昇が停止した時点で浴温を80℃まで昇温させ、30分間熟成を行なった。得られたゲル状重合体をカッターを用いて細分化したのち、130℃で3時間熱風乾燥し、ミキサーで粉砕したのち分級を行った。分級は、特開2015-048386号公報の[117]~[119]と同様の操作で実施し、粉末状の比較架橋重合体1を得た。この比較架橋重合体1をセメント用添加剤として用いた。比較架橋重合体1の平均粒子径は50μm、600μm未満で150μm以上の粒子は0質量%、CRCは27g/g、セメント模擬液の吸収倍率は29g/g、含水率は5重量%、対数標準偏差は0.350であった。なお、比較架橋重合体は非常に微細な粒子のため、平均粒子径は以下のようにして測定した;レーザー回析式粒度分布装置HORIBA社製LA-920を使用し、分布形態:標準、粒子径基準:体積、グラフ形態:棒グラフ、に設定した後、試料バスにメタノールを入れて空気抜き及び光軸調整を行った。次にサンプルを試料バスに入れ、サンプルを投入したと同時に、超音波を2分かけた後、透過率が81~88%になるようサンプル濃度を調整した。測定は、サンプル濃度調整後、再度超音波処理を2分行った後に実施した。また、比較架橋重合体は非常に微細な粒子でそのままではCRCを測定できないので、CRCは粉砕途中の、質量平均質量平均粒子径(D50)が300~400μmであるときに測定した。
〔製造例3〕:分散剤1としての重合体の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水80.0部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら70℃まで加温した。次に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸エステル(エチレンオキシドの平均付加モル数9個)133.4部、メタクリル酸26.6部、メルカプトプロピオン酸1.53部およびイオン交換水106.7部の混合溶液を4時間かけて滴下し、それと同時に過硫酸アンモニウム1.19部とイオン交換水50.6部の混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下完了後1時間、70℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量100000の分散剤1の水溶液を得た。
〔製造例4〕:分散剤2としての重合体の製造
ジムロート冷却管、テフロン(登録商標)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に、3-メチル-3-ブテン-1-オール(イソプレノール)の水酸基にエチレンオキシドを付加(エチレンオキシドの平均付加モル数50)させたもの(以下、IPN-50と称す)(80%水溶液)198.2部、アクリル酸0.32部、過酸化水素水(2%水溶液)12.47部、イオン交換水44.75部を仕込み、250rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら58℃まで加温した。次に、アクリル酸27.12部、イオン交換水108.5部からなる混合溶液を3時間かけ滴下し、それと同時にL-アスコルビン酸0.74部、3-メルカプトプロピオン酸1.61部、イオン交換水86.31部からなる混合溶液を3時間30分かけて滴下した。滴下完了後1時間、58℃に保って重合反応を完結させた。そして、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、質量平均分子量140000の分散剤2の水溶液を得た
製造例1~2で調製した粒子状架橋重合体1及び比較粒子状架橋重合体1についてコンクリート試験を行った。
(1)コンクリート調整方法
製造例1~2で調製した粒子状架橋重合体1及び比較粒子状架橋重合体1をセメント添加剤として加えたモルタル、及び、架橋物を加えないモルタルを調製した。
粒子状架橋重合体1を加えた例を実施例1~2、比較粒子状架橋重合体1を加えた例を比較例3及び6とし、粒子状架橋重合体を加えない例を比較例2、4、5とした。
粒子状架橋重合体を加えた配合及び粒子状架橋重合体を加えない配合は以下の表1のようにした。
(コンクリート配合)
セメント組成物を[表1]のように調整した。
なお、セメント組成物の温度が20℃の測定温度になるように、測定に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の測定温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の測定温度雰囲気下で行った。また、セメント組成物中の気泡がセメント組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じてオキシアルキレン系消泡剤を用い、空気量が2.0%以下となるように調整した。
Figure 2022112748000006
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)もしくはシリカフュームセメント(宇部三菱社製)
水 :イオン交換水
砂 :大井川砂
石 :青海産砕石
分散剤:すべての試験において、セメントに対して0.08質量%(固形分)の分散剤を添加した。上記の水量は、本減水剤込みの重量である。
消泡剤:セメント1kgあたり1%消泡剤水溶液を20g添加した。
膨張材:ハイパーエクスパン(太平洋マテリアル社製)
(コンクリート混錬方法)
混錬は室温20±3℃、湿度60±5%環境下で実施した。
強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、フロー値と空気量を測定した。なお、フロー値と空気量の測定は、日本工業規格(JISA-1101、1128)に準拠して行った。また、セメント分散剤の添加量は、フロー値が520mm~620mmになる添加量とした。
(自己収縮ひずみ測定方法)
フロー値と空気量を測定した後、自由ひずみ試験用試料を作成し、以下の条件にて、自由ひずみを測定した。
自己収縮ひずみは、ひずみゲージ(型式:PMFL-60T(株式会社東京測器研究))およびデータロガー(型式:KMC-70-120-H3(共和電業))を使用して測定した。
図1は、自己収縮ひずみを測定する方法を示す模式図である。
コンクリート供試体型枠に詰めた直後を収縮ひずみ量測定の起点とした。
ひずみ測定の手順は以下の通りとした。
(1)調整したコンクリートのフロー値および空気量が所定の値であることを確認した。
(2)図1のとおりひずみゲージを取り付けたポリプロピレン製の容器(φ100×200mm)に底から約100mmまで2回に分けてコンクリートを充填した。各充填ごとに鋼製の突き棒(φ9×300mm)を用いて15回突いた後、容器の周囲を木槌で数回軽くたたき、コンクリートを均一に充填させた。
(3)モルタル充填後、ポリ塩化ビニリデンシートでふたをし、20±2℃で1日保管、30分間隔でひずみ値を、約1日後に型枠から脱型しアルミ蒸着されたジップ袋に封入し約6日間4時間間隔でひずみ値を測定した。
(収縮ひずみ量の計算)
収縮ひずみ量は、各測定時間および起点のひずみ値を用いて、以下の式により実施した。
[収縮ひずみ量(×10―6)]=[各測定時間のひずみ値]-[起点のひずみ値]
コンクリート試験結果と収縮ひずみ量の結果を表2に示した。
表2中、架橋物添加量はセメント質量の全量100質量%に対する架橋物の添加量(質量%)を示す。
また、モルタル中の空気量は全ての例において2%未満であった。
Figure 2022112748000007
Figure 2022112748000008
粒子状架橋重合体1を添加した実施例1~2では、いずれの場合も7日後の収縮ひずみが比較例1、比較例4と比べて小さくなっており、本発明のセメント添加剤は自己収縮低減に効果があることが判明した。また、既存技術である膨張材を配合した比較例2、比較例5と比べて、少量の添加量で顕著に自己収縮低減に効果があることも判明した。
さらに、比較粒子状架橋体1を用いた比較例3では、同一コンクリートフローにするためにセメント質量の全量100質量%に対して、セメント分散剤を2.32質量%も添加する必要があった。その上、比較例1以上の大きな自己収縮性が発現し、コンクリート供試体が大きくひずんでいることを確認した。比較粒子状架橋重合体1を用いた比較例6では、コンクリート組成物中の僅かな水をも吸水してしまうため、セメント質量の全量100質量%に対して、セメント分散剤を5.00質量%添加しても流動性が発現せず、自己収縮低減性を評価できなかった。

Claims (5)

  1. アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる粒子状架橋重合体を含有するセメント添加剤であって、架橋重合体の粒子状質量平均粒子径(D50)が150~600μmであることを特徴とするセメント添加剤。
  2. 自己収縮低減剤として用いる請求項1のセメント添加剤。
  3. 粒子状質量平均粒子径(D50)が150~600μmである、アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする不飽和単量体を重合・架橋することにより得られる粒子状架橋重合体の、
    セメントと水を含む組成物の自己収縮低減剤としての使用方法。
  4. 請求項1から2のいずれかに記載のセメント添加剤、セメント、及び水を含むことを特徴とするセメント組成物。
  5. セメントを分散させるためのセメント分散剤をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のセメント組成物。
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