JP3698782B2 - 空気量安定化剤およびセメント混和剤並びにセメント配合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連行空気量が経時的に増加するセメント配合物に供され、該連行空気量を経時的に安定化させる空気量安定化剤、および、空気量安定化剤とセメント分散剤とを含むセメント混和剤、並びに、空気量安定化剤を含むセメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント配合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント配合物には、ワーカビリティーの改善、高品質化、高強度化等の目的で、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等のセメント分散剤が用いられる。
【0003】
そして、セメント配合物のこれらの品質を確保し、かつ凍結融解に対する高い抵抗性を得るためには、いわゆる生コン工場で生コンを製造してから打設現場にて生コンを打設するまでの間、所定の連行空気量に変動がないことが強く要望されている。
【0004】
例えば、特開平4-2641号公報には、高性能減水剤、空気連行剤、および消泡剤を混合してなる混和剤を用いたコンクリートが開示されている。
【0005】
しかしながら、特にポリカルボン酸系セメント分散剤の様に連行空気量が経時的に増加するセメント分散剤では、その連行空気量の変動を抑えることは難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、セメント配合物に導入された連行空気量を経時的に安定化させる作用に優れた空気量安定化剤、および、セメント配合物の流動性を向上させると共に硬化時の強度および凍結融解に対する抵抗性等を向上させることができるセメント混和剤、並びに、空気量安定化剤を含有してなるセメント配合物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、空気量安定化剤について鋭意検討した結果、公知の消泡剤を吸水性樹脂に含ませてなる空気量安定化剤が、該消泡剤を徐放する作用を有することを見い出すとともに、該空気量安定化剤をセメント配合物に対して添加することにより、セメント配合物の連行空気量の経時的な変動を効率的に安定化することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、上記の課題は、(1)公知の消泡剤を吸水性樹脂に含ませてなることを特徴とする空気量安定化剤により達成される。
【0009】
また、本発明は、(2)該吸水性樹脂が、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、nは、平均で3〜50の正数を表す)
で表される単量体を必須成分として含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体であることを特徴とする上記(1)に記載の空気量安定化剤によって、より効果的に達成される。
【0010】
さらにまた、本発明は、(3)上記(1)または(2)に示す空気量安定化剤と、セメント分散剤とを含むことを特徴とするセメント混和剤によっても達成される。
【0011】
なお、本発明は、(4)少なくともセメントおよび水を含有するセメント配合物であって、上記(1)または(2)に示す空気量安定化剤を含有してなるセメント配合物によっても達成される。
【0012】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかるセメント配合物は、セメント、および、必要に応じて含まれる細骨材、粗骨材等の他の成分を、水を用いて混練してなる。セメント配合物としては、コンクリート、セメントモルタル、セメントペースト等が挙げられるが、特に限定されるものではない。尚、以下の説明においては、セメント配合物における水以外の成分をセメント材料と称することにする。
【0013】
上記セメントとしては、ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、混合セメント等の水硬セメントを用いることができるが、さらに石膏等の他の水硬材料を用いることもできる。これらセメントは、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0014】
本発明で用いられる吸水性樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。このような吸水性樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン、ポリビニルアセトアミド、イソブチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール等の合成樹脂系吸水性樹脂;セルロース、デンプン等の天然樹脂系吸水性樹脂等が挙げられる。尚、合成樹脂系吸水性樹脂については、後段にて詳述する。
【0015】
セメント配合物に対する吸水性樹脂の添加量は、消泡剤の種類や使用量等を考慮して設定すればよいが、セメント配合物中の混練水の量に対する吸水性樹脂の量が、10重量%以下となるように設定するのが好ましく、1重量%以下となるように設定するのが更に好ましい。吸水性樹脂の量が10重量%を超えると、大量の混練水が吸水性樹脂に吸水されるため、セメント配合物を混練することが困難となる。
【0016】
該吸水性樹脂に含ませる公知の消泡剤としては、セメント配合物中の気泡を消泡して、空気量を減少させることができるものであればよく、特に制限はない。消泡剤としては、ポリオキシアルキレン系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、エステル系消泡剤、アミド系消泡剤等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレン系消泡剤が、セメント配合物の空気量をより一層効率的に減少させることができるので、特に好ましい。
【0017】
上記ポリオキシアルキレン系消泡剤としては、例えば、(ポリ)オキシエチレン−(ポリ)オキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2-エチルヘキシルエーテル、ブタノールに対するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物、炭素数12〜14の高級アルコールに対するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアリールエーテル類;2,4,7,9-テトラメチル -5-デシン -4,7-ジオール、2,5-ジメチル -3-ヘキシン -2,5-ジオール、3-メチル -1-ブチン -3-ジオール等のアセチレンアルコール類;アセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させてなるアセチレンエーテル類等が挙げられる。これら消泡剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0018】
セメント配合物に対する消泡剤の添加量は、セメントに対して 0.001〜10000 ppm の範囲内が好ましく、0.02〜5000 ppmの範囲内がより好ましい。消泡剤の含有量が0.001ppm未満であると、セメント配合物中の空気を消泡することが困難となり、セメント配合物の空気量が過剰となるので、硬化後のセメント配合物の強度が低下する。一方、消泡剤の含有量が10000ppmを超えると、セメント分散剤の性能が低下して、流動性の良いセメント配合物が得られにくくなる。また、セメント配合物の空気量が不足するので、硬化後のセメント配合物が凍結融解に対する抵抗性に乏しくなる。
【0019】
消泡剤を吸水性樹脂に含ませるには、消泡剤単独、または、溶媒に消泡剤を溶解させて得られる消泡剤溶液を吸水性樹脂に含浸すればよい。そのような溶媒としては、水、低級アルコール、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記溶媒の使用量は、特に限定されるものではなく、消泡剤や吸水性樹脂の種類等を考慮して設定すればよい。
【0020】
上記消泡剤(溶液)を吸水性樹脂に含浸させる方法は、特に限定されるものではない。すなわち、例えば、消泡剤(溶液)を容器に入れて、これに吸水性樹脂を添加する方法であってもよいし、吸水性樹脂を容器に入れて、これに消泡剤(溶液)を添加する方法であってもよい。
【0021】
消泡剤(溶液)を含浸した吸水性樹脂は、そのまま空気量安定化剤として使用することができるが、該空気量安定化剤を乾燥し、溶媒を除去して、固形状の空気量安定化剤とすることもできる。上記の固形状の空気量安定化剤は、粉砕されて粉末状となっていることが好ましい。
【0022】
セメント材料を水を用いて混練してなるセメント配合物に空気量安定化剤を添加する方法は、特に限定されない。即ち、粉末状あるいは溶媒を含んだ空気量安定化剤をセメント材料に予め添加してもよいし、混練前のセメント配合物に該空気量安定化剤を添加してもよいし、混練水に該空気量安定化剤を添加してもよいし、セメント分散剤に該空気量安定化剤を予め混合して用いてもよい。
【0023】
上記セメント配合物には、流動性を高めて、作業性を向上させるために、さらにセメント分散剤を添加するのが好ましい。上記セメント分散剤としては、ポリカルボン酸系セメント分散剤;樹脂酸塩、オキシカルボン酸塩等のカルボン酸塩系セメント分散剤;ポリオール複合体;リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸またはその塩(以下、酸またはその塩を、酸(塩)と記す)のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸(塩)ホルマリン縮合物、ナフタリンスルホン酸(塩)ホルマリン縮合物等のスルホン酸(塩)系セメント分散剤等が挙げられる。これらセメント分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0024】
上記例示のセメント分散剤のうち、ポリカルボン酸系セメント分散剤が、減水性能に優れており、スランプ保持性能が良好であるので、特に好ましい。よって、上記空気量安定化剤とポリカルボン酸系セメント分散剤とを含むセメント混和剤をセメント配合物に添加するのが好ましい。これにより、流動性に優れ、かつ強度および凍結融解に対する抵抗性等に優れたセメント配合物が得られる。
【0025】
上記ポリカルボン酸系セメント分散剤は、不飽和カルボン酸(塩)を含む単量体成分を重合してなる重合体である。その中でも、不飽和カルボン酸(塩)とポリアルキレングリコール鎖を有する単量体とを必須成分として含む単量体成分を重合してなる共重合体が好ましい。上記の不飽和カルボン酸(塩)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等、およびこれらの中和物や部分中和物が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、ポリアルキレングリコール鎖を有する単量体の例としては、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル;ポリエチレングリコールモノクロチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノクロチルエーテル等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノクロチルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0026】
上記ポリカルボン酸系セメント分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;ポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテルまたはポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートと、不飽和スルホン酸塩と、(メタ)アクリル酸塩とからなる単量体成分を共重合してなる共重合体;(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体;スルホネート基を有する(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸(塩)とからなる単量体成分を共重合してなる共重合体;ポリアルキレングリコールビニルエーテルまたはポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテルと、(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体等が挙げられる。これらポリカルボン酸系セメント分散剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0027】
セメント配合物に対するセメント分散剤の添加量は、0.01〜1重量%の範囲内が好ましく、0.02〜0.7 重量%の範囲内がより好ましい。セメント分散剤の添加量が、0.01重量%未満であると、セメント配合物の流動性が悪くなるおそれがある。逆に、セメント分散剤の添加量が、1重量%を超えても、添加量に見合うだけのセメント配合物の流動性の向上が見られないため、経済的に不利である。
【0028】
上記セメント配合物には、空気量を調節するために、さらに空気連行剤を添加してもよい。
このような空気連行剤としては、セメント配合物中に独立した無数の空気泡を連行して、セメント配合物の空気量を増加させることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、ヴィンソル等の天然の樹脂酸類;ラウリン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類;高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等の合成エーテル類;ポリオキシエチレンソルビタンオレエート等のエーテルエステル類等が挙げられる。これら空気連行剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0029】
セメント配合物に対する空気連行剤の添加量は、セメントに対して 0.001〜10重量%の範囲内が好ましく、 0.005〜1重量%の範囲内がより好ましい。空気連行剤の含有量が 0.001重量%未満であると、空気連行性に乏しくなり、セメント配合物の空気量が不足するおそれがある。このため、硬化後のセメント配合物が凍結融解に対する抵抗性に乏しくなるおそれがある。一方、空気連行剤の含有量が10重量%を超えると、セメント配合物の空気量が過剰となって、硬化後のセメント配合物の強度が低下するおそれがある。
【0030】
尚、セメント配合物は、さらに他の公知のセメント混和剤、例えば、発泡剤、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、凝結遅延剤、早強剤、急結剤、水溶性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤等を含んでいてもよい。これら混和剤を添加することにより、セメント配合物に種々の機能を付与することができる。
【0031】
以下に、吸水性樹脂として用いられる合成樹脂系吸水性樹脂について詳述する。
合成樹脂系吸水性樹脂(以下、単に吸水性樹脂と称する)は、親水性単量体を必須成分として含有する単量体成分を重合させてなる架橋重合体である。上記親水性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、およびこれらの中和物や部分中和物;2-アクリルアミド -2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、3-スルホプロピル(メタ)アクリレート、1-スルホプロパン-2- イル(メタ)アクリレート、2-スルホプロピル(メタ)アクリレート、1-スルホブタン -2-イル(メタ)アクリレート、3-スルホブタン -2-イル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸、およびこれらの中和物や部分中和物;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ベンジルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル;ポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリブチレングリコール(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコール(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテル等のポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル;N-(1,1-ジメチル-3- オキソブチル)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩等のカチオン系不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸;アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、ポリエチレングリコールモノイソプレニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレニルエーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、ポリエチレングリコールモノプレニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノプレニルエーテル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノアリルエーテル、ビニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体等が挙げられる。尚、上記の不飽和カルボン酸および不飽和スルホン酸の中和物や部分中和物は、相当する化合物を、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、カルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニア、または有機アミンにより中和することにより得られる。これら親水性単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0032】
これら親水性単量体のうち、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、nは、平均で3〜50の正数を表す)
で表される(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル系単量体を必須成分として含む単量体成分が最も好ましい。
【0033】
従って、上記例示の親水性単量体のうち、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ベンジルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。これら(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよく、さらには(メタ)アクリル酸等の他の親水性単量体と混合して用いてもよい。
【0034】
これにより、吸水性樹脂が、さらに効率的に消泡剤を徐放することができる。また、上記構成の吸水性樹脂は、ノニオン性の界面活性剤からなる消泡剤を、特に効率的に徐放することができる。
【0035】
尚、上記化合物の代わりに、例えばアルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートや、フェノキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、上記モル分率が50%未満である化合物、あるいは、例えば末端部分にヒドロキシル基を有するポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の化合物、即ち、末端部分が疎水性炭化水素基で構成されていない化合物を使用すると、得られる吸水性樹脂が消泡剤(溶液)を吸収しにくくなったり、吸水性樹脂が消泡剤を徐放しにくくなったりするため、好ましくない。
【0036】
上記単量体成分は、親水性単量体のみからなっていてもよいが、必要に応じて親水性単量体と共重合可能な疎水性単量体(以下、単に疎水性単量体と称する)を含んでいてもよい。必要に応じて用いられる疎水性単量体は、特に限定されるものではなく、種々の化合物が使用可能である。上記の疎水性単量体としては、ブチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、2−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル等を用いることができる。これら疎水性単量体は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよいが、単量体成分の親水性を維持するためには、全単量体中30%未満の使用量であることが好ましい。
【0037】
上記の架橋重合体は、単量体成分を、必要に応じて架橋剤、溶媒、および重合開始剤の存在下、例えば、溶液重合法や懸濁重合法、逆相懸濁重合法等の公知の重合方法を用いて重合することにより得られる。また、いわゆる注型重合法、薄膜重合法、噴霧重合法、あるいは、双腕型ニーダーを反応器として用い、該ニーダーの剪断力により反応生成物を細分化しながら重合する重合法等を用いて重合することにより、架橋重合体を得ることもできる。
【0038】
上記単量体成分の重合は、得られる架橋重合体の架橋密度を任意の値に制御することができるように、架橋剤の存在下で行うのがより好ましい。上記の架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等の、一分子中にエチレン系不飽和基を2個以上有する化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物等が挙げられる。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0039】
上記の架橋剤のうち、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを構成するエチレンオキサイド(以下、EOと記す)の付加モル数は、4モル〜 100モルの範囲内が好ましく、架橋効率の点から、5モル〜50モルの範囲内が特に好ましい。
【0040】
尚、架橋剤として、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート以外の化合物を用いる場合においても、該化合物と共に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。
【0041】
上記単量体成分に対する架橋剤のモル比は、5×10-4〜1の範囲内が好ましく、1×10-2〜5×10-1の範囲内が特に好ましい。架橋剤のモル比が5×10-4よりも小さい場合には、得られる吸水性樹脂の架橋密度が小さくなり過ぎ、吸水性樹脂が消泡剤(溶液)を吸収しにくくなったり、吸水性樹脂が消泡剤を徐放しにくくなったりするおそれがある。架橋剤のモル比が1よりも大きい場合には、得られる架橋重合体の架橋密度が高くなり過ぎ、吸水性樹脂が消泡剤(溶液)を吸収しにくくなったり、吸水性樹脂が消泡剤を徐放しにくくなったりするおそれがある。
【0042】
そして、架橋剤としてポリエポキシ化合物を用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を 150℃〜 250℃で加熱処理することが好ましい。また、架橋剤としてポリエポキシ化合物を用いる場合には、重合反応後、得られた反応生成物を50℃〜 250℃で加熱処理することが好ましい。
【0043】
上記の重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等の水溶性アゾ化合物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等の有機系過酸化物等のラジカル重合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0044】
また、これら重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合わせることによりレドックス系開始剤とすることもできる。上記の還元剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が挙げられる。尚、重合開始剤を用いる代わりに、反応系に放射線や電子線、紫外線等を照射することにより重合反応を行ってもよい。
【0045】
上記単量体成分を重合させる際には、溶媒を用いることができる。上記の溶媒としては、単量体成分が溶解可能な液体、例えば、水、水と均一に混合する親水性の有機溶媒が挙げられ、該有機溶媒としては、例えば、メチルアルコールやエチルアルコール等の炭素数1〜4の低級アルコール、アセトン等の低級ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。尚、二種類以上の溶媒を混合する場合の混合比率は、親水性単量体の種類等を考慮に入れて適宜設定すればよい。また、逆相懸濁重合法により重合反応を行う場合には、疎水性の有機溶媒を用いることができる。
【0046】
上記溶媒の使用量、即ち、溶媒中の単量体成分の濃度は、特に限定されるものではなく、重合反応の制御の容易さ、経済性、反応収率等を考慮に入れて、設定すればよい。重合反応の反応温度は、親水性単量体、架橋剤、溶媒、および重合開始剤の種類や組み合わせ、使用量等にもよるが、反応が完結し、しかも、得られる架橋重合体の分子量が大きくなるように、比較的低温の方が好ましい。反応温度は、例えば、20℃〜 100℃の範囲内が好適である。尚、反応時間は、特に限定されるものではなく、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。また、上記の重合反応を行う際の重合容器等の反応器は、特に限定されるものではないが、重合反応後、得られた反応生成物を簡単に破砕(後述する)することができるように、いわゆる双腕型ニーダーが好ましい。
【0047】
また、反応系は、重合反応を行う際に、攪拌されていてもよく、また、静置されていてもよい。つまり、該反応系は、攪拌重合を行ってもよく、静置重合を行ってもよく、また、攪拌重合および静置重合を組み合わせて行ってもよい。このうち、静置重合を行うことが最も好ましい。静置重合を行うことにより、消泡剤(溶液)に対する吸液倍率に優れた架橋重合体を効率的に製造することができる。尚、静置重合を行う場合には、重合反応後、得られた反応生成物を破砕することが好ましい。
【0048】
重合反応により得られる反応生成物は、そのまま、あるいは必要に応じて、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜二チオン酸塩、亜硝酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の酸素含有還元性無機塩を添加して該反応生成物中の残留モノマー量を低下させた後、乾燥機等を用いて乾燥される。乾燥温度は、 100℃〜 160℃が好ましく、 120℃〜 140℃がさらに好ましい。また、減圧下で乾燥(減圧乾燥)するか、若しくは、不活性ガス気流下で乾燥することが特に好ましい。乾燥物である架橋重合体は、必要に応じて、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕される。乾燥温度が 100℃未満の場合には、反応生成物を充分に乾燥させるのに時間がかかるため、好ましくない。乾燥温度が 160℃を越える場合には、乾燥により得られる架橋重合体が熱により劣化し、該架橋重合体の吸水特性が低下する傾向があるため、好ましくない。
【0049】
本発明に用いられる架橋重合体は、所定形状に造粒されていてもよく、また、不定形破砕状、球状、鱗片状、繊維状、棒状、塊状等、種々の形状であってもよい。さらに、架橋重合体は、1次粒子であってもよく、また、1次粒子の造粒体であってもよい。架橋重合体の平均粒径は、用いる親水性単量体の種類や消泡剤の種類等を考慮に入れて適宜設定すればよい。尚、架橋重合体の造粒方法は、特に限定されるものではない。
【0050】
また、架橋重合体は、消泡剤(溶液)の浸透性や分散性等を向上させるために、表面に種々の加工や修飾(モディファイ)等が施されていてもよい。即ち、架橋重合体は、例えば、架橋重合体の表面近傍にさらに架橋構造を導入する表面処理等が施されていてもよい。さらに、架橋重合体は、加工性の改良および品質性能の向上等のために、必要に応じて、各種の添加剤が添加されていてもよい。
【0051】
これにより、架橋重合体、すなわち吸水性樹脂が得られる。
【0052】
以上のように、本発明にかかる空気量安定化剤は、消泡剤を吸水性樹脂に含浸せしめることによりなる。該空気量安定化剤は、水中において吸水し、吸収された水が消泡剤(溶液)を追い出し、よって、消泡剤を徐々に放出する。このような消泡剤の徐放は、該空気量安定化剤をセメント水中に加えた場合には、そのセメント水中に含まれる多価金属イオンによって吸水性樹脂が収縮するため、さらに効果的となる。すなわち、消泡剤が継続的にその機能を発揮して、セメント配合物の空気量を安定化し続けることができる。特にポリカルボン酸系セメント分散剤を含有するセメント配合物のように連行空気量が経時的に増加する場合には、その抑制効果は顕著である。しかしながら、このような徐放機構により、本発明の空気量安定化剤およびセメント混和剤並びにセメント配合物が、何ら制限を受けるものではない。
【0053】
次に、本発明に関わる上述の空気量安定化剤を含有してなるセメント配合物は、少なくともセメントおよび水を含有するセメント配合物であって、上述した空気量安定化剤を含有してなることを特徴とするものである。
【0054】
なお、セメント配合物に配合しうるセメントとしては、特に制限されるものではなく、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、ビーライト高含有セメント、各種混合セメント等の水硬セメントが挙げられる。また、セメント配合物に配合しうる細骨材および粗骨材についても、特に制限されるものではなく、現在使われているものから適宜選択して使用することができる。また、これらのセメント、細骨材および粗骨材の配合量に関しても、特に制限されるものではなく、使用する材料等に応じて、当業者により適宜決定されうるものである。
【0055】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。また、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示している。
【0056】
〔消泡剤の調製〕
実施例1〜4および比較例1で用いた消泡剤は、以下のようにして調製した。
【0057】
圧力計、温度計、攪拌羽根を備えた圧力容器に、1-ブタノール37部と水素化ナトリウム 0.2部とを仕込み、反応液とした。次いで、圧力容器内を窒素置換した。その後、反応液の温度を150 ℃に昇温し、エチレンオキサイド(以下、EOと記す)66部を徐々に添加した。これにより、ブタノールに対するポリオキシエチレン付加物を得た。次いで、反応液の温度を130 ℃に保ち、プロピレンオキサイド 609部を徐々に添加した。これにより、ブタノールに対するポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン付加物(以下、消泡剤(A)と記す)を得た。
【0058】
〔実施例1〕
内面が三フッ化エチレン樹脂でライニング処理された内容積10Lのジャケット付きニーダーに温度計を取り付けて反応器とした。上記のジャケットには温水が通水されるようになっている。この反応器に、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル系単量体としてのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EOの付加モル数:9モル)1100部、共重合単量体としてのメタクリル酸ナトリウムの43%水溶液3837部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(EOの付加モル数:8モル)20.9部、および、溶媒としてのイオン交換水 535部を反応液として供給した。上記のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートは、前記一般式(1)中のRがメチル基、Xがエチレンオキサイド、Yがメトキシ基、nが9のメタクリル酸エステルである。単量体成分におけるメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの含有量は、68%であった。また、単量体成分におけるメタクリル酸ナトリウムの含有量は、32%であった。尚、上記反応液の曇点は、83℃であった。
【0059】
次いで、反応器内を窒素置換した後、ニーダーのブレードを回転して攪拌しながら、ジャケットに40℃の温水を通水して、反応液の温度(反応開始温度)を40℃に昇温した。そして、該反応液に、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩 7.2部を添加して重合を開始した。そして、添加後、10秒間攪拌し、その後、攪拌を停止して反応液を静置した。
【0060】
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の添加後、直ちに重合反応が開始され、79分間経過後に反応温度がピークに達して91℃となった。この間、ジャケットの温度は内容物と等しくなるように上昇した。続いて、ジャケットに80℃の温水を通水し、該反応液の温度を80℃に1時間保って、反応生成物である含水ゲル重合体を熟成した。熟成を終了した後、ニーダーのブレードを40 rpmの回転数で10分間回転させて、含水ゲル重合体を解砕した。次いで、上記のニーダーを反転させて含水ゲル重合体を取り出した。
【0061】
このようにして解砕された微細な粒径を有する含水ゲル重合体を、窒素気流下、150 ℃で4時間かけて乾燥した。次いで、乾燥物である架橋重合体を卓上簡易型粉砕機を用いて粉砕することにより、ポリオキシエチレン系吸水性樹脂(以下、吸水性樹脂(B)と記す)を得た。
【0062】
次に、別の容器に、消泡剤(A)3部を仕込み、水2997部を添加して、消泡剤(A)の 0.1%水溶液を調製した。続いて、該水溶液に対し、吸水性樹脂(B) 100部を添加し、吸水性樹脂(B)に消泡剤(A)の水溶液を吸液させた。これにより、吸水性樹脂が膨潤し、本発明にかかる空気量安定化剤を得た。
【0063】
上記の空気量安定化剤、ポリカルボン酸系セメント分散剤(FC−600S、株式会社日本触媒製)、空気連行剤(商品名「ヴィンソル」、山宗化学株式会社製)、セメントとしての秩父小野田普通ポルトランドセメント(比重3.16)、細骨材としての大井川産川砂(比重2.57)、粗骨材としての青梅産砕石(比重2.66)、および混練水としての水道水を、50リットルの強制練りミキサーを用いて混練した。これにより、セメント配合物としてのコンクリートを得た。尚、セメント配合物中の水/セメント比は52.0%、細骨材率は49%、セメント量は320kg/m3とした。
【0064】
セメント配合物中に含まれる消泡剤(A)の量は、セメントに対して2.6ppmであった。セメント配合物中に含まれる吸水性樹脂(B)の量は、セメントに対して 86.7ppmであった。セメント配合物中に含まれる空気連行剤の量は、セメントに対して 40.0ppmであった。セメント配合物中に含まれるポリカルボン酸系セメント分散剤の量は、セメントに対して0.13%であった。
【0065】
得られたコンクリートのスランプを、JIS A 1101に準拠して測定した。また、得られたコンクリートの空気量を、JIS A 1128に準拠して行った。これらスランプおよび空気量の測定結果を、表1に示す。また、得られたコンクリートの空気量の経時的変化を図1に実線にて示す。
【0066】
〔実施例2〕
内面が三フッ化エチレン樹脂でライニング処理された内容積10Lのジャケット付きニーダーに温度計を取り付けて反応器とした。上記のジャケットには温水が通水されるようになっている。この反応器に、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル系単量体としてのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(EOの付加モル数:9モル)2247部、共重合単量体としてのメタクリル酸ナトリウムの43%水溶液2448部、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(EOの付加モル数:8モル) 4.7部、および、溶媒としてのイオン交換水 794部を反応液として供給した。単量体成分におけるメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの含有量は、68%であった。また、単量体成分におけるメタクリル酸ナトリウムの含有量は、32%であった。尚、上記反応液の曇点は、83℃であった。
【0067】
次いで、反応器内を窒素置換した後、ニーダーのブレードを回転して攪拌しながら、ジャケットに45℃の温水を通水して、反応液の温度(反応開始温度)を45℃に昇温した。そして、該反応液に、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩 5.9部を添加して重合を開始した。そして、添加後、10秒間攪拌し、その後、攪拌を停止して反応液を静置した。
【0068】
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の添加後、直ちに重合反応が開始され、74分間経過後に反応温度がピークに達して85℃となった。この間、ジャケットの温度は内容物と等しくなるように上昇した。続いて、ジャケットに80℃の温水を通水し、該反応液の温度を80℃に1時間保って、反応生成物である含水ゲル重合体を熟成した。熟成を終了した後、ニーダーのブレードを40 rpmの回転数で10分間回転させて、含水ゲル重合体を解砕した。次いで、上記のニーダーを反転させて含水ゲル重合体を取り出した。
【0069】
このようにして解砕された微細な粒径を有する含水ゲル重合体を、窒素気流下、150 ℃で4時間かけて乾燥した。次いで、乾燥物である架橋重合体を卓上簡易型粉砕機を用いて粉砕することにより、ポリオキシエチレン系吸水性樹脂(以下、吸水性樹脂(C)と記す)を得た。
【0070】
次に、別の容器に、消泡剤(A)3部を仕込み、水2997部を添加して、消泡剤(A)の 0.1%水溶液を調製した。続いて、該水溶液に対し、吸水性樹脂(C) 100部を添加し、吸水性樹脂(C)に消泡剤(A)の水溶液を吸液させた。これにより、吸水性樹脂が膨潤し、本発明にかかる空気量安定化剤を得た。
【0071】
上記の空気量安定化剤を用いて、実施例1と同様にして、セメント配合物を調製した。セメント配合物中に含まれる消泡剤(A)の量は、セメントに対して2.6ppmであった。セメント配合物中に含まれる吸水性樹脂(C)の量は、セメントに対して 86.7ppmであった。セメント配合物中に含まれる空気連行剤の量は、セメントに対して 40.0ppmであった。セメント配合物中に含まれるポリカルボン酸系セメント分散剤の量は、セメントに対して0.13%であった。
【0072】
得られたコンクリートのスランプおよび空気量について、実施例1と同様にして測定した結果を、表1に示す。
【0073】
〔実施例3〕
内容積 500mLの円筒型セパラブルフラスコに、親水性単量体としてのアクリルアミド 55.2g(0.78モル)およびアクリル酸ナトリウム 31.3g(0.33モル)、架橋剤としてのN,N-メチレンビスアクリルアミド 0.12g(0.0008モル)、および、溶媒としての水164.9gを仕込み、均一に溶解させて、反応液とした。
【0074】
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、湯浴上で反応液を25℃に加熱し、重合開始剤としての20%過硫酸ナトリウム水溶液1.94g を添加して溶解させ、次いで、攪拌を停止して反応液を静置した。添加後、直ちに重合反応が開始され、40分間経過後に反応温度がピークに達して90℃となった。続いて、湯浴の温度を90℃に昇温し、この温度に40分間保って、反応生成物である含水ゲル重合体を熟成した。熟成を終了した後、含水ゲル重合体を解砕し、含水ゲル重合体を取り出した。
【0075】
このようにして解砕された含水ゲル重合体を、160 ℃で3時間かけて熱風乾燥した。次いで、乾燥物である架橋重合体を粉砕することにより、ポリアクリルアミド系吸水性樹脂(以下、吸水性樹脂(D)と記す)を得た。
【0076】
次に、別の容器に、消泡剤(A)3部を仕込み、水2997部を添加して、消泡剤(A)の 0.1%水溶液を調製した。続いて、該水溶液に対し、吸水性樹脂(D) 100部を添加し、吸水性樹脂(D)に消泡剤(A)の水溶液を吸液させた。これにより、吸水性樹脂が膨潤し、本発明にかかる空気量安定化剤を得た。
【0077】
上記の空気量安定化剤を用いて、実施例1と同様にして、セメント配合物を調製した。上記の空気量安定化剤を用いて、実施例1と同様にして、セメント配合物を調製した。セメント配合物中に含まれる消泡剤(A)の量は、セメントに対して2.6ppmであった。セメント配合物中に含まれる吸水性樹脂(D)の量は、セメントに対して 86.7ppmであった。セメント配合物中に含まれる空気連行剤の量は、セメントに対して 40.0ppmであった。セメント配合物中に含まれるポリカルボン酸系セメント分散剤の量は、セメントに対して0.13%であった。
【0078】
得られたコンクリートのスランプおよび空気量について、実施例1と同様にして測定した結果を、表1に示す。
【0079】
〔実施例4〕
温度計を備えた反応器に、親水性単量体としてのアクリル酸ナトリウム74.95 モル%、親水性単量体としてのアクリル酸25モル%、および架橋剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート0.05モル%からなる混合物の43%水溶液4000部を反応液として供給した。
【0080】
次いで、反応器内を窒素置換した後、該反応液に、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.6 部、および、還元剤としての亜硫酸水素ナトリウム 0.2部を添加し、55〜80℃で静置重合を行った。これにより、含水ゲル重合体を得た。
【0081】
得られた含水ゲル重合体を、熱風乾燥機を用いて180 ℃で乾燥した。次いで、乾燥物である架橋重合体をハンマー型粉砕機を用いて粉砕し、さらに28メッシュでふるい分けして、微細な粒径を有する粉体を得た。
【0082】
上記の粉体 100部に、グリセリン2部、水2部、およびエチルアルコール2部をパドル型混合機で混合した後、パドルドライヤーにより連続的に加熱処理した。このパドルドライヤー内の上記混合物の平均滞留時間は、20分間であった。また、排出口における混合物の温度は、 190℃であった。これにより、ポリアクリル酸系吸水性樹脂(以下、吸水性樹脂(E)と記す)を得た。
【0083】
次に、別の容器に、消泡剤(A)3部を仕込み、水2997部を添加して、消泡剤(A)の 0.1%水溶液を調製した。続いて、該水溶液に対し、吸水性樹脂(E) 100部を添加し、吸水性樹脂(E)に消泡剤(A)の水溶液を吸液させた。これにより、吸水性樹脂が膨潤し、本発明にかかる空気量安定化剤を得た。
【0084】
上記の空気量安定化剤を用いて、実施例1と同様にして、セメント配合物を調製した。セメント配合物中に含まれる消泡剤(A)の量は、セメントに対して2.6ppmであった。セメント配合物中に含まれる吸水性樹脂(D)の量は、セメントに対して 86.7ppmであった。セメント配合物中に含まれる空気連行剤の量は、セメントに対して 40.0ppmであった。セメント配合物中に含まれるポリカルボン酸系セメント分散剤の量は、セメントに対して0.13%であった。
【0085】
得られたコンクリートのスランプおよび空気量について、実施例1と同様にして測定した結果を、表1に示す。また、得られたコンクリートの空気量の経時的変化を図1に破線にて示す。
【0086】
〔比較例1〕
実施例1において、空気量安定化剤を用いる代わりに、実施例1の空気量安定化剤に含まれる消泡剤(A)と同量の消泡剤(A)を用い、かつ、空気連行剤の量を5倍にする以外は、実施例1と同様にして、セメント配合物を調製した。セメント配合物中に含まれる消泡剤(A)の量は、セメントに対して2.6ppmであった。また、セメント配合物中に含まれる空気連行剤の量は、セメントに対して200ppmであった。セメント配合物中に含まれるポリカルボン酸系セメント分散剤の量は、セメントに対して0.13%であった。
【0087】
得られたコンクリートのスランプおよび空気量について、実施例1と同様にして測定した結果を、表1に示す。また、得られたコンクリートの空気量の経時的変化を図1に一点鎖線にて示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1および図1に記載された実施例および比較例の結果から明らかなように、本実施例のセメント配合物は、消泡剤のみを用いた従来のセメント配合物に比べて、5分後〜90分後の連行空気量の振れ幅が小さく、連行空気量がより安定化されていることが分かる。
【0090】
【発明の効果】
請求項1記載の空気量安定化剤は、以上のように、セメント配合物の連行空気量を減少させる消泡剤が、吸水性樹脂に含浸されてなる構成である。
【0091】
また、請求項2記載の空気量安定化剤は、以上のように、請求項1記載の空気量安定化剤において、上記吸水性樹脂が、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、nは、平均で3〜50の正数を表す)
で表される単量体を必須成分として含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体からなる構成である。
【0092】
上記構成によれば、経時的に空気量が増加するセメント配合物に対して、該セメント配合物の連行空気量の経時的な安定化作用に優れた空気量安定化剤を提供することができるという効果を奏する。
【0093】
請求項3記載のセメント混和剤は、以上のように、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の空気量安定化剤と、セメント分散剤とを含む構成である。
【0094】
請求項4記載のセメント配合物は、以上のように、少なくともセメントおよび水を含有するセメント配合物に対し、請求項1ないし2のいずれか1項に記載の空気量安定化剤を添加して得られるものである。
【0095】
該セメント配合物によれば、セメント配合物の連行空気量を、経時的に安定化しうるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメント配合物の空気量の経時的変化を示すグラフである。実線は、本発明の一実施例におけるセメント配合物の連行空気量の経時的変化を示し、破線は、本発明の他の実施例におけるセメント配合物の連行空気量の経時的変化を示す。また、一点鎖線は、比較例におけるセメント配合物の連行空気量の経時的変化を示す。
Claims (4)
- 消泡剤を吸水性樹脂に含ませてなることを特徴とする空気量安定化剤。
- 上記吸水性樹脂が、一般式(1)
CH2 =CR−CO−(X)n −Y ……(1)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Xは、全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Yは、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、nは、平均で3〜50の正数を表す)
で表される単量体を必須成分として含む単量体成分を重合させてなる架橋重合体であることを特徴とする請求項1記載の空気量安定化剤。 - 請求項1ないし2の何れか1項に記載の空気量安定化剤と、セメント分散剤とを含むことを特徴とするセメント混和剤。
- 少なくともセメントおよび水を含有するセメント配合物であって、請求項1ないし2の何れか1項に記載の空気量安定化剤を含有してなることを特徴とするセメント配合物。
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