JP2008230933A - ポップアウト防止用膨張材組成物およびそれを用いてなるセメント硬化体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 膨張材と膨潤性粘土からなるポップアウト防止材を含有してなり、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、膨張材が99.9〜99.0部であり、ポップアウト防止材が0.1〜1部であるポップアウト防止用膨張材組成物、ポップアウト防止材が、さらに、リグニンスルホン酸カルシウム及び/又は高吸水性樹脂を含有してなる該膨張材組成物、セメントと該膨張材組成物とを含有してなるセメント組成物、該膨張材組成物が、セメントと膨張材組成物からなる結合材100部中、3〜20部である該セメント組成物、並びに、該セメント組成物を用いたセメント硬化体を構成とする。
【選択図】 なし
Description
そのため、ひび割れを生じ、コンクリート構造物の美観や耐久性を損なう場合があった。
この課題を解決するために、膨張材を使用する方法が提案されている。
しかしながら、膨張材の塊が少量でもコンクリート中に存在すると、数日〜数年を経てコンクリートの表面付近でポップアウト現象を生じ、美観のみならず耐久性を損なうという課題があった。
これら課題解決のために、種々、膨張材の改良が試みられているが、条件によりポップアウト現象を生じる場合があるのが現状である(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
例えば、ベントナイト、ポリビニルアルコール、及び膨張材を併用するヒューム管の遠心成形におけるノロ低減又は防止材が提案されているが、ベントナイトは、ノロ低減又は防止材として使用され、本発明のポップアウトを防止することを目的とするものではない(特許文献4参照)。
さらに、ベントナイト、ベントナイトの膨潤性を高める添加剤、及び膨張材からなるセメント組成物が提案されているが、ベントナイトは、ブリーディング防止や粘性の増加のために使用され、本発明のポップアウトを防止することを目的とするものではない(特許文献5参照)
本発明者は、流動性の改善や単位水量を低減するために、膨張材とリグニンスルホン酸カルシウムなどの減水剤を併用して、フローダウンやスランプロスの少ない、ワーカビリティーの良好な膨張材含有セメント組成物を提案したが、特定割合で、膨張材とリグニンスルホン酸カルシウムを併用することによって、ポップアウトを防止することを目的とするものではない(特許文献6参照)。
本発明のコンクリートはセメントモルタルも含む場合がある。
膨張材の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)2,000〜7,000cm2/gが好ましい。2,000cm2/g未満では未反応物が長期間残存して耐久性が低下するおそれがあり、7,000cm2/gを超えると水和反応が早く、所定の膨張が得られなくなるおそれがある。
これらのうち、膨潤度が高いモンモリロナイトを主成分とするベントナイト、特に、ベントナイトナトリウム塩が好ましく、水分含有量が少ないのもがより好ましい。
ベントナイトは、粉鉄鉱石等を団粒化し、落下強度の向上、耐圧強度の向上、及び粉化防止に効果があり利用されている。
膨潤性粘土の使用量は、膨張材と、膨潤性粘土からなるポップアウト防止材との合計100部中、0.1〜1部が好ましく、0.2〜0.8部がより好ましい。0.1部未満ではポップアウト防止効果が得にくくなるおそれがあり、1部を超えてもポップアウト防止効果はかわらず、流動性の低下が大きくなるおそれがある。
ポップアウト防止材が、膨潤性粘土とリグニンCaからなる場合、膨潤性粘土とリグニンCaの配合割合は、膨潤性粘土100部に対して、10〜100部が好ましい。10部未満では併用効果が認められなくなるおそれがあり、100部を超えてもポップアウト効果は向上しない。
高吸水性樹脂は、製造方法により、デンプン・アクリロニトリル系高吸水性樹脂、デンプン・アクリル酸系高吸水性樹脂、カルボキシルメチルセルロース系高吸水性樹脂、ポリアクリル酸系高吸水性樹脂、及びビニルアルコール・アクリル酸系高吸水性樹脂があり、これらのいずれの高吸水性樹脂も使用可能であり、カルシウム飽和水溶液中での吸水量が大きいものが好ましい。
高吸水性樹脂の粒度は、平均粒径20〜300μmが好ましい。
高吸水性樹脂と膨潤性粘土の配合割合は、膨潤性粘土100部に対して、10〜100部が好ましい。10部未満では併用効果が認められなくなるおそれがあり、100部を超えてもポップアウト効果は向上しない。
ポップアウト防止材は、水分含有ができるだけ少ないことが、膨張材の性能を保持させることから好ましい。
また、ポップアウト防止材は、膨張材によく分散していることが、ポップアウト防止上必要である。
ポップアウト防止材の使用量は、ポップアウト防止材が、膨潤性粘土からなる場合、膨潤性粘土とリグニンCaからなる場合、膨潤性粘土と高吸水性樹脂からなる場合、膨潤性粘土とリグニンCaと高吸水性樹脂からなる場合のいずれも、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、0.1〜2部が好ましい。0.1部未満ではポップアウト防止効果が得られないおそれがあり、2部を超えると、強度の低下や流動性の低下が大きくなるおそれがあり、ポップアウト防止効果が変わらず経済的に無駄になるおそれがある。
セメントの使用量は、モルタル又はコンクリートの配合等により異なるが、セメント単位量で270〜1,000kg/m3が好ましい。270kg/m3未満では構造上の耐久性や強度が得られなくなるおそれがあり、1,000kg/m3を超えると作業性が得られなくなるおそれがあり、水和発熱や乾燥収縮によるひび割れを生じるおそれがある。
ポップアウト現象は、膨張材の塊が、モルタルやコンクリート中で吸水し、固まり、分散せずに、長時間の膨張により生じる。そのため、プレスした成形体が、水中で崩壊しやすいものは、分散して塊が生じず、ポップアウトが生じないことから、本発明のポップアウト防止材の効果を迅速に確認する方法として下記の試験方法を行った。
表1に示す膨張材αと、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、表1に示すポップアウト防止材を混合した粉体を、φ19mmの円柱型に入れ、2分間、プレス圧15.9N/mm2でプレスして成形体を作製した。
作製した成形体の崩壊までの時間と金網中に残り吸水した成形体の残存量を測定した。結果を表1に併記する。
膨張材α :カルシウムサルホアルミネート系膨脹材、市販品
ポップアウト防止材a:膨潤性粘土、ベントナイトナトリウム塩、粉体、市販品
ポップアウト防止材b:膨潤性粘土、ベントナイトカルシウム塩、粉体、市販品
ポップアウト防止材c:非膨潤性粘土、カオリン
ポップアウト防止材d:非膨潤性粘土、タルク
崩壊までの時間:2リットルのポリ容器に水1.2リットルを入れ、水を撹拌しながら、作製した成形体を入れた金網を、2分間浸漬し、接水から、成形体が崩れ、金網内に残らなくなる時間
残存量 :金網中に残った成形体の質量/金網中に入れた成形体全体の質量
膨張材βを使用し、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、表2に示すポップアウト防止材を用いたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
膨張材β :石灰系膨張材、市販品
ポップアウト防止材e:リグニンCa、粉体、市販品、平均分子量51,000
ポップアウト防止材f:リグニンCa、粉体、市販品、平均分子量11,000
ポップアウト防止材g:リグニンCa、粉体、市販品、平均分子量 5,100
膨張材βを使用し、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、表3に示すポップアウト防止材を用いたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
ポップアウト防止材h:デンプン・アクリロニトリル系高吸水性樹脂、市販品、粒度20〜50μm
ポップアウト防止材i:デンプン・アクリル酸系高吸水性樹脂、市販品、粒度50〜150μm
ポップアウト防止材j:ポリアクリル酸系高吸水性樹脂、市販品、粒度150〜300μm
膨張材βと、膨張材とポップアウト防止材からなる膨張材組成物100部中、表4に示すポップアウト防止材とからなる膨張材組成物を使用して、実験例1と同様に成形体を作製した。
セメント93.4部、水54部、減水剤0.25部、細骨材260部、及び粗骨材337部のコンクリート配合でコンクリートを練り混ぜた中に、セメントと膨張材組成物からなる結合材100部に対して、セメント組成物中の膨張材に換算して6.6部となるように作製した成形品を、壊れないようにバラバラに分散して押し込み、2分後に、30秒練り混ぜた。
練り混ぜたコンクリートを用いて、40×40×10cmの型枠に打設した。
翌日脱枠し、20℃水中養生を行い、ポップアウトの発生時期を測定した、結果を成形体の崩壊までの時間とともに表4に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント
細骨材 :川砂、密度2.57g/cm3、粗粒率2.80
粗骨材 :川砂利、5〜25mm、密度2.67g/cm3、粗粒率6.82
減水剤 :ポリオール系AE減水剤、市販品
ポップアウト発生時期:平滑なコンクリート表面が盛り上がり、ポップアウトが生じるまでの時間
膨張材と、膨張材組成物100部中、表5に示すポップアウト防止材とからなる膨張材組成物を調製した。
セメントと、セメントと膨張材組成物からなる結合材100部中、表5に示す膨張材組成物を使用して成形体を作製したこと以外は実験例4と同様に行った。結果を表5に併記する。
Claims (7)
- 膨張材と、膨潤性粘土からなるポップアウト防止材とを含有してなり、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、膨張材が99.9〜99.0部であり、ポップアウト防止材が0.1〜1部であるポップアウト防止用膨張材組成物。
- ポップアウト防止材が、リグニンスルホン酸カルシウムを含有してなる請求項1に記載のポップアウト防止用膨張材組成物。
- ポップアウト防止材が、高吸水性樹脂を含有してなる請求項1又は請求項2に記載のポップアウト防止用膨張材組成物。
- セメントと、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のポップアウト防止用膨張材組成物とを含有してなるセメント組成物。
- ポップアウト防止用膨張材組成物が、セメントとポップアウト防止用膨張材組成物とからなる結合材100部中、3〜20部である請求項4に記載のセメント組成物。
- セメント、膨張材、及び膨潤性粘土からなるポップアウト防止材を含有してなり、膨張材とポップアウト防止材との合計100部中、膨張材が99.9〜99.0部、ポップアウト防止材が0.1〜1部であるセメント組成物。
- 請求項4〜請求項6のうちのいずれか1項に記載のセメント組成物を用いてなるセメント硬化体。
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