JP2022112200A - タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents
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Abstract
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そこで、例えばドライグリップ性能を向上させるため、従来は高比表面積のカーボンブラック、粘着付与樹脂、可塑剤の多量配合がなされている。
しかし、上記のような手段では、グレイニング性能(低温下での耐摩耗性およびグリップ性能)が低下するとともに、硬度の温度依存性が生じて熱ダレ性能が悪化し、競技におけるタイム低下の原因となる。
しかし、特許文献1に開示された技術では、ドライグリップ性能、グレイニング性能および熱ダレ性能を共に満足させることができない。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を必須成分とする。本発明で使用されるジエン系ゴム全体を100質量部としたときに、SBRの配合量は、例えば競技用途である場合は気温、天候等の諸条件を適宜勘案して定めればよいが、例えば70質量部以上、好ましくは85質量部以上、さらに好ましくは100質量部であることができる。なお本発明では、SBR以外にも、通常のゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積N2SAが100~500m2/gであり、窒素吸着比表面積N2SA(単位m2/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN2SA/IAが0.90~1.03である(以下特定カーボンブラックと言うことがある)。このN2SA/IAを満たすカーボンブラックは、表面上に存在する官能基の数が多く、表面活性が高いものと言える。表面活性が高いカーボンブラックは、下記で説明するスチレン化フェノール化合物に含まれるOH基と高い相互作用を有し、ドライグリップ性能およびグレイニング性能を高め、かつ硬度の温度依存性を抑制して熱ダレ性能も良化することができる。
なおN2SAは、JIS K6217-2に準拠して測定するものとし、IAはJIS K6217-1に準拠して測定するものとする。
本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、下記構造式(1)で表すことができる。本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、ジエン系ゴムと相互作用してtanδを上昇させ、ドライグリップ性能を向上させる機能を有する。
構造式(1)で表されるスチレン化フェノール化合物は、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である、市販品としては、例えば三光(株)製SP-24(ジスチレン化フェノールを主成分とする)、TSP(トリスチレン化フェノールを主成分とする)等が挙げられる。
本発明に使用される粘着付与樹脂は特に制限されないが、その具体例としては、フェノール系樹脂(例えば、フェノール樹脂、フェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂)、クマロン系樹脂(例えば、クマロン樹脂、クマロン・インデン樹脂、クマロン・インデン・スチレン樹脂)、テルペン系樹脂(例えば、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(芳香族変性テルペン樹脂等)、テルペンフェノール樹脂)、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂(例えば、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体)、水添テルペン樹脂)、石油樹脂(例えば、ジシクロペンタジン樹脂等のC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂)、キシレン系樹脂(例えば、キシレン樹脂、キシレン・アセチレン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂)、α-ピネン樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の効果等がより優れる理由から、C9系石油樹脂、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂およびジシクロペンタジエン樹脂から選択された1種以上であることが好ましい。
なお、上記軟化点は、JIS K6220-1に準拠して測定したものとする。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、特定カーボンブラックを50~200質量部、前記構造式(1)で表されるスチレン化フェノール化合物を5~50質量部、粘着付与樹脂を20質量部以上配合してなり、かつ前記スチレン化フェノール化合物の配合量が、前記粘着付与樹脂に対して15質量%以上であることを特徴とする。
前記特定カーボンブラックの配合量が50質量部未満であると、tanδ60℃が低下し、逆に200質量部を超えると破断強度が低下する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が5質量部未満であると配合量が少なすぎて本発明の効果を奏することができず、逆に50質量部を超えると脆化温度が上がる。
前記粘着付与樹脂の配合量が20質量部未満であるとtanδ60℃が低下する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が、前記粘着付与樹脂に対して15質量%未満であると、グレイニング性能および硬度の温度依存性が悪化する。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、7~45質量部であることが好ましく、10~40質量部であることがさらに好ましい。
前記粘着付与樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、25~90質量部であることが好ましく、30~80質量部であることがさらに好ましい。
前記スチレン化フェノール化合物の配合量は、前記粘着付与樹脂に対して20~80質量%であることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤;樹脂;硬化剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で150℃で30分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
M300(RT)/M300(60℃):JIS K6251(3号ダンベル使用)に基づき室温(RT)または60℃にて引張り試験を実施し、300%変形モジュラス(M300)を求めた。結果は、標準例の値を100として指数表示した。指数が小さいほど温度依存性が低く、熱ダレ性能に優れることを示す。
脆化温度:JIS K6261「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム‐低温特性の求め方」の低温衝撃ぜい化試験に準拠し、脆化温度を測定した。結果は、標準例の値を100として指数表示した。指数が小さいほど低温下での耐摩耗性およびグリップ性能に優れることを示す。
破断強度(RT):JIS K6251に準拠し、引張試験にて破断伸びを室温で評価した。結果は標準例の値を100として指数表示した。この指数が大きいほど破断強度に優れ、耐摩耗性に優れ、かつ耐グレイニング性能にも優れることを示す。
*2:SBR2(ZSエラストマー株式会社製 Nipol NS460(スチレン含有量=25質量%、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部))
*3:カーボンブラック1(旭カーボン株式会社製旭#95、窒素吸着比表面積(N2SA)=147m2/g、N2SA/IA=0.98))
*4:カーボンブラック2(東海カーボン株式会社製 シースト7HM(窒素吸着比表面積(N2SA)=126m2/g、N2SA/IA=1.05))
*5:カーボンブラック3(コロンビアンカーボン社製 CD2019(窒素吸着比表面積(N2SA)=340m2/g、N2SA/IA=1.05))
*6:カーボンブラック4(東海カーボン株式会社製 トーカブラック#5500(窒素吸着比表面積(N2SA)=225m2/g、N2SA/IA=0.88))
*7:粘着付与樹脂(ENEOS株式会社製ネオポリマー140、C9系石油樹脂)
*8:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*9:スチレン化フェノール化合物1(三光株式会社製SP-F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*10:スチレン化フェノール化合物2(三光株式会社製SP-24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*11:スチレン化フェノール化合物3(三光株式会社製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*12:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*13:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*14:老化防止剤(フレキシス社製6PPD)
*15:加硫促進剤(大内新興化学工業株式会社製ノクセラーCZ-G)
*16:硫黄(鶴見化学工業株式会社製金華印油入微粉硫黄)
一方、比較例1は、前記構造式(1)におけるnが、1を含むものであるので、ドライグリップ性能が低下した。
比較例2、3は、カーボンブラックのN2SA/IAが本発明で規定する上限を超えているので、ドライグリップ性能または破断強度が低下した。
比較例4は、カーボンブラックのN2SA/IAが本発明で規定する下限未満であるので、破断強度が低下した。
比較例5は、前記スチレン化フェノール化合物の配合量が、前記粘着付与樹脂に対して15質量%未満であるので、温度依存性および脆化温度が悪化した。
比較例6は、SBRのスチレン量が本発明で規定する下限未満であるので、ドライグリップ性能および破断強度が悪化した。
Claims (4)
- スチレン量が30質量%以上であるスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、
窒素吸着比表面積N2SAが100~500m2/gであり、かつ窒素吸着比表面積N2SA(単位m2/g)と沃素吸着量IA(単位mg/g)の比であるN2SA/IAが0.90~1.03のカーボンブラックを50~200質量部、
下記構造式(1)で表されるスチレン化フェノール化合物を5~50質量部、
粘着付与樹脂を20質量部以上配合してなり、かつ
前記スチレン化フェノール化合物の配合量が、前記粘着付与樹脂に対して15質量%以上である
ことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
- 前記粘着付与樹脂の軟化点が、60~180℃であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記粘着付与樹脂が、C9系石油樹脂、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂およびジシクロペンタジエン樹脂から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。
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